JP2007000811A - 水素エネルギー回収型有機性廃棄物分解・減容方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水素エネルギー回収型有機性廃棄物分解・減容方法を提供すること。
【解決手段】 有機性廃棄物を粉砕し、滅菌または殺菌した後、これを水で希釈して固形分濃度が1〜35w/v%の範囲のスラリー状態とする前処理工程と、前記前処理工程で調製された有機性廃棄物スラリーと少なくとも1種類以上の嫌気性水素生成菌とを嫌気性雰囲気下で混合し、嫌気性水素生成菌の働きにより有機性廃棄物を分解・減容するとともに、水素含有ガスを生成させる本処理工程と、前記本処理工程によって生成した水素含有ガスと有機性廃棄物の分解・減容残査を系内から分離・排出する後処理工程を少なくとも含んでなるシステムにて行うことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、循環型社会および水素ネットワーク供給社会の実現に貢献する水素エネルギー回収型有機性廃棄物分解・減容方法に関する。
従来、一般家庭、レストラン、食品工場などから排出される生ゴミなどの有機性廃棄物は、焼却法、埋立て法、コンポスト堆肥化法などで処理されている。しかし、焼却法には水分を蒸発させるため多大なエネルギーを浪費するとともに、混合物の高温燃焼によって新たな環境汚染物質を発生するといった問題がある。埋立て法には地域制約があり、温暖化効果の高いメタンガスの大気放出を惹起するといった問題がある。コンポスト堆肥化法には副生物の安定供給が必要となるといった問題がある。
2003年以降、ダイオキシンなどに関する特別措置法の施行に基づき、中小焼却炉で有機性廃棄物の焼却が出来なくなったこと、食品リサイクル法により食品関連事業者は廃棄物の発生量をこれまで以上に減らさなければならなくなったことなどにより、バイオ処理システムの開発に拍車がかかっている。
これに伴い、有機性廃棄物の現地分解・減容手段として、近年、好気性微生物を利用した中小規模(各個人が装置入口まで生ゴミを持ち込める規模)の所謂、生ゴミ分解・減容機が売り出され、生ゴミの分解・減容の容易性が謳われているが、生ゴミの実固形分の分解・減容評価は難しく、実際には粉砕したものが水と共に排出されているだけか、生ゴミ中の水分が蒸発飛散した分しか減容されていないのが大方の実態である。さらに、このタイプの処理機が、仮に生ゴミを分解・減容できたとしても、その分解物は炭酸ガスである。従って、このような処理機では、生ゴミの破砕や好気発酵のための加温、水分蒸発に要するエネルギーが多大であることに加え、温暖化ガス発生、化石エネルギー資源枯渇を促進させることになる。
一方、エネルギー回収型のバイオ処理システムとして、現在、日本において普及しつつあるシステムは、一つは生ゴミをメタン発酵して得られたメタンガスでガスタービンを稼働させて電力を得るシステムで、もう一つは得られたメタンガスを改質して水素ガスとした後、燃料電池などで発電するシステムである。しかし、メタン発酵の速度ならびに得られたメタンガスを改質するために必要なエネルギーなどを考慮した場合、このようなシステムを稼動させるためには、エネルギー収支およびコスト採算的には大規模施設を建設する必要があり、もともとのゴミ収集広域化問題を考慮した場合、本末転倒なことになってしまう。
さて、もともと単糖類からのメタン発酵は水素生成を経由している。従って、上述した問題を解決しうるシステムとして、生ゴミからの直接的な水素生成ならびに生成した水素を燃料とする燃料電池発電を組み合わせたシステムが考えられる。このようなシステムによれば、メタン資化に要する反応時間が不要であるとともに、メタン改質も不要なことから、簡便で規模的にもエネルギー消費的にも小型化が可能であり、また、燃料電池から得られた電力によりシステム全体のエネルギーをまかなうことが可能である。
一方、従来から微生物を用いた水素製造方法が種々知られている。また、水素生成微生物は、水素生成量の大小を別にすれば、意外と多く自然界に存在し、種々のものが利用されている。具体的には、特許文献1には、光合成菌のロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)R−1株を使用し、食品工場などから出る糖廃液を嫌気処理することで水素を発生させる技術が開示されている。
しかし、光合成菌による反応は極めて遅く、大規模な装置でなければ実用に供することができない。また、光合成菌に光を均一に効果的に付与すること、化石燃料や原子力発電エネルギーを使わずに水素を発生させることには困難を伴う。
これに対し、嫌気性反応では、菌増殖に必要な栄養分を供給すれば迅速な反応が可能であることから、装置の小型化を図ることができる。このような考えに基づき、嫌気性反応を用いた水素製造方法が種々知られている。具体的には、特許文献2には、クロストリジウム・ブチリカム種(Clostridium butyricum)に属する特定菌株を用いて、高水素分圧環境下において水素生産を行う技術が開示されている。しかし、特許文献2では、グルコース基質の培地および大豆粕からの水素発生が謳われているものの、生ゴミからの水素発生については述べられていない。さらに、特許文献2におけるグルコース基質の培地および大豆粕からの水素発生は、10数時間〜4日程度の1バッチでの結果であり、この方法では連続的に水素を生成させて取り出すことができないという問題がある。
また、特許文献3には、主にクロストリジウム・バイジェリンキー(Clostridium beijerinckii)AM21B株、クロストリジウム sp(Clostridium sp.)No.2株、クロストリジウム sp(Clostridium sp.)X53株を利用して、2,3種類の栄養素から水素生産が可能であることが示されている。しかし、ここに記載された方法では、栄養素毎に希釈度などの条件がまちまちであり、また、その希釈度も100倍〜300倍と高希釈のものが主である。従って、このような希釈度では、水の使用量過多、水の顕熱エネルギーの処遇といった問題があり実用的でない。さらに、実施例中の水素発生量は、4mol/グルコースunit molの理論量を超えており、その信憑性には疑問がある。さらに、表1に示すような栄養素成分からなる典型的な実際の生ゴミ(市販弁当残渣)に対し、24時間を越えての水素生成率として、糖質の1.15wt%、蛋白質の0.27wt%、食物繊維の0.45wt%を適用したとしても、実質的に生ゴミ固形分重量あたり0.62wt%程度であるので自給率には残念ながら届かない。以上のような状況に鑑みると、実際に本質的なエネルギー自給を可能とし、中小規模で、油分や腐敗物が一部含まれるなどする種々雑多な生ゴミを連続的に、かつ、実用的に処理するためには、ある一定の好適な処理条件を形成するために、固形分濃度、油分含有量、粉砕の有無、滅菌または殺菌の有無などを適宜設定した前処理工程を具備した上で、分解・減容時間12時間以内で、生ゴミ固形分重量あたり0.7wt%を上回る半連続的〜連続的な水素生成量の維持を可能とするシステムが必要である。
Figure 2007000811
エネルギー消費の少ない生ゴミ処理を目指すにあたっては、エネルギー自給および総エネルギーコストの側面から、生ゴミが発生した場所で個人がその処理を行うことが可能な中小規模のオンサイト型処理装置が必要となる。オンサイト型処理装置で生ゴミ処理を行うための必要条件としては、12時間程度で分解・減容できることと、生ゴミ固形分重量あたり0.7wt%を上回る半連続的〜連続的な水素生成量の維持ができることといった条件が挙げられる。オンサイト型処理装置でエネルギー自給を目指すには、ある程度連続的に水素が発生することが必要であり、種々雑多な生ゴミを連続的に処理するには、設定された好適条件下に原料となる生ゴミが一定期間維持される必要がある。このための必要条件として前処理工程は重要である。前処理工程として考慮すべき事項としては、例えば、原料としての生ゴミに必要な栄養素が含有されているか、粉砕の必要性、油分の除去程度はどのくらいか、固形分濃度を一定範囲に調整できているか、滅菌または殺菌の必要性などが挙げられる。
特開平10−84984号公報 特開平8−252089号公報 特開2001−157595号公報
しかし、上述した各特許文献で示された従来の有機性廃棄物処理方法、特に、水素生成を行う方法では、水素生成にのみ着眼していることから、実際の種々雑多な生ゴミを処理する場合においては、総エネルギーコストなどの点において満足できる方法ではない。
具体的には、生ゴミからメタン発酵を経て、改質水素を得、電力供給する場合、メタン発酵速度が遅いこと、改質機が高エネルギー負荷であることから、装置のエネルギー自給の為には装置を大型化する必要がある(例えば処理量6トン/日以上)。しかし、このことは広域回収を前提とし、運搬エネルギーの増加に繋がる。
また、光合成菌を使用する場合には、光を有効利用するための装置の大面積化や稼働時間の限定などといった問題が生じる。
これらを考慮して、嫌気性水素生成菌を用いる方法も提案されているが、エネルギー自給に関しては何ら触れておらず、また、実際の生ゴミを処理した例はなく、種々雑多な要因を含む生ゴミには対応が困難であると言わざるを得ない。
そこで本発明は、上記の事情に鑑み、実際の生ゴミを連続的に分解・減容する際に、中小規模でもエネルギー回収およびエネルギー自立が可能な、高効率かつ低コストな方法を提供しようとするものである。
上記の技術背景をもとになされた本発明の有機性廃棄物を水素エネルギーの回収を伴って分解・減容する方法は、請求項1記載の通り、有機性廃棄物を粉砕し、滅菌または殺菌した後、これを水で希釈して固形分濃度が1〜35w/v%の範囲のスラリー状態とする前処理工程と、前記前処理工程で調製された有機性廃棄物スラリーと少なくとも1種類以上の嫌気性水素生成菌とを嫌気性雰囲気下で混合し、嫌気性水素生成菌の働きにより有機性廃棄物を分解・減容するとともに、水素含有ガスを生成させる本処理工程と、前記本処理工程によって生成した水素含有ガスと有機性廃棄物の分解・減容残査を系内から分離・排出する後処理工程を少なくとも含んでなるシステムにて行うことを特徴とする。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、前記有機性廃棄物スラリーの固形分濃度を3〜15w/v%の範囲とすることを特徴とする。
また、請求項3記載の方法は、請求項1または2記載の方法において、前記有機性廃棄物スラリーの固形分濃度を4〜10w/v%の範囲とすることを特徴とする。
また、請求項4記載の方法は、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法において、前記前処理工程のいずれかの段階で油分離を行うことを特徴とする。
また、請求項5記載の方法は、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法において、前記本処理工程における嫌気性雰囲気を酸素濃度1v/v%以下とすることを特徴とする。
また、請求項6記載の方法は、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法において、前記本処理工程を使用する嫌気性水素生成菌に応じた好適な菌濃度、温度、pHに必要に応じて調整して行うことを特徴とする。
また、請求項7記載の方法は、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法において、前記有機性廃棄物が、一般家庭、レストラン、食品工場などから排出される生ゴミであることを特徴とする。
また、請求項8記載の方法は、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法において、前記水素含有ガスから純度99v/v%以上の水素ガスを精製・分離する水素ガス精製・分離工程をさらに含んでなることを特徴とする。
また、請求項9記載の方法は、請求項8記載の方法において、前記水素ガス精製・分離工程において純度99v/v%以上の水素ガスを精製・分離した後の残査ガスを本処理工程の系内に嫌気性雰囲気形成ガスとして供給するようにしたことを特徴とする。
また、請求項10記載の方法は、請求項8または9記載の方法において、前記水素ガス精製・分離工程において精製・分離した純度99v/v%以上の水素ガスをエネルギー変換してシステム稼動用エネルギーとして利用するようにしたことを特徴とする。
また、請求項11記載の方法は、請求項1乃至10のいずれかに記載の方法において、前記有機性廃棄物スラリーを本処理工程の系内に連続的乃至断続的に投入し、かつ、その分解・減容残査を系内から連続的乃至断続的に排出するようにしたことを特徴とする。
また、請求項12記載の方法は、請求項11記載の方法において、前記有機性廃棄物スラリーの本処理工程の系内への投入を、前バッチの分解・減容残査の少なくとも50wt%が新しい有機性廃棄物スラリーに置き換わるように行うことを特徴とする。
また、請求項13記載の方法は、請求項1乃至12のいずれかに記載の方法において、嫌気性水素生成菌としてクロストリジウム属(Chlostridium)に属する菌を使用することを特徴とする。
また、請求項14記載の方法は、請求項13記載の方法において、クロストリジウム属(Chlostridium)に属する菌がクロストリジウム・アセトブチリカム種(Chlostridium acetobutyricum)に属する菌であることを特徴とする。
また、請求項15記載の方法は、請求項14記載の方法において、クロストリジウム・アセトブチリカム種(Chlostridium acetobutyricum)に属する菌がJCM1419株であることを特徴とする。
また、請求項16記載の方法は、請求項1乃至15のいずれかに記載の方法において、本処理工程の系内に好気性菌および/または通性嫌気性菌を共存させることを特徴とする。
また、本発明の有機性廃棄物を水素エネルギーの回収を伴って分解・減容するためのシステムは、請求項17記載の通り、有機性廃棄物を粉砕し、滅菌または殺菌した後、これを水で希釈して固形分濃度が1〜35w/v%の範囲のスラリー状態とする前処理工程(工程のいずれかの段階で油分離を行う)と、前記前処理工程で調製された有機性廃棄物スラリーと少なくとも1種類以上の嫌気性水素生成菌とを嫌気性雰囲気下で混合し、嫌気性水素生成菌の働きにより有機性廃棄物を分解・減容するとともに、水素含有ガスを生成させる本処理工程と、前記本処理工程によって生成した水素含有ガスと有機性廃棄物の分解・減容残査を系内から分離・排出する後処理工程を少なくとも含んでなることを特徴とする。
本発明によれば、例えば、80v/v%内外の水分を含み、焼却処理に不向きな生ゴミに対しても、広域回収や運搬エネルギーの増加などを必要とすることなく、発生地処理にて固形分として20w/w%以上の減容が可能であり、また、水素を効率的に生成させて、生成した水素をエネルギー変換することで、システムの稼動エネルギーを賄うことが可能な水素エネルギー回収型有機性廃棄物分解・減容方法が提供される。本発明の方法で生ゴミを処理した場合、水素が生成するとともに、水素に対して0.5〜1モル比の二酸化炭素(炭酸ガス)および有機酸が生成し、生ゴミを確実に分解することができる。従って、この方法は、すでに市販されているような所謂、生ゴミ分解・減容機とは一線を画すものである。本発明の方法では、水素ガスや炭酸ガスなどからなるガスを得ることができるので、メタン発酵で得られるバイオガスから水素ガスを精製・分離する場合のようにガスを燃焼させたりガスに対して燃焼熱を要する改質反応を行ったりすることなしに、また、一酸化炭素や硫化水素などの除去を必要とすることなしに、炭酸ガスのアルカリ吸収や膜分離のような簡便な方法によって、得られた水素含有ガスから純度99v/v%以上の水素ガスを精製・分離することができる。そして、純度99v/v%以上の水素ガスを精製・分離した後の残査ガスは、本処理工程における嫌気性雰囲気形成ガスとして使用することができる。また、12時間程度の本処理工程で、水素生成率を有機性廃棄物固形分重量あたり0.7wt%以上とすることができるので、生成した水素のエネルギー変換後のエネルギー量をシステムの稼動エネルギーを賄える量以上の量とすることができる。また、本発明の方法でのエネルギー消費は、有機性廃棄物の粉砕、スラリーの攪拌、スラリーや液の圧送、ガスの圧送、発酵槽の加熱程度で済み、エネルギー自立可能な規模のレベルが十分に低いものである。また、本発明の方法においては、原料となる有機性廃棄物スラリーを連続的乃至断続的に投入し、かつ、その分解・減容残査を連続的乃至断続的に排出することができる。
図1は、本発明の水素エネルギー回収型有機性廃棄物分解・減容方法の一実施態様の概略構成を示すブロック図である。
前処理工程は、有機性廃棄物を粉砕し、油分離し、殺菌した後、これを水で希釈して固形分濃度が1〜35w/v%の範囲のスラリー状態とする工程である。前処理工程は、続いて行う本処理工程において、嫌気性水素生成菌の働きを最大限に発揮させるために重要な工程である。有機性廃棄物の粉砕は、例えば、ディスポーザーやミキサーなどを用いて0.1〜20mm程度に大きさになるくらいまで行うことが望ましい。油分離は、有機性廃棄物スラリーに含まれる油分濃度が7v/v%以下になるまで行うことが望ましく、5v/v%以下になるまで行うことがより望ましく、3v/v%以下になるまで行うことがさらに望ましい。油分離は、有機性廃棄物をスラリー状態とした後などに行ってもよい。殺菌(滅菌であってもよい)は、加熱条件として、60℃で15分以上行うことが望ましく、70℃で15分以上行うことがより望ましく、80℃で30分以上行うことがさらに望ましい。殺菌は、マイクロ波によって行ってもよい。マイクロ波を使用すれば、省エネルギー化のもとに短時間で殺菌を行うことができる。また、マイクロ波の使用は、システムの小型化にも寄与する。有機性廃棄物スラリーの固形分濃度は、3〜15w/v%の範囲とすることが望ましく、4〜10w/v%の範囲とすることがより望ましい。
本処理工程は、前処理工程で調製された有機性廃棄物スラリーと少なくとも1種類以上の嫌気性水素生成菌とを嫌気性雰囲気下で混合し、嫌気性水素生成菌の働きにより有機性廃棄物を分解・減容するとともに、水素含有ガスを生成させる工程である。嫌気性水素生成菌は、1種類の菌を単独で使用してもよいし、複数種類の菌を混合して使用してもよい。嫌気性水素生成菌としては、例えば、特許文献3に記載のクロストリジウム・バイジェリンキー(Clostridium beijerinckii)AM21B株、クロストリジウム sp(Clostridium sp.)No.2株、クロストリジウム sp(Clostridium sp.)X53株などのような、公知のクロストリジウム属に属する嫌気性水素生成菌などを使用してもよいが、独立行政法人理化学研究所に登録されているクロストリジウム・アセトブチリカム(Chlostridium acetobutyricum)JCM(Japan Collection of Microorganisms)1419株を使用することが望ましい。クロストリジウム・アセトブチリカムは、発酵によりアセトンやブタノールを生成する嫌気性菌として古くから知られているものであるが、JCM1419株の発酵による生ゴミからの優れた水素生成能は本発明者らによって今般初めて見出されたものである。本処理工程における嫌気性雰囲気は、窒素置換などの方法により、酸素濃度1v/v%以下とすることが望ましい。酸素濃度が1v/v%を超えると、嫌気性水素生成菌の働きに悪影響を及ぼすおそれがあるからである。本処理工程は、使用する嫌気性水素生成菌に応じた好適な菌濃度、温度、pHに必要に応じて調整して行うことが望ましい。例えば、嫌気性水素生成菌としてJCM1419株を使用する場合、発酵槽内の菌濃度を103〜109Cells/mLの範囲、温度を30〜45℃の範囲、pHを3.8〜7.5の範囲に調整することが望ましい。なお、嫌気性水素生成菌は、ポリプロピレン発泡体などのポリオレフィン発泡体、竹や木炭、吸水性ポリマー、セルロース粒子、アガロースやカラギーナンやアルギン酸ゲルなどのポリマー高分子などの担体に自体公知の方法で固定化して使用してもよい。担体に固定化せずに使用してもよいが、担体に固定化して使用した場合には、後処理工程を行った後にその再利用を行うための有機廃棄物の分解・減容残渣との分離が容易になるといった利点がある。
本処理工程において、有機性廃棄物は、嫌気性水素生成菌の働きにより発酵槽内で分解されて水素含有ガスや有機酸を生成する。例えば、分解対象となる有機性廃棄物としてグルコース(C6H12O6)を想定した場合、グルコースは嫌気性水素生成菌の働きにより、一般に下記のような化学反応式に基づいて、主として有機酸と二酸化炭素と水素に分解される。
(1) C6H12O6 + 2H2O → 2CH3COOH + 2CO2 + 4H2
(2) C6H12O6 → CH3CH2CH2COOH + 2CO2 + 2H2
後処理工程は、本処理工程によって生成した水素含有ガスと有機性廃棄物の分解・減容残査を系内から分離・排出する工程である。水素含有ガスは、例えば、発酵槽の上部に設けたガス捕集部にて捕集することで、有機性廃棄物の分解・減容残査と分離することができる。水素含有ガスをガス捕集部にて迅速に捕集することで、上述したような化学反応の進行を促進させることができる。有機性廃棄物の分解・減容残渣には有機酸が共存する。水素含有ガスと分離された有機酸を含む残渣は、メタン生成菌の作用によりメタンを生成させるために利用してもよいし、光合成菌により水素を発生させるために利用してもよい。また、有機酸を含む残渣は、化学原料、土壌中和材、トイレタリー商品などとして利用することも可能である。
水素含有ガスは、主として水素ガスと炭酸ガスからなる。従って、炭酸ガスのアルカリ吸収や膜分離のような簡便な方法で、この水素含有ガスから純度99v/v%以上の水素ガスを容易に精製・分離することができる。こうした水素ガス精製・分離工程によって得られた高純度水素ガスは、エネルギー変換してシステム稼動用エネルギーとして利用することが望ましい。例えば、高純度水素ガスを燃料電池に送って電気を発生させ、発生した電気を、有機性廃棄物の粉砕、スラリーの攪拌、スラリーや液の圧送、ガスの圧送、発酵槽の加熱などの動力源とすれば、システムのエネルギー自立を容易に行うことができる。しかし、水素ガス精製・分離工程によって得られた高純度水素ガスをシステム外部において利用してもよいことは言うまでもない。
一方、水素ガス精製・分離工程において純度99v/v%以上の水素ガスを精製・分離した後の残査ガスは、本処理工程の系内に嫌気性雰囲気形成ガスとして供給するようにして有効利用を図ることが望ましい。
なお、有機性廃棄物の処理を効率よく行うためには、有機性廃棄物スラリーを本処理工程の系内に連続的乃至断続的に投入し、かつ、その分解・減容残査を系内から連続的乃至断続的に排出するようにすることが望ましい。上述したように、嫌気性水素生成菌を、ポリプロピレン発泡体などのポリオレフィン発泡体、竹や木炭、吸水性ポリマー、セルロース粒子、アガロースやカラギーナンやアルギン酸ゲルなどのポリマー高分子などの担体に自体公知の方法で固定化して用いれば、分解・減容残査からの嫌気性水素生成菌の分離を簡便に行うことができることから、処理効率の向上を図ることができる。
有機性廃棄物スラリーを本処理工程の系内に連続的乃至断続的に投入する場合、前バッチの分解・減容残査の少なくとも50wt%が新しい有機性廃棄物スラリーに置き換わるように行うことが望ましい(前バッチの分解・減容残査を全て新しい有機性廃棄物スラリーに置き換えてもよい)。
また、本処理工程における嫌気性雰囲気の形成を効率的に行うためなどに、本処理工程の系内に好気性菌および/または通性嫌気性菌を、例えば、その菌濃度が103〜109Cells/mLとなるように共存させて(担体に固定化してもしなくてもよいが固定化した場合には処理効率の向上を図ることができることは上記の通りである)、系内の酸素をこれらに消費させてもよい。酸素の消費量が多く、嫌気条件でも死滅しない好適な好気性菌としては、バチルス属(Bacillus)に属する菌が挙げられる。また、酸素の消費量が多く、嫌気性水素生成菌の働きを損なわない好適な通性嫌気性菌としては、エンテロバクター属(Enterobacter)に属する菌や、クレブシーラ属(Klebsiella)に属する菌が挙げられる。
嫌気性水素生成菌としてJCM1419株を使用し、本発明の方法によって固形分比率が25w/v%程度の生ゴミを処理した場合、水素生成率を生ゴミ固形分重量あたり0.7wt%以上とすることが可能であり、例えば、1世帯1kg/Dで発生する生ゴミ24世帯分を処理すると、水素を41.4mol/D、即ち、927L/Dで得ることも可能となる。こうして得られた水素を電気にエネルギー変換すれば、1.1kWh/Dでシステム稼動のために利用することができる。
以下、本発明の水素エネルギー回収型有機性廃棄物分解・減容方法について実施例によって更に詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
実施例1−1:
(実験方法)
1.前処理工程
処理対象物である前出の表1に示す栄養素成分からなる市販弁当残渣(残渣発生当日)を、ミキサーを用いておおよそ数mm以下の大きさに粉砕し、80℃で30分加熱して殺菌した。続いてこれを水で希釈して固形分濃度が6w/v%のスラリー状態とし、1分間静置してから表層の油分を漉き取って、油分濃度が3v/v%以下の市販弁当残渣スラリーを調製した。
2.本処理工程
前処理工程で調製した市販弁当残渣スラリーをデュア瓶中で、嫌気状態 (窒素置換) 化し、系内気相の酸素濃度を0.2v/v%以下とした。ここに、予め表2に示した成分組成(500mLあたり)の培地で嫌気培養したJCM1419株を、その菌濃度が106〜107Cells/mLとなるように、担体に固定することなく嫌気状態を保持したままで混合し、37℃で80rpmの攪拌状態を維持して市販弁当残渣を分解・減容するとともに、水素含有ガスを生成させた。水素含有ガスの発生は本処理工程開始から4時間経過後に始まった。なお、系内のpH調整は行わなかった(JCM1419株を混合して植菌を行った後の本処理工程開始時の系内のpHは約5.4)。
3.後処理工程
生成した水素含有ガスをデュア瓶上部に接続したノズルより取り出し、水中捕集管に捕集した。経時的に捕集ガス量を計測し、捕集したガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製:GC-14B PTF, 4m×3mmφ, Ar1.6kg/cm2)TCD検出で分析してガス成分比から水素発生量を求め、水素生成率を算出した。また、生成したガスの捕集を終了した後のデュア瓶中の反応残渣を105℃で12時間乾燥し、減容率を算出した。減容率の算出は、“ 減容率(w/w%)={1-(残渣液中の固形分(g)/処理した市販弁当残渣重量(g))}X100 ”の数式に基づいて行った。
Figure 2007000811
(実験結果)
本処理工程を24時間行うことで、市販弁当残渣重量あたり1.5wt%の水素発生率を達成することができた。また、減容率は28w/w%と優れたものであった。さらに、この方法は、外部エネルギーの供給がなくても稼働可能であり、エネルギー自立を図ることができるものであることがわかった。なお、エネルギー自立の判定は以下のエネルギー収支の試算によって行った(以下同じ)。
処理量: 有機性廃棄物(Wet100kg/D,Dry25kg/D:一般家庭100軒)
必要電力: 前処理工程 0.5kWh/D
水素発酵槽 2.2kWh/D
水素精製器 0.4kWh/D
流通系 1.8kWh/D
合計4.1kWh/D
発電能力: 5.4kWh/D
(水素回収量300g,1.2wt%/solid25%/24hrsとして計算)
なお、本来、規模が全く異なるが、以下のようなラフなメタン発酵ケースの収支と比較しても、この方法の優位性は明らかであった。
処理量: 有機性廃棄物(Wet100kg/D,Dry25kg/D:一般家庭100軒)
必要電力: 前処理工程 1.3kWh/D
溶解槽 8.6kWh/D
メタン発酵槽 2.8kWh/D
水素改質器 30.0kWh/D(発生メタン燃焼にて賄い得る)
消散槽 4.1kWh/D(大規模装置を処理量比例として試算)
流通系 6.3kWh/D
合計53.1kWh/D
発電能力: 27.6kWh/D(水素回収量1534gとして計算)
実施例1−2:
実施例1−1において、本処理工程を継続させると、開始から48〜120時間経過後に水素含有ガスの発生が極めて少なくなった。この原因としてpHの低下が考えられたので、pH調整剤として1NのNaOH水溶液をデュア瓶中に添加することでpHを7に調整したが、水素発生量は回復しなかった。また、原料の枯渇も考えられたので、デュア瓶中に初期処理量の10wt%程度の新たな市販弁当残渣スラリーを追加したが、それでも水素発生量は回復しなかった。そこで、本処理工程を停止してデュア瓶中の反応液(分解・減容残査)を取り出し、JCM1419株を遠心分離により分離した。次に、デュア瓶中に新たな市販弁当残渣スラリーを投入し、続いて分離したJCM1419株を混合し、実施例1−1と同様にして本処理工程を行ったところ、開始から2〜4時間経過後に水素含有ガスの発生が始まり、12時間の本処理工程で市販弁当残渣重量あたり0.7wt%の水素発生率を達成することができた。12時間の本処理工程の終了後、再び、デュア瓶中の反応液を取り出し、JCM1419株を遠心分離により分離し、デュア瓶中に新たな市販弁当残渣スラリーを投入し、続いて分離したJCM1419株を混合し、実施例1−1と同様にして本処理工程を行ったところ、12時間の本処理工程で市販弁当残渣重量あたり0.7wt%の水素発生率を達成することができた。このサイクルをあと3回繰り返して行ったが、いずれのサイクルでも12時間の本処理工程で市販弁当残渣重量あたり0.7wt%の水素発生率を達成することができた。また、減容率はいずれのサイクルでも34%と優れたものであった。
実施例1−3:
実施例1−2において、デュア瓶中に新たな市販弁当残渣スラリーを投入するかわりに、本処理工程を停止してデュア瓶中から取り出した前バッチの反応液と新たな市販弁当残渣スラリーを1:1の割合で混合した混合物を投入したこと以外は実施例1−2と同様にして実験を行った。その結果、5回サイクルを繰り返しても、いずれのサイクルでも市販弁当残渣重量あたり0.8wt%の水素発生率を達成することができた。また、減容率はいずれのサイクルでも34%を超える優れたものであった。
実施例1−4:
実施例1−2において、デュア瓶中に新たな市販弁当残渣スラリーを投入するかわりに、本処理工程を停止してデュア瓶中から取り出した前バッチの反応液と新たな市販弁当残渣スラリーを1:4の割合で混合した混合物を投入したこと以外は実施例1−2と同様にして実験を行った。その結果、5回サイクルを繰り返しても、いずれのサイクルでも市販弁当残渣重量あたり0.9wt%の水素発生率を達成することができた。また、減容率はいずれのサイクルでも37%を超える優れたものであった。
実施例2:
栄養素成分が表3記載の市販弁当残渣を処理対象物としたこと以外は実施例1−1と同様にして実験を行った。その結果、市販弁当残渣重量あたり1.5wt%の水素発生率を達成することができた。また、減容率は28w/w%と優れたものであった。
Figure 2007000811
実施例3:
JCM1419株の培養液にポリプロピレン発泡体を投入して嫌気培養することで、ポリプロピレン発泡体に固定化したJCM1419株を用いて本処理工程を行うこと以外は実施例1−1と同様にして実験を行った。その結果、市販弁当残渣重量あたり1.5wt%の水素発生率を達成することができた。また、減容率は30w/w%と優れたものであった。
実施例4:
本処理工程の終了後に、ポリプロピレン発泡体に固定化したJCM1419株を濾別したこと以外は実施例1−1と同様にして実験を行った。その結果、市販弁当残渣重量あたり1.4wt%の水素発生率を達成することができた。また、減容率は27w/w%と優れたものであった。
実施例5:
3日間放置後の市販弁当残渣を処理対象物としたこと以外は実施例1−1と同様にして実験を行った。その結果、市販弁当残渣重量あたり1.2wt%の水素発生率を達成することができた。また、減容率は28w/w%と優れたものであった。
実施例6:
3日間放置後の市販弁当残渣の粉砕物をマイクロオーブンで1分間加熱して殺菌したことと、本処理工程を12時間としたこと以外は実施例5と同様にして実験を行った。その結果、市販弁当残渣重量あたり1.0wt%の水素発生率を達成することができた。また、減容率は22w/w%と優れたものであった。
実施例7:
実施例1−1で得られた水素含有ガスをアルカリトラップを通過させて水素ガス精製・分離工程に付すことで、純度99.5v/v%の水素ガスを精製・分離することができた。この高純度水素ガスは、燃料電池に送って電気を発生させ、発生した電気をシステムのエネルギー自立のために利用した。なお、高純度水素ガスを精製・分離した後の残査ガスは、純度80v/v%の炭酸ガスからなり、本処理工程の系内に嫌気性雰囲気形成ガスとして供給して利用した。
実施例8:
実施例1−1で得られた水素含有ガスをガス分離膜(シリコーン膜)6段を用いた水素ガス精製・分離工程に付すことで、純度99.1v/v%の水素ガスを精製・分離することができた。
実施例9:
本処理工程の系内気相の酸素濃度を1.2v/v%とすること、予め表2に示した成分組成(500mLあたり)の培地で好気培養したクレブシーラ属に属する通性嫌気性菌(16SrDNAシークエンスより推定)の菌株を、その菌濃度が105〜106Cells/mLとなるように、担体に固定することなく系内に共存させたこと以外は実施例1−1と同様にして実験を行った。その結果、本処理工程の開始から6時間経過後に水素含有ガスの発生が始まった。その時点での系内気相の酸素濃度は0.2v/v%であった。水素生成量は8時間経過後に最大値を示し、市販弁当残渣重量あたり1.4wt%の水素発生率を達成することができた。また、減容率は57w/w%とたいへん優れたものであった。
比較例1:
市販弁当残渣スラリーの固形分濃度を50%としたこと以外は実施例1−1と同様にして実験を行った。その結果、市販弁当残渣重量あたり0.5wt%の水素発生率しか達成することができなかった。また、減容率は15w/w%とわずかであった。
比較例2:
3日間放置後の市販弁当残渣スラリーを殺菌せずに調製したこと以外は実施例5と同様にして実験を行った。その結果、本処理工程で水素は発生しなかった。また、減容率は15w/w%とわずかであった。
本発明は、中小規模でもエネルギー回収およびエネルギー自立が可能な、高効率かつ低コストな水素エネルギー回収型有機性廃棄物分解・減容方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
本発明の水素エネルギー回収型有機性廃棄物分解・減容方法の一実施態様の概略構成を示すブロック図である。

Claims (17)

  1. 有機性廃棄物を水素エネルギーの回収を伴って分解・減容する方法であって、有機性廃棄物を粉砕し、滅菌または殺菌した後、これを水で希釈して固形分濃度が1〜35w/v%の範囲のスラリー状態とする前処理工程と、前記前処理工程で調製された有機性廃棄物スラリーと少なくとも1種類以上の嫌気性水素生成菌とを嫌気性雰囲気下で混合し、嫌気性水素生成菌の働きにより有機性廃棄物を分解・減容するとともに、水素含有ガスを生成させる本処理工程と、前記本処理工程によって生成した水素含有ガスと有機性廃棄物の分解・減容残査を系内から分離・排出する後処理工程を少なくとも含んでなるシステムにて行うことを特徴とする方法。
  2. 前記有機性廃棄物スラリーの固形分濃度を3〜15w/v%の範囲とすることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記有機性廃棄物スラリーの固形分濃度を4〜10w/v%の範囲とすることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. 前記前処理工程のいずれかの段階で油分離を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記本処理工程における嫌気性雰囲気を酸素濃度1v/v%以下とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記本処理工程を使用する嫌気性水素生成菌に応じた好適な菌濃度、温度、pHに必要に応じて調整して行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記有機性廃棄物が、一般家庭、レストラン、食品工場などから排出される生ゴミであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記水素含有ガスから純度99v/v%以上の水素ガスを精製・分離する水素ガス精製・分離工程をさらに含んでなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記水素ガス精製・分離工程において純度99v/v%以上の水素ガスを精製・分離した後の残査ガスを本処理工程の系内に嫌気性雰囲気形成ガスとして供給するようにしたことを特徴とする請求項8記載の方法。
  10. 前記水素ガス精製・分離工程において精製・分離した純度99v/v%以上の水素ガスをエネルギー変換してシステム稼動用エネルギーとして利用するようにしたことを特徴とする請求項8または9記載の方法。
  11. 前記有機性廃棄物スラリーを本処理工程の系内に連続的乃至断続的に投入し、かつ、その分解・減容残査を系内から連続的乃至断続的に排出するようにしたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記有機性廃棄物スラリーの本処理工程の系内への投入を、前バッチの分解・減容残査の少なくとも50wt%が新しい有機性廃棄物スラリーに置き換わるように行うことを特徴とする請求項11記載の方法。
  13. 嫌気性水素生成菌としてクロストリジウム属(Chlostridium)に属する菌を使用することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。
  14. クロストリジウム属(Chlostridium)に属する菌がクロストリジウム・アセトブチリカム種(Chlostridium acetobutyricum)に属する菌であることを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. クロストリジウム・アセトブチリカム種(Chlostridium acetobutyricum)に属する菌がJCM1419株であることを特徴とする請求項14記載の方法。
  16. 本処理工程の系内に好気性菌および/または通性嫌気性菌を共存させることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
  17. 有機性廃棄物を粉砕し、滅菌または殺菌した後、これを水で希釈して固形分濃度が1〜35w/v%の範囲のスラリー状態とする前処理工程(工程のいずれかの段階で油分離を行う)と、前記前処理工程で調製された有機性廃棄物スラリーと少なくとも1種類以上の嫌気性水素生成菌とを嫌気性雰囲気下で混合し、嫌気性水素生成菌の働きにより有機性廃棄物を分解・減容するとともに、水素含有ガスを生成させる本処理工程と、前記本処理工程によって生成した水素含有ガスと有機性廃棄物の分解・減容残査を系内から分離・排出する後処理工程を少なくとも含んでなることを特徴とする有機性廃棄物を水素エネルギーの回収を伴って分解・減容するためのシステム。
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CN108045539A (zh) * 2017-12-01 2018-05-18 中国船舶重工集团公司第七〇九研究所 一种疏水系统及船舶汽水循环动力系统

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