JP2006528340A - 結腸直腸癌に対するマーカーとしてのタンパク質酸性リボソームタンパク質po(rla−0)の使用 - Google Patents

結腸直腸癌に対するマーカーとしてのタンパク質酸性リボソームタンパク質po(rla−0)の使用 Download PDF

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Abstract

要約
本発明は、結腸直腸癌の診断に関する。本発明は、結腸直腸癌の診断におけるタンパク質RLA-0(60S酸性リボソームタンパク質P0)の使用を開示する。本発明は、個体由来の液体試料からの、該試料中のRLA-0を測定することによる結腸直腸癌の診断方法に関する。RLA-0の測定は、例えば結腸直腸癌の早期の検出または診断に用いられ得る。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、結腸直腸癌の診断に関する。本発明は、結腸直腸癌の診断におけるタンパク質60S酸性リボソームタンパク質P0(=RLA-0)の使用を開示する。更に、本発明は特に個体由来の液体試料からの、該試料中のRLA-0を測定することによる結腸直腸癌の診断方法に関する。RLA-0の測定は、例えば結腸直腸癌の早期の検出または診断に用いられ得る。
検出および治療が発達しても、癌は、依然として主な公衆の健康の課題である。様々な癌の中で、結腸直腸癌(=CRC)は、西洋において最も頻度の高い癌のうちの1つである。
癌は早期に検出/診断できればできるほど、全体的な生存率はより良くなる。これはCRCに特に当てはまる。癌の進行段階での予後は不良である。診断後5年以内に、3分の1を超える患者が進行性の疾患で死亡し、これは5年間で約40%の生存率に相当する。現在の治療は僅かな患者を治療するのみであり、明らかに疾患の初期段階で診断された患者に最も効果がある。
公衆の健康問題としてのCRCについては、結腸直腸癌のより効果的なスクリーニングおよび予防手段が開発されることが必須である。
現在、結腸直腸癌に有用で最も早期な検出手順は、便の血液に対する検査または内視鏡法を使用することを含む。しかし、便の血液が検出される以前に、重大な腫瘍サイズが典型的に存在することが必要である。癒瘡木脂ベースの便潜血検査での感度は26%以下であり、これは悪性病変を持つ患者の74%が検出されずにいることを意味する(Ahlquist, D.A., Gastroenterol. Clin. North Am. 26 (1997) 41-55) 。前癌または癌病変の視覚化は早期の検出には最も良いアプローチであるが、結腸鏡検査は高い費用、リスク、および複雑性を含み、侵襲性である(Silvis, S.E.ら, JAMA 235 (1976) 928-930; Geenen, J.E.ら, Am. J. Dig. Dis. 20 (1975) 231-235; Anderson, W.F.ら, J. Natl. Cancer Institute 94 (2002) 1126-1133) 。
近年、非常に多数の、いわゆる結腸特異的あるいはいわゆる結腸直腸癌特異的な遺伝子が、報告されている。対応する研究論文あるいは特許出願の大多数は、異なる組織あるいは近接する正常組織それぞれに対する結腸(癌)組織でのRNAの発現パターン解析で得たデータを基にしている。かかるアプローチはディファレンシャルmRNAディスプレイ技術として要約され得る。
mRNAディスプレイ技術から得られるデータの例として、WO 第01/96390号が言及され、審議されるはずである。200を超える単離したポリヌクレオチドおよび対応するポリペプチドそれ自体、ならびにCRCの検出におけるそれらの使用を、本出願は記載および特許請求をしている。しかし、mRNAのレベルの差異が対応するタンパク質のレベルに反映されないのが一般的な知識である。希少なmRNAにコードされたタンパク質は非常に多く発見され、豊富なmRNAにコードされたタンパク質は検出され、発見されるのがそれでもなお困難であることが在り得る。かかるmRNAのレベルとタンパク質のレベルとの間の相関性の欠如は、mRNAの安定性、翻訳の効率、タンパク質の安定性などの様な理由による。
CRCの診断で使用され得る候補マーカー分子を同定するために、異なる組織間あるいは健常組織と病理組織との間でのタンパクのパターンの差を研究している近年のアプローチもある。Brunagel, G.ら, Cancer Research 62 (2002) 2437-2442が、近接する正常組織と比較して、CRC組織においてより豊富に存在する7個の核基質タンパク質を同定した。個体から得られた液体試料からのデータは、報告されていない。
WO 第02/078636号は、表面増強レーザによる脱離およびイオン化(SELDI)で発見した9個の結腸直腸癌関連スポットについて、報告している。健常な対照から得た血清と比較すると、これらのスポットはCRCを保有する患者から得られた血清により高い頻度で発見されている。しかし、かかるスポットにある分子の同定、例えばその(それらの配列)は知られていない。
CRCの分野で、候補タンパク質マーカーのリストが多く、また拡大する傾向にあるにも関わらず、今日までこれらの分子の臨床/診断の有用性は知られていない。臨床上有用であるには、単一のマーカーとしての新規の診断マーカーは少なくとも、当該分野で公知の最良である単一のマーカーと同様に優れているべきである。または新規のマーカーを単独で使用するかあるいは1つ以上の他のマーカーとの組み合わせで使用するかのいずれかの場合で、新規のマーカーは診断の感度および/または特異性の進展をもたらすべきである。検査の感度および/または特異性は、以下で詳細に記載するその受信者動作特性で評価するのが最良である。
現在、癌胎児抗原(CAE)、腫瘍関連糖タンパク質の検出に基づいた診断性血液検査だけが、CRCの分野で診断を助けるのに利用可能である。CEAは結腸直腸癌、胃癌、および膵臓癌を保有する患者から得られる組織試料のうち95%において、あるいは乳癌、肺癌、および頭部または頸部の癌の大半で、増えている(Goldenberg, D.M.ら, J. Natl. Cancer Inst.(Bethesda) 57 (1976) 11-22) 。上昇したCEAのレベルは悪性でない疾患の患者でも報告され、結腸直腸癌を保有する多くの患者は、特に疾病の早期の段階の間に、血清中で正常なCEAレベルを有している(Carriquiry, L.A.およびPineyro, A., Dis. Colon Rectum 42 (1999) 921-929; Herrera, M.A.ら, Ann. Surg. 183 (1976) 5-9; Wanebo, H.J.ら, N. Engl. J. Med. 299 (1978) 488-451) 。再発の検出時に血清または血漿から測定されるようなCEAの有用性は、議論の的になっているといわれており、未だに広く受け入れられていない(Martell, R.E.ら, Int. J. Biol. Markers 13 (1998) 145-149; Moertel, C.G.ら, JAMA 270 (1993) 943-947) 。
有用なデータを考慮して、血清のCEA測定法は、無症候性の集団における結腸直腸癌に対するスクリーニング検査としての使用を可能にする感度も特異性も持たない(Reynoso, G.ら, JAMA 220(1972)361-365; Sturgeon, C., Clinical Chemistry 48 (2002) 1151-1159) 。
全血、血清、または血漿は、臨床上の試料のうち、最も広く用いられる供給源である。信頼できる癌の検出を可能にするか、あるいは早期の予後の情報を提供する早期のCRC腫瘍マーカーの同定は、この疾患の診断および管理で大変役立つ診断アッセイをもたらし得た。それゆえに、緊急な臨床上の必要性があり、血液からのCRCの診断に改良がなされている。疾患の進行した段階で診断される患者と比較して、早期に診断された患者にとって生存の機会は遥かに高いので、CRCの早期診断を改良することが特に重要である。
CRC診断の助けとなり得る新規のマーカーが同定できるかどうか調査するのが本発明の課題であった。
驚くべきことに、タンパク質RLA-0の利用は、当該分野の現状から既知の問題を少なくとも部分的に克服し得るということが見出されている。
本発明はそれゆえに、a)個体から得られた液体試料を提供する工程、b)該試料と、RLA-0に対して特異的に結合する試薬とを、該結合試薬とRLA-0との間での複合体形成に適切な条件下で接触させる工程、およびc)(b)で形成した複合体の量を、結腸直腸癌の診断に対して相関させる工程を含む結腸直腸癌の診断方法に関する。
別の好ましい本発明の態様は、a)個体から得た液体試料と、RLA-0に対して特異的に結合する試薬とを、該結合試薬とRLA-0間での複合体の形成に適切な条件下で接触させる工程、およびb)(a)で形成した複合体の量を、結腸直腸癌の診断に対して相関させる工程を含む結腸直腸癌の診断方法である。
当業者が認めるように、任意のかかる診断は、インビトロで行う。患者試料は以後廃棄する。患者試料は本発明のインビトロでの診断方法に対して単独で使用され、患者試料の物質は患者の体内に戻されない。典型的には、試料は液体試料である。
リボソームはタンパク質合成を触媒する細胞小器官であり、小さい40Sサブユニットと大きい60Sサブユニットとからなる。これらのサブユニットはともに、4つのRNA種とおよそ80の構造的に異なるタンパク質とからなる(Uechi, T.ら, Genomics 72 (2001) 223-230)。RLA0(60S酸性リボソームタンパク質P0;SWISS-PROT: P05388)は60Sサブユニットの34 kDaの成分であり、P1およびP2とともに、酸性リボソームリンタンパク質のファミリーに属し、P-タンパク質と呼ばれる(Tchorzewski, M., Int. J. Biochem. Cell. Biol. 34 (2002) 911-915)。ヒトP-タンパク質をコードするcDNAの単離および分析は、Rich, B.E.およびSteitz, J.A., Mol. Cell. Biol. 7 (1987) 4065-4074に記載された。P0は2つのP1および2つのP2分子と相互作用し、五量体複合体を構築する(Gonzalo, P.ら, J. Biol. Chem. 276 (2001) 19762-19769)。同一のタンパク質をコードする様々な転写物バリアントが同定された(配列番号:1)。
正常な成長条件下では、リボソームタンパク質は、化学量論的に合成され、等モル濃度のリボソーム成分を供給する(Mager, W.H., Biochem. Biophys. Acta 949 (1988) 1-15)。しかしながら、リボソームタンパク質遺伝子の転写活性の調節は、予想されていたよりも調節されていないことが報告されている(Bortoluzzi, S.ら, Bioinformatics 17 (2001) 1152-1157)。また、最近の研究から、リボソームタンパク質がタンパク質生合成との関連から独立して複製、転写、DNA修復および炎症等の様々な細胞プロセスにおいても機能し得る根拠が、ますます多く提供されている(Wool, I.G., Trends Biochem. Sci. 21 (1996) 164-165; Yamamoto, T., Pathol. Int. 50 (2000) 863-871)。
RLA0(P0)を含まないいくつかのリボソームタンパク質が、例えば食道(Wang, Q.ら, Gene 263 (2001) 205-209)または前立腺癌(Vaarala, M.H.ら, Int. J. Cancer 78 (1998) 27-32)において、健康な対照組織と比較して新生物性の組織で過剰発現されると明らかにされた。RLA0(P0)について、結腸直腸癌および結腸直腸ポリープで過剰発現されることが見出されたと報告されている(Pogue-Geile, K.ら, Mol. Cell. Biol. 11 (1991) 3842-3849)。また、ノーザンブロットハイブリダイゼーションで評価した場合、RLA0(P0)の発現は肝細胞癌(Kondoh, N.ら, Cancer Res. 59 (1999) 4990-4996および結腸癌腫(Barnard, G.F.ら, Cancer Res. 52 (1992) 3067-3072)で増大している。さらに、結腸直腸癌において、RLA0(P0)の発現は、デュークス病期が上がるにつれて増大する(Barnard, G.F.ら, Cancer Res. 52 (1992) 3067-3072)。しかしながら、これらの研究は全て、転写レベルで行われた分析に基づいていた。最も近来、Kasai, H.ら, J. Histochem. Cytochem. 51 (2003) 567-574は、免疫組織化学を用いて、12のリボソームタンパク質に対する翻訳レベルでの研究を行った。彼らは、結腸直腸癌細胞において、2つのリボソームタンパク質(L7およびS11)の発現レベルが有意に増強されたことを見出した。しかしながら、RLA0(P0)の発現は、この研究では分析されなかった。
当業者に明白なように、本発明は配列番号:1の全長タンパク質RLA-0に限定されると解釈されるべきではない。RLA-0の生理的および人工断片、RLA-0の二次的な修飾、ならびにRLA-0の対立形質変異体もまた同様に本発明で包括している。人工断片は合成的に、あるいは組換え体技術によって生産されたペプチドを好ましくは含んでおり、ペプチドは少なくとも1つの診断目的のエピトープを含み、配列番号:1に開示される配列由来の少なくとも6つの連続したアミノ酸を含む。かかる断片は抗体の産出に、あるいはイムノアッセイでの基準として、有利に使用され得る。人工断片はさらに好ましく、サンドイッチイムノアッセイを準備するのに適切で重要な少なくとも2つのエピトープを含む。
好ましい態様において、新規のマーカーRLA-0はモニタリングと同様にスクリーニングの目的に使用され得る。
患者のモニタリングで使用される際、本発明の診断方法は、患者の追跡における腫瘍の負荷、治療の効能および腫瘍の再発を評価するのに役立ち得る。上昇したRLA-0のレベルは直接的に腫瘍の負荷と相関する。化学療法の後、RLA-0の短期間(数時間〜14日)の増加は、腫瘍細胞の死の指標として役立ち得る。患者の追跡(3ヶ月〜10年)で、RLA-0の増加は腫瘍の再発の指標として用いられ得る。
好ましい態様において、本発明の診断方法はスクリーニング目的に用いられる。つまり、RLA-0のレベルを測定し、測定したレベルをCRCの有無に相関させることでCRCの事前の診断なしに被験体を評価するのに用いられる。
結腸直腸癌は腺腫(ポリープ)から悪性癌腫に最も高い頻度で進行する。CRCの種々の段階はDukeの病期AからDに従って分類化して用いる。
癌の病期分類は程度、進行、および重篤度の観点における疾患の分類である。一般化が予後および治療の選択についてなされ得ることで、癌患者を分類している。
今日では、TNM系が、最も広く使用されている解剖学的な癌の程度の分類である。それは、国際的に承認された、一様な病期分類系の代表である。3つの基本的な変数:T(原発腫瘍の程度)、N(限局性リンパ節の状態)およびM(遠隔転移の有無)がある。TNMの基準は、UICC(国際対癌連合), Sobin, L.H., Wittekind, Ch. (編): TNM Classification of Malignant Tumours, 第五版,1997によって公表されている。
特に重要なことは、CRCの早期の診断は遥かにより良い予後につながることである。結腸直腸の悪性腫瘍は良性腫瘍から、つまり腺腫から生ずる。それゆえ、一番の予後は腺腫期で診断される患者にある。遠隔転移が既に存在するときに診断された患者ではたったの10%の5年生存率と比較して、Tis、N0、M0またはT1〜3;N0;M0期ほどの早期に診断された患者は、適切に治療された場合には診断後5年の生存率が90%を超える。
本発明の意味において、CRCの早期診断は前悪性状態(腺腫)または少しも転移がない(近位または遠位でもない)腫瘍期での診断に関する。つまり、Tis、N0、M0またはT1〜4;N0;M0の腺腫が存在する。Tisはインシチュの癌腫を示す。
好ましい態様において、RLA-0は、腺腫期ほどの早期にCRCを診断するのに用いられる。
腸壁中にまだ充分に成長しておらず、そのため臓側腹膜が穿孔されておらず、また、他の器官または構造が侵されてもいないときに、CRCが診断されるのがより好ましい。つまり、診断はTis; N0; M0またはT1〜3; N0; M0(=Tis〜3; N0; M0)の任意の病期でなされるのがより好ましい。
本発明の診断方法は、個体由来の液体試料を基にしている。当該分野の公知の方法と違い、RLA-0は特異的に結合する試薬の使用によってこの液体試料から特異的に測定される。
特異的に結合する試薬は、例えばRLA-0のレセプター、RLA-0に結合するレクチンまたはRLA-0に対する抗体である。特異的に結合する試薬は相当する標的分子に対して少なくとも107l/molの親和性を持つ。特異的に結合する試薬は、好ましくはその標的分子に対して108l/molの親和性、あるいは、さらにより好ましくは109l/molの親和性を持つ。当業者が認めるように、用語特異的は、試料中に存在する他の生体分子がRLA-0に対して特異的に結合する試薬と実質的に結合をしないということを示すのに用いられる。好ましくは標的分子以外の生体分子に結合するレベルが標的分子の親和性のわずか10%、より好ましくはわずか5%またはそれより低い結合親和性になる。最も好ましい特異的に結合する試薬は親和性と同様に特異性に対する前記の最小の基準の両方を満たす。
特異的に結合する試薬は好ましくは、RLA-0と反応する抗体である。用語抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、かかる抗体の断片、ならびに抗体の結合ドメインを含む遺伝子構築物のことを指す。
特異的に結合する試薬の上記の基準を保持する任意の抗体断片が用いられ得る。例えば、Tijssen(Tijssen, P., Practice and theory of enzyme immunoassays 11 (1990)の本全体、特に43〜78ページ;Elsevier, Amsterdam)に記載されているように、抗体は最先端技術の手順で産生される。加えて、当業者は、抗体の特異的な単離に使用され得る免疫吸着剤を基にした方法を充分承知している。これらの手段によって、ポリクローナル抗体の質およびそのため、イムノアッセイでそれらの性能が増強され得る(Tijssen, P., 前掲, 108〜115ページ)。
本発明に開示したような達成のために、ウサギで惹起したポリクローナル抗体が用いられている。しかし明らかに、種々の種、例えばラットまたはモルモット由来のポリクローナル抗体、ならびにモノクローナル抗体も用いられる。モノクローナル抗体は、一定の特性を持ち、任意の必要量で産生され得るので、それらは臨床的慣例のための分析の開発に理想的なツールとなる。本発明の方法におけるRLA-0に対するモノクローナル抗体の産生および使用もまた、別の好ましい態様である。
RLA-0がCRCの診断に有用なマーカーとして同定されたということを当業者が今や認めているので、代替方法が本発明の達成に匹敵する結果に到達するように使用され得る。例えば、抗体を産生する代替戦略が用いられ得る。かかる戦略は、特に、免疫化のためのRLA-0のエピトープである合成ペプチドの使用を含む。あるいは、DNAワクチン接種としても公知のDNA免疫化が用いられ得る。
測定のために、個体から得られた液体試料は、結合試薬RLA-0複合体の形成に適切な条件下で、RLA-0に特異的に結合する試薬とインキュベートする。発明の努力なしに当業者はかかる適切なインキュベーション条件を容易に同定し得るので、かかる条件は明記される必要は無い。
本発明に開示した方法の最終の工程として、複合体の量はCRCの診断に対して測定され相関される。当業者が認めるように特異的に結合する試薬RLA-0複合体の量を測定する多数の方法があり、全ては関連する教科書に詳細に記載されている(例えば、 Tijssen P., 前掲, またはDiamandisら編(1996) Immunoassay, Academic Press, Boston参照)。
好ましくは、RLA-0はサンドイッチ型のアッセイ形式で検出する。かかるアッセイにおいて、一方で第一の特異的に結合する試薬はRLA-0を捕捉するのに用いられ、他方で直接的または間接的に検出できるように標識される第二の特異的に結合する試薬が用いられる。
上記のように、RLA-0は個体試料から得られた液体試料から測定され得るということが驚くべきことに見出されている。CRCの診断において、組織または生検試料にマーカーRLA-0を適用する必要はない。
好ましい態様において、本発明の方法は、液体試料材料として血清を用いて実施される。
さらに好ましい態様において、本発明の方法は、液体試料材料として血漿を用いて実施される。
さらに好ましい態様において、本発明の方法は、液体試料材料として全血を用いて実施される。
さらに当業者に公知の様々な方法で便が調製され、液体試料をもたらすこともできる。便由来のかかる液体試料もまた本発明の好ましい態様である。
組織試料に対する慣例的なプロテオミクス方法の適用は、選択した組織に対する多くの潜在的なマーカー候補の同定をもたらす一方で、本発明の発明者らは驚くべきことに、体液試料中のタンパク質RLA-0を検出できている。より驚いたことに、個体から得られたかかる液体試料中のRLA-0の存在が結腸直腸癌の診断に相関され得るということを本発明者らは示すことができた。
卓越した利点を持つRLA-0に対する抗体は確立した手法、例えばインシチュ、生体組織検査、または免疫組織学的手法で結腸直腸癌細胞を検出する手法に用いられ得る。
好ましくは、RLA-0に対する抗体は、定性的(RLA-0の有無)または定量的(RLA-0量が測定される)イムノアッセイに用いられる。
タンパク質RLA-0のレベルを測定することは、CRCの分野で大変有利であると判明した。それゆえに、より好ましい態様において、本発明は個体から得られた液体試料からの結腸直腸癌の診断におけるマーカー分子としてのタンパク質RLA-0の使用に関する。
用語マーカー分子は個体の体液から測定するような、被験体RLA-0のレベルの上昇がCRCの存在を示すということを示すのに用いられる。
結腸直腸癌の早期診断に新規のマーカーRLA-0を使用することが特に好ましい。
タンパク質RLA-0自体の使用は、CRC診断の難題である分野への重大な進展を意味する。RLA-0の測定を、CEAのような他の公知のマーカー、または未だ発見されていないCRCの他のマーカーと組み合わせることは、さらなる改良をもたらす。それゆえに、より好ましい態様において、個体から得られた液体試料からの結腸直腸癌の診断における、結腸直腸癌のマーカー分子としてのRLA-0の、結腸直腸癌に対する一つ以上のマーカー分子と組み合わせた使用に本発明は関する。この点において、語句「一つ以上」は、1〜10、好ましくは1〜5、より好ましくは3を表わす。好ましく選択される、RLA-0の測定が組み合わせられ得る他のCRCマーカーはCEA、CA 19-9、CA 72-4,および/またはCA 242である。このように、本発明の大変好ましい態様は個体から得られた液体試料からの結腸直腸癌の診断における、結腸直腸癌に対するマーカー分子としてのタンパク質RLA-0の、結腸直腸癌に対する一つ以上のマーカー分子との組み合わせでの使用であり、少なくとも一つの他のマーカー分子は、CEA、CA 19-9、CA 72-4、およびCA 242からなる群から選択される。非常に好ましくは、マーカーRLA-0はCEAと組み合わせて用いられる。
イムノアッセイのような、特異的な結合アッセイの分野での診断試薬は、通常、キットの形態で最もよく提供される。そのキットは特異的に結合する試薬とアッセイを行なうのに必要な補助試薬を含む。それゆえに、本発明はまたRLA-0に対して特異的に結合する少なくとも一つの試薬とRLA-0の測定の補助試薬を含む免疫学的キットに関する。
検査の正確度は、その受信者動作特性(ROC)によって記載するのが最善である(特に Zweig, M. H.およびCampbell, G., Clin. Chem. 39 (1993) 561-577参照) 。ROCグラフは、観察したデータの全体の範囲に対して判定基準を継続的に変化させることで生じる感度/特異性対の全てのプロットである。
実験室検査の臨床的な性能は、その診断の正確度または被験体を臨床的に関連したサブグループに正しく分類する能力に依存している。診断の正確度が、調べられた被験体の2つの異なる状態を正しく区別する検査能力を測る。かかる状態は例えば健康および疾患、または良性の疾患対悪性の疾患である。
それぞれの場合で、ROCプロットは感度対1-特異性をプロットすることで、判定基準の全範囲に対する2つの分布間の重複を描写している。y軸には感度、つまり真陽性分数[(真陽性検査結果の数)/(真陽性の数+偽陰性検査結果の数)として定義する]がある。これは疾患あるいは状態の存在における確実性としても呼ばれる。これは、罹患のサブグループからのみ計算される。x軸には偽陽性分数、つまり1-特異性[(偽陽性結果の数)/(真陰性の数+偽陽性結果の数)として定義する]がある。これは、特異性の指標であり、非罹患のサブグループから完全に計算される。真陽性および偽陽性分数は2つの異なるサブグループから生じる検査結果を使用して完全に別々に計算されるので、ROCプロットは試料での疾患の有病率とは独立している。ROCプロット上の各点は特定の判定基準に対応する感度/-特異性対を表している。完全に差別化された検査(2つの結果の分布で重複がない)は、左上角を通るROCプロットをもち、そこで真陽性分数は1.0、つまり100%(完全な感度)であり、および偽陽性分数は0(完全な特異性)である。差別化のない検査に対する理論プロット(2つの集団に対する結果の同一な分布)は左下角から右上角にかけての45°対角線である。ほとんどのプロットはこれら2つの端との間に入る。(ROCプロットが45°対角線より完全に下に入る場合、これは「確実性」に対する判定基準を「より大きい」から「より小さい」に逆転させることで容易に修正される。その逆も同じ。)定性的に、プロットが左上角に近くなればなるほど、検査の全体的な正確度は高くなる。
実験室検査の診断の正確度を定量するためのある好都合な目標は単一の数字によってその性能を表すことである。最も普遍的で世界的な測定はROCプロット下の面積である。慣例によって、この面積は常に0.5以上である(そうでない場合、そうするために決定規則を逆にし得る)。値は1.0(2つの群の検査値の完全な分離)と0.5(2つの群の検査値の間での明白な分布の差がない)の間で変化する。面積は、対角線に最も近い点または90%の特異性の感度のようなある特定の部分のプロットに依存するだけでなく、プロット全体に依存している。これは、ROCプロットが完全なもの(面積=1.0)にどれくらい近いのかについての、定量的で記述的な表現である。
新規のマーカーRLA-0の臨床的な有用性は、受信者動作特性曲線分析(ROC; Zweig, M. H. および Campbell, G., Clin. Chem. 39 (1993) 561-577)を用いた確立したマーカーCEAとの比較および組み合わせで評価される。この分析は、T1〜3; N0; M0、更に進行した腫瘍、つまり、T4 および/または様々な重篤度の転移(N+ および/またはM+)、および健常な対照のそれぞれの患者からの各50サンプルからなる明確な患者のコホートを基にしている。
以下の実施例、参考文献、配列表および図面は、本発明の理解を補助するために提供され、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に示される。本発明の意図から逸脱すること無く、示した手順において変更がなされ得ることが理解されよう。
略語
ABTS 2,2'-アジノ-ジ-[3-エチルベンズチアゾリンスルホン酸(6)]二アンモニウム塩
BSA ウシ血清アルブミン
cDNA 相補DNA
CHAPS (3-[(3-コールアミドプロピル)-ジメチルアンモニオ]-1-プロパン-スルホン酸)
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオスレイトール
EDTA エチレンジアミン四酢酸
ELISA 酵素結合免疫吸着定量法
HRP ホースラディッシュペルオキシダーゼ
IAA ヨードアセタミド
IgG 免疫グロブリンG
IEF 等電点電気泳動法
IPG 固定化pH勾配
LDS ドデシル硫酸リチウム
MALDI-TOF マトリックス支援レーザ脱離イオン化-飛行時間型質量分析
MES メシチル、2,4,6-トリメチルフェニル
OD 光学密度
PAGE ポリアクリルアミドゲル電気泳動
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PI 等電点
RTS 迅速翻訳装置
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
実施例1
潜在的な結腸直腸癌マーカーとしてのRLA-0の同定
組織の供給源
結腸直腸癌の潜在的な診断マーカーとして腫瘍特異的なタンパク質を同定するために、プロテオミクス方法を用いて3つの異なる種類の組織の分析を行なう。
結腸直腸癌を患う全部で10人の患者に由来する組織標本を分析する。各患者から、3つの異なる組織型を治療的切除から収集する:腫瘍組織(>80%腫瘍)(T)、隣接する健康な組織(N)および隣接する健康な粘膜から細片化した粘膜(M)。後者2つの組織型は、適合した健康な対照試料として働く。組織を切除後すぐにスナップ凍結し、処理前に-80℃で保存する。腫瘍を組織病理学的基準により診断する。
組織調製
0.8〜1.2gの凍結組織をモルタルに入れ、液体窒素で完全に凍結させる。組織をモルタル中で粉砕し、10倍容積(w/v)の溶解バッファー(40mM クエン酸Na、5mM MgCl2、1% Genapol X-080、0.02%アジドNa、Complete(登録商標)EDTAフリー [Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany, カタログ番号 1 873 580])中に溶解させ、続いてWheaton(登録商標)グラスホモジナイザー(20×ルーズフィッティング、20×タイトフィッティング)でホモジナイズする。3 mlのホモジェネートを1時間4500xgでスクロース密度遠心分離(10〜60%スクロース)に供する。この遠心分離工程後、3画分を得る。グラジェントの上部の画分は、可溶性タンパク質を含み、更なる解析に用いる。
等電点電気泳動(IEF)およびSDS-PAGE
IEFのために、3 mlの懸濁液を12 mlの試料バッファー(7M 尿素、2M チオ尿素、2% CHAPS、0.4% IPGバッファー pH4〜7、0.5% DTT)と混合し、1時間インキュベートする。試料をAmicon(登録商標)Ultra-15装置(Millipore GmbH, Schwalbach, Germany)で濃縮し、Bio-Rad(登録商標)タンパク質アッセイ(カタログ番号 500-0006; Bio-Rad Laboratories GmbH, Muenchen, Germany)を用いて製造業者のマニュアルの指示に従ってタンパク質濃度を測定する。1.5 mgのタンパク質試料に相当する容積に、最終体積350 μlまでバッファーを加える。この溶液を用いてIPG条片pH4〜7(Amersham Biosciences, Freiburg, Germany)を一晩再水和させた。以下の勾配プロトコルを用いてIEFを行なう:1.)500Vまで1分;2.)3500Vまで2時間;3.)3500Vの一定で22時間、82 kVhを生じさせる。IEF後、条片を-80℃で保存するか、またはSDS-PAGEで直接使用する。
SDS-PAGEの前に、条片は平衡バッファー(6M 尿素、50 mM Tris/HCl、pH8.8、30% グリセロール、2%SDS)でインキュベートし、還元のためにDTT(15分、+50 mg DTT/10 ml)、およびアルキル化のためにIAA(15分、+235 mg ヨードアセトアミド/10 ml)を加える。条片を12.5%ポリアクリルアミドゲル上に置き、1W/ゲルで1時間、その後17W/ゲルで電気泳動に供する。続いて、ゲルを固定し(50%メタノール、10%酢酸塩)、NovexTMColloidal Blue Stainingキット(Invitrogen, Karlsruhe, Germany, カタログ番号 LC6025, 45-7101)で一晩染色する。
結腸直腸癌の潜在的なマーカーとしてのRLA-0の検出
各患者を、ProteomeWeaver(登録商標)ソフトウェア(Definiens AG, Germany, Muenchen)を用いてイメージ分析により別々に分析する。さらに、ゲルの全てのスポットを、ピッキングロボットにより切り出し、スポットに存在するタンパク質をMALDI-TOFマススペクトロメトリー(UltraflexTMTof/Tof, Bruker Daltonik GmbH, Bremen, Germany)により同定する。各患者について、腫瘍試料由来の4つのゲルを、隣接する正常なおよび細片化した粘膜組織由来の4つのゲルと比較し、差次的に発現したタンパク質に対応する独自のスポットについて分析する。この手段により、タンパク質RLA-0は腫瘍組織中に特異的に発現するか、強く過剰発現するが、健康な対照組織中では検出されないか、それ程強くは発現しないことが見出される。それゆえ、多くのタンパク質の中でもとりわけ、結腸直腸癌の診断に使用するための候補マーカーとして適切である。
実施例2
結腸直腸癌マーカータンパク質RLA-0に対する抗体の産生
結腸直腸癌マーカータンパク質RLA-0に対するポリクローナル抗体を、免疫検出アッセイ、例えば、ウエスタンブロッティングおよびELISAによりRLA-0の血清および血漿および血液レベルの測定における抗体のさらなる使用のために産生する。
大腸菌における組換えタンパク質発現
RLA-0に対する抗体を産生するために、免疫原を得るためにタンパク質の組換え発現を行なう。発現は、RTS100発現系および大腸菌の組み合わせを適用して行なう。第一の工程において、DNA配列を分析し、高収率cDNAサイレント変異バリアントおよび個々のPCRプライマー配列の推奨を「ProteoExpert RTS E.coli HY」系を用いて得る。これは商業用のウェブベースサービスである(www.proteoexpert.com)。推奨されたプライマー対を用いて、cDNAから直鎖PCRテンプレートを産生するため、およびRLA-0タンパク質をコードするヌクレオチド配列のインビトロ転写および発現のために「RTS 100 E.coli Linear Template Generation Set, His-tag」(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany, カタログ番号 3186237)系を使用する。ウェスタンブロット検出およびその後の精製のために、発現タンパク質はHis-tagを含む。最良の発現バリアントを同定する。PCRから発現および検出までの全ての工程を製造業者の指示に従って行なう。全ての必要なT7調節領域(プロモーター、リボソーム結合部位およびT7ターミネーター)を含む各々のPCR産物を、製造業者の指示に従ってpBAD TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen, Karlsruhe, Germany, カタログ番号 K 4300/01)にクローニングする。T7調節配列を用いる発現のために、構築物を大腸菌BL 21(DE 3)(Studier, F.W.ら、Methods Enzymol. 185 (1990)60-89)に形質転換し、形質転換細菌をタンパク質発現のために1lバッチ中で培養する。
His-RLA-0融合タンパク質の精製は、以下の標準的な手順に従いNiキレートカラムにおいて行なう。手短にいえば、His-RLA-0融合タンパク質の発現ベクターを含む1lの細菌培養物を遠心分離によりペレット化する。細胞ペレットをリン酸塩、pH8.0、7M 塩酸グアニジン、イミダゾールおよびチオグリセロールを含む溶解バッファーに再懸濁し、続いてUltra-Turrax(登録商標)を用いてホモジナイズする。不溶性物質を高速遠心分離によってペレット化し、上清をNiキレートクロマトグラフィーカラムにアプライする。カラムを数ベッド容積の溶解バッファーで洗浄し、続いてリン酸塩、pH8.0、および尿素を含むバッファーで洗浄する。最後に、結合した抗原を酸性条件下でSDSを含むリン酸塩バッファーを用いて溶出する。
RLA-0に対するモノクローナル抗体の産生
a)マウスの免疫化
12週齢のA/Jマウスを100μgのRLA-0で腹腔内に初回免疫する。6週間後、一月間隔で2回のさらなる腹腔内免疫を行なう。この過程において、各マウスに水酸化アルミニウムに吸着した100μgのRLA-0および109個の細菌の百日咳菌を投与する。続いて、最後の2回の免疫を、PBSバッファー中の100μgのRLA-0を用いて融合の3日前および2日前におのおの静脈内に行う。
b)融合およびクローニング
a)に従って免疫化したマウスの脾臓細胞をGalfre, G.およびMilstein, C., Methods in Enzymology 73(1981)3-46に従ってミエローマ細胞と融合する。この過程において、免疫化マウスの約1×108個の脾臓細胞を2×107個のミエローマ細胞(P3X63-Ag8-653、ATCC CRL1580)と混合し、遠心分離(300 xgおよび4℃で10分間)する。次いで、細胞をウシ胎仔血清(FCS)を含まないRPMI 1640培地で一度洗浄し、50 mlコニカルチューブ中にて400 xgで再び遠心分離する。上清を廃棄し、細胞沈殿物をタッピングにより穏やかに解し、1 mlのPEG(分子量4000、Merck、Darmstadt)を加え、ピペッティングにより混合する。37℃の温浴中で1分間の後、4〜5分以内に室温でFCSを含まない5 mlのRPMI 1640を滴下する。その後、10%FCSを含む5 mlのRPMI 1640を約1分以内に滴下し、十分に混合し、培地(RPMI 1640+10% FCS)で50 mlにし、続いて400 xgおよび4℃で10分間遠心分離する。沈殿した細胞を、10% FCSを含むRPMI 1640培地中にとり、ヒポキサンチン-アザセリン選択培地(RPMI 1640+10% FCS中に100 mmol/l ヒポキサンチン、1 μg/ml アザセリン)中に播種する。100 U/mlのインターロイキン6を成長因子として培地に添加する。
約10日後、初代培養物を特異的抗体について試験する。RLA-0陽性初代培養物を蛍光活性化細胞ソーターにより96ウェル細胞培養プレート中でクローニングする。この過程において、再び100 U/mlのインターロイキン6を成長添加物として培地に添加する。
c)細胞培養上清からの免疫グロブリンの単離
得られたハイブリドーマ細胞を、10%FCSを含むRPMI 1640培地中に1 mlあたり1×105個の細胞の密度で播種し、発酵槽(Thermodux Co., Wertheim/Main, Model MCS-104XL, 注文番号 144-050)中で7日間増殖させる。1 mlあたり100 μgの平均濃度のモノクローナル抗体が培養上清中に得られる。培養上清からのこの抗体の精製を、タンパク質化学における従来の方法(例えば、Bruck, C.ら、Methods in Enzymology 121(1986)587-695による)により行なう。
ポリクローナル抗体の産生
a)免疫
免疫のために、1:1の比のタンパク質溶液(100 μg/ml タンパク質RLA-0)および完全なフロイントアジュバントの新鮮なエマルジョンを調製する。各ウサギを1 mlのエマルジョンで1、7、14および30、60および90日に免疫する。血液を抜き取り、得られた抗RLA-0血清を実施例3および4に記載されるさらなる実験のために使用する。
b)カプリル酸および硫酸アンモニウムを用いた連続沈殿によるウサギ血清からのIgG(免疫グロブリンG)の精製
1容積のウサギ血清を4容積の酢酸バッファー(60 mM、pH4.0)で希釈する。pHを2 M Tris塩基を用いて4.5に調整する。カプリル酸(希釈試料の25 μl/ml)を激しい攪拌下で滴下する。30分後、試料を遠心分離(13,000 xg、30分、4℃)し、ペレットを廃棄し、上清を収集する。上清のpHを2 M Tris塩基を加えることによって7.5に調整し、濾過(0.2 μm)する。
上清の免疫グロブリンを最終濃度2 Mまでの4 M硫酸アンモニウム溶液の滴下により激しい攪拌下で沈殿させる。沈殿した免疫グロブリンを遠心分離(8,000 xg、15分、4℃)により収集する。
上清を廃棄する。ペレットを10mM NaH2PO4/NaOH、pH7.5、30mM NaCl中に溶解し、完全に透析する。透析物を遠心分離(13,000 xg、15分、4℃)し、濾過(0.2 μm)する。
ポリクローナルウサギIgGのビオチン化
ポリクローナルウサギIgGを10mM NaH2PO4/NaOH、pH7.5、30mM NaCl中に10 mg/mlにする。IgG溶液1 mlあたり、50 μlのビオチン-N-ヒドロキシスクシンイミド(DMSO中に3.6 mg/ml)を加える。室温で30分後、試料をSuperdex 200(10mM NaH2PO4/NaOH、pH7.5、30mM NaCl)においてクロマトグラフを行う。ビオチン化IgGを含む画分を収集する。モノクローナル抗体を同じ手順に従ってビオチン化する。
ポリクローナルウサギIgGのジゴキシゲニン化
ポリクローナルウサギIgGを10mM NaH2PO4/NaOH、30mM NaCl、pH7.5中に10 mg/mlにする。IgG溶液1 mlあたり、50 μlのジゴキシゲニン-3-O-メチルカルボニル-ε-アミノカプロン酸-N-ヒドロキシスクシンイミド エステル(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany, カタログ番号 1 333 054)(DMSO中に3.8 mg/ml)を加える。室温で30分後、試料をSuperdex(登録商標) 200(10mM NaH2PO4/NaOH、pH7.5、30mM NaCl)においてクロマトグラフを行う。ジゴキシゲニン化IgGを含む画分を収集する。モノクローナル抗体を同じ手順に従ってジゴキシゲニンで標識する。
実施例3
実施例2で産生したポリクローナル抗体を使用したヒト結腸直腸癌組織におけるRLA-0の検出のためのウエスタンブロッティング
腫瘍試料および健康な対照試料由来の組織溶解物を実施例1「組織調製」に記載されたように調製する。
SDS-PAGEおよびウエスタンブロッティングをInvitrogen, Karlsruhe, Germanyの試薬および装置を使用して行なう。試験する各組織試料について、10μgの組織溶解物を還元NuPAGE(登録商標)(Invitrogen)SDS試料バッファーに希釈し、95℃で10分間加熱する。試料をMESランニングバッファー系中の4〜12% NuPAGE(登録商標)ゲル(Trisグリシン)において泳動する。ゲル分離したタンパク質混合物を、Invitrogen XCell IITMBlot Module(Invitrogen)およびNuPAGE(登録商標)トランスファーバッファー系を使用してニトロセルロース膜上にブロットする。膜をPBS/0.05% Tween-20で3回洗浄し、Roti(登録商標)-Block ブロッキングバッファー(A151.1;Carl Roth GmbH, Karlsruhe, Germany)で2時間ブロッキングする。一次抗体、ポリクローナルウサギ抗RLA-0血清(実施例2に記載したように産生)をRoti(登録商標)-Block ブロッキングバッファーに1:10000で希釈し、膜と1時間インキュベートする。膜をPBS/0.05% Tween-20で6回洗浄する。特異的に結合した一次ウサギ抗体をPODコンジュゲートポリクローナルヒツジ抗ウサギIgG抗体で標識し、0.5×Roti(登録商標)-Block ブロッキングバッファーに10 mU/mlに希釈する。1時間のインキュベーション後、膜をPBS/0.05% Tween-20で6回洗浄する。結合したPODコンジュゲート抗ウサギ抗体を検出するために、膜をLumi-LightPLUSウエスタンブロッティング基質(注文番号 2015196, Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)とインキュベートし、オートラジオグラフフィルムに曝す。
典型的な実験の結果を図2に示す。試験した結腸直腸癌の被験体16人のうち15人において、隣接する対照組織に対して、腫瘍組織でRLA-0の強い過剰発現が見られた。
実施例4
ヒト血清および血漿試料中のRLA-0の測定のためのELISA
ヒト血清または血漿中のRLA-0の検出のために、サンドイッチELISAを開発する。抗原の捕捉および検出のために、抗RLA-0ポリクローナル抗体(実施例2参照)のアリコートをビオチンおよびジゴキシゲニンそれぞれとコンジュゲートする。
ストレプトアビジン被膜96ウェルマイクロタイタープレートを、10 mMリン酸塩、pH7.4、1% BSA、0.9% NaClおよび0.1% Tween-20中に10 μg/mlのビオチン化抗RLA-0ポリクローナル抗体100 μlと60分間インキュベートする。インキュベーション後、プレートを0.9% NaCl、0.1% Tween-20で3回洗浄する。次いでウェルを標準抗原としての組換えタンパク質(実施例2参照)の連続希釈物または患者由来の希釈した血漿試料のいずれかと2時間インキュベートする。RLA-0の結合後、プレートを0.9% NaCl、0.1% Tween-20で3回洗浄する。結合RLA-0の特異的検出のために、ウェルを10 mMリン酸塩、pH7.4、1% BSA、0.9% NaClおよび0.1% Tween-20中に10 μg/mlのジゴキシゲニン化抗RLA-0ポリクローナル抗体100 μlと60分間インキュベートする。その後、未結合抗体を除去するためにプレートを3回洗浄する。次の工程で、ウェルを10 mMリン酸塩、pH7.4、1% BSA、0.9% NaClおよび0.1% Tween-20中に20 mU/mlの抗ジゴキシゲニンPODコンジュゲート(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany, カタログ番号 1633716)と60分間インキュベートする。続いて、プレートを同じバッファーで3回洗浄する。抗原-抗体複合体の検出のために、ウェルを100 μlのABTS溶液(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany, カタログ番号 11685767)とインキュベートし、ODをELISAリーダーで405 nmにて30〜60分後に測定する。
実施例5:
診断の正確度の点から臨床的有用性を評価するためのROC分析
正確度を、十分に特徴づけられた患者コホート、すなわち結腸内視術を受け、腺腫またはCRCを有さないと判明した50人の患者、診断されCRCのT1-3、N0、M0に病期分類された50人の患者、および少なくとも一つの近傍リンパ節に少なくとも腫瘍浸潤を有するかまたはより重篤な形態の転移を有する進行したCRCと診断された50人の患者それぞれから得られた個々の液体試料を分析することにより評価する。市販のアッセイ(Elecsys(登録商標)Systemsイムノアッセイアナライザ用のRoche Diagnostics, CEA-アッセイ(カタログ番号 1 173 1629)により測定されるCEAおよび上記のように測定されるRLA-0は、これら個体の各々から得られた血清中で定量する。ROC分析をZweig, M. H.およびCampbell, 前出に従って行なう。RLA-0と確立されたマーカーCEAとの組み合わせについてTis-3、N0、M0群の患者と健康な個体とを区別するための判別能力は、調整した判別式分析によって計算される(Friedman, J. H., Regularized Discriminant Analysis, Journal of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175)。
予備データは、RLA-0がまた手術後の患者の追跡に非常に有用であり得ることを示す。
図1は腫瘍試料を負荷した2Dゲル(左側)、および隣接する健康な粘膜から得た対応する対照試料を負荷したゲル(右側)の典型的な例を示す。2つの特徴的なスポットを示し、これらは両方ともRLA-0を表す。両方とも、34.3 kDaの理論サイズに一致する;一方のスポットはpH 5.72の理論等電点に一致し、もう一方のスポットはおそらく、翻訳後修飾による可能性が最も高い、リン酸化RLA-0に相当する。これらのゲルの拡大部分にある各円は、RLA-0タンパク質形態の位置を示す。RLA-0タンパク質は、健康な粘膜には同じ方法で検出できなかった。 ウェスタンブロットの典型的な例。ポリアクリルアミドゲルは、4人の患者(被験体36:直腸癌(癌)、デュークスB;被験体37:直腸癌、デュークスA;被験体39:結腸癌、デュークスA;および被験体40:結腸癌、デュークスB)由来の結腸直腸腫瘍組織および隣接した健康な対照組織の組織溶解産物を負荷され、電気泳動後、タンパク質をニトロセルロース膜に転写した。試料中のRLA-0の存在は、ウサギのポリクローナル抗RLA-0血清を用いて試験された。腫瘍溶解産物を含むレーンを「T」、正常対照組織を含むレーンを「N」で示す。標準分子量タンパク質を含むマーカーレーンは「M」と示す。組み換えRLA-0を含むレーンは「300」と示す。矢印はゲル中のRLA-0(RLA0)バンドの位置を示す。全ての腫瘍試料はRLA-0の位置で強いシグナルがでており、一方、隣接した正常対照組織由来の溶解産物中には弱いシグナルしか検出できない。

Claims (10)

  1. a)個体から得られた液体試料を提供する工程、
    b)該試料と、60S酸性リボソームタンパク質P0(RLA-0)に対して特異的に結合する試薬とを、該結合試薬とRLA-0との間での複合体形成に適切な条件下で接触させる工程、及び
    c)(b)で形成した複合体の量を、結腸直腸癌の診断に対して相関させる工程
    を含む、結腸直腸癌の診断方法。
  2. 前記試料が血清であることをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記試料が血漿であることをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
  4. 前記試料が全血であることをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
  5. 個体から得られた液体試料からの結腸直腸癌の診断における、マーカー分子としてのタンパク質RLA-0の使用。
  6. 個体から得られた液体試料からの結腸直腸癌の早期診断における、マーカー分子としてのタンパク質RLA-0の使用。
  7. 腺腫期のCRC患者由来の試料で早期診断が行われる、請求項6記載の使用。
  8. Tis〜3; N0; M0期のCRC患者由来の試料を用いて早期診断が行われる、請求項6記載の使用。
  9. 個体から得られた液体試料からの結腸直腸癌の診断における、結腸直腸癌に対するマーカー分子としてのタンパク質RLA-0の、結腸直腸癌に対する別のマーカー分子と組み合わせた使用。
  10. RLA-0に対する少なくとも1つの特異的に結合する試薬及びRLA-0の測定のための補助試薬を含む免疫学的キット
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