JP2006527045A - 外科手術用の封鎖具 - Google Patents

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Abstract

腹腔鏡ポート用の封鎖具は、基部と、多数の顎部と、アクチュエータとを備えており、基部はカニューレに係合するようになっているとともに、外科手術用器具のための軸線方向開口部が設けられており、顎部は基部に取付けられているとともに、外科手術用器具のシャフトが自由に通ることのできる開位置と顎部がシャフトに嵌合してシャフトの放射方向の移動を抑制する抑制力を供与する閉位置との間で開口部に関して放射方向に移動可能であり、アクチュエータは回転運動することにより顎部に付勢して開位置から閉位置までの間を移動させることができ、アクチュエータが、開位置と閉位置の中間位置に摩擦係合を設けて顎部を中間位置に保持するようにしたクリック止め機構を備えている。

Description

本発明は、外科手術用の器具と併用して気密封鎖を供与し、その封鎖部を通して器具を渡すことができるようにした封鎖具(シール)に関するものである。本発明は特に、腹腔鏡ポートの封鎖具に関するものであるが、腹腔鏡ポート用に限定されるものではない。
国際公開 WO 01/89397 号(特許文献1)は腹腔鏡ポートの外科手術用封鎖具を開示しており、この封鎖具は基部と、多数の顎部と、アクチュエータを備えており、基部はカニューレに係合するようになっているとともに、外科手術用器具を受けるための軸線方向開口部が設けられており、顎部は基部に取付けられていると同時に、器具のシャフトが自由に通れるようにした開位置と顎部がシャフトに係合してシャフトの移動を抑制する抑制力を供与する閉位置との間で開口部に関して放射方向に可動であり、アクチュエータは回転運動を行うことにより顎部に付勢して開位置と閉位置の間を移動させることができる。この明細書の開示内容は、ここに援用している。
上述のように開示された封鎖具の顎部は、シャフトの直径が互いに異なっている複数の器具と係合し、或いは、そのような器具を拘束することが可能である。顎部は、水路、通路、または、滑走溝を設けるようにすることができるガイドに沿って可動であるのが好ましい。好ましい実施形態では、顎部に滑走部が設けられ、これがアクチュエータのそれぞれの滑り溝に受け入れられるようになっているとともに、アクチュエータの回転によって顎部を放射方向に移動させるように配置されている。滑り溝は弧状の水路から構成されており、これは放射線状の観点形状を有していてもよい。
この封鎖具は、外科手術用器具のシャフトに接触するようにされた隔壁を備えており、また、顎部の各々の放射方向外向きに面した部分に係合するようにされたリップ部を更に備えており、顎部が開位置まで移動すると隔膜は強制的に開かされる。顎部の開口部は最大位置から最小位置までの間で連続して調節できる。
WIPO国際公開 WO 01/89397号
顎部の開口を連続して変動させることができるという点は外科手術器具の範囲を調節するのに有益であり、特に、挿入または引出しのために大きな開口部を設けるのに有益であるが、腹腔鏡のような広く使用されている器具を収容して堅固に嵌合するような一定の中型の径を供与するものではない。
本発明の第1の観点によれば、腹腔鏡ポート用の封鎖具は、基部と、多数の顎部と、アクチュエータとを備えており、基部はカニューレに係合するようになっているとともに、外科手術用器具のための軸線方向開口部が設けられており、顎部は基部に取付けられているとともに、外科手術用器具のシャフトが自由に通ることのできる開位置と顎部がシャフトに嵌合してシャフトの放射方向の移動を抑制する抑制力を供与する閉位置との間で開口部に関して放射方向に移動可能であり、アクチュエータは回転運動することにより顎部に付勢して開位置から閉位置までの間を移動させることができ、アクチュエータが、開位置と閉位置の中間位置に摩擦係合を設けて顎部を中間位置に保持するようにしたクリック止め機構を備えていることを特徴とする。
クリック止め機構は、アクチュエータ上に設けられた非連続部分を有し、これは、畝状隆起またはボタンのような突起部か、或いは、窪みのような陥凹部であるのが好ましく、基部上に設けられた相補的な非連続部分に嵌合するような構成になっているが、相補的非連続部分としては窪みや突起が好ましい。ばねおよび相補的受口によって散開させられた係留球ベアリングを利用することができる。しかし、組立てと殺菌を容易にするためには、より構成部材数の少ない簡単な構成が好ましい。複数のクリック止め位置を設けるようにしてもよい。
代替例として、クリック止め機構は、顎部上に突起、窪み、または、それ以外の成形部材が設けられており、アクチュエータ上のそれぞれの相補的成形部材と嵌合するようになっていてもよい。顎部ごとに杭、ピン、または、それ以外の突起部が設けられているのが好ましく、アクチュエータはその陥凹部または窪みの寸法が突起部を受け入れて嵌合するように設定されている。複数のクリック止めが設けられていてもよい。
顎部はそれぞれの閉位置に向けて付勢されているのが好ましい。
好ましい実施形態は弾性隔壁を備えており、この隔壁はその中央開口部が外科手術用器具のシャフトと接触するようになっているとともに、リップが設けられており、顎部の各々がリップと係合するため、顎部が閉位置から開位置に向けて移動するにつれて、隔壁の開口部が強制的に開かされるようになっている。
特に好ましい実施形態では、弾性隔壁によって復元力が供与される。このような構成は付加的なばねや弾性手段を必要としないうえに、顎部の各々が器具のシャフトに付与する力が均等になるのを確実にする。これにより、使用時の器具の軸線方向の位置探索を容易にすることができる。
更に、簡単なクリック止め機構はアクチュエータを開位置に維持するのに必要となるにすぎないが、復元力がクリック止め機構の使用を容易にしており、これは、手の力が加えられない閉位置に向けてアクチュエータが自動的に移動するである。
特に好ましい実施形態では、顎部は各々が追従部材を備えており、追従部材はアクチュエータ上のそれぞれのガイド部材に沿って可動であり、ガイド部材には顎部の開位置に対応する内側端と閉位置に対応する外側端が設けられており、ガイド部材は追従部材と係合するようになった中間部の非連続部分が設けられて、上述の復元力よりも大きい閉鎖抵抗力を供与することにより顎部が閉じるのを阻止している。
複数の非連続部分を用いて2個以上の中間部のクリック止め位置を設けるようにしてもよい。ガイド部材には水路またはスロットが設けられているようにしてもよく、追従部材にはピン、杭、または、それ以外の突起部が設けられるようにしてもよい。非連続部分はガイド部材の内面の陥凹部または窪みから成り、この中に突起部を受け入れて、手動回転がアクチュエータに付与されるまでそのまま保持する。陥凹部の形状は、追従部材を取り巻いて受け入れるように設定されてもよい。
本発明による封鎖具の利点は、複数顎部と隔壁が十分な開位置にロックされて物品の挿入または取出しをできるようにし、しかも、顎部は、ロック解除されると、十分な開位置から中間位置に自動的に閉じることができることである。医師が加える外力が無ければ、顎部は中間位置に留まったままである。中間位置は、標準寸法のシャフトを挿入することができると同時に、挿入後にはシャフトが左右横方向に移動できなくするように選択することができる。この構成は、外科手術処置中に顎部の開口部の直径を設定するのに手動で介入する必要を無くしている。
アクチュエータは、30°から90°の角度にわたる回転によって顎部が十分に開閉されるような構成にされ(この範囲は30°から45°の範囲であるのが好ましい)、そのため、医師は自分の指を使って顎部を開閉することができるが、手首を回転させる必要はない。いずれであれ至便な数の顎部を設けることができるが、少なくとも5個であるのが好ましく、7個であるのが最も好ましい。
本発明の第2の観点によれば、上述のように、腹腔鏡ポートの封鎖具の使用法が提示される。
上述のような封鎖具により、隔壁の開口部の直径は器具の挿入前に調節して設定することができるようになる。顎部は、先行技術の装置を利用した場合と同様に、器具が挿入されると、器具の先端部によってそれぞれの最小限だけ閉じた位置から偏向させられるが、所定の中間値と最大値に直径を設定することができるのが有利である。これにより、必要な力は小さくなるが、器具の挿入は一層容易になる。また、器具は挿入中に軸線方向に保持される。これに代わる例として、器具が挿入されて顎部がロック解除されると、器具を特定のシャフト径に設定しなくても顎部が器具のシャフトと嵌合してシャフトを駆動するため、顎部を最大限に開いた位置に設置することができる。
添付の図面を参照しながら、限定する意向はなく具体例として本発明を詳述してゆく。
本件出願人の同時係属出願中の国際公開 WO 01/89397号の開示内容に言及する。この明細書は腹腔鏡の封鎖具を開示しているが、この封鎖具にはクリック止め機構が設けられていない。この明細書の開示内容は引例に挙げることで本件明細書の一部となっている。
図面に例示されている腹腔鏡の封鎖具(シール)は、回転自在なアクチュエータキャップ3を設けたケーシング1を備えている。キャップ上の指つまみ部4により、キャップの回転が容易になり、遠位方向に延びているレバー5により、開位置と閉位置の間で封鎖具を移動させることができるようになっている。受け板9の放射方向の滑り溝10に取付けられた7個の放射状の可動顎部6には近位方向に延びる追従部材のピンまたは鋲7が設けられており、これらがキャップ3の遠位面の横溝水路25に嵌合する。顎部6の歯8が協働して開口を形成して、外科手術用器具(図示せず)のシャフトに嵌合する。キャップ3が時計方向に回転させられると、レバー5が突起部または畝状隆起20に嵌合し、弾性変形して突起部を乗り越えてクリック止め末端位置を形成するが、この位置で顎部が完全に開いた状態となる。隔壁11は、国際公開 WO 01/89397号の図面を参照しながら説明したように、顎部上の鈎部材と係合する。このようにして、顎部が開くにつれて、隔壁も開かれる。拡張された隔壁の弾性復元力が顎部を付勢して閉位置に至らせると、顎部は封鎖具を通して挿入された器具のシャフトと嵌合する。隔壁11も器具のシャフトと嵌合して、気密封鎖を形成する。ガスケット11は、ガスケット12により受け板9の遠位側開口部の中に受け入れられる。エラストマー材からなる家禽嘴形状の弁14は、弁の未使用時には従来どおりの流体型封鎖を形成するように作用する。ケーシング1は捻り嵌め機構28によりカニューレ17に連結されるようにしてもよい。ばね16とカニューレに設けられた係合部材18によって駆動されるロックピン15がラッチを形成して、カニューレから弁が偶発的に外れるのを阻止している。カニューレは身体のキャビティの中に挿入するための従来どおりの先端部19を備えている。
図3はキャップ3の断面図であり、アクチュエータキャップ3が回転した時に顎部の追従部材またはピンが互いに異なる位置にくるのを例示している。
図3(b)では、アクチュエータキャップが時計方向に十分に回転させられたため、顎部は開いた状態にあり、追従部材21は弧状水路25の最外端に達している。この位置では、レバー5は遮蔽用の畝状隆起20を乗り越えて、接合点28と当接する。レバー5を付勢して反時計方向に回転させて畝状隆起20を乗り越えさせるのに必要な力は弾性隔壁の復元力よりも大きいため、アクチュエータキャップを手で捻らない限り、弁は開いたままである。
図3(c)は中間位置を例示しているが、この位置で、追従部材22が弧状水路25の内面に設けられた陥凹部24に受け入れられる。図3(b)に例示されているように、アクチュエータキャップ3が手で最大限に開いた位置からゆるめられると、弾性隔壁の復元力によりキャップが反時計方向に回転させられ、追従部材22が陥凹部24に受け入れられたところで止まる。隔壁の弾性力が陥凹部の中に追従部材22を嵌合させ、弁がそれ以上閉まるのを防ぐ。この中間位置では、弁は、例えば10mmといったような標準径を有して、腹腔鏡カメラやそれ以外の広く使用されている器具を受け入れる。反時計方向に更に手で回転させることで追従部材22を陥凹部25の外に押し出せるため、図3(d)に例示されているように、弾性隔壁の復元力で顎部を完全に閉じることができる。
図4には、この構成がより大規模に例示されている。
図5は、1本の水路25の陥凹部24の寸法が追従部材のピン23を受け入れるように設定されているのを例示している。陥凹部24は外面では半径が大きくなっているため、追従部材23を容易に通過させることができるが、内面29では半径が小さくなっているため、手で圧力を加えていなくても追従部材を保持する。
水路25は指数関数的に増減する曲率を有しており、少しだけ弁が開いている時や弾性隔壁が少しでも拡張している時にも、弁の閉鎖を滑らかに行えるようにする。
本発明による封鎖具の斜視図である。 アクチュエータ被覆材が取除かれた場合の封鎖具の平面図である。 本発明の立面図である。 本発明の動作を例示する断面図である。 本発明の動作を例示する断面図である。 本発明の動作を例示する断面図である。 斜視拡大図である。 断面の細部を例示した図である。 本発明による封鎖具を備えているカニューレの展開図である。

Claims (11)

  1. 腹腔鏡ポート用の封鎖具であって、
    カニューレに係合するようになっている基部を備えており、基部には外科手術用器具のための軸線方向開口部が設けられており、前記封鎖具は、
    基部に取付けられた多数の顎部を更に備えており、顎部は、外科手術用器具のシャフトが自由に通ることのできる開位置と顎部がシャフトに嵌合してシャフトの放射方向の移動を抑制する抑制力を供与する閉位置との間で開口部に関して放射方向に移動可能であり、前記封鎖具は、
    回転運動することにより顎部に付勢して開位置から閉位置までの間を移動させることができるアクチュエータを更に備えており、
    アクチュエータが、開位置と閉位置の中間位置に摩擦係合を設けて顎部を中間位置に保持するようにしたクリック止め機構を備えていることを特徴とする封鎖具。
  2. 前記クリック止め機構は、前記アクチュエータ上に設けられた非連続部分を有し、前記基部上に設けられた相補的な非連続部分に嵌合するような構成になっていることを特徴とする、請求項1に記載の封鎖具。
  3. 前記非連続部分は、前記アクチュエータ上に設けられた突起部または陥凹部を有し、前記基部上に設けられた相補的な陥凹部または突起部に嵌合するような構成になっていることを特徴とする、請求項2に記載の封鎖具。
  4. 前記クリック止め機構は、顎部上に設けられた突起部または陥凹部を有し、前記アクチュエータ上に設けられた相補的な成形部材に嵌合するような構成になっていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の封鎖具。
  5. 前記クリック止め機構は、前記顎部の各々から延びているピンを有しており、ピンは前記アクチュエータ上のガイド部材の陥凹部に受け入れられることを特徴とする、請求項4に記載の封鎖具。
  6. 前記顎部は各々が、前記アクチュエータ上に設けられたそれぞれのガイド部材に沿って移動可能な追従部材を備えており、
    ガイド部材には顎部の開位置に対応する内側端と閉位置に対応する外側端が設けられており、
    ガイド部材は追従部材と嵌合するようになった中間部の非連続部分が設けられて、弾性部材の復元力よりも大きい閉鎖抵抗力を供与することにより顎部が閉じるのを阻止していることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の封鎖具。
  7. 前記ガイド部材は、前記アクチュエータに設けられた弧状の水路またはスロットであることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の封鎖具。
  8. 前記水路またはスロットは形状が放射状または指数関数的増減を示す形状であることを特徴とする、請求項7に記載の封鎖具。
  9. 前記陥凹部は前記ガイド部材の放射方向内面に配置されていることを特徴とする、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の封鎖具。
  10. 前記顎部は放射方向内向きに付勢されていることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の封鎖具。
  11. 前記顎部は弾性隔壁のリップに係合するとともに、隔壁が拡張すると、放射方向内向きに付勢されることを特徴とする、請求項10に記載の封鎖具。
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