JP2006526990A - 植物細胞多糖体を調節するための組成物および方法 - Google Patents

植物細胞多糖体を調節するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

新規の植物多糖体合成遺伝子およびこのような遺伝子によってコードされるポリペプチドが提供される。これらの遺伝子およびポリヌクレオチド配列は、多糖体合成および植物表現型を調節する際に有用である。さらに、これらの遺伝子は、植物多糖体合成遺伝子の発現プロファイリングのために有用である。

Description

発明の概要
本発明は、一般に、植物多糖体合成遺伝子およびこのような遺伝子によってコードされるポリペプチド、並びに植物表現型の制御のためのこのようなポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列の使用の分野に関する。本発明は、特にユーカリ属およびマツ属から単離された細胞周期ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列、並びにこれらに関連した配列を提供する。なお、本出願は、35 USC §119(e)の下で、2003年6月6日に出願された米国特許出願第60/476,239号の利益を主張し、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
発明の背景
植物細胞壁は、主にセルロース、ペクチン、およびヘミセルロースで構成される。セルロースは、結晶性β-1,4-グルカンミクロフィブリルに含まれ、酵素的および機械的分解に極めて強く、かつ耐性である。セルロース含量は、植物繊維および木製品の構造用特性、並びに動物およびヒト食品の栄養量、消化性、および嗜好性に大きな影響を及ぼす。さらに、セルロースは、綿、亜麻、アサ、ジュート、並びにユーカリ属種(Eucalyptus ssp.)またはマツ属種(Pinus ssp.)などの林業種などの産業的に重要な植物繊維の主要構造成分である。
また、セルロースは、多様な工業適用にも一般に使用される。いくつかの生分解性プラスチックおよび消化できる医薬カプセル、並びに食品のための医学的充填材および繊維添加物は、植物多糖体から作製することができる。そのうえ、酢酸セルロースなどの一定のプラスチック、およびレーヨンなどの合成繊維材料も、セルロースに由来する。
多糖体は、食品品質に対して重大な影響を有する。細胞壁は、ニンジンのサクサク感に寄与しており、一方、桃およびトマトなどの果実が軟化するためには、細胞壁の分解が必要とされる。トウモロコシにおいて、牛飼料にとってはアミロースが増大されることが望ましいが、ヒトが消費するためには望まれず、細胞壁強度の増大により、消化性が減少する。材木などの繊維作物では、セルロースが関心対象の主な重合体である。木材密度は、構造的な材木品質の基本的な基準で、本質的にセルロース含量の程度である。紙のパルプ化産業では、効率は、セルロースの収率面から測定され、したがって、高セルロース含量が望ましい。
多糖体合成は、植物表現型、並びに増殖速度に影響を及ぼすので、多糖体合成遺伝子の発現を変化させる能力は、極めて強い。多糖体合成の制御は、とりわけ、木材の特性、特に、挽材および木材パルプの特性を変化させるために適用を有する。たとえば、多糖体合成遺伝子発現を変化させることによって行うことができる木材パルプに対しての改善は、リグニンおよびセルロース含量の増大または減少を含む。また、植物における多糖体合成を操作することにより、寸法安定性の増大、抗張力の増大、抗剪強度の増大、圧縮強度の増大、あて材の減少、剛性の増大、硬度の増大または減少、螺旋性の減少、収縮の減少、並びに重量、密度、および比重に関する望ましい特徴を有するより良好な挽材を設計することができる。
A.多糖類遺伝子およびタンパク質
セルロース合成は、一部において、セルロースシンターゼによって触媒される。セルロースシンターゼは、反転前進型(inverting processive)β-グリコシルトランスフェラーゼの大ファミリーのメンバーである。セルロースシンターゼ(Ces)遺伝子は、セルロースシンターゼをコードし、一部においてセルロース生合成を調節する役割を担っている。CesA、セルロースシンターゼは、セルロースシンターゼ・スーパーファミリーに属し、4つの保存されたドメインU1〜U4によって特徴づけられる。U1〜U3は、それぞれ保存されたアスパラギン酸、並びにN'ジンクフィンガードメインを有する。U4ドメインは、推定上の基質結合部位Q-x-x-R-Wを有する。Saxena et al., J Bacteriol. 177: 1419 (1995)。
CesAタンパク質は、約1100アミノ酸を有する8つの膜貫通領域タンパク質であると予測される。CesAタンパク質は、活性化されたグルコースをセルロース重合体に重合する大きな膜結合複合体の一部として機能する。高等植物におけるCesのための基質は、UDP-グルコース(UDPG)であり、ほとんどの証拠(全てではなくても)が、セルロースシンターゼ遺伝子がセルロース生合成経路に不可欠なグリコシルトランスフェラーゼをコードするという仮説を支持する(Holland et al., Plant Physiol., 123: 1313 (2000)を参照されたい)。
インシリコ解析により、セルロースシンターゼ様タンパク質(Csl)を同定し、植物のタンパク質の大ファミリーは、前進型多糖体β-グリコシルトランスフェラーゼであると考えられている。たとえば、Goubet et al., Plant Physiol. 131:547 (1993)を参照されたい。セルロースシンターゼ様タンパク質は、セルロースシンターゼのように、保存されたU1〜U4ドメインを有するが、N'ジンクフィンガードメインを欠いている。Doblin et al., Plant Cell Physiol. 43:1407 (2002)。セルロースシンターゼ様酵素は、非セルロース植物多糖体の産生を制御すると考えられる。
B.多糖体合成における発現プロファイリングおよびマイクロアレイ解析
多糖体合成の多重遺伝子制御により、表現型決定を担う遺伝子を決定する際に問題点がある。植物の表現型に寄与する遺伝子および遺伝子発現の相違を同定するための1つの主な障害は、一握りの遺伝子よりも多くの発現を並行して研究することが困難なことである。遺伝子の発現および植物の表現型に寄与する遺伝子の相互関係を同定し、並びに理解する際のもう一つの問題点は、植物が示す環境要因に対する高度な感受性である。
ゲノム全体の発現プロファイリングを使用して、最近の進歩がもたらされた。特に、DNAマイクロアレイの使用は、単一の実験で多数の遺伝子の発現を検査するために有用であった。発生上および環境上の刺激に対する植物遺伝子反応のいくつかの研究は、発現プロファイリングを使用して行われた。たとえば、イチゴの果物成熟の間の遺伝子発現、Aharoni et al., Plant Physiol. 129:1019-1031 (2002)、シロイヌナズナにおける損傷反応、Cheong et al., Plant Physiol. 129:661-7 (2002)、シロイヌナズナにおける病原体反応、Schenk et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. 97:11655-60 (2000)、およびダイズにおけるオーキシン反応、Thibaud-Nissen et al, Plant Physiol. 132:118を研究するために、マイクロアレイ解析が使用された。Whetten et al., Plant Mol. Biol. 47:275-91(2001)は、cDNAプローブを使用するパイヌス・テダ L.(Pinus taeda L.)における細胞壁生合成遺伝子の発現プロファイリングを開示する。Whetten et al.は、分化中の幼若二次木部と成熟二次木部との間で差動的に発現される遺伝子を検査した。さらに、遺伝子発現に対する一定の環境刺激の効果を決定するために、圧縮材における遺伝子発現を正常な木材と比較した。検査した2300個のうちの156個のエレメントが、差動的発現を示した。前記Whetten, 285。成熟木材に対する幼若木材の比較では、188個のエレメントが差動的に発現されることを示した。Id. at 286。
発現プロファイリング、特に、DNAマイクロアレイは、ゲノム全体の発現解析のための便利なツールを提供するが、これらの使用は、完全なゲノム配列または大規模なcDNAコレクションが利用できる生物体に限定されていた。Hertzberg et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. 98:14732-7(2001a)、Hertzberg et al., Plant J., 25:585(2001b)を参照されたい。たとえば、Whetten,前記は、「この興味深い質問のより完全な解析は、マツおよびポプラESTのより大規模なセットの完成を待ちたい」旨を述べている。Whetten et al. 286。さらに、cDNAまたはESTプローブを含むマイクロアレイは、遺伝子間の配列類似性のために同じファミリーの遺伝子を区別することができない可能性がある。すなわち、cDNAまたはESTは、マイクロアレイプローブとして使用するときに、同じファミリーの複数の遺伝子に対して結合するかもしれない。
より望ましい表現型を有する植物を産するために遺伝子発現を操作する方法は、様々な種類の植物組織において、植物発生の異なる段階で、および異なる環境的きっかけ(cue)による刺激によって、多糖体合成遺伝子発現のより優れた理解によって容易にされるであろう。植物の構築および農業経済学に重要な特徴を制御する能力は、多糖体合成遺伝子発現がどのように植物組織の形成に効果を有し、どのように植物成長と多糖体合成が結びつけられるかのより優れた理解によって改善されると考えられる。多数の遺伝子の中で、いずれの発現が植物の発生の間に変化することができ、ごく一部分だけが、植物発生の任意の所与の段階の間に表現型変化に作用する可能性が高い。
発明の概要
従って、望ましい表現型を生じる多糖体合成遺伝子の発現における変化を決定する際に有用なツールおよび方法の要求がある。また、このような方法に有用なポリヌクレオチドの要求がある。多糖体合成遺伝子発現の変化を表現型に対して相関させることができる方法のさらなる要求がある。植物表現型に影響し、かつ所望の表現型を得るために操作することができる多糖体合成遺伝子および遺伝子産物を同定する方法のさらなる要求がある。
一つの局面において、本発明は、配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。
もう一つの局面において、本発明は、配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異からなる群より選択される核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド体で形質転換された植物細胞を提供する。
さらなる局面において、本発明は、配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物を提供する。
もう一つの局面において、本発明は、配列番号:1〜29のいずれか一つの配列およびこれらの保存的変異体を有する少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むDNA構築物を提供する。
ある局面において、本発明は、DNA構築物で植物細胞を形質転換する工程、植物の増殖を促進する条件下で形質転換された植物細胞を培養する工程を含む、形質転換された植物を作製する方法を提供する。
もう一つの局面において、本発明は、配列番号:30〜58のいずれか一つから選択されるポリペプチドの触媒ドメインまたは基質結合ドメインをコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドであって、配列番号:30〜58のいずれか一つから選択される該ポリペプチドの活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
さらなる局面において、本発明は、配列番号:1〜29のいずれかの配列を有する少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むDNA構築物で植物細胞を形質転換する工程、および植物の増殖を促進する条件下で形質転換された植物細胞を培養する工程を含む、形質転換植物を作製する方法を提供する。
さらなる局面において、本発明は、本発明のDNA構築物で形質転換されたトランスジェニック樹木から得られる木材を提供する。
さらなる局面において、本発明は、本発明のDNA構築物で形質転換されたトランスジェニック樹木から得られる木材パルプを提供する。
さらなる局面において、本発明は、配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列を有するポリヌクレオチドを含むDNA構築物で植物を形質転換する工程;植物の増殖を促進する条件下で形質転換された植物を培養する工程;並びに植物から木材を得る工程を含む、木材を作製する方法を提供する。
本発明は、また配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列を有するポリヌクレオチドを含むDNA構築物で植物を形質転換する工程;植物の増殖を促進する条件下で形質転換された植物を培養する工程;並びに植物から木材パルプを得る工程を含む、木材パルプを作製する方法を提供する。
本発明のもう一つの局面は、本発明の単離されたポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを提供する。
さらなる局面において、本発明は、配列番号:30〜58からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを提供する。
さらなる局面において、本発明は、配列番号:1〜29のいずれか一つによってコードされるポリペプチドの植物における発現を変化させることを含む、植物の植物表現型を変化させる方法を提供する。
一つの局面において、本発明は、配列番号:59〜83からなる群より選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
もう一つの局面において、本発明は、第1の試料において配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列によってコードされる産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出する工程;第2の試料において1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出する工程;第1の試料における1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを、第2の試料における1つまたは複数の遺伝子の発現レベルと比較する工程;並びに第1と第2の試料との間の1つまたは複数の遺伝子の発現レベルの相違を相関させる工程を含む、2つの異なる試料中の遺伝子発現を相関させる方法を提供する。
さらなる局面において、本発明は、表現型を有する第1の植物において、配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列によってコードされる産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出する工程;表現型を欠いている第2の植物において、1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出する工程;第1の植物における1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを、第2の植物における1つまたは複数の遺伝子の発現レベルと比較する工程;並びに表現型を有する第1と第2の植物との間の1つまたは複数の遺伝子の発現レベル相違を相関させる工程を含む、1つまたは複数の遺伝子の植物における遺伝子発現レベルに対して植物表現型の所有を相関させる方法を提供する。
さらなる局面において、本発明は、正常な木材表現型を示す木部内の第1の植物細胞において、配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列によってコードされる産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出する工程;あて材表現型を示す木部内の第2の植物細胞において、1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出する工程;第1の植物細胞における1つまたは複数の遺伝子の発現のレベルを、第2の植物細胞における1つまたは複数の遺伝子の発現レベルと比較する工程;並びにあて材を形成する性向に対して第1と第2の試料との間の1つまたは複数の遺伝子の発現レベルの相違を相関させる工程を含む、あて材を形成する性向に対して遺伝子発現を相関させる方法を提供する。
一つの局面において、本発明は、2つ以上のオリゴヌクレオチドを含む、1つまたは複数の遺伝子の発現を検出するための組み合わせであって、それぞれのオリゴヌクレオチドは、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列にハイブリダイズすることができる組み合わせを提供する。
もう一つの局面において、本発明は、2つ以上のオリゴヌクレオチドを含む、1つまたは複数の遺伝子の発現を検出するための組み合わせであって、それぞれのオリゴヌクレオチドは、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列によってコードされる遺伝子産物にハイブリダイズすることができる組み合わせを提供する。
さらなる局面において、本発明は、2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、固体支持体上の固有の位置を占有する、固体支持体上に提供された本発明の組み合わせを含むマイクロアレイを提供する。
さらなる局面において、本発明は、それぞれのオリゴヌクレオチドが、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列を含む遺伝子に対して、標準的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることができる2つ以上のオリゴヌクレオチドと試料を接触させる工程;および、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする関心対象の1つまたは複数の遺伝子を検出する工程を含む、試料中の1つまたは複数の遺伝子を検出するための方法を提供する。
一つの局面において、本発明は、それぞれのオリゴヌクレオチドが、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列を含む遺伝子によってコードされる核酸配列に対して、標準的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることができる2つ以上のオリゴヌクレオチドと試料を接触させる工程;および、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする1つまたは複数の核酸配列を検出する工程を含む、試料中の1つまたは複数の遺伝子によってコードされる1つまたは複数の核酸配列を検出するための方法を提供する。
一つの局面において、本発明は、ヌクレオチドハイブリダイゼーション反応のための1つもしくは複数の緩衝液または試薬と共に、マイクロアレイを含む、遺伝子発現を検出するためのキットを提供する。
本発明のその他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明から明らかである。しかし、詳細な説明は、一方で、本発明の好ましい態様を示し、例示目的のみで、限定されない目的で示されることが理解されるはずである。本発明の精神および範囲内の種々の変更および修飾は、詳細な説明から当業者に明らかであろう。
好ましい態様の詳細な説明
本発明者らは、植物の表現型の特性を変化させるために有用な新規の単離された多糖体合成遺伝子およびポリヌクレオチドを発見した。また、本発明者らは、表現型に寄与する多重遺伝子因子を同定し、および遺伝子発現を操作して植物表現型に影響を及ぼすための方法を発見した。これらの遺伝子は、商業的に重要な林業属のマツおよびユーカリに由来し、かつ植物多糖体合成に関与し、少なくとも部分的に、剛性、強度、密度、繊維寸法、粗さ、セルロースおよびリグニン含量、および抽出物含量などの商業木材に重要な表現型の特徴を表す役割を担う。一般的に言って、遺伝子およびポリヌクレオチドは、セルロースシンターゼ、セルロースシンターゼ様タンパク質、グリコシルトランスフェラーゼ、または同じ機能を有するポリペプチドであることができるタンパク質をコードし、本発明は、このようなタンパク質およびポリペプチドをさらに含む。
操作のためにターゲットするための多糖体合成遺伝子配列を選択するための本発明の方法により、より優れたデザインおよびより高度に操作された表現型をもつトランスジェニック植物の制御が可能となるであろう。商業的に重要な林業種において、植物構築および農業経済学に重要な特徴を制御する能力は、本方法から得られる情報によって改善されるであろう。
別に示されない限り、全ての技術的および科学的用語は、共通の技術的な使用に一致した様式で本明細書に使用される。一般に、細胞培養、分子遺伝学、並びに核酸化学およびハイブリダイゼーションを含む本明細書の命名法および記載されている検査法は、それぞれ周知であり、当該技術分野において共通に使用される。組換え核酸法、オリゴヌクレオチド合成、細胞培養、組織培養、形質転換、トランスフェクション、形質導入、分析化学、有機合成化学、化学合成、化学分析、並びに薬学的製剤および送達のためには、標準的な技術が使用される。一般に、酵素反応並びに精製および/または単離工程は、製造者の説明書に従って行われる。反対に指示がないときは、問題の技術および手順は、たとえば、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING A LABORATORY MANUAL,2d ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、およびCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, 1989)に開示された従来の方法論に従って行われる。本発明に関連する特定の科学的方法は、以下にさらに詳細に論議してある。しかし、この考察は、例のみとして提供され、本発明の方法が行うことができる様式を限定しない。
A. 植物多糖体合成遺伝子およびタンパク質
1.多糖体合成遺伝子、ポリヌクレオチド、およびポリペプチド配列
本発明の一つの局面は、新規の多糖体合成遺伝子およびこのような遺伝子によってコードされるポリペプチドに関する。
本発明は、新規の植物多糖体合成遺伝子およびポリヌクレオチド並びに新規の多糖体合成タンパク質およびポリペプチドを提供する。本発明の一つの態様によれば、新規の多糖体合成遺伝子は、マツ属またはユーカリ属の種の野生型植物に発現されるものと同じである。本発明の特定の例示的な新規の植物多糖体合成遺伝子配列は、表1(これは、パイヌス・ラジアータ(Pinus radiata)配列を含む)、および表2(これは、ユーカリプタス・グランディス(Eucalyptus grandis)配列を含む)に記載してある。対応する遺伝子産物、すなわちオリゴヌクレオチドおよびポリペプチドは、また表3、表4、および表5の一覧表に記載してある。
本発明の配列は、多糖体合成活性を有し、上で論議したセルロースシンターゼおよびセルロースシンターゼ様ファミリーのタンパク質などの多糖体合成において活性であるタンパク質をコードする。以下でさらに詳細に論議したとおり、多糖体合成遺伝子およびポリヌクレオチドの発現の操作、またはコードされたタンパク質およびポリペプチドの活性の操作により、同種の野生型植物の表現型と異なる所望の表現型を有するトランスジェニック植物を生じることができる。
本明細書の全体を通じて、多糖体合成遺伝子産物についての言及がなされる。本明細書に使用される「多糖体合成遺伝子産物」は、多糖体合成遺伝子によってコードされる産物であり、RNAなどのヌクレオチド産物、並びにタンパク質およびポリペプチドなどのアミノ酸産物の両方を含む。本発明の特定の多糖体合成遺伝子の例は、配列番号:1〜29を含む。本発明の特定の多糖体合成遺伝子産物の例は、配列番号:1〜29のいずれか一つによってコードされる産物を含む。また、本明細書において、多糖体合成タンパク質および多糖体合成ポリペプチドについての言及がなされる。本発明の特定の多糖体合成タンパク質およびポリペプチドの例は、配列番号:1〜29のいずれかによってコードされるポリペプチドまたは配列番号:30〜58のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。本発明の一つの局面は、これらの多糖体合成遺伝子および多糖体合成遺伝子産物、すなわち、配列番号1〜2、7〜14、16〜18、20〜21、24〜25、および27〜30、これらのそれぞれの保存的変異体(その用語は下記に定義されたとおり)、並びにこれらによってコードされるヌクレオチドおよびアミノ酸産物のサブセットに向けられる。
また、本発明は、本明細書に開示されたヌクレオチド配列に対して相補的である配列、逆配列、または逆相補的なものを含む。
また、本発明は、本明細書に開示された配列の保存的変異体を含む。本明細書に使用される「変異体」という用語は、変異体の参照配列から1つもしくは複数のヌクレオチド塩基またはアミノ酸残基が異なるヌクレオチドまたはアミノ酸配列をいう。
従って、一つの方法では、本発明は、保存的変異体ポリヌクレオチドを含む。本明細書に使用される「保存的変異体ポリヌクレオチド」という用語は、ストリンジェント条件下において、相当する条件下で保存的変異体の参照遺伝子に対して結合するオリゴヌクレオチドプローブに対してハイブリダイズするポリヌクレオチドをいう。従って、たとえば、配列番号:1の保存的変異体は、ストリンジェント条件下で、相当する条件下で配列番号:1に対して結合するオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズする。たとえば、配列は、これらが6×SSC、0.5% SDS、5×デンハート液、および100μg非特異的キャリアDNAのハイブリダイゼーション溶液中で二本鎖複合体を形成するときに、ハイブリダイズすると考えられる。Ausubel et al., section 2.9, supplement 27(1994)を参照されたい。「適度なストリンジェンシー」は、60℃の温度、6×SSC、0.5% SDS、5×デンハート液、および100μg非特異的キャリアDNAのハイブリダイゼーション溶液中におけるものとして定義される。Id.「高ストリンジェンシー」ハイブリダイゼーション条件は、たとえば68℃、6×SSC、0.5% SDS、5×デンハート液、および100μg非特異的なキャリアDNAのハイブリダイゼーション溶液中におけるものである。Id.適度なストリンジェンシーハイブリダイゼーション反応に続いて、ヌクレオチドは、2×SSCさらに0.05%のSDSの溶液中で室温において5回洗浄し、その後0.1×SSCさらに0.1%のSDSで60℃において1時間洗浄する。
本発明の一つの局面は、これらのそれぞれの参照配列に対して少なくとも約75%の配列同一性を示す保存的変異体ポリヌクレオチドを提供する。「配列同一性」は、当技術分野において認識される意味を有し、公開された技術を使用して算出することができる。COMPUTATIONAL MOLECULAR BIOLOGY, Lesk, ed.(Oxford University Press, 1988)、BIOCOMPUTING:INFORMATICS AND GENOME PROJECT, Smith, ed.(Academic Press, 1993)、COMPUTER ANALYSIS OF SEQUENCE DATA, PART I, Griffin & Griffin, eds., (Humana Press, 1994)、SEQUENCE ANALYSIS IN MOLECULAR BIOLOGY, Von Heinje ed., Academic Press (1987)、SEQUENCE ANALYSIS PRIMER, Gribskov & Devereux, eds. (Macmillan Stockton Press, 1991)、Gish et al., J. Mol Biol. 215: 403 (1990);Gish and States, Nature Genet. 3: 266 (1993);Madden et al., Meth. Enzymol. 266:131 (1996);Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25: 3389 (1997);並びにZhang and Madden, Genome Res. 7: 649-656 (1997)、およびCarillo and Lipton, SIAM J. Applied Math. 48: 1073 (1988)を参照されたい。2つの配列間の同一性または類似性を決定するために一般に使用される方法は、GUIDE TO HUGE COMPUTERS, Bishop, ed., (Academic Press, 1994)、およびCarillo & Lipton, 前記に開示されたものを含むが、これに限定されない。
同一性および類似性を決定する方法は、コンピュータプログラムにおいて体系化される。2つの配列間の同一性および類似性を決定する好ましいコンピュータプログラム法は、GCGプログラムパッケージを含むが、これに限定されない(Devereux et al., Nucleic Acids Research 12: 387 (1984))、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul et al., J. mol Biol. 215:403 (1990))、およびFASTDB(Brutlag et al., Comp. App. Biosci.6: 237 (1990))。
本発明は、1〜29のいずれか1つに対して99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、または60%以上の配列同一性を有する保存的変異体ポリヌクレオチドを含む。このような変異体において、変異体と参照配列との間の相違は、参照ヌクレオチド配列の5'もしくは3'末端位置に、または個々の参照配列内の、または参照配列内の1つもしくは複数の隣接する群のヌクレオチド内のいずれかに散在されてこれらの末端位置間のどこでも生じることができる。
本発明によって想定され、および含まれるさらなる保存的変異体ポリヌクレオチドは、配列番号:1〜29のポリヌクレオチド配列、または合計総配列長の30%未満の欠失および/または挿入の結果としてのこれらの相補物、逆相補物、もしくは逆配列と異なる配列を含むポリヌクレオチドを含む。一つの態様において、欠失および/または挿入は、合計で全長の20%未満または10%未満になる。
また、本発明は、配列番号に対してこれらの一次構造(配列)に高度な類似性を共有することに加えて、以下の特徴の少なくとも1つを有する保存的変異体ポリヌクレオチドを含む:(i)これらはポリヌクレオチド合成の際に参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと同じ機能的特性を実質的に有するポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームもしくは部分的なオープンリーディングフレームを含むか、または(ii)これらは、共通してヌクレオチドドメインもしくはコードされるタンパク質ドメインを有する。本発明は、参照ポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質の酵素もしくは生物活性または結合特性を有するタンパク質をコードする配列番号:1〜29の保存的変異体を含む。このような保存的変異体は、これらが参照ポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質の酵素的または結合活性を有するという点において、機能的変異体である。
本発明によれば、ポリヌクレオチド変異体は、たとえば、米国特許第6,500,639号、第6,500,617号、第6,436,675号、第6,379,964号、第6,352,859号、第6,335,198号、第6,326,204号、および第6,287,862号に記載されているものなどの「混合された遺伝子(shuffled gene)」を含むことができる。また、本発明のヌクレオチド配列の変異体は、米国特許第6,132,970号(これは参照として本明細書に組み入れられる)に開示されたように、修飾されたポリヌクレオチドであることができる。
一つの態様によれば、本発明は、セルロースシンターゼおよびセルロースシンターゼ様タンパク質などの多糖体合成タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。配列番号:1〜29は、このようなポリヌクレオチドの例を提供する。
もう一つの態様によれば、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:1〜29のいずれかによってコードされるポリペプチドの、または配列番号:30-58のいずれかを含むポリペプチドの触媒ドメインもしくはタンパク質結合ドメインをコードする。本発明の多糖体合成タンパク質の触媒のおよびタンパク質結合ドメインは、当技術分野において公知である。これらのタンパク質の保存配列は、図1〜29において本文に下線を引いて示してある。
また、本発明は、上で論議した配列とは異なるが、遺伝暗号の縮重の結果として、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるものと同じであるポリペプチドをコードする保存的変異体ポリヌクレオチドを含む。また、本発明は、保存的変異体として、コードされるポリペプチド配列のアミノ酸配列に影響を及ぼさないか、またはコードされるポリペプチド配列における保存的置換を生じる置換の結果として、上で論議したポリヌクレオチドとは異なる配列を含むポリヌクレオチド配列を含む。
また、本発明は、配列番号:1〜29のいずれかを含むポリヌクレオチド、または上で議論したこれらの保存的変異体によってコードされる単離されたポリペプチドを含む。また、本発明は、配列番号:30〜58を含むポリペプチドおよびこれらのポリペプチドの保存的変異体を含む。
本発明によれば、変異体ポリペプチドまたはタンパク質は、1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失、または置換によって変更されたアミノ酸配列をいう。
本発明は、保存的変異体ポリペプチドを含む。本明細書に使用される「保存的変異体ポリペプチド」という用語は、その保存的変異体であるタンパク質と同様の構造的、化学的、または生物学的特性を有するポリペプチドをいう。どのアミノ酸残基を置換し、挿入し、または欠失することができるかを決定する際のガイダンスは、Vector NTI Suite(InforMax, MD)ソフトウェアなどの当技術分野において周知のコンピュータプログラムを使用して見出すことができる。本発明の一つの態様において、保存的変異体ポリペプチドは、これらのそれぞれの参照配列に対して少なくとも約75%の配列同一性を示す。
保存的変異体タンパク質は、ポリペプチドの「アイソフォーム」または「類似体」を含む。ポリペプチドアイソフォームおよび類似体は、同じ物理的および生理的特性、並びに同じ生物学的機能を有するが、そのアミノ酸配列が1つもしくは複数のアミノ酸だけ異なるか、またはその配列が非天然のアミノ酸を含むタンパク質をいう。
合計して総配列長の10%未満のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失の結果として配列番号:30〜58のポリペプチド配列と異なる配列を含むポリペプチドは、本発明によって想定され、かつ包含される。
本発明の一つの局面は、下記に記載されているものなどの1つまたは複数の適切なアッセイ法によって決定されるものとして、多糖体合成において機能する保存的変異体ポリペプチドを提供する。本発明は、活性化されたグルコースをセルロース重合体に変換することができるもの、およびグリコシルトランスフェラーゼの生物活性を有するペプチドをコードする遺伝子などのセルロースシンターゼまたはセルロースシンターゼ様タンパク質である変異体ポリペプチドを含む。上で議論したように、本発明は、多糖体合成タンパク質として機能するポリペプチドをコードする変異体ポリヌクレオチドを含む。
多糖体合成タンパク質の活性および物性は、当技術分野において公知の任意の方法を使用して検査することができる。以下のアッセイ法の例は、網羅的ではなく、多糖体合成タンパク質変異体の活性を検査し、およびタンパク質特徴を区別する際にいくらかのガイダンスを提供することが含まれる。
セルロースシンターゼ活性は、たとえば、Blanton et al, Planta 180:324 (1990)およびBlanton, Development 119:703 (1993)に記載されたとおりに評価することができる。
グリコシルトランスフェラーゼ活性は、たとえば、Stults et al., Anal. Biochem. 174:151 (1988)、Stults et al., Arch. Biochem. Biophys. 280:20-26 (1990)、Stults and Macher, Arch. Biochem. Biophys. 303:125(1993)、4)Crawley et al., Anal. Biochem. 185:112 (1990)、およびYan et al., Anal. Biochem. 223:111 (1994)に記載されたとおりに検査することができる。
2.多糖体合成遺伝子、ポリヌクレオチド、およびポリペプチド配列を使用する方法
本発明は、多糖体合成遺伝子およびこれらの保存的変異体を使用する方法を提供する。本発明は、セルロースシンターゼおよびセルロースシンターゼ様遺伝子および/または以下を含む目的(しかし、限定されない)のための遺伝子産物の発現を変化させるための方法、並びに構築物を含む:(i)多糖体合成の間の機能および植物表現型に対する最終的な効果を調査すること、並びに(ii)植物表現型の変化を生じさせること。たとえば、本発明は、1つまたは複数の多糖体合成遺伝子の発現を変化させることによって、木材品質、繊維発達、細胞壁多糖体含量、果物成熟、並びに植物成長および収率を修飾するための方法およびツールを含む。
本発明は、多糖体合成遺伝子および上で論議した変異体のいずれかの発現を変化させる方法を含む。従って、たとえば、本発明は、ユーカリ属またはマツ属の種の野生型植物のゲノムに存在する多糖体合成遺伝子の発現を変化させることを含む。一つの態様において、多糖体合成遺伝子は、上で議論したように、配列番号:1〜29の配列またはこれらの保存的変異体から選択されるヌクレオチド配列を含む。
遺伝子発現を変化させるために本発明に従って使用することができる技術は、以下を含むが、これらに限定されない:(i)遺伝子産物を過剰発現すること、(ii)遺伝子のmRNA転写物を破壊するなどの遺伝子の転写物を破壊すること;(iii)遺伝子によってコードされるポリペプチドの機能を破壊すること、または(iv)遺伝子自体を破壊すること。遺伝子産物の過剰発現、アンチセンスRNAの使用、リボザイム、および二重鎖RNA干渉(dsRNAi)の使用は、遺伝子の機能効果を発見するための、および同種の野生型植物から異なる表現型をもつ植物を作製するための有益な技術である。
標的遺伝子の過剰発現は、たいてい遺伝子またはcDNAを発現ベクターにクローン化すること、およびベクターを受容細胞に導入することによって達成される。または、過剰発現は、ゲノム内にある遺伝子の発現を駆動するための外来性プロモーターを細胞に導入することによって達成することができる。次いで、遺伝子を過剰発現するように形質転換された植物を、遺伝子を過剰発現するように形質転換されなかった植物と比較することによって、細胞機能、生化学的および/または生理学的特性に対する所与の遺伝子の過剰発現の効果を評価することができる。
アンチセンスRNA、リボザイム、およびdsRNAi技術は、典型的には遺伝子のRNA転写物、通常mRNAをターゲットする。アンチセンスRNA技術は、細胞内の特定のmRNAにおいて見いだされる配列に対して相補的か、もしくはアンチセンスであるRNA分子(またはRNA誘導体)を細胞内に発現すること、または導入することを含む。mRNAと会合することによって、アンチセンスRNAは、コードされた遺伝子産物の翻訳を阻害することができる。特定の植物遺伝子の発現を減少させ、または阻害するためのアンチセンス技術の使用は、たとえば欧州特許公開第271988号、Smith et al., Nature, 334:724-726 (1988);Smith et. al., Plant Mol. Biol., 14:369-379 (1990)に記載されている。
リボザイムは、触媒のドメインと特定のmRNAに対する相補配列の両方を有するRNAである。リボザイムは、mRNA(リボザイムの相補ドメインを介して)と結合すること、および触媒ドメインを使用してメッセージを切断する(分解する)ことによって機能する。
RNA干渉(RNAi)は、標的遺伝子自体の新規の転写率を変化することなく、定常状態レベルの特定のmRNAを、転写され、通常は完全にプロセスされたmRNAの配列特異的分解によって減少させるという転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)調節プロセスを含む。RNAi技術は、たとえば、Elibashir, et al., Methods Enzymol. 26: 199 (2002); McManus & Sharp, Nature Rev. Genetics 3: 737 (2002);PCT出願国際公開公報第01/75164号; Martinez et al., Cell 110:563 (2002); Elbashir et al., 前記; Lagos-Quintana et al., Curr. Biol. 12:735 (2002); Tuschl et al., Nature Biothechnol. 20:446 (2002); Tuschl, Chembiochem. 2: 239 (2001); Harborth et al., J. Cell Sci. 114: 4557 (2001); et al., EMBO J. 20:6877 (2001); Lagos-Quintana et al., Science. 294: 8538 (2001); Hutvagner et al., Ioc cit, 834; Elbashir et al., Nature. 411:494 (2001)において論議される。
本発明は、配列番号:1〜29のポリヌクレオチドまたは上で議論した保存的変異体などのこれらの保存的変異体の少なくとも1つを含むDNA構築物を提供する。当技術分野において公知の任意の方法を使用して、本発明のDNA構築物を作製することができる。たとえば、Sambrook et al., 前記を参照されたい。
本発明は、任意にプロモーターを含むDNA構築物を含む。当技術分野において公知の任意の適切なプロモーターを使用することができる。プロモーターは、RNAポリメラーゼおよび/またはその他の転写調節エレメントに結合する核酸、好ましくはDNAである。任意のプロモーターと同様に、本発明のプロモーターにより、DNAもしくはRNAの転写を容易にし、または制御して、プロモーターに作動可能に連結された核酸分子からmRNA分子を産生する。RNAは、タンパク質もしくはポリペプチドをコードすることができ、またはアンチセンスRNA分子もしくはRNAiに有用な分子をコードすることができる。本発明において有用なプロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、時間的調節性プロモーター、および組織優先(tissue-preferred)プロモーターを含む。
有用な構成的植物プロモーターの例は:大部分の植物組織において構成的高レベル発現を与えるカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター(Odel et al. Nature 313:810 (1985));ノパリンシンターゼプロモーター(An et al. Plant Physiol. 88:547 (1988));およびオクトピンシンターゼプロモーター(Fromm et al., Plant Cell 1:977 (1989))を含む。CaMV 35Sプロモーターは、一般に構成的プロモーターと称されるが、いくつかの組織優先性が見られたことに留意されたい。CaMV 35Sの使用は、本発明における用途の間に任意の組織優先性を呈するかもしれないにもかかわらず、本発明によって構想される。
誘導性プロモーターは、環境的、ホルモン的、または化学的シグナルに応答して遺伝子発現を制御する。ホルモン誘導性プロモーターの例は、オーキシン誘導性プロモーター(Baumann et al. Plant Cell 11:323-334 (1999))、サイトカイニン誘導性プロモーター(Guevara-Garcia, Plant Mol. Biol. 38:743-753 (1998))、およびジベレリン応答性プロモーター(Shi et al. Plant Mol. Biol. 38:1053-1060 (1998))を含む。さらに、熱、光、傷、病原体耐性、およびジャスモン酸メチルまたはサリチル酸などの化学物質に応答するプロモーターを本発明のDNA構築物および方法に使用することもできる。
組織優先プロモーターにより、一定の植物組織において本発明のポリヌクレオチドを優先発現(preferred expression)することができる。また、組織優先プロモーターは、一定の植物組織においてアンチセンスRNAまたはsiRNAの発現を指揮するために有用であり、上で議論したようにターゲットされる遺伝子の発現を阻害し、または完全にブロックするために有用であり得る。本明細書に使用される維管束植物組織は、木部、師部、または維管束形成層組織をいう。その他の好ましい組織は、頂端分裂組織、根、種子、および花を含む。一つの局面において、本発明の組織優先プロモーターは、「木部優先型」、「形成層優先型」、または「師部優先型」であり、それぞれ木部、形成層、または師部において作動可能に連結された核酸配列の発現を優先的に指揮する。もう一つの局面において、本発明のDNA構築物は、木部、形成層、または師部に組織特異的であるプロモーターであって、木部、形成層、または師部においてのみ活性なプロモーターを含む。
維管束優先プロモーターは、木部、師部、もしくは形成層組織のいずれかにおいて、または3つの組織型のうちの少なくとも2つにおいて優先して活性である。維管束特異的なプロモーターは、木部、師部、または形成層のいずれかにおいて、または3つのうちの少なくとも2つにおいて特異的に活性である。言い換えると、プロモーターは、植物の木部、形成層、または師部組織において活性なだけである。しかし、植物における溶質移行のために、組織に特異的または優先的に発現される産物は、発現が生じた後に植物の他の場所に見いだされてもよいことに留意されたい。
加えて、特定の多糖体合成遺伝子のプロモーターが、二次的維管束構造を発達して形成層内にのみ発現されてもよい。形成層内において、特定の多糖体合成遺伝子プロモーターが、幹において、または根においてのみ発現されてもよい。さらに、多糖体合成プロモーターは、春(春材形成のために)においてのみ、または夏においてのみ発現されてもよい。
プロモーターは、ポリヌクレオチドに作動可能に連結されてもよい。本前後関係において使用される、「作動可能に連結された」とは、プロモーターが構造遺伝子の転写を制御するようにプロモーターに対して構造遺伝子をコードするポリヌクレオチドを連結することをいう。所望のポリヌクレオチドがタンパク質産物をコードする配列を含む場合、コード領域は、プロモーターおよびターミネーターに対してなど、調節エレメントに対して作動可能に連結させて、所望のポリヌクレオチドによってコードされる関連してメッセンジャーRNA転写物および/またはタンパク質産物の発現をもたらすことができる。この場合、ポリヌクレオチドは、プロモーター、および任意にターミネーター配列に対して5'-3'配向で作動可能に連結される。
または、本発明は、その転写が、植物細胞における内因性多糖体合成遺伝子の発現に影響を及ぼす二次構造を形成することができる核酸を産生する「アンチセンス」配向にポリヌクレオチドを含むDNA構築物を提供する。もう一つの変形において、DNA構築物は、転写によりポリヌクレオチドが結合する多糖体合成遺伝子のRNA干渉を開始する二重鎖RNA産物を産生するポリヌクレオチドを含んでもよい。本発明のポリヌクレオチドは、左右のt-DNA辺縁配列がポリヌクレオチドに隣接するか、または両側にあるように、t-DNA内に配置することができる。
本発明は、上で論議したポリヌクレオチドの任意の1つまたは複数を含むDNA構築物を含むことが理解される。従って、たとえば、構築物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはより多くのポリヌクレオチドを含むt-DNAを含んでもよい。
また、本発明は、1つまたは複数の調節エレメントを含むプロモーターを含むDNA構築物を含む。また、本発明は、プロモーターと別の調節エレメントを含むDNA構築物を含む。調節エレメントは、プロモーター領域に多くの重要な特徴を与える。いくつかのエレメントは、作動可能に連結された核酸の転写の割合を増強する転写因子に結合する。その他のエレメントは、転写活性を阻害するリプレッサーに結合する。プロモーター活性に対する転写因子の効果により、プロモーター活性が高いか低いか、すなわちプロモーターが、「強い」か「弱い」かを決定することができる。
本発明のDNA構築物は、形質転換植物細胞または植物を同定し、選択する際に有用な選択可能なマーカーとして役立つヌクレオチド配列を含むことができる。このようなマーカーの例は、カナマイシン耐性を与えるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(nptll)遺伝子(Potrykus et al., Mol. Gen. Genet. 199:183-188 (1985))を含むが、これらに限定されない。nptll遺伝子を発現している細胞は、カナマイシンまたはG418などの適切な抗生物質を使用して選択することができる。その他の一般に使用される選択可能なマーカーは、グリフォセート耐性を与える変異体EPSPシンターゼ遺伝子(Hinchee et at.. Bio/Technology 6 :915-922の(1988));およびイミダゾリノンまたはスルホニルウレア耐性を与える変異体アセト乳酸塩シンターゼ遺伝子(ALS)に組織特異的であるプロモーターを含む(欧州特許出願第154,204号)。
また、本発明は、上で論議したDNA構築物を含むベクターを含む。ベクターは、特定の宿主細胞のために複製開始点(レプリコン)を含むことができる。種々の原核生物のレプリコンが当業者に公知であり、原核生物宿主細胞において直接自律増殖および組換え分子の維持を指揮するように機能する。
たとえば、pMON530は、プラスミドベクターである双子葉植物の形質転換に使用するためのアグロバクテリウムに基づいた植物形質転換ベクターである(Rogers et al. " Improved vectors for plant transformation: expression cassette vectors and new selectable markers. , " in METHODS IN ENZYMOLOGY. Ed. R. Wu and L. Grossman. p253-277. San Diego: Academic Press)。もう一つの有用なプラスミドは、pMON530、pMON505の誘導体であり、pMON316の2.3kbのStuI-HindIII断片をpMON526に導入することによって調製される。プラスミドpMON526は、SmaI部位がXmaIでの消化、クレノーポリメラーゼでの処理、およびライゲーションによって除去されているpMON505の単純な誘導体である。プラスミドpMON530は、pMON505およびCaMV35S-NOS発現カセットの全ての特性を保持するが、プロモーターとポリアデニル化シグナルとの間にSmalのための独特の切断部位を含む。
バイナリーベクターpMON505は、pMON200の誘導体であり(Rogers et al., 前記)、Tiプラスミド相同性領域、LIHが、ミニRK2プラスミド、pTJS75の3.8kbのHindIII-SmaIセグメントで置換されている(Schmidhauser and Helinski. (1985) J. Bacteriol. 164-155)。このセグメントは、RK2複製開始点oriVと、三親性接合法を使用してアグロバクテリウムに接合するための転移起源oriTとを含む。Horsch and Klee., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 83:4428 (1986)。プラスミドpMON505は、所望のDNA断片を挿入するための合成マルチリンカー、植物細胞におけるカナマイシン耐性のためのキメラNOS/NPTII'/NOS遺伝子、大腸菌(E. coli)およびA.チュメファシエンス(A. tumefaciens)における選択のためのスペクチノマイシン/ストレプトマイシン耐性決定要素、形質転換体の安易なスコアリングおよび子孫における継承のための無処置のノパリンシンターゼ遺伝子、並びに大腸菌において大量のベクターを作製する際に容易にするためのpBR322複製開始点を含む、pMON200の全ての重要な特徴を保持する。プラスミドpMON505は、pTiT37ノパリン型T-DNAの右端に由来する単一のT-DNA辺縁を含む。サザンブロット解析により、プラスミドpMON505およびこれを有する任意のDNAが、植物ゲノムに組み込まれる、すなわち、完全なプラスミドが、植物ゲノムに挿入されたT-DNAであることを証明する。組み込まれたDNAの一端は、右辺縁配列とノパリンシンターゼ遺伝子との間に位置し、他端は、辺縁配列とpBR322配列との間にある。
特に有用なTiプラスミドカセットベクターは、pMON17227である。このベクターは、国際公開公報第92/04449号に記載されており、ジャガイモおよびトマトを含む多くの植物のための優れた選択マーカー遺伝子であるグリフォセート耐性を与える酵素をコードする(CP4と命名された)遺伝子を含む。遺伝子は、シロイヌナズナEPSPS葉緑体輸送ペプチド(CTP2)に融合され、選択のプロモーターによって発現が駆動される。
一つの態様において、本発明は、図30に示したとおりのpWVR8ベクターまたはGleave, Plant Mol. Biol., 20:1203-27(1992)に記載された、および図31に示したとおりのpART27を利用する。
また、本発明は、本発明のDNA構築物で形質転換された宿主細胞を提供する。本明細書に使用される宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチドが発現される細胞をいう。従って、宿主細胞は、個々の細胞、細胞培養、または生物体の一部の細胞であることができる。また、宿主細胞は、胚、胚乳、精子もしくは卵子、または受精卵の一部であることができる。一つの態様において、宿主細胞は、植物細胞である。
本発明は、さらに、本発明のDNA構築物を含むトランスジェニック植物を提供する。本発明は、被子植物または裸子植物であるトランスジェニック植物を含む。本発明のDNA構築物は、種々の植物、単子葉類(たとえば、イネ科草本、トウモロコシ、穀物、カラスムギ、コムギ、およびオオムギ)、双子葉類(たとえば、シロイヌナズナ、タバコ、マメ科植物、アルファルファ、オーク、ユーカリ、カエデ)の両方、並びに裸子植物(たとえば、ヨーロッパアカマツ;Aronen, Finnish Forest Res. Papers, Vol. 595, 1996を参照されたい)、ホワイトスプルース(Ellis et al., Biotechnology 11:84-89, 1993)、およびカラマツ(Huang et al., In Vitro Cell 27:201-207, 1991)を形質転換するために使用することができる。
また、植物は、芝草、コムギ、トウモロコシ、米、テンサイ、ジャガイモ、トマト、レタス、ニンジン、イチゴ、カッサバ、サツマイモ、ゼラニウム、ダイズ、および様々な形態の木本を含む。木本は、パームオーク、マツ、カエデ、モミ、リンゴ、イチジク、プラムおよびアカシアなどの樹木を含む。また、木本は、バラおよびブドウのつるを含む。
一つの態様において、本発明のDNA構築物は、木本、すなわち幹が多年間生きて、木質組織の付加によって各年直径を増大する樹木または潅木を形質転換するために使用される。本発明は、ユーカリプタス・グランディスおよびそのハイブリッド、並びにタエダマツからなる群より選択される植物などの商業的林産業において重要性のあるユーカリおよびマツ種を含む植物を形質転換する方法、並びに形質転換された植物、およびこれに由来する木材および木材パルプを含む。適切な植物のその他の例は、パイヌス・バンクシアナ(Pinus banksiana)、パイヌス・ブルチア(Pinus brutia)、パイヌス・カリバエ(Pinus caribaea)、パイヌス・クラウサ(Pinus clausa)、パイヌス・コントルタ(Pinus contorta)、パイヌス・コウルテリ(Pinus coulteri)、パイヌス・エチナタ(Pinus echinata)、パイヌス・エルダリカ(Pinus eldarica)、パイヌス・エリオチ(Pinus ellioti)、パイヌス・ジェフレイ(Pinus jeffreyi)、パイヌス・ラムベルチアナ(Pinus lambertiana)、パイヌス・マソニアナ(Pinus massoniana)、パイヌス・モンチコラ(Pinus monticola)、パイヌス・ニグラ(Pinus nigra)、パイヌス・パルストリス(Pinus palustris)、パイヌス・ピナステル(Pinus pinaster)、パイヌス・ポンデローサ(Pinus ponderosa)、パイヌス・ラジアータ、パイヌス・レシノサ(Pinus resinosa)、パイヌス・リギダ(Pinus rigida)、パイヌス・セロチナ(Pinus serotina)、ストローブマツ(Pinus strobus)、パイヌス・シルベストリス(Pinus sylvestris)、タエダマツ(Pinus taeda)、パイヌス・ビルギニアナ(Pinus virginiana)、アビエス・アマビリス(Abies amabilis)、アビエス・バルサメア(Abies balsamea)、アビエス・コンコロル(Abies concolor)、アビエス・グランディス(Abies grandis)、アビエス・ラシオカルパ(Abies lasiocarpa)、アビエス・マグニフィカ(Abies magnifica)、アビエス・プロセラ(Abies procera)、カメシパレス・ラウソニオナ(Chamaecyparis lawsoniona)、カメシパレス・ノオトカテンシス(Chamaecyparis nootkatensis)、カメシパレス・シオイデス(Chamaecyparis thyoides)、ユニペルス・ニルギニアナ(Juniperus virginiana)、ラリキス・デシヂュア(Larix decidua)、ラリキス・ラリシナ(Larix laricina)、ラリキス・レプトレピス(Larix leptolepis)、ラリキス・オクシデンタリス(Larix occidentalis)、ラリキス・シベリカ(Larix siberica)、リボセドラス・デクレンス(Libocedrus decurrens)、ピセア・ルベンス(Picea abies)、ピセア・エンゲルマニ(Picea engelmanni)、ピセア・グラウカ(Picea glauca)、ピセア・マリアナ(Picea mariana)、ピセア・プンゲンス(Picea pungens)、ピセア・ルベンス(Picea rubens)、ピセア・シシェンシス(Picea sitchensis)、プソイドツガ・メンジエシ(Pseudotsuga menziesii)、セコイア・ギガンテア(Sequoia gigantea)、セコイア・センペルビレンス(Sequoia sempervirens)、タキソジウム・ジスチカム(Taxodium distichum)、ツガ・カナデンシス(Tsuga canadensis)、ツガ・ヘテロフィラ(Tsuga heterophylla)、ツガ・メルテンシアナ(Tsuga mertensiana)、ツジャ・オシデンタリス(Thuja occidentalis)、ツジャ・プリカタ(Thuja plicata)、ユーカリプタス・アルバ(Eucalyptus alba)、ユーカリプタス・バンクロフチ(Eucalyptus bancroftii)、ユーカリプタス・ボトリオイデス(Eucalyptus botryoides)、ユーカリプタス・ブリッジシアナ(Eucalyptus bridgesiana)、ユーカリプタス・カロフィラ(Eucalyptus calophylla)、ユーカリプタス・カマヂュレンシス(Eucalyptus camaldulensis)、ユーカリプタス・シトリオドラ(Eucalyptus citriodora)、ユーカリプタス・クラドカリクス(Eucalyptus cladocalyx)、ユーカリプタス・コッキフェラ(Eucalyptus coccifera)、ユーカリプタス・クルチシ(Eucalyptus curtisii)、ユーカリプタス・ダルリンプレアナ(Eucalyptus dalrympleana)、ユーカリプタス・デグルプタ(Eucalyptus deglupta)、ユーカリプタス・デラガテンシス(Eucalyptus delagatensis)、ユーカリプタス・ジベルシカラー(Eucalyptus diversicolor)、ユーカリプタス・ヂュニイ(Eucalyptus dunnii)、ユーカリプタス・フィチフォリア(Eucalyptus ficifolia)、ユーカリプタス・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ユーカリプタス・ゴンフォセファラ(Eucalyptus gomphocephala)、ユーカリプタス・グニイ(Eucalyptus gunnii)、ユーカリプタス・ヘンリイ(Eucalyptus henryi)、ユーカリプタス・レボピネア(Eucalyptus laevopinea)、ユーカリプタス・マカルスリ(Eucalyptus macarthurii)、ユーカリプタス・マクロリンカ(Eucalyptus macrorhyncha)、ユーカリプタス・マクラタ(Eucalyptus maculata)、ユーカリプタス・マルギナタ(Eucalyptus marginata)、ユーカリプタス・メガカルパ(Eucalyptus megacarpa)、ユーカリプタス・メリオドラ(Eucalyptus melliodora)、ユーカリプタス・ニコリイ(Eucalyptus nicholii)、ユーカリプタス・ニテンス(Eucalyptus nitens)、ユーカリプタス・ノバ-アンゼリカ(Eucalyptus nova-angelica)、ユーカリプタス・オブリクア(Eucalyptus obliqua)、ユーカリプタス・オクシデンタリス(Eucalyptus occidentalis)、ユーカリプタス・オブツシフロラ(Eucalyptus obtusiflora)、ユーカリプタス・オレアデス(Eucalyptus oreades)、ユーカリプタス・パウシフロラEucalyptus pauciflora)、ユーカリプタス・ポリブラクタ(Eucalyptus polybractea)、ユーカリプタス・レグナンス(Eucalyptus regnans)、ユーカリプタス・レシニフェラ(Eucalyptus resinifera)、ユーカリプタス・ロブスタ(Eucalyptus robusta)、ユーカリプタス・ルディス(Eucalyptus rudis)、ユーカリプタス・サリグナ(Eucalyptus saligna)、ユーカリプタス・シデロキシロン(Eucalyptus sideroxylon)、ユーカリプタス・スツアルチアナ(Eucalyptus stuartiana)、ユーカリプタス・テレチコルニス(Eucalyptus tereticornis)、ユーカリプタス・トレリアナ(Eucalyptus torelliana)、ユーカリプタス・ウルニゲラ(Eucalyptus urnigera)、ユーカリプタス・ウロフィラ(Eucalyptus urophylla)、ユーカリプタス・ヴィミナリス(Eucalyptus viminalis)、ユーカリプタス・ヴィリディス(viridis)、ユーカリプタス・ワンドゥー(Eucalyptus wandoo)、およびユーカリプタス・ユーマンニ(Eucalyptus youmanni)からなる群より選択したものを含む。
また、本明細書に使用される「植物」という用語は、植物の果実、種子、花、球花等を含むことが企図される。本発明の形質転換植物は、アグロバクテリウムを介してのようにDNA構築物が直接植物内に導入されたことを意味する、形質転換体に向けることができ、植物は、トランスフェクトされた植物の子孫であることができる。第二世代またはその後の世代の植物は、有性生殖、すなわち受精によって作製することができる。さらに、植物は、配偶体(単相体段階)または胞子体(二倍体段階)であることができる。
また、本明細書に使用される「植物組織」という用語は、植物細胞を含む植物の任意の部分を包含する。植物細胞は、懸濁培養液、カルス、胚、生長領域、カルス組織、葉、根、シュート、配偶体、胞子体、花粉、種子、および小胞子を含む。植物組織は、液体もしくは固体培養において、または土壌もしくはポット内の適切な媒体、温室、および農地において成長させることができる。また、本明細書に使用される「植物組織」という用語は、有性生殖的に、または無性生殖的に生じたかどうかにかかわらず、植物、種子、子孫、または栄養繁殖体のクローン、および切穂または種子などのこれらの任意の子孫をいう。
本発明の一つの局面に従って、本発明のDNA構築物で形質転換されたトランスジェニック植物は、DNA構築物で形質転換されなかった植物とは異なる表現型を有する。
本明細書に使用される「表現型」は、本発明に従って、植物の少なくとも1つの植物細胞のゲノム内に、本発明の1つもしくは複数のDNA構築物を組み込むことによって変化させることができる植物の識別特徴または特徴をいう。DNA構築物は、形質転換植物細胞または全体として植物の遺伝的、分子的、生化学的、生理的、形態学的、もしくは農学的特徴または特性のいくつかの任意の1つもしくは複数を修飾することによって形質転換植物の表現型に変化を与えることができる。
たとえば、セルロースシンターゼ様タンパク質は、植物成長に関与することが示された(Favery et al., Genes Dev. 15:79 (2001))。従って、植物細胞増殖は、1つまたは複数の多糖体合成遺伝子の発現を変化することにより、植物における多糖体のレベルを変化させることによって調整することができる。植物細胞増殖は、植物細胞壁のゆるみ、および植物細胞の膨圧による膨張を介して達成される。植物細胞壁のゆるさと細胞の膨圧との関係により、その結果として細胞壁がよりゆるくなるには、膨張するために少ない膨圧を必要とし、一方、強力な細胞壁は、膨張するためにより多くの膨圧を必要とする。このように、本発明のポリヌクレオチドは、多糖体合成のレベルを調整し、したがって植物成長を媒介するために使用することができる。
同様に、乾燥またはストレス条件下では、植物細胞の膨圧および多糖体合成の両方が減少する。Ray, Curr. Topics in Plant Biochem. & Phys. 11:18-41 (1992)。従って、低膨圧と細胞壁の強度との間の関係は、増殖を防げるか、または減速させる。従って、多糖体遺伝子発現を変化させることによって多糖類合成を増大することにより、乾燥条件などの膨圧の減少を生じる条件において、植物細胞壁をゆるめることができ、かつ増殖させることができる。さらに、ストレス応答性プロモーターの使用により、本発明の多糖体シンターゼの発現を調節できる(米国特許第5,891,859号;米国特許第5,929,305号;米国特許第5,965,705号;米国特許第5,892,009号を参照されたい)。
一つの態様において、本発明のDNA構築物での植物の形質転換により、乾燥耐性の増大、除草剤耐性、高さの減少または増大、枝分かれの減少または増大、寒冷および霜耐性の増強、成長力の改善、色の増強、健康および栄養的な特性の増強、貯蔵の改善、収率の増大、耐塩性の増強、壊変に対する木材の耐性の増強、真菌症に対する耐性の増強、害虫に対する誘引性の変化、耐病性の増強、昆虫耐性の増強、水ストレス耐性の増強、木目の改善、発芽の増大、微量栄養素取り込みの増大、新規樹脂の産生、および新規タンパク質またはペプチドの産生を含む(しかし、これらに限定されない)いずれか1つまたは複数の表現型を得ることができる。
もう一つの態様において、影響を受ける表現型は、以下の特徴の1つまたは複数を含む:DNA構築物で形質転換されなかった同種の植物と比較して、あて材を形成する性向、幼若期の減少、幼若期の増大、自己離層形成によって脱落する枝、生殖発生の促進、または生殖発生の遅延。
さらなる態様において、トランスジェニック植物において異なる表現型は、以下の1つまたは複数を含む:リグニン品質、リグニン構造、木材組成、木材外観、木材密度、木材強度、木材剛性、セルロース重合、繊維寸法、内腔サイズ、放射組織の比率、導管要素の比率、その他の植物成分、植物細胞分裂、植物細胞発生、単位面積あたりの細胞数、細胞サイズ、細胞形態、細胞壁組成、木材形成率、木材の美的外観、幹欠陥(stem defect)の形成、平均ミクロフィブリル角度、S2細胞壁層の幅、成長率、枝栄養発生に対する根の根形成比の割合、葉面積指数、および葉形。
表現型は、任意の適切な手段によって評価することができる。植物は、これらの一般的形態に基づいて評価することができる。トランスジェニック導入植物は、肉眼で観察することができ、重さを量り、およびこれらの高さを測定することができる。植物は、植物組織、すなわち、師部および形成層の個々の層を単離することによって検査することができ、これは、分裂組織細胞、初期膨張、後期膨張、二次壁形成、および後期細胞成熟にさらに区分される。たとえば、Hertzberg、前記を参照されたい。また、植物は、顕微鏡分析または化学分析を使用して評価することができる。
顕微鏡分析は、細胞型、発症段階、並びに組織および細胞による染色液取り込みを検査することを含む。木材パルプ繊維の繊維壁厚およびミクロフィブリル角度などの繊維形態は、たとえば、顕微鏡伝達エリプソメトリーを使用して観察することができる。Ye and Sundstrom, Tappi J., 80:181 (1997)を参照されたい。湿った木材および立っている樹木の木材強度、密度、および木目勾配は、多変量解析と連動して可視および近赤外線スペクトルデータを測定して決定することができる。米国特許出願公開第2002/0107644号および第2002/0113212号を参照されたい。内腔サイズは、走査型電子顕微鏡を使用して測定することができる。リグニン構造および化学特性は、Marita et al., J. Chem. Soc., Perkin Trans.I 2939(2001)に記載された核磁気共鳴分光法を使用して観察することができる。
リグニン、セルロース、炭水化物、およびその他の植物抽出物の生化学特性は、分光光度法、蛍光分光学法、HPLC、質量分析法、および組織染色法を含む公知の任意の標準的な分析法によって評価することができる。
本明細書に使用される「形質転換」は、核酸が植物細胞のゲノム内に挿入されるプロセスをいう。このような挿入は、植物細胞への安定な導入および子孫への伝達を含む。また、形質転換は、生じる形質転換体が核酸を一過性に発現する核酸の一過性挿入をいう。形質転換は、当技術分野において周知の種々の方法を使用して天然または人工の条件下で起こすことができる。たとえば、Glick and Thompson, eds., METHODS IN PLANT MOLECULAR BIOLOGY,CRC Press, Boca Raton, Fla. (1993)を参照されたい。形質転換は、アグロバクテリウム属を媒介した形質転換プロトコル(たとえば、Horsch et al, Science, 227:1229-31 (1985)を参照されたい)、ウイルス感染、ウィスカー、電気穿孔法(たとえば、Rhodes et al., Science 240 (4849):204-207 (1988)を参照されたい)、微量注入、ポリエチレングリコール処理(たとえば、Lyznik et al., Plant Mol. Biol. 13:151-161 (1989)を参照されたい)、熱ショック、リポフェクション、および微粒子銃(たとえば、Klein et al., Plant Physiol. 91:440-444 (1989)および Boynton et al., Science 240 (4858):1534-1538 (1988)を参照されたい)を含む、原核生物または真核生物宿主細胞内へ核酸配列を挿入するための任意の公知の方法によって達成することができる。また、形質転換は、たとえばSvab et al., Proc. Natl Acad. Sci. 87:8526-30 (1990)に記載されたように葉緑体形質転換を使用して達成することができる。
植物形質転換ストラテジーは、たとえば米国特許第5,159,135号(綿)、第5,981,840号(トウモロコシ)、第5,914,451号(ダイズ)、および国際公開公報第00/12715号(ユーカリ)に記載されており、これらの全体が参照として組み入れられる。さらなる植物形質転換ストラテジーおよび技術は、Birch, R. G., Ann. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 48:297 (1997) および Forester et al., Exp. Agric. 33:15-33 (1997)において概説されており、これらの全体が参照として組み入れられる。
樹木種を形質転換するための方法は、当技術分野において周知である。本発明の一つの態様によれば、ユーカリ属外植片の遺伝子型非依存的な形質転換およびトランスジェニック子孫の作製は、アグロバクテリウム属を使用する形質転換によって達成することができる。樹木外植片は、形質転換前に集めてプレカルチャー培地で培養することができるが、必要ではない。プレカルチャー培地が必要ではないが、このような培地の使用により、形質転換効率および植物再生を増大することができる。プレカルチャー培地は、アグロバクテリウム属での形質転換前に植物外植片を培養することができる栄養培地である。任意のプレカルチャー培地および培養期間を使用することができる。プレカルチャー培地は、アセトシリンゴンなどのアグロバクテリウム属誘導因子を含む。プレカルチャー培地は、任意に、オーキシンおよびサイトカイニンを含む植物生長調整剤を含むことができる。プレカルチャー培地は、木本培地(Woody Plant Medium;WPM)塩(Lloyd and McCown, Combined Proceedings of the International Plant Propagators Society, 30:421-427, 1980)、ムラシゲ(Murashige)およびスクーグ(Skoog)培地(Sigma Aldrich, St. Louis, MO)、またはLepoivre培地を含む(しかし、これらに限定されない)適切な塩培地を使用して調製することができる。プレカルチャー培地は、たとえばアセトシリンゴンなどのアグロバクテリウム属誘導因子を含むことができる。任意に、プレカルチャー培地は、オーキシン、サイトカイニン、またはオーキシンおよびサイトカイニンの両方を含むことができる。例示的な植物プレカルチャー培地を以下に示す。
Figure 2006526990
この形質転換法では、植物外植片を暗所のプレカルチャー培地で4日プレカルチャーすることができる。アグロバクテリウム属誘導培養液は、当技術分野において公知の方法によって調製することができる。誘導培養液は、植物外植片に適用される。外植片は、外植片に対するアグロバクテリウム属培養液の適用、真空浸潤、花の浸漬、その他によって形質転換することができる。形質転換に続いて、アグロバクテリウム属培養液で処理した外植片は、明るいまたは暗い条件下で2〜10日間アグロバクテリウム属とともに共培養することができる。一つの態様において、外植片は、明るいまたは暗い条件下でアグロバクテリウム属と共に4日間共培養される。
共培養に続いて、外植片を400mg/Lのチメンチンと共に再生培地に移すことができる。外植片は、選択培地に移す前に再生培地で培養することができる。一つの態様において、外植片は、4日間再生培地で培養される。任意の適切な選択培地を使用することができる。一つの態様において、選択培地は、チメンチンおよび除草剤選択薬を補った再生培地である。下記の表は、例示的な再生培地を提供する。
Figure 2006526990
Figure 2006526990
選択に生き残ったシュート凝集塊は、除草剤およびチメンチンを含む再生培地で維持される。シュート凝集塊は、シュートが増殖し、最初に伸びるまで、移すことができる。一つの態様において、シュート凝集塊は、3週ごとに移される。
たとえば、GFP、ルシフェラーゼ、またはGUSなどの任意のリポーター遺伝子を使用することができる。
一つの態様において、GUS染色を行ってアグロバクテリウム属感染の頻度をモニターすること、および選択されたシュートが漏出またはキメラではないことを確認することができる。再生されたシュートからの葉および茎組織は、リポーター遺伝子発現のために、シュート発生してすぐに染色することができる。たとえば、GUS活性を決定するために、外植片を100mMリン酸緩衝液(pH 7.0)、0.05%ジメチルスルホキシド、0.05% TritonX-100、10mM EDTA、0.5mMフェロシアン化カリウム、および1.5mg/ml 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-gluc)を含む基質中でインキュベートすることができる。次いで、外植片は、10分真空に供した後、GUS病巣を計数する前に37℃で一晩インキュベーションすることができる。
もう一つの態様によれば、マツ属の形質転換は、米国特許出願公開第2002/0100083号に記載されている方法を使用して達成される。
本発明のもう一つの態様は、本発明のDNA構築物で形質転換植物から木材を得る、および/または木材パルプを作製する方法を提供する。トランスジェニック植物を産生する方法は、上に提供されており、当技術分野において公知である。形質転換植物は、任意の適切な条件下で培養し、または成長させることができる。たとえば、マツは、米国特許出願公開第2002/0100083号に記載されたように培養し、および成長させることができる。ユーカリ属は、たとえば、Rydelius, et al., " Growing Eucalyptus for Pulp and Energy," presented at the Mechanization in Short Rotation, Intensive Culture Forestry Conference, Mobile, AL, 1994のとおりに培養し、および成長させることができる。木材および木材パルプは、当技術分野において公知の任意の手段によって植物から得ることができる。
上記のように、本発明に従って得られた木材または木材パルプは、リグニン組成、リグニン構造、木材組成、セルロース重合、繊維寸法、その他の植物成分に対する繊維の比率、植物細胞分裂、植物細胞発生、単位面積あたりの細胞数、細胞サイズ、細胞形態、細胞壁組成、木材形成率、木材の美的外観、幹欠陥の形成、成長率、枝栄養発生に対する根の根形成比の割合、葉面積指数、および葉形を含むが、これらに限定されない任意の1つまたは複数の改善された特徴を示してもよく、リグニン含量の増大または減少、化学的処理に対するリグニンの利用可能性の増大、リグニンの反応性の改善、セルロース含量の増大または減少、寸法安定性の増大、抗張力の増大、抗剪強度の増大、圧縮強度の増大、耐衝撃性の増大、剛性の増大、硬度の増大または減少、螺旋度の減少、収縮の減少、並びに多糖体合成遺伝子の重量、密度、および比重の相違を含む。
B.多糖類合成遺伝子の発現プロファイリング
また、本発明は、多糖体合成遺伝子の発現プロファイリングを行うための方法およびツールを提供する。発現プロファイリングは、遺伝子が転写され、または翻訳されるかどうかを決定すること、異なる組織における特定の遺伝子について転写物レベルを比較すること、遺伝子タイピング、DNAコピー数を推定すること、血統の同一性を決定すること、mRNA崩壊速度を測定すること、タンパク質結合部位を同定すること、遺伝子産物の細胞下局在を決定すること、表現型またはその他の現象に対して遺伝子発現を相関させること、および特定の遺伝子の操作のその他の遺伝子に対する効果を決定することに有用である。発現プロファイリングは、複雑な多重遺伝子イベントにおける遺伝子発現を同定するために特に有用である。この理由のために、発現プロファイリングは、多糖体合成遺伝子発現を植物表現型および植物組織の形成に対して、並びにこれらの相互接続を多糖体生合成に対して相関させるのに有用である。
植物の多糖体合成遺伝子のうち、所与の組織試料において所与の時期に発現されるのはごくわずかで、発現された遺伝子の全てが、植物表現型に影響を及ぼす可能性があるというわけでない。関心対象の表現型に影響を及ぼすことができる遺伝子を同定するために、本発明は、たとえば、植物発生の所与の時点における多糖体合成遺伝子発現プロファイルおよび所与の組織試料における多糖体合成遺伝子発現プロファイルを決定するための方法並びにツールを提供する。また、本発明は、植物表現型を変化させるためにその発現を操作することができる多糖体合成遺伝子を同定するための方法およびツールを提供する。これらの方法を支持するように、本発明は、また、セルロースシンターゼまたはセルロースシンターゼ様タンパク質などの同じファミリーの異なる遺伝子の発現を区別する方法およびツールを提供する。
本明細書に使用される「遺伝子発現」は、DNA配列のRNA配列への転写、続くRNAのタンパク質への翻訳のプロセスをいい、これは、翻訳後プロセシングを受けてもよく、または受けていなくてもよい。従って、植物表現型と多糖体合成遺伝子発現との関係は、RNAまたはタンパク質のレベルで定量的または定性的変化を検出することによって観察することができる。本明細書に使用される「生物活性」という用語は、たとえば、グリコシルトランスフェラーゼ活性などの酵素活性を含むタンパク質遺伝子産物の活性を含むが、これらに限定されない。
本発明は、これらの発現プロファイリング法に有用なオリゴヌクレオチドを提供する。それぞれのオリゴヌクレオチドは、多糖体合成遺伝子または遺伝子産物に対して所与の条件セット下でハイブリダイズすることができる。本発明の一つの局面において、それぞれのオリゴヌクレオチドが、異なる多糖体合成遺伝子産物に対して所与の条件セット下でハイブリダイズする、複数のオリゴヌクレオチドが提供される。本発明のオリゴヌクレオチドの例は、配列番号:59〜83を含む。配列番号:59〜83の各々のオリゴは、配列番号:1〜29うちの1つの異なる遺伝子産物に対して標準状態下でハイブリダイズする。本発明のオリゴヌクレオチドは、任意の上記の方法において、1つまたは複数の多糖体合成遺伝子の発現を決定する際に有用である。
1.細胞、組織、核酸、およびタンパク質試料
本発明の方法に使用される試料は、植物組織に由来してもよい。適切な植物組織は、体細胞胚、花粉、葉、幹、カルス、走根、微小塊茎、シュート、木部、雄円錐体、花粉球果、維管束組織、頂端分裂組織、維管束形成層、木部、根、花、および種子を含むが、限定されない。
本発明によれば、「植物組織」は、本明細書において以前に記載されたとおりに使用される。植物組織は、前記記載された任意の植物型または種から得ることができる。
本発明の一つの局面に従って、試料は、異なる発生段階の植物組織から、年(たとえば、春対夏)の種々の時期の植物組織から、異なる環境条件(たとえば、光および温度の変化)に供される植物組織から、および/または異なる種類の植物組織および細胞から得ることができる。一つの態様によれば、植物組織は、成熟の種々の段階の間に、および年の異なる季節の間に得られる。さらなる態様において、植物組織は、異なる表現型を示す植物から得られる。たとえば、植物組織は、幹の分裂細胞、分化中の木部、初期発生中の木材細胞、分化した春材細胞、および分化した晩材細胞から収集することができる。もう一つの例として、発生中の木材を有する植物から得られた試料中の遺伝子発現を、発生中の木材を有さない植物から得られた試料中の遺伝子発現と比較することができる。さらなる例として、あて材表現型を示す植物から得られる試料中の遺伝子発現は、あて材を有さない植物から得られた試料中の遺伝子発現と比較することができる。
分化中の木部は、あて材から得られる試料を含む。あて材は、圧縮材、側材(side-wood)、および正常な垂直木部を含む。マツおよびユーカリから発現プロファイリングのための試料を得る方法は、公知である。たとえば、Allona et al, Proc. Nat'l Acad. Sci. 95:9693-8 (1998)およびWhetton et al., Plant Mol. Biol. 47:275-91、並びにKirst et al., Int'l Union of Forestry Research Organizations Biennial Conference, S6.8 (June 2003, Umea, Sweden)を参照されたい。
本発明の一つの態様において、一つの型の組織における遺伝子発現は、異なる型の組織の遺伝子発現と、または異なる発生段階の同一型の組織における遺伝子発現と比較される。また、遺伝子発現は、年(異なる季節)の間の種々の時期に試料採取した1つの型の組織において比較することができる。たとえば、幼若次生木部における遺伝子発現を成熟した次生木部における遺伝子発現と比較することができる。同様に、形成層における遺伝子発現を木部における遺伝子発現と比較することができる。さらに、頂端分裂組織における遺伝子発現を形成層における遺伝子発現と比較することができる。
本発明のもう一つの態様において、試料は、試料がその表現型を有さない同種の植物から得られる試料と比較されるという点で、特異的な表現型および遺伝子発現を有する植物から得られる。たとえば、試料は、速い成長率を呈する植物から得ることができ、遺伝子発現は、正常か、または緩徐な成長率を呈する植物から得られる試料のものと比較することができる。このような比較によって同定される差動的に発現される遺伝子を増殖速度と相関させることができ、従って、増殖速度を操作するために有用である。
さらなる態様において、試料は、クローンとして繁殖された植物から得られる。一つの態様において、クローンとして繁殖される植物は、マツ属またはユーカリ属種である。同じ遺伝子型からの個体ラミートを年の異なる時期に犠牲にすることができる。従って、任意の遺伝子型に対して、季節の初めと季節終わりに、少なくとも2本の遺伝的に同一の樹木を犠牲にすることができる。各々のこれらの樹木は、幼若試料(頂部)から成熟(底部)試料に分けることができる。さらに、組織試料は、たとえば、師部から木部に、少なくとも5層にはいで分けることができる。各々のこれらの試料は、表現型および遺伝子発現について評価することができる。図32を参照されたい。
細胞成分は、ハイブリダイゼーション検定法、酵素アッセイ法、リガンド結合アッセイ法、または生物活性アッセイ法などの解析技術を妨害するかもしれないが、このような細胞成分から遺伝子産物を単離することが望ましいであろう。核酸およびアミノ酸遺伝子産物を含む遺伝子産物は、当技術分野において公知の任意の方法によって細胞断片または可溶化液から単離することができる。
本発明に従って使用される核酸は、任意の利用できる方法もしくはプロセスによって、またはこれらが当技術分野に公知になるその他のプロセスによって調製することができる。核酸を単離するための従来技術は、たとえば、Tijssen, LABORATORY TECHNIQUES IN BIOCHEMISTRY AND MOLECULAR BIOLOGY, Hybridization With Nucleic Acid Probes, chapter 3 (Elsevier Press, 1993), Berger and Kimmel, Methods Enzymol. 152:1 (1987)、およびGibco BRL & Life Technologies Trizol RNA Isolation Protocol, Form No. 3786 (2000)において詳述されている。マツおよびユーカリから核酸試料を調製し、ポリヌクレオチドをシーケンシングするための技術は、公知である。たとえば、Allona et al.,前記、およびWhetton et al.,前記を参照されたい。
適切な核酸試料は、任意の型の多糖体合成遺伝子の転写物に由来する核酸、すなわち、RNAもしくはこれらの部分列、またはmRNAがテンプレートとして役立つ多糖体合成遺伝子から転写された核酸を含むことができる。適切な核酸は、転写物から逆転写されたcDNA、そのcDNAから転写されたRNA、cDNAから増幅されたDNA、および増幅されたDNAから転写されたRNAを含む。このような産物または誘導産物の検出は、試料中の転写物の有無を表す。従って、適切な試料は、遺伝子または遺伝子の転写物、転写物から逆転写されたcDNA、cDNAから転写されたcRNA、遺伝子から増幅されたDNA、および増幅されたDNAから転写されたRNAを含むが、これらに限定されない。本明細書に使用される「転写物」のカテゴリーは、プレmRNA新生転写物、転写物プロセシング中間体、並びにこれらの成熟mRNAおよび分解産物を含むが、これらに限定されない。
本発明を実施するために全種類の転写物をモニターする必要はない。たとえば、本発明の発現プロファイリング法は、成熟mRNAレベルだけなどの転写物の1つの型だけを検出して行うことができる。
本発明の一つの局面において、染色体DNAまたはcDNAライブラリー(たとえば、総細胞mRNAから合成された蛍光標識されたcDNAを含む)は、当技術分野において認識された方法に従ってハイブリダイゼーション法に使用するために調製される。Sambrook et al.,前記を参照されたい。
本発明のもう一つの態様において、mRNAは、たとえばMessage Ampキット(Ambion)を使用して増幅される。さらなる局面において、mRNAは、検出可能な標識で標識される。たとえば、mRNAは、CyDye(Amersham Biosciences)などの蛍光性発色団で標識することができる。
いくつかの適用において、ハイブリダイゼーション技術の使用前に、ホモジネートもしくは可溶化液中に存在することが多いRNaseを阻害または破壊することが望ましいことがある。ヌクレアーゼを阻害または破壊する方法は、周知である。本発明の一つの態様において、細胞または組織は、ヌクレアーゼを阻害するために、カオトロピック試薬の存在下においてホモジナイズされる。もう一つの態様において、RNaseは、加熱処理、続くプロテイナーゼ処理によって阻害または破壊される。タンパク質試料は、当技術分野において公知の任意の手段によって得ることができる。
本発明の方法に有用なタンパク質試料は、天然細胞可溶化物および粗組織ホモジネートを含む。または、タンパク質試料は、精製することができる。当技術分野において周知の種々のタンパク質精製法をMarshak et al, STRATEGIES FOR PROTEIN PURIFICATION AND CHARACTERIZATION: A LABORATORY COURSE MANUAL (Cold Spring Harbor Laboratory Press 1996)にて見いだすことができる。
2.遺伝子発現レベルの検出
遺伝子発現レベルを検出することを含む本発明の方法のために、遺伝子発現を観察するための任意の方法を限定されることなく使用することができる。このような方法は、従来の核酸ハイブリダイゼーション技術、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)に基づいた方法、およびタンパク質定量を含む。本発明は、固体支持体に基づいたアッセイフォーマットを使用する検出方法、並びに溶液に基づいたアッセイフォーマットを使用するものを含む。
発現レベルの絶対測定を行う必要はないが、これらを行うこともできる。本発明は、試料間の発現レベルの相違を比較することを含む方法を含む。発現レベルの比較は、視覚的もしくは手動ですることができ、またはたとえば光学的な検出手段を使用して、自動化すること、および機械によって行うことことができる。Subrahmanyam et al., Blood. 97:2457 (2001);Prashar et al., Methods Enzymol. 303:258 (1999)。遺伝子の差動的発現を解析するためのハードウェアおよびソフトウェアを利用し、本発明を実施する際に使用することができる。たとえば、Gen Stat Software and Gene Express(登録商標) GX Explorer(商標) Training Manual, 前記; Baxevanis & Francis-Ouellette,前記を参照されたい。
本発明の一つの態様によれば、核酸ハイブリダイゼーション技術は、遺伝子発現を観察するために使用される。例示的なハイブリダイゼーション技術は、ノーザンブロット法、サザンブロット法、溶液ハイブリダイゼーション、およびS1ヌクレアーゼ保護アッセイ法を含む。
核酸ハイブリダイゼーションは、典型的には、プローブが相補性塩基対形成を介してその相補核酸と安定なハイブリッド二重鎖を形成することができる条件下で、オリゴヌクレオチドプローブと核酸を含む試料とを接触させることを含む。たとえば、PCT出願国際公開公報第99/32660号;Berger & Kimmel, Methods Enzymol. 152:1 (1987)を参照されたい。次いで、ハイブリッド二重鎖を形成しない核酸を洗い流してハイブリダイズした核酸を残し、典型的には、付着された検出可能な標識の検出を介して検出する。検出可能な標識は、プローブに、または核酸試料に存在することができる。一つの態様において、試料中の核酸は、植物組織に存在するmRNA転写物を表す検出可能な程度に標識されたポリヌクレオチドである(たとえば、cDNAライブラリー)。検出可能な標識は、一般に、放射性または蛍光性の標識であるが、検出することができる任意の標識を使用することができる。標識は、例えば、国際公開公報第99/32660号、前記に記載されたいくつかのアプローチをすることによって組み込むことができる。一つの局面において、RNAは、アミノアリル-UTP並びに遊離のUTPの付加と共にMessage Ampキット(Ambion)を使用して増幅することができる。増幅されたRNAに組み込まれるアミノアリル基は、CyDye(Amersham Biosciences)などの蛍光性発色団と反応を起こすことができる。
核酸の二重鎖は、温度を増大すること、または核酸を含む緩衝液の塩濃度を低下させることによって不安定される。低いストリンジェンシー条件下(たとえば、低温および/または高塩)では、アニールされた配列が完全に相補でない場合でさえも、ハイブリッド二重鎖(たとえば、DNA:DNA、RNA:RNA、またはRNA:DNA)を形成すると考えられる。従って、ハイブリダイゼーションの特異性は、より低いストリンジェンシーで減少される。逆に、より高いストリンジェンシーでは(たとえば、より高い温度および/またはより低い塩および/または不安定化試薬の存在下において)、ハイブリダイゼーションは、ほとんどミスマッチが許容されない。
典型的には、短いプローブ(たとえば、10〜50ヌクレオチド塩基)のストリンジェントな条件は、塩濃度がpH 7.0〜8.3で少なくとも約0.01〜1.0Mであり、温度が少なくとも約30℃であるものである。また、ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定薬を添加することで達成することができる。
いくつかの状況下では、ハイブリダイゼーションを保証するために、低いストリンジェンシー条件、たとえば37℃、6×SSPE-T(0.9MのNaCl、60mMのNaH2PO4、pH 7.6、6mMのEDTA、0.005%トリトン)でハイブリダイゼーションを行うことが望まれ得る。次いで、その後の洗浄をより高いストリンジェンシー(たとえば、37℃で1×SSPE-T)で行い、ミスマッチのハイブリッド二重鎖を除去することができる。所望のレベルのハイブリダイゼーション特異性が得られるまで、連続した洗浄をますます高いストリンジェンシーで(たとえば、37℃〜50℃で0.25x SSPE-T程度に下げて)行うことができる。
一般に、ハイブリダイゼーションのための標準的条件は、ストリンジェンシー(ハイブリダイゼーション特異性)とシグナル強度との間で折り合う。従って、本発明の一つの態様において、ハイブリダイズされた核酸は、連続的により高いストリンジェンシー条件で洗浄され、それぞれの洗浄の間に読み込まれる。このように作製されるデータセットの解析により、洗浄するハイブリダイゼーションパターンが目に見えて変更されずに、かつ関心対象の特定のオリゴヌクレオチドプローブのための十分なシグナルを提供するストリンジェンシーが明らかになる。たとえば、最終洗浄は、一貫した結果を生じ、かつ背景強度の約10%よりも大きいシグナル強度をそれは提供する最高のストリンジェンシーのものを選択してもよい。
a.オリゴヌクレオチドプローブ
本発明に使用される核酸ハイブリダイゼーション技術に有用なオリゴヌクレオチドプローブは、1つまたは複数の型の化学結合を介して、通常は水素結合形成を経た相補的塩基対形成を介して相補配列の核酸に結合することができる。プローブは、天然の塩基(すなわち、A、G、U、C、またはT)または修飾塩基(7-デアザグアノシン、イノシン、その他)を含むことができる。加えて、プローブのヌクレオチド塩基は、ハイブリダイゼーションを妨害しない限り、ホスホジエステル結合以外の結合によって連結することができる。従って、プローブは、ホスホジエステル結合ではなく、構成塩基がペプチド結合によって連結されたペプチド核酸であることができる。
オリゴヌクレオチドプローブは、当技術分野において公知の任意の手段によって調製することができる。本発明において有用なプローブは、配列番号:1〜29の一つなどの多糖体合成遺伝子のヌクレオチド産物にハイブリダイズすることができる。本発明において有用なプローブは、配列番号:1〜29に開示されたヌクレオチド配列を使用して作製することができる。本発明は、少なくとも配列番号:1〜29のいずれか一つの対応する隣接する配列の2、10、15、20、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または100個のヌクレオチド断片を有するオリゴヌクレオチドプローブを含む。本発明は、2、1、0.5、0.1、または長さ0.05 kbよりも少ないオリゴヌクレオチドを含む。一つの態様において、オリゴヌクレオチドは、60ヌクレオチドの長さである。
オリゴヌクレオチドプローブは、当技術分野において公知の任意の手段によってデザインすることができる。たとえば、Li and Stormo, Bioinformatics 17: 1067-76 (2001)を参照されたい。オリゴヌクレオチドプローブの設計は、ソフトウェアを使用して行うことができる。例示的なソフトウェアは、Array Designer、Gene Scan、およびProbe Selectを含む。定義された核酸配列に対して相補的プローブは、化学的に合成すること、制限酵素を使用するより長いヌクレオチドから作製すること、またはポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)などの技術を使用して得ることができる。PCR法は、周知であり、たとえばInnis et al eds., PCR PROTOCOLS: A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS, Academic Press Inc. San Diego, Calif. (1990)に記載されている。プローブは、たとえば放射性、ビオチン化、または蛍光性タグで標識することができる。至適には、試料中の核酸が標識され、プローブは標識されない。上記方法によって作製されるオリゴヌクレオチドプローブは、溶液または固体支持体に基づいた方法に使用することができる。
本発明は、コード領域の産物または多糖体合成遺伝子の3'非翻訳領域(3'UTR)にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを含む。一つの態様において、オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号:1〜29のいずれか一つの3'UTRにハイブリダイズする。3'UTRは、一般に、同じファミリーのメンバー間でさえも、遺伝子の独特の領域である。従って、3'UTRの産物にハイブリダイズすることができるプローブは、遺伝子のコード領域が高度に相同的である可能性が高い場合に、ファミリー内の個々の遺伝子の発現を区別するために有用であり得る。これにより、それぞれが一義的に単一遺伝子に対して結合することができる複数のオリゴヌクレオチドのメンバーとして使用されるオリゴヌクレオチドプローブを設計することができる。もう一つの態様において、オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号:59〜83のいずれか一つを含む。もう一つの態様において、オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号:1〜29のいずれか一つからなる。
b.オリゴヌクレオチドアレイ法
本発明の一つの態様は、配列番号:1〜29の遺伝子などの、1つまたは複数の多糖体合成遺伝子の発現レベルを検出するために、2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを組み合わせて使用する。この態様の一つの態様において、2つ以上の異なる遺伝子の発現レベルが検出される。2つ以上の遺伝子は、上で論議した同じかまたは異なる多糖体合成遺伝子ファミリーに由来してもよい。各々の2つ以上のオリゴヌクレオチドは、遺伝子の異なる一つにハイブリダイズしてもよい。
本発明の一つの態様は、そのそれぞれが、配列番号:1〜29によって提供される遺伝子の転写物に由来するポリヌクレオチドに対して特異的にハイブリダイズする2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを使用する。もう一つの態様は、その少なくとも1つが配列番号:59〜83の核酸配列を含む2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを使用する。もう一つの態様は、その少なくとも1つが配列番号:59〜83からなる2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを使用する。
オリゴヌクレオチドプローブは、約5〜約60、または約5〜約500ヌクレオチド塩基、約15〜約60ヌクレオチド塩基を含む約60〜約100ヌクレオチド塩基などを含んでもよい。
本発明の一つの態様は、遺伝子発現を検出するために、固体支持体に基づいたオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法を使用する。本発明を実施するために適した固体支持体に基づいた方法は、周知であり、たとえば、PCT出願国際公開公報第95/11755号; Huber et al., Anal. Biochem. 299: 24 (2001); Meiyanto et al., Biotechniques. 31: 406 (2001); Relogio et al., Nucleic Acids Res. 30:e51 (2002)に記載されている。オリゴヌクレオチドが共有結合または非共有結合で結合することができる任意の固体の表面を使用することができる。このような固体支持体は、フィルター、塩化ビニルディッシュ、シリコン、またはガラスを基とするチップ、その他を含む。
一つの態様は、オリゴヌクレオチドアレイ、すなわちマイクロアレイを使用し、これは、多くの遺伝子または遺伝子産物の発現を同時に観察するために使用することができる。オリゴヌクレオチドアレイは、固体支持体上に提供される2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを含み、それぞれのプローブは、支持体上の一意の位置を占有する。それぞれのプローブの位置は、予め決定されていてもよく、その結果、所与の位置における検出可能なシグナルの検出により、公知の素性のオリゴヌクレオチドプローブに対するハイブリダイゼーションすることを示す。それぞれの所定の位置は、複数のプローブの分子を含むことができるが、所定の位置のそれぞれの分子は、同一の配列を有する。このような所定の位置は、フィーチャー(feature)と呼ばれる。たとえば、単一の固体支持体上にこのようなフィーチャーが、2から10、100、1,000、2,000、または5,000個あってもよい。一つの態様において、それぞれのオリゴヌクレオチドは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、または少なくとも10回、アレイの固有の位置に位置する。
遺伝子発現を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブアレイは、たとえば、Lockhart et al., Nat'l Biotech. 14: 1675 (1996)、McGall et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 93: 13555 (1996)、およびHughes et al., Nature Biotechnol. 19:342 (2001)に記載されている従来技術に従って製作し、使用することができる。種々のオリゴヌクレオチドアレイデザインが、本発明の実施のために適している。
一つの態様において、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドは、それぞれが特定の組織型に発現される異なる遺伝子にハイブリダイズする複数のオリゴヌクレオチドを含む。たとえば、組織は、発生中の木材であることができる。
一つの態様において、植物から得られた核酸試料は、増幅すること、および任意に検出可能な標識で標識することができる。このような目的に適した任意の核酸増幅方法および任意の検出可能な標識を使用することができる。たとえば、増幅反応は、たとえば「アンチセンス」RNAまたは「aRNA」(試料組織から抽出されたRNAに対する核酸配列に相補的)を生じるAmbionのMessageAmpを使用して行うことができる。RNAは、任意にCyDye蛍光標識を使用して標識することができる。増幅工程の間に、aaUTPが生じるaRNAに組み込まれる。CyDye蛍光標識は、非酵素反応においてaaUTPsに結合される。増幅および標識工程の後、標識された増幅されたアンチセンスRNAを沈殿して、適切な緩衝液で洗浄し、次いで純度をアッセイする。たとえば、純度は、NanoDrop分光光度計を使用してアッセイすることができる。次いで、核酸試料を、固体基質(「マイクロアレイスライド」)に付着されたオリゴヌクレオチドアレイ、試料中に存在する可能性のある関心対象の核酸にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチド試料プローブと接触させる。接触工程は、関心対象の核酸とアレイ上に存在するオリゴヌクレオチドプローブとの間でハイブリダイゼーションを生じることができる条件下で行われる。次いで、非特異的に結合した核酸を除去するためにアレイを洗浄し、固体基質上のオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズされたままである標識分子からシグナルを検出する。検出工程は、使用する標識の型に適した任意の方法を使用して達成することができる。たとえば、検出工程は、レーザースキャナーおよび検出器を使用して達成することができる。たとえば、マイクロアレイスライド上のシグナルの位置を解析するために、任意にGenePix Proソフトウェアを使用するAxonスキャナを使用することができる。
1つまたは複数のマイクロアレイスライドからのデータは、当技術分野において公知の任意の適切な方法によって解析することができる。
マイクロアレイ技術を含む本発明の方法に使用されるオリゴヌクレオチドプローブは、PCRを使用して作製することができる。プローブを作製する際に使用されるPCRプライマーは、たとえば配列番号:1〜29の配列に基づいて、多糖体合成遺伝子に独特の断片(すなわち、標準的なハイブリダイゼーション条件下で配列番号:1〜29のいずれか一つの1つのポリヌクレオチドだけにハイブリダイズする断片)の増幅を生じるように選択される。コンピュータプログラムは、必要とされる特異性および最適なハイブリダイゼーション特性をもつプライマーの設計の際に有用である。たとえば、Li and Stormo (1075において前記)は、完全な遺伝子配列、並びに同時に探索されるその他の遺伝子配列に基づいて最適のオリゴヌクレオチドプローブを選択するProbe Selectを使用してプローブを選択する方法について論議する。
一つの態様において、オリゴヌクレオチド対照プローブも使用される。例示的な対照プローブは、本明細書において(1)規準化対照、(2)発現レベル対照、および(3)ネガティブ対照と称される3つのカテゴリーの少なくとも1つにいれることができる。マイクロアレイ法では、これらの対照プローブの1つまたは複数が、本発明の多糖体合成遺伝子関連性オリゴヌクレオチドと共にアレイ上に提供されてもよい。
規準化対照は、色素バイアス、組織バイアス、塵、スライドの不規則、不体裁なスライドスポット、その他を補正する。規準化対照は、スクリーニングされる核酸試料に添加された標識された参照オリゴヌクレオチドまたはその他の核酸配列に対して相補的であるオリゴヌクレオチドまたはその他の核酸プローブである。規準化対照から得られるシグナルは、ハイブリダイゼーション後に、ハイブリダイゼーション条件、標識強度、読出効率、およびアレイ間で完全なハイブリダイゼーションのシグナルに変化を生じさせ得るその他の因子の変動に対する対照を提供する。一つの態様において、方法に使用される他の全てのプローブから読んだシグナル(たとえば、蛍光強度または放射能)を対照プローブからのシグナルによって分けられ、これにより測定値を規準化する。
実質的に、いずれのプローブも、規準化対照として役立ち得る。しかし、ハイブリダイゼーション効率は、塩基組成およびプローブ長により変化する。好ましい規準化プローブは、使用されるその他のプローブの平均長を反映するように選択されるが、これらは、全長範囲をカバーするように選択することもできる。さらに、正常化対照は、使用されるその他のプローブの平均塩基組成を反映するように選択することができる。一つの態様において、1つまたは少数の規準化プローブだけを使用して、これらが十分にハイブリダイズして(すなわち、二次構造を形成することなく)、かついずれの試験プローブにもマッチしないように選択される。一つの態様において、規準化対照は、哺乳類遺伝子である。
発現レベル対照プローブは、生体試料中に存在する構成的に発現された遺伝子と特異的にハイブリダイズする。実質的に、いずれの構成的に発現された遺伝子も、発現レベル対照プローブのための適切な標的を提供する。典型的には、対照プローブは、一定の光合成遺伝子を含む(しかし、限定されない)構成的に発現された「ハウスキーピング遺伝子」の部分列に対する相補配列を有する。
「ネガティブ対照」プローブは、試験オリゴヌクレオチド(すなわち、本発明の多糖体合成遺伝子関連オリゴヌクレオチド)、規準化対照、または発現対照のいずれに対しても相補的でない。一つの態様において、ネガティブ対照は、試料中の任意のその他の配列に対して相補的でない哺乳類遺伝子である。
「バックグラウンド」および「バックグラウンドシグナル強度」という用語は、非特異的結合または標識された標的核酸(すなわち、生体試料に存在するmRNA)とオリゴヌクレオチドアレイの成分との間のその他の相互作用によって生じるハイブリダイゼーションシグナルをいう。また、バックグラウンドシグナルは、アレイ成分の自体の内部蛍光によって生じ得る。
単一のバックグラウンドシグナルを全てのアレイに対して算出することができ、または異なるバックグラウンドシグナルをそれぞれの標的核酸に対して算出することができる。一つの態様において、バックグラウンドは、使用されるオリゴヌクレオチドプローブの少なくとも5〜10パーセントに対するか、または異なるバックグラウンドシグナルをそれぞれの標的遺伝子に対して算出する場合は、それぞれの遺伝子についてプローブの少なくとも5〜10パーセントに対する平均ハイブリダイゼーションシグナル強度として、算出される。特定の多糖体合成遺伝子に対応するオリゴヌクレオチドプローブが、十分にハイブリダイズして、それゆえに特異的に標的配列と結合するように見える場合、バックグラウンドシグナルの算出にこれらを使用するべきではない。または、バックグラウンドは、試料中に見いだされるいずれの配列に対しても相補的ではないプローブ(たとえば、逆のセンスの核酸に対する、または試料中に見いだされない遺伝子に対するプローブ)に対するハイブリダイゼーションによって生じた平均ハイブリダイゼーションシグナル強度として算出することができる。マイクロアレイ法において、バックグラウンドは、全く何らのオリゴヌクレオチドプローブも無いアレイの領域によって生じる平均シグナル強度として算出することができる。
c.PCRに基づいた方法
もう一つの態様において、PCRに基づいた方法は、遺伝子発現を検出するために使用される。これらの方法は、リアルタイムおよび終点定量的逆転写酵素媒介ポリメラーゼ連鎖反応法(Q-RTPCR)を含む、逆転写酵素を媒介したポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)を含む。これらの方法は、当技術分野において周知である。たとえば、定量的PCR法は、たとえば、Applied BiosystemsおよびStratagene(登録商標)によって商業的に入手可能であるキットおよび方法を使用して行うことができる。また、Kochanowski, QUANTITATIVE PCR PROTOCOLS (Humana Press, 1999); Innis et al.,前記; Vandesompele et al., Genome Biol. 3: RESEARCH0034 (2002); Stein, Cell Mol. Life Sci. 59: 1235 (2002)を参照されたい。
また、遺伝子発現は、溶液を使用するQ-RTPCRにおいて観察することができる。Q-RTPCRは、PCR産物の増幅の間に比例的に産生される蛍光シグナルの検出に依存する。Innis et al., 前記を参照されたい。従来のPCR法のように、この技術は、関心対照のDNA領域の逆の鎖および隣接する領域にハイブリダイズする、典型的には15〜30塩基のPCRオリゴヌクレオチドプライマーを使用する。さらに、プローブ(たとえば、TaqMan(登録商標), Applied Biosystems)は、PCR技術において伝統的に使用されるフォワードとリバースプライマーとの間の標的配列に対してハイブリダイズするように設計されている。プローブは、5'末端が6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)および失活剤フルオロフォア様6-カルボキシ-テトラメチルローダミン(TAMRA)などのリポーターフルオロフォアで標識されている。プローブが無傷である限り、蛍光エネルギー移動が生じて、クエンチングフルオロフォアによるリポーターフルオロフォアの蛍光発光の吸収を生じる。しかし、Taqポリメラーゼは、プライマーを延長するので、Taqの5'から3へのヌクレアーゼ活性によりプローブを分解し、リポーターフルオロフォアを放出する。増幅サイクルの間に検出される蛍光シグナルの増加は、それぞれのサイクルにおいて産生される産物の量に比例する。
フォワードおよびリバース増幅プライマー、並びに内部ハイブリダイゼーションプローブは、標的遺伝子の転写物に由来する1つのヌクレオチドと特異的かつ一義的にハイブリダイズするように設計される。一つの態様において、プライマーおよびプローブ配列のための選択基準には、TaqMan(登録商標)要求に対応するために、ヌクレオチド含量およびサイズに関する制約を組み入れる。
SYBR Green(登録商標)は、上で議論したTaqman(登録商標)型アッセイ法に代わるプローブのないQ-RTPCRとして使用することができる。ABI Prism(登録商標) 7900配列検出システムユーザガイド Applied Biosystems, chap. 1-8, App. A-F.(2002)。
装置により、PCR増幅の間の蛍光放出強度の変化を測定する。測定は、「リアルタイム」で、すなわち増幅産物が反応に蓄積するにつれてなされる。プローブ消化によって生じる蛍光の変化を測定するために、その他の方法を使用することができる。たとえば、蛍光偏光法により、分子反転頻度に基づいて大分子と小分子との間を区別することができる(たとえば、米国特許第5,593,867号を参照されたい)。
d.タンパク質検出法
タンパク質は、免疫学的方法、酵素アッセイ法、およびタンパク質アレイ/プロテオミクス技術を含む当技術分野において公知の任意の手段によって観察することができる。
翻訳状態の測定は、いくつかのタンパク質法に従って行うことができる。たとえば、タンパク質の全ゲノムモニタリング--「プロテオーム」--を、固定された、配列番号:30-48のいずれかのアミノ酸配列もしくは配列番号:1〜29の遺伝子によってコードされるタンパク質またはこれらの保存的変異体を有する複数のタンパク質に特異的な、好ましくはモノクローナル抗体をアレイの結合部位に含むマイクロアレイを構築することにより、行うことができる。Wildt et al., Nature Biotechnol. 18: 989 (2000)を参照されたい。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を作製するのための方法は、Harlow & Lane, ANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988)に記載されたとおりに、周知である。
または、タンパク質は、2次元ゲル電気泳動系によって分離することができる。二次元ゲル電気泳動は、当技術分野において周知であり、典型的には、第1次元に沿って等電点電気泳動を、続いて第2次元に沿ってSDS-PAGE電気泳動することを含む。たとえば、Hames et al,, GEL ELECTROPHORESIS OF PROTEINS: A PRACTICAL APPROACH (IRL Press, 1990)を参照されたい。生じるエレクトロフェログラムは、質量分析の技術、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を使用するウエスタンブロッティングおよび免疫ブロット分析、並びに内部およびN末端マイクロシークエンシングを含む多くの技術によって解析することができる。
3.表現型および組織発生に対する遺伝子発現の相関
上で議論したように、本発明は、植物表現型に対して遺伝子発現を相関させるための方法およびツールを提供する。遺伝子発現を関心対象の表現型を有する植物において検査して、表現型を有しないか、または異なる表現型を有する植物と比較してもよい。このような表現型は、乾燥耐性の増大、除草剤耐性、高さの減少または増大、枝分かれの減少または増大、寒冷および霜耐性の増強、成長力の改善、色の増強、健康および栄養的な特性の増強、貯蔵の改善、収率の増大、耐塩性の増強、壊変する木材の耐性の増強、真菌症に対する耐性の増強、害虫に対する誘引性の変化、耐病性の増強、昆虫耐性の増強、水ストレス耐性の増強、木目の改善、発芽の増大、微量栄養素取り込みの増大、新規の樹脂の産生、セルロース含量の増大、新規のタンパク質またはペプチドのリグニン含量の減少および産生を含むが、これらに限定されない。
もう一つの態様において、表現型は、以下の特徴の1つまたは複数を含む:あて材を形成する性向、幼若期の減少、幼若期の増大、自己離層形成によって脱落する枝、生殖発生の促進、または生殖発生の遅延。
さらなる態様において、比較する植物において異なる表現型は、以下の1つまたは複数を含む:リグニン品質、リグニン構造、木材組成、木材外観、木材密度、木材強度、木材剛性、セルロース重合、繊維寸法、内腔サイズ、放射組織の比率、導管要素の比率、その他の植物成分、植物細胞分裂、植物細胞発生、単位面積あたりの細胞数、細胞サイズ、細胞形態、細胞壁組成、木材形成率、木材の美的外観、幹欠陥の形成、平均ミクロフィブリル角度、S2細胞壁層の幅、成長率、枝栄養発生に対する根の根形成比率の割合、葉面積指数、および葉形。表現型は、たとえばHertzberg, 前記、Ye and Sundstrom, 前記、米国特許第出願公開第2002/0107644号および第2002/0113212号、Marita et al., 前記などの、上で議論したように任意の適切な手段によって評価することができる。
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、種々の修正および変形を本発明の方法および組成物において行うことができることが当業者に明らかである。従って、本発明は、本発明の修飾および変形を包含することが企図されるが、これらが添付の請求の範囲およびこれらの均等の範囲内になることを条件とする。
以下の実施例は、本発明を例示するために示される。しかし、本発明は、これらの実施例に記載されている特定の条件または詳細に限定されないことが理解されるはずである。明細書を通じて、米国特許を含む公的に利用できる文書についての任意のおよび全ての参照は、特異的にこれらの全体が参照として組み入れられる。
実施例
実施例1
実施例1は、セルロースシンターゼおよびセルロースシンターゼ様遺伝子がどのように単離され、E. グランディスおよびP.ラジアータにおいて特徴づけられるかを証明する。総RNAは、植物組織から抽出した(Chang et al., Plant Mol.Biol. Rep. 11:113-116 (1993)のプロトコルを使用する)。植物組織試料は、師部(P)、形成層(C)、膨脹中の木部(X1)、並びに分化中かつ木質化中の木部(X2)から得た。
mRNAは、Poly (A) Quik mRNA Isolation Kit(Stratagene, La Jolla, CA)またはDynal Beads Oligo(dT)25(Dynal, Skogen, Norway)のいずれかを使用して、総RNA標品から単離した。cDNA発現ライブラリーは、逆転写酵素合成によって精製したmRNAから構築して、続いて、製造業者のプロトコルを使用することによって、ZAP Express cDNA Synthesis Kit(Stratagene)を使用して生じるcDNAクローンをラムダZAPに挿入した。生じるcDNAは、ライブラリーに応じて5μLのライゲーション反応からの一定分量(1〜5μL)を使用して、Gigapack II Packaging Extract(Stratagene)を使用してパッケージした。ライブラリーの大量切除(mass excision)は、ExAssistヘルパーファージ(Stratagene)と共にXL1-Blue MRF'細胞およびXLOLR細胞(Stratagene)を使用して行った。削除されたファージミドをNZYブロス(Gibco BRL, Gaithersburg, MD)で希釈し、X-galおよびイソプロピルチオ-β-ガラクトシド(IPTG)を含むLB-カナマイシン寒天プレート上にプレーティングした。
プレーティングし、DNAミニプレップのために選択したコロニーのうち、99%は、シーケンシングのための適切な挿入物を含んだ。陽性コロニーを、カナマイシンを含むNZYブロス中で培養し、cDNAをアルカリ溶解およびポリエチレングリコール(PEG)沈澱によって精製した。1%のアガロースゲルを使用して、染色体混入のためのシーケンシングテンプレートをスクリーニングした。色素プライマー配列は、製造業者のプロトコルに従ってターボ触媒800マシン(Turbo Catalyst 800 machine)(Perkin Elmer/Applied Biosystems Division, Foster City, CA)を使用して調製した。
陽性クローンのDNA配列は、Perkin Elmer/Applied Biosystems Division Prism 377 シーケンサーを使用して得た。cDNAクローンは、最初に5'末端から、および場合によっては、3'末端からもシーケンスした。いくつかのクローンについては、内部配列は、pBK-CMVに差動的サイズ変更したサブクローンのライブラリーを得るエキソヌクレアーゼ III欠失解析を使用するか、または関心対象の遺伝子の領域を同定するようにデザインした遺伝子特異的なプライマーを使用する直接シーケンシングによるか、いずれかで得た。決定されたcDNA配列は、配列番号:1〜29に提供してある。予測されるポリペプチド配列は、配列番号:30〜58である。
P.ラジアータおよびE.グランディスデータベースにおいてセルロースシンターゼ(Ces)およびセルロースシンターゼ様(Csl)候補を同定するために、cDNA配列をシロイヌナズナセルロースシンターゼスーパーファミリーと比較した。Richmond and Somerville, Plant Physiol. 124:495 (2000)。
次に、マツおよびユーカリデータベース(コンティグによる重複なし、予想値<1.Oe-2)に対する検索のために、パブリックドメイン配列(SWISS-PROT/TrEMBL ID’sによる)を使用した。マツについて80ヒットおよびユーカリについて82ヒットが得られた。これらのヒットのうち、26個のマツおよび15個のユーカリは、潜在的に全長(すなわち、開始Metを含んだ)か、または全長配列に近かった。
次いで、全162ヒットについて、コンティグコンセンサスDNAおよびタンパク質配列を得て、重複配列を同定した。次いで、複数の整列化をタンパク質配列で行った。シロイヌナズナメンバー、並びに2つのセルロースシンターゼおよび2つのセルラーゼと共に残りの29個のマツおよびユーカリ配列を使用して、タンパク質整列を作製した。タンパク質整列からデンドログラム(dendogram)を作製した。このデンドログラムにより、cesファミリーまたはcslファミリーでの配列ヒットを分類した。これらの配列をプライマー歩行(primer walking)によって解析し、全長配列を提供した(最高のHTを全長配列について解析したコンティグから選択)。
また、トウモロコシ、綿、米、およびポプラからパブリックドメインセルロースシンターゼ配列を抽出し、マツおよびユーカリデータベースに対してブラストを行った(blasted)。また、完了したプライマー歩行したマツおよびユーカリ配列を自身の配列(ownseq)に対してブラストを行い、上位500ヒットを得た。これは、配列をさらに検索し、シロイヌナズナスーパーファミリーを使用することによってマツおよびユーカリデータベースにおいて何も逃していないことを確認するように行った。この検索により、以前の検索で見いだされなかったさらに4つの配列を生じた。次いで、これらの配列をプライマー歩行した全長配列にも送った。
プライマー歩行後に少数のさらなる重複を除いた後、マツおよびユーカリのプライマ歩行したセルロースシンターゼスーパーファミリーメンバー30個が同定された。これらの配列をCESまたはCSLとしての分類、ClustalXでの整列、対応するデンドログラム、およびMEME/MAST解析によって確認した。
実施例2
cDNAライブラリーにおいて部分的cDNA配列のさらなる5'または3'配列を同定するために、SMART RACE cDNA増幅キット(Clontech Laboratories, Palo Alto, Calif.)を使用してcDNA末端の5'および3'の迅速増幅(RACE)を行った。一般に、本方法は、最初にポリ(A)mRNAを単離することを必要とし、第1および第2鎖cDNA合成を行って二本鎖のcDNAを生じさせて、cDNA末端を平滑末端化し、次いでSMART RACEアダプターをcDNAに結合し、アダプターがライゲートしたds cDNAのライブラリーを形成するすることを必要とする。遺伝子特異的プライマーは、5'および3'RACE反応の両方のためのアダプター特異的なプライマーと共に使用するように設計した。5'および3'RACE反応を使用して、5'および3'RACE断片を得て、シーケンスし、クローニングした。本プロセスは、全長遺伝子の5'および3'末端が同定されるまで繰り返してもよい。全長cDNAは、エンドトゥエンドPCR(end-to-end PCR)によって遺伝子の5'および3'末端に対して特異的なプライマーを使用するPCRによって作製してもよい。
たとえば、第1鎖cDNA由来の遺伝子の失った5'領域を増幅するために、プライマーは、テンプレート配列の対向する鎖から、およびテンプレート配列の〜100〜200 bpの領域から5'→3'にデザインした。良好な増幅により、テンプレートの5'末端とPCR産物との間にDNA配列の〜100 bpの重複を与えるはずである。
RNAは、Concert Reagent Protocol(Invitrogen, Carlsbad, CA)、並びに標準的な単離および抽出手順を使用して、4つのマツ組織、すなわち実生、木部、師部、および組織上の根から抽出した。次いで、生じるRNAを10U/μl DNase I(Roche Diagnostics, Basel, Switzerlan)を使用してDNaseで処理した。100μgのRNAに対して、9μlの10×DNase緩衝液(Invitrogen, Carlsbad, CA)、10μlのRoche DNase I、および90μlのRnaseフリー水を使用した。次いで、RNAを室温で15分間インキュベートし、1/10体積の25mM EDTAを添加した。RNeasyミニキット(Qiagen, Venlo, The Netherlands)を製造業者のプロトコルに従ってRNA精製のために使用した。
cDNAを合成するために、木部、師部、実生、および根から抽出されたRNAを使用し、SMART RACE cDNA増幅キット(Clontech Laboratories Inc, Palo Alto, CA)を製造業者のプロトコルに従って行った。RACE PCRについては、4つの組織型からのcDNAを合わせた。PCRのためのマスター混合物は、木部、師部、根、および実生組織からの同量のcDNAを合わせることによって作製した。PCR反応は、96穴のPCRプレートにおいて行い、1μlのプライマー希釈プレートからのプライマーを対応するウェル位置にまいた(10mM)。49μlのマスター混合物をプライマーと共にPCRプレートに一定分量とった。熱サイクリングは、以下のパラメーターでGeneAmp 9700(Applied Biosystems, Foster City, CA)で開始した:
94℃(5秒)、
72℃(3分)、5サイクル;
94℃(5秒)、
70℃(10秒)、
72℃(3分)、5サイクル;
94℃(5秒)、
68℃(10秒)、
72 ℃(3分)、25サイクル。
cDNAを標準的方法に従ってアガロースゲル上で分離した。ゲル断片を切除して、Qiagen 96穴ゲル溶出キットを使用して、製造業者の説明書に従ってゲルから溶出した。
PCR産物は、以下の詳細に従って96穴プレートにおいて一晩pGEMTeasy(Promega, Madison, WI)にライゲートした:60〜80ngのDNA、5μl 2×迅速ライゲーション緩衝液、0.5μlのpGEMTイージーベクター、0.1μlのDNAリガーゼ、水で10μlに満たして一晩インキュベートした。
それぞれのクローンを標準的方法に従って大腸菌に形質転換し、DNAを標準的なプロトコルに従って選択した12個のクローンから抽出した。DNA抽出およびDNA品質は、1%のアガロースゲル上で検査した。各々のクローン内の適切なサイズの挿入物の存在は、標準的な検査法に従って、制限エンドヌクレアーゼEcoRIを使用する制限消化、およびゲル電気泳動によって決定した。
構成的プロモーターに作動可能に連結されたセンスUDP-グルコース結合ドメイン配列での選抜ユーカリ属クローンの形質転換は、セルロース合成、一次細胞壁合成、木材密度、および抗張力の増大によって証明されたように、増強された増殖表現型を与える。葉外植片を台木ユーカリ属植物から収集し、外植片を前処理培地で培養した。プレカルチャー培地は、組織外植片の削除端に沿って細胞分裂を促進するための、オーキシン、サイトカイニン、およびアセトシリンゴンなどのアグロバクテリウム属誘導因子を含む。4日のプレカルチャーに続いて、外植片には、ユビキチンプロモーターに作動可能に連結されたUDPグルコース結合ドメインの一部を有するプラスミドを含むアグロバクテリウム属株GV2260を接種する。外植片は、Euc再生(Euc Regeneration)培地に移す前に3日間共培養する。外植片は、除草剤を含む選択培地に移す前に4日間Euc再生培地で培養した。
除草剤耐性形質転換体の選択に続いて、形質転換体をGUS発現についてアッセイする。GUS発現の確認により、シュートを収集し、発根培地へ移す。発根培地は、5g/l MeadWestvaco Nuchar活性炭を補ったBTM-1塩を含み、発根発生は、通常2〜4週後に生じる。一次根系の発生に応じて、形質転換植物を土壌に移す。ユビキチンプロモーターに作動可能に連結した配列番号:1〜29のいずれか一つを有するトランスジェニックユーカリ属植物は、増殖の増強を示す。
実施例3
実施例3は、針葉樹の針葉、木部、形成層、および師部から得られるRNAのために特に有用であるRNA抽出並びに精製のための手順を図示する。
組織は、針葉樹の針葉、木部、形成層、または師部から得られる。組織は、液体窒素で凍結して粉砕する。総RNAをConcert Plant RNA試薬(Invitrogen)を使用して抽出する。生じるRNA試料をフェノール:クロロホルム中に抽出して、DNaseで処理する。次いで、RNAを65℃で2分間インキュベートし、続いて4℃で30分間遠心分離する。遠心分離に続いて、混入物を除去するためにRNAを少なくとも10回フェノールに抽出する。
RNAは、RNeasyカラム(Qiagen)を使用してさらにきれいにする。精製したRNAはRibo Green試薬(Molecular Probes)を使用して定量し、ゲル電気泳動法によって純度を評価する。
次いで、RNAをMessage Amp(Ambion)を使用して増幅する。アミノアリル-UTPおよび遊離UTPをアミノアリル-UTP対UTPが4:1の比率で精製RNAのインビトロ転写に添加する。アミノアリル-UTPは、転写の際に新たなRNA鎖に組み入れられる。次いで、生じる増幅されたRNAに対して比色標識を付着させる。RNAで使用するために改変したAmersham法を使用して、アミノアリル基をCy色素と反応させる。取り込まれない色素をエタノール沈殿によって除去する。標識されたRNAは、分光光度によって定量する(NanoDrop)。標識されたRNAは、Hughes et al., Nature Biotechnol. 19:342 (2001)に記載されたとおりに95℃まで加熱することによって断片化する。
実施例4
実施例4は、P.ラジアータにおいて木材発生のために重要なセルロースシンターゼまたはセルロースシンターゼ様遺伝子をどのように決定することができるのか、および、マイクロアレイに使用するために、これらの遺伝子に一義的に結合するオリゴヌクレオチドをどのようにデザインし、合成するかを図示する。
P.ラジアータ種のマツの木は、天然の光条件下で生長する。組織試料は、たとえばSterky et al., Proc.Nat'l Acad. Sci. 95:13330 (1998)に記載されたとおりに調製される。特に、組織試料は、5メートルの高さを有する木質樹木から収集される。木質樹木の組織試料は、幹の形成層領域を介して接線方向切片をとることによって調製される。幹は、未成熟(頂部)から成熟(底部)の範囲の切片に水平に切断される。発生の段階によって分けた幹切片は、師部、分化中の師部、形成層、分化中の木部、発生中の木部、および成熟した木部の切片に剥離することによって5層にさらに分けられる。また、葉、芽、シュート、および根を含む組織試料は、P.ラジアータ種の実生から調製される。
RNAを単離し、実施例1またはSterky et al., 前記に記載されたように、ESTを作製した。発生中の木材を含む試料に由来するESTの核酸配列を、多糖体合成に含まれることが公知の遺伝子の核酸配列と比較する。また、発生中の木材を含まない試料からのESTを、植物細胞終期に含まれることが公知の遺伝子の配列と比較する。インシリコでのハイブリダイゼーション解析は、BLAST(NCBI)を使用して行われる。下記の表6および7は、E. グランディス(表6)およびP.ラジアータ(表7)におけるセルロースシンターゼおよびセルロースシンターゼ様タンパク質についてのインシリコでのハイブリダイゼーションデータを示す。
(表6)E.グランディスについてのインシリコハイブリダイゼーションデータ
Figure 2006526990
Figure 2006526990
Figure 2006526990
(表7)P.ラジアータについてのインシリコハイブリダイゼーションデータ
Figure 2006526990
Figure 2006526990
発生中の木材を含む試料から作製されたESTに対してインシリコでハイブリダイゼーションを示すが、発生中の木材を含まない試料からのESTに対してハイブリダイズしない、公知のセルロースシンターゼおよびセルロースシンターゼ様タンパク質遺伝子の中からの配列を、さらなる調査のために選択する。
木材優先発現を示す遺伝子に対してハイブリダイズする配列を含むcDNAクローンを、分子生物学の技術分野における周知の技術を使用してcDNAライブラリーから選択する。配列情報を使用して、それぞれのオリゴヌクレオチドがライブラリー内の1つのcDNA配列のみに対して特異的であるようにオリゴヌクレオチドをデザインする。オリゴヌクレオチド配列は、表5に提供される。Li and Stormo, 前記の方法を使用して、またはArrayDesigner、GeneScan、およびProbeSelectなどのソフトウェアを使用して、60merオリゴヌクレオチドプローブをデザインした。
次いで、オリゴヌクレオチドをHughes et al., Nature Biotechnol. 19:324(2002)に記載されているか、またはKane et al., Nucleic Acids Res. 28:4552 (2000)に記載されているとおりにインサイチュウで合成し、5'アミノリンカーを使用して活性化されたガラススライド(Sigma-Genosis, The Woodlands, TX)に貼り付ける。スライド上のそれぞれのオリゴヌクレオチドの位置は、公知である。
実施例5
実施例5は、実施例4に記載したP.ラジアータcDNA配列に由来するマイクロアレイを使用して、複数のマツ種、この場合P.ラジアータおよびタエダマツのP.タエダ樹木の両方からの組織のRNAを、樹木の幼若木材および成熟木材を形成する切片における木材発生と関係する遺伝子発現のパターンの解析について選択する方法を図示する。
約16年齢の放任受粉した樹木は、タエダマツについては米国の、およびラジアータマツについてはニュージーランドの造林地栽培場(plantation-grown sites)から選択する。樹木は、春と夏の季節の間に倒して、これらの木材形成の異なる発生段階に関係する遺伝子の発現を比較する。樹木は、個々に倒して、樹幹切片を基部から約1〜2メートルで、かつ有効な樹冠の下の1〜2メートル以内の底部領域から除去する。樹幹の基部末端から除去した切片は、成熟木材を含む。有効な樹冠の下から除去した切片は、幼若木材を含む。春の季節の間に収集される試料は、早材または春材と名付けられるが、夏の季節の間に収集される試料は、晩材または夏材とみなされる。Larson et al., Gen. Tech. Rep. FPL-GTR-129. Madison, WI: U.S. Department of Agriculture, Forest Service, Forest Products Laboratory. p. 42。
組織を幹切片から単離し、その結果師部、形成層、発生中の木部、成熟木部が除去される。これらの組織は、今年の年輪だけから収集される。いずれの場合においても組織除去したとたんに、核酸およびその他の成分を保存するために、材料は、液体窒素に直ちに投げ込まれる。樹皮は、かみそりの刃でこすることによって、樹皮の内面から除去した切片および師部組織からはがす。形成層組織は、表面を穏やかに削ることによって剥がした切片の外層から単離する。発生中の木部および木質化する木部は、順次残りの組織をより強く削ることによって単離される。組織は、RNA抽出およびその後の解析が行われるまで、-70℃で長期保存するために液体窒素から容器に移す。
実施例6
実施例6は、特に木本の種々の組織から得られたRNAに有用な、RNA抽出および精製のために実施例3で使用されるものに変わる方法、並びに実施例4に記載したアレイを使用してハイブリダイゼーションおよびデータ解析のための方法を図示する。
RNAは、Chang et al., Plant Mol. Biol. Rep. 11:113のプロトコルに従って単離する。DNAは、DNase I (Invitrogen, Carlsbad, CA)を使用して製造業者の推奨に従って除去する。RNA試料の完全性は、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies, USA)を使用して決定する。
それぞれの組織からの10μg総RNAを、公知の方法を使用してcDNAに逆転写する。
パイヌス・ラジアータ師部組織の場合、通常の標識法のために十分な量の総RNAを抽出することが困難であり得る。総RNAは、前述したように抽出かつ処理され、100ngの総RNAを、NuGEN(商標)(NuGEN, CA, USA)からのOvation(商標)Nanosample RNA Amplification systemを使用して増幅する。Ambionによって製造されたものなどの同様の増幅キットを使用してもよい。増幅されたRNAは、cDNAに逆転写して、上記の通りに標識する。
ハイブリダイゼーションおよび洗浄するストリンジェンシーは、42℃で「Methods and Kits for Labeling and Hybridizing cDNA for Microarray Analysis」(前記)についての米国特許出願に記載したとおりのプロトコルを使用して行う。アレイ(スライド)は、ScanArray 4000 Microarray Analysis System(GSI Lumonics, Ottawa, ON, Canada)を使用して走査する。生の、規準化されていない強度値は、QUANTARRAYソフトウェア(GSI Lumonics, Ottawa, ON, Canada)を使用して作製される。
完全釣合い型不完備ブロック実験計画法(fully balanced, incomplete block experimental design:Kerr and Churchill, Gen. Res. 123: 123, 2001)は、解析したデータから最大統計的推論ができるアレイ実験をデザインするために使用される。
遺伝子発現データは、SAS(登録商標)Microarray Solution software package(The SAS Institute, Cary, NC, USA)を使用して解析する。次いで、生じるデータをJMP(登録商標)(The SAS Institute, Cary, NC, USA)を使用して視覚化した。
この実験のために行った解析は、混合モデル仕様での分散分析アプローチである(Wolfinger et al., J. Comp. Biol. 8:625-637)。線形混合モデルの2つの工程が適用される。第1の工程(正常化モデル)は、スライドレベルでの全体的な正常化のために適用される。第2の工程(遺伝子モデル)は、それぞれの遺伝子に対して厳密な統計的推論を行うために適用される。両モデルは、モデル(1)および(2)に述べてある。
Figure 2006526990
Yijklsは、k番の色素をi番の株化細胞に対してj番の処理を適用したl番のスライドにおけるs番目のスポットの強度を表す。θij、Dk、S、およびDSklは、i番の株化細胞におけるj番の処理の平均効果、k番の色素効果、l番のスライドランダム効果、およびl番のスライドにおけるk番の色素のランダム相互作用効果を表す。ωijkisは、確率論的誤差項である。これらがg番の遺伝子に特異的であること以外は、θji、Dk、Si、およびがDSklと同様の役割を表す。
Figure 2006526990
は、モデル(1)からのg番の遺伝子の残りを表す。
Figure 2006526990
は、これらがg番の遺伝子に特異的であること以外は、θji、Dk、Si、およびがDSklと同様の役割を表す。
Figure 2006526990
は、g番の遺伝子に対するスライドランダム効果によるスポットを表す。
Figure 2006526990
は、確率論的誤差項を表す。全てのランダム項は、それぞれのモデル内において正常に分布され、相互に独立していると想定される。
上記解析によれば、一定のcDNA(これらのうちのいくつかは、表4に示してある)が、差動的に発現されていることが分かる。
Figure 2006526990
木材発生におけるこれらの特異的な遺伝子の関与は、木材発生の特定の段階に対する遺伝子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションの関与を介して推定される。特定の季節および木の幹の位置での断面(師部、形成層、発生中の木部、成熟木部)にわたる木材発生の空間的連続(spatial continuum)、並びに季節と木の幹の位置との関係は、両方とも木材発生における関連に対して遺伝子発現を関連させるときに考慮される。
実施例7
実施例7は、密度、剛性、強度、枝間の距離、および旋回木理などの農業経済学的に重要な木材表現型と多糖体遺伝子発現を相関させることができる方法を証明する。
成熟したクローンとして繁殖するマツを優れた増殖特性および重要な真菌症に耐性に関して公知の親樹木の子孫の中から選択する。樹皮を接線断面から除いて、胸の高さの第5年輪の平均木材密度、木材の剛性および強度、並びに旋回木理について樹木を検査する。また、樹木を、これらの高さ、主要な枝間の平均距離、樹冠サイズ、およびフォーキング(forking)によって特徴づける。
密度、剛性、強度、枝間の距離、旋回木理、およびこれらの特徴に影響を及ぼす任意の遺伝子にリンクされる可能性のあるその他の特徴に影響を及ぼす主働遺伝子を分離する実生ファミリーを得るために、共通の親を欠く樹木を、これらが密度、剛性、強度、枝間の距離、および旋回木理基準に関して互いから最も広範な変化を呈する基準で、特定の交配種を選択する。従って、高密度、主要枝間の低平均距離、および高旋回木理を呈する樹木からの花粉を使用して、最低の密度、最高の主要枝間平均距離、および最低の旋回木理を呈する選択の中の無関係なプラス樹木から球果を受粉する。「プラス樹木」は、たとえば、高密度を呈するプラス樹木からの花粉を使用して、高密度を呈するもう一つのプラス樹木から発生する球果を受粉し、かつ低い主要枝間平均距離を呈する樹木からの花粉を使用して、低い主要枝間の平均距離を呈するもう一つのプラス樹木から発生する球果を受粉するように交雑される点に留意することは有用である。
種子は、これらの制御された受粉から収集し、親の同一性がそれぞれの種子について維持されるように育てて、それぞれの遺伝子型が複数のラミートによって表されるように、栄養繁殖のために使用する。栄養繁殖は、微細繁殖、生け垣で囲うこと(hedging)、または小束切断を使用して達成される。それぞれの遺伝子型のいくつかのラミートを貯蔵し、一方でそれぞれの遺伝子型の植物繁殖体を地面定植の確立のために十分なサイズに成長させる。遺伝子型を複製デザインに整列して、1日の温度および雨量が測定かつ記録される地面条件下で成長させる。
樹木を種々の年齢で測定して、密度、剛性、強度、枝間距離、旋回木理、およびこれらの特徴に影響を及ぼす任意の遺伝子にリンクされ得る任意のその他の観察可能な特徴に影響を及ぼす遺伝子の発現を決定する。試料を、セルロース含量、リグニン含量、セルロースミクロフィブリル角度、密度、強度、剛性、仮導管形態、環幅等の特徴付けのために収集する。また、実施例6にて説明したように、遺伝子発現について試料を検査する。それぞれの遺伝子型のラミートを、これらの特徴についての年齢:年齢相関を確立するために、異なる年齢で同じ遺伝子型のラミートと比較する。
実施例8
実施例8は、光および季節などの環境条件への反応が、どのように植物表現型を変化させるか、マイクロアレイを使用する多糖体合成遺伝子発現に相関させることができるかを証明する。特に、木材密度と関係する遺伝子発現の変化を検査する。
3つの異なるクローンに繁殖されたE.グランディス・ハイブリッド遺伝子型の樹木を、1日の温度および雨量を測定する気象観測所を持つ場所で成長させる。春およびその後の夏の間に、3つの異なる遺伝子型の遺伝的に同一のラミートを、最初に植物の幼若および成熟部分の樹皮特徴を示すのに十分な分解能での写真撮影を使用して南北方向マークとともに撮影し、次いで伐採する。樹木の年齢は、定植記録によって決定し、年輪のカウントによって確認する。各々のこれらの樹木において、成熟木材は、胸の高さ以下の樹木の最も外部の環として定義され、幼若木材は、胸の高さ以上の樹木の最奥の環として定義される。それぞれの樹木は、以下の通りにそれに応じて扇形に切る:
NM-北側 成熟
SM-南側 成熟
NT-北側 過渡期
ST-南側 過渡期
NJ-北側 幼若
SJ-南側 幼若
組織は、植物樹幹から、並びに幼若および成熟形態葉から収集する。試料は、植物形態学的および生化学的特性、並びに遺伝子発現解析を含む表現型解析のために同時に調製する。それぞれのセクターを採取した点での樹木の高さおよび直径を記録し、樹木の基部から土壌試料を化学的アッセイのために採取する。遺伝子発現解析のために調製した試料は、重量を量り、マイクロアレイ実験に使用するためのRNA試料をその後に調製するために、液体窒素に入れる。組織は、以下の通りに意味する:
P-師部
C-形成層
X1-膨張中の木部
X2-分化中かつ木質化中の木部
樹幹の各々のセクターからの接線および放射状切片における薄いスライスを、解剖学的調査および木材発生段階の確認のためにRuzin, PLANT MICROTECHNIQUE AND MICROSCOPY, Oxford University Press, Inc., New York, NY (1999)に記載されたように固定する。ミクロフィブリル角度は、木材の異なる発生段階において、たとえばユーカリプタス・グランディスの木材、幼若期、過渡期、および成熟期において検査する。検査されるその他の特徴は、導管要素に対する繊維の比およびそれぞれのセクターにおける放射組織である。加えて、試料は、繊維形態、内腔サイズ、およびS2(最も厚い)細胞壁層の幅などの、幼若木材と成熟木材との間、並びに春材と夏材との間で変化する特徴について検査する。試料は、木材アッセイ法の当業者に周知の技術を使用して、第5年輪の密度の測定および弾性係数の決定について検査する。たとえば、Wang, et al., Non-destructive Evaluations of Trees, EXPERIMENTAL TECHNIQUES, pp. 28-30 (2000)を参照されたい。
生化学的分析については、各々の収穫試料から50グラムを凍結乾燥し、単糖、アミノ酸、脂質、その他の抽出物、リグニン、およびセルロースの質について植物生化学の当業者に周知の生化学的アッセイ法を使用して解析する。たとえば、Pettersen & Schwandt, J. Wood Chem. & Technol. 11:495 (1991)を参照されたい。
本実施例において、比較のために選択した表現型は、高密度木材、平均密度木材、および低密度木材である。春および夏に収集した樹木からの、核酸試料を実施例3に記載したように調製する。ハイブリダイゼーションおよびデータ分析による遺伝子発現プロファイリングは、上記の通りに行う。
同様の技術およびクローン繁殖された固体を使用して、これが、強度、剛性、および螺旋性などのその他の複合体木材特徴に関するので、多糖体遺伝子発現を検査することができる。
実施例9
実施例9は、どのようにセルロースシンターゼを組織優先プロモーターに連結して、マツに発現させ、増大された木材密度をもつ植物を生じさせることができるかを証明する。
多糖体合成遺伝子(これは早春の間により高度に発現される)は、実施例7に記載されている方法によって同定する。プロモーターに作動可能に連結された密度関連ポリペプチドを有するDNA構築物を適切なバイナリーベクター内に配置して、本明細書に記載された方法を使用してマツに形質転換する。マツ植物を本明細書に記載したとおりに形質転換し、トランスジェニックマツ植物を、森林定植を確立するために使用する。密度関連DNA構築物で形質転換されていない対照マツ植物と比較して、トランスジェニックマツ植物において、春材(早材)においてすら密度の増大が観察される。
実施例10
分子生物学の当業者に周知の技術を用いて、実施例9において単離されたセルロースシンターゼ配列をアルファルファから単離されたゲノムDNAにおいて解析する。これにより、アルファルファの相同分子種の同定が可能になり、次いでその配列を、RNAiノックアウト構築物を作製するために使用する。次いで、この構築物をアルファルファに形質転換する。たとえば、Austin et al.,. Euphytica 85, 381 (1995)を参照されたい。再生されたトランスジェニック植物は、より低い繊維含有率および木部における放射組織細胞含量の増大を示す。このような特性は、消化性(digestability)を改善して、同種の野生型アルファルファと比較して、このアルファルファで供給されるウシにおいてより高い増殖速度を生じる。
実施例11
実施例11は、どのように遺伝子発現解析を使用して望ましい表現型を有する成熟植物体に存在する遺伝子変異体を見いだすことができるかを証明する。このような変異体の有無は、成熟植物体の表現型を予測するために使用することができ、実生段階で植物をスクリーニングすることができる。本実施例は、ユーカリを使用するが、本明細書に使用される方法は、マツおよびその他の樹木種のための育種プログラムにも有用である。
推定上の密度関連遺伝子の配列を使用して、以前の実施例に記載したとおりに密度が異なるユーカリ属から単離されたゲノムDNAをプローブする。異なる木材表現型の非トランスジェニック的に産生されたユーカリ属ハイブリッドを検査する。1つのハイブリッドは、高い木材密度を示し、もう一つのハイブリッドは、より低い木材密度を示す。コード領域の3'位の分子マーカーにより、より低密度の遺伝子変異体から高密度の遺伝子変異体を区別することが見いだされる。
この分子マーカーにより、樹木がまだ実生段階である間に、樹木栽培家は可能性の高い密度プロファイリングについて非トランスジェニックユーカリ属ハイブリッドをアッセイすることができるが、マーカーの非存在下では、樹木栽培家は、収穫年齢での密度を確実に予測することができる前の複数年の間に樹木が成長するまで待たなければならない。これにより、高価な選別作業および結果として生じる間伐年齢での浸食(erosion)が無く、実生段階において最良の樹木を選択的にアウトプラント(outplanting)することが可能になる。この分子マーカーは、どの親が高密度異系交配子孫を生じるかについて決定するための繁殖プログラムにおいてさらに有用である。
より高い、またはより低い木材密度の非トランスジェニックユーカリ属ハイブリッド樹木において頻繁に見られる変異体に対応しない遺伝子のコード領域の3'部分に見いだされる分子マーカーも、有用である。これらのマーカーは、育種プログラムにおいて、および植林において、同一性追跡に使用するために、ユーカリ属の異なる遺伝子型から指紋をとる(fingerprinting)ために有用であることが分かる。
実施例12
本実施例は、商業的木材において重要である表現型の特徴、すなわち木材外観、剛性、強度、密度、繊維寸法、粗さ、セルロースおよびリグニン含量、抽出物含量などに寄与する遺伝子発現相違を同定するためのマイクロアレイについて記載する。
発生中の木部、形成層、師部、葉、芽、根、およびその他の組織からRNAを収集および単離するために、商業的に重要な木製品を生ずる属の木質の樹木を種々の部位から、および年の種々の時期に伐採する。また、同じ属の実生から、RNAを単離する。
全てのコンティグを、発生中の木材を含む試料から単離されるRNAから作製されるESTおよび発生中の木材を含まない種々の組織のRNAから作製されるESTの配列の両方と比較する。主に発生中の木材を含む試料から単離されるRNAから作製されるESTに対して、発生中の木材を含んでいない試料から単離されるRNAから作製されるESTに対するよりも多くのハイブリダイゼーションをインシリコで示すESTを含むコンティグは、発生中の木材に特に発現される可能性のある新規の遺伝子に相当することが決定される。次いで、これらのコンティグをパブリックドメイン配列に対してBLAST検索するために使用する。公知の遺伝子または「仮説上のタンパク質」だけを有すると注釈がついている遺伝子に対し、インシリコで高いストリンジェンシーでハイブリダイズしないこれらのコンティグを次の工程のために選択する。これらのコンティグは、木材優先発現を示すと考えられる推定上の新規の遺伝子である。
木材優先発現を示す推定上の新規の遺伝子にハイブリダイズする配列を含む最も長いcDNAクローンを、分子生物学の当業者に周知の技術を使用してcDNAライブラリーから選択する。cDNAをシーケンスして、可能であれば、全長遺伝子-コード配列を非翻訳隣接配列ととともに得る。それぞれのオリゴヌクレオチドプローブが、高いストリンジェンシーで、同じ属の樹木または実生だけから単離されたRNAから作製されるESTにおいて表される1つの配列だけにハイブリダイズするように、45〜80ヌクレオチド(またはオリゴヌクレオチド)の一配列を、木材優先発現を示す推定上の新規遺伝子の各々の配列から選択する。
次いで、オリゴマーを化学的に合成して、実施例4に記載したように、マイクロアレイスライド上に配置する。それぞれのオリゴマーは、木材優先発現を示す推定上の新規遺伝子の特定の配列に対応し、かつその配列は、同じ属の樹木または実生から単離されたRNAから作製されたESTに表される他の遺伝子に対応しない。
試料調製およびハイブリダイゼーションは、実施例4のとおりに行われる。シグナルの存在は、保存された機能的ドメインまたは共通の進化歴によってcDNAとの類似点を含む可能性のある多くの遺伝子のいずれかではなく、特定の遺伝子の発現の有意な証拠を表すので、本実施例で使用される技術は、cDNAプローブを使用するマイクロアレイの使用よりも有効である。従って、同じファミリーのものなどの、相同遺伝子群を区別することが可能性であるが、表現型の決定の際には異なる機能を有してもよい。
実施例6の方法を使用して得たこのハイブリダイゼーションデータにより、使用者は、同定することができる推定上の新規遺伝子のうちのいずれが、公知の遺伝子と協調した発現のパターン、特定の発生的役割と一致した発現のパターン、および/または遺伝子が有益な方法で発現を駆動するプロモーターを有することを示唆する発現のパターンを実際に有するかを同定することができる。
本方法を使用して得られたハイブリダイゼーションデータは、たとえば発生中の春材(早材)において最低のセルロースミクロフィブリル角度をもつ仮導管に特異的な発現パターンを示す推定上の新規の遺伝子を同定するために使用することができる。また、この遺伝子のプロモーターは、実施例8におけるように単離して、実施例9におけるように晩材(夏材)と関係することが示された遺伝子に作動可能に連結することができる。この構築物を含むトランスジェニックマツ植物は、実施例9の方法を使用して作製され、次いで、これらの植物の春材は、より高いミクロフィブリル角度、より高い密度、より小さな平均内腔サイズ、その他などの晩材のいくつかの特徴を示すことが示される。
実施例13
実施例13は、増大された植物バイオマスのための、多糖体合成遺伝子に機能的に連結された木部特異的プロモーターの使用を証明する。
木部特異的多糖体合成転写物は、実施例6に記載したように、異なる第2の維管束層のアレイ解析を経て同定される。これらの転写物に対応する遺伝子に連結された候補プロモーターは、たとえば、BD Clontech GenomeWalker Kitを使用してマツゲノムDNAからクローン化し、形成層特異性/選択についてのリポーターアッセイによりトランスジェニックタバコにおいて試験する。第2の木部細胞分裂に関与する多糖体合成遺伝子を過剰発現する木部特異的プロモーターを木材バイオマスを増大するために使用する。直列型の木部特異的プロモーターを構築して、多糖体合成遺伝子ORFを駆動させる。候補多糖体合成遺伝子の転写物レベルの押し上げにより、増大された木部バイオマス表現型を生じる。
本発明は、例示的実施形態に関して記載されると共に、種々の変化を行ってもよいこと、および均等物は本発明の範囲内において、これらのエレメントに置換してもよいことが当業者によってよく理解されている。加えて、本発明の教示に対して特定の状況または材料を適応するために、これらの必須な範囲から逸脱することなく、多くの修飾を行ってもよい。従って、本発明は、本発明を行うために想定される開示される最良の形態としての特定の態様に限定されないことが企図される。本明細書において引用される全ての参照および刊行物は、その全体が参照として組み入れられる。
(表1)ユーカリプタス・グランディス多糖体合成遺伝子
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(表2)パイヌス・ラジアータ多糖体合成遺伝子
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(表3)ユーカリプタス・グランディス多糖体合成ペプチド
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(表4)パイヌス・ラジアータ多糖体合成ペプチド
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(表5)オリゴヌクレオチド配列
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配列番号:30のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:31のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:32のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:33のアミノ酸配列。保存されたファミリー2グリコシルトランスフェラーゼドメインを下線で示す。 配列番号:34のアミノ酸配列。保存されたグリコシルトランスフェラーゼ、ファミリー2、ファミリードメインを下線で示す。 配列番号:35のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:36のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:37のアミノ酸配列。保存されたファミリー2グリコシルトランスフェラーゼドメインを下線で示す。 配列番号:38のアミノ酸配列。保存されたヌクレオチド-ジホスホ-糖質トランスフェラーゼドメインを下線で示す。 配列番号:39のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:40のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:41のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:42のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:43のアミノ酸配列。保存されたグリコシルトランスフェラーゼ、ファミリー2ドメインを下線で示す。 配列番号:44のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:45のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:46のアミノ酸配列。保存されたGlycoside加水分解酵素、ファミリー2、ドメインを下線で示す。 配列番号:47のアミノ酸配列。保存されたグリコシルトランスフェラーゼ、ファミリー2ドメインを下線で示す。 配列番号:48のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:49のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:50のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:51のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:52のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:53のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:54のアミノ酸配列。保存されたグリコシルトランスフェラーゼ、ファミリー2ドメインは、保存される。 配列番号:55のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:56のアミノ酸配列。保存されたグリコルシル(glycolsyl)トランスフェラーゼ、ファミリー2ドメインを下線で示す。 配列番号:57のアミノ酸配列。保存されたセルロースシンターゼドメインを下線で示す。 配列番号:58のアミノ酸配列。保存されたグリコルシル(glycolsyl)トランスフェラーゼ、ファミリー2ドメインを下線で示す。 pWVR 8のベクター地図。 pART27のベクター地図。 例示的なマイクロアレイ標本抽出パラメーター。
【配列表】
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Claims (105)

  1. 配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
  2. 核酸配列が、配列番号:1〜2、7〜14、16〜18、20〜21、24〜25、および27〜30、並びにこれらの保存的変異体からなる群より選択される、請求項1記載のポリヌクレオチド。
  3. ポリヌクレオチドが、ユーカリ属(Eucalyptus)またはマツ属(Pinus)の種の野生型植物において発現される遺伝子に含まれる配列と同一である配列を有する、請求項1記載の単離されたポリヌクレオチド。
  4. 変異体が、配列番号:1〜29のいずれか一つに対して99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、または60%以上の配列同一性を有する、請求項1記載の単離されたポリヌクレオチド。
  5. 変異体が、配列番号:1〜29のいずれか一つに対して60%、70%、80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有する、請求項4記載の単離されたポリヌクレオチド。
  6. 変異体が、配列番号:30〜58のいずれか一つに対して60%、70%、80%、85%、90%、または95%以上である配列同一性を有するアミノ酸配列をもつタンパク質をコードし、ポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、該配列番号:1〜29のいずれか一つによってコードされるタンパク質の活性を有する、請求項5記載の単離されたポリヌクレオチド。
  7. 請求項1記載の単離されたポリヌクレオチドで形質転換された植物細胞。
  8. 請求項1記載の単離されたポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物。
  9. 配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体のいずれか一つの配列を有する少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むDNA構築物。
  10. プロモーターをさらに含み、プロモーターとポリヌクレオチドが作動可能に連結されている、請求項9記載のDNA構築物。
  11. プロモーターが、構成的プロモーター、強力なプロモーター、誘導性プロモーター、調節可能プロモーター、時間的調節性プロモーター、および組織優先プロモーターからなる群より選択される、請求項10記載のDNA構築物。
  12. ポリヌクレオチドが、RNA転写物をコードする、請求項9記載のDNA構築物。
  13. ポリヌクレオチドが、プロモーターに対してセンスまたはアンチセンス配向である、請求項12記載のDNA構築物。
  14. RNA転写物が、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列を有するポリヌクレオチドのRNA干渉を誘導する、請求項12記載のDNA構築物。
  15. 請求項14記載のDNA構築物で形質転換された植物細胞。
  16. 請求項15記載の植物細胞を含むトランスジェニック植物。
  17. 請求項14記載のDNA構築物で植物細胞を形質転換する工程;
    植物の増殖を促進する条件下で形質転換された植物細胞を培養する工程
    を含む、形質転換植物を作製する方法。
  18. 請求項9記載のDNA構築物で形質転換された植物細胞。
  19. 請求項18記載の植物細胞を含むトランスジェニック植物。
  20. 植物の表現型が、DNA構築物で形質転換されなかった同種の植物の表現型とは異なる、請求項19記載のトランスジェニック植物。
  21. トランスジェニック植物において異なる表現型が、リグニン品質、リグニン構造、木材組成、木材外観、木材密度、木材強度、木材剛性、セルロース重合、繊維寸法、内腔サイズ、放射組織の比率、導管要素の比率、植物細胞分裂、植物細胞発生、単位面積あたりの細胞数、細胞サイズ、細胞形態、細胞壁組成、木材形成率、木材の美的外観、幹欠陥の形成、平均ミクロフィブリル角度、S2細胞壁層の幅、成長率、枝栄養発生に対する根の根形成比の割合、葉面積指数、および葉形からなる群より選択される、請求項20記載のトランスジェニック植物。
  22. 植物が木本である、請求項19記載のトランスジェニック植物。
  23. 植物が樹木である、請求項22記載のトランスジェニック植物。
  24. 植物がユーカリ属またはマツ属の種のものである、請求項23記載のトランスジェニック植物。
  25. 植物が、DNA構築物で形質転換されなかった同種の植物と比較して、乾燥耐性の増大、除草剤耐性、高さの減少または増大、枝分かれの減少または増大、寒冷および霜耐性の増強、成長力の改善、色の増強、健康および栄養的な特性の増強、貯蔵の改善、収率の増大、耐塩性の増強、壊変に対する木材の耐性の増強、真菌症に対する耐性の増強、害虫に対する誘引性の変化、耐病性の増強、昆虫耐性の増強、水ストレス耐性の増強、木目の改善、発芽の増大、微量栄養素取り込みの増大、新規樹脂の産生、セルロース含量の増大、リグニン含量の減少、および新規タンパク質またはペプチドの産生からなる群より選択される1つまたは複数の形質を示す、請求項19記載のトランスジェニック植物。
  26. DNA構築物で形質転換されなかった同種の植物と比較して、幼若期の減少、幼若期の増大、あて材を形成する性向、自己離層形成によって脱落する枝、生殖発生の促進、または生殖発生の遅延からなる群より選択される1つまたは複数の形質を示す、請求項19記載のトランスジェニック植物。
  27. 配列番号:30〜58のいずれか一つから選択されるポリペプチドの触媒ドメインまたは基質結合ドメインをコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドであって、配列番号:30〜58のいずれか一つから選択される該ポリペプチドの活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  28. 配列番号:1〜29のいずれかの配列を有する少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むDNA構築物で植物細胞を形質転換する工程、および
    植物の増殖を促進する条件下で形質転換された植物細胞を培養する工程
    を含む、形質転換植物を作製する方法。
  29. DNA構築物がプロモーターをさらに含み、ポリヌクレオチドおよびプロモーターが作動可能に連結されている、請求項28記載の方法。
  30. 少なくとも1つのポリヌクレオチドが、セルロースシンターゼおよびセルロースシンターゼ様タンパク質からなる群より選択されるタンパク質をコードする、請求項28記載の方法。
  31. 植物細胞が、植物外植片組織内に位置する、請求項28記載の方法。
  32. トランスジェニック植物が、DNA構築物で形質転換されなかった同種の植物とは異なる表現型を呈する、請求項28記載の方法。
  33. トランスジェニック植物において異なる表現型が、リグニン品質、リグニン構造、木材組成、木材外観、木材密度、木材強度、木材剛性、セルロース重合、繊維寸法、内腔サイズ、放射組織の比率、導管要素の比率、その他の植物成分、植物細胞分裂、植物細胞発生、単位面積あたりの細胞数、細胞サイズ、細胞形態、細胞壁組成、木材形成率、木材の美的外観、幹欠陥の形成、平均ミクロフィブリル角度、S2細胞壁層の幅、成長率、枝栄養発生に対する根の根形成比の割合、葉面積指数、および葉形からなる群より選択される、請求項28記載の方法。
  34. トランスジェニック植物が、DNA構築物で形質転換されなかった同種の植物と比較して、乾燥耐性の増大、除草剤耐性、高さの減少または増大、枝分かれの減少または増大、寒冷および霜耐性の増強、成長力の改善、色の増強、健康および栄養的な特性の増強、貯蔵の改善、収率の増大、耐塩性の増強、壊変に対する木材の耐性の増強、真菌症に対する耐性の増強、害虫に対する誘引性の変化、耐病性の増強、昆虫耐性の増強、水ストレス耐性の増強、木目の改善、発芽の増大、微量栄養素取り込みの増大、新規樹脂の産生、セルロース含量の増大、リグニン含量の減少、および新規タンパク質またはペプチドの産生、からなる群より選択される1つまたは複数の形質を示す、請求項28記載の方法。
  35. 請求項9記載のDNA構築物で形質転換されたトランスジェニック樹木から得られる木材。
  36. 請求項9記載のDNA構築物で形質転換されたトランスジェニック樹木から得られる木材パルプ。
  37. DNA構築物が、配列番号:30〜58のいずれか一つのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項36記載の木材パルプ。
  38. 配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列を有するポリヌクレオチドを含むDNA構築物で植物を形質転換する工程;
    植物の増殖を促進する条件下で形質転換植物を培養する工程;および
    植物から木材を得る工程
    を含む、木材を作製する方法。
  39. 配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列を有するポリヌクレオチドを含むDNA構築物で植物を形質転換する工程;
    植物の増殖を促進する条件下で形質転換された植物を培養する工程;および
    植物から木材パルプを得る工程
    を含む、木材パルプを作製する方法。
  40. 請求項1記載の単離されたポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
  41. 配列番号:30〜58からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
  42. 配列番号:1〜29のいずれか一つによってコードされるポリペプチドの植物における発現を変化させることを含む、植物の植物表現型を変化させる方法。
  43. 発現が、アップレギュレートされるか、ダウンレギュレートされるか、サイレンシングされるか、または発生的に調節される、請求項42記載の方法。
  44. 植物が木本である、請求項42記載の方法。
  45. 植物表現型が、リグニン品質、リグニン品質、リグニン構造、木材組成、木材外観、木材密度、木材強度、木材剛性、セルロース重合、繊維寸法、内腔サイズ、放射組織の比率、導管要素の比率、その他の植物成分、植物細胞分裂、植物細胞発生、単位面積あたりの細胞数、細胞サイズ、細胞形態、細胞壁組成、木材形成率、木材の美的外観、幹欠陥の形成、平均ミクロフィブリル角度、S2細胞壁層の幅、成長率、枝栄養発生に対する根の根形成比の割合、葉面積指数、および葉形からなる群より選択される、請求項42記載の方法。
  46. 植物が、DNA構築物で形質転換されなかった同種の植物と比較して、乾燥耐性の増大、除草剤耐性、高さの減少または増大、枝分かれの減少または増大、寒冷および霜耐性の増強、成長力の改善、色の増強、健康および栄養的な特性の増強、貯蔵の改善、収率の増大、耐塩性の増強、壊変に対する木材の耐性の増強、真菌症に対する耐性の増強、害虫に対する誘引性の変化、耐病性の増強、昆虫耐性の増強、水ストレス耐性の増強、木目の改善、発芽の増大、微量栄養素取り込みの増大、新規樹脂の産生、セルロース含量の増大、リグニン含量の減少、および新規タンパク質またはペプチドの産生、からなる群より選択される1つまたは複数の特徴を示す、請求項41記載の方法。
  47. 配列番号:59〜83からなる群より選択される核酸配列を含むポリヌクレオチド。
  48. ポリヌクレオチドが、約100未満のヌクレオチド塩基を含む、請求項47記載のポリヌクレオチド。
  49. 第1の試料において、配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列によってコードされる産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出する工程;
    第2の試料において1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出する工程;
    第1の試料における1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを、第2の試料における1つまたは複数の遺伝子の発現レベルと比較する工程;並びに、
    第1と第2の試料間の1つまたは複数の遺伝子の発現レベルの相違を相関させる工程
    を含む、2つの異なる試料中の遺伝子発現を相関させる方法。
  50. 第1の試料および第2の試料は、それぞれの異なる種類の植物組織に由来する、請求項49記載の方法。
  51. 第1の試料が正常木材であり、第2の試料があて材である、請求項49記載の方法。
  52. 第1の試料および第2の試料が、同じ組織に由来し、かつ第1の試料および第2の試料が、それぞれ一年の異なる季節の間に収穫される、請求項49記載の方法。
  53. 第1の試料および第2の試料が、異なる発生段階の植物から得られる、請求項49記載の方法。
  54. 表現型を有する第1の植物において、配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列によってコードされる産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出する工程;
    表現型を欠いている第2の植物において、1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出する工程;
    第1の植物における1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを、第2の植物における1つまたは複数の遺伝子の発現レベルと比較する工程;並びに、
    第1と第2の植物間の1つまたは複数の遺伝子の発現レベルの相違を表現型の保有に対して相関させる工程
    を含む、1つまたは複数の遺伝子の植物における遺伝子発現レベルに対して植物表現型の所有を相関させる方法。
  55. 正常な木材表現型を示す木部内の第1の植物細胞において、配列番号:1〜29およびこれらの保存的変異体からなる群より選択される核酸配列によってコードされる産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出する工程;
    あて材表現型を示す木部内の第2の植物細胞において、1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出する工程;
    第1の植物細胞における1つまたは複数の遺伝子の発現のレベルを、第2の植物細胞における1つまたは複数の遺伝子の発現レベルと比較する工程;および
    あて材を形成する性向に対して第1と第2の試料との間の1つまたは複数の遺伝子の発現レベルの相違を相関させる工程、
    を含む、あて材を形成する性向に対して遺伝子発現を相関させる方法。
  56. 第1および第2の植物または植物細胞の両方が、ユーカリ属およびマツ属種から選択される同種のものである、請求項54記載の方法。
  57. 第1および第2の植物または植物細胞が、ユーカリプタス・グランディス(Eucalyptus grandis)またはパイヌス・ラジアータ(Pinus radiata)から選択される種のものである、請求項54記載の方法。
  58. 検出する工程が、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列に対して、標準的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることができる1つまたは複数のポリヌクレオチドを使用して行われる、請求項54記載の方法。
  59. 検出する工程が、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列によってコードされる遺伝子産物に対して、標準的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることができる1つまたは複数のポリヌクレオチドを使用して行われる、請求項54記載の方法。
  60. 検出する工程が、標識された核酸に対するハイブリダイゼーションによって行われる、請求項54記載の方法。
  61. 1つまたは複数のポリヌクレオチドが、検出可能な標識で標識されている、請求項57記載の方法。
  62. 1つまたは複数のポリヌクレオチドの少なくとも一つが、1つまたは複数の遺伝子のうちの一つの3'非翻訳領域にハイブリダイズする、請求項58記載の方法。
  63. 1つまたは複数のポリヌクレオチドの少なくとも一つが、1つまたは複数の遺伝子のうちの一つの3'非翻訳領域にハイブリダイズされる、請求項59記載の方法。
  64. 1つまたは複数のポリヌクレオチドが、配列番号:59〜83からなる群より選択される核酸配列を含む、請求項58記載の方法。
  65. 1つまたは複数のポリヌクレオチドが、配列番号:59〜83からなる群より選択される核酸配列を含む、請求項59記載の方法。
  66. 1つまたは複数のポリヌクレオチドが、DNAおよびRNAからなる群より選択される、請求項58記載の方法。
  67. 1つまたは複数のポリヌクレオチドが、DNAおよびRNAからなる群より選択される、請求項59記載の方法。
  68. 検出する工程の前に、第1および第2の植物または植物細胞の1つまたは複数の遺伝子を増幅する工程をさらに含む、請求項54記載の方法。
  69. 検出する工程の前に、第1および第2の植物または植物細胞の1つまたは複数の遺伝子を検出可能な標識で標識する工程をさらに含む、請求項54記載の方法。
  70. 2つ以上のオリゴヌクレオチドを含む、1つまたは複数の遺伝子の発現を検出するための組み合わせであって、それぞれのオリゴヌクレオチドは、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列にハイブリダイズすることができる、組み合わせ。
  71. 2つ以上のオリゴヌクレオチドを含む、1つまたは複数の遺伝子の発現を検出するための組み合わせであって、それぞれのオリゴヌクレオチドは、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列によってコードされる遺伝子産物にハイブリダイズすることができる、組み合わせ。
  72. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列の異なる一つにハイブリダイズする、請求項70記載の組み合わせ。
  73. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列の異なる一つによってコードされるヌクレオチド配列にハイブリダイズする、請求項71記載の組み合わせ。
  74. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列の3'非翻訳領域にハイブリダイズする、請求項71記載の組み合わせ。
  75. 2つ以上のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列の3'非翻訳領域に対して相補的である核酸配列にハイブリダイズする、請求項71記載の組み合わせ。
  76. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、約100ヌクレオチド塩基未満を含む、請求項70記載の組み合わせ。
  77. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、配列番号:59〜83からなる群より選択される核酸配列を含む、請求項70記載の組み合わせ。
  78. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、配列番号:59〜83からなる群より選択される核酸配列を含む、請求項71記載の組み合わせ。
  79. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、セルロースシンターゼおよびセルロースシンターゼ様タンパク質からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子にハイブリダイズする、請求項70記載の組み合わせ。
  80. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、セルロースシンターゼおよびセルロースシンターゼ様タンパク質からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子によってコードされる核酸配列にハイブリダイズする、請求項71記載の組み合わせ。
  81. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、タンパク質の異なる一つをコードする遺伝子にハイブリダイズする、請求項79記載の組み合わせ。
  82. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、タンパク質の異なる一つをコードする遺伝子によってコードされる核酸配列にハイブリダイズする、請求項80記載の組み合わせ。
  83. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、異なる遺伝子にハイブリダイズする、請求項79記載の組み合わせ。
  84. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、異なる遺伝子によってコードされる核酸配列にハイブリダイズする、請求項80記載の組み合わせ。
  85. 約2〜約5000個の2つ以上のオリゴヌクレオチドを含む、請求項70記載の組み合わせ。
  86. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、検出可能な標識で標識されている、請求項70記載の組み合わせ。
  87. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、固体支持体上の固有の位置を占有する、固体支持体上に提供された請求項70記載の組み合わせを含むマイクロアレイ。
  88. それぞれのオリゴヌクレオチドが、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列を含む遺伝子に対して標準的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることができる2つ以上のオリゴヌクレオチドと、試料を接触させる工程;および
    1つまたは複数のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする関心対象の1つまたは複数の遺伝子を検出する工程
    を含む、試料中の1つまたは複数の遺伝子を検出するための方法。
  89. それぞれのオリゴヌクレオチドが、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列を含む遺伝子によってコードされる核酸配列に対して標準的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることができる2つ以上のオリゴヌクレオチドと、試料を接触させる工程;および
    1つまたは複数のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする1つまたは複数の核酸配列を検出する工程
    を含む、試料中の1つまたは複数の遺伝子によってコードされる1つまたは複数の核酸配列を検出するための方法。
  90. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列の異なる一つを含む遺伝子にハイブリダイズする、請求項88記載の方法。
  91. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列の異なる一つを含む遺伝子によってコードされる核酸配列にハイブリダイズする、請求項89記載の方法。
  92. 2つ以上のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列を含む遺伝子の3'非翻訳領域にハイブリダイズする、請求項88記載の方法。
  93. 2つ以上のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、配列番号:1〜29からなる群より選択される核酸配列を含む遺伝子の3'非翻訳領域に対して相補的である核酸配列にハイブリダイズする、請求項89記載の方法。
  94. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、約100ヌクレオチド塩基未満を含む、請求項88記載の方法。
  95. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、配列番号:59〜83からなる群より選択される核酸配列を含む、請求項88記載の方法。
  96. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、配列番号:59〜83からなる群より選択される核酸配列を含む、請求項89記載の方法。
  97. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、セルロースシンターゼおよびセルロースシンターゼ様タンパク質からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子にハイブリダイズする、請求項88記載の方法。
  98. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、セルロースシンターゼおよびセルロースシンターゼ様タンパク質からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子によってコードされる核酸配列にハイブリダイズする、請求項89記載の方法。
  99. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、タンパク質の異なる一つをコードする遺伝子にハイブリダイズする、請求項97記載の方法。
  100. 2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、タンパク質の異なる一つをコードする遺伝子によってコードされる核酸配列にハイブリダイズする、請求項98記載の方法。
  101. 2つ以上のオリゴヌクレオチドが固体支持体上に提供され、2つ以上のオリゴヌクレオチドの各々が、固体支持体上の固有の位置を占有する、請求項88記載の方法。
  102. 固体支持体が、約2〜約5000個の2つ以上のオリゴヌクレオチドを含む、請求項101記載の方法。
  103. 接触させる工程の前に、試料中の1つもしくは複数の遺伝子または核酸配列を増幅する工程をさらに含む、請求項88記載の方法。
  104. 接触させる工程の前に、試料中の1つもしくは複数の遺伝子または核酸配列を検出可能な標識で標識する工程をさらに含む、請求項88記載の方法。
  105. ヌクレオチドハイブリダイゼーション反応のための1つもしくは複数の緩衝液または試薬と共に、請求項87記載のマイクロアレイを含む、遺伝子発現を検出するためのキット。
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