JP2006525983A

JP2006525983A - 神経変性の治療における使用のための、グリシン／ｎｍｄａアンタゴニストとタキキニンｎｋ−１受容体アンタゴニストとの組合わせ

Info

Publication number: JP2006525983A
Application number: JP2006506217A
Authority: JP
Inventors: カストロ・ピネイロ，ホセ・ルイス
Original assignee: メルクシャープエンドドームリミテッド
Priority date: 2003-05-12
Filing date: 2004-05-04
Publication date: 2006-11-16
Also published as: EP1624872A2; CN1784233A; AU2004237127A1; WO2004098579A2; CA2524904A1; WO2004098579A3; GB0310881D0; US20070032491A1

Abstract

本発明は、特に脳卒中または脳虚血から生じる神経変性の治療における使用のための、タキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストと組合わせて、Ｎ−メチル−Ｄ−アスパレート（ＮＭＤＡ）受容体のストリキニーネ非感受性グリシン調節部位のアンタゴニストとして活性な化合物を含む製薬配合物に関する。

Description

本発明は、活性成分の組合わせを含む製薬組成物に関する。より詳しくは本発明は、特に脳卒中または脳虚血から生じる神経変性の治療における使用のための、タキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストと組合わせた、Ｎ−メチル−Ｄ−アスパレート（ＮＭＤＡ）受容体のストリキニーネ−非感受性グリシン調節部位のアンタゴニスト（以後、「グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニスト」と呼ばれる）として活性な化合物を含んでいる製薬組成物に関する。

グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストは、例えば脳卒中、一時的な虚血発作、手術周辺（ｐｅｒｉ−ｏｐｅｒａｔｉｖｅ）虚血、全体虚血（心停止後）、および大脳または脊髄への外傷性脳損傷などの事象から生じる、急性神経変性障害の治療において利点があることが、当分野から周知である。さらには、グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストは、あるいくつかの慢性神経障害、例えば老人性認知症、パーキンソン病、およびアルツハイマー病の治療において有用になりうる。これらはまた、末梢神経機能が損傷された状態、例えば網膜変性および黄斑変性においても有用性を有しうる。

グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストはさらには、癲癇；不安症；薬物乱用および／または中毒、例えばアルコール中毒；疼痛；聴覚障害、例えば耳鳴り；片頭痛；および精神障害、例えば統合失調症の治療において有効であると報告されている。しかしながら、主として悪心および嘔吐を含む、メカニズムに基づいた副作用が、臨床試験の間、あるいくつかのグリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストの投与後に報告されている。

物質Ｐ（ＳＰ；ニューロキニン−１；ＮＫ−１）に対する神経ペプチド受容体は、哺乳動物の神経系（特に大脳および脊髄神経節）、循環系、および末梢組織（特に十二指腸および空腸）全体に広く分布しており、多様な様々の生物プロセスの調節に関与している。これらには、嗅覚、視覚、聴覚、および疼痛の知覚；運動制御；胃運動性；血管拡張；唾液分泌；および排尿が含まれる。

物質Ｐは、ペプチドのタキキニン族に属する自然発生ウンデカペプチドであり、ペプチドのタキキニン族は、血管外平滑筋組織に対するこれらの迅速な収縮作用によって、このように命名されている。ＳＰに加えて、公知の哺乳動物タキキニンは、ニューロキニンＡおよびニューロキニンＢを包含する。現在の命名法は、物質Ｐ、ニューロキニンＡ、およびニューロキニンＢに対する受容体を、それぞれニューロキニン−１、ニューロキニン−２、およびニューロキニン−３と表わしている。

タキキニンニューロキニン−１（ＮＫ−１；物質Ｐ）受容体アンタゴニストは、タキキニン、特にＳＰの過剰または不均衡にともなういくつかの生理学的障害の治療のために開発されている。このような状態の例には、不安症、うつ病、および精神病を包含する中枢神経系の障害が含まれる。最近、タキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストであるアプレピタント［２−（Ｒ）−（１−（Ｒ）−（３，５−ビス（トリフルオロメチル）フェニル）エトキシ）−３−（Ｓ）−（４−フルオロフェニル）−４−（３−（５−オキソ−１Ｈ，４Ｈ−１，２，４−トリアゾロ）メチル）モルホリン］が、高用量シスプラチンを包含する癌化学治療薬にともなう急性および遅延悪心および嘔吐の予防における使用のために、米国食品医薬品局（ＦＤＡ）によって承認されている。

タキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストとともに、グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストの同時投与が、特に脳卒中または脳虚血から生じる神経変性の治療において有利な結果を生じることが、今や発見された。

したがって、本発明は神経変性の治療方法であって、グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストとタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストとの組合わせを、同時、別々、または逐次、このような治療を必要としている患者へ投与することを含む方法を提供する。

本発明はまた、神経変性の治療のための医薬の製造のための、グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストとタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストとの組合わせの使用も提供する。

別の側面において、本発明は、医薬適合性のキャリヤとともに、グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストとタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストとを含んでいる製薬組成物を提供する。

さらにもう１つの側面において、本発明は、神経変性の治療における同時、別々、または逐次使用のための組合わせ調製物としての、グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストとタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストとを含有する生成物を提供する。

本発明の通常の実施において、グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストおよびタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストは通常、妥当な期間内に患者に投与される。この期間は、典型的には、間隔あけが約１時間までである。これらの化合物は、同じ製薬キャリヤ中にあってもよく、したがって同時に投与されてもよい。これらは、別々の製薬キャリヤ中にあってもよく、投与の直前にこれらの材料を混合することによって、同時に投与されてもよい。またこれらは、同時に服用されるか、または逐次投与することができる異なる投薬形態にあってもよい。

本発明における使用に典型的なグリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストは、例えば第ＥＰ−Ａ−０４８１６７６号に記載されている。この発明への使用に好ましいグリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストは、それぞれ第ＷＯ９６／０９２９５号［実施例８０（ｄ）］および第ＷＯ９８／３８１８６号（第ＷＯ９７／３２８７３号に由来する）に開示されているＵＫ−２４０，４５５およびＵＫ−３３３，７４７を包含する。これらの化学構造は、次のとおりである。

本発明への使用のためのタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストは、本質的にペプチドまたは非ペプチドであってもよい。しかしながら非ペプチドタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストの使用が好ましい。好ましい実施態様において、タキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストは、ＣＮＳ−浸透性タキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストである。さらには都合よくは、経口活性タキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストの使用が好ましい。投薬を容易にするために、タキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストが、長時間作用のタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストであることも好ましい。本発明への使用のために特に好ましい種類のタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストは、経口活性および長時間作用の両方である化合物を含む。

本発明への使用のためのタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストは、例えば次の特許に十分に記載されている：米国特許第５，１６２，３３９号、同第５，２３２，９２９号、同第５，２４２，９３０号、同第５，３７３，００３号、同第５，３８７，５９５号、同第５，４５９，２７０号、同第５，４９４，９２６号、同第５，４９６，８３３号および同第５，６３７，６９９号；欧州特許公報第０３６０３９０号、同第０３９４９８９号、同第０４２８４３４号、同第０４２９３６６号、同第０４３０７７１号、同第０４３６３３４号、同第０４４３１３２号、同第０４８２５３９号、同第０４９８０６９号、同第０４９９３１３号、同第０５１２９０１号、同第０５１２９０２号、同第０５１４２７３号、同第０５１４２７４号、同第０５１４２７５号、同第０５１４２７６号、同第０５１５６８１号、同第０５１７５８９号、同第０５２０５５５号、同第０５２２８０８号、同第０５２８４９５号、同第０５３２４５６号、同第０５３３２８０号、同第０５３６８１７号、同第０５４５４７８号、同第０５５８１５６号、同第０５７７３９４号、同第０５８５９１３号、同第０５９０１５２号、同第０５９９５３８号、同第０６１０７９３号、同第０６３４４０２号、同第０６８６６２９号、同第０６９３４８９号、同第０６９４５３５号、同第０６９９６５５号、同第０６９９６７４号、同第０７０７００６号、同第０７０８１０１号、同第０７０９３７５号、同第０７０９３７６号、同第０７１４８９１号、同第０７２３９５９号、同第０７３３６３２号および同第０７７６８９３号；ＰＣＴ国際特許公報第９０／０５５２５号、同第９０／０５７２９号、同第９１／０９８４４号、同第９１／１８８９９号、同第９２／０１６８８号、同第９２／０６０７９号、同第９２／１２１５１号、同第９２／１５５８５号、同第９２／１７４４９号、同第９２／２０６６１号、同第９２／２０６７６号、同第９２／２１６７７号、同第９２／２２５６９号、同第９３／００３３０号、同第９３／００３３１号、同第９３／０１１５９号、同第９３／０１１６５号、同第９３／０１１６９号、同第９３／０１１７０号、同第９３／０６０９９号、同第９３／０９１１６号、同第９３／１００７３号、同第９３／１４０８４号、同第９３／１４１１３号、同第９３／１８０２３号、同第９３／１９０６４号、同第９３／２１１５５号、同第９３／２１１８１号、同第９３／２３３８０号、同第９３／２４４６５号、同第９４／００４４０号、同第９４／０１４０２号、同第９４／０２４６１号、同第９４／０２５９５号、同第９４／０３４２９号、同第９４／０３４４５号、同第９４／０４４９４号、同第９４／０４４９６号、同第９４／０５６２５号、同第９４／０７８４３号、同第９４／０８９９７号、同第９４／１０１６５号、同第９４／１０１６７号、同第９４／１０１６８号、同第９４／１０１７０号、同第９４／１１３６８号、同第９４／１３６３９号、同第９４／１３６６３号、同第９４／１４７６７号、同第９４／１５９０３号、同第９４／１９３２０号、同第９４／１９３２３号、同第９４／２０５００号、同第９４／２６７３５号、同第９４／２６７４０号、同第９４／２９３０９号、同第９５／０２５９５号、同第９５／０４０４０号、同第９５／０４０４２号、同第９５／０６６４５号、同第９５／０７８８６号、同第９５／０７９０８号、同第９５／０８５４９号、同第９５／１１８８０号、同第９５／１４０１７号、同第９５／１５３１１号、同第９５／１６６７９号、同第９５／１７３８２号、同第９５／１８１２４号、同第９５／１８１２９号、同第９５／１９３４４号、同第９５／２０５７５号、同第９５／２１８１９号、同第９５／２２５２５号、同第９５／２３７９８号、同第９５／２６３３８号、同第９５／２８４１８号、同第９５／３０６７４号、同第９５／３０６８７号、同第９５／３３７４４号、同第９６／０５１８１号、同第９６／０５１９３号、同第９６／０５２０３号、同第９６／０６０９４号、同第９６／０７６４９号、同第９６／１０５６２号、同第９６／１６９３９号、同第９６／１８６４３号、同第９６／２０１９７号、同第９６／２１６６１号、同第９６／２９３０４号、同第９６／２９３１７号、同第９６／２９３２６号、同第９６／２９３２８号、同第９６／３１２１４号、同第９６／３２３８５号、同第９６／３７４８９号、同第９７／０１５５３号、同第９７／０１５５４号、同第９７／０３０６６号、同第９７／０８１４４号、同第９７／１４６７１号、同第９７／１７３６２号、同第９７／１８２０６号、同第９７／１９０８４号、同第９７／１９９４２号、同第９７／２１７０２および９７／４９７１０号；および英国特許公報第２２６６５２９号、同第２２６８９３１号、同第２２６９１７０号、同第２２６９５９０号、同第２２７１７７４号、同第２２９２１４４号、同第２２９３１６８号、同第２２９３１６９および同第２３０２６８９号。

本発明への使用のために好ましいタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストは、第ＷＯ９５／１６６７９号に開示されているアプレピタント（上記）である。

本発明の好ましい実施態様において、ＵＫ−２４０，４５５またはＵＫ−３３３，７４７は、本明細書に記載されているように、アプレピタントとともに同時投与されてもよい。

本発明による製薬組成物は、経口、直腸、または腸管外投与のために都合よく適合させることができる。経口投与のためには、この配合物は、タブレット、ピル、カプセル、粉末、またはグラニュール形態で提供されてもよく；腸管外投与のためには、滅菌腸管外溶液または縣濁液を便利に用いることができ；直腸投与のためには、この配合物は都合よくは、座薬形態であってもよい。適切には、本発明による製薬組成物は、同時、別々、または逐次投与に適した部分のキットの形態で提供されてもよい。

これらの組成物は、例えばレミントン：「薬学の化学および実施」、マック・パブリッシング・カンパニー（Ｒｅｍｉｎｇｔｏｎ：ＴｈｅＳｃｉｅｎｃｅａｎｄＰｒａｃｔｉｃｅｏｆＰｈａｒｍａｃｙ，ＭａｃｋＰｕｂｌｉｓｈｉｎｇＣｏｍｐａｎｙ）、第１９版、１９９５年に記載されている製薬技術において周知の従来方法によって配合することができる。

組合わせ投与のためには、グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストおよびタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストは、所望の効果の発現と一貫性のある比において提供することができる。特に、グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニスト対タキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストのモル比は、適切には約１：１であろう。好ましくはこの比は、０．００１：１から１，０００：１、特に０．０１：１から１００：１であろう。

神経変性の治療におけるタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストとの同時投与のためには、グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストは適切には、約０．００１から２５０ｍｇ／ｋｇ、典型的には約０．００５から１００ｍｇ／ｋｇ、より詳しくは約０．０１から５０ｍｇ／ｋｇ、特に約０．０５から１０ｍｇ／ｋｇの一日投薬量で投与することができる。神経変性の治療におけるグリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストとの同時投与のためには、タキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストは適切には、約０．００１から２５０ｍｇ／ｋｇ、典型的には約０．００５から１００ｍｇ／ｋｇ、より詳しくは約０．０１から５０ｍｇ／ｋｇ、特に約０．０５から１０ｍｇ／ｋｇの一日投薬量で投与することができる。活性成分は典型的には、１日につき１から４回の処方計画で同時投与される。

次の非限定例は、本発明を例証するのに役立つ。

（実施例１から４）
タブレット調製
ＵＫ−２４０，４５５およびアプレピタント、またはＵＫ−３３３，７４７およびアプレピタントを含有するタブレットを、次のように調製した。

実施例１実施例２
ＵＫ−２４０，４５５５．０ｍｇ１０．０ｍｇ
アプレピタント１０．０ｍｇ１０．０ｍｇ
微結晶性セルロース４２．０ｍｇ３９．５ｍｇ
組み換えのコーンスターチ４２．０ｍｇ３９．５ｍｇ
ステアリン酸マグネシウム１．０ｍｇ１．０ｍｇ
実施例３実施例４
ＵＫ−３３３，７４７５．０ｍｇ１０．０ｍｇ
アプレピタント１０．０ｍｇ１０．０ｍｇ
微結晶性セルロース４２．０ｍｇ３９．５ｍｇ
組み換えのコーンスターチ４２．０ｍｇ３９．５ｍｇ
ステアリン酸マグネシウム１．０ｍｇ１．０ｍｇ
これらの活性成分のすべて、セルロース、およびコーンスターチの一部分を混合し、１０％コーンスターチペーストまでグラニュール化した。この生じたグラニュールを篩にかけ、乾燥し、コーンスターチの残りおよびステアリン酸マグネシウムとブレンドした。この生じたグラニュールを、ついでタブレットに圧縮した。

Claims

神経変性の治療における同時、別々、または逐次使用のための、グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストとタキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストとの組合わせ。
前記グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストが、

である、請求項１に記載の組合わせ。
前記グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストが、ＵＫ−２４０，４５５である、請求項２に記載の組合わせ。
前記グリシン／ＮＭＤＡアンタゴニストが、ＵＫ−３３３，７４７である、請求項２に記載の組合わせ。
前記タキキニンＮＫ−１受容体アンタゴニストが、アプレピタント［２−（Ｒ）−（１−（Ｒ）−（３，５−ビス（トリフルオロメチル）フェニル）エトキシ）−３−（Ｓ）−（４−フルオロフェニル）−４−（３−（５−オキソ−１Ｈ，４Ｈ−１，２，４−トリアゾロ）メチル）モルホリン］である、請求項１から４のいずれかに記載の組合わせ。
医薬適合性のキャリヤと組合わされた、請求項１から５のいずれかに記載の組合わせを含んでいる製薬組成物。
神経変性の治療のための医薬の製造のための、請求項１から５のいずれか１項に記載の組合わせの使用。
請求項１に記載の組合わせを、神経変性の治療を必要としている患者へ投与することを含む、神経変性の治療方法。