発明の概要
本発明は、グルタミン酸トランスポーター制御タンパク質GTRAP3-18が、グルタミン酸トランスポーター、ドーパミントランスポーター、GABAトランスポーターおよびアミノ酸トランスポーター(ASCT)を含む神経伝達物質トランスポーターおよび受容体のグリコシル化を含む、細胞のグリコシル化の一般的制御因子として働くという発見に、少なくとも一部、基づいている。従って、本発明は、細胞のグリコシル化を調節するのに有用な化合物の同定方法、加えて、限定されるものではないが、神経疾患を含むグリコシル化に関連した疾患の診断方法および治療方法を提供する。
一つの局面において、本発明は、グリコシル化を調節する能力がある化合物を同定するための方法を提供する。方法は、GTRAP3-18核酸またはポリペプチドを発現させる細胞(例えば、神経細胞)を試験化合物と接触させ、GTRAP3-18核酸の発現またはGTRAP3-18ポリペプチドの活性を調節する試験化合物の能力をアッセイする段階を含む。
もう一つの局面において、本発明は、グリコシル化関連疾患、例えば、神経疾患を治療する能力がある化合物を同定するための方法を提供する。方法は、GTRAP3-18核酸発現またはGTRAP3-18ポリペプチド活性を調節する化合物の能力をアッセイする段階を含む。一つの態様において、核酸発現またはGTRAP3-18ポリペプチド活性を調節する化合物の能力は、細胞タンパク質、例えば、GTRAP3-18標的分子、のグリコシル化を検出することにより測定される。もう一つの態様において、核酸発現またはGTRAP3-18ポリペプチド活性を調節する化合物の能力は、細胞においてグルタミン酸輸送の調節を検出することにより測定される。
さらなる局面において、本発明は、グリコシル化を調節するための方法を特徴とする。方法は、細胞(例えば、神経細胞)をGTRAP3-18モジュレーターと接触させる段階を含む。
さらにもう一つの局面において、本発明は、グリコシル化関連疾患(例えば、神経疾患のような、異常型GTRAP3-18ポリペプチド活性または異常型GTRAP3-18核酸発現を特徴とする疾患)を有する被検体を治療するための方法を特徴とする。方法は、例えば、薬学的に許容される製剤において、または遺伝子治療ベクターを用いることにより、GTRAP3-18モジュレーターを被検体に投与する段階を含む。一つの態様において、GTRAP3-18モジュレーターは、低分子、抗GTRAP3-18抗体、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むGTRAP3-18ポリペプチドもしくはその断片、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列と少なくとも90パーセント同一であるアミノ酸配列を含むGTRAP3-18ポリペプチド、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列からなるポリペプチドの単離された天然に存在する対立遺伝子変異体、アンチセンスGTRAP3-18核酸分子、SEQ ID NO:1の核酸分子もしくはその断片、またはリボザイムでありうる。
もう一つの局面において、本発明は、GTRAP3-18モジュレーターを被検体に投与することにより、被検体においてグリコシル化を調節する、例えば、増加させるまたは減少させるための方法を提供する。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであると思われる。
発明の詳細な説明
本発明は、GTRAP3-18のグルタミン酸トランスポーターとの共発現が、結果として、トランスポーターのグリコシル化の減少、加えて、細胞のグルタミン酸取り込みにより測定される場合でのグルタミン酸トランスポーター活性の減少を生じるという発見に、少なくとも一部、基づいている。本発明はさらに、GTRAP3-18が細胞のグリコシル化の一般的制御因子として働くという発見に、少なくとも一部、基づいている。従って、本発明は、細胞のグリコシル化を調節するのに有用な化合物の同定のための方法、加えて、限定されるものではないが、神経疾患を含むグリコシル化に関連した疾患の診断および治療方法を提供する。
GTRAP3-18(EAAT3のグルタミン酸トランスポーター関連タンパク質)は、最初は、rEAAT3/EAAC1のC末端部分を用いる酵母二重ハイブリッド法によりラット脳cDNAライブラリーから単離された22 kDのタンパク質である(Lin, C.-I. et al. (2001) Nature 410:84-88; International Publication No. WO 01/30968)。GTRAP3-18は、rEAAT3活性に生理学的な影響を及ぼし、動態解析により測定された場合に基質グルタミン酸に対する親和性を減少させる。本明細書に示されたデータにより、トランスポーター活性へのこの影響の機構が、トランスポーターのグリコシル化状態における変化に結びつけられることが示されている。EAATファミリーは、保存されたN結合型グリコシル化共通配列を含み、成熟EAATタンパク質上に複合N結合型オリゴ糖を有するようにゴルジで処理される。この複合オリゴ糖は、エンドグリコシダーゼ、およびエンドグリコシダーゼF(PNGアーゼF)、での消化によりインビトロで切断されうる。PNGアーゼFエンドグリコシダーゼでの、rEAAT3(「r」は「ラット」を意味する)、rEAAT4、rEAAT1およびrEAAT2をトランスフェクションさせたHEK 293細胞可溶化物は、結果として、これらのタンパク質の電気移動度において10 kDだけ、減少を生じる。GTRAP3-18との共発現後、試験されたEAATファミリーメンバーも、電気移動度の減少を示すことが観察された。この変化は再現可能であり、PNGアーゼF消化後に得られた同じ見かけの分子量をもつタンパク質を生成する。GTRAP3-18と共発現されたトランスポーターの電気移動度を、PNGアーゼF消化によりさらに減少させることはできない。GTRAP3-18のEAATファミリーメンバーとの共発現は、ナトリウム依存性3H-L-グルタミン酸の取り込みにより測定されるようなそれらの活性を有意に減少させる。データは、N結合型オリゴ糖の損失に起因する電気移動度における減少が、測定された活性の減少の原因であることを示唆している。GTRAP3-18が同定された最初の酵母二重ハイブリッド法において用いられたアミノ酸配列は、EAATの最後の細胞外ループに対応している。免疫蛍光および共局在性データは、GTRAP3-18が小胞体において新生鎖である場合のEAATの細胞外ループと相互作用する網状タンパク質であることを示している。GTRAP3-18は、この小胞体会合を通してEAATのグリコシル化プロファイルを変化させるように思われる。上記すべてのデータは、GTRAP3-18が細胞グリコシル化の一般的な制御因子であることを示唆している。
酸性アミノ酸のグルタミン酸(Glu)およびアスパラギン酸は、哺乳動物の中枢神経系(CNS)における主な興奮性神経伝達物質である。脳にはミリモル濃度のこれらの興奮性アミノ酸(EAA)が存在するが、細胞外濃度は、明確で活発な(crisp)シナプス伝達を促進させるために、およびこれらのEAAの神経毒性潜在能力を制限するために低いマイクロモル範囲に維持される。Na+依存性高親和性トランスポーターのファミリーは、細胞外EAAの制御およびクリアランスに関与している。
グルタミン酸およびアスパラギン酸は、名前がアゴニストN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)、a-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾールプロピオン酸(AMPA)およびカイニン酸に由来するリガンド結合型(ligand-gated)イオンチャネルを活性化する。これらのイオンチャネル型EAA受容体は、迅速なシナプス脱分極を仲介し、シナプス可塑性およびシナプス発生を含む多数の他の生理学的過程のために重要である。EAAはまた、Gタンパク質を通して二次メッセンジャー系またはイオンチャネルに結合された代謝調節型受容体のファミリーを活性化する。EAAが正常な脳機能のために極めて重要であることは、十分確立されている。しかしながら、EAAの細胞外蓄積およびEAA受容体の過剰活性化が、CNSへの急性侵襲に観察される神経細胞死にも寄与するという実質的な証拠がある。「興奮毒性」として知られるその過程はまた、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含む慢性神経変性疾患に観察される神経細胞の損失に寄与しうる。
グルタミン酸(5〜10 mM)およびアスパラギン酸(1〜5 mM)の細胞内濃度は、細胞外濃度(<1-10 μM)より1000倍〜10,000倍高い。多くの他の神経伝達物質とは違って、グルタミン酸およびアスパラギン酸が細胞外で代謝されるという証拠はない。その代わりとして、それらは、ニューロンおよびアストロサイトへの輸送により細胞外空間から排除される。
Na+依存性グルタミン酸トランスポーターのいくつかのサブタイプが薬理学的戦略およびcDNAクローニングにより同定された。Na+依存性高親和性グルタミン酸トランスポーターを発現させる5つの既知の別個のcDNAクローンは、本明細書ではGLT-1/EAAT2、EAAC1/EAAT3、GLAST/EAAT1、EAAT4およびEAAT5と呼ばれる。選択的mRNAスプライシングから生じるGLT-1およびGLASTの追加の異種性についての証拠もある。
これらのトランスポーターのうちの2つ、GLT-1およびGLASTの発現は、一般的にアストログリアに限定される。2つの他のトランスポーター、EAAC1およびEAAT4の発現は、一般的にニューロンに限定され、EAAT5は、網膜に限定されると考えられている。前脳で見出される3つのトランスポーター(GLT-1、GLASTおよびEAAC1)のうち、GLT-1は、脳組織に特異的である唯一のトランスポーターであると思われ、GLT-1発現が脳特異的機構により制御されることを示唆している。
以前には、シナプス前トランスポーターがシナプス伝達中のEAAのクリアランスにおいて主要な役割をもつと考えられていた。これは、活性が、ミトコンドリアまたはミエリン中に濃縮された画分と比較してシナプトソーム膜調製物に2倍濃縮されているという証拠に基づいていた。しかしながら、これらの膜調製物が、再び封じられたグリア膜およびおびただしい量のGLT-1タンパク質を含むことが今、知られている。さらに、特定の求心性神経の病変が、結果として、標的領域におけるNa+依存的輸送の減少を生じることは、昔から知られていた。例えば、線条体への皮質突起の病変は、結果として、線条体シナプトソームにおける取り込みの減少を生じる。これらのタイプの研究は、シナプス前終末への重要な輸送があることを示唆したが、より最近の研究では、これらの病変がグリアのトランスポーターの発現を低下させることを示唆した。
いくつかの補足的な戦略からの証拠は、GLT-1が、CNSにおいてEAAのNa+依存性輸送の大部分を媒介することを示唆している。例えば、GLT-1の薬理学的性質は、ラット脳膜に観察される活性の主な成分と相関する。GLT-1を均一性へ精製するために必要とされる濃縮に基づいて、GLT-1が総脳タンパク質の約1%を示すと考えられている。可溶化前脳組織からのGLT-1の選択的免疫沈降およびリポソームにおける残りのタンパク質の再構築は、GLT-1が輸送活性の90%を媒介することを示唆している。GLT-1のアンチセンスノックダウンは、結果として、いくつかの前脳領域において、シナプトソームのトランスポーター活性における劇的な低下を生じる。GLT-1の遺伝的に欠失したマウスにおけるシナプトソームの取り込みは、正常の5%である。最後に、脳調製物におけるトランスポーター媒介性電流の電気生理学的記録は、GLT-1が、いくつかの前脳領域においてシナプス伝達中のグルタミン酸のクリアランスのための中心的な役割をもっていることを強く示唆している。
GLT-1/EAAT2の発現は、インビボおよびインビトロの両方で動的に制御される。GLT-1は、成体CNSにおける主なトランスポーターであるが、発現は、ラットおよびヒトの両方においてシナプス形成中の発生および増加の初期には、低めである。上記のように、特定の標的となる核への投射による病変は、結果として、両方のグリアのトランスポーター、GLT-1およびGLAST、の発現の減少を生じる。これらのデータは、ニューロンの存在がグリアのトランスポーターの発現を誘導および/または維持することを示唆している。
いくつかの異なる群は、脳卒中および外傷性脳損傷を含む、CNSへの急性侵襲の動物モデルにおいてGLT-1および/またはGLASTの発現の減少を実証している。GLT-1発現の損失は、ALSをもつ患者において実証されている。さらに、アルツハイマー病およびハンチントン病を含む慢性神経変性疾患をもつヒトにおいてこれらのトランスポーターの発現の減少の証拠が存在する。GLT-1の損失はまた、致命的脳腫瘍、多形性膠芽腫の特徴である。
本発明の方法に従って同定されたGTRAP3-18モジュレーターは、グリコシル化(例えば、EAATタンパク質のグリコシル化)を調節するために用いることができ、それゆえに、グリコシル化関連疾患、例えば神経疾患を治療または診断するのに有用である。例えば、GTRAP3-18分子の活性の抑制は、被検体においてグリコシル化の増加を引き起こすことができる。このように、本発明の方法に用いられるGTRAP3-18モジュレーターは、不十分なグリコシル化を特徴とする、またはグリコシル化の増加が望ましいと思われる疾患を治療するために用いることができる。あるいは、GTRAP3-18モジュレーターは、被検体においてGTRAP3-18を増加させることによりグリコシル化を減少させることができる。このように、GTRAP3-18モジュレーターは、過剰なグリコシル化を特徴とする、またはグリコシル化の減少が望ましいと思われる疾患の治療にも有用である。
本明細書に用いられる場合、「グリコシル化関連疾患」は、異常なグリコシル化に関連している病気、疾患または状態を含む。グリコシル化関連疾患はまた、細胞のグリコシル化の調節が被検体において望ましいと思われる、関連した病気、疾患または状態を含む。グリコシル化関連疾患は、GTRAP3-18活性の誤った制御(例えば、下方制御または上方制御)を特徴としうる。グリコシル化関連疾患の例は、癲癇、脳卒中、外傷のような急性神経疾患、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病、脊髄小脳失調症のような慢性神経疾患、急性および慢性の神経もしくは筋肉損傷を含む一般的な神経筋疾患、CNS炎症、ならびに統合失調症のような精神疾患を含む、タンパク質のグリコシル化に依存するCNSおよび非CNS疾患を含む。グリコシル化関連疾患のさらなる例は、癌、腎疾患、AIDSおよび関節炎のような炎症性疾患を含む。
本明細書で交換可能に用いられるが、「GTRAP3-18活性」、「GTRAP3-18の生物活性」、または「GTRAP3-18の機能活性」は、標準的技術に従ってインビボまたはインビトロで測定される場合の、GTRAP3-18タンパク質、ポリペプチドまたは核酸分子によりGTRAP3-18応答細胞もしくは組織(例えば、ニューロン)へ、またはGTRAP3-18タンパク質基質(例えば、EAAT)へ、発揮される活性を含む。GTRAP3-18活性は、GTRAP3-18標的分子との会合のような直接的活性でありうる。本明細書に用いられる場合、「基質」または「標的分子」または「結合パートナー」は、GTRAP3-18仲介機能、例えばグリコシル化の調節が達成されるように、GTRAP3-18タンパク質が天然において結合または相互作用する分子である。GTRAP3-18標的分子は、非ポリペプチド分子(例えば、オリゴ糖)、またはタンパク質もしくはポリペプチド(例えば、EAAT)でありうる。そのような標的分子の例は、GTRAP3-18タンパク質と同じシグナル伝達経路におけるタンパク質、例えば、グリコシル化の制御を伴う経路においてGTRAP3-18タンパク質の上流(活性の刺激因子および抑制因子の両方を含む)または下流で機能しうるタンパク質を含む。または、GTRAP3-18活性は、GTRAP3-18タンパク質のGTRAP3-18標的分子との相互作用により仲介される細胞のシグナル伝達活性のような、間接的活性である。GTRAP3-18の生物活性は、本明細書に記載されている。例えば、GTRAP3-18タンパク質は、以下の活性の1つまたは複数を有しうる:1)タンパク質(例えば、細胞質、膜および/または細胞外マトリックスタンパク質)のグリコシル化を調節する;2)グリコシル化されたタンパク質の活性を調節する;3)EAATおよび/もしくは他の神経伝達物質トランスポーター(例えば、GAT/GABAトランスポーター、ドーパミントランスポーター)の活性を調節する;4)アミノ酸トランスポーター(例えば、ASCT)の活性を調節する;ならびに/または5)グルタミン酸、GABA、ドーパミンおよび/もしくは一般的なアミノ酸輸送を調節する。
本発明の様々な局面は、以下のサブセクションでさらに詳細に記載される。
I. スクリーニングアッセイ:
本発明は、GTRAP3-18タンパク質に結合する、GTRAP3-18発現もしくはGTRAP3-18活性へ刺激性もしくは抑制性効果を生じる、またはGTRAP3-18標的分子の発現もしくは活性へ刺激性もしくは抑制性効果を生じるモジュレーター、すなわち、候補もしくは試験化合物または作用物質(例えば、ペプチド、ペプチド模倣体、低分子、リボザイムまたはGTRAP3-18アンチセンス分子)、を同定するための方法(本明細書では「スクリーニングアッセイ」とも呼ばれる)を提供する。本明細書に記載されたアッセイを用いて同定された化合物は、グリコシル化関連疾患を治療するために有用でありうる。
候補/試験化合物は、例えば、1)Ig末端連結融合ペプチドを含む可溶性ペプチド、ならびにランダムペプチドライブラリー(例えば、Lam, K. S. et al. (1991) Nature 354:82-84; Houghten, R. et al. (1991) Nature 354:84-86を参照)および、D-体および/またはL-体のアミノ酸で作成される、コンビナトリアルケミストリー由来分子ライブラリーのメンバーのようなペプチド;2)ホスホペプチド(例えば、ランダムかつ部分的に変性した定方向ホスホペプチドライブラリーのメンバー、例えば、Songyang, Z. et al. (1993) Cell 72:767-778を参照);3)抗体(例えば、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、抗イディオタイプ、キメラ、および単鎖の抗体、加えて、抗体のFab、F(ab').sub.2、Fab発現ライブラリー断片、およびエピトープ結合断片);ならびに4)有機および無機低分子(例えば、コンビナトリアルおよび天然物ライブラリーから得られる分子)を含む。
本発明の試験化合物は、以下のものを含む当技術分野において公知のコンビナトリアルライブラリー方法における多数のアプローチのいずれかを用いて得られうる:生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な並列固相または液相ライブラリー;逆重畳積分を必要とする合成ライブラリー方法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー方法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー方法。生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチは、ペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは低分子の化合物ライブラリーに適用可能である(Lam, K. S. (1997) Anticancer Drug Des. 12:145)。
分子ライブラリーの合成方法の例は、当技術分野において、例えば以下に見出されうる:
化合物ライブラリーは、溶液中に(例えば、Houghten (1992) Biotechniques 13:412-421)、またはビーズ(Lam (1991) Nature 354:82-84)、チップ(Fodor (1993) Nature 364:555-556)、細菌(Ladner 米国特許No. 5,223,409)、胞子(Ladner 米国特許No. 5,223,409)、プラスミド(Cull et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1865-1869)もしくはファージ(Scott and Smith (1990) Science 249:386-390; Devlin (1990) Science 249:404-406; Cwirla et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382; Felici (1991) J. Mol. Biol. 222:301-310; Ladner前記)上に存在しうる。
一つの局面において、アッセイは、GTRAP3-18タンパク質またはその生物活性のある部分を発現させる細胞が試験化合物と接触させられ、GTRAP3-18活性を調節する試験化合物の能力が測定される、細胞に基づくアッセイである。好ましい態様において、GTRAP3-18タンパク質の生物活性のある部分は、グリコシル化を調節することができるドメインまたはモチーフを含む。GTRAP3-18活性を調節する試験化合物の能力を測定することは、例えば、1つもしくは複数の細胞のタンパク質(例えば、EAATタンパク質、GABAトランスポーター、ドーパミントランスポーターおよび/またはアミノ酸トランスポーター)のグリコシル化をモニターすることにより、またはグリコシル化により制御されることが知られている1つもしくは複数のタンパク質(例えば、EAATタンパク質、GABAトランスポーター、ドーパミントランスポーターおよび/またはアミノ酸トランスポーター)の活性を測定することにより、達成されうる。細胞は、例えば哺乳動物由来、例えば神経細胞でありうる。
標的分子(例えば、EAATタンパク質、GABAトランスポーター、ドーパミントランスポーターおよび/またはアミノ酸トランスポーターのような、グリコシル化により制御されるタンパク質)へ結合するGTRAP3-18を調節する試験化合物の能力もまた、測定されうる。標的分子へ結合するGTRAP3-18を調節する試験化合物の能力を測定することは、例えば、GTRAP3-18標的分子のGTRAP3-18への結合が、標識GTRAP3-18標的分子を複合体において検出することにより、測定することができるように、GTRAP3-18標的分子を放射性同位元素、蛍光標識または酵素標識と連結することにより達成されうる。あるいは、GTRAP3-18標的分子へ結合するGTRAP3-18を調節する試験化合物の能力を複合体においてモニターするために、GTRAP3-18が放射性同位元素または酵素標識と連結されうる。GTRAP3-18を結合する試験化合物の能力は、例えば、標識化合物を複合体において検出することにより、化合物のGTRAP3-18への結合が測定されうるように、化合物を放射性同位元素または酵素標識と連結することにより達成されうる。例えば、試験化合物および/またはGTRAP3-18標的分子は、125I、35S、14Cまたは3Hで、直接的または間接的のいずれかで標識され、放射性同位元素は、放射線放出の直接的計数により、またはシンチレーション計数により検出されうる。あるいは化合物は、例えば西洋ワサビのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素標識され、酵素標識は、適切な基質の生成物への変換の測定により検出されうる。
反応体のいずれにも標識することなく、GTRAP3-18と相互作用する化合物の能力を測定することもまた、本発明の範囲内である。例えば、反応体のいずれにも標識することなく、化合物の、GTRAP3-18および/またはGTRAP3-18標的分子との相互作用を検出するためにマイクロフィジオメーターを用いることができる(McConnell, H. M. et al. (1992) Science 257:1906-1912)。本明細書に用いられる場合、「マイクロフィジオメーター」(例えば、細胞センサー(Cytosensor))は、光アドレス可能電位差測定センサー(LAPS)を用いて、細胞が環境を酸性にする速度を測定する分析装置である。この酸性化速度における変化は、化合物とGTRAP3-18の間の相互作用の指標として用いることができる。
GTRAP3-18発現はグリコシル化を下方制御するため、グリコシル化を調節する化合物は、GTRAP3-18発現を調節する能力により同定されうる。試験化合物がGTRAP3-18発現を調節するかどうかを決定するためには、GTRAP3-18を発現させる細胞(例えば神経細胞)が、試験化合物と接触させられ、GTRAP3-18発現を調節する試験化合物の能力が、GTRAP3-18 mRNAを、例えばノーザンブロッティング、定量的PCR(例えばRT-PCR)またはインビトロ転写アッセイで測定することにより決定できる。インビトロ転写アッセイを行うために、GTRAP3-18の完全長プロモーターおよびエンハンサーは、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、または蛍光タンパク質(例えば、GFPおよびその変異体)のようなレポーター遺伝子に連結され、宿主細胞へ導入されうる。同じ宿主細胞は、その後、試験化合物でトランスフェクトできる、または試験化合物と接触させることができる。試験化合物の効果は、レポーター遺伝子活性、および試験化合物を含まない細胞におけるレポーター遺伝子活性と比較することにより測定される。レポーター遺伝子活性の増加または減少は、GTRAP3-18発現の調節を示し、従って、グリコシル化を調節する試験化合物の能力の指標である。
GTRAP3-18活性を調節する化合物を同定するために用いることができるアッセイは、GTRAP3-18標的分子のグリコシル化を調節する化合物の能力について試験するアッセイも含む。GTRAP3-18標的分子のグリコシル化を調節する試験化合物の能力は、例えば「標準的脱グリコシル化アッセイ」を用いて測定されうる。本明細書に用いられる場合、「標準的脱グリコシル化」アッセイは、タンパク質(例えば、GTRAP3-18標的分子)をPNGアーゼFおよび/またはエンドHのような脱グリコシル化酵素で処理することを含む。処理されたタンパク質はその後、電気泳動移動度シフトアッセイを用いて、未処理の対照タンパク質と比較される。処理されたタンパク質と未処理のタンパク質との間の電気泳動移動度における差は、タンパク質が脱グリコシル化の前にもともとグリコシル化されていた程度を明らかにする。すなわち、グリコシル化されていないタンパク質は、デグリコシラーゼ処理後、電気泳動移動度に変化を示さないが、高度にグリコシル化されたタンパク質は、電気泳動移動度に大きな変化を示す。
GTRAP3-18活性を調節する化合物を同定するために用いることができるさらなるアッセイは、GTRAP3-18標的分子、例えば、グルタミン酸トランスポーター、ドーパミントランスポーター、GABAトランスポーターおよびアミノ酸トランスポーターの活性を調節する化合物の能力について試験するアッセイを含む。
グルタミン酸トランスポーター活性は、標準的グルタミン酸輸送アッセイを用いて測定されうる。本明細書で交換可能に用いられるが、用語「標準的グルタミン酸アッセイ」または「標準的グルタミン酸輸送アッセイ」(または同類用語)は、以下の段階の1つまたは複数を含むように意図されている:
a)グルタミン酸トランスポーターcDNAを含む組換え発現ベクターをCOS-7細胞のような適した宿主細胞へ導入する段階、
b)検出可能に標識されたグルタミン酸を加える段階、および
c)細胞においてグルタミン酸の輸送を検出する段階。
典型的には、標準的グルタミン酸アッセイは、ナトリウム依存性グルタミン酸輸送アッセイである。標準的グルタミン酸アッセイに合わせての組換えベクターの導入は、任意の許容される手段、例えばレトロウイルス移入、ウイルスもしくはバクテリオファージ感染、カルシウム-、リポソーム-、DEAEもしくはポリブレン-媒介型トランスフェクション、微粒子銃移入、または当技術分野において公知の他の技術により行うことができる。Sambrook et al. 前記;Ausubel, et al. 前記を参照されたい。
標準的グルタミン酸アッセイの一つの態様において、試験細胞および対照細胞は、組換えベクターの導入後に洗浄され、その後適切な量の検出可能に標識されたグルタミン酸、例えば3H標識グルタミン酸(DuPont-NEN)、および非標識グルタミン酸とインキュベートされる。適切なインキュベーション間隔後、試験細胞および対照細胞は、氷冷のPBSのような適切な洗浄緩衝液中で数回洗浄され、約0.1% SDSを含む溶液に可溶化され、細胞と付随した放射能の量が、通常のシンチレーション計数方法を用いて測定される。
特に好ましいグルタミン酸輸送アッセイは、Rothstein et al. (1995) Ann. Neurol. 38:78により開示されている。Rothstein et al. (1992) N. Engl. J. Med. 326:1464もまた参照されたい。それらの開示は、参照として明確に組み入れられる。
GABA輸送活性を測定するための例示的方法は、Karban, E.W. et al. (1991) Neuropharm. 30:1187-1192;およびFalch, E. et al. (1986) J. Neurochem. 47:898-903に見出されうる。ドーパミン輸送を測定するための例示的方法は、Janowski, A. et al. (1986) J. Neurochem. 46:1272-1276;およびBrown, N.L. et al. (1986) Eur. J. Pharmacol. 123:161-165に見出されうる。アミノ酸輸送を測定するための例示的方法は、Zerangue, N. and Kavanaugh, M.P. (1996) J. Biol. Chem. 271:27991-27994に見出されうる。これらの参考文献のすべては、参照として本明細書に組み入れられる。
さらにもう一つの態様において、本発明のアッセイは、GTRAP3-18タンパク質またはその生物活性部分が試験化合物と接触させられ、GTRAP3-18タンパク質もしくはその生物活性部分に結合する、またはGTRAP3-18タンパク質もしくはその生物活性部分の活性を調節する(例えば、刺激するまたは抑制する)、試験化合物の能力が測定される無細胞アッセイである。本発明のアッセイに用いられるGTRAP3-18タンパク質の好ましい生物活性部分は、非GTRAP3-18分子、例えばEAATタンパク質、GABAトランスポーター、ドーパミントランスポーターおよびアミノ酸トランスポーターとの相互作用に関与する断片を含む。試験化合物のGTRAP3-18タンパク質への結合は、上記のように直接的または間接的のいずれかで測定されうる。試験化合物に結合するGTRAP3-18の能力を測定することはまた、リアルタイム生体分子相互作用分析(Biomolecular Interaction Analysis)(BIA)(Sjolander, S. and Urbaniczky, C. (1991) Anal Chem. 63:2338-2345; Szabo et al. (1995) Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699-705)のような技術を用いて達成されうる。本明細書に用いられる場合、「BIA」は、反応体のいずれにも標識することなく、リアルタイムで生体特異的相互作用を研究するための技術である(例えば、BIAcore)。表面プラズモン共鳴(SPR)の光学現象における変化は、生体分子間のリアルタイム反応の指標として用いることができる。
さらにもう一つの態様において、無細胞アッセイは、GTRAP3-18タンパク質またはその生物活性部分を、GTRAP3-18タンパク質を結合する既知の化合物(例えばEAATタンパク質、GABAトランスポーター、ドーパミントランスポーターまたはアミノ酸トランスポーター)と接触させて、アッセイ混合物を形成する段階、そのアッセイ混合物を試験化合物と接触させる段階、およびGTRAP3-18タンパク質と相互作用する試験化合物の能力を測定する段階を含み、GTRAP3-18タンパク質と相互作用する試験化合物の能力を測定する段階が、優先的にGTRAP3-18標的分子に結合するまたはGTRAP3-18標的分子の活性を調節する、GTRAP3-18の能力を測定する段階を含む。
本発明の無細胞アッセイは、単離されたタンパク質(例えばEAATタンパク質、GABAトランスポーター、ドーパミントランスポーターまたはアミノ酸トランスポーター)の可溶性型および/または膜結合型の両方の使用を受け入れられる。単離されたタンパク質の膜結合型が用いられる無細胞アッセイの場合、単離されたタンパク質の膜結合型が溶液中で維持されるように、可溶化剤を利用することが望ましい場合がある。そのような可溶化剤の例は、n-オクチルグルコシド、n-ドデシルグルコシド、n-ドデシルマルトシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、デカノイル-N-メチルグルカミド、トリトン.RTM. X-100、トリトン.RTM. X-114、テージット(Thesit).RTM、イソトリデシルポリ(Isotridecypoly)(エチレングリコールエーテル).sub.n、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホン酸(CHAPS)、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸(CHAPSO)、またはN-ドデシル=N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸を含む。
上記本発明のアッセイ法の1つより多い態様において、GTRAP3-18またはGTRAP3-18標的分子のいずれかを、そのタンパク質の1つまたは両方の非複合型からの複合型の分離を容易にするために、加えてアッセイの自動化に適応させるために、固定化することが望ましい場合がある。試験化合物のGTRAP3-18への結合、または試験化合物の存在および非存在におけるGTRAP3-18タンパク質のGTRAP3-18標的分子との相互作用は、反応物を含むのに適した任意の容器において達成されうる。そのような容器の例は、マイクロタイタープレート、試験管、およびマイクロ遠心管を含む。一つの態様において、そのタンパク質の1つまたは両方がマトリックスに結合するのを可能にするドメインを付加する融合タンパク質が提供されうる。例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ/GTRAP3-18融合タンパク質またはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質が、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, Mo.)、またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上へ吸着され、その後、試験化合物、または試験化合物および吸着されていない標的分子かもしくはGTRAP3-18タンパク質かのいずれかと組み合わされ、その混合物は複合体形成を促す条件下で(例えば、塩およびpHについて生理的条件で)インキュベートされる。インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレートのウェルは、結合していない成分を除去するように洗浄され、ビーズの場合にはマトリックスは固定化され、複合体形成は、例えば上記のように、直接的または間接的のいずれかで測定される。あるいは、複合体はマトリックスから分離され、GTRAP3-18結合または活性のレベルは、標準的技術を用いて測定できる。
マトリックス上にタンパク質または細胞膜調製物を固定化するための他の技術は、本発明のスクリーニングアッセイにも用いることができる。例えば、GTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子のいずれかは、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合を利用して固定化されうる。ビオチン化GTRAP3-18タンパク質または標的分子は、当技術分野において公知の技術を用いてビオチン-NHS(N-ヒドロキシ-スクシンイミド)から調製され(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals, Rockford, Ill)、ストレプトアビジンでコーティングされた96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェル内に固定化されうる。あるいは、GTRAP3-18タンパク質または標的分子と反応性であるが、GTRAP3-18タンパク質の標的分子への結合に干渉しない抗体が、プレートのウェルへ誘導体化され、結合していない標的またはGTRAP3-18タンパク質は、抗体結合によりウェルに捕捉される。そのような複合体を検出するための方法は、GST-固定化複合体について上で記載されたものに加えて、GTRAP3-18タンパク質または標的分子と反応性の抗体を用いる複合体の免疫検出、およびGTRAP3-18タンパク質または標的分子に関連した酵素活性の検出に頼る酵素結合アッセイを含む。
本発明のさらにもう一つの局面において、GTRAP3-18タンパク質またはその断片は、GTRAP3-18と結合または相互作用し(「GTRAP3-18結合タンパク質」または「GTRAP3-18-bp」)、かつGTRAP3-18活性に関与する他のタンパク質を同定するために、二重ハイブリッドアッセイ法または三重ハイブリッドアッセイ法(例えば、
を参照)における「ベイト(bait)タンパク質」として用いることができる。そのようなGTRAP3-18結合タンパク質は、グリコシル化タンパク質である可能性が高く、グリコシル化はGTRAP3-18により制御される。または、そのようなGTRAP3-18結合タンパク質は、GTRAP3-18抑制因子でありうる。
二重ハイブリッド系は、分離可能なDNA結合ドメインおよび活性化ドメインからなる、たいていの転写因子のモジュール性質に基づいている。簡単に述べると、アッセイは2つの異なるDNA構築物を利用する。一方の構築物において、GTRAP3-18タンパク質をコードする遺伝子が既知の転写因子(例えば、GAL-4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合される。他方の構築物において、同定されていないタンパク質(「プレイ(prey)」または「試料」)をコードするDNA配列のライブラリー由来DNA配列が、既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合される。「ベイト」および「プレイ」タンパク質が、インビボで相互作用して、GTRAP3-18依存性複合体を形成することができる場合には、転写因子のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインは、極めて接近した状態へと至る。この接近は、転写因子に応答性の転写制御部位に実施可能に連結しているレポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写を可能にする。レポーター遺伝子の発現は検出することができ、機能できる転写因子を含む細胞コロニーが単離され、GTRAP3-18タンパク質と相互作用するタンパク質をコードする、クローニングされた遺伝子を得るために用いることができる。
もう一つの局面において、本発明は、本明細書に記載されたアッセイの2つまたはそれ以上の組み合わせに関連する。例えば、調節作用物質は、細胞に基づいた、または無細胞のアッセイを用いて同定することができ、GTRAP3-18タンパク質の活性を調節する作用物質の能力は、例えばグリコシル化関連疾患、例えば神経疾患、についての動物モデルのような動物において、インビボで確認することができる。GTRAP3-18が欠損した動物(例えば、GTRAP3-18ノックアウトマウス)は、グリコシル化を制御する能力が欠乏している可能性があり、従って、試験化合物がGTRAP3-18を迂回して他の経路および/または制御因子を利用することによりグリコシル化を制御することができるかどうかを測定するのに有用でありうる。
さらに、本明細書に記載されているように同定されたGTRAP3-18モジュレーター(例えば、アンチセンスGTRAP3-18核酸分子、GTRAP3-18特異的抗体、または低分子)は、そのようなモジュレーターでの治療の効力、毒性または副作用を測定するために動物モデルで用いることができる。あるいは、本明細書に記載されているように同定されたGTRAP3-18モジュレーターは、そのようなモジュレーターの作用機構を決定するために動物モデルで用いることができる。
II. 予測医学:
本発明はまた、診断アッセイ、予知アッセイおよび臨床試験をモニターすることが予知的(予測的)目的に用いられ、それにより個体を予防的に治療する、予測医学の分野に関連する。従って、本発明の一つの局面は、生体試料(例えば、血液、血清、細胞、または組織、例えば筋肉組織)に関して、GTRAP3-18タンパク質および/または核酸発現、加えてGTRAP3-18活性を測定し、それにより個体がグリコシル化関連疾患に苦しんでいるのかどうかを決定するための診断アッセイに関する。本発明はまた、個体がグリコシル化関連疾患を進行させるリスクがあるかどうかを決定するための予知的(予測的)アッセイを提供する。例えば、GTRAP3-18遺伝子における突然変異は、生体試料においてアッセイされうる。そのようなアッセイは、予知的または予測的目的のために用いられ、それによりグリコシル化関連疾患の発症の前に個体を予防的に治療することができる。
本発明のもう一つの局面は、臨床試験において、GTRAP3-18の発現または活性へのGTRAP3-18モジュレーター(例えば、抗GTRAP3-18抗体、リボザイム、または低分子)の影響をモニターすることに関連する。
これらを始めとする作用物質は、以下のセクションにおいてさらに詳細に記載される。
A. グリコシル化関連疾患についての診断アッセイ
被検体がグリコシル化関連疾患に苦しんでいるのかどうかを決定するために、被検体から生体試料を得ることができ、生体試料は、生体試料においてGTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18タンパク質をコードする核酸(例えば、mRNAまたはゲノムDNA)を検出する能力がある化合物または薬剤と接触させることができる。GTRAP3-18 mRNAまたはゲノムDNAを検出するための好ましい薬剤は、GTRAP3-18 mRNAまたはゲノムDNAにハイブリダイズする能力がある標識された核酸プローブである。核酸プローブは、例えば、SEQ ID NO:1に示されたGTRAP3-18核酸、または長さが少なくとも15、20、25、30、25、40、45、50、100、250もしくは500ヌクレオチドで、かつGTRAP3-18 mRNAもしくはゲノムDNAにストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするのに十分であるオリゴヌクレオチドのような、その一部分でありうる。本発明の診断アッセイに用いるための他の適切なプローブが本明細書に記載されている。
試料においてGTRAP3-18タンパク質を検出するための好ましい薬剤は、GTRAP3-18タンパク質に結合する能力がある抗体、好ましくは検出可能な標識をもつ抗体、である。抗体は、ポリクローナル、またはより好ましくは、モノクローナルでありうる。無傷の抗体、またはその断片(例えば、FabまたはF(ab')2)を用いることができる。プローブまたは抗体に関する「標識された」という用語は、検出可能な物質をプローブまたは抗体に結合する(すなわち、物理的に連結する)ことによるプローブまたは抗体の直接的標識化、加えて、直接的に標識されているもう一つの試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識化を含むことが意図される。抗体または核酸プローブに結合しうる直接的な物質の例は、様々な酵素、配合団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質を含む。間接的標識化の例は、蛍光標識された二次抗体を用いる一次抗体の検出、および蛍光標識されたストレプトアビジンで検出されることができるようにビオチンでのDNAプローブの末端標識化を含む。
「生体試料」という用語は、被検体から単離された組織、細胞および生体液、加えて被検体内に存在する組織、細胞および液体を含むことが意図される。すなわち、本発明の検出方法は、インビトロおよびインビボで、生体試料においてGTRAP3-18 mRNA、タンパク質、またはゲノムDNAを検出するために用いることができる。例えば、GTRAP3-18 mRNAの検出についてのインビトロ技術は、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチューハイブリダイゼーションを含む。GTRAP3-18タンパク質の検出についてのインビトロ技術は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降法および免疫蛍光法を含む。GTRAP3-18ゲノムDNAの検出についてのインビトロ技術は、サザンハイブリダイゼーションを含む。さらに、GTRAP3-18タンパク質の検出についてのインビボ技術は、標識された抗GTRAP3-18抗体を被検体へ導入することを含む。例えば、抗体は、被検体における存在および位置が標準的画像技術により検出できる放射性マーカーで標識することができる。
もう一つの態様において、方法はさらに、対照の被検体から対照生体試料を得る段階、GTRAP3-18タンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在が生体試料において検出されるように、GTRAP3-18タンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAを検出する能力がある化合物または薬剤と対照試料を接触させる段階、および対照試料におけるGTRAP3-18タンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を、試験試料におけるGTRAP3-18タンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在と比較する段階を含む。
B. グリコシル化関連疾患についての予知アッセイ
本発明はさらに、異常型GTRAP3-18の発現または活性をもつグリコシル化関連疾患に罹っているまたは発症するリスクがある被検体を同定するための方法に関する。
本明細書に用いられる場合、「異常型」という用語は、野生型GTRAP3-18の発現または活性からはずれているGTRAP3-18の発現または活性を含む。異常型発現または活性は、増加または減少した発現または活性、加えて発現の野生型展開パターンまたは発現の細胞レベル下のパターンに従わない発現または活性を含む。例えば、異常型GTRAP3-18発現または活性は、GTRAP3-18遺伝子における突然変異が、GTRAP3-18遺伝子が発現不足または過剰発現するようにさせる場合、およびそのような突然変異が結果として、機能しないGTRAP3-18タンパク質、または野生型のように機能しないタンパク質、例えば、GTRAP3-18基質と相互作用しないタンパク質もしくは非GTRAP3-18基質と相互作用するタンパク質を生じる状況を含むことが意図される。
上記の診断アッセイまたは以下のアッセイのような本明細書に記載されたアッセイは、グリコシル化関連疾患、例えば、神経疾患に罹っているまたは発症するリスクがある被検体を同定するために用いることができる。生体試料は、被検体から得られ、遺伝子変化の存在または非存在について検査されうる。例えば、そのような遺伝子変化は、1)GTRAP3-18遺伝子からの1個または複数のヌクレオチドの欠失、2)GTRAP3-18遺伝子への1個または複数のヌクレオチドの付加、3)GTRAP3-18遺伝子の1個または複数のヌクレオチドの置換、4)GTRAP3-18遺伝子の染色体再配置、5)GTRAP3-18遺伝子のメッセンジャーRNA転写産物レベルにおける変化、6)ゲノムDNAのメチル化パターンのようなGTRAP3-18遺伝子の異常な修飾、7)GTRAP3-18遺伝子のメッセンジャーRNA転写産物の非野生型スプライシングパターンの存在、8)GTRAP3-18タンパク質の非野生型レベル、9)GTRAP3-18遺伝子の対立遺伝子の欠損、および10)GTRAP3-18タンパク質の不適当な翻訳後修飾、の少なくとも1つの存在を確かめることにより検出されうる。
本明細書に記載されているように、GTRAP3-18遺伝子における遺伝子変化を検出するために用いることができる当技術分野において公知の多数のアッセイがある。例えば、GTRAP3-18遺伝子における遺伝子変化は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許No. 4,683,195および4,683,202を参照)、例えば、アンカーPCRもしくはRACE PCR、において、または、代わりとして、ライゲーション連鎖反応(LCR)(例えば、Landegran et al. (1988) Science 241:1077-1080;およびNakazawa et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:360-364を参照)において、プローブ/プライマーを用いて検出されうるが、後者は、GTRAP3-18遺伝子における点突然変異を検出するのに特に有用でありうる(Abravaya et al. (1995) Nucleic Acids Res. 23:675-682を参照)。この方法は、被検体から生体試料を収集する段階、試料から核酸(例えばゲノムDNA、mRNA、または両方)を単離する段階、GTRAP3-18遺伝子(存在する場合には)のハイブリダイゼーションおよび増幅が起こるような条件下においてGTRAP3-18遺伝子に特異的にハイブリダイズする1つまたは複数のプライマーと核酸試料を接触させる段階、ならびに増幅産物の存在もしくは非存在を検出する段階、または増幅産物のサイズを検出し、対照試料と長さを比較する段階を含む。PCRおよび/またはLCRが、本明細書に記載された突然変異を検出するために用いられる技術のいずれかと併せて予備的な増幅段階として用いられることが望ましい場合があることが予想される。
代替の増幅方法は以下のもの:自己維持的配列複製(Guatelli, J.C. et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅系(Kwoh, D.Y. et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardi, P.M. et al. (1988) Bio-Technology 6:1197)、または任意の他の核酸増幅方法を含み、続いて、当業者に周知の技術を用いて増幅された分子が検出される。これらの検出スキームは、分子が非常に少数で存在している場合の核酸分子の検出に特に有用である。
代替の態様において、生体試料由来のGTRAP3-18遺伝子における突然変異は、制限酵素切断パターンにおける変化により同定されうる。例えば、試料DNAおよび対照DNAが単離され、増幅され(任意で)、1つまたは複数の制限エンドヌクレアーゼで消化され、断片長サイズは、ゲル電気泳動により測定されて、比較される。試料DNAと対照DNAの断片長サイズの違いは、試料DNAにおける突然変異を示している。さらに、配列特異的リボザイムの使用は(米国特許No.5,498,531を参照)、リボザイム切断部位の発生または損失により特定の突然変異の存在について評価するために用いることができる。
他の態様において、GTRAP3-18における遺伝的突然変異は、生体試料由来および対照の核酸、例えばDNAまたはRNAを、何百または何千というオリゴヌクレオチドプローブを含む高密度アレイにハイブリダイズさせることにより同定されうる(Cronin, M.T. et al. (1996) Hum. Mutat. 7:244-255; Kozal, M.J. et al. (1996) Nat. Med. 2:753-759)。例えば、GTRAP3-18における遺伝的突然変異は、Cronin, M.T. et al. (1996)前記に記載されているように光生成されたDNAプローブを含む2次元アレイにおいて同定されうる。簡単に述べると、プローブの第一ハイブリダイゼーションアレイが、連続的な、重複したプローブの直線的アレイを作製することにより、試料および対照におけるDNAの長いひと続き全体を通してスキャンして、配列間の塩基変化を同定するために用いることができる。この段階は、点突然変異の同定を可能にする。この段階には、検出されるすべての変異体または突然変異に相補的なより小さい、特定化されたプローブアレイを用いることにより特定の突然変異の特徴付けを可能にする第二ハイブリダイゼーションアレイが続く。各突然変異アレイは、平行したプローブセットから構成され、一方は野生型遺伝子に相補的であり、他方は突然変異遺伝子に相補的である。
さらにもう一つの態様において、当技術分野において公知の様々なシーケンシング反応の任意のものを、生体試料においてGTRAP3-18遺伝子を直接的にシーケンシングし、生体試料におけるGTRAP3-18の配列を対応する野生型(対照)配列と比較することにより突然変異を検出するために用いることができる。シーケンシング反応の例は、Maxam and Gilbert (1977) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:560またはSanger (1977) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463により開発された技術に基づくものを含む。診断アッセイを行う場合、様々な自動化シーケンシング手順の任意のものを利用できることもまた企図されており、質量分析法によるシーケンシングが含まれる(例えば、PCT国際公開No. WO 94/16101; Cohen et al. (1996) Adv. Chromatogr. 36:127-162; およびGriffin et al. (1993) Appl. Biochem. Biotechnol. 38:147-159を参照)。
GTRAP3-18遺伝子における突然変異を検出するための他の方法は、切断剤からの保護がRNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二重鎖におけるミスマッチした塩基を検出するために用いられている方法を含む(Myers et al. (1985) Science 230:1242)。一般的に、「ミスマッチ切断」の技術は、野生型GTRAP3-18配列を含む(標識された)RNAまたはDNAを組織試料から得られた突然変異の可能性のあるRNAまたはDNAとハイブリダイズさせることにより形成されるヘテロ二重鎖を供給することから始まる。二本鎖の二重鎖は、対照鎖と試料鎖の間の塩基対ミスマッチのせいで存在するような二重鎖の一本鎖領域を切断する薬剤で処理される。例えば、ミスマッチした領域を酵素的に消化するために、RNA/DNA二重鎖はリボヌクレアーゼで処理され、かつDNA/DNAハイブリッドは、S1ヌクレアーゼで処理される。他の態様において、DNA/DNAまたはRNA/DNA二重鎖のいずれかは、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムで処理され、ミスマッチした領域を消化するためにピペリジンで処理されうる。ミスマッチした領域の消化後、その結果生じた物質は、その後、突然変異の部位を測定するために変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズにより分離される。例えば、Cotton et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:4397およびSaleeba et al. (1992) Methods Enzymol. 217:286-295を参照されたい。好ましい態様において、対照DNAまたはRNAは、検出のために標識されうる。
さらになおもう一つの態様において、ミスマッチ切断反応は、細胞の試料から得られたGTRAP3-18 cDNAにおける点突然変異を検出かつマッピングするための確定した系において、二本鎖DNAのミスマッチした塩基対を認識する1つまたは複数のタンパク質(いわゆる、「DNAミスマッチ修復」酵素)を使用する。例えば、大腸菌(E.coli)のmutY酵素は、G/AミスマッチにおけるAを切断し、HeLa細胞由来のチミジンDNAグリコシラーゼは、G/TミスマッチにおけるTを切断する(Hsu et al. (1994) Carcinogenesis 15:1657-1662)。例示的態様により、GTRAP3-18配列、例えば、野生型GTRAP3-18配列に基づいたプローブは、検査細胞由来のcDNAまたは他のDNA産物へハイブリダイズする。二重鎖は、DNAミスマッチ修復酵素で処理され、もしあれば、切断産物は電気泳動プロトコールなどから検出されうる。例えば、米国特許No. 5,459,039を参照されたい。
他の態様においては、電気泳動移動度の変動が、GTRAP3-18遺伝子における突然変異を同定するために用いられる。例えば、一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)が、突然変異と野生型核酸との間の電気泳動移動度における差を検出するために用いることができる(Orita et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2766;Cotton (1993) Mutat. Res. 285:125-144およびHayashi (1992) Genet. Anal. Tech. Appl. 9:73-79も参照)。試料および対照のGTRAP3-18核酸の一本鎖DNA断片は、変性し、かつ再生することが可能である。一本鎖核酸の二次構造は、配列により異なり、その結果生じる電気泳動移動度の変動は、一塩基変化の検出さえも可能にする。DNA断片は、標識されていてもよく、または標識されたプローブで検出されてもよい。アッセイの感度は、二次構造が配列における変化に対してDNAよりも感受性がより高いRNAを用いることにより増強されうる。好ましい態様において、本方法は、電気泳動移動度における変化に基づいて二本鎖ヘテロ二重鎖を分離しうるヘテロ二重鎖分析法を利用する(Keen et al. (1991) Trends Genet. 7:5)。
さらにもう一つの態様において、変性剤の濃度勾配を含むポリアクリルアミドゲルにおける突然変異体断片または野生型断片の移動は、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)を用いてアッセイされる(Myers et al. (1985) Nature 313:495)。DGGEが分析の方法として用いられる場合、例えば、PCRにより高融点のGC豊富なDNAの約40 bpのGCクランプを付加することにより、DNAが完全には変性していないことを保証するために修飾される。さらなる態様において、温度勾配が、対照および試料DNAの移動度における差を同定する変性剤濃度勾配の代わりに用いられる(Rosenbaum and Reissner (1987) Biophys. Chem. 265:12753)。
点突然変異を検出するための他の技術の例は、限定されるものではないが、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長を含む。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーは、既知の突然変異が中心に配置されるように調製され、その後、完全なマッチが見出される場合のみハイブリダイゼーションを可能にする条件下において標的DNAにハイブリダイズしうる(Saiki et al. (1986) Nature 324:163; Saiki et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6230)。そのような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、PCR増幅された標的DNA、またはオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする膜に付着しており、標識された標的DNAとハイブリダイズする場合には、多数の異なる突然変異にハイブリダイズする。
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術を、本発明と共に用いることができる。特異的増幅のためのプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドは、その分子の中心に(増幅がディファレンシャルハイブリダイゼーションに依存するように)(Gibbs et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17:2437-2448)、または適切な条件下においてミスマッチがポリメラーゼ伸長を阻止もしくは低下させうる1つのプライマーの3'最末端に(Prossner (1993) Tibtech 11:238)、被検体となる突然変異を保有しうる。さらに、切断に基づく検出を作成するために、突然変異の領域に新規な制限酵素切断部位を導入することが望ましい場合がある(Gasparini et al. (1992) Mol. Cell Probes 6:1)。特定の態様において増幅は、増幅のためのTaqリガーゼを用いても行えることが予想される(Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189)。そのような場合、ライゲーションは、増幅の存在または非存在を探すことにより特定の部位における既知の突然変異の存在を検出することを可能にするる、5'配列の3'末端に完全マッチがある場合のみ起きる。
さらに、本明細書に記載された予知アッセイは、グリコシル化関連疾患を効果的に治療するためにGTRAP3-18モジュレーター(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣体、タンパク質、ペプチド、核酸または低分子)を被検体に投与するべきかどうかを決定するために用いることができる。
C. 臨床試験中の効果のモニタリング
本発明はさらに、被検体のグリコシル化関連疾患を治療するために、GTRAP3-18モジュレーター(例えば、本明細書で同定されたGTRAP3-18モジュレーター)の効力を測定するための方法を提供する。例えば、GTRAP3-18遺伝子発現、タンパク質レベルを増加させることにおける、またはGTRAP3-18活性を上方制御することにおける、GTRAP3-18モジュレーターの効力は、GTRAP3-18遺伝子発現、タンパク質レベルの減少、またはGTRAP3-18活性の下方制御を示している被検体の臨床試験においてモニターされうる。あるいは、GTRAP3-18遺伝子発現、タンパク質レベルを減少させることにおける、またはGTRAP3-18活性を下方制御させることにおける、GTRAP3-18モジュレーターの効力は、GTRAP3-18遺伝子発現、タンパク質レベル、またはGTRAP3-18活性の増加を示している被検体の臨床試験においてモニターされうる。そのような臨床試験において、GTRAP3-18遺伝子、および好ましくは、例えばグリコシル化関連疾患に結びつけられている他の遺伝子の発現または活性が、特定の細胞の表現型の「読み出し」またはマーカーとして用いることができる。
例えば、限定としてではないが、GTRAP3-18活性を調節する作用物質(例えば、本明細書に記載されているようなスクリーニングアッセイで同定される)での治療により細胞において調節される、EAAT、GABAトランスポーター、ドーパミントランスポーター、および/またはアミノ酸トランスポーターを含む遺伝子が同定されうる。このように、例えば、臨床試験においてグリコシル化関連疾患に罹っている被検体へのGTRAP3-18活性を調節する作用物質の効果を研究するために、細胞が単離され、RNAが調製され、かつGTRAP3-18およびグリコシル化関連疾患に結びつけられた他の遺伝子の発現レベルが分析されうる。遺伝子発現レベル(例えば、遺伝子発現パターン)は、本明細書に記載されているように、ノーザンブロット分析法またはRT-PCRにより、または代わりとして、産生されたタンパク質量の測定により、本明細書に記載された方法の1つ、またはGTRAP3-18もしくは他の遺伝子の活性レベルを測定することで例えば、EAAT、GABAトランスポーター、ドーパミントランスポーターおよびアミノ酸トランスポーターのような細胞タンパク質のグリコシル化のレベルを測定することにより)、定量化されうる。このように、遺伝子発現パターンは、GTRAP3-18活性を調節する作用物質に対する細胞の生理的応答を示す、マーカーとしての役割を果たしうる。この応答状態は、GTRAP3-18活性を調節する作用物質での個体の処置前、および処置中の様々な時点において測定されうる。
好ましい態様において、本発明は、GTRAP3-18活性を調節する作用物質(例えば、本明細書に記載されたスクリーニングアッセイにより同定されたアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣体、タンパク質、ペプチド、核酸または低分子)での被検体の治療効力をモニターするための方法を提供し、(i)作用物質の投与前に被検体から投与前試料を得る段階;(ii)投与前試料におけるGTRAP3-18タンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAの発現レベル、または投与前試料におけるEAATのようなタンパク質のグリコシル化レベルを検出する段階;(iii)被検体から1つまたは複数の投与後試料を得る段階;(iv)投与後試料におけるGTRAP3-18タンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAの発現もしくは活性レベル、または投与後試料におけるEAATのようなタンパク質のグリコシル化レベルを検出する段階;(v)投与前試料におけるGTRAP3-18タンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAの発現もしくは活性レベル、またはEAATのようなタンパク質のグリコシル化レベルを、投与後試料におけるGTRAP3-18タンパク質、mRNAもしくはゲノムDNA、もしくはEAATのようなタンパク質のグリコシル化のレベルと比較する段階;および(vi)それに応じて、被検体への作用物質の投与を変える段階を含む。例えば、GTRAP3-18の発現または活性を検出されたよりも高いレベルへ増加させるために、すなわち、作用物質の効力を増加させるために、作用物質の投与の増加が望ましい場合がある。あるいは、GTRAP3-18の発現または活性を、検出されたよりも低いレベルへ減少させるために、すなわち、作用物質の効力を減少させるために、作用物質の投与の減少が望ましい場合がある。そのような態様により、GTRAP3-18発現または活性は、観察可能な表現型応答がない場合でさえも、作用物質の効力の指標として用いることができる。
III. グリコシル化関連疾患に罹っている被検体の治療方法:
本発明は、神経疾患のようなグリコシル化関連疾患のリスクがある(または、感受性の高い)被検体、例えば、ヒトを治療する予防的および治療的の両方の方法について提供する。本明細書に用いられる場合、被検体の「治療」は、病気もしくは疾患、病気もしくは疾患の症状、または病気もしくは疾患のリスク(または感受性)を治す、癒す、軽減する、和らげる、変える、矯正する、改善する、好転するまたは影響を及ぼす目的を以て、病気もしくは疾患に罹っている、病気もしくは疾患の症状をもつ、または病気もしくは疾患のリスク(または感受性)がある、被検体への治療剤の適用もしくは投与、または被検体由来の細胞もしくは組織への治療剤の適用もしくは投与を含む。本明細書に用いられる場合、「治療剤」は、限定されるものではないが、低分子、ペプチド、ポリペプチド、抗体、リボザイムおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
A. 予防方法
一つの局面において、本発明は、GTRAP3-18発現またはGTRAP3-18活性を調節する(例えば細胞、例えば神経細胞、におけるグリコシル化の調節)、作用物質を被検体に投与することにより被検体においてグリコシル化関連疾患を防ぐための方法を提供する。グリコシル化関連疾患のリスクがある被検体は、例えば、本明細書に記載された診断もしくは予知アッセイのいずれかまたは組み合わせにより同定されうる。予防剤の投与は、グリコシル化関連疾患が防止される、またはそれの進行が遅らされるように、異常型GTRAP3-18発現または活性の特徴を示す症状の顕在化の前に起こしうる。GTRAP3-18異常のタイプに依存して、例えば、GTRAP3-18分子、GTRAP3-18アゴニストまたはGTRAP3-18アンタゴニストが、被検体を治療するために用いることができる。適切な作用物質は、本明細書に記載されたスクリーニングアッセイに基づいて決定されうる。
B. 治療方法
本発明のもう一つの局面は、グリコシル化関連疾患に罹っている被検体を治療するための方法に関する。これらの方法は、GTRAP3-18発現もしくは活性を調節する作用物質(例えば、本明細書に記載されたスクリーニングアッセイにより同定された作用物質)、またはそのような作用物質の組み合わせを被検体に投与する段階を含む。もう一つの態様において、方法は、低下した、異常型の、もしくは不必要なGTRAP3-18発現または活性を代償しうる治療としてGTRAP3-18タンパク質または核酸分子を被検体に投与する段階を含む。
GTRAP3-18活性の刺激は、GTRAP3-18が異常に下方制御されている、および/またはGTRAP3-18活性の増加が有益な効果、すなわちグリコシル化の減少を生じ、それにより、不必要なグリコシル化に関連したグリコシル化関連疾患を寛解させる可能性が高い状況において望ましい。同様に、GTRAP3-18活性の抑制は、GTRAP3-18が異常に上方制御されている、および/またはGTRAP3-18活性の減少が有益な効果、例えばグリコシル化の増加を生じ、それにより、不十分なグリコシル化に関連したグリコシル化関連疾患を寛解させる可能性が高い状況において望ましい。
GTRAP3-18活性を調節する作用物質は、投与に適した薬学的組成物を用いて被検体に投与されうる。そのような組成物は、典型的には、作用物質(例えば、核酸分子、タンパク質または抗体)および薬学的に許容される担体を含む。本明細書に用いられる場合、「薬学的に許容される担体」という用語には、薬学的投与に適合性のある、任意のおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むことが意図される。薬学的活性のある物質のための上記のような媒体および媒介物の使用は、当技術分野において周知である。任意の通常の媒体または媒介物が、活性のある化合物と適合しない場合を除いて、組成物におけるそれらの使用が企図される。補助的な活性のある化合物もまた、組成物へ組み入れることができる。
本発明の治療方法に用いられる薬学的組成物は、意図される投与経路と適合性があるように製剤化される。投与経路の例は、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、口(例えば、吸入)、経皮的な(局所の)、経粘膜的な、および直腸の投与を含む。非経口、皮内もしくは皮下の適用のために用いられる溶液または懸濁液は、以下の成分を含みうる:注射用水のような滅菌希釈剤、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張性の調整のための媒介物。pHは、塩酸もしくは水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調整されうる。非経口調製物は、ガラス製もしくはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または複数回投与バイアルに封入されうる。
注射に適した薬学的組成物は、滅菌水溶液(水に溶ける)または分散液、および滅菌注射用溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。静脈内投与に適した担体は、生理食塩水、静菌水、クレモファーEL(Cremophor EL)(商標)(BASF, Parsippany, N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。すべての場合において、組成物は無菌でなければならず、かつ容易な注射針通過性が存在する程度まで流動性であるべきである。製造および保存の条件下において安定していなければならず、かつ細菌および真菌のような微生物の汚染活動に対して保護されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒でありうる。適切な流動性が、例えばレシチンのようなコーティングの使用により、分散の場合に必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により、維持されうる。微生物の活動の防止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成されうる。多くの場合、組成物に等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、および塩化ナトリウムを含むことが好ましいと思われる。注射用組成物の持続性吸収は、吸収を遅らせる媒介物、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含むことにより成し遂げられうる。
滅菌注射用溶液は、上で列挙された成分の1つまたは組み合わせを含む適切な溶媒において、GTRAP3-18活性を調節する作用物質を必要量で組み入れられ、必要に応じ、続いて濾過滅菌により調製されうる。一般的に、分散液は、基本的な分散媒および上で列挙されたものから、必要とされる他の成分を含む滅菌媒体へ活性のある化合物を組み入れることにより調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、任意の追加の望ましい成分を加えた活性のある化合物の粉末を、あらかじめ滅菌濾過された溶液から得る真空乾燥および凍結乾燥である。
経口組成物は一般的に、不活性希釈剤または食べられる担体を含む。それらは、ゼラチンカプセルに封入されうる、または錠剤へ圧縮されうる。経口治療的投与を目的として、活性のある化合物は、賦形剤と共に組み入れられ、錠剤、トローチまたはカプセルの形で用いることができる。経口組成物はまた、口内洗剤としての使用のために流動性担体を用いて調製することができ、流動性担体における化合物は経口で適用し、シュッと洗浄し(swished)、吐くまたは飲み込む。薬学的適合性のある結合剤および/または補助的材料は、組成物の一部として含まれうる。錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは、以下の成分、または類似した性質の化合物のいずれかを含みうる:微結晶性セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンのような結合剤;澱粉もしくは乳糖のような賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、もしくはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはステロート(Sterotes)のような潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤;ショ糖もしくはサッカリンのような甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香味料のような香味剤。
吸入による投与について、化合物は、適した噴射剤(例えば二酸化炭素のようなガス)を含む加圧容器またはディスペンサー、または噴霧器からのエアゾールスプレーの形をとって送達される。
全身投与もまた、経粘膜的または経皮的手段によって行える。経粘膜的または経皮的投与について、浸透されるバリアに適切な浸透剤が製剤に用いられる。そのような浸透剤は、当技術分野において一般的に知られており、例えば経粘膜的投与では、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜的投与は、鼻腔用スプレーまたは坐剤の使用を通して達成されうる。経皮的投与について、活性のある化合物は、当技術分野において一般的に知られているような、軟膏(ointments, salves)、ゲルまたはクリームへ製剤化される。
GTRAP3-18活性を調節する作用物質はまた、直腸送達のための坐剤(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドのような通常の坐剤基剤を含む)または保持浣腸剤の形をとって調製されうる。
一つの態様において、GTRAP3-18活性を調節する作用物質は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む徐放性製剤のような身体からの急速な排出から化合物を保護する担体と共に調製される。生分解性、生体適合性ポリマーを用いることができ、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸がある。そのような製剤を調製するための方法は当業者に明らかであると思われる。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に入手されうる。リポソームの懸濁液(ウイルス抗原へのモノクローナル抗体を有する感染細胞を標的にしたリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として用いることができる。これらは、例えば米国特許No. 4,522,811に記載されているような、当業者に公知の方法に従って調製されうる。
投与の簡便性および用量の均一性のために、用量単位の形で経口または非経口組成物を製剤化することが特に都合が良い。本明細書に用いられる場合の用量単位の形とは、治療される被検体について単位用量として適した物理的に別個の単位を指す。各単位は、必要とされる薬学的担体と共同して望ましい治療効果を生じるように計算された活性のある化合物の所定量を含む。本発明の用量単位の形についての詳細は、GTRAP3-18活性を調節する作用物質の独特な特徴および達成されるべき特定の治療効果、ならびに被検体の治療のためにそのような作用物質を調合する技術に内在する制限に規定され、かつ直接的に依存する。
作用物質の毒性および治療効力は、例えば、LD50(集団の50%まで致死の用量)およびED50(集団の50%に治療的効果のある用量)を測定するために、細胞培養物または実験動物において標準的薬学的方法により測定できる。毒性効果と治療効果の用量比率は、治療指数であり、比率LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す作用物質が好ましい。毒性副作用を示す作用物質を用いることができるが、感染していない細胞への潜在的損傷を最小限にし、それにより副作用を低減させるために、罹患組織の部位へ作用物質を向ける送達系を設計するように配慮されるべきである。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトでの使用のための用量範囲を定めるのに用いることができる。GTRAP3-18調節物質の用量は、好ましくは、ほとんどまたは全く毒性をもたないED50を含む循環濃度の範囲内である。用量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動しうる。本発明の治療方法に用いられる任意の作用物質について、治療的有効量は、最初は細胞培養アッセイから推定されうる。用量は、細胞培養において測定されたIC50(すなわち、症状の最大半減の抑制に達する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように動物モデルにおいて定められうる。そのような情報は、ヒトにおいて有益な用量をより正確に決定するために用いることができる。血漿におけるレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定できる。
本明細書で定義される場合、タンパク質またはポリペプチドの治療的有効量は約0.001〜30 mg/kg体重、好ましくは約0.01〜25 mg/kg体重、より好ましくは約0.1〜20 mg/kg体重、およびよりいっそう好ましくは約1〜10 mg/kg体重、2〜9 mg/kg体重、3〜8 mg/kg体重、4〜7 mg/kg体重または5〜6 mg/kg体重の範囲である。限定されるものではないが、病気または疾患の重症度、以前の処置、被検体の一般的健康および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含むある特定の因子が、被検体を効果的に治療するのに必要とされる用量に影響を及ぼしうることを、当業者は認識しているものと思われる。さらに、タンパク質、ポリペプチドまたは抗体の治療的有効量での被検体の治療は、単一処置(single treatment)を含みうる、または好ましくは、一連の処置を含みうる。
好ましい例において、被検体は約0.1〜20 mg/kg体重の範囲で、約1〜10週間、好ましくは2〜8週間、より好ましくは約3〜7週間、およびよりいっそう好ましくは約4、5または6週間の間に1週間につき1回、抗体、タンパク質またはポリペプチドで処置される。処置のために用いられる抗体、タンパク質またはポリペプチドの有効量は、特定の処置の間に増加または減少する場合があることもまた認識されているものと思われる。用量における変化は、本明細書に記載されているような診断アッセイの結果に起因して、明らかになるだろう。
本発明は、発現または活性を調節する作用物質を含む。作用物質は、例えば低分子でありうる。例えば、そのような低分子は、限定されるものではないが、ペプチド、ペプチド模倣体、アミノ酸、アミノ酸類似体、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似体、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、モルあたり約10,000グラム未満の分子量をもつ有機または無機化合物(すなわち、ヘテロ有機および有機金属化合物を含む)、モルあたり約5,000グラム未満の分子量をもつ有機または無機化合物、モルあたり約1,000グラム未満の分子量をもつ有機または無機化合物、モルあたり約500グラム未満の分子量をもつ有機または無機化合物、および塩、エステル、ならびにそのような化合物の他の薬学的に許容される形でありうる。低分子作用物質の適切な用量が、普通に熟練した医師、獣医または研究者の認知範囲内の多数の因子に依存することは、理解されている。低分子の用量は、例えば、治療されることになっている被検体または試料のアイデンティティ、大きさおよび状態に依存して、さらに、適用可能な場合、組成物が投与されることになっている経路、および実行者が、低分子が本発明の核酸またはポリペプチドへ生じることを望む効果に依存して、異なる。例示的用量は、被検体もしくは試料重量の1キログラムあたり低分子のミリグラムまたはマイクログラム量を含む(例えば、1キログラムあたり約1マイクログラム〜1キログラムあたり約500ミリグラム、1キログラムあたり約100マイクログラム〜1キログラムあたり約5ミリグラム、または1キログラムあたり約1マイクログラム〜1キログラムあたり約50マイクログラム)。低分子の適切な用量は、調節されるべき発現または活性に関する低分子の効力に依存することはさらに理解されている。そのような適切な用量は、本明細書に記載されたアッセイを用いて決定されうる。これらの低分子の1つまたは複数が、本発明のポリペプチドもしくは核酸の発現または活性を調節するために動物(例えば、ヒト)に投与されることになっている場合、医師、獣医または研究者は、例えば、最初は比較的低量を処方し、その後、適切な応答が得られるまで用量を増加させてもよい。さらに、何か特定の動物被検体についての特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、被検体の年齢、体重、一般的健康、性別および食事、投与の時間、投与経路、排出率、任意の薬物との組み合わせ、および調節されるべき発現または活性の程度に依存するものであることは理解されている。
さらに、抗体(またはその断片)は、細胞毒素のような治療的部分、治療剤または放射性金属イオンに結合されうる。細胞毒素または細胞毒性剤は、細胞に有害である任意の薬剤を含む。例は、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそれらの類似体または相同体を含む。治療剤は、限定されるものではないが、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、ならびにシスジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前は、ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前は、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、および抗有糸分裂性剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)を含む。
本発明の結合体は、所定の生物学的応答を改変するために用いることができ、薬物部分は、古典的化学療法剤に限定されると解釈されるべきではない。例えば、薬物部分は、望ましい生物活性を有するタンパク質またはポリペプチドでありうる。そのようなタンパク質は、例えばアブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素のような毒素;腫瘍壊死因子、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノゲンアクチベーターのようなタンパク質;または、例えば、リンフォカイン、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」)、または他の成長因子のような生物学的応答改変因子を含みうる。
そのような治療的部分を抗体へ結合させるための技術は周知であり、例えば、
を参照されたい。あるいは抗体は、米国特許No. 4,676,980においてSegalにより記載されているように、抗体ヘテロ結合体を形成するように第二抗体へ結合されうる。
本発明の方法に用いられる核酸分子は、ベクターへ挿入され、遺伝子治療ベクターとして用いることができる。遺伝子治療ベクターは、例えば静脈注射、局所投与(米国特許No. 5,328,470を参照)により、または定位的注入(例えば、Chen et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3054-3057を参照)により、被検体へ送達されうる。遺伝子治療ベクターの薬学的調製は、許容される希釈剤に遺伝子治療ベクターを含みうる、または遺伝子送達媒体が埋め込まれている徐放性マトリックスを含みうる。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞から無傷で産生できる場合、例えばレトロウイルスベクターにおいて、薬学的調製は、遺伝子送達系を産生する1つまたは複数の細胞を含みうる。
IV. 本発明の方法に用いられる組換え発現ベクターおよび宿主細胞
本発明の方法(例えば、本明細書に記載されたスクリーニングアッセイ)は、GTRAP3-18タンパク質(またはその部分)、加えてGTRAP3-18標的分子(例えば、EAAT、GABAトランスポーター、ドーパミントランスポーターまたはアミノ酸トランスポーター)またはそれらの部分をコードする核酸分子を含むベクター、好ましくは発現ベクターの使用を含む。本明細書に用いられる場合、「ベクター」という用語は、連結されているもう一つの核酸を輸送する能力がある核酸分子を指す。ベクターの一つの型は「プラスミド」であり、追加のDNAセグメントがライゲーションされうる環状二本鎖DNAループを指す。ベクターのもう一つの型は、ウイルスベクターであり、それは、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムへライゲーションされうる。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自己複製の能力がある(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター、およびエピソームの哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソームの哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入により宿主細胞のゲノムへ組み込まれ、それにより、宿主ゲノムと共に複製される。さらに特定のベクターは、それらが実施可能に連結されている遺伝子の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれている。一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形をとる。プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形であるため、本明細書において「プラスミド」および「ベクター」は交換可能に用いることができる。しかしながら、本発明では、等価の機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス)のような発現ベクターのような他の形を含むことが意図される。
本発明の方法に用いることができる組換え発現ベクターは、本発明の核酸を宿主細胞における核酸の発現に適した形で含むが、それは、組換え発現ベクターが、発現されるべき核酸配列に実施可能に連結されている、発現のために用いられる宿主細胞に基づいて選択される1つまたは複数の制御配列を含むことを意味する。組換え発現ベクター内において、「実施可能に連結された」とは、被検体となるヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能にする(例えば、インビトロ転写/翻訳系において、またはベクターが宿主細胞へ導入されている場合の宿主細胞において)様式で制御配列に連結されていることを意味するものと意図される。「制御配列」という用語は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。そのような制御配列は、例えば、Goeddel (1990) Methods Enzymol. 185:3-7に記載されている。制御配列は、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の恒常的発現を指示するもの、および特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指示するもの(例えば、組織特異的制御配列)を含む。発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの因子に依存しうることは、当業者に認識されているものと思われる。本発明の発現ベクターは宿主細胞へ導入され、それにより、本明細書に記載されているような核酸によりコードされる、融合タンパク質もしくはペプチドを含む、タンパク質またはペプチド(例えば、GTRAP3-18タンパク質、GTRAP3-18標的分子、GTRAP3-18タンパク質および/またはGTRAP3-18標的分子の突然変異型、融合タンパク質など)を産生することができる。
本発明の方法に用いることができる組換え発現ベクターは、原核細胞または真核細胞におけるGTRAP3-18タンパク質の発現のために設計されうる。例えば、GTRAP3-18タンパク質は、大腸菌(E. coli)のような細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを用いる)、酵母細胞、または哺乳動物細胞において発現させることができる。適した宿主細胞は、前記のGoeddel (1990)にさらに考察されている。あるいは、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター制御配列およびT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写および翻訳されうる。
原核生物におけるタンパク質の発現は、ほとんどの場合、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を指示する恒常的または誘導的プロモーターを含むベクターで大腸菌において行われる。融合ベクターは、その中にコードされるタンパク質に、通常組換えタンパク質のアミノ末端に、多数のアミノ酸を付加する。そのような融合ベクターは、典型的には、以下の3つの目的を果たす:1)組換えタンパク質の発現を増加させること;2)組換えタンパク質の溶解性を増加させること;および3)アフィニティー精製においてリガンドとして働くことにより組換えタンパク質の精製を助けること。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解性切断部位が、融合タンパク質の精製後、融合部分からの組換えタンパク質の分離を可能にするために、融合部分と組換えタンパク質の接合部に導入される。そのような酵素およびそれらの同族の認識配列は、ファクターXa、トロンビンおよびエンテロキナーゼを含む。典型的融合発現ベクターは、標的組換えタンパク質に、それぞれ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを融合するpGEX(Pharmacia Biotech Inc; Smith, D.B. and Johnson, K.S. (1988) Gene 67:31-40)、pMAL(New England Biolabs, Beverly, Mass.)およびpRIT5(Pharmacia, Piscataway, N.J.)を含む。
精製された融合タンパク質は、GTRAP3-18活性アッセイ(例えば、下で詳細に記載する直接的アッセイまたは競合的アッセイ)に、またはGTRAP3-18タンパク質に特異的な抗体の作製に利用されうる。好ましい態様において、本発明のレトロウイルス発現ベクターで発現されたGTRAP3-18融合タンパク質は、放射線照射を受けたレシピエントへその後移植される骨髄細胞を感染させるために利用されうる。本レシピエントの病態は、その後、十分な時間が経過した(例えば、6週間)後検査される。
もう一つの態様において、本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを用いる哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現ベクターの例は、pCDM8(Seed, B. (1987) Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufman et al. (1987) EMBO J. 6:187-195)を含む。哺乳動物細胞に用いられる場合、発現ベクターの制御機能は、しばしばウイルスの制御エレメントにより供給される。例えば、一般に用いられるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40由来である。原核細胞および真核細胞の両方のための他の適切な発現系について、Sambrook, J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989の16章および17章を参照されたい。
もう一つの態様において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型において優先的に核酸の発現を指示することができる(例えば、組織特異的制御エレメントが核酸を発現させるために用いられる)。
本発明の方法は、アンチセンス配向で発現ベクターへクローニングされた本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターをさらに用いうる。すなわちDNA分子は、GTRAP3-18 mRNAにアンチセンスであるRNA分子の発現(DNA分子の転写による)を可能にする様式で制御配列に実施可能に連結されている。様々な細胞型においてアンチセンスRNA分子の連続的発現を指示する、アンチセンス配向でクローニングされた核酸に実施可能に連結された制御配列が選択されうる。例えば、ウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサー、またはアンチセンスRNAの恒常的な、組織特異的もしくは細胞型特異的発現を指示する制御配列が選択されうる。アンチセンス発現ベクターは、アンチセンス核酸が高効率制御領域の制御下において産生される組換えプラスミド、ファージミド、または弱毒化ウイルスの形をとることができ、活性はベクターが導入されている細胞型により測定できる。アンチセンス遺伝子を用いる遺伝子発現の制御の考察について、Weintraub, H. et al., Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis, Reviews--Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986を参照されたい。
本発明のもう一つの局面は、本発明のGTRAP3-18またはGTRAP3-18標的分子(EAAT、GABAトランスポーター、ドーパミントランスポーターまたはアミノ酸トランスポーター)の核酸分子、例えば、組換え発現ベクター内のGTRAP3-18もしくはGTRAP3-18標的分子の核酸分子、または宿主細胞ゲノムの特定の部位へ相同的に組み換えることを可能にする配列を含むGTRAP3-18もしくはGTRAP3-18標的分子の核酸分子が導入される宿主細胞の使用に関する。「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」という用語は、本明細書で交換可能に用いられる。そのような用語は、特定の被検体細胞だけでなく、そのような細胞の子孫または潜在的子孫も指す。突然変異または環境的影響のせいで後世においてある特定の改変が起こる可能性があるため、そのような子孫は、実際、親細胞と同一ではない場合があるが、それでも、本明細書に用いられる場合の用語の範囲内に含まれる。
宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞でありうる。例えば、GTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子は、大腸菌のような細菌細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)において発現できる。他の適した宿主細胞は当業者に公知である。
ベクターDNAは、通常の形質転換またはトランスフェクション技術により原核または真核細胞へ導入されうる。本明細書に用いられる場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」は、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウム共沈殿、DEAEデキストラン媒介型トランスフェクション、リポフェクション、または電気穿孔法を含む、外来核酸(例えば、DNA)を宿主細胞へ導入するための様々な、技術分野で認められている技術を指す。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクションするための適した方法は、Sambrook et al. (Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2.sup.nd. ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)および他の実験室マニュアルに見出されうる。
培養中の原核または真核宿主細胞のような、本発明の方法に用いられる宿主細胞は、GTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子を産生する(すなわち、発現させる)ために用いることができる。従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を用いるGTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子を産生するための方法を提供する。一つの態様において、方法は、GTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子が産生されるように適した培地中で本発明の宿主細胞(GTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子をコードする組換え発現ベクターが導入されている)を培養する段階を含む。もう一つの態様において、方法は、培地または宿主細胞からGTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子を単離する段階をさらに含む。
V. 本発明の方法に用いられる単離された核酸分子
単離されたラットGTRAP3-18遺伝子のcDNA配列、およびラットGTRAP3-18ポリペプチドの推定アミノ酸配列は、それぞれ、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2に、ならびに図1(コード配列およびポリペプチドのみ)に示され、Lin, C.-I. et al. (2001) Nature 410:84-88;GenBankアクセッション番号NM_023972;PCT国際公開No. WO 01/30968;加えて、米国特許出願Ser. No. 09/695,795に記載されている。単離されたマウスGTRAP3-18のcDNA配列は、Butchbach, M.E. et al. (2002) Gene 292(1-2):81-90およびGene GenBankアクセッション番号NM_022992に記載されている。単離されたヒトGTRAP3-18のcDNA配列は、Butchbach, M.E. et al. (2002) Gene 292(1-2):81-90に記載されている。すべての上で参照文献として引用された刊行物の内容は、参照として本明細書に組み入れられている。
本発明の方法はまた、GTRAP3-18標的分子、すなわち、GTRAP3-18が相互作用するおよび/またはグリコシル化を調節するタンパク質をコードする、単離された核酸分子を使用する。好ましい態様において、GTRAP3-18標的分子は、GLAST/EAAT1、GLT-1/EAAT2、EAAC1/EAAT3、EAAT4またはEAAT5のようなグルタミン酸トランスポーターである。もう一つの態様において、GTRAP3-18標的分子は、GABAトランスポーター(例えば、GAT)、ドーパミントランスポーター(例えば、DAT)またはアミノ酸トランスポーター(例えば、ASCT)である。これらの型のトランスポーターのいずれについても核酸およびポリペプチド配列は、当技術分野において周知である。
本発明の方法は、GTRAP3-18タンパク質およびGTRAP3-18標的分子またはそれらの生物活性のある部分をコードする単離された核酸分子、加えてGTRAP3-18コード化およびGTRAP3-18標的分子コード化核酸分子(例えば、GTRAP3-18およびGTRAP3-18標的分子のmRNA)を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとしての使用に十分な核酸断片、ならびに増幅のためのPCRプライマーとして使用される断片、またはGTRAP3-18およびGTRAP3-18標的分子の核酸分子の突然変異の使用を含む。本明細書に用いられる場合、「核酸分子」という用語は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)ならびにヌクレオチド類似体を用いて作製されたDNAまたはRNAの類似体を含むことが意図される。核酸分子は、一本鎖または二本鎖でありうるが、好ましくは二本鎖DNAである。
本発明の方法に用いられる核酸分子、例えばGTRAP3-18もしくはGTRAP3-18標的分子の核酸分子、またはそれらの部分は、標準的分子生物学技術を用いて単離でき、配列情報は、本明細書に提供されている。ハイブリダイゼーションプローブとしてGTRAP3-18もしくはGTRAP3-18標的分子の核酸分子の核酸配列のすべてまたは部分を用いることにより、GTRAP3-18またはGTRAP3-18標的分子の核酸分子は、標準的ハイブリダイゼーションおよびクローニング技術(例えば、Sambrook, J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd. ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)を用いて単離されうる。
さらに、GTRAP3-18もしくはGTRAP3-18標的分子の核酸分子のすべてまたは部分を含む核酸分子は、GTRAP3-18またはGTRAP3-18標的分子の核酸分子の配列(例えば、SEQ ID NO:1の核酸配列)に基づいて設計された合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により単離できる。
本発明の方法に用いられる核酸は、標準的PCR増幅技術に従い、鋳型および適切なオリゴヌクレオチドプライマーとして、cDNA、mRNAまたは、代わりとして、ゲノムDNAを用いて増幅されうる。さらに、GTRAP3-18またはGTRAP3-18標的分子のヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的合成技術、例えば自動化DNA合成機を用いて、調製されうる。
好ましい態様において、本発明の方法に用いられる単離された核酸分子は、SEQ ID NO:1に示されたヌクレオチド配列、SEQ ID NO:1に示されたヌクレオチド配列の相補体、またはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの部分を含む。SEQ ID NO:1に示されたヌクレオチド配列に相補的な核酸分子は、SEQ ID NO:1に示されたヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができ、安定な二重鎖を形成するように、SEQ ID NO:1に示されたヌクレオチド配列と十分に相補的なものである。
さらにもう一つの好ましい態様において、本発明の方法に用いられる単離された核酸分子は、SEQ ID NO:1に示されたヌクレオチド配列の全長と少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%もしくはそれ以上同一であるヌクレオチド配列、またはこのヌクレオチド配列のいずれかの部分を含む。
さらに、本発明の方法に用いられる核酸分子は、GTRAP3-18またはGTRAP3-18標的分子の核酸分子の核酸配列部分、例えば、プローブもしくはプライマーとして用いることができる断片、またはGTRAP3-18タンパク質もしくはGTRAP3-18標的分子の部分、例えばGTRAP3-18タンパク質もしくはGTRAP3-18標的分子の生物活性のある部分をコードする断片のみを含みうる。プローブ/プライマーは、典型的には、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、典型的には、SEQ ID NO:1のセンス配列もしくはSEQ ID NO:1のアンチセンス配列の、またはSEQ ID NO:1の天然に存在する対立遺伝子変異体もしくは突然変異体の、少なくとも約12個または15個、好ましくは約20個または25個、より好ましくは約30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個または75個の連続したヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。一つの態様において、本発明の方法に用いられる核酸分子は、50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、1000〜1100またはそれ以上のヌクレオチド長より大きく、かつSEQ ID NO:1の核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
本明細書に用いられる場合、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」という用語は、お互いに有意に同一または相同であるヌクレオチド配列がお互いにハイブリダイズしたままである、ハイブリダイゼーションおよび洗浄についての条件を記載するものと意図される。好ましくは、条件は、少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、よりいっそう好ましくは少なくとも約85%または90%、お互いに同一である配列がお互いにハイブリダイズしたままであるようなものである。そのようなストリンジェントな条件は、当業者に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al., eds., John Wiley & Sons, Inc. (1995), セクション2、4および6に見出されうる。追加のストリンジェントな条件は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Sambrook et al., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989), 7章、9章および11章に見出されうる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましい、非限定的な例は、4Xまたは6X 塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)における約65〜70℃でのハイブリダイゼーション、続いて1X SSCにおける約65〜70℃での1回または複数回の洗浄を含む。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のさらに好ましい、非限定的な例は、6X SSC、45℃でのハイブリダイゼーション、続いて0.2X SSC、0.1% SDSにおける65℃での1回または複数回の洗浄を含む。高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましい、非限定的な例は、1X SSCにおける約65〜70℃でのハイブリダイゼーション(または50%ホルムアミドを加えた1X SSCにおける約42〜50℃でのハイブリダイゼーション)、続いて0.3X SSCにおける約65〜70℃での1回または複数回の洗浄を含む。ストリンジェンシーを低下させたハイブリダイゼーション条件の好ましい、非限定的例は、4X SSCまたは6X SSCにおける約50〜60℃でのハイブリダイゼーション(または代わりとして、50%ホルムアミドを加えた6X SSCにおける約40〜45℃でのハイブリダイゼーション)、続いて2X SSCにおける50〜60℃での1回または複数回の洗浄を含む。上で引用された値、例えば65〜70℃、または42〜50℃、の中間にある範囲もまた、本発明に含まれることが意図される。SSPE(1X SSPEは、0.15 M NaCl、10 mM NaH2PO4および1.25 mM EDTA、pH 7.4である)は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄緩衝液におけるSSC(1X SSCは、0.15 M NaClおよび15 mM クエン酸ナトリウムである)の代わりに用いることができる。洗浄は、ハイブリダイゼーションが完了した後ごとに15分間行われる。50塩基対長未満であると予想されるハイブリッドについてのハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融解温度(Tm)より5〜10℃低くあるべきであり、Tmは、以下の方程式により決定される。18塩基長未満のハイブリッドについては、Tm(℃)=2(A塩基+T塩基の数)+4(G塩基+C塩基の数)。18塩基対長と49塩基対長の間のハイブリッドについては、Tm(℃)=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)-(600/N)、Nはハイブリッドにおける塩基の数であり、[Na+]はハイブリダイゼーション緩衝液におけるナトリウムイオンの濃度である(1X SSCについての[Na+]=0.165 M)。追加の試薬が、膜、例えばニトロセルロース膜またはナイロン膜、への核酸分子の非特異的ハイブリダイゼーションを減少させるために、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄緩衝液へ添加されうることもまた、当業者により認識されているものと思われ、限定されるものではないが、ブロッキング剤(例えば、BSAまたはサケもしくはニシン精子担体DNA)、界面活性剤(例えば、SDS)、キレート剤(例えば、EDTA)、フィコール、PVPなどを含む。特に、ナイロン膜を用いる場合、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の追加の好ましい、非限定的な例は、0.25〜0.5 M NaH2PO4、7% SDSにおける約65℃でのハイブリダイゼーション、続いて0.02 M NaH2PO4、1% SDS、65℃での1回または複数回の洗浄であり、例えば、Church and Gilbert (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:1991-1995(または、代わりとして、0.2X SSC、1% SDS)を参照されたい。
好ましい態様において、プローブは、それに付着した標識群を含み、例えば標識群は放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、酵素補因子でありうる。そのようなプローブは、被検体由来の細胞試料におけるGTRAP3-18コード化核酸のレベルを測定すること、例えばGTRAP3-18もしくはGTRAP3-18標的分子のmRNAレベルを検出すること、またはゲノムGTRAP3-18もしくはGTRAP3-18標的分子の遺伝子が変異もしくは欠失されているかどうかを測定することによるような、GTRAP3-18タンパク質もしくはGTRAP3-18標的分子を誤発現させている細胞または組織を同定するための診断検査キットの一部として用いることができる。
本発明の方法はさらに、遺伝子コードの縮重のためにSEQ ID NO:1に示されたヌクレオチド配列とは異なり、それゆえにSEQ ID NO:1に示されたヌクレオチド配列によりコードされたものと同じGTRAP3-18タンパク質をコードする核酸分子の使用を含む。もう一つの態様において、本発明の方法に含まれる単離された核酸分子は、SEQ ID NO:2に示されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。
本発明の方法はさらに、ヒトGTRAP3-18の対立遺伝子変異体、例えば、機能しうるおよび機能しない対立遺伝子変異体の使用を含む。機能しうる対立遺伝子変異体は、GTRAP3-18活性を維持するヒトGTRAP3-18の天然に存在するアミノ酸配列変異体である。機能しうる対立遺伝子変異体は、典型的には、SEQ ID NO:2の1個もしくは複数のアミノ酸の保存的置換、またはそのタンパク質の重要でない領域における重要でない残基の置換、欠失もしくは挿入を含むものと思われる。機能しない対立遺伝子変異体は、GTRAP3-18活性をもたないヒトGTRAP3-18タンパク質の天然に存在するアミノ酸配列変異体である。機能しない対立遺伝子変異体は、典型的には、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列の非保存的置換、欠失もしくは挿入もしくは中途での切断、またはそのタンパク質の重要な残基もしくは重要な領域における置換、挿入もしくは欠失を含むものと思われる。
本発明の方法はさらに、GTRAP3-18タンパク質のオルソログを用いうる。GTRAP3-18のオルソログは、他の生物体から単離され、かつ同じGTRAP3-18活性をもつタンパク質である。
本発明の方法はさらに、突然変異が導入されている、SEQ ID NO:1のヌクレオチド配列を含む核酸分子またはその部分の使用を含む。突然変異は、「非必須」アミノ酸残基における、または「必須」アミノ酸残基におけるアミノ酸置換につながる可能性がある。「非必須」アミノ酸残基は、生物活性を変えることなくGTRAP3-18の野生型配列(例えばSEQ ID NO:2)から変更されうる残基であるが、「必須」アミノ酸残基は、生物活性のために必要とされる。例えば、異なる生物体からのGTRAP3-18タンパク質の間で保存されているアミノ酸残基は、変更を受け入れられる可能性は低い。
突然変異は、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介型突然変異誘発のような標準的技術によりSEQ ID NO:1へ導入されうる。好ましくは、保存的アミノ酸置換は、1個または複数の推定の非必須アミノ酸残基で起きる。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似した側鎖を有するアミノ酸残基で置換されることである。類似した側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝型側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。従って、GTRAP3-18タンパク質における推定の非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同じ側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基で置換される。または、もう一つの態様において、突然変異は、飽和突然変異誘発によるような、GTRAP3-18コード配列の全部または一部に沿ってランダムに導入でき、その結果として生じた突然変異体は、活性を保持する突然変異体を同定するためにGTRAP3-18生物活性についてスクリーニングできる。SEQ ID NO:1の突然変異誘発後、コードされたタンパク質は、組換え技術により発現させることができ、タンパク質の活性は、本明細書に記載されたアッセイを用いて測定できる。
他の態様において、本発明の方法に用いられたオリゴヌクレオチドは、ペプチド(例えば、インビボで宿主細胞受容体を標的にするための)、または細胞膜(例えば、
を参照)もしくは血液脳関門(例えば、PCT公開No. WO 89/10134を参照)を通過する輸送を促進する作用物質のような他の付属群を含みうる。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘発型切断剤(例えば、Krol et al. (1988) Biotechniques 6:958-976を参照)または挿入剤(例えば、Zon (1988) Pharm. Res. 5:539-549を参照)で修飾されうる。このために、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発型交差結合剤、輸送剤、またはハイブリダイゼーション誘発型切断剤)と結合されうる。
VI. 本発明の方法に用いられる単離されたGTRAP3-18タンパク質およびGTRAP3-18標的分子
本発明の方法は、単離されたGTRAP3-18タンパク質およびGTRAP3-18標的分子、ならびにそれらの生物活性のある部分、加えて抗GTRAP3-18および抗GTRAP3-18標的分子抗体を産生しうる免疫原としての使用に適したポリペプチド断片の使用を含む。一つの態様において、天然GTRAP3-18およびGTRAP3-18標的分子タンパク質は、標準的タンパク質精製技術を用いる適切な精製スキームにより細胞または組織源から単離できる。もう一つの態様において、GTRAP3-18タンパク質およびGTRAP3-18標的分子は、組換えDNA技術により産生される。組換え発現に代わるものとして、GTRAP3-18タンパク質もしくはポリペプチドまたはGTRAP3-18標的分子は、標準的ペプチド合成技術を用いて化学的に合成されうる。
本明細書に用いられる場合、GTRAP3-18タンパク質の「生物活性のある部分」は、GTRAP3-18活性をもつGTRAP3-18タンパク質の断片を含む。GTRAP3-18タンパク質の生物活性のある部分は、GTRAP3-18タンパク質のアミノ酸配列、例えば、SEQ ID NO:2に示されたアミノ酸配列と十分に一致した、または由来である、アミノ酸配列を含むペプチドであって、完全長GTRAP3-18タンパク質より少ないアミノ酸を含み、かつGTRAP3-18タンパク質の少なくとも1つの活性を示すペプチドを含む。典型的には、生物活性のある部分は、GTRAP3-18タンパク質の少なくとも1つの活性をもつドメインまたはモチーフを含む。GTRAP3-18タンパク質の生物活性のある部分は、例えば長さが25個、50個、75個、100個、125個、150個、175個またはそれ以上のアミノ酸であるポリペプチドでありうる。GTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子の生物活性のある部分は、GTRAP3-18活性を調節する作用物質を開発するための標的として用いることができる。
好ましい態様において、本発明の方法に用いられるGTRAP3-18タンパク質は、SEQ ID NO:2に示されたアミノ酸配列を有する。他の態様において、GTRAP3-18タンパク質は、SEQ ID NO:2と実質的に同一であり、かつSEQ ID NO:2のタンパク質の機能活性を保持するが、上のサブセクションVに詳細に記載されているように、天然の対立遺伝子変異または突然変異誘発によりアミノ酸配列において異なる。従って、もう一つの態様において、本発明の方法に用いられるGTRAP3-18タンパク質は、SEQ ID NO:2と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%またはそれ以上、同一であるアミノ酸配列を含むタンパク質である。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性の割合を測定するために、最適な比較を目的として配列を整列させる(例えば、最適なアラインメントのために第一および第二アミノ酸配列もしくは核酸配列の一方または両方にギャップが導入でき、同一でない配列は、比較を目的として無視されうる)。好ましい態様において、比較を目的として整列された参照配列の長さは、参照配列の少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、よりいっそう好ましくは少なくとも60%、およびよりいっそう好ましくは70%、80%または90%である(例えば、第二配列を100個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列に整列させる場合、少なくとも30個、好ましくは少なくとも40個、より好ましくは少なくとも50個、よりいっそう好ましくは少なくとも60個、およびよりいっそう好ましくは少なくとも70個、80個、90個またはそれ以上のアミノ酸残基が整列される)。対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドがその後、比較される。第一配列における位置が、第二配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占有されている場合、分子は、その位置において同一である(本明細書に用いられる場合、アミノ酸または核酸「同一性」は、アミノ酸または核酸「相同性」と等価である)。2つの配列間の同一性の割合は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要がある、ギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れて、配列により共有された同一の位置の数の関数である。
配列の比較および2つの配列間の同一性の割合の測定は、数学的アルゴリズムを用いて達成されうる。好ましい態様において、2つのアミノ酸配列間の同一性の割合は、Blosum 62マトリックスかまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびに16、14、12、10、8、6または4のギャップウェイト(gap weight)および1、2、3、4、5または6の長さのウェイト(length weight)を用いる、GCGソフトウェアパッケージ(the Genetics Computer Groupによりオンラインで入手可能)におけるGAPプログラムへ組み込まれたニードルマンとブンシュ(the Needleman and Wunsch)(J. Mol. Biol. 48:444-453 (1970))のアルゴリズムを用いて測定される。さらにもう一つの好ましい態様において、2つのヌクレオチド配列間の同一性の割合は、NWSgapdna.CMPマトリックスならびに40、50、60、70または80のギャップウェイトおよび1、2、3、4、5または6の長さのウェイトを用いる、GCGソフトウェアパッケージ(the Genetics Computer Groupによりオンラインで入手可能)におけるGAPプログラムを用いて測定される。もう一つの態様において、2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間の同一性の割合は、PAM120ウェイト残基表、12のギャップ長ペナルティ(gap length penalty)および4のギャップペナルティ(gap penalty)を用いる、ALIGNプログラム(バージョン2.0または2.0U)へ組み込まれたMeyers, E.とMiller, W. (Comput. Appl. Biosci. 4:11-17 (1988))のアルゴリズムを用いて測定される。
本発明の方法はまた、GTRAP3-18およびGTRAP3-18標的分子のキメラまたは融合タンパク質を用いうる。本明細書に記載される場合、GTRAP3-18「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非GTRAP3-18ポリペプチドに実施可能に連結されたGTRAP3-18ポリペプチドを含む。「GTRAP3-18ポリペプチド」は、GTRAP3-18分子に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指すが、「非GTRAP3-18ポリペプチド」は、GTRAP3-18タンパク質と実質的に相同ではないタンパク質、例えば、GTRAP3-18タンパク質とは異なり、かつ同じまたは異なる生物体由来であるタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。GTRAP3-18融合タンパク質内のGTRAP3-18ポリペプチドは、GTRAP3-18タンパク質の全部または一部に相当しうる。好ましい態様において、GTRAP3-18融合タンパク質は、GTRAP3-18タンパク質の少なくとも1つの生物活性のある部分を含む。もう一つの好ましい態様において、GTRAP3-18融合タンパク質は、GTRAP3-18タンパク質の少なくとも2つの生物活性のある部分を含む。融合タンパク質内において、「実施可能に連結された」という用語は、GTRAP3-18ポリペプチドおよび非GTRAP3-18ポリペプチドがお互いにインフレームで融合されていることを示すように意図される。非GTRAP3-18ポリペプチドは、GTRAP3-18ポリペプチドのN末端またはC末端に融合されうる。
例えば、一つの態様において、融合タンパク質は、GTRAP3-18配列がGST配列のC末端に融合されているGST-GTRAP3-18融合タンパク質である。そのような融合タンパク質は、組換えGTRAP3-18の精製を容易にすることができる。
もう一つの態様において、融合タンパク質は、そのN末端に異種性シグナル配列を含むタンパク質である。ある特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において、タンパク質の発現および/または分泌は、異種性シグナル配列の使用を通して増加しうる。
さらに、本発明の方法に用いられるGTRAP3-18融合タンパク質は、被検体において抗GTRAP3-18抗体を産生しうる免疫原として、GTRAP3-18リガンドを精製するために、およびGTRAP3-18のGTRAP3-18標的分子との相互作用を阻害する分子を同定するスクリーニングアッセイにおいて、用いることができる。
好ましくは、本発明の方法に用いられるキメラまたは融合タンパク質は、標準的組換えDNA技術により作製される。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNA断片は、例えば、ライゲーションのために平滑末端またはねじれ型(stagger-ended)末端を用いること、適切な末端を供給するための制限酵素消化、それぞれに見合った付着末端の穴埋め、望ましくない連結を避けるためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的ライゲーションによる、通常の技術に従ってインフレームで合わせてライゲーションされる。もう一つの態様において融合遺伝子は、自動化DNAシンセサイザーを含む通常の技術により合成されうる。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅は、その後、キメラ遺伝子配列を生じるようにアニールかつ再増幅できる2つの連続した遺伝子断片間に相補的なオーバーハングを生じさせるアンカープライマーを用いて行うことができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, eds. Ausubel et al., John Wiley & Sons: 1992を参照)。さらに、すでに融合部分(例えば、GSTポリペプチド)をコードする多くの発現ベクターが商業的に入手可能である。GTRAP3-18またはGTRAP3-18標的分子コード化核酸は、融合部分がGTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子にインフレームで連結されるように、そのような発現ベクターへクローニングできる。
本発明はまた、GTRAP3-18アゴニスト(模倣体)として、もしくはGTRAP3-18アンタゴニストとしてのいずれかで機能する、GTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子の変異体の使用に関する。GTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子の変異体は、突然変異誘発、例えば、GTRAP3-18タンパク質もしくはGTRAP3-18標的分子の別々の点突然変異または切断により作製できる。GTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子のアゴニストは、実質的に、そのタンパク質の天然に存在する型の生物活性と同じもの、またはサブセットを保持することができる。タンパク質のアンタゴニストは、例えば、GTRAP3-18タンパク質のGTRAP3-18媒介型活性を競合的に調節することにより、そのタンパク質の天然に存在する型の活性の1つまたは複数を阻害することができる。このように、特定の生物学的効果は、限定的機能の変異体での処置により誘発されうる。一つの態様において、そのタンパク質の天然に存在する型の生物活性のサブセットをもつ変異体での被検体の治療は、GTRAP3-18タンパク質またはGTRAP3-18標的分子の天然に存在する型での治療と比べて被検体への副作用がより少ない。
一つの態様において、GTRAP3-18アゴニスト(模倣体)として、またはGTRAP3-18アンタゴニストとしてのいずれかで機能するGTRAP3-18タンパク質の変異体は、GTRAP3-18タンパク質アゴニストまたはアンタゴニスト活性について、GTRAP3-18タンパク質の突然変異体、例えば切断型突然変異体(truncation mutants)の組み合わせのライブラリーをスクリーニングすることにより同定されうる。一つの態様において、GTRAP3-18変異体の多様なライブラリーは、核酸レベルでコンビナトリアル・突然変異誘発により作製され、多様な遺伝子ライブラリーによりコードされる。GTRAP3-18変異体の多様なライブラリーは、例えば潜在的なGTRAP3-18配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして、あるいはGTRAP3-18配列のセットを含むより大きな融合タンパク質のセット(例えば、ファージディスプレイについて)として、発現可能であるように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列へ酵素的にライゲーションすることにより作製されうる。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的なGTRAP3-18変異体のライブラリーを作製するために用いることができる様々な方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動化DNAシンセサイザーで行われ、合成遺伝子はその後、適切な発現ベクターへライゲーションされうる。遺伝子の縮重セットの使用は、潜在的なGTRAP3-18配列の望ましいセットをコードする配列のすべての供給を、1つの混合物において可能にする。縮重オリゴヌクレオチドを合成するための方法は、当技術分野において知られている(例えば、Narang, S. A. (1983) Tetrahedron 39:3; Itakura et al. (1984) Annu. Rev. Biochem. 53:323; Itakura et al. (1984) Science 198:1056; Ike et al. (1983) Nucleic Acids Res. 11:477を参照)。
さらに、GTRAP3-18タンパク質コード配列の断片のライブラリーは、スクリーニングおよびその後のGTRAP3-18タンパク質の変異体を選択するためのGTRAP3-18断片の多様な集団を作製するために用いることができる。一つの態様において、コード配列断片のライブラリーは、分子あたり約1回のみニッキングが生じる条件下においてヌクレアーゼでGTRAP3-18コード配列の二本鎖PCR断片を処理し、二本鎖DNAを変性し、異なるニック産物由来のセンス/アンチセンス対を含みうる二本鎖DNAを形成するようにDNAを再生し、S1ヌクレアーゼでの処理により再形成された二重鎖から一本鎖部分を除去し、その結果生じた断片ライブラリーを発現ベクターへライゲーションすることにより作製されうる。この方法により、様々なサイズのGTRAP3-18タンパク質のN末端、C末端および内部断片をコードする発現ライブラリーが引き出されうる。
点突然変異または切断により作製されるコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための、および選択された性質をもつ遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするための、いくつかの技術が当技術分野において知られている。そのような技術は、GTRAP3-18タンパク質のコンビナトリアル突然変異誘発により作製された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適応できる。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く用いられている技術は、高処理量解析を受け入れられるものだが、典型的には、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターへクローニングする段階、その結果生じたベクターのライブラリーで適切な細胞を形質転換する段階、および望ましい活性の検出が、産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を容易にする条件下でコンビナトリアル遺伝子を発現させる段階を含む。再帰的アンサンブル突然変異誘発(recursive ensemble mutagenesis; REM)、ライブラリーにおいて機能しうる突然変異体の頻度を高める新しい技術は、GTRAP3-18変異体を同定するスクリーニングアッセイと組み合わせて用いることができる(Arkin and Youvan (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7811-7815; Delagrave et al. (1993) Prot. Eng. 6(3):327-331)。
本発明の方法はさらに、抗GTRAP3-18抗体および抗GTRAP3-18標的分子抗体の使用を含む。単離されたGTRAP3-18タンパク質もしくは標的分子、またはそれらの部分もしくは断片は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製のための標準的技術を用いてGTRAP3-18を結合する抗体を作製しうる免疫原として用いることができる。完全長タンパク質、あるいはそのタンパク質の抗原性ペプチド断片が、免疫原として用いることができる。GTRAP3-18の抗原性ペプチドは、SEQ ID NO:2に示されたアミノ酸配列の少なくとも8個のアミノ酸残基を含み、かつペプチドに対して産生された抗体がGTRAP3-18タンパク質と特異的な免疫複合体を形成するようにGTRAP3-18のエピトープを含む。好ましくは抗原性ペプチドは、少なくとも10個のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも15個のアミノ酸残基、よりいっそう好ましくは少なくとも20個のアミノ酸残基、および最も好ましくは少なくとも30個のアミノ酸残基を含む。
抗原性ペプチドに含まれる好ましいエピトープは、タンパク質の表面上に位置するGTRAP3-18の領域、例えば、親水性領域、および高抗原性をもつ領域である。
GTRAP3-18免疫原は、典型的には、適した被検体(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)を免疫原で免疫化することにより抗体を調製するために用いられる。適切な免疫原の調製は、例えば、組換え技術により発現されたGTRAP3-18タンパク質または化学合成されたGTRAP3-18ポリペプチドを含みうる。調製物はさらに、フロイントの完全もしくは不完全アジュバントのようなアジュバント、または類似した免疫賦活剤を含みうる。適した被検体の免疫原性GTRAP3-18調製物で免疫化することで、ポリクローナルの抗GTRAP3-18抗体応答を誘導する。
本明細書に用いられる場合、「抗体」という用語は免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的活性のある部分、すなわち、GTRAP3-18のような抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子を指す。免疫グロブリン分子の免疫学的活性のある部分の例は、抗体をペプシンのような酵素で処理することにより生じうるF(ab)およびF(ab')2断片を含む。本発明は、GTRAP3-18分子と結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体を提供する。「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、本明細書に用いられる場合、GTRAP3-18の特定のエピトープと免疫反応する能力がある抗原結合部位のたった1種だけを含む抗体分子の集団を指す。モノクローナル抗体組成物はこのように、典型的には、それが免疫反応する特定のGTRAP3-18タンパク質に対して単一の結合親和力を示す。
ポリクローナル抗GTRAP3-18抗体は、適した被検体をGTRAP3-18免疫原で免疫化することにより上記のように調製されうる。免疫化された被検体における抗GTRAP3-18抗体力価は、固定化GTRAP3-18を用いる酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のような標準的技術により長い期間をかけてモニターされうる。必要な場合には、GTRAP3-18に対して作製される抗体分子は、哺乳動物から(例えば、血液から)単離され、さらに、IgG画分を得ることができるプロテインAクロマトグラフィーのような周知の技術により精製されうる。免疫後の適当な時間において、例えば、抗GTRAP3-18抗体力価が最高である時、抗体産生細胞は被検体から得られ、Kohler and Milstein (1975) Nature 256:495-497により最初に記載されたハイブリドーマ技術(Brown et al. (1981) J. Immunol. 127:539-46; Brown et al. (1980) J. Biol. Chem. 255:4980-83; Yeh et al. (1976) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:2927-31;およびYeh et al. (1982) Int. J. Cancer 29:269-75も参照)、より最近のヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al. (1983) Immunol. Today 4:72)、EBVハイブリドーマ技術(Cole et al. (1985) Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)またはトリオーマ技術のような標準的技術によりモノクローナル抗体を調製するために用いることができる。モノクローナル抗体ハイブリドーマを作製するための技術は周知である(一般的に、
を参照されたい)。簡単に述べると、不死の細胞系(典型的にはミエローマ)が、上記のようにGTRAP3-18免疫原で免疫化された哺乳動物由来のリンパ球(典型的には、脾細胞)に融合し、その結果生じたハイブリドーマ細胞の培養上清が、GTRAP3-18と結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定するためにスクリーニングされる。
リンパ球および不死化細胞系を融合させるために用いられる多くの周知のプロトコールのいずれも、抗GTRAP3-18モノクローナル抗体を作製する目的のために適用されうる(例えば、Galfre, G. et al. (1977) Nature 266:55052; Gefter et al. (1977) 前記; Lerner (1981) 前記;およびKenneth (1980) 前記)。さらに、有用であると思われるそのような方法の多くの変形物もあることを当業者は認識しているものと思われる。典型的には、不死化細胞(例えば、ミエローマ細胞系)は、リンパ球と同じ哺乳動物種由来である。例えば、マウスハイブリドーマは、本発明の免疫原性調製物で免疫化されたマウス由来のリンパ球を不死化マウス細胞系と融合させることにより作製されうる。好ましい不死化細胞系は、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培地(「HAT培地」)に感受性があるマウスミエローマ細胞系である。多数のミエローマ細胞系のいずれも、標準的技術による融合パートナーとして用いることができ、例えば、P3-NS1/1-Ag4-1、P3-x63-Ag8.653またはSp2/O-Ag14ミエローマ系である。これらのミエローマ系は、ATCCから入手可能である。典型的には、HAT感受性マウスミエローマ細胞は、ポリエチレングリコール(「PEG」)を用いてマウス脾細胞に融合する。融合から生じたハイブリドーマ細胞はその後、融合していない、および非生産的に融合したミエローマ細胞を死滅させるHAT培地を用いて選択される(融合していない脾細胞は形質転換されていないため、数日後に死ぬ)。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例えば、標準的ELISAアッセイを用いて、GTRAP3-18と結合する抗体についてハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることにより、検出される。
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製する代わりとして、GTRAP3-18に関する組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)をスクリーニングし、GTRAP3-18と結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離することにより、モノクローナル抗GTRAP3-18抗体を同定および単離できる。ファージディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングするためのキットは、商業的に入手可能である(例えば、ファルマシア組換えファージ抗体システム(Pharmacia Recombinant Phage Antibody System)、カタログ番号27-9400-01;およびストラテジーンSurfZAP.TM.ファージディスプレイキット(Stratagene SurfZAP.TM.Phage Display Kit)、カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングする上での使用に特に受け入れられる方法ならびに試薬の例は、例えば以下に見出されうる:
さらに、キメラ、ならびにヒト部分および非ヒト部分の両方を含むヒト化モノクローナル抗体のような組換え抗GTRAP3-18抗体は、標準的組換えDNA技術を用いて作製できるが、本発明の方法の範囲内である。そのようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の組換えDNA技術により、例えば、以下にに記載された方法を用いて作製できる:
抗GTRAP3-18抗体は、GTRAP3-18タンパク質の発現の存在量およびパターンを評価するためにGTRAP3-18タンパク質(例えば、細胞可溶化物または細胞上清)を検出するのに用いることができる。抗GTRAP3-18抗体は、例えば、所定の治療計画の効力を測定するための、臨床試験手順の一環として組織でのタンパク質レベルをモニターするために診断的に用いることができる。検出は、抗体を検出可能な物質と結合させる(すなわち、物理的に連結する)ことにより容易になりうる。検出可能な物質の例は、様々な酵素、配合団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質を含む。適した酵素の例は、西洋ワサビのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼを含む;適した配合団複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含む;適した蛍光物質の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンを含む;発光物質の例は、ルミノールを含む;生物発光物質の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンを含み、適した放射性物質の例は、125I、131I、35Sまたは3Hを含む。
本発明は、さらに、限定すると解釈されるべきではない以下の実施例により例証される。本出願を通して引用されたすべての参照文献、特許および公開された特許出願の内容、加えて配列一覧表および図面は、参照として本明細書に組み入れられる。
実施例
実施例1:GTRAP3-18によるグリコシル化の調節
方法
抗体
EAAC1、GLT-1、EAAT4のC末端領域およびGLASTのN末端領域に対応する合成ペプチドは、抗血清を作製するために用いられ、以前に特徴付けられている(Rothstein, J. et al. (1994) Neuron 13:713-725)。ウサギポリクローナル抗GTRAP3-18抗体は、タンパク質配列のN末端およびC末端由来のペプチド配列に対して産生された。それぞれについての抗血清は、BSA結合ペプチドをAffi-Gel 15(Bio-Rad, Hercules, CA)(Harlow and Lane, 1988)と結合させることにより調製されたカラム上でアフィニティー精製された。抗HAモノクローナル抗体は、BAbCoから入手した。
EAAC1/rEAAT3およびGTRAP3-18のサブクローニング、ならびにHEK-293T細胞のトランスフェクション
真核生物発現ベクターpcDNA3およびpRK5を、哺乳動物細胞系HEK 293TにおけるcDNAの発現のために用いた。完全長EAAC1 cDNAをpcDNA3ベクターのNotI部位、EcoRI部位へ、またはrEAAT3-myc融合体を作製するためにmyc-PRK5のNotIフレームへサブクローニングした。GTRAP3-18を、Sal/Not部位を用いてPRK5へHA配列タグとインフレームでクローニングした。EAAT4 cDNAを、EcoR I制限酵素切断部位を用いてpcDNA3.1/Hygro(+)(Invitrogen)へサブクローニングした。HEK 293T細胞を、製造会社により指示されたとおりに、FuGene(Boehringer Mannheim, Ridgefield, CT)トランスフェクション試薬を用いてトランスフェクトした。
Na+依存性グルタミン酸輸送活性の測定
トランスフェクション研究のために、pcDNA3.1またはPRK5でトランスフェクションされたHEK細胞を、10%ウシ胎児血清およびL-グルタミンを追加したMEMにおいて6ウェルプレート上の単層で増殖させた。アッセイは、以前に記載された方法(Davis, K.E., et al. (1988) J. Neurosci 18:2475-2485)を用いて、トランスフェクションの48時間後に行われた。試料は、10 μM 冷グルタミン酸を用いて、それぞれについてNa+クレブス緩衝液対照と共に3連で行われ、断りのない限り、2 μCi 3H グルタミン酸が添加された。ブラッドフォードタンパク質アッセイ(Bradford Protein Assay)(Pierce,Rockford, IL)により測定された場合、試料からのCPMまたはDPMにおける得られる値は、Na+クレブス緩衝液対照において測定した場合のバックグラウンド取り込み量から引き算され、ウェルにおける総タンパク質のレベルについて標準化した。
膜不透過性ビオチン化による表面標識
ビオチン化は、Duan, S. et al. ((1993) J. Neurosci 19:10193-10200)に記載されているものにいくらかの改変を加えて行われた。全細胞、細胞内上清および膜の画分のアリコートをウェスタン分析のために調製した。SOD1またはアクチンを、総タンパク質について対照とするために、およびビオチン化試薬が細胞内区画におけるタンパク質を標識するかどうかを測定するために用いた。可視化されたバンドを、VersaDocソフトウェア(Bio-Rad)を用いて解析した。
酵素的脱グリコシル化
エンドHおよびPNGアーゼをNew England Biolabs(Beverly, MA)から購入した。ビオチン化後の細胞可溶化物を、溶解緩衝液において2 U/μLの各酵素と穏やかに振盪しながら、37℃で12時間、消化した。溶解緩衝液は、100 mM トリス pH 7.4、150 mM NaCl、1 mM EDTA、1% トリトンX-100、0.1% SDSおよびプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche, Basel, Switzerland)からなり、PNGアーゼ消化に先立ちNP-40を1%まで添加した。消化されていない試料を、対照としてインキュベーションに含めた。その後、ビオチン化アッセイを上記のように完了した。
統計
統計学的差を、2群比較についてのスチューデントt検定により決定した。
結果
図4A〜4Dは、HEK 293T細胞におけるNa+依存性L-[3H]-グルタミン酸取り込みの減少へとつながる、相互作用するタンパク質GTRAP3-18の、神経細胞のトランスポーターrEAAT3、rEAAT4、またはアストロサイトのトランスポーターrEAAT1、rEAAT2との共発現の結果を示す。図4Aおよび4Bは、細胞系についてバックグラウンド補正後、等しいトランスフェクション比率でのHEK 293T細胞におけるrEAAT3/EAAC1およびGTRAP3-18の同時トランスフェクションが、EAAC1 Na+依存性L-[3H]-グルタミン酸取り込みを約20%低減させるという結果を示している。輸送における減少は、GTRAP3-18 cDNAに対するEAAC1のトランスフェクション比率を増加させることにより対照EAAC1発現のより高い割合につながりうる。rEAAT4およびGTRAP3-18の同時トランスフェクションは、輸送に同様の効果を生じた。図4Cおよび4D:グリアのトランスポーターrEAAT1およびrEAAT2への分析の拡大もまた、HEK 293T細胞におけるトランスフェクション後のNa+依存性L-[3H]-グルタミン酸取り込みの有意な減少を示した。これらのトランスポーターは、より高い基礎取り込み活性をもち、40 μM 総グルタミン酸で測定された。データは、少なくとも4つの独立した観察の平均±SEMであり、スチューデントt検定により比較され(**p<0.005)、誤差バーが示されている。
図5は、rEAAT3および他のrEAATの電気移動度におけるシフトを引き起こしている、GTRAP3-18のrEAAT3/EAAC1との共発現の結果を示す。GTRAP3-18共発現後、EAAC1の発現パターンに顕著な変化があり、共発現後、見かけの分子における10 kDの減少として見られた。表面タンパク質標識は、電気移動度パターンにおけるこの変化が、膜表面と細胞内輸送区画の間でのトランスポーターの細胞分布にも影響を及ぼすかどうかを測定するために用いられた。ビオチンは、HEK 293T細胞上の表面タンパク質を標識するために用いられ、細胞可溶化物は、アビジン結合型セファロースカラムで精製された。3つのレーンが示されている:全細胞、細胞内部分、および標識された膜タンパク質。rEAAT3は主に、全細胞および膜調製物に見られる。複数のバンドは、トランスポーターの二量体化状態を表す。最後の3レーンは、HA-GTRAP3-18発現についての対照である。
図6A〜6Bは、GTRAP3-18との共発現後のrEAAT3/EAAC1電気移動度におけるシフトを示し、それはPNGアーゼFでの消化により模倣できる。この結果は、rEAAT1〜4について再現可能である。図6A:HEK 293T細胞を、EAAC1またはEAAC1およびGTRAP3-18のいずれかでトランスフェクションした。細胞を、48時間後に回収し、ビオチンで標識した。細胞溶解物を2連の試料として調製し、脱グリコシル化酵素PNGアーゼFおよび/またはエンドHの添加有りまたは無しで、12時間、インキュベートした。上清を、ビオチン標識タンパク質を単離するために、固定化単量体アビジンビーズとインキュベートした。ウェスタンブロットを、膜画分の細胞内混入についてのマーカーとしてC-EAAC1ポリクローナル抗体およびアクチンモノクローナル抗体とインキュベートした。GTRAP3-18の発現をHAモノクローナル抗体で可視化した。PNGアーゼFおよびエンドHでの消化の効果と、GTRAP3-18のEAAC1との共発現の効果との比較は、その結果がウェスタン免疫反応性において同じ再現可能なシフトであることを示している。共発現された可溶化物の消化は、EAAC1の見かけの分子量において少しのさらなる変化も引き起こさなかった。このデータは、GTRAP3-18をEAAC1グリコシル化のモジュレーターとして関係づける。この実験はまた、他のEAATについても繰り返された。図6B:トランスポーターN結合型オリゴ糖は、複合オリゴ糖を形成するようにゴルジにおいて完了まで処理される。それゆえに、それらは、高マンノース特異的エンドグリコシダーゼHで切断されえない。PNGアーゼF切断されたトランスポーターの分子量は、GTRAP3-18と共発現されたトランスポーターと同じである。
図7は、HEK 293細胞におけるEAAC1およびGTRAP3-18の局在を示す。EAAC1は、モノクローナルmycおよび抗マウステキサスレッド(Texas Red)(Vector)により標識された場合、細胞内に見られ、また、膜表面上に斑点としても発現されうる。GTRAP3-18は、細胞中に網状ネットワークとして現れ、細胞表面上に形成された斑点上ではないEAAC1とだけ共局在する。HA-GTRAP3-18は、ポリクローナルHA(BAbCo)および抗ウサギFITC(Vector)により標識された。免疫蛍光写真は、Zeiss LSM 510共焦点を用いてスタックZシリーズとして撮られた。
上で示された結果は、以下の結論を導く:GTRAP3-18は、グルタミン酸トランスポータータンパク質のグリコシル化を調節するように作用する;GTRAP3-18は、酵母二重ハイブリッド法により発見されたEAATファミリーの相互作用タンパク質である;GTRAP3-18は、共発現されたrEAAT3、rEAAT4、およびrEAAT1、rEAAT2(rEAATs)の活性を実質的に低下させることができる;GTRAP3-18は、HEK 293細胞における共発現後のrEAATの見かけの分子量を変化させる。電気移動度の減少は、PNGアーゼFを用いるN結合型オリゴ糖の切断を通して再現される;およびGTRAP3-18は、小胞体と相互作用する網状タンパク質であるように見える。
本発明は、その好ましい態様に関して詳細に記載される。しかしながら、当業者が、この開示を考慮すれば、特許請求の範囲に示されているような本発明の真意および範囲内で改変および改良をなしうることは、認識されているものと思われる。