JP2006525462A - ファンの運転延長 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ファンの運転を制御する機構に関するものであり、ファンの所要運転時間を計算するために、エンジンへのエネルギー投入量を考慮する機構に関する。ファンの所要運転時間は、ファンの特性が既知であれば、エンジンのスイッチが切られる前の時間におけるエンジンへのエネルギー投入量の測定量の積分値と、エンジンの現時点の運転データ及び周囲環境データとから計算することができる。さらに、エンジンへのエネルギー投入量と冷却系の冷却性能とを、エンジンのスイッチが切られる前の特定の時間にわたって比較することによって、ファンの運転の要否を予測することができる。エンジンのスイッチが切られる前に、エンジンへのエネルギー投入量が系の冷却性能よりも遥かに大きい場合は、補足的なファンの運転が必ず必要である。逆の場合は、ファンを運転する必要がないかもしれないし、あるいは、ファンの運転時間を周知のシステムにおけるよりも大幅に短縮することができる。
Description
本発明はファンモータの制御方法及び制御装置に関する。ファンモータは主として自動車の冷却系に用いられる。エンジンのスイッチを切った後のファンの適正な運転時間を決定し得るようにするために、エンジンへのエネルギー投入量が記録される。エンジンが切られる直前のエネルギー投入量とファンの特定の特性値とを用いて、エンジンの事後のオーバーヒートを避けるために必要なファンの運転時間が計算される。
自動車のファンモータの運転制御は古くから知られている。これまでに開示されている運転制御は、温度又は時間のいずれかの関数として作動する。温度による運転制御の場合は、温度センサーがエンジン冷却液温度の監視に用いられ、その温度が限界温度を超えていれば、ファンモータの運転制御が作動し、電気式の冷却液ポンプを備えた冷却液循環回路が運転される。時間による運転制御はタイマー要素によって作動する。この場合、タイマー要素がファンの運転の長さを決定する。
特許文献1がこれまでに開示された従来技術を包括的に概観している。特許文献1は、電気駆動されるファンと運転制御とを備えた冷却系を述べているが、この場合の運転制御は温度又は時間のいずれかの関数として作動する。冷却系は、電気駆動される第2の冷却液ポンプを備えており、この冷却液ポンプは、運転制御によって同様に制御され、運転制御の作動中冷却液の流れを維持する。
ファンモータの周知の運転制御は、実際の負荷状況には関係なく、従って又エンジンのどのようなオーバーヒートの可能性にも関係なく自動的に作動するという欠点を有している。すなわち、エンジンのオーバーヒートが全くあり得ないような場合にも作動する。時間によるファンの運転制御は常に必ず作動するし、温度によるファンの運転制御は、例えば、高い外気温度のために冷却液の温度が高くなった場合でも作動することがある。
逆に、例えば、エンジンのスイッチを切る直前にエンジンが全負荷範囲において運転された場合には、ファン運転の温度センサーにおける温度上昇によってエンジンのオーバーヒートが感知されるまでには、数分を要する可能性がある。ファンの運転制御が作動する前のこの時間的遅延は、温度に敏感な自動車のマイクロエレクトロニクス部品にはすでに遅すぎると言える。
従って、本発明の目標は、不必要なファンの運転時間を回避し、他方では、温度上昇の遅れの危険性を検知して、温度上昇を防止する措置を即座に発動するようなファンの運転制御を開発することにある。
この目標は、独立請求項である請求項1による方法と、請求項10による装置とによって達成される。さらに好ましい本発明の実施例が、従属請求項と例示する実施形態とに含まれる。
この目標は、ファンの所要運転時間を算出するためにエンジンへのエネルギー投入量を考慮に入れたファンの運転制御によって達成される。ファンの特性が既知であれば、ファンの所要運転時間を、エンジンのスイッチが切られる前にエンジンに投入されたエネルギー量の積分値と、現時点の運転データと、エンジンの周囲環境のデータとから計算することが可能である。さらに、エンジンのスイッチが切られる前の特定の時間間隔におけるエンジンへのエネルギー投入量と冷却系の冷却性能とを比較することによって、ファンの運転の要否を予測することが可能である。エンジンのスイッチが切られる前に、現在運転されている冷却系の冷却性能よりも遥かに多くのエネルギー量がエンジンに投入されたときは、エンジンのスイッチが切られた後のさらなる加熱が生じる危険性が存在する。逆の場合は、ファンを運転する必要がない場合が多いであろうし、あるいは、ファンの運転時間を周知のシステムにおけるよりも大幅に短縮することができる。
本発明は、基本的に次のような利点を有している。すなわち、本発明によれば、ファンの運転時間を、エンジンのスイッチが切られる直前のエンジンの負荷状況に最適に適合させることができる。これによって、不必要なファンの運転時間が回避され、かつ、冷却系の熱的な慣性のためにある程度遅れて漸く感知されるような、事後のさらなる加熱の同様の影響を適時に予測することが可能になり、その結果、ファンの運転時間を増大させることによってオーバーヒートに即座に対応することができるようになる。
本発明の有利な実施形態においては、エンジンへのエネルギーの投入量が、燃焼シリンダーの体積効率の尺度としての空気量とエンジン回転数とを用いて決定される。この実施形態は、体積効率とエンジン回転数との必要な測定値を既存のエンジン制御装置から得ることができるという長所を有している。燃焼シリンダーの体積効率とエンジン回転数とを測定する周知のエンジン制御装置には、例えば、ボッシュ(Bosch)社が製造している電子式エンジン制御装置がある。このシステムは「モトロニック(Motronic)」の名称で市販されており、利用されている。このシステムは、例えば、「自動車ハンドブック」(Automotive Handbook)−第23回改訂版、ボッシュ(Bosch)社編集、ブラウンシュバイグ:フィーヴェーク(Braunschweig:Vieweg)社発行、1999年の498−507頁に説明されている。エネルギー投入量を計算するための他の代替運転データは、発生トルク、発生出力、あるいは、特にディーゼルエンジンの場合は使用燃料噴射量である。これらの代替運転データも、同様に、エンジン制御装置から供給される。
本発明のさらに有利な実施形態においては、空気量/エンジン回転数によるエンジン固有の温度特性マップが、試験車両による路上試験におけるエンジン制御装置の信号から決定される。この典型的な実施形態においては、量産される同一車両の場合に、この空気量/エンジン回転数によるエンジン固有の温度特性マップを、1回だけは代表的な試験車両によって定めなければならないが、試験車両と同じ型式及び仕様のその後のすべての量産車両に、この空気量/エンジン回転数によるエンジン固有の温度特性マップを用いることができるという利点がある。この空気量/エンジン回転数によるエンジン固有の温度特性マップを、以後の、各個別の量産車両におけるファンの運転時間の決定に使用することができる。
本発明のさらに有利な実施形態においては、ファンの運転時間の長さが、空気量/エンジン回転数による温度特性マップにおける臨界参照値を超えるエンジンへのエネルギー投入量の時間積分によって計算される。時間積分することによって、可能性のある事後のさらなる加熱になんら重要な影響を及ぼさない瞬時的な負荷を平均化することが可能になる。又、同じように実験的に定めなければならない臨界参照値を導入することによって、ファンの運転時間の計算から、ファンの運転を必要としないエンジンの負荷状態を除去することができる。
本発明のさらに有利な実施形態においては、それぞれのエネルギー投入量の時間積分が、予め定められた時間間隔において実行される。この場合、積分の結果は間隔ごとに保存される。記録される積分間隔の数は制限される。例えば、ある任意の時刻に、それぞれ1分間の5つの積分間隔が最後の5分間について記録され保存されるとする。もしエンジンの運転がさらに長い時間継続すると、保存された間隔ごとの積分結果は保存されている最も古いデータに上書きされていく。これは、いかなる任意の時刻においても、エンジンのスイッチが切られる直前の5分間分の負荷状況が記録されるということを意味している。これによって、ファンの運転の計算には不要な過剰なデータ保存を一切省くことができる。
本発明のさらに有利な実施形態においては、空気量/エンジン回転数による温度特性マップが、複数個の低耐熱性部品の一群の特性値を含んでいる。これによって、ファンの運転を1つの低耐熱性部品のみに関連付けるのではなく、複数個の部品の温度をも、ファンの運転時間の計算に組み込むことができる。これは、例えば、自動車のエンジンルームの温度上昇における場所的な不規則性を、ファンの運転時間の計算に考慮することができるという利点を有している。例えば、低耐熱性部品が、エンジンを短時間加熱しただけでは温度上昇しないようなヒートシンクに位置していれば、その構造要素はファンの運転時間の計算に際して無視することができる。
次に、本発明の典型的な実施形態を図面を用いてさらに詳細に説明する。
図1は、6気筒のエンジン1用の代表的な冷却系の概略図である。エンジンに加えて、車両用のラジエータ2及び暖房装置用の熱交換器3が冷却系に組み込まれている。ラジエータの冷却性能は、電気駆動されるファン4によって変えられる。ファンの出力を調節するため、ファンの電気モータが制御ユニット5によって制御される。冷却された冷却液は流れ配管6によって車両ラジエータから引き抜かれ、冷却液ポンプ7によって、燃焼シリンダー9の冷却ダクト(図示省略)に供給するための冷却配管8に送り込まれる。加熱された冷却液は、燃焼シリンダー9から戻り配管10を経由してサーモスタット三方弁11に導かれる。サーモスタット三方弁11の弁の位置に応じて、冷却液は、エンジンから、車両ラジエータに戻るラジエータ戻り配管12又はラジエータバイパス配管13と、冷却液ポンプ7とを経由して、エンジンの冷却配管8に還流される。
この場合、サーモスタット三方弁11の弁の位置に応じて、冷却系は、当分野において知られる様態、すなわちバイパスモード、混合モード、あるいは完全冷却循環の様態で作動することができる。暖房装置の熱交換器3は、温度制御される遮断弁14を介して、エンジンの冷却系の高温側の分岐に接続される。遮断弁14を開とした後に暖房装置の熱交換器を流れる流量は、暖房出力を調節するための付属の電気式冷却液ポンプ15と時間制御される遮断弁16とによって調節することができる。
この場合、エンジン内の冷却液の温度レベルは、制御ユニット5によって、センサー制御されながら調節される。これは、当分野においては周知の方法で、サーモスタット三方弁11の制御弁の作動と、走行風による冷却が十分でない場合は電気式ファン4の作動とによって行われる。
自動車のエンジンにおける上記のセンサー制御冷却系によって、走行中には、満足する性能を得ることができる。エンジンのスイッチを切った後は、もしエンジン内に蓄積された熱が冷却液の停止によって排除されない事態になれば、自動車のエンジンルーム内の温度に敏感な構造要素にとっては厳しい状況が現出することになる。このため、いくつかの冷却器の運転システムがすでにこれまでにも提案されている。これらの冷却器の運転システムは、すでに述べたように、時間又は温度の関数として作動する。この場合、純粋に時間によるシステムにおいては、従来は、通常あまりにも長すぎるファンの運転を用意することが常に必要であった。しかし、温度によるシステムも、又、通常冷却液の温度分布を測定する温度センサーを使用しているので、エンジンの加熱を、相当の時間遅れをもってしか検知することができないという欠点を有していた。この場合の遅れは系の熱慣性に由来するものである。エンジンのスイッチを切った後に遅れて生ずる加熱の影響は、例えば、エンジンが、長時間部分負荷で運転され、エンジンのスイッチを切る前の最後の数分間だけ全負荷に加勢されるような場合に特に大きい。この条件の場合には、温度制御される冷却系はそのまま部分負荷範囲において運転されることになるが、エンジンはスイッチを切られるすぐ前にすでに全出力に加勢されている。その場合、エンジンは、なお排除する必要がある大量の熱を保有している。温度制御による運転システムは、ここに述べたこの状況にも対処しなければならないので、エンジンの局所的なオーバーヒートを避けるために、運転制御を作動開始する温度限界値を非常に低く設定する必要があった。どれだけのエネルギーをなお排除しなければならないかという点を予測する設備は皆目なく、従って、常に、検知される冷却液温度の上昇現象における最悪のケースを想定せざるを得なかった。このことは、又、温度制御による運転制御が、大多数の場合に、過度に頻繁に反応しかつあまりに長い時間作動することを意味している。この点が本発明の出発点になっている。
従って、本発明によれば、制御ユニット5が、ファン4の運転を制御するために、エンジンのスイッチを切るすぐ前の十分な時間にわたってエンジンに投入されたエネルギー量に基づいて、運転時間を計算しそれを利用する。この目的のため、空気量/エンジン回転数によるエンジン固有の温度特性マップが制御ユニット5の中に格納される。エンジンの運転データを監視することによって、例えば、エンジン制御装置からの運転データを読み込むことによって、エンジンへのエネルギー投入量が、空気量/エンジン回転数による温度特性マップから決定され、これからファンの運転時間が得られる。例えば、エンジンへのエネルギー投入量を、エンジンのスイッチを切る前の最後の5分間についてログとして記録することができ、この最後の5分間におけるエネルギー投入量から時間積分を実行することができ、この積分の結果を、実験によって定められるかあるいはモデルに基づいて計算される参照値と比較する。積分結果がこの参照値を超えていると、ファンの運転を作動させなければならない。この場合、ファンを運転するべき時間の長さは、積分値と参照値との差から決定される。これらの運転データは、基本的に、ファンモータの作動特性曲線、周囲外気の温度、及び冷却液の現在温度である。
次いで、これらすべてのデータを用いて、エンジンと冷却系とのエネルギー収支を、熱力学の法則に従って制御ユニット5のマイクロプロセッサで計算することができ、所要の冷却性能、すなわちファンの所要運転時間を、このエネルギー収支から算定することができる。
詳細な計算システムが図2に示されている。この場合、参照される2つの入力変数、すなわちエンジン回転数と空気量とが、エンジンの運転状態を示すデータとして特に重要である。これらの2つの入力変数は、常に更新されているエンジン制御装置17からデジタル信号の形で供給される。エンジン回転数及び空気量は、エンジンに導入されるエネルギーに対する入力変数である。前記にすでに引用したボッシュ(Bosch)社編集の「自動車ハンドブック」(Automotive Handbook)の498−507頁に、エンジン制御装置の概要が適切に紹介されている。ここでは、導入されたエネルギーが、冷却系によって除去されるべきエネルギーの尺度であり、従って所要の冷却性能とファンの所要運転時間との尺度となる。
しかし、ファンの運転時間を決定するには、均衡させるべき外延的変数としてのエネルギーよりも、むしろ決定されるべき内包的変数としてのエンジンの予期温度を選択する方が望ましい。エンジンの温度を目標とした計算モデルは、実際には、路上試験の測定によってより簡単に解析及び改善することができる。内包的な温度変数は同様に、路上試験の測定によって、特定のエンジンにより容易に適合させることができる。このため、エンジンの温度を目標とした計算モデルは、エンジンの異なる変形タイプに対しても適合させることができる。この場合、この適合は、ソフトウェアのプログラムモジュール18によって行われるが、このプログラムモジュール18は、エンジン制御装置17の運転データを用いてエンジンの遅延温度曲線19を計算する。又、プログラムモジュール18においては、エンジンの予期されるべき温度傾向が、運転データつまりエンジン回転数と空気量とから、実験的に定められた計算方程式を用いて計算される。この場合、計算された温度曲線を、プログラムモジュール中の計算方程式におけるパラメータ値を調整することによって、実際に測定された温度曲線に適合させる。エンジン回転数と空気量とは、エンジンを管理するための、即ち、エンジンの予期されるべき温度曲線を計算するための最も重要な2つの入力変数である。この予想温度曲線は、その時点のエンジンの外気条件に合うように、同様にソフトウェアプログラムモジュールの形を取る修正要素20によって調整される。環境条件の中で最も重要な影響変数は、空気温度、吸入空気温度、大気圧及び空気湿度、冷却系の現在の冷却性能、及びエンジンのスロットル弁の位置である。外気条件に対して調整された温度分布は、積分手段23によって、いわゆる移動平均の形で時間積分される。積分手段23を、図3を用いてさらに詳細に説明する。積分手段23からの積分結果は、ファンモータ4を最終的に作動させるための別のプログラムモジュール24によってさらに処理される。この処理のため、プログラムモジュール24は、積分手段23からの積分結果を実験的に定められた参照値22と比較し、ファンの特性曲線25に基づいてファンの所要運転時間を計算する。この場合、参照値22は、実験的に、対象とする車両の特定の変形タイプに対して定められる。参照値は、最も熱に低い構造要素が損傷されないことを確実に保証するように定めなければならない。
図3は、積分手段23の論理フローチャートを示す。ここでは、いわゆる移動平均が計算される。積分手段23は、好ましくは、プログラムモジュールとして、すなわちソフトウェアにおいて実行されるのが好ましい。しかし、別の好ましい実施形態においては、積分手段23を、電子素子を用いた回路構成で実現できる。「移動平均」という用語は、時間的に継続して進行する平均化のプロセスを意味し、平均化が、各場合において、経時的に連続する所定数の部分の平均値によって計算され、その平均値はそれぞれ経時的順序において循環的に再計算され再算定されるような平均化のプロセスを意味すると理解する。例えば、それぞれ1分間にわたって部分平均値が計算され、5個の経時的に連続する部分平均値が用意され、それによって全平均値が計算されるとすると、各時刻に得られる全平均値は、系が作動させられたときの最新の5分間の平均値である。部分平均値を循環的に上書きし、再計算することによって、この平均値は、各時刻において更新され、作動させられている系の最新の5分間に対するものとして調整される。このプロセスを図3に概略表現しているが、それは次のようなものである。
外気条件に合わせて調整された温度分布は、時間積分要素26によって、1分間の時間間隔にわたってその都度積分され、保存される。時間の分割が設定され、循環的なカスケードによって、例えば1分間の時間が経過すると直ちに積分が改めて開始され、各1分間後の積分結果が記憶領域27に記録されるという形で、積分時間間隔からの積分結果が保存される。個別の積分手段に対する時間間隔の長さは、原則的に自由に選定することが可能であって、時定数又は遅れ要素28によって規定される。積分時間間隔からの積分結果の循環的な保存は、循環ループの形のソフトウェアにおいて具現化することが望ましいが、積分結果を記憶領域に配線によってスイッチングすることも可能である。いずれの具現化形態も、図3において、連続的なAND要素30と一つのOR要素31とのカスケード接続29として図式表現されており、このOR要素によって、特に積分手段に対する作動開始信号も入力される。記憶領域27に記録された一連の結果を合計する計算は、好ましくはソフトウェアのプログラムモジュールとして具現化される加算段階33において遂行される。加算段階33を、例えば図3に表現されるような配線によるAND要素32として具現化することは、あまり好ましくない。
図4は、全平均値計算の機能図解を改めて示す。この場合、符号1〜5によって示される部分平均値は、全平均値を得るためのソフトウェアプログラム又は論理回路のいずれかによって加算される。個々の部分平均値は循環的に上書きされていく。
図5は、路上試験で得られた測定値の表である。この場合、種々の温度センサーが試験車両に装着されて、油温、一体型キャリアの温度、ステアリングラックの温度、ステアリングブーツの温度、車軸ドライブシャフトの温度、触媒コンバータの温度、及び電子式燃料噴射システムの温度が、2つの入力変数である空気量(MAF)とエンジン回転数(Eng−Spd)との関数として記録、プロットされた。
2つの入力変数の関数として表に示された温度は、図2のプログラムモジュール18において、温度特性マップ19を計算するための参照点として用いられる。プログラムモジュール18の主たる機能は、連続的な温度特性マップを計算し得るようにするための参照点の補間である。
図5の表1は、自動車のエンジンルーム内の種々の温度を温度特性マップの決定に用いることができることを明解に示している。これは、本発明に従った運転の計算が、孤立した局所的な温度の保護だけでなく、温度分布もしくは異なる位置の複数個の構造要素の温度の保護にも寄与し得ることを意味している。又、プログラムモジュール18が、温度特性マップを計算するために実験的に得られた参照点に依拠しているということによって、本発明に従ったファンモータ運転制御を、特定のエンジン又は特定の変形タイプ用として簡易に設計することが可能になる。車両の種々の変形タイプ又はエンジンの種々の変形タイプに対して、1つの試験車両を用いて各変形タイプ又は各エンジンに固有の温度参照点を決定し、実験的にプロットされたこれらの温度参照点を、プログラムモジュール18に参照点として供給する。これによって、本発明に基づくファンの運転は異なる車両の変形タイプに容易に適合させることができる。
図6は、図5で示した表1の温度参照点を、臨界参照温度に関連して評価完了した別の表2を示す。表2では、空気量が横方向に取られ、エンジン回転数が縦方向に取られている。表の値そのものは、図5の試験結果において測定されたステアリングラックに対する温度値を示している。図5における温度分布を評価した結果、2つの入力変数の空気量とエンジン回転数との関数としてのラックの温度が、損傷をもたらす可能性が最も高いレベルの温度であることが事実上明らかになった。このため、ステアリングラックの温度が、ファンの運転時間計算用として図2で用いられる参照温度を決定するのに最も適している。表1におけるステアリングラックに対する温度値は、ここではその数値を1000分の一にして表2に書き込まれている。温度値の計算に対する尺度の変更は本発明の必須の構成要素ではない。ステアリングラックの設計データから、109という温度参照値あるいは図6のように0.109という無次元の温度参照値を超過することが臨界条件であると見なさなければならない。これらは、図6において太字で表現された温度値である。従って、図5における対応するエンジンの運転条件に対して、ファンモータの運転制御が提供されるべきである。この典型的な実施形態では、これらは、図5の表において同様に太字で示された空気量及びエンジン回転数の運転条件である。これ以外の残りのエンジン運転条件に対しては、ファンの運転を省くことができる。
Claims (19)
- エンジン制御装置によって測定されるエンジン(1)の運転データと外気データとを評価し、ファンモータの運転時間を計算するために、少なくとも1つの論理要素(ロジック)が用いられる自動車用のファンモータ(4)の制御方法において、
前記ファンモータの運転時間が、前記エンジンへのエネルギー投入量から決定されることを特徴とするファンモータの制御方法。 - 前記エンジン(1)へのエネルギー投入量が、前記エンジンの空気流入質量(MAF)及びエンジン回転数、燃料噴射量、エンジンの発生トルク、又は、前記エンジンの発生出力から定められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記エンジンへのエネルギー投入量が、空気量/エンジン回転数によるエンジン固有の温度特性マップ(19)から定められることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の方法。
- 前記ファンの運転時間の長さが、前記エネルギー投入量の積分によって計算されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 前記積分が、各時間毎に、予め定められた時間間隔にわたって実行され、積分の結果(27)は時間毎に保存され、さらに、遡及的に記録される間隔ごとの積分結果の数は制限され、各時間に記録される間隔ごとの積分結果は、新しく計算された積分結果によって循環的に上書きされることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 前記間隔ごとの積分結果(27)から平均値が計算されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記エンジン(2)へのエネルギー投入量に加えて、冷却性能を決定するための空気温度用特性マップ及び冷却液温度用特性マップが、前記ファンの運転時間の長さを決定する計算に導入されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記空気量/エンジン回転数による温度特性マップ(19)が、複数個の低耐熱性部品の一群の特性値を含むことを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記一群の特性値が、外気温度、車速、ファンの作動、水温、吸入空気温度、排気ガス温度、又はラジエータシャッターの位置に対する修正パラメータによって補正されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 少なくとも1つの電子記憶媒体と、少なくとも1つの電子論理要素(ロジック)と、
前記記憶媒体の中に格納されたエンジンの運転状態と運転条件の特性マップ(19)とを有し、前記ファンの運転時間を決定する計算が、前記電子論理要素(ロジック)において、ソフトウェアプログラム又は論理要素によって実行される自動車用のファンモータ(4)の運転時間を計算する装置において、
前記論理要素が、燃焼シリンダーの体積効率、エンジンの回転数、燃料噴射量、発生トルク、又は、エンジンの発生出力に対する信号発生器(17)と通信接続されており、前記ファンモータの運転時間が前記エンジン(2)へのエネルギー投入量から決定されることを特徴とする装置。 - 少なくとも1つの前記特性マップ(19)が空気量/エンジン回転数による温度特性マップであることを特徴とする請求項10に記載の装置。
- 前記論理要素が、前記空気量/エンジン回転数による温度特性マップ(19)からエネルギー投入量を時間積分するための積分手段(23)を備えることを特徴とする請求項10あるいは11に記載の装置。
- 前記論理要素が、前記間隔ごとの積分結果(27)を保存するための循環ループ(29)であって、ソフトウェアでプログラムされるか、あるいは配線によって構成された循環ループ(29)を備えることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の装置。
- 前記論理要素が、記録されたすべての間隔ごとの積分結果に対して、ソフトウェアでプログラムされるか、あるいは電子素子を用いた回路構成による平均化機構(33)を備えることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の装置。
- 前記論理要素が、信号発生器としてのエンジン制御装置(17)と通信接続されることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の装置。
- 前記論理要素(ロジック)が、エンジン制御装置(17)の中に組み込まれることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の装置。
- 前記論理要素(ロジック)が、冷却性能を決定するための空気温度特性マップ及び冷却液温度特性マップを含むことを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の装置。
- 前記空気量/エンジン回転数による温度特性マップが、車両における複数個の低耐熱性部品の一群の特性曲線を含むことを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の装置。
- 前記一群の特性値が、外気温度、車速、ファンの作動、水温、吸入空気温度、排気ガス温度、又はラジエータシャッターの位置に対する修正パラメータによって補正されることを特徴とする請求項18に記載の装置。
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