JP2006525362A - 腎機能不全を治療するためのTGF−βアンタゴニストとレニン−アンジオテンシン−アルドステロン系アンタゴニストとの併用 - Google Patents

腎機能不全を治療するためのTGF−βアンタゴニストとレニン−アンジオテンシン−アルドステロン系アンタゴニストとの併用 Download PDF

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Abstract

本開示は、哺乳動物における腎機能不全を治療、予防、およびその発生のリスクを減少させるための方法を提供する。開示の方法には、望ましい腎機能レベルを維持するために、治療的有効量のTGF-βアンタゴニストおよびレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系アンタゴニスト(RAAS)を、腎障害に対して感受性がある、または罹患している被験者に投与する段階が含まれる。本発明の方法によって治療される集団には、I型またはII型糖尿病、高血圧症、(自己)免疫疾患、全身性の線維症等に罹患した患者のような腎機能不全を有する、または発症のリスクを有する患者が含まれるがこれらに限定されない。

Description

発明の分野
本発明は、臨床病理生理学の分野、より具体的には、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系アンタゴニストとTGF-βアンタゴニストとを投与することによって、腎機能障害を治療または予防するための方法に関する。なお、本出願は、参照として本明細書に組み入れられる、2003年4月30日に提出された米国特許出願第60/466,417号に対する優先権を主張する。
発明の背景
腎臓は、水を再吸収し、循環系からの老廃代謝物を濃縮して除去するように機能する。腎臓はまた、pH、塩バランス、および血液量の維持と共に、赤血球産生の刺激を含む多くの調節機能を有する。生体機能のために、腎臓は、適切な体液および恒常性の維持を行い、腎機能が失われると、生命を脅かす事象が起こる。損傷、疾患、または何らかの内因性障害による急性または慢性の腎機能喪失は、多様な全身性の合併症を引き起こしうる。末期腎不全は現在、透析または臓器移植に限って治療可能である。糖尿病患者は末期腎疾患患者の最大の群を意味する。米国だけでも、約600万〜800万人が糖尿病に罹患している。I型糖尿病患者の約30%、およびII型糖尿病患者の10%〜40%が最終的に腎不全に見舞われるであろう。
腎臓は、血圧の調節および腎機能において中心的な役割を果たす酵素であるレニンを産生する。レニンは、肝臓によって産生されるアンジオテンシノーゲンを酵素的に切断してアンジオテンシン(Ang)Iを放出し、次にこれはアンジオテンシン変換酵素によってAng IIに変換される(ACE、EC 3.4.1.15.1)。強力な血管収縮因子であるAng IIは、血圧を上昇させる。Ang IIはまた、副腎を刺激してアルドステロンを放出させ、これによって腎尿細管はより多くのナトリウムイオンを濾液から再生する。遠心性細動脈と比較すると求心性細動脈上に発現されるAng II受容体の数が少ないために、Ang IIは、より大きい程度に遠心性細動脈を収縮させて、それによって糸球体の静水圧を増加させる。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)は腎臓の自己調節に関与するが、その主要な役割は、全身血圧および細胞外液の容積を安定化させることである。
RAASの異常な活性化は、慢性腎疾患患者に共通した事象である。全身性の高血圧症は、慢性腎疾患の中心的な原因であり結果でもあることが示唆されている。高血圧症によって、糸球体毛細管内部の静水圧が増加する。糸球体高血圧症は、メサンギウム細胞および下流の尿細管上皮細胞によるサイトカインおよび増殖因子の放出を促進するタンパク質濾過の増加を含む多くの副作用を有する。腎機能が部分的に失われると、代償的腎増殖が急激に起こる。糸球体の肥大および高血圧症は協調して毛細管壁圧を増加させて、内皮細胞の活性化および損傷を促進し、さらに、サイトカインおよび増殖因子の放出を促進し、抗炎症細胞の動員を促進する。これらのメディエータは、アポトーシスのようなプロセスを刺激して、正常な腎細胞の喪失およびマトリクス産生の増加を引き起こし、それによって糸球体および間質の線維症が起こる。腎皮質における線維症によって、血液供給が障害され、腎髄質に対する低酸素性損傷がさらに悪化する。さらなるネフロンが損傷を受けると、この自己永続サイクルが繰り返され、多数の経路を通して増幅され、最終的に腎不全に至る。
ACE阻害剤およびAng II受容体アンタゴニストのような抗アンジオテンシン剤の出現は、高血圧症および慢性腎機能不全の治療において重要な前進となった。いずれのタイプの薬剤も、腎機能の喪失を遅らせ、線維症の進行を遅らせることが示されている。それにもかかわらず、これらの薬剤は腎疾患の進行を完全には予防しない。実際に、ACE阻害は、II型糖尿病患者における糸球体のサイズ選択的異常を改善せず、このように、尿細管内腔へのタンパク質の通過を増加させる(Ruggenentiら(1999)、Kid. Int. 55:984〜994)。タンパク尿は、慢性腎不全への進行に関する最も強力な予測因子の一つである(D'Amicoら(2003)、Kid. Int. 63:809〜825)。このように、RAASアンタゴニストを補うさらなる治療が必要である。
腎障害の進行および治療に関する現在の研究は主に、腎皮質における線維症の発症を遅らせることに重点を置いている。トランスフォーミング増殖因子(TGF)-βは、進行性の糸球体線維症の治療における標的となっている。TGF-βは、多様な細胞活性を調節する遺伝的に近縁の多機能サイトカインのグループである。広汎な研究から、TGF-βは、糸球体硬化症のような線維性糸球体疾患に至るプロセスである、糸球体における細胞外マトリクスタンパク質(例えば、フィブロネクチン、コラーゲンおよびプロテオグリカン)の合成を誘導して切断を遅らせるための重要な要因であると同定された。TGF-βアンタゴニストの投与は、皮質線維症の進行を遅らせることが示されている。さらに、腎機能全体、特に腎髄質の機能の回復における抗TGF-β抗体の治療利益が、最近、証明されている(国際公開公報第01/66140号)。
この進歩にもかかわらず、TGF-βとRAASの相互作用および腎機能の最初の喪失におけるTGF-βの正確な役割はまだ、あまり理解されていない。ACE阻害剤またはTGF-βアンタゴニストは、個々に投与した場合、線維症の進行を遅らせるが、双方の治療を同時に行っても、急性腎疾患動物モデル(UUOモデル)において線維症の追加的な減少は認められなかった。
最近の研究により、抗アンジオテンシン治療が、腎臓移植患者(Campistolら(1999)、Kidney Int. 56:714〜719)および糖尿病性腎症患者(Sharmaら(1999)、Am. J. Kidney Dis. 34:818〜823)または高血圧症患者(Laviadesら(2000)、Hypertension 36:517〜522)における血漿中TGF-βレベルを減少させることが報告された。しかし、他の研究から、抗アンジオテンシン治療によって血漿中レニンが上昇することが報告された。さらなる実験による証拠は、レニンがAng II非依存的メカニズムによってTGF-βをアップレギュレートすることを示している。したがって、ACE阻害剤またはAng II受容体アンタゴニストを用いれば、TGF-βの治療的減少を防止する可能性があることが示唆されている(国際公開公報第00/40227号、p35)。TGF-βとRAASとの関係を利用する治療法の開発は、部分的に、ヒト腎機能不全の重要な局面を模倣する適当な動物モデルが利用できないために、あまり進んでいない。
したがって、腎機能障害の最終的な原因を理解して、腎機能を治療してその喪失を予防する新規治療法を開発することが当技術分野において必要である。
発明の概要
本発明の一つの目的は、腎機能減退を特徴とするまたはそのリスクに関連する腎障害を治療または予防するための方法および組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、部分的に以下の説明に記述され、説明から部分的に理解されるであろう。
本発明は、糖尿病動物における抗TGF-β抗体およびACE阻害剤の同時投与による慢性腎機能不全の治療が、いずれかの薬剤による個々の治療より、腎機能喪失を遅らせるために有効であるという発見および証明に一部基づいている。
本発明は、腎機能不全を治療、予防、およびその発生のリスクを減少させるための方法を提供する。本発明はさらに、例えば、加圧濾過、選択的再吸収、尿細管分泌、および全身血圧調節のような、腎機能を改善するための方法を提供する。開示の方法には、全身血圧および糸球体血圧、タンパク尿、血清クレアチニン等によって評価した場合に腎機能の所望のレベルを維持するように、TGF-βアンタゴニストおよびレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)アンタゴニストの治療的有効量を腎障害に対して感受性がある、または罹患している哺乳動物対象に投与する段階が含まれる。本発明の方法によって治療される集団には、I型またはII型糖尿病、高血圧症、(自己)免疫疾患、全身性線維症等に罹患した患者のような、腎機能不全を有する、または発症のリスクを有する患者が含まれるがこれらに限定されない。
本発明の方法において用いられる投与法および組成物が提供される。開示の方法において、TGF-βアンタゴニストおよびRAASアンタゴニストは、同時に、または重複するもしくは重複しない間隔で連続的に投与される。
本発明の方法において用いられるTGF-βアンタゴニストには、TGF-βの一つまたはそれ以上のイソ型に対する抗体;TGF-β受容体に対する抗体;可溶性TGF-β受容体およびその断片;ならびにTGF-βを阻害する糖およびプロテオグリカンが含まれるがこれらに限定されない。いくつかの態様において、TGF-βアンタゴニストは、その受容体に対するTGF-βの結合を遮断するモノクローナル抗体またはその断片である。非制限的な例示の態様には、ヒト以外のモノクローナル抗TGF-β抗体、例えばマウスモノクローナル抗体1D11(1D11.16としても知られる、ATCC寄託番号HB 9849)、その誘導体(例えば、ヒト化抗体)および完全なヒトモノクローナル抗TGF-β1抗体(例えば、国際公開公報第00/66631号に記載されるCAT192)、またはその誘導体が含まれる。
本発明の方法において用いられるRAASアンタゴニストには、レニン阻害剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、およびAng II受容体アンタゴニストが含まれるがこれらに限定されない。説明となる態様において、RAASアンタゴニストは、アリスキレン、エナルキレン、レミキレン、ベナゼプリラート、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、ベナゼプリル、トランドラプリル、フォシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、タソサルタン、エプロサルタン、スピロノラクトン、およびエプレレノンからなる群より選択される。
前述の全般的な説明および以下の詳細な説明は、例示および説明目的に限られ、請求される本発明を制限しないと理解される。
発明の詳細な説明
本発明をより容易に理解するために、特定の用語をまず定義する。さらなる定義は詳細な説明の中で説明される。
本明細書において用いられる「抗体」という用語は、免疫グロブリンまたはその一部を指し、起源、産生法、および他の特徴にかかわらず、抗原結合部位を含む任意のポリペプチドを含む。この用語には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、一価特異的抗体、多価特異的抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組換え抗体、ハイブリッド抗体、変異抗体、およびCDR-移植抗体が含まれるがこれらに限定されない。「抗原結合ドメイン」という用語は、抗原の一部もしくは全てに特異的に結合するまたは相補的である領域を含む抗体分子の一部を指す。抗原が大きい場合、抗体は抗原の特定の部分にのみ結合してもよい。「エピトープ」または「抗原性決定部位」は、抗体の抗原結合ドメインとの特異的相互作用に関与する抗原分子の部分である。抗原結合ドメインは、抗体の軽鎖可変領域(VL)および抗体の重鎖可変領域(VH)を含んでもよい。抗原結合ドメインは、一つまたはそれ以上の抗体可変ドメイン(例えば、VHドメインからなるいわゆるFd抗体断片、またはVHドメインおよびVLドメインからなるいわゆるFv抗体断片)によって提供されてもよい。「抗TGF-β抗体」または「TGF-βの少なくとも一つのイソ型に対する抗体」という用語は、TGF-βの少なくとも一つのエピトープに特異的に結合する任意の抗体を指す。「TGF-β受容体抗体」および「TGF-β受容体に対する抗体」という用語は、TGF-β受容体の少なくとも一つのエピトープ(例えば、I型、II型、またはIII型)に特異的に結合する任意の抗体を指す。
本明細書において用いられるように、「治療化合物」という用語は、TGF-βおよび/またはAng IIの生物活性に直接または間接的に影響を及ぼすことによってそれぞれ、TGF-βおよび/またはRAASに「拮抗する」ことができる任意の化合物を指す。
「腎機能」という用語は、加圧濾過、選択的再吸収、尿細管分泌、および/または全身血圧調節のような、腎臓がその生理的機能を行う能力を指す。腎機能を評価する方法は、当技術分野で周知であり、これには、全身血圧および糸球体毛細管圧の測定、タンパク尿(例えば、アルブミン尿)、顕微鏡および肉眼的血尿、血清クレアチニンレベル(例えば、ヒトにおける腎機能を推定する一つの式は、クレアチニンレベル2.0 mg/dl〜正常腎機能の50%、および4.0 mg/dl〜25%に等しい)、糸球体濾過速度(GFR)の減少(例えば、クレアチニンクレアランス速度)、および尿細管の損傷の程度が含まれるがこれらに限定されない。腎機能を評価するための非制限的な例示の方法は、実施例および国際公開公報第01/66140号に記述される。
「阻害剤」、「阻害する」、「中和する」、「拮抗する」という用語およびその同義語は、特定の反応または生物活性のアンタゴニストとして作用する化合物の能力を指す。量または生物活性の減少は、好ましくは少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上である。この用語は、対象となる生物活性(例えば、TGF-β、TGF-β受容体、Ang IIおよびAng II受容体)に関与する少なくとも一つのタンパク質の相対量の減少を指す。
本明細書において用いられるように、「TGF-βアンタゴニスト」とは、一般的にTGF-βの生物活性を直接ダウンレギュレートする任意の化合物を指す。分子は、TGF-β遺伝子、TGF-β転写物、TGF-βリガンド、またはTGF-β受容体と相互作用することによって活性をダウンレギュレートすれば、TGF-βの生物活性を「直接ダウンレギュレートする」。TGF-βアンタゴニストは、例えばTGF-βに結合してその活性を中和してもよく;TGF-β発現レベルを減少させてもよく;前駆体分子の安定性もしくはその活性な成熟型への変換に影響を及ぼしてもよく;一つもしくはそれ以上の受容体に対するTGF-βの結合を妨害してもよく;またはTGF-β受容体の細胞内シグナル伝達を妨害してもよい。TGF-βアンタゴニストの生物活性の中和を評価する方法は当技術分野で公知である。
「レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)アンタゴニスト」という用語は、Ang IIの量または生物活性をダウンレギュレートする能力を有する化合物を指す。用語には、レニン阻害剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、Ang II受容体アンタゴニスト(「Ang II受容体遮断剤」としても知られる)、およびアルドステロンアンタゴニストが含まれる。様々なRAASアンタゴニストの作用機序および臨床での利用に関する論評に関しては、例えば、「Physician's Desk Reference(PDR)2003」、第57版、Medical Economics Company、2002を参照されたい。
「アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(ACEi)」という用語は、N末端デカペプチドAng Iの血管活性オクタペプチドAng IIへの切断を阻害する能力を有する化合物を指す。様々なACEiの総説に関しては、例えば、Am J. Cardiol. 66:7D〜13D(1990)を参照されたい。ACEiの生物活性を評価する方法は当技術分野で公知であり、例えばCushman(1971)、Biochem. Pharm. 20:1637〜1645の方法を用いて、またはWeiら(1992)、J. Biol. Chem. 267:13398〜13405に記述されるとおりに行うことができる。
「レニン阻害剤」という用語は、RAASカスケード、すなわちレニンによるアンジオテンシノーゲンの、Ang IIの最後から二番目の前駆体であるN末端デカペプチドAng Iへのタンパク質分解的変換、における最初の律速段階を阻害する能力を有する化合物を指す。レニンの量およびその生物活性を測定する様々なアッセイに関する総説に関しては、例えば、Cartledgeら(2000)、Biochem. 37:262〜278を参照されたい。
「アンジオテンシン(Ang)II受容体アンタゴニスト」および「Ang II受容体遮断剤」という用語は、血管平滑筋および副腎内に存在するAng II受容体(例えば、I型(AT1)および/またはII型(AT2))での競合的遮断によって内因性のAng IIの血管活性作用を阻害する能力を有する化合物を指す。Ang II受容体およびその様々なアンタゴニストの詳細な総説に関しては、例えば、Pharmacol Rev. 45:206〜242(1993)を参照されたい。Ang II受容体アンタゴニストの生物活性は、例えばGuntherら(1980)、Circ. Res. 47:278の放射性リガンド結合アッセイの改変版を用いて評価することができる。
「アルドステロンアンタゴニスト」という用語は、例えば、腎尿細管において認められるアルドステロン受容体の競合的遮断によって、アルドステロンの作用を中和する能力を有する化合物を指す。
「治療」、「治療法」という用語およびその同義語は、治療または予防的(prophylatic)/予防(preventative)手段を指す。治療を必要とする人には、特定の医学的障害を既に有する人と共に、最終的にその障害を獲得する可能性がある人が含まれてもよい。
「治療的有効用量」または「治療的有効量」という用語は、それによって被験者における腎機能障害の症状の発現の予防もしくは遅延、もしくは症状の改善が得られる、または腎機能の改善のような望ましい生物学的結果の達成が得られる化合物の量を指す。有効量は、当技術分野で周知の、そして後の章に記載される方法によって決定することができる。
「特異的相互作用」、もしくは「特異的に結合する」という用語またはその同義語は、二つの分子が生理的条件で比較的安定である複合体を形成することを意味する。特異的結合は、高い親和性および低〜中等度の性能を特徴とする。非特異的結合は通常、低い親和性および中等度〜高度の性能を特徴とする。典型的に、結合は、親和性定数Kaが106 M-1より高い、好ましくは108 M-1より高い場合に特異的であると見なされる。必要であれば、非特異的結合は、結合条件を変化させることによって、特異的結合に実質的に影響を及ぼさずに減少させることができる。そのような条件は、当技術分野において公知であり、当業者は通常の技術を用いて適当な条件を選択することができる。条件は通常、抗体の濃度、溶液のイオン強度、温度、結合させる時間、無関係な分子(例えば、血清アルブミン、乳汁カゼイン)の濃度等に関して定義される。
「実質的に同一である」という句は、関連するアミノ酸配列が、所定の配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であることを意味する。例として、そのような配列は、様々な種に由来する変種であってもよく、またはそれらは、切断、欠失、アミノ酸置換、もしくは付加によって所定の配列に由来してもよい。二つのアミノ酸配列間の同一性の割合(%)は、例えば、Altschulら(1990)、J. Mol. Biol. 215:403〜410に記述されるBasic Local Alignment Tool(BLAST)、Needlemanら(1970)、J. Mol. Biol. 48:444〜453のアルゴリズム、またはMeyersら(1988)、Comput. Appl. Biosci. 4:11〜17のアルゴリズムのような標準的なアラインメントアルゴリズムによって決定してもよい。そのようなアルゴリズムは、BLASTN、BLASTP、および「BLAST 2配列」プログラム(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLASTを参照されたい)に組み入れられている。そのようなプログラムを用いる場合、デフォルトパラメータを用いることができる。例えば、ヌクレオチド配列の場合、「BLAST 2配列」に関して以下の設定を用いることができる:プログラムBLASTN、マッチの報酬2、ミスマッチペナルティ-2、オープンギャップおよび伸長ギャップペナルティそれぞれ5および2、ギャップx_ドロップオフ50、期待値10、ワードサイズ11、フィルターON。アミノ酸配列の場合、「BLAST 2配列」に関して以下の設定を用いることができる:プログラムBLASTP、マトリックスBLOSUM 62、オープンギャップおよび伸長ギャップペナルティそれぞれ11および1、ギャップx_ドロップオフ50、期待値10、ワードサイズ3、フィルターON。
本明細書において用いられるように、「TGF-β」は、特に明記されていなければ、TGF-βの任意の一つまたはそれ以上のイソ型を指す。同様に、「TGF-β受容体」という用語は、特に明記されていなければ、少なくとも一つのTGF-βイソ型に結合する任意の受容体を指す。現在、TGF-βには公知のイソ型が5個(TGF-β1〜β5)存在し、その全てが互いに相同であって(60%〜80%の同一性)、約25 kDaのホモ二量体を形成し、共通のTGF-β受容体(TβR-I、TβR-II、TβR-IIB、およびTβR-III)に対して作用する。TGF-β1、TGF-β2およびTGF-β3は哺乳動物において認められる。TGF-βと共にTGF-β受容体の構造および機能的局面は、当技術分野で周知である(例えば、「Cytokine Reference」、Oppenheimら編、Academic Press、サンジエゴ、カリフォルニア州、2001を参照されたい)。TGF-βは、種間で顕著に保存されている。例えば、ラットおよびヒトの成熟TGF-β1のアミノ酸配列はほぼ同一である。このように、TGF-βのアンタゴニストは、高い種交叉反応性を有すると期待される。
組成物および方法
本発明は、糖尿病動物における抗TGF-β抗体およびACE阻害剤の同時投与による慢性腎機能不全の治療が、いずれかの薬剤の個々の治療より腎機能の喪失を遅らせるために有効であるという発見および証明に基づいている。
本発明は、哺乳動物における腎機能不全を治療、予防、および発生のリスクを減少させるための方法を提供する。本発明はさらに、例えば加圧濾過、選択的再吸収、尿細管分泌、および全身血圧調節のような、腎機能を改善するための方法を提供する。開示の方法は、TGF-βアンタゴニストおよびRAASアンタゴニストの治療的有効量を、腎障害に対して感受性がある、または罹患している被験者に投与することを含む。
TGF-βアンタゴニスト
TGF-βはアミノ酸(aa)約400個のプレプロタンパク質として合成されるジスルフィド結合した二量体であり、これが分泌前に切断されて、成熟TGF-βを生成する。「潜在型会合ペプチド」(LAP)として知られるN末端切断断片は、非共有結合によって二量体に結合して、それによってTGF-βを不活化する可能性がある。インビボで単離されたTGF-βは、主に、LAPと会合したこの不活性な「潜在型」で存在する。潜在型TGF-β複合体は、いくつかの方法によって、例えば、陽イオン非依存的マンノース-6-ホスフェート/インスリン様増殖因子II受容体と呼ばれる細胞表面受容体に結合することによって、不活化される可能性がある。結合は、LAP内のグリコシル化部位に結合したマンノース-6-ホスフェート残基を通して起こる。受容体に結合すると、TGF-βは、その成熟型で放出される。成熟型の活性なTGF-βは、その受容体に自由に結合してその生物機能を発揮する。II型TGF-β受容体における主要なTGF-β結合ドメインは、アミノ酸19個の配列にマッピングされている(Demetriouら(1996)、J. Biol. Chem. 271:12755)。
本発明の方法において用いてもよいTGF-βアンタゴニストの例には:TGF-βの一つまたはそれ以上のイソ型に対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体(米国特許第5,571,714号;国際公開公報第97/13844号;国際公開公報第00/66631号);ドミナントネガティブおよび可溶性TGF-β受容体、またはTGF-β受容体に対する抗体(Flavellら(2002)、Nat. Rev. Imunol. 2(1):46〜53、米国特許第5,693,607号;米国特許第6,001,969号;米国特許第6,008,011号;米国特許第6,010,872号;国際公開公報第92/00330号;国際公開公報第93/09228号;国際公開公報第95/10610号;および国際公開公報第98/48024号);LAP(国際公開公報第91/08291号);LAP会合TGF-β(国際公開公報第94/09812号);フェツイン(米国特許第5,821,227号)、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカンおよびエンドグリン(米国特許第5,583,103号;米国特許第5,654,270号;米国特許第5,705,609号;米国特許第5,726,149号;米国特許第5,824,655号;米国特許第5,830,847号;米国特許第6,015,693号;国際公開公報第91/04748号;国際公開公報第91/10727号;国際公開公報第93/09800号および国際公開公報第94/10187号)のようなTGF-β結合糖タンパク質/プロテオグリカン;マンノース-6-ホスフェートまたはマンノース-1-ホスフェート(米国特許第5,520,926号);プロラクチン(国際公開公報第97/40848号);インスリン様増殖因子II(国際公開公報第98/17304号);植物、真菌、および細菌の抽出物(欧州特許第813875号;日本国特許第8119984号および米国特許第5,693,610号);アンチセンスオリゴヌクレオチド(米国特許第5,683,988号;米国特許第5,772,995号;米国特許第5,821,234号;米国特許第5,869,462号および国際公開公報第94/25588号);SMADおよびMADを含むTGF-βのシグナル伝達に関与するタンパク質(欧州特許第874046号;国際公開公報第97/31020号;国際公開公報第97/38729号;国際公開公報第98/03663号;国際公開公報第98/07735号;国際公開公報第98/07849号;国際公開公報第98/45467号;国際公開公報第98/53068号;国際公開公報第98/55512号;国際公開公報第98/56913号;国際公開公報第98/53830号;国際公開公報第99/50296号;米国特許第5,834,248号;米国特許第5,807,708号;および米国特許第5,948,639号)、SkiおよびSno(Vogel(1999)、Science 286:665;およびStroscheinら(1999)、Science 286:771〜774);ならびにTGF-βの生物活性の直接阻害能を保持する上記の分子の任意の変異体、断片または誘導体が含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの態様において、TGF-βアンタゴニストは、その受容体に対するTGF-βの結合を遮断する抗体である。抗体は、TGF-βの少なくとも一つのイソ型、または少なくとも一つのTGF-β受容体の細胞外ドメインに特異的に結合する抗体である。いくつかの他の態様において、抗TGF-β抗体は、TGF-β1、TGF-β2、およびTGF-β3からなる群より選択されるTGF-βの少なくとも一つのイソ型に特異的に結合する。さらに他の態様において、抗TGF-β抗体は、少なくとも以下に特異的に結合する:(a)TGF-β1、TGF-β2、およびTGF-β3(「汎中和抗体」とも呼ばれる);(b)TGF-β1およびTGF-β2;(c)TGF-β1およびTGF-β3;ならびに(d)TGF-β2およびTGF-β3。様々な態様において、抗体が特異的に結合するTGF-βの少なくとも一つのイソ型に対して、TGF-βの親和性定数Kaは、好ましくは106 M-1、107 M-1、108 M-1、109 M-1、1010 M-1、1011 M-1、または1012 M-1より大きい。なおさらなる態様において、本発明の抗体は、ヒトTGF-β1、TGF-β2、および/またはTGF-β3と実質的に同一であるタンパク質に特異的に結合する。引用された参考文献に記述される任意の脊椎動物種に由来するヒト以外の抗体のヒト化型および誘導体も同様に、ヒトでの使用が意図される。そのような変種を産生することは、当業者の範囲内である(例えば、「Antibody Engineering」、Borrebaeck編、第二版、Oxford University Press、1995を参照されたい)。
非制限的な例示の態様において、抗TGF-β抗体は、ハイブリドーマ1D11.16(ATCC寄託番号HB 9849、米国特許第5,571,714号;第5,772,998号;および第5,783,185号にも記述される)によって産生されるマウスモノクローナル抗体1D11である。1D11重鎖可変領域の配列は、アクセッション番号AAB46787を通して利用できる。このように、関連する態様において、抗TGF-β抗体は、1D11の誘導体、例えばヒト化抗体のようなAAB46787の配列と同一であるCDR配列を含む抗体である。なおさらに非制限的な例示の態様において、抗TGF-β抗体は、国際公開公報第00/66631号において記述されるCAT192のような、ファージディスプレイによって産生される完全なヒト組換え抗体、または本明細書に開示のCAT 192CDR配列を含む抗体である。
1D11抗体は、TGF-βの三つ全ての哺乳動物イソ型に特異的に結合するが、CAT192はTGF-β1のみに特異的に結合する。1D11およびCAT192の抗原親和性はそれぞれ、1 nMおよび8.4 pMである。1D11(Daschら(1998)、J. Immunol. 142:1536〜1541)およびCAT192のエピトープは、成熟TGF-βのC末端部分にマッピングされている。
RAASアンタゴニスト
本発明の方法において、一つまたはそれ以上のTGF-βアンタゴニストを、一つまたはそれ以上のRAASアンタゴニストと併用して用いる。RAASアンタゴニストは、レニン阻害剤、ACE阻害剤、およびAng II受容体アンタゴニストからなる群より選択される物質である。
本発明の方法において用いられるレニン阻害剤には、以下が含まれるがこれらに限定されない:
アリスキレン(SPP100):2(S),4(S),5(S),7(S)-N-(2-カルバモイル-2-メチルプロピル)-5-アミノ-4-ヒドロキシ-2,7-ジイソプロピル-8-[4-メトキシ-3-(3-メトキシプロポキシ)-フェニル]-オクタンアミドヘミフマレートおよび米国特許第5,719,141号および国際公開公報第01/09079号に開示されるその関連化合物;
エナルキレン:[1S-(1R*,2S*,3R*)]-N-(3-アミノ-3-メチル-1-オキソブチル)-O-メチル-L-チロシル-N-[1-(シクロヘキシルメチル)-2,3-ジヒドロキシ-5-メチルヘキシル]-L-ヒスチジンアミドおよびその関連化合物;
レミキレン:(S)-2-tert-ブチルスルホニルメチル-N-[(S)-1-[(1S,2R,3S)-1-シクロ-ヘキシルメチル-3-シクロプロピル-2,3-ジヒドロキシプロピルカルバモイル]-2(1H-イミダゾル-4-イル)メチル]-3-フェニルプロピオンアミドおよびその関連化合物;
ならびに米国特許第4,814,342号、第4,855,303号、第4,895,834号、および第5,696,116号に記載される他のレニン阻害剤。
本発明の方法において用いられるACE阻害剤には、以下が含まれるがこれらに限定されない(そのような化合物を含む市販の医薬品製剤の例を括弧内に示す):
ベナゼプリル(lotensin(商標)、lotrel(商標)):3-[[1-(エトキシ-カルボニル)-3-フェニル-(1S)-プロピル]アミノ]-2,3,4,5-テトラヒドロ-2-オキソ-1H-1-(3S)-ベンズアゼピン-1-酢酸一塩酸およびその代謝物であるベナゼプリラートならびにその関連化合物(米国特許第4,410,520号);
カプトプリル(capoten(商標)):1-[(2S)-3-メルカプト-2-メチルプロピニル]-L-プロリンおよびその関連化合物(米国特許第4,105,776号);
エナラプリル(vasotec(商標)):1-[N-[(S)-1-カルボキシ-3-フェニルプロピル]-L-アラニル]-L-プロリン-1'-エチルエステル;
リシノプリル(zestril(商標)、privinil(商標)):1-[N2-[(S)-1-カルボキシ-3-フェニルプロピル]-L-リジル]-L-プロリンおよび様々なカルボキシアルキルジペプチド誘導体ならびにその関連化合物(米国特許第4,374,829号、第6,468,976号、および第6,465,615号);
ペリンドプリルエルブミン(aceon(商標)、coversyl(商標)):(2S,3αS,7αS)-1-[(S)-N-[(S)-1-カルボキシ-ブチル]アラニル]ヘキサヒドロ-2-インドリンカルボン酸、1-エチルエステルおよびその関連化合物;
キナプリル(accupril(商標)):(3S)-2-[N-[(S)-1-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]-L-アラニル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-カルボキシリクモノクロロヒドレートおよびその関連化合物;
ラミプリル(altace(商標)):(2S,3αS,6αS)-1[(S)-N-[(S)-1-カルボキシ-3-フェニルプロピル]アラニル]オクタヒドロシクロペンタ[β]ピロール-2-カルボン酸、1-エチルエステルおよびその関連化合物;
トランドラプリル(mavik(商標)):(2S,3αR,7αS)-1-[(S)-N-[(S)-カルボキシ-3-フェニルプロピル]アラニル]ヘキサヒドロ-2-インドリンカルボン酸、1-エチルエステルおよびその関連化合物;
フォシノプリル(monopril(商標)):L-プロリン、4-シクロヘキシル-1-[[[2-メチル-1-(1-オキソプロポキシ)プロポキシル](4-フェニルブチル)ホスフィニル]アセチル]ナトリウム塩、トランスおよびその関連化合物;
モエキシプリル(univasc(商標)):3S-[2[R*(R*),3R*]]-2-[2-[[1-(エトキシカルボニル)-3-フェニルプロピル]アミノ]-1-オキソプロピル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-6,7-ジメトキシ-3-イソキノリンカルボン酸一塩酸およびその関連化合物;
イミダプリル(tanatril(商標)):(-)-(4S)-3-[(2S)-2[[(1S)-1-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]アミノ]-プロピニル]-1-メチル-2-オキソイミダゾリジン-4-カルボン酸一塩酸およびその関連化合物。
ACE阻害剤のさらなる例には、米国特許第5,696,116号、第6,410,524号、および第6,482,797号が含まれる。
本発明の方法において用いられるAng II受容体アンタゴニストには、以下が含まれるがこれらに限定されない:
ロサルタン(cozaar(商標)):2-ブチル-4-クロロ-1-[p-(o-1H-テトラゾル-5-イルフェニル)ベンジル]イミダゾール-5-メタノール、一カリウム塩および様々な置換イミダゾール誘導体ならびにその関連化合物(米国特許第5,138,069号);
バルサルタン(diovan(商標)):N-[p-(o-1H-テトラゾル-5-イル-フェニル)ベンジル]-N-バレリル-L-バリンおよびその関連化合物(米国特許第5,399,578号);
イルベサルタン(avapro(商標)):2-n-ブチル-4-スピロシクロペンタン-1-((2'-テトラゾル-5-イル)ビフェニル-4-イル)-2-イミダゾリン-5-オンおよびその関連化合物(米国特許第5,270,317号および第5,352,788号);
カンデサルタン(amias(商標)、atacand(商標)):1-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル-2-エトキシ-1-[[2'-(1H-テトラゾル-5-イル)ビフェニル-4-イル]メチル]ベンズイミダゾール-7-カルボキシレートおよびその関連化合物(米国特許第5,196,444号);
テルミサルタン(micardis(商標)):4'-[(1,4-ジメチル-2'-プロピル[2,6'-ビ-1H-ベンズイミダゾル]-1'-イル)メチル]-[1,1'-ビフェニル]-2-カルボン酸およびその関連化合物(欧州特許出願第0502314号);
タソサルタン(verdia(商標)):5,8-ジヒドロ-2,4-ジメチル-8-[p-(o-1H-テトラゾル-5-イルフェニル)ベンジル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オンおよびその関連化合物(米国特許第5,149,699号);
エプロサルタン(teveten(商標)):(E)-2-ブチル-1-(p-カルボキシベンジル)-α-2-テニルイミダゾール-5-アクリル酸およびその関連化合物(米国特許第5,185,351号);および
サララシン:1-(N-メチルグリシン)-5-L-バリン-8-L-アラニンアンジオテンシンII(アミノ酸1および8位をそれぞれ、サルコシンおよびアラニンに置換したAng II(ウシ)のオクタペプチド類似体)。
適したAng II受容体アンタゴニストのさらなる例には、米国特許第5,484,780号、第6,028,091号、および第6,329,384号に記述のアンタゴニストが含まれる。
本発明の方法において用いられるアルドステロンアンタゴニストには、以下が含まれるがこれらに限定されない:
エプレレノン(inspra(商標)):(7α,11α,17α)-プレグン-4-エン-7,21-ジカルボン酸9,11-エポキシ-17-ヒドロキシ-3-オキソ-γ-ラクトン、メチルエステルおよびその関連化合物(米国特許第4,559,332号);ならびに
スピロノラクトン(aldactone(商標)):7α-アセチルチオ-3-オキソ-17α-プレグン-4-エン-21,17-カルボラクトンおよびその関連化合物。
適したアルドステロンアンタゴニストのさらなる例には、米国特許第6,410,524号に記述のアンタゴニストが含まれる。
本明細書に開示の化合物の薬学的に許容される塩を用いることができる。薬学的に許容される塩には、金属、例えばナトリウム、カルシウム、カリウム、亜鉛、およびマグネシウムによって形成された塩;または酸によって形成された塩、例えば硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオレート、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、2-ブチン-1,4-ジオエート、3-ヘキシン-2,5-ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ヒプル酸塩、B-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、およびマンデル酸塩が含まれるがこれらに限定されない。
特定の他の治療物質と併用してRAASアンタゴニストを用いることは周知である。そのような化合物には、β受容体遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、ナトリウムチャンネル阻害剤、利尿剤、アルドステロンアンタゴニスト(米国特許第6,410,524号)、エンドセリン-1アンタゴニスト(米国特許第6,329,384号)が含まれるがこれらに限定されない。
本発明の方法は、全身血圧および糸球体血圧、タンパク尿、髄質内血流、および/または髄質虚血性損傷によって評価される腎機能の望ましいレベルを維持するために、TGF-βアンタゴニストの治療的有効量およびRAASアンタゴニストの治療的有効量を、腎障害に対して感受性がある、または罹患している被験者に投与する段階を含む。本発明の方法によって治療される集団には、腎機能不全を有する、または腎機能不全発症のリスクを有する患者が含まれるがこれらに限定されない。
「腎障害」、「腎機能不全」という用語、およびその同義語は、腎機能の喪失を伴う疾患または病態を指す。そのような障害には、腎臓の循環を損なう、尿細管損傷を引き起こす、またはそうでなければ腎機能の減退を引き起こす任意の急性または慢性疾患または障害が含まれるがこれらに限定されない。広汎な疾患または障害には、リウマチ性/免疫性障害、遺伝/代謝障害、血液/腫瘍学障害、感染障害、放射線損傷、腎手術、結石破砕、または薬物もしくは毒素誘発/腎毒性障害を含む、腎臓の病態が含まれてもよい。そのような疾患または障害には、糖尿病(I型およびII型)腎症、放射線腎症、閉塞性腎症、広汎性全身硬化症、肺線維症、同種異系移植片拒絶、遺伝性腎疾患(例えば、多嚢胞腎疾患、髄質性海綿腎、馬蹄腎)、糸球体腎炎、腎硬化症、腎石灰症、全身性紅斑性狼瘡、シェーグレン症候群、ベルガー病、全身または糸球体高血圧症、尿細管間質腎症、腎尿細管性アシドーシス、腎結核症、および腎梗塞が含まれるがこれらに限定されない。腎障害の詳細な総説に関しては、「The Kidney:Physiology and Pathophysiology」、Seldinら編、第三版、Lippincott Williams & Wilkins Publishers、2000を参照されたい。
一般的に、全身性高血圧症患者は、腎機能不全を発症するリスクが増加している。このように、ヒトの場合、血圧(収縮期または拡張期)が130/80または140/90 mmHgより高い患者群は、TGF-βアンタゴニストおよびRAASアンタゴニストの同時投与によって恩恵を受けると考えられる。
通常、24時間のあいだに尿中に排泄されるタンパク質は0.15 g未満である。ほぼ全てのタイプの腎疾患が、尿中への軽度(500 mg/日まで)〜中等度(4 g/日まで)のタンパク質漏出を引き起こす。尿中の正常なアルブミン濃度は、1.0 mg/dl未満である。一般的に、5〜30 mg/dl尿中アルブミンは、ミクロアルブミン尿であると見なされ、30 mg/dlおよびそれ以上はマクロアルブミン尿であると見なされる。正常な血清中クレアチニンレベルは男性の場合0.6〜1.5 mg/dl、女性の場合0.6〜1.1 mg/dlである。クレアチニンレベル、腎機能、および腎疾患の段階の関係を表1に示す。
(表1)
Figure 2006525362
本発明の方法は、腎機能不全、腎不全、または末期腎疾患患者において特に有用である可能性がある。例えば、本発明の方法は、腎機能が正常より25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%またはそれ以上低い患者における腎疾患を治療、その進行を遅らせるまたは逆転させるために用いることができる。いくつかの態様において、本発明は、患者の腎機能を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれ以上改善させる腎機能を改善する方法を提供する。さらに、治療は、ミクロアルブミン尿、マクロアルブミン尿、および/またはタンパク尿レベルが24時間あたり1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10 gまたはそれ以上である患者、および/または血清クレアチニンレベルが約1.0、1.5、2.0、2.5、3、3.5、4.0、4.5、5、5.5、6、7、8、9、10 mg/dlまたはそれ以上である患者において有用である可能性がある。いくつかの態様において、本発明は、患者の血清中クレアチニンレベル、タンパク尿、および/または尿中アルブミン排泄を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%またはそれ以上減少させる腎機能を改善する方法を提供する。他の適応には、I型およびII型糖尿病、腎臓移植、クレアチニンクレアランスレベル97(男性)および88(女性)ml/分未満、血中尿素20mg/dl〜25 mg/dlもしくはそれ以上、および/または腎造影(例えば、MRI、超音波)、または腎生検によって示される場合が含まれるがこれらに限定されない。
本発明の方法において用いられる投与法および組成物が提供される。開示された方法において、TGF-βアンタゴニストおよびRAASアンタゴニストは、同時に、または重複するもしくは重複しない間隔で投与される。
「投与」は、任意の特定の輸送系に限定されず、非経口(皮下、静脈内、髄質内、関節内、筋肉内、または腹腔内注射を含む)、直腸内、局所、経皮、または経口(例えば、カプセル、懸濁剤、または錠剤)が含まれるがこれらに限定されない。個体への投与は、1回投与または反復投与で行ってもよく、任意の多様な生理的に許容される塩の形で、および/または許容される薬学的担体と共に、および/または薬学的組成物の一部として添加剤として(先に記述)行ってもよい。生理的に許容される塩の形態および標準的な製剤技術および賦形剤は当業者に周知である(例えば、「Physician's Desk Reference(PDR)2003」、第57版、Medical Economics Company、2002;およびRemington、「The Science and Practice of Pharmacy」、Gennadoら編、第20版、Lippincott、Williams & Wilkins、2000を参照されたい)。
アンタゴニストを個体に投与することはまた、遺伝子治療の手段によって行ってもよく、この場合、アンタゴニストをコードする核酸配列をインビボで患者に投与するか、またはインビトロで細胞に投与した後にこれを患者に導入する手段であって、この場合、アンタゴニスト(例えば、アンチセンスRNA、可溶性TGF-β受容体)は核酸配列によってコードされる産物の発現によって産生される。TGF-βアンタゴニストを輸送するための遺伝子治療の方法は、当業者に公知である(例えば、Fakhraiら(1996)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:2909〜2914を参照されたい)。
TGF-βアンタゴニストおよびRAASアンタゴニストは、同時に、または重複するもしくは重複しない間隔で同時にまたは連続的に投与される。連続投与の場合、TGF-βアンタゴニストおよびRAASアンタゴニストは、如何なる順序で投与することもできる。いくつかの態様において、重なり合う間隔は2、4、6、12、24、または48週間より長い。
アンタゴニストは、唯一の活性化合物として、またはもう一つの化合物もしくは組成物と併用して投与する。特に明記していない限り、アンタゴニストは、症状の重症度および疾患の進行に応じて、約1 μg/kg〜25 mg/kgの用量として投与される。最も一般的に、抗体は、通院患者の場合、約0.1mg/kg〜10 mg/kg用量を徐々に静脈内(IV)注入することによって毎週投与によって投与される。アンタゴニストの適当な治療的有効量は、治療担当医師によって選択され、その範囲は約1 μg/kg〜20 mg/kg、1 μg/kg〜10 mg/kg、1 μg/kg〜1 mg/kg、10 μg/kg〜1 mg/kg、10 μg/kg〜100 μg/kg、100 μg/kg〜1 mg/kg、および500 μg/kg〜5 mg/kgと考えられる。さらに、実施例または「Physician's Desk Reference(PDR)2003」、第57版、Medical Economics Company、2002に記載される特定の用量を用いてもよい。
以下の実施例は、本発明の例示の態様を提供する。当業者は、本発明の精神または範囲を変更することなく行うことができる多くの改変および変更を認識するであろう。そのような改変および変更は本発明の範囲に含まれる。実施例は、本発明を如何なるようにも制限しない。
実施例
実施例1:TGF-βアンタゴニストおよび/またはACE阻害剤による腎障害ラットの治療
開始時の体重が250g〜300 gの雄のSprague-Dawley系ラットを本試験に用いた。動物の飼育および処置は、米国国立研究所ガイドライン、1996に従って実施した。動物は全て、室温が一定で12時間暗期/12時間明期サイクルの室に収容して、20%タンパク質/重量を含む標準飼料および水道水を自由に与えた。
糖尿病の誘導前に腎疾患の発症を加速するために、麻酔下で動物の片側の腎切除を行った。ストレプトゾトシン(STZ、Zanosar、Upjohn、カラマズー、ミシガン州;60 mg/kg体重)の1回静脈内注射(i.v.)によって動物を糖尿病にした。飼料および水の消費量、体重の増加および血糖レベルをモニターして、糖尿病の程度を決定した。血液を尾の先端から得て、改変グルコースデヒドロゲナーゼ法によって分析した。ラットは、血糖濃度が20 mmol/Lより高い場合、または水を少なくとも100 ml/日飲む場合、糖尿病であると見なされた。血糖レベルは、インスリンの毎日皮下注射によって試験期間を通して200mg/dl〜400 mg/dlのあいだに維持した。
糖尿病の誘導後4ヶ月目に、動物を1群8匹の7群に分けて(特に明記していなければ)、これらを以下のように4ヶ月間処置した:
1群には、対照抗体13C4(抗ベロトキシンマウスモノクローナル抗体IgG1抗体;Genzyme、フラミンガム、マサチューセッツ州)を0.5 mg/kgの用量でi.p.注射を週に3回行った;
2群には、用量0.5 mg/kgの1D11(マウスモノクローナル抗TGF-β抗体、Genzyme)のi.p.注射を週に3回行った;
3群には、用量0.5 mg/kgの1D11のi.p.注射を週に3回行い、12.5 mg/lリシノプリルを飲料水に加えて投与した;
4群には、生理食塩液の注射を週に2回行った;
5群には、用量0.5 mg/kgのCAT192(ヒト抗TGF-β1抗体、Genzyme)のi.p.注射を週に3回行った;
6群には、用量0.5 mg/kgのCAT192のi.p.注射を週に3回行い、12.5 mg/lリシノプリルを飲料水に加えて投与した;および
7群には、12.5 mg/l ACE阻害剤リシノプリルを飲料水に加えて投与した。
実施例2:タンパク尿に及ぼすTGF-βアンタゴニストおよび/またはACE阻害剤の影響
本実施例は、糖尿病ラットにおけるタンパク尿に及ぼす、抗TGF-β抗体1D11またはCAT192単独またはACEiと併用した場合の影響を示す。
動物を実施例1に記述したように処置した。試験終了時、代謝用ケージを用いて24時間試料を採取して、タンパク尿を改変クーマシーブルーG色素結合アッセイによって、Reedら(1981)、Anal. Biochem. 116:53〜64に記述されるように、ウシ血清アルブミンを標準物質としてタンパク質に関して決定した。平均値(±1 SEM)を計算した。処置群の平均値における差の有意性は、ダンカンの多重範囲検定に従って分散分析を用いて分析した。
結果を図1Aおよび1Bに示す。結果から、タンパク尿が、1D11単独またはリシノプリルとの併用によって処置した群において減少したこと、そしてリシノプリルとCAT192の併用による処置によっても、対照群と比較してタンパク尿が減少したことが示される。
実施例3:血圧に及ぼすTGF-βアンタゴニストおよび/またはACE阻害剤の影響
本実施例は、糖尿病ラットにおける血圧に及ぼすTGF-β抗体単独またはACEiとの併用の効果を示す。
動物を実施例1に記載したように処置した。処置期間終了時の収縮期血圧を、Pfefferら(1971)、J. Lab. Clin. Med. 78:957〜962に記述されるように、意識のあるラットにおいて尾の容積変動記録法(プレチスモグラフィー)によって記録した。
図2に示すように、1D11およびCAT192はいずれも、抗高血圧作用を示した。リシノプリルは、血圧の上昇を1D11と類似の程度に限定した。したがって、リシノプリルといずれかの抗体との併用は、収縮期血圧を完全に制御した。
実施例4:糸球体硬化症に及ぼすTGF-βアンタゴニストおよび/またはACE阻害剤の影響
本実施例は、硬化性変化を示す糸球体の割合によって測定した、糖尿病ラットにおける腎組織学に及ぼす抗TGF-β抗体単独またはACEiとの併用の効果を示す。
動物を実施例1に記述したように処置した。試験終了時、ラット腎臓を摘出して、5%緩衝ホルマリン溶液によって固定し、パラフィンに包埋して切片を作製し、光学顕微鏡での分析のために過ヨウ素酸-シッフ(PAS)によって染色した。
糸球体の直径を測定して、少なくとも切片1枚あたり糸球体100個についてマトリクス膨張および糸球体損傷の程度を評価した。糸球体硬化症の程度は既に記述されているとおりに採点した(Rajiら(1984)、Kidney Int. 26:137〜143)。糸球体硬化症の割合を、偏見のない訓練された病理学者が決定し、0〜4の尺度(スコア0は損傷なしを示す;1+は試料の25%未満に及ぶ変化を示す;2+は、試料の25%〜50%に及ぶ変化を示す;3+は、試料の50%〜75%に及ぶ変化を示す;4+は試料の75%〜100%に及ぶ変化を示す)を用いて病的な変化を記録した。
糸球体硬化症の評価を図3に報告する。対照抗体または生理食塩液を投与した糖尿病ラットでは、多様な程度の糸球体硬化症および糸球体の房の分節状崩壊を伴うヒアリン症を検出し、これらは糸球体集団の平均で7.3%および6.0%に認められた。1D11の投与によって、硬化性変化を有する糸球体の割合は有意に減少した。リシノプリルは、硬化症を有する糸球体の割合を1D11と類似の程度に制限した。したがって、年齢をマッチさせた対照と比較すると、併用治療によって完全な腎臓の保護が達成された。
実施例5:尿細管の完全性に及ぼすTGF-βアンタゴニストおよび/またはACE阻害剤の影響
本実施例は、尿細管損傷スコアによって測定した糖尿病ラットにおける腎組織学に及ぼす抗TGF-β抗体1D11またはCAT192の単独またはACEiとの併用の影響を示す。
動物を実施例1および5に記載のように処置した。組織切片を、直血管(vasa recta)毛細管の線維症および尿細管間質損傷の程度に関しても同様に調べた(PASによって染色した光学顕微鏡切片)。尿細管の病理を糸球体硬化症に関して記述したように採点した。結果から、併用治療が対照動物のレベルまでまたはそれより低いレベルまで尿細管の損傷を有意に減少させたことが示される。
実施例6:腎線維症に及ぼすTGF-βアンタゴニストおよび/またはACE阻害剤の影響
本実施例は、糖尿病ラットの腎臓におけるIII型コラーゲン沈着に及ぼす抗TGF-β抗体単独またはACEiとの併用の効果を示す。
動物を実施例1および5に記述したように処置した。III型コラーゲンの蓄積は、ポリクローナルウサギ抗ラットIII型コラーゲン抗体(Chemicon、テメキュラ、カリフォルニア州)を用いてイムノペルオキシダーゼによって検出した。陰性対照は、一次抗体を用いないことによって得た。シグナルの強度は0〜3の尺度で等級をつけた(0、染色なし;1、弱い染色;2、中等度の強度;3、強い染色)。結果を図5に示す。結果は、1D11とリシノプリルとの併用によって処置した動物では、抗体またはリシノプリル単独によって処置した動物と比較して、間質のIII型コラーゲン沈着が減少したことを示している。同じ条件において、リシノプリルと併用したCAT192によって処置した動物は、抗体単独によって処置した動物と比較してわずかに少ない(統計学的に有意ではない)III型コラーゲン沈着を示した。
実施例7:腎臓の炎症に及ぼすTGF-βアンタゴニストおよび/またはACE阻害剤の影響
本実施例は、糖尿病ラットの腎臓における抗炎症細胞の腎間質内浸潤に及ぼす抗TGF-β抗体単独またはACEiとの併用の効果を示す。
動物を、実施例1および5に記述したように処置した。CD4+ヘルパーT細胞、胸腺細胞、およびマクロファージを検出するためにマウスモノクローナル抗体を用いた。間接的免疫蛍光技術を用いて染色を分析した。陽性細胞を、各動物について、少なくとも10カ所の無作為に選択した高倍率顕微鏡視野(×400)において計数した。結果を図6に示す。
結果は、1D11とリシノプリルとの併用によって処置した動物では、抗体またはリシノプリル単独によって処置した動物と比較して、間質内抗炎症細胞の浸潤が減少したことを示している。同じ条件で、CAT192とリシノプリルとの併用によって処置した動物は、抗体単独によって処置した動物と比較してわずかに少ないマクロファージ浸潤を示した。
実施例8:TGF-βアンタゴニストまたはACE阻害剤による初期糖尿病性腎症の進行の個々の遅延
本研究の目的は、糖尿病性腎症の初期相(ストレプトゾトシン注射後27週目)に治療を開始した場合の1D11対エナラプリルの抗タンパク尿作用を比較することであった。
試験開始時の体重が250 g〜275 gの雄のSprague-Dawley系ラットを調べた。全ての動物に標準飼料および水道水を自由に与えた。ストレプトゾトシン(60 mg/kg体重)を1回静脈内注射することによって糖尿病を誘導した。糖尿病の存在は、反射率計による尾の血中グルコースレベルの測定によって2日後に確認した。糖尿病ラットには、血中グルコースレベルを200mg/dl〜450 mg/dlの範囲に維持するために個々に調節した用量のインスリンを毎日夕方に注射した。血中グルコースレベルは、全ての糖尿病ラットにおいて1週間に少なくとも1回、および対照動物に関して比較のために時折モニターした。
糖尿病ラットを3群(各群6匹)に分けた:1群には、対照抗体13C4を投与し;2群および3群には、1D11(0.5 mg/kg週に3回i.p.)、またはエナラプリル(飲料水において15 mg/l)をそれぞれ27週〜52週間投与した;4群は正常ラットであった。
収縮期血圧を、尾の加圧帯法を用いて糖尿病誘導後2ヶ月毎に測定した。
タンパク質の尿中排泄は、タンパク質に関する改変クーマシーブルーG-色素結合アッセイによって、基準値、18、27、36、45、および52週目に代謝用ケージにおいて回収した24時間の尿試料において測定した。
尿中アルブミン排泄は、ラットアルブミンに対する特異的抗体を用いるELISAによって52週目に決定した。
血清クレアチニンは、自動アナライザー(CX5 Beckman)によって試験終了時に測定した。
腎臓の形態を、糸球体硬化症、間質の炎症、および尿細管の損傷として評価した。具体的には、摘出した腎臓をデュボスク-ブラジル(Dubosq-Brazil)において一晩固定して、アルコール中で脱水し、パラフィンに包埋した。腎試料を3 μmの間隔で切片にして、切片をマッソンの三重染色、ヘマトキシリンおよびエオジン、または過ヨウ素酸-シッフ試薬(PAS染色)によって染色した。尿細管(萎縮、尿円柱、および拡張)および間質の変化(線維症および炎症)を0〜4+までの段階に分けた(0、変化なし;1+、試料の25%未満に及ぶ変化;2+、試料の25%〜50%に及ぶ変化;3+、試料の50%〜75%に及ぶ変化;4+、試料の75%〜100%に及ぶ変化)。各動物に関して糸球体少なくとも100個を調べて、糸球体損傷の程度を、硬化症病変を示す糸球体の割合として表記した。腎生検は全て、実験群の特性を知らない同じ病理学者が分析した。
多重比較のために非パラメトリックのクラスカル-ウォリス検定を用いて、統計分析を行った。統計学的有意水準は、p<0.05であると定義された。試験の結果を図7および表2〜5に示す。結果は、初期糖尿病性腎症において治療的に投与した場合、1D11およびエナラプリルは、タンパク尿(図7)、尿中アルブミン排泄(表2)、腎組織学(表3)、収縮期血圧(表4)、および血清クレアチニン(表5)の減少において同様に有効であることを示している。
(表2)糖尿病ラット(初期治療)における尿中アルブミン排泄(mg/日)
Figure 2006525362
値は平均値±SEとして表記する。
対照と比較して* p<0.05;13C4と比較して°p<0.05;1D11と比較して# p<0.05。
治療はストレプトゾトシン(60 mg/kg i.v.)による疾患の誘導後27週から52週目まで行った。
(表3)糖尿病ラット(初期治療)における腎組織学(52週目)
Figure 2006525362
値は平均値±SEとして表記する。
対照と比較して** p<0.01;13C4と比較して°p<0.05。
治療はストレプトゾトシン(60 mg/kg i.v.)による疾患の誘導後27週から52週目まで行った。
(表4)糖尿病ラット(初期治療)における収縮期血圧(mmHg)
Figure 2006525362
* 治療前
値は平均値±SEとして表記する。
対照と比較して** p<0.01;13C4と比較して°°p<0.01。
治療はストレプトゾトシン(60 mg/kg i.v.)による疾患の誘導後27週から52週目まで行った。
(表5)糖尿病ラット(初期治療)における血清クレアチニン(mg/dl)
Figure 2006525362
値は平均値±SEとして表記する。
治療はストレプトゾトシン(60 mg/kg i.v.)による疾患の誘導後27週から52週目まで行った。
実施例9:ACE阻害剤と併用したTGF-βアンタゴニストによる末期糖尿病性腎症の逆転
本試験の目的は、末期糖尿病性腎症の進行に及ぼす1D11およびエナラプリルの単独または併用による後期介入(ストレプトゾトシン注射後52週目に開始する)の効果を調べることであった。
糖尿病ラットを実施例8に記述するように維持して、4群に分けて(各群n=5匹〜6匹)、糖尿病誘導後52週〜61週目に以下を投与した:無関係な抗体13C4;抗TGF-β抗体1D11(0.5 mg/kg i.p.週に3回);ACE阻害剤エナラプリル(飲料水において15 mg/dl);または1D11とエナラプリルの併用。正常ラット5匹を対照として用いた。収縮期血圧を糖尿病誘導後2ヶ月毎に測定した。タンパク質の尿中排泄を、基準値、18、27、36、45、52、および61週目に代謝ケージにおいて採取した24時間の尿において測定した。測定およびデータ分析は全て、実施例8に記述した通りに行った。
試験の結果を図8および表6〜9に示す。結果は、後期糖尿病性腎症において治療的に投与した場合、1D11およびエナラプリルは、タンパク尿(図8)、尿中アルブミン排泄(表6)、腎組織学(表7)、収縮期血圧(表8)、および血清クレアチニン(表9)の減少において同様に有効であることを示している。いずれの物質も有効であるが、併用療法は有意により有効であり、いくつかのパラメータは減少して対照値に近づいた。いずれの物質も血圧を低下させるが、その併用はこのパラメータにおいてあまり有効ではない。このことは、併用治療の有効性は、これらの物質の血行力学作用によるものではない可能性を示唆している。
(表6)糖尿病ラット(後期治療)における尿中アルブミン排泄(mg/日)
Figure 2006525362
値は平均値±SEとして表記する。
対照と比較して* p<0.05;13C4と比較して°p<0.05。
治療はストレプトゾトシン(60 mg/kg i.v.)による疾患の誘導後52週から61週目まで行った。
(表7)糖尿病ラット(後期治療)における腎組織学(61週目)
Figure 2006525362
値は平均値±SEとして表記する。
対照と比較して** p<0.05;13C4と比較して°p<0.05。
治療はストレプトゾトシン(60 mg/kg i.v.)による疾患の誘導後52週から61週目まで行った。
(表8)糖尿病ラット(後期治療)における収縮期血圧(mmHg)
Figure 2006525362
* 治療前
値は平均値±SEとして表記する。
対照と比較して* p<0.05、** p<0.01;13C4と比較して°°p<0.01。
治療はストレプトゾトシン(60 mg/kg i.v.)による疾患の誘導後52週から61週目まで行った。
(表9)糖尿病ラット(後期治療)における血清クレアチニン(mg/dl)
Figure 2006525362
値は平均値±SEとして表記する。
治療はストレプトゾトシン(60 mg/kg i.v.)による疾患の誘導後52週から61週目まで行った。
本明細書は、参照として本明細書に組み入れられる、引用された参考文献の教示に照らして最も十分に理解される。本明細書に記載の態様は、本発明の態様の例示を提供するのであって、本発明の範囲を制限すると解釈してはならない。当業者は、他の多くの態様が本発明に含まれることを容易に認識する。本開示において引用した全ての出版物および特許は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。本明細書における如何なる参考文献の引用も、そのような参考文献が本発明に対する先行技術であると認めたわけではない。分子機序および経路の表示は、本発明の理解を助けるために限って提供されるのであって、拘束力があると見なしてはならない。
図1Aおよび1Bは糖尿病ラットにおけるタンパク尿に及ぼす抗TGF-β抗体1D11およびCAT192単独、またはACEiと併用した場合の効果を示す。 糖尿病ラットにおける血圧に及ぼす抗TGF-β抗体1D11およびCAT192単独、またはACEiと併用した場合の効果を示す。 硬化性変化を有する糸球体の変化の百分率によって測定した、糖尿病ラットにおける腎組織学に及ぼす抗TGF-β抗体1D11およびCAT192単独、またはACEiと併用した場合の効果を示す。 尿細管損傷スコアによって測定した糖尿病ラットにおける腎組織学に及ぼす抗TGF-β抗体1D11およびCAT192単独、またはACEiと併用した場合の効果を示す。 糖尿病ラットの腎臓におけるIII型コラーゲン沈着に及ぼす抗TGF-β抗体1D11単独、またはACEiと併用した場合の効果を示す。 糖尿病ラットの腎臓における抗炎症細胞の腎間質内浸潤に及ぼす抗TGF-β抗体1D11単独、またはACEiと併用した場合の効果を示す。 糖尿病の誘導後27週〜52週目に(1)無関係な抗体13C4、(2)抗TGF-β抗体1D11、または(3)エナラプリルによって治療した糖尿病マウスにおけるタンパク尿レベルを示す。 糖尿病の誘導後52週〜61週目に(1)無関係な抗体13C4、(2)抗TGF-β抗体1D11、(3)エナラプリル、または(4)1D11とエナラプリルの併用によって治療した糖尿病マウスにおけるタンパク尿レベルを示す。

Claims (38)

  1. 腎機能不全を治療するために十分な量および期間、TGF-βアンタゴニストの治療的有効量およびRAASアンタゴニストの治療的有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、腎機能が減退した哺乳動物を治療する方法。
  2. TGF-βアンタゴニストの治療的有効量およびRAASアンタゴニストの治療的有効量を哺乳動物に投与して、それによって腎機能の喪失を遅らせる段階を含む、腎障害を有する哺乳動物における腎機能の喪失を遅らせる方法。
  3. 喪失を遅らせる腎機能が、加圧濾過、選択的再吸収、尿細管分泌、および全身血圧調節からなる群より選択される、請求項2記載の方法。
  4. RAASアンタゴニストがACE阻害剤である、請求項1または2記載の方法。
  5. ACE阻害剤がリシノプリルである、請求項4記載の方法。
  6. TGF-βアンタゴニストが、抗TGF-β抗体、抗TGF-β受容体抗体、および可溶性TGF-β受容体からなる群より選択される、請求項1または2記載の方法。
  7. 抗TGF-β抗体または抗TGF-β受容体抗体がヒトまたはヒト化抗体である、請求項8記載の方法。
  8. 抗TGF-β抗体がTGF-β1、TGF-β2、およびTGF-β3に特異的に結合する、請求項8記載の方法。
  9. 抗TGF-β抗体がTGF-β1およびTGF-β2に特異的に結合する、請求項8記載の方法。
  10. 抗体が1D11またはその誘導体である、請求項8記載の方法。
  11. 抗体がTGF-β1に特異的に結合する、請求項8記載の方法。
  12. 抗体がCAT 192またはその誘導体である、請求項11記載の方法。
  13. 哺乳動物がヒトである、請求項1または2記載の方法。
  14. 哺乳動物が糖尿病である、請求項1または2記載の方法。
  15. 哺乳動物が高血圧症である、請求項1または2記載の方法。
  16. TGF-βアンタゴニストおよびRAASアンタゴニストが、2週間より長く同時投与される、請求項1または2記載の方法。
  17. 腎機能を改善するために十分な量および期間、TGF-βアンタゴニストの治療的有効量およびRAASアンタゴニストの治療的有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、腎機能が減退した哺乳動物における腎機能を改善する方法。
  18. 腎機能が少なくとも10%改善される、請求項17記載の方法。
  19. 哺乳動物が腎機能不全を有する、請求項17記載の方法。
  20. 哺乳動物が腎不全を有する、請求項17記載の方法。
  21. 哺乳動物が末期腎疾患を有する、請求項17記載の方法。
  22. 哺乳動物が糖尿病である、請求項17記載の方法。
  23. 改善される腎機能が、加圧濾過、選択的再吸収、および尿細管分泌からなる群より選択される、請求項17記載の方法。
  24. タンパク尿が少なくとも10%減少する、請求項17記載の方法。
  25. 尿中アルブミン排泄が少なくとも10%減少する、請求項17記載の方法。
  26. RAASアンタゴニストがACE阻害剤である、請求項17記載の方法。
  27. ACE阻害剤がエナラプリルである、請求項17記載の方法。
  28. TGF-βアンタゴニストが、抗TGF-β抗体、抗TGF-β受容体抗体、および可溶性TGF-β受容体からなる群より選択される、請求項17記載の方法。
  29. 抗TGF-β抗体または抗TGF-β受容体抗体がヒトまたはヒト化抗体である、請求項28記載の方法。
  30. 抗TGF-β抗体がTGF-β1、TGF-β2、およびTGF-β3に特異的に結合する、請求項28記載の方法。
  31. 抗TGF-β抗体がTGF-β1およびTGF-β2に特異的に結合する、請求項28記載の方法。
  32. TGF-β抗体が1D11またはそのヒト化もしくはヒト誘導体である、請求項28記載の方法。
  33. TGF-β抗体がTGF-β1に特異的に結合する、請求項28記載の方法。
  34. TGF-β抗体がCAT192またはその誘導体である、請求項28記載の方法。
  35. 哺乳動物がヒトである、請求項17記載の方法。
  36. 哺乳動物が糖尿病である、請求項17記載の方法。
  37. 哺乳動物が高血圧症である、請求項17記載の方法。
  38. TGF-βアンタゴニストおよびRAASアンタゴニストが2週間より長く同時投与される、請求項17記載の方法。
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