JP2006524314A - 誘導加熱及び誘導溶解のための真空槽 - Google Patents

誘導加熱及び誘導溶解のための真空槽 Download PDF

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Abstract

金属の誘導加熱及び/又は誘導溶融のための真空槽は、真空誘導加熱及び/又は溶解プロセスで生じた磁界のかなりの部分が、真空槽の壁を誘導加熱によって過熱させることなく、該槽壁と接触することを許容にする。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書中に組み込まれる、2003年4月18日付け出願の米国予備出願第60/463,936号の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、真空電磁誘導加熱及び真空電磁誘導溶解の用途のための真空槽に関する。
各種の材料の電磁誘導加熱は、誘導加熱もしくは誘導溶解が、真空槽内、又は、特定のガス雰囲気(例えば窒素もしくはアルゴン)が維持される制御(管理)された環境槽内で起こることを必要とする。図1(a)は、真空誘導溶解の用途に使用可能な典型的な先行技術の真空誘導槽100を例示する。るつぼ102は、真空溶解プロセス中、金属装入・溶融物110を収容するために使用され得る。一又は複数の誘導コイル104の配列がるつぼの外側に巻かれて磁界を誘発する。該磁界は、上記一又は複数の誘導コイルが適切な交流電源に接続すると、誘導加熱及び誘導溶解のために金属装入・溶融物中に渦電流を発生させる。るつぼ中及び金属装入・溶融物中を透過(貫通)する一般的な流線(力線)106a(図において破線で示す)で示す該発生磁界の有益な部分は、金属装入・溶融物と連結(交差)して該金属装入・溶融物中に渦電流を誘導する部分である。るつぼを透過しない一般的な流線106b(図において破線で示す)で示す発生磁界の有益ではない部分は、金属装入・溶融物と連結しない部分である。
他の真空誘導溶解用途において、るつぼ102は、導電性金属サセプタとして機能し得、そのため、磁界の上記有益部分がるつぼ内に置かれた材料よりもむしろ主に該サセプタと磁気的に連結する。一般的なサセプタ材料は、グラファイトであるが、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼及びニオブも用いられ得る。サセプタを使用することにより、るつぼ内に置かれた非磁性材料が、サセプタに磁気的に誘導された熱の伝達によって加熱され得る。サセプタはまた、他の形態、例えば、材料からなるディスク、管もしくは層であり得る。
誘導溶解プロセスが制御された環境槽内で行われているので、該槽をできるだけ小さく保つことが優先される。更に、真空環境下での構造的完全性を実現するため、槽を鋼から製造することが一般的に必要である。鋼は高電気抵抗としばしば高透磁率を有するので、槽(鋼)を透過する発生磁界のどの部分も、槽を過熱し、場合によっては槽の構造的変形を引き起こすであろう。
もちろん、明らかな解決法は、一般的な流線106bで示す発生磁界のかなりの部分が真空槽を透過しなくなるまで、真空槽の壁を後ろ(外側)に移動させることであろう。しかしながら、これは、槽の寸法を必要以上に拡大するであろう。この拡大は、槽材料のコストを増すだけでなく、制御環境(すなわち、真空又は選択されたガス)が保たれなければならない容積をも増やす。この問題のより典型的な解決法は、図1(b)に示すように、真空槽の内壁に電磁分路を取り付けることであり、これは、槽壁へではなく該分路への磁界集中のためである。電磁分路108は、技術的に知られているもの、すなわち、高透磁率材料からなる、共に束ねられた複数の薄い電気絶縁シートである。真空用途においては、電気絶縁(ガラス)コーティングを有するケイ素鋼であるCARLITEが好ましい。非真空用途においては、電磁分路は、一又は複数の誘導コイルの外周に直接取り付けられ得る。しかしながら、真空用途では、るつぼと誘導コイルの組合せは、通常、真空槽内に取り外し可能に取り付けられるので、るつぼ・コイル組立体に上記分路を含めることは、該取り外し可能なつるぼ組立体に付加的重量を加えることになるであろう。分路についての実際上の問題は、隣接シート間のスペースが気密性の領域ではないことである。そのため、所望レベルまで槽を真空に引くには、それら上記スペースから空気を抜く必要がある。更に、ある誘導溶解プロセスは、微粒子の解放をもたらす。例えば、グラファイトサセプタが使用される場合、グラファイトダスト(粉)が、それらのスペース内へと入り込み、その後の誘導溶解プロセスにとっての潜在的な汚染となり得る。
従って、コンパクトで、真空槽内で電磁分路を使用する必要がない、誘導加熱及び誘導溶解用途のための真空槽が望まれている。
一側面において、本発明は、真空中又は制御された環境中で誘導加熱及び/又は誘導溶解のための槽を提供するための装置及び方法に係る。本発明において、誘導加熱及び/又は溶解プロセスに用いられる磁界が槽壁と実質上接触する際、槽壁は誘導によっては実質上加熱されない。本発明の他の側面は、本明細書に記載される。
同じ構成要素を同じ番号で示す図面を参照すれば、図2には、本発明の真空槽10の一例が示される。本発明のこの非限定的な例において、該槽は、上部12、中央部14及び底部16を備えている。上部12は、るつぼ2の取り付け及び取り外しのための取り外し可能な蓋として機能することができる。底部16は、るつぼ2、及び槽内に設けられる他のどのような機器に対しても構造的支持要素として機能することができる。上部及び底部の両方は、ステンレス鋼から形成され得る。るつぼを囲む一又は複数の誘導コイル4には、適切な電源(図示せず)から交流電流が供給される。コイルを流れる交流電流は、交流磁界を発生させ、該磁界は、つるぼ内に置かれた導電性材料、又は、るつぼがサセプタの場合はつるぼと磁気的に連結される。
中央部14は、少なくとも二層の構造からなり、ここで、内側層20は、銅もしくは銅組成物(銅配合)材料からなり、外側層22は、該中央部に十分な構造的支持を与えるのに適したどのような材料からでもなり得る。
任意の材料内への誘導渦電流の透過の深さは、適用磁界の周波数である誘導渦電流の周波数と、該材料の導電率及び透磁率とに依存する。更に詳しくは、誘導渦電流透過深さ(δ)は次式で与えられる。
δ=503(ρ/μF)1/2
ここで、ρは、該金属の電気抵抗で単位Ωmであり、μは、該金属の相対透磁率であり、かつ、Fは、一又は複数の誘導コイル4に電源から出力周波数Fで電流が供給された際に適用磁界からもたらされる誘導渦電流の周波数である。
銅の電気抵抗は小さく(通常、1.673×10-8Ωm)、その相対透磁率は1(非磁性材料)に近い。更には、真空操作のための操作周波数は比較的低く、一般に60Hz〜10,000Hzである。そのため、上記式から、一基準(標準)透過深さ(すなわち、渦電流密度が1/e(eはオイラーの定数、2.718...)まで低下した深さ)は非常に小さい(浅い)。
内側層20を構成する銅の厚さが一基準透過深さと少なくとも等しい場合、中央部14の誘導渦電流加熱は、一又は複数のコイル4の周囲に発生した磁界のかなりの部分にさらされた際、最小となる。
外側層22は、槽の構造的支持に適したどのような材料であってもよく、例えば、鉄組成物もしくはステンレス鋼等であり得る。
上述した例は、開示した本発明の範囲を限定するものではない。開示した本発明の範囲は、付随請求項に更に記載される。
保護壁分路を有しない、槽内の金属の誘導加熱及び誘導溶解のための典型的な先行技術真空槽の断面図である。 保護壁分路を有する、槽内の金属の誘導加熱及び誘導溶解のための典型的な先行技術真空槽の断面図である。 真空槽内の金属の誘導加熱及び/又は誘導溶解のための、本発明の真空槽の一例の断面図である。
符号の説明
2 るつぼ
4 誘導コイル
10 真空槽
12 上部
14 中央部
16 底部
20 内側層
22 外側層

Claims (8)

  1. 誘導炉の誘導るつぼの外部周囲でかつ真空槽の内部に配置される交流導電誘導コイルの周囲に磁界を発生させることにより、該るつぼ内に置かれる導電性材料を誘導加熱又は誘導溶解するため、該誘導炉が配置される当該真空槽であって、
    誘導炉の操作中、磁界が透過する真空槽の壁の少なくとも一部分が、銅組成物からなる内側層と、該壁に対する構造的支持手段を提供する外側層とを備えることを特徴とする真空槽。
  2. 前記内側層の厚さは、磁界の透過によって誘導される渦電流の一基準透過深さに少なくとも等しい請求項1の真空槽。
  3. 真空槽内に配置される誘導炉の外側を囲む、真空槽内部の誘導コイルに交流電流を通して、誘導炉のるつぼ内の導電性材料と磁気的に連結する磁界を発生させることにより、該導電性材料が誘導加熱又は誘導溶解される当該真空槽を形成する方法であって、
    銅組成物からなる内側層と、真空槽の壁に対する構造的支持手段を提供する外側層とから、誘導炉の操作中、磁界が透過する該壁の少なくとも一部分を形成する工程を含むことを特徴とする真空槽形成方法。
  4. 磁界の透過によって誘導される渦電流の一基準透過深さに少なくとも等しい前記内側層の厚さを形成する工程を更に含む請求項3の真空槽形成方法。
  5. サセプタの外部周囲でかつ真空槽の内部に配置される交流導電誘導コイルの周囲に磁界を発生させてサセプタを誘導加熱することにより、サセプタ内に置かれる材料を加熱するため、該サセプタが配置される真空槽であって、
    サセプタの誘導加熱中、磁界が透過する真空槽の壁の少なくとも一部分が、銅組成物からなる内側層と、該壁に対する構造的支持手段を提供する外側層とを備えることを特徴とする真空槽。
  6. 前記内側層の厚さは、磁界の透過によって誘導される渦電流の一基準透過深さに少なくとも等しい請求項5の真空槽。
  7. 真空槽内に配置されるサセプタ内に置かれた材料が加熱される当該真空槽を形成する方法であって、
    サセプタの外側を囲む、真空槽内部の誘導コイルに交流電流を通して、サセプタと磁気的に連結する磁界を発生させることにより、サセプタを誘導加熱する工程と、
    銅組成物からなる内側層と、真空槽の壁に対する構造的支持手段を提供する外側層とから、サセプタの誘導加熱中、磁界が透過する該壁の少なくとも一部分を形成する工程とを含むことを特徴とする真空槽形成方法。
  8. 磁界の透過によって誘導される渦電流の一基準透過深さに少なくとも等しい前記内側層の厚さを形成する工程を更に含む請求項7の真空槽形成方法。

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