JP2006522209A - アスファルト用のポリマー改質剤としての、管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマー - Google Patents

アスファルト用のポリマー改質剤としての、管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマー Download PDF

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Abstract

ポリマー改質剤が、任意選択的にエポキシ官能化エチレンコポリマー(例えば、EnBAGMA)とブレンドされた管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマー(例えば、EMA)であり、酸補助剤(例えば、PSA)を使用してまたは使用せずにアスファルトに添加される、道路の舗装用途のためのポリマー改質アスファルト。

Description

本発明は、ポリマー改質アスファルト組成物に関する。より具体的に本発明は、限定的ではなく、アスファルト用のポリマー改質剤として好ましくはエポキシ官能化エチレン/アルキルアクリレートコポリマーと組合わせた、管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーの使用に関する。
様々なポリマーを添加することによって舗装用途のために販売されているアスファルトを改良することは、当該技術分野および受け入れられた商業的な実施において公知である。典型的にポリマー添加剤は、耐轍掘れ性、耐疲労性、および亀裂抵抗を改良するために、又、時には、骨材からの耐剥離性を改良するために使用される。これらの改良は、ポリマーを添加した時のアスファルトの弾性および剛性の増大に起因するか、または相関関係にある傾向がある。舗装用のアスファルトは、一組のSHRP(戦略的道路研究計画(Strategic Highway Research Program))規格によって性能を評価される。例えば、PG58−34アスファルトは、58℃において良好な耐轍掘れ性および−34℃において良好な亀裂抵抗を提供するはずである。ポリマーをアスファルトに添加することにより、前者の数値を著しく増大させ(すなわち、より高温での耐轍掘れ性を提供する)、耐疲労性を著しく改良することが知られている。耐轍掘れ性および耐疲労性の改良は、剛性および弾性の増大に起因する。商業用途において、これらの増大は、比較的少量のポリマー(すなわち、1〜5重量パーセントのポリマー)で達成されなければならない。しかしながら、かかる少量のポリマーは、許容できる性能段階を達成するための低温性質を十分に改良しない(いくらかは性質は改良される)。従って、アスファルトのための良好な低温性質は主に、軽油などの油を添加することによって得られる。現在、商用のポリマー改質アスファルト(PMA)市場は、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)タイプのブロックコポリマー添加剤の使用によって占められている。典型的にアスファルト業界では、アスファルトの改質用のポリマーはエラストマーまたはプラストマーのどちらかの範疇に属すると考えられている。用語プラストマーは、プラストマーがエラストマーの性質がないという点で否定的な意味を持つ。しかしながら、プラストマーは、剛性および粘度を増大させることができ、耐轍掘れ性を改良するのでアスファルトを改質するために用いられることがあるが、それらは概して、耐疲労性、耐クリープ性、耐低温割れ性などの著しい改良がみられないため、エラストマーより劣っていると考えられる。SBSポリマーは、エラストマーであると考えられる。いくつかのポリマーアスファルト添加剤を分類する方法について業界には様々な見解がある。
例えば、(特許文献1)には、5〜95重量%の芳香族石油アスファルトおよび95〜5重量%のエチレン/アクリレートエステルコポリマーからなるビチューメン組成物が開示および特許請求されている。コポリマー画分は、エチレンと1〜40重量%のアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートエステルとの共重合から誘導されたエチレン/アルキルアクリレートまたはエチレン/アルキルメタクリレートコポリマーのどちらかであり、ここでアルキル基が1〜8個の炭素原子を含有する。これらの高濃度においては、エチレン/アルキルアクリレートおよびエチレン/アルキルメタクリレートは、道路の舗装用途において用いられる商業銘柄ポリマー改質アスファルト(PMA)を製造するための許容できるポリマー添加剤としては考えられない。
米国特許公報(特許文献2)および米国特許公報(特許文献3)において、エポキシ官能基が存在する結果として化学反応してアスファルトに結合する反応性ポリマーアスファルト添加剤を必要とする道路の舗装および屋根ふきの用途において有用なPMA組成物が開示されている。反応性ポリマー添加剤は、一般式E/X/Y/Zのエチレンコポリマーであり、式においてEがエチレン誘導単位を表し、コポリマーの20〜99.5重量%を占める。Xは50重量%まで存在することができ、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルエステル、およびアルキルビニルエーテルから誘導される。Yは0.5〜15重量%で存在し、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートまたはグリシジルビニルエーテルから誘導され得る。Zは任意選択的に、15重量%まで存在し、一酸化炭素、二酸化硫黄、アクリロニトリルなどの他のモノマーから誘導される。特に、反応性ターポリマーのエチレン/n−ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート(EnBAGMA)が注目され、それは(アスファルトに化学結合した後に)エラストマーアスファルト添加剤によく似て、得られたPMAの弾性および剛性の両方を著しく改良することが知られている。
米国特許公報(特許文献4)および米国特許公報(特許文献5)において、改良されたPMA組成物が教示されており、この文献において、アスファルトと有効なエポキシ基を有する剛性増強コポリマーとが酸(例えば、HPOおよびHSO)の有効量の存在下で反応させられ、アスファルトと前記コポリマーの有効なエポキシ基との間の化学結合を促進する。酸を使用することにより、酸が存在しない場合に比べて同様な反応時間に対して、より大きな剛性の値を達成するために必要とされるエポキシ官能化ポリマー添加剤(概して最も高価な成分)の量を最小にすることが示される。低温SHRP性能段階はプロセス油を添加することによって得られ、さらに、具体的にはエチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンメチルアクリレート(EMA)、エチレンn−ブチルアクリレート(EnBA)、およびエチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマーなどのエチレンコポリマーを前記ポリマーとブレンドして(特定されていない)適した結果を達成することができることも、この文献に確認される。米国特許公報(特許文献6)および米国特許公報(特許文献7)の2つにおいて、アスファルトとエチレン/メチルアクリレート/グリシジルメタクリレートターポリマー(EMAGMA)およびエチレン/n−ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートターポリマー(EnBAGMA)で得られるエポキシ基との間の化学結合を促進する時に酸補助剤としてポリリン酸(PPA)および/またはスーパーリン酸(SPA)を特に使用することが、それぞれ、例示されている。
独国特許第1,644,771号明細書 米国特許第5,306,700号明細書 米国特許第5,556,900号明細書 米国特許第6,117,926号明細書 米国特許第6,399,680号明細書 米国特許第6,011,095号明細書 米国特許第6,414,056号明細書 米国特許第3,350,372号明細書 米国特許第3,756,996号明細書 米国特許第5,532,066号明細書 米国特許第5,306,750号明細書 米国特許第4,070,532号明細書 米国特許第4,157,428号明細書
スーパーリン酸および/またはポリリン酸およびエポキシ官能化エチレンコポリマー添加剤、例えば、EnBAGMAを使用する、上記の酸で反応させられたPMA組成物を商業アスファルト舗装に適用する間に、酸の使用に伴う特定の欠陥および問題が発見または観察されることがある。例えば、SPAまたはPPA酸を非常に急速にEnBAGMAに添加すること、および/または非常に多くのEnBAGMAを使用することは、アスファルトのゲル化につながる傾向がある。又、上記の酸で反応させられたPMA系は、従来の特定のアミン剥離防止剤(antistrip agents)と不相溶性であることがわかった。従って、アミン剥離防止剤を添加すると、これもまたSPAまたはPPAの存在に関連すると思われるEnBAGMAによって付与された、優れたアスファルト性質を破壊する傾向がある。又、上述の反応性、ゲル化および不相溶性のために、全添加剤パッケージは、製造が容易でなく、濃厚物を後で使用することが容易でない。さらに、高腐蝕性PMAの使用、その貯蔵および溶融アスファルトに後で混入することは、かなりの実際的な問題点および懸念がある。
先行技術の酸で反応させられたPMAの舗装用途に関連した上述の問題のために、管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートおよびエチレン/アルキルメタクリレートコポリマー(従来のオートクレーブバッチ−反応器で製造されたエチレンコポリマーよりも大きな、ポリマー中のコモノマーの不均質性、長鎖の分岐の減少、および等しいエステルコモノマー含有量において、より高い融点を有することを特徴とする)は、酸を使用せずに得られたPMAの弾性および剛性を増大させることによってポリマーアスファルト添加剤として作用することが発見された。又、本発明の管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーをエポキシ官能化エチレンコポリマー、例えば、EnBAGMAと有利にブレンドすることができ、酸補助剤を用いてまたは用いずに反応性PMA組成物中で使用することができる。これらの管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーはまた、アスファルト乳剤を適用しやすく、アスファルト添加剤濃厚物を適用しやすい。
従って、本発明は、
(a)アスファルトと、
(b)前記アスファルト100重量部当たり管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマー0.5〜10重量部とを含むポリマー改質アスファルト組成物を提供する。
本発明はまた、(c)前記アスファルト100重量部当たりエポキシ官能化エチレンコポリマー0.5〜10重量部をさらに含む、上述のようなポリマー改質アスファルト組成物を提供する。
この実施形態において、管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーの、エポキシ官能化エチレンコポリマーに対する重量比は1.5〜6.7であり、管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーとエポキシ官能化エチレンコポリマーとの累計量は、アスファルトの100重量部当たり1.5〜4.0重量部である。
本発明はまた、
(a)アスファルトを前記アスファルト100重量部当たり管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマー0.5〜10重量部と溶融ブレンドする工程と、
(b)改良された弾性および剛性を有するポリマー改質アスファルトを回収する工程とを含む、ポリマー改質アスファルトの製造方法を提供する。
任意選択的に本発明の方法はまた、(c)前記アスファルトおよび前記エチレン/アルキルアクリレートコポリマーと前記アスファルト100重量部当たりエポキシ官能化エチレンコポリマー0.5〜10重量部を溶融ブレンドする工程を含む。
前記方法の特定の一実施形態において、管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーの、エポキシ官能化エチレンコポリマーに対する重量比は1.5〜6.7であり、別の特定の実施形態において、酸補助剤はアスファルトに添加されない。
本発明は、
(a)管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマー5〜95重量部と、
(b)エポキシ官能化エチレンコポリマー95〜5重量部とのブレンドを含むアスファルト添加剤組成物をさらに提供する。
本発明に有用なアスファルトは、道路の舗装面および同様な道路用途としておよび/またはそこにおいて用いられる、公認の基本的にどれかのアスファルトまたはビチューメン材料である。それ故に用語アスファルトおよびビチューメンは、本発明の目的のために同等であると考えられるべきである。概していずれの天然および/または合成して製造されたアスファルトまたはビチューメンも適している。天然アスファルトには、例として、自然のロックアスファルト、レーキアスファルトなどから得られたかかる材料があるがそれらに限定されない。合成して製造されたアスファルトには典型的に、石油精製作業のアスファルト副生成物があり、エアブローアスファルト、プロパンアスファルト、ストレートランアスファルト、サーマルアスファルトなどがある。
本発明に有用な管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーは、エチレンモノマーと少なくとも1つの付加的なアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートコモノマー(アルキル基が1〜8個の炭素原子を含有する)との共重合から誘導されたエチレンコポリマーである。より具体的には、本発明により、管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーは、当該技術分野に公知であるようなごく従来型のオートクレーブで製造されたエチレン/アルキルアクリレートから区別されるべきである。従って用語または語句「管形反応器で製造された」エチレン/アルキルアクリレートコポリマーは、この発明の目的のために、管形反応器内で高圧および高温で製造されたエチレンコポリマーなどを意味し、ここで、それぞれのエチレンおよびアルキルアクリレートコモノマーの異なった反応動力学の固有の結果が、管形反応器内の反応流路に沿ってモノマーを計画的に導入することによって緩和または部分的に補償される。当該技術分野に一般に認識されているように、かかる管形反応器の共重合技術は、ポリマー主鎖に沿って、より大きな相対的な不均質度(コモノマーのよりランダムな分布)を有するコポリマーを製造し、長鎖の分岐の存在を低減する傾向があり、高圧撹拌型オートクレーブ反応器内で同じコモノマー比において製造するよりも高い融点を特徴とするコポリマーを製造する。
管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーに混入されたアルキルアクリレートコモノマーの相対量は、大体において概して、全コポリマーの数重量パーセントから40重量パーセント程度まで、またはそれ以上変化することができる。同様に、アルキル基の選択は、また大体において、単純なメチル基から8個の炭素原子のアルキル基まで変わることができ、有意の分岐を有するかまたは有さない場合もある。アルキルアクリレートエステルコモノマー中に存在するアルキル基の相対量および選択は、どのようにおよびどの程度、得られたエチレンコポリマーがMPAブレンド中の極性ポリマー成分であると考えられるのかを確定すると考えられる。最も好ましくは、メチルアクリレート(すなわち、最も極性のコモノマーであると考えられる)は、管形反応器で製造された全エチレン/メチルアクリレートコポリマー、EMAの20〜30重量パーセントの濃度範囲において使用される(20〜30% MA)。管形反応器で製造されたこの性質のエチレン/アルキルアクリレートコポリマーは、本願特許出願人の商品名エルバロイ(Elvaloy)(登録商標)ACとして市販されている。
従来のオートクレーブで製造されたコポリマーに対して本発明により管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーをさらに説明および特徴づけるために、対応する融点のデータも記載した市販のエチレン/メチルアクリレートコポリマーの以下のリストが示すように、管形反応器のEMA樹脂は、ポリマー鎖に沿ったMA分布が非常に異なっているために、オートクレーブのEMAに対して、かなり高い融点を有する。
ニュージャージー州のエクソン・モービル(Exxon Mobil,N.J)、EMA(21.5重量%のMA) mp=76℃
ニュージャージー州のエクソン・モービル、EMA(24重量%のMA)mp=69℃
フランスのアトフィナ(Atofina,France)、EMA(20重量%のMA) mp=80℃
フランスのアトフィナ、EMA(24重量%のMA)mp=73℃
エルバロイ(登録商標)AC1125、本願特許出願人のEMA(25重量%のMA)mp=88℃
エルバロイ(登録商標)AC1820、本願特許出願人のEMA(20重量%のMA)mp=95℃
本発明に有用な、管形反応器で製造されたエチレン/メチルアクリレートコポリマーは、数値的にごくわずか〜約10のメルトインデックスを有する管形反応器で製造されたEMAによって示されるように分子量がかなり変化することができ、本明細書中で実施例の比較データに記載されるように特にオートクレーブで製造されたEMAに対して剛性と弾性との両方の著しい改良を示す。使用されるポリマー添加剤のメルトインデックス等級の特定の選択は、アスファルトを比較的低分子量のEMA(8MIを有するエルバロイ(登録商標)AC1820など)とより容易にブレンドできる実際的な能力に対して、より高い相対分子量のEMA(0.7MIを有するエルバロイ(登録商標)AC1125など)に対応する改良された弾性回復の開始のバランスをとることによって影響される。しかしながら、本発明によるPMAブレンドの剛性と弾性回復との両方が、広いメルトインデックスの範囲にわたって改良されることが観察されており、管形反応器で製造されたEMAがエラストマー添加剤の範疇に属し、単にプラストマーではないという見解と一致している。驚くべきことに、この効果は、スーパーリン酸などの酸補助剤を使用せずに達成される。又、予備測定が示すように、単独の添加剤として管形反応器で製造されたEMAを使用する時に、得られたPMAアスファルトブレンドの最終粘度の上昇があり、この添加剤の化学反応がポリマーエラストマー組成物の形成を促すことを示す。先行の証拠が示唆するように、本発明のこの特徴は、PMAアスファルトの改質の技術分野において一般に認識されているものよりも多様な異なったアスファルト源により広く当てはまる。すなわち、各々のアスファルト源は異なっており、従って各々のポリマー改質剤の有用性が、各々のアスファルト源に対して検証されなければならない。さらに、アスファルト中で使用される管形反応器EMAの量または濃度は概して、従来のオートクレーブで製造されたエチレン/アクリレートエステルコポリマービチューメン組成物を用いる時に(特許文献1)に教示された量または濃度よりもかなり低く、さらに、この管形反応器で製造されたEMAが道路の舗装用アスファルトのための商業銘柄ポリマー改質剤であることを示す。より具体的には、本試験は、アスファルト中の配合量を6重量パーセント以下にした管形反応器EMAが、PSA処理を行なわずに、改良された剛性および弾性を有する商業銘柄PMA組成物を製造することを示す。驚くべきことに、管形反応器で製造されたEMAがエポキシ官能化エチレンコポリマー(例えば、1〜2重量%のEnBAGMA)を配合されるとき、管形反応器で製造されたEMAの必要とされる濃度または配合量は、同じくPSA処理を必要とせずに約4重量パーセント未満に低下する。
先述のような管形反応器EMAの実際の製造は好ましくは、高温において高圧の管形反応器内で行なわれ、反応体コモノマーが管に沿って付加的に導入し、単に撹拌型高温および高圧オートクレーブタイプの反応器内で製造されるのではない。しかしながら、同様なEMA材料を一連のオートクレーブ反応器内で製造することができると理解されるべきであり、ここで、コモノマーの置換は、米国特許公報(特許文献8)、米国特許公報(特許文献9)、および米国特許公報(特許文献10)に教示されているような反応体コモノマーの多領域導入によって達成され、それ故に、これらの高融点材料は、この発明の目的のために等価であると考えられるべきである。
本発明に有用なエポキシ官能化エチレンコポリマーおよび同コポリマーの使用方法は概して、公知のいずれかのポリマーであり、当該技術分野において実施され、例えば、米国特許公報(特許文献11)、米国特許公報(特許文献3)、米国特許公報(特許文献6)、米国特許公報(特許文献4)、米国特許公報(特許文献7)および米国特許公報(特許文献5)に開示および教示されたそれらのコポリマーおよび使用方法である。エポキシ官能化エチレンコポリマー(例えば、EnBAGMA)をかかる低濃度(例えば、1〜2重量%)において添加することによるアスファルトの性質の著しい改良は、反応性コポリマー添加剤とアスファルテンと称されるアスファルトの官能化極性画分との間の化学反応のためであると考えられる。後の文献に教示されているように、一般には酸、および具体的にはスーパーリン酸(SPA)が現在、用いられ、アスファルトに添加された時にエポキシ官能化エチレンコポリマーの性能を増強する。SPAを添加せずにエポキシ含有反応性ポリマー添加剤が用いられる時にアスファルトの性質の若干の改良が得られるが、しかしながら混合時間が非常に長く(SPAを用いて3〜6時間であるのに対して、24時間強)、最終的なアスファルトの性質は同じように良好ではない。従って、上に言及した先行技術において個々におよびまとめて説明したように、反応性エポキシ官能化エチレンコポリマーがアスファルトに化学結合することにより、1つまたは複数の改良された性質を典型的に示すPMAアスファルトを製造する。その性質には例えば、複素弾性率のG粘性成分の測定可能な損失のない改良された動的剪断レオメーター剛性値、改良された低温クリープ剛性および「m」値、10ラジアン/秒において、複素弾性率Gの、位相角の正弦に対する比、(G)/(sinδ)に対して、より高温の剛性値、25℃においての改良された低位相角および弾性回復などがある。
好ましくは、本発明に有用な反応体コポリマーは、(i)エチレンと、(ii)少なくとも1つのアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカルボキシレート、またはビニルアルキルエーテル(アルキルまたはカルボキシルが1〜8個の炭素原子である)と、(iii)例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、またはビニルグリシジルエーテルなどがあるがそれらに限定されない、少なくとも1つのエポキシ官能化コモノマー、との共重合から誘導されたターポリマーであり、テトラポリマーまたはより高次のコポリマーである場合もある。概して前記コポリマーのエチレン含有量は、全コポリマーの20〜99.5重量%であり、他のコモノマー(ii)は、全コポリマーの0〜50重量%の範囲であり、反応性エポキシ含有コモノマーは、全コポリマーの0.5〜15重量%を占める。
かかるコポリマーは当該技術分野に公知であり、例えば、米国特許公報(特許文献12)および米国特許公報(特許文献13)に記載されている。最も好ましくは、エポキシ官能化エチレンコポリマーは、エチレン、n−ブチルアクリレートおよびグリシジルメタクリレート、EnBAGMAのターポリマーである。これらのコポリマーは、本願特許出願人から商品名エルバロイ(登録商標)AMとして市販されている。
典型的にはエポキシ官能化エチレンコポリマー添加剤は、アスファルト中で比較的低レベルの配合量で本発明において使用される。概して、アスファルトに対してエチレンコポリマー0.5〜10重量%が十分であり、アスファルト中にエルバロイ(登録商標)AM1〜2重量%の濃度が好ましい。本発明によって、本明細書中の実施例において説明したように、エルバロイ(登録商標)AMがアスファルトに対して5重量%近くかそれ以下の全ポリマー添加剤濃度において管形反応器エチレン/メチルアクリレートコポリマーエルバロイ(登録商標)ACと組合わせて使用されるとき、さらに低い配合量レベルが特に好ましい。
アスファルト路面の舗装用途において一般に使用されるような他のアスファルト添加剤が本発明のPMA組成物と共に使用できると考えられることが理解されるべきである。従って明らかに骨材をPMAと共に使用することが予想される。又、酸補助剤が低レベルで使用されるかまたは全く使用されない時に特に、アミン化学に通常に基づく剥離防止剤など、剥離防止剤を混入することもまた、考えられる。しかしながら、PMAの性質を最適にし、これらの性質を達成するための加工時間を最小にすることが望ましい時には特に、PMA組成物と共に酸、特にSPAを計画的に使用できると考えられる。又、改良された性質は主に剛性および弾性に関連するので、低温規格値を達成して満たすために様々なアスファルト油、燃料油、アスファルト用溶剤などを使用することもまた、本発明のPMA組成物の使用の一部であると考えられる。同様に、SBSタイプの添加剤の計画的な使用もまた、予想される。
アスファルト、管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーおよびエポキシ官能化PMAブレンドを製造するために使用される方法および工程の順序は、先行技術の、特に上に参照されたこれらの特許において一般に記載された方法および装置のいずれによってであってもよい。これらの文献にそれぞれ見出される外見上相容れない教示およびデータにも関わらず、例えば、米国特許公報(特許文献4)の実施例Eの表10に見出される適切な警告および教示を考慮するならば、これは、ポリマーを添加する前および後に酸をアスファルトに連続的に添加することを含める。しかしながら、実用上/実際上の問題として、石油精製作業の間に単離/製造された既に高温のアスファルトと共に本発明を実施する時には特に、PSA処理の前にポリマー添加剤を添加し、アスファルトとブレンドするのが最も好ましい。
本発明の利点および長所は多数あり、顕著であると考えられる。何よりもまず第一に、エポキシ官能化エチレンコポリマー、および/または後続のSPA酸処理を使用してまたは使用せずに、アスファルトポリマー添加剤として管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーを使用することにより、オートクレーブで製造された従来のエチレン/アルキルアクリレートコポリマーによってこれまで達成可能でないPMA舗装用途に見合った濃度レベルにおいて、得られたPMAの弾性および剛性を増加させることができる。
又、エポキシ官能化エチレンコポリマーが同様に使用される時には特に、本発明によって酸の使用をかなり低減することにより、アスファルトのゲル化の発生を有利に軽減および低減し、同時に、従来のアミン−タイプの剥離防止剤の使用との両立性を改善すると考えられる。本発明に有用なポリマー添加剤組成物はまた、濃厚物の製造および使用に適しており、乳化性であるのがよく、分離および解乳化を抑えるアスファルト乳剤の適用に役立つ。有利には、本発明のPMAの使用は、高強度ミキサーを必要とせず、SBS添加剤に起こるようなHSの発生による架橋を伴うこともなく、同時に、SBSに対してより高い熱安定性を示す。
以下の実施例は、本発明の様々な態様および特徴をより完全に示してさらに説明するために提供される。それ故に、主張は、本発明の相違点と利点をさらに示すことを意図するが、不当に限定しようとするものではない。
実施例の様々な実施において見出されるPMA組成物の調製において、500グラムの試料を、従来の櫂形ミキサーを利用して開口缶内で3時間、190℃において混合した。アスファルト中のポリマーの均質なブレンドを得るために3時間が、十分であるとわかった。動的剪断レオメーター値(DSR)を測定する時に、PMAの弾性と粘性成分の両方を確認する正弦波試験、AASHTOのTP5によって規定された試験仕様が使用された。測定は、毎秒10ラジアンのサイクル時間の率で行なわれた。これは概して、55mphのトラヒック(traffic)による1サイクルの負荷の時間を表す。この試験は、複素弾性率Gの弾性および粘性成分の寄与率を明らかにする。(表に規定された)G/sinδの値は、予想される最高舗道温度(7日の最高温度の平均)において原試料で1以上、RTFO(すなわち、圧延薄膜炉、163℃(325°F)、85分、ASTM2872−97)試料で2.2でなければならない。RTFOは高温混合および建設による短期の老化をシミュレートする。伸び計による歴青材料の弾性回復はアスファルト弾性の尺度であり、原試料および/またはRTFO試料で25℃または10℃のどちらかで行なわれた。成形された試料を5cm/分の速度において全長10cmまで伸長し、次いで切断し、回復のパーセントを測定する(ASTMD6084−97)。
(実施例1および2)
6つのポリマー改質アスファルトの組を先述のように調製した。第1の試験は、PMA舗装用途のための代表的なポリマー添加剤の濃度(1.5重量%)のエポキシ官能化エチレンコポリマーの商業銘柄、EnBAGMAを使用する対照標準であった。第2および第3の試験は、本発明によって4重量%のポリマー添加剤の濃度において2つの異なったアスファルトをブレンドされた、0.7のメルトインデックスを特徴とする管形反応器で製造されたエチレン/メチルアクリレートコポリマー(25重量% MA)を必要とした。最後の3つの試験は、エチレンビニルアセテートコポリマー(33重量%VA)および比較用の2つの、オートクレーブで製造されたエチレン/メチルアクリレートを必要とした。これらの試験の詳細および得られたデータを以下の表1に示す。これらのデータは、オートクレーブEMAまたはEVAポリマーよりも優れた、反応性EnBAGMAポリマー添加剤と同様に挙動する管形反応器EMAを示す。
Figure 2006522209
(実施例3〜22)
実施例1および2と同様に、20の付加的なポリマー改質アスファルトの組を、管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーとエポキシ官能化エチレン/アルキルアクリレート/グリシジルメタクリレートターポリマーとのブレンドを用いて調製した。最初の8つの試験は、酸を後で添加せずに行なわれた。次の12のポリマー改質アスファルトを2つの異なった酸濃度においてスーパーリン酸(105%のHPOと等しい)で処理した。3つの異なった市販のアスファルトを使用した。これらの試験の詳細および得られたデータを以下の表2に示す。これらのデータは、全ポリマー配合量を低減して管形反応器EMAコポリマーと反応性EnBAGMAとの組合せがポリマー添加剤として使用されるとき、剛性および弾性の両方が改良されたことを示す。
Figure 2006522209
(実施例23〜25)
3つの追加のポリマー改質アスファルトを、管形反応器で製造されたEMAとEnBAGMAとのブレンドを用いて先の実施例と同様にして調製した。各試験において、管形反応器EMA2.5重量%およびEnBAGMA1.0重量%を同じアスファルトに添加し、PMAアスファルトを老化させた時に弾性回復および位相角を測定した。得られたデータを表3に示す。
Figure 2006522209
様々なタイプのポリマー添加剤についてアスファルト中のポリマー添加剤の重量パーセントに対して剛性係数、すなわち、複素剪断弾性率(G)を位相角の正弦(sinδ)で割った比、(G)/(sinδ)のプロットを表す。

Claims (11)

  1. a)アスファルトと、
    b)前記アスファルト100重量部当たり管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマー0.5〜10重量部と
    を含むことを特徴とするポリマー改質アスファルト組成物。
  2. (c)前記アスファルト100重量部当たりエポキシ官能化エチレンコポリマー0.5〜10重量部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマー改質アスファルト組成物。
  3. 前記管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーの、前記エポキシ官能化エチレンコポリマーに対する重量比が1.5〜6.7であり、前記管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーと前記エポキシ官能化エチレンコポリマーとの累計量が、前記アスファルト100重量部当たり1.5〜4.0重量部であることを特徴とする請求項2に記載のポリマー改質アスファルト組成物。
  4. 酸補助剤が前記アスファルトに添加されることを特徴とする請求項2または3に記載のポリマー改質アスファルト組成物。
  5. (a)管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマー5〜95重量部と、
    (b)エポキシ官能化エチレンコポリマー95〜5重量部と
    のブレンドを含むことを特徴とするアスファルト添加剤組成物。
  6. 前記管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーの、前記エポキシ官能化エチレンコポリマーに対する重量比が1.5〜6.7であることを特徴とする請求項5に記載のアスファルト添加剤。
  7. (a)アスファルトを前記アスファルト100重量部当たり管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマー0.5〜10重量部と溶融ブレンドする工程と、
    (b)改良された弾性および剛性を有するポリマー改質アスファルトを回収する工程と
    を含むことを特徴とする、ポリマー改質アスファルトの製造方法。
  8. (c)前記アスファルトおよび前記エチレン/アルキルアクリレートコポリマーと、前記アスファルト100重量部当たりエポキシ官能化エチレンコポリマー0.5〜10重量部を溶融ブレンドする工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記管形反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーの、前記エポキシ官能化エチレンコポリマーに対する重量比が1.5〜6.7であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 酸補助剤が前記アスファルトに添加されないことを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 酸補助剤が前記アスファルトに添加されることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
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