本発明は、アゴニスト抗trkC抗体が、タキソールにより処置された個体に存在する腸障害を処置するという発見に基づく。本発明は、アゴニスト抗trkC抗体を使用して、タキソール誘導性腸障害の処置、予防、その障害の症状発生の遅延、その障害からの回復率の向上および/もしくはその障害を緩和するために有用な方法および組成物を包含する。
それゆえ一局面では、本発明は、個体のタキソール誘導性腸障害を処置する方法を提供し、その方法は、有効量のアゴニスト抗trkC抗体を投与する工程を包含する。他の局面では、本発明は、個体のタキソール誘導性腸障害と関連した症状発生を遅延する方法を提供し、その方法は、有効量のアゴニスト抗trkC抗体でのその個体の処置を包含する。他の局面では、本発明は、個体のタキソール誘導性腸障害の症状を改善する方法を提供し、その方法は、有効量のアゴニスト抗trkC抗体を投与する工程を包含する。他の局面では、本発明は、既存のタキソール誘導性腸障害を改善する、および/または既存のタキソール誘導性腸障害からの回復率を向上する方法を提供し、その方法は、有効量のアゴニスト抗trkC抗体での処置による。他の局面では、タキソールによる癌の処置はまた、アゴニスト抗trkC抗体とタキソールを組み合わせて投与することにより、本明細書中に記載されているように強化され得る。他の局面では、上記アゴニスト抗trkC抗体は、タキソール誘導性腸障害を発症する恐れのある個体(無症状の個体)へ投与される。
上記アゴニスト抗trkC抗体は、タキソール投与前に、投与中におよび/または投与後に、投与され得る。あるいはその抗体は、上記のタキソールと組み合わせて、投与され得る。そのアゴニスト抗trkC抗体は、上記の腸障害のための任意の他の治療様式を施す前に、施す間におよび/または施した後に、投与され得る。あるいは、その抗体は、その腸障害のための任意の他の治療様式組み合わせて、投与され得る。
アゴニスト抗trkC抗体の投与は、以下に挙げる方法のうちの1つ以上によって、行われ得る:静脈内、皮下、吸入により、動脈内、筋肉内、心臓内、心室内、および腹腔内。投与は全身性(例えば静脈内)であってもよいし、局所性であってもよい。投与は短期間であってもよいし、長期間であってもよい。
(一般的な技術)
本発明の実施は、他に示されない限り、当該分野の技術範囲における、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術を使用する。これらの技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrookら、1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編集、1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編集、1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編集、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,およびD.G.Newell編集、1993−8)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編集);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編集、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編集、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullisら、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編集、1991);Short Protocols in Molecular Biology(WileyおよびSons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies;a practical approach(D.Catty編集、IRL Press、1988−1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編集、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編集、Harwood Academic Publishers、1995);およびCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVitaら編集、J.B.Lippincott Company、1993)のような文献に十分に説明されている。
(定義)
「抗体」(複数形と互換的に使用される)は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する、少なくとも1箇所の抗原認識部位を通じて、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的に特異的に結合し得る免疫グロブリン分子である。本明細書中で使用されているように、この用語は、インタクトなポリクローナルもしくはモノクローナル抗体のみでなく、その断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、1本鎖(ScFv)、その抗体の変異体、抗体の一部を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重抗体(diabody)直鎖抗体、1本鎖抗体、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)および要求される特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリンの任意の他の改変された構造体もまた含む。抗体は、IgG、IgAもしくはIgMのような、任意のクラスの抗体を含み、そしてその抗体は、いずれの特定のクラスである必要はない。その抗体の重鎖の定常領域のアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは異なったクラスに分類され得る。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、そしてこれらのうちいくつかはさらに、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2のようなサブクラス(アイソタイプ)に分割され得る。免疫グロブリンの上記の異なるクラスに対応する、免疫グロブリンの重鎖の定常ドメインは、それぞれアルファ、デルタ、ガンマ、イプシロンおよびミューと呼ばれる。カッパおよびラムダと命名された、軽鎖の2つのクラスもある。免疫グロブリンの異なるクラスの、そのサブユニットの構造および3次元構造は、周知である。
「モノクローナル抗体」は、同質の抗体の集団をいい、その集団の中のモノクローナル抗体は、抗原への選択的結合に関わるアミノ酸(天然に存在するものおよび天然に存在しないもの)を含有する。モノクローナル抗体は極めて特異的で、1つの抗原性部位に対している。「モノクローナル抗体」という用語は、インタクトなモノクローナル抗体および全長のモノクローナル抗体だけでなく、そのモノクローナル抗体の断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvのような)、1本鎖(ScFv)、そのモノクローナル抗体の変異体、抗体の一部分を含む融合タンパク質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、および、必要とされる特異性および抗原に結合する能力のある抗原認識部位を含む、免疫グロブリンの任意の他の改変された構造体も含む。モノクローナル抗体は、その抗体のソースもしくはその生成される様式(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組み換え体発現、遺伝子組み換え動物などによる)に関して、限定されると解釈されない。
「ヒト化」抗体とは、実質的に非ヒト種由来の免疫グロブリンから得られた抗原結合部位を有している分子であって、そしてその抗体分子におけるその残りの免疫グロブリン構造が、ヒトの免疫グロブリンの構造および/もしくは配列に基づいている分子をいう。その抗原結合部位は、定常ドメインに融合された完全な可変ドメインまたはその可変ドメインの適切なフレームワーク領域へと移植されたその抗体の相補性決定領域(CDR)のみのいずれかを含み得る。抗原結合部位は、野生型であってもよいし、1つ以上のアミノ酸置換により改変されていてもよい(例えばヒトの免疫グロブリンにより近く似ているように改変される)。ヒト化抗体のある形態においては、すべてのCDR配列が保存されている(例えば、マウス抗体由来の6つすべてのCDRを含有するヒト化マウス抗体)。ヒト化抗体の他の形態には、1つ以上のCDR(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ)を有し、これらのCDRは、その由来となる抗体に関連して変更される。
「キメラ抗体」は、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列のそれぞれの一部が、特定の種由来かもしくは特定のクラスに属している抗体の対応する配列に相同であり、同時に、その重鎖および軽鎖の残りのセグメントは、他の種由来もしくは他のクラスに属している抗体の対応する配列に相同である抗体をいう。代表的に、このようなキメラ抗体では、重鎖および軽鎖両方のその可変領域は、ある哺乳動物種から由来した抗体の可変領域を模倣し、同時に、その定常部位は他の哺乳動物種から由来した抗体の配列と相同である。このようなキメラ形態の明らかな1つの利点は、例えばその可変領域は、例えばヒト細胞調製物由来の定常領域と組み合わせて、容易に入手可能なハイブリドーマもしくは非ヒト宿主生物由来B細胞を利用することにより、現在公知であるソースから簡便に生成し得ることである。そのキメラ抗体の可変領域は、調製の容易さという利点があり、その可変領域の特異性は、そのキメラ抗体のソースに影響されない一方で、ヒトのものであるその定常領域は、非ヒト種由来の定常領域よりも、その抗体が注入されたときに、ヒトの被験体から、あまり免疫反応を誘発しない傾向がある。しかしながら、そのキメラ抗体の定義は、この特別な例に制限されない。
抗体もしくはポリペプチドに「特異的に結合する」もしくは「優先的に結合する」(本明細書中においては、互換的に使用される)エピトープは、当該分野において十分理解されている用語であり、そしてこのような特異的なもしくは選択的な結合を測定する方法もまた、当該分野において周知である。分子が、代わりの細胞もしくは物質と反応もしくは結合するよりも、より頻繁に、より迅速に、より長い持続時間でおよび/もしくはより大きな親和力で、特定の細胞もしくは物質と反応および結合するときに、分子は「特異的な結合」もしくは「優先的な結合」を示すと言われる。抗体は、それが他の物質に結合するよりも、より大きな親和力、結合力で、より直ちに、および/もしくはより長い持続時間で結合するとき、標的に「特異的に結合する」もしくは「優先的に結合する」。例えば、trkCエピトープに特異的にもしくは優先的に結合する抗体は、他のtrkCエピトープもしくは非trkCエピトープに結合するよりも、このtrkCエピトープにより大きな親和力、結合力で、より直ちに、および/もしくはより長い結合時間で結合する抗体である。この定義を読むことによって、例えば、第1の標的に特異的にもしくは優先的に結合する抗体(もしくは一部分もしくはエピトープ)は、第2の標的に特異的にもしくは優先的に結合してもよいし、しなくてもよいことも、理解される。このように、「特異的結合」もしくは「優先的結合」は、必ずしも排他的な結合である必要はない(排他的結合を含み得るが)。一般に、しかし必ずではなく、結合に対する言及は優先的結合を意味する。
「アゴニスト抗trkC抗体」(互換的に「抗trkCアゴニスト抗体」と称される)は、trkC受容体および/もしくはそのtrkCのシグナル伝達機能により媒介される下流の経路に、結合しおよび活性化する能力のある抗体をいう。例えば、そのアゴニスト抗体は、trkC受容体の細胞外ドメインに結合し、そしてそれによりその受容体の2量体化を生じ、その細胞内触媒キナーゼドメインの活性化を起こす結果になり得る。従って、これはインビトロおよび/もしくはインビボにおいて、その受容体を発現している細胞の増殖および/もしくは分化を刺激する結果になり得る。いくつかの実施形態では、アゴニスト抗trkC抗体はtrkCに結合し、およびtrkCの生物学的活性を活性化する。いくつかの実施形態では、本発明の方法において有用なアゴニスト抗体は、trkCのドメインVおよび/もしくはドメインIVを認識する。Urferら、J.Biol.Chem.273:5829−5840(1998)参照。
本明細書中で使用されているように、「trkC」は、チロシンキナーゼスーパーファミリーのメンバーであるtrkC受容体ポリペプチドをいう。trkCは、任意の哺乳動物種のネイティブなtrkC受容体を含み、その動物種としてはヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、霊長類、およびげっ歯類(マウスおよびラットを含む)が挙げられるが、これらに制限されない。全長のネイティブなtrkCの細胞外ドメインは、様々な他のタンパク質において同定された、相同な構造もしくはそうでなければ類似した構造との関連で規定された。これらのドメインは、成熟trkC受容体のN末端から、1)アミノ酸1からアミノ酸48へ及ぶ、第1のシステインリッチドメイン;2)アミノ酸49からアミノ酸120へ及ぶ、ロイシンリッチドメイン;3)アミノ酸121からアミノ酸177へ及ぶ、第2のシステインリッチドメイン;4)およそアミノ酸196からアミノ酸257へ及ぶ、第1の免疫グロブリン様ドメイン;および5)およそアミノ酸288からアミノ酸351へ及ぶ、第2の免疫グロブリン様ドメインとして示されている。例えば、PCT WO0198361参照。そのtrkC受容体のドメイン構造は、結晶構造を参考に以下のようにも示されている:アミノ酸1からアミノ酸47のドメイン1;アミノ酸48からアミノ酸130のドメイン2;アミノ酸131からアミノ酸177のドメイン3;アミノ酸178からアミノ酸165のドメイン4およびアミノ酸166からアミノ酸381のドメイン5。例えば、PCT WO0198361;Urferら、J.Biol.Chem.273:5829−5840(1998)参照。trkCには、trkCの改変体もまた含まれ、その例としては、キナーゼドメインのない改変体(Sheltonら、J.Neurosci.15(1):477−491[1995])、および改変されたキナーゼドメインのある改変体(Sheltonら、J.Neurosci.15(1):477−491[1995])が挙げられるが、これらに限定されない。
「生物学的活性」は、本発明の上記アゴニスト抗trkC抗体と組み合わせて使用されるときは、一般に、上記trkC受容体チロシンキナーゼおよび/もしくはそのtrkCのシグナル伝達機能により媒介される下流の経路に結合する能力および活性化する能力を有することをいう。本明細書中で使用されるように、「生物学的活性」は、trkC発現細胞で、trkCのネイティブなリガンドであるNT−3の働きにより誘導されるエフェクター機能と同じような、1つ以上のエフェクター機能を含む。trkCの「生物学的活性」はまた、NT−3の働きにより誘導されるものとは異なる、下流のシグナル伝達経路またはエフェクター機能を含む。無制限に、生物学的活性は以下の任意の1つ以上を含む:trkCに結合し、これを活性化する能力;trkC受容体の二量体化を促進する能力;特に末梢(交感、感覚および腸管)ニューロンおよび中枢(脳および脊髄)ニューロンを含む、インビトロもしくはインビボにおけるニューロンの損傷した細胞ならびに非ニューロン細胞(例えば末梢血白血球)の、発生、生存、機能、維持および/もしくは再生を促進する能力。特定の好ましい生物学的活性は、タキソール誘導性腸障害を処置(予防を含む)する能力ならびに/または、タキソールによって損傷した神経細胞の機能を修復および/もしくは改善する能力である。典型的な損傷を受けたニューロンは、感覚ニューロン(巨大繊維感覚ニューロンを含む)、交感ニューロン、腸管ニューロン、もしくは中枢ニューロン由来の任意のもの(例えば、後根神経節ニューロン、脳神経節ニューロン、および脊髄由来のニューロン)を含む。
「タキソール誘導性腸障害」は、化学療法剤タキソールもしくは他のタキサンによる処置の結果生じる、胃腸管の障害をいう。本明細書中で使用されるように、「タキソール誘導性腸障害」は、この上記の障害と関連する任意の1つ以上の症状をいい、かつこれらの症状を含む。いくつかの実施形態において、「タキソール誘導性腸障害」は、以下のいずれかにより特徴付けられる:腹部の膨満、腹膜の腹水症、腸管の肥大(胃、大腸、小腸、盲腸および/もしくは結腸のうち1つ以上の肥大を含む)、および減少したGI経路の長さ。いくつかの実施形態において、「タキソール誘導性腸障害」は、腸管の閉塞および/または便の軟化もしくは下痢により、特徴付けられる。「タキソール誘導性腸障害」は、腸管の低運動性もしくは腸管の運動過剰および/またはGI経路の液体の吸収が増加もしくは減少することを含み得る。
本明細書中で使用されているように、「タキソール」は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、NJ)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer、Antony、France)、および他のタキサンをいう。タキソール(他のタキサンを含む)は、それ単独で投与されてもよいし、他の薬剤と組み合わせて投与されてもよい。タキソールは、カポジ肉腫および乳房、卵巣および肺の悪性腫瘍を含む、様々な悪性腫瘍の処置に、認可され、一般に使用されている。タキソールはまた、前立腺、頭頚部の他の悪性腫瘍の処置にも、様々な血液悪性腫瘍の処置にも、使用されている。タキソールはまた、骨髄移植の間にも与えられる。
本明細書中で使用されるように、「処置」は、有益な臨床学的結果、もしくは望ましい臨床学的結果を得るためのアプローチである。本発明の目的に関しては、有益なもしくは望ましい臨床学的結果として、以下の1つ以上が挙げられるが、それらに制限されない:1つ以上のタキソール誘導性腸障害と関連する症状の緩和;タキソール誘導性腸障害の範囲の減少;タキソール誘導性腸障害の安定した(すなわち、悪化していない)状態;タキソール誘導性腸障害の発生もしくは再発の予防;タキソール誘導性腸障害のその発生の遅延;タキソール誘導性腸障害の進行の遅延もしくは減速;タキソール誘導性腸障害の改善;ならびにタキソール誘導性腸障害の寛解(部分的な寛解であろうと全体の寛解であろうと);タキソール誘導性腸障害からの回復率の向上;タキソール誘導性腸障害の発生率および/もしくはタキソール誘導性腸障害と関連した症状の減少。
タキソール誘導性腸障害もしくはタキソール誘導性腸障害の1つ以上の症状を「緩和」するとは、本発明に従ってアゴニスト抗trkC抗体により処置されている個体もしくは個体の集団において、タキソール誘導性腸障害の望ましくない臨床学的発現の範囲および/もしくは時間経過を減少させることを意味する。
タキソール誘導性腸障害の「症状の重症度を減少させる」もしくは「症状を改善する」とは、アゴニスト抗trkC抗体の非投与に比べて、1つ以上のタキソール誘導性腸障害の症状を、減少および/もしくは改善することを意味する。「重症度を減少させる」とはまた、症状の期間の短縮もしくは減少も含む。タキソール誘導性腸障害の症状については、上に記載されている。
本明細書中で使用されているように、タキソール誘導性腸障害の発生を「遅延する」とは、そのタキソール誘導性腸障害の発生を、延ばす、妨げる、減速する、遅らせる、安定化する、および/もしくは延期することを意味する。この遅延は、このタキソール誘導性腸障害の病歴および/もしくは処置を受けている個体に依存して、時間の長さは変動し得る。当該技術分野において明白なように、十分な遅延もしくは有意な遅延とは、事実上、その個体が上記のタキソール誘導性腸障害を発生しないという点で予防を含み得る。タキソール誘導性腸障害の発生を「遅延する」方法とは、その方法を利用しないときと比較して、与えられたタイムフレームの中で、その腸障害の発生の確率を減少させる方法、および/もしくは、与えられたタイムフレームの中で、その腸障害の範囲を減少させる方法である。このような比較は代表的に、統計学的に有意な数の被験体を使用した、臨床学的研究に基づいている。
タキソール誘導性腸障害の「発生」とは、個体の中でタキソール誘導性腸障害が発症し、そして/もしくは進行することを意味する。タキソール誘導性腸障害の発生は、本明細書中に記載されているような、標準的な臨床学的技術を利用して検出可能である。しかしながら、発生はまた、初期に検出不可能な疾患の進行もいう。本発明の目的に関しては、進行は、その疾患の状態の生物学的過程をいう。「発生」は、発現、再発、および発症を含む。本明細書中で使用されているように、タキソール誘導性腸障害の「発症」もしくは「発現」は、初期の発症および、そして/もしくは再発を含む。
「有効量」(上記のタキソール誘導性腸障害の状況において)とは、有益なもしくは望ましい臨床学的結果をもたらす十分な量であり、その結果としては、1つ以上の症状の重症度を緩和するもしくは減少させる、またはその疾患の発症を遅延することが挙げられるが、それらに限定はされない。有効量は、1回以上の投与で、投与され得る。本発明の目的に関しては、本明細書中に記載されているアゴニスト抗trkC抗体の有効量は、タキソール誘導性腸障害を、改善する、安定化する、回復する、その進行を減速および/もしくは遅延する、もしくは予防するために十分な量である。アゴニスト抗trkC抗体の有効量はまた、本明細書中に記載されているように、癌のタキソールによる処置(治療の効果)を強化する(これは順に、タキソール投与量の増加および/もしくはタキソールによる処置の副作用の減少のような、何か他の有益な効果が認められることを意味し得る)ために十分なアゴニスト抗trkC抗体の量を含む。当該分野において理解されているように、アゴニスト抗trkC抗体の有効量は、使用されるアゴニスト抗trkC抗体のタイプ(および/もしくは投与量)のような他の要素と同様に、とりわけ患者の病歴によって変動し得る。
本明細書中に記載されているように、「組み合わせた」投与は、同時の投与および/もしくは異なる時の投与を含む。組み合わせた投与はまた、共同の処方としての投与(例えば、アゴニスト抗trkC抗体およびタキソールが同一の組成物中に存在している)、または別々の組成物としての投与を含む。本明細書中で使用されているように、組み合わせた投与は、ある個体にアゴニスト抗trkC抗体とタキソールが投与される任意の状況を含むことを意味し、その投与は同時にも起こり得るし、別々にも起こり得る。さらに本明細書中で議論されているように、アゴニスト抗trkC抗体およびタキソールは、異なる投与頻度もしくは投与間隔で投与され得ることが理解されている。例えば、アゴニスト抗trkC抗体が毎週投与され得るのに対して、タキソールはより少ない頻度で投与され得る。そのアゴニスト抗trkC抗体およびタキソールは、同じ投与経路を利用して投与されてもよいし、異なる投与経路を利用して投与されてもよいことが理解されている。
タキソールによる処置の局面が改善される場合(アゴニスト抗trkC抗体の投与をせず、タキソールを投与した場合と比較して)、タキソールによる処置は「強化」される。例えば、望ましくない副作用(腸障害のような)の存在および/もしくは強度は、アゴニスト抗trkC抗体がない場合のこのような副作用の存在および/もしくは強度と比較して、アゴニスト抗trkC抗体が存在する場合には減少および/もしくは除去され得る。
「個体」は、脊椎動物であり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。哺乳動物としては、家畜、競技動物、ペット、霊長類、ウマ、ウシ、ネコ、イヌ、およびげっ歯類(マウスやラットのような)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用されるように、単数形である「ある(1つの)(a)」、「ある(1つの)(an)」および「その(the)」は、他に指示されない限り、複数の引用を含む。例えば「ある」抗体は、1つ以上の抗体を含み、そして「ある症状」は、1つ以上の症状を意味する。
(本発明の方法)
本明細書中に記載されているすべての方法については、アゴニスト抗trkC抗体への言及はまた、1つ以上のこれら抗体を含有する組成物も含む。これらの組成物はさらにまた、緩衝液を含めて、当該分野において周知である薬学的に受容可能な賦形剤のような、適した賦形剤も含有し得る。
(アゴニスト抗trkC抗体を使用してタキソール誘導性腸障害を処置する方法)
本発明は、アゴニスト抗trkC抗体を使用して、タキソール誘導性腸障害の処置、予防、症状発生の遅延および/もしくはその緩和の方法を包含する。その方法は、アゴニスト抗trkC抗体を必要としている個体(様々な徴候および局面が、本明細書中に記載されている)への、有効量のこれらの抗体の投与を包含する。有効量のアゴニスト抗trkC抗体は、他の治療剤と一緒に投与されてもよいし、他の治療剤なしで投与されてもよい。いくつかの実施形態において、その個体はヒトである。しかし、記載されているその方法は、獣医学の状況(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ)にもまた、適用可能である。
タキソール誘導性腸障害を評価する方法は当該分野において公知であり、本明細書中に記載されている。
一局面では、本発明は、個体においてタキソール誘導性腸障害を処置する方法を提供し、その方法は、有効量のアゴニスト抗trkC抗体を投与する工程を包含する。
明白なように、タキソールは、アゴニスト抗trkC抗体による処置より前に、処置の間に、もしくは処置の後に投与され得る。またはタキソールはタキソール療法の過程の開始前に;タキソール療法の過程中に、そして/もしくはタキソール療法の過程の中止後に、送達され得る。投与は腸障害の発症前に行われ得る。従って、いくつかの実施形態において、上記の個体はタキソールによる処置を受けているところである。他の実施形態において、その個体はタキソールおよびシスプラチンによる処置を受けているところである。また他の実施形態において、その個体は既にタキソールによる処置を受けたことがある。
タキソールは、カポジ肉腫ならびに乳房、卵巣および肺の悪性腫瘍を含む、様々な悪性腫瘍の処置に、認可されおよび一般に使用されている。タキソールはまた、前立腺、頭頚部および様々な血液悪性腫瘍を含む、他の悪性腫瘍の処置にも使用されている。タキソールはまた、骨髄移植の間にも与えられる。従って、本発明の一局面においては、アゴニスト抗trkC抗体により処置される個体は、以下の1つ以上の疾患にかかっている:乳癌、肺癌、卵巣癌、カポジ肉腫、前立腺癌、頭頚部癌、および血液悪性腫瘍。他の実施形態において、アゴニスト抗trkC抗体により処置される個体は、骨髄移植の必要があるか、もしくは既に骨髄移植を受けたことがある。他の実施形態において、その個体は、タキソールにより処置可能な徴候(癌のような)を有している。
(アゴニスト抗trkC抗体)
本発明の方法は、trkCを活性化する様式でtrkCと相互作用する抗trkC抗体の使用を包含する。アゴニスト抗trkC抗体は、当該分野において公知である。PCT WO01/98361;Urferら、J.Biol.Chem.(1998)273:5829−5840参照。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、1本鎖(ScFv)、その抗体の変異体、抗体の一部を含む融合タンパク質、および要求される特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリンの任意の他の改変された構造体を含み得る。その抗体は、マウスの、ラット、ヒト、もしくは任意の他の由来(ヒト化抗体を含む)であり得る。従って、上記アゴニスト抗trkC抗体は、ヒト抗体(抗体1.6.4(PCT WO01/98361)のような)であってもよいし、ヒト化抗体(ヒト化モノクローナル抗体2256を含む、PCT WO01/98361参照)であってもよい。いくつかの実施形態において、そのアゴニスト抗trkC抗体は、ヒトtrkCに結合する。いくつかの実施形態において、そのアゴニスト抗trkC抗体は、ヒトtrkCに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、そのアゴニスト抗trkC抗体は、哺乳動物(ネコ、イヌ、もしくはウマのような)のtrkCに特異的に結合する。そのアゴニスト抗trkC抗体はまた、ヒトおよびげっ歯類のtrkCにも結合し得る。1つの実施形態において、その抗体は、ヒトtrkCの細胞外ドメインの1つ以上のエピトープを認識する抗体である。他の実施形態において、その抗体は、ヒトtrkCの細胞外ドメインの1つ以上のエピトープを認識するマウス抗体もしくはラット抗体である。いくつかの実施形態において、その抗体は、ヒトtrkCに結合し、そして別の哺乳動物種(いくつかの実施形態において、脊髄動物種)由来のtrkCには有意に結合しない。いくつかの実施形態において、その抗体はヒトtrkCにも、別の哺乳動物種(いくつかの実施形態において、脊髄動物種)由来の1つ以上のtrkCにも結合する。他の実施形態において、その抗体は、以下の1つ以上から選択される生物のtrkCの1つ以上のエピトープを認識する:霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシ。いくつかの実施形態において、その抗体は、trkCに結合し、他のニューロトロフィンの受容体(trkCの関連したニューロトロフィン受容体であるtrkAおよび/もしくはtrkBのような)と、有意に交差反応(結合)しない。いくつかの実施形態において、その抗体はtrkCに結合し、そしてさらにtrkAおよび/もしくはtrkBに結合する。いくつかの実施形態において、その抗体は、以下に挙げる任意の1つ以上から選択される抗体と本質的に同じtrkCエピトープに結合する:6.1.2、6.4.1、2345、2349、2.5.1、2344、2248、2250、2253、および2256。WO 01/98361参照。抗体が向かい得るエピトープの例としては、trkCのドメインVおよび/もしくはtrkCのドメインIVが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態において、そのエピトープは、以下の残基のうちの1つ以上を含む:ヒトtrkCのL284、E287、およびN335。Urferら、J.Biol.Chem.(1998)273:5829−5840参照。他の実施形態において、そのエピトープは、連続的であってもよいし、不連続的であってもよい。また他の実施形態において、その抗体は、抗体が媒介する溶解のような、好ましくも望んでもいない免疫反応を引き起こさない。例えば、PCT/GB99/01441;英国特許出願番号9809951.8参照。いくつかの実施形態において、その定常領域は、以下の変異を含むヒト重鎖IgG2a定常領域を含有する:A330P331からS330S331(野生型のIgG2a配列を参照したアミノ酸番号づけ:Eur.J.Immunol.(1999)29:2613−2624参照)。
いくつかの実施形態において、上記抗trkC抗体はヒト化(本明細書中に記載されている抗体A5のように)されている。いくつかの実施形態において、その抗trkC抗体は抗体A5(本明細書中に記載されている)である。他の実施形態において、その抗trkC抗体は、抗体A5の1つ以上のCDRを含む(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはある実施形態においてはA5の6つすべてのCDRのように)。いくつかの実施形態において、その抗trkC抗体は、抗体A5由来の重鎖のCDRを含む。いくつかの実施形態において、その抗trkC抗体は、抗体A5由来の軽鎖のCDRを含む。いくつかの実施形態において、その抗trkC抗体は、抗体A5由来の重鎖のCDRおよび軽鎖のCDRを含む。いくつかの実施形態において、その抗体は、ヒトのものである。またある実施形態において、抗trkC抗体は、表3に示された重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号1)、および表4に示された軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号2)を含む。また他の実施形態において、その抗trkC抗体は、表3に示された重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号1)を含む。また他の実施形態において、その抗trkC抗体は、表4に示された軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号2)を含む。また他の実施形態において、その抗体は、例えば補体による溶解を引き起こさない、もしくは抗体依存性細胞性細胞傷害活性(ADCC)を刺激しない免疫学的に不活性な定常領域のような、改変された定常領域を含む。他の実施形態において、その定常領域は、Eur.J.Immunol.(1999)29:2613−2624;PCT出願番号PCT/GB99/01441;および/もしくは英国特許出願番号9809951.8に記載されたように、改変される。いくつかの実施形態において、その定常領域は、以下の変異を含むヒトの重鎖IgG2a定常領域を含む:A330P331からS330S331(野生型のIgG2a配列を参照したアミノ酸番号づけ:Eur.J.Immunol.(1999)29:2613−2624参照)。抗trkC抗体については、米国特許出願番号60/532592に記載されている。
上記抗trkC抗体A5は、ヒトのtrkC受容体およびげっ歯類のtrkC受容体に結合する、ヒト化された、および親和力が成熟した抗体である。米国特許番号60/532592参照。A5の重鎖可変領域のアミノ酸配列および軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、それぞれ表3(配列番号1)および表4(配列番号2)に示される。抗体A5の相補性決定領域(CDR)部分(ChothiaのCDRおよびKabatのCDRを含む)もまた、表3および表4の図に描写されている。A5のそれぞれ延長されたCDRのアミノ酸配列は、表5に示される。
表3: A5重鎖可変領域アミノ酸配列。KabatのCDRは下線を引いた斜字体で示される;ChothiaのCDRは太字で示される。
表4: A5軽鎖可変領域アミノ酸配列。KabatのCDRは下線を引いた斜字体で示される;ChothiaのCDRは太字で示される。
以下の材料は、米国、バージニア州、マナサス、ブルバードユニバーシティ10801、American Type Culture Collection(ATCC)に寄託されている:
ベクターEb.pur.2256は、A5軽鎖可変領域およびヒト軽鎖カッパ定常領域をコードするポリヌクレオチドである;そしてベクターDb.2256.A5は、A5重鎖可変領域および以下の変異を含むヒト重鎖IgG2a定常領域をコードするポリヌクレオチドである。A330P331からS330S331(野生型のIgG2a配列を参照したアミノ酸番号づけ:Eur.J.Immunol.(1999)29:2613−2624参照)。これらのポリヌクレオチド配列は、下の表6および表7に示され、そしてA5を組み換え発現するために利用され得る。
表6: A5軽鎖全ヌクレオチド配列
表7: A5重鎖全ヌクレオチド配列(本明細書中に記載されてるように改変されたIgG2を含む)
CDRを決定するためには、少なくとも2つの技術がある:(1)異種間の(cross−species)配列変動性に基くアプローチ(すなわち、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(第5版、1991、National Institutes of Health、Bethesda、MD));および(2)抗原−抗体複合体の結晶学研究に基づくアプローチ(Chothiaら、(1989)Nature 342:877;Al−lazikaniら、(1997)、J.Molec.Biol.273:927−948)。本明細書中で使用されるように、CDRは、どちらか一方のアプローチにより規定されたCDRを指してもよいし、両方のアプローチの組み合わせにより規定されたCDRを指してもよい。CDRの同定は、当該技術分野の十分範囲内である。
他の実施形態において、上記抗trkCアゴニスト抗体は、抗体A5の1つ以上のCDR(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはある実施形態においてはA5の6つすべてのCDR)を含む。CDRは、KabatのCDR、ChothiaのCDR、もしくはKabatとChothiaの組み合わせであり得る。
抗trkCアゴニスト抗体のtrkCに対する結合親和性は、約500nM、400nM、300nM、200nM、100nM、約50nM、約20nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、もしくは約50pMのいずれかから、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、もしくは約40pMのいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、その結合親和性は、100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、約50pM、もしくは約50pM未満のいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、その結合親和性は、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、もしくは約50pMのいずれか未満であり得る。また他の実施形態において、その結合親和性は、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、約40pM、もしくは約40pMより大きい。当該分野において周知であるように、結合親和性はKD、もしくは解離定数として表現され得、そして増加する結合親和性は、減少するKDに対応する。BIAcore分析を利用して評価したところ、マウス抗trkCアゴニストモノクローナル抗体2256のヒトtrkCに対する結合親和性は、約40nMである。BIAcore分析を利用して評価したところ、ヒト化抗trkCアゴニスト抗体A5(本明細書中に記載)の、ヒトtrkCに対する結合親和性は約0.28nMであり、ラットtrkCに対する結合親和性は約19nMである。
抗体のtrkCに対する結合親和性を決定する1つの方法は、その抗体のモノクローナルFab断片の結合親和性を計測することによるものである。モノクローナルFab断片を取得するために、抗体(例えば、IgG)はパパインにより切断されてもよいし、組み換え的に発現されてもよい。抗体の抗trkC Fab断片の親和性は、表面プラズモン共鳴(BIAcore3000TM surface plasmon resonance(SPR)system、BIAcore、INC、Piscaway NJ)により決定され得る。CM5チップは、提供者の説明書に基づいて、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドヒドロクロリド(N−ethyl−N’−(3−dimethylaminopropyl)−carbodiinide hydrochloride)(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)により活性化される。ヒトtrkC−Fc融合タンパク質(「htrkC」)(もしくはラットtrkCのような、任意の他のtrkC)は、10mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)で希釈され、そして活性化されたチップに濃度0.0005mg/mLで注入され得る。そのそれぞれのチップチャネルを横切る可変な流動時間を利用して、2つの抗体濃度の範囲が達成され得る:詳細な動力学研究のための200−400レスポンスユニット(RU)、およびスクリーニングアッセイのための500−1000RU。そのチップは、エタノールアミンによりブロックされ得る。再生の研究は、Pierce溶出バッファー(Product No.21004、Pierce Biotechnology、Rockford、IL)および4M NaCl(2:1)の混合物が、200注入以上に渡って、チップ上でhtrkCの活性を保ちつつ、結合されたFabを効果的に除去することを示した。HBS−EPバッファー(0.01M HEPES、pH7.4、0.15 NaCl、3mM EDTA、0.005% Surfactant P20)は、BIAcoreアッセイのために、ランニングバッファーとして使用される。精製されたFabサンプルの段階希釈(0.1〜10×概算KD)は、100μl/分で1分間注入され、そして2時間までの解離時間が許容される。Fabタンパク質の濃度は、既知濃度(アミノ酸解析により決定されたような)のFabを標準物質として使用して、ELISAおよび/もしくはSDS−PAGE電気泳動により決定される。動力学的な結合比率(Kon)および解離比率(Koff)は、BIA評価プログラムを使用して、そのデータを1:1 Langmuir結合モデル(Karlsson,R.Roos,H.Fagerstam,L.Petersson,B.(1994).Methods Enzymology 6:99−110)にフィッティングすることにより、同時に得られる。平衡解離定数(KD)の値は、Koff/Konとして計算される。
他の局面においては、ヒトtrkC受容体を活性化し得る抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、キメラ抗体)は、1つ以上のtrkC細胞外ドメインを発現している免疫原を使用することにより作製され得る。免疫原の1つの例は、trkCを高発現している細胞で、その細胞は本明細書中に記載されるように取得され得る。使用され得る免疫原のもう1つの例は、trkC受容体の細胞外ドメインを、もしくはtrkC受容体の細胞外ドメインの一部を含む可溶性タンパク質(例えば、trkC免疫付着因子)である。
宿主動物の免疫の経路およびスケジュールは、本明細書中にさらに記載されるように、抗体刺激および抗体作製の、確立され、かつ従来の技術と一般的に調和している。ヒトおよびマウスの抗体作製技術は、当該分野において公知であり、そしてそれらは本明細書中に記載される。
ヒトもしくはヒト由来の抗体産生細胞を含む任意の哺乳動物の被験体が、ヒトを含む哺乳動物のハイブリドーマ細胞株作製のための基礎として役に立つように操作され得る。代表的には、上記の宿主動物は、ある量の免疫原(本明細書中に記載されているような免疫原を含む)を腹腔内に接種される。
ハイブリドーマは、リンパ球および不死化ミエローマ細胞から、一般的な体細胞雑種技術(Kohler,B.およびMilstein、C.(1975)Nature 256:495−497の技術、もしくはBuck,D.W.ら、(1982)In vitro,18:377−381により改変された技術)を利用して、調製され得る。利用可能なミエローマ株として、X63−Ag8.653、およびSalk Institute,Cell Distribution Center,San Diego,Calif.,USA由来のミエローマ株が挙げられるが、これに限定されず、雑種形成において使用され得る。一般的に、その技術は融合原性物質(fusogen)(例えば、ポリエチレングリコール)を利用して、もしくは当業者に周知である電気的手法により、ミエローマ細胞とリンパ細胞を融合する工程を含む。その融合後、上記の細胞は融合培地から分離され、そして交雑していない親細胞を除去するために、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)培地のような選択増殖培地で増殖される。血清が補われていても、もしくは血清が補われていなくても、本明細書中に記載されている任意の培地は、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマの培養に使用され得る。上記の細胞融合技術の代わりに、EBV不死化B細胞は、本発明における抗trkCモノクローナル抗体を作製するために使用され得る。そのハイブリドーマは増やされ、そしてもし望まれればサブクローン化され、そして上清は、従来のイムノアッセイの手順(例えば、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、もしくは蛍光イムノアッセイ)により、抗免疫原活性をアッセイされる。
抗体の供給源として利用され得るハイブリドーマは、すべての誘導体、trkC特異的なモノクローナル抗体を産生する親ハイブリドーマの子孫細胞、もしくはそれらの一部を含む。
これらの抗体を産生するハイブリドーマは、公知の手順を利用して、インビトロもしくはインビボで増殖され得る。そのモノクローナル抗体は、培養培地もしくは体液から、硫酸アンモニウム沈降、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、そしてもし望まれれば限外濾過などの、従来の免疫グロブリン精製法により、単離され得る。望ましくない活性が存在する場合、それは例えば、固相に結合した免疫原から作製される吸着剤の上で調製を行い、そして求める抗体を免疫原から離して溶出する、もしくは遊離させることにより、除去され得る。ヒトもしくは他種のtrkC受容体、あるいはヒトもしくは他種のtrkC断片、あるいは免疫化される種において免疫原性であるタンパク質(例えば、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシのサイログロブリン、もしくはダイズのトリプシンインヒビター)に結合体化された標的アミノ酸配列を含むヒトもしくは他種のtrkC受容体の断片での、二官能性の化学剤もしくは誘導剤(例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を通して結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を通して)、グルタルアルデヒド、スクシニルアルデヒド(succinic aldehyde)、SOCl2、もしくはRとR1が異なるアルキル基であるR1N=C=N)を利用した、宿主動物の免疫は、抗体(例えば、モノクローナル抗体)の集団をもたらし得る。免疫原の他の例は、組み換え法によって取得され得るか、またはtrkCを高いレベルで発現している天然の供給源から単離もしくは濃縮することによって取得され得る、trkCを高発現している細胞である。これらの細胞はヒト由来のものであってもよいし、他の動物由来のものであってもよく、そして直接的に単離される場合は、免疫原として使用されてもよいし、免疫原性が増加されるように、またはtrkCの(trkC断片の)発現が増加もしくは濃縮されるように処理がされてもよい。このような処理として、上記の細胞もしくはその断片の安定性もしくは免疫原性を増加させる様に設計された薬剤(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、エタノール、アセトン、および/もしくは様々な酸)による処理が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、このような処置の前であろうと後であろうと、細胞は所望の免疫原(この場合はtrkCまたはその断片)を濃縮するために処理され得る。これらの処理工程は、当該分野において周知である膜分画技術を含み得る。
もし望ましければ、目的の抗trkC抗体(モノクローナルもしくはポリクローナル)は配列決定され、次いでそのポリヌクレオチド配列は、発現もしくは増殖のため、ベクターにクローン化され得る。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞のベクターの中で維持され得、次いでその宿主細胞は、将来の使用のために増殖および凍結され得る。代わって、そのポリヌクレオチド配列は、抗体を「ヒト化」するために、またはその抗体の親和性もしくは他の特性を改善するために、遺伝的操作のために利用され得る。例えば、その抗体が治験およびヒトの処置に使用された場合、免疫応答を避けるために、その定常領域はヒトの定常領域により似るように操作され得る。trkC受容体へのより大きな親和性と、trkC受容体を活性化するより大きな効力を得るために、その抗体の配列を遺伝的に操作することが望ましい。その抗trkC抗体に対して1つ以上のポリヌクレオチドの変更がなされ得て、そしてなおtrkC細胞外ドメインもしくはtrkCのエピトープへのその抗体の結合能を維持し得ることは、当業者に明白である。
モノクローナル抗体をヒト化する、4つの一般的な工程がある。(1)出発抗体の軽鎖および重鎖の可変ドメインの、ヌクレオチド配列および予想されるアミノ酸配列を決定する(2)ヒト化抗体を設計する、すなわち、そのヒト化する過程の間で使用する抗体フレームワーク領域を決定する(3)実際のヒト化方法論/技術、そして(4)そのヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現である。例えば、米国特許第4,816,567号;同第5,807,715号;同第5,866,692号;同第6,331,415号;同第5,530,101号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第5,585,089号;同第6,180,370号;同第6,548,640号;米国特許出願番号第10/745,775号およびPCT/US03/41252を参照のこと。例えば、その抗体が治験およびヒトにおける処置に使用される場合に、免疫応答を避けるために、その定常領域はヒトの定常領域により似るように操作され得る。例えば、米国特許第5,997,867号および同第5,866,692号を参照のこと。ヒト化はまた、親和性の成熟も含み得る。例えば、米国特許出願番号第10/745,775号、およびPCT/US03/41252を参照のこと。
上記の組み換えヒト化抗体において、Fcγ受容体およびその補体免疫システムとの相互作用を避けるために、そのFcγ部位は改変され得る。PCT WO99/58572を参照のこと。
非ヒトの免疫グロブリン由来の抗原結合部位を含む、多くの「ヒト化」抗体分子が記載されており、そのヒト化抗体は、げっ歯類のV領域、もしくは改変されたげっ歯類のV領域、およびそれらが結合された、ヒトの定常ドメインへ融合された相補性決定領域(CDR)を有するキメラ抗体を含む。例えば、Winterら、Nature 349:293−299(1991)、Lobuglioら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220−4224(1989)、Shawら、J Immunol.138:4534−4538(1987)、およびBrownら、Cancer Res.47:3577−3583(1987)を参考のこと。他の参考文献は、適切なヒト抗体定常ドメインとの融合の前に、ヒトの支持フレームワーク領域(FR)へ移植されたげっ歯類のCDRについて記載する。例えば、Riechmannら、Nature 332:323−327(1988)、Verhoeyenら、Science 239:1534−1536(1988)、およびJonesら、Nature 321:522−525(1986)を参照のこと。別の参考文献は、組み換えにより付け加えられた(veneered)、げっ歯類のフレームワーク領域により支持されるげっ歯類のCDRについて記載する。例えば、欧州特許公開番号第519,596号を参照のこと。これらの「ヒト化」分子は、げっ歯類の抗ヒト抗体分子に対する望ましくない免疫応答を、最小化するように設計され、この免疫応答は、ヒトのレシピエントにおいてこれらの分子の一部分の治療への適用の期間および効力を制限する。例えば、その抗体の定常領域は、免疫学的に不活性(例えば補体による溶解を引き起こさない、もしくは抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を刺激しない)なように、操作され得る。他の実施形態において、その定常領域は、Eur.J.Immunol.(1999)29:2613−2624に記載されるように改変される。例えば、PCT/GB99/01441;英国特許出願番号第9809951.8号を参照のこと。利用され得る抗体をヒト化する他の方法は、Daughertyら、Nucl.Acids Res.19:2471−2476(1991)および米国特許第6,180,377号;同第6,054,297号;同第5,997,867号;同第5,866,692号;同第6,210,671号;同第6,350,861号;およびPCT出願番号WO 01/27160により開示されている。
また他の代わりとして、特定のヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作された市販のマウスを用いることによって、完全なヒト抗体が取得され得る。より望ましい(例えば、完全なヒト抗体)そしてより強い免疫応答を生じるように設計されたトランスジェニック動物もまた、ヒト化抗体もしくはヒト抗体の生成に利用され得る。このような技術の例は、Abgenix,Inc.(Fremont,CA)のXenomouseTMならびにMedarex,Inc.(Princeton,NJ)のHuMAb−Mouse(登録商標)およびTC MouseTMである。
あるいは、抗体は、当該分野において公知である任意の方法を用いて、組み換えにより作製され得、そして発現され得る。他の代わりとして、抗体はファージディスプレイ技術によって、組み換えにより作製され得る。例えば、米国特許第5,565,332号;同第5,580,717号;同第5,733,743号および同第6,265,150号;およびWinterら、Annu.Rev.Immunol.12:433−455(1994)を参照のこと。あるいは、そのファージディスプレイ技術(McCaffertyら、Nature 348:552−553(1990))は、免疫されていないドナー由来の、免疫グロブリン可変(V)領域の遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗体およびヒト抗体断片を生成するために使用され得る。この技術によって、抗体Vドメイン遺伝子は、繊維状バクテリオファージ(例えば、M13およびfd)の大コートタンパク質遺伝子もしくは小コートタンパク質遺伝子のどちらか一方に、インフレームでクローンされ、そしてそのファージ粒子の表面に、機能性抗体断片としてディスプレイされる。その繊維状粒子は、そのファージゲノムの1本鎖DNAコピーを含んでいるため、その抗体の機能的性質に基づいた選択はまた結果的に、その性質を提示している抗体をコードしている遺伝子の選択にもなる。従って、このファージはB細胞の性質のいくらかを模倣している。ファージディスプレイは様々な形式で実施され得る;総説としては、例えば、Johnson,Kevin S.およびChiswell,David J.,Current Opinion in Structural Biology 3,564−571(1993)を参照のこと。V−遺伝子セグメントのいくつかのソースが、ファージディスプレイに利用され得る。Clacksonら、Nature 352:624−628(1991)は、免疫したマウスの脾臓から由来したV遺伝子の、小さなランダムなコンビナトリアルライブラリから、抗オキサゾロン抗体の多様な一群を単離した。免疫されていないヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーが構築され得、そして抗原(自己抗原を含む)の多様な配列に対する抗体は、基本的にMarkら、J.Mol.Biol.222:581−597(1991)、もしくはGriffithら、EMBO J.12:725−734(1993)に記載される技術に従い、単離され得る。天然の免疫応答において、抗体遺伝子は、高割合で変異を蓄積する(体細胞性の過剰変異)。導入された変化のいくつかはより高い親和性を与え、そして高親和性の表面の免疫グロブリンを提示しているB細胞は、引き続く抗原のチャレンジの間、優先的に複製および分化される。この天然の過程は、「チェーンシャッフリング」法として公知である技術を利用して模倣され得る(Marksら、Bio/Technol.10:779−783(1992))。この方法において、ファージディスプレイにより得られた「第1の」ヒト抗体の親和性は、その重鎖V領域遺伝子および軽鎖V領域遺伝子を、免疫されていないドナーから得られたVドメイン遺伝子の天然に存在する改変体(レパートリー)と、順次置換することにより向上し得る。この技術は、pM〜nM範囲の親和性を有する、抗体および抗体断片の生成を可能にする。非常に大きなファージの抗体レパートリー(「the mother−of−all libraries」としても公知)を作製するためのストラテジーは、Waterhouseら、Nucl.Acids Res.21:2265−2266(1993)に記載されている。遺伝子シャフリングもまた、げっ歯類の抗体からヒトの抗体を誘導するために利用され得、ここでそのヒトの抗体はげっ歯類の出発抗体と類似した親和性および特異性を有している。この方法(「エピトープインプリンティング(epitope imprinting)」とも言われる)によって、ファージディスプレイの技術によって得られるげっ歯類抗体の重鎖Vドメインおよび軽鎖Vドメインの遺伝子は、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーと置換され、それによりげっ歯類−ヒトのキメラが作成される。抗原に基づいた選択は結果的に、機能的な抗原結合部位を復元する能力のあるヒト可変領域の単離になり、すなわちそのエピトープがパートナーの選択を支配する(インプリントする)。残っているげっ歯類のVドメインを置換するために上記の過程が繰り返される場合、ヒトの抗体が得られる(1993年4月1日に公開されたPCT特許出願番号PCT WO9306213を参照のこと)。CDR移植によるげっ歯類抗体の伝統的なヒト化とは異なり、この技術は、げっ歯類由来のフレームワークもCDR残基も持たない、完全なヒト抗体を提供する。上の議論はヒト化抗体に関係しているが、その議論された一般的な原理は、使用する抗体のカスタマイズにも適用可能であることは、明白である(例えばイヌ、ネコ、霊長類、ウマおよびウシにおいて)。
抗体は、まず第1に宿主動物から作られた抗体を単離し、その遺伝子配列を獲得し、そして宿主細胞(例えば、CHO細胞)の中でその抗体を組み換え的に発現するためにその遺伝子配列を使用することにより、組み換え的に作製され得る。利用され得る別の方法は、植物(例えば、タバコ)、トランスジェニック牛乳、もしくは他の生物体において、その抗体の配列を発現させることである。植物もしくは牛乳において抗体を組み換え的に発現させる方法は開示されている。例えば、Peetersら、(2001)Vaccine 19:2756;Lonberg,N.およびD.Huszar(1995)Int.Rev.Immunol 13:65;およびPollockら、(1999)J Immunol Methods 231:147を参照のこと。例えば、ヒト化抗体、1本鎖抗体などの、抗体の誘導体を作る方法は、当該分野において公知である。
宿主動物の免疫化もしくは組み換えのどちらかにより作製された抗体は、以下の任意の1つ以上の特徴を示すはずである:(a)trkC受容体に結合する;(b)trkC受容体の1つ以上のエピトープに結合する;(c)trkC受容体に結合し、trkC受容体および/またはそのtrkCのシグナル伝達機構により媒介される1つ以上の下流の経路を活性化する;(d)trkC受容体に結合してtrkC受容体を活性化し、そしてタキソール誘導性腸障害の1つ以上の症状を処置、症状の予防、症状からの回復、もしくは症状の改善をする;(e)trkBもしくはtrkAに結合しない、および/もしくはそれらを活性化しない;(f)有利な薬物動態学的な特性および生物学的利用能の特性を示す;(g)trkC受容体に結合し、trkC受容体を活性化する。
イムノアッセイおよび蛍光標示式細胞分取器(FACS)のようなフローサイトメトリー分類技術もまた、trkCに特異的な抗体の単離に利用され得る。
上記の抗体は、多くの異なるキャリアに結合され得る。キャリアは活性であってもよいし、不活性であってもよい。周知であるキャリアの例は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、ガラス、天然のセルロースおよび改変されたセルロース、ポリアクリルアミド、アガロースおよび磁鉄鉱を含む。本発明の目的のためには、そのキャリアの性質は、可溶性であってもよいし、不可溶性であってもよい。当業者には、抗体を結合するための他の適切なキャリアは公知であり、もしくは所定の実験によりそれを確かめることが可能である。
当該分野において公知であるように、アゴニスト抗trkC抗体をコードしているDNAは単離され得、そして配列決定され得る。PCT WO01/98361を参照のこと。一般的に、そのモノクローナル抗体は、従来の手順(例えば、そのモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合する能力のあるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)を利用して、容易に単離および配列決定される。上記のハイブリドーマ細胞は、このようなcDNAの好ましい供給源として役に立つ。いったん単離されると、そのDNAは発現ベクター(PCT WO87/04462に開示されている発現ベクターのような)に配置され得、次いでその発現ベクターは、組み換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を行うために、E.coli細胞、サルのCOS細胞、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞、もしくは他の免疫グロブリンタンパク質を生成しないミエローマ細胞のような宿主細胞に、トランスフェクションされる。例えば、PCT WO87/04462を参照のこと。そのDNAはまた、例えば相同なマウスの配列に代えて、ヒトの重鎖および軽鎖の定常ドメインのコード配列を置換することにより(Morrisonら、Proc.Nat.Acad.Sci.81:6851(1984))、または、免疫グロブリンのコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列のすべてもしくは一部を共有結合的に結合することにより、改変され得る。その様式においては、「キメラ」抗体もしくは「雑種」抗体は、本明細書中の抗trkCモノクローナル抗体の結合特異性を有しているように調製される。上記のアゴニスト抗trkC抗体(例えば、その抗原結合断片)をコードするDNAはまた、本明細書に記載されているように、所望の細胞におけるアゴニスト抗trkC抗体の送達および発現のためにも利用され得る。DNAの送達技術は、本明細書中にさらに記載される。
抗trkC抗体は、当該分野において周知である方法を利用して、特徴付けられ得る。例えば、1つの方法は抗体が結合するエピトープを同定することで、その方法としては、例えばHarlow and Lane,Using Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1999のChapter 11に記載されるように、例えば抗原抗体複合体の結晶構造解析、競合アッセイ、遺伝子断片発現アッセイ、および合成ペプチドに基づいたアッセイが挙げられる。さらなる例としては、抗trkC抗体が結合する配列を決定するために、エピトープマッピングが利用され得る。エピトープマッピングは、例えばPepscan Systems(Edelhertweg 15,8219 PH Lelystad,The Netherlands)のような、多様な販売元から市販されている。そのエピトープは、直鎖状のエピトープ(すなわちアミノ酸の1本のストレッチに含まれる)であってもよいし、必ずしも1本のストレッチに含まれない、アミノ酸の3次元相互作用により形成される立体的なエピトープであってもよい。多様な長さ(例えば、少なくとも4−6アミノ酸長)のペプチドは、単離もしくは合成(例えば、組み換え的に)され、そして抗trkC抗体との結合アッセイに利用され得る。別の実施例において、そのtrkCの細胞外配列由来の重複するペプチドを使用することによる、そしてその抗trkC抗体の結合を決定することによる系統的なスクリーニングにおいて、その抗trkC抗体が結合するエピトープは決定され得る。遺伝子断片発現アッセイによって、trkCをコードするオープンリーディングフレームは、ランダムに、もしくは特定の遺伝的構築物によってのどちらか一方により断片化され、そして発現したtrkC断片の、テストされる抗体に対する反応性が決定される。その遺伝子断片は、例えばPCRにより生成され、それから転写され、そして放射性アミノ酸の存在下で、インビトロでタンパク質へ翻訳され得る。次いでその抗体の、放射性標識されたtrkC断片に対する結合が、免疫沈降およびゲル電気泳動により決定される。特定のエピトープはまた、ファージ粒子の表面に提示されているランダムなペプチド配列の巨大なライブラリ(ファージライブラリ)を利用しても、同定され得る。本明細書中に記載される方法に適した他の組成物は、後の節に記載される。
抗trkC抗体を特徴付けるために利用され得るさらに別の方法は、同じ抗原(すなわちその抗trkC抗体が他の抗体と同じエピトープに結合するか否かを決定するためのtrkC細胞外ドメイン)に結合することが公知である他の抗体との競合アッセイを利用することである。競合アッセイは、当業者に周知である。競合アッセイに有用な抗体の例としては以下のものが挙げられる:抗体6.1.2、抗体6.4.1、抗体2345、抗体2349、抗体2.5.1、抗体2344、抗体2248、抗体2250,抗体2253および抗体2256。PCT WO01/98361を参照のこと。
エピトープマッピングもまた、PCT WO0198361に記載されるようなドメイン交換変異体を利用することにより行われ得る。一般にこのアプローチは、trkAともtrkBとも有意に交差反応しない抗trkC抗体に有用である。trkCのドメイン交換変異体は、trkCの細胞外ドメインを、対応するtrkBもしくはtrkA由来のドメインと置換することにより作製され得る。それぞれのアゴニスト抗trkC抗体の、多様なドメイン交換変異体への結合は評価され得、そしてELISA法もしくは当該分野において公知である他の方法を利用して、野生型(天然の)trkCに対するその結合と比較され得る。別のアプローチにおいて、アラニンスキャニングが行われ得る。抗原であるそのtrkC受容体のそれぞれの残基は、系統的に他のアミノ酸(通常アラニン)に変異され、そしてその変化の効果が、ELISA法もしくは当該分野において公知である他の方法を利用して、その改変されたtrkCの抗体結合能力をテストすることにより評価される。
(アゴニスト抗trkC抗体の同定)
アゴニスト抗体は、以下の方法のうち1つの以上を含む、当該分野で認識されている方法を利用して同定され得る。例えば、米国特許第5,766,863号および同第5,891,650号に記載されているキナーゼ受容体活性化(KIRA)アッセイが利用され得る。このELISAタイプのアッセイは、受容体タンパク質チロシンキナーゼ(rPTK、例えばtrk受容体のような)のキナーゼドメインの自己リン酸化の測定による、キナーゼ活性の定性的な測定および定量的な測定、ならびに選択されたrPTKの潜在的なアゴニストおよびアンタゴニストの同定および特徴付けに適している。そのアッセイの第1の段階は、キナーゼ受容体(この場ではtrkC受容体)のキナーゼドメインのリン酸化に関し、ここでその受容体は真核生物の細胞の細胞膜に存在する。その受容体は、内因性の受容体であってもよいし、またはその受容体もしくは受容体構築物をコードする核酸が、その細胞に形質転換されてもよい。代表的には、第1の固相(例えば、第1のアッセイのプレートのウェル)は、そのような細胞(通常は哺乳動物細胞株)の実質的に同質な集団で覆われ、よってその細胞はその固相に付着する。しばしば、その細胞は付着性であり、そのため第1の固相に自然に付着する。「受容体構築物」という用語が使用される場合、それは通常、キナーゼ受容体およびフラグポリペプチドの融合物を含む。そのフラグポリペプチドは、そのアッセイのELISA部分で、捕獲薬剤(しばしば、捕獲抗体)により認識される。次いで、検体(例えば、候補アゴニスト)が、付着細胞を有するウェルに加えられ、上記のチロシンキナーゼ受容体(例えばtrkC受容体)が検体に対して曝露(もしくは接触)される。このアッセイは、目的のチロシンキナーゼ受容体(例えばtrkC)に対するアゴニストリガンドの同定を可能にする。検体に対する曝露に続いて、溶解バッファー(バッファー中に可溶化界面活性剤を有する)および穏やかな攪拌を利用して付着細胞は可溶化され、それにより、細胞溶解物の濃縮や浄化の必要なく、そのアッセイのELISA部分に直接使用され得る細胞溶解物を遊離させる。
このように調製された細胞溶解物は、次いでそのアッセイのELISA段階に使用される準備がされる。そのELISA段階の第1の工程として、第2の固相(通常ELISAマイクロタイタープレートのウェル)は、チロシンキナーゼ受容体に、もしくは受容体構築物の場合ではそのフラグポリペプチドに、特異的に結合する捕獲薬剤(しばしば捕獲抗体)で覆われる。第2の固相のコーティングが行われ、その結果その捕獲薬剤が、第2の固相に付着する。その捕獲薬剤は通常モノクローナル抗体であるが、本明細書中の実施例に記載されるように、ポリクローナル抗体もしくは他の薬剤もまた使用され得る。得られたその細胞溶解物は次いで、その付着物捕獲薬剤に曝露もしくは接触され、それによってその受容体もしくは受容体構築物は、その第2の固相に付着する(もしくは捕獲される)。次いで結合していない細胞溶解物を除去するために洗浄工程が行われ、捕獲された受容体もしくは受容体構築物が残る。その付着したもしくは捕獲された受容体もしくは受容体構造体は次いで、チロシンキナーゼ受容体のリン酸化されたチロシン残基を同定する抗ホスホチロシン抗体に曝露(もしくは接触)される。好ましい実施形態において、その抗ホスホチロシン抗体は、非放射性の呈色試薬の色の変化を触媒する酵素と(直接的に、もしくは間接的に)結合されている。したがって、その受容体のリン酸化は、引き続いて起こるその試薬の色の変化により測定され得る。その酵素は、その抗ホスホチロシン抗体に直接結合されてもよいし、もしくは結合分子(例えば、ビオチン)がその抗ホスホチロシン抗体に結合され、そして引き続いてその酵素がその結合分子を経由して抗ホスホチロシン抗体に結合されてもよい。最終的に、捕獲された受容体もしくは受容体構築物への抗ホスホチロシン抗体の結合は、例えば呈色試薬の色の変化により計測される。
最初の同定に続き、候補抗体のアゴニスト活性は、標的とされた生物学的な活性をテストすることが公知であるバイオアッセイにより、さらに確認および精製され得る。例えば、NT−3の活性を模倣するための、もしくはtrkCを活性化するための抗trkCモノクローナル抗体の能力は、全長のヒトtrkCがトランスフェクションされたPC12細胞を使用した、PC12細胞神経突起成長アッセイでテストされ得(Urferら、Biochem.36:4775−4781(1997);Tsoulfasら、Neuron 10:975−990(1993))、そしてその抗trkC抗体の能力は、神経変性疾患の公知の動物モデルにおいて確認され得る。このアッセイは、適切なリガンドによる刺激に応じたラットの褐色細胞腫細胞(PC12)の神経突起の成長過程を測定する。これらの細胞は、内因性のtrkAを発現し、そしてそれゆえNGFに応答する。しかし、これらの細胞は内因性のtrkCを発現せず、そしてそれゆえ、NT−3およびtrkCアゴニストへの応答を誘発するために、trkC発現構築物がトランスフェクションされる。抗trkC抗体でトランスフェクションされた細胞のインキュベーション後、神経突起がその細胞の直径の2倍を超えた細胞を数えた。トランスフェクションされたPC12細胞において神経突起の成長を刺激する抗trkC抗体は、trkCアゴニストの活性を実証する。
そのtrkCの活性はまた、胚の発達の特定の段階の、多様な特定のニューロンを利用しても、決定され得る。適切に選択されたニューロンは、生存がtrkC活性に依存し得るので、インビトロでこれらのニューロンの生存を追跡することによりtrkCの活性化を決定することが可能である。適切なニューロンの初代培養へ候補抗体を加えると、その候補抗体がtrkCを活性化する場合には、これらのニューロンが少なくとも数日の間生存する。これはその候補抗体のtrkCを活性化する能力を決定することを可能にする。このタイプのアッセイの1つの例においては、E11マウス胚由来の三叉神経節が解剖され、分離され、そして結果として生じるニューロンが低密度で組織培養ディッシュにプレートされる。その候補抗体がそれから培地に加えられ、そしてそのプレートは24−48時間インキュベートされる。この時間の後、そのニューロンの生存が、任意の様々な方法により評価される。アゴニスト抗trkC抗体を加えられたサンプルは代表的に、コントロールの抗体を加えられたサンプルよりも増加したニューロンの生存率を示し、そしてこれはアゴニスト抗trkC抗体の存在を決定することを可能にする。例えば、Buchmanら、(1993)Development 118(3):989−1001を参照のこと。
アゴニスト抗体は、trkCを発現している(天然にでも、またはtrkCをコードするDNAをトランスフェクションした後にでも)様々な細胞のタイプにおいて、下流のシグナル伝達を活性化するその能力によって、同定され得る。このtrkCはヒトのtrkCであってもよいし、他の哺乳動物(げっ歯類や霊長類のような)のtrkCであってもよい。その下流のシグナル伝達カスケードは、trkC発現細胞の様々な生化学的なパラメータもしくは生理学的なパラメータの変化により検出され得る。このパラメータは、タンパク質発現のレベルもしくはタンパク質のタンパクリン酸化のレベル、または細胞の代謝状態の変化もしくは増殖状態の変化(本明細書中に記載されているような、ニューロンの生存および/もしくは神経突起の成長を含む)のようなものである。関連した生化学的なパラメータもしくは生理学的なパラメータを検出する方法は、当該分野において公知である。
(アゴニスト抗trkC抗体の投与)
アゴニスト抗trkC抗体の様々な処方物が、投与に利用され得る。いくつかの実施形態において、アゴニスト抗trkC抗体は、それのみで投与され得る。いくつかの実施形態において、アゴニスト抗trkC抗体は、薬学的に受容可能な賦形剤を含む組成物として投与される。薬学的に受容可能な賦形剤は、当該分野において公知であり、そして薬学的に有効な物質の投与を促進する、比較的不活性な物質である。例えば、賦形剤は形状もしくは粘稠度を与え、または希釈剤として作用する。適した賦形剤としては、安定化剤、湿潤剤および乳化剤、浸透圧を変えるための塩、カプセル化剤、バッファー、そして皮膚透過強化剤が挙げられるが、これらに限定されない。非経口のおよび経口の薬物送達のための賦形剤ならびに処方物は、Remington,The Science and Practice of Pharmacy 第20版、Mack Publishing(2000)に示されている。
アゴニスト抗trkC抗体は、注射(例えば、腹腔内に、静脈内に、皮下に、筋肉内に、など)による投与のために処方され得る。従って、その抗体は、生理食塩水、リンゲル液、ブドウ糖液などのような、薬学的に受容可能なビヒクルと組み合わせられ得る。その特定の投薬の方式(すなわち、用量、タイミングおよび繰り返し回数)は、その特定の個人と、そしてその個人の病歴に依存する。通常、体重1kg当たり1μgより少ない、少なくとも体重1kg当たり1μg;少なくとも体重1kg当たり2μg、少なくとも体重1kg当たり5μg、少なくとも体重1kg当たり10μg、少なくとも体重1kg当たり20μg、少なくとも体重1kg当たり50μg、少なくとも体重1kg当たり100μg、少なくとも体重1kg当たり200μg、少なくとも体重1kg当たり500μg、少なくとも体重1kg当たり1mg、少なくとも体重1kg当たり2mg、少なくとも体重1kg当たり5mg、少なくとも体重1kg当たり10mg、少なくとも体重1kg当たり30mg、もしくはそれ以上(約50mg/kg、約100mg/kg、約200mg/kg、もしくは500mg/kgのように)の用量が投与される。
半減期のような、経験的な要件は、通常その投薬の決定に貢献する。ヒト化抗体もしくは完全なヒト抗体のような、ヒトの免疫機構に適合する抗体は、その抗体の半減期を延長するために、そしてその抗体がその宿主の免疫機構により攻撃されるのを防ぐために、利用され得る。投与の頻度は療法の過程を通じて決定および調節され、ならびに頻度は通常(必ずしもではないが)、その患者において、タキソール腸障害の1つ以上の症状を抑制および/もしくは改善および/もしくは遅延するために、アゴニスト抗trkC抗体の有効な濃度を維持することに基づく。あるいは、アゴニスト抗trkC抗体の連続した徐放処方物は、適切であり得る。徐放を実現するための様々な処方物およびデバイスは、当該分野において公知である。本発明の方法に則ったアゴニスト抗trkC抗体の投与は、その投与の目的が治療的であろうと予防的であろうと、例えばそのレシピエントの生理的な状況、そして熟練した開業医に既知である他の要素に依存して、連続的であってもよいし、断続的であってもよい。そのアゴニスト抗trkC抗体の投与は、本質的に、前もって選んだ時間の間に渡って連続的であってもよいし、間隔を空けたの投薬の連続であってもよい。間隔を空けたの投薬の連続とは、例えば、タキソール誘導性腸障害の症状が発生する前、発生した間、または発生した後、タキソール誘導性腸障害の症状が発生する前、発生した間、発生する前と発生した後、発生した間とその後、あるいは発生する前と発生した間と発生した後である。
通常、アゴニスト抗trkCの投与に関しては、初期の候補投薬量は約2mg/kgであり得る。本発明の目的に関しては、代表的な毎日の投薬量は、上で言及した要素に依存して、約30μg/kgから100mg/kg以上にわたってもよい。数日間もしくはそれ以上にわたる繰り返しの投与に関しては、その状況に依存して、疾患の症状の望ましい抑制が生じるまで、またはタキソール誘導性腸障害を処置もしくは予防するために十分な治療的レベルが達成されるまで、その処置は維持される。例示的な投薬の方式は、約2mg/kgの初期の投薬量、次に約1mg/kgのそのtrkCアゴニスト抗体の1週間に1回の維持量、もしくは次に隔週1mg/kgの維持量の投与を含む。
1つの実施形態において、抗体の投薬量は、タキソール誘導性腸障害を処置するためにtrkC受容体を活性化するアゴニスト抗trkC抗体の1回以上の投与を受ける個体において、経験的に決定される。個体は増加していく投薬量のアゴニスト抗trkC抗体を与えられる。アゴニスト抗trkC抗体もしくはその断片の効力を評価するために、タキソール誘導性腸障害の指標が、本明細書中に記載されているように、追跡され得る。
他の処方物としては、当該分野において公知である適した送達形式が挙げられ、その形式としては、リポソームのようなキャリアが挙げられるが、これに限定されない。例えば、Mahatoら、(1997)Pharm.Res.14:853−859を参照のこと。リポソームの調製としては、サイトフェクチン(cytofectin)、多重膜小胞および単層小胞などが挙げられるが、これらに限定されない。
インビボの投与に利用される処方物は、無菌でなければならない。これは、例えば滅菌濾過膜で濾過することにより、容易に果たされる。治療的なアゴニスト抗trkC抗体組成物は通常、例えば静脈内の溶液のバッグもしくは皮下の注射針により貫通可能な栓を有したバイアルのような、無菌のアクセス部分を有した容器に入れられる。
上記のアゴニスト抗trkC抗体は、例えば大量瞬時投与としてもしくは一定期間にわたる連続注入による静脈内投与、筋肉内の経路による、腹腔内の経路による、皮下の経路による、経口の経路による、もしくは局所的な経路によるような、公知の方法に則って個体へ投与される。アゴニスト抗trkC抗体はまた、吸入によっても投与され得る。ジェット噴霧器および超音波噴霧器を含む、液体処方物のための、市販の噴霧器は、投与に有用である。液体処方物は直接噴霧されてもよいし、凍結乾燥後にその粉末が噴霧されてもよい。あるいは、アゴニスト抗trkC抗体は、フッ化炭化水素処方物および定量吸入器を利用してエアロゾル化されてもよいし、凍結乾燥され、そして粉砕された粉末として吸入されてもよい。
いくつかの実施形態において、1つを超える抗体が存在し得る。その抗体は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。このような抗体は、少なくとも1つの、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの異なる抗体を含み得る。好ましくは、これらの抗体は、互いに悪影響しない補完的活性を有する。
アゴニスト抗trkC抗体(その抗原結合断片のような)をコードするポリヌクレオチドはまた、望ましい細胞へのアゴニスト抗trkC抗体の送達、そしてその細胞におけるアゴニスト抗trkC抗体の発現のためにも、利用され得る。発現ベクターが、アゴニスト抗trkC抗体の発現のために利用され得ることは、明白である。その発現ベクターは、腹腔内に、静脈内に、筋肉内に、皮下に、くも膜下腔内に、脳室内に、経口的に、経腸的に、非経口的に、鼻腔内に、経皮的に、もしくは吸入により、投与され得る。例えば、発現ベクターの投与は、注射、経口投与、パーティクルガン投与もしくはカテーテル投与、および局所的投与を含む、局所性の投与もしくは全身性の投与を含む。当業者は、インビボにおいて外来性のタンパク質を発現するための発現ベクターの投与に精通している。例えば、米国特許第6,436,908号;同第6,413,942号;および同第6,376,471号を参照のこと。
アゴニスト抗trkC抗体をコードするポリヌクレオチドを含む治療的組成物の標的への送達もまた、利用され得る。受容体媒介DNA送達技術は、例えば、Findeisら、Trends Biotechnol.(1993)11:202;Chiouら、Gene Therapeutics:Methods And Applications Of Direct Gene Transfer(J.A.Wolff編)(1994);Wuら、J.Biol.Chem.(1988)263:621;Wuら、J.Biol.Chem.(1994)269:542;Zenkeら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1990)87:3655;Wuら、J.Biol.Chem.(1991)266:338に記載されている。ポリヌクレオチドを含む治療的組成物は、遺伝子治療プロトコルにおいて、局所的な投与に対して、約100ngのDNAから約200mgのDNAの範囲で投与される。約500ngから約50mg、約1μgから約2mg、約5μgから約500μg、そして約20μgから約100μgのDNAの濃度範囲もまた、遺伝子治療プロトコルの間、利用され得る。本発明における治療的ポリヌクレオチドおよび治療的ポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクルを利用して送達され得る。その遺伝子送達ビヒクルは、ウイルス由来であってもよいし、非ウイルス由来であってもよい(一般的には、Jolly,Cancer Gene Therapy(1994)1:51;Kimura,Human Gene Therapy(1994)5:845;Connelly,Human Gene Therapy(1995)1:185;およびKaplitt,Nature Genetics(1994)6:148を参照のこと)。このようなコード配列の発現は、内因性の哺乳動物プロモーターもしくは異種のプロモーターを利用して、誘発され得る。そのコード配列の発現は、構成的であっても、調節的であっても、いずれでもよい。
望ましいポリヌクレオチドの送達、そして望ましい細胞における発現のためのウイルスベースのベクターは、当該分野において周知である。例示的なウイルスベースのビヒクルとしては、組み換えレトロウイルス(例えば、PCT公開番号WO 90/07936;WO 94/03622;WO 93/25698;WO93/25234;WO93/11230;WO 93/10218;WO 91/02805;米国特許第5,219,740号;第4,777,127号;英国特許第2,200,651号;および欧州特許 0 345 242を参照のこと)、アルファウイルスベースベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)およびベネズエラ馬脳脊髄炎ウイルス(ATCC VR−923;ATCC VR−1250;ATCC VR−1249;ATCC VR−532))、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、PCT公開番号WO 94/12649、WO 93/03769;WO93/19191;WO 94/28938;WO 95/11984およびWO 95/00655を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。Curielら、Hum.Gene Ther.(1992)3:147に記載されているような殺されたアデノウイルスに連結されたDNAの投与もまた、利用され得る。
非ウイルス性の送達ビヒクルおよび送達手法もまた利用され得て、そのビヒクルとしては、殺されたアデノウイルスのみに連結されたポリカチオン性の凝縮DNAもしくは連結されていないポリカチオン性の凝集DNA(例えば、Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3:147を参照のこと)、リガンド連結DNA(例えば、Wu,J.Biol.Chem.(1989)264:16985);真核細胞送達ビヒクル細胞(eukaryotic cell delivery vehicles cells)(例えば、米国特許第5,814,482号;PCT公開番号WO 95/07994;WO 96/17072;WO 95/30763;およびWO 97/42338)および核酸電荷の中和もしくは細胞膜との融合が挙げられるが、これらに限定されない。裸のDNAもまた利用され得る。例示的な裸のDNAの導入法は、PCT出願番号WO 90/11092および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして機能し得るリポソームは、米国特許第5,422,120号;PCT公開番号WO 95/13796号;WO 94/23697号;WO 91/14445号;および欧州特許0 524 968を参照のこと。さらなるアプローチは、Philip,Mol.Cell Biol.(1994)14:2411、およびWoffendin,Proc.Natl.Acad.Sci.(1994)91:1581に記載されている。
タキソール(他のタキサンを含む)は、単独で投与されてもよいし、他の薬物と組み合わせて投与されてもよい。もっとも一般的には、タキソールはエタノールとクレモフォールEL(cremophor ELTM)を含む処方物で送達され、それは処置のために塩水溶液に希釈される。タキソールはまた、乳濁液のような種々の他の形状でも処方され得る。タキソールは一般的に、放射線療法および/もしくは他の化学療法の薬物と組み合わせて投与され、その化学療法の薬剤としては、様々な白金含有組成物(シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、イホスファミド、5−フルオロウラシル、ドキソルビシン、エピルビシン、シクロホスファミド、ゲムシタビン、カペシタビン、エクシスリンド(exisulind)、トポテカン、エトポシド、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン(vinblatin)、およびビノレルビン)、および他の物質が挙げられるが、これらに限定されない。タキソールはまた、タキソールの有害な副作用を相殺するように設計された薬物、もしくは処置するように設計された薬物、そして/またはタキソールと併用で投与される他の化学療法剤と、組み合わせても投与される。例えば、エリスロポエチン(エポエチン(Epoiten)、ダーベポエチン(Darbopoiten)、G−CSF、およびGM−CSF)のような薬物は、化学療法剤の血液学的な効果を処置するために、タキソールと組み合わせて投与され得る。他の例としては、フェノチアジン(コンパジン)、ゾフラン、およびアンゼメット(Anzemet)のような薬物は、化学療法剤の使用にしばしば付随して起こる嘔気の処置のために、タキソールと組み合わせて投与され得る。患者はタキソール処置の前に、前投薬され得る。
タキソールは、カポジ肉腫ならびに乳房、卵巣および肺の悪性腫瘍を含む、様々な悪性腫瘍の処置のために認可され、そして一般に使用されている。タキソールはまた、前立腺、頭頚部および様々な血液悪性腫瘍を含む、他の悪性腫瘍の処置にも使用されている。タキソールはまた、例えば骨髄処置に先立って幹細胞を移動させるために、骨髄移植の間にも与えられる。タキソールの代表的な投薬方式は、以下を含む:3週間ごとに3時間以上に渡って静脈内に135mg/m2もしくは175mg/m2(卵巣癌のため);3週間ごとに3時間以上に渡って静脈内に175mg/m2(乳癌のため);24時間以上に渡って静脈内に135mg/m2(非小細胞肺癌のため);3週間ごとに3時間以上に渡って静脈内に135mg/m2もしくは2週間ごとに3時間以上に渡って静脈内に100mg/m2(カポジ肉腫のため)。Taxol Prescribing Information(製品挿入物),Bristol Meyers Squibb(1998)(http://www.taxol.com/txpi.htmlで入手可能)も参考のこと。他の実施形態において、タキソールは、775mg/m2、475mg/m2、200mg/m2および/もしくは350mg/m2で投与される。タキソールはまた、骨髄移植の間にも高用量(例えば825mg/m2もの高用量)で使用され得る。いくつかの実施形態において、骨髄移植の間のタキソール処置は、以下に挙げる薬剤のうちの1つ以上と組み合わせされる:メルファラン、シクロホスファミド、チオテパ、およびカルボプラチン。例えば、Vahdatら、(2002)Bone Marrow Transplant 30(3):149−153を参照のこと。
上記のアゴニスト抗trkC抗体はタキソールと組み合わせて投与され得る(すなわちタキソールと併用での、タキソールと合わせての、もしくはタキソールと連続しての投与)。このような投与は、腸障害誘導性薬物の投与前に患者に抗体を投与すること、もしくは腸障害誘導性薬物の投与後の患者への抗体の投与を含む。組み合わせの投与は、本明細書中で使用されているように、同時の投与および/もしくは異なる時での投与を含む。組み合わせの投与はまた、共同の処方物(すなわち、そのアゴニスト抗trkC抗体およびタキソールは同じ組成物中に存在する(連結される))による投与および/もしくは別々の組成物による投与を含む。本明細書中に使用されているように、「組み合わせの投与」は、アゴニスト抗trkC抗体およびタキソールが個体に有効量で投与される任意の状況を含むことを意味する。本明細書中でさらに議論されているように、そのアゴニスト抗trkCとタキソールは、異なる投薬頻度および/もしくは異なる投薬間隔で投与され得ることは理解されている。例えば、アゴニスト抗trkC抗体は1週間に1回投与され得る一方、タキソールはより頻繁に投与されてよい。アゴニスト抗trkC抗体およびタキソールは、同じ投与経路を利用して投与されてもよいし、異なる投与経路を利用して投与されてもよく、そして異なる投薬方式はその投与過程を切り替え得ることが理解されている。投与は腸障害の発症前に行われ得る。
タキソールによる癌の処置はまた、アゴニスト抗trkC抗体と組み合わせたタキソールの投与により、本明細書中に記載されるように、強化され得る。アゴニスト抗trkC抗体およびタキソールの相対量および相対比は、変動し得る。いくつかの実施形態において、タキソール処置により誘発される、もしくはタキソール処置と関連している望ましくない副作用(腸障害のような)の減少を可能にするために、十分なアゴニスト抗trkC抗体が投与される。
(アゴニスト抗trkC抗体による処置の有効性を評価する方法)
タキソール誘導性腸障害の評価および診断は、当該分野において周知である。処置の有効性の評価は、様々な異なるレベルでなされ得る。当該分野において公知であるように、評価は臨床的な徴候をモニタリングすることによって行われ得る。いくつかの実施形態において、タキソール誘導性腸障害は以下の症状のうちのいずれかにより特徴付けられる:腹部の膨満、腹膜の腹水症、腸管の肥大(胃、大腸、小腸、盲腸および/もしくは結腸のうち1つ以上の肥大を含む)、低下したGI経路の運動性および低下したGI経路の長さ。いくつかの実施形態において、「タキソール誘導性腸障害」は、腸管の閉塞および/または便の軟化もしくは下痢により、特徴付けられる。
(タキソール誘導性腸障害の処置に使用される組成物)
本発明はまた、本明細書中に記載される任意の方法において使用される組成物も提供する。本発明の方法において使用される組成物は、有効量のアゴニスト抗trkC抗体を含む。このような組成物の例、ならびに処方の仕方についてはまた、前の節および以下にも記載される。本発明で使用される組成物はさらに、凍結乾燥の処方物の形状において、もしくは水溶液の形状において、薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、もしくは安定剤(Remington:The Science and practice of Pharmacy 第20版(2000)Lippincott Williams and Wilkins,K.E.Hoover編集)を含み得る。受容可能なキャリア、賦形剤、もしくは安定剤は、その投薬量および濃度において、患者に無毒であり、そしてリン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸のようなバッファー;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールもしくはベンジルアルコール;メチルパラベンもしくはプロピルパラベンのようなアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニールピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンのようなアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストランを含む、単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールのような糖;ナトリウムのような塩形成対イオン;錯塩(例えば、亜鉛タンパク質錯体);および/またはTWEENTM、PLURONICSTMもしくはポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤である。薬学的に受容可能な賦形剤は、本明細書中にさらに記載される。
ある局面では、本発明はアゴニスト抗trkC抗体を含む組成物を提供する。他の実施形態において、そのアゴニスト抗trkCは、ヒトtrkCを認識する。さらに他の実施形態において、そのアゴニスト抗trkC抗体は、ヒト化されている(本明細書中に記載されている抗体A5のような)。他の実施形態において、そのアゴニスト抗trkC抗体は、抗体A5の、1つ以上のCDR(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはある実施形態においてはA5の6つすべてのCDR)を含む。さらに他の実施形態において、そのアゴニスト抗trkC抗体は、表3に示された重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号1)、および表4に示された軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号2)を含む。さらに他の実施形態において、そのアゴニスト抗trkC抗体は、ヒト抗体である。
上記の組成物が、1つを超えるアゴニスト抗trkC抗体(例えば、trkCの異なるエピトープを認識する1つを超えるアゴニスト抗trkC抗体の混合物)を含み得ることは、理解されている。他の例示的な組成物は、同じエピトープを認識する1つを超えるアゴニスト抗trkC抗体、もしくはtrkCの異なるエピトープに結合する異なる種のアゴニスト抗trkC抗体を含む。
そのアゴニスト抗trkC抗体およびその組成物はまた、そのアゴニスト抗trkC抗体の有効性を強化するおよび/もしくは補完するために利用する他の薬剤と組み合わせて、投与され得る。例えば、このような付加的な化合物は、タキソール誘導性腸障害もしくはタキソール処置の副作用(例えば、貧血もしくは嘔気)の処置のために有用であることが公知である化合物を含み得る。そしてその化合物としては、エリスロポエチン(エポエチン(Epoiten)、ダーベポエチン(Darbopoiten)G−CSF、およびGM−CSF、フェノチアジン(コンパジン)、ゾフラン、およびアンゼメット(Anzemet)が挙げられるが、これらに限定されない。このような分子は、記載された目的のために有効になる量で組み合わされて、適切に存在する。そのtrkCアゴニスト抗体およびその組成物はまた、その抗体の有効性を強化する、および/もしくは補完するように働く他の薬剤と組み合わせて利用され得る。そして、この薬剤としてはエリスロポエチン(エポエチン(Epoiten)、ダーベポエチン(Darbopoiten)G−CSF、およびGM−CSF、フェノチアジン(コンパジン)、ゾフラン、およびアンゼメット(Anzemet)が挙げられる。
他の実施形態において、本発明は、医薬としての使用の状況であろうと医薬の製造のための利用の状況であろうと、本明細書中に記載された方法のいずれの使用のための組成物(本明細書に記載される)を提供する。
(キット)
本発明はまた、この方法に利用されるキットも提供する。本発明のキットは、抗trkCアゴニスト抗体を含む1つ以上の容器、そして本明細書に記載される本発明の方法のいずれかに従って利用するための説明書を含む。いくつかの実施形態において、これらの説明書は、個体がタキソール誘導性腸障害にかかっているかどうか、そして/もしくは個体がタキソール誘導性腸障害を発生するリスクがあるかどうかの同定に基づいて、処置に適した個体を選択するための説明を含み、さらに腸障害の処置および/もしくは予防のための上記trkCアゴニスト抗体の投与を説明し得る。
このように、一実施形態において、本発明は、アゴニスト抗trkC抗体を含むキットを提供する。そのキットはさらに、タキソール誘導性腸障害を発生するリスクのある個体へのアゴニスト抗trkC抗体の投与の説明を含む説明書を含有し得る。いくつかの実施形態において、アゴニスト抗trkCを含む、本明細書に記載された方法に利用するためのキットを提供する。さらに他の実施形態において、その説明書は、アゴニスト抗trkC抗体と組み合わせたタキソール投与の説明を含む。
本発明のキットは、適切な包装の中にある。適切な包装としては、バイアル、ビン、ジャー、柔軟な包装(例えば、封をされたマイラーもしくはプラスチック袋)などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、そのキットは、容器と、そしてその容器に関するラベルもしくは包装挿入物、またはその容器に付随したラベルもしくは包装を含む。そのラベルもしくは包装挿入物は、その組成物がタキソール誘導性腸障害の処置、予防もしくは改善に有用であることを示す。説明書は、本明細書に記載される任意の方法を実施するために、提供され得る。上記の容器は、タキソール誘導性腸障害の処置に有効な組成物を保有し、そして無菌のアクセス部分(例えば、その容器は静脈内の溶液のバッグもしくは皮下の注射針により貫通可能な栓を有したバイアルであり得る)を有し得る。その組成物中の少なくとも1つの活性的な薬剤は、trkCアゴニスト抗体である。その容器はさらに、第2の薬学的に活性的な薬剤を含み得る。キットは、必要に応じて、バッファーおよび説明の情報のような、付加的な構成要素を提供し得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、上に記載されたキットの内容を含む製品を提供する。いくつかの実施形態において、そのキットは、タキソール誘導性腸障害を処置するための利用を示す情報と共に、アゴニスト抗trkC抗体を含む。
以下の実施例は、例示のために提供されるが、本発明を限定しない。
(実施例)