JP2006519447A - デジタル画像の可変コントラストマッピング - Google Patents
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Abstract
デジタル画像のピクセル処理は、ピクセルの強度を、該強度と、該ピクセルの局所ピクセル近傍の最小強度および最大強度との平滑非線形連続関数としてマッピングするステップ(120)を含む。
Description
[背景]
画像鮮鋭化は、デジタル画像の見た目、特に、文書の可読性を向上させるために行われる。画像鮮鋭化を行う殆どのフィルタは、線形鮮鋭化フィルタである様々なアンシャープマスキングを使用し、このアンシャープマスキングは急激なエッジにおいてオーバシュートおよびアンダシュートを生じさせる。アンシャープマスキングは、自然の画像に対しては見た目のよい結果を生むが、文書画像に対してはそうではない傾向がある。文書画像では、アンシャープマスキングはオーバシュートアーチファクトを生じさせる恐れがあり、これはテキストを多く含む画像の画像圧縮率を低下させる。
画像鮮鋭化は、デジタル画像の見た目、特に、文書の可読性を向上させるために行われる。画像鮮鋭化を行う殆どのフィルタは、線形鮮鋭化フィルタである様々なアンシャープマスキングを使用し、このアンシャープマスキングは急激なエッジにおいてオーバシュートおよびアンダシュートを生じさせる。アンシャープマスキングは、自然の画像に対しては見た目のよい結果を生むが、文書画像に対してはそうではない傾向がある。文書画像では、アンシャープマスキングはオーバシュートアーチファクトを生じさせる恐れがあり、これはテキストを多く含む画像の画像圧縮率を低下させる。
アンシャープマスキングに対する代替は、往々にして最小近傍フィルタおよび最大近傍フィルタの組み合わせに帰する数学的なモルフォロジー手法を基にする。最小分散平均(MLV:Mean of Least Variance)フィルタおよび様々なトグルマッピング(toggle mapping)フィルタ等、平滑化と鮮鋭化を組み合わせるモルフォロジーフィルタには、画像の階調数を減らしすぎる、すなわち、原画像を区分毎に一定の強度関数に減じる傾向がある。この効果はテキストだけの画像または医用画像に対しては望ましい場合があるが、写真、変化に富んだ背景、および区分毎に一定の強度プロファイルに対応しない他の画像領域も含み得る複合文書画像に対しては見た目に受け入れられる結果をもたらさない。
[概要]
本発明の一態様によれば、デジタル画像のピクセル処理は、ピクセルの強度を、該強度と、該ピクセルの局所ピクセル近傍(local pixel neighborhood)の最小強度および最大強度との平滑非線形連続関数としてマッピングするステップを含む。本発明の他の態様および利点は、本発明の原理を例示する添付の図面と併せて解釈される、以下に記載される詳細な説明から明らかになるであろう。
本発明の一態様によれば、デジタル画像のピクセル処理は、ピクセルの強度を、該強度と、該ピクセルの局所ピクセル近傍(local pixel neighborhood)の最小強度および最大強度との平滑非線形連続関数としてマッピングするステップを含む。本発明の他の態様および利点は、本発明の原理を例示する添付の図面と併せて解釈される、以下に記載される詳細な説明から明らかになるであろう。
[詳細な説明]
図1を参照して、グレースケールデジタル画像に対して可変コントラストマッピングを行う方法を示す。可変コントラストマッピングはピクセル単位で行われる。可変コントラストマッピングは、各対象ピクセル毎に、局所ピクセル近傍の最小強度値、最大強度値、および局所コントラストレンジを求めるステップ(110)と、対象ピクセルの強度をその対象ピクセルの強度値、最小強度値、最大強度値の平滑非線形連続関数としてマッピングするステップ(120)とを含む。マッピングされた値は局所コントラストレンジ内に残る。この非線形関数を「コントラストマッピング関数」と呼ぶことにする。
図1を参照して、グレースケールデジタル画像に対して可変コントラストマッピングを行う方法を示す。可変コントラストマッピングはピクセル単位で行われる。可変コントラストマッピングは、各対象ピクセル毎に、局所ピクセル近傍の最小強度値、最大強度値、および局所コントラストレンジを求めるステップ(110)と、対象ピクセルの強度をその対象ピクセルの強度値、最小強度値、最大強度値の平滑非線形連続関数としてマッピングするステップ(120)とを含む。マッピングされた値は局所コントラストレンジ内に残る。この非線形関数を「コントラストマッピング関数」と呼ぶことにする。
対象ピクセルの局所コントラストレンジ(D)は、対応する最小強度値(m)と対応する最大強度値(M)との差として求めることができる。したがって、D=M−mである。このレンジ(D)は、ピクセル毎に可変である可能性がある。
例示的な局所近傍を図2に示す。この例示的な局所近傍は、破線で示す枠で区切られている。好ましくは、近傍は、対象ピクセルを中心にして対称であるべきである(図2に、対象ピクセルを「X」で示す)。3×3ピクセルの局所近傍を示すが、局所近傍はいずれの特定のサイズまたは形状にも限定されない。局所近傍のサイズおよび形状は、画像領域の特定のクラス(たとえば、テキスト、グラフィックス、自然の特徴)に適応するように動的に変更することさえも可能である。境界ピクセルおよび部分的な近傍を有する他のピクセルでは、その部分的な近傍の極小値および極大値を使用することができる。
局所コントラストレンジの中央点(「範囲中央点」)は、極大値と極小値の和の半分である。すなわち、範囲中央点A=(M+m)/2である。
局所近傍は対象ピクセルを含む場合もあれば、穴あき(punctured)の場合もある。穴あき近傍は対象ピクセルを含まない。穴あき近傍は、ハーフトーンノイズを含む画像に好ましい場合がある。
近傍が穴あきである場合、対象ピクセルの値をクリッピングして、確実に極大値を超えない、または極小値を下回らないようにすることができる(115)。対象ピクセルの値は、極大値よりも大きい場合、その極大値に等しく設定される。対象ピクセルの値は、極小値よりも小さい場合、その極小値に等しく設定される。
コントラストマッピング関数は、局所コントラストレンジ(D)の関数であるコントラスト伸張のパラメータλ(D)を含むことができる。このコントラスト伸張のパラメータλ(D)は、範囲中央点での非線形関数の傾きに影響を与える。S字形であり、傾き1+λを有するコントラストマッピング関数Fλ(I)を図3に示す。λ=0、λ=−0.7、およびλ=0.7の影響を図3に示す。この例では、コントラストマッピング関数Fλ(I)は、λ=0の場合に恒等写像、λ<0の場合にコントラスト圧縮、およびλ>0の場合にコントラスト伸張を行う。したがって、コントラスト伸張のパラメータ(λ)の符号によりコントラスト伸張を行うかコントラスト圧縮を行うかが決まり、コントラスト伸張のパラメータの値によりコントラストの伸張量または圧縮量が決まる。コントラスト伸張のパラメータの値が負の場合、ピクセル強度値を範囲中央点に向けて押し進めることでコントラストを圧縮させることができ、値が正の場合、ピクセル強度値を範囲中央点から離れる方向に押し進めることでコントラストを伸張させることができる。
コントラスト伸張のパラメータλ(D)は、局所コントラストレンジの連続非減少関数であり、以下の一般的な特徴を有することができる。Dが0に近づくにつれてλは最大コントラスト圧縮に対応する−λ0に近づく。0<D<T1(コントラストレンジが狭い)の場合、コントラスト圧縮はDの非減少関数として行われる。T0≦D≦T1の場合、λ(D)=0であり、したがって恒等写像が行われる。T1<D<TMAX(コントラストレンジが広い)の場合、コントラストマッピングはDの非減少関数として行われる。しきい値TMAXは非常にはっきりとしたエッジに対応する。最大コントラストマッピング(λ=λMAX)は、D=TMAXのときに行われる。D>TMAXの場合、コントラストマッピングは、λ=λMAXで行われてエッジを鮮鋭化しすぎることを回避する。
コントラスト伸張のパラメータλ(D)の例示的なプロファイルを図4に示す。この例示的なコントラスト伸張のパラメータλは、区分的線形プロファイルを有する。コントラスト圧縮は、−λ0から0まで範囲D=0からD=T0にわたって線形的に増大する。範囲D=T0からD=T1は1つの点まで収縮し、この点で恒等写像が行われる(λ=0)。コントラスト伸張は、λ(T0)=0からλ(TMAX)=λMAXまで線形的に増大する。コントラスト伸張は、D>TMAXの場合はλ=λMAXで行われる。
コントラストマッピング関数Fλ(I)は以下の制約を有する。すなわち、(1)減少せず、(2)局所コントラストレンジ全体をカバーするフィルタリングされた値を生成し、(3)範囲中央点を中心にして明化および暗化が対称であり、ピクセルをその範囲中央点において恒等写像する。制約(1)および(2)により、極小値および極大値(mおよびM)はそれ自体にマッピングされる。非線形関数Fλ(I)は、ステップ115において行うことができるクリッピングの他にクリッピングを行うこともできる。
係る関数Fλ(I)の一般的な表現は、以下の形をとることができる。
ただし、Iはピクセル強度を表し、K(I)はコントラスト伸張項を示し、m、Mにパラメトリック的に依存し、以下の制約に従う。
(a1)3点で消失する:K(m)=K(M)=K(A)=0
(a2)I−Aと同じ符号を有する:sgn(K(I))=sgn(I−A)
(a3)I=Aにおいて導関数1を有する:K’(A)=1
制約(a3)に従い、Fλ(I)の範囲中央点(A)での導関数は1+λである。
(a1)3点で消失する:K(m)=K(M)=K(A)=0
(a2)I−Aと同じ符号を有する:sgn(K(I))=sgn(I−A)
(a3)I=Aにおいて導関数1を有する:K’(A)=1
制約(a3)に従い、Fλ(I)の範囲中央点(A)での導関数は1+λである。
関数K(I)は、Iの三次多項式として表すことができ、制約(a1)から導出される積に比例する。
K(I)=[(I−A)・(M−I)・(I−m)}/{(1/2)D}2
K(I)=[(I−A)・(M−I)・(I−m)}/{(1/2)D}2
同様の特性を有する他の関数を使用することもできる。たとえば、コントラスト伸張項は以下の形をとることができる。
K(I)=(D/2π)・sin[2π・{(I−A)/D}]
K(I)=(D/2π)・sin[2π・{(I−A)/D}]
可変コントラストマッピングは、アーチファクトを発生させることなくコントラストの伸張および圧縮を適応的に行うことができる。はっきりとしたエッジ(たとえば、コンピュータ生成された特徴、テキスト)には強いコントラスト伸張を適用し、曖昧なエッジ(たとえば、自然の特徴のエッジ)には穏やかなコントラスト伸張を適用し、低コントラスト近傍(たとえば、エッジを含まない区画)にはコントラスト圧縮を適用する。
可変コントラストマッピングは、低振幅ノイズを強調することなくエッジを鮮鋭化する。ハーフトーンノイズを強調せず、さらには部分的に平滑化することができる。オーバシュートを防ぐ。その結果、コントラストマッピングされた画像の圧縮率は原画像と比較して低下せず、さらに増大させることができる。
可変コントラストマッピングは、線およびテキスト等の幅が狭く暗い特徴に対して「選択的太線化(selective thickening)」を行うように変更することができる。選択的太線化を行い、過度なコントラスト伸張および他の種類の鮮鋭化に起因する擬似的な視覚効果を補償することができる。過度なコントラスト伸張が行われると、人間の目は暗い特徴の明るい側に対してより高い感度を有するため、通常の視距離では、幅が狭く暗い特徴をより細く見えるようにしてしまう。これゆえ、鮮鋭化された幅が狭く暗い特徴は、実際には細くなっていないにもかかわらず通常の視距離ではより細く見えてしまう。選択的太線化を用いて、幅が狭く暗い特徴を肉厚化(bolder)し、通常の視距離で正確な太さを有しているように見せることができる。
変更されたコントラストマッピング関数Fλ,t(I)は、上記の関数Fλ(I)と同じ第1および第2の制約、すなわち(1)減少せず、(2)局所コントラストレンジ全体をカバーするフィルタリングされた値を生成する、に従う。しかし、変更されたコントラストマッピング関数Fλ,t(I)は、Fλ(A)=AからFλ,t(At)=Aに一般化された第3の制約に従う。ただし、「明化された逆中央点(lightened inverse mid-point)」AtはAt≡A+ΔAtと定義され、ここでΔAtはミッドレンジの所定の水平シフト量である。この水平ミッドレンジシフト量ΔAtはコントラストレンジに比例する。たとえば、ΔAt=t(D/2)である。ただし、tは無次元太線化パラメータである。
係る関数Fλ,t(I)の一般的な表現は、以下の形をとることができる。
Kt(I)はコントラスト伸張項であり、以下の制約に従う。
(b1)3点で消失する:Kt(m)=Kt(M)=Kt(At)=0
(b2)I−Atと同じ符号を有する:sgn(Kt(I))=sgn(I−At)
(b3)I=Aにおいて導関数1を有する:K’ t(A)=1
Bt(I)は以下の制約に従う肉厚化項である。
(c1)2つの端点で消失する:Bt(m)=Bt(M)=0
(c2)負ではない:Bt(I)≧0
(c3)I=Aで肉厚化を最大にする:B’t(A)=0
(c4)導関数がI=Atでの所定の水平シフト量に対応する:B’t(At)=At−A=ΔAt
制約(b1)および(c1)は共に、変更されたコントラストマッピング関数Fλ,t(I)が確実に2つの端点で恒等写像するようにする。制約(b2)および(c2)は共に、変更されたコントラストマッピング関数Fλ,t(I)が確実に、Atよりも明るい値まで恒等写像(すなわち暗化)よりも下にあるようにする。制約(b3)および(c3)は共に、変更された曲線が範囲中央点Aにおいて元の曲線と同じ傾きを有する、すなわちその点で平行になるようにする。制約(c4)および(b1)は、変更されたコントラストマッピング関数Fλ,t(I)が確実に第3の制約点Fλ,t(At)=Aを通過するようにする。
(b1)3点で消失する:Kt(m)=Kt(M)=Kt(At)=0
(b2)I−Atと同じ符号を有する:sgn(Kt(I))=sgn(I−At)
(b3)I=Aにおいて導関数1を有する:K’ t(A)=1
Bt(I)は以下の制約に従う肉厚化項である。
(c1)2つの端点で消失する:Bt(m)=Bt(M)=0
(c2)負ではない:Bt(I)≧0
(c3)I=Aで肉厚化を最大にする:B’t(A)=0
(c4)導関数がI=Atでの所定の水平シフト量に対応する:B’t(At)=At−A=ΔAt
制約(b1)および(c1)は共に、変更されたコントラストマッピング関数Fλ,t(I)が確実に2つの端点で恒等写像するようにする。制約(b2)および(c2)は共に、変更されたコントラストマッピング関数Fλ,t(I)が確実に、Atよりも明るい値まで恒等写像(すなわち暗化)よりも下にあるようにする。制約(b3)および(c3)は共に、変更された曲線が範囲中央点Aにおいて元の曲線と同じ傾きを有する、すなわちその点で平行になるようにする。制約(c4)および(b1)は、変更されたコントラストマッピング関数Fλ,t(I)が確実に第3の制約点Fλ,t(At)=Aを通過するようにする。
例示的なコントラスト伸張項Kt(I)および肉厚化項Bt(I)は以下である。
Kt(I)={(I−At)・(M−I)・(I−m)}/(D/2)2
Bt(I)={t/(1−t2)}・[{(M−I)・(I−m)}/(D/2)]
Kt(I)={(I−At)・(M−I)・(I−m)}/(D/2)2
Bt(I)={t/(1−t2)}・[{(M−I)・(I−m)}/(D/2)]
図5は水平ミッドレンジシフトを示す。実線で例示的なシフトのないコントラストマッピング関数Fλ(I)を示す。破線でt=0.4の場合の例示的な変更されたコントラストマッピング関数Fλ,t(I)を示す。水平ミッドレンジシフトにより、変更されたコントラストマッピング関数Fλ,t(I)はAを中心として明化および暗化が対称ではない。範囲中央点よりも所定量(ΔAt)だけ明るい点は、範囲中央点にマッピングされる。
このシフトは横軸(縦軸ではない)上に定義されるため、tとエッジにおける範囲中央点Aの位置の幾何学的シフトとの間には対応性がある。水平ミッドレンジシフトは、暗化ではなく太線化に対応する。数ある利点の中でも特に、tの値を一定にすることで、コントラストレンジの異なるエッジに対して同じ太線化が行われる。コントラストマッピングパラメータtの値を一定にすることで、はっきりとしたエッジの明るい側に対して大半の暗化が行われ、曖昧なエッジの明るい側に対していくらかの暗化が行われ、低コントラスト領域ではごくわずかな暗化しか行われない。低コントラスト領域でのわずかな暗化は、望ましくないときには、Dがしきい値未満の場合にt=0を設定することによって回避することができる。
選択的太線化パラメータの実際の値は用途に固有である。選択的太線化パラメータ(t)の値は、細線化することなくより積極的なコントラスト伸張を行えるように選択することができる。しかし、この値を増大させて暗い特徴をさらに太く見えるようにすることもできれば、低減させて暗い特徴がより細く見えるようにすることもできる。ただしこの場合、選択的太線化なしの場合ほど細くはならない。したがって、細線化は、0〜tcの値の場合に補償を不十分にし(ただし、t=0の場合に太線化は行われず、t=tcの場合に相殺的な太線化が行われる)、tcよりも大きな値tの場合に補償を過剰にすることができる。
図6はデジタル撮像システム610を示す。画像取り込み装置612がデジタル画像のラインをプロセッサ614に提供する。プロセッサ614は、後に処理するためにデジタル画像のラインをすべてメモリ616に記憶するか、またはデジタル画像をリアルタイムで処理することができる。処理された画像もメモリ616に記憶することができる。プロセッサ614は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれら2つの組み合わせを使用して、図1の方法に従ってデジタル画像を処理することができる。プロセッサは追加の処理も同様に行うことができる。
ソフトウェアでのインプリメンテーションの場合、メモリ616は、実行されると、プロセッサ614に図1の方法を実行するように命令するプログラムを記憶する。プロセッサ614およびメモリ616は、パーソナルコンピュータまたはワークステーションの一部であってもよく、画像取り込み装置等に埋め込まれてもよい。
ハードウェアでのインプリメンテーションおよびソフトウェアでのインプリメンテーションの両方において、処理は整数算術および予め算出されたルックアップテーブル項のみを使用して行うことができる。したがって、可変コントラストマッピングは非常に効率的に実施することができる。さらに、可変コントラストマッピングはリアルタイムで行うことができる。
可変コントラストマッピングは、任意の特定種類の画像に限定されず、テキストおよび他のコンピュータ生成特徴のみを含む画像、自然の特徴のみを含む画像、および自然の特徴およびコンピュータ生成特徴を含む複合文書に適用することができる。
可変コントラストマッピングは、ピクセル近傍の最小ピクセル強度値および最大ピクセル強度値を求める別の処理方法に「ブートストラップ」することができる。たとえば、可変コントラストマッピングは、譲受人の米国特許出願第10/376,888号に開示されているブリードスルー(bleed through:にじみ出し)低減方法にブートストラップすることができる。
これまで、可変コントラストマッピングについてグレースケールデジタル画像に関連して説明してきた。しかし、可変コントラストマッピングはカラー画像に拡張することができる。ルミナンスがクロミナンスから切り離される(たとえば、YCrCb、YUV、Lab)知覚色空間では、可変コントラストマッピングをルミナンスチャネルに適用することができる。従来の鮮鋭化はクロミナンスチャネルに対して使用することができる。しかし、人間の視覚系の感度はルミナンスよりもクロミナンスに対して低いため、クロミナンスチャネルの鮮鋭化は取捨選択可能である。
可変コントラストマッピングは複数のチャネルに対して行うことができ、コントラスト伸張のパラメータを複数のチャネル同士で調整することができる。第1の例として、可変コントラストマッピングを使用して、ルミナンスチャネルの他にクロミナンスチャネルを鮮鋭化または平滑化することができる。各クロミナンスチャネルのピクセル値をクロミナンス強度に変換する(たとえば、YCbCr色空間では、ピクセルの色強度をC=√(Cb 2+Cr 2)として算出することができる)。クロミナンス強度の局所コントラストレンジを各クロミナンスチャネルの各ピクセル毎に算出する。ピクセルのルミナンス成分のマッピングに使用されたコントラスト伸張のパラメータは、そのピクセルのクロミナンス成分のマッピングにも使用されるが、クロミナンス強度の局所コントラストレンジの関数としてである。
第2の例として、画像は最初は、RGB(ルミナンスおよびクロミナンスが切り離されていない)等の非知覚色空間である。各ピクセル毎に、ルミナンス成分を算出してマッピングし、元の値とマッピングされたルミナンス値との差を求める。その差を用いて非知覚色空間の各成分を変更する。たとえば、ピクセルのRGBトリプレットは[100,150,200]である。ルミナンスが50グレーレベルだけ低減される場合、RGB値は各成分を50グレーレベルだけ低減させて[50,100,150]にすることによって変更することができる。別法として、マッピングされたルミナンスと元のルミナンスの比で乗算してRGB成分を変更することができる。結果得られるピクセル値にクリッピングを施して、変換された画像のRGB結果が確実にRGB色域内にあるようにする。クリッピングに代えてより高度な色域マッピングを行い、色の忠実度を維持することもできる。
第3の例として、可変コントラストマッピングをRGB色空間の各チャネルに適用することができる。各ピクセル毎に、局所コントラストレンジおよびコントラスト伸張のパラメータを各色成分毎に求め、単一のコントラスト伸張のパラメータを選択する。その単一のコントラスト伸張のパラメータを使用してピクセルの各色成分をマッピングする。マッピングに使用する単一のパラメータは、3つの個々のパラメータの線形結合、3つのパラメータの最大値等であることができる。単一のパラメータを使用することで色縞を防ぐことができる。
選択的太線化は、可変コントラストマッピングを行うフィルタに限定されない。アンシャープマスキングフィルタおよび他の鮮鋭化フィルタも選択的太線化を行うように変更することができる。こういったフィルタは、エッジの暗い側にある暗い特徴に対してより強い鮮鋭化を行うように変更することができる。結果として生じるエッジの暗い側と明るい側の不均衡は、エッジの中心位置のシフトとして知覚され、これにより太く濃いエッジという知覚に繋がる。選択的肉厚化は局所コントラストの非減少関数として行うことができる。
Fζ(I)=I+ζ・(I−L)の形を有する線形アンシャープマスキング(鮮鋭化)フィルタを考える。ただし、ζは鮮鋭化係数であり、Lは、中心を対象ピクセルに配置した空間ローパスフィルタを適用した結果である。係るフィルタは、単に引数をΔAtだけシフトさせるだけで選択的太線化を行うことができる。ただし、tは無次元太線化パラメータである。したがって、選択的太線化を行うように変更された線形鮮鋭化フィルタは、Fζ,t(I)=I−ΔAt+ζ・(I−ΔAt−L)の形を有することができる。
このより一般的な応用用途では、ΔAtは強度(I)の空間勾配に比例することができる。ただし、ΔAt=t・|∇I|=t・√{(∂xI)2+(∂yI)2}である。ΔAtのこの定義によれば、低コントラスト(低勾配)近傍での選択的暗化は非常に小さく、無視できるほどである。ΔAtのこの定義を用いて、パラメータtは、可変コントラストマッピングのように、エッジの中心の幾何学的シフトというその意味を持ち続ける。
ΔAtを勾配に依存させる他、低勾配近傍でのノイズの鮮鋭化を防ぐために鮮鋭化係数も勾配に依存させることができ、これもまた可変コントラストマッピングに類似する(λ(D)ではなくλ|∇I|)。しかし、選択的鮮鋭化は太線化とは無関係である。
選択的太線化は、鮮鋭化係数ζをζ=0に設定することで鮮鋭化を行わずに施すことができる。したがって、Ft(I)=I−t・|∇I|である。これはλ(D)=0である可変コントラストマッピングについて言える。
本発明は上で説明し図示した特定の実施形態に限定されない。その代わりに、本発明は添付の特許請求の範囲に従って解釈される。
612 取り込み装置
614 プロセッサ
616 メモリ
614 プロセッサ
616 メモリ
Claims (10)
- ピクセルの強度を、該強度と、該ピクセルの局所ピクセル近傍の最小強度および最大強度との平滑非線形連続関数としてマッピングするステップ(120)を含むデジタル画像のピクセル処理方法。
- 前記ピクセルが、前記局所ピクセル近傍の局所コントラストレンジの関数としてマッピングされる(110)請求項1に記載のデジタル画像のピクセル処理方法。
- 前記近傍が穴あきであり、前記ピクセルが前記局所コントラストレンジ外にある場合に該ピクセルをクリッピングするステップ(115)をさらに含む請求項2に記載のデジタル画像のピクセル処理方法。
- 前記マッピングするステップが、コントラスト伸張のパラメータの関数としても行われ、該コントラスト伸張のパラメータは、前記ピクセルをコントラスト伸張、コントラスト圧縮、または恒等写像のいずれかでマッピングするかを決定する請求項2に記載のデジタル画像のピクセル処理方法。
- 前記コントラスト伸張のパラメータが範囲中央点での前記マッピング関数の傾きを決定する請求項4に記載のデジタル画像のピクセル処理方法。
- コントラスト圧縮は、局所コントラストレンジが狭い局所ピクセル近傍に対して行われ、コントラスト伸張は、局所コントラストレンジが広い局所ピクセル近傍に対して行われる請求項4に記載のデジタル画像のピクセル処理方法。
- コントラスト伸張は高コントラスト近傍に対して所定の値を超えない請求項4に記載のデジタル画像のピクセル処理方法。
- 前記マッピング関数は非減少関数であり、局所コントラストレンジ全体をカバーするフィルタリングされた値を生成するとともに、範囲中央点を中心として明化および暗化が対称であり、前記範囲中央点において恒等写像する請求項1記載のデジタル画像のピクセル処理方法。
- 前記デジタル画像がカラー画像であり、前記マッピングするステップが前記カラー画像の複数のチャネルに対して行われ、前記コントラスト伸張のパラメータが前記複数のチャネル同士で調整される請求項1記載のデジタル画像のピクセル処理方法。
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