JP2006518745A - Clkペプチドおよびslkペプチド - Google Patents

Clkペプチドおよびslkペプチド Download PDF

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Abstract

本発明は、IV型コラーゲンの天然の三重螺旋の形態より実質的に大きな親和性でタンパク分解または変性させたIV型コラーゲンに特異的に結合するアンタゴニストを投与することによって、組織中の血管新生を阻害するための方法を記載している。腫瘍増殖、腫瘍転移または再狭窄の治療上の処置のためのそのようなアンタゴニストを利用する方法もまた、インビボおよびエキソビボ両方において、正常組織または罹病組織における血管新生の診断マーカーとしてそのようなアンタゴニストを使用するための方法として記載されている。

Description

本願は、米国特許法§119(e)に基づいて、2003年2月20日に出願された米国仮特許出願番号第60/449,250の優先権を主張する。この仮出願の内容は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
(発明の分野)
本発明は、概して医薬の分野、より詳細には、変性IV型コラーゲンの選択的アンタゴニストを含む活性な薬剤を使用して、血管新生、腫瘍増殖および転移を阻害または検出するための方法および組成物に関連する。
腫瘍増殖および転移は、毎年、多数の人々に影響を与える。1年当たり、600,000をこえる新しい症例の癌が、アメリカで診断されると予測される(Vamer,J.ら、Cell Adh.Commun.1995;3:367−374)。
離れた部位への原発性腫瘍塊由来の悪性腫瘍細胞の広がりである転移は、複雑な一連の相関した事象に関連する(Liottaら、Cell 1991;64:327−336;Wyckoffら、Cancer Res.2000;60:2504−2511;Kurschatら、Clinc.Exp.Dermatol.2000;25:482−489)。転移カスケードは、細胞−細胞間の相互作用における変化をもたらす一連の遺伝子の変化によって開始され、原発性腫瘍塊から腫瘍細胞を分離することを可能にする。分離された細胞は、タンパク分解性に改変された細胞外マトリックス(ECM)を介して局所的に侵入および移動する。分離された細胞は、循環系に接近する。転移沈着物を定着させるために、循環する腫瘍細胞は宿主免疫防御を避け、微小血管系で停止し、さらに循環の外へ遊出しなければならない。次いで、腫瘍細胞は、新しい部位でECMに侵入し、増殖し、血管新生を誘導し、さらに増殖し続ける。
血管新生を阻止するために設計された治療は、固体腫瘍の増殖および転移に顕著に影響し得る。腫瘍の新血管新生を阻止することは、種々の動物モデルにおける腫瘍増殖を顕著に阻害し、ならびにヒト臨床データは、この論点をも支持し始めている(Varner,J.ら、Cell Adh.Commun.1995;3:367−374)。これらの研究および他の研究は、固体腫瘍の増殖が最小の大きさをこえた連続した腫瘍拡大のための新しい血管の増殖を必要とすることを示唆する(Varnerら、1995;Blood,C.H.ら、Biochim.Biophys.Acta.1990;1032:89−118;Weidner,N.ら、J Natl.Cancer Inst.1992;84:1875−1887;Weidner,N.ら、N.Engl.J Med.1991;324:1−7;Brooks,P.C.ら、J Clin.Invest.1995;96:1815−1822;Brooks,P.C.ら、Cell 1994;79:1157−1164;Brooks,P.C.ら、Cell 1996;85:683−693;Brooks,P.C.ら、Cell 1998;92:391−400)。従って、血管新生の阻害は、癌および転移性疾患についての見込みのある処置である。
血管新生は、新しい血管が既存の血管から発生することによる生理学的プロセスである(Varnerら、1995;Bloodら、1990;Weidnerら、1992)。この複雑なプロセスは、増殖因子、細胞接着レセプター、マトリックス分解酵素および細胞外マトリックス成分を含む種々の分子の共同作用を必要とする(Varnerら、1995;Bloodら、1990;Weidnerら、1992)。
血管新生の阻害はまた、例えば、眼疾患(例えば、黄斑変性および糖尿病性網膜症)ならびに炎症性疾患(例えば、関節炎および乾癬)を含む、無秩序な血管発生によって特徴づけられる他の疾患を処置する際に有用であり得る(Varnerら、1995)。
多くの研究者は、血管新生を開始する増殖因子およびサイトカインの方へ向けて、彼らの抗血管新生アプローチの焦点を合わせている(Varnerら、1995;Bloodら、1990;Weidnerら、1992;Weidnerら、1991;Brooksら、1995;Brooksら、1994;Brooksら、1997)。しかしながら、血管新生を刺激する能力を有する多数の増殖因子およびサイトカインがある。従って、単一のサイトカインを阻止することの治療上の利点は、この重複性に起因する限られた利点のみを有し得る。他の抗血管新生の標的にはほとんど注目が向けられていない。
最近の研究は、血管新生が、新しい血管発生の助けとなる微環境を提供するために、血管を取り囲む細胞外マトリックス(ECM)のタンパク分解性再形成を必要とすることを示唆している(Varnerら(1995);Bloodら(1990);Weidnerら(1992);Weidnerら(1991);Brooksら(1995);Brooksら(1994);Brooksら(1997))。細胞外マトリックスタンパク質コラーゲンは、動物およびECM内の大多数のタンパク質における総タンパク質量の25%以上を構成する。
血管新生の阻害は、腫瘍増殖および転移を制限するための有用な治療である。血管新生の阻害は、(1)「血管新生分子」(例えば、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子))の放出の阻害、(2)血管新生分子の中和(例えば、抗bFGF抗体)、および(3)血管新生刺激に対する内皮細胞応答の阻害、によってもたらされ得る(Folkmanら、Cancer Biology,3:89−96(1992))。血管新生を阻害するために使用され得るいくつかの潜在的な内皮細胞応答インヒビターが、記載されている(例えば、コラゲナーゼインヒビター、基底膜代謝回転インヒビター、血管増殖抑制ステロイド(angiostatic steroid)、真菌由来の血管新生インヒビター、血小板因子4、トロンボスポンジン、関節炎薬(例えば、D−ペニシラミンおよび金チオマレート)、ビタミンD3アナログ、α−インターフェロン)。さらなる提案された血管新生インヒビターもまた、文献に記載されている(Bloodら(1990);Mosesら(1990)Science 248:1408−1410;Ingberら(1988)Lab.Invest.,59:44−51;ならびに米国特許第5,092,885号;米国特許第5,112,946号;米国特許第5,192,744号;および米国特許第5,202,352号)。
コラーゲンは、[Gly−Xaa−Xaal]配列モチーフを含む細胞外マトリックスタンパク質である。コラーゲン型は、当該分野において周知である(例えば、Olsen,B.R.(1995)Curr.Op.Cell.Biol.5:720−727;Kucharz,E.J.The Collagens:Biochemistry and Pathophysiology.Springer−Verlag,Berlin,1992;Kunn,K.in Structure and Function of Collagen Types,R.MayneおよびR.E.Burgeson編,Academic Press,Orlandoを参照のこと)。コラーゲンは、多数の形態において存在する繊維質の多鎖の三重螺旋タンパク質である(Olsen,B.R.(1995)Curr.Opin.Cell Biol 7,720−727;Van der Rest,M.ら(1991)FASEB 5,2814−2823)。少なくとも18個の遺伝的に異なるコラーゲンのタイプが同定されており、その多くは、異なる組織分布および機能を有する(Olsen(1995);Van der Restら(1991))。I型コラーゲンは、細胞外マトリックスにおいて最も豊富なコラーゲンである。I型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲンおよびV型コラーゲンは、インビボで全ての既存の血管に結合されると示されている。
成熟したコラーゲン分子は、ねじれて三重螺旋になっている2本のα1鎖および1本のα2鎖から構成される。例えば、I型コラーゲンおよびIV型コラーゲンは、それぞれα1(I)およびα2(I)ならびにα1(IV)およびα2(IV)と称される主要な鎖から構成される。インビボで、通常、コラーゲンは成熟した三重螺旋の形態において見出される。
成熟した三重螺旋コラーゲンの天然の3次構造の変性は、血管新生を制御する潜在的な調節領域を露出させ得る。抗体による、変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用の破壊は、腫瘍増殖および血管新生を阻止する(Xu,J.ら(2001)J.Cell Biol.Vol.154:1069−1079;Hangiaら(2002)Am.J.Pathol.Vol.161:1429−1437)。Brooksら(PCT WO 00/40597)は、種々の変性コラーゲン型内の隠れた領域に結合する抗体を開示している。
驚いたことに、いまや、変性IV型コラーゲンについての選択的なペプチドアンタゴニストは、血管新生および腫瘍増殖を阻害することが見い出された。変性IV型コラーゲンに特異的に結合するペプチドアンタゴニストは、癌、炎症性疾患および他の血管新生関連疾患を処置するための強力な新しい化合物についての基礎を提供する。
(発明の要旨)
本発明は、血管新生を阻害する量の変性IV型コラーゲンの選択的アンタゴニストを含む活性薬剤を哺乳類に投与することによって、哺乳類の組織における血管新生、腫瘍増殖および転移を阻害するための方法を提供する。
本発明はまた、腫瘍細胞接着を阻害する量の変性IV型コラーゲンの選択的アンタゴニストを含む活性薬剤を哺乳類に投与することによって、哺乳類の組織における腫瘍増殖および転移を阻害するための方法を提供する。
本発明はまた、変性IV型コラーゲンに特異的に結合し、哺乳類における血管新生、腫瘍増殖および転移を阻害するために使用され得る、ペプチドアンタゴニストを提供する。より詳細には、本発明は、血管新生、腫瘍増殖および転移を阻害する変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを含む生物学的に活性な薬剤を提供する。変性IV型コラーゲンへの本発明のペプチドアンタゴニストの結合親和性は、天然の形態のIV型コラーゲンへのアンタゴニストの結合親和性より実質的に大きい。
本発明における使用のための変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、コアアミノ酸配列L−K−Q−N−G−G−N−F−S−Lを有する。
本発明における使用のための好ましい変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、アミノ酸配列NH−C−L−K−Q−N−G−G−N−F−S−L−G−COOHを有するペプチド(CLKペプチド)である。
本発明における使用のための別の好ましい変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、アミノ酸配列NH−S−L−K−Q−N−G−G−N−F−S−L−C−COOHを有するペプチド(SLKペプチド)である。
本発明における使用のための別の好ましい変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、アミノ酸配列NH−K−G−G−C−L−K−Q−N−G−G−N−F−S−L−G−G−K−A−COOHを有するペプチド(KGGCLKペプチド)である。
本発明の別の実施形態において、変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、細胞傷害性薬剤または細胞増殖抑制剤に結合される。
別の局面において、本発明は、検出可能に標識された変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストに組織を曝露することによって、哺乳類の組織における血管新生を検出するための方法を提供する。
なおさらなる実施形態において、本発明は、検出可能に標識された変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストに試験される組織を曝露することによって、哺乳類の組織における腫瘍状の組織、転移、腫瘍侵入、細菌侵入、関節炎、炎症またはIV型コラーゲンの変性によって特徴づけられるか、もしくは関連する任意の他の疾患もしくは状態を検出するための方法を含む。
(発明の詳細な説明)
本発明は、変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストの使用を通して哺乳類における血管新生、腫瘍増殖、転移、細菌侵入、関節炎、炎症またはIV型コラーゲンの変性によって特徴づけられるか、もしくは関連する任意の他の疾患もしくは状態を阻害するための組成物および方法、ならびに変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストの使用を通して哺乳類の組織における血管新生、腫瘍増殖、転移、細菌侵入、関節炎、炎症またはIV型コラーゲンの変性によって特徴づけられるか、もしくは関連する任意の他の疾患もしくは状態を検出するための組成物および方法を提供する。アミノ酸コアL−K−Q−N−G−G−N−F−S−Lを有するペプチドは、変性IV型コラーゲンに、選択的に結合する。
本発明の方法は、癌細胞を確立および維持するために必要とされる新しい血管の形成を阻害する生物学的に活性な薬剤を提供する。さらに、本発明は、腫瘍増殖、転移、炎症、および変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用に関連する他の疾患または状態を、直接的に阻害する方法および組成物を提供する。本発明の活性薬剤は、変性IV型コラーゲンに選択的に結合し、それによって、血管新生、腫瘍増殖、転移、関節炎、炎症性疾患およびそのようなコラーゲンとの細胞相互作用に関連する他の疾患または状態を防ぐ。
(定義)
本明細書中で使用される場合、「血管新生」という用語は、「新芽形成(sprouting)」、脈管形成、または血管拡大を含む組織の新生血管形成に関する種々のプロセスを包含する。血管新生プロセスの全ては、血管における細胞外マトリックスコラーゲンの破壊を含む。外傷性の傷の治癒、黄体形成および胚形成の間に起こる血管新生は、正常な生理機能の一部である。しかしながら、大多数の血管新生の症例は、疾患プロセスに関連する。
本明細書中で使用される場合、「アンタゴニスト」は、天然に存在する生物活性を阻害する化合物のことをいう。
本明細書中で使用される場合、コラーゲン内の「隠れたエピトープ」は、天然コラーゲン内では認識のために露出していないが、変性コラーゲンのアンタゴニストによって認識され得る配列である。天然の構造において、溶媒に露出していないか、または部分的にのみ溶媒に露出しているペプチド配列は、隠れたエピトープの可能性がある。隠れたエピトープの配列は、アンタゴニストの特異性を決定することによって同定され得る。隠れたエピトープの候補はまた、例えば、天然の三重螺旋コラーゲンの3次構造を調べることによって、同定され得る。
本明細書中で使用される場合、「天然コラーゲン」は、その三重螺旋形態が優勢であるコラーゲンのことをいう。
本明細書中で使用される場合、「変性コラーゲン」は、その天然の三重螺旋形態がもはや優勢ではないコラーゲンのことをいう。変性コラーゲンは、変性した全長コラーゲンまたはコラーゲンの断片であり得る。コラーゲンの断片は、全長コラーゲン配列より短い任意のコラーゲン配列であり得る。実質的な天然構造を有するコラーゲンの断片について、変性は天然の全長コラーゲンについてもたらされ得る。断片はまた、それらが重要な天然構造を保有しないか、または重要な天然の三重螺旋形態のない領域を保有するようなサイズであり得る。「変性コラーゲン」という用語は、「タンパク分解コラーゲン」を包含する。「タンパク分解コラーゲン」は、タンパク質分解酵素の作用によって構造的に変更されたコラーゲンのことをいう。
本明細書中で使用される場合、「変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニスト」は、天然IV型コラーゲンより、変性IV型コラーゲンへの実質的に大きい結合親和性を有する物質である。
本明細書中で使用される場合、「エピトープ」は、本発明のアンタゴニストによって認識されるアミノ酸配列である。エピトープは、直線状のペプチド配列であり得るか、または連続的でないアミノ酸配列から構成され得る。アンタゴニストは、1つ以上の配列を認識し得、それゆえ、エピトープは、1つより多くの異なるアミノ酸配列標識を規定し得る。アンタゴニストによって認識されるエピトープは、当該分野における当業者に周知であるペプチドマッピングおよび配列解析技術によって決定され得る。
本明細書中で使用される「ペプチド」という用語は、連続した2個以上の共有結合的に連結されたアミノ酸のことをいう。直線状、環状、または分岐状のペプチドが、本発明を行う際に使用され得る。
本明細書中で使用される「コアアミノ酸配列」という用語は、ペプチドのN末端で始まり得、ペプチドにおける内部配列であり得るか、またはペプチドのC末端で終わり得る、アミノ酸の配列のことをいう。
本明細書中で使用される場合、「ペプチド模倣物」という用語は、ペプチドの活性を模倣する化合物のことをいうために使用される。ペプチド模倣物は、ペプチドではないが、非ペプチド結合によって連結されたアミノ酸を含み得る。ペプチド模倣物において、隠れたエピトープの3次構造と特異的に相互作用するペプチドの3次構造は、ペプチドでない分子によって複製される。
本明細書中で使用される「新血管形成」は、新しい血管の発生を意味する。新血管形成は、血管新生のプロセスおよび/または血管新生の結果である、新しい血管形成のことをいい得る。
本明細書中で定義される場合、「患者」は、血管新生疾患、腫瘍増殖または転移の処置が所望される任意の哺乳類である。好ましい患者としては、農耕用哺乳類または家畜哺乳類、例えば、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ラバ、ロバ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、およびラットが挙げられる。特に好ましい患者は、ヒトである。
「薬学的に受容可能」とい語句は、ヒトに投与する場合、「一般的に安全とみなされる」、例えば、生理学的に許容でき、概してアレルギー反応または同様の望ましくない反応(例えば、胃の不調、眩暈など)を生成しない、分子の実体および組成物のことをいう。好ましくは、本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能」という用語は、動物、さらに詳しくはヒトにおける使用に関して、連邦政府もしくは州政府の監督庁によって認可されたことまたは米国薬局方もしくは他の一般的に認知された薬局方のリストに記載されていることを意味する。「キャリア」という用語は、化合物と一緒に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルのことをいう。そのような薬学的キャリアは、滅菌した液体(例えば、石油起源、動物起源、植物起源または合成起源のもの(例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油など)を含む水および油)であり得る。水または水溶液生理食塩水およびグルコース水溶液およびグリセロール水溶液が、好ましくは、特に注射溶液のために、キャリアとして使用される。適切な薬学的キャリアは、E.W.Martinによって「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
「実質的に大きい親和性」は、標準化合物と比べて、標的化合物について少なくとも1.5倍大きい、さらに好ましくは、少なくとも10倍大きい、最も好ましくは、少なくとも100倍大きい、結合親和性を意味する。選択的アンタゴニストは、変性IV型コラーゲン(標的化合物)に特異的であり、選択的アンタゴニストの結合親和性が、天然コラーゲン(標準化合物)と比較される。明らかな結合親和性の測定が、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)または当業者が精通している他の技術(例えば、表面プラズモン共鳴技術(BIOCORE2000システムで解析される)(Liljebladら(2000)Glyco.J.,Vol.17:323−329)、ならびに標準的な測定および慣例の結合アッセイ(Heeley,R.P.(2002)Endocr.Res.,Vol.28:217−229))を使用して行われ得る。
「治療的に有効な量」は、処置される組織中の血管新生において測定可能な減少を引き起こすために十分な選択的変性コラーゲンアンタゴニストの量(すなわち、血管新生を阻害する量);または腫瘍増殖、転移、関節炎、炎症性疾患もしくは変性IV型コラーゲンに関連する状態において測定可能な減少を引き起こすために十分な選択的変性コラーゲンアンタゴニストの量である。
本明細書中で使用される「処置」という用語は、血管新生、腫瘍増殖、転移、細菌侵入、関節炎、炎症またはIV型コラーゲンの変性によって特徴づけられるか、もしくは関連する任意の他の疾患もしくは状態を防ぐための、あるいはそのような疾患もしくは状態を有する患者において、既存の血管新生、腫瘍増殖、転移、細菌侵入、関節炎、またはIV型コラーゲンの変性によって特徴づけられるか、もしくは関連する任意の他の疾患もしくは状態の進行を阻害するための、および/またはそのような疾患もしくは状態に関連する症状を改善するための、変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストの投与を意味する。
「用量単位」という用語は、本発明の治療組成物に関して使用される場合、被験体のための投薬単位として適切な物理的に分けた単位のことをいい、各々の単位は、単独で、または適切な希釈剤;キャリア、ビヒクル、もしくは他の賦軽剤を含む組成物のいずれかにおいて、所望の治療効果をもたらすために計算された所定の量の活性物質を含む。
(変性IV型コラーゲンアンタゴニスト)
本発明の生物学的に活性な薬剤は、変性IV型コラーゲンのための強い結合親和性を有する化合物を含む。本発明の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、アミノ酸コア配列L−K−Q−N−G−G−N−F−S−Lを有する。
本発明における使用のための1つの好ましい変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、CLKペプチドである。CLKペプチドは、高い特異性で変性IV型コラーゲンに結合する。CLKペプチドのアミノ酸配列は、NH−C−L−K−Q−N−G−G−N−F−S−L−G−COOHである。CLKペプチドは、変性IV型コラーゲン内の領域に結合し、変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用を阻害する。細胞外マトリックス内の機能的エピトープとの接着細胞相互作用は、インビボでの血管新生、腫瘍増殖および転移を制限する役割を有する(Xu,J.ら(2001)J.Cell Biol.Vol.154:1069−1079;Hangiaら(2002)Am.J.Pathol.Vol.161:1429−1437)。CLKペプチドは、インビボで、血管新生(以下の実施例4)および腫瘍増殖および転移(以下の実施例5)を強力に阻止すると示されている。
本発明における使用のための別の好ましい選択的変性IV型コラーゲンアンタゴニストは、SLKペプチドである。SLKペプチドは、変性IV型コラーゲンに高い特異性で結合し、変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用を阻害する。SLKペプチドのアミノ酸配列は、NH−S−L−K−Q−N−G−G−N−F−S−L−C−COOHである。
本発明における使用のためのさらに好ましい選択的変性IV型コラーゲンアンタゴニストは、KGGCLKペプチドである。KGGCLKペプチドは、変性IV型コラーゲンに高い特異性で結合し、変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用を阻害する。KGGCLKペプチドのアミノ酸配列は、NH−K−G−G−C−L−K−Q−N−G−G−N−F−S−L−G−G−K−COOHである。
例えば、連続固相結合アッセイが、変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを同定するために使用され得る。変性IV型コラーゲンアンタゴニストを同定するための好ましい方法は、サブトラクティブ免疫法(Xu,J.ら(2000)Hybridoma,Vol.19:375−385)およびサブトラクティブファージディスプレイ(実施例1)(Amstutz P.ら(2001)Curr.Opin.Biotechnol.,vol.12:400−405)である。
好ましい変性の方法は熱変性である。なぜなら、熱変性は、免疫原性をインビボでほとんど有さない小さな断片より少なく生じるからである。IV型コラーゲンは、例えば、15分間、100℃までIV型コラーゲンを加熱することによって、熱的に変性され得る。変性はまた、カオトロピック剤を用いてコラーゲンを処理することによって達成され得る。適切なカオトロピック剤としては、例えば、グアニジニウム塩が挙げられる。コラーゲンはまた、電離放射線、非電離放射線(紫外線)、熱損傷、および機械的ストレスまたは機械力によって変性され得る。コラーゲンはまた、タンパク分解によって変性され得る。特に、タンパク分解コラーゲンは、メタロプロテイナーゼ(例えば、MMP−1、MMP−2もしくはMMP−9)でコラーゲンを処理することによって、またはコラーゲン分解活性を含む細胞抽出物でコラーゲンを処理することによって調製され得る。タンパク分解コラーゲンはまた、組織における新血管形成、腫瘍増殖、転移、細菌侵入、関節炎および炎症の部位で天然に存在し得る。
コラーゲンの変性は、例えば、このタンパク質の光学的性質(例えば、吸光度、円偏光二色性または蛍光)における分光の変化、核磁気共鳴、ラマン分光法、または任意の他の適切な技術によってモニタリングされ得る。
結果として得られた変性IV型コラーゲン断片は、次いで、固体マトリックスに固定され得る。コラーゲンに結合すると知られているペプチドは、ペプチドライブラリーから取得され得る(Amstutz P.ら(2001)Curr.Opin.Biotechnol.,vol.12:400−405)。コラーゲン結合ペプチドは、固体マトリックスを通過し得る。変性IV型コラーゲンに結合するペプチドは、固体マトリックスに接着する。接着したペプチドは、次いで、固体マトリックスから洗浄され得、それから天然IV型コラーゲンが固定された第2固体マトリックスを通過し得る。第2固体マトリックスに結合しないペプチドは、変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストである。
本発明で使用される選択的ペプチドアンタゴニストおよび選択的ポリペプチドアンタゴニストは、当業者に周知であるいくつかの異なる技術を使用して生成され得る。例えば、ツーハイブリッドシステム(例えば、Fields,S.(1989)Nature 340:245−6)は、ライブラリーからコラーゲンペプチドに結合するタンパク質アンタゴニストを選択するための「餌(bait)」としてコラーゲン断片を使用する。このシステムおよびその操作は、Green,D.M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.100:1010−1015(2003)およびGyuris,J.ら(1993)Cell,Vol.75:791−803に記載されている。可能性のあるアンタゴニストのライブラリーは、例えば、cDNAライブラリーから誘導され得る。別の実施形態において、可能性のあるアンタゴニストは、既知のコラーゲン結合タンパク質(例えば、インテグリンおよびフィブロネクチン)の改変体であり得る(Hynes,R.O.(1992)Cell,Vol.69:11−25;Steffensen,B.ら(2002)Matrix Biol.,Vol.21:399−414;Ingham,K.C.ら(2002)Arch.Biochem.Biophys.,Vol.407:217−223)。そのようなタンパク質は、ランダムに突然変異を起こさせ得るか、または遺伝子シャッフリング、もしくは配列の多様性を生成するための他の周知の技術に供され得る(Tani,P.H.ら(2002)Biochm.J.,Vol.365:287−294;Stephanopoulos,G.(2002)Nat.Biotechnol.,Vol.20:666−668)。
本発明のペプチドアンタゴニストはまた、Zhao,H.ら(2002)Cur.Opin.Biotechnol.,Vol.13:104−110およびGuo,Z.,ら(2002)Biochemistry,Vol.41:10603−10607に開示のような分子進化技術を使用して生成され得る。タンパク質のライブラリーは、変異誘発、遺伝子シャッフリングまたは分子の多様性を生成するための他の周知の技術によって生成され得る。多数の改変体を表すタンパク質プールは、例えば、そのようなタンパク質プールを変性コラーゲンが付着されている固体マトリックスを通過させることによって、変性コラーゲンに結合するそれらの能力について選択され得る。塩の勾配を用いる溶出は、例えば、変性コラーゲンについての親和性を有する改変体の精製を提供し得る。ネガティブ選択工程もまた、含まれ得、それによって、そのようなプールは、天然コラーゲンが付着されている固体マトリックスを通過する。濾液は、プール中に、天然形態のコラーゲンについての親和性が減少した改変体を含有する。
本発明のペプチドアンタゴニストおよびポリペプチドアンタゴニストはまた、ファージディスプレイによって生成され得る。ファージディスプレイは、バクテリオファージの外被タンパク質との融合体としてペプチドが発現される選択技術である。その結果として、融合されたタンパク質は、ビリオンの表面に提示され、そして融合タンパク質をコードするDNAは、ビリオン内に存在する(Smith G.P.(1985)Filamentous fusion phage:Novel expression vectors that display cloned antigens on the viron surface.Science.228:1315−1317;Smith G.P.ら(1993)Libraries of peptides and proteins displayed on filamentous phage.Methods Enzymol.217:228−257)。ファージディスプレイは、パニングと呼ばれるインビトロプロセスを使用して、種々の標的分子についてのペプチドリガンドの素早い同定を可能にする。パニングは、例えば、ファージディスプレイされたペプチドのライブラリーを標的でコートされたマイクロタイタープレートとともにインキュベートし、未結合のファージを洗い流し、結合したファージを溶出することによって実行される。溶出されたファージは、次いで、増幅され、結合配列に好都合なプールを富化にするためにさらなる結合/増幅サイクルが行われる。3〜4回のパニングの後、個々のクローンはDNA配列決定によって同定される。
ランダム化されたペプチドまたはタンパク質は、ファージ外被タンパク質との融合体としてファージミド(ファージとプラスミドとの組み合わせについての用語)粒子の表面に発現され得る。一価のファージディスプレイの技術は、広範に利用可能である(例えば、Lowman H.B.ら(1991)Biochemistry 30:10832−8を参照のこと)。ランダム化されたペプチドライブラリーまたはタンパク質ライブラリーを発現するファージは、天然コラーゲン分子が付着されている固体マトリックスを用いてパニングされ得る。残りのファージは、天然コラーゲンに結合しないか、または実質的に親和性が減少した天然コラーゲンに結合する。ファージは、次いで、変性コラーゲンが付着されている固体マトリックスに対してパニングされる。結合されたファージは、溶液条件の変化、または適切に設計された構成物については、ランダム化されたペプチドライブラリーもしくはタンパク質ライブラリーとファージ外被タンパク質とを連結するリンカー領域のタンパク分解性切断のいずれかによって、固体マトリックスから単離および分離される。単離されたファージは、選択されたアンタゴニストの正体を決定するために配列決定され得る。
周知のELISAアッセイは、本発明を実施する際における使用のためのIV型コラーゲン選択的アンタゴニストを同定するために使用され得る。
ペプチドまたはポリペプチドが、変性コラーゲンもしくは天然コラーゲンに結合するかどうかを決定するために、固相ELISAの使用によって、ペプチドまたはポリペプチドは、アンタゴニストとして同定され得る。ELISAアッセイは、種々のコラーゲン型に有用である;例えば、ELISAアッセイは、I型、II型、III型、IV型およびV型コラーゲン、ならびに他の細胞外マトリックス成分を用いて使用され得る。結合親和性のレベルは、表面プラズモン共鳴技術(BIOCORE 2000システムで解析される)(Liljebladら(2000)Glyco.J.,vol.17:323−329)および慣例のスキャッチャード結合アッセイ(Heeley,R.P.(2002)Endocr.Res.,Vol.28:217−229)による標準的測定によって、決定され得る。
固相ELISAはまた、天然形態ではなく、変性形態のコラーゲンについての特異性を示す化合物を同定するために使用され得る。特異性アッセイは、潜在的アンタゴニストが、変性コラーゲンに結合する能力および天然コラーゲンに結合する能力について、別々のアッセイチャンバにおいて同時にスクリーニングされる並行ELISAを行うことによって実施される。
アンタゴニストはまた、変性コラーゲンを含む固体マトリックスに結合するそれらの能力によって同定され得る。推定アンタゴニストが、溶液条件(例えば、塩濃度、pH、温度など)を変更した後で回収される。推定アンタゴニストは、適切な溶液条件の下で、天然コラーゲンが固定された固体マトリックスを通過するそれらの能力によってさらに同定される。
本発明のアンタゴニストは、任意の無脊椎動物またはヒトを含む脊椎動物由来のIV型コラーゲン分子と一緒に使用され得る。IV型コラーゲン分子の例は、Engel,J.(1997)Science,Vol.277:1785−1786およびGordon,M.K.ら(1990)Curr.Opin.Cell Biol.,Vol.2:833−838で見い出されている。好ましくは、IV型コラーゲンは、哺乳類のIV型コラーゲンである。さらに、好ましくは、哺乳類は、ブタ、ウシ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ロバ、ウマ、またはラバである。特に好ましい実施形態において、コラーゲンは、ヒトIV型コラーゲンである。
本発明における使用のための活性薬剤は、1つ以上の変性IV型コラーゲンアンタゴニストを含む。変性IV型コラーゲンのアンタゴニストは、天然形態のIV型コラーゲンより、変性IV型コラーゲンへの実質的に結合親和性が大きい任意のペプチド、ポリペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。
本発明のぺプチドアンタゴニストは、例えば、リン酸化、ヒドロキシル化またはメチル化によって、改変され得る。活性を高め得るさらなる改変は、ペプチド環化およびペプチド安定化を含む。
別の実施形態において;本発明は、ペプチドが天然コラーゲンのアンタゴニストではなく、変性IV型コラーゲンのアンタゴニストである限り、アミノ酸残基配列が本明細書中で示されるポリペプチドのアナログ、断片、または化学誘導体を含む。それゆえ、ペプチドは、種々の変化、置換、挿入、および欠失を受け得、そのような変化はペプチドの使用において、特定の利点を提供する。これに関して、本発明の変性IV型コラーゲンアンタゴニストペプチドは、列挙したペプチドの配列を含み、1つ以上の配列の変化が作製され、ペプチドは、本明細書中で規定されたような1つ以上のアッセイにおける変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストとして機能する能力を保持する。
KGGCLKペプチドは、そのような改変されたペプチドの1つであり、KGGCLKペプチドは、N末端に付加されたKGGおよびC末端に付加されたGKAの配列を有するCLKペプチドである。アミノ酸の結合は、当業者が精通している技術によって達成され得、例えば、StewartおよびYoung,1984,Solid Phase Synthesis,第2版,Pierce Chemical Co.,Rockford,ILに提供されている。
アンタゴニストは、血管新性、腫瘍増殖、転移、関節炎または変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用に関連する他の疾患もしくは状態を受ける腫瘍または他の細胞への送達のために細胞毒素(例えば、シスプラチン、ビンブラスチンおよびゲムシタビン)に結合され得る。そのような結合体は、細胞溶解素または体外毒素(例えば、リシンA、ジフテリア毒素A、またはシュードモナス毒素およびその断片)と一緒に作製され得る。細胞傷害性薬剤はまた、血管新生組織、腫瘍増殖、転移、または変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用を受ける他の組織に対する毒性用量の放射能を局所的に送達するために、同位体を用いて放射性標識され得る。
アンタゴニストは、血管新生、腫瘍増殖、転移、関節炎、または変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用に関連する疾患もしくは状態を受ける腫瘍または他の組織への送達のために、細胞増殖抑制剤(例えば、抗血管新生化合物)と結合され得る。好ましい細胞増殖抑制剤は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)インヒビターである。好ましいMMPインヒビターは、マリミスタット(Marimistat)である(British Biotech,Oxford,United Kingdom)。
(血管新生阻害のためのインビボアッセイ)
本発明の選択的ペプチドアンタゴニストは、組織における血管新生を調節するそれらの能力をアッセイされ得る。当該分野における当業者に公知の任意の適切なアッセイ(例えば、ニワトリ絨毛尿膜(CAM)アッセイ、またはウサギ眼アッセイ、もしくはキメラマウスアッセイ)が、そのような効果をモニタリングするために使用され得る。いくつかの限定されない技術が、本明細書中に記載されている。
1つの血管新生アッセイは、ニワトリ絨毛尿膜(CAM)における血管新生を測定し、それはCAMアッセイと称される。CAMアッセイは、当業者に周知であり、腫瘍組織の血管新生および新生血管形成の両方を測定するために使用されている(Ausprunkら、Am.J.Pathol.,79:597−618(1975)およびOssonskiら、Cancer Res.,40:2300−2309(1980))。
CAMアッセイの間、全組織の血管新生が発生している。アッセイは、CAMとなるかまたはCAM上で増殖される組織となるニワトリ胚血管の増殖を測定する。従って、CAMアッセイは、インビボでの血管新生についての効果的なモデルである。
CAMアッセイは、新しい血管増殖の量および範囲の両方に基づいて血管新生の阻害を測定する。それはさらに、CAMに移植された任意の組織(例えば、腫瘍組織)の増殖をモニタリングすることを可能にする。
アッセイシステムにおける毒性についての内部調節があるために、最終的に、CAMアッセイは、特に有用である。アッセイが可能な間、発生しているニワトリ胚は、試験試薬に曝露される。胚の健康状態は、毒性の指標である。
別のアッセイにおいて、血管新生はインビボでのウサギの眼のモデルにおいて測定され、それは「ウサギ眼アッセイ」と称される。ウサギ眼アッセイは、当業者に周知であり、血管新生インヒビター(例えば、サリドマイド)の存在下で、血管新生および新生血管形成の両方を測定するために使用されている(D’Amatoら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.91:4082−4085)。
ウサギ眼アッセイは、インビボでの血管新生についての十分認識されたアッセイモデルである。なぜなら、角膜のふちから増殖して角膜となるウサギの血管によって示される血管新生は、自然に透明な眼の角膜を通して、容易に可視化されるからである。さらに、血管新生の刺激もしくは阻害の程度および量、または血管新生の後退は、経時的に容易にモニタリングされ得る。
ウサギは、使用される任意の試験試薬に曝露され、それゆえ、ウサギの健康状態は、試験試薬の毒性の指標である。
別のアッセイは、キメラマウス:ヒトモデルにおける血管新生を測定し、それはキメラマウスアッセイと称される(Yanら(1993)J Clin.Invest.91:986−996)。キメラマウスアッセイは、インビボでの血管新生についての有用なアッセイモデルである。なぜなら、移植された皮膚の移植片は組織学的に正常なヒトの皮膚によく似ており、組織全体の新血管形成が発生し、ここで実際のヒトの血管が、移植されたヒトの皮膚から増殖して、移植されたヒトの皮膚の表面上のヒトの腫瘍組織中へと入るからである。ヒトの移植片への新血管形成の起源は、ヒト特異的内皮細胞マーカーを用いた新血管形成の免疫組織化学的な染色によって示され得る。
キメラマウスアッセイは、新しい血管増殖の後退の量および程度の両方に基づく新血管形成の後退を示す。さらに、移植された皮膚上に移植された任意の組織(例えば、腫瘍組織)の増殖への影響がモニタリングされ得る。アッセイシステムには毒性についての内部調節があるので、最終的に、アッセイは有用である。キメラマウスは、使用される任意の試験試薬に曝露され、それゆえ、マウスの健康状態は、毒性の指標である。
(疾患の処置)
本発明は、概して、天然IV型コラーゲンではなく、変性IV型コラーゲンの特定のエピトープの選択的アンタゴニストへの結合が、ヒトおよび他の動物を含む、哺乳類の組織における血管新生、腫瘍増殖、転移、関節炎、ならびに変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用に関連する他の状態もしくは疾患を阻害するという知見に関連する。血管新生は、種々の疾患プロセスに必要とされる。血管新生を阻害することによって、疾患に介入し得、徴候を回復させ、いくつかの症例において疾患を治癒し得る。
新しい血管の増殖が、異常な組織の増殖を支持するために必要とされる場合、血管新生の阻害は、組織に供給する血液を減少させ、それによって、血管供給要求に基づく組織塊の減少に寄与する。例としては、腫瘍が厚さにおいて数ミリメートルをこえて増殖するため、および固体腫瘍転移の確立のためには、新血管形成が連続的な必要条件である、腫瘍の増殖が挙げられる。新しい血管の増殖が、疾患に関連する病理学の原因であるか、または寄与する場合、血管新生の阻害は、疾患の有害な影響を減少させる。例としては、乾癬、慢性関節リウマチ、糖尿病性網膜症、炎症性疾患、再狭窄、黄斑変性などが挙げられる。
本発明の方法は、治療が他の生物学的プロセスではなく、血管新生および変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用を含む他のプロセスについての高い選択性があるために、部分的に有効である。変性コラーゲン単独での結合が、血管新生および変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用を含む他のプロセスを効果的に阻害し得るという知見は、潜在的に高い特異性、およびそれゆえ、比較的に低い毒性を有する治療組成物の開発を可能にする。
組織における血管形成を阻害するための本方法、およびそれゆえ、血管新生関連疾患の処置のための方法を実施するための本方法は、天然IV型コラーゲンへの結合と比べて、変性IV型コラーゲンまたはタンパク分解IV型コラーゲンに選択的に結合し得る治療的に有効な量の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを含む組成物を、血管新生処置を必要とする患者に投与する工程を包含する。このように、本方法は、本発明の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを含む治療的に有効な量の薬学組成物を患者に投与する工程を包含する。
本発明は、哺乳類およびヒトを含む、そのような処置を必要とする動物の組織における血管新生、腫瘍増殖、転移、関節炎、炎症性疾患ならびに変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用に関連する他の疾患または状態を阻害し、それによって、血管新生に依存する組織における事象を阻害するための方法を提供する。概して、本方法は、血管新生を阻害するに有効な量の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを含む組成物を動物に投与する工程を包含する。
本発明はまた、腫瘍血管新生を阻害することによって、腫瘍新血管新生を阻害するための方法を提供する。特定の実施形態において、処置される組織は、固体(悪性)腫瘍、転移、皮膚癌、乳癌、血管腫または血管線維腫などの癌を有する患者の腫瘍組織であり;そして阻害される血管新生は、腫瘍組織の新血管形成が存在する瘍組織血管新生である。本方法によって処置可能な代表的な固体腫瘍組織としては、肺、膵臓、乳房、結腸、喉頭、卵巣、カポージ肉腫および同様の組織が挙げられる。
新血管形成が、腫瘍増殖において重要な役割を果たすので、腫瘍組織血管新生の阻害は、有意な発展である。新血管形成がない場合、腫瘍組織は、必要とする栄養物を取得せず、ゆっくり増殖し、さらなる増殖が止まり、退行し、最終的に壊死、その結果、腫瘍を死滅または除去させる。さらなる有意な発展は、変性IV型コラーゲンへの腫瘍細胞接着を阻止することによる腫瘍増殖および転移の直接的な阻害であり、それによって、腫瘍細胞が組織において確立されることを防止する。
本発明はまた、腫瘍における血管新生を予防することによって、腫瘍増殖を阻害する方法を具現化する。
別の局面において、本発明は、変性IV型コラーゲンのアンタゴニストを含む生物学的に活性な組成物の投与によって腫瘍増殖および転移の形成を阻害するための方法を提供する。これらの方法は特に有効である。なぜなら(1)転移の形成は、コラーゲンの変性および原発性腫瘍の血管新生を必要とするので、転移癌細胞は、原発性腫瘍に存在し得る、ならびに(2)第2の部位における腫瘍の確立は、転移の増殖を支持するためにコラーゲンの変性および新血管形成を必要とするからである。
さらに、本発明は、変性IV型コラーゲンとの腫瘍細胞相互作用を直接的に阻害することによって、腫瘍増殖および転移を阻害するための方法を提供する。腫瘍細胞は、組織中で腫瘍細胞自体を確立し、その後、増殖するために、組織に接着しなければならない。本発明の方法および組成物は、変性IV型コラーゲンとの腫瘍細胞相互作用を阻止することによって、組織への腫瘍細胞接着を直接的に阻害する。
さらなる実施形態において、本発明は、任意の前述の方法が他の治療(例えば、固体腫瘍に対する化学療法)と組み合わせて実施されることを可能にする。血管新生インヒビターは、化学療法の前、間、または後にそのような処置を必要とする患者に投与され得る。好ましくは、血管新生インヒビターは、化学療法レジメンの後に患者に投与される。こうした時に、腫瘍組織は、腫瘍組織への血液および栄養物の供給によって回復するために血管新生を誘導することによって、毒性攻撃に応答する。固体腫瘍の除去についての患者の手術後の転移に対する予防として、血管新生インヒビターを患者に投与することもまた好ましい。
従って、本願で開示された腫瘍増殖、転移、および新血管形成を阻害する方法は、腫瘍組織増殖を阻害するため、腫瘍転移形成を阻害するため、ならびに確立された腫瘍の後退を引き起こすために適用され得る。
癌以外にも、血管新生が重要であると考えられる種々の疾患が存在する。これらは、炎症性障害(例えば、免疫炎症および非免疫炎症、慢性関節リウマチおよび乾癬);血管の不適切または都合の悪い侵入に関連する障害(例えば、糖尿病性網膜炎、血管新生緑内障、再狭窄、アテローム斑および骨粗鬆症における毛細血管の増殖);ならびに癌に関連する障害(例えば、固体腫瘍、固体腫瘍転移、血管線維腫、水晶体後線維増殖、血管腫、カポージ肉腫および腫瘍増殖を支持するために新生血管形成を必要とする同様の癌)を含むが、これらに限定されず、血管新生疾患と称される。他の適切な腫瘍としては、黒色腫、癌腫、肉腫、線維肉腫、神経膠腫および星状細胞腫が挙げられる。
このように、疾患組織における血管新生を阻害する方法は、疾患の症状を処置および改善し、疾患に依存して、治癒に寄与し得る。
1つの実施形態において、本発明は、変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストの投与による、哺乳類(例えば、ヒト)の組織における血管新生の阻害についての方法を企図する。
本明細書中に記載されるように、任意の種々の組織、または組織化された組織から構成される器官は、血管における皮膚、筋肉、腸、結合組織、関節、骨および同様の組織を含む、疾患状態における血管形成を支持し得、ここで、血管新生の刺激によって血管が侵入し得る。本明細書中で使用される場合、組織は、全ての体液、分泌物など(例えば、血清、血液、脳脊髄液、血漿、尿、滑液、硝子体液)を包含する。
このように、1つの関連した実施形態において、処置される組織は、炎症状態の組織であり、阻害される血管新生は、炎症状態の組織の新生血管形成が存在する炎症状態の組織の血管新生である。この種類において、この方法は、関節炎組織(例えば、慢性関節リウマチを有する患者)、炎症状態の免疫組織または炎症状態の非免疫組織(例えば、乾癬組織)における血管形成の阻害を企図する。
別の実施形態において、処置される組織は、糖尿病性網膜症、黄斑変性または血管新生緑内障を有する患者の網膜組織であり、阻害される血管新生は、網膜組織の新生血管形成が存在する網膜組織の血管新生である。
再狭窄は、血管における以前の狭窄部位での平滑筋細胞(SMC)の移動および増殖のプロセスである。再狭窄の間の血管に関連するSMCの移動および増殖は、本方法および組成物によって阻害される血管新生のプロセスに関する。本発明はまた、血管狭窄を有す手順後の患者における本発明の方法および組成物に従って血管新生関連プロセスを阻害することによって再狭窄の阻害を企図する。従って、本明細書中に開示されている方法および組成物は、経皮的経管的冠状動脈形成、冠状動脈バイパス、末梢動脈バイパス、腸間膜動脈バイパス、および頚動脈血管内膜切除または頚動脈血管形成術の部位で使用され得る。
変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストの投与についての用量範囲は、アンタゴニストの形態およびその効力に依存し、血管新生および血管新生によって媒介される疾患の症状が改善される所望の効果を生成するために十分に大きな量である。投薬量は、有害な副作用(例えば、過粘稠度症候群、肺水腫、鬱血性心不全など)を引き起こすほど、大きくするべきではない。一般的に、用量は、患者における年齢、状態、性別および疾患の程度にともなって変化し、当業者によって決定され得る。用量はまた、任意の合併症の事象において、医者によって調整され得る。
変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストの効力は、例えば、本明細書中で議論されたようなCAMアッセイ、インビボでのウサギ眼アッセイ、インビボでのキメラマウス:ヒトアッセイにおける血管新生の阻害を含む種々の手段によって測定され得る。
本発明の変性IV型コラーゲンアンタゴニストの治療的に有効な量は、代表的に薬学的に受容可能な組成物において投与される場合、1ミリリットル(ml)につき約0.1マイクログラム(μg)〜約200μg/ml、好ましくは約1μg/ml〜約150μg/mlの血漿濃度を達成するのに十分な量であるようなペプチドの量である。1モルにつき約500グラムの塊を有するポリペプチドに基づくと、好ましいモル濃度における血漿濃度は、約2マイクロモル濃度(μM)〜約5ミリモル濃度(mM)であり、好ましくは約100μM〜1mMのポリペプチドアンタゴニストである。別の言い方をすれば、体重当たりの用量は、1日または数日間にわたる毎日1回以上の投薬において、約0.1mg/kg〜約300mg/kgで、好ましくは約0.2mg/kg〜約200mg/kgで変化し得る。
変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、例えば、非経口、注射、または時間をかけて段階的な注入によって投与され得る。血管新生を予防するための好ましい投与形態は、本発明の1つ以上の生物学的に活性な薬剤を含む治療組成物の静脈内投与による。このように、アンタゴニストおよびその誘導体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、経皮的、局所的、眼内、経口的、鼻腔内に投与され得、蠕動手段によって送達され得る。本発明の治療組成物は、例えば、投薬単位の注射によるように静脈内に投与され得る。
好ましい実施形態において、変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、単一の静脈内用量において投与される。
組成物は、投薬処方物と適合性の様式、および治療的に有効な量において投与される。投与される量および時期は、処置される患者、活性成分を利用する患者の系の能力および所望される治療効果の程度に依存する。投与されることが必要とされる活性成分の正確な量は、医者の判断に依存し、各個体に特有である。しかしながら、全身適用についての適切な用量範囲は、本明細書中に開示されており、投与の経路に依存する。投与についての適切なレジメもまた、可変であるが、後に続く注射または他の投与による1時間以上の間隔で反復投与が続く最初の投与に代表される。あるいは、インビボでの治療についての指定された範囲における血液中の濃度を保持するための十分な連続的な静脈内注射が企図される。
血管新生の阻害および腫瘍後退は、アンタゴニストの最初の投与後、7日ほどの早さで生じ得る。好ましくは、アンタゴニストの投与は繰り返され、それにより7日間と6週間との間、さらに好ましくは約14日間と28日間との間、アンタゴニストに組織を曝露することになる。
再狭窄の阻害について、変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、代表的には、狭窄緩和手順の後の約2日〜約28日間、さらにより典型的には、この手順の後の最初の約14日間、投与される。
(治療組成物)
本発明は、本明細書中に記載される治療方法を実施するための有用な治療組成物を企図する。本発明の治療組成物は、本明細書中に記載されているような変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを活性成分としてその中に溶解させるか、または分散させた薬学的に受容可能なキャリアを含む。好ましい実施形態において、治療上の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニスト組成物は、治療目的で哺乳類またはヒトの患者に投与される場合、免疫原性ではない。1つの特に好ましい変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、CLKペプチドである。別の好ましい変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、SLKペプチドである。別の好ましい変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストは、KGGCLKペプチドである。
薬理学的組成物の中に溶解または分散させた活性成分を含む薬理学的組成物の調製は、当該分野において十分に理解され、処方に基づいて限定される必要はない。代表的に、そのような組成物は、液体の溶液または懸濁液のいずれかで、注射可能物として調製されるが、しかしながら、使用される前の液体における溶液または懸濁液のために適切な固体形態もまた、調製され得る。調製物はまた、乳化され得る。
活性成分は、薬学的に受容可能であって、活性成分と適合性であって、本明細書中に記載される治療方法における使用のために適切な量の賦形剤と一緒に混合され得る。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、グルコース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせである。さらに、所望の場合、組成物は、活性成分の効果を高める少量の補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤など)を含み得る。
本発明の治療組成物は、その中の成分に薬学的に受容可能な塩を含み得る。薬学的に受容可能な塩としては、無機酸(例えば、塩酸もしくはリン酸)または有機酸(例えば、酢酸、酒石酸、マンデル酸など)を用いて形成される酸添加塩(ポリペプチドの遊離アミノ基を用いて形成される)が挙げられる。遊離カルボキシル基を用いて形成される塩もまた、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、3アンモニウム、カルシウムまたは水酸化第2鉄)および有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)から誘導され得る。特に好ましいのは、TFAおよびHCIの塩である。
薬学的に受容可能なキャリアは、当該分野において周知である。液体キャリアは、活性成分および水に加えて、全く物質を含まないか、または緩衝剤(例えば、生理学的pH値でのリン酸ナトリウム、生理食塩水または両方(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)を含む滅菌水溶液である。なおさらに、水性キャリアは、1つより多い緩衝塩ならびに塩(例えば、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム、グルコース、ポリエチレングリコールおよび他の溶質)を含み得る。
液体組成物はまた、水に加えて、および水を排除して、液相を含み得る。そのようなさらなる液相の例は、グリセリン、植物油(例えば、綿実油)、および油中水型エマルジョンである。
治療組成物は、血管新生を阻害するか、腫瘍増殖を阻害するか、または転移を阻害する量の本発明の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを含み、このアンタゴニストは、全治療組成物の重量当たり0.01〜90重量パーセントのアンタゴニストを含むように処方される。好ましい治療組成物の処方は、全治療組成物の重量当たり0.05〜50重量パーセントのアンタゴニストを含む。最も好ましい治療組成物の処方は、全治療組成物の重量当たり0.1〜20重量パーセントのアンタゴニストを含む。重量パーセントは、インヒビターの全組成物に対する重量比である。従って、例えば、0.1重量パーセントは、全組成物100グラムあたり0.1グラムのインヒビターである。
(検出方法)
本発明の変性IV型コラーゲンアンタゴニストはまた、血管新生、腫瘍増殖、関節炎または組織における変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用に関連する他の疾患もしくは状態の検出のために適切である。そのような検出の方法は、エキソビボおよびインビボで使用され得る。エキソビボでの方法は、例えば、生検標本における血管新生、腫瘍増殖または転移の検出である。
標識組織への検出可能に標識された変性コラーゲン選択的アンタゴニストの結合は、直接的または間接的のいずれかで検出され得る。直接的な検出は、検出可能な標識(例えば、蛍光色素、放射性タグ、常磁性の重金属または診断染料)を含む前記アンタゴニスト上で前もって形成され得る。
間接的な検出は、変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストと相互作用する検出可能な二次試薬を使用して実施される。前記アンタゴニストを認識する検出可能に標識された抗体は、例えば、アンタゴニストの位置を可視化するために使用され得る。間接的な検出の他の方法もまた、当業者に公知である。
インビボでの画像化方法は、被験体の体における変性IV型コラーゲンに特異的に結合する標識されたアンタゴニストの検出を可能にする。標識されたアンタゴニストは、患者に、例えば静脈内または筋肉内に投与される。インビボでの検出方法は、磁気共鳴分光法、陽電子断層撮影法(PET)およびシングルフォトンエミッションCT(SPECT)を含む。インビボでの画像化の目的のために、利用可能な検出機器のタイプは、与えられた標識を選択する際における重要な要因である。例えば、放射性同位体および常磁性同位体は、インビボでの画像化のために特に適切である。使用される機器のタイプは、放射性核種の選択を導く。例えば、選ばれた放射性核種は、与えられた機器のタイプについての検出可能である崩壊のタイプを有さなければならない。しかしながら、画像診断を可視化するための任意の従来の方法は、本発明に従って利用され得る。1つの実施形態において、放射性核種は、中間の官能基を使用することによって直接的または間接的のいずれかで抗体に結合され得る。金属イオンとして存在する放射性同位体を抗体へ結合するためにしばしば使用される中間の官能基は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。放射性同位体として適切な金属イオンの例は、99mTc、123I、131I、111In、131I、97Ru、67Cu、67Ga、125I、68Ga、72As、89Zr、および201Tlである。常磁性同位体の例としては、157Gd、55Mn、162Dy、52Cr、および56Feが挙げられ、磁気共鳴画化法(「MRI」)において特に有用である。
以下の実施例は、本発明を例示するが、しかしそれらに限定されない。
(実施例1−変性IV型コラーゲンエピトープに特異的に結合するペプチドの生成)
サブトラクティブファージディスプレイを使用して、変性IV型コラーゲンに特異的に結合するペプチドを生成した。ペプチドを、ビリオンの表面上でバクテリオファージの外被タンパク質との融合体として発現した。パニングを、標的(ウェル1〜4中で天然IV型コラーゲン、ウェル5中で変性IV型コラーゲン)でコートされたマイクロタイタープレートとともにファージディスプレイペプチドのライブラリーをインキュベートし、未結合のファージを洗い流し、特定的に結合されたファージを溶出した。溶出されたファージをパニングを繰り返すことによって取得して、結合配列に好都合なプールを富化した。
1日目に、25μg/mlの濃度のIV型コラーゲンを、0.1M NaHCO(pH8.6)に溶解し、次いで溶液を15分間、煮沸し、それによって、熱的に変性したコラーゲンを生じた。次に、溶液を室温まで冷やした。
100マイクロリットルの天然IV型コラーゲン(煮沸していない)を4個のウェル(Nalge Nunc International,Rochester,New Yorkから入手可能であるNunc−ImmunoTMMaxisorpTM)に加えて、100マイクロリットルの変性IV型コラーゲン(煮沸した)を5番目のウェルに加えた。プレートをその表面が湿るまで、繰り返して回転した。頂部をシールしたプレートを、穏やかに攪拌しながら、4℃で一晩インキュベートした。
2日目に、10mlのLB/tet培地に、ER2738E.coli株のシングルコロニーを植菌した。LB/tet培地は、以下のように調製した:LB培地の1リットルは、10g/lのBacto−トリプトンおよび5g/l NaClから調製した。混合物を、121℃で15分間オートクレーブし、次いで室温で保存した。テトラサイクリンストックを、エタノール中の20mg/mlのテトラサイクリンを使用して調製し、これを暗所でマイナス20℃で保存し、使用する前にボルテックスした。LB/tetプレートを、LB培地および15g/l寒天から調製し、これを121℃で15分間オートクレーブし、70℃未満まで冷やした。次いで、1mlのテトラサイクリンストックを加えて、混合物をプレートに注いだ。プレートを暗所で4℃にて保存した。
コーティング溶液を1番目のウェルから除去し、このウェルをTBST(TBS+0.1%(v/v)Tween−20))で2回洗浄した。TBSを50mM Tris−HCl(pH7.5)および150mM NaClから調製し、これを121℃で15分間オートクレーブし、室温で保存した。
次に、2×1011ファージ(New England Bio Labs,Inc.から取得したオリジナルライブラリーの10マイクロリットル)をTBSTの100マイクロリットルで希釈し、1番目のウェル上にピペットで取った。1番目のウェルを次いで、4℃で60分間、穏やかに振動させた。
2番目のウェルのコーティング溶液を除去し、このウェルをTBSTで2回洗浄した。1番目のウェルからの上清を、次いで2番目のウェル上にピペットで取った。2番目のウェルを4℃で60分間、穏やかに振動させた。
3番目のウェルのコーティング溶液を除去し、このウェルをTBSTで2回洗浄した。2番目のウェルからの上清を、次いで3番目のウェル上にピペットで取った。3番目のウェルを4℃で60分間、穏やかに振動させた。
4番目のウェルのコーティング溶液を除去し、ウェルをTBSTで2回洗浄した。3番目のウェルからの上清を次いで、4番目のウェル上にピペットで取った。4番目のウェルを4℃で60分間、穏やかに振動させた。
5番目のウェルのコーティング溶液を除去し、ウェルを阻止緩衝液(濾過滅菌して4℃で保存した、0.1M NaHCO(pH8.6)、5mg/ml BSA、0.02% NaN3)で満たした。次に、5番目のウェルを4℃で60分間、インキュベートした。阻止緩衝液を次いで、捨てて、5番目のウェルをTBSTで6回洗浄した。4番目のウェルからの上清を次いで、5番目のウェル上にピペットで取り、5番目のウェルを室温で60分間、インキュベートした。次に、溶液を5番目のウェルに注ぎ、5番目のウェルをTBSTで10回洗浄した。
5番目のプレートに結合されたファージを0.2Mグリシン−HCl(pH2.2)で溶出した。溶出に続いて、ファージを増幅させ、力価測定した。次いで、ファージを次の回のパニングのために使用した。2日目のプロセスを3回繰り返し、各回に、前回の実行の終わりに生成したファージを使用した。
最終段階は、ペプチドの単離および配列決定による同定であり、これによりCLKペプチドおよびSLKペプチドが生成された。
(実施例2−変性IV型コラーゲンのペプチドアンタゴニストは、変性IV型コラーゲンへの腫瘍細胞接着を阻止した)
インビトロでの細胞接着アッセイを、CLKペプチドおよびSLKペプチドが、細胞接着を調節する変性IV型コラーゲン内の機能的エピトープに結合するかどうかを決定するために行った。組織培養で処理していない48ウェルプレートを変性IV型コラーゲンでコーティングした。ヒト黒色腫細胞M21(Scripps Research Institute,La Jolla,CA)を、各ペプチドが250μg/mlの濃度で、合成ペプチドCLK、SLKおよびSDRの存在下または非存在下でコーティングされたウェルに付着させた。SDRペプチドは、コントロールとして使用された、商業的に利用可能なペプチドである(QED Bioscience,Inc.,San Diego,California)。
ヒト変性IV型コラーゲン(25μg/ml)を48ウェル非組織培養処理上で固定化した。ウェルを37℃で1時間、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)中の1%BSA(ウシ血清アルブミン)で洗浄してインキュベートした。サブコンフルエントなHUVEC(ヒト臍静脈内皮細胞)を収集し、洗浄し、RPMI−1640培地、1mM MgCl、0.2mM MnCl、および0.5%BSAを含む接着緩衝液中に再懸濁した。HUVEC(10)を、各々の合成ペプチドの存在下または非存在下で接着緩衝液の200μl中に再懸濁して、各ウェルに加えて、37℃、30分間付着させた。付着しない細胞を除去して、付着した細胞をPetitclercら(1999)Integrin ανβ3 promotes M21 melanoma growth in human skin by regulating tumor cell survival.Cancer Res.59:2724−2730に記載されたように、クリスタルバイオレットで10分間染色した。ウェルをPBSで3回洗浄し、10%酢酸の100μlの添加によって細胞会合クリスタルバイオレットを溶出した。細胞接着を600nmの波長で溶出されたクリスタルバイオレットの光学密度を測定することによって定量した。
黒色腫細胞接着のCLKペプチド阻害は、95%を超えた(図1)。SLKペプチドは、黒色腫細胞接着を約50%阻止した。
(実施例3−CLKペプチドは変性IV型コラーゲンへのB16黒色腫細胞接着を阻止した)
非組織培養処理48ウェルプレートを、天然(三重螺旋)IV型コラーゲンまたは変性IV型コラーゲンのいずれかでコーティングした。転移B16マウス黒色腫細胞を、CLKペプチドまたはSHR(コントロール)ペプチドのいずれかの存在下または非存在下で、コーティングされたウェルに付着させた。変性IV型コラーゲンへのB16細胞接着のCLKペプチド阻害は、95%を超えた(図2)。CLKペプチドは、天然IV型コラーゲンへのB16黒色腫細胞接着にほとんど影響しなかった。
(実施例4−CLKペプチドはニワトリのCAMモデルにおいてbFGF誘導血管新生を阻止した)
血管新生を、bFGFを用いて10日齢のニワトリ胚の絨毛尿膜(CAM)内で誘導した。24時間後、CLKペプチドの1回の静脈内注射(1つの胚につき100μg)で8〜10の胚を処理した。3日のインキュベーション期間の終わりに、CAM組織を解析のために除去した。CLKペプチドの注入は、フィルターディスクの制限された範囲内で枝分かれ血管の数において劇的な減少を生じた(図3(a)、(b)、(c))。CLKペプチドの1回の注入は、95%をこえて、bFGFを阻害した(図4)。ペプチドの注入の後に、有害な作用は示されなかった。2グループの各々において8〜10のニワトリ胚を試験し、試験された24〜30のニワトリ胚の全てについて実験を3回繰返した。
(実施例5−CLKペプチドは、インビボでのB16黒色腫転移を阻止した)
12日齢のニワトリ胚(SPAFAS,North Franklin,CTから取得した)を、CLKペプチド(1つの胚につき100μg)の存在下または非存在下で、転移B16黒色腫細胞(Chambersら(1992)J.Natl.Cancer Inst.,Vol.84:797−803)を用いて静脈内に注射した。各実験について、各セットの条件の下で、8〜10のニワトリを試験し、実験を3回繰り返した。胚を7日間、インキュベートして、次いで屠殺した。ニワトリの肺を転移について解析した。B16黒色腫転移が、個々の黒い病巣として現れた。転移を、CLKグループおよびCLKでないグループについてのニワトリの肺の表面上のB16腫瘍病巣を数えることによって定量した。B16黒色腫転移を、CLKでないグループと比べると、CLKグループにおいて約70%阻害した(図5)。
(実施例6−転移性乳癌を有する患者の処置)
肝臓へ転移した乳癌を有する60キログラムの患者を、肝機能の試験のために採血する。この患者は、肝臓の転移物のサイズおよび数に注目するために腹部のCTスキャンを受ける。理学的検査;血液検査(例えば、全血球算定、BUN、およびクレアチニン);ならびにEKGを使用して、患者の体的健康状態を保健専門家によってアッセイする。
9000ミリグラムのCLKペプチド用量を、体重当たりの用量(1キログラムにつき150ミリグラム)に患者の体重(60キログラム)をかけることによって計算する。CLKペプチド用量を水溶液中で混合し、2時間かけて、末梢静脈カテーテルによって静脈内に投与する。CLKペプチドの注入の後に、有害な作用の出現について、保険専門家によってこの患者を2時間モニタリングする。そのような影響がない時は、この患者を家へ帰す。
CLKペプチド注入から2週後、患者は、肝機能試験およびCTスキャンを繰り返す。肝機能試験値の低下によって、腫瘍転移の後退が示され得る。転移物の減少したサイズおよび/または数のCTスキャンの可視化は、転移物の成功した処置の指標である。
本明細書中の本文において引用された全ての特許および刊行物は、それらの全体が参考として本明細書中に援用される。
本発明の前述の説明は、例示および説明の目的のために提示され、本明細書中の実施の正確な様式に本発明を限定することは意図されないこともまた理解される。従って、本発明の精神から逸脱せずに変更がなされ得ることおよび本発明の範囲が、添付の特許請求の範囲について解釈されるべきであることは当業者によって理解されるべきである。
図1は、未処理の変性IV型コラーゲン(NT)、CLKペプチド処理した変性IV型コラーゲン、SLKペプチド処理した変性IV型コラーゲン、およびSDRペプチド処理した変性IV型コラーゲンへのM21ヒト黒色腫細胞接着を示す図である。 図2は、未処理の変性IV型コラーゲン(NT)、CLKペプチド処理した変性IV型コラーゲン、およびSHRペプチド処理した変性IV型コラーゲンへのB16マウス黒色腫細胞接着を示す図である。 図3(a)、(b)、および(c)は、bFGF誘導血管新生なしのニワトリの絨毛尿膜(CAM)、bFGF誘導血管新生後のCAM、およびbFGF誘導血管新生後に、CLKペプチドで処理したCAMを描写する。 図4は、後のCLKペプチド処理なしのbFGF誘導血管新生後のCAM血管新生の血管および後のCLKペプチド処理を用いたbFGF誘導血管新生後のCAM血管新生の血管の定量を示す図である。 図5は、CLKペプチド(NT)で処理していないニワトリ胚の肺およびCLKペプチドで処理したニワトリ胚の肺上のB16黒色腫転移物の定量を示す図である。

Claims (37)

  1. 変性IV型コラーゲン選択的ペプチドアンタゴニスト。
  2. コアアミノ酸配列L−K−Q−N−G−G−N−F−S−Lを含む、変性IV型コラーゲン選択的ペプチドアンタゴニスト。
  3. 請求項2に記載のアンタゴニストであって、該アンタゴニストが、アミノ酸配列NH−C−L−K−Q−N−G−G−N−F−S−L−G−COOHを含むペプチドである、アンタゴニスト。
  4. 請求項2に記載のアンタゴニストであって、該アンタゴニストが、アミノ酸配列NH−S−L−K−Q−N−G−G−N−F−S−L−C−COOHを含むペプチドである、アンタゴニスト。
  5. 請求項2に記載のアンタゴニストであって、該アンタゴニストが、アミノ酸配列NH−K−G−G−C−L−K−Q−N−G−G−N−F−S−L−G−G−K−A−COOHからなるペプチドである、アンタゴニスト。
  6. 請求項2に記載のアンタゴニストであって、変性IV型コラーゲンへの前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストの結合親和性が、天然IV型コラーゲンへの該アンタゴニストの結合親和性より実質的に大きい、アンタゴニスト。
  7. 請求項2に記載のアンタゴニストであって、変性IV型コラーゲンへの前記選択的変性IV型コラーゲンアンタゴニストの結合親和性が、天然コラーゲンへの該アンタゴニストの結合親和性より100倍大きい、アンタゴニスト。
  8. 請求項2に記載のアンタゴニストであって、前記選択的変性IV型コラーゲンアンタゴニストが、変性IV型コラーゲンとの細胞相互作用を阻害する、アンタゴニスト。
  9. 薬学的組成物であって、選択的変性IV型コラーゲンアンタゴニストおよび薬学的に受容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。
  10. 請求項9に記載の薬学的組成物であって、該組成物が、細胞傷害性薬剤を含む、薬学的組成物。
  11. 請求項9に記載の薬学的組成物であって、該組成物が、放射性物質を含む、薬学的組成物。
  12. 請求項9に記載の薬学的組成物であって、該組成物が、細胞増殖抑制剤を含む、薬学的組成物。
  13. 患者における血管新生を阻害するための方法であって、該方法が以下:
    血管新生を阻害するに有効な量の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを該患者に投与する工程を包含する、方法。
  14. 患者における血管新生を検出する方法であって、該方法が以下:
    変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを該患者に投与する工程、および該患者における結合された選択的変性IV型コラーゲンアンタゴニストを検出する工程を包含する、方法。
  15. 患者における腫瘍を処置する方法であって、該方法が以下:
    血管新生を阻害するに有効な量の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを該患者に投与する工程を包含する、方法。
  16. 患者における転移を処置する方法であって、該方法が以下:
    血管新生を阻害するに有効な量の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを該患者に投与する工程を包含する、方法。
  17. 患者における血管新生疾患を処置する方法であって、該方法が以下:
    血管新生を阻害するに有効な量の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを該患者に投与する工程を包含する、方法。
  18. 請求項13に記載の方法であって、前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストが、以下:
    静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、経皮的、局所的、眼内、経口的、鼻腔内、または蠕動手段によって、投与される、方法。
  19. 請求項13に記載の方法であって、前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニスト用量範囲が、1日当たり1キログラムにつき0.1ミリグラム〜1キログラムにつき300ミリグラムである、方法。
  20. 請求項13に記載の方法であって、前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニスト用量範囲が、10ミリグラム〜3000ミリグラムである、方法。
  21. 請求項13に記載の方法であって、前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストが、化学療法剤と組み合わせて投与される、方法。
  22. 請求項13に記載の方法であって、前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストが、放射性物質と組み合わせて投与される、方法。
  23. 請求項13に記載の方法であって、前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストが、細胞増殖抑制剤と併せて投与される、方法。
  24. 請求項13に記載の方法であって、前記患者が哺乳類である、方法。
  25. 請求項13に記載の方法であって、前記患者がヒトである、方法。
  26. 患者における腫瘍細胞接着を阻害するための方法であって、該方法が以下:
    腫瘍細胞接着を阻害するに有効な量の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを該患者に投与する工程を包含する、方法。
  27. 患者における腫瘍細胞接着を検出する方法であって、該方法が以下:
    変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを該患者に投与する工程、および該患者において結合された変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを検出する工程を包含する、方法。
  28. 患者における腫瘍を処置する方法であって、該方法が以下:
    腫瘍細胞接着を阻害するに有効な量の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを該患者に投与する工程を包含する、方法。
  29. 患者における転移を処置する方法であって、該方法が以下:
    腫瘍細胞接着を阻害するに有効な量の変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストを該患者に投与する工程を包含する、方法。
  30. 請求項26に記載の方法であって、前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストが、以下:
    静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、経皮的、局所的、眼内、経口的、鼻腔内、または蠕動手段によって、投与される、方法。
  31. 請求項26に記載の方法であって、前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニスト用量範囲が、1日当たり1キログラムにつき0.1ミリグラム〜1日当たり1キログラムにつき300ミリグラムである、方法。
  32. 請求項26に記載の方法であって、前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニスト用量範囲が、10ミリグラム〜3000ミリグラムである、方法。
  33. 請求項26に記載の方法であって、前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストが、化学療法薬剤と組み合わせて投与される、方法。
  34. 請求項26に記載の方法であって、前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストが、放射性物質と組み合わせて投与される、方法。
  35. 請求項26に記載の方法であって、前記変性IV型コラーゲン選択的アンタゴニストが、細胞増殖抑制剤と併せて投与される、方法。
  36. 請求項26に記載の方法であって、前記患者が哺乳類である、方法。
  37. 請求項26に記載の方法であって、前記患者がヒトである、方法。
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