JP2006518225A - 腹腔鏡ポートヘルニア装置 - Google Patents

Abstract

【課題】開口部を介して外科用材料のシートを適用し、開口部の遠位内部終点を架橋するのに使用されるアプリケータ・アッセンブリーを提供する。
【解決手段】展開用スリーブ（１）と、この展開用スリーブ（１）内に配置されるプランジャー（２）と、展開用スリーブの先端又は先端内に位置させるため、円錐状に折り畳み可能な外科用材料のシート（３）とを具備してなる。縫合糸を含む作動手段（４）が前記プランジャー（２）の長手方向の動きを介して前記展開用スリーブ（１）の先端から放出させたのちに、前記シート（３）を広げる又はシートを張るべく操作可能に設けられている。前記シート（３）は放射状の複数のリブ（５）を含み、これらリブ（５）はヒンジ（５ｂ）により画成される内部領域（５ａ）を除いて、その長手方向に沿って前記シートに接続されている。これらリブ（５）はヒンジ（５ｂ）部位では自由となっており、又、その端部は更なる蝶着によりカラー（５ｃ）に連結されている。

Description

本発明は、外科手術又は処置後のポート（孔）位置へのヘルニアの形成を防止するため切開部の内部閉塞のために主として使用されるアプリケータ、及び腹腔鏡下手術用材料に関する。これは付随的に、手術部位での内部器官の付着の防止にも役立つものである。

腹腔鏡下手術はますます多用されており、これは人体壁部の全ての層を貫通する１又はそれ以上の“トンネル”の形成を必要とし、この形成されたポート（孔）を介して種々の機器、円筒状拡大光学機器、カメラ、光源を使用し、外科処置が遠隔的に行われる。例えば、腹腔鏡胆のう切除術においては、３つのこのようなポートが使用され、これらポートは腹壁の複数の層を貫通するようにして０．５〜１ｃｍの長さに切開され、１つのポートはしばしば臍を貫通して形成される。一般には、術後に各ポートは閉じられるが、外側の皮膚が縫合されるのみであり、それより深い層は自己治癒に任せている。この小さい切開部は、後に切開又はポートヘルニアに発展する潜在性を有している。内部的には、この非修復のポートは、潜在的に腸の一部をその口部から異常脱出させてしまう、または、腸の癒着部を提供してしまうなど、それにより腸障害を生じさせる潜在性を有する。

本発明の主たる目的は、腹腔鏡処置の後などにおいて、ポート切開部の閉塞に使用される外科用材料およびアプリケータであって、同じ腹腔鏡ポートの管孔を介して簡単に使用することができ、部品数も少なくて済むものを提供することである。

本発明の他の目的は、腹腔鏡ポートを通して容易に降下させることができ、ついで内部で開き、前記ポート内方からその開口の全域にわたって位置させることができる折畳み装置構造を提供することである。

本発明はその一形態として、開口部を介して外科用材料のシートを適用し、開口部の遠位側にある内部末端の隙間を塞ぐのに使用されるアプリケータ・アッセンブリーを提供するものであり、このアッセンブリーは、
ａ） 展開用スリーブと；
ｂ） 前記展開用スリーブ内に、基端から先端まで延出するようにして配置されるプランジャーと；
ｃ） 前記展開用スリーブの先端又は先端内に位置させるため、折り畳み可能な外科用材料のシートと；
ｄ） 前記プランジャーの長手方向の動きを介して前記展開用スリーブの先端から前記シートを放出させたのちに、前記シートを広げる又はシートを張る作動手段と；更に必要に応じて、
ｅ） 前記シート展開の後に、前記シートに引張り力を付与すべく操作可能な手段、例えば縫合糸と；
を具備してなるものである。

本発明によれば、このような構成において、前記シート部材は、前記展開用スリーブを前記開口部の前記末端に配置させる操作手続の間において、前記展開用スリーブ内に収納されて保護されており、その後、前記シート部材は前記プランジャーにより押し出され、前記開口部の内部領域において、内側から内部領域全体を覆って閉じるように拡張される。

この外科用材料のシートとしては、一般に公知の外科手術適合メッシュ、例えばポリプロピレン、最も一般的には、ＰＴＦＥなどの非粘着性材料を一方面に有しており、該一方面は、最も内側に向いた面である。しかし、このシート全体が、例えば腸から遠い面において梨地の（ｔｅｘｔｕｒｅｄ）ＰＴＦＥのみからなるものであってもよい。この外科用材料は、標準的な、平坦な可撓性シート、例えば円形シートからなり、更に、より硬直で弾力性のアームを形成する複数のリブを含み、このシートが折り畳み形状に強制されている場合、このリブにより、シートが拡張されて平坦形状に復元されるようになっている。この動作は、傘を広げる場合と同様であり、特徴的なことは、このシートを広げることをシート自身の特性によってなされ、機械的要素を別途必要としないことである。その他、又は更に加えて、この広げる動作を、縫合糸を介して行うことができる。つまり、縫合糸により前記シートをアプリケータに向けて上方に引張るようにする。このアームの配列の中央部分は内部欠損内に位置させ、閉塞を補助するようにしてもよい。

一実施例において、リブは予め成形された折り目を有し、所定の形状への折り畳みを容易にしている。その他、リブに“記憶”を持たせ、シートの平坦形状への復元を図るようにしてもよい。このシートの展開に続いて、そのシートを広げることを別の作動手段により実行させたり、補助させたりしてもよく、この作動手段として、縫合針を有する、若しくは、有しない、縫合糸であって、前記スリーブの基端から先端まで前記プランジャーを通って延出し、前記シートに接続した該縫合糸を用いることができる。この縫合糸は引張り力をそれに作用させたとき、前記シートを広げるように配置される。前記シートを広げたのち、この縫合糸は除去、切断、又は破断させてもよい。この実施例において、縫合糸は前記シートを位置決めするための牽引を与えるため、および取着させた針を使用して傷口を閉じるのに使用することもできる。

本発明の他の実施例によれば、リブ又は放射状に延出する構造物を含む外科材料のシートが提供される。このリブ又は放射状に延出する構造物は弾性的可撓性を有し、復元時においては、シートを折り畳み状態、ひだ折り状態又はしわのよった（ｃｒｕｍｐｌｅｄ）状態から自らにより平坦な状態に（ ｆｌａｔ ａｎｄ ｓｅｌｆ−ｓｕｐｐｏｒｔｉｎｇ ｆｏｒｍ ）シートを広げる。

本発明の更に他の実施例によれば、放射状のリブを含む外科材料のシートが提供される。各リブは蝶着されていて、前記シートの外側部分を内側に折り畳み、円錐形にさせ、前記シートは作動手段により平坦な形状に広げられるようになっている。これらの実施例において、前記シートは従って、傘のようにして広がる。アームは生体分解性物質から構成されたものであることが好ましいが、必須ではない。

実施例の例により示された図によって、さらに本発明の参照すべき特徴点を説明する。
図１を参照すると、これには開口部を介して外科材料のシートを適用し、開口部の遠い側である内部末端の隙間を塞ぐのに使用されるアプリケータ・アッセンブリーが示されている。このアプリケータ・アッセンブリーは、展開用スリーブ１と、このスリーブ１内に配置されて、このスリーブ１の基端から先端まで延出するのに十分な長さ有するプランジャー２と、前記展開用スリーブの先端部および先端部内に配置させるため図示のような円錐形に折り畳み可能な外科用材料のシート３とを具備してなる。この外科用材料は、頂部を逆向きに配置させてもよい。すなわち、頂部がプランジャー２近傍にくるようにしてもよい。縫合糸を含む作動手段４は、プランジャー２の長手方向の動きを介してシート３を展開用スリーブ１の先端から放出させたのち、シート３を広げる又はシートを張るべく操作可能に設けられている。このシート３は、円形であることが好都合であり、直径は一般に３ｃｍ程度とする。その内側対向面にはＰＴＦＥのコーティング又は層が施され、生体組織、特に腸との癒着を防止するようにしている。外側対向面はコーティングされていないポリプロピレンメッシュ、“梨地（ｔｅｘｔｕｒｅｄ）”ＰＴＦＥ又は類似のものであってもよく、それにより身体壁組織への組込みを容易にすることができる。ここで使用する“梨地”ＰＴＦＥ（“ｔｅｘｔｕｒｅｄ”ＰＴＦＥ）の用語は当業者に精通した用語であろう。

シート３は放射状の複数のリブ５を含み、これらリブ５はヒンジ５ｂにより画成される内部領域５ａを除いて、その長手方向に沿って前記シートに接続されている。なお、ヒンジ５ｂの部位では、リブは自由となっていて、その端部が、更なる蝶着（図４〜６）によりカラー５ｃに連結されている。この蝶着は折り目線又は肉薄部又は幅狭部によって形成させてもよい。リブとしては生物学的吸収性ポリマー材料、例えばＶｙｃｒｙｌ（登録商標）又はＰＤＳを用いることが好ましいが、非生体分解性材料からなるものでもよい。

作動手段を構成する縫合糸４は前記シートの中央に接続され、カラー５ｃおよびプランジャー２を貫通して基端に達している。

腹腔鏡ポートは一般に公称直径が０．５〜１．０ｃｍであり、従って、スリーブ１はポート装置を降下し得るよう適当な寸法のものとなっている。縫合糸は吸収性のＶｙｃｒｙｌ（登録商標）又は同様のものでよく、プランジャーを通って針に達している。器具を引き上げ、腹腔鏡手法を終了した時点で、アプリケータ・アッセンブリーがポート装置を介して導入される。この外側スリーブは、前記ポート内への挿入深さを制御するための外側から設けられたフランジを有していても、あるいは有していなくともよい。同様に、プランジャーも前記スリーブ内の位置を制御するためのフランジを有していてもよい。

操作は以下のようにして行われる。
スリーブ１は、予め先端部に配置された折り畳まれたメッシュ３を含み、このメッシュ３に縫合糸４が取着されている。ついで、スリーブ１にプランジャー２が導入される（図１）。
ついで、プランジャー２が、カラー５ｃまで押し下げられる（図２）。
腹腔鏡ポート装置を介して位置決めしたのち、前記プランジャーを押し下げ前記メッシュをスリーブ１の端部から押し出すことにより展開が行われる（図３）。

ついで、縫合糸４をきつく引張ることにより、リブ部分５および５ａの拡張を介してメッシュ３が開かれ（図４）、支持メッシュに分散された（dissipating）荷重が与えられ、切開部が閉塞される。
このメッシュが十分に拡張された状態で（図５）、前記スリーブおよびプランジャーが引き抜かれ、通常、これに伴って最初に配置されたポート装置が除去され、メッシュ３のみが所定位置に残される（図６）。
図７は設置されたメッシュを模式的に示しており、ここでＧは例えば腸を表し、Ａは腹部の皮膚を表している。

１つの配置例において、縫合糸は直線針に接続され、この針がプランジャーの管孔内を降下し得るようになっていて、それにより配置システムを廃棄することが可能となる。その他、外側スリーブおよびプランジャーの全長に亘って孔部を形成させ、これら双方を下方の前記孔部から順次、引きちぎり、廃棄することを可能にしてもよい。いずれの場合も、配置システムはポート装置から除去され、ポート装置は第２に除去される。針がない場合は、全ての装置を同時に除去することができ、この場合、牽引のためのみに用いられた糸は、独立して使用される第２の傷口閉塞縫合糸により、傷口に対し連結される。この縫合糸は所望により傷口を閉塞するために直接使用することができる。

もしも、配置システムの外側スリーブが優先的にフランジを有しないときは、メッシュを展開させる前に、ポート装置をその上に摺動させてもよい。

本発明の変形例で、腹腔鏡ポートと同様の方法における使用、例えば虫垂切除において、メッシュのより大きなシート、例えば内面がＰＴＦＥ（Ｔｅｆｌｏｎ）で被覆されたものを腸の術後癒着を防止するのに配置させることができる。このメッシュは、その長手方向に沿って１，２又はそれ以上の縫合糸を取着させたものであってもよい。この構成は拡張するシートを利用するものであるが、この場合、アプリケータの使用は必須ではない。

外科手術（術後開口）の終了時に配置されたとき、このメッシュは全体として、傷口部位での荷重を分散させるのに役立ち、切開ヘルニア形成を防止するのに役立つ。ＰＴＦＥ内面は腸又は器官の癒着を防止するのに役立つ。ポリプロピレンメッシュ又は“梨地”ＰＴＦＥからなる外側面は腹膜への組込みを助ける。取着させた縫合糸は引張ることにより、メッシュを腹壁の内側に対し引張力を与えることができる。取着させた針は次に傷口を閉塞させるのに使用することができる。メッシュの長手方向に沿って異なる数の針を設けるということは、メッシュを必要な長さに切断できることを意味するものである。より長いメッシュは必然的により幅広のものとなるであろう。

本発明による外科用メッシュと、アプリケータを示す一部切欠斜視図であって、第１の組立て段階を示している。 前記アプリケータの装着段階を示す斜視図。 最初の展開の間の前記アプリケータを示す斜視図。 前記シートが部分的に広げられたときの前記アプリケータを示す斜視図。 前記シートが完全に広げられたときの前記アプリケータを示す斜視図。 前記アプリケータを引き抜いた後の前記シートを示す斜視図。 閉塞部を模式的に示す図。

符号の説明

１ スリーブ
２ プランジャー
３ 外科用材料のシート
４ 縫合糸
５ リブ
５ａ 内部領域
５ｂ ヒンジ
５ｃ カラー

Claims (17)

1. 開口部を介して外科用材料のシートを適用し、開口部の遠位側にある内部末端の隙間を塞ぐのに使用されるアプリケータ・アッセンブリーであって；
   ａ） 展開用スリーブと；
   ｂ） 前記展開用スリーブ内に、基端から先端まで延出するようにして配置されるプランジャーと；
   ｃ） 前記展開用スリーブの先端又は先端内に位置させるため、折り畳み可能な外科用材料のシートと；
   ｄ） 前記プランジャーの長手方向の動きを介して前記展開用スリーブの先端から放出させたのちに、前記シートを広げる又はシートを張る作動手段と；
   を具備することを特徴とするアプリケータ・アッセンブリー。
2. 展開の後の前記シートに対し引張り力を付与するための引張り手段を更に含むことを特徴とする請求項１記載のアプリケータ・アッセンブリー。
3. 前記引張り手段は、縫合糸であることを特徴とする請求項２記載のアプリケータ・アッセンブリー。
4. 前記シート部材は、前記展開用スリーブを前記開口部の前記末端に配置させる操作手続の間において、前記展開用スリーブ内に収納されて保護されており、その後、前記シート部材が前記プランジャーにより押し出され、前記開口部の内部領域において、内側から内部領域全体を覆って閉じるように拡張されることを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載のアプリケータ・アッセンブリー。
5. 前記外科用材料のシートは、ポリプロピレン、好ましくは、ＰＴＦＥなどの非粘着性材料として良く知られた外科的適合性メッシュを一方面に有しており、該一方面は、前記アプリケータ近傍の最も内側に向いた面であることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載のアプリケータ・アッセンブリー。
6. 前記外科用材料のシート全体は、ＰＴＦＥからなることを特徴とする請求項５記載のアプリケータ・アッセンブリー。
7. 前記外科用材料は、標準的な、平坦な可撓性シート、好ましくは円形シートからなり、更に、該シートより硬直で弾力性のアームを形成する複数の放射状リブを含み、前記シートが折り畳み形状に強制されている場合において、前記リブにより、シートが拡張されて平坦形状に復元されるようになっていることを特徴とする請求項１〜６のいずれかに記載のアプリケータ・アッセンブリー。
8. 前記シートの拡張は、シート材料自身の特性によってなされることを特徴とする請求項７記載のアプリケータ・アッセンブリー。
9. 前記シートの拡張は、該シートをアプリケータに向けて上方に引張る縫合糸を介して実行される、または、補助されるようになっていることを特徴とする請求項１〜８のいずれかに記載のアプリケータ・アッセンブリー。
10. 前記シートは、予め成形された折り目を有し、所定の形状への折り畳みを容易にするリブを含むことを特徴とする請求項１〜９のいずれかに記載のアプリケータ・アッセンブリー。
11. 前記シートは、該シートを平坦形状への復元させる“記憶”作用を持たせたリブを含むことを特徴とする請求項１〜１０のいずれかに記載のアプリケータ・アッセンブリー。
12. 使用に際し、前記シートの展開に続いて、シートを広げることを別の作動手段により実行させる、または、補助させるものであり、前記作動手段が縫合糸を有する、若しくは、有しない、縫合針を含み、前記スリーブの基端から先端まで前記プランジャーを通って延出して前記シートに接続され、縫合糸がそれに引張り力を作用させることにより前記シートを広げるよう配置されていることを特徴とする請求項１〜１１のいずれかに記載のアプリケータ・アッセンブリー。
13. 複数のリブ又は放射状に延びた構造物を含む外科材料のシートであって、前記リブ又は放射状に延びた構造物が弾性可撓性を有し、復元時に該シートを折り畳み状態、ひだ折り状態又はしわのよった状態から自ら支持しながら平坦となる状態に該シートを拡張させるようにしたことを特徴とするシート。
14. 放射状の複数のリブを含む外科材料のシートであって、前記リブがそれぞれ蝶着されていて、前記シートの外側部分を内側に折り畳み円錐形に変形させるようになっており、該シートが作動手段により平坦形状に拡張するようになっていることを特徴とするシート。
15. 前記リブは、生体分解性材料からなっていることを特徴とする請求項１３又は１４記載の外科材料のシート。
16. 開口部を介して外科用材料のシートを適用し、開口部の遠位側にある内部末端の隙間を塞ぐのに使用されるアプリケータ・アッセンブリーであって、明細書に実質的に記載され、図面を参照して例示されたシート。
17. 放射状の複数のリブを含む外科材料のシートであって、各リブが蝶着されていて、このシートの外側部分を内側に折り畳み円錐形に変形させるようになっており、該シートが作動手段により平坦形状に拡張するようになっているもので、明細書に実質的に記載され、図面を参照して例示されたシート。

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