JP2006517980A - タンパク質欠損症を治療するための併用療法 - Google Patents

タンパク質欠損症を治療するための併用療法 Download PDF

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Abstract

本出願は、遺伝子治療を活性部位特異的シャペロン(ASSC)と組み合わせることによって、遺伝子治療を改善する方法を提供する。ASSCは、投与される組換え遺伝子によってコードされているタンパク質の安定性及び有効性を増加させる。

Description

関連出願
この出願は、2003年2月18日に出願された出願番号第60/448,073号の米国仮出願の優先権を主張するものであり、その開示内容はそのまま、レファレンスとして本明細書に包含される。
発明の分野
本発明は、遺伝子療法を、治療遺伝子によってコードされたタンパク質に対する活性部位特異的シャペロン(ASSC)と組み合わせることによって、タンパク質欠損症を治療する方法に関する。本発明は更に、上記遺伝子のコーディング領域を含有する核酸配列と、コードされた遺伝子産物に対するASSCと、を含有する組成物に関する。
背景
〔タンパク質欠損症〕
タンパク質は、特定の遺伝子のゲノムヌクレオチド配列に従って、細胞内で、転写、翻訳、及びその他のプロセスを経て合成される。タンパク質欠損症は、(i)タンパク質の不合成、(ii)生物学的活性を有しないタンパク質の合成、又は(iii)正常な、若しくは部分的な生物学的活性を有するが、本来存在すべきコンパートメントに到達するように適切にプロセシングされることができないタンパク質の合成、を生じさせる、コード遺伝子の変異によって生じる可能性がある。遺伝子変異によって発症するタンパク質欠損性障害は、遺伝子病とも呼ばれる。特定のDNA変異は、変異型タンパク質の正しいフォールディング(折り畳み)を更に妨げる(多くの場合は不可能にする)アミノ酸置換を生じさせる。
タンパク質欠損症には、遺伝子変異によって生じるものの他に、疾患に起因して、又は疾患の治療(例えば、化学療法)の副作用として、又は栄養不足の結果として生じるものもある。
現行療法: そのような障害の現行療法の一つはタンパク質補充療法である。典型的なタンパク質補充療法では、対応する野生型タンパク質を精製して、静脈内、皮下若しくは筋肉内に注入するか、又は、対応する野生型タンパク質を、生体内分解性を有する徐放性固形製剤の形で体内に注入することが行われている。タンパク質補充療法には、いくつかの問題点がある。例えば、正しく折り畳まれ、グリコシル化された天然型タンパク質を大量に製造し、精製することが困難であること、欠損症を改善するのに十分なタンパク質レベルを実現することができないこと、抗タンパク質免疫反応が生じること、重大な中枢神経系が関与する障害では、タンパク質が血液脳関門を越えられないこと等が挙げられる。更に、この療法では、投与されたタンパク質のインビボ半減期が短いために、通常、費用のかかる注入又は導入を頻繁に行う必要がある。
遺伝子治療は、必要とする個体の体細胞内に機能性遺伝子を導入することによって、欠陥のある、又は欠如しているコード遺伝子を補充することを伴う。遺伝子治療は、分化した細胞若しくは体性幹細胞が個体から取り出された後、遺伝子送達ビヒクルとしてウイルスベクターを用いて、外植された細胞内に欠損遺伝子の正常コピーを導入する“ex vivo”法によって実施することができる。更に、生体内への直接的遺伝子導入技術は、治療効果を引き出すために、広範囲のウイルスベクター、リポソーム、タンパク質DNA複合体、裸の(naked)DNA及びその他の手段を用いて、治療遺伝子を in situ で導入する。
遺伝子治療は、有望ではあるが、ベクターが分裂細胞に感染し、又は形質導入することができない、標的遺伝子の発現レベルが低い、遺伝子送達後の発現が制御されるといった技術的問題によって制限される。治療目的を達成するためには、生理学的有効量のタンパク質を得るのに十分な時間、タンパク質の高い発現レベルを維持することが重要である。更に、タンパク質を適当な組織に確実に送達することが重要である。更に、昆虫細胞及び哺乳動物細胞における組換えタンパク質の過剰発現は、ER内でそのタンパク質の蓄積を引き起こすことが明らかにされているが(Hsu ら,Biotechnol. Prog. 1997; 13:96-104)、これは恐らく、過剰産生がER品質管理システムの能力を超えるためである。そして、この結果はインビボでも同様に生じると予想される。
米国内では治療的処置としてはまだ承認されていないが、多数の障害に対する遺伝子治療法(ex vivo 及び直接導入の両方)は現在研究中である。遺伝子治療のためのベクター及び/又は宿主細胞並びに方法が開発されてきており、現在は前臨床試験又は臨床試験の開発段階にある(Nelson らへの米国特許第6,066,626号、及び Barranger らへの米国特許第5,911,983号を参照されたい)。SRI International もまた、外因性配列の相同組換えを用いて遺伝子疾患における遺伝子変異を是正する遺伝子治療法を開発している(Zarling らへの米国特許第6,255,113号を参照されたい)。
第3の、酵素タンパク質欠損症を治療するための比較的近年の手法は、小分子阻害剤を用いて、欠損タンパク質の生体内基質を減少させ、これにより病態を改善するというものである。この「基質剥奪」手法は、特に、リソソーム蓄積症又はスフィンゴ糖脂質蓄積症と呼ばれる、約40の関連酵素障害からなる一群の障害に関して報告されている。これらの遺伝性の「コンフォメーション」障害は、細胞内の糖脂質の分解を触媒するリソソーム酵素の欠損により、脂質の異常な蓄積が生じ、細胞機能が破壊されることを特徴とする。治療用に提案されている小分子阻害剤は、特に、糖脂質の合成に関与する酵素を阻害し、欠損酵素によって分解される必要のある細胞内糖脂質の量を減少させるためのものである。この手法もまた、糖脂質が生物学的機能にとって必要であり、過剰な剥奪が副作用を引き起こす可能性がある点で制限される。具体的には、糖脂質は、脳において、ニューロンのガングリオシドから他のニューロンにシグナルを伝達するために用いられる。糖脂質が少なすぎるか、又は多すぎると、ニューロンによるシグナルの伝達が妨げられる
以下で検討する第4の手法は、変異型タンパク質を小胞体における分解から救済するものである。
〔小胞体におけるタンパク質のフォールディング及びプロセシング〕
タンパク質は細胞質内で合成され、新たに合成されたタンパク質はほとんど折り畳まれていない状態で小胞体(ER)の内腔に分泌される。一般に、タンパク質のフォールディングは自己組織化の原理によって支配されている。新たに合成されたポリペプチドは、それらのアミノ酸配列に基づいて天然型コンフォメーションに折り畳まれる(Anfinsen ら,Adv. Protein Chem. 1975; 29:205-300)。インビボでは、タンパク質のフォールディングは複雑である。これは、通常は疎水性コア内に覆い隠されているアミノ酸が近隣のタンパク質と非特異的に相互作用する凝集プロセスが、周囲の温度と高いタンパク質濃度との組合せによって刺激されるためである。この問題を回避するために、タンパク質のフォールディングは、通常は新生ポリペプチド鎖が凝集するのを防止し、タンパク質が天然型コンフォメーションにリフォールディングされるように、折り畳まれていないタンパク質に結合する分子シャペロンと呼ばれる一群の特殊なタンパク質によって促進される(Hartl, Nature 1996; 381: 571-580)。
分子シャペロンは、ほぼあらゆるタイプの細胞、及びほとんどの細胞コンパートメントに存在する。一部はタンパク質の輸送に関係しており、細胞が熱ショック、グルコース枯渇等のストレス下で生存するのを可能にする。ER内の分子シャペロンの中で特性が最も明らかになっているのは、Bip(免疫グロブリン重鎖結合タンパク質、Grp78)である(Haas, Curr. Top. Microbiol. Immunol. 1991; 167:71-82)が、他にも知られているものがある(Gething ら,Nature 1992; 355:33-45;Caplan, Trends Cell. Biol. 1999; 9:262-268;Lin ら,Mol. Biol. Cell. 1993; 4:109-1119;Bergeron ら,Trends Biochem. Sci. 1994; 19:124-128)。他の分子シャペロンと同様に、Bipは、ER内で、多数の成熟途上の分泌タンパク質及び膜タンパク質と相互作用するが、この相互作用は、フォールディングが円滑に進行する場合は、通常は弱く、短期間で終わる。天然型のタンパク質コンフォメーションが実現されると、分子シャペロンはもはやそのタンパク質とは相互作用しない。フォールディング、組織化、又は適正なグリコシル化が行われないタンパク質へのBipの結合は安定的になり、ER関連分解経路を介したタンパク質の分解を導く。このプロセスは、ERの「品質管理」システムとして機能し、一方で、正しく折り畳まれ、かつ組織化されたタンパク質だけが更なる成熟のためにERから輸送され、他方で、正しく折り畳まれていないタンパク質が保持され、引き続き分解に供されることを確実にする(Hurtley ら,Annu. Rev. Cell. Biol. 1989; 5:277-307)。
上述したように、特定のDNA変異は、変異型タンパク質の正しいフォールディングを更に妨げる(多くの場合は不可能にする)アミノ酸置換を生じさせる。これらの誤ったフォールディングを是正するために、研究者らは様々な分子の使用を試みてきた。高濃度のグリセロール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トリメチルアミンN−オキシド(TMAO)、又は重水素水は、数種の疾患において、変異型タンパク質の分解経路を抑制し、細胞内輸送を増加させることが明らかにされている(Brown ら,Cell Stress Chaperones 1996; 1:117-125;Burrows ら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2000; 97:1796-801)。これらの化合物は、一般的なタンパク質フォールディングを改善させる非特異的な化学シャペロンであると考えられているが、その機能の機序はまだ知られていない。このクラスの化合物は、細胞内におけるタンパク質フォールディングの欠陥を生化学的に試験するには有用であるが、効力を得るのに高用量を必要とするため、臨床で使用するのは困難又は不適切である。また、これらの化合物は特異性を有していない。
〔特異的シャペロン戦略〕
本発明者の以前の特許及び刊行物には、内因性の酵素タンパク質(具体的には、誤って折り畳まれたリソソーム酵素)をER品質管理機構による分解から救済する治療戦略が記載されている。この戦略では、特定のリソソーム障害に関連する欠陥リソソーム酵素に対して特異的な小分子の可逆的競合阻害剤を用いる。この戦略は、次のとおりである。変異型酵素タンパク質はER内では誤って折り畳まれるので(Ishii ら,Biochem. Biophys. Res. Comm. 1996; 220:812-815)、この酵素タンパク質は正常の輸送経路(ER→ゴルジ装置→エンドソーム→リソソーム)では遅滞し、急速に分解される。このため、変異型タンパク質の正しいフォールディングを促進する機能性化合物は、変異型タンパク質に対する部位特異的シャペロンとして機能し、ER品質管理システムからの円滑な脱出を促進する。インビトロにおいて、酵素の触媒中心を占め、そのコンフォメーションを安定化させる酵素阻害剤が存在することは知られている。従って、これらの特異的シャペロンは、活性部位特異的シャペロン(ASSC)と称することができる。
この戦略は、Fan らへ付与された米国特許第6,274,597号、第6,583,158号、第6,589,964号及び第6,599,919号、並びに2002年11月26日に出願された係属中の米国特許出願第10/304,396号において、リソソーム蓄積症に関与する酵素に関して具体的に明らかにされている。上記特許及び出願の内容はそのまま、レフファレンスとして本明細書に包含される。例えば、ガラクトースの小分子誘導体であり、変異型ファブリー酵素 α−ガラクトシダーゼA(α−Gal A)の強力な競合阻害剤である1−デオキシガラクトノジリマイシン(DGJ)は、中性pHで変異型α−Gal A(R301Q)のインビトロ安定性を効果的に高め、R301Q又はQ279E変異を有するファブリー病患者から株化したリンパ芽球における変異型酵素活性を増強した。更に、変異型(R301Q)α−Gal Aを過剰発現するトランスジェニックマウスへのDGJの経口投与は、主要臓器中の酵素活性を大幅に上昇させた(Fan ら,Nature Med. 1999; 5:112-115)。ミスフォールディング(誤って折り畳まれた)タンパク質の救済の成否は、酵素阻害濃度が必要とされる基質剥奪手法とは対照的に、酵素を完全に阻害するのに必要な濃度より低い特異的阻害剤のインビボ濃度が実現されるかどうかによる。
リソソーム蓄積症に加えて、現在では極めて多数の、かつ多様な疾患が、ER内のタンパク質の遅滞と、タンパク質の最終的な分解とを引き起こす非天然型のタンパク質コンフォメーションの採用に起因するコンフォメーション疾患であると認識されている(Kuznetsov ら,N. Engl. J. Med. 1998; 339:1688-1695;Thomas ら,Trends Biochem. Sci. 1995; 20:456-459;Bychkova ら,FEBS Lett. 1995; 359:6-8;Brooks, FEBS Lett. 1997; 409:115-120)。ASSCは、酵素以外の変異型タンパク質の発現を支援することが明らかにされている。例えば、小さな合成化合物が、変異型の癌抑制タンパク質p53のDNA結合ドメインを安定化させ、それによってそのタンパク質に活性コンフォメーションを維持させることが見出されている(Foster ら,Science 1999; 286:2507-10)。受容体の合成は、小分子の受容体アンタゴニスト及びリガンドによって支援されることが明らかにされている(Morello ら,J. Clin. Invest. 2000; 105:887-95;Petaja-Repo ら,EMBO J. 2002; 21: 1628-37)。膜チャネルタンパク質、及びその他の細胞膜トランスポーターの薬理学的な救済も、チャネル遮断薬又は基質を用いて明らかにされている(Rajamani ら,Circulation 2002; 105:2830-5;Zhou ら,J. Biol. Chem. 1999; 274:31123-26;Loo ら,J. Biol. Chem 1997; 272:709-12)。上記参考文献はすべて、ASSCが、酵素、受容体、膜チャネルタンパク質及びDNA転写調節因子を含む(それらに限定されない)変異型タンパク質を特異的に救済することができることを示している。
ASSCはまた、変異型タンパク質に加えて、野生型タンパク質を安定化させ、それらの産生量及び安定性の増大させることが明らかにされている。1つの例として、特異的ASSCであるDGJは、野生型α−GalA配列をコードするベクターでトランスフェクトされたCOS−7細胞内で、野生型α−Gal Aの量及び活性を増大させることができることが明らかにされている。ASSCは、本来ならばER品質管理システム内で遅滞するはずの過剰発現した野生型酵素を救済する。これは、COS−7細胞内の酵素の過剰発現及び過剰産生がこのシステムの能力を超えており、凝集及び分解を生じさせるためである(2003年2月28日出願の米国特許出願第10/377,179号を参照されたい)。
しかしながら、ASSCはコンフォメーションに欠陥のあるタンパク質を救済するのには有効であるが、例えば、欠失変異又はナンセンス変異の結果として作製されないタンパク質を救済することはできない。これらの疾患の治療には、(タンパク質補充療法又は遺伝子治療を通して)タンパク質を補充するか、又は蓄積した生成物の合成を阻害することが必要である。遺伝子治療は、望ましくない副作用を長期に渡って除去し、軽減させる大きな可能性を有している。しかしながら、上で検討したように、遺伝子治療は広範な治療法となるのに十分な有効性を有するに至っていない。
要約すると、当分野では、遺伝子治療が適用されるタンパク質欠損症又はその他の障害の治療における遺伝子治療の生物学的効率及び費用効率を改善する方法が必要とされている。本発明は、インビボ遺伝子治療における遺伝子発現効率を上昇させることが既に実証されている技術を採用することによって、この必要性に対処する。
発明の概要
本発明は、遺伝子治療によって治療可能な障害を有する個体を治療する方法を提供する。この方法は、個体に、補充遺伝子と、投与された遺伝子によってコードされているタンパク質に対するASSCと、を投与することを含む。
本発明はまた、生体内投与された遺伝子によってコードされているタンパク質の安定性を高めるための方法であって、前記タンパク質をインビボでASSCと接触させることを含む方法を提供する。
本発明は更に、生体内投与された遺伝子によってコードされている組換えタンパク質の標的細胞による発現を増大させる方法であって、前記組換えタンパク質に対するASSCを投与することによって行う方法を提供する。
本発明はまた、ERにおける欠陥のあるフォールディング又はプロセシングに起因して欠損している変異型の内因性タンパク質の安定性を高める方法を提供する。内因性タンパク質の安定性及び活性は、投与された遺伝子によって産生されるタンパク質の安定性が高まると同時に増強される。
本発明は更に、薬学的に許容される担体中に、遺伝子によって発現される組換えタンパク質に対するASSCを含有する組成物を提供する。
詳細な説明
本発明は、標準的な遺伝子治療の手法を、活性部位特異的シャペロン(ASSC)、すなわちタンパク質の正しい/天然型のフォールディングコンフォメーションを誘導し、前記遺伝子によってコードされているタンパク質を安定化させることのできる物質と組み合わせることによって、タンパク質欠損症に対する遺伝子治療の効率を改善する。ASSCは、発現するタンパク質の生体内における発現、効率及び安定性を高める。本発明は更に、組換え遺伝子と、前記遺伝子によってコードされているタンパク質の正しい/天然型のフォールディングコンフォメーションを特異的に誘導し、前記遺伝子によってコードされているタンパク質を特異的に安定化するASSCと、を含む製剤を提供する。本発明は、ASSCを、遺伝子障害及びその他の障害の治療のための、遺伝子治療との併用療法において用いることができるという発見に基づいている。ASSCが組織培養中の正常な野生型タンパク質の発現レベルを増加させることができることは、従来の研究で明らかにされているが、人工系中の発現レベルを改善しても、野生型の治療用タンパク質に関して、インビボで同じ結果を達成することができることを示したことにはならない。その代わりに、誤って折り畳まれた、欠陥のあるタンパク質を救済するインビボの方法を、本明細書で説明するように修正し、遺伝子治療を介して送達される治療用(野生型)タンパク質の発現効率を向上させることができることは既に認知されている。
ASSCは、当分野で既知の方法により、スクリーニングし、同定することができる。特定の障害に対して有用なASSCが同定されると、そのシャペロンは、遺伝子治療を受けている患者に投与することができる。
ASSCは、当分野において既知の方法を用いてスクリーニングかつ同定することができる。特定障害にとって有用なASSCが同定されると、前記シャペロンは遺伝子治療を受ける患者に投与することができる。ASSCは、治療遺伝子の発現レベルが高い間に内因性分子シャペロンの不足を補い、ERにおける凝集を阻害することによって、遺伝子発現効率を上昇させることができる。上記シャペロンは、投与された遺伝子によって産生される、コードされているタンパク質の分解を防止する安定剤としても機能することができる。
〔定義〕
本明細書で用いる用語は一般に、本発明の状況、及び各用語が使用される特定の状況において、当分野における通常の意味を有する。本発明の組成物及び方法、並びにその製造方法及び使用方法を説明するに際して、実施者への追加の指針を提供するために、一定の用語については、下記で、又は本明細書のいずれかの箇所で考察する。
固有の定義: 「遺伝子治療」という用語は、遺伝子の外因性投与によって内因性遺伝子の発現を変化させる方法を意味する。本明細書では、遺伝子治療はまた、必要とする個体の体細胞又は幹細胞内に、欠陥のある、又は欠如している遺伝子に対応する機能性遺伝子を導入することによって、欠陥のあるタンパク質をコードする欠陥のある遺伝子、又は欠如している遺伝子を補充することを意味する。遺伝子治療は、分化した細胞若しくは体性幹細胞が個体から取り出された後、遺伝子送達ビヒクルとしてウイルスベクターを用いて、外植された細胞内に欠損遺伝子の正常コピーを導入する“ex vivo”法によって実施することができる。更に、生体内への直接的遺伝子導入技術は、治療効果を引き出すために、広範囲のウイルスベクター、リポソーム、タンパク質DNA複合体、naked DNA及びその他の手段を用いて、遺伝子を個体の細胞内に in situ で導入する。
「正しいコンフォメーションを安定化させる」という用語は、化合物又はペプチド又はその他の分子が、野生型若しくは変異型のタンパク質の構造を天然の形若しくは適正な形に維持することができるように、野生型タンパク質に、又はインビトロで(例えば、製剤中で)、及びインビボで野生型の機能を発揮することができる変異型タンパク質に結合することができることを意味する。この効果は、実地では、(i)タンパク質のシェルフライフの向上、(ii)タンパク質の単位/量当たりの活性の上昇、又は(iii)インビボにおける効力の増大、のいずれか一つ、又は二つ以上を通じて現れてもよい。これは、発現中のERからの収率の上昇、温度上昇に起因するアンフォールディングに対する抵抗性の増大、又は不安定化剤の存在を通じて、また、類似の手段によって、実験で観察することができる。
本発明は、治療遺伝子のインビボ発現レベルを上昇させることによって、遺伝子治療の効率を上昇させる。本明細書では、「発現レベルを上昇させる」とは、ASSCと接触していない同一タイプの細胞における数値と比較して、ASSCと接触した細胞における組換えタンパク質の量、組換えタンパク質の質(すなわち機能性タンパク質の収率)、タンパク質活性のレベル、又は上記のいくつかを上昇させることを意味する。発現上昇の程度は重要ではないが、それは僅かな上昇でさえ劇的な効果をもたらす可能性があるためであり、一般には約20%超、好ましくは約50%超、より好ましくは少なくとも約100%である。
「組換えタンパク質」という用語は、ベクターで運ばれる治療遺伝子によってコードされているタンパク質(遺伝子産物)を意味する。一般に、ベクターを受容する細胞は、組換えタンパク質に対応するどのような内因性タンパク質も発現しない。このような内因性タンパク質が発現した場合は、変異型タンパク質の発現か、又は極めて低レベルの発現である。組換えタンパク質はおそらく、正常な個体、すなわち前記タンパク質が欠損していない個体では、野生型タンパク質と区別することができない。
「タンパク質欠損症を特徴とする障害」という用語は、タンパク質の欠如又は不足によって生じる病態を示すあらゆる障害を意味する。この用語は、生物学的に不活性なタンパク質産物を生じさせるタンパク質フォールディング障害(すなわちコンフォメーション障害)を包含する。タンパク質不全症は、感染症、免疫抑制、臓器不全、腺機能異常、放射線病、栄養欠乏症、中毒、又はその他の環境若しくは外界に起因する障害に伴うものであってもよい。
本明細書では、「コンフォメーション障害」又は「コンフォメーション疾患」という用語は、ER内におけるタンパク質の遅滞及び破壊をもたらす可能性があり、通常は、正常の生物学的活性を備える自然条件下の野生型タンパク質によっては形成されないタンパク質コンフォメーションを採用することによって生じる障害を意味する。タンパク質レベルの低下は、生理学的不均衡を生じさせ、疾患又は障害として現れる。
本明細書では、「活性部位」という用語は、何らかの特異的な生物学的機能を果たすタンパク質の領域を意味する。例えば、それは、基質若しくはその他の結合パートナーに結合し、化学結合の生成及び破壊に直接関与するアミノ酸残基を提供する部位であってもよい。本発明における活性部位は、酵素の触媒部位、抗体の抗原結合部位、受容体のリガンド結合ドメイン、調節因子の結合ドメイン、又は分泌タンパク質の受容体結合ドメインを包含してもよい。これらの活性部位はまた、転写因子及び調節因子の転写活性化ドメイン、タンパク質−タンパク質相互作用ドメイン又はDNA結合ドメインも包含してもよい。
本明細書では、「活性部位特異的シャペロン」という用語は、タンパク質活性部位と特異的相互作用を可逆的に行い、安定的な分子コンフォメーションの形成を促進するタンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物等を含むあらゆる分子を意味する。本明細書では、「活性部位特異的シャペロン」という用語は、Bip、カルネキシン若しくはカルレティキュリンのような、細胞のERに存在する内因性の一般的シャペロン、又は重水素水、DMSO若しくはTMAOのような、一般的で非特異的な化学的シャペロンを包含しない。
一般的な定義: 本明細書では、「精製(された)」という用語は、非関連物質(すなわち混入物)の存在を減少させ、又は排除する条件下で単離された物質を意味する。非関連物質には、目的の物質が得られる天然物質も含まれる。例えば、精製タンパク質は、好ましくは、細胞内で結合している他のタンパク質又は核酸を実質的に含んでいない。精製核酸分子は、好ましくは、細胞内で一緒に見出すことのできるタンパク質又は他の非関連核酸分子を実質的に含んでいない。本明細書では、「実質的に含んでいない」という用語は、物質の分析試験の状況において実効的に用いられる。混入物を実質的に含んでいない精製物質は、好ましくは純度95%以上であり、より好ましくは純度97%以上であり、更に好ましくは純度99%以上である。純度は、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、イムノアッセイ、組成分析、生物学的アッセイ、及び当分野で既知のその他の方法によって評価することができる。ある特定の態様では、「精製(された)」は、混入物のレベルが、ヒト又は非ヒト動物へ投与することができるレベルとして規制官庁が許容したレベル以下であることを意味する。
好ましい態様では、「約」及び「およそ」という用語は、一般に、測定値の性質又は精度を前提として許容可能な、測定された数量に対する誤差の程度を意味する。典型的な誤差の程度は、例えば、所定の数値又は数値範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。或いは、特に生物学的な系では、「約」及び「およそ」という用語は、所定の数値の1桁の範囲内、好ましくは10倍又は5倍以内、より好ましくは2倍以内の数値を意味することもある。本明細書に示した数量は、特に断らない限り近似値である。これは、明示的に記載されていなくても、「約」又は「およそ」という用語の存在を推定することができることを意味する。
「遺伝子」は、機能的「遺伝子産物」をコードするヌクレオチドの配列である。一般に、遺伝子産物は機能性タンパク質である。しかし、遺伝子産物は、RNA(例えば、tRNA又はrRNA)等の細胞内の別のタイプの分子であってもよい。本発明における遺伝子産物は、細胞内で見出すことのできるmRNA配列も意味する。
「発現する」及び「発現」という用語は、遺伝子又はDNA配列内の情報を顕在化させること、例えば、RNA(例えば、rRNA若しくはmRNA)又はタンパク質を、対応する遺伝子又はDNA配列の転写及び翻訳に関与する細胞機能を活性化することによって産生することを意味する。DNA配列が細胞によって発現されると、RNA(例えば、mRNA若しくはrRNA)又はタンパク質等の「発現産物」が形成される。発現産物自体、例えば、結果的に生じるRNA又はタンパク質もまた、細胞によって「発現した」ということができる。
「トランスフェクション」という用語は、細胞内への外来の核酸の導入を意味する。「形質転換」という用語は、宿主細胞が、導入された遺伝子又は配列を発現して所望の物質を産生するように、宿主細胞内に「外来」(すなわち外因性又は細胞外)の遺伝子、DNA配列又はRNA配列を導入することを意味する。所望の物質は、本発明では典型的には、導入された遺伝子若しくは配列によってコードされたRNA、又は導入された遺伝子若しくは配列によってコードされたタンパク質若しくは酵素である。導入された遺伝子又は配列は、「クローン化」された、又は「外来」の遺伝子又は配列と呼ばれることもあり、調節配列又は制御配列(例えば、細胞の遺伝子機構によって用いられる開始、終止、プロモーター、シグナル、分泌又はその他の配列)を含んでいてもよい。遺伝子又は配列は、非機能性配列、又は機知の機能を有しない配列を含んでいてもよい。導入されたDNA若しくはRNAを受容し、発現する宿主細胞は、「形質転換」されており、「形質転換体」又は「クローン」である。宿主細胞へ導入されるDNA又はRNAはいかなる細胞に由来してもよく、起源は、宿主細胞と同一の属若しくは種の細胞であっても、異なる属若しくは種の細胞であってもよい。
「ベクター」、「クローニングベクター」及び「発現ベクター」という用語は、宿主を形質転換させて、導入配列の発現(例えば、転写及び翻訳)を促進するように、DNA配列又はRNA配列(例えば、外来遺伝子)を宿主細胞内に導入することができるビヒクルを意味する。
「発現系」という用語は、例えば、ベクターによって運ばれ、宿主細胞に導入された外来DNAによってコードされるタンパク質の発現に適した条件下の、宿主細胞及びこれに適合するベクターを意味する。一般的発現系には、大腸菌(E. coli)宿主細胞及びプラスミドベクター、Sf9、Hi5若しくはS2細胞等の昆虫宿主細胞及びバキュロウイルスベクター、及び発現系、並びに哺乳動物宿主細胞及びベクターが含まれる。
「変異型」及び「変異」という用語は、遺伝物質、例えば、DNA中のあらゆる検出可能な変化、又はこのような変化のあらゆるプロセス、機序若しくは結果を意味する。これには、遺伝子の構造(例えば、DNA配列)が変化させられる遺伝子変異、あらゆる変異プロセスから生じるあらゆる遺伝子又はDNA、及び改変された遺伝子又はDNA配列によって発現した発現産物(例えば、RNA、タンパク質又は酵素)が含まれる。
本明細書では、「変異型タンパク質」という用語は、タンパク質配列の変化を生じさせる遺伝子変異を含有する遺伝子から翻訳されたタンパク質を意味する。ある特定の態様では、このような変異は、タンパク質がER内の通常の条件下で天然型コンフォメーションを実現することができない原因となる。このコンフォメーションが実現されないと、これらのタンパク質はタンパク質輸送系における正常な経路を通じて細胞内の正しい場所へ輸送されず、むしろ分解されてしまうことになる。変異には他に、活性の減少、又はより迅速な代謝回転を引き起こすことができるものがある。
「野生型遺伝子」は、インビボで機能的生物学的活性を保持することのできるタンパク質をコードする核酸配列を意味する。野生型核酸配列は、生物学的活性にほとんど又は全く影響を及ぼさない保存的なアミノ酸置換を生じさせるに過ぎない場合は、公表された既知の配列とは異なるヌクレオチドの変化を含んでもよい。本明細書では、「野生型」という用語はまた、内因性の、又は天然型のタンパク質と比較して、活性を上昇させ、又は増強させることのできるタンパク質をコードするように操作された核酸配列を含んでもよい。
「野生型タンパク質」は、インビボで発現した、又は導入されたときに機能的生物学的活性を保持することのできる野生型遺伝子によってコードされるあらゆるタンパク質を意味する。「正常な野生型の活性」という用語は、細胞内のタンパク質の正常な生理学的機能を意味する。このような機能性は、タンパク質の機能性を示すことが知られているあらゆる手段によって試験することができる。
「正常な野生型の活性」という用語は、細胞内のタンパク質の正常な生理学的機能を意味する。このような機能性は、タンパク質の機能性を示すことが知られているあらゆる手段によって試験することができる。この効果は、実地では、(i)タンパク質の単位/量当たりの活性の上昇、又は(ii)インビボにおける効力の増大、のいずれか一方又は両方を通じて現れてもよい。これは、発現中のERからの収率の上昇、温度上昇に起因するアンフォールディングに対する抵抗性の増大、又は不安定化剤の存在を通じて、また、類似の手段によって、実験で観察することができる。
「遺伝的に改変された」という用語は、特定の遺伝子産物をコードするコーディング配列を含有する核酸を、コーディング配列の発現を制御する調節エレメントと共に導入した後に、その遺伝子産物を発現する細胞を意味する。核酸の導入は、遺伝子ターゲティング及び相同的組換えを含む、当分野で既知のあらゆる方法によって行うことができる。
「ベクター」とは、正しい制御因子と結合すると複製することができ、細胞間で遺伝子配列を移動させることのできる、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、ビリオン等のあらゆる遺伝因子を意味する。そこで、この用語にはクローニングビヒクル及び発現ビヒクル、並びにウイルスベクターが含まれる。
「薬学的に許容される」というフレーズは、本発明の医薬組成物に関して用いられるかどうかに関わらず、生理学的に許容され、ヒトに投与された場合に通常は、望ましくない反応を生じない分子的実体及び組成物を意味する。本明細書では、「薬学的に許容される」という用語は、好ましくは、動物、より具体的にはヒトにおいて用いることができるものとして、米国連邦政府又は州政府の規制官庁によって承認されている、又は米国薬局方、若しくはその他の一般に認知された薬局方に記載されていることを意味する。「担体」という用語は、化合物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又はビヒクルを意味する。このような製薬学的担体は、無菌の液体(水、油等)であってもよい。水、生理食塩水、又はデキストロース若しくはグリセロールの水溶液は、好ましくは、担体として、特に注射液として用いられる。適切な製薬学的担体は、E. W. Martin の“Remington's Pharmaceutical Sciences”18th Edition に記載されている。
本明細書では、「治療有効量」及び「有効量」という用語は、ASSCが特異的に作用するタンパク質の活性を阻害せず、むしろ増強するASSCの量を意味する。すなわち、有効量とは、正味の効果が増強されるように、阻害する程度より大きく増強する量である。例えば、酵素の場合は、ASSCが酵素の特異的阻害剤であれば、有効量は、酵素を事実上阻害することなく、酵素の発現レベルを上昇させるのに有効な阻害剤の量である。これは、一般に酵素の阻害剤のIC50値よりいくらか下に位置する。シャペロンリガンドを備える受容体、シャペロン受容体を備えるホルモン等についても、類似の数値を決定することができる。
精製された治療用タンパク質の生体内における生成中若しくは輸送中、又は保管中に阻害性を保持するASSCの濃度もまた、インビボで投与された場合のASSCの希釈(及び平衡状態の変化によって生じる結合の変化)、バイオアベイラビリティ及び代謝のために、本発明における「有効量」を構成してもよいことに留意すべきである。
〔タンパク質欠損症を特徴とする障害〕
現在、特定の組織におけるタンパク質欠損又は機能喪失を特徴とする約1100種の遺伝性障害が知られている。理論上は、これらの障害は遺伝子治療によって治療可能である。本発明の方法は、現在又は将来において利用可能な遺伝子治療に用いるのに現在のところ適しているタンパク質に関する併用療法を企図している。このような障害では、個体のある一部の細胞又は全部の細胞が機能性のタンパク質を十分に有さず、又は不活性形のタンパク質を有し、又は生物学的機能に関して不十分なレベルのタンパク質を有する。
更に、ERにおいて変異型タンパク質のフォールディングを変化させ、そのタンパク質の遅滞を生じさせ、結果的にタンパク質欠損症を発症させる変異に起因するコンフォメーション障害と同定された疾患のリストは増加しつつある。これには、嚢胞性線維症、α1−アンチトリプシン欠損症、家族性高コレステロール血症、アルツハイマー病(Selkoe, Annu. Rev. Neurosci. 1994; 17:489-517)、骨形成不全症(Chessler ら,J. Biol. Chem. 1993; 268:18226-18233)、炭水化物欠損性糖タンパク質症候群(Marquardt ら,Eur. J. Cell. Biol. 1995; 66:268-273)、マロトー・ラミー症候群(Bradford ら,Biochem. J. 1999; 341:193-201)、遺伝性盲目症(Kaushal ら,Biochemistry 1994; 33:6121-8)、グランツマン血小板無力症(Kato ら,Blood 1992; 79:3212-8)、遺伝性第VII因子欠損症(Arbini ら,Blood 1996; 87:5085-94)、眼皮膚型白皮症(Halaban ら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2000; 97:5889-94)及びプロテインC欠損症(Katsumi ら,Blood 1996; 87:4164-75)が含まれる。近年、X連鎖疾患である副腎白質ジストロフィー(ALD)における1つの変異によって、欠陥のあるペルオキシソームトランスポーターのミスフォールディング(誤った折り畳み)が引き起こされたが、これは罹患細胞の低温培養によって救済することができた(Walter ら,Am J Hum Genet 2001; 69:35-48)。一般に、変異は遺伝子の全配列に渡って均一に発生すると認められている。このため、欠損しているタンパク質のミスフォールディングの結果生じる表現型が、多数の他の遺伝子障害において存在すると予測される。
(リソソーム蓄積症)
遺伝性タンパク質欠損性障害の多くは酵素欠損症である。上述したように、大きな一群の遺伝性酵素障害はリソソーム酵素における変異を伴い、リソソーム蓄積症(LSD)とも呼ばれる。リソソーム蓄積症は、スフィンゴ糖脂質、グリコーゲン及びムコ多糖類の蓄積によって発症する疾患群である。リソソーム障害の例には、ゴーシェ病(Beutler ら,The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease,8th ed.2001 Scriver ら(編),3635-3668 頁,McGraw-Hill, New York)、GM1−ガングリオシドーシス(上記参照、3775-3810 頁)、フコシドーシス(The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease 1995. Scriver, C. R., Beaudet, A. L., Sly, W. S. and Valle, D. (編),2529-2561 頁,McGraw-Hill, New York)、ムコ多糖症(上記参照、3421-3452 頁)、ポンペ病(上記参照、3389-3420 頁)、ハーラー・シャイエ病(Weismann ら,Science 1970; 169, 72-74)、ニーマン・ピック病A型及びB型(The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease 8th ed. 2001. Scriver ら(編),3589-3610 頁,McGraw-Hill, New York)及びファブリー病(上記参照、3733-3774 頁)が含まれる。LSD及びそれらに関連する欠損性酵素のリストは、下記表1に記載した。以下では、そのうちの2種について具体的に考察する。
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ファブリー病:
ファブリー病は、欠損性リソソームα−ガラクトシダーゼA(α−GalA)活性によって生じるスフィンゴ糖脂質のX連鎖先天性代謝異常である(Desnick ら,The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th Edition Scriver ら(編),3733-3774 頁,McGraw-Hill, New York、2001;Bradyら,N. Engl. J. Med. 1967; 276, 1163-1167)。この酵素欠損は、α−ガラクトシル残基、主としてグロボトリアオシルセラミド(GL−3)を伴う中性スフィンゴ糖脂質の、体液及び組織リソソームにおける進行性沈着をもたらす。この疾患の発生頻度は、男性では約1:40,000であり、世界中の異なる人種で報告されている。古典的な態様で罹患した男性の場合、臨床症状には、被角血管腫、先端感覚異常、発汗減少症、並びに特徴的な角膜及び水晶体混濁(The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th Edition 2001, Scriver ら(編),3733-3774 頁,McGraw-Hill, New York)が含まれる。罹患した男性の余命は短縮され、心臓、脳、及び/又は腎臓の血管性疾患の結果として、通常は40年後又は50年後に死亡する。これとは対照的に、より軽度の「心臓型」の患者は、通常は5〜15%の正常α−Gal A活性を有し、左心室肥大又は心筋症を示す。古典的な患者が重度に易感染性であるのに対して、これらの心臓型患者は事実上無症候性のままである。近年、心臓型は、説明のつかない左心室肥大性心筋症に罹っている成人男性患者の11%において見出されたが、これはファブリー病が以前の推定より高い頻度で発症する可能性があることを示唆している(Nakao ら,N. Engl. J. Med. 1995; 333:288-293)。α−Gal A遺伝子はXq22にマッピングされており(Bishop ら,Am. J. Hum. Genet. 1985; 37:A144)、α−Gal Aをコードする全長cDNA及び全12−kbゲノム配列が報告されている(Calhoun ら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1985; 82:7364-7368;Bishop ら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1986; 83:4859-4863;Tsuji ら,Eur. J. Biochem. 1987; 165:275-280;及び Komreich ら,Nucleic Acids Res. 1989; 17:3301-3302)。ファブリー病を生じさせる変異には、顕著な遺伝的異質性が存在する(The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th Edition 2001, Scriver ら(編),3733-3774 頁,McGraw-Hill, New York;Eng ら,Am. J. Hum. Genet. 1993; 53:1186-1197;Eng ら,Mol. Med. 1997; 3:174-182;及び Davies ら,Eur. J. Hum. Genet. 1996; 4:219-224)。現在までに、小さな欠失及び挿入、並びにより大きな遺伝子再構成に加えて、様々なミスセンス変異、ナンセンス変異及びスプライシング変異が報告されている。
ゴーシェ病:
ゴーシェ病は、脂肪グルコセレブロシドを分解するリソソーム酵素β−グルコセレブロシダーゼの欠損症である。脂肪はその後、大部分が肝臓、脾臓及び骨髄に蓄積する。ゴーシェ病は、疼痛、疲労、黄疸、骨損傷、貧血、そして死亡さえ生じさせる可能性がある。ゴーシェ病には3つの臨床的表現型がある。I型の患者は若年期又は青年期に罹患し、外傷を受けやすく、貧血に起因する疲労、低血小板、肝臓及び脾臓の肥大、骨格の弱体化を経験し、場合によっては、肺障害及び腎障害を抱える。脳併発の徴候はない。早期に発症するII型では、肝臓及び脾臓の肥大は3カ月齢までに発生し、広範な脳併発が見られる。2歳までは死亡率が高い。III型は、肝臓及び脾臓の肥大、並びに脳発作を特徴とする。β−グルコセレブロシダーゼ遺伝子は、ヒトlq21染色体上に位置する。そのタンパク質前駆体は536アミノ酸を含有し、その成熟タンパク質は497アミノ酸長である。
ゴーシェ病は東欧出身のユダヤ人の子孫(アシュケナジ)の間でかなり一般的に見られるが、いかなる民族の人間も罹患する可能性がある。ゴーシェ病は、アシュケナジユダヤ人集団間では最も一般的な遺伝子障害であり、その発生率はおよそ450人に1人である。一般の人々では、およそ100,000人に1人がゴーシェ病に罹患する。全米ゴーシェ財団(National Gaucher Foundation)によると、2,500人の米国人がゴーシェ病に罹患している。
(その他の酵素欠損性障害)
グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)欠損症は、最も一般的なX連鎖ヒト酵素欠損症である。G6PD酵素は、DNA及びRNA両方の必須成分であるリボースの産生に不可欠な酸化/還元反応を触媒する。G6PDは更に、細胞の内部のNADPHを適正なレベルに維持することにも関与している。NADPHは数多くの生合成反応において必要な補因子である。この欠損症を有する個体は、新生児黄疸、腹痛及び/又は背痛、めまい、頭痛、呼吸困難(不規則呼吸)及び動悸を含む臨床症状を呈する。
重症複合免疫不全症(SCID)の1つの形態は、第20番染色体上の遺伝子によってコードされている酵素であるアデノシンデアミナーゼ(ADA)の欠如に起因する。これは、この酵素に対する基質が細胞内に蓄積することを意味する。免疫系の未熟リンパ球はこれらの未使用基質の毒性作用に対して特に感受性が強いため、成熟することができない。その結果、罹患した個体の免疫系が重度に易感染性になるか、又は完全に欠如する。
酵素欠損症には、遺伝性障害の他に、原発性又は続発性障害から生じる組織又は器官に対する損傷に起因するものもある。例えば、膵臓組織の損傷、又は膵炎はアルコール依存症によって生じ、消化に必要な膵酵素の欠損症を生じさせる。
〔遺伝子治療を用いて治療されるその他の障害〕
代謝性障害に関わる酵素の欠損の他にも、欠陥遺伝子が関与し、遺伝子治療を用いて治療することができる障害は極めて多い。このような障害としては、重症複合免疫不全症(SCID)、食細胞障害(ウィスコット−アルドリッチ症候群等)、出血性障害(フォン・ヴィレブラント病、血友病等)、内分泌障害(成長ホルモン欠損症、視床下部性尿崩症等)、網膜変性症、遺伝性の遺伝子欠陥によって生じる癌(遺伝性非ポリポーシス性結腸癌(HNPCC)等)が挙げられるが、それらに限定されない。このような障害を下記表2に列挙した。
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〔タンパク質欠損症及びその他の障害の治療〕
分子生物学の技術を用いて、個体の適当な細胞(例えば、幹細胞又は組織特異的体細胞)内で野生型タンパク質を過剰発現させると、欠如している、又は欠損しているタンパク質はその細胞内で産生され、多くの場合、血流内を循環して、特定組織へ到達する。治療目的を達成するためには、治療効果を与えるのに十分な時間、タンパク質の高い発現レベルを維持することが重要である。更に、タンパク質を適当な組織に確実に送達することが重要である。
〔ASSC及び遺伝子治療を用いる併用療法〕
本発明は、投与された遺伝子によってコードされているタンパク質の、合成過程におけるフォールディング及びプロセシングを増進させ、投与された遺伝子によってコードされているタンパク質に対するASSCを共投与することによって新生タンパク質のインビボの安定性を高めて、遺伝子治療の有効性を増加させるものである。標的タンパク質に対する好適なASSCのスクリーニングは、例えば、2003年2月28日出願の米国特許出願第10/377,179号(この開示内容はそのまま、レファレンスとして本明細書に包含される。)に記載されているような、当分野における通常の方法を用いて行うことができる。
(遺伝子治療)
本発明の方法を用いて治療することができる障害には、上記の障害及び表1に列挙した障害が含まれるが、これらに限定されない。本方法は、遺伝子治療を用いて補充されることが企図される、欠陥のある遺伝子のいずれとも組み合わせて用いることができる。例えば、本方法は、分泌タンパク質、膜タンパク質又は細胞内タンパク質を提供するために用いることができる。
本発明では、当分野で用いることができるあらゆる遺伝子治療の方法を用いることができる。以下では代表的方法について記載する。遺伝子治療の方法についての一般的概論については、Goldspiel ら,Clinical Pharmacy 1993, 12:488-505;Wu and Wu, Biotherapy 1991, 3:87-95;Tolstoshev, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 1993, 32:573-596;Mulligan, Science 1993, 260:926-932;及びMorgan and Anderson, Ann. Rev. Biochem. 1993, 62:191-217;May, TEBTECH 1993, 11:155-215 を参照されたい。当分野で一般的に知られている使用可能な組換えDNA技術の方法は、Ausubel ら(編),1993, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York;Kriegler, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, New York;及び Dracopoli ら(編),1994, Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons, New York の第12及び13章;Colosimo ら,Biotechniques 2000; 29(2):314-8, 320-2, 324 を参照されたい。
本発明の方法において投与される遺伝子は、当分野の範囲内の通常の分子生物学、微生物学、及び組換えDNAの技術を用いて単離精製することができる。例えば、標的タンパク質をコードする核酸は、文献記載の組換えDNA発現を用いて単離することができる。例えば、Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York(本明細書では「Sambrook ら,1989」と記す);DNA Cloning. A Practical Approach、第I及びII巻(D. N. Glover ed. 1985);Oligonucleotide Synthesis(M. J. Gait 編、1984);Nucleic Acid Hybridization[B. D. Hames & S. J. EHiggins 編 (1985)];Transcription And Translation[B. D. Hames & S. J. Higgins 編 (1984)];Animal Cell Culture[R. I. Freshney 編 (1986)];Immobilized Cells And Enzymes[IRL Press, (1986)];B. EPerbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984);F. M. Ausubel ら(編),Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994) を参照されたい。タンパク質をコードする核酸は、遺伝子が生物学的に活性なタンパク質をコードする限り、全長型及び切断型のいずれであってもよい。例えば、ファブリー病に関連する欠損酵素であるα−Gal Aの生物学的に活性な切断型は Miyamura らへの米国特許第6,210,666号に記載されている。
同定単離された遺伝子は、次に適当なクローニングベクターに挿入することができる。遺伝子治療に適合するベクターには、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス及びレトロウイルス、パルボウイルス、レンチウイルス、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、真菌ベクター、並びに、種々の真核細胞及び原核細胞宿主中における発現に関して報告され、遺伝子治療及び単純なタンパク質発現のために用いることができる、当分野で典型的に用いられるその他の組換えビヒクルが含まれる。
好ましい態様では、前記ベクターはウイルスベクターである。ウイルスベクター、特にアデノウイルスベクターは、標的細胞のウイルス感染効率を上昇させる、カチオン性脂質、ポリL−リシン(PLL)、ジエチルアミノエチルデキストラン(DELAE−デキストラン)等のカチオン性両親媒性物質と複合体を形成することができる(例えば、1997年11月20日出願の国際特許出願PCT/US97/21496号を参照されたい。この開示内容はそのまま、レファレンスとして本明細書に包含される)。本発明において用いるのに好ましいウイルスベクターには、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、AAV及びレトロウイルス由来のベクターが含まれる。詳細には、ヘルペスウイルス、特に、米国特許第5,672,344号(この開示内容はそのまま、レファレンスとして本明細書に包含される。)に開示されているような単純ヘルペスウイルス(HSV)は、酵素欠損がニューロン細胞内で現れる、例えば、ハーラー・シャイエ病、ハンター病、テイ・サックス病等のリソソーム蓄積症において重要性を有するニューロン細胞にトランス遺伝子を送達するために特に有用である。米国特許第5,139,941号、第5,252,479号及び第5,753,500号、並びに国際公開公報第97/09441号(これらの開示内容は各々そのまま、レファレンスとして本明細書に包含される。)に開示されているようなAAVベクターもまた有用であるが、それはこれらのベクターが宿主染色体中に組み込まれ、ベクターの繰返し投与の必要性が最小限に抑えられるためである。遺伝子治療におけるウイルスベクターの概論については、Mah ら,Clin. Pharmacokinet. 2002; 41(12):901-11;Scott ら,Neuromuscul. Disord. 2002; 12 Suppl 1:S23-9 を参照されたい。更に、米国特許第5,670,488号を参照されたい。
送達される遺伝子のコーディング配列は、例えば、前記遺伝子の発現を指示するプロモーターのような発現制御配列に機能的に連結している。本明細書で用いる「機能的に連結している」というフレーズは、ポリヌクレオチド/遺伝子と、プロモーター、エンハンサー、転写及び翻訳停止部位、その他のシグナル配列等のヌクレオチドの調節配列及びエフェクター配列との機能的関係を意味している。例えば、核酸のプロモーターへの機能的連結は、DNAの転写が、プロモーターを特異的に認識してプロモーターに結合するRNAポリメラーゼによってプロモーターから開始され、プロモーターがポリヌクレオチドからのRNAの転写を指示するような、ポリヌクレオチドとプロモーターとの物理的及び機能的関係を意味している。
一つの特定の態様では、コーディング配列及びその他の所望の配列が、ゲノム内の所望の部位で相同的組換えを促進する領域によって挟まれ、その結果、ゲノムに組み込まれた核酸分子から構築体を発現させることができるベクターが用いられる(Koller and Smithies, Proc.Natl. Acad. Sci. USA 1989, 86:8932-8935;Zijlstra ら,Nature 1989, 342:435-438;Zarling らへの米国特許第6,244,113号;及び Pati らへの米国特許第6,200,812号を参照されたい)。
患者へのベクターの送達は、患者がベクター若しくは送達複合体に直接曝露される直接的手法、又は細胞がまずインビトロでベクターにより形質転換され、次に患者に移植される間接的手法のいずれによるものであってもよい。これら2種の手法は、各々 in vivo 及びex vivo 遺伝子治療として既知である。
直接的導入: 特定の態様では、ベクターは生体内に直接投与され、そこで器官の細胞内に進入し、遺伝子の発現を媒介する。これは当分野で既知の多数の方法、及び上述した方法のいずれかによって、例えば、欠陥のある、又は減衰させたレトロウイルス又はその他のウイルスベクターを用いた感染によって(例えば、米国特許第4,980,286号を参照されたい)、又は naked DNAの直接注射によって、又は微粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子銃;Biolistic, Dupont)の使用;又は脂質若しくは細胞表面受容体若しくはトランスフェクション物質を用いたコーティング、バイオポリマー(例えば、ポリ−β−1−64−N−アセチルグルコサミン多糖類;例えば、米国特許第5,635,493号を参照されたい。)による被包化、リポソーム、微粒子若しくはマイクロカプセル内への封入;核内に進入することが知られているペプチド若しくは他のリガンドへ連結するように投与すること;又は受容体媒介性エンドサイトーシスを受けるリガンドへ連結するように投与すること(例えば、Wu and Wu, J. Biol. Chem. 1987, 62:4429-4432)等によって、例えば、それを適当な発現ベクターの一部として構築し、それが細胞内に組み込まれるように投与して行うことができる。また別の態様では、リガンドが、エンドソームを崩壊させて、核酸がリソソームで分解されるのを回避させる融合誘導ウイルスペプチド、又は治療用DNAを細胞内に移動させるために用いることができる、例えば、アンテナペディア由来のカチオン性 12-mer ペプチドを含有する、核酸−リガンド複合体を形成することができる(Mi ら,Mol. Therapy 2000, 2:339-47)。また別の態様では、核酸は、特異的受容体を標的とすることによって、インビボで細胞特異的取込み及び発現の標的となることができる(例えば、国際公開公報第92/06180号、同第92/22635号、同第92/20316号及び同第93/14188号を参照されたい)。近年、ベクターを哺乳動物へ送達するために magnetofection と呼ばれる技術が用いられている。この技術は、磁場の影響下で送達するためにベクターと超常磁性ナノ粒子とを結合させる。この適用は、送達時間を短縮してベクターの有効性を高める(Scherer ら,Gene Therapy 2002; 9:102-9)。更なるターゲティング及び送達方法は、下記のベクターの説明の中に含まれている。
特定の態様では、核酸は脂質担体を用いて投与することができる。脂質担体は、裸の(naked)核酸(例えば、プラスミドDNA)と結合して、細胞膜の透過を促進することができる。このためには、カチオン性、アニオン性、又は中性脂質を用いることができる。しかしながら、カチオン性脂質が好ましいが、それは一般に負電荷を有するDNAとより良好に結合することが明らかにされているためである。カチオン性脂質は、プラスミドDNAの細胞内送達を媒介することも明らかにされている(Felgner and Ringold, Nature 1989; 337:387)。マウスへのカチオン性脂質−ペプチド複合体の静脈内注射は、肺内でのDNAの発現を生じさせることが明らかにされている(Brigham ら,Am. J. Med. Sci. 1989; 298:278)。更に、Osaka ら,J. Pharm. Sci. 1996; 85(6):612-618;San ら,Human Gene Therapy 1993; 4:781-788;Senior ら,Biochemica et Biophysica Acta 1991; 1070:173-179;Kabanov and Kabanov, Bioconjugate Chem. 1995; 6:7-20;Liu ら,Pharmaceut. Res. 1996; 13;Remy ら,Bioconjugate Chem. 1994; 5:647-654;Behr, J-P., Bioconjugate Chem. 1994; 5:382-389;Wyman ら,Biochem. 1997; 36:3008-3017;Marshall らへの米国特許第5,939,401号;Scheule らへの米国特許第6,331,524号を参照されたい。
代表的なカチオン性脂質には、例えば、米国特許第5,283,185号及び第5,767,099号(これらの開示内容は、各々そのまま、レファレンスとして本明細書に包含される。)に開示されているカチオン性脂質が含まれる。好ましい態様では、カチオン性脂質は米国特許第5,767,099号に開示されたN−スペルミンコレステリルカルバメート(GL−67)である。他の好ましい脂質としては、N−スペルミンコレステリルカルバメート(GL−53)及び1−(N−スペルミン)−2,3−ジラウリルグリセロールカルバメート(GL−89)が挙げられる。
ウイルスベクターのインビボ投与においては、ウイルスベクター及びトランスフェクトされた細胞の免疫不活化を回避するために、適当な免疫抑制療法が、アデノウイルスベクター等のウイルスベクターと組み合わせて用いられるのが好ましい。例えば、インターロイキン−12(IL−12)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、又は抗CD4抗体等の免疫抑制性サイトカインは、ウイルスベクターに対する体液性又は細胞性免疫反応を遮断するために投与することができる。その点で、最小限の抗原を発現させるように組み換えられているウイルスベクターを用いるのが好都合である。
間接的導入: 体細胞は、上述した方法のいずれかを用いて野生型タンパク質をコードする構築体を用いて ex vivo で組換え、個体内へ再移植することができる。この方法の概要は、Selden らへの国際公開公報第93/09222号に記載されている。更に、この技術は Payumo ら,Clin. Orthopaed. And Related Res. 2002; 403S:S228-S242 に記載されている Cell Based Delivery’s proprietary ImPACT technology において用いられているこのような遺伝子治療システムでは、体細胞(例えば、線維芽細胞、肝細胞、内皮細胞)が患者から取り出され、インビトロで培養され、治療上重要な1種以上の遺伝子を用いてトランスフェクトされ、特性解析され、そして患者の体内に再導入される。一次細胞(個体又は組織から引き出されて、継代培養の前に組み換えられる)、及び二次細胞(インビボ導入前にインビトロで継代培養される)の両方、並びに当分野で既知の不死化細胞系を用いることができる。本発明の方法において有用な体細胞には、線維芽細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、膠細胞、神経細胞、血液から形成された要素、筋細胞、培養することができるその他の体細胞等の体細胞、並びに体性細胞前駆体が含まれるが、それらに限定されない。好ましい態様では、細胞は線維芽細胞又は間葉系幹細胞である。
外因性遺伝子、及び、場合により選択可能なマーカーをコードする核酸を、レシピエントの一次又は二次細胞内における外因性遺伝子の発現に必要な付加的配列と一緒に含有する核酸構築体を用いると、コードされている産物が産生される一次又は二次細胞をトランスフェクトすることができる。このために用いることができる構築体には、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、耳下腺炎ウイルスベクター、ポリオウイルスベクター等の感染性ベクターが含まれるが、それらに限定されない。
ケラチノサイト、メラニン形成細胞及び樹状細胞を含む表皮の細胞を用いた間接的導入には、経皮的送達が特に適している(Pfutzner ら,Expert Opin. Investig. Drugs 2000; 9:2069-83)。
間葉系幹細胞(MSC)は、骨髄中で産生する非血液産生幹細胞である。MSCは、特殊化した非血液組織に分化増殖するように作製することができる。レトロウイルスを用いてトランスフェクトされた幹細胞は、自己再生能力があるため、この治療法にとって良好な候補物質である。この能力は遺伝子治療の反復投与を排除する。また別の長所は、注射された幹細胞が標的器官に達し、次に分化すると、それらがその器官で損傷した細胞又は奇形細胞に置換することができることにある。
リソソーム蓄積症における遺伝子治療: 近年、組換え遺伝子治療の方法は、リソソーム蓄積症の治療を目的とする臨床試験又は前臨床試験の開発段階にあるが、例えば、ファブリー病に対する組換えα−ガラクトシダーゼA療法に関する1997年8月19日発行の米国特許第5,658,567号;融合タンパク質としての生物学的に活性なα−ガラクトシダーゼAのクローニング及び発現に関する1996年12月3日発行の米国特許第5,580,757号;リソソーム蓄積症を治療するための組成物及び方法に関する2000年5月23日発行の米国特許第6,066,626号;ヒトα−ガラクトシダーゼAタンパク質を発現するトランスフェクトされたヒト細胞に関する2000年7月4日発行の米国特許第6,083,725号;リソソーム蓄積症を治療するために組換えアデノ随伴ウイルスビリオンを用いてDNAを筋細胞へ送達する方法に関する2002年1月1日発行の米国特許第6,335,011号;Bishop,D.F. ら,Proc. Natl. Acad Sci., USA. 1986; 83:4859-4863;Medin J.A. ら,Proc. Natl. Acad. Sci., USA. 1996; 93:7917-7922;Novo, F. J., Gene Therapy 1997; 4:488-492;Ohshima T. ら,Proc. Natl. Acad. Sci., USA. 1997; 94:2540-2544;Sugimoto Y. ら,Human Gene Therapy 1995; 6:905-915;Sly ら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA.2002; 99(9):5760-2;Raben ら,Curr. Mol. Med. 2002; 2(2):145-66;Eto ら,Curr. Mol. Med. 2002; 2(1):83-9;Vogler ら,Pediatr. Dev. Pathol. 2001; 4(5):421-33;Barranger ら,Expert Opin. Biol.Ther. 2001; 1(5):857-67;Yew ら,Curr. Opin. Mol. Ther. 2001; 3(4):399-406;Caillaud ら,Biomed. Pharmacother. 2000; 54(10):505-12 及び Ioannu ら,J. Am. Soc. Nephrol. 2000; 11(8):1542-7 を参照されたい。
2002年にBrooks らは、ネコ白血病ウイルスを用いた、MPS VII のマウスモデルへのβ−グルクロニダーゼの遺伝子導入が、関連するCNS欠損を是正することを明らかにした(PNAS 2002; 99:6216-6221)。イヌα−イヅロニダーゼを発現するように遺伝子が改変され、定位誘導下でイヌ脳内へ埋め込まれる、被包化された Madin-Darby イヌ腎臓細胞の間接的導入は、MPSのイヌモデルで有効であることが明らかにされた(Barsoum ら,J Lab Clin Med. 2003; 142(6):399-413)。
(活性部位特異的シャペロン)
本発明によって企図されたASSCとしては、基質又は結合パートナー類似体を含む小分子(例えば、分子量が約2kD未満である、より好ましくは分子量が約1kD未満である有機又は無機分子);小リガンド由来ペプチド又はそれらの類似体;DNA、RNA等の核酸;Fv及び一本鎖抗体を含む抗体、並びにFabフラグメント;高分子(例えば、分子量が約2kDを超える分子)、並びにD−及び/又はL−形アミノ酸のライブラリー等、コンビナトリアルケミストリーに由来するライブラリーのメンバー;ランダムな、又は部分的に縮重した定方向のホスホペプチドライブラリーのメンバー等のホスホペプチドが挙げられるが、それらに限定されない(例えば、Songyang ら,Cell 1993; 72:767-778 を参照されたい)。
合成ライブラリー(Needels ら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1993;90:10700-4;Ohlmeyer ら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1993; 90:10922-10926;Lamら,国際公開公報第92/00252号;Kocis ら,国際公開公報第94/28028号)等は、本発明におけるASSCとなりうるものを提供するソースである。合成化合物ライブラリーは、Maybridge Chemical Co.(英国コーンウォール州 Trevillet)、Comgenex(ニュージャージー州プリンストン)、Brandon Associates(ニューハンプシャー州メリマク)、及び Microsource(コネチカット州ミルフォード)から市販されている。希少な化学ライブラリーは Aldrich(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から入手可能である。或いは、細菌、真菌、植物及び動物抽出物の形状にある天然化合物のライブラリーは、例えば Pan Laboratories(ワシントン州ボセル)若しくは MycoSearch(ノースカロライナ州)から入手可能であり、又は、容易に作製することができる。更に、天然のライブラリー及び化合物、並びに合成的に製造したライブラリー及び化合物は、従来型の化学的、物理的及び生化学的手段を通じて容易に改変することができる(Blondelle ら,TIBTech 1996, 14:60)。
2003年2月28日出願の米国特許出願第10/377,179号(この開示内容はそのまま、レファレンスとして本明細書に包含される。)は、ミスフォールディングタンパク質に対するASSCのスクリーニング方法について記載している。
好ましい態様では、本発明に有用な小分子はリソソーム酵素の阻害剤であり、Asano ら,J. Med. Chem 1994; 37:3701-06;Dale ら,Biochemistry 1985; 24:3530-39;Goldman ら,J. Nat. Prod. 1996; 59:1137-42;Legler ら,Carbohydrate Res. 1986; 155:119-29;及び Okumiya ら,Biochem. Biophys. Res. Comm. 1995; 214:1219-240 に記載されたグルコース及びガラクトースイミノ糖誘導体を含んでいる。このような誘導体には、表1に列挙した化合物が含まれるが、それらに限定されない。
ASSCはまた、上述したASSC、例えば、p53の変異型を安定させることが見出された小さな合成化合物(Foster ら,Science 1999; 286:2507-10);受容体を安定化させることが見出された小分子受容体アンタゴニスト及びリガンド(Morello ら,J. Clin. Invest. 2000; 105:887-95;Petaja-Repo ら,EMBO J. 2002; 21:1628-37);及びチャネルタンパク質及びトランスポーターを安定化させることが見出された薬物若しくは基質(Rajamani ら,Circulation 2002; 105:2830-5;Zhou ら,J. Biol. Chem. 1999; 274:31123-26;Loo ら,J. Biol. Chem. 1997; 272:709-12)であってもよい。
別の態様では、本発明の方法において有用なASSCは嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節因子の活性化因子であり、物理的及び生化学的手段を用いて同定される(Blondelle ら,TIBTech 1996, 14:60)。
別の好ましい態様では、本発明に有用なASSCは、Petaja-Repo ら,EMBO J 2002; 21:1628-37;Morello ら,J. Clin. Invest. 2000; 105:887-95;Saliba ら,J. Cell Sci. 2002; 115:2907-18 に記載されている、Gタンパク質結合受容体(δオピオイド受容体、V2バソプレッシン受容体等)のリガンド、及び光色素のロドプシンである。
更に別の好ましい態様では、本発明のために有用なASSCは、Zhou ら,J. Biol. Chem. 1999; 274:31123-26;Taschenberger ら,J. Biol. Chem. 2002; 277:17139-46 に記載されている、ヒトQT延長症候群におけるHERGカリウムチャネル、家族性高インスリン症における膵ATP過敏性カリウム(KATP)チャネル等のイオンチャネルタンパク質のブロッカーである。
(製剤及び投与)
ASSC: 組換え遺伝子と共に個体へ投与されるASSCは、シャペロンが小分子、合成化合物、又はタンパク質若しくはペプチドのいずれであるかによって、例えば、経口、非経口、経皮又は経粘膜経路によって投与するために調製することができる。
例えば、小分子の経口投与については、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、事前にゼラチン化されたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース又はリン酸水素カルシウム)、潤沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ)、錠剤分解剤(例えば、バレイショデンプン又はグリコール酸デンプンナトリウム)、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)等、薬学的に許容される賦形剤を用いて、従来型の手段によって調製された錠剤又はカプセル剤の形状で経口投与用に調製することができる。錠剤を、当分野で周知の方法によってコーティングしてもよい。経口投与用の液体製剤は、例えば、液剤、シロップ剤若しくは懸濁剤の形状を取ってもよく、また、使用前に水若しくはその他の適当なビヒクルを用いて液体状態に戻す乾燥製剤として提供してもよい。このような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素化食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチン又はアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール又は精留植物油)、保存料(例えば、p−オキシ安息香酸メチル又はプロピル又はソルビン酸)等、薬学的に許容される添加物を用いて、従来型の手段によって調製することができる。製剤はまた、必要に応じて、緩衝塩、着香剤、着色剤及び甘味剤を含んでもよい。
経口投与用製剤は、活性化合物の制御された放出を生じさせるように適当に調製することができる。経口腔投与のためには、前記組成物は従来型の方法で調製された錠剤又はトローチ剤の形状を取ることができる。吸入による投与のためには、本発明に従って用いられるシャペロンは、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又はその他の適当な気体等、適当な噴射剤を用いて、加圧パック又はネブライザーからエーロゾルスプレー剤の形状で送達されるのが好都合である。加圧式エーロゾルの場合、用量単位は、一定量を送達するためのバルブを設けることによって決定することができる。インヘラー又は吸入器において用いるための、例えば、ゼラチンのカプセル剤及びカートリッジは、上記化合物とラクトース又はデンプン等の適当な粉末基剤との混合粉末を含有するように調製することができる。
ASSCは、例えば、ボーラス注射又は持続注入による投与のような、注射による非経口投与のために調製することができる。注射用製剤は、例えば、アンプル中の単回投与形で、又は保存剤を添加した複数回投与容器入りで提供することができる。上記組成物は、例えば、油性若しくは水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤又はエマルジョン等の形状を取ることができ、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤等の調剤用物質を含有してもよい。或いは、有効成分は、使用前に、例えば、発熱性物質を含まない無菌水等の適当なビヒクルを用いて復元することができる粉末形であってもよい。
上記化合物は、例えば、カカオ脂又はその他のグリセリド等の従来型の座剤用基剤を含有する、座剤又は停留浣腸等の直腸用組成物に調製することができる。
上述した製剤に加えて、ASSCはまた、デポー製剤としても調製することができる。このような持効性製剤は、(例えば、皮下又は筋肉内)埋込みによって、又は筋肉内注射によって投与することができる。そこで、例えば、前記化合物は適当なポリマー若しくは疎水性物質(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)、又はイオン交換樹脂と一緒に調製することができる。また、例えば、難溶性塩のように難溶性誘導体として調製することができる。
組換え遺伝子: 上述したように、個体に naked DNAを送達するには、例えば、筋肉内注入、カチオン性脂質担体の使用、静脈内注入又は吸入等、標的組織への直接注射を含む、当分野で既知のいくつかの方法がある。上記の遺伝子治療に関する開示を参照されたい。
組換え遺伝子産物を過剰発現するように組み換えられた体細胞を投与するためには、標準化された投与経路を介して前記細胞を個体に導入することができるので、それらは、例えば、腎被膜下、皮下区画、中枢神経系、クモ膜下腔、肝臓、腹腔内又は筋肉内に滞留する。細胞はまた、個体の血流内を循環するように静脈内又は動脈内注射することもできる。
或いは、上記細胞はハイブリッドマトリックス・インプラントの使用について記載している Mineau-Hanschke への米国特許第5,965,125号、又は親水性ゲル材料中の分泌細胞のマクロカプセル化について記載している Jain ら,国際公開公報第95/19430号(これらの開示内容は、各々そのまま、レファレンスとして本明細書に包含される。)に記載されたようなマトリックス又はゲル材料中に包埋することもできる。
遺伝子組換えされた細胞の数は個体の体重、年齢及び臨床状態に依存しており、そして当業者によってルーチン的に決定することができる。一つの態様では、約1×10及び1×10cells/日が用いられる。
投与の時機: 本発明によるASSCの投与は、一般には標的細胞/組織による組換えタンパク質の発現を可能にする遺伝子送達の後に行われる。遺伝子の発現は上記遺伝子が発現可能である期間中は維持されるので、ASSCは、組換えタンパク質に対するシャペロン及び安定剤として有効性を維持する。このため、ASSCの投与は前記遺伝子が発現するのと同一期間に渡り必要とされる。
上記ASSC(例えば、小分子)が短い循環中半減期を有する態様では、ASSCは循環中での一定レベルを維持するために、1日1回のように持続的に経口投与される。このような一定レベルは、患者にとって非毒性であり、また、非阻害性の治療作用を付与するのに、投与中の標的補充タンパク質との相互作用に関して最適であると決定されているレベルである。
上記治療遺伝子が内因性変異型遺伝子の不適当な活性を補う場合は、シャペロン送達の時機はあまり重要ではなくなるが、それは有効量が内因性変異型遺伝子の活性を増強し、治療遺伝子の有効性を高めることができるからである。
インビンボ安定性: 投与された遺伝子によってコードされているタンパク質に対するASSCの存在は、ER内で合成中のタンパク質のプロセシング効率を改善し(すなわち、凝集を防止することによって)、上記タンパク質の循環中及び組織中の半減期を延長させ、それによって相当に長い期間にわたって効果的なタンパク質レベルを維持するという利点を有する。これは、罹患した組織中での発現増加を生じさせる。これは、苦痛緩和の促進、治療頻度の減少、及び/又は投与される遺伝子の量の減少等、患者に有利な効果を与える。これはまた、治療コストを減少させる。
(用量)
組換え遺伝子と共に投与されるASSCの有効量は、投与される組換え遺伝子の送達方法、特定量及び典型的発現レベルに左右される部分がある。特定有効量は、当業者によって上記タンパク質及び対応するASSCに応じて、個別的に決定することができる。変動は、例えば、患者、並びに用いられる組換え遺伝子及びASSCに左右される。用量を決定する際に考慮に入れなければならないその他の要素は、個体の年齢、体重、性別、及び臨床状態である。タンパク質及びASSC両方の半減期(tl/2)、ピーク血漿濃度(cmax)、ピーク血漿濃度に達するまでの時間(tmax)、曲線下面積(AUC)から求まる暴露量、及び組織分布、並びにASSC−補充タンパク質結合に関するデータ(親和性定数、結合及び解離定数、並びに結合価)等、薬物動態学的及び薬力学的データは、ある投薬形態において治療効果を与えるのに必要とされる適合量を決定する、当分野で既知の通常の方法を用いて得ることができる。
細胞培養アッセイ又は動物試験から得られたデータを用いると、ヒトに適用すべき治療用量範囲を策定することができる。本発明の治療方法に用いられる化合物の用量は、毒性をほとんど又は全く有することなく、ED50濃度(試験した集団の50%に対して有効である濃度)を含む循環中濃度の範囲内にあるのが好ましい(例えば、LD50濃度より下方)。いずれの治療に関しても、適用される特定の用量は、用いられる特定の剤形、用いられる投与経路、個体(例えば、患者)の状態等の要素に応じて、この範囲内で変動してもよい。
治療有効量は、まず細胞培養アッセイから推定し、IC50を含む循環中濃度範囲に収まるように動物モデルで定式化することができる。化合物のIC50濃度は、(例えば、細胞培養アッセイから決定されるような、)症状が最も強く阻害される場合の半分の阻害が達成される濃度である。例えば、ヒト患者等、特定の個体に用いるのに適当な用量は、次に、そのような情報を用いてより正確に決定することができる。
血漿中の化合物の測定値は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー等の技術によって、患者等の個体においてルーチン的に測定することができる。
組成物の毒性及び治療有効性は、標準的な薬学的手段によって、すなわち、例えば、細胞培養アッセイによって、又は実験動物を用いてLD50及びED50を決定することによって確認することができる。パラメータのLD50及びED50は当分野で周知であり、各々、集団の50%に対して致死性である化合物の用量、及び集団の50%にとって治療有効性である化合物の用量を意味する。毒性作用と治療作用との用量比は治療指数と言われており、比率:LD50/ED50として表示することができる。大きな治療指数を示すシャペロン化合物が好ましい。
ASSCの濃度は、その活性を妨害せずに、インビボ、組織中又は循環中の組換えタンパク質を安定化させるのに必要とされる量によって決定される。例えば、ASSCが酵素阻害剤である場合、阻害剤の濃度は酵素に対するASSCのIC50値を計算することによって決定することができる。IC50値より下方の濃度は、酵素活性の量を増加させるのに必要な、又は投与された酵素の酵素活性を延長させるのに必要な阻害剤の量等、酵素活性に及ぼす作用に基づいて評価することができる。例えば、α−Gal A酵素に対する化合物デオキシガラクトノジリマイシン(DGJ)のIC50値は0.04μMであり、これはDGJが強力な阻害剤であることを示している。従って、α−Gal Aの細胞内濃度は投与されたα−Gal Aの細胞内濃度よりはるかに低いと推測される。以下の実施例を参照されたい。
本発明を、以下に示す実施例によって更に説明する。このような実施例の使用は単に例示するためのものであり、決して本発明又は例示された用語の範囲及び意味を限定するものではない。同様に、本発明は、本明細書に記載した特に好ましい態様のいずれにも限定されるものではない。実際に、本発明の多数の修正態様及び変形態様は、本明細書を読めば、当業者には明らかであり、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに実施することができる。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の条件、及び特許請求の範囲が及ぶ全範囲の等価物によってのみ限定されることになる。
〔実施例1:ASSCを用いたα−Gal Aの細胞内強化〕
方法: FuGene 6トランスフェクション試薬を用いて、既に確立されたプロトコール(Ishii ら,Arch. Biochem. Biophys. 2000; 377:228-233)によってpCNX2−AGAを用いてCOS−7細胞をトランスフェクトする。
トランスフェクトしたCOS−7細胞内では野生型酵素が発現する。トランスフェクション後、DGJを含む、又は含まない[35S]−タンパク質標識化ミックス(New England Nuclear、マサチューセッツ州ボストン)を補給した、メチオニン及びシステインを含有しない培地中でこれらの細胞を30分間培養する。この培地を、DGJを含む、又は含まない非放射性培地と取り換え、細胞を更に追加して培養する。1%トリトン(Triton)X−100を用いて[35S]標識タンパク質を経時的に抽出し、抗α−Gal A IgG及びSDS−PAGEを用いた免疫沈降の後に、α−Gal Aの細胞内プロセス及び量の程度を決定する。
結果: [35S]−標識α−Gal Aの量は、DGJを含まない培養中で得られた細胞より、DGJを含めて培養した細胞内の方が多いと予想され、これはASSC(DGJ)がER内のタンパク質のプロセシングの効率を高めることを示す。[35S]−標識α−Gal Aはまた、DGJの非存在下で培養された細胞内より、DGJを含めて培養した細胞内の方が長期間残留すると予想され、これはASSC(DGJ)がα−Gal Aの細胞内分解を防止することを示す。これらの結果は、ASSCが遺伝子治療との併用において有効である可能性があることを示す。
〔実施例2:遺伝子治療を用いて治療されたファブリー病マウスへのDGJの共投与〕
方法: α−Gal A欠損マウス(ファブリー病KOマウス)は既に作製されており(Oshima ら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997; 94:2540-254)、これらのノックアウトマウスについて遺伝子治療が試験されている(Takahashi ら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2002; 99:13777-82;Siatskas ら,J. Inherit. Metab. Dis. 2001; 24:25-41;Ziegler ら,Hum. Gene. Ther. 2002; 13,discussion 11-2:935-45)。これらの実験は、遺伝子治療がファブリー病を治療するために有用である可能性があることを明らかにした。遺伝子治療を用いて治療されたマウスへのDGJの共投与は遺伝子治療の有効性を増加させると考えられるが、それは、具体的には標的細胞のER内における凝集が防止されることによって、治療遺伝子産物の発現を顕著に改善するからである。遺伝子治療プロトコール後のKOマウスは、飲料水に溶解させたDGJを摂取する。心臓、腎臓、脾臓、肝臓及び肺、並びに血清を含む様々な組織中のα−Gal A活性は、ある期間にわたって決定され、DGJを摂取していないコントロールマウス、及びDGJを摂取したが遺伝子治療を受けていないマウスのα−Gal A活性と比較される。より高い酵素活性、及びより長い滞留時間は、ASSCの共投与が遺伝子治療の効率を改善することができることを示している。
本発明の範囲は、本明細書に記載の特定の態様によって限定されるものではない。実際に、本明細書に記載の態様以外の様々な修正態様は、上述の説明及び添付の図面から当業者には明らかである。このような修正態様は添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
この明細書を通じて、特許、特許出願、出版物、手順書等に言及してきたが、それらの開示内容はそのまま、レファレンスとして本明細書に包含される。

Claims (40)

  1. 個体の細胞中における組換えタンパク質のインビボ発現レベルを上昇させる方法であって、
    前記タンパク質が、前記細胞内に導入された発現ベクターから発現し、
    前記個体に、前記タンパク質に対する活性部位特異的シャペロンを投与することを含む方法。
  2. 前記ベクターがウイルスベクターである、請求項1記載の方法。
  3. 前記ウイルスベクターがアデノウイルスベクターである、請求項2記載の方法。
  4. 前記タンパク質が酵素であり、前記活性部位特異的シャペロンが前記酵素の可逆的競合阻害剤である、請求項1記載の方法。
  5. 前記酵素がα−ガラクトシダーゼAである、請求項4記載の方法。
  6. 前記酵素がβ−グルコセレブロシダーゼである、請求項4記載の方法。
  7. 前記可逆的競合阻害剤が、次式:
    Figure 2006517980
    [式中、
    はH又はC〜C12アルキル鎖を表し、
    及びR’は独立して、H、OH、又は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基若しくはヒドロキシアルキル基を表し、
    及びR’は独立して、H、OH又はC〜C12アルキル基を表し、
    及びR’は独立して、H又はOHを表し、
    はH又はOHを表す。]
    の化合物である、請求項5記載の方法。
  8. 前記可逆的競合阻害剤が、1−デオキシガラクトノジリマイシン、α−アロ−ホモノジリマイシン、α−ガラクト−ホモノジリマイシン、α−1−C−ブチル−デオキシノジリマイシン、カリステジンA、カリステジンB、N−メチル−カリステジンA及びN−メチル−カリステジンBからなる群より選ばれる化合物である、請求項7記載の方法。
  9. 前記可逆的競合阻害剤が1−デオキシガラクトノジリマイシンである、請求項7記載の方法。
  10. 前記可逆的競合阻害剤が、次式:
    Figure 2006517980
    [式中、
    はH又はC〜C12アルキル鎖を表し、
    ’は、H、又は、場合によりフェニル基、ヒドロキシル基若しくはシクロヘキシル基で置換されている、1〜12個の炭素原子を含有する直鎖状若しくは分枝鎖状の飽和炭素鎖を表し、
    及びR’は独立して、H、OH、又は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基若しくはヒドロキシアルキル基を表し、
    及びR’は独立して、H、OH又はC〜C12アルキル基を表す。]
    の化合物である、請求項6記載の方法。
  11. 前記可逆的競合阻害剤が、イソファゴミン、N−ドデシル−イソファゴミン、N−ノニルイソファゴミン、N−ドデシル−デオキシノジリマイシン、カリステジンA、カリステジンB、カリステジンB及びカリステジンCからなる群より選ばれる化合物である、請求項10記載の方法。
  12. 前記可逆的競合阻害剤がイソファゴミンである、請求項11記載の方法。
  13. 前記可逆的競合阻害剤がN−ドデシル−イソファゴミンである、請求項11記載の方法。
  14. 組換えタンパク質のインビボ発現レベルを上昇させる方法であって、
    前記タンパク質が、前記タンパク質をコードする発現ベクターを保有する宿主細胞によって発現され、
    前記個体に、前記宿主細胞と、有効量の、前記タンパク質に対する活性部位特異的シャペロンと、を共投与することを含む方法。
  15. 前記ベクターがウイルスベクターである、請求項14記載の方法。
  16. 前記ウイルスベクターがアデノウイルスベクターである、請求項15記載の方法。
  17. 前記宿主細胞がヒトプライマリー細胞であり、前記個体がヒトである、請求項15記載の方法。
  18. 前記ヒト細胞が間葉系幹細胞である、請求項17記載の方法。
  19. 前記タンパク質が酵素である、請求項14記載の方法。
  20. 前記酵素がα−ガラクトシダーゼAである、請求項19記載の方法。
  21. 前記酵素がβ−グルコセレブロシダーゼである、請求項19記載の方法。
  22. 前記可逆的競合阻害剤が、次式:
    Figure 2006517980
    [式中、
    はH又はC〜C12アルキル鎖を表し、
    及びR’は独立して、H、OH、又は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基若しくはヒドロキシアルキル基を表し、
    及びR’は独立して、H、OH又はC〜C12アルキル基を表し、
    及びR’は独立して、H又はOHを表し、
    はH又はOHを表す。]
    の化合物である、請求項20記載の方法。
  23. 前記可逆的競合阻害剤が、1−デオキシガラクトノジリマイシン、α−アロ−ホモノジリマイシン、α−ガラクト−ホモノジリマイシン、α−1−C−ブチル−デオキシノジリマイシン、カリステジンA、カリステジンB、N−メチル−カリステジンA及びN−メチル−カリステジンBからなる群より選ばれる化合物である、請求項22記載の方法。
  24. 前記可逆的競合阻害剤が1−デオキシガラクトノジリマイシンである、請求項23記載の方法。
  25. 前記可逆的競合阻害剤が、次式:
    Figure 2006517980
    [式中、
    はH又はC〜C12アルキル鎖を表し、
    ’は、H、又は、場合によりフェニル基、ヒドロキシル基若しくはシクロヘキシル基で置換されている、1〜12個の炭素原子を含有する直鎖状若しくは分枝鎖状の飽和炭素鎖を表し、
    及びR’は独立して、H、OH、又は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基若しくはヒドロキシアルキル基を表し、
    及びR’は独立して、H、OH又はC〜C12アルキル基を表す。]
    の化合物である、請求項21記載の方法。
  26. 前記可逆的競合阻害剤が、イソファゴミン、N−ドデシル−イソファゴミン、N−ノニル−イソファゴミン、N−ドデシル−デオキシノジリマイシン、カリステジンA、カリステジンB、カリステジンB及びカリステジンCからなる群より選ばれる化合物である、請求項25記載の方法。
  27. 前記可逆的競合阻害剤がイソファゴミンである、請求項26記載の方法。
  28. 前記可逆的競合阻害剤がN−ドデシル−イソファゴミンである、請求項26記載の方法。
  29. 遺伝子治療を必要とする障害を有する個体を治療する方法であって、
    前記個体に、タンパク質をコードする治療ベクターと、前記タンパク質に対する活性部位特異的シャペロンと、を含有する組成物を投与することを含む方法。
  30. 前記タンパク質が酵素であり、前記活性部位特異的シャペロンが前記酵素の阻害剤である、請求項29記載の方法。
  31. 前記酵素がリソソーム蓄積症に関連している、請求項30記載の方法。
  32. 前記酵素がα−ガラクトシダーゼAである、請求項31記載の方法。
  33. 前記酵素がβ−グルコセレブロシダーゼである、請求項31記載の方法。
  34. 前記可逆的競合阻害剤が、次式:
    Figure 2006517980
    [式中、
    はH又はC〜C12アルキル鎖を表し、
    及びR’は独立して、H、OH、又は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基若しくはヒドロキシアルキル基を表し、
    及びR’は独立して、H、OH又はC〜C12アルキル基を表し、
    及びR’は独立して、H又はOHを表し、
    はH又はOHを表す。]
    の化合物である、請求項32記載の方法。
  35. 前記可逆的競合阻害剤が、1−デオキシガラクトノジリマイシン、α−アロ−ホモノジリマイシン、α−ガラクト−ホモノジリマイシン、α−1−C−ブチル−デオキシノジリマイシン、カリステジンA、カリステジンB、N−メチル−カリステジンA及びN−メチル−カリステジンBからなる群より選ばれる化合物である、請求項34記載の方法。
  36. 前記可逆的競合阻害剤が1−デオキシガラクトノジリマイシンである、請求項35記載の方法。
  37. 前記可逆的競合阻害剤が、次式:
    Figure 2006517980
    [式中、
    はH又はC〜C12アルキル鎖を表し、
    ’は、H、又は、場合によりフェニル基、ヒドロキシル基若しくはシクロヘキシル基で置換されている、1〜12個の炭素原子を含有する直鎖状若しくは分枝鎖状の飽和炭素鎖を表し、
    及びR’は独立して、H、OH、又は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基若しくはヒドロキシアルキル基を表し、
    及びR’は独立して、H、OH又はC〜C12アルキル基を表す。]
    の化合物である、請求項33記載の方法。
  38. 前記可逆的競合阻害剤が、イソファゴミン、N−ドデシル−イソファゴミン、N−ノニル−イソファゴミン、N−ドデシル−デオキシノジリマイシン、カリステジンA、カリステジンB、カリステジンB及びカリステジンCからなる群より選ばれる化合物である、請求項37記載の方法。
  39. 前記可逆的競合阻害剤がイソファゴミンである、請求項38記載の方法。
  40. 前記可逆的競合阻害剤がN−ドデシル−イソファゴミンである、請求項38記載の方法。
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