発明の詳細な説明
本発明は、時刻を表示するための装置に関する。
従来、時刻を表示するための装置には、旋回軸を中心に回転する、時間と分をそれぞれ表す2本の指針からなるアナログ式のもの、又は時間と分とを数字形式で表す表示盤からなるデジタル式のものがある。
アナログ式表示装置の利点は、使用者が2本の指針の位置と時間の関係に慣れ、指針が指している文字盤の数字をじっくり見なくても、一目見るだけで時刻が読取れることである。
従来のデジタル式表示装置においては、使用者が表示盤を一目見ただけで、その時刻を読取るのは困難である。使用者が時刻を読取るためには、時間と分の両方を読取るべく表示盤を十分にじっくりと見なければならない。
例えば、時間を表す目盛と分を表す目盛の2つの直線状の目盛、及び時間を表示する目盛上にその時間の数字を表示する表示手段と分を表示する目盛上にその分の数字を表示する表示手段の2つの表示手段からなる、イギリス公開特許公報第2275353記載の時刻表示装置が知られている。しかし、このような表示装置は比較的複雑であり、また、使用者が表示装置を一目見ただけで簡単に時刻を読取るのは困難である。
本発明の第1の観点によれば、その実施形態はディスプレイ・ユニット及びコントロール・ユニットを有し、前記ディスプレイ・ユニットは、その面積が変動する表示部を具え、前記コントロール・ユニットは、分単位で表示される時間の第1の単位に対応して前記表示部の面積を変える機能を有し、且つ、前記又は追加的コントロール・ユニットが時間単位で表示される時間の第2の単位に対応して前記表示部の面積を変えることなく、該表示部の外観を変える機能を有する、時刻表示装置である。
従って、使用者は表示装置を一目見ただけで、表示部のサイズや外観からその時刻を読取ることができる。また、表示部はどのような形状であってもよいため、ディスプレイ・ユニットの全体の形状に何の限定もなく、更に、12時間制の時計を使用して時間を表示している場合、使用者は、表示部の12の外観がそれぞれどの時間を表しているのかを覚えるだけでよい。
好ましくは、ディスプレイ・ユニットは、カラー・ディスプレイからなり、コントロール・ユニットは表示される時間の第2の単位に対応して表示部の色を変える機能を有する。カラー・ディスプレイの替わり、又はそれに加えて、表示部に模様がつけられてもよく、この場合、コントロール・ユニットは表示される時間の第2の単位に対応して、表示部の模様を変える機能を有する。
表示部は全体的に矩形の棒状であってよく、表示される時間の第1の単位に対応して前記棒の長さを変える機能を有するコントロール・ユニットを有してもよい。
或いは、表示部は輪状のセグメントの形状であってもよく、表示される時間の第1の単位に対応して表示部の円周の大きさを変える機能を有するコントロール・ユニットを有してもよい。
又は、表示部は円状のセグメントの形状であってもよく、表示される時間の第1の単位に対応して、セグメントに対する角度を変える機能を有するコントロール・ユニットを有してもよい。
コントロール・ユニットは、表示される時間の第1の単位の値が大きくなるにつれて、表示部の面積を大きくするように機能するのが好ましい。
その一部が表示部を形成するディスプレイ・ユニットは、液晶ディスプレイからなってもよい。
本発明の第2の観点によれば、その実施形態は、ディスプレイ・ユニットとコントロール・ユニットを有し、前記ディスプレイ・ユニットは面積が変動する表示部を具え、前記コントロール・ユニットは、表示される時間の第1の単位に対応して表示部の面積を変える機能を有し、且つ、前記又は追加的コントロール・ユニットが前記表示部の面積を変えることなく、該表示部の外観を変える機能を有する、時計である。
前記時計は、置時計でも腕時計でもよい。
本発明の特定の且つ限定する趣旨ではない実施形態を、例示としてのみ、添付図面を参照して、説明する。
図1には、ディスプレイ・ユニット12、電子コントロール・ユニット(図示せず。)及び従来の手首用ストラップからなる腕時計10が図示されており、前記ディスプレイ・ユニット12は、面積が変動する表示部16が表示されるカラー液晶ディスプレイを含む。
コントロール・ユニットは、ディスプレイ・ユニット12上に表示されるものを制御(コントロール)するために相互に作用する複数の構成部品からなってもよく、また、前記複数の構成部品は単一の物理的装置を形成すべく物理的に接続される必要はないものと理解されなければならない。同様に、複数のコントロール・ユニットが具えられてもよい。
表示部16は、予め決められた色に色づけられた液晶ディスプレイの部分からなる。使用者が表示部16と液晶ディスプレイの背景を一目で識別できるように、表示部15の色と液晶ディスプレイ背景の色には十分なコントラストがある。
コントロール・ユニットは、従来の電子式計時システムからなり、表示される時間の第1の単位(この場合、表示される時間の分の値)に対応して、表示部16の面積を変えるようにプログラムされている。
この例において、コントロール・ユニットは、従来のLCD技術を使用し、予め決められた色に色づけられた液晶ディスプレイの隣接するセグメントの数を変えることにより、表示部16の面積を変える。これらの液晶ディスプレイのセグメントは、全体的に矩形であり、表示部16が、長さが変動する全体的に矩形の棒状を有するように、全体的に直線状に配置される。コントロール・ユニットは、毎分ごとに表示部16を形成する分セグメントの数を増やすようにプログラムされており、故に、表示部16が形成するカラー・セグメントの数は、表示される時間の分の数と一致する。従って、表示部が15のカラー・セグメントからなる場合、ディスプレイ・ユニット12は、例えば、正時から15分経過を表示していることになる。
その時の表示部の長さが、正確に何分を示しているのか使用者が容易に読取れるように、分目盛18がディスプレイ・ユニット12に付けられている。この例において、目盛18は、10分間隔で分の値を示している。
また、この例において、コントロール・ユニットは表示される時間の第2の単位に対応して表示部16の色を変える機能を有する。言うまでもないが、これは、第2コントロール・ユニットにより操作できる。この例において、12時間時計の時間はそれぞれ識別しやすい色で表されている。例えば、1時は赤色の表示部16で表され、2時はオレンジ色の表示部16、3時は黄色の表示部16等で表される。
従って、使用者は表示部16の色と長さから、表示された時刻を読取ることができる。
例えば、20のオレンジ色の液晶ディスプレイのセグメントからなる表示部16は、時刻としての2時20分を表している。
表示される時刻が正時の場合、表示部16のカラー・セグメントを全く使用せず、0分経過を表示すると、使用者は時間が読取れなくなってしまうため、表示部16が60のカラー・セグメントからなることが好ましい。コントロール・ユニットは、表示部16の色が、ちょうど過ぎ去った時間ではなく、ちょうど始まった時間に対応して変わるようにプログラムされているため、表示部16の色は、表示部16を形成するセグメントの数が、59から60に増えた時に変わることが好ましい。
或いは、コントロール・ユニットは、表示部16を形成するセグメントの数が60から1に減る時に、表示部16の色を変えるようにプログラムされていてもよく、この場合、使用者は60のオレンジ色のセグメントからなる表示部16は、2時ではなく3時(2時60分)を示していることを覚えておく必要がある。
12時間時計で時刻が表示される場合、その時刻が午前なのか午後なのかもディスプレイ・ユニット12が表示するように、コントロール・ユニットをプログラムするのが好ましい。この例において、ディスプレイ・ユニット12は、それぞれAM及びPMと標識づけられた2つの表示ライト22,24を具えており、また、コントロール・ユニットはその日の時刻に合わせて前記ライトの一方を起動するようにプログラムされている。或いは、AM又はPMの文字をLCD画面上に表示してもよく、又は、ディスプレイ・ユニットが、午前又は午後に点灯する単一のLEDを含んでもよい。
又は、時刻は24時間時計を使用して表示されてもよく、この際、各時間を表す24色を選ぶ必要がある。この場合、AM又はPM表示を具える必要はない。
どの色がどの時間に一致するか、また、表示部16の長さ範囲に使用者が一旦慣れると、使用者は、従来のアナログ時計のように一目で時刻を読取れるようになる。しかし、従来のアナログ時計とは違って、ディスプレイ・ユニットの形態は、上記例において説明したとおり、全体に円形の形状に限定されず、故に、本発明のディスプレイ・ユニットは、あらゆる使用場所及び使用方法に柔軟に対応できる。
例えば、上記の本発明の実施形態の時刻表示装置は、コンピュータに組込まれることもでき、表示部はコンピュータに接続された視覚ディスプレイ・ユニット(VDU)に表示される。VDUは従来のコンピュータ・モニタ又は液晶ディスプレイからなってもよい。表示部は全体的に矩形であり、時間の経過とともにその長さが増すため、VDU画面の上部、下部又は両側に沿って表示される。従って、使用者はコンピュータ上で作業をしている合間に、一目で時刻を確認することができ、又は、作業から一時目を離して時刻の確認をしなくても、画面上、横目で時刻を確認することができる。
或いは、表示部はヘッドアップディスプレイに組込まれたり、又は、図3に図示のように、バングル又はブレスレット20等の洋服やアクセサリー類に表示されることもできる。
ディスプレイ・ユニット12、ディスプレイ・ユニット12の後ろに組込まれたコントロール・ユニット、及び従来の手首用ストラップ14からなる腕時計10を示す、本発明の更なる実施形態が図2に図示されている。先の実施形態のように、ディスプレイ・ユニット12は、面積が変動する、カラー表示部16を表示する液晶ディスプレイである。
この実施形態において、表示部16を構成する液晶ディスプレイのセグメントは、表示部16が、表示される時間の分の数が増えるにつれて、その円周の大きさが大きくなる環状のセグメント形状を有するように、円の円周に配置されている。表示部16を構成するカラー・セグメントの数は、表示される時間の分の数と一致し、また、そのセグメントの大きさは、60のカラー・セグメントが完全な輪を形成するようになっている。
全体に円形の目盛18が具えられ、この時刻表示装置の実施形態は、表示部16の形態の相違点以外は、先の実施形態と全く同じ方法で操作され、表示部16の色は表示される時間を表示すべく変化する。
しかし、表示部16の形状は前述のものに限定されない。例えば、表示部16は、円形のセグメントで形成され、コントロール・ユニットが表示される分の数に伴い、60分で完全な円形になるまでにセグメントに対する角度を大きくしていくことができ、又はその他の形状を有してもよく、その場合、表示される時間の分の値によりその面積が変動する。
時間を表示部16の色によって表す替わりに、表示部16の模様によって表すこともできる。例えば、表示部にクロスハッチングや水玉模様等をつけることもでき、表示される各時間は表示部16のそれぞれ異なる模様と一致する。従って、ディスプレイ・ユニットはカラー表示である必要はなく、例えば、白黒LCDを組込むだけでもよい。
或いは、表示部16の明るさによって時間を表すことも可能である。
ディスプレイ・ユニットが十分大きければ、表示部16を構成するセグメントが、それぞれ1秒又は10秒を表すサブ部分に小分割されてもよい。コントロール・ユニットは、1秒毎又は10秒毎ごとに適当に新しいカラー・サブ部分を加えるようにプログラムされ、故に、表示部16の面積は分だけでなく秒も表示するのに使用されることが可能であり、また目盛18はそれに合わせて変更可能である。
しかし、表示部16を構成する1分単位のセグメントは、1秒又は10秒を表すサブ部分に分割するには小さすぎ、使用者は一目で秒数を読取れない。この場合、表示される時間の秒数により面積が変動する、更なる表示部を具えることも可能である。このような第2表示部は、分を表す表示部16と同様に操作され、コントロール・ユニットは、毎1秒又は毎10秒ごとにそれぞれ第2表示部の1秒又は10秒のセグメントの数を増やすようにプログラムされている。コントロール・ユニットは、表示される時間による分の表示部の外観により、第2表示部の外観(色、模様等)を変えるようにプログラムされる。或いは、第2表示部の外観は一定に保たれていてもよい。
更に、上記実施形態において、コントロール・ユニットは電子コントロール・ユニットであるが、表示される時間によって表示部の面積や外観を変えることのできる他の如何なる適当な形態であってもよい。
本明細書において、「からなる(comprise)」の語は、「含む(include)」の意 味を含むものとする。
前述の明細書、請求の範囲、又は添付の図面に開示され、特有な形又は開示された作用を実施するための方法、又は開示された結果を達成するための方法又はプロセスで表されている機能は、その発明を様々な形で実現するために、適当に、別々に又は組合わせて利用され得る。
本発明の第2の観点による実施形態の腕時計の図。
本発明の第2の観点による実施形態の腕時計の図。
本発明の第1の観点による実施形態の時刻表示装置を組込んだ腕輪の図。