JP2006513275A - 重金属を安定化するための表面処理 - Google Patents

重金属を安定化するための表面処理 Download PDF

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Abstract

反応コーティング組成物を表面に塗布することにより重金属を含む表面を処理する反応コーティング組成物および方法。表面は、例えば、重金属を含有する塗層とすることが可能である。反応コーティング組成物は、重金属を安定化する安定剤および塗層の浸透性を高める浸透性増加剤を含み、これにより、重金属と安定剤との反応が促進される。処理済み塗層を含む構造物は、その場所に残すことも可能であるし、無害廃棄物埋め立て地に処分することも可能である。

Description

本発明は、反応コーティング組成物、および反応コーティング組成物で表面をコーティングすることによる重金属を含有する表面の処理に関する。表面は、重金属を含有する塗層を含み得る。コーティング組成物中の安定剤は、塗層に浸透して重金属を安定化する。コーティング組成物が乾燥して塗層に付着したまま残ると、浸出性の低い処理済み塗層が形成される。反応コーティング組成物を塗面に塗ることで、表面から処理済み塗層を除去してもしなくても、塗面に含まれる重金属を固着及び安定化させることが可能である。
旧来の多くの構造物は、含鉛塗料のような一以上の重金属を含む塗料でコーティングされている。これらの重金属は、現在では、たとえ少量であっても動物および人間にとって有害であると認識されている。したがって、含鉛塗層は、鉛に関連する環境リスクを最小限に抑えるよう処理されなければならない。
含鉛塗層およびその他の重金属含有層は、橋、貯蔵タンクおよびタワー、造船所、軍事施設、産業設備、ならびに商業/住宅用建物などの金属、木、またはコンクリート製の構造物の表面および周辺に見られる。多くの道路および駐車場もまた、これまで含鉛塗料組成物で塗装されてきた。政府の規制により、環境リスクを最小限に抑えて含鉛塗層の除去および/または含鉛塗料でコーティングされている材料を処分することが要求されている。
従来技術において、含鉛塗料に含まれる鉛などの重金属を安定化する試みが多数行われてきた。いくつかの方法では、塗装された構造物から塗料を除去することによる廃塗料の発生中または発生後の材料の処理を考慮している。例えば、バーネット(Barnett)による特許文献1では、塗面への水溶液の塗布が開示されており、その溶液は、溶媒、フィルム形成剤、粘度構築剤、およびアルカリ化合物を含有している。この溶液により塗料を凝固させ、基材から分離させることで、塗料を基材から剥がすことが可能である。剥がされた塗料は、その後、鉛を不溶性形態に転換するように処理されるか、あるいは有害廃棄物として処分しなければならない。
フォレスター(Forrester)による特許文献2では、サンドブラストで表面から塗料を落とすことにより塗料粒子が発生して廃塗料に入り込んだ場合、安定剤を塗料粒子に接触させることにより、自然浸出状態または誘導浸出状態に晒されることで重金属が錯体を形成し得ることが示されている。また、塗面は塗料を除去する前に安定剤でコーティングされ、廃塗料が発生しうることも開示されている。フォレスターによる特許文献3でも、サンドブラストで塗料粒子が発生した場合、安定剤を塗料粒子に接触させることにより、自然浸出状態または誘導浸出状態に晒されることで重金属が錯体を形成し得ることが示されている。
シュトゥーダー(Studer)らによる特許文献4では、重過リン酸石灰(TSP)などの安定剤を廃塗料に混ぜることで、廃塗料に含まれる重金属を安定化することが可能であることが開示されている。
ロル(Rolle)による特許文献5では、含鉛塗料などのコーティングを除去するための組成物が開示されている。ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、硫酸鉄、および硫酸アルミニウムから選択される材料とアルカリ金属塩とを含む処理層が塗布される。処理層は、下塗りコーティングとともに基材から除去される。ロルらによる特許文献6では、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、硫酸鉄、および硫酸アルミニウムから選択される第1の材料で構成される処理組成物層を塗布することにより表面のコーティングを除去する方法が開示されている。
ハフ(Huff)による特許文献7では、リン酸カルシウムなどの材料を塗料またはその他の表面コーティングに添加し、すでに塗布されている重金属汚染塗料の上に塗布することが示されている。そこでは、新しいコーティング中の細かいリン酸カルシウムが汚染塗料に含まれる重金属化合物と反応して重金属化合物を不動態化及び生物学的に無害化することが開示されている。
さらにスタンフォース(Stanforth)らによる特許文献8では、市販の標準塗料に添加剤を加え、その混合物を含鉛塗面にスプレーすることが開示されている。その後、塗料およびコーティングは、サンドブラストなどで表面から除去される。ヘンケルマン(Henkelman)らによる特許文献9でも、類似の組成物と方法が開示されている。
しかし、(i)無害物質コーティングの除去および構造物の継続使用、(ii)安定化された重金属コーティングへの標準コーティング(例えば、塗料)の塗布、または(iii)材料および構造物の無害な残滓としてのコスト効率の良い処分を可能にする既存の材料面の含鉛塗料を安定化する方法を環境産業は未だ成し遂げていない。
多くの古い構造物は、前回の塗層の除去を行うことなく何回も含鉛塗料で再塗装されており、したがって、塗料は多くの場合、非常に厚く、重金属濃度が高い。さらに、ほとんどの含鉛塗層は、重金属を含まない塗料で塗装されており、表面からは直接含鉛塗層に触れることがないようになっている。さらに、含鉛塗料が木材に塗布された場合、塗料の一部が木材の中に吸収されるため、木材をかなりの量除去しないと、やすりをかけたり削ったりしても含鉛塗料を全て除去することは困難であると思われる。塗料を除去することで廃塗料が発生した場合も、塵の発生が抑制されていなければ重金属を環境に持ち込む可能性のある細塵が発生する。
また、含鉛塗料から形成された層のような重金属を含む塗層の処理のためにはコーティング組成物の改善が必要である。このようなコーティングが塗層に対して強い付着性を有し、処分の前に表面から塗料を除去することにより有害な廃塗料の発生を必要としない場合には有利であろう。また、塗層に塗布することが可能で、塗層中の重金属と反応して重金属を固定することができるコーティング組成物を用意することも有利であり、その場合、重金属の浸出性が低減して構造物をその場所に残すことができるか、あるいは取り壊し作業中に含鉛塗料が大気、土壌、および作業場に放出されるのを最小限に抑えることができる。
米国特許第5,911,838号 米国特許第6,186,939号 米国特許第6,050,929号 米国特許第5,667,696号 米国特許第5,674,108号 米国特許第6,089,955号 米国特許第6,001,185号 米国特許第5,637,355号 米国特許第5,902,392号
本発明は、塗層に含まれる重金属と反応して重金属の浸出性を許容できるレベルにまで低減し、処理済み塗層を形成することが可能な安定剤を含む反応コーティング組成物に関する。古い多くの構造物は構造物表面に多数の塗層を持つことから、本明細書で使用されているように、「塗層」という用語は単一の塗層だけでなく複数の塗層をも含む。また、本明細書で使用されているように、「構造物」という用語は、建物、橋、および塔などの完全構造物だけでなく、構造物全体を構成するさまざまな構造物要素をも含む。反応コーティング組成物は、処理済み塗層が風雨に繰り返し晒されるなどの屋外の厳しい気象要素に耐える十分な耐久性を持つように、または建物の内装に使用することが可能であり、その場所に残しても無害であり得るように調合することが可能である。さらに、反応コーティング組成物は、塗布されると塗層の浸透性が増し、工程段階を追加しなくても安定剤がさまざまな塗層内の重金属と反応するように調合される。このようにして、処理済み塗層中の重金属は、塗布工程で安定化され(つまり、化学的に転換され)、通常の環境において、あるいは処分環境(例えば、埋め立て地)への移動の際に、安定化された形態を保つ。構造物が撤去されない場合、すぐに処理されない重金属はコーティングにより安全にカプセル化される。
反応コーティング組成物はまた、重金属を含まない塗層上に塗布することも可能である。例えば、古い構造物は、非重金属塗層で覆われた重金属を含む下塗り層を持つことがありえる。本発明による反応コーティング組成物は、非重金属塗層を浸透し、その下の重金属と反応することが可能である。
そこで、本発明の一実施形態では、重金属を含有する塗層の安定化のための反応コーティング組成物を提供する。コーティング組成物は、少なくとも約3重量%の重金属安定剤と、塗層への安定剤の浸透性を高めるように適合された少なくとも約1重量%の浸透性増加剤と、結合剤を含んだビヒクルを含有する。コーティング組成物は塗層に付着して、塗料残滓として無害廃棄物埋め立て地に安全に処分可能な、あるいは構造物上にそのまま残せる処理済み塗層を形成する。ビヒクルは、ラテックス塗料組成物などの標準の塗料組成物であってもよい。
本発明の別の実施形態では、反応コーティング組成物を作る方法が提供される。この方法は、ラテックス塗料などの水性塗料組成物を用意する工程と、少なくとも約3重量%の重金属安定剤を塗料組成物に添加する工程と、少なくとも約1重量%の浸透性増加剤を塗料組成物に添加する工程とを含み得る。
本発明の別の実施形態では、塗層に含まれる重金属を安定化する方法が提供される。この方法は、重金属安定剤および浸透性増加剤を含む反応コーティング組成物を用意する工程を備える。コーティング組成物は、木造構造物または金属構造物などの構造物上の塗層に塗布され、塗層に含まれる重金属が安定化するのに十分な期間の間、塗層と接触したままにされる。その後、処理済み塗層を構造物から除去することが可能であるが、コーティング組成物または処理済み塗層は必ずしも除去される必要はない。
本発明の別の実施形態では、構造物の表面に重金属が含まれる構造物の処理の方法が提供される。この実施形態に係る表面は、むき出し(例えば、未塗装)である可能性があり、浸透性増加剤が必要でない場合がある。したがって、反応コーティング組成物は、重金属安定剤と、結合剤を含んだビヒクルとを含み得る。
本発明では、塗層に含まれる鉛などの重金属を安定化することにより長期にわたって環境を保護する経済的な手段が実現される。塗層に含まれる重金属の少なくとも一部は、浸出性が低減された安定性の高い重金属錯体化合物に転換されるが、残りは構造物上の塗層に置かれる。混合工程、加工工程、その他の処理工程は、重金属錯体の形成を促進にするために必要なものではない。塗層全体は、それにより無害になり、TCLP(毒性指標浸出法)、SPLP(合成析出浸出法)、およびSTLC(可溶性しきい値限界濃度)を含む厳格なRCRA(資源保全再生法)のテスト基準に通ることができる。RCRAの下では固体廃棄物は危険物とみなされており、連邦公報第55巻、第126号、第26985〜26998頁で規定されているTCLPに基づき廃棄物から重金属の過剰な浸出が生じた場合には厳格な処分規則が適用される。
TCLPでは、塗層は覆いのない埋め立て地からの浸出液に晒されると想定しており、テストでは、希釈酢酸で塗料のサンプルを浸出して固体廃棄物の腐食をシミュレートする必要がある。RCRAによる要求条件に加えて、カリフォルニアおよびミシガン州などの一部の州では、これまで重金属含有廃棄物の処分に対してより厳格な要求条件を課してきた。
しかし、RCRAであっても廃棄物処分の実用性のいくつかを認識していない。例えば、水溶性コーティングが塗層に塗布され、コーティングがすぐには下層の重金属と反応しない場合、コーティングは埋め立て地に入る前に水分(例えば、雨)に晒されたときの除去および/または希釈の影響を受けやすい。このため、埋め立てされた廃棄物から許容できないレベルの重金属が周辺環境に浸出する可能性がある。
本発明の反応コーティング組成物は、スプレー、ブラッシング、ローリングなど従来のさまざまな方法を用いて塗布することが可能である。コーティングは塗層の即時的および長期的処理を実現し、コーティングは処分工程全体を通して塗層に付着したままでありうる。コーティングは、処分直前に塗布されてもよいし、定期的に予防保守のためのコーティングとして塗布されてもよい。著しい化学硬化作用または準備時間は必要とされない。反応コーティング組成物は、修理および改装プロジェクトにおいて、古い含鉛塗装をコーティングしそれらの塗料の実質的無害化を進める際に使用することが可能であり都合がよい。
本発明に係る反応コーティング組成物は、コーティング組成物が塗層を浸透し塗層に含まれる重金属と反応できるようにする少なくとも2つの活性成分を含むのが好ましい。第1の成分は、重金属と錯体化合物を形成するなどにより、重金属の浸出性を低減するように適合された重金属安定剤である。第2の成分は、塗層の浸透性を高めて塗層への安定剤の浸透を可能にする浸透性増加剤である。これらの成分は、既存の塗層に容易に塗布可能な流動性を有する液体ビヒクルの中に保持させることが可能である。
重金属安定剤は、凝集剤、凝固剤、沈殿剤、錯化剤、エポキシ剤、および吸着剤のうちから選択することが可能である。重金属安定剤は、重金属または可溶性の重金属化合物と反応してpH2.5からpH約10.5までのような広い範囲のpH条件に晒されたときに相当な量の重金属を放出しない重金属化合物を形成しうる液体または固体の化合物であるのが好ましい。つまり、重金属の浸出性が低減されるということである。重金属安定剤は、リン酸塩化合物、ケイ酸塩化合物、炭酸塩化合物、および硫化化合物から選択することが可能である。重金属安定剤は、反応コーティング組成物中において可溶性、不溶性、または部分的可溶性であり、液体、粒状固形物、または粉体の形でコーティング組成物に添加することが可能である。特に好ましいのは、リン酸化合物であり、これは重金属と反応するためのリン酸塩アニオンを与え、浸出性の低い錯体化合物を形成することが可能である。このようなリン酸塩化合物の供給源としては、アパタイト(燐灰土)または魚の骨、可溶性アルカリまたはアルカリ土類リン酸塩、部分的可溶性リン酸カルシウムなどの部分的可溶性塩、およびリン酸がある。本発明に係る特に有用なリン酸塩化合物の例を表1に示す。
Figure 2006513275
これらのうち特に好ましいのは、リン酸および重過リン酸石灰(TSP)である。リン酸一カルシウムとリン酸二カルシウムの混合物であるDicalも、使用可能である。水溶性リン酸塩化合物を水に溶かしてから、コーティング組成物の他の成分と混合することが可能である。固体リン酸塩化合物を使用する場合、リン酸塩化合物は、平均粒子サイズが約250μm以下の粒子形態であることが好ましい。
重金属安定剤に加えて、反応コーティング組成物はさらに浸透性増加剤も含む。浸透性増加剤は、塗層の浸透性を高めるように適合された化合物であり、それにより、塗層に含まれる重金属と重金属安定剤との反応が促進される。したがって、浸透性増加剤は化学作用により下塗り塗層を軟化する。浸透性増加剤は、有機化合物であっても無機化合物であってもよい。浸透性増加剤は、例えば、液体または固体のアルカリまたはアルカリ土類の水酸化物または炭酸塩のうちから選択することが可能である。
本発明に係る特に好ましい浸透性増加剤は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、乳酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、および水酸化ナトリウムから選択することが可能である。NMP(C59NO)は、水溶性の環状アミンである。乳酸エチル(C5103)は、乳酸エチルエステルとも呼ばれ、水によく溶ける。メチルエチルケトン(C48O)は、2−ブタノンまたはメチルアセトンとも呼ばれ、これもまた水によく溶ける。水酸化ナトリウム(NaOH)は、苛性ソーダとも呼ばれ、水によく溶ける一般的なアルカリ物質である。他の好ましい浸透性増加剤として精製大豆油があり、これは界面活性剤とを混ぜることが可能である。とりわけ、NMPは、本発明に係る浸透性増加剤として特に好ましい。
水酸化ナトリウムを浸透性増加剤として使用する場合、固体物質としてコーティング組成物に添加することが可能である。しかし、例えば50重量パーセントの水酸化ナトリウム溶液を添加するというように、多くの場合、水酸化ナトリウムは液体の形で添加する方が都合がよい。他の浸透性増加剤は通常、液体の形で添加される。
NMPなどの浸透性増加剤を添加すると、コーティング組成物に極性溶媒和能力が与えられ、油および炭化水素に対する浸透性増加剤、特にNMPの溶媒和特性は非常に良好である。十分な水があれば、重金属安定剤の鉱物溶解が起こり、例えば、TSPから多価リン酸塩アニオン(PO4 -3)が放出される。リン酸塩イオンは、拡散および/またはブラウン運動により塗層中の鉛と物理的に接触し、浸出性の低い重金属化合物錯体を形成する。さらに、浸透性増加剤は、塗層の硬度を下げるのにも役立つ。塗層の硬度を下げてコーティングの溶媒和特性を高めることにより、重金属錯体化にかかわるイオン(例えば、リン酸塩アニオン)の拡散およびブラウン運動の効率が大幅に高められる。
コーティング組成物はさらに、安定剤および浸透性増加剤の塗層への塗布を容易化するビヒクルをも含む。ビヒクルは、水性ビヒクルであることが好ましく、塗層が縦方向に配置されてもコーティングが実質的に流れることなく塗層にコーティング組成物を堆積させることができるように、結合剤などの物質を含むことも可能である。結合剤は、アルキド樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、およびエチレングリコールなどの物質から選択することが可能である。
反応コーティング組成物は、揮発性有機成分(VOC)が少ないことが好ましい。揮発性有機物質は、環境に対し有害であり、ユーザ(つまり、コーティングを適用する人)に対しても有害である可能性がある。本発明の反応コーティング組成物のVOCは、好ましくは約250グラム/リットル(g/l)以下であり、より好ましくは約200g/l以下である。
本発明の一実施形態では、反応コーティング組成物は、重金属安定剤および浸透性増加剤をラテックス塗料などの市販の塗料に塗布することにより形成される。この実施形態では、コーティング組成物は他の成分をさらに含んでもよい。ラテックス系塗料組成物は通常、顔料、結合剤、希釈剤、およびその他の添加剤などの成分を含む。顔料は色を有し、結合材を風化から守る。結合剤は、ビヒクルとして作用し、塗料が塗布される表面に耐久性および接着性を与える。ラテックス塗料に見られる一般的な結合剤としては、リンシードオイル、アルキド樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、およびポリ酢酸ビニル(PVA)がある。希釈剤は、塗料の粘度を調整し、乾燥速度に影響を及ぼし、ラテックス組成物中の希釈剤は通常、水である。本発明では、塗料組成物の流動特性を維持するためにさらに水を塗料組成物に加えることが可能である。
したがって、塗料は、コーティング組成物に見た目に美しい色を与える顔料(例えば、TiO2)を含めることが可能であり、それにより、コーティングされた塗層は構造物に留まることができる。例えば、コーティング組成物を使用して、家屋内の塗面を処理することが可能である。すると、家屋は支障なく変わらぬままであり、しかも、重金属含有塗層を完全に除去したり、塗装された構成要素(例えば、窓枠)を除去しなくても、重金属に対する関連規制基準を満たすことが可能である。さらに、反応コーティング組成物を塗布した後、市販の標準塗料を処理済み層に塗布することが可能である。
本発明に係る反応コーティング組成物は、好ましくは少なくとも約3重量%の重金属安定剤を含み、より好ましくは少なくとも約5重量%の重金属安定剤を含み、さらに好ましくは少なくとも約10重量%の重金属安定剤を含む。重金属安定剤の量は、最大でコーティング組成物の約75重量%とすることが可能であり、例えば、最大で約50重量%の重金属安定剤のように、好ましくは約60重量%以下である。例えば、安定剤は、コーティング組成物の約5重量%から約60重量%の範囲とすることが可能であり、好ましくは約10〜約40重量%の範囲である。一実施形態では、反応コーティング組成物は、約20〜40重量%の重金属安定剤を含む。
反応コーティング組成物で使用される浸透性増加剤の量は、下塗りの塗層の浸透性を高め、重金属安定剤が塗層に浸透できるのに十分な量である。反応コーティング組成物は、好ましくは少なくとも約1重量%の浸透性増加剤を含み、より好ましくは少なくとも約3重量%の浸透性増加剤を含み、さらに好ましくは少なくとも約5重量%の浸透性増加剤を含む。浸透性増加剤の量は、好ましくは約60重量%以下であり、より好ましくは約40重量%以下であり、さらに好ましくは約25重量%以下である。例えば、浸透性増加剤の量は、反応コーティング組成物の約5重量%から約25重量%までの範囲とすることが可能であり、好ましくは約5重量%から約15重量%の範囲である。
さらに、重金属安定剤と浸透性増加剤との重量比は、好ましくは約2:1から4:1の範囲内である。
反応コーティング組成物中の結合剤の好ましい量は、標準の塗料組成物が表面に付着するのと同様、コーティング組成物を塗層に付着させるのに十分な量である。したがって、結合剤の全量は、好ましくは少なくとも約10重量%であり、より好ましくは少なくとも約40重量%である。一実施形態では、コーティング組成物は、約40重量%から約80重量%の結合剤を含む。重金属安定剤と浸透性増加剤を標準塗料生成物に添加する場合、結合剤の全部または一部は、塗料組成物により供給されうる。
コーティング組成物は、別々にまたは活性化合物とともに加えられた水をさらに含むことが可能である。例えば、TSPを水溶液で添加することが可能であり、かつ/または水酸化ナトリウムを希釈溶液として添加することが可能である。水を加えると、コーティング組成物に流動性が生じ、重金属安定剤(例えば、TSP)の溶解を助ける。
本発明のコーティング組成物は、ブラシまたはローラーでコーティング組成物を塗布する方法や塗層の表面に直接組成物をスプレーする方法を含むさまざまな手法を用いて塗層に塗布することができる。結合剤および水などのコーティング組成物の成分の量は、少なくとも一部、コーティング組成物を塗層に塗布するために選択された方法により決められる。例えば、スプレー装置では、スプレーノズルを通る流れが規則的で一定しているようにするために、コーティング組成物の粘性および関連する流動特性が指定範囲内にある必要がある。
反応コーティング層の望ましい厚さは、下塗りの塗装の重金属含有量とともにコーティング組成物中の活性成分の濃度に左右される。塗層は、あらかじめテストにより重金属含有量を測定し、塗布するコーティングの適切な厚さを決定することができる。一般に、コーティング組成物の全厚さは少なくとも約0.13mm(5ミル)であり、好ましくは少なくとも約0.52mm(20ミル)である。場合によっては、コーティング組成物の層を2つまたはそれ以上塗布することが望ましい。コーティング組成物を塗布する前に塗層を洗浄すると反応コーティングの付着具合が向上するが、コーティング組成物は、既存の塗料の洗浄または事前軟化などの前処理なしで塗面に直接塗布可能である。コーティング組成物は、さらに、剥げているかひび割れている塗面にも塗布可能である。
前記の説明では主に含鉛塗層をとりあげたが、塗層は金属の浸出性を低減するためにコーティング組成物により処理される他の金属を含むことが可能である。例として、バリウム(Ba)、銀(Ag)、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、アンチモン(Sb)、セレン(Se)、およびクロム(Cr)がある。
反応コーティング組成物は、ほとんどどのような構造物にもある塗層または他の重金属含有コーティングに塗布可能である。処理後の構造物は取り壊して安全に埋め立て地に処分可能であるが、処理後の構造物は、塗層に含まれる鉛などの金属が環境暴露する可能性が実質的に減るため、そのままとどめることも可能である。構造物を取り壊す場合、コーティングは塵抑制剤として働き、有害な含鉛塵が大気中に放出される可能性を減じる。さらに、乾燥した処理済み塗層は、風雨への繰り返し暴露に耐えられる。
あるいは、コーティング組成物および処理済み塗層は、構造物から除去することが可能である。この実施形態は、特に、金属製の橋または塔またはコンクリート構造物などの構造物をその場にとどめる場合に有利である。コーティング組成物および塗層は、研磨材の吹き付け(例えば、サンドブラスト)などの従来の手段または構造物の表面から層を削り取ることにより除去可能である。コーティング組成物の塗布により塗層に含まれる重金属が無害化されるため、廃棄物は無害廃棄物として処分可能である。
重金属含有塗層の処理に関して上で説明したが、反応コーティング組成物は、重金属を含む他の表面の処理にも使用可能である。本発明の一実施形態では、反応コーティング組成物は、構造物の表面を覆うか該表面に浸透した重金属で汚染されている構造物に塗布可能である。例えば、重金属は、電池の製造工場などのさまざまな製造環境に存在する。年数が経つうちに、重金属は製造施設内のむき出しの(未塗装の)木材、コンクリート、煉瓦、およびその他の材料を覆って浸透する可能性がある。重金属は、さらに、射撃練習場などの場所にも存在する可能性があり、弾薬から出る鉛が射撃練習場の構造物を覆って浸透する可能性がある。
この実施形態では、反応コーティング組成物が浸透性増加剤を含むことは必要でない。例えば、ビヒクルおよび重金属安定剤を含む反応コーティング組成物は、重金属に晒されているコンクリートなどの材料に塗布可能である。コーティング組成物は材料表面に塗布され、乾燥させて材料中および材料表面の重金属の浸出性を低減可能である。それ以後、この材料は、無害な廃棄物として安全に処分可能であり、あるいは重金属の安定化により安全にその場所に残すことが可能である。一実施形態では、この反応コーティング組成物は、塗料組成物に添加された重金属安定剤を含有する。
本発明に係る実施例をいくつか用意し、重金属錯体の低浸出性と存在、塗層への活性成分の浸透、処理済みコーティングの除去可能性、およびコーティングの塗布可能性を判定するためにテストした。以下の実施例は、単に本発明を例示しているだけであり、反応成分の好ましい範囲は、塗層の重金属含有量を含む多数の要因に左右される。
浸透性増加剤としてのNaOH
以下の実施例1〜18では、何年も前に含鉛塗料で塗装された木板に、コーティング組成物を塗層に塗布する処理を行った。コーティング組成物は、表2から表5に示す反応成分を市販の平坦な天井用の白色ラテックス塗料(Dutch Boy White Latex #3805)に添加することにより形成した。割合はすべて、市販塗料の初期重量に基づく重量%であり、反応成分とともに加えられた水の重量を含まない。例えば、NaOHは、50重量%溶液として塗料に添加した。未処理の木板のTLCP濾液は、23〜72ppmの鉛(平均すると約44ppm)を含んでいたが、これはRCRA閾値である5ppmよりも十分高い。塗層への活性成分の浸透は目視で確認した。コーティングの乾燥後、木板にドリルで孔を開けて削り屑を調べるという方法で木板のサンプリングを行った。標準TCLPテスト手順を使用して、鉛の浸出性の低減を確認した。
TSPを安定剤として使用し、NaOHを浸透性増加剤として使用する実施例の第1グループを表2に示す。
Figure 2006513275
表2に示す実施例は、塗層中の鉛含有量が所与の場合には、両方の反応成分を十分な量使用しなければならないことを示している。実施例1、実施例2、および実施例5を比較すると、浸透性増加剤(NaOH)含有量が5重量%の場合、鉛浸出性を5ppm未満に下げるためには、10重量%よりも多いTSPの使用が必要だった。しかし、浸透性増加剤を10重量%に上げた場合には、10重量%のTSPで十分に浸出性が5ppm未満にまで下がり、塗層へのコーティングの浸透が目視で確認された。水酸化ナトリウムを使用しなかった場合(実施例7)、20重量%のTSPは、鉛の浸出性を5ppm未満に下げるのに十分でなかった。実施例2と実施例8との間の浸出可能な鉛の値の差は、塗層中の鉛のレベルがさまざまであることに起因すると思われる。
Dical(リン酸一カルシウムとリン酸二カルシウムとの混合物)を安定剤として使用する実施例の第2グループを表3に示す。
Figure 2006513275
表3は、塗層の浸透性を高めてTCLP鉛を許容できるレベルにまで下げるためには浸透性増加剤(NaOH)が必要であったことを示している。
リン酸(H3PO4)を安定剤として使用する実施例の第3グループを表4に示す。
Figure 2006513275
表4は、安定剤としてリン酸を使用した場合には、水酸化ナトリウムを加えることにより、鉛の浸出性が5ppm未満に下がることを例示している。
別のリン酸ナトリウム塩を安定剤として使用する実施例の第4グループを表5に示す。
Figure 2006513275
表5は、NaOHなどの浸透性増加剤とともに使用する場合には、鉛の浸出性を5ppm未満に下げるためには、リン酸ナトリウム塩が安定剤として有効である可能性を例示している。
浸透性増加剤としてのNMP
以下の実施例のグループでは、N−メチル−2−ピロリドン(リヨンデルケミカル社(Lyondell Chemical Co.)、テキサス州ヒューストン所在)を従来の内装用白色ラテックス塗料(Sherwin Williams白色フラットラテックスHome Builders B75 WJ670)または外装用塗料(Sherwin Williams白色ラテックス外装用、B13 WJ515 Satin, Base A)に加えた。重過リン酸石灰(Hi-Yield Triple Superphosphate, ボランタリーパーチェイシンググループ社(Voluntary Purchasing Groups, Inc.)、テキサス州ボナム所在)も重金属安定剤として添加した。
組成物を調合するべく、まず塗料組成物に水を加え、次にNMPを加えて混合した。その後、TSPを加えて混合し、必要に応じてさらに水を加えた。これらの組成物を、ブラシを使用して含鉛塗料で覆われている木板上に延ばした。サンプルを一晩かけて乾燥し、場合によっては、1回目の塗りが乾燥した後に2回目の塗りを行った。塗布前と塗布後のコーティング容器の重量を量って塗布したコーティング組成物の量を測定した。
直径5.08センチメートル(2インチ)のフォスタードリルビットを使用して木板全体に孔を開け、削り屑を採取した。約17〜22グラムの木屑を500mlのTCLP抽出容器に移した。20倍の体積のTCLP溶液#1を加えて、30rpmの速さで18時間回転させた。スラリを安定させてから0.7マイクロメートルのグラスファイバフィルタで濾過し、鉛を分析した。
表6から表11にこれらの実施例の結果をまとめる。
Figure 2006513275
表6は、特に複数の塗料で塗布した場合には、TSPおよびNMPの組み合わせが鉛の浸出性低減に対して有効であったことを例示している。ラテックス塗料組成物に加えられた30%TSP、9.8%NMP、および5.4%の水を含む調合によりコーティング組成物を形成したところ、この組成物は均等に広がって下塗りの含鉛塗装に浸透し、乾燥させると硬いコーティングになった。
Figure 2006513275
表7は、塗布するコーティング組成物の量が十分であれば、低レベルのNMPであっても有効である可能性を示している。
Figure 2006513275
表8は、NaOHをコーティング組成物に追加した場合のように、NMPのレベルを高くすると有効であることを示している。
Figure 2006513275
表9は、外装塗料から作製された反応コーティング組成物も、鉛の浸出性の低減に対して有効であることを示している。
Figure 2006513275
表10は、反応コーティング組成物においてNaH2PO4・H2Oなどの他の重金属安定剤が有効である可能性を示している。
コーティング組成物の浸透
3つの反応コーティング組成物を調合して、大きな塗装チップに塗布し、コーティング組成物が塗層に浸透して処理済み塗層を形成するのを観察した。第1のコーティング組成物は、53重量%の標準塗料、11重量%のd−Haz(イリノイ州ノーマルに所在するフランマー・ケミカル社(Franmer Chemical)から販売されている37.5重量%のNMPを含む組成物)、29重量%のTSP、5重量%のNaOH、および1.2重量%の水を含有する。第2の組成物は、53.8重量%の標準塗料、31重量%のTSP、9.8重量%のNMP、および5.4重量%の水を含有する。第3の組成物は、42重量%のTSP、34重量%のNMP、および24重量%の標準塗料を含有する。
基材から分離した大きな含鉛塗装チップを得た後、前述の組成物のそれぞれを別々の塗装チップの表面に一回塗布した。3つの組成物はすべて塗装チップに浸透したが、これは、組成物が塗装チップの反対側の面に浸透したのを目視で観察することによりわかった。未処理のチップはTCLP鉛が58ppmを示し、処理済みチップはすべてTCLP鉛が0.5ppm未満を示した。これらの実施例は、反応コーティング組成物が含鉛塗装に浸透して処理済み塗層を形成可能であることを示している。
コーティング組成物と処理済み塗層の除去
上述のように、既存塗層への反応コーティング組成物の浸透により形成された処理済み塗層は、任意に構造物から除去可能である。したがって、反応コーティング組成物は、処理済み塗層が機械的な削り取りで簡単に除去されるように調合されてもよい。この場合、反応コーティング組成物は浸透性増加剤を高い割合で含有しており、そのため、下塗りの塗装の浸透および基材からの除去が容易である。
そこで、42重量%のTSP、34重量%のNMP、および24重量%の内装塗料を含む反応コーティング組成物を調合した。反応コーティング組成物を、含鉛塗料で覆われている構造物に一塗りし、そのコーティング組成物を下塗りの塗層に浸透させて処理済み塗層を形成した。その後、約8〜12時間後に構造物から処理済み塗層を機械的に削り取り、表面をむき出しにした。除去した処理済み塗層は、浸出性が低下しており、TCLP鉛は2ppm未満であった。
同じ組成物を木材表面の含鉛塗料に塗布し、4時間かけて浸透させた。その後、表面から処理済み塗層を剥ぎ取ったところ、TCLP鉛が0.1ppm未満含まれていることがわかった。塗料が少し表面に残っているところに、反応コーティング組成物の2回目の塗布を行い、その後、一晩かけて硬化させた。その後、処理済み塗層を除去したところ、残りの塗料も完全に剥ぎ取られた。処理済み塗層では、TCLP鉛が0.7ppm未満を示した。
未塗装コンクリートの処理
何年もPb溶液に晒されて遂にはコンクリート中にPb溶液が吸収された未塗装コンクリートのサンプルは、鉛(>10ppm Pb)のTCLPについては不合格であることがわかった。本発明に係る反応コーティング組成物を一塗りしてコンクリートに塗装を行ってから再度サンプリングした。塗装したサンプルでは、TCLP鉛が5ppm未満に減少したが、これは、表面に重金属が浸透しているコンクリートのような材料上での反応コーティング組成物の使用を例示している。
本発明のさまざまな実施形態について詳しく説明してきたが、当業者には、それらの実施形態の修正および改変が行われることは明白であろう。ただし、そのような修正および改変は本発明の精神および範囲に収まることを明確に理解すべきである。

Claims (69)

  1. 塗層に含まれる重金属を表面において安定化する反応コーティング組成物であって、
    a)少なくとも約3重量%の重金属安定剤と、
    b)塗層への重金属安定剤の浸透性を高めるよう適合された少なくとも約1重量%の浸透性増加剤と、
    c)少なくとも結合剤を含有したビヒクル(vehicle)を含むバランス(balance)と
    を含有し、前記塗層に付着して浸出性の低い重金属化合物錯体を形成する反応コーティング組成物。
  2. 前記重金属安定剤は、凝集剤、凝固剤、沈殿剤、錯化剤、エポキシ剤、および吸着剤からなるグループから選択される請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  3. 前記重金属安定剤は、リン酸塩化合物、ケイ酸塩化合物、炭酸塩化合物、および硫化化合物からなるグループから選択される請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  4. 前記重金属安定剤はリン酸塩化合物を含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  5. 前記重金属安定剤は重過リン酸石灰(triple superphosphate)を含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  6. 前記重金属安定剤は、前記コーティング組成物中に分散した固形物である請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  7. 前記重金属安定剤は、平均粒子サイズが約250μm以下のリン酸塩化合物の粒子を含む請求項6に記載の反応コーティング組成物。
  8. 前記重金属安定剤は、前記コーティング組成物中に分散した液体である請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  9. 約5重量%から約60重量%の前記重金属安定剤を含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  10. 約20重量%から約40重量%の前記重金属安定剤を含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  11. 前記浸透性増加剤は水酸化ナトリウムを含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  12. 前記浸透性増加剤はN−メチル−2−ピロリドンを含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  13. 前記浸透性増加剤は乳酸エチルを含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  14. 前記浸透性増加剤はメチルエチルケトンを含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  15. 前記浸透性増加剤はジメチルスルホキシドを含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  16. 少なくとも約3重量%の前記浸透性増加剤を含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  17. 約5重量%から約25重量%の前記浸透性増加剤を含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  18. 約5重量%から約10重量%の前記浸透性増加剤を含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  19. 前記ビヒクルは水をさらに含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  20. 前記ビヒクルはラテックス系塗料組成物である請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  21. VOC含有量が約250g/l以下である請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  22. 前記結合剤は、アルキド樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレングリコール、およびそれらの混合物からなるグループから選択される請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  23. 顔料をさらに含む請求項1に記載の反応コーティング組成物。
  24. 塗層に含まれる重金属を表面において安定化する反応コーティング組成物であって、
    a)約5重量%から約60重量%の重金属安定化リン酸塩化合物と、
    b)N−メチル−2−ピロリドンを含む約5重量%から約25重量%の浸透性増加剤と、
    c)少なくとも結合剤を含有したビヒクルを含むバランスと
    を含有し、前記塗層に付着して浸出性の低い重金属化合物錯体を形成する反応コーティング組成物。
  25. 前記リン酸塩化合物は重過リン酸石灰を含む請求項24に記載の反応コーティング組成物。
  26. 前記ビヒクルは水をさらに含む請求項24に記載の反応コーティング組成物。
  27. 約10重量%から約40重量%の前記リン酸塩化合物を含む請求項24に記載の反応コーティング組成物。
  28. 約5重量%から約10重量%の前記N−メチル−2−ピロリドンを含む請求項24に記載の反応コーティング組成物。
  29. 前記ビヒクルはラテックス系塗料組成物である請求項24に記載の反応コーティング組成物。
  30. 前記結合剤は、アルキド樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレングリコール、およびそれらの混合物からなるグループから選択される請求項24に記載の反応コーティング組成物。
  31. 顔料をさらに含む請求項24に記載の反応コーティング組成物。
  32. 重金属と反応して浸出性の低い重金属化合物錯体を形成するように適合された反応コーティング組成物を作る方法であって、
    a)水性塗料組成物を用意する工程と、
    b)少なくとも約3重量%の重金属安定剤を前記水性塗料組成物に添加する工程と、
    c)少なくとも約1重量%の浸透性増加剤を前記水性塗料組成物に添加する工程と
    を備える方法。
  33. 前記水性塗料組成物はラテックス塗料組成物である請求項32に記載の方法。
  34. 前記重金属安定剤は重過リン酸石灰を含む請求項32に記載の方法。
  35. 前記重過リン酸石灰の粒子サイズは約250μm以下である請求項32に記載の方法。
  36. 前記重金属安定剤は約10重量%から約40重量%の量が添加される請求項32に記載の方法。
  37. 前記浸透性増加剤は、水酸化ナトリウム、N−メチル−2−ピロリドン、乳酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、およびそれらの混合物からなるグループから選択される請求項32に記載の方法。
  38. 前記浸透性増加剤はN−メチル−2−ピロリドンを含む請求項32に記載の方法。
  39. 前記浸透性増加剤は約5重量%から約25重量%の量が添加される請求項32に記載の方法。
  40. 前記水性塗料組成物に水を添加する工程をさらに含む請求項32に記載の方法。
  41. 塗層に含まれる重金属を安定化する方法であって、
    a)重金属安定剤、浸透性増加剤、および結合剤を含む反応コーティング組成物を用意する工程と、
    b)前記反応コーティング組成物を構造物上の塗層に塗布する工程と、
    c)前記塗層に含まれる重金属の少なくとも一部が安定化するのに十分な期間、前記反応コーティング組成物を前記構造物上に残す工程と
    を備える方法。
  42. 前記重金属は、鉛、バリウム、銀、ヒ素、カドミウム、水銀、アンチモン、セレン、およびクロムからなるグループから選択される請求項41に記載の方法。
  43. 前記重金属は鉛を含む請求項41に記載の方法。
  44. 前記重金属安定剤は、凝集剤、凝固剤、沈殿剤、錯化剤、エポキシ剤、および吸着剤からなるグループから選択される請求項41に記載の方法。
  45. 前記重金属安定剤は、リン酸塩化合物、ケイ酸塩化合物、炭酸塩化合物、および硫化化合物からなるグループから選択される請求項41に記載の方法。
  46. 前記重金属安定剤はリン酸塩化合物を含む請求項41に記載の方法。
  47. 前記重金属安定剤は重過リン酸石灰を含む請求項41に記載の方法。
  48. 前記コーティング組成物は、約5重量%から約60重量%の前記重金属安定剤を含む請求項41に記載の方法。
  49. 前記浸透性増加剤は、水酸化ナトリウム、N−メチル−2−ピロリドン、乳酸エチル、メチルケトン、ジメチルスルホキシド、およびそれらの混合物からなるグループから選択される請求項41に記載の方法。
  50. 前記浸透性増加剤はN−メチル−2−ピロリドンを含む請求項41に記載の方法。
  51. 前記反応コーティング組成物は、約5重量%から約25重量%の前記浸透性増加剤を含む請求項41に記載の方法。
  52. 前記塗層を前記構造物から除去する工程をさらに含む請求項41に記載の方法。
  53. 除去工程は、研磨剤を使用して前記塗層を除去することを含む請求項52に記載の方法。
  54. 除去工程は、削り取りで前記塗層を除去することを含む請求項52に記載の方法。
  55. (d)前記反応コーティング組成物上に塗層を塗布する工程をさらに含む請求項41に記載の方法。
  56. 重金属を含有する塗層を備えた構造物を処理及び処分する方法であって、
    a)反応コーティング組成物を前記塗層に塗布する工程であって、該反応コーティング組成物は、
    i)重金属安定剤と、
    ii)塗層への重金属安定剤の浸透性を高めるように適合された浸透性増加剤とを含むことと、
    b)前記塗層に含まれる重金属の少なくとも一部が安定化し、かつ、前記反応コーティング組成物が乾燥して処理済み塗層と反応コーティング層とを含む処理済み構造物を形成するのに十分な期間、前記反応コーティング組成物を前記塗層上に残す工程と、
    c)前記処理済み塗層を含む前記処理済み構造物を埋め立て地に処分する工程であって、前記処理済み塗層に含まれる重金属の浸出性は低減されていることと
    を備える方法。
  57. 前記塗層は木造構造物上に配置されている請求項56に記載の方法。
  58. 前記塗層はコンクリート上に配置されている請求項56に記載の方法。
  59. 前記重金属安定剤はリン酸塩化合物を含む請求項56に記載の方法。
  60. 前記重金属安定剤は重過リン酸石灰を含む請求項56に記載の方法。
  61. 前記重金属安定剤は、約10重量%から約40重量%の量のリン酸塩化合物を含む請求項56に記載の方法。
  62. 前記浸透性増加剤は、水酸化ナトリウム、N−メチル−2−ピロリドン、乳酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、およびそれらの混合物からなるグループから選択される請求項56に記載の方法。
  63. 前記浸透性増加剤はN−メチル−2−ピロリドンを含む請求項56に記載の方法。
  64. 前記コーティング組成物は、約5重量%から約25重量%の前記浸透性増加剤を含む請求項56に記載の方法。
  65. 構造物の表面に重金属を含む構造物を処理する方法であって、
    a)反応コーティング組成物を前記表面に塗布する工程であって、該反応コーティング組成物は、
    i)重金属安定剤と、
    ii)結合剤を含むビヒクルとを含むことと、
    b)前記表面に含まれる重金属の少なくとも一部が安定化し、かつ、前記反応コーティング組成物が乾燥して重金属の浸出性が低減された処理済み構造物を形成するのに十分な期間、前記反応コーティング組成物を前記表面上に残す工程と
    を備える方法。
  66. 前記表面は、コンクリート、レンガ、および木材から選択される材料を含む請求項65に記載の方法。
  67. 前記表面は打ち放しのコンクリートを含む請求項65に記載の方法。
  68. 前記重金属安定剤はリン酸塩化合物を含む請求項65に記載の方法。
  69. 前記ビヒクルは塗料組成物を含む請求項65に記載の方法。
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