JP2006510855A - 耐荷重が増大した軸方向スラスト軸受用のコンプライアントサポート - Google Patents

Abstract

軸方向スラスト空気軸受用のコンプライアントサポートが、軸とケーシングとの間に設けられる。ケーシングは、ランナ軸受面を有した軸から径方向に延びた環状スラストランナを備える。ケーシングは、ケーシング軸受面と、加圧空気源に連通する空気吸入口と、を有する。環状フォイルサポートスリーブがケーシング軸受面に設けられ、かつ、フォイルの列とともに空気フォイル面を有する。フォイルは、空気吸入口から空気を案内し、ランナ軸受面とスリーブ上のフォイルとの間に加圧された空気のカーテンを形成し、空気出口を通して放出する。スリーブは、少なくとも１つのコンプライアント環状リングが付いたコンプライアント面を有する。コンプライアント面は、少なくとも１つのコンプライアント環状リング、例えば、３００Ｆ以下の低温使用においてはフルオロカーボン製のＯリング（１４９Ｃ）、３００−６００Ｆの中温使用においてはフルオロシリコン製のＯリング（１４９−２９８Ｃ）、もしくは６００Ｆを超える高温使用においては金属メッシュのリング（２９８Ｃ）を含む。

Description

本発明は、軸方向スラスト空気軸受用のコンプライアントサポートに関する。

空気軸受やフォイル軸受は、高速ターボ機械、モータ、ターボ過給機、もしくは流体処理装置に用いられ、これらの装置は潤滑剤や冷媒として用いられる圧縮空気流に付随する特有の利点を利用する。油で潤滑される軸受は、はるかに高いコストや保守にかかる負担とともに油漏れ、フィルタリング、導管に関連した信頼性にかかわる問題を課す。

しかしながら、ガスタービンエンジンは、小型の機械に比べ、軸受に対し比較的高いスラスト荷重を発生させるので、より大きな耐荷重を有したより大型の軸受を要求する。軸受内に空気を案内することにより、軸受面同士を離して摩擦を最小にする圧縮された空気クッションつまり空気フィルムが生じる。

例えば、米国特許第６，２８６，３０３号は、径方向空気フォイル軸受と軸方向スラスト空気フォイル軸受とを含んだガスタービンエンジン用の空気フォイル軸受を開示している。しかしながら現在までに、位置合わせ不良、平行度、直角度、および走行面のうねりとともに、耐荷重やエンジンサージ中の減衰能に関して、比較的大きな径の空気フォイル軸受、特に軸方向スラスト軸受、のための許容公差は最適値よりも小さい。

本発明の目的は、軸方向スラスト軸受の耐荷重や荷重減衰を増大するための簡素なコンプライアントサポートを提供することである。

本発明のもう１つの目的は、位置合わせ不良、平行度、直角度、および／もしくは走行面のうねりとともに、軸方向スラスト空気フォイル軸受の耐荷重や減衰能における製造公差や運転公差の増大を実現する軸方向スラスト軸受用のコンプライアントサポートを提供することである。

本発明のその他の目的は、以下の本発明の詳細な説明や添付の図面を参照すれば明らかとなろう。

軸方向スラスト空気軸受用のコンプライアントサポートが、軸とケーシングとの間に設けられる。ケーシングは、ランナ軸受面を有した軸から径方向に延びた環状スラストランナを備える。ケーシングは、ケーシング軸受面と、加圧空気源に連通する空気吸入口と、を有する。環状フォイルサポートスリーブがケーシング軸受面に設けられ、かつ、フォイルの列とともに空気フォイル面を有する。フォイルは、空気吸入口から空気を案内し、ランナ軸受面とスリーブ上のフォイルとの間に加圧された空気のカーテンを形成し、空気出口を通して放出する。スリーブは、少なくとも１つのコンプライアント環状リングが付いたコンプライアント面を有する。コンプライアント面は、少なくとも１つのコンプライアント環状リング、例えば、３００°Ｆ以下の低温使用においてはフルオロカーボン製のＯリング、３００−６００°Ｆの中温使用においてはフルオロシリコン製のＯリング、もしくは６００°Ｆを超える高温使用においては金属メッシュのリングを含む。

本発明は、ガスタービンエンジン、他のモータ、発電機、タービン過給機等、ほぼどの種類のエンジンにも適用可能であることが理解されよう。

軸方向スラスト軸受１は、軸２上のエンジンの動作によって課された軸方向荷重を保持する。エンジンサージ等によって生じた軸方向荷重の急峻な変動が、以下に説明するように吸収される。

図１は本発明による空気フォイル軸方向スラスト軸受１の軸方向断面図を示す。軸方向スラスト空気軸受１は、軸２と軸受ケーシング３との間に軸方向荷重を伝達する。環状のスラストランナフランジ４は軸２から径方向に延び、図示の態様においては、前方ランナ軸受面５と後方ランナ軸受面６とを有する。また、ケーシング３は、前方ケーシング軸受面５と後方ケーシング軸受面８とを有する。

空気吸入口９は、抽気のためにつながった圧縮機（図示せず）などの空気源に連通する。吸入口９からの空気が複数のフォイル１０にわたって案内され、この複数のフォイル１０は、図示の態様では、フランジ４の当接面５，６に対向する各スリーブ１３の空気フォイル面に設けられる。

フォイル１０（図４に最も良く示される）は、隣接しあう軸受面の間を流れる空気のクッションを発生させる。図示のように、軸方向に突出した平面が周方向に離間し、隣接しあうフォイル１０の間に空気通路１６が径方向に延びるように、フォイル１０が形成される。上記通路１６の断面は、空気が下流に流れるに従って減少する。空気フォイル１０はスリーブ１３のランナ側面に配置され、係合面間の境界の潤滑を担う圧縮された空気のカーテンを生ずる。空気のカーテンは、図２の矢印で指示されるように、吸入口９から、ランナ軸受面５，６と対向するスリーブ面との間の空気フォイル１０を越え、出口１１へと案内される。

コンプライアント環状リング１２を備えたスリーブ１３が、フランジ４の反対側の面と軸受ケーシング３との間に配置されて、耐荷重が増大し、エンジンサージの際の軸方向荷重の減衰が向上するといった利点が得られる。加えて、公差も増大し、部品間の位置合わせ不良、平行度、直角度および軸受面５〜８のうねりの誤差、に適応できる。

もちろん、大きな隙間を生成すれば、含有空間内で圧縮された空気カーテンを発生させるために比較的狭い動作隙間を要求するフォイル２１の目的を無視する。スリーブ１３は、対向する面の間に最小隙間がある空気フォイル１０を含む。スリーブ１３は、フォイル面１４とコンプライアント面１５とを有する。図示の態様においては、コンプライアント面１５と軸受ケーシング面７，８は、２つの同軸コンプライアント環状リング１２を収容するための環状溝を含む。図３は、スリーブ１３の上記溝に設けられたリング１２を示す。

軸受の動作温度に応じて、コンプライアント環状リング１２のために異なる材料を用いてもよいが、いずれの場合であっても、コンプライアントリング１２は、空気フォイル軸受の適切な動作のために空気フォイル１０とランナ軸受面５，６との間で十分な間隔を保持しつつ必要な荷重減衰と荷重保持とに適応するために、高度の弾性を保持すべきである。

使用時の動作温度が３００°Ｆより低い場合には、コンプライアントリング１２としてフルオロカーボン製のＯリングが提案される。動作温度が３００°Ｆ〜６００°Ｆの場合には、フルオロシリコン製のＯリングがコンプライアントリング１２として使用可能であり、動作温度が６００°Ｆを超える場合には、耐熱金属メッシュのリング１２が想定される。

図示の態様においては、コンプライアントサポートは２つの環状フォイルサポートスリーブ１３を含む。しかしながら、耐荷重や荷重の方向に応じて、１つのスリーブ１３や多数のスリーブ１３が用いられてもよい。さらに、図示の態様においては、フランジ４から径方向外側に吸入口９が設けられ、軸２に接近したフランジ４の径方向内側部分に隣接して空気出口１１が設けられる。しかしながら、圧縮空気の利用可能性によっては、空気流が反転し得る、つまり、図２に示したように径方向内側に流れるのではなく径方向外側に流れること、が明らかであろう。

上記説明は本願の発明者によって現在検討された特定の最良の形態に関連するが、本発明は、広範な意味で、本明細書に開示された要素の機械的・機能的な均等物を含む。

図１は、本発明によるコンプライアントサポートを備えた軸方向スラスト空気フォイル軸受の軸方向断面図を示し、コンプライアントサポートは軸から軸受ケーシングに向かって径方向に延びた回転フランジの二側面に設けられ、圧縮空気流が矢印で示されている。 図２は、フォイル上の空気流とともにスリーブおよび回転フランジの詳細を示す軸方向断面詳細図である。 図３は、スリーブのコンプライアント面の内部にあるコンプライアントリングを示す図２の線３−３に沿った径方向断面図である。 図４は、スリーブの面に対向する回転フランジの内部にあるフォイルを示す図２の線４−４に沿った径方向断面図である。

Claims (12)

1. 軸とケーシングとの間に軸方向スラスト空気軸受用のコンプライアントサポートであって、環状スラストランナが、上記軸から径方向に延び、ランナ軸受面を有し、かつ、上記ケーシングは、ケーシング軸受面と、加圧空気源に連通する空気吸入口と、を有し、
   上記コンプライアントサポートは、
   上記ケーシング軸受面に設けられた環状フォイルサポートスリーブであって、空気を上記吸入口から案内して、上記ランナ軸受面と上記スリーブとの間で加圧空気カーテンとし、出口に案内するための複数のフォイル、を含んだ空気フォイル手段を空気フォイル面上に含むスリーブを備え、かつ、
   上記スリーブは少なくとも１つのコンプライアント環状リングを備えたコンプライアント面を有することを特徴とするコンプライアントサポート。
2. 上記コンプライアント面は２つの同軸コンプライアント環状リングを含むことを特徴とする請求項１に記載のコンプライアントサポート。
3. 上記コンプライアント環状リングは、フルオロカーボン製のＯリング、フルオロシリコン製のＯリング、および金属メッシュのリングからなる群から選択されることを特徴とする請求項１に記載のコンプライアントサポート。
4. 上記フルオロカーボン製のＯリングは、３００°Ｆより低い動作温度において供されることを特徴とする請求項３に記載のコンプライアントサポート。
5. 上記フルオロシリコン製のＯリングは、３００°Ｆ〜６００°Ｆの動作温度において供されることを特徴とする請求項３に記載のコンプライアントサポート。
6. 上記金属メッシュのリングは、６００°Ｆより高い動作温度において供されることを特徴とする請求項３に記載のコンプライアントサポート。
7. 上記環状スラストランナは、前方ランナ軸受面と後方ランナ軸受面とを有する径方向に延びたフランジを含み、
   上記ケーシングは、前方ケーシング軸受面と後方ケーシング軸受面とを含み、
   上記コンプライアントサポートは、２つの環状フォイルサポートスリーブを含むことを特徴とする請求項１に記載のコンプライアントサポート。
8. 上記吸入口は、上記フランジの径方向外側に設けられることを特徴とする請求項７に記載のコンプライアントサポート。
9. 上記出口は、上記フランジの径方向内側部分に隣接して設けられることを特徴とする請求項７に記載のコンプライアントサポート。
10. 上記空気フォイルは、隣接する空気フォイルの間で区画されかつ径方向に延在した空気通路を備えた周方向に離間した軸方向突出平面を含むことを特徴とする請求項１に記載のコンプライアントサポート。
11. 上記空気通路の断面積は、下流方向に向かって減少することを特徴とする請求項１０に記載のコンプライアントサポート。
12. 上記通路は方形の断面を有することを特徴とする請求項１１に記載のコンプライアントサポート。

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