JP2006510657A5 - - Google Patents

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Description

中耳炎の処置のための方法および組成物
(関連出願の援用)
本出願は、2002年12月6日および2002年12月20日にそれぞれ出願された米国特許出願番号60/431,286および同第60/435,985に対する優先権を主張し、これらの両方の開示は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
(発明の分野)
本発明は、プロテアーゼインヒビターの投与による中耳炎の処置に関する。いくつかの実施形態において、上記プロテアーゼインヒビターは、α1−アンチトリプシンおよび/またはアイロマスタットである。本発明は、生物医学の分野における適用、ならびにヒト治療および獣医学治療における適用を見出す。
(発明の背景)
プロテアーゼインヒビターは、プロテアーゼ−プロテアーゼインヒビター系における不均衡を含む種々の疾患状態において、疾患の進行に有益な影響を与えることが示されている。例としては、転移性がん、アトピー性皮膚炎、乾癬、嚢胞性線維症、および慢性閉塞性肺疾患が挙げられる。プロテアーゼインヒビターの効力は、ヒトの中耳炎の処置において未だ研究されなければならない。米国特許第5,217,951号および同第6,174,859号は、α1−アンチトリプシンを使用する処置方法を開示する。
(発明の要旨)
本発明は、プロテアーゼインヒビターを使用する中耳炎の処置のための、組成物および方法を提供する。
一局面において、本発明は、個体(いくつかの実施形態においては、哺乳動物)において中耳炎を処置する方法を提供し、この方法は、その個体(いくつかの実施形態において、哺乳動物)に、有効量のα1−アンチトリプシンを投与することによる。いくつかの実施形態において、有効量の抗生物質および/またはステロイドもまた、投与される。いくつかの実施形態において、α1−アンチトリプシンは、液体状態で投与される。いくつかの実施形態において、α1−アンチトリプシンは、乾燥粉末として投与される。いくつかの実施形態において、処置される哺乳動物は、穿孔を有する鼓膜を有し、この鼓膜は、本発明の方法のうちのいくつかにおいては、鼓膜切開に起因し得る。いくつかの実施形態において、処置されるべき個体は、ヒトである。
実施形態において、中耳炎は、再発性急性中耳炎(recurrent acute otitis media)(RAOM)、滲出性慢性中耳炎(chronic otitis media with effusion)(COME)、鼓膜切開後の急性耳漏(acute post−tympanostomy otorrhea)(APTO)、慢性化膿性中耳炎(chronic suppurative ottis media)(CSOM)、および真珠腫(cholesteaoma)からなる群より選択される型の中耳炎である。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、中耳炎の型は、APTOまたはCSOMである。後者の実施形態において、本発明の方法は、有効量の抗生物質を投与する工程をさらに包含し得る。
(発明の説明)
本発明は、中耳炎に罹患している個体の処置のための方法および組成物に関し、この処置は、有効量のα1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットを投与することによる。いくつかの実施形態において、α1−アンチトリプシン(AAT)単独が、投与される。他の実施形態において、アイロマスタット単独が投与される。なお他の実施形態において、α1−アンチトリプシン(AAT)およびアイロマスタットの両方が、組み合わせて投与される。α1−アンチトリプシン(AAT)は、セリンプロテアーゼインヒビターである。アイロマスタットは、マトリックスメタロプロテアーゼのインヒビターである。いくつかの実施形態において、処置されるべき個体は、穿孔を有する鼓膜を有する。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、上記穿孔を有する鼓膜は、鼓膜切開に起因する。いくつかの実施形態において、処置されるべき個体は、再発性急性中耳炎(RAOM)、滲出性慢性中耳炎(COME)、鼓膜切開後の急性耳漏(APTO)、慢性化膿性中耳炎(CSOM)、または真珠腫である型の中耳炎に罹患している。いくつかの実施形態において、処置されるべき個体は、鼓膜切開後の急性耳漏(APTO)、滲出性慢性中耳炎(COME)、または真珠腫である中耳炎に罹患している。いくつかの実施形態において、処置されるべき個体は、鼓膜切開後の急性耳漏(APTO)または滲出性慢性中耳炎(COME)に罹患している。本発明のいくつかの実施形態において、処置されるべき個体の処置は、中耳炎の細菌プロフィールに基づいて決定される。
くつかの局面において、本発明は、中耳炎に罹患している個体、または上記の中耳炎の形態もしくは細菌により引き起こされる中耳炎のうちのいずれかに罹患している個体において、プロテアーゼ活性を阻害する方法を包含し、この阻害は、有効量のα1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットを個体に投与することによる。
本発明の利点としては、中耳炎の形態で存在することが公知である種々のプロテアーゼに対する、投与される物質の特異性が挙げられ、そして局所適用される場合にα1−アンチトリプシン(AAT)およびアイロマスタットの毒性がないことが挙げられ、これにより、感染部位への直接適用が可能になる。
(定義)
「個体」とは、脊椎動物であり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。哺乳動物としては、家畜、娯楽(sport)動物、愛玩動物、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、およびラットが挙げられるが、これらに限定されない。
薬物、化合物、または薬学的組成物の「有効量」とは、有益な結果または望ましい結果(臨床的症状発現もしくは症状の調節(耳顕微鏡的所見(例えば、炎症、紅斑、浮腫、掻痒)の減少、もしくは一般的臨床結果の変化(例えば、耳の圧痛、耳痛、オージオグラムの結果、および聴覚機能の他の尺度、熱、食欲喪失、嘔吐、耳鳴、眩暈、および耳からの臭い、耳漏の回復、病原体の根絶、および再発率の減少);上記疾患に罹患しているものの生活の質の向上(例えば、身体機能の向上、身体の疼痛の減少、全身の健康の向上、活力の向上、社会的機能の向上)、他の投薬(例えば、待機処置投薬もしくは上記疾患を処置するために必要な他の投薬)の用量の減少、上記疾患進行の遅延、感染および/もしくは症状の解消のために必要な時間の減少、ならびに/または患者の生存の延長)を含む)をもたらすために十分な量である。有効量は、1回以上の投与にて投与され得る。本発明の目的のために、薬物、化合物、または薬学的組成物の有効量は、中耳炎の臨床的症状発現を減少するために十分な量であり得る。
本明細書中で使用される場合、「組み合わせて」投与される2種以上の薬剤は、同時または異なる時間に、あるいは、1種もしくは両方が複数回投与で投与されるスケジュール(それらの薬剤の投与は、いずれも同時ではないか、またはそれらの薬剤の投与のうちの1回以上が同時である)で、投与され得る。組み合わせて投与される薬剤は、同じ薬学的ビヒクルまたは別個のビヒクルにて、そして同じ経路または異なる経路で、投与され得る。
本明細書中で使用される場合、「処置」または「処置する」とは、有益な臨床結果または望ましい臨床結果(例えば、「有効な処理」について列挙される臨床結果)を得るためのアプローチである。
(本発明の方法)
本明細書中に記載されるすべての方法に関して、α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットに対する言及は、これらの薬剤のうちの1種以上を含む処方物、ならびにα1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットに加えて他の薬剤を含む処方物もまた、包含する。これらの処方物は、当該分野で周知の適切な賦形剤(例えば、薬学的に受容可能な賦形剤(緩衝剤を含む))をさらに含み得る。本発明は、単独で、または他の従来の処置方法と組み合わせて、使用され得る。
(処置されるべき個体)
本発明の方法により処置されるべき個体は、中耳炎に罹患しているか、または中耳炎についてのリスクを有する。中耳炎の診断方法およびこの疾患の臨床特徴は、当該分野で公知である。従って、いくつかの実施形態において、本発明は、処置されるべき個体が、中耳炎の診断(いくつかの実施形態においては、1種以上の型の中耳炎の診断)に基づいて処置について選択される、処置方法を包含する。
一局面において、本発明は、中耳炎に罹患している個体を処置する方法を包含し、この個体において、鼓膜(TM)の穿孔が存在する。このような穿孔は、外科的に作製され得るか、またはこの疾患の自然経過の間に発生し得る。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、中耳腔換気用チューブを挿入された個体において、使用される。上記方法は、このような実施形態において処置としてかまたは予防的に使用され得る。本発明の方法は、上のリスクを減少し、重篤度を減少し、そして/またはあり得るチューブ挿入の結果(中耳腔換気用チューブ挿入後の耳漏および/またはチューブ置換の必要性)に対する時間を増加する。これらの実施形態において、個体は、穿孔についての鼓膜の評価(意図的手段から生じようと、意図的でない手段から生じようと)に基づいて処置について選択され得る。
一局面において、本発明は、再発性急性中耳炎(RAOM)、滲出性慢性中耳炎(COME)、鼓膜切開後の急性耳漏(APTO)、慢性化膿性中耳炎(CSOM)、または真珠腫からなる群より選択される型の中耳炎に罹患している個体を処置するための方法を包含する。上記個体は、これらのうちの1種以上の型の中耳炎を有し得る。いくつかの実施形態において、処置されるべき個体は、鼓膜切開後の急性耳漏(APTO)、慢性化膿性中耳炎(CSOM)または真珠腫である中耳炎に罹患している。他の実施形態において、処置されるべき個体は、鼓膜切開後の急性耳漏(APTO)または慢性化膿性中耳炎(CSOM)に罹患している。一実施形態において、上記個体は、慢性化膿性中耳炎(CSOM)に罹患している。
「急性中耳炎(acute otitis media)(AOM)」とは、本明細書中で使用される場合、耳の感染の徴候または症状(疼痛を通常伴う腫脹鼓膜;またはしばしば化膿物質もしくは感染物質の排液を伴う穿孔を有する鼓膜)を伴う中耳における液体により特徴付けられる状態を指す。再発性急性中耳炎(recurrent acute otitis media)(RAOM)を有する患者は、6ヶ月間に3回より多い急性エピソードを有しているか、または12ヶ月間に4回以上の急性エピソードを有している。
「滲出性中耳炎(otitis media with effusion)(OME)」とは、本明細書中で使用される場合、耳の感染の徴候も症状もない中耳における液体により特徴付けられる状態を指す。滲出を伴う中耳は、中耳滲出が少なくとも3ヶ月間存在する場合に、慢性(COME)であるとして定義される。
「慢性化膿性中耳炎(chronic suppurative ottis media)(CSOM)」とは、本明細書中で使用される場合、鼓膜の状態に関して「滲出性慢性中耳炎(chronic otitis media with effusion)(COME)」とは異なる。滲出性慢性中耳炎(chronic otitis media with effusion)(COME)は、鼓膜の穿孔を伴わない中耳の滲出(これは、3ヶ月間持続すると報告されている)として定義され得る。慢性化膿性中耳炎は、中耳からの持続性の排液を伴う、穿孔を有する鼓膜である。
「鼓膜切開後の急性耳漏(acute post−tympanostomy otorrhea)(APTO)」とは、本明細書中で使用される場合、化膿液の存在または炎症した中耳粘膜が中耳腔換気用チューブを配置した後に生じることにより特徴付けられる状態を指す。中耳腔換気用チューブの配置後の8週間未満持続する排液は、急性として分類される。
「真珠腫(cholesteaoma)」とは、本明細書中で使用される場合、中耳または乳様突起の表皮封入体嚢胞である。これは、そのケラチン形成する扁平上皮内層からの剥離した破片(主としてケラチン)を含む。内陥ポケット真珠腫の場合、「嚢胞」は、外耳道へと開放する。
本発明の別の局面において、処置されるべき個体は、感染性中耳炎に罹患しており、その感染因子は、1種以上の種の細菌を含み、処置の型は、細菌プロフィールに基づいて選択される。Streptococcus pneumoniaeおよびPseudomonas aeruginosaの両方が、中耳炎において一定の役割を果たすことが公知であり、急性中耳炎は、その症例のうち39%がStreptococcus pneumoniaeと関連し、慢性中耳炎は、PsudomonasおよびStaphylococcusの種に主に関連する。いくつかの実施形態において、処置レジメンは、見出される細菌プロフィールに基づいて改変され得る。セリンプロテアーゼHtrAは、Streptococcus pneumoniaeの毒性において一定の役割を果たすことが示されており、Pseudomonas aeruginosaは、α1−アンチトリプシン(AAT)を分解するメタロプロテイナーゼを分泌する。従って、本発明は、プロテアーゼインヒビターの選択の改変、ならびに処置されるべき個体において見出される細菌プロフィールに依存する投与量および期間を包含する。例えば、Pseudomonas aeruginosaによる感染に罹患している個体は、α1−アンチトリプシン(AAT)およびアイロマスタットの両方での処置から利益を受け得る。これらの細菌種の存在を決定する方法は、当該分野で公知であり、細菌培養は、当業者によって慣用的に実施される。慢性中耳炎を有する患者において、培養物は、関与する病原体を決定するため、ならびに種々の種類の抗生物質に対する感受性パターンを(特に、患者が以前に治療経過を失敗している場合に)決定するために、入手され得る。
いくつかの実施形態において、処置されるべき個体は、哺乳動物(例えば、ヒト)である。いくつかの実施形態において、上記個体は、イヌ、ネコ、またはウマである。
いくつかの実施形態において、個体(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)は、中耳炎を発症するリスクがある。リスクの指標は、当該分野で公知であり、それには、病歴が挙げられる。これらの実施形態において、α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットの投与は、発症を遅延させ、発症の際もしくは発症の間に疾患を軽減し、そして/または1つ以上の症状の持続期間を短縮する。いくつかの実施形態において、個体は、症状を発症しない。
(処置のための処方物)
本発明の処置方法は、有効量のα1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットを、処置されるべき個体に投与することを包含する。
ヒトプロテアーゼおよび細菌プロテアーゼは、中耳炎(OM)の病因において一定の役割を果たす。プロテアーゼは、細菌および白血球の両方により生成される。前者は、毒性因子であり得、宿主において感染の確立にとって重要である。白血球由来プロテアーゼは、細菌感染を予防または根絶するのを補助するが、OMにおける組織損傷に寄与し得、続発症または疾患の持続を引き起こす。
各種のプロテアーゼは、それ自体の種類のプロテアーゼインヒビターを有する。従って、セリンプロテアーゼインヒビター、メタロプロテアーゼインヒビター、システインプロテアーゼインヒビター、およびアスパギン酸プロテアーゼインヒビターが、存在する。すべての公知の天然に存在するプロテアーゼインヒビターは、微生物により分泌されるいくつかのもの以外は、タンパク質である。プロテアーゼ自体と同様に、そのインヒビターは、高度に保存された領域を含み、しばしば、ある種類におけるメンバー間で多大な相同性を有する。
OMに関与する最も良く研究されたプロテアーゼおよびそのインヒビターは、メタロプロテアーゼファミリーおよびセリンプロテアーゼファミリーのプロテアーゼおよびそのインヒビターである。マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)およびヒト好中球エラスターゼ(HNE)は、それぞれ、各ファミリーに由来する優勢な因子である。胃の酵素もまた、胃咽頭の逆流を介してOMの病因に寄与し得る。
セリンプロテアーゼインヒビターとしては正準(canonical)インヒビター、非正準(non−canonical)インヒビター、およびセルピンが挙げられる(例えば、Otlewski,J.,Krowarsch,D.およびApostoluk,.,Protein inhibitors of serine proteases、Acta Biochm Polonica,46:531〜565,1999を参照のこと)。正準(canonical)インヒビターは、基質結合部位においてプロテアーゼに結合し、その阻害機構は、理想的な基質の阻害機構と類似する。非正準(non−canonical)インヒビターは、プロテアーゼに結合して平行βひだシートを形成する、阻害N末端を含む。セルピンは、血漿中の主要プロテアーゼインヒビターであり、正準(canonical)インヒビターと類似する様式で結合するが、その作用機構は、単一のペプチド結合の切断を伴う。セルピンは、370〜390残基の保存ドメインを含む単鎖からなる、インヒビターのスーパーファミリーである(Potemka,J.,orzus,E.およびTravis,J.,The serpin superfamily of proteinase inhibitors:structure function,and regulation,J.Biol.Chem.269:15957〜15960,1994参照)。
α1−アンチトリプシン(AAT)は、セリンプロテアーゼインヒビターである。α1−アンチトリプシン(AAT)は、広範に研究されており、このタンパク質のアミノ酸配列は、Carrellら(Nature 298:329〜334,1982)により報告された。このタンパク質は、酵母において組換え方法により生成された。例えば、Brakeら、米国特許第4,752,576号、Travisら(1985)J.Biol.Chem.260:4384〜4389、および公開されたPCT出願WO02/50287を参照のこと。組換えα1−アンチトリプシン(AAT)は、本発明において使用され得るが、これは、α1−アンチトリプシン(AAT)欠乏個体の臨床的処置研究において使用されている。例えば、Hubbardら(1989)J.Clin.Invest.84:1349〜1354参照。従来の供給源(ヒト血漿)から得られるα1−アンチトリプシン(AAT)もまた、本発明において使用され得、これは、商標PROLASTIN(Bayer)の下で入手可能である。α1−アンチトリプシン(AAT)の主要な生理学的プロテアーゼ標的としては、好中球エラスターゼ、カテプシンG、マスト細胞カイメース、およびカリクレインが挙げられる。
α1−アンチトリプシン(AAT)および他のプロテアーゼインヒビターの機能的に活性な部分は、当該分野で公知であり、本発明の方法において使用され得る。さらに、機能的に活性な部分の活性を(単独であろうと、より大きな配列の状況であろうと)評価するためのアッセイが、公知である。そのネイティブ配列は、タンパク質が機能的に活性であるためには必ずしも必要ではないことが、当業者によって容易に理解される。例えば、望ましい機能を保持するそのタンパク質の一部が、使用され得る。これは、一般的には、1種以上のプロテアーゼを阻害可能であるタンパク質ドメインである。必要な機能が存在する限り、このような任意の配列が、使用され得、さらなる任意の配列が、提供され得る。その機能は、ネイティブタンパク質と同じ程度の高さである必要はなく、従って、いくつかの場合は、ネイティブタンパク質と比較して、減少していても、同じであっても、増加してさえもよい。
さらに、アミノ酸変化(置換、欠失、挿入、翻訳後修飾、およびアミノ酸アナログの使用を含む)が、そのタンパク質の生物学的活性も免疫学的活性も、損なうことも有意に減少することもなく、ネイティブタンパク質またはネイティブタンパク質の一部においてなされ得ることは、当該分野で十分に理解されている。単一のアミノ酸が、同じ電荷または疎水性を有する他のアミノ酸の代わりになり得る。他のアミノ酸は、そのタンパク質の機能を有意には変更することなく、種々の電荷または疎水性のアミノ酸で置換され得る。ネイティブ(すなわち、野生型)タンパク質と比較して、そのタンパク質の機能を増強する改変体を使用することもまた、企図される。置換に加えて、そのタンパク質の部分全体を、そのタンパク質の基本的生物学的機能を損なうことも有意に影響を与えることもなく欠失し得、または余分なアミノ酸を、その機能を損なうことも有意に影響を与えることもなく、挿入し得る。そのような変化は、進化によ生じる変化と類似しており、アミノ酸配列が異なる2つのタンパク質の類似性の程度は、PearsonおよびLipman(Pearson,W.R.およびLipman,D.J.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444〜2448,1998)により記載される方法のような定量的分析方法によって決定され得、その方法は、アミノ酸配列の相同性を比較し、保存された機能を共有する進化的ファミリーのタンパク質において頻繁に生じることが公知であるアミノ酸の置換を比較する。
上記のように、タンパク質であるプロテアーゼインヒビターの機能的に活性な部分は、本発明の方法において使用され得る。本発明において、プロテアーゼインヒビターの「機能的に活性な部分」は、プロテアーゼを阻害し、かつそのタンパク質のネイティブ形態またはネイティブ形態の一部と、同一であるかまたは少なくとも1アミノ酸異なるかのいずれかであるアミノ酸配列を有する、タンパク質である。アミノ酸配列がネイティブ形態と異なる場合、それにも関わらず、機能的に活性な部分は、例えば、PearsonおよびLipmanの上記比較アルゴリズムまたは当該分野で受容された他のそのような比較によって規定した場合に、同じ種に由来する他のどの天然ポリペプチドのアミノ酸配列に対してよりも、ネイティブ配列またはその一部に対して大きな類似性を有する。α1−アンチトリプシン(AAT)の機能的に活性な部分は、好中球エラスターゼ、カテプシンG、および/またはカリクレインを阻害するポリペプチドであり、このポリペプチドは、ネイティα1−アンチトリプシン(AAT)配列もしくはその一部と同一であるか、または例えば、PearsonおよびLipmanのアルゴリズムにより計算した場合に、他のどのネイティブヒトタンパク質に対してよりもネイティブα1−アンチトリプシン(AAT)配列もしくはその一部に類似する、アミノ酸配列を有する。本発明において使用され得るα1−アンチトリプシン(AAT)の機能的に活性な部分は、例えば、米国特許第6,068,994号および同第4,732,973号に記載される部分、ならびにA.Hercz,Proteolytic cleavages in alpha−one antitrypsin and microheterogeneity、Biochem.Biophys.Res.Comm.128:199〜203,1985に記載される部分が、挙げられる。ヒトAATは、本発明のために好ましい形態であり、ネイティブアミノ酸配列は、最も好ましい形態である。しかし、他の種由来の配列は、使用され得る。
メタロプロテアーゼのうち、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は、多数の正常状態および病理的状態において特に重要であることが見出されている。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、およびストロメリシンを包含し、類似する構造を有し、プロペプチド、アミノ末端ドメイン、フィブロネクチン様ドメイン、亜鉛結合ドメイン、およびC末端ドメインを有する。さらに、いくつかのメンバーは、膜貫通ドメインおよびα2Vコラーゲン様ドメインを組み込む。
アイロマスタットは、構造N−[2(R)−2(ヒドロキシアミドカルボニルメチル)−4−メチルペンタノイル]−L−トリプトファンメチルアミドを有する改変ジペプチドアナログを含む、非常に強力な合成マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビターである。例えば、Grobelnyら(1992)Biochemistry 31:7152〜4、Levyら(1998)J.Med.Chem.41:199〜223;およびGalardy,R.E.(1993)Drugs of the Future 18:1109〜1111を参照のこと。アイロマスタットは、例えば、AMS Scientific Inc.,PO Box 273269 Concord CA,94527から入手可能であり、商標名GALARDINの下で製造されている。これはまた、CalBiochemから入手可能である。
中耳炎の処置のための局所薬物および/または全身薬物の使用において考慮されるべき主要な要因は、耳毒性(すなわち、特定の物質が、外耳、中耳、そして特に内耳の組織に対して機能的損傷および細胞損傷を引き起こす傾向である。予期せぬことには、α1−アンチトリプシン(AAT)およびアイロマスタットの両方は、チンチラモデルにおいて、耳毒性を欠くことが示されている(実施例参照)。
α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットは、個体への投与のために適切な任意の処方物の状態で調製され得る。種々の投与経路のために適切な調製物は、当該分野で周知である。例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.,Mack Publishing(2000)参照。局所投与は、有用な投与経路であり、局所投与のための処方物は、当該分野で公知である。穿孔を有する鼓膜(TM)を有する個体の場合、局所投与は、非常に良好な送達を達成し得る。例えば、Ohyamaら(1999)Arch Otolaryngol Head Neck Surg 125:337〜340参照。粉末が、乾燥粉末ガス注入における使用のための処方物のために、本発明の方法のいくつかの実施形態において使用され得る。例えば、Roland(2002)Ear Nose and Throat J.81(補遺1):8〜10参照。賦形剤を含むかまたは含まない、α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットの乾燥粉末(例えば、凍結乾燥物)調製物が、使用され得る。点耳剤もまた、慢性化膿性中耳炎(CSOM)および他の型の中耳炎において種々の薬剤を送達するために一般的に使用される(例えば、ネオマイシン/ポリミクシンB/ヒドロコルチゾン耳懸濁物のために使用される点耳剤)。このような点耳剤はまた、α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットの送達のために使用され得る。耳スプレーもまた、機械的ポンプまたはエアロゾル化によって送達するために使用され得る。約5ミクロン、約10ミクロン、約20ミクロン、または約50ミクロン〜約50ミクロン、約100ミクロン、約150ミクロン、または約300ミクロンの範囲の液滴が、このような耳スプレーにおいて有用である。耳カテーテルもまた、中耳に処方物を送達するために使用され得る。当該分野で公知であるような、徐放剤もまた、使用され得る(例えば、生分解性ゲル、ペレット、錠剤、またはカプセル中に包埋したα1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタット)。
α1−アンチトリプシン(AAT)およびアイロマスタットが組み合わせて使用される場合、それらは、同じ処方物の状態または別個の処方物の状態で調製され得る。同様に、別の治療剤または待機剤が、α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットのいずれかまたは両方とともに使用される場合、それは、同じ処方物中で調製されても、異なる処方物中で調製されてもよい。
本明細書中に記載される発明の範囲内にあるのは、上記プロテアーゼインヒビターと1種以上のさらなる薬学的に活性な薬剤との組み合わせを含む、薬学的処方物の使用である。本発明において有用な薬学的に活性な薬剤としては、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗炎症剤(例えば、数あるうちでも、サリチル酸塩、コルヒチン、p−アミノフェノール、プロピオン酸、ピロキシカム、ケトロラック、ケトプロフェン、シクロオキシゲナーゼII型インヒビターおよびインドメタシン)、コルチコステロイド、環境をより酸性にして細菌にとって親切でなくするpH改変剤、耳中の水分を減少して耳を病原体にとって居心地悪くする乾燥剤、耳垢溶解剤、ならびに内耳の前庭機能不全(例えば、眩暈、平衡異常)を処置するために使用される薬剤(抗ヒスタミン剤またはスコポラミン)が挙げられるが、これらに限定されない。
コルチコステロイドとしては、例えば、ヒドロキシトリアムシノロン、αメチルデキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ジプロピオン酸、安息香酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、吉草酸クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、二酢酸ジフルオロゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、ピバリン酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルコルトロン、酢酸フルプレドニジン(フルプレドニリデン)、フランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、11−デソキシコルチゾール、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、二酢酸トリアムシノロン、トリアムシノロンヘキサアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フラドレノレンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびそのエステルの平衡、クロロプレドニゾン、クロコルテロン、ピバリン酸クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレネート、フルクロロニド、フルニゾリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、パラメタゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロンテブテート、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、モメタゾンフロエート、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
抗生物質としては、マクロライド抗生物質、ペニシリン、テトラサイクリン、セファロスポリン、キノロン、フルオロキノロン、ネオマイシン、ゲンタマイシイン、バンコマイシン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
臨床的には、マクロライド系抗生物質が、Streptococcus、Staphylococcus、およびPneumococcusによる感染を処置するために主に使用される。一般的に、マクロライド系抗生物質の毒性は、低い。マクロライド系抗生物質のエステルは、治療上重要になった。なぜなら、これらは、より高い血中レベルを迅速にもたらし、さらに、これらは、実際上臭いがなく、そして非常に安定であるからである。マクロライド系抗生物質は、大環状ラクトン環の大きさに従って分類される。マクロライド系抗生物質は、多官能性分子であり、そのほとんどは、少なくとも1つのアミン糖を有し、かつ塩基性である。
適切なマクロライド抗生物質としては、12員ラクトン環を有する抗生物質(例えば、メチマイシンおよびネオマチマイシン)が挙げられる。また、14員ラクトン環を有するマイクロライド系抗生物質も包含され、このうち、好ましい代表は、エリスロマイシン(Streptomyces erythreusから生成される)である。例としては、エリスロマイシンA、エリスロマイシンB、エリスロマイシンC、エリスロマイシンD、エリスロマイシンE、エリスロマイシンエストレート、エリスロノイド、およびクラリスロマイシンが挙げられる。14員ラクトン環を有するマクロライド抗生物質の他の例としては、メガロマイシンおよびその誘導体、ピクロマイシン、ナルボマイシン、オレアンドロマイシン、トリアセチル−オレアンドロマイシン;ならびに天然化合物であるラウカマイシン、クジマイシンA、アルボサイクリン、およびシネロマイシンBが挙げられる。
16員環を有するマクロライド系抗生物質としては、カルボマイシン(マグナマイシン(Magnamycin))およびその誘導体(すなわち、ナイダマイシン(niddamycin))、スピラマイシンおよびその誘導体、ロイコマイシンおよびその誘導体(すなわち、ミデカマイシン、マリドマイシン、チロシン、シラマイシンおよびユベニマイシン);ならびに天然代表物であるチャルコマイシン(chalcomycin)およびニュートラマイシンが挙げられる。より大きなラクトン環を有する(すなわち、26〜40員以上の環メンバーを有する)マクロライド系抗生物質の例としては、ピマリシン、ルセンソマイシン、ナイスタチイン(nystatin)、アンホテリシンB、ハミシン、カンジシジンAおよびカンジシジンB、カンジジンおよびレボリンが挙げられる。この群の有効性は、実際上は、もっぱら真菌および酵母に対する。
本発明に従って使用されるα1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットおよび/または他の薬剤の治療処方物は、望ましい純度を有するプロテアーゼインヒビターまたはインヒビターの組み合わせを、必要に応じた薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、または安定剤(Remington,The Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.,Mack Publishing(2000))と混合することによって、保存用に調製され得る。いくつかの実施形態において、そのような処方物は、凍結乾燥処方物または水溶液の形態であり得る。受容可能なキャリア、賦形剤、または安定剤は、使用される投与量および濃度ではレシピエントに対して非毒性である。受容可能なキャリア、賦形剤、または安定剤は、緩衝剤(例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸);塩(例えば、塩化ナトリウム);抗酸化剤(アスコルビン酸、トコフェロールおよびメチオニン、m−クレゾールが挙げられる);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン);単糖類、二糖類、および他の糖質(グルコース、マンノース、またはデキストリンが挙げられる);キレート剤(例えば、EDTA);糖類(例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール);塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性剤(例えば、TWEENTM、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG))を包含し得る。
徐放性調製物は、例えば、局所適用のためのゲルの形態で、調製され得る。
保存剤が、必要に応じて、本発明において使用される処方物中に含められて、その処方物の完全性を維持する。タンパク質と組み合わせて水相を含む処方物は、細菌および真菌による攻撃を受けやすいことが公知である。微生物増殖は、その処方物を汚染するのみならず、患者にとって、潜在的な毒性要因および感染源でもある。壊れた皮膚または炎症した皮膚に適用される局所処方物において、微生物増殖を最小限にすることは、特に重要である。微生物汚染に曝露された場合にいくつかのポリマーで報告されている粘性分解もまた、問題である。その処方物において有用な保存剤としては、例えば、クオタニウム、メチルパラベン、フェノール、p−ヒドロキシベンゾエート化合物、プロピレングリコール、プロピルパラベン、またはそれらの組み合わせが、挙げられるが、これらに限定はされない。他の有用な保存剤としては、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサマトニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノールが挙げられる。
インビボ投与のために使用されるべき処方物は、好ましくは、滅菌済みである。これは、例えば、滅菌濾過膜に通る濾過によって、容易に達成される。
本発明の方法において使用される処方物は、局所経路またはガス注入経路による投与のために、単位投与形態(例えば、粉末、溶液、ゲルベース投与単位、または懸濁物)であり得る。
吸入またはガス注入のための組成物は、薬学的に受容可能な水性溶媒もしくは有機溶媒またはそれらの混合物中の溶液および懸濁物、ならびに粉末を包含する。その液体組成物または固体組成物は、上記に示される適切な薬学的に受容可能な賦形剤を含み得る。いくつかの実施形態において、この組成物は、局所効果または全身効果のために、経耳経路、経口経路、または鼻呼吸経路によって、投与される。溶液組成物、懸濁物組成物または粉末組成物が、経耳投与、経口投与、または経鼻投与、または適切な様式でその処方物を送達するデバイスから投与され得る。さらなる送達経路は、当該分野において、例えば、Ohyamaら(1999)Arch Otolaryngol Head Neck Surg 125:337〜340において、見出され得る。
(α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットの投与、ならびに処置の評価)
α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットは、適切な任意の経路を介して個体に投与され得る。局所送達および乾燥粉末ガス注入は、上記のような穿孔を有する鼓膜(TM)の場合には、特に有効である。しかし、中耳の部位へと有効用量を提供する任意の経路が、当業者にとって明らかであるように、使用され得る。本明細書中に記載される例は、限定するものであることは意図されないが、利用可能な技術の例示であることが意図されることが、当業者にとって明らかである。いくつかの実施形態において、α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットは、1つより多くの経路(例えば、局所経路および全身経路)によって投与され得る。液体処方物は、点耳剤または耳スプレーとして送達され得るか、または当該分野で公知であるように、耳カテーテルを介して送達され得る。耳スプレーは、機械的ポンプによってか、またはエアロゾル化を介して、送達され得る。投与経路に依存して、液体処方物用の市販のネブライザ(ジェットネブライザおよび超音波ネブライザを含む)が、有用であり得る。液体処方物は、直接噴霧され得、凍結乾燥粉末は、再構成した後に噴霧され得る。あるいは、エアロゾル化処方物は、いくつかの投与形態で、フルオロカーボン処方物および計量ディスペンサーを使用して、または凍結乾燥粉砕粉末として、使用し得る。
特定の投与レジメン(すなわち、用量、時期、および反復)は、特定の個体およびその個体の病歴に依存する。本明細書中に記載される1種以上の薬剤の単回投与または反復投与が、投与され得る。数間以上にわたる反復投与について、その状態に依存して、処置は、疾患症状の望ましい抑制が発生するまで、または十分な治療レベルが達成されて、例えば、第2の中耳腔換気用チューブを配置する必要性のリスクが減少するまで、持続される。治療の進行は、従来技術およびアッセイによって容易にモニターされる。投与レジメンは、経時的に変化し得る。
本発明の目的のために、α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットの適切な投与量は、使用される組み合わせ(例えば、これらの薬剤のうちの一方もしくは両方、またはそれらの組み合わせ)、処置されるべき中耳炎の型および重篤度(その薬剤が、予防目的で投与されようと、治療目的で投与されようと)、以前の治療、患者の病歴、およびその薬剤に対する患者の応答、ならびに主治医の判断に、依存する。
代表的には、臨床医は、望ましい結果を達成する投与量に到達するまで、α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットを投与する。中耳へ送達されるべきα1−アンチトリプシン(AAT)の単回用量は、約0.1mg、1mg、3mg、5mg、8mg、10mg、もしくは20mgから、約1mg、3mg、5mg、8mg、10mg、20mg、もしくは50mgの範囲にあり得る。いくつかの実施形態において、α1−アンチトリプシン(AAT)の単回用量は、約0.1mg〜約50mg、または約1mg〜約20mg、または約1mg〜約10mg、または約3mg〜約8mg、または約5mgである。α1−アンチトリプシン(AAT)が、例えば、液体の形態で(例えば、点耳剤によって)送達される場合、例示的用量は、適切な液体キャリア中で50mg/mlのα1−アンチトリプシン(AAT)溶液100μlである。投与頻度は、1日1回、1日2回、または1日3回から、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、または1日6回までであり得る。いくつかの実施形態において、その投与頻度は、1日1回〜1日6回、または1日1回〜1日4回、または1日1回または1日2回である。投与頻度は、治療経過にわたって決定され調節され、それは一般的には、症状および臨床所見の処置および/または抑制および/または軽減および/または遅延に基づくが、必ずしもそうというわけではない。あるいは、α1−アンチトリプシン(AAT)の徐放処方物が、適切であり得る。従って、投与スケジュールはまた、投与の型および経路(例えば、徐放または耳カテーテルを介する継続注入)によって影響される。徐放を達成するための種々の処方物およびデバイスは、当該分野で公知である。一実施形態において、α1−アンチトリプシン(AAT)についての投与量は、初期投与の結果に基づいて、1回以上のα1−アンチトリプシン(AAT)投与を受けた個体において経験的に決定され得る。上記α1−アンチトリプシン(AAT)処方物は、適用(例えば、中耳腔換気用チューブ配置後の患者における予防のための、中耳炎に関連する炎症の処置)に依存して、1年間までの期間投与され得る。より高用量または低用量、ならびにより高頻度またはより低頻度の適用が、臨床医の判断で使用され得る。
中耳へと送達されるべきアイロマスタットの単回用量は、約0.1mg、1mg、3mg、5mg、8mg、10mg、もしくは20mgから、約1mg、3mg、5mg、8mg、10mg、20mg、もしくは50mgまでの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、アイロマスタットの単回用量は、約0.1mg〜約50mg、または約1mg〜約20mg、または約1mg〜約10mg、または約3mg〜約8mg、または約5mgである。このアイロマスタットは、例えば、液体の形態で(例えば、点耳剤によって)送達される場合、例示的用量は、適切な液体キャリア中50mg/mlのアイロマスタット溶液100μlである。その投与頻度は、1日1回、1日2回、または1日3回から、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、または1日6回までであり得る。いくつかの実施形態において、その投与頻度は、1日1回〜1日6回、または1日1回〜1日4回、または1日1回もしくは1日2回、または1日1回もしくは1日2回である。投与頻度は、治療経過にわたって決定され調節され、それは一般的には、症状および臨床所見の処置および/または抑制および/または軽減および/または遅延に基づくが、必ずしもそうというわけではない。あるいは、アイロマスタットの徐放処方物が、適切であり得る。徐放を達成するための種々の処方物およびデバイスは、当該分野で公知である。一実施形態において、アイロマスタットについての投与量は、初期投与の結果に基づいて、1回以上のアイロマスタット投与を受けた個体において経験的に決定され得る。上記アイロマスタット処方物は、適用(例えば、中耳腔換気用チューブ配置後の患者における予防のための、中耳炎に関連する炎症の処置)に依存して、1年間までの期間投与され得る。より高用量または低用量、ならびにより高頻度またはより低頻度の適用が、臨床医の判断で使用され得る。
本発明の方法に従うα1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットの投与は、継続的(例えば、徐放処方物による)であっても、断続的であってもよく、それは、例えば、患者の生理的状態、投与目的が治療目的であるかまたは予防目的であるか、および当業者にとって公知の他の要因に依存する。α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットの投与は、所定期間にわたって本質的に継続してもよいし、または間隔を空けた一連の投与(例えば、中耳腔換気用チューブ配置の前、間、もしくは後、中耳腔換気用チューブ配置の前、中耳腔換気用チューブ配置の間、中耳腔換気用チューブ配置の後、中耳腔換気用チューブ配置の前後、中耳腔換気用チューブ配置の間および後、あるいは中耳腔換気用チューブ配置の前、間および後)であり得る。
いくつかの実施形態において、α1−アンチトリプシン(AAT)単独が投与され、いくつかの実施形態において、アイロマスタット単独が投与され、いくつかの実施形態において、この2つのプロテアーゼインヒビターが組み合わせて投与される。後者の場合、この2つは、同時に、同じ経路または別々の経路によって、同じ処方物または別々の処方物にて、別々の時点で、同じスケジュールまたは別々のスケジュールで、あるいは、上記の任意の組み合わせで、投与され得る。上記に与えられた各薬剤の用量、頻度および期間は、治療効果を生じるために任意の組み合わせで合わされ得る。α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットはまた、上記のようなプロテアーゼインヒビターの有効性を増強および/または補完するように作用する他の薬剤と組み合わせて、使用され得る。
(有効性の指標)
処置効力は、当該分野で周知の方法によって評価され得る。効力の指標は、臨床的症状発現(例えば、耳圧痛の減少、耳痛の減少、安定な聴覚もしくは改善した聴覚(例えば、聴力図の結果において示される)、耳漏の解消、病原体の根絶、耳からの臭気の減少、手術の必要がないことまたはさらなる手術の必要がないこと、および疾患の将来の発達の防止)が挙げられる。生活の質の尺度もまた、効力を評価するために使用され得、これは、例えば、身体機能、身体の痛み、全身の健康、活力、および社会的機能である。本発明の方法が、鼓膜切開後の状況で予防的または治療的に使用される場合、効力の指標は、第2のチューブを配置する必要性がある確率の減少、インタクトな管、鼓膜切開後の中耳炎の可能性の減少、鼓膜切開後の中耳炎の重篤度の減少、および/または以前に列挙された効力の指標のいずれかである。鼓膜の視覚的検査もまた、処置の効力を判断するために使用され得る。例えば、耳顕微鏡検査が、炎症、紅斑、浮腫、および掻痒を評価するために使用され得る。滲出が存在する場合は、細菌培養が、実施され得る。他の臨床的指標は、当業者にとって公知である。
(キット)
本発明はまた、中耳炎の処置において使用するためのキットを提供する。キットは、本発明の組成物(例えば、α1−アンチトリプシンおよび/またはアイロマスタットを含む組成物、いくつかの実施形態においては、抗生物質およびステロイドを含む組成物)を、適切な容器中に含み、そして、上記投与および上記の方法における組成物の使用において必要であるかまたは有用な任意の物質をみ得る。本発明のいくつかの実施形態において、組成物が、容器中に提供され、必要に応じて、キットの他の構成成分から分離するため、かつ/または供給を容易にするためのさらなるパッケージ、およびその組成物の使用のための1組の指示書が、提供される。この指示書は、本発明の組成物の投与方法、示唆される投与量、および種々の形態の中耳炎のためのスケジュールを使用者に知らせる。指示書は、任意の形態であり得、例えば、別個の挿入物として、または容器もしくはパッケージに添付された標識上に、提供され得る。指示書は、本明細書中に記載される方法のいずれかについての指示を含む。いくつかの実施形態において、指示書は、中耳炎の処置におけるα1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットの使用に関する。いくつかの実施形態において、指示書は、中耳炎の処置におけるα1−アンチトリプシン(AAT)の使用に関する。いくつかの実施形態において、指示書はさらに、抗生物質および/またはステロイドの使用に関し、これらは、必要に応じて、中耳炎の処置のためにα1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットと組み合わせて、キット中に含まれ得る。いくつかの実施形態において、指示は、α1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットを用いる一定型の中耳炎を処置することに関し、その中耳炎の型は、再発性急性中耳炎(RAOM)、滲出性慢性中耳炎(COME)、鼓膜切開後の急性耳漏(APTO)、慢性化膿性中耳炎(CSOM)、および真珠腫からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、一定型の中耳炎の処置についての指示は、有効量の抗生物質を投与するための指示をさらに包含する。いくつかの実施形態において、指示は、哺乳動物の処置に関し、いくつかの実施形態において、指示は、ヒトの処置に関する。
本発明のキットの例示的な必要に応じたさらなる構成要素としては、再構成されるべき組成物のための希釈剤、ならびにα1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットの投与を容易にする構成要素、ならびにキットの他の構成要素(例えば、抗生物質および/またはステロイド)が挙げられる。
(実施例1)
(ヒト中耳炎におけるプロテアーゼレベル、ならびにα1−アンチトリプシン(AAT)および/またはアイロマスタットを用いたプロテアーゼの阻害)
(ヒト被験体およびサンプル収集) 中耳滲出液(MEE)サンプルを、中耳炎(OM)の処置について調査者に提示されたすべての同意した患者から収集した。ほとんどのサンプルは、チューブ配置を伴うかまたは伴わない、鼓膜切開時に、再発性急性中耳炎(RAOM)および滲出性慢性中耳炎(COME)について被験体から採取した。より一般的ではないが、サンプルを、鼓膜切開後の急性耳漏(APTO)または慢性化膿性中耳炎(CSOM)を提示した際に収集した。サンプルは、Juhn Tymp−Tap(Medtronic−Xomed,Jacksonville,FL)を用いて吸引した。吸引デバイスを、500μlの標準生理食塩水でリンスし、500μlの標準生理食塩水でサンプルを希釈し、調査者の実験室へと輸送するためにすぐに氷上に配置した。サンプルを遠心分離して細胞物質を除去し、その後、アリコートへと分割し、バッチ処理を実施し得るまで凍結した。
(プロテアーゼおよび阻害分析) 活性(aMMP)形態およびプロ酵素(pMMP)形態のMMP2およびMMP9を、ゼラチンザイモグラフィー技術を使用して測定した。MEEサンプル中に存在するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性(tMMPであるが、主に、MMP2およびMMP9)を、切断時にEllman試薬を減少する合成基質を使用する比色アッセイを使用して測定した。2つの異なる活性アッセイを使用した。これらのアッセイにより、異なる型およびレベルのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を検出したので、aMMPと、pMMPと、tMMPとの間の直接比較は、妥当であると見なさなかった。ヒト好中球エラスターゼ(HNE)活性を、標準的技術を使用して測定した。結果を、経時的な吸光度の変化(mAU/分)として表した。不十分なサンプルしか入手できなかった場合(例えば、不十分な浸出液または異常に濃い浸出液)、過度の活性レベルを有するサンプルを、連続希釈によって試験した。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性を、生理的に送達可能なレベルのアイロマスタットの存在下で測定した。ヒト好中球エラスターゼ(HNE)活性を、生理的に送達可能なレベルのrAATの存在下で測定した。rAATを、Travisら、J.Biol.Chem.260:4384〜4389(1985)によって本質的に記載されるとおりに、組換え酵母細胞において発現させ、カラムクロマトグラフィーによって精製した。
(統計分析) 分散分析を、酵素活性および平均活性阻害に対して実施して、診断間で活性、中耳の所見に差があるか否かを決定した。統計的に有意な差異が存在した場合、TukeyのLSD検定を実施した。3mAU/分よりも大きい酵素活性および30%より大きい酵素阻害を、臨床的に有意であると見なした。3mAU/分よりも大きい活性および30%より大きい阻害を有する患者の分布を、Fisherの正確検定を使用して試験して、診断間でこれらの分布に差異が存在するか否かを決定した。
(結果)
合計100人の患者を、研究に登録させ、分析用に144の中耳滲出液(MEE)を得た。研究対象は、主に、中耳腔換気用チューブ配置を経験している子供であり、研究年齢は、弱齢の子供にひどく偏った(表1)。雄被験体およびムコイド中耳滲出液(MEE)が、すべての診断グループの間で優勢であった。
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性およびヒト好中球エラスターゼ(HNE)活性は、劇的に変化した。有意なレベルのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)およびヒト好中球エラスターゼ(HNE)(>3mAU/分)が、それぞれ、中耳滲出液(MEE)の52%および37%において見出された。平均合計マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)レベルは、滲出性慢性中耳炎(COME)、再発性急性中耳炎(RAOM)、滲出性慢性中耳炎(COME)/再発性急性中耳炎(RAOM)および慢性粘膜炎(mucositis)においてよりも、鼓膜切開後の急性耳漏(APTO)において有意に(p=0.0032)高かった(表2)。診断の間で、aMMP2、aMMP9およびpMMP9の平均活性において、統計的に有意な差異は存在しなかった。pMMP2について、統計的に有意な差異(p=0.005)が存在、真珠腫についての平均活性は、他の診断の平均よりも有意に高かった。同様に、中耳滲出液(MEE)型の関数としてのaMMP2、aMMP9およびpMMP9の平均活性には、統計的に有意な差異は存在しなかったが、pMMP2の平均活性は、化膿性中耳滲出液(MEE)において有意に高かった(p=0.012)。これらの有意な結果の両方は、pMMP2の値が392,482である単一の被験体によって非常に影響を受けた。この被験体をこの分析から除いた場合、pMMP2について診断または所見の間で、有意な差異は存在しなかった。平均ヒト好中球エラスターゼ(HNE)活性レベルは、真珠腫、慢性粘膜炎、およびチューブ後の耳漏において、滲出性慢性中耳炎(COME)、滲出性慢性中耳炎(COME)/再発性急性中耳炎(RAOM)および再発性急性中耳炎(RAOM)、においてよりも有意に(p<0.0001)高かった(表2)。
全体的に、アイロマスタットは、64%のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性を示し、rAATは、75%のヒト好中球エラスターゼ(HNE)活性を示した。アイロマスタットおよびrAATは、それぞれ、中耳滲出液(MEE)の80%および82%において有意な阻害(>30%減少)を示し、それぞれ、有意なレベルのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性およびヒト好中球エラスターゼ(HNE)活性(すなわち、>3mAU/分)を示した(表3)。診断の間で、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の平均阻害において、統計的に有意な差異(p=0.001)が存在した。滲出性慢性中耳炎(COME)、滲出性慢性中耳炎(COME)/再発性急性中耳炎(RAOM)および再発性急性中耳炎(RAOM)の間でも、または真珠腫、慢性化膿性中耳炎(CSOM)および鼓膜切開後の急性耳漏(APTO)の間でも、阻害に差異は存在しなかった。しかし、後者は、前者よりも高い平均阻害パーセントを有した。ヒト好中球エラスターゼ(HNE)活性の分析は、診断の間で、平均活性阻害において有意な差異(p<0.0063)が存在することを示し、滲出性慢性中耳炎(COME)/再発性急性中耳炎(RAOM)は、他の診断よりも有意に低い阻害しか示さなかった。
本発明者らの調査の最終的な目標は、中耳炎(OM)における、プロテアーゼインヒビター、rAATおよびアイロマスタットのヒト治療上の有用性を評価することである。この目標に向かって、本発明者らは、これらのプロテアーゼインヒビターの不在および存在をもたらすマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性およびヒト好中球エラスターゼ(HNE)活性を測定した。本発明者らは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性およびヒト好中球エラスターゼ(HNE)活性が、広範な範囲のヒト中耳炎(OM)において一般的に存在することを観察した。驚くべきではないが、好中球由来ヒト好中球エラスターゼ(HNE)が、化膿状態(例えば、真珠腫、慢性化膿性中耳炎、および鼓膜切開後の急性耳漏)において、より高レベルで見出された。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は、宿主供給源および細菌供給源の両方に由来するが、異なる型の中耳炎(OM)の間では、有意には変化しなかった。
本発明者らは、有意なレベルのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性およびヒト好中球エラスターゼ(HNE)活性を有する中耳滲出液(MEE)が、アイロマスタットおよびrAATにより阻害されることを観察した。
これらの知見は、ヒト被験体におけるこれらの使用のための治療効力が存在することを示唆する。アイロマスタットは、多数の生物学的系(動物創傷治癒モデルおよび細菌性角膜炎についてのヒト臨床試験を含む)において活性を示している、広範なスペクトルのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビターである。注入されたヒト血漿由来AAT(α1−アンチトリプシン)(ProlastinTM、Bayer Corporation)は、AAT(α1−アンチトリプシン)欠乏に続く気腫の処置において安全でありかつ効力を有することが示されている。同様に、rAATもまた、AAT(α1−アンチトリプシン)欠乏である患者に対して吸入により投与された場合に、安全であることが以前に示されている。局所投与されるProlastinTMもまた、ヒトアトピー性皮膚炎の処置において有益な効果を有することが示されており、注入されるProlastinTMはまた、新生児呼吸窮迫症候群の治療において好都合であるがわずかな影響を有することが示されている。局所投与されるrAATおよびアイロマスタットは、非耳毒性であることが最近示された。従って、中耳炎の処置についてのこれらの薬剤の安全性および効力に関する臨床試験においてrAATおよびアイロマスタットを使用することが、考慮されるべきである。
(表1.被験体の人口統計学および液体の特徴)
Figure 2006510657
Figure 2006510657

年齢は、年で示され、標準偏差が、括弧内に示される。
(表2.診断による酵素活性)
Figure 2006510657
Figure 2006510657

マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の値は、活性形態(a)およびプロ酵素(p)形態、型(2および9)ならびに合計(t)について示される。ヒト好中球エラスターゼは、HNEとして示される。標準偏差が、括弧内に示される。
平均活性(および範囲)が、mAU/分で示される。
(十字) >3mAU/分の活性を有するサンプルのパーセンテージ。
(表3.酵素活性の阻害)
Figure 2006510657
Figure 2006510657

*酵素活性が>30%阻害されたサンプルのパーセント
(十字) 平均阻害。標準偏差が、括弧内に示される。
(実施例2)
(AAT(α1−アンチトリプシンは、チンチラにおいて、実験的に誘導された中耳感染の回復時間を減少する)
急性中耳炎の動物モデルにおけるrAATの耳投与の治療的利益を、チンチラにおいて評価した。すべての研究動物に、まず、麻酔して、ベースラインの治癒試験(エレクトロコキレオグラフィー(electrocochleography)およびティンパノメトリー)ならびに細菌Streptococcus pneumoniae)が中耳を覆う薄い骨(後部胞(dorsal bulla))を通して注射されて両側で中耳感染を誘導するのを可能にした。その炎症が3〜4日間の間確立されるのを可能にした後、耳を、中耳炎症の重篤度について等級付けた。それらの耳の半分に、α1−アンチトリプシン(100mg/ml)を注射し、もう半分に、生理食塩水を注射した。すべての動物に、全身的な抗菌処置(エンロフロキサシン)を与えた。鼓膜を、耳顕微鏡およびティンパノメトリーによって、麻酔下にて、2日毎に16日間、連続して試験した。以下の表に従って、評価を定量的に行った。
Figure 2006510657

聴覚評価もまた、この研究を通して実施し、そしてこの研究の最後に安楽死させた後に、側頭骨標本を、組織学的分析のためにすべての耳から得た。
この研究からの結果は、rAAT処置した耳およびコントロール処置した耳において、可聴閾値の変化に差異は存在しなかったことを示した。このことは、rAATの耳投与に関連して、有意な耳毒性が存在しなかったことを示した。しかし、より重要なことには、耳顕微鏡データ(これは、鼓膜の臨床的観から誘導される中耳の炎症の評価である)は、rAATが、生理食塩水よりも迅速に炎症プロセスを緩和したことを示した。以下の表を参照のこと。
Figure 2006510657

本実施例は、rAATの単一適用が、中耳炎の臨床的症状発現の解消時間を、26日間から22日間へ減少したことを示した。
(実施例3)
(プロテアーゼインヒビターであるAAT(α1−アンチトリプシン)およびアイロマスタットは、チンチラにおいて毒性ではない)
この研究の目的は、中耳中に点滴注入された場合のプロテアーゼインヒビターの安全性を、そのヒト治療剤として潜在的に使用する目的で、評価することであった。チンチラモデルにおける、予測的な、無作為化され、制御された試験。チンチラは、耳毒性の研究のために研究者によって広範に使用されている。
ベースライン聴覚試験およびエウスターキオ管の両側経口蓋閉塞(ETO)が完了した後、チンチラに、プロテアーゼインヒビター(α1−アンチトリプシン、アイロマスタット、もしくはその両方)、ビヒクル、または生理食塩水の経頬(transbuccal)注射を毎週1回与えた。1ヵ月後、聴覚を試験し、動物を屠殺した。側頭骨組織学検査を実施した。
すべての処置グループは、クリック(click)および音(tone)を使用してすべての尺度について長期間聴覚の統計的に有意ではない平均損失(0db)を示した(すべての条件について、p>0.15)。すべての処置グループは、互いに統計的に有意には異ならなかった(p=0.5625)。炎症状態についてのヒト臨床試験において現在研究中のプロテアーゼインヒビターは、チンチラの内耳に対して、有意な毒性効果を有さなかった。これらの所見は、中耳炎症を処置するためにこれらのインヒビターを使用するさらなる臨床試験の安全性を支持する。
いずれかの性別の400g〜600gの合計96匹の健常な成体チンチラを、この実験において使用した。この研究に入る前に、すべての動物を、耳顕微鏡検査的によって中耳の病理を有さなかった。すべての動物に、聴覚試験を行い、エウスターキオ管の両側経口蓋閉塞(ETO)を行い、その後、生理食塩水もしくはビヒクル溶液を、プロテアーゼインヒビターとともに、またはプロテアーゼインヒビターを伴わずに、即時に経頬(transbuccal)注射(中耳の後ろ側を覆う薄い骨を通す)を行った。従って、以下の5つの処置グループが存在した:生理食塩水、ビヒクル溶液、ビヒクル+α1−アンチトリプシン(100μg/ml)、ビヒクル+アイロマスタット(100μg/ml)、およびビヒクル+α1−アンチトリプシン+アイロマスタット(各々100μg/ml)。その後、毎週1回、動物に、耳試験のために軽い麻酔を与え、中耳液を経頬(transbuccal)サンプリングし、そして生理食塩水またはビヒクル+/−プロテアーゼインヒビターの経頬(transbuccal)再注射をした。ETOの1ヵ月後、動物に麻酔し、中耳液を取り出し、聴覚試験を実施した直後に屠殺した。側頭骨を、組織学的分析のために収集した。
(溶液調製) バルクの約%のα1−アンチトリプシンは、以下の成分から構成され
KCl 200mEq/L
リン酸ナトリウム 0.02M
クエン酸ナトリウム 0.005M
N−アセチル−システイン 0.005M
pH 7.5±0.2
組換えα1−アンチトリプシン 51.65mg/ml。
耳溶液(1%α1−アンチトリプシン)を、バルクの約5%溶液を以下のように希釈することによって構成した:
α1−アンチトリプシン(51.65mg/ml) 20mL
クオタニウム(Quaternium) 15 0.02mL
緩衝液(pH7.4)50mM KCl 79.98mL。
アイロマスタットを、α1−アンチトリプシンを置換することによって調製した。ビヒクルを同様に調製したが、いかなるプロテアーゼインヒビターも添加しなかった。注射可能な0.9%の通常の生理食塩水を、非処置コントロールとして使用した。
(エウスターキオ管の閉塞(ETO)) 両側ETOを、Paparellaおよびその同僚によって記載されたような、経口経口蓋(transpalatal)アプローチを用いて実施した。簡単に述べると、口蓋を分け、エウスターキオ管の開口部を無造作に触診した。この開口部の粘膜を除去し、深部組織を焼灼し、管腔に、Gelfoamスポンジを充填した。口蓋を、ポリグリコール酸縫合糸の単層を用いて再接近させた。
(聴覚評価) 可聴閾の評価を、エレクトロコキレオグラフィー(electrocochleography)を使用して実施した。針電極を、胞(bullae)(参照)、頭頂(vertex)(活性)および首(接地)の上に配置した。エレクトロコキレオグラフィー(electrocochleography)の閾値を、4kHz、8kHz、12kHzおよび16kHzのクリック(click)および電子音(tone pip)について測定した。刺激の生成を、SigGenTMおよびAe TMソフトウェア(Tucker−Davis Technologies,Gainesville,FL)およびEtymotic変換器(ER−2、Elk Grove Village,IL)を備えた聴覚電気生理学ワークステーションによって、実行した。刺激を、耳輪脚のすぐ内側の外耳道中に配置した挿入イヤホン管を用いて導入した。可聴閾を、最大100dBから、波形が消えるまで、刺激強度を5dB区切りで減少させることによって、評価した。その時点で、刺激強度を、5dB区切りで、波形が再び現れるまで増加させた。
閾値の測定を、ETOの後、試験物質に1ヶ月間曝露した後に最終的な中耳吸引を行った直後に、行った。検出上限を超える(すなわち、>100dB)どの可聴閾にも、値118dBを与えた。
(中耳サンプリング技術) 中耳液を、以前に記載したようにサンプリングした。サンプルを、上部胞(superior bulla)から下部胞(inferior bullar)まで鼓膜に対する外傷を避けて15ゲージ針に注意深く通して、ポリエチレンカテーテルを通して吸引した。第2の23ゲージ針は、上部胞(superior bulla)を通って、吸引の間の鼓膜の穿孔を防止した。上部胞(superior bulla)は、中耳吸引の前にヨウ化ポビトン(povidone−iodine)を用いて調製した。耳顕微鏡検査を、吸引後に反復して、鼓膜の完全性を証明した。
(麻酔) 動物に、ETO手術、中耳液サンプリングを伴う耳検査、および聴覚試験のために麻酔した。手術および聴覚試験のための麻酔は、筋肉内ケタミン(50mg/kg)およびキシラジン(5mg/kg)で誘導した。動物に、吸収イソフランによって、耳検査および中耳液サンプリングのための麻酔を行った。動物を、足指つまみ(toe pinch)に対する応答がなくなるまで、イソフランおよび酸素を含む麻酔チャンバ中に配置した。麻酔を、鼻マスクによって、イソフランおよび酸素を吸入させて動物で維持した。
(中耳炎症の評価) 耳顕微鏡検査を、中耳の吸引および再注射の前および後に週に1回実施した。中耳液サンプルを、チョコレート寒天上で、10% CO中37℃にて、18〜24時間培養した。種分化は、慣用的には実施しなかった。鼓膜の炎症(混濁化または紅斑)を示し、2つの連続中耳液培養物において細菌増殖を示すどの耳も、中耳炎を有すると見なした。
(側頭骨組織学) 最終聴覚評価の後、動物を安楽死させた。側頭骨を、各グループの2匹の動物から取り出し、10%緩衝化ホルマリン中に固定し、Schuknechtにより記載されるように処理した。標本を、セロイジン中に包埋し、上部から下部まで20μmで水平切片化した。10個の切片ごとに、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、顕微鏡試験した。
(統計分析) 主な結果の尺度は、エレクトロコキレオグラフィー(electroc
ochleography)の閾値であった。機器検出限度を超える(>100db)聴覚評価の耳には、値118dbを与えた。これらの打ち切り値(censored value)を、統計分析のための測定値として処理した。データの品質を、処置の前の閾値と処置後の閾値との間の差異を示す診断プロットを使用して、評価した。
分散多変量分析(MANOVA)を使用して、処置グループ間の有意な差異について試験した。これらのグループを、5つの因子レベルについてのすべての測定(クリック(click)および音(tone))について規定した(すなわち、異なる処置グループ)。この試験は、多変量レベルで行い、すべての測定についての全体的差異を検出した。この差異がすべての測定については生じない場合、ANOVAは実施しなかった。多変量t検定を使用して、聴覚の臨床的低下(0db)を試験した。
(結果)
この実験は、96匹の動物を用いて開始した。
中耳滲出の持続性が、耳顕微鏡におけるメニスカス、B型もしくはC型のティンパノグラム、または中耳サンプリングにおける液体の回収によって、示された。最終処置日における中耳滲出の持続が、生理食塩水を注射した耳の88%、ビヒクルを注射した耳の96%、α1−アンチトリプシンを注射した耳の100%、アイロマスタットを注射した耳の83%、およびα1−アンチトリプシンとアイロマスタットとを組み合わせて注射した耳の94%において観察された。
すべての処置グループは、すべてのクリック(click)および音(tone)について、長期間聴覚の統計的に有意ではない平均損失(0db)を示した(α1−アンチトリプシンについてp=0.20;α1−アンチトリプシンとアイロマスタットとの組み合わせについてp=0.15;アイロマスタットについてp=0.29;生理食塩水についてp=0.21、およびビヒクルについてp=0.71)。さらに、すべての処置グループにおける聴覚は、互いに統計的に問題ない程度にしか異ならなかった(p=0.5625)。これらの差異は、有意ではなかった。
本発明者らの知見は、これらのプロテアーゼインヒビターが、チンチラの炎症していない中耳に慢性適用した場合でさえ、毒性がないことを示唆する。
チンチラは、耳毒性の研究のために研究者によって広範に使用されている。感染していないチンチラの内耳は、中耳への種々の薬剤の適用(例えば、酢酸、およびヒトにおいて慢性化膿性中耳炎を処置するために一般的に使用されている他の耳局所調製物)に対して極めて感受性が高い。炎症していないチンチラの耳は、耳毒性効果に対して偏向する傾向がある。本発明者らは、両側エウスターキオ管機能不全を誘導して、プロテアーゼインヒビターの中耳からのクリアランスを遅くし、あったとしても最小限の炎症しか、これらの動物の耳において観察されなかった。従って、α1−アンチトリプシンおよび/またはアイロマスタットに4週間曝露したチンチラにおける聴覚の安定性は、これらの薬剤が、ヒトにおいて安全である可能性があることを強く示唆する。
本明細書中に記載される実施例および実施形態は、単に例示目的のためだけのものであること、そしてその種々の改変または変化が、当業者に示唆され、本出願の趣旨および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されることが、理解される。本明細書中に引用されるすべての刊行物、特許および特許出願は、すべての目的のために、個々の刊行物、特許または特許出願の各々が、あたかも具体的かつ個別に参考として援用されることが示されたかの如く、その全体が参考として本明細書中に援用される。
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