JP2006510373A - 細菌における形質の並列染色体スタッキング - Google Patents

細菌における形質の並列染色体スタッキング Download PDF

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Abstract

本発明は、ファージ形質導入システムを使用する、組み換え堪能(recombination proficient)宿主における形質のスタッキング方法を説明する。該方法は、遺伝因子の挿入および形質のスタッキングのために、宿主 染色体上の特異的部位と相同性を有する核酸組み込みカセットを使用する。該方法の繰り返しは、1つの遺伝因子上に、形質がスタッキングされる結果となる。

Description

関連出願との関係
本出願は、2002年12月19日出願の米国仮出願第60/434,773号の利益を主張する。
本発明は、微生物学の分野である。さらに具体的には、本発明は、in vivo染色体操作と関係がある方法に関する。
発明の背景
完全な細菌ゲノム配列を入手でき、また代謝経路が解明された結果、微生物が産業上重要な化合物を産生するように操作するために、このような知識が使用されるに至った。微生物の産業用化合物の産生には、該生物の、ゲノムに対する変更を効率よく操作できることが必要である。変更操作たとえば遺伝因子の付加、除去、または修飾は、多くの場合、骨が折れ、また多くの時間を要する課題であった。1つのこのような修飾は、代謝経路における関連遺伝子の発現に対する、遺伝子工学的調節である。
遺伝子発現を調節するための、様々な方法がある。微生物代謝工学は、一般に、強力なプロモーターまたは条件プロモーターの制御下にある当該遺伝子を発現させるために、マルチコピーベクターを使用することを含む。工業的使用のための代謝工学のこの方法は、幾つかの欠点を有する。分離不安定性(segregational instability)のため、該ベクターを維持することが困難な場合がある。ベクター負荷(vector burden)に起因する、細胞の生存能力および増殖に対する悪影響がしばしば認められる。ベクター上の所望の遺伝子の最適発現レベルを調節することもまた困難である。マルチコピーベクターを使用することの望ましくない影響を回避するために、バクテリオファージλ、トランスポゾン、または当該遺伝子を含む他の適当なベクターの単挿入による、相同組み換えを使用する一般手法が使用されてきた。しかし、この方法もまた、組み換えの前に、当該遺伝子を適当なベクターに入れるために、多数のクローニング工程を必要とする等の欠点を有する。もう1つの欠点は、挿入された遺伝子と関連した不安定性であり、これは、切除により失くすことができる。最後に、これらの方法には、多数の挿入および染色体上の挿入部位の位置を制御できないことと関連した制限がある。
以前の方法は、染色体に多数のDNA修飾を加えるために開発されたが、これらは、ランダムに組み込まれ、また当該遺伝子を挿入するためには多数のクローニング工程を必要とするトランスポゾン(非特許文献1)か、またはやはり多数のクローニング工程を必要とするベクター(特許文献1)を使用し、全遺伝子またはプロモーター配列の挿入、欠失、および組み込まれたトランスポゾンを含む、全てのタイプの染色体修飾に適用できるわけではなかった。さらに、染色体に指定された修飾を加えるための組合せ手法とは対照的に、これらの方法は、系統的手法を利用して、未定義の遺伝子座に多数の変更を加えてきた。
国際公開第01/18222号パンフレット パーデルチャク(Perdelchuk),M.Y.およびベネット(Bennett),G.N.、1997年、Gene、187:231−238
したがって、解決すべき問題は、細菌、たとえば大腸菌(E.coli)における最適レベルの産物形成への到達を促進する様式で、1菌株で、任意の数の染色体操作方法によって引き起こされる、染色体の修飾を容易に組み合せる方法および材料を明確にすることである。本発明は、直線的、段階的、および並列組み合わせ様式で、染色体の変化を組み合せるために、P1形質導入および部位特異的リコンビナーゼ仲介マーカー切除を使用する方法を提供することにより、この問題を解決した。本方法は、生合成経路最適化と関連した、容易でかつ能率的なin vivo染色体操作を可能にする。
本方法は、標的in vivo染色体操作によって、生合成経路をデザインし直し、代謝フラックスを最適化し、新規な経路を創出するのに有用な遺伝学的ツールである。該方法は、相同的組み換えシステムを使用して、組み込みカセットを組み換え堪能宿主細胞(recombination proficient host cell)の染色体に導入し、次にファージ形質導入システムを使用して、多数の組み込みカセットを、並列組み合わせ様式で、1つの宿主細胞に移動させる。染色体の修飾を設計するために使用される「組み込みカセット」は、プロモーターおよび/または遺伝子、および部位特異的リコンビナーゼ配列に挟まれた選択マーカーを包含する。最適化された形質導入体の選択後、部位特異的リコンビナーゼを担持するヘルパープラスミドを細胞に導入して、部位特異的リコンビナーゼ部位により結合された選択可能マーカーを切除する。該方法の繰り返しは、生合成経路最適化に必要な、組み合わせ(多重遺伝子)形質スタッキングを容易にする。
該方法を使用して、生合成経路の特注設計において、プロモーターのほかにも、様々な遺伝因子を操作することができる。該手法は、特定の一遺伝子の単なる高発現というよりむしろ、工業的に有用な微生物菌株を構築するのに適当である。代謝バランス、生産性、制御、安定性、およびある特定の経路の遺伝子の最適発現に関して、該手法は、組み換えベクター手法のみに基づく代謝工学と比較するとき、多くの利点および利益を有する。例として大腸菌(E.coli)を使用して、本方法を説明するが、本方法は、他の細菌株でも有用なことが分かるはずである。
本方法は、所望の遺伝子最終産物の最適産生のための、迅速な染色体の形質スタッキングを可能にする。多数の染色体修飾を容易にする方法は、工業目的で生合成経路を操作するときに不可欠である。細菌の生合成経路の操作における、本方法の有用性は、イソプレノイド生合成およびカロテノイド生合成を変えることにより実証される。イソプレノイド経路に含まれる律速酵素をコードする重要な遺伝子のプロモーター(図1)を、新規な方法で操作した。本発明によって遂行される遺伝子修飾は、結果としてβ−カロテン産生増加をもたらした。
したがって、本発明は、
a)(i)核酸組み込み断片、
(ii)リコンビナーゼに敏感に反応する特異的リコンビナーゼ部位により結合された選択可能マーカー、
(iii)ドナー細胞染色体の異なる部分と相同性を有するホモロジーアーム、
を含んでなる、多数の組み込みカセットを提供し、
b)少なくとも1つのドナー細胞を、その染色体の組み込みのために(a)の組み込みカセットで形質転換し、
c)(b)の形質転換されたドナー細胞を、ファージに感染させ、ここで該ファージは複製し、該ドナー細胞は溶解され、
d)(c)のドナー細胞の溶解によって放出されたファージを単離し、
e)(a)の異なる組み込みカセットを担持する(c)のドナー細胞の溶解によって放
出された、単離されたファージを混合し、
f)受容細胞を、(e)の単離されたファージの混合物に感染させ、ここで組み込みカセットはそれぞれ、ホモロジーアームと相同な位置で受容細胞染色体に組み込まれて、形質導入された受容細胞を生じ、
g)形質導入された受容細胞を、選択可能マーカーに基づいて、選択し、
h)第1の過剰生産菌株を同定するために、遺伝子最終産物の最高レベルについて、(g)の受容細胞をスクリーニングし、
i)該染色体に組み込まれた組み込みカセットから選択可能マーカーを切除する、(h)の第1の過剰生産菌株におけるリコンビナーゼを活性化し、
j)(i)の第1の過剰生産菌株を、(e)の単離されたファージの混合物に感染させ、ここで各組み込みカセットは、ホモロジーアーム上の相同点で受容細胞染色体に組み込まれ、
k)第2の過剰生産菌株を同定するために、遺伝子最終産物の最高レベルについて、(j)の感染した第1の過剰生産菌株をスクリーニングし、そして
l)第1および第2の過剰生産菌株により産生された遺伝子最終産物のレベルを比較し、それによって遺伝子最終産物の産生が最適化されることを含んでなる、遺伝子最終産物の産生を最適化する方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、
a)(i)プロモーター、
(ii)リコンビナーゼに敏感に反応する特異的リコンビナーゼ部位により結合された選択可能マーカー、
(iii)P1ドナー細胞染色体の異なる部分と相同な領域、
を含んでなる、多数の組み込みカセットを提供し、
b)少なくとも1つのドナー細胞を、その染色体の組み込みのために(a)の組み込みカセットで形質転換し、
c)(b)の形質転換されたドナー細胞を、P1ファージに感染させ、ここで該ファージは複製し、該ドナー細胞は溶解され、
d)(c)のドナー細胞の溶解によって放出されたファージを単離する工程;
e)(a)の異なる組み込みカセットを担持する(c)の一組のドナー細胞の溶解によって放出された、同数の単離ファージを混合し、
f)受容細胞を、(e)の単離されたファージの混合物に感染させ、ここで組み込みカセットはそれぞれ、ホモロジーアームと相同な位置で受容細胞染色体に組み込まれ、
g)形質導入された受容細胞を、選択可能マーカーに基づいて選択し、
h)第1の過剰生産菌株を同定するために、遺伝子最終産物の最高レベルについて、(f)の受容細胞をスクリーニングし、
i)該染色体に組み込まれた組み込みカセットから選択可能マーカーを切除する(h)の第1の過剰生産菌株におけるリコンビナーゼを活性化し、
j)(i)の第1の過剰生産菌株を、(e)の単離されたファージの混合物に感染させ、ここで各組み込みカセットは、ホモロジーアーム上の相同点で受容細胞染色体に組み込まれ、
k)第2の過剰生産菌株を同定するために、遺伝子最終産物の最高レベルについて、(j)の感染した第1の過剰生産菌株をスクリーニングし、そして
l)第1および第2の過剰生産菌株により産生された遺伝子最終産物のレベルを比較し、それによって遺伝子最終産物の産生が最適化され、
を含んでなる、遺伝子最終産物の産生を最適化する方法を提供する。
生物学的寄託
下記の生物学的寄託は、特許手続きのための微生物寄託の国際認識に関するブダペスト条約の条項に従って行われてきた。
本明細書で使用されるとき、「ATCC」は、米国20110−2209 バージニア州マナッサス・ユニバーシティ・ブルーバード10801(10801,University Blvd.,Manassas,VA 20110−2209,USA)のATCCにあるアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション国際寄託機関(American Type Culture Collection International
Depository Authority)を指す。「国際寄託名称(International Depository Designation」は、ATCCに寄託した際の該培養への受入番号である。
リストに記載されている寄託物は、表示された国際寄託機関で少なくとも30年間維持され、それを開示する特許が付与された時に、一般に公開される。政府の措置によって付与される特許権の特例で、寄託物の利用可能性は、主題の発明を実施する許諾の構成要素とならない。
下記の配列は、37C.F.R.1.821−1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を含む特許出願の必要条件−配列規則(Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures−the Sequence Rules)」に従い、また、世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization(WIPO))基準ST.25(1998)ならびにEPOおよびPCT(規則5.2および49.5(a−bis)、および実施細則の208条および付則C)の配列リスト必要条件と一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データに使用される符号および書式は、37C.F.R.§1.822に記載の法則に従う。
配列番号1〜12は、パンテア・スチュワーティ(Pantoea stewartii)カロテノイド遺伝子群由来の遺伝子をコードする核酸およびアミノ酸配列である。
配列番号13〜32は、組み込み断片を創出するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
配列番号33〜34は、パンテア・スチュワーティ(Pantoea stewartii)由来のカロテノイド遺伝子群を増幅するためにデザインされたオリゴヌクレオチドプライマーである。
配列番号35〜39は、染色体に組み込まれた断片の存在についてスクリーニングするために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
配列番号40は、プラスミドpPCB15のヌクレオチド配列である。
配列番号41は、プラスミドpKD46のヌクレオチド配列である。
配列番号42は、プラスミドpSUH5のヌクレオチド配列である。
配列番号43は、バクテリオファージT5プロモーター「PT5」のヌクレオチド配列である。
本発明は、本出願の一部を形成する、下記の詳細な説明および添付の配列記述から、さらに十分に理解することができる。
本発明は、所望の遺伝子最終産物の産生を最適化するために、微生物内に多数の染色体修飾を効率よく組み合わせる方法を提供する。該方法は、生合成経路と関係があることが分かっている個々の遺伝子に対する、染色体により操作する変更から始まる。この第1工程は、λ−Red仲介相同的組み換えを使用して、天然遺伝子プロモーターを、強力なファージT5プロモーター(PT5)と置換することにより、イソプレノイド生合成経路における遺伝子に対する変更を、染色体により操作することによって実証される。
λ−Redリコンビナーゼシステムは、標的組み込み部位と相同の短い領域(10〜100塩基対)(「ホモロジーアーム」)を有する線状DNA断片を使用して、能率的な相同的組み換えを容易にする。染色体の修飾を操作するために使用される、該組み込み断片は、「組み込みカセット」と呼ばれ、プロモーターおよび/または遺伝子、および部位特異的リコンビナーゼ配列に挟まれた選択マーカーを含む。形質転換体は、選択可能マーカーの組み込みにより、同定される。
好ましい実施形態では、該バクテリオファージP1形質導入システムが使用される。従来のP1形質導入は、遺伝形質(すなわち遺伝子)を一度に1つだけ、ある宿主から別の宿主に移動させることができる。本発明は、選択マーカーを除去するための部位特異的リコンビナーゼと組み合せて、プールしたバクテリオファージP1混合物を使用して、並列組み合わせ様式で、多数の遺伝形質を大腸菌(E.coli)宿主に移動させる方法を提供する(図2)。
図2を参照すると、様々な形質転換体(ドナー細胞)を、ファージP1に感染させる。結果として生じる、様々な個々の形質転換体から作られるP1溶解産物を、混合する。組み込み断片を、ファージ粒子内にランダムに入れ、これを、次に、通常はドナー細胞と同じ種の、受容細胞を感染させるのに使用する。形質導入および相同的組み換えが起こり、予め修飾されたプロモーターおよび/または遺伝子の様々な染色体組み込みを含むコロニーを生じさせる。抗生物質耐性について、形質導入された受容細胞をスクリーニングし、また所望の遺伝子最終産物の産生増加について分析する。最適化された形質導入体の選択後、抗生物質耐性マーカーを部位特異的リコンビナーゼで除去する。選択された形質導入体は、多数の染色体修飾を操作し、所望の遺伝子最終産物の産生を最適化するために、P1形質導入のさらなるラウンドで、受容細胞として再度使用することができる。
本開示では、多数の用語および略語が使用される。下記の定義を提供する。
用語「遺伝子最終産物」は、遺伝子産物の働きの結果として産生される、物質、化学物質または材料を意味する。一般に、遺伝子産物は、酵素であり、遺伝子最終産物は、特定の基質に対するその酵素活性の産物である。遺伝子最終産物は、単一の酵素活性の結果であってもよく、または多数の連関活性(すなわち酵素経路)の結果であってもよい。
用語「スタッキング」、「形質のスタッキング」、「並列染色体のスタッキング」、お
よび「形質スタッキング」は、同義的に使用され、選択マーカーを除去するための該部位特異的リコンビナーゼシステムと組合せて、バクテリオファージP1形質導入を使用して、多数の遺伝形質を1つの大腸菌(E.coli)宿主内に並列でスタッキングする反復処理を指す(図2)。
用語「並列組み合わせ様式」は、多数の遺伝形質を、並列で受容細胞に移動させることができるように、様々な遺伝形質を含む様々なドナー細胞から作られた、P1溶解産物混合物を用いたP1形質導入を指す。
用語「組み込みカセット」は、組み換え堪能(recombination proficient)細菌宿主の形質転換に有用な線状核酸構築物を指す。本発明の組み込みカセットは、様々な遺伝因子たとえば選択可能マーカー、発現可能DNA断片、および細菌染色体上または他の組み込みカセット上の領域と相同性を有する組み換え領域を含んでもよい。本発明の脈絡の中で、それぞれ、細菌染色体領域の一部に相同な1つの領域すなわち「ホモロジーアーム」を有する、一般に2つの組み込みカセットが、組み込みに使用される。
用語「発現可能DNA断片」は、宿主細胞における表現型の変化に影響するあらゆるDNAを意味する。「発現可能DNA断片」は、たとえば、制御因子、単離プロモーター、オープンリーディングフレーム、遺伝子、またはそれらの組合せを含んでなるDNAを含んでもよい。
用語「ホモロジーアーム」は、および「組み換え領域」は同義的に使用され、2つの異なる核酸のある特定の領域に、実質的に同じヌクレオチド配列を有する2つの核酸間の相同的組み換えを可能にするヌクレオチド配列を指す。該ホモロジーアームのヌクレオチド配列の好ましいサイズ範囲は、約10〜約100ヌクレオチドであり、約50bpが好ましい。一般に、ホモロジーアームと染色体上の相同領域との間の塩基同一性(本明細書では、各領域の塩基間の1対1対応と定義する)のレベルは、少なくとも約70%であり、少なくとも約80%が好ましく、少なくとも約90%の同一性が最も好ましい。
用語「部位特異的リコンビナーゼ」は、特定のヌクレオチド配列(組み換え標的部位)を認識し、組み換え標的部位間の組み換えを触媒する、1つもしくはそれ以上の酵素からなる系を記述するために、本発明で使用される。部位特異的組み換えは、外因性DNAを、再配列、除去、または導入する方法を提供する。部位特異的リコンビナーゼおよびそれらの関連組み換え標的部位の例としては、Cre−lox、FLP/FRT、R/RS、Gin/gix、Xer/dif、Int/att、pSR1システム、cerシステム、およびfimシステムなどが挙げられるが、この限りではない。本発明は、選択可能マーカーを除去するための、部位特異的リコンビナーゼの使用を説明する。FRT組み換え標的部位が両側にある、抗生物質耐性マーカーは、FLP部位特異的リコンビナーゼの発現により除去される。
用語「ドナー細胞」は、バクテリオファージまたはウイルスに感染しやすい細菌株を指し、また形質導入性粒子内にパッケージされた核酸断片のソースの役割をする。一般に、ドナー細胞の遺伝子構造は、「受容細胞」と類似しているかまたは全く同じであり、ドナー細胞により産生される、形質導入ファージまたはウイルスを含む溶解産物を受け入れるのに役立つ。本明細書で使用されるとき、「P1ドナー細胞」は、P1バクテリオファージに感染しやすい細菌株である。
用語「受容細胞」は、バクテリオファージまたはウイルスに感染しやすい細菌株を指し、またドナー細胞により産生される、形質導入ファージまたはウイルスを含む溶解産物を
受け入れるのに役立つ。「P1受容細胞」は、P1バクテリオファージに感染しやすい細菌株である。
用語「選択可能マーカー」は、存在するとき、ある特定の細胞型を同定して、優先的に増殖させることを可能にする、遺伝子産物をコードする遺伝子を意味する。
用語「組み換え堪能(recombination proficient)細菌宿主」は、遺伝子工学に有用な率で相同的組み換えができる細菌宿主を記述するために使用される。
用語「相同」は、組み換え領域および細菌染色体上の対応する領域に適用されるとき、同一またはほぼ同一の配列を共有するヌクレオチド配列を意味する。細菌染色体上の領域と組み換え領域との間の相補的配列は、会合することができ、またリコンビナーゼシステム(すなわちλ−Redリコンビナーゼ)の存在下で、相同的組み換えを受ける。
用語「λ−Red組み換えシステム」、および「λ−Redシステム」は、バクテリオファージλ遺伝子exo、bet、およびgamによりコードされる一組のプラスミド上に存在する酵素群を記述するために同義的に使用される。特に、線状組み込みカセットを使用するとき、該3遺伝子にコードされる酵素は一緒に働いて、比較的低率の相同的組み換えを有すると一般に考えられる生物である大腸菌(E.coli)における相同的組み換えの率を高める。該λ−Redシステムは、線状dsDNA断片の両側に位置する短い相同領域(10〜50bp)を相同的組み換えに使用できる能力を助長する(ダツセンコ(Datsenko)およびワーナー(Wanner)、PNAS、97:6640−6645(2000年))。
本明細書で使用されるとき、用語「上流」(DNAの領域に関して使用されるとき)は、ある特定の遺伝子またはヌクレオチドの配列の5’側を意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「下流」(DNAの領域に関して使用されるとき)は、ある特定の遺伝子またはヌクレオチドの配列の3’側を意味する。
「オープン・リーディング・フレーム」は、ORFと省略される。
「ポリメラーゼ連鎖反応」は、PCRと省略される。
本明細書で使用されるとき、「単離された核酸断片」は、合成、非天然または変化したヌクレオチド塩基を場合により含んでもよい、一本鎖または二本鎖であるRNAまたはDNAのポリマーである。DNAのポリマーの形の、単離された核酸断片は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1つもしくはそれ以上のセグメントで構成されていてもよい。
「遺伝子」は、コード配列に先行する制御配列(5’非コード配列)および後続する制御配列(3’非コード配列)を含む、特定のタンパク質を発現する核酸断片を指す。「天然遺伝子」は、独自の制御配列と共に自然界で見られる遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」は、自然界で一緒に見られない制御配列およびコード配列を含んでなる、天然遺伝子ではない遺伝子を指す。本発明は、天然遺伝子のプロモーターと、ファージT5(「PT5」)強力プロモーターとの置換を遺伝学的に操作できる能力を例示する。したがって、キメラ遺伝子は、異なるソースに由来する制御配列およびコード配列を含んでなってもよく、または同一ソースに由来するが、自然界で見られるのとは異なる方法で配列されている、制御配列およびコード配列を含んでなってもよい。「内因性遺伝子」は、生物のゲノムの
、その自然の位置にある、天然遺伝子を指す。「外来」遺伝子は、通常は、宿主生物に見られないが、遺伝子導入により宿主生物に導入される、遺伝子を指す。外来遺伝子は、非生来の生物に挿入された自然の遺伝子、すなわちキメラ遺伝子を含んでなってもよい。「導入遺伝子」は、形質転換手順によりゲノムに導入された遺伝子である。
細菌DNAにおける、「オペロン」は、多シストロン性mRNAを生じさせる1つのプロモーターから転写される一群の隣接遺伝子群である。
「コード配列」は、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。「適当な制御配列」は、コード配列の上流(5’非コード配列)、コード配列内、またはコード配列の下流(3’非コード配列)に位置し、関連コード配列の転写、RNAプロセッシングもしくは安定性、または翻訳に影響するヌクレオチド配列を指す。制御配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセッシング部位、エフェクター結合部位、およびステム−ループ構造を含んでもよい。
「プロモーター」は、コード配列または機能的RNAの発現を制御することができるDNA配列を指す。一般的に、コード配列は、3’からプロモーター配列までに位置する。プロモーターは、全体として天然遺伝子に由来してもよく、または自然界に存在する異なるプロモーターに由来する異なるエレメントで構成されてもよく、たとえ合成のDNAセグメントを含んでなってもよい。異なるプロモーターは、異なる組織または細胞型における、または発生の異なる段階における、または異なる環境条件もしくは生理学的条件に反応して、遺伝子の発現を指令する可能性があることは、当業者に理解されている。異なる環境条件または生理学的条件に応答したときに限って、遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に「誘導プロモーター」と呼ばれる。ほとんどの時に、ほとんどの細胞型で遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に、「構成的プロモーター」と呼ばれる。プロモーターは、そられの観察される発現パターンの相対的強さ(すなわち「弱い」、「中程度」、「強い」)によっても、分類することができる。さらに、ほとんどの場合に、制御配列の正確な境界は完全に確定されてはいないため、異なる長さのDNA断片が、全く同じプロモーター活性を有する可能性があることが認められている。
「3’非コード配列」は、コード配列の下流に位置するDNA配列を指し、mRNAプロセッシングもしくは遺伝子発現に影響を及ぼすことができる制御シグナルをコードする配列を含む。
用語「作動可能に連結された」は、一方の機能が他方により影響を受けるように、単一の核酸断片上の核酸配列の関連性を指す。たとえば、プロモーターが、そのコード配列の発現に影響を及ぼすことができる(すなわち、該コード配列が、該プロモーターの転写調節下にある)とき、プロモーターは、コード配列と作動可能に連結されている。コード配列は、センス方向またはアンチセンス方向に、制御配列に作動可能に連結することができる。
用語「発現」は、本明細書で使用されるとき、本発明の核酸断片に由来するセンスRNA(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定した蓄積を指す。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳も指すことがある。
「形質転換」は、遺伝学的に安定な遺伝に帰着する、核酸断片の、宿主生物のゲノムへの移動を指す。形質転換された核酸断片を含む宿主生物は、「トランスジェニック」、「組み換え」または「形質転換」生物と呼ばれる。
用語「形質導入」、「普遍形質導入」および「P1形質導入」は、同義的に使用され、
細菌DNAを含むファージ粒子によって、細菌DNAが、一方の細菌細胞(ドナー)から他方(受容体)に移動される現象を指す。
用語「プラスミド」、「ベクター」および「カセット」は、多くの場合、細胞の中枢代謝の部分ではなく、通常は円形の二本鎖DNA断片の形をしている遺伝子を担持する染色体外エレメントを指す。このようなエレメントは、多数のヌクレオチド配列が連結されているか、プロモーター断片および選択された遺伝子産物のDNA配列を適切な3’未翻訳配列とともに細胞に導入することができる独特の構築物に組み換えられている、任意のソースに由来する、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAの、線状または円形の、自己複製配列、ゲノム組み込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列であってもよい。「形質転換カセット」は、外来遺伝子を含み、かつ該外来遺伝子に加えて、ある特定の宿主細胞の形質転換を容易にするエレメントを有する、特異的ベクターを指す。「発現カセット」は、外来遺伝子を含み、かつ該外来遺伝子に加えて、異質の宿主におけるその遺伝子の発現を増強することが可能なエレメントを有する特異的なベクターを指す。
用語「イソプレノイド」または「テルペノイド」は、10炭素テルペノイド類およびそれらの誘導体、たとえばカロテノイド類およびキサントフィル類を含む、イソプレノイド経路に由来する化合物およびあらゆる分子を指す。
用語「Dxs」は、ピルビン酸とD−グリセルアルデヒド3−リン酸との、D−1−デオキシキシルロース5−リン酸(DOXP)への縮合を触媒する、dxs遺伝子によりコードされる酵素D−1−デオキシキシルロース5−リン酸を指す。
用語「Dxr」または「IspC」は、DOXPの、2−C−メチル−D−エリトリトール−4−リン酸への同時還元および異性化を触媒する、dxrまたはispC遺伝子によりコードされる酵素DOXPレダクトイソメラーゼを指す。遺伝子の名称、dxrまたはispCは、本願では同義的に使用される。遺伝子産物の名称、DxrまたはIspCは、本願では同義的に使用される。
用語「YgbP」または「IspD」は、2−C−メチル−D−エリトリトール−4−リン酸の、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリトリトールへのCTP依存的シチジル化を触媒する、ygbBまたはispD遺伝子によりコードされる酵素を指す。遺伝子の名称、ygbPまたはispDは、本願では同義的に使用される。遺伝子産物の名称、YgbPまたはIspDは、本願では同義的に使用される。
用語「YchB」または「IspE」は、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリトリトールの、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリトリトール−2−リン酸へのATP依存的リン酸化を触媒する、ychBまたはispE遺伝子によりコードされる酵素を指す。遺伝子の名称ychBまたはispEは、本願では同義的に使用される。遺伝子産物の名称YchBまたはIspEは、本願では同義的に使用される。
用語「YgbB」または「IspF」は、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリトリトールの、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリトリトール−2−リン酸へ、2C−メチル−D−エリトリトール−2,4−シクロジホスフェートへの、CMP損失を伴う環化を触媒する、ybgBまたはispF遺伝子によりコードされる酵素を指す。遺伝子の名称ygbBまたはispFは、本願では同義的に使用される。遺伝子産物の名称YgbBまたはIspFは、本願では同義的に使用される。
用語「GcpE」または「IspG」は、2C−メチル−D−エリトリトール−2,4−シクロジホスフェートの、1−ヒドロキシ−2−メチル−2−(E)−ブテニル4−二
リン酸への変換に関与する、gcpEまたはispG遺伝子によりコードされる酵素を指す。遺伝子の名称gcpEまたはispGは、本願では同義的に使用される。遺伝子産物の名称GcpEまたはIspGは、本願では同義的に使用される。
用語「LytB」または「IspH」は、lytBまたはispH遺伝子によりコードされる酵素を指し、また1−ヒドロキシ−2−メチル−2−(E)−ブテニル4−二リン酸の、イソペンテニル二リン酸(IPP)およびジメチルアリル二リン酸(DMAPP)への変換に関与する。遺伝子の名称lytBまたはispHは、本願では同義的に使用される。遺伝子産物の名称LytBまたはIspHは、本願では同義的に使用される。
用語「Idi」は、イソペンテニル二リン酸をジメチルアリル二リン酸に変換する、idi遺伝子によりコードされる酵素イソペンテニル二リン酸イソメラーゼを指す。
用語「IspA」は、ispA遺伝子によりコードされる酵素ファルネシルピロリン酸(FPP)シンターゼを指す。
用語「IspB」は、ispB遺伝子によりコードされる、イソプレノイドキノン類の側鎖の前駆物質を供給する、酵素オクタプレニル二リン酸シンターゼを指す(図1)。
用語「pPCB15」は、発明された方法によって遺伝子操作される大腸菌(E.coli)におけるβ−カロテン産生をモニターするためのレポータープラスミドとして使用する、β−カロテン合成遺伝子パンテア(Pantoea)crtEXYIBを含む、プラスミド(図6;配列番号40)を指す。
用語「pKD46」は、3つの必須遺伝子、exo、bet、およびgamを含んでなるλ−Redリコンビナーゼシステムを発現するヘルパープラスミドを指す(図5;ダツセンコ(Datsenko)およびワーナー(Wanner)、上掲;配列番号41)。
用語「pCP20」は、FLP部位特異的リコンビナーゼをコードするヘルパープラスミドである(ATCC PTA−4455;チェレパノフ(Cherepanov)およびワッケルナーゲル(Wackernagel)、Gene、158:9−14(1995年);ダツセンコ(Datsenko)およびワーナー(Wanner)、上掲)。
用語「pSUH5」は、ファージT5プロモーター(PT5)領域を、pKD4(ダツセンコ(Datsenko)およびワーナー(Wanner)、上掲)のNdeI制限エンドヌクレアーゼ部位にクローニングすることにより、本発明で構築されたプラスミド(図4;配列番号42)を指す。これを、融合カナマイシン選択可能マーカー/ファージT5プロモーター線状DNAヌクレオチドのPCR増幅用鋳型プラスミドとして使用した。
用語「PT5プロモーター」、「ファージT5プロモーター」、および「PT5」は、ファージT5由来の−10および−35コンセンサス配列、乳糖オペレーター(lacO)、およびリボソーム結合部位(rbs)を含んでなるヌクレオチド配列を指す(配列番号43)。
用語「ヘルパープラスミド」は、λ−RedリコンビナーゼをコードするpKD46またはFLP部位特異的リコンビナーゼをコードするpCP20(ATCC PTA−4455)のいずれかを指す(チェレパノフ(Cherepanov)およびワッケルナーゲル(Wackernagel)、上掲;ダツセンコ(Datsenko)およびワーナー(Wanner)、上掲)。
用語「大腸菌(E.coli)」は、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)菌株K−12誘導体、たとえばMG1655(ATCC 47076)およびMC1061(ATCC 53338)を指す。
用語「パンテア・スチュワーティ亜種スチュワーティ(Pantoea stewartii subsp.stewartii)」は、「パンテア・スチュワーティ(Pantoea stewartii)」と略され、エルウィニア・スチュワーティ(Erwinia stewartii)と同義的に使用される(マーガート(Mergaert)ら、Int J.Syst.Bacteriol.、43:162−173(1993年))。
用語「パンテア・アナタス(Pantoea ananatas)」は、エルウィニア・ウレドボラ(Erwinia uredovora)と同義的に使用される(マーガート(Mergaert)ら、上掲)。
用語「パンテア(Pantoea)crtEXYIB群」は、パンテア・スチュワーティ(Pantoea stewartii)ATCC 8199から増幅されたカロテノイド合成遺伝子crtEXYIBを含む遺伝子群を指す。該遺伝子群は、遺伝子crtE、crtX、crtY、crtI、およびcrtBを含む。該遺伝子群はまた、反対方向に、かつcrtB遺伝子に隣接して構築されたcrtZ遺伝子も含む。
用語「CrtE」は、トランス−トランス−ファルネシル二リン酸+イソペンテニル二リン酸を、ピロリン酸+ゲラニルゲラニル二リン酸に変換する、crtE遺伝子によりコードされるゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)シンターゼ酵素を指す。
用語「CrtY」は、リコペンをβ−カロテンに変換する、crtY遺伝子によりコードされるリコペンサイクラーゼ酵素を指す。
用語「CrtI」は、4つの二重結合を導入することにより、フィトエンを、フィトフルエン、ζ−カロテンおよびニューロスポレンという中間体を経てリコペンに変換する、crtI遺伝子によりコードされるフィトエンデヒドロゲナーゼ酵素を指す。
用語「CrtB」は、プレフィトエン二リン酸(ゲラニルゲラニルピロリン酸)からフィトエンへの反応を触媒する、crtB遺伝子によりコードされるフィトエンシンターゼ酵素を指す。
用語「CrtX」は、ゼアキサンチンをゼアキサンチン−β−ジグルコシドに変換する、crtX遺伝子によりコードされるゼアキサンチングルコシルトランスフェラーゼ酵素を指す。
用語「CrtZ」は、β−カロテンからゼアキサンチンへのヒドロキシル化反応を触媒する、crtZ遺伝子によりコードされるβ−カロテンヒドロキシラーゼ酵素を指す。
用語「イソプレノイド生合成経路」は、図1に示されているような、本発明の上方および/または下方イソプレノイド経路のメンバーを含んでなる遺伝子を指す。本発明において、用語「上方イソプレノイド経路」および「上方経路」は、同義的に使用され、ピルビン酸およびグリセルアルデヒド−3−リン酸の、ファルネシルピロリン酸(FPP)への変換に関与する酵素を指す。これらの酵素は、Dxs、Dxr(IspC)、YgpP(IspD)、YchB(IspE)、YgbB(IspF)、GcpE(IspG)、LytB(IspH)、Idi、IspA、および場合によりIspBを含むが、この限り
ではない。本発明において、用語「下方イソプレノイド経路」、「カロテノイド生合成経路」および「下方経路」は、同義的に使用され、FPPをカロテノイド類、殊にβ−カロテンに変換する酵素を指す(図1)。この経路における酵素は、CrtE、CrtY、CrtI、CrtB、CrtX、およびCrtZを含むが、この限りではない。本発明において、「下方経路」遺伝子は、レポータープラスミドpPCB15上に発現される。
用語「カロテノイド生合成酵素」は、パンテア(Pantoea)crtEXYIB群によりコードされるありとあらゆる酵素を指す総称である。該酵素は、CrtE、CrtY、CrtI、CrtB、およびCrtXを包含する。
用語「配列分析ソフトウェア」は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の分析に有用なコンピューターアルゴリズムまたはソフトウェアプログラムを指す。「配列分析ソフトウェア」は、市販されていることもあり、または独立に開発されていることもある。代表的な配列分析ソフトウェアは、GCGプログラム一式(ウィスコンシン・パッケージ(Wisconsin Package)バージョン9.0、ウィスコンシン州マディソンのジェネティクス・コンピューター・グループ(Genetics Computer Group)(GCG)、(Madison,WI))、BLASTP、BLASTN、BLASTX(アルトシュール(Altschul)ら、J.Mol.Biol.、215:403−410(1990年)、およびDNAスター(DNASTAR)(米国 53715 ウィスコンシン州セイント・マディソン S.パーク 1228の、DNAスター・インク(DNASTAR,Inc.)(1228 S.Park St.Madison,WI 53715 USA)、およびスミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)アルゴリズムを組み込んだファスタ(FASTA)プログラム(W.R.ピアソン(Pearson)、Comput.Methods Genome Res.、[Proc.Int.Symp.](1994年)、会議日程1992年、111−120、編集者:スハーイ(Suhai)、サンダー(Sandor)、発行者:ニューヨーク州ニューヨークのプレナム(Plenum,NewYork,NY))を含むが、この限りではない。配列分析ソフトウェアが分析に使用される場合、特に明記されていない限り、分析の結果は、参照したプログラムの「デフォルト値」に基づくことは、本願の脈略の中で、理解されるであろう。本明細書で使用されるとき、「デフォルト値」は、最初に初期化するときに、該ソフトウェアを最初にロードする任意の組の値またはパラメーターを意味する。
本明細書で使用される標準組み換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該技術分野で周知であり、サムブルック(Sambrook),J.、フリッチェ(Fritsch),E.F.およびマニアティス(Maniatis),T.、分子クローニング:研究所マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、第2版、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバーのコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY)(1989年)(以後、「マニアティス(Maniatis)」);ならびにシルヘイビー(Silhavy),T.J.、ベナン(Bennan)M.L.およびエンクイスト(Enquist)L.W.、遺伝子融合を用いた実験(Experiments with Gene Fusions)、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバーのコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY)(1984年);ならびにアウスベル(Ausubel),F.M.ら、分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)、グリーン・パブリッシング・アソシエーション(Greene Publishing Assoc.)およびワイリー・インターサイエンス(
Wiley−Interscience)発行(1987年)により記述されている。
組み込みカセット
本発明で使用されるとき、「組み込みカセット」は、図3に示されているように、2つのPCRで生成された断片または1つのPCRで生成された断片を使用することにより、相同的組み換えで染色体に組み込まれる線状二本鎖DNA断片である。該組み込みカセットは、プロモーターおよび/または発現可能DNA断片、および部位特異的リコンビナーゼによく反応するリコンビナーゼ部位により結合された選択可能マーカー、およびドナー細胞染色体の異なると相同性を有するホモロジーアームを含む核酸組み込み断片を含んでなる。一般的に、該組み込みカセットは、一般構造:5’−RR1−RS−SM−RS−Y−RR2−3’を有し、ここで、
(i)RR1は、約10〜100塩基の第1のホモロジーアームであり;
(ii)RSは、部位特異的リコンビナーゼによく反応する組み換え部位であり;
(iii)SMは、選択可能マーカーをコードするDNA断片であり;
(iv)Yは、第1の発現可能DNA断片であり;そして
(v)RR2は、第2のホモロジーアームである。
本発明の発現可能DNA断片は、経路の遺伝学的操作で有用なものである。たとえば、本発明の発現可能DNA断片は、ある経路で、生来のプロモーターの代わりに強力プロモーターを操作するために有用な可能性がある。lac、ara、tet、trp、λP、λP、T7、tac、PT5、およびtrc(エシェリヒア・コリ(Escherichi coli)における発現に有用)ならびにamy、apr、nprプロモーター、およびたとえばバチルス(Bacillus)における発現に有用な様々なファージプロモーターを含むがこの限りではない、実質的にあらゆるプロモーターが、本発明に適する。
一般に、本発明は、それぞれ、染色体の一部と相同な1つの領域すなわちホモロジーアームを有する、少なくとも2つの組み込みカセットを使用する。この形態での2つのカセットの使用は、図3に示されており、本明細書で「2断片法」と呼ばれる。該2断片法は、高率の組み込みをもたらし、さらなるクローニング工程の除去に有用である。
あるいは、既存の生来のプロモーターの下流に、異なるコード領域を導入してもよい。このようにして、標的生合成経路の所望の活性を付加、除去、減少、または強化する、生合成経路のメンバーをコードする新たなコード領域を導入することが可能である。該生合成経路は、宿主細胞にとって外来性または内在性のいずれであってもよい。好ましくは、該生合成経路の1つまたはそれ以上のメンバーが、宿主細胞に既に存在する。これらのコード領域は、それらの生来のプロモーターを保持する遺伝子であってもよく、標的生合成経路における該遺伝子の発現増強のために、誘導可能な強力プロモーターまたは構成的な強力プロモーターに作動可能に連結されたキメラ遺伝子であってもよい。本発明で好ましいのは、イソプレノイドおよび/またはカロテノイド生合成経路の遺伝子であり、上で定義され、また図1に示されているような、dxs、dxr、ygbP、ychB、ygbB、idi、ispA、lytB、gcpE、ispB、gps、crtE、crtY、crtI、crtB、crtX、およびcrtZを包含する。該経路のある因子を下方制御することが望ましい場合、時として、発現可能DNA断片は、アンチセンス方向であってもよい。
本発明では、該発現可能DNA断片が、プロモーターか、または生合成経路の調節に有用なコード領域であれば、好ましい。本発明で例証されるのは、組み換え堪能(recombination proficient)大腸菌(E.coli)宿主におけるイソプレノイド生合成経路の調節に使用されるファージT5強力プロモーターである。
一般に、該ホモロジーアームの好ましい長さは、約10〜約100塩基対の長さであり、約50bpが好ましい。相同的組み換えのために本発明で使用される比較的短い長さのホモロジーアームを考えれば、能率的な組み換えのためには、好ましくは相同的組み換えの標的とされるものと全く同じ配列を使用して、許容し得る不適正配列のレベルを最低限に保つべきであると考えるであろう。20〜40塩基対の相同性により、相同的組み換えの能率は、4桁上昇する(ユー(Yu)ら、PNAS、97:5978−5983(2000年))。したがって、ホモロジーアーム内の多数の不適正は、相同的組み換えの能率を低下させる可能性がある;しかし、当業者は、許容し得る不適正のレベルを容易に確認することができる。
本発明は、2つの組み込みカセットの一方の上の選択可能マーカーを使用する(「2断片法」)。多数の選択可能マーカーが当業者に知られている。該選択可能マーカーは、抗生物質耐性マーカー、酵素マーカー(それによって、発現されたマーカーが、化学反応を触媒し、表現型出現、たとえば、β−ガラクトシダーゼの測定可能な差を引き起こす)、および通常は栄養要求性の細菌が、外的に供給されるアミノ酸なしで増殖することを可能にするアミノ酸生合成酵素からなる群から選択される。抗生物質耐性マーカーの例としては、数例を挙げると、アンピシリン(amp)耐性、カナマイシン(kan)耐性、およびテトラサイクリン(tet)耐性などがある。本明細書で使用されるとき、該選択可能マーカーは、部位特異的リコンビナーゼ認識配列に挟まれている。選択および構築物検証の後、部位特異的リコンビナーゼを使用して、選択可能マーカーを除去する。次いで、さらなるin vivo染色体修飾のために、本方法の工程を繰り返してもよい。選択可能マーカーを最終的に除去するために、組み込みカセットは、部位特異的リコンビナーゼで結合されている。部位特異的リコンビナーゼ、たとえば本発明におけるフリッパーゼ(FLP)リコンビナーゼは、特異的組み換え配列(すなわちFRT配列)を認識して、選択可能マーカーを切除する。本発明のこの態様は、多重染色体修飾のための、本方法の反復使用を可能にする。数例の部位特異的リコンビナーゼおよびそれらの関連した特異的認識配列が当該技術分野で知られているように、本発明は、FLP−FRTリコンビナーゼシステムに限定されない。他の適当な部位特異的リコンビナーゼおよびそれらの対応する認識配列の例は、Cre−lox、R/RS、Gin/gix、Xer/dif、Int/att、pSR1システム、cerシステム、およびfimシステムを包含する。
組み換え堪能(Recombination Proficient)宿主細胞
本発明は、2つの組み込みカセットおよび宿主細胞染色体との間の能率的な相同的組み換えを仲介することができる組み換え堪能(recombination proficient)宿主細胞を使用する。相同的組み換えを非常に効果的に仲介する生物(たとえば酵母)もあるが、遺伝学的介入を必要とする生物もある。たとえば、本来、相同的組み換えにより能率的な形質転換を受けないものと一般に考えらる宿主である、大腸菌(E.coli)を変えて、組み換え堪能宿主にすることが可能である。λ−Redリコンビナーゼシステムを含むヘルパープラスミドを用いた形質転換は、相同的組み換え率を桁違いに上昇させる(マーフィー(Murphy)ら、Gene、246:321−330(2000年);マーフィー(Murphy),K.、J.Bacteriol.、180:2063−2071;ポティート(Poteete)およびフェントン(Fenton)、J.Bacteriol.、182:2336−2340(2000年);ポティート(Poteete),A.、FEMS Microbiology Lett.、201:9−14(2001年);ダツセンコ(Datsenko)およびワーナー(Wanner)、上掲;ユー(Yu)ら、上掲;シャベロッシュ(Chaveroche)ら、Nucleic Acids Research、28:e97:1−6(2000年);米国特許第6,355,412号明細書;米国特許第6,509,156号明細書;および米国特許出願第60/434602号明細書)。該λ−Redシステムはまた、宿主に
染色体的に組み込むことができる。該λ−Redシステムは、通常は組み換え欠損大腸菌(E.coli)を、組み換え堪能(recombination proficient)宿主に変える3遺伝子(exo、bet、およびgam)を含む。
通常、大腸菌(E.coli)は、そのRecBCDエンドヌクレアーゼにより線状二本鎖(ds)DNAを能率的に分解し、結果として染色体操作に有用ではない形質転換効率に帰着する。gam遺伝子は、大腸菌(E.coli)RecBCD複合体に結合して、望ましくないエンドヌクレアーゼ活性を阻害する、タンパク質をコードする。exo遺伝子は、二本鎖のdsDNAの5’末端鎖を前進的に分解し、3’一本鎖オーバーハングを創出する、λ−エクソヌクレアーゼをコードする。betによりコードされるタンパク質は、λ−エクソヌクレアーゼと複合体を形成し、また一本鎖DNAオーバーハングに結合して相補鎖の再生を促進し、交換反応を仲介することができる。λ−Redリコンビナーゼシステムは、相同的組み換えにより形質転換することが困難と通常考えられている宿主におけるin vivo染色体操作用ツールとしての、相同的組み換えの使用を可能にする。λ−Redシステムは、他の細菌でも機能する(ポティート(Poteete),A.、上掲、(2001年))。λ−Redシステムの使用は、工業生産に一般的に使用される他の宿主に適用できるはずである。これらのさらなる宿主は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター(Erythrobacter)、クロロビウム(Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリウム(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、パラコッカス(Paracoccus)、エシェリヒア(Escherichia)、バチルス(Bacillus)、ミクソコッカス(Myxococcus)、サルモネラ(Salmonella)、エルシニア(Yersinia)、エルウィニア(Erwinia)、パンテア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Metylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコックス(Methylococcus)、メチロジーナス(Methylosinus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスティス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、シネココッカス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバチルス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)、およびミクソコッカス(Myxococcus)を含むが、この限りではない。
λ−Redリコンビナーゼシステム
本発明で使用されるλ−Redリコンビナーゼシステムは、ヘルパープラスミド(pKD46)上に含まれ、3つの必須遺伝子、exo、bet、およびgamで構成される(ダツセンコ(Datsenko)およびワーナー(Wanner)、上掲)。該exo遺伝子は、二本鎖(ds)DNAの5’末端鎖を前進的に分解し、3’一本鎖オーバーハングを創出する、λ−エクソヌクレアーゼをコードする。betは、λ−エクソヌクレアーゼと複合体を形成し、一本鎖DNAに結合して相補鎖の再生を促進し、交換反応を仲介することができる、タンパク質をコードする。gamは、大腸菌(E.coli)のRecBCD複合体に結合して該複合体のエンドヌクレアーゼ活性を阻害するタンパク質をコードする。
大腸菌(E.coli)における相同的組み換えは非常に低い頻度で起こり、また通常
、広範囲に及ぶ相同領域を必要とするため、λ−Redシステムが、本発明で使用される。該λ−Redシステムは、線状dsDNA断片の両側に位置する短い相同領域(10〜50bp)を相同的組み換えに使用できる能力を助長する。さらに、通常、大腸菌(E.coli)で発現されるRecBCD複合体は、その複合体のエクソヌクレアーゼ活性が、線状dsDNAを効率よく分解するため、形質転換のための線状dsDNAの使用が妨げられる。gamによる、RecBCD複合体のエンドヌクレアーゼ活性の阻害は、線状dsDNA断片を使用する能率的な相同的組み換えに不可欠である。
組み合せP1形質導入システム
形質導入は、細菌DNAを含有するファージ粒子によって、細菌DNAが、1つの細菌細胞(ドナー)から別の細菌細胞(受容体)に移動される現象である。ドナー細菌の集団がファージに感染すると、ファージ溶菌サイクルの事象が開始される可能性がある。溶菌感染の間に、ウイルスDNAのバクテリオファージ内へのパッケージに関与する酵素は、時には宿主DNAをパッケージすることがある。結果として生じる粒子は、形質導入性粒子と呼ばれる。該細胞が溶解されると、これらの粒子は正常なビリオンとともに放出される。この溶解産物は、正常なビリオンと形質導入性粒子の混合物を含む。この溶解産物を使用して、受容細胞の集団を感染させるとき、該細胞の大部分は、正常なウイルスに感染する。しかし、該集団のごく一部は、前の宿主細菌から受け取ったDNAを注入する形質導入性粒子を受け取る。このDNAは、次に、受容体宿主のDNAとの遺伝子組み換えを遂げることができる。P1形質導入の従来の使用は、一度にただ1つの遺伝形質(すなわち遺伝子)を一方の宿主から他方に移動させることができる。
公知の形質導入ファージを有するもの、たとえばアグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター(Erythrobacter)、クロロビウム(Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリウム(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、パラコッカス(Paracoccus)、エシェリヒア(Escherichia)、バチルス(Bacillus)、ミクソコッカス(Myxococcus)、サルモネラ(Salmonella)、エルシニア(Yersinia)、エルウィニア(Erwinia)、パンテア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Metylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコックス(Methylococcus)、メチロジーナス(Methylosinus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスティス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、シネココッカス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバチルス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)、およびミクソコッカス(Myxococcus)を含むが、この限りではない、多数の宿主システムを、本発明の目的のために使用できることは十分に理解されるであろう。本方法での使用に好適なファージの例は、P1、P2、λ、φ80、φ3538、T1、T4、P22、P22誘導体、ES18、Felix“o”、P1−CmCs、Ffm、PY20、Mx4、Mx8、PBS−1、PMB−1、およびPBT−1を包含する。
本方法は、選択マーカーを除去するための部位特異的リコンビナーゼシステムと組み合せてバクテリオファージP1溶解産物を使用して、並列組み合せ様式で、多数の遺伝形質
を1つの大腸菌(E.coli)宿主に移動させるためのシステムを提供する(図2)。様々なドナー細胞から作られたP1溶解産物混合物による形質導入後、形質導入された受容細胞を、抗生物質耐性についてスクリーニングし、所望の遺伝子最終産物の増加した産生(すなわちカロテノイド産生)について分析する。最適化された形質導入体を選択した後、抗生物質耐性マーカーを部位特異的リコンビナーゼで除去する。選択された形質導入体は、多数の染色体修飾を操作し、所望の遺伝子最終産物の産生を最適化するために、P1形質導入のさらなるラウンドで、受容細胞として再度使用される。本組み合せP1形質導入方法は、所望の遺伝子最終産物の最適産生のための、迅速な染色体形質スタッキングを可能にする。本発明は、所望の産物を得るための、連続的菌株改良に非常に有用である。
生合成経路最適化
本方法の組み合わせP1形質導入は、数例を挙げると、イソプレノイド類、テルペノイド類、テトラピロール類、ポリケチド類、ビタミン類、アミノ酸、脂肪酸、タンパク質、核酸、炭水化物、抗菌薬、抗癌剤および生物代謝物を含む、任意の生合成経路の最適化に応用できる。
本発明の有用性を、イソプレノイド生合成経路およびカロテノイド生合成経路を最適化することにより具体的に例証する。具体的には、β−カロテンの産生に与える効果を測定することにより、ispB遺伝子を同定するために、本方法を使用した。カロテノイド産生(すなわちβ−カロテン)は、ファージT5プロモーターを、該遺伝子のコード配列に作動可能に連結することにより増強された。
本方法による操作の影響を受けやすい別の経路は、heme生合成経路であることは、十分に理解されるであろう。当業者は、テトラピロールの合成に関与する遺伝子、たとえばheme、のそれぞれのプロモーターが、本発明に記載の誘導プロモーターに置き換えられている一連の菌株を作製することができる。heme合成遺伝子の例としては、たとえば、hemA、hemL、hemB、hemC、hemD、hemE、hemF、hemG、およびhemHなどが挙げられる。第1工程は、λ−Red仲介相同的組み換えを使用して、天然遺伝子プロモーターを外来プロモーターと置き換えることにより、heme生合成経路における遺伝子に、染色体操作する変更を加えることである。次に、増量したテトラピロールを産生する菌株を選択するために、P1混合物(図2)を使用する組み合わせP1形質導入を使用して、融合した外来プロモーター−heme遺伝子を、組み合せスタッキングする。当業者は、本法での使用に適切なプロモーターを選択して、所望の遺伝子最終産物の産生を最適化することができる。形質導入体を、hemeの産生について分析し、また、伝統的な分析方法、たとえば質量分析、紫外・可視(UV−VIS)分光分析、バイオアッセイまたは酵素結合分析(enzymatic coupled assays)で分析する。各スタッキングサイクルの後、部位特異的組み換えシステム、たとえばFLP/FRTまたはCre−loxリコンビナーゼシステムを使用して、該マーカーを該菌株から除去することができる。該方法を繰り返して、所望のテトラピロール産物の最適産生に合った形質導入体を選択することができる。
カロテノイド産生に関与する遺伝子の調節
カロテノイド類の生合成に関与する酵素経路は、ピルビン酸およびグリセルアルデヒド−3−リン酸を、ファルネシルピロリン酸(FPP)に変換する上方イソプレノイド経路、ならびにフィトエンおよびその後産生される全てのカロテノイド類を合成する下方カロテノイド生合成経路という、2つの部分で、便利に考えることができる(図1)。上方経路は、多くの微生物のいたる所に存在する。これらの場合、カロテノイド生合成のための下方経路を含んでなる遺伝子を導入しさえすればよい。2つの経路の主要な区分は、ファルネシルピロリン酸の合成に関する。FPPが本来存在する場合、下方カロテノイド経路
のエレメントのみが必要である。しかし、カロテノイドの産生において下方経路カロテノイド遺伝子が有効なためには、宿主細胞が、適当なレベルのFPPを該細胞内に有することが必要なことは、十分に理解されるであろう。宿主細胞がにより適当なレベルのFPPが合成されない場合、FPPの産生に必要な染色体修飾(プロモーター、遺伝子、等々)を導入することが必要であろう。本方法を使用して、これらの修飾を宿主に導入できる。これらの各経路を、以下で詳細に検討する。
上方イソプレノイド経路
イソプレノイド生合成は、共通のCイソプレンサブユニット、イソペンテニルピロリン酸(IPP)を生成する、2経路のいずれかによって起こる。第一に、周知の酢酸/メバロン酸経路を介して、イソペンテニルピロリン酸(IPP)を合成することが可能である。しかし、最近の研究は、該メバロン酸依存的経路は、全ての生物で機能するとは限らないことを証明した。IPP生合成のための代わりのメバロン酸非依存的経路は、細菌、ならびに緑藻類および高等植物で、特性決定されている(ホルバッハ(Horbach)ら、FEMS Microbiol.Lett.、111:135−140(1993年);ローマー(Rohmer)ら、Biochem.、295:517−524(1993年);シュベンデル(Schwender)ら、Biochem.、316:73−80(1996年);およびアイゼンライヒ(Eisenreich)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:6431−6436(1996年))。
メバロン酸非依存的イソプレノイド経路における多くの工程は、公知である(図1)。たとえば、IPPの産生につながる代替経路の初期段階は、コール(Cole)ら(Nature、393:537−544(1998年))により、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)で研究されている。該経路の第1工程は、D−1−デオキシキシルロース−5−リン酸として知られる5炭素化合物を生じるための、2つの3炭素分子(ピルビン酸およびD−グリセルアルデヒド3−リン酸)の縮合を含む。この反応は、dxs遺伝子によりコードされる、DXS酵素によって引き起こされる。次に、D−1−デオキシキシルロース−5−リン酸の異性化および還元により、2−C−メチル−D−エリトリトール−4−リン酸を生じる。該異性化および還元工程に関与する酵素の1つは、遺伝子dxr(IspC)によりコードされる、D−1−デオキシキシルロース−5−リン酸レダクトイソメラーゼ(DXR)である。2−C−メチル−D−エリトリトール−4−リン酸は、次に、非存在注釈付き遺伝子ygbPによりコードされる酵素によるCTP依存的反応で、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリトリトールに変換される。該ygbP遺伝子は、最近、isp遺伝子群の一部として、ispDと改名された(スイスプロテイン受入番号(SwissProtein Accession#)Q46893)。
次に、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリトリトールの第2位ヒドロキシ基は、ispE(スイスプロテイン受入番号(SwissProtein Accession #)P24209)と最近改名された、ychB遺伝子によりコードされる酵素によるATP依存的反応で、リン酸化することができる。この産物は、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリトリトールをリン酸化し、その結果として4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリトリトール2−リン酸を生じる。ygbB遺伝子の産物は、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリトリトール2−リン酸を、CTP依存的方法で、2C−メチル−D−エリトリトール2,4−シクロジホスフェートに変換する。この遺伝子もまた、最近ispと改名された(スイスプロテイン受入番号(SwissProtein Accession #)P36663)。
gcpE(ispG)およびlytB(ispH)遺伝子(およびおそらくその他)によりコードされる酵素は、イソペンテニルピロリン酸(IPP)およびジメチルアリルピ
ロリン酸(DMAPP)の形成につながる反応に関与すると考えられる。IPPは、idi遺伝子によりコードされる、IPPイソメラーゼによりDMAPPに異性化される可能性がある。しかし、この酵素は、生き残るために不可欠ではなく、また2−C−メチル−D−エリトリトール−4−リン酸(MEP)経路を使用する一部の細菌で、欠けていることがある。最近の証拠から、MEP経路はIPPの前に分岐し、lytB(ispH)遺伝子産物を介して、IPPおよびDMAPPを別々に産生することが示唆される。大腸菌(E.coli)の場合、lytB(ispH)ノックアウト突然変異は、IPPおよびDMAPPの両者を加えた培地以外では致命的である。
FPPの合成は、IPPの、ジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)への異性化を介して起こる。この反応の後に、ispAにより触媒される、一連の、2つのプレニルトランスフェラーゼ反応が続き、ゲラニルピロリン酸(GPP;10炭素分子)およびファルネシルピロリン酸(FPP;15炭素分子)の生成につながる。
表1に示す通り、上方経路のエレメントをコードする遺伝子は、様々な植物、動物、および細菌起源から知られている。
下方カロテノイド生合成経路
上方イソプレノイド経路と下方カロテノイド経路との間の区分は、幾らか主観的である。FPP合成は、カロテン産生性細菌(carotenogenic bacteria)および非カロテン産生性細菌(non−carotenogenic bacteria)の両者に共通であるため、下方カロテノイド生合成経路の第1工程は、ファルネシルピロリン酸(FPP)をゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)に変換するプレニルトランスフェラーゼ反応から始まると考えられる。GGPPシンセターゼをコードする、遺伝子crtEは、IPPをFPPに付加して、20炭素分子GGPPを産生する、このプレニルトランスフェラーゼ反応に関与する。GGPP 2分子の縮合反応が起こり、下方カロテノイド生合成経路の最初の40炭素分子である、フィトエン(PPPP)が生じる。この酵素反応は、フィトエンシンターゼをコードする、crtBにより触媒される。
「赤色」のスペクトルを与える、リコペンは、フィトエンから、遺伝子crtI(フィトエンデサチュラーゼをコードする)により触媒されて8個の水素原子が除去されることによる4つの逐次的脱水素反応を経て、産生される。この反応における中間体は、フィトフルエン、ζ−カロテン、およびニューロスポレンである。
リコペンサイクラーゼ(crtY)は、リコペンをβ−カロテンに変換する。
β−カロテンは、β−カロテンヒドロキシラーゼ(crtZ遺伝子によりコードされる)の活性によって生じるヒドロキシル化反応を介して、ゼアキサンチンに変換される。β−クリプトキサンチンは、この反応における中間体である。
β−カロテンは、crtWまたはcrtO遺伝子によりコードされるβ−カロテンケトラーゼによりカンタキサンチンに変換される。エキネノンは、この反応における中間体である。次いで、カンタキサンチンは、crtZ遺伝子またはcrtR遺伝子によりコードされるβ−カロテンヒドロキシラーゼによって、アスタキサンチンに変換することができる。アドンビルブリン(adonbirubrin)は、この反応における中間体である。
ゼアキサンチンは、ゼアキサンチン−β−ジグルコシドに変換することができる。この反応は、ゼアキサンチングルコシルトランスフェラーゼ(crtX)により触媒される。
ゼアキサンチンは、crtW、crtOまたはbktによりコードされるケトラーゼに
よりコードされるβ−カロテンケトラーゼによって、アスタキサンチンに変換することができる。BKT/CrtW酵素は、β−カロテンおよび4−ケトゼアキサンチンから、エキネノンを経て、カンタキサンチンを合成した。アドニキサンチンは、この反応における中間体である。
スフェロイデンは、crtAによりコードされるスフェロイデンモノオキシゲナーゼにより、スフェロイデノンに変換することができる。
ニューロスポレンは、スフェロイデンに変換することができ、リコペンは、それぞれ、crtC遺伝子、crtD遺伝子およびcrtF遺伝子によりコードされる、ヒドロキシニューロスポレンシンターゼ、メトキシニューロスポレンデサチュラーゼおよびヒドロキシニューロスポレン−O−メチルトランスフェラーゼの逐次作用により、スピリロキサンチンに変換することができる。
β−カロテンは、crtUによりコードされるβ−カロテンデサチュラーゼにより、イソレニエラテンに変換される。
表2に示す通り、下方カロテノイド生合成経路のエレメントをコードする遺伝子は、様々な植物、動物、および細菌起源から知られている。
最も好ましいcrt遺伝子の大半は、主にパンテア・スチュワーティ(Pantoea
stewartii)に由来する。これらの好ましい遺伝子の配列は、下記の配列番号として示される。crtE遺伝子(配列番号1)、crtX遺伝子(配列番号3)、crtY(配列番号5)、crtI遺伝子(配列番号7)、crtB遺伝子(配列番号9)およびcrtZ遺伝子(配列番号11)。
宿主生物で、十分なFPP源が利用できるのであれば、表2に示されている遺伝子および本発明の好ましい遺伝子の様々な組合せを使用することにより、本発明の方法を使用して無数の異なるカロテノイド類およびカロテノイド誘導体を作ることが可能である。たとえば、遺伝子群crtEXYIBは、β−カロテンの産生を可能にする。crtZをcrtEXYIBに付加することにより、ゼアキサンチンの産生が可能になる。
本発明の有用な産物は、アンテラキサンチン、アドニキサンチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、キャプソルブリン(capsorubrin)、β−クリプトキサンチン、ジデヒドロリコペン、β−カロテン、ζ−カロテン、δ−カロテン、γ−カロテン、ケト−γ−カロテン、ψ−カロテン、ε−カロテン、β,ψ−カロテン、トルレン、エキネノン、ガンマ−カロテン、ゼータ−カロテン、α−クリプトキサンチン、ジアトキサンチン、7,8−ジデヒドロアスタキサンチン、フコキサンチン、フコキサンチノール、イソレニエラテン、β−イソレニエラテン、ラクテュカキサンチン(lactucaxanthin)、ルテイン、リコペン、ネオキサンチン、ニューロスポレン、ヒドロキシニューロスポレン、ペリディニン、フィトエン、ロドピン、ロドピングルコシド、シホナキ
サンチン、スフェロイデン、スフェロイデノン、スピリロキサンチン、ウリオライド(uriolide)、酢酸ウリオライド(uriolide acetate)、ビオラキサンチン、ゼアキサンチン−β−ジグルコシド、ゼアキサンチン、およびC30−カロテノイド類等を含むが、この限りではない、本明細書で定義されているあらゆるカロテノイド化合物を包含することが想定される。さらに、本発明は、ヒドロキシ−、メトキシ−、オキソ−、エポキシ−、カルボキシ−、またはアルデヒド官能基、または配糖体エステル類、または硫酸エステル類を生じさせるための、これらの分子の誘導体化を含む。
大腸菌(E.coli)における、幾つかのイソプレノイド経路遺伝子の公的に入手可能な配列を使用して、λ−Red仲介相同的組み換え用の組み込みカセットを合成した。1つまたは2つのPCRで生成される断片を作製し、ファージT5プロモーターおよび選択マーカーを含むように操作した(実施例1、表1〜3)。およそ40〜50bpの長さのホモロジーアームを、該PCRで生成された断片の両端に使用した。プラスミドpKD46上にコードされたλ−Redリコンビナーゼシステムに助けられて、大腸菌(E.coli)染色体と組み込みカセットとの間で、相同的組み換えが起こり、dxs、idi、lytB、dxr、ygbBygbP(ygbBP)、ispA、ychB、gcpE、およびispB遺伝子の生来のプロモーターを、PT5強力プロモーターとの効果的に置き換えた(図1、3、および5)。これらの各遺伝子の、形質転換体のコロニーが得られた。成功した組み換えを、選択可能マーカー(カナマイシン)の包含によって測定した。組み込みカセットの染色体組み込みは、実施例1(図8)に記載の通り、PCR分析で確認した。λ−Red仲介組み換えは、1つまたはそれ以上の組み込みカセットで起こる可能性があるが、しかし、少なくとも2つの、線状の、PCRで生成された、カセットの使用が好ましい(図3)。
別の実施形態では、β−カロテン産生を分析するために、大腸菌(E.coli)レポーター菌株を構築した。簡単に記載すると、大腸菌(E.coli)レポーター菌株は、パンテア・スチュワーティ(Pantoea stewartii)由来の遺伝子群crtEXYIBを、ヘルパープラスミド(pPCB15;配列番号40)にクローニングし、次にこれを使用して大腸菌(E.coli)宿主を菌株を形質転換することにより、創出した(図6)。該遺伝子群は、カロテノイド類(すなわちβ−カロテン)の合成に必要な遺伝子の多くを含んでいた。crtZ遺伝子(β−カロテンヒドロキシラーゼ)が該遺伝子群に含まれていたことに注目すべきである。しかし、crtZ遺伝子(反対方向にかつcrtB遺伝子に隣接して構築されている)を発現させるためのプロモーターは存在せず、ゼアキサンチンは産生されなかったため、ゼアキサンチングルコシルトランスフェラーゼ酵素(該遺伝子群内に位置するcrtX遺伝子によりコードされる)は、その反応のための基質を持たなかった。β−カロテン産生の増加は、対照株産生と比較した増加として報告された(図6)。
配列分析を実施して、遺伝子群の同一性を確認した(実施例4、表4)。ヘルパープラスミド上の様々なカロテノイド遺伝子の機能を確認するために、トランスポゾン突然変異誘発(実施例5)を使用した。この方法を使用して、トランスポゾン突然変異誘発の結果から、機能を各遺伝子に割り当てることができた(表5)。様々なパンテア・スチュワーティ(Pantoea stewartii)crt遺伝子に割り当てられた機能は、当該技術分野で報告されたものと一致していた(国際公開第02/079395 A2号パンフレットおよび国際公開第03/016503号パンフレット)。
レポータープラスミド、pPCB15、を使用して、イソプレノイド経路を通過するフラックス増加をモニターした。FPPの産生される量を変えた、イソプレノイド経路に対する修飾は、β−カロテンの産生によりモニターした。野生型大腸菌(E.coli)株
および様々な形質転換体で産生されたβ−カロテン量の比較を使用して、最適β−カロテン産生を示す菌株を選択した。
別の実施形態において、本方法は、P1形質導入を使用して、増加したβ−カロテン産生を有する大腸菌(E.coli)株を創出できることを例証する。実施例1で創出された大腸菌(E.coli)kan−PT5−dxs菌株を、バクテリオファージP1に感染させた。溶解産物を回収して、β−カロテン発現プラスミドpPCB15を含む大腸菌(E.coli)MG1655を感染させるために使用した(実施例6、図6)。形質導入体は、カナマイシン選択マーカーにより選択した。部位特異的リコンビナーゼ(FLP)をコードする、熱感受性ヘルパープラスミド(pCP20)を使用して、選択マーカー(ATCC PTA−4455;チェレパノフ(Cherepanov)およびワッケルナーゲル(Wackernagel)、上掲;実施例6)を除去した。選択マーカーの除去後、該プラスミドを取り除いた。PCR断片分析を使用して、該PT5−dxsカセットの組み込みおよびカナマイシンマーカーの除去を確認した(図8)。大腸菌(E.coli)PT5−dxsは、レポータープラスミドを含む野生型大腸菌(E.coli)と比較して、およそ2.8倍のβ−カロテン産生増加を示した(実施例8、図9)。
イソプレノイド経路を通過するフラックスを最適化するために、多数の染色体修飾を含む形質転換体を創出した。バクテリオファージP1形質導入を使用して、多重形質転換体を創出した。各菌株を、実施例1に記載の通りに作製し、バクテリオファージP1に感染させた。溶菌サイクルを進めさせておいた。各菌株の溶解産物を回収した。P1溶解産物の混合物は、各菌株のそれぞれから等力価のP1溶解産物を混合することによって調製した(実施例2、図7)。該P1溶解産物混合物を使用して、大腸菌(E.coli)PT5−dxs菌株を感染させた。形質導入体は、選択マーカーにより選択した。より濃い黄色の色素沈着を示す形質導入体を選択した。もう一度、該選択マーカーを除去した。PCR断片分析を実施して、選択された形質導入体のそれぞれについて、挿入の位置およびタイプを特定し(実施例9)、また選択マーカーの除去を確認した(図8)。選択マーカーの除去により、選択された菌株は、次のラウンドのP1形質導入の受容細胞の役割を果たすことができた。該過程を繰り返し、対照株と比較して3.4倍のβ−カロテン産生増加を示す、最適化された大腸菌(E.coli)株PT5−dxs PT5−idi PT5−ispBを創出した(図9)。この方法を使用して、大腸菌(E.coli)に多数の染色体修飾を効率よく施すことができた。イソプレノイド経路を最適化して、当該遺伝子最終産物である、β−カロテンの産生を増加させた。
別の実施形態では、ispBは、カーボンフローを、イソプレノイド経路からそらすと考えられていたため、上方制御の標的の1つとしてのispBの包含は予想外であった(図1および9;実施例9)。本方法は、β−カロテン産生を増加させるために、本方法を使用して変化させることが可能な遺伝子および遺伝子組み合わせの同定を可能にした。
別の実施形態では、本方法で使用される組み込みカセットは、破壊された遺伝子、たとえばトランスポゾン突然変異誘発により破壊されたものを含んでもよい。染色体操作により遺伝子を下方制御または完全に破壊することによって、カーボンフローを、競合する生合成経路からそらすことが可能になる。本方法は、染色体修飾の様々な組み合わせおよびそれらが標的生合成経路の所望の遺伝子最終産物に及ぼす影響の評価を容易にする。
一実施形態では、所望の遺伝子最終産物の産生効率を上昇させるために、多重プロモーター置換を含む、多数の染色体修飾を含むように、細菌宿主菌株が操作される。P1形質導入および選択可能マーカーを除去するための部位特異的リコンビナーゼを使用して、多数の染色体修飾を1つの宿主菌株に組み込んだ。染色体修飾は、P1形質導入およびマーカー除去という一連のラウンドによって、1つの菌株に順次組み込まれた。
本発明は、様々な標的とされるin vivo細菌染色体修飾を、1つの宿主菌株にスタッキングするために使用することが可能である。部位特異的リコンビナーゼを使用して選択可能マーカーを除去することにより、生合成経路を操作して、産業上有用な材料の産生を最適化するために必要な、多数の染色体修飾を実施することが可能になる。形質をスタッキングするための組み合わせ手法は、染色体修飾の組み込みを可能にし、併せて、個々の修飾を1つづつ課すことと比べて、所望の形質に対して最も大きい影響が、より迅速に得ることができる。
以下の実施例で、本発明をさらに明確にする。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、当然のことながら、実例として示すに過ぎない。上の論考およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の必須特性を確認することができ、また本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および修飾を加えて、様々な使用および条件に適合させることができる。
一般法
実施例で使用された標準組み換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該技術分野で周知であり、サムブルック(Sambrook),J.、フリッチェ(Fritsch),E.F.およびマニアティス(Maniatis),T.分子クローニング:研究所マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual);コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press):コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、(1989年)(マニアティス(Maniatis))ならびにT.J.シルヘイビー(Silhavy)、M.L.ベナン(Bennan)およびL.W.エンクイスト(Enquist)、遺伝子融合を用いた実験(Experiments with Gene Fusions)、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバーのコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)(1984年)、ならびにアウスベル(Ausubel),F.M.ら、分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)、グリーン・パブリッシング・アソシエーション(Greene Publishing Assoc.)およびワイリー・インターサイエンス(Wiley−Interscience)発行(1987年)により記述されている。
細菌培養の維持および増殖に適当な材料および方法は、当該技術分野で周知である。以下の実施例での使用に適当な技術は、一般細菌学のための方法のマニュアル(Manual of Methods for General Bacteriology)(フィリップ・ジェラール(Phillipp Gerhardt)、R.G.E.マリー(Murray)、ラルフ(Ralph)N.コスチロー(Costilow)、ユージン(Eugene)W.ネスター(Nester)、ウィリス(Willis)A.ウッド(Wood)、ノエル(Noel)R.クリーグ(Krieg)およびG.ブリッグス・フィリップス(Briggs Phillips)編、米国微生物学会(American Society for Microbiology)、ワシントンDC(Washington,DC.)(1994年))に、またはトーマス(Thomas)D.ブロック(Brock)、バイオテクノロジー:工業微生物学教科書(Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology)、第2版(1989年)マサチュセッツ州サンダーランドのシナウワー・アソシエーツ・インク(Sinauer Associates,Inc.,Sunderland
,MA.)により、明確に記載されている。細菌細胞の増殖および維持に使用された全ての試薬、制限酵素および材料は、特に明記されていない限り、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,WI))、ディフコ・ラボラトリーズ(DIFCO Laboratories)(ミシガン州デトロイト(Detroit,MI))、ギブコ(GIBCO)/BRL(メリーランド州ゲイサーズバーグ(Gaithersburg,MD))、またはシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス(St.Louis MO))から入手した。
遺伝子配列の操作は、ジェネティクス・コンピューター・グループ・インク(Genetics Computer Group Inc.)から販売されているプログラム一式(ウィスコンシン・パッケージ(Wisconsin Package)バージョン9.0、ウィスコンシン州マディソンのジェネティクス・コンピューター・グループ(Genetics Computer Group)(GCG)Madison,WI))を使用して行った。該GCGプログラム「パイルアップ(Pileup)」を使用する場合、ギャップ・クリエーション・デフォルト値12、およびギャップ・エクステンション・デフォルト値4を使用した。CGC「ギャップ(Gap)」または「ベストフィット(Bestfit)」プログラムを使用する場合、デフォルト・ギャップ・クリエーション・ペナルティ50およびデフォルト・ギャップ・エクステンション・ペナルティ3を使用した。スミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)アルゴリズムを組み込んだファスタ(FASTA)プログラム(W.R.ピアソン(Pearson)、Comput.Methods Genome Res.、[Proc.Int.Symp.](1994年)、会議日程1992年、111−120、編集者:スハーイ(Suhai)、サンダー(Sandor)、発行者:ニューヨーク州ニューヨークのプレナム(Plenum,New York,NY)を使用して、多数のアラインメントを作成した。これらのプログラムまたは他のプログラムで、プログラムパラメーターが指示されていないいずれの場合にも、デフォルト値を使用した。
略語の意味は以下の通りである。「h」は、時間を意味し、「min」は、分を意味し、「sec」は秒を意味し、「d」は、日を意味し、「mL」は、ミリリットルを意味し、「L」は、リットルを意味し、「μL」は、マイクロリットルを意味し、「rpm」は、1分当たりの回転数を意味する。
実施例1
イソプレノイド遺伝子の上流に、染色体に組み込まれたファージT5強力プロモーターを有する大腸菌(E.coli)株の合成(プロモーター置換)
図3に記載の通りに、PCR断片染色体組み込み方法を使用して、大腸菌(E.coli)イソプレノイド遺伝子dxs、idi、dxr、lytB、ygbBygbP(ygbBP)、ispA、ychB、gcpE、およびispBの生来のプロモーター(図1)を、ファージT5(PT5)強力プロモーターと置換した。該置換方法は、ヘルパープラスミド上にコードされているλ−Redリコンビナーゼによる、相同的組み換えに基づく。組み換えは、大腸菌(E.coli)染色体と、PCR断片の両端に40〜50bpの相同パッチ(homology patch)を含む、1つまたは2つのPCR断片との間で起こる(図3)。2つのPCR断片法または1つのPCR断片法(図3)のいずれかを、大腸菌(E.coli)イソプレノイド遺伝子、dxs、idi、lytB、dxr、ygbBygbP(ygbBP)、ispA、ychB、gcpE、およびispBの最前部における、カナマイシン選択可能マーカーおよびファージT5プロモーター(配列番号43)の染色体組み込みに使用した。2つのPCR断片法の場合、該2つの断片は、部位特異的リコンビナーゼ標的配列(FRT)に挟まれたカナマイシン選択可能マーカーを含む線状DNA断片(1489bp)、ならびに−10および−35共通プロモータ
ー配列、lacオペレーター(lacO)、およびリボソーム結合部位(rbs)を含んでなるファージT5プロモーター(PT5)を含む線状DNA断片(154bp)を含んでいた。1つのPCR断片法の場合、融合した線状DNA断片(1647bp)は、部位特異的リコンビナーゼ標的配列(FRT)で挟まれたカナマイシン選択可能マーカー、ならびに−10および−35共通プロモーター配列、lacオペレーター(lacO)、およびリボソーム結合部位(rbs)を含んでなるPT5プロモーターを含む線状DNA断片(154bp)を含んでいた。
2つのPCR断片法を使用することにより、該カナマイシン選択可能マーカーおよびPT5プロモーター(kan−PT5)が、dxs、idi、lytB、dxr、およびygbBP遺伝子の上流に組み込まれ、それぞれの生来のプロモーターに取って代わって、kan−PT5−dxs、kan−PT5−idi、kan−PT5−lytB、kan−PT5−dxr、およびkan−PT5−ygbBPを生じた。カナマイシン選択可能マーカーを含んでいた線状DNA断片(1489bp)は、下記の通り、表3のプライマー対を用いて、プラスミドpKD4(ダツセンコ(Datsenko)およびワーナー(Wanner)、上掲)からPCRで合成された。
T5プロモーターを含む第2の線状DNA断片(154bp)は、下記の通り、表4のプライマー対を用いて、pQE30(カリフォルニア州バレンシアのキアジェン・インク(QIAGEN,Inc.Valencia,CA))からPCRで合成した。
1つのPCR断片法の場合、該カナマイシン選択可能マーカーおよびファージT5プロモーターは、ispA、ychB、gcpE、およびispB遺伝子の最前部に組み込まれ、kan−PT5−ispA、kan−PT5−ychB、kan−PT5−gcpE、およびkan−PT5−ispBを生じた。組み込みに使用された、PT5プロモーターを含む融合したカナマイシン選択可能マーカー−ファージを含んでいた線状DNA断片は、下記の通り、表5のプライマーを用いて、pSUH5からPCRで合成された(図4)。
下記の通り、標準PCR条件を使用して、アンプリタク・ゴールド(AmpliTaq
Gold)(登録商標)ポリメラーゼ(カリフォルニア州フォスター・シティのアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems,Foster City,CA))で、該線状DNA断片を増幅した。
PCR反応の完了後、各PCR反応混合物50μLを、1%アガロースゲル上を移動させ、製造業者の説明書に従ってキアクイック・ゲル・エクストラクション・キット(QIAquick Gel Extraction Kit)(商標)(カタログ番号28704、カリフォルニア州バレンシアのキアジェン・インク(QIAGEN,Inc.Valencia,CA))を使用して、該PCR産物を精製した。該PCR産物を、蒸留水10μLで溶出させた。製造業者の説明書に従って、DNAクリーン・アンド・コンセントレーター(DNA Clean&Concentrator)(商標)キット(カリフォルニア州オレンジのザイモ・リサーチ(Zymo Research,Orange,CA))を使用して、該PCR産物断片をさらに精製した。該PCR産物を、蒸留水6〜8μLで、0.5〜1.0μg/μLの濃度まで溶離させた。
λ−Redリコンビナーゼ発現プラスミドpKD46(amp)(図5)を担持する、大腸菌(E.coli)MC1061菌株を、PCR断片の染色体組み込みのための宿主菌株として使用した。該菌株は、λ−Redリコンビナーゼ発現プラスミド、pKD46(amp)を用いた、大腸菌(E.coli)株MC1061の形質転換によって構築した。pKD46におけるλ−Redリコンビナーゼは、アラビノース−誘導プロモーターの制御下で発現される3つの遺伝子exo、bet、およびgamで構成される。形質転換体は、30℃の100μg/mLアンピシリンLBプレートで選択した。
形質転換のために、カナマイシンマーカーおよびPT5プロモーターを担持する精製PCR産物1〜5μgを使用して、エレクトロポレーションを実施した。抗生物質耐性形質転換体を選択するために、形質転換された細胞のおよそ半分を、25μg/mLカナマイシンを含有するLBプレート上に塗布した。該プレートを37℃で一晩インキュベートした後、抗生物質耐性形質転換体が下記の通りに選択された。kan−PT5−dxs 10コロニー、kan−PT5−idi 12コロニー、kan−PT5−lytB 1コロニー、kan−PT5−dxr 47コロニー、kan−PT5−ygbBP 10コロニー、kan−PT5−ispA 19コロニー、kan−PT5−ychB 700コロニー、kan−PT5−gcpE 21コロニー、およびkan−PT5−ispB
3コロニー。
PCR分析を使用して、大腸菌(E.coli)染色体上の正確な位置におけるカナマイシン選択可能マーカーおよびファージT5プロモーター(PT5)の両者の組み込みについて、選択されたkan−PT5カナマイシン耐性形質転換体をスクリーニングした。PCRのために、200μM dNTPs、2.5U アンプリタク(AmpliTaq)(商標)(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosytems))、および0.4μM 特異的プライマー対を含有するPCR反応混合物50μL中に、コロニーを再懸濁させた。テストプライマーは、カナマイシン(5’−プライマー)および各イソプレノイド遺伝子の初期コード領域(3’−プライマー)に位置する領域の配列と一致するように選択した。PCR反応は、上述の通りに実施された。各イソプレノイド遺伝子のkan−PT5上流への染色体組み込みは、PCR分析で確認された。結果として得られた、染色体上に各kan−PT5−イソプレノイド遺伝子融合を担持する大腸菌(E.coli)株を、実施例7および9に記載の組み合わせ手法で、染色体上に並列で多数のkan−PT5−イソプレノイド遺伝子融合をスタッキングするために使用した。
実施例2
大腸菌(E.coli)kan−PT5−dxs、kan−PT5−idi、kan−PT5−lytB、kan−PT5−dxr、kan−PT5−ygbBP、kan−PT5−ispA、kan−PT5−ychB、kan−PT5−gcpE、およびkan−PT5−ispB菌株を用いて作られるP1溶解産物混合物の調製
大腸菌(E.coli)kan−PT5−dxs、kan−PT5−idi、kan−PT5−lytB、kan−PT5−dxr、kan−PT5−ygbBP、kan−PT5−ispA、kan−PT5−ychB、kan−PT5−gcpE、およびkan−PT5−ispB菌株のP1溶解産物は、増殖中の細菌培養を、P1ファージに感染させて、細胞を溶解させることによって調製した。P1感染のために、各菌株を、25μg/mLカナマイシンを含むLB培地4mLに接種し、37℃で一晩増殖させ、次いで、一晩培養の1:100希釈物を、5mM CaClを含むLB培地10mLで継代培養した。37℃で20〜30分間増殖させた後、10個のP1virファージを加えた。該細胞−ファージ混合物に37℃で2〜3時間、溶解するまで通気し、クロロホルム数滴を加え、該混合物を30秒間渦巻攪拌し、室温でさらに30分間インキュベートした。次いで、該混合物を4500rpmで10分間遠心分離し、上澄を新しい試験管に移し、クロロホルム数滴を加えた。該溶解産物を4℃で保存した。
P1溶解産物の混合物は、等力価の、大腸菌(E.coli)kan−PT5−dxs、kan−PT5−idi、kan−PT5−lytB、kan−PT5−dxr、kan−PT5−ygbBP、kan−PT5−ispA、kan−PT5−ychB、kan−PT5−gcpE、またはkan−PT5−ispB菌株からのP1溶解産物を混合することにより調製した。P1溶解産物の力価測定値は、マニアティアス(Maniatis)に記載の通りに決定された。
実施例3
パンテア・スチュワーティ(Pantoea stewartii)由来のβ−カロテン産生遺伝子のクローニング
crt遺伝子を含む断片をPCRで増幅するために、エルウィニア・ウレドボラ(Erwinia uredovora)由来の配列を使用して、プライマーをデザインした。これらの配列は、5’〜3’を含んでいた。
染色体DNAは、パンテア・スチュワーティ(Pantoea stewartii)(ATCC 8199)から精製し、Pfuターボ(Pfu Turbo)ポリメラーゼ(カリフォルニア州ラホーヤのストラタジーン(Stratagene,La Jolla,CA))を、下記の条件で、PCR増幅反応で使用した。94℃、5分;25サイクルの94℃(1分)−60℃(1分)−72℃(10分)、および72℃ 10分間。ゲル電気泳動後、およそ6.5kbの一産物が確認された。Taqポリメラーゼ(カリフォルニア州フォスター・シティのパーキン・エルマー(Perkin Elmer,Foster City,CA))を10分間72℃の反応で使用して、pCR4−TOPO(カリフォルニア州カールズバッドのインビトロジェン(Invitrogen,Carlsbad,CA))にTOPOクローニングするための断片に、3’アデノシンヌクレオチドをさらに付加し、プラスミドpPCB13を創出した。エレクトロポレーションにより、大腸菌(E.coli)DH5a(メリーランド州ロックビルのライフ・テクノロジーズ(Life Technologies,Rockville,MD))に形質転換後、数コロニーが、鮮黄色に見え、カロテノイド化合物を産生していることを示した。製造業者に指示された通りに、キアジェン(Qiagen)(カリフォルニア州バレンシア(Valencia,CA))ミニプレップキットを使用して、プラスミドを単離した後
、GPS−1ゲノム・プライミング・システム・キット(Genome Priming
System)キット(マサチュセッツ州ベバリーのニューイングランド・バイオラブズ・インク(New England Biolabs,Inc.,Beverly,MA))を使用して、該6.5kbの増幅された断片を含むプラスミドを、pGPS1.1と入れ替えた。多数の、これらの転位したプラスミドを、トランスポゾンの各末端から配列決定した。トランスポゾン特異的プライマーを使用し、ダイターミネーター技術(米国特許第5,366,860号明細書;EP272007号)を使用して、ABIオートマティック・シークエンサー(ABI Automatic sequencer)で、配列を作成した。シーケンチャー・プログラム(Sequencher program)(ミシガン州アナーバーのジーン・コーズ・コープ(Gene Codes Corp.,Ann Arbor,MI))を用いて、配列アセンブリを実施した。
実施例4
細菌遺伝子の同定および特性決定
crtE、X、Y、I、B、およびZをコードする遺伝子は、BLAST「nr」データベース(全ての非重複性ジェンバンク(GenBank)(登録商標)CDS翻訳、三次元構造ブルックヘイブン・プロテイン・データバンク(Brookhaven Protein Data Bank)、スイス・プロット(SWISS−PROT)タンパク質配列データベース、EMBL、およびDDBJデータベースから導かれる配列を含んでなる)に含まれている配列との類似性を検索するブラスト(BLAST)(ベーシック・ローカル・アラインメント・サーチ・ツール(Basic Local Alignment Search Tool);アルトシュール(Altschul),S.F.ら、J.Mol.Biol.、215:403−410(1993年))を実施することにより同定した。実施例3で得られた配列を、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information(NCBI))により提供されるBLASTNアルゴリズムを使用して、該「nr」データベースに含まれている全ての公的に入手可能なDNA配列との類似性について分析した。DNA配列を、全てのリーディングフレームで翻訳し、NCBIより提供されるBLASTXアルゴリズム(ギッシュ(Gish),W.およびステイツ(States),D.、Nature Genetics、3:266−272(1993年))を使用して、該「nr」データベースに含まれている全ての公的に入手可能なタンパク質配列との類似性について比較した。
全ての比較は、BLASTNnrまたはBLASTXnrアルゴリズムのいずれかを使用して行った。BLAST比較の結果は、最高の類似性有する配列をまとめてある表6に示す。表6は、BLASTXnrアルゴリズムに基づいたデータを、期待値で報告される値とともに示す。期待値は、一致の統計学的有意性を予測し、全く偶然に、このサイズのデータベースの検索で予測される、一致の数を、所定の点数で、明確に示す。
実施例5
トランスポゾン突然変異誘発による遺伝子機能の分析
crtE、crtX、crtY、crtI、crtB、およびcrtZを含む各コード領域内に挿入されたトランスポゾンを担持する幾つかのプラスミドを、実施例3で作成された配列データを使用して選択した。これらのプラスミド変異体を、大腸菌(E.coli)MG1655に形質転換し、100μg/mLアンピシリンの存在下、ルリア・ベルターニ(Luria−Bertani)ブロス100mLで増殖させた。培養を、26℃で18時間増殖させ、細胞を遠心分離で回収した。アセトン10mLを使用して、カロテノイドを細胞ペレットから抽出した。アセトンを窒素下で乾燥させ、HPLC分析のために、カロテノイドをメタノール1mL中に再懸濁させた。ベックマン・ゴールド・ヌーヴォー・ソフトウェア(Beckman Gold Nouveau Software)(メリーランド州コロンビア(Columbia,MD))を用いたベックマン・システム・ゴールド(Beckman System Gold)(登録商標)HPLCを試験に使用した。粗抽出液(0.1mL)を、対応する保護カラムが付いた125×4mmのRP8(5μm粒子)カラム(カリフォルニア州サンフェルナンドのヒューレット・パッカード(Hewlett−Packard,San Fernando,CA))に添加した。流速は1mL/分であり、使用した溶媒プログラムは、0〜11.5分 水40%/メタノール60%;11.5〜20分 メタノール100%;20〜30分 水40%/メタノール60%であった。スペクトルデータは、ベックマン(Beckman)光ダイオードアレイ検出器(モデル168)で収集した。
野生型crtEXYIBZを有する野生型クローンでは、カロテノイドは、保持時間15.8分および吸収スペクトル425、450および478nmを有することが分かった。これらの値は、β−カロテン標準の値一致していた。このことから、反対方向に構築されたcrtZ遺伝子は、この構築物で発現されないことが示唆される。crtZにおけるトランスポゾン挿入は、予想通り、全く効果がなかった(データ示さず)。
HPLCスペクトル分析はまた、crtXにトランスポゾン挿入を有するクローンも、β−カロテンを産生することを示した。このことは、β−カロテンの合成に続く、カロテノイド経路の後期工程における、ゼアキサンチングルコシルトランスフェラーゼ酵素をコードするcrtXの、提唱された機能と一致する。
crtYにおけるトランスポゾン挿入により、β−カロテンは産生されなかった。カロテノイドの溶出時間(15.2分)および吸収スペクトル(443nm、469nm、500nm)は、リコペン標準のそれらと一致した。リコペンがcrtY突然変異体に蓄積したことにより、リコペンサイクラーゼコード化遺伝子としてのcrtYの役割が裏付けられた。
crtI抽出液は、286nmでモニターしたとき、保持時間16.3分および吸収スペクトル276nm、286nm、297nmを有するピークを示し、フィトエンに関して報告されたスペクトルと一致した。フィトエンがcrtI突然変異体で検出されたことにより、フィトエンデヒドロゲナーゼ酵素をコードする遺伝子としての、crtI遺伝子の機能が裏付けられた。
crtE突然変異体またはcrtB突然変異体から抽出されたアセトンは、透明であった。これらの突然変異体における有色カロテノイドの喪失は、crtE遺伝子およびcrtB遺伝子の両者が、カロテノイド合成に不可欠であることを示す。いずれの突然変異体でもカロテノイドは全く確認されず、このことは、プレフィトエンピロリン酸シンターゼをコードするcrtBおよびゲラニルゲラニルピロリン酸シンセターゼをコードするcr
tEの、提唱された機能と一致する。両酵素は、β−カロテン合成に必要である。
トランスポゾン突然変異誘発実験の結果を、下表7に示す。遺伝子群crtEXYIB内へのトランスポゾン挿入部位を、LBプレートで観察された大腸菌(E.coli)コロニーの色、(HPLCスペクトル分析で決定される)カロテノイド化合物の同一性、および各遺伝子の実験的に割り当てられた機能と共に記録する。
実施例6
β−カロテンを産生する大腸菌(E.coli)PT5−dxsの構築
イソプレノイド産生に対するファージT5プロモーターの作用を特性化するために、イソプレノイド遺伝子から上流に、染色体に組み込まれたT5プロモーターを含む、β−カロテンを産生することができる、菌株、大腸菌(E.coli)PT5−dxsを構築した。
大腸菌(E.coli)kan−PT5−dxs菌株で作られたP1溶解産物を、β−カロテン生合成発現プラスミドpPCB15(cam)(図6)を含む受容株である、大腸菌(E.coli)MG1655に形質導入した。プラスミドpPCB15(cam)は、パンテア・スチュワーティ(Pantoea stewartii)(ATCC
8199)由来のカロテノイド生合成遺伝子群(crtEXYIB)を含む。pPCB15プラスミドを、SmaI消化pSU18(バルトロメ(Bartolome),B.ら、Gene、102:75−78(1991年))ベクターと、pPCB13(実施例3)由来のcrtEXYIBを担持する平滑末端化PmeI/NotI断片とのライゲーションにより構築した。大腸菌(E.coli)MG1655 pPCB15受容細胞を、25μg/mLクロラムフェニコールを含むLB培地4mLで、37℃にて、中対数期(1〜2×10細胞/mL)まで増殖させた。細胞を、4500rpmで10分間遠沈し、2mLの10mM MgSOおよび5mM CaClに再懸濁した。受容細胞(100μL)を、大腸菌(E.coli)kan−PT5−dxs菌株から作られたP1溶解産物貯蔵液(10pfu/μL)、1μL、2μL、5μL、または10μLと混合し、30℃で30分間インキュベートした。受容細胞−溶解産物混合物を、6500rpmで30秒間遠沈し、10mMクエン酸ナトリムを含むLB培地100μLに再懸濁し
、37℃で1時間インキュベートした。抗生物質耐性形質導入体を選択するために、25μg/mLのカナマイシンおよび25μg/mLのクロラムフェニコールの両者を含むLBプレート上に細胞をプレーティングし、37℃で、1日または2日間インキュベートした。16の形質導入体を選択した。
カナマイシン選択可能マーカーを染色体から除去するために、熱感受性複製起点を有する、FLPリコンビナーゼ発現プラスミドpCP20(amp)(ATCC PTA−4455)(チェレパノフ(Cherepanov)およびワッケルナーゲル(Wackernagel)、Gene、158:9−14(1995年))を、エレクトロポレーションにより、カナマイシン耐性形質導入体の1つに一時的に形質転換させた。細胞を、100μg/mLアンピシリンを含むLB寒天および25μg/mLクロラムフェニコールLBプレート上に塗布し、30℃で1日増殖させた。コロニーを採取して、アンピシリン抗生物質を含まない25μg/mLクロラムフェニコールLBプレート上に画線し、43℃で一晩インキュベートした。プラスミドpCP20は、熱感受性複製起点を有し、そのため、細胞を43℃で培養することにより、宿主細胞から除去した。コロニーを、100μg/mLアンピシリンLBプレートまたは25μg/mLカナマイシンLBプレート上に画線することにより、該コロニーを、アンピシリンおよびカナマイシン感受性についてテストし、pCP20およびカナマイシン選択可能マーカーの喪失をテストした。大腸菌(E.coli)染色体からのカナマイシン選択可能マーカーの除去は、PCR分析で確認した(図8、レーン1および2)。選択されたコロニーを、200μM dNTPs、2.5Uアンプリタク(AmpliTaq)(商標)(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosytems))、および0.4μMの特異的プライマー対の異なる組合せ、T−kan(5’−ACCGGATATCACCACTTAT CTGCTC−3’)(配列番号35)およびB−dxs(5’−TGGCAACAGTCGTAGCTCCTGGG TGG−3’)(配列番号36)、T−T5(5’−TAACCTATAAAAATAGGCGTATCACGAGG CCC−3’)(配列番号37)およびB−dxs含むPCR反応混合物50μL中に再懸濁した。テストプライマーは、カナマイシンまたはファージT5プロモーターのいずれかおよびdxs遺伝子の初期領域に位置する領域を増幅するように選択した(図8)。PCR反応は、実施例1に記載の通りに実施した。PCRの結果(図8、レーン1および2)は、大腸菌(E.coli)染色体からの、カナマイシン選択可能マーカーの除去を示した。dxsコード配列の上流にPT5プロモーター断片が存在することは、予想されるサイズ(229bp)のPCR産物の産生に基づいて確認された。このようにして、大腸菌(E.coli)PT5−dxs菌株を構築した。
実施例7
並列での、多重kan−PT5−イソプレノイド遺伝子融合物の組み合わせスタッキング
高レベルのカロテノイド産生ができる細菌株を創出するために、多数のイソプレノイド遺伝子の最前部に、並列で、PT5をスタッキングするための方法を考案した。この技術を使用して、最良のカロテノイド産生性菌株を選択することが可能になった。
実施例2に記載の通りに、大腸菌(E.coli)PT5−dxs菌株に、大腸菌(E.coli)kan−PT5−idi、kan−PT5−lytB、kan−PT5−dxr、kan−PT5−ygbBP、kan−PT5−ispA、kan−PT5−ychB、kan−PT5−gcpE、およびkan−PT5−ispB菌株で作られたP1溶解産物混合物を用いて形質導入し、これによって、多数のイソプレノイド遺伝子の最前部に、並列で、kan−PT5カセットをスタッキングすることが可能になった(図7)。形質導入のために、受容細胞を調製し、P1溶解産物混合物(10pfu/μL)を使用して、実施例6に記載の通りに形質導入を実施した。抗生物質耐性形質導入体を選択するために、25μg/mLカナマイシンおよび25μg/mLクロラムフェニコールの
両者を含有するLBプレート上に、細胞をプレーティングした。37℃で1〜2日、インキュベートした後、独特の黄色いβ−カロテン色で最も濃く色素沈着した430のカナマイシン/クロラムフェニコール耐性形質導入体のうち6コロニーを選択した。これらの6菌株における、染色体上にスタッキングされたkan−PT5−イソプレノイド遺伝子融合物は、カナマイシン遺伝子の中間領域と相補的な5’−プライマー、および各イソプレノイド遺伝子(idi、lytB、dxr、ygbBP、ispA、ychB、gcpE、またはispB)の最初の数百bp以内の配列と相補的な3’−プライマーを用いたPCR分析で同定された。このPCRスクリーニングは、実施例1に略述されている通りに実施した。PCR分析は、PT5−dxsのほかにも、4コロニーが、kan−PT5−idiを含み、1コロニーが、kan−PT5−ispBを含み、1コロニーが、kan−PT5−gcpEを含むことを示した。これらの中で、kan−PT5−idiを担持するコロニーは、37℃で2日間増殖させた後、25μg/mLカナマイシンおよび25μg/mLクロラムフェニコールの両者を含有するLBプレート上で、最も濃い黄色を示し、より高い収量のβ−カロテン産生が示唆された。
大腸菌(E.coli)PT5−dxs kan−PT5−idiの染色体由来のカナマイシン選択可能マーカーを、実施例2に記載の通りに除去し、大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idiを得た。カナマイシン選択可能マーカーの除去は、特異的プライマー対の異なる組み合わせ、T−kanおよびB−idi(5’−TCATGCTGACCTGGTGAAGGAATCC−3’)(配列番号38)、T−T5およびB−idiを使用して、実施例1に記載の通りに、PCR分析で確認した。テストプライマーは、カナマイシンまたはPT5プロモーターのいずれかに位置する領域、およびidi遺伝子の先端(図8)を増幅するように選択した。PCRの結果(図8、レーン3および4)は、大腸菌(E.coli)染色体からのカナマイシン選択可能マーカーの除去を示した。前と同様、染色体のidi遺伝子の最前部にPT5プロモーター断片が存在することは、予想されるサイズ(274bp)のPCR断片の産生に基づいて確認された。
実施例8
大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idiにおけるβ−カロテン産生の測定
全て、β−カロテン生合成発現プラスミドpPCB15(cam)を含む、大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idi、大腸菌(E.coli)PT5−dxs、および大腸菌(E.coli)対照株のβ−カロテン産生を、分光分析法で定量化した。β−カロテン産生の定量分析は、β−カロテンに特有の、425、450および478nmにおけるλmaxピークのスペクトルを測定することによって実行した。大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idi、大腸菌(E.coli)PT5−dxsおよび大腸菌(E.coli)対照株は、25μg/mLクロラムフェニコールを含有するLB 5mLで、37℃で24時間増殖させ、次いで、4,000rpmで10分間の遠心分離により回収した。β−カロテン色素は、1分間、渦巻攪拌しながら、アセトン1mL中に細胞ペレットを再懸濁させることによって抽出し、次いで、室温で1時間、サンプルを揺り動かした。4,000rpmで10分間、遠心分離した後、ウルトロスペック(Ultrospec)3000分光光度計(ニュージャージー州ピスカタウエイのアマーシャム・バイオサイエンシーズ(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ))を使用して、β−カロテンを含有するアセトン層の吸収スペクトルを、λ450nmで測定した。大腸菌(E.coli)PT5−dxsおよび大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idiにおけるβ−カロテン産生は、大腸菌(E.coli)対照株のそれより、それぞれ、およそ2.8倍および3.1倍高かった(図9)。大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idiにおけるβ−カロテン産生は、親菌株である大腸菌(E.coli)PT5−dxsと比較したとき、およそ12%増加した。
実施例9
より優れたβ−カロテンプロデューサーを創出するための、P1溶解産物混合物を用いた大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idiの形質導入
大腸菌(E.coli)kan−PT5−lytB、kan−PT5−dxr、kan−PT5−ygbBP、kan−PT5−ispA、kan−PT5−ychB、kan−PT5−gcpE、およびkan−PT5−ispB菌株で作られたP1溶解産物混合物を用いて、大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idi菌株を形質導入した(図7)。P1形質導入は、実施例7に記載の通りに実施した。1000を超える形質導入体が生じた。これらの形質導入体中で、親菌株である大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idiより濃い黄色を示した10コロニーを選択し、kan−PT5の挿入位置を、実施例7に記載の通りにPCR分析で確認した。PCR分析は、全10コロニーが、PT5−dxsおよびPT5−idiはもとより、kan−PT5−ispBも含んでいることを示した。大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idi kan−PT5−ispB菌株は、37℃で2日間増殖した後、25μg/mLカナマイシンおよび25μg/mLクロラムフェニコールの両者を含有するLBプレート上で、親菌株である大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idiより濃い黄色を示し、より高収量のβ−カロテン産生を示唆した。
大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idi kan−PT5−ispBの染色体からのカナマイシン選択可能マーカーを、実施例6に記載の通りに除去し、大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idi PT5−ispBを得た。カナマイシン選択可能マーカーの除去は、PCR分析で確認された(図8、レーン5および6)。特異的プライマー対、T−kan(配列番号35)およびB−ispB(5’−ACCATAAACCCTAAGTTGCCTTT GTTCACAGTAAGGT AATCGGGG−3’)(配列番号39)、T−T5(配列番号37)およびB−ispB(配列番号39)を使用した。テストプライマーは、カナマイシンまたはPT5プロモーターのいずれかに位置する領域、およびispB遺伝子の先端を増幅するように選択した(図8)。PCR反応は、実施例1に記載の通りに実施した。PCRの結果(図8、レーン5および6)は、P1 PT5プロモーター配列のサイズに相当する、予想されるサイズ(203bp)のバンド生成に基づいて、大腸菌(E.coli)染色体からのカナマイシン選択可能マーカーの除去、および染色体のispB遺伝子の最前部におけるPT5プロモーター断片の存在を示した。
大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idi PT5−ispB、大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idi、大腸菌(E.coli)PT5−dxsおよび大腸菌(E.coli)対照株のβ−カロテン産生は、実施例8に記載の分光分析法を使用して比較した(図9)。大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idi PT5−ispBにおけるβ−カロテン産生は、大腸菌(E.coli)対照株(図9)におけるそれより3.4倍高かった。大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idi PT5−ispBにおけるβ−カロテン産生は、親菌株である大腸菌(E.coli)PT5−dxs PT5−idiと比較したとき、およそ10%増加した。
本組み合わせP1形質導入方法は、強力プロモーターの制御下にある、β−カロテン産生を増加することができるispB遺伝子の単離を初めて可能にした。イソプレノイドキノン類の側鎖の前駆体を供給した、IspB(酵素オクタプレニル二リン酸シンターゼ)は、カロテノイド生合成経路(図1)から、FPP前駆体を失わせると予想されるため、β−カロテン産生を増加させるためのispBの単離は、予想外であり、また自明ではない結果であった。ファージT5強力プロモーターの制御下にある、ispB遺伝子の過剰
発現がいかにしてβ−カロテン産生を増加するかというメカニズムは、まだ明白ではない。しかし、結果から、IspBは、カロテノイド生合成経路のフラックスを増加できることが示唆される。組み合わせ形質導入は、生合成経路最適化における新しい遺伝子を同定するための強力なツールである。
図面の簡単な説明、配列記述、および生物学的寄託
イソプレノイド/カロテノイド生合成経路を示す図である。 スタッキング形質を、並列組み合わせ様式で、in vivo染色体操作するための、本発明の方法を示す図である。 1つまたは2つのPCR断片を使用して、線状DNAを染色体に組み込むための、本発明の方法を示す図である。 プラスミドpSUH5の特徴を示す図である。 プラスミドpKD46の特徴を示す図である。 プラスミドpPCB15の特徴を示す図である。 本発明の方法により、大腸菌(E.coli)におけるβ−カロテンレベルを上昇させるためのスキームを示す図である。 カナマイシン耐性マーカーの、染色体からの除去、染色体組み込みを検証するアガロースゲルを示す図である。 本方法により操作された大腸菌(E.coli)株で産生された、上昇したレベルのβ−カロテンを示す図である。
【配列表】

Claims (20)

  1. a)(i)核酸組み込み断片、
    (ii)リコンビナーゼに敏感に反応する特異的リコンビナーゼ部位により結合された選択可能マーカー、
    (iii)ドナー細胞染色体の異なる部分と相同性を有するホモロジーアームを含んでなる、多数の組み込みカセットを提供し、
    b)少なくとも1つのドナー細胞を、その染色体の組み込みのために(a)の組み込みカセットで形質転換し、
    c)(b)の形質転換されたドナー細胞を、ファージに感染させ、ここで前記ファージは複製し、前記ドナー細胞は溶解され、
    d)(c)のドナー細胞の溶解によって放出されたファージを単離し、
    e)(a)の異なる組み込みカセットを担持する(c)のドナー細胞の溶解によって放出された、単離されたファージを混合し、
    f)受容細胞を、(e)の単離されたファージの混合物に感染させ、ここで前記組み込みカセットはそれぞれ、ホモロジーアームと相同な位置で受容細胞染色体に組み込まれて、形質導入された受容細胞を生じ、
    g)形質導入された受容細胞を、前記選択可能マーカーに基づいて、選択し、
    h)第1の過剰生産菌株を同定するために、前記遺伝子最終産物の最高レベルについて、(g)の受容細胞をスクリーニングし、
    i)前記染色体に組み込まれた組み込みカセットから前記選択可能マーカーを切除する、(h)の第1の過剰生産菌株におけるリコンビナーゼを活性化し、
    j)(i)の第1の過剰生産菌株を、(e)の単離されたファージの混合物に感染させ、ここで前記組み込みカセットはそれぞれ、前記ホモロジーアーム上の相同点で、前記受容細胞染色体に組み込まれ、
    k)第2の過剰生産菌株を同定するために、前記遺伝子最終産物の最高レベルについて、(j)の感染した第1の過剰生産菌株をスクリーニングし、
    l)前記第1および第2の過剰生産菌株により産生された遺伝子最終産物のレベルを比較し、それによって前記遺伝子最終産物の産生が最適化されることを含んでなる、遺伝子最終産物の産生を最適化する方法。
  2. 前記核酸組み込み断片は、プロモーター、遺伝子、突然変異した遺伝子、破壊された遺伝子、コード領域、および非コード領域からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記組み込みカセットは、一般構造5’−RR1−RS−SM−RS−Y−RR2−3’を有し、ここで
    (i)RR1は、第1のホモロジーアームであり、
    (ii)RSは、部位特異的リコンビナーゼに敏感に反応する組み換え部位であり、
    (iii)SMは、選択可能マーカーをコードするDNA断片であり、
    (iv)Yは、第1の発現可能DNA断片であり、そして
    (v)RR2は、第2のホモロジーアームである、
    請求項1に記載の方法。
  4. 前記ドナー細胞および前記受容細胞は、細菌細胞である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記ドナー細胞および前記受容細胞は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター(Erythrobacter)、クロロビウム(Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rh
    odobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリウム(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、パラコッカス(Paracoccus)、エシェリヒア(Escherichia)、バチルス(Bacillus)、ミクソコッカス(Myxococcus)、サルモネラ(Salmonella)、エルシニア(Yersinia)、エルウィニア(Erwinia)、パンテア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Metylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコックス(Methylococcus)、メチロジーナス(Methylosinus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスティス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、シネココッカス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバチルス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)、およびミクソコッカス(Myxococcus)からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記ファージは、P1、P2、ラムダ、φ80、φ3538、T1、T4、P22、P22誘導体、ES18、Felix“o”、P1−CmCs、Ffm、PY20、Mx4、Mx8、PBS−1、PMB−1、およびPBT−1からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記遺伝子最終産物は、イソプレノイド類、テルペノイド類、テトラピロール類、ポリケチド類、ビタミン類、アミノ酸、脂肪酸、タンパク質、核酸、炭水化物、抗菌薬、抗癌剤および生物代謝物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記最適化を改良するために、前記ステップ(f)〜(l)が繰り返され、(f)の受容細胞は、(k)の第2およびその後の過剰生産菌株である、請求項1に記載の方法。
  9. リコンビナーゼおよびリコンビナーゼ部位システムは、Cre−lox、FLP/FRT、R/RS、Gin/gix、Xer/dif、Int/att、pSR1システム、cerシステム、およびfimシステムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記受容細胞は、大腸菌(E.coli)である、請求項1に記載の方法。
  11. 前記ホモロジーアームは、約5〜約100塩基である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記ホモロジーアームは、前記ドナー細胞染色体の一部と少なくとも90%の同一性を有する、請求項1に記載の方法。
  13. a)(i)プロモーター、
    (ii)リコンビナーゼに敏感に反応する特異的リコンビナーゼ部位により結合された選択可能マーカー、
    (iii)P1ドナー細胞染色体の異なる部分と相同な領域、
    を含んでなる、多数の組み込みカセットを提供し、
    b)少なくとも1つのドナー細胞を、その染色体の組み込みのために(a)の組み込みカセットで形質転換し、
    c)(b)の形質転換されたドナー細胞を、P1ファージに感染させる工程であって、
    前記ファージは複製し、前記ドナー細胞は溶解され、
    d)(c)のドナー細胞の溶解によって放出されたファージを単離し、
    e)(a)の異なる組み込みカセットを担持する(c)の一組のドナー細胞の溶解によって放出された、同数の単離ファージを混合し、
    f)受容細胞を、(e)の単離されたファージの混合物に感染させ、ここで前記組み込みカセットはそれぞれ、ホモロジーアームと相同な位置で受容細胞染色体に組み込まれ、
    g)形質導入された受容細胞を、前記選択可能マーカーに基づいて、選択し、
    h)第1の過剰生産菌株を同定するために、前記遺伝子最終産物の最高レベルについて、(f)の受容細胞をスクリーニングし、
    i)前記染色体に組み込まれた組み込みカセットから前記選択可能マーカーを切除する、(h)の第1の過剰生産菌株におけるリコンビナーゼを活性化し、
    j)(i)の第1の過剰生産菌株を、(e)の単離されたファージの混合物に感染させ、ここで前記組み込みカセットはそれぞれ、前記ホモロジーアーム上の相同点で、前記受容細胞染色体に組み込まれ、
    k)第2の過剰生産菌株を同定するために、前記遺伝子最終産物の最高レベルについて、(j)の第1の過剰生産菌株をスクリーニングし、
    l)第1および第2の過剰生産菌株により産生された遺伝子最終産物のレベルを比較する工程であって、それによって前記遺伝子最終産物の産生が最適化されることを含んでなる、遺伝子最終産物の産生を最適化する方法。
  14. 前記プロモーター領域は、ドナー細胞または受容細胞以外の細胞に由来する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記プロモーターは、lac、ara、tet、trp、λP、λP、T7、tac、PT5、およびtrcからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
  16. 前記プロモーターはPT5である、請求項13に記載の方法。
  17. 前記ドナー細胞および受容細胞は、前記イソプレノイド生合成経路を含む、遺伝子を有する、請求項13に記載の方法。
  18. 前記組み込みカセットは、プロモーターおよびイソプレノイド生合成経路の遺伝子を作動可能に連結するために、受容体染色体に組み込まれる、請求項17に記載の方法。
  19. 前記イソプレノイド生合成経路の遺伝子は、dxs、dxr、ygbP、ychB、ygbB、idi、ispA、lytB、gcpE、ispA、ispB、crtE、crtY、crtI、crtB、crtX、crtW、crtO、crtR、およびcrtZからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記遺伝子最終産物は、アンテラキサンチン、アドニキサンチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、キャプソルブリン(capsorubrin)、β−クリプトキサンチン、ジデヒドロリコペン、β−カロテン、ζ−カロテン、δ−カロテン、γ−カロテン、ケト−γ−カロテン、ψ−カロテン、ε−カロテン、β,ψ−カロテン、トルレン、エキネノン、ガンマ−カロテン、ゼータ−カロテン、α−クリプトキサンチン、ジアトキサンチン、7,8−ジデヒドロアスタキサンチン、フコキサンチン、フコキサンチノール、イソレニエラテン、β−イソレニエラテン、ラクテュカキサンチン(lactucaxanthin)、ルテイン、リコペン、ネオキサンチン、ニューロスポレン、ヒドロキシニューロスポレン、ペリディニン、フィトエン、ロドピン、ロドピングルコシド、シホナキサンチン、スフェロイデン、スフェロイデノン、スピリロキサンチン、ウリオライド(uriolide)、酢酸ウリオライド(uriolide acetate)、ビオラキ
    サンチン、ゼアキサンチン−β−ジグルコシド、ゼアキサンチン、およびC30−カロテノイドからなる群から選択されるカロテノイドである、請求項18に記載の方法。
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