JP2006510008A - アクチビンβCのレベルの調節によって特徴付けられる状態のための診断方法、治療方法、および有用な薬剤 - Google Patents
アクチビンβCのレベルの調節によって特徴付けられる状態のための診断方法、治療方法、および有用な薬剤 Download PDFInfo
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Abstract
本発明は一般的に、アクチビン発現のレベルの調節によって特徴付けられる状態の発生または進行を診断、予測、またはモニターする方法に関し、より詳細には、アクチビンβCサブユニットの発現のレベルの調節によって特徴付けられる状態の発生または進行を診断、予測、またはモニターする方法に関する。本発明はなおさらに、異常な、望ましくない、またはそうでなければ不適切なアクチビン発現によって特徴付けられる状態、例えば、アクチビンの過剰発現または発現の不足によって特徴付けられる状態、および最も詳細には、アクチビンβCサブユニットの過剰発現または発現の不足によって特徴付けられる状態の、治療的または予防的処置のための方法を提供する。本発明のさらなる局面は、本発明の方法における使用のための薬剤に拡張される。
Description
発明の分野
本発明は、一般的に、アクチビン発現のレベルの調節によって特徴付けられる状態の発生または進行を診断、予測、またはモニターする方法に関し、より詳細には、アクチビンβCサブユニットの発現のレベルの調節によって特徴付けられる状態の発生または進行を診断、予測、またはモニターする方法に関する。本発明はさらに、異常な、望ましくない、またはそうでなければ不適切なアクチビン発現によって特徴付けられる状態、例えば、アクチビンの過剰発現または発現の不足によって特徴付けられる状態、および最も詳細には、アクチビンβCサブユニットの過剰発現または発現の不足によって特徴付けられる状態の、治療的または予防的処置のための方法を提供する。本発明のさらなる局面は、本発明の方法における使用のための薬剤に拡張される。
本発明は、一般的に、アクチビン発現のレベルの調節によって特徴付けられる状態の発生または進行を診断、予測、またはモニターする方法に関し、より詳細には、アクチビンβCサブユニットの発現のレベルの調節によって特徴付けられる状態の発生または進行を診断、予測、またはモニターする方法に関する。本発明はさらに、異常な、望ましくない、またはそうでなければ不適切なアクチビン発現によって特徴付けられる状態、例えば、アクチビンの過剰発現または発現の不足によって特徴付けられる状態、および最も詳細には、アクチビンβCサブユニットの過剰発現または発現の不足によって特徴付けられる状態の、治療的または予防的処置のための方法を提供する。本発明のさらなる局面は、本発明の方法における使用のための薬剤に拡張される。
発明の背景
本明細書における著者によって引用される刊行物の文献目録の詳細は、本明細書の末尾にアルファベット順に集められている。
本明細書における著者によって引用される刊行物の文献目録の詳細は、本明細書の末尾にアルファベット順に集められている。
本明細書中のいかなる先行技術への参照も、その先行技術がオーストラリアにおける一般的な共通の知見の一部を形成することを認めるもの、またはいかなる形によっても示唆するものではなく、かつそのように受け取られるべきではない。
アクチビンは、多くの器官および組織における強力な増殖および分化の因子として多様な役割を有するTGF-βスーパーファミリーのメンバーである。アクチビンは、アクチビンダイマーリガンドを形成するアクチビンβサブユニット(例えばβA、βB、βC、βD、またはβEなど)のホモダイマーまたはヘテロダイマーである。アクチビンファミリーは、保存性システインノットモチーフによって特徴付けられるジスルフィド結合を有するタンパク質を含む。アクチビンA(βA-βA)は、もともとFSH分泌の刺激因子として卵巣濾胞液中で単離された。それにも関わらず、アクチビンA(βA-βA)、アクチビンB(βB-βB)、およびアクチビンAB(βA-βB)などのアクチビンが、アフリカツメガエル胚における中胚葉誘導、免疫抑制、骨成長、神経細胞生存、創傷治癒、腫瘍形成、ならびに膵臓、腎臓、および心臓における組織分化を含む一連の生物学的活性を有することが現在では認識されている(Luisi et al, 2001. Eur J Endocrinol 145:225-36、McDowell et al, 1999. Semin Cell Dev Biol 10:311-7、de Kretser et al, 1999. J Endocrinol 161:195-8、Hubner et al, 1999. Histol Histopathol 14:295-304)。あるアクチビンファミリーメンバーは分化および増殖の制御に関与するようである。これらのプロセスに関与するアクチビンダイマーリガンドの例には、アクチビンA(βA-βA)、アクチビンB(βB-βB)、およびヘテロダイマーアクチビンAB(βA-βB)が含まれる。より最近、アクチビンβDサブユニットおよびアクチビンβEサブユニットとともに、アクチビンβCサブユニットが同定され、これらはアクチビンβサブユニットの新しいサブセットを形成する。アクチビンβC-βCはアクチビンCホモダイマーを形成する(Kron et al, 1998, J Virol Methods 72:9-14)。
アクチビンβCサブユニットはマウス(Lau et al, 1996, Biochim Biophys Acta 1307:145-8)およびヒト肝臓(Hotten G et al, 1995, Biochem Biophys Res Commun 206:608-13)からクローニングされた。アクチビンβDはアフリカツメガエルからクローニングされた。βD cDNAのマイクロインジェクションは中胚葉誘導を引き起こすが、哺乳動物の等価物は同定されていない(Oda et al, 1995, Biochem Biophys Res Commun 210:581-8)。アクチビンβEサブユニットはマウス肝臓からクローニングされ、ラットの肝臓および肺において発現されることが見い出された(O'Bryan et al, 2000, J Mol Endocrinol 24:409-18)。Zhangおよび他の研究者は、ラットの部分的な肝切除後のβAおよびβCのmRNA調節の違いを実証し、アクチビンβCが肝臓カローンであることを提案した(Esquela et al, 1997, Biochem Biophys Res Commun 235:553-6, Zhang et al, 1997, Endocr J 44:759-64)。しかし、アクチビンD(βDβDホモダイマー)またはアクチビンE(βEβEホモダイマー)の生物学的役割は確立されていない。
同様に、アクチビンβCサブユニットまたはアクチビンCのいずれも、上記に言及した生物学的プロセスのいずれにも関与していない。さらに、アクチビンβCまたはアクチビンC(βC-βC)について生物学的活性が決定されていない。例えば、Groome et al, (2001, J. Mol. Cell. Endo. 180:73-77)は「アクチビンC..の生物活性を示すことの連続している失敗」と言及しており、Lau et al, (2000, Mol Cel Biol, 20(16):6127-37)は「アクチビンβC...は胚発生または肝機能のいずれのためにも必須でない」と述べており、かつChang et al (2001, Mol Cell Endocrinol. Jun 30; 180(1-2):39-46)はアクチビンβCが「肝臓の増殖、分化、および再生のために必須でない」と述べている。
アクチビンβCサブユニットは「肝臓特異的アクチビン」としてしばしば文献に引用されている。Fangらは、「独特な肝臓に制限されたパターン」として成体マウスにおいてアクチビンβC発現を記載した(Fang J et al, 1997, Biochem Biophys Res Commun 231(3):655-61)。さらに、Lauらが、アクチビンβCが哺乳動物肝臓において「高度に制限された組織発現パターン」を示したことを述べたのに対して(Lau et al, 2000. 前出)、Schmittらは、「インヒビン/アクチビンβC遺伝子が成体マウス肝臓において優勢的に発現される」こと、および肝臓における発現レベルが「特異的かつ高度」であったことを見い出した(Schmitt et al, 1996, Genomics 32:358-66)。さらに、Changらは、「成体の肝臓において主として発現され」、および「高度に制限された組織特異的発現パターン」を有するとしてアクチビンβCを記載した(Chang et al, 2001, Mol Cell Endocrinol. Jun 30;180(1-2):39-46)。Kron et al. は「βCサブユニットが肝臓組織において独占的に発現される」ことを述べた(Kron et al, 1998, 前出)。
アクチビンシグナル伝達は、I型およびII型の膜貫通セリン/スレオニンキナーゼレセプターのヘテロマーレセプター複合体の形成を誘導するリガンド結合によって開始される。ActRIIまたはActRIIBへのアクチビン結合は、I型レセプターActRIの補充およびリン酸化を生じ、それによって下流のシグナル伝達タンパク質、Smad(Sma-およびMad-関連)タンパク質のリン酸化を開始する。リン酸化の後、Smad2およびSmad3(レセプター調節されるSmad)はSmad4(補−Smad)とヘテロマー複合体を形成し、細胞質から核まで移行する(Lebrun et al, 1999, Mol Endocrinol 13:15-23; Wrana and Attisano, 2000, Cytokine Growth Factor Rev 11:5-13; Pangas et al, 2000, Trends Endocrinol Metab 11:309-314)。Smadタンパク質の、転写因子またはDNA結合エレメントのいずれかとの相互作用は、適切な遺伝子発現を調節する。例えば、アフリカツメガエルにおいて、DNA結合転写因子である、フォークヘッド(folkhead)アクチビンシグナル伝達因子-1(FAST-1)は、Smad2およびSmad4の複合体に結合して、Xenopus Mix.2プロモーター上のアクチビン応答性エレメント(ARE)を活性化する(Chen et al, 1996 Nature 383:691-6; Chen et al, 1997, Nature 389:85-9)。アクチビンのβCサブユニットおよびβEサブユニットが上記のアクチビンレセプターを通してシグナルを伝達するか否か、またはそれらがそれら自体のレセプターを有するか否かは未知である。
組織または器官におけるアクチビンβCサブユニットタンパク質の存在、意義、または機能についてはほとんど知られていない。さらに、アクチビンダイマーの形成およびアクチビンダイマー形成の調節についてはほとんど知られていない。特に、アクチビンのサブユニットβA、βB、βC、βD、またはβE、またはそれらの組み合わせのダイマー化の調節についてはほとんど知られていない。
従って、それらのモノマー型またはダイマー型にあるアクチビンサブユニット分子の機能性の何が現在知られているかという状況において、アクチビンCおよび/またはアクチビンβCサブユニットの役割を説明する必要性がある。このことは、存在している診断的および治療的な治療プログラムの洗練と、新規治療プログラムの開発の両方を可能にする。
本発明の下地となる研究において、アクチビンβCサブユニットのレベルの変化が、モノマー型またはダイマー型のいずれかの正常レベルと比較して、新生物状態の発症と関連することが決定された。従って、これらの知見は、現在、アクチビンβCレベルの調節によって特徴付けられる疾患状態(例えば新生物状態)を診断および/またはモニターすることに方向付けられているアッセイ法の開発を容易にしている。さらに、現在、これらの状態の治療的および/または予防的な処置のための方法もまた提供されている。
発明の要旨
以下の本明細書および特許請求の範囲を通して、文脈が他を必要としない限り、単語「含む(comprise)」、ならびにバリエーション「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などは、言及した完全体もしくは段階、または完全体もしくは段階の群を含むが、任意の他の完全体もしくは段階、または完全体もしくは段階の群の除外ではないことを意味すると理解される。
以下の本明細書および特許請求の範囲を通して、文脈が他を必要としない限り、単語「含む(comprise)」、ならびにバリエーション「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などは、言及した完全体もしくは段階、または完全体もしくは段階の群を含むが、任意の他の完全体もしくは段階、または完全体もしくは段階の群の除外ではないことを意味すると理解される。
本明細書中で使用される場合、「に由来する」という用語は、特定の完全体または完全体の群が、特定化された種から生じたが、特定化された供給源から直接的に得られたことが必ずしも必要でないことを示すことと理解されるべきである。
本明細書は、本明細書中に文献目録の後で提示するプログラムPatentInバージョン3.1を使用して準備したヌクレオチド配列情報を含む。各アミノ酸配列は、数字指標<210>、その後の配列識別子(例えば、<210>1、<210>2など)によって配列表中で同定される。各アミノ酸配列についての長さ、配列の型(タンパク質など)、および供給源生物は、数字識別子フィールド<211>、<212>、および<213>において提供される情報によってそれぞれ示される。本明細書中で引用されるアミノ酸配列は、指標SEQ ID NO:、その後の配列識別子(例えば、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2など)によって同定される。本明細書中で引用される配列識別子は、配列表中の数字指標フィールド<400>において提供される情報と相関し、これに配列識別子が続く(例えば、<400>1、<400>2など)。すなわち、本明細書中で詳述されるSEQ ID NO:1は配列表における<400>1として示される配列と相関する。
本発明の1つの局面は、アクチビンβCのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を哺乳動物において検出する方法に関し、そのレベルが正常レベルと比較して調節されており、該方法は、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質および/または遺伝子発現のレベルについてスクリーニングする段階を含む。
本発明の別の局面は、正常レベルと比較して、哺乳動物におけるアクチビンβCのレベルまたは生物活性の増加または減少によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を検出する方法に関し、該方法は、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質および/または遺伝子発現のレベルについてスクリーニングする段階を含む。
本発明のなお別の局面は、哺乳動物におけるアクチビンβCのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症または進行についてモニターする方法に関し、そのレベルが正常レベルと比較して調節されており、該方法が、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質および/または遺伝子発現のレベルについてスクリーニングする段階を含む。
本発明のなおさらに別の局面は、正常レベルと比較して、哺乳動物におけるアクチビンβCのレベルもしくは生物活性の増加もしくは減少によって特徴付けられる状態の発症または進行についてモニターする方法に関し、該方法は、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質および/または遺伝子発現のレベルについてスクリーニングする段階を含む。
さらなる局面において、哺乳動物におけるアクチビンβCのレベルの調節によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を検出する方法が提供され、そのレベルは正常レベルと比較して調節されており、該方法は、以下の段階を含む:
(a)第1のアクチビンβサブユニットのエピトープを認識する第1の抗体を、哺乳動物に由来する生物学的試料と接触させる段階;
(b)該試料中の第1のアクチビンβサブユニットに第1の抗体を結合させる段階;
(c)未結合物質を実質的に除去するために該試料を洗浄する段階;
(d)第2のアクチビンβサブユニットのエピトープを認識する第2の抗体と該試料を接触させる段階であって、ここで、第2の抗体が標識因子で標識される、段階;および
(e)該試料中のアクチビンβCサブユニットダイマーを同定するために標識因子を検出する段階であって、ここで、第1の抗体または第2の抗体がアクチビンβCサブユニットのエピトープを認識する、段階。
(a)第1のアクチビンβサブユニットのエピトープを認識する第1の抗体を、哺乳動物に由来する生物学的試料と接触させる段階;
(b)該試料中の第1のアクチビンβサブユニットに第1の抗体を結合させる段階;
(c)未結合物質を実質的に除去するために該試料を洗浄する段階;
(d)第2のアクチビンβサブユニットのエピトープを認識する第2の抗体と該試料を接触させる段階であって、ここで、第2の抗体が標識因子で標識される、段階;および
(e)該試料中のアクチビンβCサブユニットダイマーを同定するために標識因子を検出する段階であって、ここで、第1の抗体または第2の抗体がアクチビンβCサブユニットのエピトープを認識する、段階。
本発明のさらに別の局面は、本明細書中上記に記載された方法に従ってアクチビンβCのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を検出するために使用される場合の組成物に関し、該組成物はアクチビンβC検出手段を含む。
本発明の別のさらなる局面は、アクチビンβCのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を検出するために使用される場合の組成物を提供し、ここで該組成物は、適切な希釈剤、賦形剤、または担体と共にアクチビンβCサブユニットのエピトープに指向された抗体を含む。
本発明のさらに別の局面は、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を検出する際の使用のための診断キットを提供し、ここで該キットは、アクチビンβCサブユニットタンパク質および/またはコードする核酸の検出手段を第1の区画に含み、ならびに該検出手段による検出を容易にするために有用な試薬を第2の区画に含む。さらなる区画もまた、例えば、生物学的試料の収集および保存を容易にするための手段を含むために、含められ得る。
本発明の別の局面は、細胞の異常な増殖を調節する方法に指向され、該方法は、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を調節する段階を含む。
より詳細には、本発明は、細胞の異常な増殖を調節する方法に指向され、該方法は、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を調節する段階を含み、ここで、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を機能的に有効なレベルまでアップレギュレートすることが異常な増殖を誘導し、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を機能的に有効でないレベルまでダウンレギュレートすることが異常な増殖を阻害する。
さらにより詳細には、本発明は、細胞の増殖を調節する方法に関し、該方法は、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を調節する段階を含み、ここで、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を機能的に有効でないレベルまでダウンレギュレートすることが細胞増殖を誘導し、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を機能的に有効なレベルまでアップレギュレートすることが細胞増殖を阻害する。
なお別のさらなる局面において、哺乳動物における新生物細胞の増殖をダウンレギュレートする方法が提供され、該方法は、機能的に有効でないレベルのアクチビンβCサブユニットを誘導するために十分な時間および条件下で、有効量の薬剤を哺乳動物に投与する段階を含む。
なお別のさらなる局面において、哺乳動物における新生物細胞の増殖をダウンレギュレートする方法が提供され、該方法は、機能的に有効なレベルのアクチビンβCサブユニットを誘導するために十分な時間および条件下で、有効量の薬剤を哺乳動物に投与する段階を含む。
本発明は、哺乳動物における、異常な、望ましくない、またはそうでなければ不適切な、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性によって特徴付けられる状態、または状態の発生の素因を、治療的におよび/または予防的に処置する方法を意図し、該方法は、哺乳動物におけるアクチビンβCサブユニットのレベルを調節する段階を含む。
本発明は、好ましくは、新生物状態、または新生物状態の発生の素因を、治療的および/または予防的に処置する方法を意図し、該方法はアクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を調節する段階を含み、ここで、アクチビンβCサブユニットのレベルを機能的に有効でないレベルまでダウンレギュレートすることが異常な細胞増殖を阻害する。
本発明は、好ましくは、新生物状態、または新生物状態の発生の素因を、治療的および/または予防的に処置する方法を意図し、該方法はアクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を調節する段階を含み、ここで、アクチビンβCサブユニットのレベルを機能的に有効なレベルまでアップレギュレートすることが異常な細胞増殖を阻害する。
本発明の別の局面は、異常な、望ましくない、またはそうでなければ不適切なレベルのアクチビンβCサブユニットによって特徴付けられる状態の治療のための薬物の製造における、アクチビンβCサブユニットの機能的に有効なレベルを調節することができる薬剤の使用に関する。
別の局面において、本発明は、細胞の異常な増殖の調節のための薬物の製造における、本明細書中上記に記載された薬剤の使用に関し、ここで、アクチビンβCサブユニットを機能的に有効でないレベルまでダウンレギュレートすることが異常な増殖を阻害する。
別の局面において、本発明は、細胞の異常な増殖の調節のための薬物の製造における、本明細書中上記に記載された薬剤の使用に関し、ここで、アクチビンβCサブユニットを機能的に有効なレベルまでアップレギュレートすることが異常な増殖を阻害する。
なお別のさらなる局面において、本発明は、本明細書中上記に規定されるような調節薬剤を、1種または複数種の薬学的に許容される担体および/または希釈剤とともに含む薬学的組成物を意図する。
発明の詳細な説明
本発明は、正常レベルと比較して、およびダイマー型またはモノマー型かに関わらず、アクチビンβCサブユニットのレベルの変化が、疾患状態、特に新生物状態の発症を示すという驚くべき決定に部分的に基礎を置いている。より詳細には、多くの組織におけるアクチビンβCのレベルおよび生物活性が、疾患または状態の発症または確立に相関する変化を示すことが決定された。これは、組織および細胞の機能ならびに細胞の特性の変化の指標として役立つ。従って、この相関は、単純であるが感受性の高い、新生物のための試験の開発を容易にする。特に、この試験は、新生物状態を診断、予測、またはモニターするために有用である。異常な、特に制御されない細胞増殖によって特徴付けられる状態を処置する、治療的および予防的手段の全国的設計(national design)もまた、容易にされる。
本発明は、正常レベルと比較して、およびダイマー型またはモノマー型かに関わらず、アクチビンβCサブユニットのレベルの変化が、疾患状態、特に新生物状態の発症を示すという驚くべき決定に部分的に基礎を置いている。より詳細には、多くの組織におけるアクチビンβCのレベルおよび生物活性が、疾患または状態の発症または確立に相関する変化を示すことが決定された。これは、組織および細胞の機能ならびに細胞の特性の変化の指標として役立つ。従って、この相関は、単純であるが感受性の高い、新生物のための試験の開発を容易にする。特に、この試験は、新生物状態を診断、予測、またはモニターするために有用である。異常な、特に制御されない細胞増殖によって特徴付けられる状態を処置する、治療的および予防的手段の全国的設計(national design)もまた、容易にされる。
従って、本発明の1つの局面は、アクチビンβCのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を哺乳動物において検出する方法に関し、そのレベルが正常レベルと比較して調節されており、該方法は、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質および/または遺伝子発現のレベルについてスクリーニングする段階を含む。
「アクチビンβC」に対する言及は、すべての型のアクチビンβCおよびそのフラグメント、誘導体、変異体、または改変体に対する言及として理解されるべきである。「アクチビンβC」はまた、「アクチビンβCサブユニット」と交換可能に言及される。アクチビンβCmRNAの選択的スプライシングから生じ得る任意のアイソフォームまたはアクチビンβCの変異体もしくは多型形態に対する言及を含むこともまた、理解されるべきである。「アクチビンβC」に対する言及は限定を意図するのではなく、すべての型のアクチビンβC(アクチビンβCサブユニット遺伝子によってコードされる任意のタンパク質、生成され得る前駆体型などの任意のサブユニットポリペプチド、およびモノマー、マルティマー、または融合タンパク質として存在するかに関わらない、任意のアクチビンβCタンパク質を含む)についての言及を含むものとして解釈されるべきである。アクチビンβCのマルティマータンパク質型には、例えば、ホモダイマーアクチビンC(βC-βC)タンパク質またはヘテロダイマーアクチビンAC(βA-βA)タンパク質、アクチビンBC(βB-βC)タンパク質、アクチビンCD(βC-βD)タンパク質、またはアクチビンCE(βC-βE)タンパク質が含まれる。従って、そのモノマー型、モノダイマー型、またはヘテロダイマー型のアクチビンβCについてスクリーニングし得ることが理解されるべきである。
本発明を任意の1つの理論または作用の様式に限定することはないが、アクチビンβCは、他のアクチビンおよびTGFβスーパーファミリーの他のメンバーに対して類似する構造を有する。アクチビンの構造は、各サブユニット内、および特徴的なシステインノットを形成する2つのサブユニット間のジスルフィド結合内のシステイン残基の数および間隔の保存性に基づく。他の類似性は、ダイマー形成、前駆体アクチビンサブユニット分子のカルボキシ末端領域における生物活性ペプチドの位置、および同様の細胞内シグナル伝達メカニズムに関連する。ヒトアクチビンβCは、他のTGF-βスーパーファミリーメンバーと比較して、9個の保存性システインを有し、および分泌シグナル配列であると考えられるN末端に疎水性アミノ酸のコアを含む大きな前駆体分子を有する典型的な構造を示す(Hotten G et al, 1995、前出)。マウスアクチビンβCもまた、9個の保存性システインおよびシグナルペプチドとして役立ち得るN末端疎水性アミノ酸を含む(Schmitt et al. 1996、前出)。
本発明を任意の1つの理論または作用の様式に限定することはないが、変化、すなわち、アクチビンβCの正常レベルと比較して、アクチビンβCのレベルの増加または減少が疾患状態の発生を示すことが決定された。従って、この決定は、正常レベルに対する、アクチビンβCのアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションについてのスクリーニングに基づく診断的および予後的技術の開発を容易にしてきた。
より詳細には、本発明は、正常レベルと比較して、哺乳動物におけるアクチビンβCのレベルまたは生物活性の増加によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を検出する方法に関し、該方法は、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質のレベルおよび/または遺伝子発現についてスクリーニングする段階を含む。
別の特定の局面において、本発明は、正常レベルと比較して、哺乳動物におけるアクチビンβCのレベルまたは生物活性の減少によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を検出する方法に関し、該方法は、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質のレベルおよび/または遺伝子発現についてスクリーニングする段階を含む。
「アクチビンβCのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態」に対する言及は、アクチビンβCのモノマーまたはダイマーのレベルにおいて、調節、特に増加によって特徴付けられる任意の状態に対する言及として理解されるべきである。アクチビンβCのレベルの変化は、疾患状態の発症の原因または結果のいずれかであり得ることが理解されるべきである。
いかなる方法においても本発明を限定することなく、疾患または状態は、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、膵臓、脳および神経組織、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、子宮頸部、胸腺、ファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、喉頭、舌、小腸、直腸、食道、子宮筋層、ならびに軟部組織の疾患または状態を含み得る。
この点において、アクチビンβCサブユニットタンパク質は、驚くべきことに、以下の(正常、良性腫瘍および悪性腫瘍の)器官:副腎、甲状腺、胃、結腸、直腸、膀胱、皮膚、乳房、リンパ節、ヒト唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、子宮、子宮頸部、膵臓、食道、甲状腺、胸腺、脳、喉頭、舌、および小腸のヒト組織において見い出されてきた。
アクチビンβCサブユニットタンパク質はまた、以下の(正常または障害の両方の)器官:子宮筋層、子宮、ファローピウス管、扁桃、精嚢、脾臓、軟部組織、および虫垂のヒト組織において出願人らによって検出された。出願人らはまた、正常ヒト血清の試料中にβCサブユニットタンパク質を含むアクチビンACおよび他のダイマーを検出した。
βCの存在ならびに正常組織および腫瘍組織のパターンの違いは、細胞または組織の疾患または状態の変化を示す、細胞および組織の特徴の変化を示す。
アクチビンβCサブユニットは「肝臓特異的アクチビン」として文献中に頻繁に言及されてきたので、これらの結果は驚くべきことである。Fang et al. 1997, Biochem Biophys Res Commun. 231(3):655-61は、「独特な肝臓に制限されるパターン」として成体マウスにおけるアクチビンβC発現を記載した(Fang J et al, 1997, Biochem Biophys Res Commun. 231(3):655-61)。さらに、Lau et al.は、哺乳動物肝臓において「高度に制限された組織発現パターン」を示したが(Lau et al, 2000. Mol Cell Biol. 20(16):6127-37)、Schmitt et al.は「インヒビン/アクチビンβC遺伝子が成体マウス肝臓において優勢的に発現されること」および肝臓におけるその発現レベルが「特異的かつ高度」であったことを見い出した(Schmitt et al, 1996, Genomics 32:358-66)。さらに、Chang et al.は、アクチビンβCが「成体の肝臓において主として発現されること」および「高度に制限された組織特異的発現パターン」を有すると記載した(Chang et al, 2001, Mol Cell Endocrinol. Jun 30;180(1-2):39-46)。また、Kron et al.は「βCサブユニットは肝臓組織において独占的に発現される」と述べた(Kron et al, 1998, J Virol Methods 72:9-14)。
好ましくは、前記状態は新生物状態である。
なおより好ましくは、前記新生物状態は、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、子宮頸部、胸腺、ファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、喉頭、舌、小腸、直腸もしくは食道、子宮筋層、ならびに軟部組織の悪性新生物、またはファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、子宮筋層、および軟部組織の悪性でない新生物である。
最も好ましくは、アクチビンβCレベルは、増加されるかまたは減少されるかのいずれかである。
従って、本発明は、好ましくは、哺乳動物において新生物の発症、または発症の素因を哺乳動物において検出する方法を提供し、該方法は、哺乳動物に由来する生物学的試料中でアクチビンβCのタンパク質および/または遺伝子発現のレベルまたは生物活性についてスクリーニングする段階を含み、ここで、正常レベルと比較したアクチビンβCのタンパク質および/または遺伝子発現のレベルの増加が、新生物の発症、または発症の素因を示す。
「新生物」に対する言及は、被包性または被包性でない新生物細胞の増殖に対する言及として理解されるべきである。「新生物細胞」に対する言及は、異常な増殖を示す細胞に対する言及として理解されるべきである。「増殖」という用語は、その最も広い意味において理解されるべきであり、成長に対する言及を含む。
この文脈において、語句「異常な増殖」は、正常な増殖と比較して、細胞分裂の速度の増加、細胞分裂の数の増加、細胞分裂の時間の長さの増加、細部分裂または制御されない増殖の時間の頻度の増加、の1つまたは複数である細胞増殖に対する言及として意図される。いかなる方法においても本発明を限定することなく、「新生物」という用語の一般的な医学的意味は、正常な増殖の制御、例えば、新生物細胞増殖に対する応答性の喪失を生じる「新規な細胞の増殖」をいう。「過形成」とは、異常に速い増殖の速度を受ける細胞をいう。しかしながら、本明細書中で使用される場合、「新生物」および「過形成」という用語は交換可能に使用され得、一般的に異常な細胞増殖速度を受けている細胞をいう。新生物および過形成には、良性、前悪性、または悪性のいずれかであり得る「腫瘍」が含まれる。「新生物」という用語は、病変、腫瘍、または他の被包性もしくは被包性でない塊、または新生物細胞を含む他の増殖の型に対する言及として理解されるべきである。
「新生物」という用語は、本発明の文脈において、すべての型の癌性増殖または発癌性プロセス、転移性組織または悪性に形質転換した細胞、組織病理学的型または侵襲性の状態に関わらない組織または器官に対する言及を含むと理解されるべきである。
新生物を含む新生物細胞は、上皮細胞または非上皮細胞といった任意の組織に由来する、任意の種類の細胞であり得る。本発明は、好ましくは、悪性新生物の診断に関するが、悪性でない新生物の診断および/またはモニタリングは除外されない。本明細書中での「悪性新生物」および「癌」という用語に対する言及は交換可能であると理解されるべきである。
好ましくは、新生物は、副腎、甲状腺、胃、結腸、直腸、膀胱、皮膚、乳房、リンパ節、ヒト唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、子宮頸部、膵臓、食道、甲状腺、胸腺、脳、喉頭、舌、および小腸、子宮筋層、子宮、ファローピウス管、扁桃、精嚢、脾臓、軟部組織、または虫垂の新生物である。
「哺乳動物」という用語は、本明細書中で使用される場合、ヒト、霊長類、家畜動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ロバ)、実験用動物(例えば、マウス、ラット、モルモット)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ)、および捕獲された野生動物(例えば、カンガルー、シカ、キツネ)を含む。好ましくは、この哺乳動物はヒトまたは実験用動物である。さらにより好ましくは、この哺乳動物はヒトである。
「生物学的試料」に対する言及は、生物に由来する細胞または組織の任意の試料に対する言及として理解されるべきである。この細胞は単細胞、培養細胞、または組織の一部であり得る。この点に関して、生物学的試料は、上記に詳述したような任意のヒトまたは非ヒト哺乳動物に由来し得る。「生物」に対する言及は、胚および胎児に対する言及を含むことがさらに理解されるべきである。
生物学的試料は、生物に由来する物質の任意の試料であり得る。これには、哺乳動物中の組織および体液などの生物中に天然に存在する試料(例えば、リンパ試料、切除試料、組織抽出物、血液、リンパ液、糞便、気管支分泌物、または細胞培養培地などの生検試料)と、生物の身体に導入され、続いて除去される試料(例えば、肺洗浄後の肺から、または浣腸後の結腸から抽出される生理食塩水溶液)の両方に対する言及が含まれる。これはまた、生物起源であるが、インビトロで維持された細胞(例えば細胞株)、または操作された、もしくは生物から切除された後に処理された細胞(例えば、不死化されたか、または遺伝的に改変された細胞または組織)に対する言及を含む。
本発明の方法に従って試験される生物学的試料は、直接的に試験され得るか、または試験に先立ってある形式の処理を必要とし得る。例えば、生検試料は試験の前に均質化を必要とすることもある。試料が細胞材料である場合、そのmRNA発現によって核酸物質の分析を容易にするために、細胞材料中に存在する核酸物質を抽出するか、またはそうでなければ露出させることが必要であることもある。なお別の例において、試料は、分析の前に部分精製されることもあり、またはそうでなければ濃縮されることもある。例えば、生物学的試料が非常に多様な細胞集団を含む程度まで、特定の関心対象のサブ集団を選び出すことが望ましいこともある。
本明細書中に開示される方法に従う試験のために、どの種類の試料が最も適切であるかの選択は、モニターされる状態の性質に依存する。例えば、新生物状態がリンパ腫である場合、リンパ節生検または血液試料もしくは骨髄試料が試験のための組織の適切な供給源を提供することがあり得る。新生物細胞の元の供給源をモニターしているか否か、または起源の時点からの新生物の転移もしくは伝播の他の形態の存在がモニターされるべきか否かの考慮がまた必要である。この点に関して、任意の1つの生物から多数の異なる試料を収集および試験することが望ましいこともある。
本発明の方法は、単離された試料の分析によって最も便利に実行されるが、哺乳動物に「由来する」試料を分析することに対する言及は、インビボで試料を分析することに対する言及を含むこともまた理解されるべきである。
本発明は、アクチビンβC発現のレベルが、正常組織と比較して新生物組織において調節されるという知見に基礎を置く。この点に関して、当業者は、タンパク質レベルまたはコードする核酸分子レベルのいずれかで、アクチビンβCに対する変化についてスクリーニングし得ることを理解する。それが常に特定化されない程度にまで、「アクチビンβC」のレベルについてスクリーニングすることに対する本明細書中での言及は、アクチビンβCタンパク質またはその一次RNA転写物またはmRNAをスクリーニングすることに対する言及を含むと理解されるべきである。従って、本発明は、この分子の正常レベルに対するアクチビンβCのレベルの相関に関することが理解されるべきである。「正常」レベルは、問題の状態を発症していないか、もしくは該状態を発症する素因がない個体の分析された試料に対応する生物学的試料中のアクチビンβCタンパク質またはコードする核酸分子のレベルである。「正常」レベルはまた、分析の対象である組織の悪性でない領域におけるアクチビンβCのレベルに対する言及を含む。この後者の分析の方法は、単一の個体に由来する、疾患組織および試験組織からそれぞれ決定される正常レベルおよび試験レベルによる、相対的形態の分析である。しかし、本発明の方法はまた、問題の患者以外の、健常個体から得られた個々のまたは集合的な結果を反映する、標準的な結果と比較した試験結果の分析などの非相対的分析手段を含むことが理解されるべきである。該「正常レベル」は、不連続なレベルまたは一定の範囲のレベルであり得る。正常範囲よりも高いかまたは低いアクチビンβCレベルを示す個体は、一般的に、状態の発症を受けたと見なされるか、または状態の発症に対する素因を有し得る。この点に関して、アクチビンβCレベルが、定量的表示または定性的表示によって評価またはモニターされ得ることが理解されるべきである。参照レベルはまた、アクチビンβC分子の個々の形態(例えば異なる処理を行った形態など)の間で変化し得る。
従って、「増加」、「減少」、および「調節」という用語は、正常な参照レベル(もしくは正常な参照レベル範囲)または問題の患者から決定されたより初期の結果のいずれかに対して、アクチビンβCレベルまたは生物活性の増加および減少をいい、この後者の参照点は、本明細書中以下に記載するように、患者の進行しているモニタリングの状況において特に関連性がある。
好ましい方法は、好ましい態様において、新生物の発症またはその発症の素因を診断するためにアクチビンβCレベルの変化を検出することであるが、アクチビンβCレベルの逆の変化の検出が特定の状況の下で望まれることもある。例えば、乳房切除ではなく乳房腫瘍摘除のような外科手術が実行される場合、乳房の疾患状態の改善、および患者の治療的処置の過程の間のさらなる腫瘍の発生に関するその予後的関連についてモニターすることが求められることもある。一方、新生物状態の徴候または新生物状態の発生についての一般的または環境的素因を提示する患者がモニターされ得る。別の例において、生検または他の試験が実行され、その分析が新生物状態の発生についての徴候を明らかにした程度まで、転移の発生または後退の兆候としてアクチビンβCの全身性レベルまたは適切に選択された局在化レベルをモニターすることが求められることもある。それゆえに、本明細書のこの局面は、新生物状態またはそれについての素因の進行をモニターすることを可能にする。本発明のこの局面に従って、本明細書中以下に記載されるように、アクチビンβCレベルが、以前に得られた1つまたは複数の結果と比較して評価される可能性があると理解されるべきである。
それゆえに、本発明の方法は、新生物発生のリスクがあると考えられる個体の1回限りの試験もしくは進行型モニターとして、または新生物発生を阻害するか、もしくはそうでなければ遅延させることに向けられた治療的もしくは予防的な治療プログラムの有効性のモニターとして有用である。これらの状況において、任意の1つまたは複数のクラスの生物学的試料におけるアクチビンβC発現の調節をマッピングすることは、固体の状態または現在使われている治療的もしくは予防的な治療プログラムの有効性の有用な指標である。従って、本発明の方法は、アクチビンβCの正常レベル(本明細書中上記に定義した)と比較した、または個体から決定された1つまたは複数のより初期のアクチビンβCレベルと比較した、個体中のアクチビンβCレベルの増加または減少についてモニターすることに拡張されると理解されるべきである。
従って、本発明の別の局面は、哺乳動物におけるアクチビンβCのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症または進行についてモニターする方法に関し、そのレベルが正常レベルと比較して調節されており、該方法は、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質および/または遺伝子発現のレベルについてスクリーニングする段階を含む。
1つの特定の局面において、本発明は、正常レベルと比較して、哺乳動物におけるアクチビンβCの生物活性の増加によって特徴付けられる状態の発症または進行についてモニターする方法に関し、該方法は、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質および/または遺伝子発現のレベルについてスクリーニングする段階を含む。
別の局面において、本発明は、正常レベルと比較して、哺乳動物におけるアクチビンβCの生物活性の減少によって特徴付けられる状態の発症または進行についてモニターする方法に関し、該方法は、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質および/または遺伝子発現のレベルについてスクリーニングする段階を含む。
好ましくは、前記状態は悪性新生物または悪性でない新生物である。
なおより好ましくは、哺乳動物における新生物の発症または進行についてモニターする方法が提供され、該方法は、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質および/または遺伝子発現のレベルまたは生物活性についてスクリーニングする段階を含み、ここで、アクチビンβCの正常レベルと比較してアクチビンβCタンパク質および/または遺伝子発現のレベルの増加が該新生物の発症または進行を示す。
好ましくは、前記新生物状態は、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、子宮頸部、胸腺、ファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、喉頭、舌、小腸、直腸もしくは食道、子宮筋層、ならびに軟部組織の悪性新生物、またはファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、子宮筋層、および軟部組織の悪性でない新生物である。
本発明の方法は、アクチビンβCレベルの、正常レベルからの変化によって特徴付けられる新生物または任意の状態の診断的または予後的分析を含むがこれに限定されない、広範囲に及ぶ適用を有する。
個体またはそれに由来する生物学的試料におけるアクチビンβCレベルの変化をスクリーニングする手段は、以下のような当業者に周知である任意の適切な方法によって達成され得るが、これらに限定されない。
(i)アクチビンβCのインビボ検出。分子画像化が、アクチビンβC mRNAの発現レベルの変化または前立腺組織中のタンパク質発現産物を開示することができる画像化プローブまたは試薬の投与の後に使用され得る。
分子画像化(Moore, A., Basilion,J., Chiocca, E., and Weissleder, R., BBA, 1402:239-249, 1988; Weissleder, R., Moore, A., Ph.D., Mahmood-Bhorade, U., Benveniste,H., Chiocca, E.A., Basilion, J.P. Nature Medicine, 6:351-355, 2000)は、「古典的な」診断画像化技術(例えば、X線、コンピュータ断層撮影(CT)、MRI、陽電子放出断層撮影(PET)、または内視鏡検査など)を使用して現在可視化されている巨視的特徴と相関する分子発現のインビボ画像化である。歴史的には、正常または過形成性良性組織のバックグラウンドにおける悪性腫瘍細胞の検出は、低いコントラストの解像度を生じる、頻繁に最小である組織間の物理的特性の違いにしばしば基づく。発現プロファイリングの適用は、悪性転換の結果として生じる、癌組織と正常組織との間の「分子特性」の違いを規定する。
(ii)蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)による細胞中の、または定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(QRTPCR)もしくは競合RT-PCR産物のフローサイトメトリー定量などの技術(Wedemeyer, N., Potter, T., Wetzlich, S. and Gohde, W. Clinical Chemistry 48:9 1398-1405, 2002)、もしくはアレイ技術による細胞からの抽出物中の、mRNA発現のアップレギュレーションの検出。
例えば、アクチビンβCをコードする標識されたポリヌクレオチドは、前立腺から得られたRNA抽出物のノーザンブロット中のプローブとして利用され得る。好ましくは、動物からの核酸抽出物が、アクチビンβCをコードするポリヌクレオチドのセンス配列もしくはアンチセンス配列、またはその隣接配列に対応するオリゴヌクレオチドプライマーと協調して、RT PCR、リアルタイムPCR、またはSAGEなどの核酸増幅反応において利用される。例えば、非常に大きなスケールの固定化されたプライマーアレイ(VLSIPS(商標))が、例えばFodor et al., 1991およびKazal et al., 1996に記載されるように核酸の検出のために使用される。上記の一般的技術は当業者に周知である。
例えば、アクチビンβCをコードするRNA転写物を検出するために、RNAが、アクチビンβC RNAを含むと疑われる細胞試料(例えば、ヒト前立腺癌組織から単離された全RNA)から単離される。RNAは、当技術分野において公知の方法によって、例えば、TRIZOL(商標)試薬(GIBCO-BRL/Life Technologies, Gaithersburg, Md.)を使用して単離され得る。配列特異的オリゴヌクレオチドと同様に、オリゴdT、またはランダム配列オリゴヌクレオチドは、単離されたRNAから第1鎖cDNAを調製するために逆転写酵素反応におけるプライマーとして役立ち得る。次いで、得られる第1鎖cDNAは、増幅産物を生じるためのPCR反応において、配列特異的オリゴヌクレオチドを用いて増幅される。
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」とは、あらかじめ選択された核酸、RNA、および/またはDNAのフラグメントの量が、米国特許第4,683,195号に記載されるように増幅される手順または技術をいう。一般的には、関心対象の領域の末端またはその先の領域からの配列情報が、オリゴヌクレオチドプライマーを設計するために利用される。これらのプライマーは、増幅される鋳型の反対の鎖に対して配列が同一または類似である。PCRは、特異的RNAおよび全細胞RNAから転写されたcDNA配列を増幅するために使用され得る。一般的には、Mullis et al., 1987;Erlich, 1989を参照されたい。従って、PCRによる特異的核酸配列の増幅は、保存性ヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチド、または「プライマー」に依存し、ここで、保存性配列は、関連する遺伝子またはタンパク質配列のアラインメント、例えば、哺乳動物アクチビンβCの配列比較から推定される。例えば、アンチセンス鎖にアニーリングすることが予測される1つのプライマーが調製され、アクチビンβCをコードするcDNA分子のセンス鎖にアニーリングすることが予測される別のプライマーが調製される。
増幅産物を検出するために、反応混合物は、典型的には、アガロースゲル電気泳動または他の便利な分離手順に供され、アクチビンβC特異的に増幅されたDNAの相対的な存在が検出される。例えば、増幅されたDNAにおけるアクチビンβCは、特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いるサザンハイブリダイゼーションを用いて検出してもよく、または比較は既知の分子量のDNA標準を用いた電気泳動的な移動度である。増幅されたアクチビンβC DNAの単離、精製、および特徴付けは、ゲルからそのフラグメントを切除または溶出すること(例えば、引用文献Lawn et al., 1981;Goeddel et al., 1980を参照されたい)、適切なベクター(例えば、pCRIIベクター(Invitrogen))のクローニング部位に増幅産物をクローニングすること、クローニングされた挿入物を配列決定すること、およびそのDNA配列をアクチビンβCの既知の配列と比較することによって達成され得る。次いで、アクチビンβC mRNAおよびcDNAの相対量が決定され得る。
(iii)例えば、免疫相互作用的な分子(例えばβCヘテロダイマーもしくはホモダイマーまたはβCモノマーサブユニットを検出するための抗体など)を利用するイムノアッセイ法による、定量的または定性的のいずれかでの、細胞抽出物もしくは血液または他の適切な生物学的試料中のアクチビンβCタンパク質レベルの変化の測定。
1つの例において、アクチビンβC免疫相互作用分子複合体形成を検出することが求められることもある。例えば、それと結合するレポーター分子を有する本発明の抗体は、イムノアッセイ法において利用され得る。このようなイムノアッセイ法には、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、酵素結合検疫吸着アッセイ法(ELISA)、および免疫クロマトグラフィー技術(ICT)が含まれるがこれらに限定されない。ウェスタンブロッティングは当業者に周知である。例えば、本発明に従って使用され得る種々のイムノアッセイ法を開示する「Current Protocols in Immunology」, 1994を参照してもよい。イムノアッセイ法は競合的アッセイ法を含み得る。本発明は、定性的および定量的イムノアッセイ法を含むことが理解される。
適切なイムノアッセイ技術は、例えば、米国特許第4,016,043号、 4,424,279号および4,018,653号において記載される。これらは、非競合型の単一部位アッセイ法および2部位アッセイ法、ならびに従来の競合結合アッセイ法を含む。これらのアッセイ法はまた、標識された抗原結合分子の標的抗原への直接的結合を含む。この場合の抗原は、アクチビンβCまたはそのフラグメントである。
2部位アッセイ法は本発明における使用のために特に好ましい。これらのアッセイ法の多数のバリエーションが存在し、これらのすべてが本発明に含まれることが意図される。手短に述べると、典型的なフォワードアッセイ法において、標識されていない抗原結合分子(例えば標識されていない抗体)を、固体基材上に固定し、試験される試料を結合分子と接触させた。適切なインキュベーションの時間の後、抗体-抗原複合体の形成を可能にするのに十分な時間の間、検出可能なシグナルを産生することができるレポーター分子で標識された、別の抗原結合分子、適切には、抗原に特異的な第2の抗体が加えられ、抗体-抗原-標識された抗体の別の複合体の形成のために十分な時間の間インキュベートされる。未反応の物質は洗い流され、抗原の存在が、レポーター分子によって産生されるシグナルの観察によって決定される。結果は、目に見えるシグナルの単純な観察によって定性的であり得るか、または既知の量の抗原を含む対照試料と比較することによって定量され得るかのいずれかである。フォワードアッセイ法のバリエーションには同時アッセイ法が含まれ、ここでは試料と標識された抗体の両方が、結合した抗体に同時に加えられる。これらの技術は当業者に周知であり、容易に明らかであるように、少数のバリエーションを含む。
典型的なフォワードアッセイ法において、抗原またはその抗原性部分についての特異性を有する第1の抗体は、固体表面に、共有結合的または受動的のいずれかで結合される。固体表面は、典型的にはガラスまたはポリマーであり、最も一般的に使用されるポリマーは、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルクロライド、またはポリプロピレンである。固体表面は、チューブ、ビーズ、マイクロプレートのディスク、またはイムノアッセイ法の実行に適した任意の他の表面であり得る。結合プロセスは当技術分野で周知であり、一般的に架橋的共有結合または物理的吸着からなり、ポリマー-抗体複合体は試験試料についての調製物中で洗浄される。次いで、試験される試料のアリコートは、固相複合体に加えられ、存在する任意の抗原の抗体への結合を可能とするのに十分な時間の間、かつ適切な条件下でインキュベートされる。インキュベーション時間に続いて、抗原-抗体複合体は洗浄、および乾燥され、さらに抗原の一部に特異的な第2の抗体とともにインキュベートされる。第2の抗体は、一般的に、抗原への第2の抗体の結合を示すために使用される、それに結合したレポーター分子を有する。結合する標識された抗体の量は、結合したレポーター分子によって決定されるため、固定された第1の抗体に結合した抗原の量に比例する。
代替的な方法は、生物学的試料中で抗原を固定化する段階、およびその後のレポーター分子で標識されてもよく、または標識されなくてもよい特異的抗体に、固定化抗原を曝露する段階を含む。標的の量およびレポーター分子シグナルの強度に依存して、結合抗原は、抗体での直接的標識によって検出可能であり得る。または、第1の標識抗体に特異的な第2の標識抗体は、標的-第1の抗体複合体に曝露されて、標的-第1の抗体-第2の抗体の3成分複合体を形成する。この複合体は、レポーター分子によって放出されたシグナルによって検出される。
前述より、抗原結合分子に結合するレポーター分子が以下を含み得ることが認識される:
(a)抗体へのレポーター分子の直接的結合;
(b)抗体へのレポーター分子の間接的結合;すなわち、続いて抗体に結合する別のアッセイ試薬へのレポーター分子の結合;および
(c)抗体の、引き続いて起こる反応産物への結合。
(a)抗体へのレポーター分子の直接的結合;
(b)抗体へのレポーター分子の間接的結合;すなわち、続いて抗体に結合する別のアッセイ試薬へのレポーター分子の結合;および
(c)抗体の、引き続いて起こる反応産物への結合。
レポーター分子は、色素原、触媒、酵素、蛍光色素、化学発光分子、常磁性イオン、ランタニドイオン(例えばユーロピウム(Eu34))、放射性同位元素(他の核タグを含む)、および直接的な視覚的標識を含む群より選択され得る。
直接的な視覚的標識の場合において、コロイド金属または非コロイド金属の粒子、色素粒子、酵素もしくは基質、有機ポリマー、ラテックス粒子、リポソーム、またはシグナル産生物質を含む他のベシクルが使用されることもある。
レポーター分子としての使用に適切した多数の酵素が、米国特許第4,366,241号、4,843,000号、および4,849,338号において開示されている。本発明において有用である適切な酵素には、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、リゾチーム、リンゴ酸デヒドロゲナーゼなどが含まれる。これらの酵素は、単独でまたは溶液中にある第2の酵素と組み合わせて使用され得る。
適切な蛍光色素には、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、R-フィコエリトリン(RPE)、およびテキサスレッドが含まれるがこれらに限定されない。他の例示的な蛍光色素には、Dower et al., 国際公開公報第93/06121号によって議論されるものが含まれる。米国特許第5,573,909号(Singer et al)、5,326,692号(Brinkley et al)において記載される蛍光色素もまた参照してもよい。または、米国特許第5,227,487号、5,274,113号、5,405,975号、5,433,896号、5,442,045号、5,451,663号、5,453,517号、5,459,276号、5,516,864号、5,648,270号、および5,723,218号において記載される蛍光色素を参照してもよい。
エンザイムイムノアッセイ法の場合において、一般的には、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩によって、酵素は第2の抗体に結合体化される。しかし、容易に理解されるように、当業者に容易に利用可能である広範な種々の異なる結合体化技術が存在する。特異的酵素とともに使用される基質は、一般的に、対応する酵素による加水分解に際して、検出可能な色の変化の産生について選択される。適切な酵素の例には、前記の酵素が含まれる。上記の色素産生性基質以外の、蛍光生成物を産生する蛍光発生基質を利用することもまた、可能である。すべての場合において、酵素標識抗体は、第1の抗体-抗原複合体に加えられ、結合し、次いで過剰の試薬が洗い流される。次いで、適切な基質を含む溶液が、抗体-抗原-抗体の複合体に加えられる。基質は、第2の抗体に連結された酵素と反応し、定性的な視覚的シグナルを与え、これは、さらに通常分光学的に定量され得、試料中に存在した抗原の量を表す。
または、フルオレセイン、ローダミン、およびランタニド、ユーロピウム(EU)などの蛍光化合物が、それらの結合活性を変化させることなく、抗体に化学的に結合され得る。特定の波長の光を用いる照射によって活性化される場合、蛍光色素標識された抗体は光エネルギーを吸収し、これは分子中で状態を励起状態に誘導し、続いて光学顕微鏡を用いて視覚的に検出可能な特徴的な色の光の放射を誘導する。蛍光標識された抗体は、第1の抗体-抗原複合体に結合される。未結合試薬を洗い流した後、次いで、残りの3成分複合体は、適切な波長の光に曝露される。観察された蛍光は、関心対象の抗原の存在を示す。免疫蛍光アッセイ法(IFMA)は当技術分野において十分に確立されており、本発明のために特に有用である。しかし、他のレポーター分子(例えば、放射性同位元素、化学発光分子または生物発光分子など)もまた利用され得る。
(iv)核酸分子または発現産物のスクリーニングにおけるアプタマーの使用。
(v)上記の点(ii)に詳述されるものに加えて、任意の適切な機能的試験、酵素的試験、または免疫学的試験に基づいてタンパク質発現の変化を決定すること。
アクチビンβCサブユニットタンパク質のレベルまたはmRNA発現レベルのスクリーニングに加えて、対象のβCサブユニットがモノマー型またはダイマー型で存在するか否か、およびダイマー型であったならば、それが形成したダイマーの性質を決定することが望ましいこともあると理解されるべきである。従って、本発明は、利用されるスクリーニング方法にさらなる段階を導入することへと拡張され、このさらなる段階は、アクチビンβA、βB、βC、βD、またはβEサブユニットの1つまたは複数をスクリーニングすることに向けられている。この分析は、βCに関連して実行される分析を用いて同時にまたは連続的に実行され得る。さらに、この分析は、これらの非βCサブユニットの存在、またはそうでなければこれらの1つに関連する分析が、本明細書中上記に記載された技術を利用して実行され得る。
アクチビンβCサブユニットの生物活性は、アクチビンダイマー形成を誘導するかまたは減少させるアクチビンβCサブユニットの能力によって決定され得る。このダイマー形成は、このサブユニットに対する抗体を使用することによって、アクチビンβCサブユニットの存在によって測定され得る。
上記に詳述したように、任意の適切な技術が、アクチビンβCまたはそのコードする核酸分子を検出するために利用され得る。使用のために選択される技術の性質は、大部分は、分析のために必要とされる生物学的試料の種類を決定する。このような決定は、十分に当業者の範囲内にある。
特に好ましい態様において、本発明の検出アッセイ法は、抗体に基づく方法を利用して実行される。
1つの例において、前記検出は、アクチビンβサブユニットダイマー分子に指向され得る。
従って、哺乳動物におけるアクチビンβCのレベルの調節によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を検出する方法が提供され、そのレベルは正常レベルと比較して調節されており、該方法は、以下の段階を含む:
(a)第1のアクチビンβサブユニットのエピトープを認識する第1の抗体を、哺乳動物に由来する生物学的試料と接触させる段階;
(b)該試料中の該第1のアクチビンβサブユニットに第1の抗体を結合させる段階;
(c)未結合物質を実質的に除去するために該試料を洗浄する段階;
(d)第2のアクチビンβサブユニットのエピトープを認識する第2の抗体と該試料を接触させる段階であって、ここで、第2の抗体が標識因子で標識される、段階;および
(e)該試料中のアクチビンβCサブユニットダイマーを同定するために標識因子を検出する段階であって、ここで、第1の抗体または第2の抗体がアクチビンβCサブユニットのエピトープを認識する、段階。
(a)第1のアクチビンβサブユニットのエピトープを認識する第1の抗体を、哺乳動物に由来する生物学的試料と接触させる段階;
(b)該試料中の該第1のアクチビンβサブユニットに第1の抗体を結合させる段階;
(c)未結合物質を実質的に除去するために該試料を洗浄する段階;
(d)第2のアクチビンβサブユニットのエピトープを認識する第2の抗体と該試料を接触させる段階であって、ここで、第2の抗体が標識因子で標識される、段階;および
(e)該試料中のアクチビンβCサブユニットダイマーを同定するために標識因子を検出する段階であって、ここで、第1の抗体または第2の抗体がアクチビンβCサブユニットのエピトープを認識する、段階。
好ましくは、前記状態は新生物状態であり、前記調節はアクチビンβCサブユニットのレベルの増加である。
好ましくは、アクチビンβCダイマーは、アクチビンAC(βA-βC)、アクチビンBC(βB-βC)、アクチビンC(βC-βC)、アクチビンCD(βC-βD)またはアクチビンCE(βC-βE)からなる群より選択される。最も好ましくは、検出されるアクチビンβCダイマーはアクチビンAC(βA-βC)である。この方法において、第1の抗体がアクチビンβCサブユニットのエピトープを認識することが好ましい。
好ましくは、第2の抗体は、アクチビンβAサブユニットまたはアクチビンβBサブユニットのエピトープを認識する。より好ましくは、第2の抗体は、アクチビンβAサブユニットのエピトープを認識する。好ましくは、段階(e)は、細胞または生物学的試料中のアクチビンβCダイマーの量を定量する段階を含む。この方法の段階は、アクチビンβCサブユニットを検出するために以前に記載されたように実行され得る。
しかしながら、これは限定ではないが、本発明は、それがモノマー型かダイマー型かに関わらず、アクチビンβCサブユニットを単独で検出することに拡張することがまた理解されるべきである。
本発明の診断方法において、対象物が哺乳動物(ヒトを含むがこれに限定されない)であることが好ましい。対象の生物学的試料は、好ましくは血清、組織培養上清、精漿、細胞溶解物、組織ホモジネート、生物学的液体、脳脊髄液、または精液である。生物学的試料は、特に診断される疾患または状態が細胞である場合、組織の溶解物または細胞の馴化培地であり得る。診断される疾患または状態が生殖の疾患または状態に関するならば、生物学的試料は、卵胞液、精液、または精漿を含み得る。
「抗体」という用語は、この好ましい態様に従って使用される場合、最も広い意味で使用され、具体的には、これらは、標的抗原に特異的に結合する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性(multispecific)抗体(例えば、二特異性(bispecific)抗体)、および抗体フラグメントを網羅する。抗体は、市販元から得てもよい。
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書中で使用される場合、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体をいい、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る、天然に存在する可能性のある変異以外は同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して指向される。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して向けられる異なる抗体を典型的に含む、従来の(ポリクローナル)抗体調製物と対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられる。修飾因子「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団から得られ、特定の方法による抗体の産生を必要とすると見なされない抗体の性質を示す。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ファージ抗体ライブラリーから単離される、ハイブリドーマ法によって作製されるか、または組換えDNA法によって作製され得る。モノクローナル抗体はまた、市販元から得てもよい。
それゆえに、アクチビンβCに特異的な適切な抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、Fabフラグメント、およびFab発現ライブラリーを含み得るがこれらに限定されない。アクチビンβCタンパク質に対して指向されるモノクローナル抗体の調製のために、培養中の連続細胞株によって抗体分子の産生を提供する任意の技術が使用され得る。このような技術には、KohlerおよびMilstein(Kohler G, Milstein C 1975, Nature 256:495-7)によって最初に開発されたハイブリドーマ技術、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbar 1983 Immunology Today 4:72)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(Cole 1985 Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy. In. Alan R. Liss, Inc:77-96)が含まれるがこれらに限定されない。
当技術分野において公知の種々の手順は、アクチビンβCタンパク質に対するポリクローナル抗体の産生のために使用され得る。抗体の産生のために、種々の宿主動物が、アクチビンβCタンパク質を用いる注射によって免疫化することができ、このような宿主動物には、ウサギ、マウス、ラットなどが含まれるがこれらに限定されない。種々のアジュバントが、宿主種に依存して、免疫学的応答を増加するために使用され得、そしてこれには、フロイント(完全または不完全)、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲル、リゾレシチンなどの界面活性剤、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、ジニトロフェノール、および潜在的に有用なヒトアジュバント(例えば、カルメット-ゲラン杆菌(BCG) およびコリネバクテリウム・パルヴム) が含まれるがこれらに限定されない。
アクチビンβCに特異的に結合する適切な抗体は、多数の様式で細胞に導入され得、これには、例えば、細胞への抗体のマイクロインジェクション(Morgan and Roth, 1988, Immunol Today 9:84-8)、または所望の抗体をコードするハイブリドーマmRNAの細胞への形質転換(Burke and Warren, 1984, Cell 36:847-56)が含まれる。
抗体フラグメントは当技術分野に公知の技術によって生成され得る。例えば、このようなフラグメントには、抗体分子のペプシン消化によって産生され得るF(ab')2フラグメント;F(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋の還元によって生成され得るFab'フラグメント、抗体分子をパパインおよび還元剤で処理することによって生成され得るFabフラグメント、ならびにFvフラグメントが含まれるがこれらに限定されない。
さらなる技術において、アクチビンβCタンパク質に特異的な組換え抗体は、アクチビンβCのダイマー化をブロックするだけでなく、アクチビンβCに結合するように操作され、かつ種々の細胞型において異所的に発現され得る。
本発明に従う抗体の調製および使用は、当技術分野において周知の技術を使用して達成され得、種々の標識技術および適用を含み得る。抗体のための適切な標識には、放射性核種、酵素、基質、コファクター、インヒビター、蛍光剤、化学発光剤、常時性粒子などが含まれるがこれらに限定されない。抗体はまた、標識を加える前に、例えば、ビオチン化によって処理され得る。
「標識」という用語は、本明細書中で使用される場合、抗体などの試薬に直接的または間接的に結合されるかまたは融合され、かつそれが結合されるかまたは融合される試薬の検出を容易にする、化合物または組成物をいう。標識それ自体が検出可能であり得るか(例えば、放射性同位元素標識または蛍光標識)、または、酵素標識の場合には、検出可能である基質化合物もしくは組成物の化学的変化を触媒し得る。標識化は、標識を用いる次の段階、例えば、ビオチン段階、次いでストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ標識の追加を含み得る。
抗体の標識化は直接的または間接的に達成され得る。周知の結合方法が、抗体に標識を結合させるために使用され得る。好ましくは、標識化後に、未結合標識が、当業者に公知の精製手順を使用して標識された抗体から取り除かれる。抗体はまた、IgGまたはIgMの画分などの免疫グロブリン画分を提供するために分画され得る。これらの抗体画分は、当業者に公知の方法(IgGのために組換えプロテインGを使用すること、またはIgMのための免疫沈殿を含む)を使用して単離され得る。
アクチビンβCのモノマーまたはダイマー(βCを含む)が抗体によって検出されることが最も好ましく、ここで、この抗体はアクチビンβCサブユニットのエピトープを認識する。より好ましくは、この抗体はアクチビンβCを認識し、該エピトープはアミノ酸配列
またはその等価物を含む。この抗体はモノクローナル抗体であることが好ましい。好ましくは、この抗体はアクチビンβCサブユニットに特異的である。より好ましくは、この抗体はヒトアクチビンβCサブユニットに特異的である。この抗体は、ヒトアクチビンβCサブユニットに対して開発されたマウスモノクローナル抗体であり得る。最も好ましくは、この抗体は、βA、βB、またはβEのペプチドと交差反応しない。
またはその等価物を含む。この抗体はモノクローナル抗体であることが好ましい。好ましくは、この抗体はアクチビンβCサブユニットに特異的である。より好ましくは、この抗体はヒトアクチビンβCサブユニットに特異的である。この抗体は、ヒトアクチビンβCサブユニットに対して開発されたマウスモノクローナル抗体であり得る。最も好ましくは、この抗体は、βA、βB、またはβEのペプチドと交差反応しない。
好ましくは、アクチビンβC抗体は、本発明の診断方法のためのELISAに基づく方法において使用される。
最も好ましい態様において、本発明は、アクチビンAC(アクチビンβA-βCダイマー)のレベルを検出することに指向される。本発明のこの好ましい局面の文脈において、および本明細書中で利用される好ましい抗体に基づく方法に関して、選択された抗体に基づくスクリーニングアッセイ法は、アクチビンβCサブユニットのエピトープに指向された第1の抗体、およびアクチビンβAサブユニットのエピトープに指向された第2の抗体を利用する。
最も好ましい態様において、本明細書中に記載される診断方法は、試験の対象である生物学的試料中に存在するアクチビンβCのモノマーまたはダイマーの量を定量する段階を含む。
生物学的試料は、試料を第1の抗体と接触させる前に調製され得る。例えば、試料は、適切な希釈剤(例えば、組織培養培地、および/またはPBSなど)で希釈され得る。試料は、好ましくは、試料を第1の抗体と接触させる前に、加熱することによってSDSと共に変性され得る。好ましくは、生物学的試料は、試料を酸化するように処理され得る。より好ましくは、試料中のアクチビンβCサブユニットが酸化され、その結果、アクチビンβCサブユニット上のメチオニンが酸化される。適切な酸化剤(例えばH2O2など)が、アクチビンβAサブユニット上のメチオニンを酸化するために生物学的試料に加えられることもある。
好ましい態様において、本発明の方法は、結合タンパク質を除去するために試料に解離剤を加えるさらなる段階を含む。好ましくは、解離剤は、段階(a)の前に加えられる。好ましくは、除去される結合タンパク質は、フォリスタチン、BMP、またはα-2マクログロブリンからなる群より選択される。好ましくは、SDSが、結合タンパク質(例えば、フォリスタチン、BMP、またはα-2マクログロブリンなど)を除去するための解離剤として試料に加えられ得る。しかし、他の解離剤には、McFarlane et al, 1996 Eur J Endocrinol 134:481-9において公開されたものが含まれ、これは、有用な解離剤としてデオキシコール酸ナトリウム、Tween 20、SDSを記載している。フォリスタチンなどの結合タンパク質は、高いアフィニティーでアクチビンA、Bのβサブユニットに結合し、低いアフィニティーでインヒビンAおよびBに結合する。フォリスタチンはまた、アクチビンβCサブユニットに結合し得る。それゆえに、結合タンパク質を除去するために解離段階を含むことが好ましい。
本発明の方法の段階(b)において、第1の抗体が試料中の第1のアクチビンβサブユニットに結合される。これは、好ましくは、適切な条件下で第1の抗体と生物学的試料をインキュベーションすることによって達成される。例えば、BSAおよび/またはPBSを含む適切な培地が使用され得、好ましくは、アクチビンを含まない血清が使用される。最も好ましくは、試料は、加湿環境において一晩インキュベートされる。
本発明の方法の段階(c)において、試料は、試料中のいかなる未結合物質をも実質的に除去するために洗浄される。この試料は、好ましくは水またはPBSを含む、任意の適切な洗浄溶液中で洗浄される。この試料は、好ましくは、標識された抗体が標的アクチビンサブユニットに結合するように洗浄される。
本発明の方法の段階(d)において、試料は、第2のアクチビンβサブユニットのエピトープを認識する第2の抗体と接触される。好ましくは、この第2の抗体は、βA、βB、βC、βD、またはβEのサブユニットのエピトープを認識する。より好ましくは、この第2の抗体は、アクチビンβAサブユニットのエピトープを認識する。第2の抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得、および以前に議論した方法によって生成され得る。
第2の抗体は、標識因子で標識されることが必要とされる。本発明に従う抗体の調製および使用は、当技術分野において周知である技術を使用して達成され得、種々の抗体標識技術および適用を含む。抗体のための適切な標識には、放射性ヌクレオチド、酵素、基質、コファクター、インヒビター、蛍光薬剤、化学発光薬剤、常時性粒子などが含まれるがこれらに限定されない。抗体はまた、標識を加える前に、例えば、ビオチン化によって処理され得る。
本明細書中上記に記載されたように、標識剤によって標識される第2の抗体は、典型的には、「タグ抗体」といわれ、好ましくは色検出方法において使用される。第2の抗体は、ビオチンなどの標識剤に結合され得、ここで、標識の検出が着色した反応産物によって測定される。他の標識化は、好ましくは、アルカリホスファターゼで直接的に標識されたアクチビンβサブユニット抗体を使用することを含む。
本発明の方法の段階(e)において、第2の標識された抗体に結合するアクチビンダイマーが検出される。検出の方法は、第2の抗体を標識するために使用される標識剤、次いで、ストレプトアビジンアルカリホスファターゼの付加に依存する。検出は、好ましくは、キット試薬からの色検出を含む。例えば、色は、標準を用い、マイクロプレートリーダーを使用して読み取り得る。アクチビンACのレベルまたは生物活性の計算は、既知量のアクチビンACの標準曲線に基づく。例えば、ウシ卵胞液およびヒト組換えまたは精製アクチビンACタンパク質が、アクチビンACアッセイ法のための標準として使用され得る。好ましくは、段階(e)は、生物学的試料中のアクチビンβCダイマーの量を定量する段階を含む。
代替的な態様において、本発明の方法は、逆の様式で実行され得る(捕捉抗体とタグ抗体を交換する)。例えば、アクチビンβA抗体は、プレート上でコートされ得、そしてアクチビンβC抗体が標識され得る。しかしながら、アッセイ法において感度の減少を引き起こす、特定の試料における大量のアクチビンA(βA-βA)のために、これはあまり好ましくない。
本発明のなお別の局面は、本明細書中上記に記載された方法に従って、アクチビンβCのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を検出するために使用される際の組成物に関し、該組成物は、アクチビンβC検出手段を含む。
より好ましくは、本発明は、アクチビンβCのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を検出するために使用される際の組成物に関し、ここで該組成物は、適切な希釈剤、賦形剤、または担体とともにアクチビンβCサブユニットのエピトープを指向する抗体を含む。
好ましくは、前記状態は新生物状態である。
なおより好ましくは、前記抗体は、そのモノマー型またはダイマー型のいずれかの形成の状況においてアクチビンβCサブユニットを認識することができる。最も好ましくは、該抗体は、アミノ酸配列:
を含むアクチビンβCのエピトープに指向される。
を含むアクチビンβCのエピトープに指向される。
本明細書中上記に記載された組成物は、好ましくは、アクチビンβCサブユニット検出手段、特に対象の抗体と適合可能な、適切な希釈剤、賦形剤、または担体を含む。受容可能な担体、賦形剤、または希釈剤には、水、塩溶液、BSA、Triton X-100が含まれ得る。好ましくは、この組成物は滅菌水溶液である。この組成物はまた、緩衝剤、希釈剤、および他の適切な付加物を含み得る。この組成物は、アクチビンβCサブユニットのエピトープを認識する抗体と適合可能な他のアジュバント成分、例えば、標識剤または色素を含み得る。
本発明のなお別の局面は、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症、または発症の素因を検出する際の使用のための診断キットを提供し、該キットは、アクチビンβCサブユニットタンパク質および/またはコードする核酸の検出手段を第1の区画に含み、そして該検出手段による検出を容易にするために有用な試薬を第2の区画に含む。例えば、生物学的試料の収集および保存を容易にするための手段を含むために、さらなる区画もまた含まれ得る。
好ましくは、前記検出手段は、本明細書中上記に記載されるような抗体である。
本発明のキットにおいて、以前に記載されたように、それらには第1の抗体および第2の抗体が含まれ得る。第1の抗体は、好ましくは、アクチビンβCサブユニットのエピトープを認識する。第2の抗体は、アクチビンβA、βB、βC、βD、またはβEのサブユニットのエピトープを認識する。より好ましくは、この第2の抗体は、アクチビンβAサブユニットのエピトープを認識する。好ましくは、第1の抗体または第2の抗体は、そのモノマー型およびダイマー型の両方でアクチビンβCを認識することができる、精製された抗体である。なおより好ましくは、この抗体は、アミノ酸配列:
を含むアクチビンβCのエピトープに指向される。
を含むアクチビンβCのエピトープに指向される。
本発明をいかなる1つの理論または作用の様式に限定することなく、アクチビンβCサブユニットが、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、または他のアクチビンダイマーの形成を阻害するために、非アクチビンβCサブユニットとダイマー化し得ることが考えられる。従って、アクチビンβCのレベルまたは生物活性の調節は、これらのアクチビンダイマーの生物学的活性を調節する手段を提供する。それゆえに、関連する局面において、本発明の知見は、現在、本明細書中上記に記載された状態(特に新生物状態)の治療的および/または予防的処置を指向する方法論の合理的設計を容易にする。これらの方法は、アクチビンβCレベルをダウンレギュレートすることが、ダイマーを含むアクチビンβCの形成をダウンレギュレートし、それによって非アクチビンβCサブユニットダイマー(例えば、アクチビンAダイマー、アクチビンBダイマー、またはアクチビンABダイマー)のレベルをアップレギュレートするという概念に基づいている。非アクチビンβCサブユニットダイマー形成のアップレギュレーションが有益であるか否かは、問題の状態の性質に依存する。本明細書中上記に記載されるように、アクチビンβCレベルの増加が新生物の発症を示す場合、非アクチビンβCダイマーのレベルを標準化するために治療プログラムの状況においてアクチビンβCレベルを減少させることを探求する。アクチビンβCレベルが問題の状態の発症と関連する場合、逆のアプローチが適用可能である。好ましくは、該状態は異常な細胞増殖である。
従って、本発明の別の局面は、細胞の異常な増殖を調節する方法に関し、該方法は、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を調節する段階を含む。
好ましくは、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性は細胞内で調節される。
アクチビンβCサブユニットの調節されたレベルは、モノマーまたはダイマーのいずれかのアクチビンβCサブユニットのレベルを調節することによって達成され得ることが理解されるべきである。
1つの好ましい態様において、本発明は、細胞の異常な増殖を調節する方法に関し、該方法は、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を調節する段階を含み、ここで、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を機能的に有効なレベルまでアップレギュレートすることが該異常な増殖を誘導し、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を機能的に有効でないレベルまでダウンレギュレートすることが該異常な増殖を阻害する。
別の好ましい態様において、本発明は、細胞の異常な増殖を調節する方法に関し、該方法は、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を調節する段階を含み、ここで、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を機能的に有効でないレベルまでダウンレギュレートすることが該異常な増殖を誘導し、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を機能的に有効なレベルまでアップレギュレートすることが該異常な増殖を阻害する。
なおより好ましくは、本発明は、新生物の増殖を調節する方法に関し、該方法は、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を調節する段階を含み、ここで、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を機能的に有効なレベルまでアップレギュレートすることが該異常な増殖を誘導し、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を機能的に有効でないレベルまでダウンレギュレートすることが該異常な増殖を阻害する。
「異常な増殖」および「新生物細胞」に対する言及は、本明細書中上記に提供されるものと同じ意味を有すると理解されるべきである。
好ましくは、新生物状態は、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、子宮頸部、胸腺、ファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、喉頭、舌、小腸、直腸もしくは食道、子宮筋層、ならびに軟部組織の悪性新生物、またはファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、子宮筋層、および軟部組織の悪性でない新生物である。
「アクチビンβC」に対する言及は、本明細書中上記で定義したものと同じ意味を有するが、さらにそのホモログに対する言及も含むと理解されるべきである。好ましくは、アクチビンβCは、本明細書中上記で定義したようなアクチビンβCサブユニットである。
「調節する」に対する言及は、対象の細胞増殖をアップレギュレートまたはダウンレギュレートすることに対する言及として理解されるべきである。それゆえに、細胞増殖を「ダウンレギュレートする」に対する言及は、細胞増殖の1つまたは複数の局面を、予防、減少(例えば、遅延)、またはそうでなければ阻害することに対する言及として理解されるべきであるのに対して、「アップレギュレートする」に対する言及は、逆の意味を有すると理解されるべきである。好ましい方法は、新生物細胞の増殖をダウンレギュレートすること、またはこの点に関して素因を有する細胞が新生物状態に移行することを予防することであるが、それにも関わらず、本発明は、特定の状況において所望され得る細胞増殖をアップレギュレートすることに拡張される。例えば、他の潜在的な治療的手段をスクリーニングすることを可能にするために、本発明の方法を利用してインビトロで新生物細胞表現型を誘導することを探求し得る。
それゆえに、好ましい局面に従って、本発明は、好ましくは、新生物細胞の増殖をダウンレギュレートする方法を提供し、該方法は、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を機能的に有効でないレベルまでダウンレギュレートする段階を含む。
本明細書中で、アクチビンβCサブユニットの「機能的に有効なレベル」または「機能的に有効でないレベル」のいずれかを達成することに対する言及は、アップレギュレーションであるかまたはダウンレギュレーションであるかに関わらず、細胞増殖の調節が達成され得るアクチビンβCサブユニットのレベルを達成することに対する言及と理解されるべきである。この点に関して、日常的な手順を利用して、それよりも高いレベルで、または低いレベルで細胞増殖が調節されるアクチビンβCサブユニット発現の閾値レベルを決定することは、当業者の技能の範囲内である。本明細書中に提供される開示に従って、これらのレベルは、正常レベルと比較して好ましく評価される。
「有効なレベル」に対する言及は、所望される応答を少なくとも部分的に達成するために必要なレベルを意味することが理解されるべきである。この量は、処置される細胞集団および/または個体の健康状態および生理的状態、処置される細胞集団および/または個体の分類学的な群、所望されるアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションの程度、利用される組成物の処方、医学的状況の評価、ならびに他の因子に依存して変化し得る。従って、このレベルは個々の状況間で変化することもあり、それによって広範な範囲に入り、これは日常的な試行を通して決定され得ることが予測される。
アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を調節することは、任意の適切な手段によって達成され得、これは以下を含むがこれらに限定されない。
(i) アクチビンβCサブユニットの絶対的レベルを調節し、その結果、より多いかまたはより少ないかのいずれかのアクチビンβCサブユニットが細胞環境中に存在する。
(ii) アクチビンβCサブユニットタンパク質の機能的活性を作動させるかまたは拮抗させ、その結果、アクチビンβCサブユニットの機能的有効性は増加するかまたは減少するかのいずれかである。例えば、アクチビンβCサブユニットの半減期を増加させることは、アクチビンβCサブユニットの絶対的濃度を実際に増加させる必要なしに、アクチビンβCサブユニットの機能的に有効なレベルの増加を達成し得る。同様に、アクチビンβCサブユニットの部分的拮抗は、アクチビンβCサブユニットの機能的有効性を減少させ得るが、それを除去する必要はない。
(i) アクチビンβCサブユニットの絶対的レベルを調節し、その結果、より多いかまたはより少ないかのいずれかのアクチビンβCサブユニットが細胞環境中に存在する。
(ii) アクチビンβCサブユニットタンパク質の機能的活性を作動させるかまたは拮抗させ、その結果、アクチビンβCサブユニットの機能的有効性は増加するかまたは減少するかのいずれかである。例えば、アクチビンβCサブユニットの半減期を増加させることは、アクチビンβCサブユニットの絶対的濃度を実際に増加させる必要なしに、アクチビンβCサブユニットの機能的に有効なレベルの増加を達成し得る。同様に、アクチビンβCサブユニットの部分的拮抗は、アクチビンβCサブユニットの機能的有効性を減少させ得るが、それを除去する必要はない。
従って、このことは、アクチビンβCサブユニットの絶対的濃度をダウンレギュレートする必要なしに、アクチビンβCサブユニットの機能性をダウンレギュレートする手段を提供し得る。
アクチビンβCサブユニットのアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを達成することに関して、この目的を達成するための手段は当業者に周知であり、これらは以下を含むがこれらに限定されない:
(i) 細胞がアクチビンβCサブユニットを発現する能力をアップレギュレートするために、細胞中にアクチビンβCサブユニットをコードする核酸分子を導入する段階。
(ii)遺伝子の転写調節および/または翻訳調節を調節するタンパク様分子または非タンパク様分子を細胞に導入する段階であって、ここで、本遺伝子は、アクチビンβCサブユニット遺伝子もしくはその機能的部分、またはアクチビンβCサブユニット遺伝子の発現を直接的もしくは間接的に調節する、他の遺伝子もしくは遺伝子領域(例えば、プロモーター領域)であり得る、段階。
(iii)アクチビンβCサブユニット発現産物を細胞に導入する段階。
(iv)アクチビンβCサブユニット発現産物に対するアンタゴニストとして機能するタンパク様分子または非タンパク様分子を導入する段階。
(v) アクチビンβCサブユニット発現産物に対するアゴニストとして機能するタンパク様分子または非タンパク様分子を導入する段階。
(i) 細胞がアクチビンβCサブユニットを発現する能力をアップレギュレートするために、細胞中にアクチビンβCサブユニットをコードする核酸分子を導入する段階。
(ii)遺伝子の転写調節および/または翻訳調節を調節するタンパク様分子または非タンパク様分子を細胞に導入する段階であって、ここで、本遺伝子は、アクチビンβCサブユニット遺伝子もしくはその機能的部分、またはアクチビンβCサブユニット遺伝子の発現を直接的もしくは間接的に調節する、他の遺伝子もしくは遺伝子領域(例えば、プロモーター領域)であり得る、段階。
(iii)アクチビンβCサブユニット発現産物を細胞に導入する段階。
(iv)アクチビンβCサブユニット発現産物に対するアンタゴニストとして機能するタンパク様分子または非タンパク様分子を導入する段階。
(v) アクチビンβCサブユニット発現産物に対するアゴニストとして機能するタンパク様分子または非タンパク様分子を導入する段階。
上記に記載したタンパク様分子は、任意の適切な供給源(例えば、天然、組換え、または合成の供給源)に由来することもあり、例えば、天然物のスクリーニングの後で同定された融合タンパク質または分子を含む。非タンパク様分子に対する言及は、例えば、核酸分子に対する言及であってもよく、または天然の供給源(例えば、天然物のスクリーニング)に由来する分子であってもよく、または化学合成された分子であってもよい。本発明は、アクチビンβCサブユニット発現産物のアナログまたはアゴニストもしくはアンタゴニストとして作用することができる小分子を意図する。化学的アゴニストは、アクチビンβCサブユニット発現産物に由来する必要がないこともあるが、特定のコンホメーションの類似性を共有してもよい。または、化学的アゴニストは、特定の物理化学的特性に合致するように具体的に設計され得る。アンタゴニストは、アクチビンβCサブユニットがその正常な生物学的機能を実行することを、ブロック、阻害、またはそうでなければ妨害することができる任意の化合物であり得る。アンタゴニストには、モノクローナル抗体、および哺乳動物細胞においてアクチビンβCサブユニットの遺伝子またはmRNAの転写または翻訳を妨害するアンチセンス核酸が含まれる。発現の調節はまた、抗原、RNA、リボソーム、DNAザイム、アプタマー、抗体、または相互抑制効果における使用のために適切な分子を利用して達成され得る。アクチビンβCの適切なアンチセンスオリゴヌクレオチド配列(一本鎖DNAフラグメント)は、アクチビンβCの発現を抑制するそれらの能力によって作製または同定され得る。所定のタンパク質のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの産生は、例えば、Stein and Cohen, 1988(Cancer Res 48:2659-68)およびvan der Krol et al., 1988(Biotechniques 6:958-976)において記載される。
上記の点(i)〜(v)において言及されたタンパク様分子および非タンパク様分子は、本明細書中では集合的に「調節薬剤」といわれる。好ましくは、調節薬剤は、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を減少させることが探求されている限り、抗体である。
本明細書中上記に定義した調節薬剤のスクリーニングは、いくつかの適切な方法のいずれか1つによって達成され得、この方法には以下が含まれるが、いかなる方法においてもこれらに限定されない:アクチビンβCサブユニット遺伝子またはその機能的等価物もしくは誘導体を含む細胞を薬剤と接触させる段階、および、アクチビンβCサブユニットタンパク質の産生もしくは機能的活性の調節、アクチビンβCサブユニットをコードする核酸分子の発現の調節、または下流のアクチビンβCサブユニットの細胞標的の活性もしくは発現の調節についてスクリーニングする段階。このような調節の検出は、ウェスタンブロッティング、電気泳動移動度シフトアッセイ法、および/またはアクチビンβCサブユニット活性のレポーター(例えば、ルシフェラーゼ、CATなど)の読み取りなどの技術を利用して達成され得る。
アクチビンβCサブユニット遺伝子またはその機能的等価物もしくは誘導体が、試験の対象である細胞中に天然に存在し得るか、またはそれは試験の目的のために宿主中にトランスフェクトされ得ることが理解されるべきである。さらに、天然に存在するかまたはトランスフェクトされた遺伝子は構成的に発現することもあり、それによって、核酸レベルもしくは発現産物レベルのいずれかで、とりわけアクチビンβCサブユニット活性をダウンレギュレートする薬剤のスクリーニングのために有用なモデルを提供するか、または、その遺伝子は活性化を必要とすることもあり、それによって、とりわけアクチビンβCサブユニット発現をアップレギュレートする薬剤のスクリーニングのために有用なモデルを提供する。さらに、アクチビンβCサブユニット核酸分子が細胞にトランスフェクトされる限り、その分子は、全体のアクチビンβCサブユニット遺伝子を含み得るか、または遺伝子の一部 (例えばアクチビンβCサブユニットの発現を調節する部分など)を単に含み得る。例えば、アクチビンβCサブユニットプロモーター領域は、試験の対象である細胞にトランスフェクトされ得る。この点に関して、そのプロモーターのみが使用される場合、プロモーター活性の調節を検出することは、例えば、レポーター遺伝子へのプロモーターの連結によって達成され得る。例えば、プロモーターは、ルシフェラーゼまたはCATレポーターに連結され得、その遺伝子の発現の調節は、それぞれ、蛍光強度またはCATレポーター活性の調節を介して検出され得る。別の例において、検出の対象は、アクチビンβCサブユニットそれ自体ではなく、下流のアクチビンβCサブユニット調節標的であり得る。なお別の例は、最小のレポーターに連結されたアクチビンβCサブユニット結合部位を含む。アクチビンβCサブユニット活性の調節は、細胞増殖の調節のスクリーニングによって検出され得る。これは、アクチビンβCサブユニット発現それ自体が検出の対象ではない、間接的な系の例である。むしろ、アクチビンβCサブユニットが調節する下流の活性の調節がモニターされる。
これらの方法は、合成ライブラリー、コンビナトリアルライブラリー、化学ライブライリー、および天然のライブラリーを含む、タンパク様薬剤または非タンパク様薬剤などの推定の調節薬剤の高スループットスクリーニングを実行するためのメカニズムを提供する。これらの方法はまた、アクチビンβCサブユニット核酸分子もしくはその発現産物のいずれかを結合する薬剤、または上流の分子の発現を調製する薬剤、上流の分子が引き続いてアクチビンβCサブユニット発現もしくは発現産物活性を調節する薬剤の検出を容易にする。従って、これらの方法は、アクチビンβCサブユニットの発現および/または活性を直接的または間接的のいずれかで調節する検出薬剤のメカニズムを提供する。
本発明の方法に従って利用される薬剤は、任意の適切な形態を取り得る。例えば、タンパク様薬剤は、種々の程度までグリコシル化されてもよいしもしくはグリコシル化されなくてもよく、リン酸化されてもよいしもしくはリン酸化されなくてもよく、および/または、使用され、連結され、結合され、もしくはそうでなければタンパク質と結合された一定の範囲の他の分子(例えば、アミノ酸、脂質、炭水化物、もしくは他のペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質など)を含み得る。同様に、対象の非タンパク様分子もまた、任意の適切な形態を取り得る。本明細書中に記載されるタンパク様薬剤と非タンパク様薬剤の両方は、任意の他のタンパク様薬剤または非タンパク様薬剤を連結、結合、そうでなければ付随し得る。例えば、本発明の1つの態様において、該薬剤は、局在化領域へのその標的化を可能にする分子に付随する。
対象のタンパク様分子または非タンパク様分子は、アクチビンβCサブユニットの発現またはアクチビンβCサブユニット発現産物の活性を、直接的もしくは間接的のいずれかで調節するように作用し得る。該分子は、発現または活性をそれぞれ調節するようにアクチビンβCサブユニットの核酸分子または発現産物に付随する場合に、直接的に作用する。該分子は、アクチビンβCサブユニットの核酸分子または発現産物以外の分子に付随する場合に間接的に作用し、他の分子は、アクチビンβCサブユニットの核酸分子もしくは発現産物の発現または活性を、それぞれ、直接的または間接的のいずれかで調節する。従って、本発明の方法は、調節段階のカスケードの導入を介して、アクチビンβCサブユニット核酸分子発現または発現産物活性の調節を含む。
「発現」という用語は、核酸分子の転写および翻訳をいう。「発現産物」に対する言及は、核酸分子の転写および翻訳から産生された生成物に対する言及である。「調節」に対する言及は、アップレギュレーションまたはダウンレギュレーションに対する言及として理解されるべきである。
本明細書中に記載される分子の「誘導体」(例えば、アクチビンβCサブユニットまたは他のタンパク様薬剤もしくは非タンパク様薬剤)には、天然の供給源または非天然の供給源からのフラグメント、一部、部分、または改変体が含まれる。非天然の供給源には、例えば、組換え供給源または合成供給源が含まれる。「組換え供給源」は、対象の分子が収集される細胞供給源が遺伝子変化されていることを意味する。このことは、例えば、特定の細胞供給源によって産生される速度および量を増加またはそうでなければ増強するために起こり得る。一部またはフラグメントには、例えば、分子の活性領域が含まれる。誘導体は、アミノ酸の挿入、欠失、または置換に由来し得る。アミノ酸挿入誘導体には、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の融合物、ならびに単一または複数のアミノ酸の配列内挿入が含まれる。挿入アミノ酸配列改変体は、ランダム挿入もまた、得られる生成物の適切なスクリーニングを伴って可能であるにも関わらず、1つまたは複数のアミノ酸残基がタンパク質の所定の部位に導入されるものをいう。欠失改変体は、配列からの1つまたは複数のアミノ酸の除去によって特徴付けられる。置換アミノ酸改変体は、配列中の少なくとも1残基が除去され、その場所に異なる残基が挿入されたものをいう。アミノ酸配列への付加は、上記に詳述されるように、他のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質との融合物を含む。
誘導体はまた、ペプチド、ポリペプチド、または他のタンパク様分子もしくは非タンパク様分子に融合された全体のタンパク質の特定のエピトープまたは一部を有するフラグメントを含む。例えば、アクチビンβCサブユニットまたはその誘導体は、細胞へのその侵入を容易にするために分子に融合され得る。本明細書中で意図される分子のアナログには、側鎖への修飾、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の合成の間の非天然アミノ酸および/またはそれらの誘導体の組み込み、ならびに架橋剤の使用、ならびにタンパク様分子またはそれらのアナログにコンホメーションの制約を課す他の方法が含まれるがこれらに限定されない。
本発明の方法に従って利用され得る核酸配列の誘導体は、同様に、単一または複数のヌクレオチドの置換、欠失、および/または付加に由来し得、これは他の核酸分子との融合物を含む。本発明において利用される核酸分子の誘導体には、オリゴヌクレオチド、PCRプライマー、アンチセンス分子、相互抑制効果における使用に適した分子、および核酸分子の融合物が含まれる。核酸配列の誘導体はまた、縮重改変体を含む。
アクチビンβCサブユニットの「改変体」または「変異体」とは、改変体または変異体であるアクチビンβCサブユニットの型の機能的活性の、少なくともいくつかを示す分子を意味することが理解されるべきである。改変または変異は任意の形態を取り得、天然に存在してもよいしまたは天然に存在しなくてもよい。
「ホモログ」とは、分子が、本発明の方法に従って処置されるもの以外の種に由来することを意味する。これは例えば、処置中の被験体によって天然に産生されるアクチビンβCサブユニットの形態に対し類似かつ適切な機能的特性を示すアクチビンβCサブユニットの形態を、処置される種以外の種が産生することが決定される場合に起こり得る。
化学的等価物および機能的等価物は、対象の分子の機能的活性の任意の1つまたは複数を示す分子として理解されるべきであり、この機能的な等価物は任意の供給源、例えば、化学合成されるか、または天然物スクリーニングなどのスクリーニングプロセスを介して同定される供給源に由来し得る。例えば、化学的等価物および機能的等価物は、コンビナトリアルケミストリー、または組換えライブラリーの高スループットスクリーニング、または以下の天然産物スクリーニングなどの周知の方法を利用して設計および/または同定され得る。アンタゴニスト剤もまた、このような方法を利用するためにスクリーニングされ得る。
例えば、有機小分子を含むライブラリーがスクリーニングされ得、ここで、多数の特異的な親基の置換を有する有機分子が使用される。一般的な合成スキームは、以下の公開された方法(例えば、Bunin BA, et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:4708-4712; DeWitt SH, et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6909-6913)に従い得る。手短に述べると、各逐次的な合成段階において、複数の異なる選択された置換基のうちの1つが、アレイ中のチューブの選択された各サブセットに加えられ、チューブのサブセットの選択は、例えば、ライブラリーを産生する際に利用される異なる置換基のすべての可能な順列を生成するためである。1つの適切な順列ストラテジーは、米国特許第5,763,263号に概説される。
現在、生物学的に活性な化合物を探索するためにランダム有機分子のコンビナトリアルライブラリーを使用することについて広く関心が広がっている(例えば、米国特許第5,763,263号を参照されたい)。この種のスクリーニングライブラリーによって発見されたリガンドは、天然のリガンドを模倣もしくはブロックする際に、または生物学的標的の天然に存在するリガンドを妨害する際有用であり得る。本発明の文脈において、例えば、これらは、より強力な薬理学的効果などの特性を示すアクチビンβCサブユニットアナログを開発するための出発点として使用され得る。アクチビンβCサブユニットまたはその機能的部分は、本発明に従って、種々の固相合成方法または液相合成方法によって形成された組み合わせライブラリーにおいて使用され得る(例えば、米国特許第5,763,263号およびそこに引用される参考文献を参照されたい)。米国特許第5,753,187号に開示されるものなどの技術の使用によって、数百万の新規な化学化合物および/または生物学的化合物が数週間以内に日常的にスクリーニングされ得る。同定される多数の化合物のうち、適切な生物学的活性を示すもののみがさらに分析される。
高スループットスクリーニング方法に関して、選択された生物学的因子(例えば、生物分子、高分子複合体、または細胞)と特異的に相互作用することができる、オリゴマーまたは小分子のライブラリー化合物が、周知の方法(例えば、上記に記載されるもの)の範囲から当業者によって容易に選択されるコンビナトリアルライブラリー装置を利用してスクリーニングされる。このような方法において、ライブラリーの各メンバーは、選択された薬剤と特異的に相互作用する能力についてスクリーニングされる。この方法を実施する際に、生物学的因子が、化合物を含むチューブに引き出され、各チューブ中で個々のライブラリー化合物と相互作用することが可能となる。この相互作用は、所望の相互作用の存在をモニターするために使用され得る検出可能なシグナルを産生するように設計される。好ましくは、生物学的因子は水溶液中に存在し、さらなる状態が所望の相互作用に依存して適合される。検出は、例えば、基質の検出のために、任意の周知の機能に基づく方法または機能に基づかない方法によって実行され得る。
アクチビンβCサブユニットの活性を模倣する分子のスクリーニングに加えて、細胞増殖を調節することに関して、アクチビンβCサブユニットの機能的活性をアップレギュレートまたはダウンレギュレートするために、作動的にまたは拮抗的にアクチビンβCサブユニットに機能する分子を同定および利用し得る。このような分子の使用は、以下により詳細に記載されている。対象の分子がタンパク様である限り、それは、融合タンパク質を含むか、または例えば、上記に記載のスクリーニング方法に従う、例えば天然もしくは組換えの供給源に由来し得る。非タンパク様分子は、例えば、上記に同定される方法論に従って、さらに同定または生成もされる化学分子または合成分子であり得る。従って、本発明は、アゴニストまたはアンタゴニストとして作用することができるアクチビンβCサブユニットの化学的アナログの使用を意図する。化学的アゴニストは、必ずしもアクチビンβCサブユニットに由来しなくてもよいが、特定のコンホメーションの類似性を共有してもよい。または、化学的アゴニストは、特定の物理化学的特性を模倣するように具体的に設計され得る。アンタゴニストは、アクチビンβCサブユニットがその正常な生物学的機能を実行することを、ブロック、阻害、またはそうでなければ妨害することができる任意の化合物であり得る。アンタゴニストには、アクチビンβCサブユニットまたはアクチビンβCサブユニットの一部に特異的なモノクローナル抗体が含まれる。
本明細書中で意図されるアクチビンβCサブユニットまたはアクチビンβCサブユニットのアゴニスト剤もしくはアンタゴニスト剤のアナログには、側鎖への修飾、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の合成の間の非天然アミノ酸および/もしくはそれらの誘導体の組み込み、ならびに架橋剤の使用、ならびにアナログにコンホメーションの制約を課す他の方法が含まれるがこれらに限定されない。このような修飾が取り得る特定の形態は、対象の分子がタンパク様であるかまたは非タンパク様であるかに依存する。特定の修飾の性質および/または適合性は当業者によって日常的に決定され得る。
例えば、本発明によって意図される側鎖修飾の例には以下が含まれる:アルデヒドを用いる反応による還元的アルキル化、続いてNaBH4を用いる還元などによるアミノ基の修飾;メチルアセトイミデートを用いるアミド化;無水酢酸を用いるアシル化;シアネートを用いるアミノ基のカルバモイル化;2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いるアミノ基のトリニトロベンジル化;無水コハク酸およびテトラヒドロフタル酸無水物を用いるアミノ基のアシル化;およびピリドキサール-5-リン酸を用いるリジンのピリドキシル化、続いてNaBH4を用いる還元。
アルギニン残基のグアニジン基は、2,3-ブタンジオン、フェニルグリオキサール、およびグリオキサールなどの試薬を用いるヘテロ環縮合産物の形成によって修飾され得る。
カルボキシル基は、O-アシルイソウレア形成を介するカルボジイミド活性化、続いて、例えば対応するアミドへの誘導体化によって修飾され得る。
スルフヒドリル基は、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドを用いるカルボキシメチル化; システイン酸への過ギ酸の酸化;他のチオール化合物との混合ジスルフィドの形成;マレイミド、無水マレイン酸、または他の置換マレイミドとの反応;4-クロロ水銀安息香酸、4-クロロ水銀フェニルスルホン酸、塩化フェニル水銀、2-クロロ水銀-4-ニトロフェニル、または他の水銀剤を使用する水銀誘導体の形成;アルカリpHでシアン酸を用いるカルバモイル化などの方法によって修飾され得る。
トリプトファン残基は、例えば、N-ブロモスクシニミドを用いる酸化、または2-ヒドロキシ-5-ニトロベンジルブロミドもしくはスルフェニルハライドを用いるインドールのアルキル化によって修飾され得る。他方、チロシン残基は、テトラニトロメタンを用いるニトロ化によって変化され、3-ニトロチロシン誘導体を形成し得る。
ヒスチジン残基のイミダゾール環の修飾は、ヨード酢酸誘導体を用いるアルキル化またはジエチルピロカーボネートを用いるN-カルボエトキシ化によって達成され得る。
タンパク質合成の間の非天然アミノ酸および誘導体の取り込みの例は、ノルロイシン、4-アミノ酪酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、t-ブチルグリシン、ノルバリン、フェニルグリシン、オルニチン、サルコシン、4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチルへプタン酸、2-チエニルアラニン、および/またはアミノ酸のD異性体の使用を含むがこれらに限定されない。本明細書中で意図される非天然アミノ酸のリストは表1に示される。
架橋剤は、例えば、ホモ二官能性架橋剤(例えばn=1からn=6の(CH2)nスペーサー基を有する二官能性イミドエステル、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシニミドエステルなど)、ならびにN-ヒドロキシスクシニミドおよび別の基特異的反応性部分のようなアミノ反応性部分を通常含むヘテロ二官能性試薬を使用して3Dコンホメーションを安定化するために、使用され得る。
本発明の方法は、インビトロとインビボの両方での細胞増殖の調節を意図する。好ましい方法はインビボで個体を処置することであるが、それにも関わらず、本発明の方法は、例えば、細胞株の生成を容易にするためにインビトロ環境において適用されることが望ましいこともあると理解されるべきである。別の例において、インビトロ環境への本発明の方法の適用は、本明細書中上記に記載されたものなどのスクリーニング技術のための読み取りメカニズムを提供することに拡張され得る。すなわち、これらのスクリーニング技術を利用して同定される分子は、細胞増殖に対するそれらの機能的効果の程度および/または性質を観察するためにアッセイされ得る。
アクチビンβCサブユニットの機能的レベルの調節は、アクチビンβCサブユニット、アクチビンβCサブユニットをコードする核酸分子、または、アクチビンβCサブユニット活性もしくはアクチビンβCサブユニット遺伝子発現の調節に効果を与える薬剤(本明細書中では集合的に「調節薬剤」といわれる)の投与を通して達成される。好ましくは、対象の方法は、哺乳動物中の新生物細胞の細胞増殖をダウンレギュレートするために利用される。
従って、1つの態様において、哺乳動物中で新生物細胞の増殖をダウンレギュレートする方法が提供され、該方法は、アクチビンβCサブユニットの機能的に有効でないレベルを誘導するのに十分な時間の間および条件下で、有効量の薬剤を哺乳動物に投与する段階を含む。
別の態様において、哺乳動物中で新生物細胞の増殖をダウンレギュレートする方法が提供され、該方法は、アクチビンβCサブユニットの機能的に有効なレベルを誘導するのに十分な時間の間および条件下で、有効量の薬剤を哺乳動物に投与する段階を含む。
「誘導する」に対する言及は、それが機能的に有効なレベルであるかまたは機能的に有効でないレベルであるかに関わらす、所望のアクチビンβCサブユニットレベルを達成することに対する言及と理解されるべきである。本明細書中において上述されるように、誘導は、アクチビンβCサブユニット発現のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを介して最も達成されると考えられるが、それでも誘導を達成する任意の他の適切な手段が、本発明の方法に含まれる。
本明細書中上記に詳述されたように、本発明のさらなる局面は、疾患状態もしくは他の望ましくない状態の治療および/または予防と関連する本発明の使用に関する。
それゆえに、本発明は、哺乳動物における、異常な、望ましくない、もしくはそうでなければ不適切なアクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性によって特徴付けられる状態または状態の発生の素因を、治療的におよび/または予防的に処置する方法に関し、該方法は、哺乳動物におけるアクチビンβCサブユニットのレベルを調節する段階を含む。
好ましくは、前記アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性は細胞内で調節される。
「異常な、望ましくない、またはそうでなければ不適切なアクチビンβCサブユニットのレベル」に対する言及は、過度のレベル、不十分なレベル、またはそれらが望ましくないかもしくはそうでなければ不適切であるという意味において不適切である生理学的に正常なレベルに対する言及と理解されるべきである。
いかなる方法においても本発明を限定することはないが、疾患または状態には、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、子宮頸部、胸腺、ファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、喉頭、舌、小腸、直腸、食道、子宮筋層、ならびに軟部組織の状態である疾患または状態が含まれ得る。
最も特定には、前記状態は新生物状態である。
従って、本発明は、好ましくは、新生物状態、または新生物状態の発症の素因を、治療的および/または予防的に処置する方法を意図し、該方法は、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を調節する段階を含み、ここでアクチビンβCサブユニットレベルを機能的に有効でないレベルまでダウンレギュレートすることが異常な細胞増殖を阻害する。
なおより好ましくは、本発明は、新生物状態、または新生物状態の発症の素因を、治療的および/または予防的に処置する方法を意図し、該方法は、アクチビンβCサブユニットの機能的に有効でないレベルを誘導するために十分な時間の間および条件下で有効量の薬剤を投与する段階を含む。
好ましくは、前記薬剤は抗体である。
好ましくは、新生物状態は、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、子宮頸部、胸腺、ファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、喉頭、舌、小腸、直腸もしくは食道、子宮筋層、ならびに軟部組織の悪性新生物、またはファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、子宮筋層、および軟部組織の悪性でない新生物である。
「有効量」とは、所望の応答を少なくとも部分的に達成するために、または発症を遅延するため、もしくは進行を阻害するため、もしくは処置される特定の状態の発症もしくは進行を全体的に停止させるために必要な量を意味する。その量は、処置される個体の健康状態および生理的状態、処置される個体の分類学的な群、組成物の処方、医学的状況の評価、ならびに他の関連する因子に依存して変化する。この量は日常的な試行を通して決定され得る相対的に広範な範囲に入ることが予測される。
本明細書中での「処置」または「予防」に対する言及は、その最も広い文脈において考慮される。「処置」という用語は、被験体が全体的な回復まで処置されることを必ずしも意味しない。同様に、「予防」とは、被験体が最終的に疾患状態に罹患しないことを必ずしも意味しない。従って、処置および予防は、特定の状態の徴候の寛解、または特定の状態を発症するリスクを予防もしくは減少することを含む。「予防」という用語は、特定の状態の重篤度または発症を減少させることとして考慮され得る。「処置」とはまた、存在している状態の重篤度を減少し得る。
本発明はさらに、所望の治療的または予防的結果を容易にし得る他のタンパク様分子または非タンパク様分子とともに、調節薬剤の投与などの治療の組み合わせを意図する。例えば、本発明の方法を、放射線治療または化学療法と組み合わせ得る。
本明細書中上記に記載した本発明の分子[本明細書中では集合的に「調節薬剤」といわれる]の投与は、薬学的組成物の形態で、任意の便利な手段によって実行され得る。この薬学的組成物の調節薬剤は、特定の場合に依存する量で投与された場合に治療活性を示すことが意図される。バリエーションは、例えば、ヒトまたは動物に、および選択された治療薬剤に依存する。広い範囲の用量が適用可能であり得る。患者を想定すると、例えば、約0.1mgから約1mgまでの調節薬剤が1日当たり体重1キログラム当たりに投与され得る。薬剤投与計画は最適な治療応答を提供するように調整され得る。例えば、いくつかの分割された用量が毎日、毎週、毎月、もしくは他の適切な時間間隔で投与され得るか、または用量は状況の緊急性によって示されるのに応じて比例的に減少され得る。
調節薬剤は、例えば経口、静脈内(水溶性である場合)、腹腔内、筋肉内、皮下、皮内、または坐剤の経路または移植(例えば、徐放性分子を使用して)などのような便利な様式で投与され得る。調節薬剤は、酸付加塩または金属複合体、例えば、亜鉛、鉄などとの塩(これらは本出願の目的のための塩と見なされる)のような薬学的に許容される非毒性塩の形態で投与され得る。このような酸付加塩の例は、塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩などである。活性成分が錠剤型で投与されるべきである場合、その錠剤は、トラガカント、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤;アルギン酸などの崩壊剤;およびステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を含み得る。
投与の経路には、呼吸器、気管内、鼻咽頭、静脈内、腹腔内、皮下、頭蓋内、皮内、筋肉内、眼内、くも膜下腔内、脳内、鼻腔内、注入、経口、直腸、IVドリップパッチを介して、および移植が含まれるがこれらに限定されない。好ましくは、投与の経路は経口である。
これらの方法に従って、本発明に従って規定される薬剤は1つまたは複数の他の化合物または分子と同時投与され得る。「同時投与される」は、同じかもしくは異なる経路を介する同じ処方物もしくは2つの異なる処方物中での同時投与、または同じかもしくは異なる経路による連続的な投与を意味する。例えば、対象の薬剤はその効果を増強させるためにアゴニスト性薬剤と共に投与され得る。「連続的」投与は、2種類の分子の投与の間の秒、分、時間、または日数の時間の違いを意味する。これらの分子は任意の順序で投与され得る。
本発明の別の局面は、アクチビンβCサブユニットの異常な、望ましくない、またはそうでなければ不適切なレベルによって特徴付けられる状態の処置のための薬物の製造におけるアクチビンβCサブユニットの機能的に有効なレベルを調節することができる薬剤の使用に関する。
1つの局面において、本発明は、細胞の異常な増殖の調節のための薬物の製造における本明細書中上記に記載されたような薬剤の使用に関し、ここで、アクチビンβCサブユニットを機能的に有効でないレベルまでダウンレギュレートすることが異常な増殖を阻害する。
別の局面において、本発明は、細胞の異常な増殖の調節のための薬物の製造における本明細書中上記に記載されたような薬剤の使用に関し、ここで、アクチビンβCサブユニットを機能的に有効なレベルまでダウンレギュレートすることが異常な増殖を阻害する。
好ましくは、新生物状態は、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、子宮頸部、胸腺、ファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、喉頭、舌、小腸、直腸もしくは食道、子宮筋層、ならびに軟部組織の悪性新生物、またはファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、子宮筋層、および軟部組織の悪性でない新生物である。
なお別のさらなる局面において、本発明は、1つもしくはそれ以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤とともに、本明細書中上記に規定したような調節薬剤を含む薬学的組成物を意図する。該薬剤は活性成分と呼ばれる。
注射可能な使用のために適切な薬学的形態は、滅菌した水溶液(水溶性の場合)もしくは懸濁物、および滅菌した注射可能な溶液もしくは懸濁液の即席の調製のための滅菌した粉末を含み、またはクリームの形態もしくは局所的適用のために適切な他の形態であり得る。これは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、かつ細菌および真菌のような微生物の夾雑作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、その適切な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用によって、分散の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の妨害は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によってもたらされ得る。多くの場合において、等張剤(例えば、糖および塩化ナトリウム)を含めることが好ましい。注射可能な組成物の持続した吸収は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の組成物中での使用によってもたらされ得る。
滅菌した注射可能な溶液は、上記に列挙された種々の他の成分と共に適切な溶媒中に必要とされる量の活性化合物を取り込むことによって、必要な場合、その後のフィルター滅菌によって調製される。一般的に、分散物は、種々の滅菌された活性成分を、基本分散媒体および上記に列挙されたものからの必要とされる他の成分を含む滅菌溶剤に取り込むことによって調製される。滅菌された注射可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製の方法は、事前にフィルター滅菌されたその溶液から活性成分および任意の付加的な所望される成分の粉末を生じる、真空乾燥および凍結乾燥技術である。
活性成分が適切に保護される場合、それらは例えば、不活性希釈剤または吸収可能な食用の担体と共に経口投与されてもよく、またはハードシェルまたはソフトシェルのゼラチンカプセル中に封入されてもよく、または錠剤中に圧縮されてもよく、または食物と共に直接的に取り込まれてもよい。経口治療的投与のために、活性化合物が賦形剤と共に取り込まれてもよく、および消化可能な型の錠剤、バッカル錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁物、シロップ、ウェハースなどの形態で使用されることもある。このような組成物および調製物は重量で少なくとも1%の活性化合物を含むべきである。組成物および調製物のパーセンテージは、当然変化することもあり、好都合なことに、単位重量の約5%から約80%までの間であり得る。このような適切な投薬量におけるこのような治療的に有用な組成物における活性化合物の量が得られる。本発明に従う好ましい組成物または調製物は、経口投薬量単位形態が約0.1μgから2000mgの間の活性化合物を含むように調製される。
錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどはまた、本明細書以後に列挙されるような成分を含み得る:アラビアガム、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;およびスクロース、ラクトース、もしくはサッカリンなどの甘味料、またはペパーミント、ウィンターグリーン油、もしくはチェリー香料などの香料が加えられ得る。投薬単位形態がカプセルである場合、それは上記の種類の物質に加えて液体担体を含み得る。種々の他の物質が、コーティングとしてまたはそうでなければ投薬単位の物理形態を修飾するために存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセルがセラック、糖、または両方で被覆され得る。シロップまたはエリキシルは、活性化合物、甘味料としてのスクロース、保存料としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、色素、ならびにチェリー香料またはオレンジ香料などの香料を含み得る。当然、任意の投薬単位形態を調製する際に使用される任意の物質は、薬学的に純粋であり、かつ利用される量で実質的に非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放性の調製物および処方物に取り込まれ得る。
この薬学的組成物はまた、例えば標的細胞にトランスフェクト可能であるベクターなどの遺伝的分子を含むこともあり、ここでこのベクターはアクチビンβCサブユニットまたは本明細書中上記に規定された調節薬剤をコードする核酸分子を有する。このベクターは、例えばウイルスベクターであり得る。
本発明のさらなる特色は、以下の非限定的な図面および/または実施例において記載される。
実施例1
生物学的試料中のアクチビンACヘテロダイマーの検出
アクチビンAC酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)
プレートを、以前に記載されたように(Evans et al, 1998,. J Endocrinol 56:275-82)、96ウェルELISAプレート(MaxiSorp; Nunc, Roskilde, Denmark)上で、ヒトアクチビンβCサブユニットクローン1モノクローナル抗体を用いて被覆およびブロックした。bFFを仮の標準として使用した。1/10希釈に等価である、アッセイ法における最高の用量を、10U/mlの任意単位に割り当てた。標準および試料を、培養実験において使用されるようにDMEM/5% FCS中で希釈した。PBS中の6%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液125μlを、125μlの試料または標準に加え(3%最終濃度、w/v)、混合し、3分間沸騰させ、そして冷却させた。SDS溶液へのPBSの付加は、アッセイ法の性能、ならびに標準および試料の用量-応答曲線の直線性を改善することを見い出した。その後、20μlの30% H2O2(2%最終濃度、v/v)を加え、チューブを室温で30分間インキュベートした。各ウェルに、25μlの20% BSA/0.1M Tris/0.9% NaCl/5% Triton X-100/0.1% アジ化ナトリウムを加え、その後処理した試料の100μlの2つ組みの付加を行った。プレートを、密閉した加湿ボックス中で一晩インキュベートした。次の日、プレートを、0.05M Tris/0.9% NaCl/0.05% Tween-20/0.1% NaN3で洗浄し、その後、5%BSA/0.1M Tris/0.9% NaCl/5% Triton X-100/0.1% アジ化ナトリウム中の、アクチビンβAサブユニットに指向されたビオチン化E4モノクローナル抗体50μlを各ウェルに加え、室温で2時間インキュベートした。洗浄後、ストレプトアビジン(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)に連結したアルカリホスファターゼをウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。さらなる洗浄後、アルカリホスファターゼ活性を、増幅キット(ELISA Amplification System; Invitrogen)を使用して検出し、それによって基質を室温で1時間インキュベートし、続いて増幅試薬の付加を行った。反応を、50μlの0.4M H2SO4の付加で停止した。プレートを、Multiskan RC plate reader(Labsystems, Helsinki, Finland)上で630nm参照フィルターを用いて492nmで読み取り、データをGenesis Lite EIAソフトウェア(Labsystems)を使用して処理した。
生物学的試料中のアクチビンACヘテロダイマーの検出
アクチビンAC酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)
プレートを、以前に記載されたように(Evans et al, 1998,. J Endocrinol 56:275-82)、96ウェルELISAプレート(MaxiSorp; Nunc, Roskilde, Denmark)上で、ヒトアクチビンβCサブユニットクローン1モノクローナル抗体を用いて被覆およびブロックした。bFFを仮の標準として使用した。1/10希釈に等価である、アッセイ法における最高の用量を、10U/mlの任意単位に割り当てた。標準および試料を、培養実験において使用されるようにDMEM/5% FCS中で希釈した。PBS中の6%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液125μlを、125μlの試料または標準に加え(3%最終濃度、w/v)、混合し、3分間沸騰させ、そして冷却させた。SDS溶液へのPBSの付加は、アッセイ法の性能、ならびに標準および試料の用量-応答曲線の直線性を改善することを見い出した。その後、20μlの30% H2O2(2%最終濃度、v/v)を加え、チューブを室温で30分間インキュベートした。各ウェルに、25μlの20% BSA/0.1M Tris/0.9% NaCl/5% Triton X-100/0.1% アジ化ナトリウムを加え、その後処理した試料の100μlの2つ組みの付加を行った。プレートを、密閉した加湿ボックス中で一晩インキュベートした。次の日、プレートを、0.05M Tris/0.9% NaCl/0.05% Tween-20/0.1% NaN3で洗浄し、その後、5%BSA/0.1M Tris/0.9% NaCl/5% Triton X-100/0.1% アジ化ナトリウム中の、アクチビンβAサブユニットに指向されたビオチン化E4モノクローナル抗体50μlを各ウェルに加え、室温で2時間インキュベートした。洗浄後、ストレプトアビジン(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)に連結したアルカリホスファターゼをウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。さらなる洗浄後、アルカリホスファターゼ活性を、増幅キット(ELISA Amplification System; Invitrogen)を使用して検出し、それによって基質を室温で1時間インキュベートし、続いて増幅試薬の付加を行った。反応を、50μlの0.4M H2SO4の付加で停止した。プレートを、Multiskan RC plate reader(Labsystems, Helsinki, Finland)上で630nm参照フィルターを用いて492nmで読み取り、データをGenesis Lite EIAソフトウェア(Labsystems)を使用して処理した。
インビボにおけるアクチビンACヘテロダイマー形成
アクチビンACタンパク質レベル(U/ml)を、ヒト血清の試料中で測定した(表2を参照されたい)。
アクチビンACタンパク質レベル(U/ml)を、ヒト血清の試料中で測定した(表2を参照されたい)。
実施例2
正常/疾患のヒト組織および動物組織におけるアクチビンβCサブユニットタンパク質免疫組織化学
ヒト組織
ヒト正常組織アレイ(AA)およびヒト腫瘍組織アレイ(BB)を、SuperBioChips Laboratories (Seoul, Korea)から入手した。乳癌、大腸癌、胃癌、皮膚癌、髄膜腫、神経鞘腫、膀胱癌、および甲状腺癌を有する癌から組織を入手した。
正常/疾患のヒト組織および動物組織におけるアクチビンβCサブユニットタンパク質免疫組織化学
ヒト組織
ヒト正常組織アレイ(AA)およびヒト腫瘍組織アレイ(BB)を、SuperBioChips Laboratories (Seoul, Korea)から入手した。乳癌、大腸癌、胃癌、皮膚癌、髄膜腫、神経鞘腫、膀胱癌、および甲状腺癌を有する癌から組織を入手した。
動物組織
左側矢状脳を、神経変性障害(家族性筋萎縮性側索硬化症)を有するトランスジェニックマウスおよび対応する野生型動物から取り出した(38)。組織を4%パラホルムアルデヒド中に固定し、パラフィンに加工し、そして3μm組織切片を切断した。
左側矢状脳を、神経変性障害(家族性筋萎縮性側索硬化症)を有するトランスジェニックマウスおよび対応する野生型動物から取り出した(38)。組織を4%パラホルムアルデヒド中に固定し、パラフィンに加工し、そして3μm組織切片を切断した。
雌羊を、20mlのLethobarb(Virbac, Peakhurst, NSW, Australia)の静脈内注射によって屠殺した。次いで、頭部を21mlのヘパリン添加生理食塩水で、次いで10%ホルマリン固定溶液11mlおよび20%スクロースを含む同じ固定溶液0.51mlで灌流した。脳塊を一晩放置し、30%スクロースを含む同じ固定液中に放置し、次いで、それらが染みこむまでPBS中の30%スクロース中に放置した。次いで、脳塊をドライアイス中で凍結し、パラフィルムに包み、そして切片化まで-20℃に保存した。ヒツジ脳下垂体の冠状切片(7μm)をクリオスタットで切断し、解凍物をスーパーフロストスライドに封入し、使用されるまで-20℃で保存した。ヒツジ脳(40μm)の冠状切片をクリオスタットで切断し、凍結防止剤を含む個々の組織培養ウェル中に収集し、使用されるまで-20℃で保存した。
脱パラフィンした後、組織は0.1Mグリシン(pH 4.5)中でマイクロ波加熱の前処理段階を受けた。この切片は、DAKO Autostainer(DAKO, Carpinteria, USA)を使用して、アクチビンβCサブユニットタンパク質について免疫染色した。手短に述べると、内因性ペルオキシダーゼを、0.03% H2O2との、切片の5分間のインキュベーションによってブロックした(DAKO, Carpinteria, USA)。CASブロッキング溶液(Zymed, CA, USA)との10分間のインキュベーション後、切片をアクチビンβC抗体(作用濃度0.45μg/ml)で60分間インキュベーションした。抗体を、Envisionポリマー-抗マウス-西洋ワサビペルオキシダーゼ(DAKO, Carpinteria, USA)との15分間のインキュベーションによって検出し、ジアミノベンジジン(DAB)(DAKO, Carpinteria, USA)との反応によって5分間、可視化した。免疫染色の特異性は、100倍過剰(w/w)の対応するアクチビンβCサブユニットペプチドとの一次抗体のプレインキュベーションによって試験した。
正常ヒト組織および疾患を有するヒト組織におけるアクチビンβCサブユニットタンパク質の免疫局在性
アクチビンβCサブユニットタンパク質は、研究された最も良性および悪性のヒト組織に免疫局在性を示すことが実証された。細胞質染色および/または核染色の両方が一般的に観察され、これらのパターンの変化は良性状態と悪性状態の間に存在する。図1〜14はその染色パターンを完全に描写し、以下の記載では有意な知見のいくつかを示す。
アクチビンβCサブユニットタンパク質は、研究された最も良性および悪性のヒト組織に免疫局在性を示すことが実証された。細胞質染色および/または核染色の両方が一般的に観察され、これらのパターンの変化は良性状態と悪性状態の間に存在する。図1〜14はその染色パターンを完全に描写し、以下の記載では有意な知見のいくつかを示す。
副腎および甲状腺は、図1に示されるように、悪性腫瘍中で強いアクチビンβCサブユニットタンパク質局在を示した。副腎および甲状腺における染色は、悪性状態における強度の増加を示す。
胃、結腸、および直腸の腺癌の大部分(図2)は、細胞質と核の両方のアクチビンβCサブユニット局在のパターンを示した。この染色パターンは、変動性であり、正常な胃、結腸、および直腸において優勢な細胞質染色が観察された。
強いアクチビンβCサブユニットタンパク質の核染色が、皮膚、乳房、およびリンパ節での悪性腫瘍の発生において明らかになった(図3)。ある程度の核染色が、良性の皮膚および乳房のいくつかの細胞において観察されたが、より強い染色が悪性組織において示された。同様に、アクチビンβCサブユニットタンパク質の細胞質局在が、正常な唾液腺および鼻腔において観察されたが、この染色は、強い核局在を示し、悪性腫瘍においては細胞質局在であった(図4)。さらに、軟骨肉腫(骨の良性状態)においてはわずかに染色が観察されたが、強い核および細胞質のアクチビンβCサブユニットタンパク質局在が悪性腫瘍において観察された。正常胃(図2および5)は、変動性の細胞質局在を示した。上記に記載した胃腺癌に加えて、他の胃悪性腫瘍は核局在(および間質局在)を示し、これには胃印環細胞癌腫、胃リンパ腫、および転移性胃癌腫が含まれる。正常膀胱はわずかな核染色を有したが、癌の発症後、強い核染色が観察された(図6)。
胆嚢、副腎、子宮頸部、および膵臓などのいくつかの器官は、良性状態および悪性状態において種々の程度の核染色および細胞質染色を有した(図6、7、8)。
食道、甲状腺、および胸腺が、正常組織において、わずかに染色を示したか、または染色を示さなかったが、癌の発症後、増加したアクチビンβCサブユニットタンパク質局在が観察された(図8、9)。
アクチビンβCサブユニットタンパク質の免疫局在性を示す他の組織は、子宮筋層、ファローピウス管、扁桃、脾臓、虫垂、および精嚢、ならびに子宮の良性障害を含んだ(図10および11)。
正常の、損傷した、および悪性の皮膚は、異なるパターンのアクチビンβCサブユニットタンパク質染色の免疫局在性を示した。核染色と細胞質染色の両方が正常皮膚および腫瘍(扁平上皮細胞およびメラノーマを含む)において観察された(図3および14)。
正常乳房は、アクチビンβCサブユニットの免疫局在性を示し、異なる乳房腫瘍(残りの浸潤性管癌腫、乳房浸潤性小葉癌、乳房乳頭状癌)もまた、細胞質局在または核局在を示した(図3)。
脳は、良性障害および悪性障害の両方において強いアクチビンβCサブユニットタンパク質局在を示す。特に、星状細胞、血液脳関門およびニューロンは、アクチビンβCサブユニットの強い局在を示す(図12)。ヒツジおよびヒトの脳下垂体の内分泌細胞、ならびに小脳、視索前部領域および視床下部の神経細胞は、アクチビンβCサブユニットの局在を示す(図13)。強い局在はまた、脳の腫瘍細胞において、特に、(I)2例の患者のグリア芽細胞腫、および(II)4例の患者の髄膜腫の腫瘍細胞において観察される(図12)。
実施例3
乳房組織分析
アクチビンβCサブユニットタンパク質の局在を、受容された分類システムBRE[BREグレード1(低グレード)からBREグレード3(高グレード)まで]によって分類されるように、乳癌(図15)を有する10例の患者において研究した。これらの患者の組織の分析は、良性乳房組織において低レベルのアクチビンβCサブユニットタンパク質、インサイチュー(管内癌腫)の異なるグレード(低、中程度、高)での変動性染色、BREグレード1〜3での変動性染色の浸潤性小葉癌または管乳癌を示し、粘液性乳癌の局在は示さなかった。表3に示されるように、BREグレード2浸潤性小葉癌を有する2例の患者は、ポジティブまたはネガティブのいずれかで染色された腫瘍細胞を示した。BREグレード3浸潤性管癌腫を有する1例の患者は、核においてアクチビンβCサブユニットタンパク質を局在化した腫瘍細胞を有した。BREグレード2または3を有する他の患者は、浸潤性管癌腫細胞において、断続的染色を有すかまたは染色を有しなかった。これらの患者組織中の管内癌腫の領域は、染色を有しないか(インサイチューで低グレードおよび高グレード)、またはポジティブ細胞染色の領域を有したか(インサイチューで中程度)のいずれかであった。インサイチューで高グレードに分類された1例の患者(侵襲性成分を有さない)は、管内細胞中でアクチビンβCサブユニットの強い免疫局在性を示した。
乳房組織分析
アクチビンβCサブユニットタンパク質の局在を、受容された分類システムBRE[BREグレード1(低グレード)からBREグレード3(高グレード)まで]によって分類されるように、乳癌(図15)を有する10例の患者において研究した。これらの患者の組織の分析は、良性乳房組織において低レベルのアクチビンβCサブユニットタンパク質、インサイチュー(管内癌腫)の異なるグレード(低、中程度、高)での変動性染色、BREグレード1〜3での変動性染色の浸潤性小葉癌または管乳癌を示し、粘液性乳癌の局在は示さなかった。表3に示されるように、BREグレード2浸潤性小葉癌を有する2例の患者は、ポジティブまたはネガティブのいずれかで染色された腫瘍細胞を示した。BREグレード3浸潤性管癌腫を有する1例の患者は、核においてアクチビンβCサブユニットタンパク質を局在化した腫瘍細胞を有した。BREグレード2または3を有する他の患者は、浸潤性管癌腫細胞において、断続的染色を有すかまたは染色を有しなかった。これらの患者組織中の管内癌腫の領域は、染色を有しないか(インサイチューで低グレードおよび高グレード)、またはポジティブ細胞染色の領域を有したか(インサイチューで中程度)のいずれかであった。インサイチューで高グレードに分類された1例の患者(侵襲性成分を有さない)は、管内細胞中でアクチビンβCサブユニットの強い免疫局在性を示した。
実施例4
結腸組織分析
アクチビンβCサブユニットタンパク質局在を、結腸癌を有する9例の患者において研究した(図16)。表4に示されるように、乏しく分化した結腸腺癌を有する患者は、腫瘍細胞中でアクチビンβCサブユニットタンパク質についての均一な強い細胞質染色を有するか(1例の患者において見られるように)、または3例の他の患者において観察されるように、強いポジティブ染色とネガティブ染色の両方を有する腫瘍細胞を有するかのいずれかである。中程度に分化した結腸腺癌を有する2例の患者は、ポジティブ染色とネガティブ染色の両方を有する腫瘍細胞を示したのに対して、2例の他の患者における腫瘍細胞は、アクチビンβCサブユニットタンパク質についての染色を示さなかった。結腸腺癌の粘液性サブタイプを有する1例の患者は、アクチビンβCサブユニットの免疫局在性を示さなかった。ポジティブ腫瘍細胞染色を有する患者において、アクチビンβCサブユニットタンパク質強度の増加は、隣接する非悪性領域におけるより弱い染色と比較した場合に、結腸腺癌において観察された。
結腸組織分析
アクチビンβCサブユニットタンパク質局在を、結腸癌を有する9例の患者において研究した(図16)。表4に示されるように、乏しく分化した結腸腺癌を有する患者は、腫瘍細胞中でアクチビンβCサブユニットタンパク質についての均一な強い細胞質染色を有するか(1例の患者において見られるように)、または3例の他の患者において観察されるように、強いポジティブ染色とネガティブ染色の両方を有する腫瘍細胞を有するかのいずれかである。中程度に分化した結腸腺癌を有する2例の患者は、ポジティブ染色とネガティブ染色の両方を有する腫瘍細胞を示したのに対して、2例の他の患者における腫瘍細胞は、アクチビンβCサブユニットタンパク質についての染色を示さなかった。結腸腺癌の粘液性サブタイプを有する1例の患者は、アクチビンβCサブユニットの免疫局在性を示さなかった。ポジティブ腫瘍細胞染色を有する患者において、アクチビンβCサブユニットタンパク質強度の増加は、隣接する非悪性領域におけるより弱い染色と比較した場合に、結腸腺癌において観察された。
実施例5
胃組織分析
アクチビンβCサブユニットタンパク質局在を、胃癌を有する6例の患者において研究した(図17)。表5に示されるように、正常胃粘膜は、わずかなアクチビンβCサブユニットタンパク質染色を示した。腸型の胃腺癌を有する患者において、十分に/中程度に十分に分化した腫瘍細胞は、アクチビンβCサブユニットタンパク質の免疫局在性を示さなかったのに対して、乏しく分化した腫瘍細胞を有する2例の患者は、強い細胞質性染色または変動性核染色のいずれかを有した。印環細胞型の胃腺癌を有する2例の患者において、腫瘍細胞は、変動性核染色を示すか、またはアクチビンβCサブユニットタンパク質の局在を示さないかのいずれかであった。
胃組織分析
アクチビンβCサブユニットタンパク質局在を、胃癌を有する6例の患者において研究した(図17)。表5に示されるように、正常胃粘膜は、わずかなアクチビンβCサブユニットタンパク質染色を示した。腸型の胃腺癌を有する患者において、十分に/中程度に十分に分化した腫瘍細胞は、アクチビンβCサブユニットタンパク質の免疫局在性を示さなかったのに対して、乏しく分化した腫瘍細胞を有する2例の患者は、強い細胞質性染色または変動性核染色のいずれかを有した。印環細胞型の胃腺癌を有する2例の患者において、腫瘍細胞は、変動性核染色を示すか、またはアクチビンβCサブユニットタンパク質の局在を示さないかのいずれかであった。
実施例6
皮膚分析
アクチビンβCサブユニットタンパク質局在を、脳内転移性メラノーマを有する5例の患者において研究した(図18)。表6に示されるように、転移性メラノーマを有する2例の患者は、腫瘍細胞の細胞質にアクチビンβCサブユニットタンパク質の免疫局在性を示し、1例の患者は変動性腫瘍細胞染色を有し、2例の患者はメラノーマ腫瘍細胞中に局在を有さなかった。
皮膚分析
アクチビンβCサブユニットタンパク質局在を、脳内転移性メラノーマを有する5例の患者において研究した(図18)。表6に示されるように、転移性メラノーマを有する2例の患者は、腫瘍細胞の細胞質にアクチビンβCサブユニットタンパク質の免疫局在性を示し、1例の患者は変動性腫瘍細胞染色を有し、2例の患者はメラノーマ腫瘍細胞中に局在を有さなかった。
実施例7
脳組織分析
表7に示されるように、強いアクチビンβCサブユニットタンパク質局在が、髄膜腫を有する17例の患者および神経鞘腫を有する3例の患者の脳組織において見られた(図19)。アクチビンβCサブユニットタンパク質は、WHOグレード1分類を有する患者の髄膜腫において強い均一な細胞質染色として優勢に局在化されたが、1例の患者は、非常に強力な細胞膜局在を有した。WHOグレード2として分類された2例の髄膜腫患者は、アクチビンβCサブユニットタンパク質を強く局在した組織中の他の腫瘍細胞と比較した場合に、腫瘍細胞のいくつかの領域において、限局性の弱いアクチビンβCサブユニットタンパク質免疫反応性を有した。神経鞘腫を有するすべての患者が、腫瘍細胞においてアクチビンβCサブユニットタンパク質の強い均一な細胞質染色を示した。
脳組織分析
表7に示されるように、強いアクチビンβCサブユニットタンパク質局在が、髄膜腫を有する17例の患者および神経鞘腫を有する3例の患者の脳組織において見られた(図19)。アクチビンβCサブユニットタンパク質は、WHOグレード1分類を有する患者の髄膜腫において強い均一な細胞質染色として優勢に局在化されたが、1例の患者は、非常に強力な細胞膜局在を有した。WHOグレード2として分類された2例の髄膜腫患者は、アクチビンβCサブユニットタンパク質を強く局在した組織中の他の腫瘍細胞と比較した場合に、腫瘍細胞のいくつかの領域において、限局性の弱いアクチビンβCサブユニットタンパク質免疫反応性を有した。神経鞘腫を有するすべての患者が、腫瘍細胞においてアクチビンβCサブユニットタンパク質の強い均一な細胞質染色を示した。
実施例8
膀胱組織分析
アクチビンβCサブユニットタンパク質局在を、膀胱癌を有する3例の患者において研究した(図20)。表8に示されるように、高度(グレード3)移行性細胞癌腫を有する患者は、腫瘍細胞の細胞質および核においてアクチビンβCサブユニットタンパク質の免疫局在性を示した。移行性細胞癌腫を有する1例の患者は、アクチビンβCサブユニットタンパク質が局在化しなかった。
膀胱組織分析
アクチビンβCサブユニットタンパク質局在を、膀胱癌を有する3例の患者において研究した(図20)。表8に示されるように、高度(グレード3)移行性細胞癌腫を有する患者は、腫瘍細胞の細胞質および核においてアクチビンβCサブユニットタンパク質の免疫局在性を示した。移行性細胞癌腫を有する1例の患者は、アクチビンβCサブユニットタンパク質が局在化しなかった。
実施例9
甲状腺組織分析
アクチビンβCサブユニットタンパク質局在を、甲状腺癌を有する4例の患者において研究した(図21)。正常な甲状腺の領域において、濾胞上皮は断続的な細胞質染色を示した。表9において示されるように、乳頭癌を有する2例の患者は、腫瘍細胞の細胞質においてアクチビンβCサブユニットタンパク質の免疫局在性を示したが、染色は変動性であり、すべての腫瘍細胞において観察されるわけではなかった。髄様癌および濾胞癌を有する患者は、腫瘍細胞の細胞質においてアクチビンβCサブユニットタンパク質の一貫した染色を有した。
甲状腺組織分析
アクチビンβCサブユニットタンパク質局在を、甲状腺癌を有する4例の患者において研究した(図21)。正常な甲状腺の領域において、濾胞上皮は断続的な細胞質染色を示した。表9において示されるように、乳頭癌を有する2例の患者は、腫瘍細胞の細胞質においてアクチビンβCサブユニットタンパク質の免疫局在性を示したが、染色は変動性であり、すべての腫瘍細胞において観察されるわけではなかった。髄様癌および濾胞癌を有する患者は、腫瘍細胞の細胞質においてアクチビンβCサブユニットタンパク質の一貫した染色を有した。
実施例10
正常ヒト血清分析
正常ヒト血清においてアクチビンβCサブユニットタンパク質ダイマーを決定するウェスタンブロット方法論
SDS-pageを、15%ポリアクリルアミドゲルを使用して非還元的条件下で実行した。ヒト正常血清試料を4%SDSで1:3希釈し、ヒートブロック中で100℃で5分間沸騰させ、上清を収集した。4%SDSで処理した血清試料を、試料緩衝液(Tris、1% SDS、グリセロール、および0.01% ブロモフェノールブルー、pH 7.2)中で1:2希釈した。試料を、ヒートブロック中で5分間、100℃でインキュベートし、短時間遠心分離し、20μlの試料をゲル上にロードし、そして泳動緩衝液(Tris、グリシン、10% SDS)を用いて、ゲルを150ボルトで90分間泳動した。メタノール中で15秒間、およびmilliQ水で2分間プレインキュベートしたImmobilon P(PVDF)メンブレンを、転写緩衝液(0.7分子/L グリシン、0.3分子/L Tris、および15.6%エタノール)中でゲルとともに5分間平衡化した。ゲル中のタンパク質を100ボルトで60分間、メンブレンに転写した。転写後、メンブレンを、0.05% Tween 20を含む1×TBS中に5分間浸漬した。メンブレンを、90分間ブロックした(1×TBS中、5%脱脂粉乳、0.05% Tween)。アクチビンβCクローン1抗体を、4℃で一晩、1×TBS中の5%ミルク中に1:6000で加えた。洗浄後、メンブレンを、室温で45分間、TBS中5%ミルク中で、ヤギ抗マウスHRP 1:10,000とともにインキュベートした。続く洗浄の後、ECLおよび基質(Amersham Bioscience UK Limited, UK)を、製造業者の指示書に従って加えた。メンブレンをX線カセット中に配置し、X-Omatフィルム(Kodak)に露光した。
正常ヒト血清分析
正常ヒト血清においてアクチビンβCサブユニットタンパク質ダイマーを決定するウェスタンブロット方法論
SDS-pageを、15%ポリアクリルアミドゲルを使用して非還元的条件下で実行した。ヒト正常血清試料を4%SDSで1:3希釈し、ヒートブロック中で100℃で5分間沸騰させ、上清を収集した。4%SDSで処理した血清試料を、試料緩衝液(Tris、1% SDS、グリセロール、および0.01% ブロモフェノールブルー、pH 7.2)中で1:2希釈した。試料を、ヒートブロック中で5分間、100℃でインキュベートし、短時間遠心分離し、20μlの試料をゲル上にロードし、そして泳動緩衝液(Tris、グリシン、10% SDS)を用いて、ゲルを150ボルトで90分間泳動した。メタノール中で15秒間、およびmilliQ水で2分間プレインキュベートしたImmobilon P(PVDF)メンブレンを、転写緩衝液(0.7分子/L グリシン、0.3分子/L Tris、および15.6%エタノール)中でゲルとともに5分間平衡化した。ゲル中のタンパク質を100ボルトで60分間、メンブレンに転写した。転写後、メンブレンを、0.05% Tween 20を含む1×TBS中に5分間浸漬した。メンブレンを、90分間ブロックした(1×TBS中、5%脱脂粉乳、0.05% Tween)。アクチビンβCクローン1抗体を、4℃で一晩、1×TBS中の5%ミルク中に1:6000で加えた。洗浄後、メンブレンを、室温で45分間、TBS中5%ミルク中で、ヤギ抗マウスHRP 1:10,000とともにインキュベートした。続く洗浄の後、ECLおよび基質(Amersham Bioscience UK Limited, UK)を、製造業者の指示書に従って加えた。メンブレンをX線カセット中に配置し、X-Omatフィルム(Kodak)に露光した。
結果
アクチビンβCサブユニットに対する特異的モノクローナル抗体を使用して、ウェスタンブロット分析は、2例のヒトからの正常ヒト血清の試料が、アクチビンCまたはアクチビンBCであると予想される約20kDaサイズのダイマーのアクチビンβCタンパク質を含むことを示した。1例のヒトは、アクチビンCまたはアクチビンBCのいずれかの存在を示す強い20kDaバンド、および別のアクチビンβCダイマー、アクチビンACが血清中に存在することを示す、より弱い23kDaバンドを有した(図22において示される)。
アクチビンβCサブユニットに対する特異的モノクローナル抗体を使用して、ウェスタンブロット分析は、2例のヒトからの正常ヒト血清の試料が、アクチビンCまたはアクチビンBCであると予想される約20kDaサイズのダイマーのアクチビンβCタンパク質を含むことを示した。1例のヒトは、アクチビンCまたはアクチビンBCのいずれかの存在を示す強い20kDaバンド、および別のアクチビンβCダイマー、アクチビンACが血清中に存在することを示す、より弱い23kDaバンドを有した(図22において示される)。
当業者は、本明細書中に記載された発明が、具体的に記載されたもの以外のバリエーションおよび改変を受け入れ可能であることを認識している。本発明はすべてのこのようなバリエーションおよび改変を含むことが理解されるべきである。本発明はまた、個別にまたは集合的に、本明細書中で言及されるかまたは示されるすべての段階、特色、組成物、および化合物、ならびに該段階または特色の任意の2つまたはそれ以上の任意の組み合わせおよびすべての組み合わせを含む。
Claims (64)
- アクチビンβCのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症または発症の素因を哺乳動物において検出する方法であって、そのレベルが正常レベルと比較して調節されており、該方法が、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質および/または遺伝子発現のレベルについてスクリーニングする段階を含む、方法。
- 哺乳動物においてアクチビンβCのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症または進行についてモニターする方法であって、そのレベルが正常レベルと比較して調節されており、該方法が、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるアクチビンβCタンパク質および/または遺伝子発現のレベルについてスクリーニングする段階を含む、方法。
- 前記アクチビンβCサブユニットがモノマー型である、請求項1または2記載の方法。
- 前記アクチビンβCサブユニットがダイマー型である、請求項1または2記載の方法。
- 前記アクチビンβCダイマーがアクチビンAC(βA-βC)、アクチビンBC(βB-βC)、アクチビンC(βC-βC)、アクチビンCD(βC-βD)またはアクチビンCE(βC-βE)のうちの1つまたは複数である、請求項4記載の方法。
- 前記状態が、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、子宮頸部、胸腺、ファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、喉頭、舌、小腸、直腸、食道、子宮筋層、ならびに軟部組織の状態である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
- 前記状態が悪性新生物である、請求項6記載の方法。
- 悪性新生物が、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、頸部、胸腺、喉頭、舌、小腸、直腸もしくは食道の悪性新生物、精嚢癌、脳腫瘍、脾臓癌、または軟部組織癌である、請求項7記載の方法。
- 前記状態が悪性でない新生物である、請求項7記載の方法。
- 悪性でない新生物がファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、子宮筋層、または軟部組織の新生物である、請求項9記載の方法。
- 前記調節がアクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性の増加である、請求項6〜10のいずれか1項記載の方法。
- 前記調節がアクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性の減少である、請求項6〜10のいずれか1項記載の方法。
- 生物学的試料が、血清、組織抽出物、体液、細胞培養培地、細胞外培地、上清、生検試料、または切除された組織を含む群より選択される、請求項11または12記載の方法。
- 前記スクリーニングアッセイがアクチビンβCサブユニットを検出することに向けられており、かつアクチビンβCサブユニットに指向される抗体を利用して実行される、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
- 前記スクリーニングアッセイがアクチビンβCダイマーを検出することに向けられており、かつアクチビンβCサブユニットに指向される抗体、およびアクチビンのβAサブユニット、βBサブユニット、βCサブユニット、βDサブユニット、またはβEサブユニットの1つまたは複数に指向される1種または複数種の抗体を利用して実行される、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
- アクチビンβCダイマーがアクチビンAC(βA-βC)、アクチビンBC(βB-βC)、アクチビンC (βC-βC)、アクチビンDC (βD-βC)またはアクチビンEC(βC-βE)のうちの1つまたは複数である、請求項15記載の方法。
- 哺乳動物におけるアクチビンβCのレベルの調節によって特徴付けられる状態の発症、発症の素因を検出するか、または発症もしくは進行をモニターする方法であって、そのレベルが正常レベルと比較して調節されており、該方法が、以下の段階を含む方法:
(a)第1のアクチビンβサブユニットのエピトープを認識する第1の抗体を、哺乳動物に由来する生物学的試料と接触させる段階;
(b)該試料中の第1のアクチビンβサブユニットに第1の抗体を結合させる段階;
(c)未結合物質を実質的に除去するために該試料を洗浄する段階;
(d)第2のアクチビンβサブユニットのエピトープを認識する第2の抗体と該試料を接触させる段階であって、ここで、第2の抗体が標識因子で標識される、段階;および
(e)該試料中のアクチビンβCサブユニットダイマーを同定するために標識因子を検出する段階であって、ここで、第1の抗体または第2の抗体がアクチビンβCサブユニットのエピトープを認識する、段階。 - 前記アクチビンβCダイマーがアクチビンAC(βA-βC)、アクチビンBC(βB-βC)、アクチビンC(βC-βC)、アクチビンCD(βC-βD)またはアクチビンCE(βC-βE)のうちの1つまたは複数である、請求項18記載の方法。
- 状態が、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、子宮頸部、胸腺、ファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、喉頭、舌、小腸、直腸、食道、子宮筋層、ならびに軟部組織の状態である、請求項18または19記載の方法。
- 前記状態が悪性新生物である、請求項20記載の方法。
- 悪性新生物が、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、頸部、胸腺、喉頭、舌、小腸、直腸もしくは食道の悪性新生物、精嚢癌、脳腫瘍、脾臓癌、または軟部組織癌である、請求項21記載の方法。
- 前記状態が悪性でない新生物である、請求項20記載の方法。
- 悪性でない新生物がファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、子宮筋層、または軟部組織の新生物である、請求項23記載の方法。
- 調節がアクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性の増加である、請求項20〜24のいずれか1項記載の方法。
- 調節がアクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性の減少である、請求項20〜24のいずれか1項記載の方法。
- 生物学的試料が、血清、組織抽出物、体液、細胞培養培地、細胞外培地、上清、生検試料、または切除された組織を含む群より選択される、請求項25または26記載の方法。
- 結合タンパク質を除去するために試料に解離剤を加える段階をさらに含む、請求項27記載の方法。
- 解離剤がSDS、デオキシコール酸ナトリウムおよびTween 20を含む群より選択される、請求項28記載の方法。
- 請求項1〜29のいずれか1項記載の方法において使用される場合にアクチビンβC検出手段を含む、組成物。
- 適切な希釈剤、賦形剤、または担体と共に、アクチビンβCサブユニットのエピトープに指向される抗体を含む、請求項30記載の組成物。
- アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性の調節によって特徴付けられる状態の発症、発症の素因を検出するか、またはその発症もしくは進行についてモニターする際の使用のための診断キットであって、該キットはアクチビンβCサブユニットタンパク質および/またはコードする核酸の検出手段を第1の区画に含み、ならびに該検出手段による検出を容易にするために有用な試薬を第2の区画に含む、キット。
- 検出手段が適切な希釈剤、賦形剤、または担体を伴う、アクチビンβCサブユニットのエピトープに指向される抗体である、請求項33記載のキット。
- 請求項1〜29のいずれか1項記載の方法において使用される場合の、請求項33〜35のいずれか1項記載のキット。
- アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性を調節する段階を含む、細胞の異常増殖を調節する方法。
- 異常増殖が悪性新生物である、請求項37記載の方法。
- 悪性新生物が、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、頸部、胸腺、喉頭、舌、小腸、直腸もしくは食道の悪性新生物、精嚢癌、脳腫瘍、脾臓癌、または軟部組織癌である、請求項38記載の方法。
- 異常増殖が悪性でない新生物である、請求項37記載の方法。
- 悪性でない新生物がファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、子宮筋層、または軟部組織の新生物である、請求項40記載の方法。
- 機能的に有効なレベルまでアクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性をアップレギュレートすることが異常な増殖を誘導し、機能的に有効でないレベルまでアクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性をダウンレギュレートすることが異常な増殖を阻害する、請求項37〜41のいずれか1項記載の方法。
- 機能的に有効でないレベルのアクチビンβCサブユニットを誘導するのに十分な時間および条件下で有効量の薬剤を哺乳動物に投与する段階をさらに含む、請求項42記載の方法。
- 機能的に有効でないレベルまでアクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性をダウンレギュレートすることが異常な増殖を誘導し、機能的に有効なレベルまでアクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性をアップレギュレートすることが異常な増殖を阻害する、請求項37〜41のいずれか1項記載の方法。
- 機能的に有効なレベルのアクチビンβCサブユニットを誘導するのに十分な時間および条件下で有効量の薬剤を哺乳動物に投与する段階をさらに含む、請求項44記載の方法。
- 哺乳動物において、異常な、望ましくない、またはそうでなければ不適切な、アクチビンβCサブユニットのレベルまたは生物活性によって特徴付けられる状態、または状態の発生の素因を、治療的におよび/または予防的に処置する方法であって、該方法が、哺乳動物におけるアクチビンβCサブユニットのレベルを調節する段階を含む、方法。
- 前記アクチビンβCサブユニットがモノマー型である、請求項46記載の方法。
- 状態が、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、子宮頸部、胸腺、ファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、喉頭、舌、小腸、直腸、食道、子宮筋層、ならびに軟部組織の状態である、請求項46または47記載の方法。
- 状態が悪性新生物である、請求項48記載の方法。
- 悪性新生物が、膵臓、脳および神経組織、副腎、甲状腺、胃、結腸、膀胱、子宮内膜、乳房、リンパ節、皮膚、唾液腺、骨、鼻腔、十二指腸、胆嚢、頸部、胸腺、喉頭、舌、小腸、直腸もしくは食道の悪性新生物、精嚢癌、脳腫瘍、脾臓癌、または軟部組織癌である、請求項49記載の方法。
- 状態が悪性でない新生物である、請求項48記載の方法。
- 悪性でない新生物がファローピウス管、子宮、扁桃、脾臓、虫垂、精嚢、子宮筋層、または軟部組織の新生物である、請求項51記載の方法。
- 機能的に有効でないレベルまで前記アクチビンβCサブユニットのレベルをダウンレギュレートすることが異常な細胞増殖を阻害する、請求項46〜52のいずれか1項記載の方法。
- アクチビンβCサブユニットの機能的に有効でないレベルを誘導するのに十分な時間および条件下で有効量の薬剤を投与する段階を含む、請求項53記載の方法。
- 機能的に有効なレベルまで前記アクチビンβCサブユニットのレベルをアップレギュレートすることが異常な細胞増殖を阻害する、請求項46〜52のいずれか1項記載の方法。
- アクチビンβCサブユニットの機能的に有効なレベルを誘導するのに十分な時間および条件下で有効量の薬剤を投与する段階を含む、請求項55記載の方法。
- 前記薬剤がアクチビンβCサブユニットに指向される抗体である、請求項54記載の方法。
- 異常な、望ましくない、またはそうでなければ不適切な、アクチビンβCサブユニットのレベルによって特徴付けられる状態の治療のための薬物の製造における、機能的に有効なレベルのアクチビンβCサブユニットを調節することができる薬剤の使用。
- 状態が異常な細胞増殖である、請求項59記載の使用。
- 機能的に有効でないレベルまでアクチビンβCサブユニットをダウンレギュレートすることが異常な細胞増殖を阻害する、請求項60記載の使用。
- 機能的に有効なレベルまでアクチビンβCサブユニットをアップレギュレートすることが異常な細胞増殖を阻害する、請求項60記載の使用。
- 機能的に有効なレベルのアクチビンβCサブユニットを調節することができる薬剤を、1種または複数種の薬学的に受容可能な担体および/または希釈剤と共に含む、薬学的組成物。
- 請求項37〜58のいずれか1項の方法において使用される場合の、請求項63記載の組成物。
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