JP2006509515A - コンゴトリパノソーマから得られるトランス−シアリダーゼ - Google Patents

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Abstract

本発明はシアル酸をドナー分子からアクセプター分子へ転移させる新規の酵素(トランス−シアリダーゼ)に関する。前記酵素は原生動物のコンゴ トリパノソーマから単離される。本発明は、さらに前記酵素の機能的等価物、酵素およびその機能的等価物をコードする核酸配列およびアミノ酸配列、前記配列を含む発現コンストラクトおよびベクター、本発明のコード核酸配列をもつ組み換え微生物、本発明の酵素の組み換え生産の方法、前記酵素のコンゴ トリパノソーマからの単離の方法、本発明の酵素を用いたアクセプター分子の酵素によるシアル化の方法、本発明のトランス−シアリダーゼのエフェクター、ならびにワクチン、薬剤、食品または食品添加剤を製造するための核酸配列、アミノ酸配列、酵素、エフェクターあるいはシアル化生成物の使用、および本発明の方法によって得られるその製品に関する。

Description

発明の主題
本発明は、シアル酸をドナー分子(例えばオリゴ糖、ポリシアル酸、グリコシル化タンパク質、グリコシル化ペプチド、グリコシル化脂質(例えばガングリオシド)および他のグリコシル化された低分子のまたは高分子の分子)からアクセプター分子(例えばオリゴ糖および多糖、グリコシル化タンパク質、グリコシル化ペプチド、グリコシル化脂質および他のグリコシル化された低分子のまたは高分子の分子)に転移させる新しい酵素(トランス−シアリダーゼ)に関する。前記酵素は、原生動物のコンゴ トリパノソーマ(Trypanosoma congolense)から単離された。
本発明はまた、前記酵素の機能的等価物;前記酵素およびその機能的等価物をコードする核酸配列;前記配列を含む発現コンストラクトおよびベクター;本発明のコード核酸配列をもつ組み換え微生物;本発明の酵素の組み換え生産の方法;本発明の酵素をコンゴ トリパノソーマから単離する方法;本発明の酵素を用いたアクセプター分子の酵素によるシアル化の方法;本発明のトランス−シアリダーゼのエフェクター;本発明の核酸配列、酵素、エフェクターまたはシアル化生成物の、ワクチン、薬剤、食品、あるいは食品添加剤を製造するための使用;および本発明によって製造された物質そのものに関する。
発明の背景
トランス−シアリダーゼはシアル酸、好ましくはアルファ−2,3−結合シアル酸を、ドナー分子からアクセプター分子に転移させることができ、それによって再びアルファ−2,3−グルコシド結合が、好ましくはβ−末端ガラクトース残基に、形成されうる。
シアル酸の用語は、ノイラミン酸のすべてのNおよびO誘導体を含む(Blix et al,1957)。ノイラミン酸(5−アミノ−3,5−ジデゾキシ−D−グリセロ−D−ガラクト−ノヌロ−ピラノゾン酸)は、9個の炭素原子からなる骨格をもつアミノ糖であり、C2原子上のカルボキシル基のために、pK値2.2の強酸性を示し、そのために生理的条件下では負に荷電する。無置換の構造は大変不安定であり、遊離型では天然に存在しない(Schauer,1982)。しかしながら一方で、ノイラミン酸の40以上の天然の誘導体が知られている(Schauer and Kamerling,1997)。天然にもっとも多く存在する2つのシアル酸は、すべてのグリコシド結合したシアル酸の基本形である、N−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)(Schauer,1991)、およびCMP−Neu5AcのN−アセチル残基のメチル基のヒドロキシル化によって生じるN−グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)(Shaw and Schauer,1988)である。これら2つのシアル酸の水酸基は、さまざまな組み合わせでアセチル、ラクチル、メチル、硫酸塩、およびリン酸塩残基で置換することができ、このことはシアル酸の多くの構造の変化に至っている(Schauer,1991;Schauer and Kamerling,1997)。
天然に存在するシアル酸の最も多くは、オリゴ糖、多糖、および特に複合糖質に、構成部分として結合している(Schauer,1982)。しかし、ポリシアル酸は遺伝子組み換え微生物生産からも知られている。シアル化された複合糖質は、おもに細胞の外膜に存在するが、粘膜の血清の重要な成分である(Traving and Schauer,1998)。シアル酸は糖タンパク質および細胞をプロテアーゼおよび他の酵素の攻撃から保護し、並びに分解から保護する(Reuter et al.,1988)。シアル酸を含む胃腸管の粘膜は、消化酵素からの効果的な保護物を形成するだけでなく、これらの中にある組織を病原菌の侵入から保護する(Kalm and Schauer,1997)。
シアル酸は、分子および細胞の識別プロセスに非常に重要な機能を果たす。ここで、シアル酸はレセプターを隠し、レセプターとリガンドとの間の相互作用を妨げる(Schauer,1985;Kelm and Schauer,1997)。シアル酸は、したがって、例えば、血清糖タンパク質および赤血球を、そこに存在するガラクトース残基を隠すことによって分解および食作用から保護する。末端シアル酸が分離している場合、末端近くのガラクトース残基が肝細胞または食細胞上のレクチンによって結合しうるので、結果として血清タンパク質または赤血球の飲食作用がおこる。さらなる例としては、免疫系による識別以前に、体細胞、さらに高度にシアル化された多くの腫瘍の保護がある(Pilatte et al.,1993)。シアル酸保護膜が失われると、自己免疫反応が起こりうる。
シアル酸はさらに、体細胞およびホルモンの識別ポイントとして働き、細胞間相互作用に重要な役割を果たす(Kelm and Schauer,1997)。炎症に伴い、白血球が内皮細胞に結合して組織に侵入できるように、内皮細胞はその表面に、白血球上の特定のシアル化構造(例えばシアリルルイス X)を識別するセレクチンを発現する(Lasky,1995)。さらに、体液性免疫防御のT細胞の活性化は、トランス−シアリダーゼの効果に影響される(Gao et al.,2001)。ミエリン結合糖タンパク質(MAG)のようなシアロアドヘジン(シグレック)もまた、シアル化グリカンに高い特異性で結合する(Kelm et al.,1996;Crocker et al.,1998)。神経系においては、ミエリン結合糖タンパク質は、とりわけ、髄鞘化および軸策成長の調節に関与する。したがって、最近、トランス−シアリダーゼがシアル酸転移によって神経細胞およびグリア細胞の分化に関与することが発見された(Chuenkova et al.,2001)ことは、驚くべきことではない。CD−22は、リンパ球上に存在し、T−およびB−リンパ球の「対話」を可能にする、別のシアル酸結合レセプターである。シグレックファミリーは、平均して10以上の分子生物学的に特徴づけられる代表例からなる。
シアル酸は、しかしながら、体内の識別プロセスに重要なだけではなく、特定の細菌、ウイルスおよび毒素のレセプターでもある。例えば、神経シナプスのガングリオシドに対する破傷風毒素の結合は、シアル酸によって生じる(Schauer et al.,1995)。微生物レクチンによるシアル酸に特異的な接着(Sharon and Lis,1997)は、しばしば、例えばある種の大腸菌幹細胞によって引き起こされる新生児の髄膜炎またはヘリコバクターピロリ(helicobacter pylori)による胃粘膜の感染などの、感染性疾患の重要なステップになる。中でも、インフルエンザA型ウイルスおよびB型ウイルスは、シアル酸によって細胞に接着して感染が起こる(Schauer,2000)。
シアル酸の修飾、とくにO−アセチル化は、分子および細胞の識別の調節に非常に重要である(Schauer,1991)。たとえばインフルエンザC型ウイルスは、気管支上皮上の9−O−アセチル化シアル酸に特異的に結合する(Herrier et al.,1985)が、一方O−アセチル化はインフルエンザA型およびB型ウイルスの結合を妨げる(Higa et al.,1985)。しかし、中でもシアル酸のO−アセチル化はさまざまな組織の形態形成および発達に非常に重要である(Varki et al.,1991)。神経外胚葉腫瘍では、シアル酸のO−アセチル化は増加し(Hubi et al.,2000;Fahr and Schauer,2001)、結腸癌では減少する(Corfield et al.,1999)。シアル酸は腫瘍の生体作用の重要な調節因子である(Schauer,2000)。
図面の説明
図1は、本発明のトランス−シアリダーゼTS1およびTS2の、アミノ酸部分配列の比較を表す。双方の配列で一致するアミノ酸は太字で示されている。2つの部分配列の一致度はわずか約50%である。
図2は、シアリダーゼ、シアリルトランスフェラーゼ、およびトランス−シアリダーゼのさまざまな反応を示す。
図3は、ランゲル トリパノソーマ(Trypanosoma rangeli)から得られるシアリダーゼ(T.r.S)、クルーズ トリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)から得られるトランス−シアリダーゼ(T.cr.TS)、およびブルース トリパノソーマ(Trypanosoma brucei brucei)から得られるトランス−シアリダーゼ(T.b.br.TS)のアミノ酸配列と、本発明のコンゴ トリパノソーマから得られる2つのトランス−シアリダーゼ(T.con.TS1およびT.con.TS2)の部分配列との比較を示す。全ての配列で共通のアミノ酸は、灰色地に白字で表示される。5つの配列のうち少なくとも4つに共通するアミノ酸は、灰色地に黒字で表示される。5つの配列のうち少なくとも3つに共通するアミノ酸は、薄い灰色で表示される。
発明の簡単な説明
本発明の目的は、シアル酸によって制御される生物学的または病理学的プロセスに影響を与えることができる新しい手段を提供することであった。
驚くべきことに、トランス−シアリダーゼ活性をもつ新規酵素およびコンゴ トリパノソーマから得られる前記酵素のコード配列を提供することによって上述の課題を解決することができた。
本発明の第1の主題領域は、トランス−シアリダーゼ活性を有するタンパク質をコードし、コンゴ トリパノソーマから単離することができ、それによって前記タンパク質が好ましくはドナーからアクセプター分子へのシアル酸転移を触媒する、ポリヌクレオチドに関する。
好ましいポリヌクレオチドは、少なくとも1つの配列番号1もしくは3に記載される核酸配列を含むか、または少なくとも15の結合したヌクレオチド残基を含むそのフラグメントである。本発明の主題はまた、これらと相補的なポリヌクレオチドおよびフラグメント;および遺伝子コードの変性によってこれらのポリヌクレオチドから誘導される核酸配列;を含む。
本発明の主題は、また、本発明のポリヌクレオチドと、特にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む。
本発明の主題は、また、上述の定義によるオリゴヌクレオチドと、特にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、トリパノソーマ属の微生物の遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドを含む。
本発明の主題は、また、上述のように定義される核酸配列を含むポリヌクレオチドでコードされうる;または配列番号2もしくは4に記載される少なくとも10の結合したアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する;ポリペプチド、およびトランス−シアリダーゼ活性を有するその機能的等価物を含む。
本発明の主題は、特に、以下のアミノ酸部分配列のうち1つを特徴とする、トランス−シアリダーゼまたはトランス−シアリダーゼ活性を有するその機能的等価物を含む:
TDTVAKYSTDGGRTWKREVIIPNGR(配列番号2の1〜25番目)
FRIPSLVEIDGVLIATFDTRYLRASDSSLI(配列番号4の1〜30番目)。
好ましいトランス−シアリダーゼ1(TS1)は、以下の性質のうち少なくとも1つを特徴とする:
ヌクレオチド部分配列 配列番号1
アミノ酸部分配列 配列番号2
最適温度 30〜40℃
最適pH pH6.5〜8.5
等電点 pH4〜5
分子量、ネイティブ 400〜600kDa
分子量、還元条件下SDS−PAGEによる 90kDa。
他の好ましいトランス−シアリダーゼ2(TS2)は、以下の性質のうち少なくとも1つを特徴とする:
ヌクレオチド配列 配列番号3
アミノ酸部分配列 配列番号4
最適温度 30〜40℃
最適pH pH6.5〜8.5
等電点 pH5〜6
分子量、ネイティブ 120〜180kDa
分子量、還元条件下SDS−PAGEによる 90kDa。
上述した本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド、特にコードされた核酸配列およびアミノ酸配列は、コンゴ トリパノソーマ微生物から得られる。しかしながら、これらは合成による方法、とくに化学的、生化学的、酵素反応的、遺伝子工学的、および遺伝子組み換えによる方法を用いて得ることもできる。本発明の主題はまた、本発明のトランス−シアリダーゼの機能的等価物を含む。
本発明の主題はまた、少なくとも1つの規定した核酸配列を作動可能なように連結して上述の定義の核酸配列を含む発現カセットを含む。さらに、本発明は、前記発現カセットのうち少なくとも1つを含む組み換えベクターを含む。
本発明の主題は、さらに、少なくとも1つの上述の定義のベクターを形質転換した、原核細胞のまたは真核細胞の宿主を含む。
さらに、本発明は、上述の定義の発現カセット、ベクターまたは宿主の、トランス−シアリダーゼ活性をもつタンパク質の組み換え生産のための使用に関する。
本発明の主題は、また、アクセプター分子をシアル酸残基を含むドナーとともに、上述の定義のトランス−シアリダーゼ存在下でインキュベートして、シアル化されたアクセプターを単離することを特徴とする、アクセプター分子の酵素によるシアル化の方法を含む。
この型の方法は、以下の性質のうち、少なくとも1つを特徴とする:
a)前記ドナーが、特にラクトフェリン、グリコリセートホエープロテインおよびカゼインなどの、オリゴ糖、多糖、ポリシアル酸、糖タンパク質、および糖脂質、ならびにそれらのフラグメントに結合したシアル酸から選択される;
b)前記アクセプターが、β−ガラクトオリゴ糖、ラクチトール、ラクトビオン酸、メチル−β−ラクトシド、アセチルラクトサミン、ガラクトピラノシド、トランス−ガラクトオリゴ糖、ポリガラクトース、および末端にβ(1−3)もしくはβ(1−4)結合したガラクトースまたはガラクトースとの他の複合糖質などの、β−ガラクトースを含むポリマーから選択される。
本発明の他の形態は、シアル酸によって制御される寄生虫、細菌、もしくはウイルスによる感染の予防または治療のための;腫瘍疾患の治療のための;組織の発育の障害に関連する疾患の治療のための;免疫系の疾患の治療のための;自己免疫反応の治療のための;細胞伝達の分断を伴う疾患の治療のための;および/または炎症の治療のための、薬剤、食品、あるいは食品添加剤あるいは栄養補助食品を製造するための本発明のトランス−シアリダーゼ、それをコードする核酸配列、または本発明の方法で製造されるシアル化生成物の使用に関する。
特に、本発明の主題は、トリパノソーマ感染を治療もしくは予防のためのトリパノソーマ症ワクチンの開発のための、または酵素阻害剤の開発のための、上述の定義の本発明のトランス−シアリダーゼの使用を含む。
さらに、本発明は、酵素の作用の前に、体細胞もしくは組織もしくは糖タンパク質を保護するための薬剤、食品添加剤、または食品を製造するための、トランス−シアリダーゼ、それをコードする核酸配列、あるいは本発明によって製造されるシアル化生成物の使用に関する。
本発明の主題は、また、体組織の発達および/または形態形成に影響を与えるための薬剤、食品添加剤、または食品を製造するための、トランス−シアリダーゼ、それをコードする核酸配列、あるいは本発明によって製造されるシアル化生成物の使用を含む。
さらに、本発明は、
a)上述のトランス−シアリダーゼと相互作用するポリペプチドリガンド;
b)上述の定義のトランス−シアリダーゼの生物活性を調節する低分子エフェクター;
c)上述の定義の核酸配列のアンチセンス核酸配列;
から選択されるトランス−シアリダーゼの、トランス−シアリダーゼ活性のエフェクターに関する。
さらに、本発明はトランス−シアリダーゼ活性に伴う疾患の治療または予防のための薬剤、食品添加剤、または食品を製造するための、この型のエフェクターの使用に関する。
本発明の主題は、また
a)コンゴ トリパノソーマが培養液中で培養される、および
b)所望の生成物が塩勾配によってイオン交換クロマトグラフィーを用いて、必要に応じてその後等電点電気泳動法、ゲルろ過、アフィニティークロマトグラフィー、および/またはタンパク質沈殿を用いて培養上清から単離される、
トランス−シアリダーゼ活性をもつ酵素の単離方法を含む。
最後に、本発明は、少なくとも1つの、上述の定義のエフェクターを製薬上もしくは遺伝子治療上適切な担体中に含む、製薬または遺伝子治療の媒体に関する。
発明の詳細な説明
i)発明の重要性
本発明の重要性は、本発明によって可能になった、シアル酸によって制御される寄生虫、細菌、およびウイルスによる感染のメカニズムの影響、細胞伝達および免疫系の影響、ならびにヒトおよび動物の組織、および腫瘍の調節および発達のメカニズムの変化にある。これは、本明細書に記載されるトランス−シアリダーゼによる、シアル酸の、生物学的に適切な糖鎖構造(グリカン、グリカン誘導体、および複合糖質)への標的転移によって達成される。選択された担体構造へのシアル酸の転移によって、例えば、炎症反応を変化させる、ヒトおよび動物の体内の細胞間相互作用を変化させる、体組織を自己の免疫系の攻撃(自己免疫反応)から保護する、自己の免疫系に戦わせるように患者の体内の癌細胞を「暴露」する(癌治療および癌予防)、病原菌のヒトおよび動物の体内への侵入と戦う、ウイルス感染を予防するおよびウイルス感染と戦う、ヘリコバクターピロリによる胃粘膜の感染と戦う、細菌およびウイルスによって引き起こされる新生児の髄膜炎と戦う、真核細胞のおよび原核細胞の病原菌、細菌、ウイルスならびに毒素のレセプターに、ヒトおよび動物の体内で活性になるのを防ぐために予防および治療のための影響を与える、ヒトおよび動物の消化管の粘膜にコレラ毒素が結合するのを阻害する、トリパノソーマ症のワクチンを開発する、トリパノソーマ感染と戦う(治療する)酵素阻害剤を開発する、ヒトおよび動物の体内の分子および細胞の識別プロセスに影響を与える、糖タンパク質および細胞をプロテアーゼおよび他の酵素の攻撃から保護する、とりわけヒトおよび動物の消化管の酵素による分子の分解から保護する、体組織の発達に影響を与える、および体組織の形態形成に影響を与えるための、生成物が得られる。
本発明のトランス−シアリダーゼは、以下のDNSおよびアミノ酸部分配列、および、例えばこれらの部分配列と60%以上の一致度を有する、他のDNS配列ホモログを特徴とする。
ii)好ましいトランス−シアリダーゼの配列の詳細
(1)酵素TS1の配列の情報:
TS1のDNS部分配列の性質:
長さ:1491塩基対
型:核酸
鎖の形態:二本鎖
由来:コンゴ トリパノソーマ。
TS1酵素のDNS部分配列(配列番号1):
5’ACCGACACCGTTGCTAAATACAGCACTGACGGTGGGAGAACGTGGAAGAGGGAGGTTATAATTCCGAATGGTCGTGTGGATGCCCACTACTCCCGCGTCGTTGATCCCACTGTTGTTGCGAAGGGTAATAACATTTATGTTCTCGTTGGGCGGTACAATGTCACGCGGGGCTACTGGCACAATAGGAACAACAAGGCTGGCATAGCCGATTGGGAGCCCTTCGTGTACAAGGGCACGGTGAACGTGGGCACGAAGGGCAATGCCACTGATGTGTCGATCAGCTGGGAGAGGACTGCACTGAAGTCGCTGTACAACTTCCCGGTTTCGGGAAGCCCTGGCACGCAGTTCCTTGGAGGGGCTGGGGGTGGTGTTGTAACATCCAACGGGACGATTGTGCTGCCAGTGCAGGCAAGGAACAAGGCCAACCGTGTTGTGAGCATGATCCTGTACTCGGCTGACGATGGAAAGTCATGGCACTTTGGGAAGGGTGAGGCCGGTGTAGGCACGTCCGAGGCTGCCCTCACTGAGTGGGACGGCAAGCTGCTGATTAGTGCACGATCCGATGGTGGACAGGGCTACCGCATGATATTCGAATCGAGTGACCTTGGTGCGACGTGGAAAGAGATGCTCAACAGCATCTCCCGCGTGATTGGCAACTCTCCGGGTCGCAGTGGTCCTGGCAGCTCGAGTGGCTTCATCACGGTGACAGTGGAGGGTGTGCCTGTGATGCTGATTACCCACCCGAAGAACCTTAAGGGCTCGTATTATCGGGACCGTCTGCAGCTGTGGATGACGGACGGCAATCGTATGTGGCATGTCGGGCAGGTCTCTGAGGGCGACGATAACAGCGCTTACAGCTCCCTGCTGTACACTCCGGACGGGGTCCTGTACTGCTTGCATGAGCAGAACATTGATGAGGTGTACAGCCTCCACCTTGTGCGCCTTGTGGACGAGCTGAAAAGCATTAAATCAACGGCTCTGGTGTGGAAGGCACAGGACGAGCTTCTCCTGGGCAACTGCCTCCCGGGCGATAAATACGATCCCGGGTGTGACGGCATCCCCACCGCTGGGCTTGCCGGGCTGCTGGTAGGACCCCTGACGGAGAAGACGTGGCCCGACGCGTATCGGTGCGTGAACGCTGCAACCAGCGGCGCTGTGAGCACTGCTGAAGGCGTGCGGCTGGACGTGGGTGGCGGTGGCCATGTTGTGTGGCCCGTGAGTGAGCAGGGGCAGGACCAGCGGTATTACTTTACCAACAGCGAGTTCACGCTCGCCGTCACGGTGCGGTTTGACGAGATGCCACGGGGGGAGCTCCCGTTGCTGGGGTTTGTGAACCGCAAAGGGAAGGTGAAGAAGATACTGAAGGTGTCGCTGAGCGGGGTGGAGTGGCTCCTGGCATACGGGAATGAGTACAACAGCACAGCCGCTGAGCCGCTGGACGTGAACGAGAGCCACCAGGTGGTGCTAGCGCTTCACGACGGGATCGTCTCC 3’。
TS1酵素のアミノ酸部分配列(配列番号2):
TDTVAKYSTDGGRTWKREVIIPNGRVDAHYSRVVDPTVVAKGNNIYVLVGRYNVTRGYWHNRNNKAGIADWEPFVYKGTVNVGTKGNATDVSISWERTALKSLYNFPVSGSPGTQFLGGAGGGVVTSNGTIVLPVQARNKANRVVSMILYSADDGKSWHFGKGEAGVGTSEAALTEWDGKLLISARSDGGQGYRMIFESSDLGATWKEMLNSISRVIGNSPGRSGPGSSSGFITVTVEGVPVMLITHPKNLKGSYYRDRLQLWMTDGNRMWHVGQVSEGDDNSAYSSLLYTPDGVLYCLHEQNIDEVYSLHLVRLVDELKSIKSTALVWKAQDELLLGNCLPGDKYDPGCDGIPTAGLAGLLVGPLTEKTWPDAYRCVNAATSGAVSTAEGVRLDVGGGGHVVWPVSEQGQDQRYYFTNSEFTLAVTVRFDEMPRGELPLLGFVNRKGKVKKILKVSLSGVEWLLAYGNEYNSTAAEPLDVNESHQVVLALHDGIVS。
(2)TS2酵素の配列の情報:
TS2のDNS部分配列の性質:
長さ:831塩基対
型:核酸
鎖の形態:二本鎖
由来:コンゴ トリパノソーマ。
TS2酵素のDNS部分配列(配列番号3):
5’TTCCGAATTCCCTCACTTGTTGAGATAGACGGCGTGCTTATCGCGACATTCGATACACGTTATCTTCGCGCTTCCGACAGCAGTCTCATAGACACAGCTATGAAATACAGTGCCGATCAGGGGAAGACGTGGAAAACTGAAATCATAATAAAAAATGCTAGACTAACTGATAACTTTTCCCGCGTCGTTGATCCAACGGTTGTTGTTAAGGGTGATAACTTGTTTATTTTTGTTGGGAGGTACAACACCTCATCTGCCCCATGGGTCTGGCAGGAAAACGGTAAAGACTGGGATGTACTGTTGTACAAGGCCAAGGTGAGGAAGGAATCAGCGGGTGGGGTACCATCAGTGAGCTTTACATGGGACGAACCCCTATACCTGAAGCATCTGCTCACCTCTGTCGGTAAAATAGACGGCAGGTCCCTCATACAATACATTGGTGGCGTTGGAAATGGTATTGTAACACCGAAAGGTACTATCGTGTTTCCAGTTCAGGTTTTAAACACCAACAAATCCGTCATGAACATGCTTCTGTATTCAAGTAACGACGGAAAAACCTGGGAGTTCAGCAAAACTTCCACACCCGCGGGCACAACTGAGGCCTCCCTTGTTTGGTGGGATGGACAACTACTTCTCACAAGCAGAACAACTCCGGATGTCGGCAGCCGCAAAGTATATTTAACAAGCGACCTCGGAACTTCATGGAATGAAGCGATCGGAAGTATCTCTCGTGTAATTGGTAACTCGCGGTACCGTAACGATCCTGGGGGGTCAGGTAGCTCAATTGCCATAACTGTGGAGGGAGTACCGGTGATGCTGATTACCCACCCG3’。
TS2酵素のアミノ酸部分配列(配列番号4):
FRIPSLVEIDGVLIATFDTRYLRASDSSLIDTAMKYSADQGKTWKTEIIIKNARLTDNFSRVVDPTVVVKGDNLFIFVGRYNTSSAPWVWQENGKDWDVLLYKAKVRKESAGGVPSVSFTWDEPLYLKHLLTSVGKIDGRSLIQYIGGVGNGIVTPKGTIVFPVQVLNTNKSVMNMLLYSSNDGKTWEFSKTSTPAGTTEASLVWWDGQLLLTSRTTPDVGSRKVYLTSDLGTSWNEAIGSISRVIGNSRYRNDPGGSGSSIAITVEGVPVMLITHP
酵素TS1および酵素TS2のアミノ酸の前記部分配列は、わずか約50%の一致度である。したがって前記部分配列は、明らかに別の物質と考えられる(図1を参照)。
iii)新たに発見された酵素TS1およびTS2の性質の記述
a)物質の物理的/化学的性質
Figure 2006509515
b)物質の生物学的性質
本明細書中で扱う2つの物質は、シアル酸をドナー分子からアクセプター分子に転移させる2つの酵素である。
どちらの酵素の場合も、シアル酸は、例えばオリゴ糖、多糖、ポリシアル酸、糖タンパク質、および糖脂質のような、ドナーとして働くグリカンに結合する。糖タンパク質の中で、特にラクトフェリン(ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ラクダ、および他の動物由来)、グリコリセートホエープロテイン(ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ラクダ、および他の動物由来)、およびカゼイン(ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ラクダ、および他の動物由来)、ヒト、動物、および植物由来の他のグリコリセートプロテイン、ならびに、例えばこれらの動物のカゼインのグリコマクロペプチドのようなカゼイン(ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ラクダ、および他の動物由来)の領域などのそれらの部分は、酵素によって転移されうるシアル酸の好ましいドナーである。ガングリオシドもまた、ドナーとして用いられうる。
どちらのトランス−シアリダーゼも、ガラクトオリゴ糖、特に、Borculo Domo Ingredients(BDI)社製のVivinal GOS、およびヤクルト(Yakult)社製のオリゴメート55(Oligomate 55)などの、ベータ−ガラクトオリゴ糖に高いアクセプター特異性を有する。他には、ラクチトール、ラクトビオン酸、メチル−β−ラクトシド、アセチルラクトサミン、ガラクトピラノシド、トランス−ガラクトオリゴ糖、ポリガラクトース、および末端にβ(1−3)またはβ(1−4)結合したガラクトースとの他の複合糖質が、アクセプターとして作用しうる。ガラクトース残基のメチル化は、アクセプターの機能の低下を招く。グルコース残基のメチル化(例えばラクトースとともに)は、アクセプターの機能にほとんど影響しない。単糖のガラクトースも、特異性は低いが、アクセプターとして働く。
TS1酵素は、TS2酵素に比べてシアル酸を対応するアクセプターへの転移において約2倍の効果を示す。基質は、遊離性の、すなわち可溶性の結合であってもよく、細胞膜に結合していてもよい。
末端にアルファ−2,3−結合したシアル酸の、末端にベータ−1,4−結合したガラクトース残基への転移もまた、クルーズ トリパノソーマ(Schenkman et al.,1991;Vadekerckhove et al.,1992;Scudder et al.,1993)およびブルース トリパノソーマ(Engstler et al.,1992,1993,1995)のトランス−シアリダーゼで知られている。しかしながら、異なったDNSおよびアミノ酸配列のために、TS1およびTS2は、これまで知られている酵素と異なる。したがって、TS1およびTS2は、明らかに新しい物質(トランス−シアリダーゼ)であるといえる。さらなる相違点は、次の段落で説明する。
iv)他のトランス−シアリダーゼ、シアリダーゼ、およびシアリルトランスフェラーゼと本発明との区別
酵素「トランス−シアリダーゼ」は、最初に、アメリカトリパノソーマ型のクルーズ トリパノソーマについて報告された(Schenkmann et al.,1991)。すぐ後に、前記酵素は、アフリカ型のガンビア トリパノソーマ(Trypanosoma brucei gambiense)、ローデシア トリパノソーマ(Trypanosoma brucei rhodesiense)およびブルース トリパノソーマ(Engstler et al.,1993,Pontes de Carvalho et al.,1993,Engstler et al.,1995)でも示された。さらに、トランス−シアリダーゼは、エンドトリパヌム(Endotrypanum)類中(ナマケモノを冒す寄生虫)(Medina−Acosta et al.,1994)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)中(Mattos−Guaraldi et al.,1998)、およびヒトの血漿中(Tertov et al.,2001)、で検出された。いわゆるシアリダーゼは、トランス−シアリダーゼが明らかにされる前に、すでによく知られていた。これらは、シアル酸をドナー分子から水のみに転移させ、オリゴ糖および複合糖質からのシアル酸を脱水素分解する、グリコヒドロラーゼである。さらに、シチジンモノリン酸(CMP)−活性化シアル酸を有するある種の酵素は、他の糖残基、おもにガラクトースおよびN−アセチルガラクトサミンに、転移させることができる。これらの酵素は、シアリルトランスフェラーゼと呼ばれる(図2を参照)。
本明細書中で問題にするトランス−シアリダーゼは、純然たるシアリダーゼのように、シアル酸をドナー分子から水のみに転移させるものではない。しかし、もし適当なアクセプターがない場合には、ここで問題にするトランス−シアリダーゼは、塩基性のシアリダーゼのようにシアル酸を加水分解する。ここで問題にするトランス−シアリダーゼは、前述のシアリルトランスフェラーゼのように、どの転移反応にも活性化シアル酸を必要としない。また、前記トランス−シアリダーゼは、シアリルトランスフェラーゼに比べて広いドナーおよびアクセプターの特異性を有し、特に広範囲の方法に用いられうる。したがってここで問題にするトランス−シアリダーゼは、純然たるシアリダーゼおよびシアリルトランスフェラーゼに比べて、工業的利用に有益である。
これまでに、ランゲル トリパノソーマ(Trypanosoma rangeli)由来の、純然たるシアリダーゼのDNSおよびアミノ酸配列のほかに、クルーズ トリパノソーマおよびブルース トリパノソーマのトランス−シアリダーゼのDNSならびにアミノ酸配列のみが知られている。ここで問題にするTS1酵素は、ブルース トリパノソーマ由来のトランス−シアリダーゼの対応するアミノ酸部分配列との一致度が60%以下であり、クルーズ トリパノソーマの対応する部分配列との一致度が50%以下である。ここで問題にするTS2酵素は、ブルース トリパノソーマ由来のトランス−シアリダーゼの対応するアミノ酸部分配列との一致度が50%以下であり、クルーズ トリパノソーマの対応する部分配列との一致度が50%以下である(図3を参照)。さらに、トリパノソーマのトランス−シアリダーゼと、細菌およびウイルスの既知のシアリダーゼおよびトランス−シアリダーゼとの間のアミノ酸の一致度は、わずか20〜30%であることが知られている(Chuenkova et al.,1999,Montagna et al.,2002)。
したがって、本明細書中に記載の酵素は、新規の特徴ある物質(酵素)であり、同様の機能をもつ他の既知の酵素の対応するDNSおよびアミノ酸配列との一致度は60%以下である。
v)本発明についてのさらなる解説
a)ポリペプチドおよび機能的等価物
「ポリペプチド」は、本発明においては、本発明の酵素およびその機能的等価物のアミノ酸配列のみならず、本発明のアミノ酸配列の特有の部分フラグメントをも含む。
したがって、本発明は、明確に開示された新規ポリペプチドおよび酵素の「機能的等価物」または「ホモログ」をさらに含む。
本発明の枠内で明確に開示されるポリペプチドの「機能的等価物」または類似体は、前記ポリペプチドとは異なり、加えて上述の定義の所望の生物活性(例えば基質特異性)を有するポリペプチドである。
「機能的等価物」は、本発明の記載に従って、特に、少なくとも1つの上述の規定された配列位置に、明確に規定された以外のアミノ酸を有する、しかしそれにもかかわらず、本明細書中に規定された生物活性のうち1つを有する突然変異体として解されるべきである。したがって、「機能的等価物」は、1以上のアミノ酸の付加、置換、欠失および/または反転によって起こる突然変異体を含み、本発明の記載の性質のプロファイルをもつ突然変異を引き起こすかぎり、規定された変化は任意の配列位置においておこりうる。したがって機能的等価物は、特に、突然変異体と変化していないポリペプチドとの間で反応性のパターンが定性的に一致する、すなわち、たとえば同じ基質が異なった速度で変化するなどの場合にも存在する。
「機能的等価物」は、上述の意味において、さらに上述のポリペプチドの前駆体および前記ポリペプチドの機能的誘導体および塩でもある。「塩」の用語は、カルボキシル基の塩、および本発明のタンパク質分子のアミノ基の酸付加塩としても理解される。カルボキシル基の塩は、従来の方法で製造することができ、例えばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄、亜鉛塩などの無機塩、および、例えばトリエタノールアミンのようなアミン、アルギニン、リジン、ピペリジンなどの有機塩基の塩が含まれる。例えば無機酸(塩酸または硫酸など)の塩および有機酸(例えば酢酸およびシュウ酸)の塩などの酸付加塩もまた本発明の主題に含まれる。
本発明のポリペプチドの「機能的誘導体」もまた、機能的アミノ酸側基に、またはそのN−もしくはC−末端に、従来の技術を用いて製造できる。この型の誘導体は、例えば、カルボン酸基の脂肪族エステル、アンモニアまたは第1級もしくは第2級アミンを用いた変換によって得られる、カルボン酸基のアミド;アシル基を用いた変換によって製造される遊離アミノ基のN−アシル誘導体;またはアシル基を用いた変換によって製造される遊離ヒドロキシ基のO−アシル誘導体を含む。
もちろん、「機能的等価物」はまた、他の生物または自然発生的な変異から得られるポリペプチドを含む。例えば、配列比較によってホモログの配列領域の部分が確立され、本発明に詳細に記載される等価酵素が決定されうる。
「機能的等価物」はまた、例えば所望の生物学的機能を有する本発明のポリペプチドの、フラグメント、好ましくは個々のドメインまたは配列動機を含む。
さらに、「機能的等価物」は、上述のように規定したポリペプチドまたはそれから誘導された機能的等価物のうち1つ、および、少なくとも1つのN−またはC−末端に機能的結合した機能的に異なる他の非相同の配列を有する、融合タンパク質である(すなわち、融合タンパク質部分以外は、実質的には互いに逆の任意の機能的な効果をもつ)。この型の非相同の配列の非制限的な例として、シグナルペプチド、酵素、イムノグロブリン、表面抗原、レセプター、およびレセプターリガンドなどが挙げられる。本発明のトランス−シアリダーゼの「機能的等価物」は、特に、そのアミノ酸配列または部分配列と、配列番号2または4の対応するアミノ酸配列または部分配列との配列一致度(配列ホモロジー)が、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)85(8),1998,2444−2448のアルゴリズムで計算して、少なくとも60%、特に65%または少なくとも70%、例えば75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%である酵素である。
可能なタンパク質グリコシル化の場合、本発明の等価物は、脱グリコシル化された、またはグリコシル化された形態、およびグリコシル化パターンの変化によって得られる修飾された形態の、上述の型のタンパク質を含む。
本発明のタンパク質またはポリペプチドのホモログは、例えばタンパク質の点変異、伸長、または短縮などの突然変異生成によって生成されうる。用語「ホモログ」は、本明細書で用いる場合、タンパク質活性のアゴニストまたはアンタゴニストとして働くタンパク質の異型に関連する。
本発明のタンパク質のホモログは、例えば短縮の突然変異体などの突然変異のコンビナトリーバンクのスクリーニングによって、識別することができる。例えば、タンパク質変異のさまざまなバンクが、合成オリゴヌクレオチドの混合物の酵素連結反応などの、核酸レベルでの結合突然変異生成によって製造されうる。多くの方法が変性オリゴヌクレオチド配列からの潜在的なホモログのバンクの製造に用いられうる。変性遺伝子配列の化学合成がDNA合成装置で行われ、合成遺伝子はその後適当な発現ベクターに結合されうる。変性遺伝子セットの使用によって、潜在的なタンパク質配列の所望のセットをコードする全ての配列を1つの混合物として提供できる。変性オリゴヌクレオチドを合成する方法は、当業者に知られている。(例えば、Narang,S.A.(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et al.,(1984)Annu.Rev.Biochem.52:323;Itakura et al.,(1984)Science 198:1056;Ike et al.,(1983)Nucleic Acids Res.11:477を参照)。
b)ポリヌクレオチド
本発明の意味における「ポリヌクレオチド」は、本発明の酵素のアミノ酸部分配列をコードする、本発明の核酸配列の特有の部分フラグメント、ならびに、酵素およびその機能的等価物をコードする核酸配列も含む。ポリヌクレオチドは、好ましくは約20以上、特に約30以上、例えば約45以上または約60以上の核酸残基を含む。
「オリゴヌクレオチド」は、特に約60以下、好ましくは約45以下、特に約30以下または約20以下の核酸残基の配列を含む。
本明細書中に記載のすべての「核酸配列」は、核酸ビルディングブロックからの化学合成によって、例えば個々に重なりあい相補的な二重らせんの核酸ビルディングブロックのフラグメント縮合、従来の方法で製造することができる。オリゴヌクレオチドの化学合成は、例えばホスホアミダイト法(Voet,Voet,2nd Edition,Wiley Press New York,896−897)などの従来の方法で行うことができる。合成オリゴヌクレオチドの結合、並びにDNAポリメラーゼのクレノウフラグメント、連結反応、および一般的なクローニング方法を用いたギャップフィリングが、Sambrook et al.(1989),Molecular Cloning:A laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。
本発明の主題は、上記ポリペプチドおよびその機能的等価物(たとえば合成ヌクレオチド類似体を用いても得られる、など)のうち1つをコードする、核酸配列(一本鎖および二本鎖のDNAならびにRNA配列、例えばcDNAおよびmRNA)も含む。
本発明は、本発明のポリペプチドまたはタンパク質をコードする単離された核酸分子、またはその生物活性領域、および、本発明のコードする核酸を識別もしくは増幅するためのハイブリダイゼーションプローブまたはプライマーなどとして用いられうる核酸フラグメントに関する。
本発明の核酸分子は、コード遺伝子領域の3’および/または5’末端に非翻訳配列をさらに含んでもよい。
「単離された」核酸分子は、核酸の天然源に存在する他の核酸分子から分離され、さらに、組み換え技術で製造される場合は他のどんな細胞物質または培養液も実質的に含まず、あるいは化学的に合成される場合は前段階の化学物質または他の化学物質を含まない。
本発明の核酸分子は、分子生物学の標準的な技術および本発明で提供される配列情報を用いて単離することができる。例えば、cDNAは、正確に開示された全配列またはその領域の1つがハイブリダイゼーションプローブおよび標準的なハイブリダイゼーション技術(例えばSambrook,J.,Fritsh,E.F.and Maniatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY,1989に記載される)として用いられることで、適当なcDNAバンクから単離されうる。さらに、開示された配列またはその領域のうち1つを含む核酸分子は、この配列に基づいて作成されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応によって単離することができる。このように増幅された核酸は適当なベクターで複製され、DNA配列解析によって特徴づけられる。本発明のオリゴヌクレオチドはまた、標準的な合成法によって(例えば自動DNA合成ユニットを用いて)製造してもよい。
本発明は、正確に記述された核酸配列またはその領域の、「相補的な」核酸分子をさらに含む。
本発明のヌクレオチド配列によって、他の細胞型および生物のホモログ配列を識別および/または複製するために用いられうるプローブならびにプライマーを製造することができる。この型のプローブおよびプライマーは、通常、ストリンジェントな条件下で少なくとも約12、好ましくは少なくとも約25、例えば約40、50または75の本発明の核酸配列のセンス鎖または対応するアンチセンス鎖の次のヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列領域を含む。
さらに、本発明の核酸配列は配列番号1および3から誘導され、個々のまたはいくつかのヌクレオチドの付加、置換、挿入もしくは欠失によってそれと異なるが、所望の性質のプロファイルをもつポリペプチドをコードする。
本発明はまた、いわゆるダム−突然変異を含む、または特別な由来もしくは宿主生物のコドン使用によって正確に規定された配列と比べて変化した、これらの核酸配列を、そのスプライス変異または対立遺伝子変異などの自然発生的な変異とともに含む。本発明の主題は、また、保守的なヌクレオチド置換(すなわち問題のアミノ酸が同じ電荷、大きさ、極性および/または溶解性をもつ他のアミノ酸に置き換えられる)によって得られる配列を含む。
本発明の主題は、配列多型によって正確に開示された核酸から誘導される分子も含む。これらの遺伝的多型は、自然変動によって集団内で個体間に存在しうる。これらの自然変動は一般に遺伝子のヌクレオチド配列の1〜5%の差異をもたらす。
さらに、本発明は上述のように規定されたコード配列とハイブリダイズする、またはそれと相補的な核酸配列をさらに含む。これらのポリヌクレオチドはゲノムバンクまたはcDNAバンクのサンプリングによって位置を決められ、必要に応じて、ここから適当なプライマーを用いてPCRによって増殖され、その後、例えば適当なプローブで単離されうる。他の可能性として、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターをもつ適当な微生物の形質転換、前記微生物および前記ポリヌクレオチドの増殖、ならびにその後のそれらの単離が提供される。さらに、本発明のポリヌクレオチドはまた化学的な手段で合成されうる。
ポリヌクレオチドに「ハイブリダイズする」ことができる性質は、ポリ−またはオリゴヌクレオチドがほぼ相補的な配列にストリンジェントな条件下で結合する能力として理解される。一方、このような条件下では非相補的な対との間の非特異的な結合はおこらない。このため、前記配列は70〜100%、好ましくは90〜100%、相補的でなければならない。互いに特異的に結合することができる相補的な配列の性質は、例えばノーザンまたはサザンブロット法に、あるいはPCRまたはRT PCRでのプライマー結合に用いられる。一般に、長さが少なくとも30の塩基対のオリゴヌクレオチドがこのために用いられる。
「ストリンジェントな」条件は、例えばサザンまたはノーザンブロットの後、特殊な条件下、すなわち60〜70℃の温度で(50%のホルムアミドを含む50%のハイブリダイゼーション溶液では38〜42℃)DNAまたはRNAフラグメントをプローブを有する膜上でハイブリダイズする場合として理解される。さらに、非特異的にハイブリダイズしたDNAまたはRNAプローブの溶出物のハイブリダイゼーションもまた特異的に起こることから、その後洗浄ステップを行うときも、条件は特殊またはストリンジェントである。特殊な洗浄ステップは、一般に、2回以上20〜25℃で5〜10分、0.1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む2xSSCバッファーで洗浄し、続いて2回以上低イオン強度のバッファー(たとえば0.1%SDSの0.1xSSC)で高温(例えば64℃)で洗浄する。[20xSSC:3M NaCl、0.3M クエン酸ナトリウム、pH 7.0]。このとき、広範囲で相補的な核酸のみが、互いに結合したままである。ストリンジェントな条件の生成は当業者に知られており、例えばAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Willy & Sons,N.Y.(1989)6.3.1−6.3.6に記載されている。
本発明のさらなる形態は、「アンチセンス」核酸に関する。「アンチセンス」核酸は、コードする「センス」核酸と相補的なヌクレオチド配列を含む。アンチセンス核酸は、全コード鎖とまたはその領域と相補的であってもよい。さらなる実施形態において、アンチセンス核酸分子は、ヌクレオチド配列のコード鎖の非コード領域に対してアンチセンスである。「非コード領域」の用語は、5’および3’非翻訳領域として識別される配列領域に関する。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50ヌクレオチド長であってもよい。本発明のアンチセンス核酸は、当業者によって確立された方法を用いて化学合成および酵素連結反応によって作製されうる。アンチセンス核酸は、分子の生物学的安定性を増加させる、またはアンチセンスおよびセンス核酸の間に生じる2本鎖の物理的安定性を増加させるような形態であれば、天然に存在するヌクレオチド、もしくはさまざまに修飾されたヌクレオチドを用いて化学的に合成されうる。例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが用いられる。アンチセンス核酸を生成するために用いられうる修飾ヌクレオチドの例としては、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシンなどが挙げられる。
本発明のアンチセンス核酸分子は、一般に、タンパク質の発現が例えば転写および/または翻訳の阻害によって阻害されるように、細胞のmRNAおよび/またはコードDNAとハイブリダイズするまたは結合するように、細胞に投与される、あるいは細胞内で製造される。
本発明の文脈において、「発現」または「強化」または「過剰発現」の用語は、対応するDNAによってコードされる微生物の1以上の酵素の細胞内活性の生成または増加を表現する。このために、例えば遺伝子を微生物に導入する、存在する遺伝子を他の遺伝子に置き換える、前記遺伝子または遺伝子群の複製の数を増加させる、強いプロモーターを用いる、あるいは高い活性を有する対応する酵素をコードする遺伝子を用いることができる、および、必要に応じてこれらの方法を組み合わせることができる。
本発明において、「弱体化する」または「減少する」の用語は、対応するDNAによってコードされる微生物の1以上の酵素の細胞内活性の弱体化または減少を表現する。このために、例えば生物の遺伝子を除去する、存在する遺伝子を他の遺伝子に置き換える、前記遺伝子または遺伝子群の転写の複製の数を低下させる、弱いプロモーターを用いる、あるいは低い活性を有する対応する酵素をコードする遺伝子を用いることができる、および、必要に応じてこれらの方法を組み合わせることができる。
c)発現コンストラクトおよびベクター:
本発明の主題はまた、調節核酸配列の遺伝子制御の中で、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を含む発現コンストラクト;および前記発現コンストラクトのうち少なくとも1つを含むベクターを含む。好ましくは、本発明の前記コンストラクトは、それぞれのコード配列の5’上流域のプロモーターおよび3’下流域のターミネーター配列を含み、必要に応じて、さらに従来の調節要素を含み、それぞれコード配列を作動可能なように連結する。
「作動可能なように連結」はプロモーター、コード配列、ターミネーターおよび、必要に応じて、それぞれの調節要素がコード配列の発現の条件による機能を果たしうるような型のさらなる調節要素の、連鎖配列として理解される。作動可能なように連結しうる配列の例として、標的配列およびエンハンサー、ポリアデニル化信号など挙げられる。さらなる調節要素には、選択可能な標識、増幅信号、複製起点などが含まれる。適当な調節配列は、例えばGoeddel,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)に記載されている。
人工的な調節配列に加えて、天然の調節配列も実際の構造遺伝子の前にさらに存在しうる。遺伝的障害によって、この天然の調節配列は必要に応じて捨てられ、遺伝子の発現が増加または減少しうる。しかしながら、遺伝子コンストラクトは、より簡単に構成され
(すなわち構造遺伝子の前にさらなる調節信号が挿入されない)、調節配列をもつ天然のプロモーターは除去されない。そのかわり、天然の調節配列はそれ以上の調節が起こらないように突然変異し、遺伝子の発現は増加または減少する。核酸配列は1以上の複製で、遺伝子コンストラクトの中に含まれる。
使用できるプロモーターの例として:グラム陽性菌プロモーターのamyおよびSP02、酵母プロモーターのADC1、MFアルファ、AC、P−60、CYC1、GAPDH、または植物プロモーターのCa MV/35S、SSU、OCS、lib4、usp、STLS1、B33、ただしユビキチンおよびファセオリンのプロモーターは含まない;のみならず、グラム陰性菌で有効に用いられるcos−、tac−、trp−、tet−、trp−tet−、lpp−、lac−、lpp−lac−、laclq−、T7−、T5−、T3−、gal−、trc−、ara−、SP6−、lambda−PR−、またはim lambda−PR−プロモーター;も挙げられる。特に好ましくは、Pプロモーターのような、例えば光および特に温度誘導性プロモーターなどの誘導性プロモーターである。原理的にはすべての天然のプロモーターはその調節配列に用いられうる。さらに、合成プロモーターも有効に用いられうる。
特異調節配列は、核酸配列の標的発現およびタンパク質の発現を可能にするであろう。これは、例えば、宿主生物に依存して、遺伝子が導入されたあと通常に発現するもしくは過剰発現する、またはすぐに発現および/もしくは過剰発現するようにできることを意味する。
本明細書中の調節配列および因子は、好ましくは発現を増加または減少させる、正の効果をもつ。したがって調節要素の強化は、プロモーターおよび/または「エンハンサー」などの強い転写信号が用いられることによって、転写レベルで有効に起こりうる。しかしながら、例えばmRNAの安定性が増加することによる翻訳の強化も同時に起こりうる。
発現カセットの生成は、適切なプロモーターを適切にコードするヌクレオチド配列およびターミネーターまたはポリアデニル化信号と融合することによって起こる。例えばT.Maniatis,E.F.Fritsch and J.Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989)、およびT.J.Silhavy,M.L.Berman and L.W.Enquist,Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1984)、およびAusubel,F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience(1987)に記載されるような現行の組み換えまたは複製の技術をこのために用いることができる。
適切な宿主生物における発現のために、組み換え核酸コンストラクトまたは遺伝子コンストラクトが、宿主の中で遺伝子の最適な発現を可能にする宿主特異的なベクターに有効に挿入される。
「ベクター」は当業者によく知られ、例えば「クローニングベクター(Cloning Vectors)」(Pouwels P.H.et al.,Hrsg,Elsevier,Amsterdam−New York−Oxford,1985)から引用される。ベクターは、プラスミドに加えて、例えばファージ、SV40、CMV、バキュロウイルスおよびアデノウイルスなどのウイルス、トランスポゾン、IS要素、プラスミド、コスミドおよび直線状または環状のDNAなど、当業者に知られている他の全てのベクターであると理解される。これらのベクターは宿主生物中で自己複製されるか、または染色体複製されてもよい。
以下に適切な発現ベクターの例を示す:
pGEX(ファルマシア バイオテク インコーポレイテッド,Pharmacia Biotech Inc;Smith,D.B.and Johnson,K.S.(1998)Gene 67:31−40)、pMAL(ニュー イングランド バイオラブズ、ビバリー、マサチューセッツ、New England Biolabs,Beverly,MA)およびpRIT 5(ファルマシア、ピスカタウェイ、ニュージャージーPharmacia,Piscataway,NJ)などの、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE−結合タンパク質またはタンパク質Aと組み換え標的タンパク質に融合する、一般的な融合発現ベクター。
pTrc(Amann et al.,(1988)Gene 69:310−315)およびpET 11d(Studier et al.Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,California(1990)60−89)などの、非融合タンパク質発現ベクター。
pYepSec1(Baldari et al.,(1987)Embo J.6:229−234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz(1982)Cell 30:933−943)、pJRY88(Schultz et al.(1987)gene 54:113−123)およびpYES2(インビトロジェン コーポレイション、サンジエゴ、カリフォルニア、Invitrogen Corporation,San Diego,CA)などの酵母S.セレヴィシエ(S.Cerevisiae)で発現する酵母発現ベクター。ベクターおよび糸状菌などの他の菌類での使用に適切なベクターを作製する方法は、van den Hondel, C.A.M.J.J.&Punt,P.J.(1991)“Gene transfer systems and vector development for filamentous fungi”、およびApplied Molecular Genetics of Fungi,J.F.Peberdy et al.,Hrsg.,pages 1−28,Cambridge University Press:Cambridgeに詳細に記載されるものを含む。
培養した昆虫の細胞(例えばSf9細胞)のタンパク質の発現に用いることができるバキュロウイルスベクターは、pAcアレイ(Smith et al.,(1983)Mol.Cell Biol.,3:2156−2165)およびpVLアレイ(Lucklow and Summers(1989)Virology 170:31−39)を含む。
Becker,D.,Kemper,E.,Schell,J.and Masterson,R.(1992)“New plant binary vectors with selectable markers located proximal to the left border”,Plant Mol.Biol.20:1195−1197;およびBevan,M.W.(1984)“Binary Agrobacterium vectors for plant transformation”,Nucl.Acids Res.12:8711−8721に詳細に記載されるもののような、植物発現ベクター。
pCDM8(Seed,B.(1987)Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufman et al.,(1987)EMBO J.6:187−195)などの哺乳類発現ベクター。
原核細胞または真核細胞の他の適当な発現系はSambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.,Molecular cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989の16章および17章に記載されている。
d)組み換え微生物:
本発明のベクターの助けによって、例えば、少なくとも1つの本発明のベクターを形質転換した、および本発明のポリペプチドの製造に用いられうる、組み換え微生物を製造することができる。上述の本発明の組み換えコンストラクトは適切な宿主系に有効に導入され、発現する。このとき、例えば共沈、原形質融合、エレクトロポレーション、レトロウイルスのトランスフェクションなどの当業者に知られた一般的に用いられるクローニングおよびトランスフェクションの方法が、それぞれの発現系で特定の核酸を発現させるために好ましく用いられる。適当な系は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology,F.Ausubel et al.,Hrsg.,Wiley Interscience,New York 1997、または、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989に記載されている。
本発明によって、相同的組み換え微生物も製造することができる。本発明の遺伝子またはそのコード配列のうち少なくとも1つの領域を含むベクターがこのために製造され、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、付加または置換が配列を変化させるために、例えば機能を妨げるために(「ノックアウト」ベクター)、導入される。導入される配列は、例えば関連する微生物のホモログであっても、または哺乳類、酵母、もしくは昆虫源から誘導されてもよい。相同的組み換えに用いられるベクターは、代わりに、内在性遺伝子が相同的組み換えとは別の経路で突然変異または変化するが、それでも機能タンパク質をコードするような形態であってもよい(例えば上流に位置する調節領域は、内在性タンパク質の発現が変化するような経路で変化しうる)。本発明の遺伝子の変化した領域は相同的組み換えベクターの中にある。相同的組み換えのための適当なベクターの作製は、例えばThomas,K.R. and Capecchi,M.R.(1987)Cell 51:503に記載されている。
宿主生物としては、原理的には本発明の核酸、その対立遺伝子の変異、その機能的等価物または誘導体の発現を可能にするすべての生物が適当である。宿主生物は、たとえば細菌、菌類、酵母、植物または動物の細胞であると理解される。好ましい生物は、大腸菌、ストレプトマイセス、バチルスまたはシュードモナスなどの細菌、サッカマイセス セレヴィシエ、アスペルギルスなどの真核微生物、Sf9またはCHO細胞などの動物または植物からの高等真核細胞である。
うまく形質転換した生物の選択は、ベクターまたは発現カセットにさらに含まれる標識遺伝子を用いて行われうる。この型の標識遺伝子の例は、抗生物質抵抗遺伝子および形質転換した細胞の着色をもたらす着色反応を触媒する酵素の遺伝子である。これらは、自動細胞分離によって選択されうる。ベクターを形質転換した、および対応する抗生物質抵抗遺伝子(例えばG418またはハイグロマイシン)をもつ遺伝子は、抗生物質または寒天を含む対応する培養液によって選択されうる。細胞表面に存在する標識タンパク質は、アフィニティークロマトグラフィーによる選択に用いられうる。
プラスミド、ウイルスまたはファージなどの宿主生物とその生物に適切なベクターとの結合(例えば、RNAポリメラーゼ/プロモーター系を有するプラスミド、ファージ8またはファージ7または他の溶原性ファージまたはトランスポゾンおよび/または他の有効な調節配列)は発現系を形成する。「発現系」の用語は、例えば、CHO細胞などの哺乳類の細胞と、pcDNA3neoベクターなどの哺乳類の細胞に適当なベクターとの結合として解されるべきである。
必要に応じて、遺伝子組み換え動物(特にマウス、ヒツジ)または遺伝子組み換え植物などの遺伝子組み換え生物の発現のために遺伝子産物をさらに導入してもよい。
e)ポリペプチドの組み換え生産物:
さらに、本発明の主題は、ポリペプチド生産微生物を培養し、必要に応じてポリペプチドの発現を誘導し、およびこれを培養から単離することによる、本発明のポリペプチド、機能的で、生物学的に活性なそのフラグメントの組み換え生産の方法を含む。さらに、必要に応じて前記ポリペプチドをこの方法で大きな工業的スケールで生産することができる。
前記組み換え微生物は既知の方法で培養および発酵されうる。例えば細菌はTBまたはLB培養液で、温度20〜40℃、pH6〜9で繁殖しうる。適当な培養条件は、例えばT.Maniatis,E.F.Fritsch and J.Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989)に詳細に記載されている。
前記ポリペプチドが培養液から分離されない場合、細胞は破壊され、既知のタンパク質分離方法によって生成物は溶解物から得られる。この場合、細胞は高周波数超音波によって、フレンチプレス細胞破砕機などによる高圧によって、浸透圧分解によって、洗浄剤、溶菌酵素または有機溶媒の効果によって、ホモジナイザーによって、または列記したいくつかの方法の組み合わせによって、破壊されうる。
前記ポリペプチドの精製は、限外ろ過、結晶化、塩析、透析およびネイティブゲル電気泳動などの他の従来の方法の他に、モレキュラーシーブクロマトグラフィー(ゲルろ過)などの、Q−セファロースクロマトグラフィーなどの、イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性クロマトグラフィーなどの既知のクロマトグラフ法を用いて達成されうる。適当な方法は、例えばCooper,F.G.,Biochemical Working Methods,Verlag Walter de Gruyter,Berlin, New York、または、Scopes,R.,Protein purification,Springer Verlag,New York,Heidelberg,Berlinに記載されている。これらの方法は非組み換え生産のポリペプチドに適用される。
組み換えタンパク質の単離のためには、たとえば、精製の簡略化に寄与するような変化したポリペプチドまたは融合タンパク質をコードするように、特定の核酸配列によってcDNAを伸長するベクター系またはオリゴヌクレオチドを使用することが特に有効である。この型の適当な修飾は、例えば、抗体の抗原として識別される、ヘキサヒスチジンのアンカーまたはエピトープとして知られる修飾(例えばHarlow,E.and Lane,D.,1988,Antibodies:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor(N.Y.)Pressに記載されている)のような、アンカーとしてはたらくいわゆる「タグ」であってもよい。これらのアンカーは、例えばクロマトグラフィーのカラムに充填されうる、またはマイクロタイタープレートまたは他の担体に用いられうるポリマーマトリックスなどの固体の担体上にタンパク質を接着させる働きをする。
同時に、これらのアンカーは、さらにタンパク質の識別のために用いられうる。タンパク質の識別には、さらに、蛍光色素、基質との反応後に検出可能な反応生成物を形成する酵素標識、または放射性標識などの従来の標識を、そのままで、またはタンパク質の誘導体化のためのアンカーと結合して用いてもよい。
f)所望のシアル化生産物の培養液からの精製
所望の生成物は、微生物または培養上清から、当業者によって知られたさまざまな方法で得られる。所望の生産物が細胞から分離されない場合、細胞を低速遠心分離によって培養液から回収し、機械的な力または超音波処理などの標準的な技術で細胞を溶解することができる。細胞の破片は遠心分離によって培養液から除かれ、溶解性タンパク質を含む上清部分が、所望の化合物のさらなる精製に供される。前記生産物が細胞から分離される場合、細胞は低速遠心分離によって除かれ、上清部分はさらなる精製に供される。
両方の精製プロセスにおける上清部分は、所望の分子が不純物に対してより高い選択性でクロマトグラフィー樹脂に保持されるまたはこれを通過する、適当な樹脂を用いたクロマトグラフィーにかけられてもよい。これらのクロマトグラフィーのステップは、必要に応じて、同じまたは別のクロマトグラフィー樹脂を用いて繰り返してもよい。当業者は、精製される特定の分子について適当なクロマトグラフィー樹脂およびその最も効果的な使用を適宜選択することができる。精製された生産物は、ろ過または限外ろ過によって濃縮し、生産物の安定性が最大になる温度で保存される。
多くの精製方法が従来技術によって知られている。これらの精製の技術は例えばBailey,J.E.& Ollis,D.F.Biochemical Engineering Fundamentals,McGraw−Hill:New York(1986)に記載されている。単離された化合物の識別および純度は、従来技術によって決定されうる。これらの技術には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分光学的な手法、着色法、薄層クロマトグラフィー、NIRS、酵素試験または微生物試験が含まれる。これらの分析手法は、例えばPatek et al.(1994)Appl.Environ.Microbiol.60:133−140;Malakhova et al.(1996)Biotekhnologiya 11 27−32;およびSchmidt et al.(1998)Bioprocess Engineer.19:67−70;Ullmann’s Encylopedia of Industrial Chemistry(1996)Bd.A27,VCH:Weinheim,pages 89−90,pages 521−540,pages 540−547,pages 559−566,pages 575−581,and pages 581−587;Michal,G(1999)Biochemical Pathways:An Atlas of Biochemistry and Molecular Biology,John Wiley and Sons;Fallon,A.et al.(1987)Applications of HPLC in Biochemistry:Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Bd.17にまとめられている。
以下の非制限的な例は本発明の特別な実施形態を記述する。
本発明のトランス−シアリダーゼの製造、精製、および使用の例
概要:
本発明の枠内で行われる、例えば制限分裂、アガロースゲル電気泳動、DNAフラグメントの精製、核酸のニトロセルロースおよびナイロン膜への移動、DNAフラグメントの結合、細胞の形質転換、細菌の培養、ファージの増殖および組み換えDNAの解析などのクローニングのステップは、Sambrookらの前掲箇所に記載されるように行った。
実施例1:コンゴ トリパノソーマの培養からの酵素の単離
コンゴ トリパノソーマの共変的な形態(スイス トロピカル インスティテュート バーゼル、Swiss Tropical Institute Basel(STIB)でstem No.249として提出される)を、10%の子ウシ胎児の血清およびヘミンを含むSM/SDM 79培養液中で27℃でCOを除いて培養する。3〜4日後、細胞数は約1x10から約7x10/mlに増加した。培養上清を遠心分離によって分離し、ろ過して、限外ろ過によって濃縮する。この方法で得られる培養上清中に、84%の酵素の活性が観察され、一方で他の16%の酵素の活性は細胞ペレットに結合して検出される。濃縮された培養上清は直接トランス−シアリダーゼ反応のための濃縮酵素として用いられる。所望のシアル化された分子は反応後培養上清から単離される。
実施例2:酵素の精製
高純度の酵素を単離するために、濃縮した培養上清をイオン交換カラム(Qセファロース)に導入する。カラムは洗浄の後、塩勾配によって溶出させる。TS2は、塩濃度が最大0.2Mで、およびTS1は塩勾配が最小0.2Mで溶出する。溶出後、両方の酵素を等電点電気泳動法、ゲルろ過(Sephades G150 SF)、アフィニティークロマトグラフィーまたはタンパク質沈殿によって外見上均質に精製されるまで分離する。
実施例3:酵素活性の決定
トランス−シアリダーゼの転移活性を決定するために、pH7.0の50mMのBisTrisバッファーに溶解した酵素溶液25μlに、ドナーとして1mMのNeufAc−α(2−3)ラクトース、およびアクセプターとして0.5mMの4−メチルウンベリフェリルガラクトシドを最終体積が50μlになるように加えて、37℃で2時間インキュベートする。1mlの氷水を加えてインキュベーションを停止させる。あらかじめ0.3mlのQセファロースFF(アセテート型)で充填し、あらかじめ水で平衡にしたカラムに反応バッチを導入する。アクセプターを水で洗い流し、デッドボリュームを捨てた後(200μl 1N HCl)、シアル化生成物を1NのHClで溶出させる(700μl)。生成物を95℃で45分間、酸加水分解し氷で冷却した後、プローブを250〜290μlの2NNaOHおよび300μlのpH10の1Mグリシン/NaOHバッファーで中和する。放出されたメチルウンベリフェロンの蛍光を黒色96穴プレート(マイクロフルオール、ダイネックス、米国、Microfluor,Dynex,U.S.A)で、励起波長365nm、発光波長450nmで測定する。酵素活性は測定された蛍光強度に対応し、あらかじめ作成した検量線(Engstler et al.,1992の方法による)から読み取ることができる。
実施例4:酵素の遺伝子組み換え産物の生物(細菌、酵母、菌類、植物)の製造
本明細書中に記載されるTS1およびTS2のDNS部分配列は、初めて、通常用いられる標準的な技術から前記酵素の全配列を確立することを可能にする(特に、本明細書に示されるDNS配列は非コードイントロンを含まないため)。対応する標準的な技術は、例えば「ポリメラーゼ連鎖反応」技術(PCR技術)、例えばインビトロジェン社またはクロンテック(Clontech)社製の市販のキットを用いて行うことができる、ゲノムDNSまたはcDNAおよびmRNAを用いる「サザンブロット」である。前記技術は当業者に知られ、とくに、Ausubel et al:Current Protocols in Molecular Biology,Edition 1989 and 2001に記載されている。それぞれの酵素の全DNSまたはその機能的部分配列は、標準的な形質転換技術(Ausubel et al.)によって所望の生産物生物に導入される。遺伝子組み換え生物はTS1およびTS2を製造し、遺伝子組み換え生物および/またはその培養上清から単離されうる。TS1またはTS2をコードするDNSのレシーバー生物としては、原核細菌、真核微生物、酵母および他の菌類、真核細胞培養、藻、植物、種子、動物、動物の部分、組織、ハイブリドーマ、それらから誘導される遺伝子組み換え生物;遺伝子生物の、遺伝子治療の、および遺伝子組み換えの組み換え体および生物、器官、組織ならびに細胞;が用いられる。ここで問題にする酵素は、対応する遺伝子組み換え生物の全体または部分からも、その培養上清からも、器官、組織、細胞、生物液、浸出液、眼、血液、リンパ液、牛乳、植物、藻および種子からもおよびそれらの部分からも単離されうる。
実施例5:酵素の反応の例
グリコマクロペプチド(GMP)6kgと、鎖長が6〜10糖であるガラクトオリゴ糖1kgを従来用いられるpH7.0の50mMのBisTrisバッファー(例えばダルムシュタット、メルク(Merk,Darmstadt)社製)に溶解する。溶液をトランス−シアリダーゼを含むコンゴ トリパノソーマの培養上清1lとあわせて37℃で3時間インキュベートする。このときトランス−シアリダーゼはシアル酸をGMPからガラクトオリゴ糖に転移させる。シアル化生成物は、従来のクロマトグラフ法(Ausubel at el.)またはろ過技術を用いて分離および精製することができ、製品処方のための純粋状態に用いることができる。
グリコマクロペプチド(GMP)は、牛乳からチーズを製造するときの廃棄物である。チーズの調製のためにカゼインを沈殿させたあと、残った乳清からろ過技術によってグリコマクロペプチド(GMP)を単離することができる。
ガラクトオリゴ糖は、ラクトースを市販の酵素であるベータ−ガラクトシダーゼで変換して製造される。この変換において、一方でベータ−ガラクトシダーゼはラクトースをそのモノマーの糖に分解する。他方では、この変換において、この変換の副反応で、分離されその後トランス−シアリダーゼ反応のアクセプターとして用いられる長鎖のガラクトオリゴ糖がさらに生成する。
実施例6:酵素の使用
単離された両方の酵素は、例えば、ベータ−ガラクトースを含むポリマー(アラビアゴムなど)、特にポリラクトサミンおよびガラクタンおよびガラクトオリゴ糖(GOS)、特にBorculo Domo Ingredients(BDI)社製のVivinal GOS、およびヤクルト(Yakult)社のオリゴメート55(Oligomate 55)などのベータ−ガラクトオリゴ糖をシアル化するために用いることができる。
これらのポリマーガラクトース糖および新たに形成されたガラクトオリゴ糖(実施例5に記載した生成物)は、本願のトランス−シアリダーゼによってシアル化されうる。シアル酸のドナーとして、上述のすべてのドナー、特にカゼイン(ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ラクダおよび他の動物由来)からのグリコマクロペプチドが用いられうる。シアル化された糖の構造は、ヒトの体内にも存在しそこで多くの型の機能を有する酸糖との高い類似性を示す。
本発明のトランス−シアリダーゼTS1およびTS2の、アミノ酸部分配列の比較を表す図である。双方の配列で一致するアミノ酸を太字で示す。2つの部分配列の一致度はわずか約50%である。 シアリダーゼ、シアリルトランスフェラーゼ、およびトランス−シアリダーゼのさまざまな反応を示す図である。 ランゲル トリパノソーマ(Trypanosoma rangeli)から得られるシアリダーゼ(T.r.S)、クルーズ トリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)から得られるトランス−シアリダーゼ(T.cr.TS)、およびブルース トリパノソーマ(Trypanosoma brucei brucei)から得られるトランス−シアリダーゼ(T.b.br.TS)のアミノ酸配列と、本発明のコンゴ トリパノソーマから得られる2つのトランス−シアリダーゼ(T.con.TS1およびT.con.TS2)の部分配列との比較を示す図である。全ての配列で共通のアミノ酸は、灰色地に白字で表示される。5つの配列のうち少なくとも4つに共通するアミノ酸は、灰色地に黒字で表示される。5つの配列のうち少なくとも3つに共通するアミノ酸は、薄い灰色で表示される。
【配列表】
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Claims (26)

  1. トランス−シアリダーゼ活性を有するタンパク質をコードし、コンゴ トリパノソーマ(Trypanosoma congolense)から単離されうるポリヌクレオチド。
  2. トランス−シアリダーゼ活性を有するタンパク質をコードし、ドナーからアクセプター分子へのシアル酸の転移を触媒する請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  3. 配列番号1もしくは3に記載される核酸配列を含む請求項1または2に記載のポリヌクレオチド、または少なくとも15の結合したヌクレオチド残基を含むそのフラグメント;前記ポリヌクレオチドもしくはフラグメントと相補的なポリヌクレオチドおよびフラグメント;および、遺伝子コードの変性によって前記ポリヌクレオチドから誘導されるヌクレオチド配列。
  4. 前記請求項のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドと、特にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
  5. 請求項4に記載のオリゴヌクレオチドと、特にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、トリパノソーマ属の微生物の遺伝子産物をコードするポリヌクレオチド。
  6. 請求項1〜3または5のいずれか1項に記載の核酸配列を含むポリヌクレオチドでコードされる;または配列番号2もしくは4に記載される少なくとも10の結合したアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する;ポリペプチド、およびトランス−シアリダーゼ活性を有するその機能的等価物。
  7. TDTVKYSTDGGRTWKREVIIPNGR(配列番号2の1〜25番目)、
    FRIPSLVEIDGVLIATFDTRYLRASDSSLI(配列番号4の1〜30番目)
    のアミノ酸部分配列のうち1つを特徴とする、トランス−シアリダーゼまたはトランス−シアリダーゼ活性を有するその機能的等価物。
  8. 以下の性質:
    ヌクレオチド配列 配列番号1
    アミノ酸配列 配列番号2
    最適温度 30〜40℃
    最適pH pH6.5〜8.5
    等電点 pH4〜5
    分子量、ネイティブ 400〜600kDa
    分子量、還元条件下SDS−PAGEによる 90kDa;
    のうち少なくとも1つを特徴とする、トランス−シアリダーゼ1(TS1)。
  9. 以下の性質:
    ヌクレオチド配列 配列番号3
    アミノ酸配列 配列番号4
    最適温度 30〜40℃
    最適pH pH6.5〜8.5
    等電点 pH5〜6
    分子量、ネイティブ 120〜180kDa
    分子量、還元条件下SDS−PAGEによる 90kDa;
    のうち少なくとも1つを特徴とする、トランス−シアリダーゼ2(TS2)。
  10. コンゴ トリパノソーマ微生物由来である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の物質。
  11. 合成による方法、特に化学的、生化学的、酵素反応的、遺伝子工学的、および遺伝子組み換えによる方法を用いて製造された、請求項1〜9のいずれか1項に記載の物質。
  12. 請求項8または9に記載のトランス−シアリダーゼの機能的等価物、配列番号2または4の対応するアミノ酸配列または部分配列との配列一致度が、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)85(8),1998,2444−2448のアルゴリズムで計算して、少なくとも50%または少なくとも60%、特に少なくとも65%または少なくとも70%、例えば75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%である;あるいは個々のもしくはいくつかのアミノ酸残基の1以上の欠失、付加、置換または反転を含む、または糖鎖付加パターンの変化を示す;それによってシアル酸のドナーからアクセプターへの転移の触媒作用の能力が維持される、アミノ酸配列または部分配列。
  13. 少なくとも1つの調節核酸配列を作動可能なように連結した請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸配列を含む、発現カセット。
  14. 請求項13に記載の少なくとも1つの発現カセットを含む、組み換えベクター。
  15. 請求項14に記載の少なくとも1つのベクターを形質転換した、原核細胞または真核細胞の宿主。
  16. トランス−シアリダーゼ活性をもつタンパク質の組み換え生産のための請求項13に記載の発現カセット、請求項14に記載のベクター、または請求項15に記載の宿主の使用。
  17. アクセプター分子がシアル酸残基をもつドナーとともに、請求項6〜12のいずれか1項に記載の酵素の存在下でインキュベートされ、シアル化されたアクセプターが単離されることを特徴とする、アクセプター分子の酵素によるシアル化の方法。
  18. 以下の性質:
    a)前記ドナーが、特にラクトフェリン、グリコリセートホエープロテインおよびカゼインなどの、オリゴ糖、多糖、ポリシアル酸、糖タンパク質、および糖脂質、ならびにそれらのフラグメントに結合したシアル酸から選択される;
    b)前記アクセプターが、β−ガラクトオリゴ糖、ラクチトール、ラクトビオン酸、メチル−β−ラクトシド、アセチルラクトサミン、ガラクトピラノシド、トランス−ガラクトオリゴ糖、ポリガラクトース、および末端にβ(1−3)もしくはβ(1−4)結合したガラクトースまたはガラクトースとの他の複合糖質などの、β−ガラクトースを含むポリマーから選択される;
    のうち、少なくとも1以上を特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. シアル酸によって制御される寄生虫、細菌、もしくはウイルスによる感染の予防または治療のための;腫瘍疾患の治療のための;組織の発育の障害に関連する疾患の治療のための;免疫系の疾患の治療のための;自己免疫反応の治療のための;細胞伝達の分断を伴う疾患の治療のための;または炎症の治療のための、薬剤、食品、あるいは食品添加剤を製造するための請求項6〜12のいずれか1項に記載のトランス−シアリダーゼ、それをコードする請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸配列、または請求項18もしくは19に記載の方法で製造されるシアル化生成物の使用。
  20. トリパノソーマ感染の治療もしくは予防のためのトリパノソーマ症ワクチンの開発のための、または酵素阻害剤の開発のための、請求項6〜12のいずれか1項に記載のトランス−シアリダーゼの使用。
  21. 酵素の作用から体細胞もしくは組織もしくは糖タンパク質を保護するための薬剤、食品添加剤、または食品を製造するための、請求項6〜12のいずれか1項に記載のトランス−シアリダーゼ、それをコードする請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸配列、あるいは請求項18もしくは19に記載の方法で製造されるシアル化生成物の使用。
  22. 体組織の発達および/または形態形成に影響を与えるための薬剤、食品添加剤、または食品を製造するための、請求項6〜12のいずれか1項に記載のトランス−シアリダーゼ、それをコードする請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸配列、あるいは請求項17もしくは18に記載の方法で製造されるシアル化生成物の使用。
  23. a)請求項6〜12のいずれか1項に記載のトランス−シアリダーゼと相互作用するポリペプチドリガンド;
    b)請求項6〜12のいずれか1項に記載のトランス−シアリダーゼの生物活性を調節する低分子エフェクター;および
    c)請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸配列のアンチセンス核酸配列;
    から選択される、請求項6〜12のいずれか1項に記載のトランス−シアリダーゼの、トランス−シアリダーゼ活性のエフェクター。
  24. トランス−シアリダーゼ活性に伴う疾患の治療または予防のための、製薬または遺伝子治療の手段、食品添加剤、または食品を製造するための、請求項23に記載のエフェクターの使用。
  25. a)コンゴ トリパノソーマが培養液中で培養される;
    b)および所望の生成物が塩勾配によってイオン交換クロマトグラフィーを用いて、必要に応じてその後等電点電気泳動法、ゲルろ過、アフィニティークロマトグラフィー、および/またはタンパク質沈殿を用いて培養上清から単離される、
    トランス−シアリダーゼ活性をもつ酵素の単離方法。
  26. 少なくとも1つの、請求項23に記載のエフェクターを製薬上もしくは遺伝子治療上適切な担体中に含む、製薬または遺伝子治療の手段。
JP2004559814A 2002-12-13 2003-12-11 コンゴトリパノソーマから得られるトランス−シアリダーゼ Pending JP2006509515A (ja)

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