JP2006508125A - 骨髄異形成症候群の治療におけるビタミンd化合物の使用方法 - Google Patents

骨髄異形成症候群の治療におけるビタミンd化合物の使用方法 Download PDF

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Abstract

MDSの治療またはその症状の改善のための方法を開示する。具体的な方法は、一つもしくは複数のビタミンD化合物、または、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物もしくはプロドラッグを、単独で、または一つもしくは複数のさらなる活性剤と併用して投与する工程を含む。他の方法は、高投与量の一つもしくは複数のビタミンD化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物もしくはプロドラッグを、単独で、または一つもしくは複数のさらなる活性剤と併用して間欠的に投与する工程を含む。そのような間欠的投与により、高カルシウム血症を最少化または除きながら、高投与量のビタミンD化合物を投与することができる。

Description

発明の分野
本発明は、一つには、ビタミンD化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを、単剤治療としてまたは他の治療薬と併用して投与する工程を含む、骨髄異形成症候群を治療するまたはその一つまたは複数の症状を改善する方法に関する。ビタミンD化合物は、高カルシウム血症のような副作用を避けるために間欠的投与を利用して、MDSを治療するまたはその症状を改善するために高投与量で投与することができる。
発明の背景
MDSの病理生物学
骨髄異形成症候群(MDS)は、造血幹細胞疾患の多様な群を意味する。MDSは、損なわれた形態および成熟(骨髄造血異常)、末梢血血球減少および、無効血球生成から長じる急性白血病への進行の種々の危険性を伴う細胞髄質により特徴付けられる。The Merck Manual 953(第17版、1999年)およびList et al.,1990,J.Clin.Oncol.8:1424-1441を参照されたい。
MDSは、主に、高齢者の疾患であり、発症の平均は70歳代である。これらの被検体の平均年齢は65歳であり、20歳代前半から80歳以上の高齢まで及ぶ。しかしながら、骨髄異形成は子供達も苦しめることがあり、成人と同様の臨床症状を呈する。Heany et al.,1999,New Eng.J.Med.340:1649-60参照。ダウン症候群のような遺伝的異常は、MDSを患う子供達の約30%に存在し、そのような子供達に骨髄異形成症候群の素因を作ると考えられている。同上参照。
特定の化学的治療薬または放射線治療で悪性腫瘍の治療を生き延びた被検体が、二次MDSまたは急性白血病を発症する率が高いので、MDSは一次または二次的であると特徴付けることができる。Zeidman et al.,1995,Haematologia(Budap)27:23-8参照。被検体の約60〜70%が明らかな曝露またはMDSの原因が無く、一次MDS被検体と分類される。しかしながら、疾患の発症の10〜15年前に不確定な薬剤または放射線への曝露の非特異的経歴が、一部の被検体に存在することがある。ベンゼン、殺虫剤、除草剤および殺菌剤を非限定的に含む化合物への曝露は、MDSの発病率の増加に関与する。West et al.,2000,Blood.95:2093-7およびGoldberg et al.,1990,Cancer Res.50:6876-81参照。二次MDSは、関連しない悪性腫瘍のための治療中に遺伝毒性化学治療薬または放射線に曝された後の、MDSまたは急性白血病の発生を意味する。Zeidman et al.,1995,Haematologia(Budap)27:23-8参照。これらの薬剤は、曝露後の、およびMDSまたは急性白血病の診断の際の染色体異常の高い発病率を伴う。
さらに、MDSは、重症の血球減少およびそれに関連する臨床的合併症を伴う。これらの血球減少症状のあり得る発現は、好中球減少および好中球機能不全に起因する感染、血小板減少および血小板機能不全に起因する出血、および貧血に起因する疲労の危険性の増加を含む。他の合併症は、骨髄線維症の発症であり、これが、血球数の減少および輸血の必要性の増加を加速し得る。Heany et al.,1999,New Eng.J.Med.340:1649-60およびLambertenghi-Deliliers et al.,1992,Leuk.Lymphoma.8:51-5参照。MDSを患う患者のためのもう一つの主要な臨床的事項は、その疾患が急性骨髄性白血病(AML)を引き起こす潜在性である。これらの発現のいずれかまたは全てが、苦しんでいる被検体の生存を短くし得る。
MDSにおいて、初期造血幹細胞の損傷は、他の因子のうち、細胞毒性化学療法、放射線、ウイルス、化学物質曝露および遺伝的素因により引き起こされ得る。MDSの初期段階は、主に、貧血、好中球減少および血小板減少を含む血球減少により特徴付けられる。疾患の経過は、各被験者において異なり、一部のケースは、無痛性疾患として現れ、他のケースは、迅速に急性白血病に転化する非常に短い臨床経過を伴って進行的に現れる。
血液学者の国際的グループであるFrench-American-British(FAB)Cooperative Groupは、MDS疾患を5つの亜群に分類し、それらを急性骨髄性白血病から識別している。The Merck Manual 954(第17版1999年);Bennett et al.,1985,Ann.Intern.Med.103:620-625;およびBesa,1992,Med.Clin.North Am.76(3):599-617参照。FAB分類によれば、骨髄中の5%以下の骨髄芽球により特徴付けられる難治性貧血の次の2つの亜群がある。(1)難治性貧血(RA)および(2)異常環状鉄芽球を伴う赤血球系細胞を15%有すると形態学的に定義され、ミトコンドリア中の異常な鉄蓄積を反映している、環状鉄芽球(RARS)を伴うRA。Besa,1992,Med.Clin.North Am.76(3):599-617。5%を超える骨髄芽球を伴う難治性貧血の次の2つの亜群もある。(1)骨髄芽球が6〜20%であると定義される過剰な芽細胞を伴うRA(RAEB)および(2)骨髄芽球が21〜30%である形質転換中のRAEB(RAEB-T)。最後に、5番目でMDSのタイプの分類が最も困難であるものは、慢性骨髄単球性白血病(CMML)と呼ばれる。この亜型は、任意の割合の骨髄芽球を含み得るが、1000/dL以上の単球増加を発現する。Harris et al.,1999,J.Clin.Oncol.17:3835-49参照。
より最近では、世界保健機関が、国際予後スコアリングシステム(IPSS)と呼ばれるMDS用の分類系を提案した。この系は、MDS疾患を、骨髄芽球の割合、細胞遺伝的亜群および血球減少数に基づき4つの予後カテゴリーに分類している。Greenberg et al.,1998,Blood.89:2079-88およびBennett,2000,Int.J.Hematol.72:131-33参照。FAB分類系は今でも使用されているが、IPSSは、急性骨髄性白血病(AML)への疾患進行および患者生存率の予想に優れている。IPSSによれば、以下の表1により示される各分類変数に割り当てられる値を合計し、以下の表2により示されるMDSの予後カテゴリーが決められる。Greenberg et al.,1998,Blood.89:2079-88参照。MDSのリスクの低い患者の生存時間の中央値は5.7年であるが、MDSのリスクの高い患者の生存時間の中央値は僅か0.4年である。中程度-1および-2のMDSを患う患者の生存時間の中央値は、それぞれ、3.5および1.2年である。同上参照。
(表1)
Figure 2006508125
(表2)
Figure 2006508125
米国におけるMDSの実際の発病率は知られていない。MDSは、最初は、1976年に別個の疾患として考えられ、出現率は、新規症例が毎年1500件であると推定された。その時点において、5%未満の骨髄芽球を有する被検体のみが、この疾患を有すると考えられていた。最近(1999年)の統計では、新規症例が毎年13,000件、および子供においては毎年約1000件であると推定され、西半球における白血病の最も一般的形態である慢性リンパ球性白血病を超えている。発病率が増加しているという理解は、認識および診断基準の改良による。この疾患は世界中で見られる。
現存のMDSの治療
MDSの最近の治療は、疾患の過程における特定の相において優勢である機構に基づく。若い被検体には、適合したドナーによる骨髄移植が好ましい治療であるが、高齢被検体は、多くが貧血の症候があり輸血に依存するので、そのような過激な関与のための候補者にならないことが多い。造血成長因子またはサイトカインは、血球発生の刺激に用いることができ、被検体の亜集団において効果的である。他の治療には、感染の攻撃的治療と組み合わされた赤血球および血小板の輸液を伴う支持的治療が含まれる。さらに、多くの他のクラスの潜在的治療薬も、骨髄異形成症候群の治療における効率について調べられたが、成功は限られていた。そのようなクラスには、免疫修飾物質、細胞毒性薬、RNA転写に影響を与える薬剤、ビタミンA、EおよびKの誘導体、MDSに関連する生物学的標的を特異的に結合する薬剤、シグナルトランスダクション阻害剤、細胞保護剤、およびヒ素含有化合物が含まれる。
予後の悪いまたは後期MDSの被検体において骨髄移植が用いられてきた。Epstein et al.,1985,Surg.Ann.17:23-29参照。不運なことに、骨髄移植は、侵襲的であり、ドナーおよびレシピエントの両方に痛みを伴い、レシピエントにおいて重症から致命的な合併症を引き起こし得る。標準的同種異系移植治療は、疾患を根絶すると共にレシピエントを免疫抑制して移植を可能にして移植片拒絶を防止するための、化学的治療薬の最大限に許容される投与量および合計体照射に依存する。移植後免疫抑制が耐性の誘発および移植片対宿主疾患の制御に用いられる。すなわち、同種異系移植は、本質的に、若年の健康な被検体の治療に限定され、特殊入院ユニット中で実施しなければならなかった。移植に関連する死亡率は、最適条件下で約20〜25%であり、30〜35%と高くなり得る。Deeg et al.,2000,Leuk.Res.24:653-63参照。この理由で、50歳代を超える被検体には移植は殆ど行われておらず、ほかの致命的疾患を被る被検体に限られていた。
症候性難治性貧血の被検体における繰り返される移植は、感染性疾患の伝達、輸血反応および心臓血管過負荷の臨床的リスクを伴う。さらに、約20〜30回の輸血のような多輸血は、少なくとも血清鉄の細密なモニタリングを必要とし、毎日のキレート化治療をしばしば必要とする症状である二次性血色素沈着症を引き起こし得る。
造血成長因子またはサイトカインは、MDSを治療して血球発生を刺激する別の手段である。Dexter,1987,Cell Sci.88:1-6;Moore,1991,Annu.Rev.Immunol.9:159-91;およびBesa,1992,Med.Clin.North Am.76(3):599-617参照。造血成長因子は、血球形成のプロセスに関与するホルモンである。この治療は、系列特異的始原細胞を発生させる少数の自己回復性幹細胞の増殖を刺激する工程を含み、これらはその後、増殖および分化して成熟循環血球を生成する。Metcalf,1985,Science.229:16;Dexter,1987,J.Cell Sci.88:1-6;Golde et al.,1988,Scientific American:62-71;Tabbara et al.,1991,Anti-Cancer Res.11:81-90;Ogawa,1989,Environ.Health Persp.80:199-207;およびDexter,1989,Med.Bull.45:337-49参照。最も良好に特徴付けられている成長因子には、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)および顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が含まれる。造血始原細胞の増殖および分化の誘発に加えて、そのようなサイトカインは、成熟造血細胞の移動に影響を与えることを含む成熟血球の多数の機能も活性化する。
Figure 2006508125
を参照されたい。
r-HuEPO(組換えヒトエリスロポイエチン;エポエチン・アルファ;EPOGEN(登録商標)、Amgen製;PROCRIT(登録商標)、Ortho Biotech製)およびr-metHuG-CSF(組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子;フィルグラスチム;NEUPOGEN(登録商標)、Amgen製)のような組換え的に生成された造血成長因子は、被検体の亜集団において、それぞれ、赤血球(RBC)および好中球の生成の支持において有効であった。Hellstrom-Lindberg et al.,1998,Blood.92:68-75およびHellstrom-Lindberg et al.,1997,Br.J.Haematol.99:344-51参照。付随して増加したヘモグロビンレベルにより、癌被検体の幾つかの大集団試行において生命の質を向上させることになる。例えばGlaspy et al.,1997,J.Clin.Oncol.15:1218-34およびDetetri et al.,1998,J.Clin.Oncol.16:3412-25を参照。
しかしながら、MDSの貧血は、しばしば重症であり、造血成長因子またはサイトカインに対して難治性である。貧血は、鬱血性心不全、冠状動脈疾患および慢性肺疾患を非限定的に含む高齢被検体に共通の症状を悪化させる。被検体の約20%しかEPO単独には反応せず、被検体の約40%が、G-CSFと共に投与されたEPOに反応する。Hellstrom-Lindberg et al.,1998,Blood.92:68-75およびHellstrom-Lindberg et al.,1997,Br.J.Haematol.99:344-51参照。200mU/mLを下回る血清中エリスロポイエチンレベルはEPOへの反応をしばしば暗示するが、反応性は疾患のステージに依存し、難治性貧血および環状鉄芽球を伴う難治性貧血において21%の割合であり、過剰の芽細胞を伴う難治性貧血においては僅かに8%の割合である。Hellstrom-Lindberg et al.,1997,Br.J.Haematol.99:344-51およびHellstrom-Lindberg,1995,Br.J.Haematol.89:67-71参照。すなわち、EPO、G-CSFまたは他の成長因子での治療は、MDSを患う被検体の全てまたは大部分を治療するのに効果的でない。
MDSの治療において投与される他の成長因子には、トロンボポイエチン、インターフェロン-α、インターロイキン-1、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-6、インターロイキン-8、インターロイキン-11およびインターロイキン-12が含まれる。これらの因子の多くが、インビトロおよび前臨床研究において有望であるが、今までの臨床試験は、殆ど〜全く成功していない。
Figure 2006508125
を参照されたい。
免疫修飾物質、細胞毒性薬、RNA転写に影響を与える薬剤、ビタミンA、EおよびKの誘導体、MDSに関連する生物学的標的に特異的に結合する薬剤、シグナルトランスダクション阻害剤、細胞保護剤、およびヒ素含有化合物を用いたMDSの治療も試された。例えば、MDSのための潜在的な治療薬として試験された免疫修飾物質には、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、抗リンパ球グロブリン(ALG)、サリドマイド、プレドニゾン、シクロスポリンA(CyA)、デキサメタゾンおよびペントキシフィリンが含まれる。例えば、
Figure 2006508125
を参照されたい。試験された細胞毒性薬には、シタラビン、メルファラン、トポテカン(topotecan)、フルダラビン(fludarabine)、エトポシド、イダルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、シスプラチン、パクリタキセルおよびシクロホスファミドが含まれる。例えば、
Figure 2006508125
を参照されたい。
さらに、MDS用の潜在的な治療手段として試験されてきたRNA転写に影響を与える薬剤には、デシタビン(decitabine)、5-アザシチジン、デプシペプチドおよびフェニルブチレートが含まれる。例えば、
Figure 2006508125
を参照されたい。MDS用の治療手段として評価されてきたビタミンA、EおよびKの誘導体には、全てのトランスレチン酸、13-シス-レチン酸、トロフェロールおよびメナテトレノンが含まれる。例えば、Stasi et al.,2002,Blood.99:1578;Hofmann et al.,2000,Leukemia.14:1583;Takami et al.,2002,Ann.Hematol.81:16;およびBesa et al.,1998,Leuk.Res.22:741を参照。潜在的な治療手段として試験されてきたMDSに関連する生物学的標的を特異的に結合する薬剤には、抗-VEGF、ゲムツズマブ・オゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)およびTNFR:Fcが含まれる。例えば、Verstovsek et al.,2002,Br.J.Haematol.118:151;List,2002,Oncologist 7 Suppl 1:39;およびRosenfeld et al.,2002,Leuk.Res.26:721を参照。MDS用の治療薬として試されてきたシグナルトランスダクション阻害剤には、ZARNESTRA(商標)およびSARASAR(商標)のようなファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤および、SU5416、SU6668およびPTK787/ZK222584のようなチロシンキナーゼ阻害剤が含まれる。例えば、Kurzrock,2002,Semin.Hematol.39(3 Suppl 2):18;Cortes et al.,2002,Semin.Hematol.39(3 Suppl 2):26;List,Oncologist 7 Suppl 1:39(2002);およびCheson et al.,2000,Semin.Oncol.27:560を参照。最後に、MDS用の潜在的な治療手段として評価されてきた細胞保護剤およびヒ素含有化合物は、それぞれ、アミフォスチン(amifostine)および三酸化ヒ素である。例えば、Arboscello et al.,2002,AntiCancer Res.22:1819;Invernizzi et al.,2002,Br.J.Hematol.118:246;およびMiller,2002,Oncologist 7 Suppl 1:14を参照。一つの例外として、これらの治療のいずれも、MDSを患う被検体において著しい治療効果を明らかにもたらすことはない。
MDS用の可能な治療手段として前記化合物を試験する際に観察される他の一律に凡庸〜劣った結果に対する唯一の例外は、5-アザシチジンである。Silvermanは、28日のうち7日間の5-アザシチジンの75mg/m2/日を皮下注射した患者の一部の60%が、少なくとも部分的反応を呈し、患者の7%が完全な反応を示すことを報告した。Silverman et al.,2002,J.Clin.Oncol.20:2429参照。しかしながら、この治療方式は、幾つかの欠点を被る。5-アザシチジンは著しく毒性であり、それを投与した被検体において重度の悪心および嘔吐を引き起こし得る。また、このプロトコールを投与する方法は、治療の週において毎日臨床的な投与を受けなければならない患者に不都合である。最後に、5-アザシチジンの投与は、まず、MDSを患う患者の血球減少を引き起こし、その後回復する前に悪化を生じさせ、一部の患者には危険または致死的となり得る。従って、MDSを治療および管理する安全で効果的な方法が依然として必要とされている。特に、MDSに関連する貧血を治療し、RBC輸血の必要性を低下させる際に効果的な方法は、臨床的に有益である。
ビタミンD化合物
ビタミンDは、ビタミンD受容体への親和性を有するセコステロイドの科に対する総称であり、カルシウムとリン酸塩の代謝の生理学的調節に関与する。Harrison's Principles of Internal Medicine:Part Eleven,「Disorders of Bone and Mineral Metabolism」,E.Braunwald et al.,(eds.)1987,McGraw-Hill、New York,at Chapter 335,pp.1860-1865,Stumpf et al.,1979,Science 206,1188-90,およびHolick,1995,Bone 17,107S-11Sを参照。ビタミンDは、合成の作用および機構の複合的組み合わせを呈する。コレカルシフェロール(ビタミンD3)は、紫外線照射に続いて皮膚内で7-デヒドロコレステロールから合成される。ビタミンD3の類似体であるビタミンD2は、食物から摂取することができる。充分な生物学的活性には、ビタミンD2の2つの一連のヒドロキシル化が必要である。肝臓内で起こる最初のヒドロキシル化により、25-ヒドロキシコレカルシフェロールが形成され、一方、腎臓内で起こる第2のヒドロキシル化により、ビタミンDの最も有効な生物学的代謝産物である1α,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール(カルシトリオールとしても知られている)が形成される。
カルシトリオールは、腸管吸収、尿排泄および、骨格骨からの動員を調整することによりカルシウム恒常性を維持する。これらの効果は、ゲノム経路と非ゲノム経路の両方を通して実施することができる。ゲノム反応は、核ビタミンD受容体(VDR)を結合するカルシトリオールにより媒介される。VDRは、そのプロモーター/エンハンサー領域中でビタミンD反応要素により調節される遺伝子の転写を活性化する配位子活性化転写因子である。Mangelsdorf et al.,1995,Cell 83,835-9参照。非ゲノム経路は、未だ特徴付けられていない膜結合受容体により媒介される。
さらに、VDRは、カルシウム恒常性に関与しない種々の器官からの細胞中で見つかった。Miller et al.,1992,Cancer Res.52,515-520参照。カルシウム恒常性への影響に加えて、ビタミンD化合物は、骨形成、免疫反応の修飾、膵B細胞によるインスリン分泌の修飾、筋肉細胞の機能、および表皮および造血組織の分化および成長において関与している。
癌の治療におけるビタミンD化合物の使用が試されてきた。例えば、特定のビタミンD化合物および類似体は、白血病細胞の非悪性マクロファージ(単球)への分化を誘発するその能力故に、有効な抗白血病活性を有し、従って、白血病の治療において有用である。Suda et al.,米国特許第4,391,802号;Partridge et al.,米国特許第4,594,340号を参照されたい。カルシトリオールおよび他のビタミンD3類似体の抗増殖および分化作用が前立腺癌の治療に対しても報告された。Bishop et al.,米国特許第5,795,882号を参照されたい。ビタミンD化合物は、皮膚癌(Chida et al.,1985,Cancer Res.45,5426-5430参照)、結腸癌(Disman et al.,1987,Cancer Res.47,21-25参照)および肺癌(Sato et al.,1982,J.Exp.Med.138,445-446参照)の治療においても関与している。ビタミンD化合物の重要な治療的使用を示唆している他の報告が、Rodriguez et al.,米国特許第6,034,079号に要約されている。
ビタミンD化合物は、過増殖性疾患の治療のために、他の薬剤、特に、細胞毒性薬と併用しても投与されてきた。例えば、過増殖性細胞をビタミンD化合物で予め治療し続いて細胞毒性剤で治療すること、細胞毒性剤の効能が向上することが示された(米国特許第6,087,350号および6,559,139号)。
ビタミンD化合物の投与により実質的に治療効果が得られるが、癌またはMDS用の治療としてのその使用は、これらの化合物がカルシウム代謝において有する効果により厳密に制限されてきた。インビボでの効果的使用に必要なレベルにおいて、ビタミンD化合物は、その固有のカルシウム血症活性故に、著しく高められた潜在的に危険な血中カルシウムレベルを誘発し得る。すなわち、癌またはMDSの治療のためにカルシトリオールおよび他のビタミンD化合物を臨床的に用いることは、高カルシウム血症の危険性故に、予め排除されまたは厳しく制限されてきた。
全身性高カルシウム血症の問題は、重度の高カルシウム血症の発生を避けつつ、抗増殖性が観察されるように充分な投与量の活性型ビタミンD化合物を「高投与量パルス投与」(HDPA)することにより克服され得ることが示された。米国特許第6,521,608号によれば、活性型ビタミンD化合物を、3日毎を超えず、例えば、1週間に1回、少なくとも0.12μg/kg/日(70kgのヒトにおいて8.4μg)の投与量で投与して良い。6,521,608のHDPA治療プログラムにおいて用いられる薬学的組成物は、活性型ビタミンD化合物5〜100μgを含み、経口、静脈内、筋肉内、局所、経皮、舌下、鼻腔内、腫瘍内または他の製剤用の状態で投与して良い。難治性悪性腫瘍患者へカルシトリオールを毎週投与する第I期試験において、カルシトリオールのHDPAが、非投与量制限的毒性を生み出し、治療範囲内で平均的ピークカルシトリオールレベルを発生させることが示された。Beer et al.,Cancer.91,2431-39(2001)参照。
MDSの治療におけるビタミンD化合物の投与
MDS用の前臨床動物モデルは得られないが、カルシトリオールは、インビトロで骨髄始原細胞の成長を変更させ、投与量依存的に単球始原細胞の発生を促進することが報告された。Swanson et al.,1986,Blood 67,1154-1161参照。さらに、一部のMDS被検体の骨髄微小環境中にカルシトリオールの局所的欠損が存在し得ることを示す根拠がある。Blazsek et al.,1996,Cancer Detect.Prevent.20,31-42参照。カルシトリオールは、血液透析の際に、貧血を改善し、被検体における赤血球産生性薬の必要性を減少させるようである。Goicoechea et al.,1998,Nephron 78,23-27参照。MDSを治療するためのカルシトリオールの使用に関する前臨床データは矛盾無く陽性であるが、治療薬としてのカルシトリオールの臨床試験からの結果は、反応の範囲および月並みの条件に限定される。Morosetti et al.,1996,Semin.Hematol.33,236-245参照。これらの結果についての一つの理由は、カルシトリオールを2μg/日投与するだけで高カルシウム血症を誘発することであった。Koeffler et al.,1985,Cancer Treat.Rep.69,1399-1407参照。最大で0.75μg/日のカルシトリオールが、高カルシウム血症を伴わないMDSを患う患者に投与された。Mellibovsky et al.,1998,Brit.J.Haemotol.100,516-520参照。これらの研究は、投与された量のビタミンD化合物が、一部の形態のMDSを患う一部の被検体に利益を与えるが、被検体において高カルシウム血症を引き起こすことなく投与量をより効果的なレベルまで高めることはできなかったことを報告している。
MDS用の過去および現在の治療法の前記レビューは、多数の潜在的治療薬が、MDSを治療するその能力について試験され、試験されていることを示す。それにも係わらず、これらの薬剤のいずれも、臨床的評価においてはっきりとした成功を得られなかった。実際、この疾患を指向した食品医薬品局(Food and Drug Administration)が認可した薬剤は未だ無い。List,2002,Oncologist 7(Suppl 1):39-49参照。さらに、骨髄移植および高投与量化学療法のようなより攻撃的の治療の多くが、彼らの進行した年齢および弱くなった状態故に、MDSを患う被検体の多くに不適当である。同上参照。従って、MDSを治療するまたはその症状を改善する安全かつ効果的な方法が今でも満たされることなく必要とされている。特に、MDSを伴う貧血の治療および輸血の必要性の減少において効果的な方法は、臨床的に有利である。カルシトリオールおよび他のビタミンD化合物が、そのような臨床的利益を発揮することが示されたが、治療薬としてのそれらの有用性は高カルシウム血症の誘発により制限されていた。従って、高カルシウム血症のような不要かつ危険な副作用を引き起こすことなく、MDSを治療する方法が必要とされている。
本明細書の参考文献の引用または説明は、そのようなものが本発明の先行技術であるという認可と見なされるものではない。
発明の概要
本発明は、高カルシウム血症を回避または最少化しつつ、治療有効投与量のビタミンD化合物または薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはそれらのプロドラッグをそれを必要としている被検体に投与する工程を含む、骨髄異形成症候群(MDS)を治療する、またはその症状、特にMDSの貧血を改善するための方法および組成物を含む。これらの方法および組成物は、MDSの治療または、その症状の改善のために用いることができ、それに関連する高カルシウム血症の症状は殆どまたは全く無い。
一部の局面において、本発明の方法は、治療有効投与量のビタミンD化合物を間欠的に投与し、任意で一つまたは複数のさらなる活性剤を投与する工程を含む。ビタミンD化合物の投与量は高投与量とすることができ、本発明の方法によりビタミンD化合物を間欠的に投与すると高カルシウム血症を引き起こすことなく被検体に高投与量で投与することが可能となる。ビタミンD化合物は限定されることなく任意のビタミンD化合物であり得る。好ましい態様において、ビタミンD化合物は、カルシトリオールのような活性型ビタミンD化合物である。ビタミンD化合物の治療有効投与量は、約3μg/日〜約300μg/日の間の投与量、または以下に記載するようなその中の任意の範囲の投与量とすることができる。特定の態様において、ビタミンD化合物は、3日毎に1回を超えず投与することができる。好ましい態様において、ビタミンD化合物は、1週間当たり約1回投与される。活性型ビタミンD化合物の治療有効投与量は、好ましくは約3μg/日〜約300μg/日、より好ましくは約5μg/日〜約200μg/日、より好ましくは約15μg/日〜約105μg/日、より好ましくは約15μg/日〜約90μg/日、より好ましくは約20μg/日〜約80μg/日、より好ましくは約35μg/日〜約75μg/日、より好ましくは約30μg/日〜約60μg/日、さらにより好ましくは約45μg/日である。特定の態様において、ビタミンD化合物の治療有効投与量は、安全に、少なくとも約0.5nM、より好ましくは約1〜7nM、さらにより好ましくは約3〜5nMのビタミンD化合物のピーク血漿中濃度を達成する。本発明の方法により任意のビタミンD化合物を用いてよいが、好ましいビタミンD化合物は、ピーク血漿中濃度を迅速に達成し、迅速に除去される。
さらなる態様において、本発明は、治療有効投与量のビタミンD化合物を一つまたは複数のさらなる活性剤と併用して投与する工程を含む、MDSを治療するまたはその症状を改善する方法を提供する。ビタミンD化合物の治療有効投与量は、MDSを治療またはその症状を改善するのに効果的な一つまたは複数のさらなる活性剤と併用して任意の投与量とすることができる。特定の態様において、ビタミンD化合物の治療有効投与量は高投与量である。さらなる活性剤は、一つまたは複数の成長因子、例えば、造血成長因子またはサイトカイン;免疫修飾物質;細胞毒性剤、例えば、代謝拮抗物質剤、抗微小管剤、アルキル化剤、白金剤、アントラサイクリン、抗生物質、またはトポイソメラーゼ阻害剤;RNA転写に影響を与える薬剤;ビタミンA、EおよびKの誘導体;MDSに関連する生物学的標的を特異的に結合する薬剤;シグナルトランスダクション阻害剤;細胞保護剤;ヒ素含有化合物であり得る。造血成長因子またはサイトカインとしては、例えば、エリスロポイエチン(EPO)および顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、特に、組換えヒトエリスロポイエチン(r-HuEPO)、組換えメチオニルヒト顆粒球コロニー刺激因子(r-metHuG-CSF)が含まれるが、これらに限定されない。さらなる態様において、本発明は、一つまたは複数のビタミンD化合物および一つまたは複数のさらなる活性剤を含む薬学的組成物を提供する。
本発明の方法において、ビタミンD化合物および任意で一つまたは複数のさらなる活性剤を、薬学的組成物の形態、単一単位投与形態として、または、一つまたは複数のビタミンD化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを含む、MDSの治療またはその症状の改善に用いるのに適した製品として投与することができる。ビタミンD化合物および任意で一つまたは複数のさらなる活性剤を、当業者に知られている任意の薬学的組成物中に配合することができる。特定の態様において、ビタミンD化合物が、経口または静脈内組成物中に投与される。好ましい経口組成物は、一つまたは複数のビタミンD化合物、親油性相成分および界面活性剤を含むエマルジョン前濃縮物(pre-concentrate)を含む。本発明の特定の態様において、MDSの治療またはその症状の改善のための組成物は、治療有効投与量のビタミンD化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを、一つまたは複数のさらなる活性剤と組み合わせて含む。
本発明の方法および組成物は、被検体、好ましくはヒト被検体における、MDSの治療またはその症状の改善に有用である。驚くべきことに、本発明の方法および組成物は、高カルシウム血症の効果を最少化または回避しつつ、カルシトリオールのような活性型ビタミンD化合物と共にMDSの治療またはその症状の改善に用いることができる。
発明の詳細な説明
本発明は、高カルシウム血症の危険性を最少化または除去しつつ、一つまたは複数のビタミンD化合物、好ましくは、カルシトリオールのような活性型ビタミンD化合物を用いる、骨髄異形成症候群の治療またはその症状の改善のための方法および組成物を提供する。本発明の特定の局面において、一つまたは複数のビタミンD化合物は、一つまたは複数のさらなる活性剤と併用して投与される。
定義
「活性型ビタミンD化合物」は、被検体に投与されたまたは細胞と接触したときに生物学的活性であるビタミンD化合物を意味する。ビタミンD化合物の生物学的活性は、本明細書に記載されたまたは当業者に周知のアッセイ、例えば、遺伝子の発現を測定するイムノアッセイ(例えば、酵素連結免疫測定法(ELISA))により評価することができる。ビタミンD化合物は、体内で複数の異なる活性レベルを有する複数の形状で存在する。例えば、ビタミンD化合物は、まず、肝臓中でヒドロキシル化して25-ヒドロキシコレカルシフェロールとして部分的に活性化し、次に、腎臓中で充分に活性化して、特に「カルシトリオール」としても知られている1α,25-ジヒドロキシコレカルシフェロールにすることができる。しかしながら、カルシトリオールは、ヒトにおいてビタミンDの主要な生物学的活性状態であり、体内において直ぐに利用するためにさらに修飾する必要がない。
「カルシウム血症指数」は、カルシウム血症反応を発生させる薬剤の相対的能力の測定手段である。そのような測定手段が、例えば、Bouillon et al.,1995,Endocrine Reviews 16:200-7に示されている。カルシウム血症指数1は、カルシトリオールの相対的カルシウム血症活性に相当する。カルシウム血症指数約0.01は、カルシポトリオールのカルシウム血症活性に相当する。カルシウム血症指数0.5は、カルシトリオールのカルシウム血症活性の約半分を有する薬剤に相当する。Hurwitz et al.,1967,J.Nutr.91,319-323およびYamada et al.,1988,Mol.Cell.Endocrinol.59,57-66に報告されているように、薬剤のカルシウム血症指数は、例えば、腸内カルシウム吸収(ICA)の刺激を測定してもまたは骨カルシウム動員活性(BCM)を測定しても、用いられるアッセイに依存して変化し得る。相対的カルシウム血症活性は、最適に特徴付けられたビタミンD化合物の一つであるカルシトリオールのカルシウム血症活性について最高に発現される。
「臨床的高カルシウム血症」は、高カルシウム血症の徴候または症状の一つまたは複数を示す。高カルシウム血症の初期発現には、衰弱、頭痛、傾眠、悪心、嘔吐、口内乾燥、便秘、筋肉痛、骨痛または金属性味覚が含まれる。後期発現には、多飲、多尿、体重減少、膵臓炎、光恐怖症、掻痒、腎不全、アミノトランスフェラーゼ上昇、高血圧、心不整脈、精神病、昏迷、昏睡および異所性石灰化が含まれる。高カルシウム血症は生命を脅かすことがあり、よって、典型的には、ビタミンD化合物の投与において回避される。
「エマルジョン前濃縮物」は、水のような極性媒体と接触したときにエマルジョンを提供することができる製剤を意味する。「エマルジョン」という用語は、水のような極性媒体と、非限定的に疎水性、すなわち、親油性の有機成分を含む有機成分とを含むコロイド状分散物を意味し、従来のエマルジョンおよびサブミクロン液滴エマルジョンの両方に言及する。「サブミクロン液滴エマルジョン」という用語は、有機成分のコロイド状分散液を形成している液滴または粒子が約1000nmを下回る平均最大寸法を有するエマルジョンを意味する。
「高カルシウム血症」は、血中カルシウム濃度が正常値を超える症状を意味する(しかし正常値は、用いる測定技術に依存して僅かに変わり得る)。「正常」と考えられる濃度は、測定技術の変化と共に僅かに変わるが、ヒトにおいて10.5mg/dLを超える値は高カルシウム血症と考えられる。高カルシウム血症は、グレード0〜4に分類することができる。グレード0は、10.6mg/dLを下回る血中カルシウム濃度に相当し、グレード1は、10.6〜11.5mg/dLの血中カルシウム濃度に相当し、グレード2は、11.6〜12.5mg/dLの血中カルシウム濃度に相当し、グレード3は、12.6〜13.5mg/dLの血中カルシウム濃度に相当し、グレード4は、13.5mg/dLを超える血中カルシウム濃度に相当する。例えば、米国特許第6,521,608号を参照されたい。
「併用して」という用語は、複数の治療薬の使用を意味する。「併用して」という用語の使用は、MDSを患う患者に治療薬を投与する順番を制限しない。MDSを患う患者に第2の治療薬を投与する工程を含む任意のサイクル治療プログラムの前、同時、後または最中に第1の治療薬を投与することができる。例えば、第2の治療薬の5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間または12週間前に第1の治療薬を投与することができ、または、第2の治療薬の5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間または12週間後に第1の治療薬を投与することができる。
「異性体」は、もう一つの化合物と同じ化学式を有するが構造が異なる化学化合物を意味する。プロパノールの「構成異性体」の一例はイソプロパノールであり、これら化合物は同じ分子式を有するが、原子間の結合の位置が異なる。「立体異性体」の一例は「エナンチオマー」であり、これは、もう一つの化合物の鏡像である任意の化合物である。立体異性体のもう一つの例はジアステレオマーであり、これは、1より多くのキラル中心を含むがエナンチオマーではない任意の立体異性体である。
「間欠的」投与は、高カルシウム血症を発症させずにビタミンD化合物の高い血中濃度を周期的に達成する方法を意味する。間欠的投与の方法は、高レベルの一つまたは複数のビタミンD化合物を被検体の周期的に投与する工程を含む。「間欠的投与」は、例えば、一つまたは複数のビタミンD化合物を3日毎を越えず、4日毎に約1回、5日毎に約1回、6日毎に約1回、1週間当たり約1回、9日毎に約1回、2週間毎に約1回、3週間毎に約1回または4週間毎に約1回投与する工程を含むが、これらに限定されない。間欠的投与の周期は、1、2、3もしくは4週間、または1、2、3、4、5もしくは6ケ月またはさらに長期間続く。間欠的投与スケジュールは、既述の周期よりおよそ頻繁である、または用いられる薬剤の薬物動態および薬力学的作用に依りより長いまたは短い治療期間続く、ビタミンD化合物の投与を含み得る。当業者は、周期的投与治療プログラムを調整する潜在的必要性、および高カルシウム血症を発症させずに高投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む任意の周期的投与スケジュールが本発明の範囲内であることを容易に理解する。本発明の方法により用いることができる投与スケジュールの一例が、米国特許第6,521,608号に提供されており、これは参照により組み入れられる。
「代謝産物」は、本体を加工した後に生じる物質、すなわち代謝されたもう一つの物質を意味する。一連の代謝産物の一例は、エルゴステロールの代謝産物であるエルゴカルシフェロール(ビタミンD2)の代謝産物である25-ヒドロキシエルゴカルシフェロールの代謝産物であるビタミンD2の最も活性状態である1,25-ジヒドロキシエルゴカルシフェロールから始まる。一連の代謝産物のもう一つの例は、7-デヒドロコレステロールの代謝産物であるコレカルシフェロール(ビタミンD3)の代謝産物である25-ヒドロキシコレカルシフェロールの代謝産物である1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール(カルシトリオール)から始まる。一連の代謝産物のもう一つの例は、25-ヒドロキシジヒドロタキステロールの代謝産物であるジヒドロタキステロールの代謝産物であるタキステロールから始まる。
「非高カルシウム血症性ビタミンD化合物」は、当業者の周知のアッセイにより評価されるように、カルシトリオールの対応する投与よりも、高カルシウム血症を発症させる傾向が低いビタミンD化合物を意味する。そのような非高カルシウム血症性ビタミンD化合物の例には、Hoffmann-LaRocheから得られるRo23-7553およびRo24-5531(1α,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-26,27-ヘキサフルオロコレカルシフェロール)のようなカルシトリオールの類似体が含まれる。非高カルシウム血症性ビタミンD化合物の他の例を、米国特許第4,717,721号に見ることができ、その全体を参照により本明細書に組み入れる。
「薬学的組成物」は、その意図する用途に薬学的に許容される成分を含む組成物を意味する。
「薬剤」は、一つまたは複数のビタミンD化合物、または、非限定的にビスホスホネートを含む、ビタミンD化合物ではない一つまたは複数の活性成分と組み合わされた一つまたは複数のビタミンD化合物を意味する。薬剤は、他の活性成分と併用して投与することもでき、例えば、MDSの治療において造血成長因子またはサイトカインと併用してビタミンD化合物を投与することができる。
「前駆体」は、生物学的に活性なもう一つの化合物に転換することができる化合物を意味する。一連の前駆体の一例は、ビタミンD2の最も活性な状態である1,25-ジヒドロキシエルゴカルシフェロールの前駆体である25-ヒドロキシエルゴカルシフェロールの前駆体であるエルゴカルシフェロール(ビタミンD2)の前駆体であるエルゴステロールで始まる。一連の前駆体のもう一つの例は、1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール(カルシトリオール)の前駆体である25-ヒドロキシコレカルシフェロールの前駆体であるコレカルシフェロール(ビタミンD3)の前駆体である7-デヒドロコレステロールで始まる。一連の前駆体のもう一つの例は、25-ヒドロキシジヒドロタキステロールの前駆体であるジヒドロタキステロールの前駆体であるタキステロールで始まる。
「難治性」および「非反応性」は、MDSに関連する一つまたは複数の症状を緩和するのに臨床的に適切でないMDS用の現在入手できる治療薬で治療された被検体を意味する。典型的には、そのような被検体は、重度の持続的に活性な疾患を患っており、そのMDSに関連する症状を改善するためのさらなる治療を必要とする。
「相乗的」は、複数の単一薬の添加効果よりも効果的である治療薬の組み合わせを意味する。治療薬の組み合わせの相乗的効果により、一つまたは複数の薬剤のより低い投与量での使用、および/または、MDSを患う被検体への該薬剤の頻度の低い投与が可能になる。低投与量の治療薬を利用する、および/または、該薬剤を低い頻度で投与することのできる能力により、MDSの治療またはその症状の改善において、該薬剤の効能を低下させることなく、該薬剤の投与に関連する毒性が低下する。さらに、相乗的効果は、MDSの治療またはその症状の改善において、薬剤の効能を改善することができる。最終的に、治療薬の組み合わせの相乗的効果は、いかなる単剤治療薬の使用に関連する有害または不要な副作用も回避または低下させることができる。
「被検体」および「患者」は相互交換可能に用いられる。ここで用いられる「被検体」という用語は、動物、好ましくは、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットおよびマウス)および霊長類(例えば、サル、例えば、カニクイザル、およびヒト)を含む哺乳動物、より好ましくはヒトを意味する。
「治療薬」は、MDSの予防または治療またはその症状の改善において用いることができる任意の薬剤を意味する。特定の態様において、「治療薬」という用語は、一つまたは複数のビタミンD化合物を意味する。他の態様において、「治療薬」という用語は、ビタミンD化合物を意味しない。好ましくは、治療薬は有用であると知られている、または、MDSの発生、発症または進行を予防または防止またはMDSの症状を改善するために使用されてきた、または現在使用されている。
「治療有効投与量」は、所望の治療または予防効果を達成することができる成分の投与量を意味し、例えば、臨床に関連する毒性を生じることなく治療利益を得るのに充分な期間、正常を超えるビタミンD化合物の血中レベルを達成することができる投与量を意味する。本発明の方法によれば、ビタミンD化合物の治療有効投与量は、約3μg〜約300μgの範囲、またはその中の任意の量の範囲であり得る。ビタミンD化合物のより高いピーク血中レベルは、高められた効果に関連するが、一部の点においては、その利益は毒性により制限される。特定の投与治療プログラムは、より高い投与量の薬剤を安全に、すなわち、高カルシウム血症に関連する症状を発症させることなく、投与させることができる。特定の態様において、ビタミンD化合物(好ましくは、活性型ビタミンD化合物または、非高カルシウム血症性ビタミンD化合物)の治療有効投与量は、
Figure 2006508125
である。特定の態様において、活性型ビタミンD化合物の治療有効投与量は、好ましくは約3μg/日〜約300μg/日、より好ましくは約5μg/日〜約200μg/日、より好ましくは約15μg/日〜約105μg/日、より好ましくは約15μg/日〜約90μg/日、より好ましくは約20μg/日〜約80μg/日、より好ましくは約35μg/日〜約75μg/日、より好ましくは約30μg/日〜約60μg/日、さらにより好ましくは約45μg/日である。特定の態様において、ビタミンD化合物の治療有効投与量は、少なくとも約0.5nM、より好ましくは約1〜7nM、さらにより好ましくは約3〜5nMの、ビタミンD化合物の最大血漿中濃度を安全に達成する。
「治療」は、MDSの症状の発症の前または後に一つまたは複数の予防または治療薬を投与することを意味する。「治療」は、さらに、MDSを「管理」することを含み、これは、MDSを患う危険のある被検体におけるMDSの再発の寛解および/または予防を被検体が維持する時間を延長することを含む。「治療」は、さらに、被検体におけるMDSの一つまたは複数の症状の再発または発症を予防することを含む。MDSに関連する症状には、貧血、血小板減少、好中球減少、二血球減少(bicytopecia)(2欠損細胞系)および汎血球減少(3欠損細胞系)が含まれるが、これらに限定されない。
「ビタミンD化合物」は、ビタミンD受容体(VDR)に親和性を有する化学的化合物の任意の形状を意味する。本発明のビタミンD化合物は、治療有効レベルまで血中で濃縮することができる。VDRは、配位子が活性化された転写因子または細胞内受容体であり、これが、標的遺伝子のプロモーター/エンハンサー領域中でビタミンD反応要素に結合することにより転写を開始する。本発明の範囲内のビタミンD化合物の例としては、カルシトリオール、1,25-ジヒドロキシエルゴカルシフェロール、カルシフェジオール、25-ヒドロキシエルゴカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ドキセルカルシフェロール(doxercalciferol)、ジヒドロタキステロール、パラカルシトール、並びにこれらの誘導体、類似体、相同体、前駆体および代謝産物が含まれるがこれらに限定されない。好ましいビタミンD化合物は活性型ビタミンD化合物であり、カルシトリオールおよび、その誘導体、類似体、相同体、前駆体および代謝産物の全てを含むが、これらに限定されない。最も好ましいビタミンD化合物はカルシトリオールである。
ビタミンD化合物
本発明の方法において、ビタミンD化合物は、ビタミンD受容体に結合する任意の化合物であり得、よって、当業者に知られている任意のビタミンD化合物であり得る。例えば、「ビタミンD」という用語は、伝統的に、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)およびコレカルシフェロール(ビタミンD3)を意味するが、本発明は、任意のビタミンD化合物またはその誘導体、類似体、相同体、前駆体および代謝産物の使用を含む。そのようなものとして、ビタミンD化合物という用語は、例えば、天然のエルゴカルシフェロールおよびコレカルシフェロールのみならず、それぞれの前駆体であるエルゴステロールおよび7-デヒドロコレステロールも含む。さらに、ビタミンD化合物という用語は、エルゴカルシフェロールおよびコレカルシフェロールの活性状態または代謝産物も含み、それらとしては、1,25-ジヒドロキシエルゴカルシフェロールおよび1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール(カルシトリオール)である最も活性な状態に加えて、25-ヒドロキシエルゴカルシフェロールおよび25-ヒドロキシコレカルシフェロール(カルシフェジオール)が含まれる。カルシトリオールの化学構造は以下である。
Figure 2006508125
ビタミンD化合物は天然源から単離する、または当業者に知られた方法により合成することができる。合成ビタミンD類似体の一例はジヒドロタキステロールである。ジヒドロタキステロールは、タキステロールの合成還元産物である。タキステロールは、ビタミンD3への前駆体である7-デヒドロコレステロールの照射中に形成される副産物である。ジヒドロタキステロールは、その前駆体であるタキステロールよりも10倍より活性であり、肝臓中で活性化されて、より活性な25-ヒドロキシジヒドロタキステロールになる。合成ビタミンD類似体の他の例は、パリカルシトール(paricalcitol)およびドキセルカルシフェロールであり、これらを用いて副甲状腺ホルモンレベルを低下させることができる。合成ビタミンD類似体のもう一つの例はアルファカルシドール(alfacalcidol)であり、これは、腎骨疾患、くる病、副甲状腺機能低下症および骨粗鬆症の治療および予防のために現在、カナダ国において臨床的に使用されている。
活性型ビタミンD化合物
本発明で用いられるビタミンD化合物は、活性型ビタミンD化合物を含む。作用のいかなる特定の理論または機構にも拘束されることを意図しないが、ビタミンD化合物は、例えば、(1)皮膚内の7-デヒドロコレステロールの紫外線によるビタミンD3(コレカルシフェロール)への転化、および(2)ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)またはビタミンD3の食物による摂取、により活性化することができる。ビタミンD2およびビタミンD3の両方の化合物が、例えば、肝臓および腎臓において代謝的に活性化された時に、標的組織に充分に活性になる。ビタミンD化合物が皮膚内の紫外線転化による産物であるか食物で摂取したものかにかかわらず、活性化における次の段階は、CYP27(ビタミンD-25-ヒドロキシラーゼ)として知られている肝酵素により、C-25位において側鎖中にヒドロキシル基を導入することとし得る。この点において、部分的に活性化されたビタミンD2およびD3化合物は、特に、それぞれ、25-ヒドロキシエルゴカルシフェロールおよび25-ヒドロキシコレカルシフェロールとして知られている。これらの部分的に活性化された化合物は、腎臓組織のミトコンドリア中において腎25-ヒドロキシビタミンであるD-1-α-ヒドロキシラーゼにより充分に活性化されて、ビタミンD2の一次生物学的活性状態である1α,25-(OH)2D2および、ビタミンD3の最も生物学的に活性な状態である1α,25-(OH)2D3(カルシトリオール)が生成される。本発明の活性型ビタミンD化合物は、以下の特許に記載のビタミンD化合物の類似体、相同体および誘導体を含むが、これらに限定されず、その特許の各々の全体は参照により本明細書に組み入れられる:米国特許第4,391,802号(1α-ヒドロキシビタミンD誘導体);4,717,721号(コレステロールまたはエルゴステロールの側鎖よりも長い17-側鎖を有する1α-ヒドロキシ誘導体);4,851,401号(シクロペンタノビタミンD誘導体);5,145,846号(アルキニル、アルケニルおよびアルカニル側鎖を有するビタミンD3類似体);5,120,722号(トリヒドロキシカルシフェロール);5,547,947号(フルオロコレカルシフェロール化合物);5,446,035号(メチル置換ビタミンD);5,411,949号(23-オキサ-誘導体);5,237,110号(19-ノル-ビタミンD化合物);4,857,518号(ヒドロキシル化24-ホモ-ビタミンD誘導体)。活性型ビタミンD化合物のさらなる例が以下の特許に列挙されており、その特許の各々の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
Figure 2006508125
活性型ビタミンD化合物のより分かり易い表を、公開されたPCT公開公報第99/49870号に見いだすことができ、その全体は参照により本明細書に組み入れられる。
臨床的に用いられる他の活性型ビタミンD化合物には、Leo Pharmaceuticalからの治験薬剤、例えば、EB 1089(24a,26a,27a-トリホモ-22,24-ジエン-lαa,25-(OH)2-D3)、KH 1060(20-エピ-22-オキサ-24a,26a,27a-トリホモ-la、25-(OH)2-D3)、MC1288およびMC903(カルシトリオール);Roche Pharmaceuticalの薬剤、例えば、1,25-(OH)2-16-エン-D3、1,25-(OH)2-16-エン-23-イン-D3および25-(OH)2-16-エン-23-イン-D3;Chugai Pharmaceuticalsの薬剤、例えば、22-オキサカルシトリオール(22-オキサ-lα,25-(OH)2-D3);イリノイ大学の薬剤、例えば、lα-(OH)D5;およびInstitute of Medical Chemistry-Schering AGの薬剤、例えば、ZK161422(20-メチル-1,25-(OH)2-D3)およびZK157202(20-メチル-23-エン-1,25-(OH)2-D3)が含まれるが、これらに限定されない。ビタミンD類似体には、ビタミンD化合物の局所製剤、例えば、カルシポトリエン(calcipotriene)(DOVONEX(登録商標))およびタカルシトール(CURATODERM(登録商標))も含まれる。特別の市販の活性型ビタミンD化合物製剤の例は、Rocheから入手可能なROCALTROL(登録商標)およびAbbottから入手可能なCALCIJEX(登録商標)である。
活性型ビタミンD化合物およびその誘導体、類似体、相同体、前駆体および代謝産物のさらなる例には、
Figure 2006508125
が含まれるが、これらに限定されない。
さらに、本発明の方法により任意のビタミンD化合物を用いることができるが、好ましいビタミンD化合物は、他のビタミンD化合物よりも、以下に記載の方法に一層適しているようにする薬物動態的特性を有する。通常、好ましいビタミンD化合物は、最大血漿中濃度を迅速に、例えば、約4時間以内に達成し、迅速に、例えば、約12時間以内の除去半減期で除去される。除去半減期は、薬剤の血漿中濃度が50%減少するための時間を意味し、この範囲での除去は約0.5nMを下回る血漿中濃度を意味する。内因性ビタミンD血漿中濃度は被検体毎に異なるが、典型的には約0.16nMである。前述のような望ましい薬物動態的特性を有するそのような好ましいビタミンD化合物の一例がカルシトリオールである。作用のいかなる特定の理論または機構にも拘束されることを意図しないが、これらの薬物動態的特性を有するビタミンD化合物は、高められた濃度の短期間中に治療的生物学的反応を開始し、次に、カルシウム放出を容易にする閾値濃度を迅速に下回り、それにより、高カルシウム血症を最少化すると考えられる。
本発明の好ましい態様において、活性型ビタミンD化合物はカルシトリオールである。
非高カルシウム血症性ビタミンD化合物
本発明で用いられるビタミンD化合物は、非高カルシウム血症性ビタミンD化合物も含む。しかしながら、本発明の特定の態様において、ビタミンD化合物は、非高カルシウム血症性ビタミンD化合物ではない。非高カルシウム血症性ビタミンD化合物は、当業者に周知のアッセイにより評価されるように、カルシトリオールの対応する投与よりも、高カルシウム血症の発症を発生させる傾向が低い。
そのような非高カルシウム血症性ビタミンD化合物の例には、Hoffmann-LaRocheから入手可能なRo23-7553およびRo24-5531(1α,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-26,27-ヘキサフルオロコレカルシフェロール)のようなカルシトリオールの類似体が含まれる。非高カルシウム血症性ビタミンD化合物の他の例を、米国特許第4,717,721号に見ることができ、この全体は参照により本明細書に組み入れられる。
ビタミンD化合物の前記記載は、網羅的ではなく、VDRに結合することができる全ての化合物の単なる例示である。当業者は、本発明が、全てのビタミンD化合物、すなわち、VDRに結合することができる全ての化合物、その誘導体、類似体、相同体、前駆体、代謝産物、および薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物およびプロドラッグを含むことを理解する。
他の治療薬
特定の局面において、本発明は、ビタミンD化合物を一つまたは複数のさらなる活性剤と併用して投与することによりMDSを治療または一つまたは複数のその症状の改善するための組成物を提供する。さらなる活性剤は、限定されることなく当業者に知られているMDSの治療またはその症状の改善のための治療効果を有する任意の活性剤であり得る。活性剤には、小分子、合成薬、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸(例えば、非限定的にアンチセンスヌクレオチド配列、トリプルヘリックスおよび、生物学的活性タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNAおよびRNAヌクレオチド)、抗体、合成または天然無機分子、模倣薬、および合成または天然の有機分子が含まれるが、これらに限定されない。有用であると知られている、または、MDSの治療またはMDSに関連する一つまたは複数の症状の改善に用いられてきたまたは現在用いられている任意の薬剤を、本明細書に記載の本発明によるビタミンD化合物と併用して用いることができる。
特定の態様において、本発明の組成物は、本発明のビタミンD化合物を、組み合わせ的、相乗的、追加的または他の治療的効果を有する一つまたは複数のさらなる活性剤と併用して投与することを含む。一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、サイトカインまたは造血成長因子のような成長因子と共に投与することができる。もう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、免疫修飾物質と共に投与することができる。さらにもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、細胞毒性薬と共に投与することができる。さらなるもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、RNA転写に影響を与える薬剤と共に投与することができる。さらにもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、ビタミンA、EまたはKの誘導体と共に投与することができる。さらにもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、MDSに関連する生物学的標的に特異的に結合する薬剤と共に投与することができる。さらにもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、シグナルトランスダクション阻害剤と共に投与することができる。さらにもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、アミノチオールと共に投与することができる。さらにもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、ヒ素含有化合物と共に投与することができる。本発明のさらなる態様は、本発明のビタミンD化合物を、本明細書に記載の活性剤の1つより多くと併用して投与することを含む。
成長因子またはサイトカイン
本発明の一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、成長因子と共に投与することができる。当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であると知られている任意の成長因子を、ビタミンD化合物と共に、投与を必要としている被検体に投与することができる。本発明のさらなる態様において、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であると知られている一つまたは複数の成長因子を、ビタミンD化合物および本明細書に記載の一つまたは複数のさらなる活性剤と共に投与することができる。
本発明の薬学的組成物、投与形態およびキットを含む本発明の種々の態様において用いることができる成長因子の例には、サイトカインまたは造血成長因子、例えば、EPO、TPO、GM-CSF、G-CSF、IFN-α、IL-1、IL-2、IL-3、IL-6、IL-8、IL-11およびIL-12が非限定的に含まれる。さらに、前記サイトカインまたは造血成長因子の組換え、修飾、模倣、断片または類似状態も、本発明の種々の態様において用いることができる。例えば、米国特許第6,358,505、6,346,531、6,340,742、6,262,253、6,261,550、6,166,183、6,100,070、5,986,047、5,981,551、5,916,773、5,902,584、5,835,382、5,824,778、5,773,581、5,773,569および5,756,349号を参照されたい。これらの特許の全てが、EPOおよびG-CSFの組換え、修飾、模倣、断片または類似形状を記載し、各々の全体は参照により本明細書に組み入れられる。好ましいサイトカインまたは造血成長因子には、r-HuEPOおよびr-metHuG-CSFが含まれる。
r-HuEPOの市販形態の一例はEPOGEN(登録商標)であり、これは、組換えDNA技術により生成され、内因性エリスロポイエチンと同じ生物学的効果および同じアミノ酸配列を有する。EPOGEN(登録商標)の1ml投与形態は、エポエチンαの2000、3000、4000または10,000単位、アルブミン(ヒト)2.5mg、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物1.2mg、リン酸ナトリウム二塩基性無水物1.8mg、クエン酸ナトリウム0.7mg、塩化ナトリウム5.8mgおよびクエン酸6.8mgを注射用水USPの中に含むことができる(pH6.9±0.3)。EPOGEN(登録商標)の多投与形態が入手可能であり、すべての投与形態が、非経口投与用のバイアルである。Physicians'Desk Reference 582(第56版、2002年)を参照。
r-metHuG-CSFの市販状態の一例は、フィルグラスチムとしても知られる、大腸菌中で組換えDNA技術により生成されるNEUPOGEN(登録商標)であり、グリコシル化されていない点において、ヒト細胞から単離されたG-CSFと異なる。NEUPOGEN(登録商標)の1ml投与形態は、フィルグラスチム300μg、酢酸塩0.59mg、ソルビトール50.0mg、0.004%TWEEN(登録商標)80、ナトリウム0.035mgおよび注射用水USP1.0mLを含み得る。NEUPOGEN(登録商標)の多量投与形態は入手可能であり、全ての投与形態が、非経口投与用のバイアルである。同上588を参照。
免疫修飾物質
本発明のもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、免疫修飾物質と共に投与することができる。この免疫修飾物質は、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であると知られている任意の免疫修飾物質であり得る。本発明のさらなる態様において、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であると知られている一つまたは複数の免疫修飾物質を、ビタミンD化合物および本明細書に記載の一つまたは複数のさらなる活性剤と共に、被検体に投与することができる。
本発明の薬学的組成物、投与形態およびキットを含む本発明の種々の態様において用いることができる免疫修飾物質の例には、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、抗リンパ球グロブリン(ALG)、サリドマイド、プレドニゾン、シクロスポリンA(CyA)、デキサメタゾンおよびペントキシフィリンが非限定的に含まれる。
細胞毒性薬
本発明のさらなる態様において、本発明のビタミンD化合物を、細胞毒性薬と共に投与することができる。この細胞毒性薬は、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であると知られている任意の細胞毒性薬である。本発明のさらなる態様において、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であると知られている一つまたは複数の細胞毒性薬を、ビタミンD化合物および本明細書に記載の一つまたは複数のさらなる活性剤と共に被検体に投与することができる。
任意の細胞毒性薬を本発明の方法により用いることができ;MDSまたは癌の化学的治療に適した多くの細胞毒性薬は、通常、当技術分野において知られている。例えば、細胞毒性薬は、抗代謝産物(例えば、5-フルオロウリシル(5-FU)、メトトレキセート(MTX)、フルダラビン、等)、抗微小管薬(例えば、ビンクリスチン;ビンブラスチン;パクリタキセルおよびドセタキセルのようなタキサン;等)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メルファラン、ビスクロロエチルニトロスウレア、等)、白金剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、JM-216、CI-973、等)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、等)、抗生物質薬(例えば、マイトマイシン-C、アンチノマイシンD、等)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド、カンプトテシン、等)または他の細胞毒性薬であり得る。
本発明の薬学的組成物、投与形態およびキットを含む本発明の種々の態様で用いることができる細胞毒性薬の特別の例には、シタラビン、メルファラン、トポテカン、フルダラビン、エトポシド、イダルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、シスプラチン、パクリタキセルおよびシクロホスファミドが非限定的に含まれる。
MDS用の他の治療薬
本発明のさらにもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、RNAの転写に影響を与える薬剤と共に投与することができる。このRNAの転写に影響を与える薬剤は、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であることが知られている、RNAの転写に影響を与える任意の薬剤であり得る。本発明のさらなる態様において、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であることが知られているRNAの転写に影響を与える一つまたは複数の薬剤を、ビタミンD化合物および本明細書に記載の一つまたは複数のさらなる活性剤と共に被検体に投与することができる。本発明の薬学的組成物、投与形態およびキットを含む本発明の種々の態様で用いることができるRNAの転写に影響を与える薬剤の非限定的例には、デシタビン、5-アザシチジン、デプシペプチドおよびフェニルブチレートが含まれる。
本発明のさらにもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、ビタミンA、EまたはKの誘導体と共に投与することができる。このビタミンA、EまたはKの誘導体は、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であることが知られているビタミンA、EまたはKの任意の誘導体であり得る。本発明のさらなる態様において、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に影響を与えることが知られているビタミンA、EまたはKの一つまたは複数の誘導体を、ビタミンD化合物および本明細書に記載の一つまたは複数のさらなる活性剤と共に被検体に投与することができる。本発明の薬学的組成物、投与形態およびキットを含む本発明の種々の態様で用いることができるビタミンA、EまたはKの誘導体の非限定的例には、オール・トランスレチン酸、1,3-シスレチン酸、トロフェロールおよびメナテトレノンが含まれる。
本発明のさらにもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、MDSに関連する生物学的標的を特異的に結合する薬剤と共に投与することができる。このMDSに関連する生物学的標的を特異的に結合する薬剤は、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であることが知られている、MDSに関連する生物学的標的を特異的に結合する任意の薬剤であり得る。本発明のさらなる態様において、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であることが知られている、MDSに関連する生物学的標的を特異的に結合する一つまたは複数の薬剤を、ビタミンD化合物および本明細書に記載の一つまたは複数のさらなる活性剤と共に被検体に投与することができる。本発明の薬学的組成物、投与形態およびキットを含む本発明の種々の態様において用いることができるMDSに関連する生物学的標的を特異的に結合する薬剤の非限定的例には、抗-VEGF、ゲムツズマブ・オゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)およびTNFR:Fcが含まれる。
本発明のさらなるもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、信号伝達阻害剤と共に投与することができる。この信号伝達阻害剤は、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であることが知られている任意の信号伝達阻害剤であり得る。本発明のさらなる態様において、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であることが知られている一つまたは複数の信号伝達阻害剤を、ビタミンD化合物および本明細書に記載の一つまたは複数のさらなる活性剤と共に被検体に投与することができる。本発明の薬学的組成物、投与形態およびキットを含む本発明の種々の態様において用いることができるそのような信号伝達阻害剤の非限定的例には、例えば、ZARNESTRA(商標)およびSARASAR(商標)のようなファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、および、例えば、SU5416、SU6668およびPTK787/ZK222584のようなチロシンキナーゼ阻害剤が含まれる。
本発明のさらなるもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、アミノチオールと共に投与することができる。このアミノチオールは、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であることが知られている任意のアミノチオールであり得る。本発明のさらなる態様において、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であることが知られている一つまたは複数のアミノチオールを、ビタミンD化合物および本明細書に記載の一つまたは複数のさらなる活性剤と共に被検体に投与することができる。本発明の薬学的組成物、投与形態およびキットを含む本発明の種々の態様において用いることができるアミノチオールの非限定的例にはアミフォスチンが含まれる。
本発明のさらなるもう一つの態様において、本発明のビタミンD化合物を、ヒ素含有化合物と共に投与することができる。このヒ素含有化合物は、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であることが知られている任意のヒ素含有化合物であり得る。本発明のさらなる態様において、当業者によりMDSの治療またはその症状の改善に効果的であることが知られている一つまたは複数のヒ素含有化合物を、ビタミンD化合物および本明細書に記載の一つまたは複数のさらなる活性剤と共に被検体に投与することができる。本発明の薬学的組成物、投与形態およびキットを含む本発明の種々の態様において用いることができるヒ素含有化合物の非限定的例に、三酸化ヒ素がある。
骨髄異形成症候群の治療方法
本発明は、治療または改善を必要としている被検体におけるMDSの治療方法またはその症状の改善方法を提供する。これは、さらに、既にMDSについて治療された被検体およびMDSについて未だ治療されていない被検体を治療する方法を含む。MDSを患う被検体は、異なる臨床発現および種々の臨床結果を有するので、重症度およびステージに依存する予後およびアプローチ療法(approaching therapy)により被検者のステージを決めることが必要であることが明らかとなった。実際、難治性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴うRA(RARS)、過剰の芽球を伴うRA(RAEB)、形質転換中のRAEB(RAEB-T)、または慢性骨髄単球白血病(CMML)を非限定的に含む一つまたは複数の型のMDSを患う被検体の治療の種々のステージにおいて、本発明の方法を用いることができる。さらに、低リスク、中間型-1リスク、中間型-2リスクまたは高リスクのMDSを非限定的に含む一つまたは複数の型のMDSを患う被検体の治療の種々のステージにおいて、本発明の方法を用いることができる。
本発明は、骨髄異形成症候群の治療またはその症状の改善のために、高カルシウム血症のリスクを最小限にしつつ、治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する方法を提供する。特定の態様において、本方法は、MDSの治療またはその症状の改善において、治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。さらなる態様において、この方法は、ビタミンD化合物を高投与量で間欠的に投与する工程を含む。ビタミンD化合物の間欠的投与により、高カルシウム血症を最少化または除去しつつ、被検体に高投与量を投与することができる。さらなる態様において、本方法は、経口ビタミンD化合物製剤を用いる工程を含む。さらに他の態様において、本方法は、改良された生物学的利用能を有すると共にビタミンD化合物の最大血中レベルが迅速に得られる安定な経口ビタミンD化合物製剤を用いる工程を含む。さらに他の態様において、本方法は、エマルジョン前濃縮物としての経口ビタミンD化合物製剤の使用を含む。さらに他の態様において、本方法は、静脈内(i.v.)ビタミンD化合物製剤の使用を含む。特定の態様において、ビタミンD化合物が、単剤治療として投与される。他の態様において、ビタミンD化合物および製剤が、一つまたは複数のさらなる活性剤と組み合わされて投与する。さらに他の態様において、ビタミンD化合物および製剤が、一つまたは複数の造血成長因子またはサイトカインと組み合わされて投与される。
特定の態様において、本発明の方法は、骨髄異形成症候群の治療またはその症状の改善のために、高カルシウム血症のリスクを最少化しつつ、治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。特定の態様において、本発明の方法は、MDSに関連する貧血の治療のために治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体の血漿中ヘモグロビン濃度を高めるために、治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体の輸血必要性を低下させるために治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSに関連する血小板減少を治療するために治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体の疲労を低下させるために、治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体の挫傷の頻度および重症度を下げるために、治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体の出血発生の頻度および重症度を下げるために、治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体が被る発熱の頻度および重症度を下げるために、治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSに関連する好中球減少の治療のために、治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体における感染の頻度および重症度を下げるために、治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体においてMDSから白血病への進行を遅延させるために、治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体の生存を延ばすために、治療有効投与量のビタミンD化合物を投与する工程を含む。
作用のいかなる特定の理論または機構によっても拘束されることを意図しないが、ビタミンD化合物およびMDSの治療に効果的な他の治療薬が、MDSの治療またはその症状の改善において補足的または相乗的様式で作用し得ると考えられる。従って、本発明の一つの態様は、治療および/または改善を必要としている患者に、治療有効投与量のビタミンD化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグ、および治療有効投与量の本明細書に記載の一つまたは複数のさらなる活性剤を患者に投与する工程を含む、MDSの治療またはその症状の改善の方法を含む。
当業者は、本明細書に記載のいずれの治療方法も、さらに、予防が望まれる被検体におけるMDSの発症または再発を予防するために用いることができることを理解する。
骨髄異形成症候群の治療におけるビタミンD化合物の投与および投与量
本発明の方法によりビタミンD化合物を間欠的に投与することにより、高い全身レベルのビタミンD化合物を、高カルシウム血症を発症させることなく達成することができる。ビタミンD化合物の高い投与量は、以下のセクションに記載のように約3μgを超える投与量を含む。従って、本発明の特定の態様において、MDSの治療またはその症状の改善の方法は、高投与量のビタミンD化合物を間欠的に投与する工程を含む。高投与量のビタミンD化合物は、非限定的に薬物療法を含む他の治療とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。一連のサイクルの治療において他の治療とのサイクル治療プログラムの前、同時、後またはその最中にビタミンD化合物の投与が行われ得るような循環方式においてもビタミンD化合物の投与を行うことができる。間欠的投与の頻度は、この化合物または製剤の薬物動態パラメーターおよびビタミンD化合物の被検体への薬力学的作用を非限定的に含む多くの因子により制限され得る。例えば、腎機能が損なわれたMDSを患う被検体は、カルシウムを分泌する能力が低いので、ビタミンD化合物の投与頻度が低いことを要する。
以下の記載は単なる例示であり、「間欠的」という用語が、当業者により設計されるいかなる投与治療プログラムも含み得ることを示すという役割を果たすだけにすぎない。
一つの例において、ビタミンD化合物を、3日毎に1回を超えずに投与することができる。この投与は、1、2、3もしくは4週間、または1、2、3、4、5もしくは6ケ月、または1年またはそれより長期間続けることができる。特定の態様において、ビタミンD化合物を、MDSに関連する貧血が改善されるまで投与することができる。任意で、休止期間後、ビタミンD化合物を、同じまたは異なるスケジュールで投与することができる。休止期間は、被検体へのビタミンD化合物の薬力学的効果に従って1、2、3もしくは4週間、またはそれより長くすることができる。
もう一つの例において、ビタミンD化合物を、4日毎に1回を越えず投与することができる。この投与は、1、2、3もしくは4週間、または1、2、3、4、5もしくは6ケ月、または1年またはそれより長期間続けることができる。特定の態様において、ビタミンD化合物を、MDSに関連する貧血が改善されるまで投与することができる。任意で、休止期間後、ビタミンD化合物を、同じまたは異なるスケジュールで投与することができる。休止期間は、被検体へのビタミンD化合物の薬力学的効果に従って1、2、3もしくは4週間、またはそれより長くすることができる。
さらにもう一つの例において、ビタミンD化合物を、5日毎に1回を越えず投与することができる。この投与は、1、2、3もしくは4週間、または1、2、3、4、5もしくは6ケ月、または1年またはそれより長期間続けることができる。特定の態様において、ビタミンD化合物を、MDSに関連する貧血が改善されるまで投与することができる。任意で、休止期間後、ビタミンD化合物を、同じまたは異なるスケジュールで投与することができる。休止期間は、被検体へのビタミンD化合物の薬力学的効果に従って1、2、3もしくは4週間、またはそれより長くすることができる。
さらにもう一つの例において、ビタミンD化合物を、6日毎に1回を越えず投与することができる。この投与は、1、2、3もしくは4週間、または1、2、3、4、5もしくは6ケ月、または1年またはそれより長期間続けることができる。特定の態様において、ビタミンD化合物を、MDSに関連する貧血が改善されるまで投与することができる。任意で、休止期間後、ビタミンD化合物を、同じまたは異なるスケジュールで投与することができる。休止期間は、被検体へのビタミンD化合物の薬力学的効果に従って1、2、3もしくは4週間、またはそれより長くすることができる。
さらにもう一つの例において、ビタミンD化合物を、7日毎に1回を越えず投与することができる。この投与は、1、2、3もしくは4週間、または1、2、3、4、5もしくは6ケ月、または1年またはそれより長期間続けることができる。特定の態様において、ビタミンD化合物を、MDSに関連する貧血が改善されるまで投与することができる。任意で、休止期間後、ビタミンD化合物を、同じまたは異なるスケジュールで投与することができる。休止期間は、被検体へのビタミンD化合物の薬力学的効果に従って1、2、3もしくは4週間、またはそれより長くすることができる。
さらにもう一つの例において、ビタミンD化合物を、8日毎に1回を越えず投与することができる。この投与は、1、2、3もしくは4週間、または1、2、3、4、5もしくは6ケ月、または1年またはそれより長期間続けることができる。特定の態様において、ビタミンD化合物を、MDSに関連する貧血が改善されるまで投与することができる。任意で、休止期間後、ビタミンD化合物を、同じまたは異なるスケジュールで投与することができる。休止期間は、被検体へのビタミンD化合物の薬力学的効果に従って1、2、3もしくは4週間、またはそれより長くすることができる。
さらにもう一つの例において、ビタミンD化合物を、9日毎に1回を越えず投与することができる。この投与は、1、2、3もしくは4週間、または1、2、3、4、5もしくは6ケ月、または1年またはそれより長期間続けることができる。特定の態様において、ビタミンD化合物を、MDSに関連する貧血が改善されるまで投与することができる。任意で、休止期間後、ビタミンD化合物を、同じまたは異なるスケジュールで投与することができる。休止期間は、被検体へのビタミンD化合物の薬力学的効果に従って1、2、3もしくは4週間、またはそれより長くすることができる。
さらにもう一つの例において、ビタミンD化合物を、10日毎に1回を越えず投与することができる。この投与は、1、2、3もしくは4週間、または1、2、3、4、5もしくは6ケ月、または1年またはそれより長期間続けることができる。特定の態様において、ビタミンD化合物を、MDSに関連する貧血が改善されるまで投与することができる。任意で、休止期間後、ビタミンD化合物を、同じまたは異なるスケジュールで投与することができる。休止期間は、被検体へのビタミンD化合物の薬力学的効果に従って1、2、3もしくは4週間、またはそれより長くすることができる。
さらにもう一つの例において、ビタミンD化合物を、1週間当たり1回、3ケ月間投与することができる。任意で、休止期間後、ビタミンD化合物を、同じまたは異なるスケジュールで投与することができる。休止期間は、被検体へのビタミンD化合物の薬力学的効果に従って1、2、3もしくは4週間、またはそれより長くすることができる。
さらにもう一つの例において、ビタミンD化合物を、3週間毎に1回、1年間投与することができる。任意で、休止期間後、ビタミンD化合物を、同じまたは異なるスケジュールで投与することができる。休止期間は、被検体へのビタミンD化合物の薬力学的効果に従って1、2、3もしくは4週間、またはそれより長くすることができる。
好ましい例において、ビタミンD化合物を、各4週間のサイクルのうち3週間、1週間当たり1回投与することができる。1週間の休止期間後、ビタミンD化合物を、同じまたは異なるスケジュールで投与することができる。
本発明の方法で用いることができる投与スケジュールのさらなる例が、米国特許第6,521,608号に提供されており、この全体は参照により組み入れられる。
前述の投与スケジュールは説明の目的のみで提供され、限定的であると考えるべきでない。当業者は、全てのビタミンD化合物が本発明の範囲内であり、カルシトリオールおよびその類似体、相同体、誘導体、前駆体および代謝産物が好ましく、ビタミンD化合物の投与の正確な投与量およびスケジュールは多くの因子故に変化し得ることを容易に理解する。
疾患または不全の急性または慢性管理における薬剤の治療有効投与量は、治療される疾患または不全、特定の薬剤および投与経路を非限定的に含む因子に依存して変化し得る。本発明の方法によれば、ビタミンD化合物の治療有効投与量は、MDSの治療またはその症状の改善に効果的なビタミンD化合物の任意の投与量である。ビタミンD化合物の高投与量は、約3μg〜約300μgの投与量または以下に記載のようなこの範囲内の任意の投与量であり得る。投与量、投与頻度、期間または任意の組み合わせは、被検体の年齢、体重、反応および過去の病歴、並びに薬剤の投与経路、薬物動態および薬力学的効果によっても変わり得る。これらの因子は、当業者により通常考慮される。
ビタミンD化合物の吸収速度およびクリアランスは、当業者に周知の種々の因子により影響される。前述のように、ビタミンD化合物の薬物動態特性は、高カルシウム血症を発症させることなく、好ましくは臨床的高カルシウム血症を発症させることなく血中で得ることができるビタミンD化合物の最大濃度を制限する。組織中での吸収、分布、結合または局在化の速度および程度、ビタミンD化合物の生体内変化および排出は、全て、薬剤を投与することができる頻度に影響を与え得る。特定の態様において、前述の投与スケジュールに従って、MDSを治療またはその症状を改善する方法として、ビタミンD化合物が高投与量で間欠的に投与される。
本発明の特定の態様において、方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを、約
Figure 2006508125
の投与量、あるいはその中の任意の投与量範囲で投与する工程を含む。特定の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを約0.12μg/kg〜約3μg/kgの投与量で投与する工程を含む。他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを約3μg〜約300μgの投与量で投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを約5μg〜約200μgの投与量で投与する工程を含む。なお他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを約5μg〜約105μgの投与量で投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを約15μg〜約105μgの投与量で投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを約15μg〜約90μgの投与量で投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを約20μg〜約80μgの投与量で投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを約30μg〜約60μgの投与量で投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを約30μg〜約75μgの投与量で投与する工程を含む。好ましい態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを約45μgの投与量で投与する工程を含む。当業者は、これらの標準的投与量が、約70kgの平均的寸法の成人に対するもので、前述のように通常考えられる因子について調節し得ることを理解する。作用のいかなる特別の理論または機構によっても拘束されることを意図しないが、105μgまでの投与量のビタミンD化合物を、ビタミンD化合物の半減期および関連する毒性を実質的に増加させることなく投与することができると考えられる。従って、好ましい態様において、ビタミンD化合物の投与量は105μg以下である。
特定の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを、約0.1nM、0.2nM、0.3nM、0.4nM、0.5nM、0.6nM、0.7nM、0.8nM、0.9nM、1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、9nM、10nM、12nM、15nM、17nMまたは20nMあるいはその中の任意の濃度範囲のビタミンD化合物の最大血漿中濃度を達成する投与量で投与する工程を含む。他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを、約0.5nMを超えるビタミンD化合物の最大血漿中濃度を達成する投与量で投与する工程を含む。他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを、約0.5nM〜約20nMのビタミンD化合物の最大血漿中濃度を達成する投与量で投与する工程を含む。他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを、約1nM〜約10nMのビタミンD化合物の最大血漿中濃度を達成する投与量で投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを、約1nM〜約7nMのビタミンD化合物の最大血漿中濃度を達成する投与量で投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを、約3nM〜約7nMのビタミンD化合物の最大血漿中濃度を達成する投与量で投与する工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを、約5nM〜約7nMのビタミンD化合物の最大血漿中濃度を達成する投与量で投与する工程を含む。好ましい態様において、本発明の方法は、ビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを、約3nM〜約5nMのビタミンD化合物の最大血漿中濃度を達成する投与量で投与する工程を含む。
特定の態様において、本発明の方法は、さらに、最大血漿中濃度を迅速に、例えば、4時間以内で達成する投与量のビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを投与する工程を含む。さらなる態様において、本発明の方法は、迅速に、例えば、12時間未満の除去半減期で除去される投与量のビタミンD化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを投与する工程を含む。
他の局面において、本発明の方法は、MDSを患う被検体に高投与量のビタミンD化合物を間欠的に投与し、高カルシウム血症に関連する症状についてその被検者をモニターする工程を含む。特定の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体に高投与量のビタミンD化合物を間欠的に投与し、その被検体の腎機能をモニターする工程を含む。他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体に高投与量のビタミンD化合物を間欠的に投与し、例えば、心臓組織のような軟組織の石灰化について被検体をモニターする工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体に高投与量のビタミンD化合物を間欠的に投与し、例えば、増加した骨密度について被検体をモニターする工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体に高投与量のビタミンD化合物を間欠的に投与し、高カルシウム血症性腎症について被検体をモニターする工程を含む。さらに他の態様において、本発明の方法は、MDSを患う被検体に高投与量のビタミンD化合物を間欠的に投与し、血中カルシウム濃度が約10.5mg/dLを下回ることを確保するために被検体の血中カルシウム濃度をモニターする工程を含む。
特定の態様において、ビタミンD化合物の高い血中レベルは、血中へのカルシウムの輸送の低減と合わせて安全に得ることができる。一つの態様において、高い1,25-ジヒドロキシビタミンD濃度が、低カルシウム食と一緒に投与したときに高カルシウム血症を発症させることなく安全に得られる。一つの例において、カルシウムは、吸着剤、吸収剤、配位子、キレートまたは、小腸を通って血中に輸送することができない他の結合部分により捕捉することができる。もう一つの例において、破骨活性の割合を、例えば、ビタミンD化合物と併用して、例えば、パミドロネートまたはZOMETA(Novartis Pharmaceuticals社、ニュージャージー州イースト・ハノーバー)のようなビスホスホネートを投与することにより阻害することができる。
特定の態様において、ビタミンD化合物の高い血中レベルが、カルシウムのクリアランス率の最大化を伴って安全に得られる。一つの例において、カルシウムの排出を、適切な水和および塩の取り込みを確保することにより増加させることができる。もう一つの例において、カルシウム排泄を増加させるために利尿剤治療を用いることができる。
他の治療薬と併用したビタミンD化合物の投与
本発明の方法は、一つまたは複数のビタミンD化合物を、ビタミンD化合物でない一つまたは複数のさらなる活性剤と併用して投与することを含む併用療法も提供する。さらなる活性剤は、限定されることなく当業者に知られているMDSを治療またはその症状を改善する治療効果を有する任意の薬剤であり得る。これらの活性剤について提案された機構を当技術分野において見ることができる(例えば、Hardman et al., eds., 1996,Goodman&Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics 第10版、McGraw-Hill、ニューヨーク、643-754,1381-1484,1649-1678およびPhysician's Desk Reference(PDR)第55版、2001,ニュージャージー州モントバーレ在Medical Economics Co.,Inc.)。特定の態様において、本発明の併用治療は、追加的または相乗的効果を発生させることによりビタミンD化合物の治療または改善効果を向上させる一つまたは複数のさらなる活性剤を投与する工程を含む。
本発明によれば、MDSの治療またはその症状の改善のために併用治療が有利に利用される。一つまたは複数のビタミンD化合物を、一つまたは複数のさらなる活性剤の投与を含む任意のサイクル治療プログラムの前(例えば、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、5日、1週間、2週間、1ヶ月またはそれ以上前)、後(例えば、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、5日、1週間、2週間、1ヶ月またはそれ以上後)、同時に、またはその最中に投与することができる。さらなる活性剤がビタミンD化合物よりも低い頻度で投与される態様において、一つまたは複数のビタミンD化合物が、好ましくは、一つまたは複数のさらなる活性剤の約1日前に投与される。
特定の態様において、ビタミンD化合物ではないさらなる活性剤は、一つまたは複数の成長因子であり得る。成長因子は、ビタミンD化合物が細胞を成長因子の作用に感作させる能力から利益を得るように、本発明の方法においてビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。すなわち、MDSの治療またはその症状の改善においてより少ない成長因子を用いることができる。他の態様において、一つまたは複数の治療に対する抵抗の発展の阻害もしくは抵抗の低下、治療の副作用の回避もしくは低下、および/または、治療の効果の改良のために、サイクリング療法(cycling therapy)が用いられる。
特定の態様において、一つまたは複数の成長因子はサイトカインであり得る。サイトカインは、本発明の方法によるビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。他の態様おいて、一つまたは複数の成長因子は、造血成長因子であり得る。造血成長因子は、本発明の方法によるビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。
特定の態様において、ビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与される造血成長因子は、EPO、例えばr-HuEPO、または薬理学的活性突然変異体またはその誘導体であり得る。他の態様において、ビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる造血成長因子は、G-CSF、例えばr-metHuG-CSF、または薬理学的活性突然変異体またはその誘導体であり得る。さらに他の態様において、ビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる造血成長因子は、EPOとHuG-CSFとの組み合わせ、または薬理学的活性突然変異体またはその誘導体であり得る。他の態様において、ビタミンD化合物は、EPO、G-CSF、薬理学的活性突然変異体またはその誘導体、またはそれらの組み合わせと併用してエマルジョン前濃縮物として投与することができる。
特定の態様において、MDSの治療またはその症状の改善のために被検者に投与されるr-HuEPOまたは薬理学的活性突然変異体またはその誘導体の範囲は、約1単位/kg〜約2000単位/kgで1週間当たり3回(TIW)、好ましくは約10単位/kg〜約1000単位/kg TIW、より好ましくは約25単位/kg〜約500単位/kg TIWとすることができる。他の態様において、r-HuEPOを、MDSの治療またはその症状の改善のために、被検者に、約1、10、20、50、100、200、300、400、500、750、1000、1250、1500、1750、2000単位/kgの投与量またはその中の任意の投与量範囲で投与することができる。他の態様において、r-HuEPOを、一つまたは複数のビタミンD化合物と併用して投与することができ、一つまたは複数のビタミンD化合物は、本明細書に記載の投与量およびスケジュールに従って投与される。
特定の態様において、MDSの治療またはその症状の改善のために被検者に投与されるr-metHuG-CSFまたは薬理学的活性突然変異体またはその誘導体の範囲は、約1μg/kg/日〜約100μg/kg/日、好ましくは約3μg/kg/日〜約75μg/kg/日、より好ましくは約5μg/kg/日〜約50μg/kg/日とすることができる。他の態様において、r-metHuG-CSFを被検体に、MDSの治療またはその症状の改善のために、約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100μg/kgの投与量またはその中の任意の投与量範囲で投与することができる。他の態様において、r-metHuG-CSFまたは薬理学的活性突然変異体またはその誘導体を、一つまたは複数のビタミンD化合物と併用して投与することができ、ここで一つまたは複数のビタミンD化合物は、本明細書に記載の投与量およびスケジュールに従って投与される。
他の態様において、ビタミンD化合物は、r-HuEPO、r-metHuG-CSF、薬理学的活性突然変異体またはその誘導体、またはそれらの組み合わせと併用して投与することができ、ここでr-HuEPO、r-metHuG-CSFまたはその薬理学的活性突然変異体または誘導体は、それぞれ前述の投与量で投与される。
特定の態様において、造血成長因子はr-HuEPOであり、ビタミンD化合物の投与とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与され、ここでr-HuEPOの投与の範囲は約50単位/kg〜約100単位/kg TIWである。他の態様において、造血成長因子はr-metHuG-CSFであり、ビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与され、ここでr-metHuG-CSFの投与の範囲は約5μg/kg/日〜約25μg/kg/日である。さらに他の態様において、造血成長因子はr-HuEPOとr-metHuG-CSFとの組み合わせであり、ビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与され、ここで投与範囲はr-HuEPOについては約25単位/kg〜約500単位/kg TIWであり、r-metHuG-CSFについては約5μg/kg/日〜約25μg/kg/日である。
他の態様において、ビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与される成長因子は、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-8、IL-11、IL-12、IFN-α、GM-CSF、TPOまたはその薬理学的活性突然変異体または誘導体のうちの一つであり得る。さらに別の態様において、ビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与される成長因子はIL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-8、IL-11、IL-12、IFN-α、GM-CSF、TPOまたはその薬理学的活性突然変異体または誘導体のうちの1つより多くであり得る。さらに別の態様において、ビタミンD化合物は、r-HuEPO、r-metHuG-CSF、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-8、IL-11、IL-12、IFN-α、GM-CSF、TPO、薬理学的活性突然変異体または誘導体、またはそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数と併用してエマルジョン前濃縮物として投与することができる。
別の態様において、ビタミンD化合物ではないさらなる活性剤は免疫修飾物質であり得る。免疫修飾物質は、本発明の方法により、ビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。特定の態様において、免疫修飾物質は、ATG、ALG、サリドマイド、プレドニゾン、CyA、デキサメタゾンまたはペントキシフィリンのうちの一つであり得る。他の態様において、免疫修飾物質は、ATG、ALG、サリドマイド、プレドニゾン、CyA、デキサメタゾンまたはペントキシフィリンのうちの1つより多くであり得る。さらに他の態様において、ビタミンD化合物を、ATG、ALG、サリドマイド、プレドニゾン、CyA、デキサメタゾンまたはペントキシフィリンあるいはそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数と併用してエマルジョン前濃縮物として投与することができる。
特別の態様において、免疫修飾物質はATGであり、ここでATGの投与範囲は約10mg/kg/日〜約100mg/kg/日である。好ましい態様において、免疫修飾物質はATGであり、ATGの投与範囲は約35mg/kg/日〜約45mg/kg/日である。もう一つの特定の態様において、免疫修飾物質はサリドマイドであり、ここでサリドマイドの投与範囲は約50mg/日〜約500mg/日である。好ましい態様において、免疫修飾物質はサリドマイドであり、ここでサリドマイドの投与範囲は約100mg/日〜約400mg/日である。
他の態様において、ビタミンD化合物でないさらなる活性剤は細胞毒性薬であり得る。細胞毒性薬は、本発明の方法に従ってビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。特定の態様において、細胞毒性薬は、抗代謝産物、抗微小管薬、アルキル化剤、白金剤、アントラサイクリン、抗生物質薬またはトポイソメラーゼ阻害剤であり得る。他の態様において、細胞毒性薬は、抗代謝産物、抗微小管薬、アルキル化剤、白金剤、アントラサイクリン、抗生物質薬またはトポイソメラーゼ阻害剤のうちの1つより多くであり得る。さらに他の態様において、ビタミンD化合物は、抗代謝産物、抗微小管薬、アルキル化剤、白金剤、アントラサイクリン、抗生物質薬もしくはトポイソメラーゼ阻害剤またはそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数のと併用してエマルジョン前濃縮物として投与することができる。
さらなる態様において、細胞毒性薬は、シタラビン、メルファラン、トポテカン、フルダラビン、エトポシド、イダルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、シスプラチン、パクリタキセルまたはシクロホスファミドのうちの一つであり得る。他の態様において、細胞毒性薬は、シタラビン、メルファラン、トポテカン、フルダラビン、エトポシド、イダルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、シスプラチン、パクリタキセルまたはシクロホスファミドのうちの1つより多くであり得る。さらに他の態様において、ビタミンD化合物を、シタラビン、メルファラン、トポテカン、フルダラビン、エトポシド、イダルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、シスプラチン、パクリタキセルまたはシクロホスファミドもしくはそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数と併用してエマルジョン前濃縮物として投与することができる。
特別の態様において、細胞毒性薬はシタラビンであり、ここでシタラビンの投与範囲は約10mg/m2/日〜約1g/m2/日である。好ましい態様において、細胞毒性薬はシタラビンであり、ここでシタラビンの投与範囲は約5mg/m2/日〜約20mg/m2/日である。もう一つの特定の態様において、細胞毒性薬はイダルビシンであり、ここでイダルビシンの投与範囲は約9mg/m2/日〜約18mg/m2/日である。さらにもう一つの特定の態様において、細胞毒性薬はメルファランであり、メルファランの投与範囲は約1mg/日〜約100mg/日である。好ましい態様において、細胞毒性薬はメルファランであり、ここでメルファランの投与範囲は約1mg/日〜約5mg/日である。さらにもう一つの特定の態様において、細胞毒性薬はトポテカンであり、トポテカンの投与範囲は約1mg/m2/日〜約100mg/m2/日である。好ましい態様において、細胞毒性薬はトポテカンであり、ここでトポテカンの投与範囲は約1mg/m2/日〜約5mg/m2/日である。
さらに他の態様において、ビタミンD化合物でないさらなる活性剤は、RNA転写に影響を与える一つまたは複数の薬剤であり得る。RNA転写に影響を与える薬剤は、本発明の方法に従ってビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。特定の態様において、RNA転写に影響を与える薬剤は、デシタビン、5-アザシチジン、デプシペプチドまたはフェニルブチレートのうちの一つであり得る。他の態様において、RNA転写に影響を与える薬剤は、デシタビン、5-アザシチジン、デプシペプチドまたはフェニルブチレートのうちの1つより多くであり得る。さらに他の態様において、ビタミンD化合物を、デシタビン、5-アザシチジンまたはデプシペプチドあるいはそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数と併用してエマルジョン前濃縮物として投与することができる。
特定の態様において、RNA転写に影響を与える薬剤はデシタビンであり、ここでデシタビンの投与範囲は約10mg/m2/日〜約200g/m2/日である。好ましい態様において、RNA転写に影響を与える薬剤はデシタビンであり、ここでデシタビンの投与範囲は約45mg/m2/日〜約100mg/m2/日である。もう一つの特定の態様において、RNA転写に影響を与える薬剤は5-アザシチジンであり、ここで5-アザシチジンの投与範囲は約5mg/m2/日〜約200g/m2/日である。好ましい態様において、RNA転写に影響を与える薬剤は5-アザシチジンであり、ここで5-アザシチジンの投与範囲は約10mg/m2/日〜約75mg/m2/日である。
他の態様において、ビタミンD化合物でないさらなる活性剤は、ビタミンA、EまたはKの誘導体であり得る。ビタミンA、EまたはKの誘導体は、本発明の方法に従ってビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。特定の態様において、ビタミンA、EまたはKの誘導体は、ATRA、13-シス-レチン酸、トコフェロールまたはメナテトレノンのうちの一つであり得る。他の態様において、ビタミンA、EまたはKの誘導体は、ATRA、13-シス-レチン酸、トコフェロールまたはメナテトレノンのうちの1つより多くであり得る。さらに他の態様において、ビタミンD化合物を、ATRA、13-シス-レチン酸、トコフェロールまたはメナテトレノンあるいはそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数と併用してエマルジョン前濃縮物として投与することができる。
特定の態様において、ビタミンA、EまたはKの誘導体はATRAであり、ここでATRAの投与範囲は約10mg/m2/日〜約200mg/m2/日である。好ましい態様において、ビタミンA、EまたはKの誘導体はATRAであり、ここでATRAの投与範囲は約25mg/m2/日〜約80mg/m2/日である。もう一つの特定の態様において、ビタミンA、EまたはKの誘導体は13-シス-レチン酸であり、13-シス-レチン酸の投与範囲は約5mg/m2/日〜約200g/m2/日である。好ましい態様において、ビタミンA、EまたはKの誘導体は13-シス-レチン酸であり、ここで13-シス-レチン酸の投与範囲は約10mg/m2/日〜約100mg/m2/日である。さらにもう一つの特定の態様において、ビタミンA、EまたはKの誘導体はメナテトレノンであり、ここでメナテトレノンの投与範囲は約5mg/m2/日〜約200g/m2/日である。好ましい態様において、ビタミンA、EまたはKの誘導体はメナテトレノンであり、ここでメナテトレノンの投与範囲は約10mg/日〜約100mg/日である。さらにもう一つの特定の態様において、ビタミンA、EまたはKの誘導体はトコフェロールであり、ここでトコフェロールの投与範囲は約400IU/日〜約300IU/日である。好ましい態様において、ビタミンA、EまたはKの誘導体はトコフェロールであり、ここでトコフェロールの投与範囲は約800IU/日〜約2000IU/日である。
他の態様において、ビタミンD化合物でないさらなる活性剤は、MDSに関連する生物学的標的に特異的に結合する薬剤であり得る。MDSに関連する生物学的標的に特異的に結合する薬剤は、本発明の方法に従ってビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。特定の態様において、MDSに関連する生物学的標的を特異的に結合する薬剤は、抗-VEGF、ゲムツズマブ・オゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)およびTNFR:Fcのうちの一つであり得る。他の態様において、MDSに関連する生物学的標的を特異的に結合する薬剤は、抗-VEGF、ゲムツズマブ・オゾガマイシンまたはTNFR:Fcのうちの1つより多くであり得る。さらに特定の態様において、ビタミンD化合物を、抗-VEGF、ゲムツズマブ・オゾガマイシンまたはTNFR:Fcまたはそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数と併用してエマルジョン前濃縮物として投与することができる。特定の態様において、MDSに関連する生物学的標的を特異的に結合する薬剤はゲムツズマブ・オゾガマイシンであり、ここでゲムツズマブ・オゾガマイシンの投与範囲は約5mg/m2/週〜約20mg/m2/週である。
他の態様において、ビタミンD化合物でないさらなる活性剤はシグナルトランスダクション阻害剤であり得る。シグナルトランスダクション阻害剤は、本発明の方法に従ってビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。特定の態様において、シグナルトランスダクション阻害剤は、一つまたは複数のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤であり得る。他の態様において、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、ZARNESTRA(商標)およびSARASAR(商標)のうちの一つであり得る。さらに他の態様において、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、ZARNESTRA(商標)およびSARASAR(商標)のうちの1つより多くであり得る。さらに他の態様において、ビタミンD化合物を、ZARNESTRA(商標)およびSARASAR(商標)あるいはそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数と併用してエマルジョン前濃縮物として投与することができる。
他の態様において、シグナルトランスダクション阻害剤はチロシンキナーゼ阻害剤であり得る。チロシンキナーゼ阻害剤は、本発明の方法に従ってビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。特定の態様において、チロシンキナーゼ阻害剤はSU5416、SU6668またはPTK787/ZK222584のうちの一つであり得る。他の態様において、チロシンキナーゼ阻害剤は、SU5416、SU6668またはPTK787/ZK222584のうちの1つより多くであり得る。さらに他の態様において、ビタミンD化合物を、SU5416、SU6668またはPTK787/ZK222584あるいはそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数と併用してエマルジョン前濃縮物として投与することができる。
他の態様において、ビタミンD化合物でないさらなる活性剤はアミノチオールであり得る。アミノチオールは、本発明の方法に従ってビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。特定の態様において、このアミノチオールはアミフォスチンである。もう一つの特定の態様において、ビタミンD化合物を、アミフォスチンと組み合わせてエマルジョン前濃縮物として投与することができる。さらにもう一つの特定の態様において、このアミノチオールはアミフォスチンであり、ここでアミフォスチンの投与範囲は、複数日に渡って投与される場合には約50mg/m2/日〜約600mg/m2/日であり、単一投与で投与される場合には約600mg/m2〜約1.2g/m2である。好ましい態様において、このアミノチオールはアミフォスチンであり、ここでアミフォスチンの投与範囲は、複数日に渡って投与される場合には約100mg/m2/日〜約400mg/m2/日であり、単一投与で投与される場合には約740mg/m2〜約910mg/m2である。
さらに他の態様において、ビタミンD化合物でないさらなる活性剤はヒ素含有化合物であり得る。ヒ素含有化合物は、本発明の方法に従ってビタミンD化合物とのサイクルの前、同時、後またはその最中に投与することができる。特定の態様において、このヒ素含有化合物は三酸化ヒ素である。もう一つの特定の態様において、ビタミンD化合物を、三酸化ヒ素と併用してエマルジョン前濃縮物として投与することができる。
前述の任意の併用投与量、投与頻度および投与期間は、被検体の年齢、体重、反応および過去の病歴、並びに薬剤の投与経路、薬物動態および薬力学的効果によっても変わり得る。これらの因子は、当業者により通常考慮される。他の投与スケジュールおよび、投与スケジュールを設計する際に当業者により考慮される因子は前述している。
投与方法
本発明の方法において、ビタミンD化合物は、当業者に知られている任意の方法により投与することができる。特定の態様において、ビタミンD化合物を、ビタミンD化合物の最大血漿中濃度の発現を迅速に達成させることができる当業者に知られている任意の経路により投与することができる。他の態様において、ビタミンD化合物は、経口、粘膜または非経口的に投与される。例えば、ビタミンD化合物の粘膜投与は、鼻腔内、舌下、膣内、頬内または直腸投与を含み得、ここでビタミンD化合物の非経口投与は、静脈内、筋肉内または動脈内投与を含み得る。ビタミンD化合物を静脈内または動脈内投与する場合、ビタミンD化合物は、ボーラス注射としてまたは、数分〜数時間の輸液として投与することができる。好ましい態様において、ビタミンD化合物を、経口または静脈内投与することができる。
ビタミンD化合物の投与のタイミングも変えることができる。ビタミンD化合物は、投与形態に係わらず、一つまたは複数のさらなる活性剤の投与とのサイクルの前、同時、後またはその最中に共治療薬として投与することができる。ビタミンD化合物および製剤の投与は、他の治療の一連のサイクル中に他の治療の間または同時にビタミンD化合物を投与するようなサイクル療法治療プログラムにおいても行うことができる。特定の態様において、ビタミンD化合物を、連続的または非連続的周期的スケジュールに従って間欠的に投与することができる。
さらに、本発明の方法が、さらに、一つまたは複数のさらなる活性剤を投与する工程を含む場合、さらなる活性剤は、当業者に知られている任意の方法により投与することができる。
ビタミンD化合物の薬学的処方物
本発明において用いるために、薬剤は、一つまたは複数のビタミンD化合物をまたは、任意で一つまたは複数のビタミンD化合物を一つまたは複数のさらなる活性剤と組み合わせて含むことができる。この薬剤は、MDSの治療における造血成長因子またはサイトカインのような一つまたは複数のさらなる活性剤と併用して投与することもできる。この薬剤は、当業者に知られている任意の薬学的処方物の形態とすることができる。典型的には、本発明の薬学的組成物および投与形態は、少なくとも一つのビタミンD化合物、または薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物またはプロドラッグを含む。本発明の薬学的処方物および投与形態は、さらに、一つまたは複数の、賦形剤、希釈剤または、当業者に知られており本発明の調製方法に適した任意の他の成分を含む。本発明の薬学的処方物および投与形態は、さらに、ビタミンD化合物でない他の活性成分を含むことができる。さらに、本発明の薬学的処方物を用いて、単一投与形態を調製することができる。
投与形態の組成、形状および型は、典型的に、その用途に応じて変わり得る。例えば、疾患の急性治療に用いられる投与形態は、同じ疾患の慢性治療に用いられる投与形態よりも多量の薬剤を含むことができる。同様に、非経口投与形態は、同じ疾患を治療するために用いられる経口投与形態よりも少量の薬剤を含む。特定の投与形態が変わり得るこれらおよび他の方法は、当業者に容易に明らかとなる。例えば、Remington's pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing、ペンシルベニア州イーストン(1990)参照。
投与形態は、経口;鼻腔内、舌下、膣内、頬内または直腸のような粘膜;または静脈内、筋肉内または動脈内投与のような非経口投与に適している。ビタミンD化合物を静脈内または動脈内投与する場合、ビタミンD化合物を、ボーラス注射または、数分〜数時間に渡る輸液として投与することができる。投与形態の例には、錠剤、カプレット、硬質および軟質ゼラチンカプセルのようなカプセル、カシェ剤、トローチ、ロゼンジ、分散液、坐剤、軟膏、パップ剤(湿布)、ペースト、粉末、包帯剤、クリーム、プラスター、溶液、パッチ、鼻腔スプレーまたは吸入剤のようなエアロゾル、およびゲルが含まれるが、これらに限定されない。経口または粘膜投与のための適当な液体投与形態は、水性または非水性液体懸濁液、水中油エマルジョン、油中水エマルジョン、溶液およびエリキシルを含むが、これらに限定されない。液体投与は、結晶性または無定形であり得る滅菌固体を、非経口投与に適した液体投与形態に再構築することを非限定的に含む。
本発明の好ましい投与形態は、経口投与形態および静脈内投与形態を含む。ビタミンD化合物を間欠的に経口投与する場合、ビタミンD化合物は、好ましくは、エマルジョン前濃縮物として投与される。ビタミンD化合物の経口投与形態の好ましい態様において、経口投与形態は、適当な重量%を付した以下の賦形剤に加えてカルシトリオール約15μgを含むビタミンD化合物のエマルジョン前濃縮物である。65% Miglyol 812N(登録商標)、30% Gelucire 44/14(登録商標)、5% ビタミンE TPGSおよび各約0.05%のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)。ビタミンD化合物の静脈内投与の最も好ましい態様において、静脈投与形態は、カルシトリオール1μg、Polysorbate20の4mg、アスコルビン酸ナトリウム2.5mgおよび任意でpH調整用のHClまたはNaOHを含み得るCALCIJEX(登録商標)である。
典型的な薬学的処方物および投与形態は、一つまたは複数の賦形剤を含む。適当な賦形剤は当業者に周知であり、適当な賦形剤の非限定的例が本明細書に提供されている。特定の賦形剤が薬学的処方物への取り込みに適しているか、または、投与形態は、非限定的に投与形態を投与する経路を含む当業者に周知の種々の因子に依存する。一つの例において、錠剤のような経口投与形態は、非経口投与形態での使用に適していない賦形剤を含み得る。特定の賦形剤の適合性は、投与形態の中の特定の薬剤にも依存し得る。
特定の態様において、薬学的組成物および投与形態は無水とし得る。なぜならば、水ならびに熱が、一部の化合物の分解を促進することがあり得るからである。すなわち、水および熱の製剤への効果が非常に重要となり得る。なぜならば、製剤の製造、取り扱い、包装、貯蔵、輸送および使用中に通常、湿分および/または水分に接するからである。
無水薬学的処方物および投与形態は、無水または低湿分含有成分および低湿分または低水分条件を用いて調製することができる。好ましい態様において、無水薬学的処方物は、水への露出を防止することができると共に適当な調製キットの製造を容易にする材料を用いることにより無水環境を保つように調製、貯蔵および包装される。適当な材料の例には、密封された箔、プラスチックおよび、バイアル、ブリスターパックおよびストリップパックのような単位投与物容器が含まれるが、これらに限定されない。
特定の態様において、薬学的処方物および投与形態は、活性成分が分解する速度を低下させる化合物である一つまたは複数の安定化剤を含み、非限定的にアスコルビン酸のような酸化防止剤、pH緩衝剤または塩緩衝剤を含む。
本発明の薬学的処方物は、例えば、半固体製剤または液体製剤であり得る。本発明の半固体組成物は、例えばゲル、ペースト、クリームおよび軟膏を含む当業者に知られている任意の半固体組成物であり得る。
特定の態様において、薬学的処方物は、現在臨床的に用いられているビタミンD化合物の製剤を含み得る。そのようなビタミンD化合物製剤および類似体の例には、ジヒドロタキステロール(DHT(商標)、Roxane;およびHYTAKEROL(登録商標)、Sanofi Winthrop Pharm製);カルシトリオール(ROCALTROL(登録商標)、Roche製;およびCALCIJEX(登録商標)、Abbott製);カルシフェジオール(CALDEROL(登録商標)、Organon製);エルゴカルシフェロール(CALCIFEROL(登録商標)、Schwarz Pharma製;およびDRISDOL(登録商標)、Sanofi Pharm製);コレカルシフェロール(DELTA-D(登録商標)およびvitamin D3、Freeda製);パラカルシトール(ZEMPLAR(登録商標)、Abbott製);ドキセルカルシフェロール(HECTOROL(登録商標)、Bone Care Int'l製);およびアルファカルシドール(ALFAD(登録商標)およびONE-ALPHA(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
ROCALTROL(登録商標)は、現在臨床的に用いられているカルシトリオール製剤であり、カルシトリオール0.25および0.5μgを含むカプセルとして入手され、1μg/mLカルシトリオールを含む経口溶液として入手される。ROCALTROL(登録商標)の投与形態は、酸化防止剤としてのブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のようなさらなる成分を含むことができる。このカプセルは、ヤシ油の分割トリグリセリドも含み、経口溶液は、パーム種油の分割トリグリセリドを含むことができる。Physicians'Desk Reference 2991(第56版、2002年)参照。
経口投与形態
特定の態様において、薬剤は経口的に投与することができる。経口投与に適した製剤は、咀嚼錠のような錠剤、カプレット、カプセルおよび、風味料添加シロップのような液体を非限定的に含む別個の投与形態として存在することができる。そのような投与形態は、予め決められた量の薬剤を含み、薬剤学の当業者に周知の調剤法により調製してもよい。一般的には、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Publishing、Easton PA(1990)を参照されたい。
典型的経口投与形態は、薬剤を、従来の薬剤調剤技術に従う少なくとも一つの賦形剤と組み合わせることにより調製される。賦形剤は、種々の形状をとることができる。例えば、経口液体またはエアロゾル投与形態での使用に適した賦形剤には、水、グリコール、油、アルコール、香味料、防腐剤および着色剤が含まれるが、これらに限定されない。粉末、錠剤、カプセルおよびカプレットのような固体経口投与形態において用いるのに適した賦形剤の例には、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤および崩壊剤があるが、これらに限定されない。
特定の態様において、適当な形状の結合剤には、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、他のデンプン、ゼラチン、天然および合成ガム、例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガカント、グアーガム(guar gum)、セルロースおよびその誘導体が含まれるが、これらに限定されない。セルロース誘導体の例には、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。他の結合剤には、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、予めゼラチン化されたデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロースおよびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
適当な形状の微結晶性セルロースには、AVICEL(登録商標)、AVICEL-PH-101(登録商標)、AVICEL-PH-103(登録商標)、AVICEL RC-581(登録商標)、Avicel-PH-105(登録商標)(Avicel(登録商標)製品はFMC Corporation、American Viscose Division、Avicel Sales、Marcus Hook、PAから入手される)として市場で知られているもの、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。特定の態様において、結合剤は、Avicel RC-581(登録商標)として販売されている微結晶性セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの混合物であり得る。適当な無水または低湿分賦形剤または添加剤には、AVICEL-PH-103(登録商標)およびSTARCH 1500LM(登録商標)が含まれる。
特定の態様において、適当な充填剤には、タルク、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrate)、カオリン、マンニトール、珪酸、ソルビトール、デンプン、予めゼラチン化されたデンプンおよびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。結合剤および充填剤は、典型的に、薬学的処方物または投与形態の約50〜約99重量%の量で存在する。
特定の態様において、製剤中に崩壊剤を用いて、水性環境に曝されたときに崩壊する錠剤を提供することができる。崩壊剤を多く含みすぎる錠剤は貯蔵中に崩壊することがあり、崩壊剤が少な過ぎる錠剤は、所望の速度または所望の条件下で崩壊しない場合がある。したがって、薬剤の放出を有害に変更させる多すぎる量または少な過ぎる量でない充分な量の崩壊剤を用いて、固体経口投与形態を形成すべきである。崩壊剤の量は、製剤の種類に基づいて変化し、当業者により容易に決められる。特定の態様において、薬学的処方物は、崩壊剤を約0.5〜約15重量%含む。好ましい態様において、薬学的処方物は、崩壊剤を約1〜約5重量%含む。
他の態様において、適当な崩壊剤には、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム(croscarmellose dodium1)、クロスポビドン(crospovidone)、ポラクリリンカリウム(polacrilin potassiium)、デンプングリコレートナトリウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、他のデンプン、予めゼラチン化されたデンプン、他のデンプン、クレー、他のアルギン、他のセルロース、ガムおよびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
特定の態様において、適当な潤滑剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、軽質鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルクおよび、落花生油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびダイズ油のような水素化植物油が含まれるが、これらに限定されない。他の態様において、適当な潤滑剤には、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。他の態様において、適当な潤滑剤には、Aerosil 200(W.R.Grace社、メリーランド州ボルチモア)のようなシロイドシリカゲル(syloid)、合成シリカの凝集エアロゾル(Degussa社(テキサス州プラノ)から販売)、Cab-O-SIL(登録商標)(Cabot社(マサチューセッツ州ボストン)から販売されている発熱性二酸化ケイ素産物)およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。潤滑剤を用いる場合、これらは、典型的に、薬学的処方物または投与形態の約1重量%を下回る量で存在する。
特定の態様において、経口投与形態は錠剤およびカプセルであり得る。錠剤およびカプセルは固体賦形剤を含むことができ、その送達の容易性故に最も有利な経口投与単位形状を呈する。錠剤は、望ましいならば、標準的水性または非水性技術により被覆することができる。そのような投与形態は、任意の製薬法により調製することができる。通常、薬学的処方物および投与形態は、薬剤を均一かつ均等に液体キャリア、超微粒子状固体キャリアまたはその両者と混合し、次に、産物を所望の形状に造形することにより調製される。例えば、圧縮または成形により錠剤を調製することができる。圧縮錠剤は、適当な機械において薬剤および、任意で賦形剤を圧縮することにより調製することができる。成形錠剤も、同様に、適当な機械において、不活性液体希釈剤で湿られた、薬剤および任意で賦形剤の混合物を成形することにより作ることができる。
特定の態様において、組成物の単位投与形態はカプセルであり、成分の合計量は、好ましくは、約10μL〜約1000μLである。好ましい態様において、カプセル中に存在する成分の合計量は約100μL〜約300μLである。
製剤中の成分の相対的割合は、組成物の特定の種類、成分の特定の機能、特定の成分、および産物の所望の物理的特性により変化し得る。例えば、組成物は、局所的使用のための流動性液体またはペーストであってもよい。任意の特定の例における作用可能な割合の決定は、当業者能力の範囲内である。以下に記載の全ての示された割合および相対的重量範囲は、好ましい教示であり、いかなる方法でも制限されることを意図するものではない。
カルシトリオールは感光性であり得、特に、酸化する傾向がある。さらに、カルシトリオールおよび他の活性型ビタミンD化合物は親油性であり、脂質および一部の有機溶媒に溶解性であるが、水のような極性媒体には殆ど溶解しないことを示している。活性型ビタミンD化合物の親油性の性質の結果として、水性溶液、例えば、胃の胃液中でのそのような化合物の分散は著しく制限される。従って、現在利用できる活性型ビタミンD化合物製剤の薬物動態パラメーターは次善的である。その結果、現在利用できる活性型ビタミンD化合物は、小腸における吸収の実質的な可変性を示す傾向がある。
しかしながら、本発明の特定の好ましい態様において、ビタミンD化合物をエマルジョン前濃縮物として処方することにより、安定性を向上させ、高温においても薬物動態的パラメーターを向上させ、小腸における吸収の可変性を減少させることができる。好ましくは、この方法は、カルシトリオールのような活性型ビタミンD化合物の投与形態を、使用の利便性を付与するのに充分に高い濃度で提供する。投与形態は種々の温度で安定であり、非限定的に胃液を含む極性媒体中で迅速にナノ分散液になり、必要な薬物動態的パラメーター中で機能する。
高投与量において、エマルジョン前濃縮物は、ROCALTROL(登録商標)を用いて観察される最大血中濃度より少なくとも1.5〜2倍大きいビタミンD化合物の最大血中濃度を示し、ROCALTROL(登録商標)を用いて観察される排出半減期の半分以下である排出半減期を示し、ROCALTROL(登録商標)を用いて観察される最大血漿中濃度に至る時間より短い最大血漿中濃度に至る時間を示す。これらの薬物動態特性は、高カルシウム血症を発症させず、好ましくは臨床的高カルシウム血症を発症させることなく、ビタミンD化合物の高い血中レベルを達成するのに有利である。
特定の態様において、エマルジョン前濃縮物は、液体または溶液のような極性相成分、すなわち、非限定的に水を含む極性媒体で希釈したときにエマルジョンを形成する。極性媒体とエマルジョン前濃縮物との割合は好ましくは1:1またはそれ以上である。一つの例において、水と組成物との割合は、約1:1〜約5000:1の範囲であり得る。もう一つの例において、水と組成物との割合は約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、200:1、300:1、500:1、1000:1もしくは5000:1、またはその中の任意の範囲であり得る。当業者は、所望の用途についてのこの適当な割合を決めることができる。
他の態様において、エマルジョンはサブミクロン液滴エマルジョンであり得、このサブミクロン液滴エマルジョンは以下の特性の一つまたは複数を有する。(1)熱、高い剪断力または他の実質的攪拌のようなエネルギー源の非存在に拘わらず、成分が接触したときに、自発的にエマルジョンを形成する、(2)熱力学的安定性および(3)単相状態。
サブミクロン液滴エマルジョン中の液滴または粒子は、球および、層状、六角または等方的対称性を有する液晶を非限定的に含む種々の形状を有することがある。サブミクロン液滴エマルジョンは、平均直径が通常約50nm〜約1000nm、好ましくは約100nm〜約750nm、より好ましくは約200nm〜約400nmである液滴または粒子を含む。
特定の態様において、エマルジョンは、水のような極性媒体でエマルジョン前濃縮物を希釈したときに400nmで約0.3〜約15.0の範囲の吸光度を有する。他の態様において、エマルジョンは、400nmで約0.3〜約8.0の範囲の吸光度を有する。特定の態様において、吸光度は400nmにおいて約0.4、0.5、0.6、1.0、1.2、1.6、2.0、2.2、2.4、2.5、3.0もしくは4.0、またはこの中の吸光度の任意の範囲で有り得る。好ましい態様において、エマルジョンは、水とエマルジョン前濃縮物との100:1希釈で形成され、400nmで約0.3〜約4.0の範囲の吸光度を有する。液状溶液の吸光度を決める方法は当業者により周知である。当業者は、水のような極性媒体で希釈したときに本発明の範囲内の任意の特定の吸光度を有するエマルジョンを得るように、本発明のエマルジョン前濃縮物の成分の相対的割合を確認し調節することができる。
特定の態様において、このエマルジョン前濃縮物は、(a)一つまたは複数の親油性相成分、(b)一つまたは複数の界面活性剤、および(c)一つまたは複数のビタミンD化合物を含み、前記組成物はエマルジョン前濃縮物であり、例えば、水のような極性媒体で希釈したときに、約1:1以上の水-組成物の比により、400nmで0.3を超える吸光度を有するエマルジョンが形成される。特定の態様において、このエマルジョン前濃縮物は、さらに、一つまたは複数の疎水性または親水性相成分を含む場合がある。エマルジョン前濃縮物のビタミンD化合物は、前述している。ビタミンD化合物は、活性型ビタミンD化合物または、投与したときに活性型ビタミンD化合物に転化することができる化合物であり得る。
親油性相成分は、水と混和性でない任意の薬学的に許容される溶媒であり得る。典型的に、親油性相成分は、C6、C8、C10、C12、C14、C16、C18、C20およびC22脂肪酸から誘導されたものを非限定的に含むモノ、ジまたはトリグリセリドを含む。例示的なジグリセリドには、特に、ジオレイン、ジパルミトレインおよび混合カプリリン-カプリンジグリセリドが含まれる。好ましいトリグリセリドには、植物油、魚油、動物性脂肪、水素化植物油、部分的水素化植物油、合成トリグリセリド、変性トリグリセリド、分割トリグリセリド、中鎖および長鎖トリグリセリド、構造トリグリセリドおよびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
好ましいトリグリセリドには、アーモンド油、ババス油、ルリヂサ油、クロフサスグリ種子油、カノーラ油、ヒマシ油、ココヤシ油、コーン油、綿実油、オオマツヨイグサ油、ブドウ種油、落花生油、カラシ種油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ピーナッツ油、ブドウ種油、ベニバナ油、ゴマ油、サメ肝油、大豆油、ヒマワリ油、水素化ヒマシ油、水素化ココヤシ油、水素化パーム油、水素化大豆油、水素化植物油、水素化綿実油およびヒマシ油、部分的水素化大豆油、部分的水素化大豆油および綿実油、トリカプロン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリウンデカン酸グリセリル(glyceryl triundecanoate)、トリラウリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリリノール酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸/リノール酸グリセリルおよびトリカプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸グリセリルが含まれるが、これらに限定されない。
特定の態様において、好ましいトリグリセリドは、Labrafac CC(登録商標)として市場で知られている中鎖トリグリセリドであり得る。他の好ましいトリグリセリドには、例えば、中性植物油のような中性油、ならびに、特にMIGLYOL 810(登録商標);MIGLYOL 812(登録商標);MIGLYOL 818(登録商標)およびCAPTEX 355(登録商標)を非限定的に含む市販のMIGLYOL(登録商標)のようなヤシ油が含まれる。好ましい親油性相成分は、産物Miglyol 812(登録商標)という製品で有り得る。米国特許第5,342,625号を参照されたい。
他の適当なトリグリセリドには、MYRITOL 813(登録商標)を非限定的に含むMYRITOL(登録商標)として市場で知られているようなカプリル酸-カプリン酸トリグリセリドが含まれるがこれらに限定されない。このクラスの他の適当な製品には、CAPMUL MCT(登録商標)、CAPTEX 200(登録商標)、CAPTEX 300(登録商標)、CAPTEX 800(登録商標)、NEOBEE MS(登録商標)およびMAZOL 1400(登録商標)が含まれるが、これらに限定されない。
前述のように、エマルジョン前濃縮物は、さらに、一つまたは複数の界面活性剤を含む。用いることができる界面活性剤には、アニオン性、カチオン性、非イオン性および両性界面活性剤あるいはこれらの混合物を非限定的に含む親水性または親油性界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、界面活性剤は、非イオン性親水性および非イオン性親油性界面活性剤である。
特定の態様において、適当な親水性界面活性剤には、ポリオキシエチレングリコール化された天然または水素化植物またはヒマシ油のような天然または水素化植物油とエチレングリコールの反応生成物が含まれるが、これらに限定されない。反応生成物は、天然または水素化ヒマシ油とエチレンオキシドとの約1:35〜約1:60のモル比での反応を非限定的に含む既知の方法により得ることもできる。任意で、German Auslegeschrifien 1,182,388および1,518,819に教示されている方法を用いて、産物から遊離ポリエチレングリコール成分を除去することができる。
他の適当な親水性界面活性剤には、以下の市場で知られているTWEEN(登録商標)製品のようなモノラウリルおよびトリラウリル、パルミチル、ステアリルおよびオレイルエステルを非限定的に含むポリオキシエチレン-ソルビタン-脂肪酸エステルが含まれるが、これらに限定されない。
TWEEN 20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)
TWEEN 40(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)
TWEEN 60(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)
TWEEN 80(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)
TWEEN 65(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート)
TWEEN 85(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート)
TWEEN 21(登録商標)(ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート)
TWEEN 61(登録商標)(ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート)および
TWEEN 81(登録商標)(ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート)。
組成物中で用いるためのこのクラスの最も好ましい製品は、TWEEN 40(登録商標)およびTWEEN 80(登録商標)である。Hauer et al.,米国特許第5,342,625号を参照されたい。
他の態様において、適当な親水性界面活性剤には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステルのようなポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリド、ポリオキシエチレン植物油およびポリオキシエチレン水素化植物油が含まれるが、これらに限定されない。他の適当な親水性界面活性剤には、ポリオールと、脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油およびステロールからなる群の一つまたは複数のメンバー;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーおよびブロックコポリマー;ジオクチルスクシネート、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、ジ-[2-エチルヘキシル]-スクシネートまたはラウリル硫酸ナトリウム;リン脂質、および好ましくは、大豆レシチンのようなレシチン;プロピレングリコールモノ-およびジ-脂肪酸エステル、例えば、プロピレングリコールジカプリレート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールヒドロキシステアレート、プロピレングリコールイソステアレート、プロピレングリコールラウレート、プロピレングリコールリシノルエートおよびプロピレングリコールステアレートとの反応混合物の産物が含まれるが、これらに限定されない。最も好ましくは、脂肪酸エステルは、プロピレングリコールカプリル-カプリン酸ジエステルであり得る。他の適当な親水性界面活性剤には、タウロコール酸ナトリウムのような胆汁酸塩が含まれるが、これらに限定されない。
特定の態様において、適当な親油性界面活性剤には、アルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸、胆汁酸、グリセロール脂肪酸エステル、アセチル化グリセロール脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリド、モノグリセリドまたはジグリセリドの乳酸エステル、プロピレングリコールジグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、エステル交換された植物油、ステロール、糖エステル、糖エーテル、スクログリセリド、ポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレン水素化植物油が含まれるが、これらに限定されない。他の態様において、適当な親油性界面活性剤には、ポリオールと、脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油およびステロールからなる群の一つまたは複数のメンバーとの反応混合物の産物が含まれるが、これらに限定されない。
他の態様において、適当な親油性界面活性剤には、天然植物油トリグリセリドとポリアルキレンポリオールのエステル交換生成物が含まれるが、これらに限定されない。そのようなエステル交換生成物は、当技術分野において知られており、米国特許第3,288,824号に教示の方法を用いて得てもよい。これらのエステル交換生成物には、トウモロコシ油、核油、アーモンド油、落花生油、オリーブ油、パーム油のような一つまたは複数の天然植物油と、一つまたは複数のポリエチレングリコールとの反応混合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましいポリエチレングリコールは、平均分子量が200〜800である。一つの好ましい態様において、生成物は、天然植物油トリグリセリドとポリエチレングリコールとの2:1モル比でのエステル交換により得られる。種々の形状のエステル交換生成物が、LABRAFIL(登録商標)として市場で知られている。
特定の態様において、適当な親油性界面活性剤には、トコフェロールPEG-1000スクシネート(「ビタミンE TPGS」)、モノグリセリド、ジグリセリドおよびそれらの混合物のような油溶解性ビタミン誘導体;カプリル酸またはカプリン酸とグリセロールとのエステル化生成物;ソルビタン脂肪酸エステル;ペンタエリトリトールおよびペンタエリトリット脂肪酸エステル;およびペンタエリトリット-ジオレエート、-ジステアレート、-モノラウレート、-ポリグリコールエステルのようなポリアルキレングリコールエーテル;グリセロールモノオレエート、グリセロールモノパルミテートおよびグリセロールモノステアレートのようなモノグリセリド;グリセロールトリアセテートまたは(1,2,3)-トリアセチン;ステロールおよび非限定的にコレステロールおよびその誘導体を含む誘導体、特に、シトステロール、カンペステロールまたはスチグマステロールを含む生成物のような植物ステロール;ならびに大豆ステロールおよびその誘導体のようなエチレンオキシド付加物が含まれるが、これらに限定されない。
当業者は、幾つかの市販の界面活性剤組成物が少量から中程度の量のトリグリセリドを含み得ることを理解する。すなわち、特定の態様において、本薬学的処方物に用いるのに適した界面活性剤は、トリグリセリドを含む界面活性剤を含んでもよい。トリグリセリドを含む市販の界面活性剤組成物の例には、GELUCIRE(登録商標)、MAISINE(登録商標)およびIMWITOR(登録商標)が含まれるが、これらに限定されない。これらの化合物の特定の例は、GELUCIRE 44/14(登録商標)、GELUCIRE 50/13(登録商標)およびGELUCIRE 53/10(登録商標)のような飽和ポリグリコール化グリセリド;GELUCIRE 33/01(登録商標)、GELUCIRE 39/01(登録商標)のような半合成トリグリセリド;および37/06、43/01、35/10、37/02、46/07、48/09、50/02、62/05等のような他のGELUCIRE(登録商標)界面活性剤組成物である。
他の態様において、適当な市販の界面活性剤組成物には、MAISINE 35-I(登録商標)のようなリノール酸グリセリドおよび、IMWITOR 742(登録商標)のようなカプリル酸/カプリン酸グリセリドが含まれるが、これらに限定されない。米国特許第6,267,985号を参照されたい。当業者は、かなりのトリグリセリド含有物を有する他の市販の界面活性剤組成物があることを理解し、トリグリセリドおよび界面活性剤を含む組成物が、親油性相成分の全てまたは一部、および界面活性剤の全てまたは一部を提供するのに適当でありうることを認めると思われる。
特定の態様において、本発明のエマルジョン前濃縮物は任意で一つまたは複数の親水性相成分を含んでよい。適当な親水性相成分にはアルカンジオールのエーテル、および好ましくはジエーテルが含まれるが、これらに限定されない。一つまたは複数の親水性相成分は、例えば、低分子量モノオキシアルカンジオールまたはポリオキシアルカンジオールの薬学的に許容されるC1〜C5アルキルまたはテトラヒドロフルフリルエーテルを含み得る。アルカンジオールは、C2〜C12オキシ-アルカンジオール、および好ましくはC4オキシ-アルカンジオールであり得る。より好ましくは、オキシ-アルカンジオールは、直鎖状であり得る。本発明に関して使用される例示的な親水性相成分は、TRANSCUTOL(登録商標)およびCOLYCOFUROL(登録商標)として市場で知られている。米国特許第5,342,625号を参照されたい。
他の態様において、親水性相成分は一つまたは複数のさらなる成分を含み得る。しかしながら、好ましくは、さらなる成分は、ビタミンD化合物のキャリアとしての親水性相成分の能力が著しく損なわれないようにビタミンD化合物を充分に溶解することができる材料を含む。他の可能な親水性相成分には、C1〜C5アルカノール(alkanol)のような低級アルカノール、および好ましくはエタノールが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、親水性相成分は1,2-プロピレングリコールを含む。
特定の態様において、エマルジョン前濃縮物のような本発明の任意の薬学的処方物は、さらに、一つまたは複数の添加剤を含み得る。当技術分野において周知の添加剤には、デタッキフィール(detackifier)、消泡剤、緩衝剤、アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)およびα-トコフェロール(ビタミンE)のようなトコフェロールのような酸化防止剤、防腐剤、キレート化剤、粘度調整剤、トニシフィール(tonicifier)、香味料(flavorant)、着色剤、着臭剤、乳白剤、懸濁剤、結合剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。当業者は、所望の特性を達成するのに必要なそのような添加剤の量を容易に決めることができる。
他の態様において、添加剤は、濃厚化剤(thickening agent)およびその塩も含み得る。徐放効果を提供することを非限定的に含む種々の理由により、濃厚化剤を含むことができる。しかしながら、経口投与が意図される場合、濃厚化剤は通常必要とされず、通常、好ましくない。濃厚化剤は、通常、局所適用が意図される。当技術分野において知られている適当な濃厚化剤には、薬学的に許容されるポリマー材料および無機物質が含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、濃厚化剤には、ポリアクリレートおよびポリアクリレートコポリマー樹脂、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸/メタクリル酸樹脂、セルロースおよびセルロース誘導体が含まれるが、これらに限定されない。特定の態様において、セルロース誘導体には、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロースおよびフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなアシル化セルロースが含まれるが、これらに限定されない。セルロースの塩およびセルロース誘導体には、ナトリウムカルボキシメチルセルロースが含まれるが、これに限定されない。好ましいセルロース誘導体には、メチル、エチルおよびプロピルセルロースのようなアルキルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルアルキルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロースが含まれるが、これらに限定されない。ヒドロキシプロピルアルキルセルロースには、ヒドロキシプロピリメチルセルロースが含まれるが、これに限定されない。
特定の態様において、他の添加剤は濃厚化剤として作用することができ、ポリ-N-ビニルピロリドンおよびビニルピロリドンコポリマーのようなポリビニルピロリドンを含むが、これらに限定されない。ビニルピロリドンコポリマーには、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルアルコールのようなポリビニル樹脂、およびポリマー材料が含まれるが、これらに限定されない。他の態様において、ポリマー添加剤には、トラガントガム(gum traganth)、アラビカム(arabicum)、アルギン酸のようなアルギン酸塩、およびアルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸の塩が含まれるが、これらに限定されない。特定の態様において、無機濃厚化剤が適当であり、アタパルガイト、ベントナイトおよびケイ酸塩を含むが、これらに限定されない。ケイ酸塩には、アルキル化シリカゲルのような親水性二酸化ケイ素産物が含まれるが、これらに限定されず、メチル化されていることが好ましい。好ましい態様において、無機粘着剤はコロイド状二酸化ケイ素産物である。
特定の態様において、親油性相成分は、組成物の合計重量に基づいて約30重量%〜約90重量%の量で好適に存在することができる。好ましい態様において、親油性相成分は、組成物の合計重量に基づいて約50重量%〜約85重量%の量で存在することができる。
他の態様において、一つまたは複数の界面活性剤が、組成物の合計重量に基づいて約1重量%〜約50重量%の量で好適に存在することができる。好ましい態様において、一つまたは複数の界面活性剤が、組成物の合計重量に基づいて約5重量%〜約40重量%の量で存在することができる。より好ましくは、一つまたは複数の界面活性剤が、組成物の合計重量に基づいて約10重量%〜約30重量%の量で存在することができる。
組成物中のビタミンD化合物の量は、種々の因子に従って変わり得る。ビタミンD化合物の量を変化させ得る因子の例には、意図する投与経路および他の成分が存在する程度が含まれるが、これらに限定されない。特定の態様において、ビタミンD化合物は、組成物の合計重量に基づいて約0.005重量%〜20重量%の量で存在することができる。他の態様において、ビタミンD化合物は、組成物の合計重量に基づいて約0.01重量%〜15重量%の量で存在することができる。好ましい態様において、ビタミンD化合物は、組成物の合計重量に基づいて約0.1重量%〜約10重量%の量で存在することができる。
特定の態様において、親水性相成分は、組成物の合計重量に基づいて約2重量%〜約20重量%の量で存在することができる。他の態様において、親水性相成分は、組成物の合計重量に基づいて約5重量%〜約15重量%の量で存在することができる。好ましい態様において、親水性相成分は、組成物の合計重量に基づいて約8重量%〜約12重量%の量で存在することができる。
特定の態様において、エマルジョン前濃縮物は半固体であってよい。半固体組成物は、例えば、組成物の合計重量に基づいて約60重量%〜約80重量%の量で存在する一つまたは複数の親油性相成分、組成物の合計重量に基づいて約5重量%〜約35重量%の量で存在する一つまたは複数の界面活性剤、および組成物の合計重量に基づいて約0.01重量%〜約15重量%の量で存在する一つまたは複数のビタミンD化合物を含み得る。
特定の態様において、エマルジョン前濃縮物は液体であってよい。液体製剤は、例えば、組成物の合計重量に基づいて約50重量%〜約60重量%の量で存在する一つまたは複数の親油性相成分、組成物の合計重量に基づいて約4重量%〜約25重量%の量で存在する一つまたは複数の界面活性剤、組成物の合計重量に基づいて約0.01重量%〜約15重量%の量で存在する一つまたは複数のビタミンD化合物、および組成物の合計重量に基づいて約5重量%〜約10重量%の量で存在する一つまたは複数の親水性相成分を含み得る。
用いることができるさらなる組成物は、以下のものを含み、ここで、各成分の割合は重量基準で、活性型ビタミンD化合物を除く組成物の合計重量に基づく。
a. Gelucire 44/14 約50%
Miglyol 812 約50%
b. Gelucire 44/14 約50%
ビタミンE TPGS 約10%
Miglyol 812 約40%
c. Gelucire 44/14 約50%
ビタミンE TPGS 約20%
Miglyol 812 約30%
d. Gelucire 44/14 約40%
ビタミンE TPGS 約30%
Miglyol 812 約30%
e. Gelucire 44/14 約40%
ビタミンE TPGS 約20%
Miglyol 812 約40%
f. Gelucire 44/14 約30%
ビタミンE TPGS 約30%
Miglyol 812 約40%
g. Gelucire 44/14 約20%
ビタミンE TPGS 約30%
Miglyol 812 約50%
h. ビタミンE TPGS 約50%
Miglyol 812 約50%
i. Gelucire 44/14 約60%
ビタミンE TPGS 約25%
Miglyol 812 約15%
j. Gelucire 50/13 約30%
ビタミンE TPGS 約5%
Miglyol 812 約65%
k. Gelucire 50/13 約50%
Miglyol 812 約50%
l. Gelucire 50/13 約50%
ビタミンE TPGS 約10%
Miglyol 812 約40%
m. Gelucire 50/13 約50%
ビタミンE TPGS 約20%
Miglyol 812 約30%
n. Gelucire 50/13 約40%
ビタミンE TPGS 約30%
Miglyol 812 約30%
o. Gelucire 50/13 約40%
ビタミンE TPGS 約20%
Miglyol 812 約40%
p. Gelucire 50/13 約30%
ビタミンE TPGS 約30%
Miglyol 812 約40%
q. Gelucire 50/13 約20%
ビタミンE TPGS 約30%
Miglyol 812 約50%
r. Gelucire 50/13 約60%
ビタミンE TPGS 約25%
Miglyol 812 約15%
s. Gelucire 44/14 約50%
PEG4000 約50%
t. Gelucire 50/13 約50%
PEG4000 約50%
u ビタミンE TPGS 約50%
PEG4000 約50%
v. Gelucire 44/14 約33.3%
ビタミンE TPGS 約33.3%
PEG4000 約33.3%
w. Gelucire 50/13 約33.3%
ビタミンE TPGS 約33.3%
PEG4000 約33.3%
x. Gelucire 44/14 約50%
ビタミンE TPGS 約50%
y. Gelucire 50/13 約50%
ビタミンE TPGS 約50%
z. ビタミンE TPGS 約5%
Miglyol 812 約95%
aa. ビタミンE TPGS 約5%
Miglyol 812 約65%
PEG4000 約30%
ab. ビタミンE TPGS 約10%
Miglyol 812 約90%
ac. ビタミンE TPGS 約5%
Miglyol 812 約85%
PEG4000 約10%、および
ad. ビタミンE TPGS 約10%
Miglyol 812 約80%
PEG4000 約10%
非経口投与形態
特定の態様において、薬剤を非経口的に投与することができる。非経口投与形態を、静脈内を非限定的に含む、ボーラス注射および点滴注入、筋肉内および動脈内を非限定的に含む種々の経路により投与することができる。好ましい態様において、非経口投与形態は無菌であるか、または、汚染に対する被検体の天然防御機能を典型的に回避するので被検体に投与する前に滅菌することができる。非経口投与形態の例には、注入のために準備された溶液、注入用の薬学的に許容される溶剤中に溶解または懸濁することができる状態になっている乾燥産物、注入のために準備された懸濁液、およびエマルジョンを含むが、これらに限定されない。本発明において有用な製剤には、1μgのカルシトリオール、4mgのポリソルベート20、2.5mgのアスコルビン酸ナトリウム、および任意でpH調節用のHClまたはNaOHを含み得る現在入手できる静脈内ビタミンD化合物製剤の一例であるCALCIJEX(登録商標)が含まれるが、これに限定されない。
本発明の非経口投与形態を提供するために用いることができる適当な溶剤は、当業者に周知である。特定の態様において、非経口投与形態に適した溶剤には、注入用水USP;生理食塩液注射剤、リンゲル液、デキストロース注射剤、デキストロースおよび生理食塩液注射剤および乳酸加リンゲル液を非限定的に含む水性溶剤;エチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールを非限定的に含む水混和性溶剤;およびコーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルおよび安息香酸ベンジルを非限定的に含む非水性溶剤が含まれるが、これらに限定されない。
他の態様において、薬剤の溶解性を増加させる化合物を、非経口投与形態に取り込むことができる。例えば、サリドマイド類似体およびその誘導体の溶解性を増加させるために、シクロデキストリンおよびその誘導体を用いることができる。例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,134,127号を参照されたい。
製造製品
本発明は、完成品の包装されラベル付けされた薬剤産物も含む。この製造製品は、ガラスバイアルまたは密封された他の容器のような適当な容器中に適当な単位投与形態を含む。非経口投与に適した投与形態の場合、活性成分、例えば、好ましくは活性である一つまたは複数のビタミンD化合物、より好ましくはカルシトリオールは、無菌であり粒子を含まない溶液として投与するのに適している。換言すると、本発明は、非経口溶液と凍結乾燥粉末との両方を含み、各々が無菌であり、後者は注入前の再構成に適している。または、単位投与形態は、経口送達に適した固形物であってよい。
特定の態様において、単位投与形態は、静脈内送達に適している。すなわち、本発明は、好ましくは無菌であり静脈内送達に適している溶液も含む。好ましい態様において、この投与形態は、例えばCALCIJEX(登録商標)のような一つまたは複数のビタミンD化合物の少なくとも一つの単位投与形態を含む静脈内投与に適した溶液である。
同様に好ましい態様において、単位投与形態は経口エマルジョン前濃縮物であり、近似の重量%で与えられる量の以下の賦形剤に加えてカルシトリオール約15μgを含む。65% MIGLYOL 812N(登録商標)、30% GELUCIRE 44/14(登録商標)、5% ビタミンE TPGSならびに各約0.05%のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)。
任意の薬剤産物とも同様に、包装材料および容器は、貯蔵および搬送中に生成物の安定性を保護するように設計されている。例えば、包装材料および容器を、生成物の安定性を保護するために光および高温から生成物を保護するように設計することができる。さらに、本発明の生成物は、使用のための指示、または、医師、技師もしくは患者に問題の疾患または不全を如何に適切に治療するかについてアドバイスする他の情報材料を含む。換言すると、製造製品は、非限定的に実際の投与量およびモニター手順を含む投与治療プログラムを提示または示差する指示手段を含む。
具体的には、本発明は、箱、瓶、管、バイアル、容器、静脈内(i.v.)袋、外皮等のような包装材料、および該包装材料中に含まれる薬剤の少なくとも一つの単位投与形態を含む製造製品を提供し、ここで該薬剤は、好ましくは活性である一つまたは複数のビタミンD化合物、およびより好ましくはカルシトリオールを含み、該包装材料は、特定の投与量を投与すると共に本明細書に記載の特定の投与治療プログラムを用いることによりMDSを治療またはその症状を改善するために該ビタミンD化合物を用いることができることを提示している指示手段を含む。より具体的には、本発明は、箱、瓶、管、バイアル、容器、静脈内(i.v.)袋、外皮等のような包装材料、および該包装材料中に含まれる薬剤の少なくとも一つの単位投与形態を含む製造製品を提供し、ここで該薬剤は、好ましくは活性である一つまたは複数のビタミンD化合物、およびより好ましくはカルシトリオールを含み、該包装材料は、特定の投与量を投与すると共に本明細書に記載の特定の投与治療プログラムを用いることによりMDSを治療するために該ビタミンD化合物を用いることができることを提示する指示手段を含む。
本発明は、箱、瓶、管、バイアル、容器、静脈内(i.v.)袋、外皮等のような包装材料、および該包装材料中に含まれる各薬剤の少なくとも一つの単位投与形態を含む製造製品を提供し、ここで一つの薬剤は、好ましくは活性である一つまたは複数のビタミンD化合物、およびより好ましくはカルシトリオールを含み、他の薬剤は、ビタミンD化合物でない治療薬を含み、該包装材料は、特定の投与量を投与すると共に本明細書に記載の特定の投与治療プログラムを用いることによりMDSの症状を治療するために該薬剤を用いることができることを提示する指示手段を含む。より具体的には、本発明は、箱、瓶、管、バイアル、容器、静脈内(i.v.)袋、外皮等のような包装材料、および該包装材料中に含まれる各薬剤の少なくとも一つの単位投与形態を含む製造製品を提供し、ここで一つの薬剤は、一つまたは複数のビタミンD化合物を含み、他の薬剤は、ビタミンD化合物ではない治療薬を含み、該包装材料は、特定の投与量を投与すると共に本明細書に記載の特定の投与治療プログラムを用いることによりMDSを治療するために該薬剤を用いることができることを提示する指示手段を含む。
本発明は、箱、瓶、管、バイアル、容器、静脈内(i.v.)袋、外皮等のような包装材料、および該包装材料中に含まれる各薬剤の少なくとも一つの単位投与形態を含む製造製品を提供し、ここで一つの薬剤は、好ましくは活性である一つまたは複数のビタミンD化合物、およびより好ましくはカルシトリオールを含み、他の薬剤は、好ましくはr-HuEPO、r-metHuG-CSFまたはこれらの任意の組み合わせである一つもしくは複数の造血成長因子またはサイトカインを含み、該包装材料は、特定の投与量を投与すると共に本明細書に記載の特定の投与治療プログラムを用いることによりMDSの症状を治療するために該薬剤を用いることができることを提示する指示手段を含む。より具体的には、本発明は、箱、瓶、管、バイアル、容器、静脈内(i.v.)袋、外皮等のような包装材料、および該包装材料中に含まれる各薬剤の少なくとも一つの単位投与形態を含む製造製品を提供し、ここで一つの薬剤は、好ましくは活性である一つまたは複数のビタミンD化合物、およびより好ましくはカルシトリオールを含み、他の薬剤は、好ましくはr-HuEPO、r-metHuG-CSFまたはこれらの任意の組み合わせである一つもしくは複数の造血成長因子またはサイトカインを含み、該包装材料は、特定の投与量を投与すると共に本明細書に記載の特定の投与治療プログラムを用いることによりMDSを治療するために該薬剤を用いることができることを提示する指示手段を含む。
好ましい態様において、製造製品中に含まれる指示手段は、カルシウムの血漿中濃度が投与の前および/または後に1回または複数回モニターされることを提示または示差する。例えば、製造製品中に含まれる指示手段は、血中カルシウム濃度が、最初の投与の前およびその後の1回または複数回の投与の後に測定されることを提示することができる。特定の態様において、製造製品中に含まれる指示手段は、ビタミンD化合物が、被検体においてMDSを治療するために用いられること、該被検体における血中カルシウム濃度が約10.5mg/dL未満であることを提示する。もう一つの特定の態様において、製造製品中に含まれるこの指示手段は、MDSの貧血を治療するためにビタミンD化合物が用いられること、および該被検体における血中カルシウム濃度が約10.5mg/dL未満であることを提示する。
MDSの治療またはその一つもしくは複数の症状の改善に用いられる製造製品中に含まれる情報材料は、高カルシウム血症を患う被検体には、ビタミンD化合物を含む薬学的組成物が投与されないことも提示する。特定の態様において、MDSの治療またはその一つもしくは複数の症状の改善に用いられる製造製品中に含まれる情報材料は、グレード2、グレード3またはグレード4の高カルシウム血症を患う被検体には、ビタミンD化合物を含む薬学的組成物が投与されないことも提示する。
実施例1
カルシトリオール投与の薬物動態
好ましいカルシトリオール経口投与形態の薬物動態挙動を決定するように設計された研究において、12人のヒト被検体に種々の量のカルシトリオールを与えた。好ましい経口投与形態(「好ましい製剤」)は、近似の重量%で与えられる量の以下の賦形剤に加えてカルシトリオール約15μgを含む:65% MIGLYOL 812N(登録商標)、30% GELUCIRE 44/14(登録商標)、5% ビタミンE TPGSならびに各約0.05%のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)。被検体の3人が、好ましい製剤の15μgを与えられ、3人が30μgを与えられ、6人が60μgを与えられた。血液サンプルを、投与前、ならびに好ましい製剤の最初の投与の0.5、1.0、1.5、2.0、3.0、4.0、6.0、8.0、12.0、24.0、48.0および72.0時間後(投与後)に得た。市販の放射免疫アッセイを用いてカルシトリオールレベルを分析した。平均血漿中濃度対時間の曲線を、各群についてプロットし、図1に示す。
非区分薬物動態パラメーターを、各被検体について計算し、次に平均し、表3に示した。内因性カルシトリオールについて調節するために、ベースラインのカルシトリオール値を投与後の値から引いた。計算した薬物動態パラメーターは、血漿中最大濃度(「CMAX」)、最大濃度の時間(「tMAX」)、半減期(「t1/2」)、ならびに、0〜24時間(「AUC0-24」)、0〜72時間(「AUC0-72」)および0時間〜無限(「AUC0-∞」)における濃度対時間のデータから決定された台形面積である。
(表3)ヒト被検体に15、30および60μgの量で投与したときのカルシトリオールの好ましい製剤についての薬物動態パラメーター
Figure 2006508125
薬物動態データは、好ましい製剤が、増加する投与量に線形的かつ予測可能にに反応し、吸収の飽和の徴候がなかったことを示している。さらに、薬物動態データは、カルシトリオールの投与量が、高カルシウム血症を誘発することなく可能であると以前に考えられていた濃度よりも高い最大血漿中濃度を達成することを示している。すなわち、本発明の方法は、高カルシウム血症を引き起こすことなくMDSを治療またはその症状を改善するためにビタミンD化合物の高い最大血漿中濃度を達成するための安全で効果的な方法を提供する。
実施例2
ビタミンD単剤治療
以下の治療プログラムは、MDSの治療またはその症状の改善のために前記方法を用いる例を提供する。
近似の重量%で与えられる量の以下の賦形剤に加えてカルシトリオール約15μgを含む好ましい製剤を、被検体が自己投与する:65% MIGLYOL 812N(登録商標)、30% GELUCIRE 44/14(登録商標)、5% ビタミンE TPGSならびに各約0.05%のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)。合計投与量はカルシトリオール45μgまたは15μgカプセル3個であり、1週間に1回、1度に摂取した。被検体を、隔週毎にモニターし、それに従って投与頻度またはカルシトリオールの投与量を、治療期間中に修正してもよい。
被検体のモニタリングは、理学的検査、ECOG性能状態(ECOG performance status)、血液学、貧血精密検査、血液学、血液化学、尿検査、薬剤投与検討、輸液記録、有害事象、併用投薬、FACT-An調査、骨髄吸引および生検、末梢血塗抹、内因性EPOならびに鉄状態を含む。
実施例3
ビタミンD併用治療プログラム
以下の治療プログラムは、MDSの治療またはその症状の改善のために前記方法を用いるもう一つの例を提供する。
近似の重量%で与えられる量の以下の賦形剤に加えてカルシトリオール約15μgを含む好ましい製剤を、被検体が自己投与する:65% Miglyol 812N(登録商標)、30% Gelucire 44/14(登録商標)、5% ビタミンE TPGSならびに各約0.05%のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)。合計投与量はカルシトリオール45μgまたは15μgカプセル3個であり、1週間に1回、1度に摂取した。被検体を、隔週毎にモニターし、それに従って投与頻度またはカルシトリオールの投与量を、治療期間中に修正してもよい。
被検体のモニタリングは、理学的検査、ECOG性能状態、血液学、貧血精密検査、血液学、血液化学、尿検査、薬剤投与検討、輸液記録、有害事象、併用投薬、FACT-An調査、骨髄吸引および生検、末梢血塗抹、内因性EPOならびに鉄状態を含む。
被検体をさらにモニターして、ビタミンD化合物の投与に対して赤血球反応体であるか非反応体であるか決定する。主要な赤血球反応体は、ベースラインヘモグロビンが11g/dL未満でありベースラインから2g/dL以上の増加を示す被検体である。主要でない赤血球反応体は、ベースラインヘモグロビンが11g/dL未満でありベースラインから1〜2g/dLの増加を示す被検体である。反応体は、カルシトリオールを同じ投与量および頻度で投与され続け、非反応体は、ビタミンD化合物と組み合わせてEPOの摂取を始める。EPOの出発投与量は1日当たり1回、10,000Uである。6週間後に改善が無ければ、EPOの投与量は、1日当たり1回、20,000Uに増加される。EPOは皮下投与され、被検体の鉄状態もモニターされる。
実施例4
臨床試験
低リスクのMDSおよびエリスロポイエチンに非反応性の難治性貧血を有する患者を、第2相試験にかけ、カルシトリオールの高投与量パルス投与の効果を評価した。これらの患者は、重症の貧血故に、赤血球輸液依存的である。患者に、毎週、経口的にカルシトリオールを、連続20週間45μgの用量で投与した。カルシトリオールを、近似の重量%で与えられる量の以下の賦形剤を含む組成物中に配合した:65% MIGLYOL 812N(登録商標)、30% GELUCIRE 44/14(登録商標)、5% ビタミンE TPGSならびに各約0.05%のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)。患者を、ヘモグロビンおよびヘマトクリットレベルならびに、8週間予備処理観察期間中に得られる同等の値と比べて治療期間中に投与された輸液回数を測定することにより、カルシトリオールの活性についてモニターした。
患者番号1は、プロトコールが定めた「主要でない反応」を構成する、ベースラインと比べてデシリットル当たり1gより多くのヘモグロビンの増加を示した(図2A)。患者番号2は、ベースラインと比べて必要な赤血球輸液の50%の減少を示す(図2B)。患者番号3は、プロトコールが定めた「主要な反応」を構成する、ベースラインと比べてデシリットル当たり2gより多くのヘモグロビンの増加を示した(図2C)。3人の患者全てからの結果は、MDSの治療のための、カルシトリオールの高投与量パルス投与に有利な効果を示す。
本発明の種々の態様を記載してきた。記載および実施例は、本発明の説明を意図しており、制限的なものではない。当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の態様の多くの等価物を、通常以下の実験を用いて理解または確認することができる。そのような等価物は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
この明細書で述べた全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願それぞれが特異的かつ個々に参照により本明細書に組み入れられるように示されるのと同程度に参照により本明細書に組み入れられる。
時間の関数としてのカルシトリオールの血漿中濃度を提供する。 図2A〜2Cは、患者番号1(図2A)、患者番号2(図2B)および患者番号3(図2C)について時間の関数としてのヘモグロビン濃度(デシリットル当たりのグラム)および赤血球輸血頻度(輸液単位)を提供する。

Claims (71)

  1. 高投与量の一つまたは複数のビタミンD化合物がそれを必要としている被検体に投与される工程を含む、骨髄異形成症候群(MDS)を治療する方法。
  2. 一つまたは複数のビタミンD化合物が3、4、5、6、7、8、9または10日毎に1回を超えずに投与される、請求項1記載の方法。
  3. 一つまたは複数のビタミンD化合物が3日毎に1回を超えずに投与される、請求項1記載の方法。
  4. 一つまたは複数のビタミンD化合物が1週間当たり約1回投与される、請求項1記載の方法。
  5. 一つまたは複数のビタミンD化合物の高投与量が約3μg〜約300μgである、請求項1記載の方法。
  6. 一つまたは複数のビタミンD化合物の高投与量が約5μg〜約200μgである、請求項1記載の方法。
  7. 一つまたは複数のビタミンD化合物の高投与量が約15μg〜約105μgである、請求項1記載の方法。
  8. 一つまたは複数のビタミンD化合物の高投与量が約15μg〜約90μgである、請求項1記載の方法。
  9. 一つまたは複数のビタミンD化合物の高投与量が約20μg〜約80μgである、請求項1記載の方法。
  10. 一つまたは複数のビタミンD化合物の高投与量が約35μg〜約75μgである、請求項1記載の方法。
  11. 一つまたは複数のビタミンD化合物の高投与量が約30μg〜約60μgである、請求項1記載の方法。
  12. 一つまたは複数のビタミンD化合物の高投与量が約45μgである、請求項1記載の方法。
  13. 少なくとも約0.5nMのビタミンD化合物の最高血漿中濃度を達成する投与量で一つまたは複数のビタミンD化合物が投与される、請求項1記載の方法。
  14. ビタミンD化合物の少なくとも一つがカルシトリオールである、請求項1記載の方法。
  15. カルシトリオールがエマルジョン前濃縮物(pre-concentrate)として投与される、請求項14記載の方法。
  16. エマルジョン前濃縮物が、一つまたは複数の親油性相成分、一つまたは複数の界面活性剤、および一つまたは複数のビタミンD化合物を含む、請求項15記載の方法。
  17. エマルジョン前濃縮物が、カルシトリオール約15μg、約65%のMIGLYOL 812N(登録商標)および約30%のGELUCIRE 44/14(登録商標)を含む、請求項15記載の方法。
  18. 一つまたは複数のビタミンD化合物が静脈内投与される、請求項1記載の方法。
  19. 高投与量の一つまたは複数のビタミンD化合物がそれを必要としている被検体に投与される工程を含む、MDSを伴う貧血を治療する方法。
  20. 一つまたは複数のビタミンD化合物が3日毎に1回を越えず投与される、請求項19記載の方法。
  21. 一つまたは複数のビタミンD化合物が1週間当たり約1回投与される、請求項19記載の方法。
  22. 一つまたは複数のビタミンD化合物の高投与量が約3μg〜約300μgである、請求項19記載の方法。
  23. 一つまたは複数のビタミンD化合物の高投与量が約15μg〜約105μgである、請求項19記載の方法。
  24. 一つまたは複数のビタミンD化合物の高投与量が約35μg〜約75μgである、請求項19記載の方法。
  25. 一つまたは複数のビタミンD化合物の高投与量が約45μgである、請求項19記載の方法。
  26. 少なくとも約0.5nMの最高血漿中濃度を達成する投与量で一つまたは複数のビタミンD化合物が投与される、請求項19記載の方法。
  27. ビタミンD化合物の少なくとも一つがカルシトリオールである、請求項19記載の方法。
  28. カルシトリオールがエマルジョン前濃縮物として投与される、請求項27記載の方法。
  29. エマルジョン前濃縮物が、一つまたは複数の親油性相成分、一つまたは複数の界面活性剤、および一つまたは複数のビタミンD化合物を含む、請求項28記載の方法。
  30. エマルジョン前濃縮物が、カルシトリオール約15μg、約65%のMIGLYOL 812N(登録商標)および約30%のGELUCIRE 44/14を含む、請求項28記載の方法。
  31. 一つまたは複数のビタミンD化合物を静脈内投与する、請求項19記載の方法。
  32. 治療有効投与量の一つまたは複数のビタミンD化合物および治療有効投与量の一つまたは複数のビタミンD化合物ではないさらなる活性剤を投与する工程を含む、MDSを治療する方法。
  33. 一つまたは複数のビタミンD化合物を3日毎に1回を越えず投与する、請求項32記載の方法。
  34. 一つまたは複数のビタミンD化合物を1週間当たり約1回投与する、請求項32記載の方法。
  35. 一つまたは複数のビタミンD化合物の治療有効投与量が約3μg〜約300μgである、請求項32記載の方法。
  36. 一つまたは複数のビタミンD化合物の治療有効投与量が約15μg〜約105μgである、請求項32記載の方法。
  37. 一つまたは複数のビタミンD化合物の治療有効投与量が約35μg〜約75μgである、請求項32記載の方法。
  38. 一つまたは複数のビタミンD化合物の治療有効投与量が約45μgである、請求項32記載の方法。
  39. 少なくとも約0.5nMのビタミンD化合物の最高血漿中濃度を達成する投与量で一つまたは複数のビタミンD化合物を投与する、請求項32記載の方法。
  40. ビタミンD化合物の少なくとも一つがカルシトリオールである、請求項32記載の方法。
  41. カルシトリオールをエマルジョン前濃縮物として投与する、請求項40記載の方法。
  42. エマルジョン前濃縮物が、一つまたは複数の親油性相成分、一つまたは複数の界面活性剤、および一つまたは複数のビタミンD化合物を含み、少なくとも一つのビタミンD化合物がカルシトリオールである、請求項41記載の方法。
  43. エマルジョン前濃縮物が、カルシトリオール約15μg、約65%のMIGLYOL 812N(登録商標)および約30%のGELUCIRE 44/14(登録商標)を含む、請求項41記載の方法。
  44. 一つまたは複数のビタミンD化合物を静脈内投与する、請求項32記載の方法。
  45. さらなる活性剤の少なくとも一つが成長因子である、請求項32記載の方法。
  46. さらなる活性剤の少なくとも一つが造血成長因子である、請求項32記載の方法。
  47. さらなる活性剤の少なくとも一つがサイトカインである、請求項32記載の方法。
  48. さらなる活性剤の少なくとも一つがIL-1、IL-2、IL-3、IL-6、IL-8、IL-11、IL-12、IFN-α、G-CSF、GM-CSF、EPOまたはTPOの一つである、請求項32記載の方法。
  49. 造血成長因子の少なくとも一つが組換えヒトエリスロポイエチン(r-HuEPO)である、請求項46記載の方法。
  50. 造血成長因子の少なくとも一つが組換えメチオニルヒト顆粒球コロニー刺激因子(r-metHuG-CSF)である、請求項46記載の方法。
  51. r-HuEPOを、約1単位/kg〜約2000単位/kgの投与量範囲で投与する、請求項49記載の方法。
  52. r-metHuG-CSFを、約1μg/kg/日〜約100μg/kg/日の投与量範囲で投与する、請求項50記載の方法。
  53. さらなる活性剤の少なくとも一つが免疫修飾物質である、請求項32記載の方法。
  54. さらなる活性剤の少なくとも一つがATG、ALG、サリドマイド、プレドニゾン、CyA、デキサメタゾンまたはペントキシフィリンの一つである、請求項53記載の方法。
  55. さらなる活性剤の少なくとも一つが細胞毒性剤である、請求項32記載の方法。
  56. さらなる活性剤の少なくとも一つがシタラビン、メルファラン、トポテカン(topotecan)、フルダラビン(fludarabine)、エトポシド、イダルビシン、ダウノルビシンまたはミトキサントロンの一つである、請求項55記載の方法。
  57. さらなる活性剤の少なくとも一つがRNA転写に影響を与える物質である、請求項32記載の方法。
  58. さらなる活性剤の少なくとも一つがデシタビン(decitabine)、5-アザシチジン、デプシペプチドおよびフェニルブチレートの一つである、請求項57記載の方法。
  59. さらなる活性剤の少なくとも一つがビタミンA、EまたはKの誘導体である、請求項32記載の方法。
  60. さらなる活性剤の少なくとも一つがオールトランスレチン酸、13-シス-レチン酸、トコフェロールおよびメナテトレノンの一つである、請求項59記載の方法。
  61. さらなる活性剤の少なくとも一つがMDSに関連する生物学的標的を特異的に結合する物質である、請求項32記載の方法。
  62. さらなる活性剤の少なくとも一つが抗-VEGF、ゲムツズマブ・オゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)およびTNFR:Fcの一つである、請求項61記載の方法。
  63. さらなる活性剤の少なくとも一つがシグナルトランスダクション阻害剤である、請求項32記載の方法。
  64. さらなる活性剤の少なくとも一つがファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤である、請求項63記載の方法。
  65. さらなる活性剤の少なくとも一つがZARNESTRA(商標)またはSARASAR(商標)の一つである、請求項64記載の方法。
  66. さらなる活性剤の少なくとも一つがチロシンキナーゼ阻害剤である、請求項63記載の方法。
  67. さらなる活性剤の少なくとも一つがSU5416、SU6668またはPTK787/ZK222584の一つである、請求項66記載の方法。
  68. さらなる活性剤の少なくとも一つがアミノチオールである、請求項32記載の方法。
  69. さらなる活性剤の少なくとも一つがアミフォスチン(amifostine)である、請求項68記載の方法。
  70. さらなる活性剤の少なくとも一つがヒ素含有化合物である、請求項32記載の方法。
  71. さらなる活性剤の少なくとも一つが三酸化ヒ素である、請求項70記載の方法。
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