JP2006506056A - 多量体タンパク質操作 - Google Patents

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Abstract

本明細書中に記載される発明は、(1)人工プレタンパク質、および該人工プレタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチド、(2)これらの生体分子を製造するための方法、および(3)それらの使用方法を包含する。本発明の人工プレプロタンパク質は、単一のタンパク質に由来する多量体タンパク質を製造することができるタンパク質アセンブリーを含む。図4には、人工プレプロタンパク質をコードするポリヌクレオチドが細胞に導入され、目的とする生体分子が製造される方法が一般的に例示される。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、米国仮特許出願第60/415,940号(2003年10月3日出願)の利益を主張する。この出願の内容は本明細書により参考として本開示に援用される。
(技術分野)
本発明は、真核生物(すなわち、植物)における人工的な多量体タンパク質(すなわち、抗体および抗体フラグメント)の発現および組立てに関する。
(背景)
ポリペプチドが広範囲の様々な細胞宿主において発現され得ることが知られている。広範囲の様々な遺伝子が哺乳動物およびウイルスから単離され、異種の供給源に由来する転写および翻訳の開始調節シグナルおよび終結調節シグナルに結合され、これらの調節シグナルが機能的である宿主に導入されている。
植物は、多くの組換えタンパク質(特に、治療目的のために意図された組換えタンパク質)を発現させるための重要な系である。異種のタンパク質が、確実には、2つの一般的な方法の1つで、すなわち、染色体DNAの核形質転換によるか、または、宿主にウイルスベクターを感染させることによるかのいずれかによって作製されている。様々な遺伝子組換え植物が、植物ゲノムへの外来DNAの安定的な組み込みによって創出されており、遺伝子組換え植物の交配によるその後の遺伝的組換えは、新しい遺伝子を植物に導入し、多重遺伝子を植物に蓄積させるための簡便な方法である。あるいは、異種の遺伝子を運搬するために操作されたウイルスベクターを使用して、遺伝子がエピソーム様式で運搬され、これにより宿主の翻訳装置に寄生して目的とするタンパク質を発現するように、宿主をトランスフェクションすることができる。外来遺伝子の送達がどのように達成されるかにかかわらず、植物は、タンパク質を極めて競争力のあるコストでの農業的規模で製造することができる可能性のために、注目される宿主であり、しかし、他の利点もまた多く存在する。植物における組換えタンパク質のプロセシングおよび組立てもまた、哺乳動物細胞におけるプロセシングおよび組立てを相補することができ、このことは、より一般的に使用されている微生物発現システムを上回る利点であり得る。
組換え発現システムを抗体製造のために使用することのより有用な局面の1つは、抗体を分子工学によって要求に合わせて調節することができる容易さであり得る。このことは、全長型抗体の操作だけでなく、抗体フラグメントの製造を可能にする。例えば、付随的な様々な機能的な組換え抗体フラグメント(例えば、Fabなど)を作製することができる。また、全長型抗体を産生する植物細胞の能力を、Fc媒介による特性が変化した抗体分子の製造のために利用することができる。これは、個々のドメインを遺伝子レベルで「切断し、つなぎ合わせる」ことを可能にする免疫グロブリン鎖のドメイン構造によって容易になる。例えば、機能的な抗体の正しい組立てを植物において維持しながら、IgMのFc領域をIgGのFc領域で置換することができる。これらの変化は、抗原の結合または特異性に対する影響を有さず、しかし、Fc領域を介して媒介される抗体の保護的機能を変化させることがある。
免疫グロブリン分子は、2つの同一の重鎖および同一の軽鎖(H)から構成されており、この場合、2つの鎖が等モル比で存在し、ジスルフィド結合によって連結されている。重鎖および軽鎖をコードする多重遺伝子、重鎖および軽鎖の再配置、ならびに、抗体を成熟化する厳密な転写制御および翻訳制御と組み合わせられた体細胞変異によって作り出される抗体の多様性は、B細胞の成熟化のための複雑化したプロセスをもたらす。B細胞が抗体提示細胞に成熟すると、発現した抗体の適正な組立てはその活性にとって非常に重要である。この問題を解決するために、細胞の分泌装置は、組立ての適正な折り畳みおよび折り畳み時期において不可欠な役割を果たしている。2つの重鎖は、天然に存在する抗体分子のいずれにおいても、2つの重鎖および2つの軽鎖が同一であるようにジスルフィド結合によって連結される。タンパク質分解酵素、例えば、パパインなどを使用して、Ig分子を3つのフラグメントに断片化することができる。2つのフラグメントは同一であり、抗原結合活性を含有しており、Fabフラグメント(または抗原結合フラグメント)と呼ばれ、これは、VHドメインおよびCH1ドメインを有する対形成した軽鎖に対応する。第3のフラグメントは抗原結合性を含有しておらず、Fc(または結晶化可能なフラグメント)と呼ばれ、これは、対形成したジスルフィド連結のCH2ドメインおよびCH3ドメインを含有する。抗体のFab部分およびFc部分を連結するヒンジ領域は柔軟なつなぎ鎖であり、つなぎ鎖が剛直であった場合には不可能な2つのFab領域の独立した運動を可能にしている。この多量体複合体の輸送は構成要素の正しい組立てに依存しており、部分的には、不完全に組み立てられたIg重鎖が小胞体(ER)シャペロンBiPと会合することによって制御される(Lee YK他、Mol Biol Cell.、1999(Jul)、10(7):2209〜19)。他の重鎖定常ドメインは、軽鎖合成の非存在下では一時的にBiPと相互作用するが、BiPは重鎖の最初の定常ドメイン(C1)に安定に結合し、それにより重鎖をER内に保持させる。軽鎖の発現がない場合、C1ドメインは折り畳まれず、また、そのドメイン間ジスルフィド結合が形成されず、従って、BiPに対する基質のままである。インビボでは、軽鎖が、C1ドメインの折り畳みと、BiPの放出との両方を促進させるために要求される(Lee YK他、Mol Biol Cell.、1999(Jul)、10(7):2209〜19)。軽鎖は、本質的にはC1ドメインの折り畳みのために必須ではなく、しかし、BiPをC1ドメインから除き、それにより、C1ドメインを折り畳み、Igの組立てを進行させる際には非常に重要な役割を果たしている。ERにおける多量体タンパク質複合体の組立ては、厳密には、個々のサブユニットの適正な折り畳みに依存していない。むしろ、組立てはタンパク質サブユニットの完全な折り畳みを行わせることができる。BiPおよび軽鎖は、適正に組立られたIg分子のみが、重鎖の最終的な折り畳みを制御することによってERから輸送されることを確実にするために連係していることが明らかにされている。従って、両方の鎖が、同じ細胞において、同じ細胞内オルガネラに、同じ量で同時に存在しなければならないという要件は、成熟型抗体の最大限のスループットのためには非常に重要である。
多量体タンパク質の1つのタイプとしての抗体の標準的な組換え発現は、哺乳動物の抗体供給源により提供される方法と似ている。この場合、抗体のそれぞれの鎖が、それぞれの鎖をコードする個々の遺伝子から発現されるので、この方法は、2つのポリペプチドに対して2つの遺伝子という規則に従っている。それぞれの鎖の転写、翻訳、および細胞局在化または分泌は、その対応する鎖に依存することなく制御される。そのため、抗体多量体のポリペプチド鎖はそれぞれが別個のプロモーターおよび分泌リーダーによって制御される。染色体挿入点、プロモーターの強さおよび時期、ならびに分泌ペプチドの効率における違いは、相手方の鎖の非存在または低下したレベルのために、様々なレベルのそれぞれの鎖が小胞体(ER)に特定の時期に存在することをもたらし、その結果、抗体の不完全な成熟化または遅れた成熟化をもたらし得る。挿入位置の影響、内因性のプロモーターまたはエンハンサーに近いかどうか、差のあるプロモーター効率、移行効率および翻訳速度論は、異種の系における組換え抗体の異常な蓄積をもたらし得る。1遺伝子・1ポリペプチドの規則は、ウイルスの場合にはよくあるように、効率の理由から、また、より複雑なタンパク質によって要求されるような適正な折り畳みのために、また、そうでなければ、毒性分子または調節分子(例えば、プロタンパク質の形態でのプロホルモンなど)の場合のような時間的な制御のためにはときには破られる。
最近、外来の多量体タンパク質(例えば、抗体など)の遺伝子組換え植物における発現および組立てがHein他の研究によって明らかにされている(米国特許第6,417,429号および米国特許出願公開第20030172407号)。しかしながら、図1に描かれるように、この方法は複雑であり、かなりの時間および実験を必要とする。具体的には、図1に示されるように、2つの別個の遺伝子が構築され、それぞれの遺伝子は、第1の遺伝子が、プロモーター(Pr)と、シグナルペプチド(Sp)と、重鎖を発現するセグメントとを含み、そして、第2の遺伝子が、プロモーターと、シグナルペプチドと、軽鎖を発現するセグメントとを含むように所望の抗体の一部分をコードする。第1の遺伝子が第1の植物の細胞に挿入され、第2の遺伝子が第2の植物の細胞に挿入される。その後、第1および第2の植物は、第1および第2の両方の遺伝子を願わくは含み、従って、目的とする抗体を形成するために折り畳まれるプロタンパク質の発現を引き起こす子孫を得るために他家受粉される。
Hein他の米国特許第6,417,429号および米国特許出願公開第20030172407号に示された方法論に伴う多くの困難の1つが、かなりの時間が、第1および第2の植物を成長させ、続いて他家受粉させ、子孫を作ることを可能にするために要求され得るということである。さらに、子孫が、軽鎖および重鎖の両方を発現させるための遺伝子の所望の組合せを含まないことがある可能性がある。
TMVのウイルスベクター植物発現システムでは、内因性および異種のウイルスプロモーターが、外来遺伝子の発現を行わせるために利用される。ベクターは1つだけの外来遺伝子を容易に収容するが、しかし、さらなる遺伝子に関しては、抗体については要求されるようにさらなるポリペプチドを産生させるために要求されるさらなるプロモーターの位置効果と同様に、サイズが問題となるので、より多くの困難を有している。ウイルスベクターの場合、プロモーター/遺伝子のセットがゲノムの3’末端から遠くになるほど、転写活性が低くなる。従って、インサートが大きくなるほど、異種遺伝子の介在配列の結果として、発現が低下する。ヘテロダイマーの場合のように、Fabについては当てはまるように、重鎖および軽鎖の化学量論的なレベルの同時発現が分泌のためには不可欠である。これは、抗体の成熟化におけるシャペロンBiPの報告された役割からの結果である。BiPは、対となる鎖が相互作用し、ジスルフィド連結し、続いてERから放出され、分泌流体における抗体の蓄積を生じさせるまで、新生鎖をERの酸化性環境に保持することにおいて役割を有している。重鎖および軽鎖は、得られたヘテロダイマーが1対1の比の重鎖および軽鎖を含有するので、匹敵し得るレベルで発現されなければならない。様々な試みが、1つの鎖を1つのベクターから発現させ、かつ、第2の鎖を第2のベクターから発現させるために行われている(Verch T他、J Immunol Methods、1998(Nov 1)、220(1−2):69〜75)。これら2つのベクターは、植物に重複感染させるために使用され、少量の抗体が回収された。この方法は、一方のウイルスを有する感染細胞が第2のウイルスに感染しないように交差保護されるために問題的である。典型的には、感染物の集まりに存在する細胞の単層のみが両方のウイルスに同時に感染すると考えられる。また、ER保持シグナルが、鎖の保持された同時局在化による会合を促進させるために鎖に置かれた。
真核生物細胞から分泌されることになるタンパク質は、粗面ER膜に存在する酵素のシグナルペプチダーゼによって切断されるシグナル配列の存在により小胞体に移行することが現在では一般に受け入れられている。タンパク質は、その後、ERからゴルジに輸送され、そして、ゴルジ由来の分泌小胞を介して細胞表面に輸送される(S.PfefferおよびJ.Rothman、Ann.Rev.Biochem.、56:289〜52、1987)。正しくプロセシングされ、正しく折り畳まれたタンパク質の産生における別の主要な工程は、ゴルジ装置および分泌小胞におけるプロタンパク質の成熟型形態への変換である。プロタンパク質の切断が、いわゆる二塩基性部位(すなわち、少なくとも2つの塩基性アミノ酸からなるモチーフ)において生じる。このプロセシングは、ゴルジ装置に存在する酵素によって、すなわち、いわゆる「二塩基性プロセシングエンドプロテアーゼ」によって触媒される。前駆体のプロセシングに関与する種々の「二塩基性プロセシングエンドプロテアーゼ」が知られている:例えば、哺乳動物プロテアーゼのフリン、PC2、PC1およびPC3(Barr、Cell、66:1〜3、1991)、ならびに、酵母YAP3遺伝子の産物(Egel−Mitani他、Yeast、6:127〜137、1990)および酵母yscFの産物(これはまたKEX2遺伝子産物として知られている;KEX2p)。KEX2pは酵母接合フェロモンのα−接合因子の成熟化に関与している(J.KurjanおよびI.Hershowitz、Cell、30:933〜934、1982)。α−接合因子は、細胞表面への輸送の途中でプロセシングされる165アミノ酸の前駆体として産生される。最初の工程において、19アミノ酸のシグナル配列(プレ配列)がシグナルペプチダーゼによって切断される。その後、前駆体はグリコシル化され、ゴルジに移動し、ゴルジにおいて、66アミノ酸のプロ配列がKEX2pによって切断される。α−接合因子前駆体はまた、α因子「リーダー」配列として知られている。ゴルジ装置における別のプロテアーゼ(すなわち、KEX1遺伝子産物)がこのタンパク質の最後の成熟化に関わる。
BiPは、hsp70ファミリーメンバーのすべてと同様に、折り畳まれていない新生ポリペプチドに結合するが、折り畳まれていないポリペプチドまたは組み立てられていないポリペプチドに露出した疎水性配列を認識することによって、また、分子内または分子間の凝集、その後の折り畳みおよびオリゴマー化のために適した状態にそのようなポリペプチドを維持することを阻害することによって機能すると考えられている(Knarr G他、J Biol Chem、1995(Nov 17)、270(46):27589〜94)。BiPはヘプタペプチドを認識し、脂肪族残基を有するヘプタペプチドを好む(Flynn GC他、Nature、1991(Oct 24)、353(6346):726〜30)。この場合、脂肪族残基は、残基が交互に存在する場合にだけ好まれた。このことは、この配列を含有するタンパク質が延長された場合、これらの疎水性残基はすべてが、同じ方向を向き、おそらくは、BiPのポリペプチド結合ポケットに収まることを示唆している。
トウゴマの実から得られるリシンなどの植物種子毒では、プレプロタンパク質発現法が、不活性なプロタンパク質を有することによってリシンの毒性効果を和らげるために利用されている。プロリシンはERおよびゴルジ複合体を通って豆のタンパク質貯蔵液胞(PSV)に移動する。PSVに入ると、存在するプロテアーゼにより、タンパク質は成熟化され、ジスルフィド結合により連結されたA鎖およびB鎖から構成される非常に毒性のヘテロダイマーがもたらされる(Vitale,AおよびDenecke,J、Plant Cell、1999(Apr)、11(4):615〜28)。類似する方法を、その成熟型形態が毒性であるか、または、そうでなければ、宿主にとって有害である組換え多量体タンパク質を発現させるための有用な方法として考えることができる。不可欠な受容体を認識した抗体はそのような分子であり得る。不活性なプロタンパク質前駆体としての多量体タンパク質またはヘテロダイマータンパク質の発現、および、PSVなどのオルガネラへの未成熟なプロタンパク質の送達、それに続く、抗体または他の分子を活性化するためのプロペプチドのその後の除去は、そのような分子の毒性作用の軽減または除去をもたらす。
ある種のヘテロダイマーのより複雑な折り畳みのための必要条件を解決するために、自然界は、プロペプチドと呼ばれるさらなる折り畳みシャペロンドメインとして作用する折り畳み中間体を取り込むという方法を考案している。プロ配列は、分子シャペロンとして作用し得る任意の配列であり得る:すなわち、シスまたはトランスで、適切な立体配座の形成に影響を及ぼすことができ、しかし、一般には、タンパク質の成熟鋳型形態には存在しないポリペプチド。これらのプロタンパク質は未成熟なタンパク質中間体として折り畳まれ、これにより、ERにおける適切な立体配座およびジスルフィド連結が促進される。安定な中間体の折り畳みが、プロタンパク質全体の一部としてのプロペプチドドメインと一緒に内因性のシャペロンタンパク質の協力によって達成されると、プロペプチドはゴルジにおいてプロタンパク質から切断されて、成熟型の活性なタンパク質がもたらされる。これは、インスリン、サッカロミセス・セレビジアエ(Saccharomyces cerevisiae)のキラー毒素ウイルス(scV)k1毒素、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)のプラスミドk1毒素、およびトウモロコシ黒穂菌(Ustilago maydis)ウイルス(UmV)のKP6毒素などの多くのタンパク質について当てはまる。インスリンC鎖は、新しく形成されたクラスリン被覆の分泌小胞において、成熟型の活性なホルモンを産生するために除かれる。サッカロミセス・セレビジアエのK1キラー毒素前駆体は、シグナルペプチド、αサブユニット、プロペプチド(γサブユニット)およびβサブユニットから構成される。分泌された前駆体タンパク質は、αサブユニットおよびβサブユニットに関して形成された鎖間および鎖内のジスルフィド結合を伴って折り畳まれ、γプロペプチドがタンパク質分解により除かれる。成熟型K1毒素は、ジスルフィド連結されたαサブユニットおよびβサブユニットから構成されるヘテロダイマータンパク質である。同様に、KP6毒素は2つの別個のポリペプチド(αおよびβ)からなり、しかし、サブユニットが共有結合的に結合せず、657塩基対の二本鎖RNAセグメントによってコードされるという点で異なる。単一の転写物により、219アミノ酸のKP6プレプロ毒素がもたらされ、これは、その後、プロセシングされて、78アミノ酸のαポリペプチドおよび81アミノ酸のβポリペプチドをもたらす。ウイルス感染したトウモロコシ黒穂菌細胞において、Kex2pによるプロ毒素のプロセシングが、27位においてPro−Arg残基の後、および、αを生じさせるために107位においてLys−Arg残基の後で、また、βを生じさせるために139位においてLys−Arg残基の後で生じる。
植物細胞における多量体タンパク質の発現では、ポリペプチド鎖をコードする遺伝子が同じ植物細胞に存在することが必要である。本明細書中に開示される手法が現れるまでは、両方の遺伝子が同じ細胞に実際に導入される確率は極めて低かった。多量体タンパク質の組立ておよび著量の多量体タンパク質の発現は、今や、本明細書中に記載される方法および構築物の使用によって実現可能になっている。
本明細書中下記に記載される本発明によれば、2つの別個の遺伝子ではなく、単一の遺伝子を使用して、Hein他の米国特許第6,417,429号および米国特許出願公開第20030172407号に開示された方法に伴う困難のいくつかを回避し、かつ、所望の抗体を製造することが可能である。
(発明の要旨)
従って、活性な生体分子を比較的容易かつ大量に製造する方法が、今回、開示される。また、それにより製造される分子および組成物も同様に開示される。
これらの問題を解決するために、今回、ある種類の新規な人工プレプロタンパク質が設計および操作された。この人工プレプロタンパク質は、プロタンパク質、すなわち、第1のペプチド、第2のペプチドおよびプロペプチドから構成される単一のタンパク質に由来する多量体タンパク質を産生することができるタンパク質アセンブリーを含み、タンパク質アセンブリーにおいて、第1のペプチドおよび第2のペプチドは会合して、プロペプチドを本質的には含まない生物学的に機能的な立体配座を取る。第1のペプチドおよび第2のペプチドの例には、免疫グロブリン分子の軽鎖および重鎖、軽鎖および重鎖免疫グロブリン分子のフラグメント、T細胞受容体のα鎖およびβ鎖、または、ヘモグロビンのα鎖およびβ鎖がある。プロペプチドの例には、インスリンC鎖、サッカロミセス・セレビジアエのK1キラー毒素プロペプチド(γサブユニット)、クルイベロミセス・ラクチスのプラスミドk1毒素プロペプチド、またはKP6毒素プロペプチド鎖がある。本発明は、プロペプチドを含有する安定な中間体タンパク質を形成するために折り畳まれる人工プロタンパク質(この場合、成熟型多量体タンパク質は、結合性を有するサブユニットを有する)、組換え技術によって調製されるこれらのタンパク質をコードするDNA、これらのDNAを有する宿主細胞、ならびに、これらのタンパク質およびDNAを製造するための方法を特徴とする。
2つのポリペプチドに対する天然に存在する2つの遺伝子から得られる多量体タンパク質の、1つの遺伝子が2つのポリペプチドをもたらすプロタンパク質への変換。適切に折り畳まれ、適切に会合した多量体タンパク質の蓄積をもたらすプロタンパク質の作製は好都合である。このような人工プロタンパク質は、適切な鎖内および鎖間の相互作用または会合(例えば、共有結合的および非共有結合的な連結など)が形成されるように安定な折り畳み中間体の形成を生じさせるにちがいない。プレペプチドまたはシグナルペプチドは、シグナル認識粒子との相互作用によって新生ポリペプチドをERに向かわせ、シグナルペプチドは続いてシグナルペプチダーゼによってERにおいて切断される。ERに存在する間に、複雑な二次的、三次的および四次的な折り畳みが、熱ショックタンパク質70(HSP70)ファミリー(これには、結合タンパク質(BiP)が含まれる)、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)(これはジスルフィド架橋の形成を触媒する)、カルネキシン、カルレチクリンおよびグリコシルトランスフェラーゼ(これらは新生糖タンパク質と特異的に相互作用し、粗面ERにだけ存在する)などの分子シャペロンとして生じるにちがいない。安定な、適正に折り畳まれたジスルフィド連結のプロタンパク質がプロペプチドによって促進されると、プロタンパク質は、さらなるプロセシングのためにゴルジ装置に輸送される。ゴルジにおいて、プロペプチドがタンパク質分解的に除かれ、成熟型抗体をその活性な形態にし、そのとき、成熟型抗体は細胞外に輸送され、植物においては成熟型抗体が細胞外空間またはアポプラストに蓄積する。プロテアーゼによるプロペプチドのアミノ末端およびカルボキシ末端におけるタンパク質分解的切断により、プロペプチドの放出がもたらされる。Kex2様プロテアーゼの認識配列は、Schechter,IおよびBerger,A、Biochem.Biophys.Res.Com.(1967)27:157〜62の命名法慣例を使用したとき、P2におけるリシンおよびP1におけるアルギニンのアミノ酸残基を有する。プロペプチドの切断は、目的とする第1のペプチドに残留するカルボキシ末端でのLys−Argのアミノ酸対をもたらす。プロリンまたはアルギニンもまた、Pro−Arg対またはArg−Arg対を作製するためにP2位においてリシンの代わりに使用され得る。そのような非天然対は、切断部位を作製するために、1アミノ酸の付加によって創出することができる。本発明の方法によって作製される多量体タンパク質は、第1のペプチドにおけるそのカルボキシ末端でのlys−Arg、Pro−ArgまたはArg−Argによって特徴づけられる。異なる生物には多くの異なるプロテアーゼが存在する。これらのプロテアーゼは異なる特異性を有する。プロペプチドのタンパク質分解的切断から生じる任意のアミノ酸対が本発明によって意図される。Lys−Arg対、Pro−Arg対またはArg−Arg対が保持され得るか、または除去され得る。P1位における1つのArgはまた、P2位におけるアミノ酸を除くことなく除去することができる。アミノ酸対の除去によって作製される誘導体タンパク質もまた本発明によって意図される。プロペプチドは、相互作用が、抗体の場合のように共有結合的であるか、あるいは、ヘモグロビンの場合のように非共有結合的、静電力、水素結合、またはファンデルワールス力および疎水性のであるとしても、多量体タンパク質のサブユニット間の相互作用を促進させる。結合性の相互作用が生じると、プロペプチドが除かれて、所望の多量体タンパク質が放出される。
本発明では、UmV KP6毒素のポリペプチドサブユニットが除かれ、免疫グロブリンなどのプロタンパク質として天然には見出されず、免疫グロブリンの軽鎖および重鎖を含有する多量体タンパク質に由来するポリペプチドサブユニットによって置換されるキメラなプロタンパク質の創出が記載され、また、本発明は人工プロタンパク質の合成に関し、この方法では、プロタンパク質が折り畳まれて安定な中間体を形成し、プロペプチドが続いてプロタンパク質から除かれ、これにより、プロペプチドを本質的には含まない成熟型の活性な多量体タンパク質にされる。
本発明の第1の実施形態において、人工プロタンパク質は、3つのペプチド配列、すなわち、第1のペプチド配列と、中間プロペプチドと、第2のペプチド配列とを含む。本発明には、天然の状態においてプロペプチドに結合しているペプチド(例えば、インスリン分子など)は含まれない。本発明は、自然界に見出されないプロタンパク質形態を作製することが可能にする。これらの形態は、多量体タンパク質の製造を、それらを単一遺伝子形態で設置することを可能にすることによって簡略化する。
本発明の別の実施形態において、人工ポリヌクレオチドは4つのヌクレオチド配列を含む。上記の3ペプチド型の形態が、その前方に位置するシグナルペプチドに結合される。
本発明の別の実施形態において、人工ポリヌクレオチドを作製する方法は、目的とする第1のペプチド、中間プロペプチド、および目的とする第2のペプチドをそれぞれコードする第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列、および第3のヌクレオチド配列を提供することを含む。目的とする第1のペプチドをコードするヌクレオチド配列は、目的とする第2のペプチドをコードするヌクレオチド配列と同じまたは異なり得る。
本発明の別の実施形態において、人工ポリヌクレオチドを作製する方法は、シグナルペプチド配列、目的とする第1のペプチド、プロペプチド、および目的とする第2のペプチドをそれぞれコードする第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列、第3のヌクレオチド配列、および第4のヌクレオチド配列を提供することを含む。目的とする第1のペプチドをコードするヌクレオチド配列は、目的とする第2のペプチドをコードするヌクレオチド配列と同じまたは異なり得る。
本発明の別の実施形態において、人工プロタンパク質を作製する方法は、プロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチドを作製すること、および、人工ポリヌクレオチドを宿主生物において発現させ、それにより、プロタンパク質が作製されることを含む。
本発明の別の実施形態において、人工プレプロタンパク質を作製する方法は、プレプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチドを作製すること、および、人工ポリヌクレオチドを宿主生物において発現させることを含む。
本発明の別の実施形態において、多量体タンパク質を作製および単離する方法は、
シグナルペプチド配列、目的とする第1のペプチド、プロペプチド、および目的とする第2のペプチドをそれぞれコードする第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列、第3のヌクレオチド配列、および第4のヌクレオチド配列を提供する工程;
第1のヌクレオチド配列の3’末端を第2のヌクレオチド配列の5’末端に結合する工程;
第2のヌクレオチド配列の3’末端を第3のヌクレオチド配列の5’末端に結合する工程;および
第3のヌクレオチド配列の3’末端を第4のヌクレオチド配列の5’末端に結合する工程、その結果、人工ポリヌクレオチドが生じ、かつ、これら4つのヌクレオチド配列から構成される(この場合、目的とする第1のペプチドをコードするヌクレオチド配列は、目的とする第2のペプチドをコードするヌクレオチド配列と同じまたは異なり得る);
得られた人工ポリヌクレオチドをトランスフェクションまたは安定的な形質転換によって宿主生物に導入する工程;
人工ポリヌクレオチドを宿主生物において発現させ、それにより、プレプロタンパク質が作製される工程;
プレプロタンパク質を成熟型の多量体タンパク質にプロセシングさせる工程;および
多量体タンパク質を単離する工程
を含む。
多量体タンパク質は、少なくとも2つのペプチド配列を有する任意の多量体タンパク質で、多量体を形成させることが意図され、しかし、異なる遺伝子配列に通常の場合にはコードされないか、または、それらの間にプロペプチド配列を天然の状態では有しない多量体タンパク質であり得る。これらのペプチドは、多量体を形成させるために技術者によって設計される任意のペプチド組であり得る。宿主生物は任意の宿主生物であり得る。一般的な宿主生物は、動物細胞、ヒト細胞、動物組織または完全な動物体、植物細胞、植物組織および完全な植物体である。
本発明の1つの実施形態において、人工プレプロタンパク質をコードするベクターは、ベクターヌクレオチドの複製およびタンパク質のために必要なヌクレオチド配列と、ベクターに挿入された人工ポリヌクレオチドとを含み、この場合、人工ポリヌクレオチドは、シグナルペプチド配列をコードする第1のヌクレオチド配列と、目的とする第1のペプチドをコードし、第1のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第2のヌクレオチド配列と、プロペプチドをコードし、第2のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第3のヌクレオチド配列と、目的とする第2のペプチドををコードし、第3のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第4のヌクレオチド配列とを含み、かつ、人工ポリヌクレオチドは、ベクターが再生産され得るように、また、要求される場合には、人工プレプロタンパク質を産生し得るようにベクターに挿入されている。
本発明の別の実施形態において、一過性に形質転換された細胞は、人工プレプロタンパク質をコードするベクターを含む。ベクターヌクレオチドの複製およびタンパク質のために必要なヌクレオチド配列;ベクターに挿入された人工プレプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチド、この場合、人工ポリヌクレオチドは、シグナルペプチド配列をコードする第1のヌクレオチド配列と、目的とする第1のペプチドをコードし、第1のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第2のヌクレオチド配列と、プロペプチドをコードし、第2のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第3のヌクレオチド配列と、目的とする第2のペプチドををコードし、第3のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第4のヌクレオチド配列とを含み、かつ、人工ポリヌクレオチドは、ベクターが再生産され得るように、また、要求される場合には、人工プレプロタンパク質を産生し得るようにベクターに挿入されている;人工プレプロタンパク質の発現を行わせることができるプロモーター;および、人工ポリヌクレオチドによってコードされる人工プレプロタンパク質。数種類の異なる多量体タンパク質が下記に記載される。
本発明の別の実施形態において、遺伝子組換え細胞は、
(a)染色体に安定的に組み込まれている人工ポリヌクレオチド、この場合、人工ポリヌクレオチドは、
シグナルペプチド配列をコードする第1のヌクレオチド配列、
目的とする第1のペプチドをコードし、第1のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第2のヌクレオチド配列、
プロペプチドをコードし、第2のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第3のヌクレオチド配列、および、
目的とする第2のペプチドををコードし、第3のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第4のヌクレオチド配列
を含み、
かつ、人工ポリヌクレオチドは、ベクターが再生産され得るように、また、要求される場合には、人工プレプロタンパク質を産生し得るようにベクターに挿入されている;
(b)人工プレプロタンパク質の発現を行わせることができるプロモーター;および
(c)人工ポリヌクレオチドによってコードされる人工プレプロタンパク質
を含む。
本発明の別の実施形態において、遺伝子組換え植物は、a)シグナルペプチド配列、b)免疫グロブリンの重鎖ペプチドまたは軽鎖ペプチド、c)プロペプチド、およびd)免疫グロブリンの重鎖ペプチドまたは軽鎖ペプチドを含む人工プレプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチド配列を含有する植物細胞を含む。この場合、重鎖は、プレプロタンパク質上の位置bまたは位置dのいずれかにおいて存在させることができ、軽鎖はもう一方の位置に存在し、人工プレプロタンパク質は、前記人工ポリヌクレオチド配列によりコードされる分泌シグナル含有の免疫グロブリン分子を形成するシグナルペプチド配列シグナルペプチド配列を含有し、前記シグナルペプチド配列シグナルペプチド配列はタンパク質分解的プロセシングによって前記人工プレプロタンパク質から切断され、かつ、前記プロペプチドは、残留するポリペプチドの適正な折り畳みの後で重鎖および軽鎖から切断される。免疫グロブリンの例は、遺伝子組換え植物によって作製され得る多量体タンパク質の多くの可能な例の1つである。多量体タンパク質を作製するために必要な任意の他のペプチド組もまた好適である。
本発明の別の実施形態において、免疫グロブリン分子を産生することができる遺伝子組換え植物を作製するための方法は、
(a)(i)シグナルペプチド配列、(ii)免疫グロブリンの重鎖ペプチドまたは軽鎖ペプチド、(iii)プロペプチド、およびd)免疫グロブリンの重鎖ペプチドまたは軽鎖ペプチドを含み、重鎖がプレプロタンパク質上の位置bまたは位置dのいずれかにおいて存在させることができ、軽鎖がもう一方の位置に存在するプレプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチド配列を植物種のメンバーのゲノムに導入すること、および
(b)形質転換体を得るために、安定的な形質転換を生じさせること
を含む。
免疫グロブリンの例は、遺伝子組換え植物によって作製され得る多量体タンパク質の多くの可能な例の1つである。多量体タンパク質を作製するために必要な任意の他のペプチド組もまた好適である。
免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変ドメインを少なくとも含む免疫グロブリン分子または免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを単一宿主細胞において製造するための方法では、
(a)少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインと、プロペプチドと、少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインとをコードする単一DNA配列で前記単一宿主細胞を形質転換する工程、および
(b)前記単一DNA配列を発現させ、その結果、前記の免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖が、前記の形質転換された単一宿主細胞において単一のプロペプチド分子として産生される工程
が含まれる。
本発明の別の実施形態において、ベクターは、少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインと、少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインとをコードする単一DNA配列を含み、この場合、前記単一DNA配列は1カ所の挿入部位においてベクターに存在する。
本発明の別の実施形態において、形質転換された宿主細胞は少なくとも2つのベクターを含み、この場合、前記ベクターの少なくとも1つが、少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインと、少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインとをコードする単一DNA配列を含む。
本発明の別の実施形態において、1つの方法は、
(a)免疫グロブリンの重鎖および軽鎖またはFab領域からなり、特定の既知の抗原に対する特異性を有する免疫グロブリンをコードするDNAから本質的にはなるDNA配列で、少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインと、切断可能なプロペプチドと、少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインとからなるプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチドを含むDNA配列を調製すること、
(b)工程a)のDNA配列を、好適なプロモーターに機能的に連結されている複製可能な発現ベクターに挿入すること、
(c)原核生物系または真核生物系の微生物宿主の細胞培養物を工程b)のベクターで形質転換すること、
(d)宿主細胞を培養すること、および
(e)既知の抗原に結合することができる免疫グロブリンを宿主細胞培養物から回収すること
を含む。
本発明の別の実施形態において、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変ドメインを少なくとも含む免疫グロブリン分子または免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを単一宿主細胞において製造するための方法は、
少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインと、少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインとをコードする単一DNA配列を発現させ、その結果、前記の免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖が、前記単一DNA配列で形質転換された単一宿主細胞において単一のロタンパク質分子として産生されることを含む。
別の実施形態において、多量体タンパク質は第1および第2のペプチドによって特徴づけられ、この場合、第1のペプチドはカルボキシ末端のP1位およびP2位に非天然アミノ酸対を含む。
多量体タンパク質に由来する多量体タンパク質は第1および第2のペプチドによって特徴づけられ、この場合、第1のペプチドはカルボキシ末端のP1位およびP2位に非天然アミノ酸対を含む。
(一般的な参考文献)
別途示されない限り、本発明の多くの局面の実施では、この技術分野の技術の範囲内にある、分子生物学、組換えDNA技術および免疫学の従来の技術が用いられる。そのような技術は科学文献においてより詳細に記載されている:例えば、Sambrook,J.他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY、1989;Ausubel,F.M.他、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley−Interscience、New York、現行巻; Albers,B.他、Molecular Biology of the Cell、第2版、Garland Publishing,Inc.、New York、NY(1989);Lewin,BM、Genes IV、Oxford University Press、Oxford(1990);Watson,J.D.他、Recombinant DNA、第2版、Scientific American Books、New York、1992;Darnell,JOE他、Molecular Cell Biology、Scientific American Books,Inc.、New York、NY(1986);Old,R.W.他、Principles of Gene Manipulation:An Introduction to Genetic Engineering、第2版、University of California Press、Berkeley、CA(1981);DNA Cloning:A Practical Approach、第I巻&第II巻(D.Glover編);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait編、現行版);Nucleic Acid Hybridization(B.Hames&S.Higgins編、現行版);Transcription and Translation(B.Hames&S.Higgins編、現行版);Methods in Enzymology:Guide to Molecular Cloning Techniques(BergerおよびKimball編、1987);Hartlow,E.他、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1988;Collegian,J.E.他編、Current Protocols in Immunology、Wiley−Interscience、New York、1991。タンパク質の構造および機能が、Schulz,GE他、Principles of Protein Structure(Springer−Verlag、New York、1978)、および、Creighton,TE、Proteins:Structure and Molecular Properties(W.H.Freeman&Co.、San Francisco、1983)において議論されている。
(発明の詳細な説明)
(定義)
双子葉植物(dicot);胚が2つの半種子または子葉を有する顕花植物。双子葉植物の例には、タバコ;トマト;アルファルファを含むマメ科植物;オーク;カエデ;バラ;ミント;カボチャ;ヒナギク;クルミ;サボテン;スミレ;およびキンポウゲが挙げられる。
単子葉植物(monocot):胚が1つの子葉を有する顕花植物。単子葉植物の例には、ユリ;イネ科植物;トウモロコシ;オートムギ、コムギおよびオオムギを含む穀物植物;ラン;アイリス;タマネギおよびヤシ科植物が挙げられる。
下等植物:任意の非顕花植物であり、シダ、裸子植物、コニファー、トクサ類、ヒゲノカズラ類、タイ(苔)類、マツモ、セン(蘚)類、紅藻類、褐藻類、シダ植物の配偶体、および緑藻類が含まれる。
真核生物ハイブリッドベクター:ポリペプチド(インサート)をコードするDNAを真核生物細胞に導入することができるDNA。
染色体外リボソームDNA(rDNA):リボソームRNAをコードする1つまたは複数の遺伝子を有し、(染色体の複製に依存することなく)自律的に複製する、単細胞真核生物において染色体の外に見出されるDNA。
パリンドロームDNA:1つまたは複数の対称中心を有するDNA配列。
T−DNA:転移したDNAのセグメント。
rDNA:リボソームDNA。
rRNA:リボソームRNA。
Tiプラスミド:腫瘍誘導プラスミド。
Ti−DNA:Tiプラスミドに由来するDNAセグメント。
インサート:インサートが挿入されようとしているDNAクローンにとって外来であるDNA配列。
構造遺伝子:ポリペプチドをコードする遺伝子で、好適なプロモーター、終結配列、および場合により他の調節DNA配列を備え、かつ正しい読み枠を有する遺伝子。
シグナル配列:ポリペプチドに結合したシグナルペプチドをコードするDNA配列。
シグナルペプチド:ポリペプチドを小胞体に結合させ、タンパク質の分泌には不可欠である、ポリペプチドに結合した一連のアミノ酸。このシグナルはまた、本明細書中ではプレペプチドとして示されることがある。用語「シグナルペプチ」はまた、タンパク質が粗面小胞体またはフリーのリボソームにおいて形成されるかを決定するアミノ酸配列を示すために使用され得ることがある。
(選択的な)遺伝的マーカー:形質転換された細胞が非形質転換細胞から選択され得る表現型形質をコードするDNA配列。
プロモーター:発現制御エレメントを遺伝子に提供し、RNAポリメラーゼが特異的に結合し、その遺伝子のRNA合成(転写)を開始する、DNA配列またはRNA配列あるいは一群のDNA配列またはRNA配列における認識部位。
誘導性プロモーター:RNAポリメラーゼの結合および開始の速度が外部の刺激によって調節されるプロモーター。そのような刺激には、光、熱、嫌気性ストレス、栄養条件の変化、代謝産物の存在または非存在、リガンドの存在、微生物攻撃、傷害などが含まれる。
ウイルスプロモーター:ウイルス遺伝子の5’末端に見出されるプロモーターと実質的に類似する、DNA配列またはRNA配列を有するプロモーター。典型的なウイルスプロモーターが、Huang他、Cell、27:245(1981)によって記載されるMMTVのp21タンパク質をコードする遺伝子の5’末端に見出される。
合成プロモーター:生物学的に由来するのではなく、化学合成されたプロモーター。通常、人工プロモーターは、RNAポリメラーゼの開始効率を最適化する配列変化を含む。
構成的プロモーター:RNAポリメラーゼの結合および開始の速度がほぼ一定であり、外部の刺激には比較的無関係であるプロモーター。構成的プロモーターの例には、Poszkowski他、EMBO J.、3:2719(1989);および、Odell他、Nature、313:810(1985)によって記載されるカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターおよび19Sプロモーターが含まれる。
時間的調節プロモーター:RNAポリメラーゼの結合および開始の速度が発達時の特定の時期に調節されるプロモーター。時間的調節プロモーターの様々な例が、Chua他、Science、244:174〜181(1989)に示される。
空間的調節プロモーター:RNAポリメラーゼの結合および開始の速度が生物の特定の構造(例えば、葉、茎または根など)において調節されるプロモーター。空間的調節プロモーターの様々な例が、Chua他、Science、244:174〜181(1989)に示される。
時空的調節プロモーター:RNAポリメラーゼの結合および開始の速度が生物の特定の構造において発達時の特定の時期に調節されるプロモーター。典型的な時空的調節プロモーターは、Chua他、Science、244:174〜181(1989)によって記載されるEPSP合成酵素−35Sプロモーターである。
キレート化剤:金属と結合することができる化学化合物、ペプチドまたはタンパク質。キレート化剤の例には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール−ビス−(β−アミノエチルエーテル)N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、2,3−ジメルカプトプロパン−1−スルホン酸(DMPS)および2,3−ジメルカプトコハク酸(DMSA)などが含まれる。
金属キレート化複合体:キレート化に結合した金属を含有する複合体。
免疫グロブリン産物:免疫グロブリン重鎖の免疫学的に活性な部分を少なくとも含有し、従って、抗原と特異的に結合することができるポリペプチド、タンパク質または多量体タンパク質。例示的な免疫グロブリン産物は、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン分子、実質的に完全な免疫グロブリン分子、パラトープを含有する免疫グロブリンの任意の部分(これには、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメントおよびFvフラグメントとしてこの分野では知られているそのような部分が含まれる)である。
免疫グロブリン分子:相互に会合した免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖の免疫学的に活性な部分を含有し、抗原と特異的に結合することができる多量体タンパク質。
Fabフラグメント(Fab):相互に会合した、Fdと呼ばれる免疫グロブリン重鎖の免疫学的に活性な部分と、免疫グロブリン軽鎖とを含有する免疫グロブリン分子の一部分からなり、抗原と特異的に結合することができる多量体タンパク質。Fabフラグメントは、典型的には、この分野で広く知られている方法を使用して、パパインを用いた実質的に完全な免疫グロブリン分子のタンパク質分解的消化によって調製される。しかしながら、Fabフラグメントはまた、この分野で広く知られている方法を使用して、免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖の所望される部分を好適な宿主細胞において発現させることによって調製され得る。
Fab’フラグメント(Fab’):二量体化しているFabまたは二量体Fab。
無性繁殖:葉切断片、茎切断片、根切断片、1個の植物細胞(プロトプラスト)およびカルスから完全な植物を再生させることにより子孫を作製すること。
グリコシル化コア部分:すべてのアスパラギン結合型オリゴ糖に共通する五単糖コア。五単糖コアはManα−1−3(manα−1−6)Manβ−1−46LcNAcβ−1−46LcNac−(ASNアミノ酸)の構造を有する。五単糖コアは、典型的には、五単糖コアに連結する2個の外側の枝分かれを有する。
N−アセチルグルコサミン含有外側枝分かれ:アスパラギン結合型オリゴ糖の五単糖コア(グリコシル化コア部分)に連結しているさらなるオリゴ糖。哺乳動物および植物の両方の糖タンパク質において見出される外側枝分かれは、マンノースのみを含有する酵母の外側枝分かれとは正反対に、N−アセチルグルコサミンを含有する。哺乳動物の外側枝分かれは、外側枝分かれの末端部分に直接に連結されたシアル酸残基を有する。
グリコポリペプチド多量体:単一の球状タンパク質を形成するために相互に会合したグリコシル化ポリペプチド鎖またはグリコシル化タンパク質鎖および少なくとも1つの他のポリペプチド鎖またはタンパク質鎖を含有する球状タンパク質。ヘテロダイマー糖タンパク質およびホモダイマー糖タンパク質はともに多量体タンパク質である。グリコシル化ポリペプチドおよびグリコシル化タンパク質は、N−アセチルグルコサミンのC(1)がアスパラギンのアミド基に連結されているn−グリカンである。
免疫グロブリンスーパーファミリー分子:免疫グロブリンまたは免疫グロブリン関連ドメインと有意に類似しているドメインサイズおよびアミノ酸残基配列を有する分子。類似性の有意性は、Dayhoff他、Meth Enzymol.、524〜545(1983)によって記載されるAlignプログラムなどのコンピュータープログラムを使用して統計学的に決定される。3未満の典型的なAlignスコアにより、調べられている分子が免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーのメンバーであることが示される。
免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーは、表Aに示され、また、WilliamsおよびBarclayにより、Immunoglobulin Genes(361頁、Academic Press、New York、N.Y.(1989))に記載される分子を含む分子からなる7つの主要なクラスを含有する。
Figure 2006506056
WilliamsおよびBarclay、Immunoglobulin Genes、361頁、Academic Press、NY(1989);Sequences of Proteins of Immunological Interest、第4版、米国保健社会福祉省(1987)を参照のこと。
触媒作用部位:反応物と結合し、反応の速度を改善することができる分子の一部分。触媒作用部位は、ポリペプチドまたはタンパク質、酵素、有機物、有機金属化合物および金属などに存在し得る。触媒作用部位は、1つまたは複数のポリペプチド鎖または化合物に存在する別個の部分から構成される場合がある。これらの別個の触媒作用部分は会合して、触媒作用部位のより大きな部分を形成する。触媒作用部位は、金属に結合しているポリペプチドまたはタンパク質によって形成される場合がある。
酵素作用部位:触媒作用部位を含有するタンパク質分子の一部分。ほとんどの酵素作用部位は非常に大きい選択的な基質特異性を示す。酵素作用部位は、同じポリペプチド鎖の異なるセグメントに存在する2つ以上の酵素作用部位部分から構成される場合がある。これらの酵素作用部位部分は会合して、酵素作用部位のより大きな部分を形成する。酵素作用部位の一部分はまた金属である場合がある。
自家受粉:同じ植物における雄花部から雌花部への花粉の移転。このプロセスにより、典型的には種子が作製される。
他家受粉:ある植物の雄花部から別の植物の雌花部への花粉の移転。このプロセスにより、典型的には、生存可能な子孫が成長し得る種子が作製される。
エピトープ:免疫グロブリン産物によって特異的に認識される分子の一部分。エピトープはまた決定基または抗原決定基とも呼ばれる。
アブザイム:酵素または触媒として作用することができる免疫グロブリン分子。
酵素:酵素が多くの場合には特異的である基質における何らかの変化を触媒作用によって促進または生成することができるタンパク質、ポリペプチド、ペプチドRNA分子または多量体タンパク質。
軽鎖(Lt):1つのVドメインおよび1つのCドメインからなる、免疫グロブリン単量体における2つのタイプのポリペプチド鎖の2つのうちの小さい方(約23000のMW)。κおよびλとして知られている軽鎖の2つのクラスが存在する。
可変(V):比較的不変のフレームワーク領域と、超可変領域とを含有する免疫グロブリン単量体のドメイン。フレームワーク領域は、抗原と接触する超可変領域にタンパク質足場を提供する。
定常(C):異なる免疫グロブリン分子の間でアミノ酸配列が比較的一定し、特定のエフェクター機能およびタイプ(例えば、IgA、IgG、IgD、IgEおよびIgMのクラスにそれぞれ対応するα、γ、δ、εおよびμなど)を決定する免疫グロブリン単量体のドメイン。
短い重鎖(Fd):免疫グロブリン重鎖の免疫学的に活性な部分を含有し、1つのVドメインおよび1つのCドメインからなる重鎖分子の一部分。
より長い重鎖(Fd’):免疫グロブリン重鎖の免疫学的に活性な部分と、二量体化ドメインとを含有する重鎖分子のFd部分。二量体化ドメインの1つのタイプがCドメインである。
重鎖(Hy):クラス特異的なポリペプチド免疫グロブリン成分(Igクラスに依存して、約50000〜70000のMW)。重鎖の様々なタイプが、IgA、IgG、IgD、IgEおよびIgMのクラスに対応して、それぞれ、α、γ、δ、εおよびμと呼ばれる。
人工(的):本発明の目的のために、人工(的)は、ドメインの1つがプロペプチドまたはプロペプチドコード配列であるペプチドドメインまたはヌクレオチドドメインの人工的な配置で、類似物が自然界において知られていない配置を意味する。プロペプチドまたはプロペプチドコード配列に結合した2つのドメインは単一のオープンリーディングフレームまたは単一の得られるプロタンパク質において天然には配置されないので、そのような配置は自然界では見出されない。
プロタンパク質をコードする人工ヌクレオチド配列は、ドメインの1つが内部のプロペプチドをコードするオープンリーディングフレームにおけるヌクレオチド配列ドメインの配置で、類似物が自然界において知られていない配置である。人工プロタンパク質配列は、ドメインの1つが内部のプロペプチドであるプロタンパク質におけるペプチド配列ドメインの配置で、類似物が自然界において知られていない配置である。プロタンパク質をコードする人工ヌクレオチド配列の一例が、ドメインの1つが内部のプロペプチドをコードし、それ以外の2つのドメインが抗体またはFabフラグメントの重鎖および軽鎖をそれぞれコードする単一のオープンリーディングフレームにおけるヌクレオチド配列ドメインの配置である。自然界では、2つの別個の遺伝子が抗体の重鎖および軽鎖をそれぞれコードしている。
人工抗体プロタンパク質配列はペプチド配列ドメインの配置である。ドメインの1つが内部のプロペプチドである。内部のプロペプチドの隣には、軽鎖がプロペプチドの一方の側面に存在し、重鎖が反対側に存在する。この配置は自然界では類似物が知られていない。この配置は、折り畳まれ、内部のプロペプチドが切断されたとき、ジスルフィド結合した多量体タンパク質をもたらす。これに対して、インスリンは、本発明による人工プロタンパク質の例ではない。インスリンは、自然界では、単一のオープンリーディングフレームにコードされる多量体である。そのオープンリーディングフレームは、第1のペプチド、プロペプチドおよび第2のペプチドをそれぞれコードする3つのドメインを有する。その結果は、内部のプロペプチドドメインを有するインスリンプロタンパク質である。インスリンムテインは本発明の人工プロタンパク質ではない。しかしながら、1つまたは複数を有する多量体抗体プロタンパク質。
プロペプチド:プロペプチドは、プロタンパク質において目的とする2つのペプチドの間に存在するペプチドである。プロペプチドは、目的とする2つのペプチドの間における立体配座的および近接的な会合を形成させ、それにより、安定な中間体をもたらすことを助けると考えられる。その後、目的とする2つのペプチドにより、多量体タンパク質が形成される。
プロタンパク質:プロタンパク質は、少なくとも3つのペプチド配列、すなわち、目的とする第1のペプチド配列、目的とする第1のペプチド配列のc末端に結合した内部のプロペプチド配列、および、プロペプチド配列のc末端に結合した目的とする第2のペプチド配列を含む多量体タンパク質中間体である。プロタンパク質は4つ以上のペプチド配列を含むことができる。天然に存在するプロペプチドまたは天然に存在しないプロペプチドはいずれも本発明に適合する。
プレプロタンパク質:プレプロタンパク質は、配置においてプロタンパク質の前方に存在するシグナルペプチドを有するペプチドの配置である。
多量体タンパク質:個々のポリペプチドまたはタンパク質が相互に会合して、1つのタンパク質を形成する2つ以上のポリペプチドまたはタンパク質を含有するタンパク質。ヘテロダイマータンパク質およびホモダイマータンパク質はともに多量体タンパク質である。
ポリペプチドおよびペプチド:隣接する残基のα−アミノ基とカルボキシ基との間でのペプチド結合によって互いにつながれたアミノ酸残基の線状系列。
タンパク質:ポリペプチドの場合のように互いにつながれた約50アミノ酸残基以上の線状系列。
ポリペプチドまたはペプチドの「ドメイン」は、一般には、特定の構造および/または生化学的機能を与えるような様式で折り畳まれるポリペプチド鎖の領域を示す(Schlz他、上掲)。ドメインは構造または機能に関して定義され得る。機能的ドメインは、1つだけの構造的ドメインであり得るが、しかし、2つ以上の構造的ドメインを含む場合もある。そのような機能には、酵素触媒活性、リガンド結合、原子のキレート化、または内因性の蛍光が含まれ得る。
「テンプレートDNA」は、「増幅プライマー対」(増幅反応において使用されるオリゴヌクレオチドプライマーの集団)によって増幅されるDNAを示す。このDNAは生物学的(組換え)手段または人工的(化学的)手段によって作製され得る。さらに、mRNAを、増幅反応において使用されるテンプレートDNAを形成させるために逆転写することができる。
「上流側プライマー」は、テンプレートDNAのアンチセンス鎖にアニーリングするオリゴヌクレオチドプライマーまたはオリゴヌクレオチドプライマーの混合物である。
「下流側プライマー」は、テンプレートDNAのセンス鎖にアニーリングするオリゴヌクレオチドプライマーまたはオリゴヌクレオチドプライマーの混合物である。
「増幅する/増幅」は、テンプレートDNA全体またはその一部分が少なくとも1回(好ましくは多数回)複製される反応を示す。
「連結する/連結」は、酵素法および/または化学的方法を使用して2つ以上のDNA鎖を(3’端から5’端に)共有結合的に結合することを示す。
「非テンプレート化エンドヌクレアーゼ認識部位」は、制限エンドヌクレアーゼによって認識される非テンプレート化配列の内部の配列である。
「ライブラリー」は、記載された方法を使用して作製された核酸分子の集団である。ヌクレオチド配列が異なる集団に含有されるメンバーの数は、供給源材料に含有される配列の数によって決定される。
(発明の概要)
本発明の特徴をより明瞭に理解するために、概要が提供され、図2〜図11に関して記載される。
本発明者らは、抗体および抗体フラグメントなどの所望される多量体タンパク質を発現させるために、図2および図3に一般的に描かれる構築物などの数多くの構築物を製造している。そのような構築物は、所望される目的のために1つまたは複数の細胞から取り出された軽鎖(Lt)および重鎖(Hy)を含む。軽鎖および重鎖は、続いて発現される所望の多量体タンパク質に依存して、同じ細胞、同じタイプの細胞、または完全に異なるタイプの細胞から取り出され得ることを理解しなければならない。様々な知られている技術のいずれかを使用して、軽鎖および重鎖のそれぞれには、図2および図3に描かれるR1およびR2などの所定のエンドヌクレアーゼ制限部位が配置される。そのような制限部位を遺伝子配列に付加するための様々な方法がこの分野では広く知られている。
所定のプロペプチドが、本明細書中下記においてより詳細に記載される方法に従って構築される(例えば、実施例Aを参照のこと)。プロペプチドにはさらに、図2および図3に示されるように、dnaフラグメント(軽鎖Ltおよび重鎖Hy)と融合させるために好適な適合し得る末端または相補的な配列であるR1およびR2の制限部位が配置される。広く知られているように、PCRのとき、制限部位は、重鎖Hy、プロペプチドおよび軽鎖を図2および図3に描かれる配向のいずれかで含む、図2および図3に示される配列の構築を可能にする。次に、Hy−プロペプチド−Ltの配列が、例えば、Large Scale Biology Corporation(Vacaville、California)によって開発されたGenewareTMシステムにおいて使用されるウイルスなどのウイルスにクローン化され、これにより、シグナルペプチド(Sp)およびプロモーター(Pr)が配列に付加される。GenewareTMを使用して構築物を複製した後、最終的な構築物が、下記においてより詳細に記載されるように、様々な所望される発現システムのいずれかにおける使用のために単離される。
本発明の構築物(例えば、図2および図3に一般的に表される構築物など)は、所望されるタンパク質(1つまたは複数)、抗体フラグメントまたは抗体を発現させるために細胞に挿入される。これらの多量体タンパク質は、図4〜図9に関して下記においてより詳細に記載される細胞内の機構によって細胞において発現させることができる。
図4は、プレプロタンパク質をコードする単一遺伝子が細胞(1つまたは複数)に導入される本発明の1つの実施形態を表すブロック図である。この実施形態において、構築物は、プロモーターPr、シグナルペプチドSp、重鎖フラグメントFd、プロペプチドおよび短い鎖Ltを含む。この実施形態において、短い重鎖がシグナルペプチド(Sp)とプロペプチドとの間に挿入されている。構築物は細胞に導入され、細胞において、発現後、シグナルペプチド(Sp)が小胞体内で除かれて、折り畳まれたプレプロタンパク質がもたらされる。細胞のゴルジにおけるその後の成熟化により、プロペプチドが除かれ、それにより、折り畳まれた所望の抗体フラグメントまたはFabがもたらされ、これらは、下記においてより詳細に記載されるように、様々な技術のいずれかによって抽出され得る。
図5は、重鎖フラグメントFdおよび軽鎖Ltの位置が逆になり、その結果、構築物が、プロモーターPr、シグナルペプチドSp、短い鎖Lt、プロペプチドおよび重鎖フラグメントFdを含むようになることを除いて、図4と類似するブロック図である。具体的には、軽鎖Ltがシグナルペプチド(Sp)とプロペプチドとの間に挿入されている。構築物は細胞に導入され、細胞において、発現後、シグナルペプチド(Sp)が小胞体内で除かれて、折り畳まれたプレプロタンパク質がもたらされる。細胞のゴルジにおけるその後の成熟化により、プロペプチドが除かれ、それにより、折り畳まれた所望の抗体フラグメントまたはFabがもたらされ、これらは、下記においてより詳細に記載されるように、様々な技術のいずれかによって抽出され得る。
図6は、プレプロタンパク質をコードする単一遺伝子が細胞(1つまたは複数)に導入される本発明の別の実施形態を表すブロック図である。この実施形態において、構築物は、プロモーターPr、シグナルペプチドSp、重鎖フラグメントFd’、プロペプチドおよび短い鎖Ltを含む。具体的には、重鎖フラグメントFd’がシグナルペプチド(Sp)とプロペプチドとの間に挿入されている。構築物は細胞に導入され、細胞において、発現後、シグナルペプチド(Sp)が小胞体内で除かれて、折り畳まれたプレプロタンパク質がもたらされる。細胞のゴルジにおけるその後の成熟化により、プロペプチドが除かれ、それにより、折り畳まれた所望のFab’がもたらされ、これは、下記においてより詳細に記載されるように、様々な技術のいずれかによって抽出され得る。
図7は、重鎖フラグメントFd’および軽鎖Ltの位置が逆になり、その結果、構築物が、プロモーターPr、シグナルペプチドSp、短い鎖Lt、プロペプチドおよび重鎖フラグメントFd’を含むようになることを除いて、図6と類似するブロック図である。具体的には、軽鎖Ltがシグナルペプチド(Sp)とプロペプチドとの間に挿入されている。構築物は細胞に導入され、細胞において、発現後、シグナルペプチド(Sp)が小胞体内で除かれて、折り畳まれたプレプロタンパク質がもたらされる。細胞のゴルジにおけるその後の成熟化により、プロペプチドが除かれ、それにより、折り畳まれた所望のFab’がもたらされ、これは、下記においてより詳細に記載されるように、様々な技術のいずれかによって抽出され得る。
図8は、プレプロタンパク質をコードする単一遺伝子が細胞(1つまたは複数)に導入される本発明のさらに別の実施形態を表すブロック図である。この実施形態において、構築物は、プロモーターPr、シグナルペプチドSp、全長の重鎖Hy、プロペプチドおよび短い鎖Ltを含む。構築物は細胞に導入され、細胞において、発現後、シグナルペプチド(Sp)が小胞体内で除かれて、折り畳まれたプレプロタンパク質がもたらされる。細胞のゴルジにおけるその後の成熟化により、プロペプチドが除かれ、それにより、折り畳まれた所望の抗体がもたらされ、これは、下記においてより詳細に記載されるように、様々な技術のいずれかによって抽出され得る。
図9は、重鎖Hyおよび軽鎖Ltの位置が逆になり、その結果、構築物が、プロモーターPr、シグナルペプチドSp、短い鎖Lt、プロペプチドおよび重鎖Hyを含むようになることを除いて、図8と類似するブロック図である。具体的には、軽鎖Ltがシグナルペプチド(Sp)とプロペプチドとの間に挿入されている。構築物は細胞に導入され、細胞において、発現後、シグナルペプチド(Sp)が小胞体内で除かれて、折り畳まれたプレプロタンパク質がもたらされる。細胞のゴルジにおけるその後の成熟化により、プロペプチドが除かれ、それにより、折り畳まれた所望の抗体がもたらされる。
図10は、図2に描かれる構築物におけるプレプロタンパク質構築物をコードする単一遺伝子を使用する抗体フラグメント(Fab、Fab’)または完全な抗体の製造のために利用され得る様々な基盤を示すブロック図である。例えば、図2の構築物は、Large Scale Biology Corporationによって開発されたGenewareTMにおいて使用される細胞またはベクターなどの哺乳動物細胞、酵母細胞、遺伝子組換え植物細胞、バキュロウイルスベクターまたは植物ウイルスベクターに導入され得る。
図11は、図3に描かれる構築物におけるプレプロタンパク質構築物をコードする単一遺伝子を使用する抗体フラグメント(Fab、Fab’)または完全な抗体の製造のために利用され得る様々な基盤を示す。例えば、図3の構築物は、Large Scale Biology Corporationによって開発されたGenewareTMにおいて使用される細胞またはベクターなどの哺乳動物細胞、酵母細胞、遺伝子組換え植物細胞、バキュロウイルスベクターまたは植物ウイルスベクターに導入され得る。
(単一遺伝子を使用して多量体タンパク質を発現させる方法)
本発明は最初に、下記のより詳細な記載により、その最も広い包括的な局面が記載される。
今回、ある種類の新規な人工プロタンパク質が設計および操作された。このプロタンパク質は、多量体プロタンパク質、すなわち、第1のペプチド、第2のペプチドおよびプロペプチドから構成される単一のタンパク質に由来する多量体タンパク質を産生することができるタンパク質アセンブリーを含み、タンパク質アセンブリーにおいて、第1のペプチドおよび第2のペプチドは会合して、プロペプチドを本質的には含まない生物学的に機能的な立体配座を取る。第1のペプチドおよび第2のペプチドの例には、免疫グロブリン分子の軽鎖および重鎖、軽鎖および重鎖免疫グロブリン分子のフラグメント、T細胞受容体のα鎖およびβ鎖、または、ヘモグロビンのα鎖およびβ鎖がある。プロペプチドの例には、インスリンC鎖、サッカロミセス・セレビジアエのK1キラー毒素プロペプチド(γサブユニット)、クルイベロミセス・ラクチスのプラスミドk1毒素プロペプチド、およびKP6毒素プロペプチド鎖がある。本発明は、プロペプチドを含有する安定な中間体タンパク質を形成するために折り畳まれる人工プロタンパク質(この場合、成熟型の多量体タンパク質は、結合性を有するサブユニットを有する)、組換え技術によって調製されるこれらのタンパク質をコードDNA、これらのDNAを有する宿主細胞、ならびに、これらのタンパク質およびDNAを製造するための方法を特徴とする。
人工プロタンパク質の設計は、多量体タンパク質が、多くの場合、その複雑な折り畳みおよび組立ての必要条件を完成させるために折り畳みシャペロンの関与を要求するという観測結果に基づいている。プロタンパク質は、多量体タンパク質の適正な折り畳みを促進させるためにプロペプチドの形態で分子シャペロンを含むように設計される。人工プロタンパク質はさらに、適正に組み立てられた成熟型の活性な多量体の蓄積を増大させるために、(中でも)、シャペロンの利用性、増大した局所的濃度、適正な細胞局在化、タンパク質サブユニットの時間的および化学量論的な発現を増大させるように設計される。プロペプチドは、各サブユニットの相対的なモル濃度が高くなり、それにより、BiP、PDIおよび他の結合力(サブユニット間およびサブユニット内でのジスルフィド連結、静電的および疎水的な相互作用など)によって行われる折り畳みを促進するようにサブユニットを近くに接近させることによって、サブユニットの空間的分布に影響を及ぼす。
多量体の結合性タンパク質の組換え発現は最も低いサブユニットレベルによって制限され、多量体組成物の蓄積は、サブユニット発現レベルが等しくないことによって悪影響を受け得る。サブユニットポリペプチドを、細胞機構によって除去される安定な折り畳み用の立体配座的ポリペプチドに融合することによるプロタンパク質の創出は、成熟型タンパク質に内在することなく、適正なサブユニット相互作用をもたらす。KP6または他のプロペプチド分子は、上記で記載されたようなシャペロンとして作用し、しかし、さらには、BiPおよびPDIなどの他のシャペロンを呼び寄せ、導き、その活性を増強または触媒するためにもまた作用し得る。
本発明は、多量体プロタンパク質の組換え製造では、多量体タンパク質を作製するために、安定な中間体を形成し、かつ、さらに成熟化される能力を有することが要求される。この技術が開発され、本明細書中に開示される。本開示を考慮して、組換えDNA技術、タンパク質設計およびタンパク質化学における当業者は、生物学的に活性な成熟型タンパク質をもたらすそのようなプレプロタンパク質を製造することができる。
別の実施形態において、人工タンパク質は、多量体タンパク質のプレプロタンパク質、すなわち、シグナルペプチド、第1のペプチド、プロペプチドおよび第2のペプチドから構成される単一のタンパク質に由来する多量体タンパク質を産生することができるタンパク質アセンブリーを含み、タンパク質アセンブリーにおいて、第1のペプチドおよび第2のペプチドは会合して、プロペプチドおよびシグナルペプチドを本質的には含まない生物学的に機能的な立体配座を取る。シグナルペプチドの例には、κ軽鎖リーダーまたはαアミラーゼシグナルペプチドがある。
本発明の別の実施形態において、プロタンパク質は部分的には、免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖の一部分からなるFabフラグメントに由来する。免疫グロブリン重鎖フラグメントおよび免疫グロブリン軽鎖は互い会合し、所定の抗原または事前に選択された抗原に対する抗原結合部位を有する立体配座を取る。Fabフラグメント上の抗原結合部位は、免疫グロブリン分子上の抗原結合部位と類似する結合親和力または結合力を有する。
別の実施形態において、プロタンパク質は、免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖から構成される多量体免疫グロブリン分子に由来する。免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖は互い会合し、競合的に阻害されるその能力によって明らかにされるように、事前に選択された抗原または所定の抗原について特異的な抗原結合部位を有する立体配座を取る。
さらなる実施形態において、プロタンパク質は、事前に選択されたリガンドに特異的に結合して、複合体が単離されるために十分に強い結合をリガンドとリガンド結合部位との間に有する複合体を形成するリガンド結合部位を形成するリガンド結合ポリペプチド(受容体)に由来する。
なおさらに別の実施形態において、プロタンパク質は、基質に結合し、基質に由来する生成物の形成を触媒する酵素である多量体タンパク質に由来する。触媒作用を有する多量体タンパク質の基質結合部位(リガンド結合部位)の位相幾何学は、その活性のためには、おそらくは、基質に対するその親和性よりも重要であるが、結合するための必要条件が存在する。
別の実施形態において、新規な多量体またはヘテロダイマーもまた本発明の種類に一致する。自然界に存在しない安定な多量体形態を生じさせるための、ポリペプチドと他のポリペプチドとの相互作用が、本発明の技術を用いてもたらされ得る。これには、2つの異なる生物、オルガネラにおける産生の結果として相互作用しない天然に存在するポリペプチド、あるいは、もう一方の存在下で産生された場合には相互作用する時間的またはそれ以外に隔てられたタンパク質が含まれる。そのような人工的な相互作用の一例が、それぞれのサブユニットが異なる種に由来するLIN−2,7(L27)ヘテロダイマーである。
従って、本発明は、結合性を有する多量体ポリペプチドにプロセシングされる能力をそのすべてが有する、単一DNA片から発現される組換え分子のファミリーを提供する。
さらなる実施形態において、抗体または抗体フラグメント(Fab)の親和性または活性が、Carter他(1992)、Proc.Natl.Acad.Sci.、第89巻(4285〜4289)において明らかにされたように、所望される特性を改善するために改変される。抗体(天然型、キメラ型、または、CDR交換によるヒト化型であっても)が得られると、可変重鎖および可変軽鎖の遺伝子における様々な位置が、予測された構造および既知の結晶構造の分子モデル化比較によって、抗体の構造および機能または結合に影響を及ぼすとして同定される。
同定または推定される影響誘因位置が、最適な構造的構成のための好ましいアミノ酸、そして同様に、好ましい非免疫原ヒト配列を含有するためにランダム化される。任意の適切なDNAシャフリング法を使用して、変化させたアミノ酸残基を任意の1つの位置に含有する多数の影響誘因位置が、これらの影響誘因部位におけるアミノ酸の異なる組合せを含有する配列の集団を作製するために再分類される。
DNAシャフリングによって作製された抗体配列の集団が、この分野で知られている制限非依存的付着性末端クローニングまたは別のクローニング方法を使用してウイルスベクターにクローン化されるプレプロタンパク質配列の集団を作製するために、実施例2に記載されるようにクローン化される。
感染性の転写物がインビトロで作製され、次いでカプシド化される。カプシド化された転写物は、植物に感染させるために使用される。発現したタンパク質が続いて間質液または組織ホモジネートから集められる。
抽出物は、ELISAまたは他の好適なアッセイによって明らかにされるような所望される活性(例えば、抗原結合など)についてアッセイされる。また、活性アッセイが定量的側面を有するならば好ましい。サンプルは、ELISAによって、または他の好適なアッセイを用いて、存在する抗体の量を測定するためにさらに評価される。
改善された抗体を含有するウイルスベクターは、大量の植物に接種して、精製された抗体を、さらなる特徴づけ、前臨床評価およびプロセス開発のために得るために使用することができる。
同時に、発現システムは、十分に大きな規模の量を製造するためにスケールアップされる。これには、好ましいプロタンパク質または抗体をコードする遺伝子で安定的に形質転換された植物系統を作り出すことが伴い得る。
所望される第1のポリペプチド(サブユニット)をコードする遺伝子を単離するための様々な方法がこの分野では広く知られている。例えば、Guide To Molecular Cloning Techniques in Methods in Enzymology、第152巻、BergerおよびKimmel編(1987):および、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel他編、John Wiley and Sons、New Yorkを参照のこと(それらの開示は参考として本明細書中に組み込まれる)。
本発明を実施することにおいて有用である遺伝子には、免疫グロブリン産物に含有されるポリペプチド、免疫グロブリン分子、Fabフラグメント、酵素、受容体、ケモカイン、サイトカイン、血液産物、診断剤、分析化合物および治療化合物をコードする遺伝子が含まれる。特に好ましいものは、会合して多量体複合体を形成するポリペプチドをコードする遺伝子である。
多量体タンパク質のポリペプチドサブユニットをコードする遺伝子は、そのようなポリペプチドを発現する遺伝子を含有するゲノムDNA、または、そのようなポリペプチドをコードするメッセンジャーRNA(mRNA)のどちらからでも単離することができる。ゲノムDNAを使用することにおける困難は、配列がイントロンによって隔てられている場合、ポリペプチドをコードする配列を並置することにおいてである。適切なエキソンを含有するDNAフラグメントを単離し、イントロンを切り出し、かつ、エキソンを適切な順序および向きでつなぎ合わせなければならない。ほとんどの場合、これは困難であり、その結果、mRNAを用いる代わりの技術は、配列がポリペプチド全体について(イントロンを含まず)連続しているので優れた方法である。ペプチドまたはタンパク質をコードするmRNAを単離するための様々な方法がこの分野では広く知られている。例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel他、John Wiley and Sons、New York(1987);Guide to Molecular Cloning Techniques[Methods In Enzymology、第152巻、BergerおよびKimmel編(1987)];および、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Maniatis他編、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.(1982)を参照のこと。
上記で単離されたポリペプチドコード遺伝子はプロタンパク質に組み立てられ、典型的には、発現ベクターに機能的に連結される。宿主細胞と適合し得る発現ベクターが、本発明の遺伝子を発現させるために使用される。様々な宿主において遺伝子を発現させるために有用な典型的な発現ベクターがこの分野では広く知られており、これらには、抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を用いて得られるベクター;抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、TMV;タバコモザイクウイルス、TMV)を感染させた植物細胞システム、または抗体コード配列を含有する組換えプラスミド発現システム(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞システム;あるいは、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルスの後期プロモーター;ワクシニアウイルスの7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞システム(例えば、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、293細胞、3T3細胞)が含まれる。
上記で記載された発現ベクターは、プロモーターを含む発現制御エレメントを含有する。ポリペプチドをコードする遺伝子は、プロモーター配列がRNAポリメラーゼの結合および所望されるポリペプチドコード遺伝子の合成を行わせることを可能にするために発現ベクターに機能的に連結される。ポリペプチドコード遺伝子を発現させることにおいて、誘導型、ウイルス性、合成型、構成的、時間調節型、空間調節型および時空調節型であるプロモーターが有用である。どの発現ベクターが機能的に連結されるか、そして究極的には、どのプロモーターにポリペプチドコード遺伝子が機能的に連結されるかの選択は、この分野では広く知られているように、直接的には、所望される機能的性質(例えば、タンパク質発現の場所および時期)、および、形質転換される宿主細胞に依存する。これらは、組換えDNA分子を構築する技術分野では固有的な制限である。しかしながら、本発明を実施することにおいて有用な発現ベクターは少なくとも、複製が可能であり、そしてまた、好ましくは、発現ベクターが機能的に連結されているDNAセグメントに含まれるポリペプチドコード遺伝子の発現が可能である。
好ましくは、真核生物細胞が、完全な抗体分子を発現させる場合には特に、組換え抗体分子の発現のために使用される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)など哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルスに由来する主要即時初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと併せて、抗体のための効果的な発現システムである(Foecking他、Gene、45:101(1986);Cockett他、Bio/Technology、8:2(1990))。
哺乳動物宿主細胞においては数多くのウイルス型発現システムを利用することができる。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、目的とする抗体コード配列をアデノウイルスの転写/翻訳制御複合体(例えば、後期プロモーターおよび三成分リーダー配列)に連結することができる。このようなキメラ遺伝子は、その後、アデノウイルスゲノムにインビトロ組換えまたはインビボ組換えによって挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、E1領域またはE3領域)における挿入は、感染した宿主において存続可能であり、抗体分子を発現させることができる組換えウイルスをもたらす(例えば、Logan&Shenk、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:355〜359(1984)を参照のこと)。特異的な開始シグナルもまた、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳のために要求されることがある。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。さらに、開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために、所望されるコード配列の読み枠と相を一致させなければならない。これらの外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは様々な起源を有することができ、天然由来および合成由来の両方であり得る。発現効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含むことによって増強され得る(Bittner他、Methods in Enzymol.、153:51〜544(1987)を参照のこと)。
また、挿入された配列の発現を調節するか、または、所望される特異的な様式で遺伝子産物を修飾およびプロセシングする宿主細胞株を選ぶことができる。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)はタンパク質の機能のためには重要であり得る。種々の宿主細胞株が、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後のプロセシングおよび修飾のための特徴的および特異的な機構を有している。適切な細胞株または宿主系を、発現した外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実するために選ぶことができる。この目的のために、一次転写物の適正なプロセシング、グリコシル化、および遺伝子産物のリン酸化のための細胞装置を有する真核生物宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳動物宿主細胞には、CHO、VERO、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、WI38、ならびに、特に、乳ガン細胞株、例えば、BT483、Hs578T、HTB2、BT20およびT47Dなど、そして、正常な乳腺細胞株、例えば、CRL7030およびHs578Bstなどが含まれるが、これらに限定されない。
組換えタンパク質の長期間にわたる高収量の製造のためには、安定した発現が好ましい。例えば、抗体分子を安定的に発現する細胞株を操作することができる。ウイルスの複製起点を含有する発現ベクターを使用するのではなく、むしろ、宿主細胞が、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択マーカーにより制御されるDNAで形質転換され得る。外来DNAを導入した後、操作された細胞は、1日間〜2日間、富化培地において成長させることができ、その後、選択培地に切り替えられる。組換えプラスミドにおける選択マーカーは、選択に対する耐性が付与され、細胞がプラスミドをその染色体に安定的に組み込み、成長して、その後にクローン化され、かつ細胞株に拡大し得る遺伝子座を形成させることを可能にする。この方法は、抗体分子を発現する細胞株を操作するために都合良く使用することができる。そのような操作された細胞株は、抗体分子と直接的または間接的に相互作用する化合物のスクリーニングおよび評価において特に有用である。
数多くの選択システムを使用することができ、これらには、限定されないが、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子(Wigler他、Cell、11:223(1977))、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalska&Szybalski、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、48:202(1992))、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowy他、Cell、22:817(1980))が含まれ、これらは、それぞれ、tk−細胞、hgpt−細胞およびaprt−細胞において使用され得る。また、代謝拮抗性の耐性を下記の遺伝子について選択の基礎として使用することができる:dhfr(これはメトトレキサートに対する耐性を付与する)(Wigler他、1980、Natl.Acad.Sci.USA、77:357;O’Hare他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:1527(1981));gpt(これはミコフェノール酸に対する耐性を付与する)(Mulligan&Berg、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:2072(1981));neo(これはアミノグリコシドG−418に対する耐性を付与する)(Clinical Pharmacy、12:488〜505;WuおよびWu、Biotherapy、3:87〜95(1991);Tolstoshev、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.、32:573〜596(1993);Mulligan、Science、260:926〜932(1993);MorganおよびAnderson、Ann.Rev.Biochem.、62:191〜217(1993);TIB TECH、11(5):155〜215(May 1993));およびhygro(これはヒグロマイシンに対する耐性を付与する)(Santerre他、1984、Gene、30:147)。組換えDNA技術の分野では一般に知られている使用され得る様々な方法が、Ausubel他編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、NY(1993);Kriegler、Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual、Stockton Press、NY(1990)に、そして、第12章および第13章(Dracopoli他編、Current Protocols in Human Genetics、John Wiley&Sons、NY(1994));Colberre−Garapin他、J.Mol.Biol.、150:1(1981)に記載される(これらはその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。
抗体分子の発現レベルはベクター増幅により増大させることができる(総説については、BebbingtonおよびHentschel、“The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells”、DNA Cloning、第3巻(Academic Press、New York、1987)を参照のこと)。抗体を発現するベクターシステムにおけるマーカーが増幅可能であるとき、宿主細胞の培養物に存在する阻害剤のレベルの増大はマーカー遺伝子のコピー数を増大させる。増幅された領域は抗体遺伝子と関連づけられているので、抗体の産生もまた増大する(Crouse他、Mol.Cell.Biol.、3:257(1983))。
所望される多量体タンパク質の発現は、この分野で広く知られているアッセイ方法を使用して生物学的な多量体タンパク質の存在についてアッセイすることによって同定され得る。そのような方法には、生物学的に機能的な多量体タンパク質を検出するために設計されたウエスタンブロッティング、免疫アッセイ、結合アッセイおよび任意のアッセイが含まれる。例えば、Immunology:The Science of Self−Nonself Discrimination(Klein、John Wiley and Sons、New York、N.Y.(1982))に記載されるアッセイを参照のこと。
好ましいスクリーニングアッセイは、多量体タンパク質における生物学的に活性な部位が、検出可能なシグナルをもたらすような方法で検出されるアッセイである。このシグナルは直接的または間接的に生じさせることができる。そのようなシグナルには、例えば、複合体の産生、触媒作用反応生成物の形成、エネルギーの放出または取り込みなどが含まれる。例えば、この方法によって産生された抗体分子を含有する宿主は、Antibodies:A Laboratory Manual(HarlowおよびLane編、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.(1988))に記載される免疫アッセイに類似するELISAまたは放射免疫アッセイなどの標準的な免疫アッセイにおいて、抗体がその抗原に結合することを可能にするような方法で処理することができる。
本発明のさらなる局面は、第1のポリペプチドと、第2のポリペプチドと、プロペプチドとから構成されるタンパク質を製造する方法である。一般に、この方法では、本発明の宿主を増殖または培養するという要素、および、所望される多量体タンパク質を製造するために培養された宿主細胞または細胞を集めるという要素が組み合わせられる。
第1のポリペプチドと、第2のポリペプチドと、プロペプチドとから構成される所望される多量体タンパク質前駆体を含有する本発明の宿主が、当業者に広く知られている方法を使用して増殖または培養される。本発明の組換え宿主はどれも、その宿主が含有する所望の多量体タンパク質を単離するために培養または増殖することができる。
培養後、組換え宿主は、産生された多量体タンパク質を回収するために集められる。この収集工程は、全宿主を集めること、あるいは、さらなる精製を容易にする特定のオルガネラまたは抽出物(例えば、培地または分泌された画分など)を単離することからなり得る。
好ましい実施形態において、この収集工程は下記の工程をさらに含む:
(a)多量体タンパク質を含有する溶液を得るために宿主からの分泌された画分を集める工程、および
(b)前記溶液から前記多量体タンパク質を単離する工程。
別の実施形態において、この収集工程は下記の工程をさらに含む:
(a)宿主の少なくとも一部をホモジネートする工程、
(b)前記ホモジネートから前記多量体タンパク質を抽出して、多量体タンパク質を含有する溶液を得る工程、および
(c)前記溶液から前記多量体タンパク質を単離する工程。
多量体タンパク質は、タンパク質単離の当業者に広く知られている様々な方法を使用して、上記で得られた溶液から単離される。これらの方法には、免疫アフィニティー精製、ならびに、単離される多量体タンパク質の特定のサイズ、電気泳動移動度、生物学的活性および/または正味電荷に基づく精製手法が含まれるが、これらに限定されない。
意図される組換え宿主は多量体タンパク質を含有する。この多量体タンパク質は、上記の免疫グロブリン産物、酵素、特定のリガンドと結合することができる受容体、またはアブザイムであり得る。
本発明の酵素は、少なくとも2つのポリペプチド鎖に由来するプロタンパク質である。このプロタンパク質は、本発明の方法により組換え宿主に導入された遺伝子によってコードされる。有用な酵素には、アスパラギン酸トランスカルバミラーゼなどが含まれる。
別の好ましい実施形態において、プロタンパク質は、特定のリガンドと結合することができる受容体に由来する。典型的には、この受容体は、発明の方法により組換え宿主に導入された遺伝子によってコードされるプロタンパク質から構成される。そのような受容体およびそれらのそれぞれのリガンドの例には、ヘモグロビン、O;プロテインキナーゼ、cAMP;およびその他が含まれる。
本発明の別の好ましい実施形態において、存在する免疫グロブリン産物は、免疫グロブリン重鎖およびその関連する可変領域によるか、あるいは、免疫グロブリン分子または免疫グロブリン分子のFabもしくは実質的な部分を形成するために会合する免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖によるかのいずれかにより構成されるアブザイムである。例示的なアブザイムには、Tramontano他、Science、234:1566〜1570(1986);Pollack他、Science、234:1570〜1573(1986);Janda他、Science、241:1188〜1191(1988);および、Janda他、Science、244:437〜440(1989)によって記載されるアブザイムが含まれる。
典型的には、本発明のプロタンパク質は、少なくとも2つのポリペプチドと、プロペプチドとを含有する。しかしながら、3つ以上のペプチドもまた存在させることができる。これらのポリペプチドのそれぞれが、それらが折り畳まれ、多量体タンパク質にプロセシングされるようにプロペプチドによって隔てられる。ポリペプチドサブユニットは、ジスルフィド架橋、水素結合または他の機構によって多量体タンパク質を形成するように互いに会合する。
このようにして作製され得る多量体タンパク質の例は数多く存在する。下記の列挙は、プロペプチドを伴って天然の状態では作製されないいくつかの多量体タンパク質を含む。この列挙は例示であることが意図される。プロペプチドを伴って作製されないいくつかの他の多量体タンパク質が存在する。すべてのそのような多量体タンパク質は、これらがプロペプチドを使用して作製されるならば、本発明に一致する。例には、ヘモグロビン(αβ)、IL−12(p35およびp40)、TCR、MHCクラスIIヘテロダイマー(αβ)、CD8へテロダイマー(αβ)、CD3(εδ)、CD3(εγ)、CD22(αβ)、CD41(GPIIba CD61)Janusキナーゼ(JAK)、JAKおよびSTAT(転写のシグナル変換因子および活性化因子)のヘテロダイマー、I鎖を伴うIgM重鎖、またはVpreBおよびλ5(I鎖)、IgβおよびIgα、インテグリン類(例えば、T細胞インテグリンLFA−1(αβ)など)、CD152(CTLA−4)、IL−2受容体(ヘテロトリマー)IL−2R(αβγc)、IL−15(αβγ)、レマトポイエチン受容体ファミリー(IL−3R、GM−CSFR、これらは少数である)、TNF−β(LT−αおよびLT−β)、IL12R(β1β2)、遺伝子組換えJ鎖を伴うIgM(H)、遺伝子組換えJ鎖を伴うIgA(H)、MHCクラスI(αおよびβ−ミクログロブリン)、HLA−DM(αβ)、マウスH−2M(αβ)、大腸菌DNAポリメラーゼIII、インスリン受容体(IR)(αβ)、IGF−1受容体(αβ)、Gタンパク質ヘテロトリマー(αβγ)(例えば、アドレナリン作動性受容体、レチノイン酸受容体(RAR)(αβ)、エストロゲン受容体(αβ)など)、筋細胞エンハンサー因子2(MEF2)ファミリー(例えば、c−fosおよびJunDなど)、酵母RNAPII Rpb3/Rpb11ヘテロダイマー、カルパイン、インポルチンα2/βヘテロダイマー、DNA依存プロテインキナーゼ(DNA−PKc類、ならびにKu70およびKu80)、Ku70およびKu80のヘテロダイマー、ヘパトポイエチン(HPO)およびHPO23のヘテロダイマー、白血球機能関連抗原−1分子(LFA−1)CD11a(αL)およびCD18(β2)インテグリンサブユニットのヘテロダイマー、肝臓X受容体(LXR)/レチノイドX受容体(RXR)ヘテロダイマー、真核生物の染色体構造維持(SMC)タンパク質、ヒトのミスマッチ修復(MMR)ヘテロダイマー、rBAT−b(0,+)ATヘテロダイマー、レチノイドXα(RXRα)およびペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)のヘテロダイマー、甲状腺ホルモン受容体(TR)/RXRヘテロダイマー、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体/RXR、Nurr1オーファン核受容体/RXRヘテロダイマー、カルシニューリン、コラプシン応答媒介因子タンパク質−2およびチューブリンのヘテロダイマー、CD94/NKG2Aヘテロダイマー、IkappaBキナーゼ複合体、ヒト免疫不全症ウイルスの逆転写酵素(RT)ヘテロダイマー、CD98複合体、膜結合免疫グロブリン分子(mIg)を伴うB細胞抗原、およびIg−α/Ig−βヘテロダイマー、クラスIAホスホイノシチド3−キナーゼ、低酸素症誘導因子1、ならびに、当業者には明らかである他のものがある。
活性な部位または抗原結合領域を潜在的には脱安定化するか、あるいは、活性な部位または抗原結合領域を妨害し、かつ、潜在的には有害な免疫原性であり得る外来配列を本質的には含まない成熟型の多量体タンパク質を得るためにプロペプチドを除くことが好ましい。小さい外来領域がプロペプチド配列の除去後に残留し、その結果、これらのさらなる配列が精製のために有用であるか、または、他の生物学的機能(例えば、免疫調節など)を付与することになるようにプロタンパク質を操作することは有益であり得る。多くの場合、少数のアミノ酸のスペーサーがポリペプチドドメイン間に挿入され、あるドメインから別のドメインに移行するように設計される。好ましい実施形態において、ジグリシンスペーサーが、異種ポリペプチドの接合部を緩衝化し、並置されたドメインの適正な折り畳みを促進させ、あるドメインから別のドメインへの移行を最小限にし、また、あるドメインから別のドメインへの移行を増強するように機能する。他のアミノ酸を、プロペプチドの折り畳みおよびシャペロン活性をさらに改善し、これによりプロペプチドの折り畳みをさらに適化するために使用することができる。
結合性を有するポリペプチドサブユニットを有し、しかし、会合することが天然の状態では見出されない新規な多量体タンパク質もまた、本発明の種類に一致する。自然界には存在しない安定な多量体形態を形成するための、タンパク質と他のタンパク質との相互作用が、本発明の技術を用いてもたらされ得る。また、2つの異なる生物、オルガネラにおける産生の結果として相互作用しない天然に存在するタンパク質は、もう一方の存在下で産生された場合には相互作用する時間的またはそれ以外に隔てられたタンパク質である。そのような人工的な相互作用の一例が、それぞれのサブユニットが異なる種に由来するLIN−2,7(L27)ヘテロダイマーである。
(ドメインのクローニング)
ドメインを数多くの技術のいずれかによって単離することができる。一般に、目的とするポリペプチド(またはRNA)ドメインをコードする核酸配列が、ドメインを表すオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションに基づいて、適切なcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーからクローン化される。
本発明の場合、好ましい核酸およびタンパク質は哺乳動物配列であり、より好ましくはヒト配列である。
あるいは、DNAが、DNAテンプレートまたはRNAテンプレートを用いて始まるオリゴヌクレオチドプライマーを使用する増幅技術によって単離される(例えば、Dieffenfach他、PCR Primer:A Laboratory Manual(1995)を参照のこと)。これらのプライマーは、プローブを構成し得る全長のコード配列または部分配列のいずれか(これは長さがおよそ数千ヌクレオチドまでに及ぶ)を増幅するために使用することができる。得られるプローブ配列は、その後、目的とする全長の核酸について哺乳動物ライブラリーをスクリーニングするために使用される。合成オリゴヌクレオチドプライマーの使用およびRNAテンプレートまたはDNAテンプレートの増幅が、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innis他編、1990)に記載される。PCRおよびリガーゼチェーン反応(LCR)などの方法を使用して、mRNAから、またはcDNAから、またはゲノムライブラリーもしくはcDNAライブラリーから直接、ドメインの核酸配列を増幅することができる。縮重オリゴヌクレオチドを、ドメインをコードする既知の配列を使用してドメインホモログを増幅するために設計することができる。制限エンドヌクレアーゼ部位をプライマーに組み込むことができる。PCR反応によって増幅された遺伝子はアガロースゲルで精製され、適切なベクターにクローン化され得る。
発現クローニングでは、核酸が、発現したポリペプチドのエピトープについて特異的な抗体(または他の結合パートナー)をプローブとして使用して発現ライブラリーから単離される。ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体(mAb)を、クローニング中のドメインの1つまたは複数のペプチドフラグメントを用いた免疫化によって惹起させることができる。
核酸プローブ(好ましくはオリゴヌクレオチド)は、目的とするポリペプチドメインをコードする遺伝子の多型変化体または対立遺伝子を単離するために、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のもとで使用され、ライブリラリーがスクリーニングされる。あるいは、抗体に基づく発現クローニングは多型変化体もしくは対立遺伝子変化体または種間ホモログのクローニングを可能にする。
cDNAライブラリーのための供給源の選択、およびmRNAからのその作製が、従来の方法(Gubler他、Gene、25:263〜269(1983);Sambrook他、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(第2版、1989);Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel他編、1994または最新版)を使用して行われる。
ゲノムDNAライブラリーを調製するための方法はこの分野では通常的である。例えば、組織から抽出されたDNAが、勾配遠心分離によって分離され、適切な発現ベクターに挿入される約12kb〜20kbのフラグメントを得るために機械的に剪断され得るか、または酵素的に消化され得る。これらのベクターはインビトロでファージにパッキングされる。組換えファージがプラークハイブリダイゼーションによって分析される(Benton他、Science、196:180〜182(1977))。コロニーハイブリダイゼーションが、例えば、Grunstein他(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、72:3961〜3965(1975))によって一般的に記載されるように行われる。
合成オリゴヌクレオチドを使用して、プローブとして使用されるための組換え「遺伝子」を構築することができ、または、ドメインポリペプチドを発現させるための組換え「遺伝子」を構築することができる。
様々なオリゴヌクレオチドを、自動された合成機(Van Devanter他、Nucleic Acids Res.、12:6159〜6168(1984))を使用する固相ホスホルアミダイトトリエステル法(Beaucage他、Tetrahedron Letts.、22:1859〜1862(1981))を使用して化学合成することができる。オリゴヌクレオチドの精製は、典型的には、非変性アクリルアミドゲル電気泳動またはアニオン交換HPLCによる(Pearson他、J.Chrom.、255:137〜149(1983))。
クローン化された遺伝子および合成オリゴヌクレオチドの配列は、遺伝子のセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方を表す、長さが通常的には40bp〜120bpの一連の重複するオリゴヌクレオチドを使用する鎖停止反応(Wallace他、Gene、16:21〜26(1981))などの従来の方法を使用して確認することができる。
所望されるポリペプチドをコードする核酸は、典型的には、核酸の複製および/または発現のための原核生物細胞または真核生物細胞の形質転換またはトランスフェクションの前に中間ベクターにクローン化される。これらの中間ベクター(例えば、プラスミドまたはシャトルベクター)は、典型的には、原核生物細胞における使用のためのものである。
(多量体タンパク質を発現させるための発現システム)
細菌、昆虫、哺乳動物および植物における数多くの広く知られている異種発現システムが上記で議論されたが、それぞれがその長所および短所を有している。本発明は植物発現に特に適する。
数多くの形質転換方法により、植物における異種タンパク質の発現が可能となっている。いくつかは、目的とするタンパク質をコードするDNA配列を植物ゲノムに組み込むことによる遺伝子組換え植物の構築を伴う。遺伝子組換え植物を得るために要する時間は、腫瘍ワクチンポリペプチドなどの特定の実施形態では、迅速な製造のためには長すぎる場合がある。注目される解決策(そのような安定な形質転換に対する代替策)は、発現ベクターを用いた植物の一過性トランスフェクションである。そのような一過性発現を可能にするウイルスベクターおよび非ウイルスベクターの両方を利用することができる(Kumagai,M.H.他(1993)、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、90:427〜430;Shivprasad,S.他(1999)、Virology、255:312〜323;Turpen,T.H.他(1995)、BioTechnology、13:53〜57;Pietrzak,M.他(1986)、Nucleic Acid Re.、14:5857〜5868;Hooykaas,P.J.J.およびSchilperoort,R.A.(1992)、Plant Mol.Biol.19:15〜38)。だが、ウイルスベクターの方が、宿主細胞に導入し、感染により拡大して、発現を増幅するために容易であり、従って好ましい。
本発明のキメラな遺伝子、ベクターおよび組換えウイルス核酸は、分子生物学の従来の技術を使用して構築される。異種タンパク質を植物において発現させるウイルスベクターは、好ましくは、(1)ウイルスの天然型サブゲノムプロモーター(Dawson,W.O.他(1988)、Phytopathology、78:783〜789;および、French,R.他(1986)、Science、231:1294〜1297)、(2)好ましくは、ウイルスの1つまたは複数の非天然型サブゲノムプロモーター(Donson,J.他(1991)、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、88:7204〜7208;および、Kumagai,M.H.他(1993)、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、90:427〜430)、(3)ウイルスコートタンパク質(天然型または非天然型)をコードする配列、および(4)所望される異種タンパク質をコードする核酸を含む。非天然型サブゲノムプロモーターのみを含むベクターもまた使用することができる。本発明のベクターのための最小限の必要条件は、天然型または非天然型のサブゲノムプロモーターにより駆動される、レプリカーゼ遺伝子と、発現されることになるコード配列との組合せである。ウイルスレプリカーゼはウイルスのゲノムから発現され、染色体外で複製するために要求される。サブゲノムプロモーターは、外来または異種のコード配列および任意の他の遺伝子(例えば、ウイルスの複製を促進させるウイルスタンパク質、移動のために要求されるタンパク質、カプシドタンパク質などをコードする遺伝子など)の発現を可能にする。ウイルスベクターは、コードされるウイルスコートタンパク質によってカプシド化され、組換え植物ウイルスを生じさせる。この組換えウイルスは、適切な宿主植物に感染させるために使用される。従って、組換えウイルス核酸は、宿主植物において複製し、全身に拡がり、そしてRNA合成およびタンパク質合成を行わせて、所望される異種タンパク質を植物において生じさせることができる。また、組換えベクターは、非ウイルスの異種コード配列および制御エレメントを、このコード配列の所望される発現のために十分な期間にわたって維持する。
組換えウイルス核酸は任意の好適な植物ウイルスの核酸から調製される。だが、トバモウイルス科のメンバーが好ましい。天然型のウイルスヌクレオチド配列は、ウイルス核酸の必要な生物学的機能(複製、転写など)が保存されるならば、知られている技術によって改変され得る。記されたように、1つまたは複数のサブゲノムプロモーターを挿入することができる。これらは、感染またはトランスフェクションされた植物宿主における隣接する異種コード配列の発現を調節することができる。天然型のウイルスコートタンパク質はこのようなRNAによってコードされ得るか、または、このコートタンパク質配列は欠失され、異なる植物ウイルスのコートタンパク質をコードする配列(「非天然型」または「外来ウイルス」)によって置換され得る。外来ウイルスコートタンパク質遺伝子は天然型または非天然型のいずれかのサブゲノムプロモーターの制御下に置くことができる。外来ウイルスコートタンパク質は、機能的な感染性のビリオンを生じさせるために、組換えウイルス核酸をカプシド化することができなければならない。好ましい実施形態において、コートタンパク質は、天然型ウイルスプロモーターまたは非天然型サブゲノムプロモーターのいずれかに隣接して設置されている核酸配列によってコードされる外来ウイルスコートタンパク質である。好ましくは、異種タンパク質(例えば、植物において発解される免疫原性ポリペプチド)をコードする核酸は天然型サブゲノムプロモーターの制御下に置かれる。
異種タンパク質の適正な折り畳みおよび多量の産生に部分的に関わる本発明の重要な要素は、新しく合成されたタンパク質を植物の分泌経路に向かわせるシグナルペプチド配列の存在である。シグナルペプチドをコードする配列は、発現されるポリペプチドをコードするDNAと読み枠を一致させて融合される。好ましいシグナルペプチドはα−アミラーゼのシグナルペプチドである。
別の実施形態において、移動タンパク質をコードする配列もまた、移動タンパク質は植物におけるウイルスの細胞から細胞への迅速な移動を促進し、植物全体の全身感染を促進させるので、ウイルスベクターに組み込むことができる。
RNA植物ウイルスまたはDNA植物ウイルスはどちらも、発現ベクターとしての使用について好適である。そのDNAまたはRNAは一本鎖または二本鎖であり得る。一本鎖RNAウイルスは、好ましくは、プラス鎖を有し得る。だが、マイナス鎖RNAウイルスもまた意図される。
組換えウイルス核酸は、適切な産生細胞におけるクローニングによって調製される。従来のクローニング技術(DNAおよびRNAの両方について)が広く知られている。例えば、DNAウイルスの場合、産生細胞と適合し得る複製起点をウイルスDNAにつなぎ合わせることができる。
RNAウイルスの場合、ウイルスゲノムの全長のDNAコピーが最初に従来の手法によって調製される:例えば、ウイルスRNAを逆転写して、+サブゲノムDNA片を形成させ、これは、DNAポリメラーゼを使用して二本鎖にされる。このDNAが適切なベクターにクローン化され、産生細胞に挿入される。DNA片はマッピングされ、ウイルスゲノムの全長DNAコピーを作製するために適切な順序で組み合わせられる。サブゲノムプロモーター配列(DNA)が、コートタンパク質遺伝子を伴って、または伴うことなく、本明細書中に記載されるように、ウイルス核酸の非必須部位に挿入される。非必須部位は、ウイルス核酸または組み立てられた植物ビリオンの生物学的性質に影響を及ぼさない部位である。ウイルスRNAに対して相補的なcDNAが好適なプロモーターの制御下に置かれ、その結果、(組換え)ウイルスDNAが産生細胞において産生される。RNAが感染性のためにキャップ化されなければならない場合、これは従来の技術によって行われる。
好適なプロモーターの例には、lacプロモーター、lacuv5プロモーター、trpプロモーター、tacプロモーター、lp1プロモーターおよびompFプロモーターが含まれる。好ましいプロモーターはファージのSP6プロモーターまたはTRNAポリメラーゼのプロモーターである。
産生細胞は原核生物系または真核生物系であり得る。これらには、大腸菌細胞、酵母細胞、植物細胞および哺乳動物細胞が含まれる。
数多くの植物ウイルスベクターを利用することができ、これらはこの分野では広く知られている(Grierson,D.他(1984)、Plant Molecular Biology、Blackie、London、126頁〜146頁;Gluzman,Y.他(1988)、Communications in Molecular Biology:Viral Vectors、Cold Spring Harbor Laboratory、New York、172頁〜189頁)。ウイルスベクターおよびその制御エレメントは、自明のことではあるが、感染させられる植物宿主との適合性を有しなければならない。好適なウイルスには、
(a)タバコモザイクウイルス(TMV)群に由来するウイルス、例えば、TMV、タバコマイルドグリーンモザイクウイルス(TMGMV)、カウピーモザイクウイルス(CMV)、アルファルファモザイクウイルス(AMV)、キュウリ緑斑モザイクウイルス−スイカ株(CGMMV−W)、オートモザイクウイルス(OMV)など、
(b)ブロムモザイクウイルス(BMV)群に由来するウイルス、例えば、BMV、ブロードビーン斑点ウイルスおよびカウピークロロティックモットルウイルスなど、
(c)他のウイルス、例えば、イネ壊死ウイルス(RNV)、ジェミニウイルス科(例えば、トマトゴールデンモザイクウイルス(TGMV)、キャッサバ潜在ウイルス(CLV)およびトウモロコシ条斑ウイルス(MSV)など)など
がある。
好ましい宿主はニコチアナ・ベンタミアナ(Nicotiana benthamiana)である。宿主植物は、この用語が本明細書中で使用される場合、完全な植物、植物細胞、葉、根シュート、花または任意の他の植物部分であり得る。植物または植物細胞は、従来の方法を使用して成長させられる。
N.benthamianaとともに使用される好ましいウイルスベクターは、TMVおよびトマトモザイクウイルス(ToMV)のハイブリッド融合体を含有する改変されたTTO1Aベクターである(Kumagai,MH.他(1995)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92:1679〜1683)。挿入されているサブゲノムプロモーターはTMV核酸と適合しなければならなず、かつ、感染させた植物における適正に配置された(例えば、隣接する)核酸配列の転写を行わせることができなければならない。コートタンパク質は、ウイルスが植物宿主に全身感染することを可能にしなければなならない。TMVのコートタンパク質はN.benthamianaの全身感染を促進させる。
組換えウイルスベクターを用いた植物の感染は、感染を促進させるために知られている数多くの従来の技術を使用して達成される。これらには、葉摩擦、溶液中での摩擦、および高粘度水噴霧が含まれるが、これらに限定されない。ウイルスベクターは、手によって、機械によって、または1枚ずつの葉の高圧噴霧によって送達され得る。
タンパク質/ポリペプチド産物の精製
産生された多量体タンパク質は、好ましくは、標準的な技術を使用して回収され、単離される。好適な方法には、植物または産生する植物部分を液体窒素においてホモジネートまたは粉砕し、その後、タンパク質を抽出することが含まれる。何らかの理由のために、植物材料をホモジネートすることが望ましくない場合、ポリペプチドは、真空浸潤および遠心分離、それに続く無菌ろ過によって取り出すことができる。タンパク質収量は任意の受容可能な技術によって推定することができる。ポリペプチドは、サイズ、等電点または他の物理的性質に従って精製される。分泌されたタンパク質の全量を植物材料から単離した後、さらなる精製工程を行うことができる。所望されるポリペプチドのエピトープについて特異的な抗体を用いた免疫学的方法(例えば、免疫沈殿、または、好ましくは、アフィニティークロマトグラフィーなど)を使用することができる。
様々な固体担体を本発明において使用することができる:アガロース(登録商標)、セファデックス(登録商標)、セルロースの誘導体または他のポリマー。例えば、セファロース(登録商標)に固定化されたブドウ球菌プロテインA(またはプロテインL)を使用して、標的タンパク質を、タンパク質を溶液中で特異的な抗体と最初にインキュベーションし、混合物を、抗体−標的タンパク質の複合体と結合し、この複合体を保持する固定化プロテインAと接触させることによって単離することができる。
前記の方法または他の広く知られている方法のいずれかを使用して、ポリペプチドは、植物材料から、約50%を超える純度に、より好ましくは約75%を超える純度に、さらにより好ましくは約95%を超える純度に精製される。
(正しい折り畳みの決定)
抗原認識またはリガンド結合などの特定の性質については、溶液中におけるタンパク質の立体配座が非常に重要である。溶液中における多量体タンパク質の関連したドメインの立体配座は、好ましくは、天然タンパク質(1つまたは複数)の立体配座に類似する。ポリペプチドを植物において産生させ、ポリペプチドを植物の分泌経路に標的化することによって、本発明は、ポリペプチドが可溶性の形態で分泌されることを保証する。
適正な折り畳みを決定する際に使用される好ましい試薬は、(1)鎖が正しく折り畳まれたとき、多量体タンパク質が結合し、しかし(2)鎖が変性しているときには結合しない特異的なリガンド(好ましくは抗原)である。抗原が、ドットブロット、ウエスタンブロット、免疫沈殿、放射免疫アッセイ(RIA)および酵素免疫アッセイ(EIA)(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)など)を含む数多くの免疫学的アッセイのいずれかにおいて用いられる。好ましい実施形態において、そのような抗原が利用できるときには、ウエスタンブロットおよびELISAが、植物において産生された多量体ポリペプチドの関連した部分の正しい折り畳みを確認するために用いられる。
(多量体タンパク質のさらなる分析)
プロタンパク質をコードするDNAは配列決定することができ、そのコードされる生成物の推定アミノ酸配列を得ることができる。DNA分子がサブクローン化されている場合、そのDNA分子を、制限酵素を用いてベクターから切り出すことができ、得られたフラグメントを、フラグメントのサイズを決定するためにアガロースゲルで分析することができる。
プロタンパク質をコードするDNA分子が最初に発現される。所望される場合、DNAは、適切な宿主またはインビトロ転写/翻訳システムにおける発現を可能にするか、または最適化する配列を含むためにさらに改変することができる。発現されると、多量体ポリペプチドは適切な機能的アッセイ(例えば、(いずれかのドメインの)酵素活性の測定)に供される。また、多量体ポリペプチドの量および物理的性質を、例えば、SDS−PAGEによって測定することができる。ドメインが、上記で記載されているように結合活性または他の機能を有する場合、これもまた、従来の手段によって測定することができる。
プロペプチド活性を計画的に、また、選択的なプロセスによって改善するための他の方法が考えられる。
これまで本発明が一般的に記載されてきたが、本発明は、例示として提供され、かつ、特定されない限り、本発明の限定であることが意図されない下記の実施例を参照することによってより容易に理解される。
下記の実施例は、限定としてではなく、例示としてのみ提供される。当業者は、本質的に類似する結果を得るために変化または改変され得る様々な非臨界的パラメーターを容易に認識する。
(実施例1)
(UmV KP6プロペプチドのクローニング)
アミノ酸106〜138を含有するUmV KP6プロペプチド領域をウイルス発現のためにコドン最適化し、重複する合成オリゴヌクレオチドを使用して組み立てた。3つの重複するオリゴヌクレオチド(1つの上流側KP6−5’(配列番号33)、ならびに2つの下流側のKP6−c3’(配列番号34)およびKp6−3’(配列番号35))を、各トリプレットコドンについて3番目またはゆらぎの位置に優先的にアデノシンまたはチミジンを有するように設計した。100μLのPCR反応液は、0.2μMのKP6−5’、0.2μMのKP6−c3’、0.2μMのKp6−3’、1Xのクローン化Pfu緩衝液、0.1mMのdATP、0.1mMのdCTP、0.1mMのdGTP、0.1mMのdTTP、1.25ユニットのクローン化Pfuポリメラーゼ酵素を含有した。PCR反応液は、94℃で30秒間、その後、94℃で10秒間、48℃で15秒間、72℃で15秒間からなる25サイクル、そして72℃で7分、増幅された。上記反応から得られた生成物は、続いて、5’末端におけるジグリシンスペーサーと、KP6毒素のアミノ酸139〜141と、合成KP6プロペプチド配列の3’末端に対するグリシンスペーサーとからなるコード配列を含む隣接するプライマーを用いて増幅された。100μLのPCR反応液は、1μMの5228(配列番号36)、1μMの5229(配列番号37)、0.75Xクローン化Pfu緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1.25ユニットのクローン化Pfuポリメラーゼ、25μLの上記PCR反応液、および、反応液を100μLにするための水を含有した。PCR反応液は、94℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間からなる25サイクル、そして72℃で7分、増幅された。所望される約120pのKP6プロペプチドコード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。上記反応から得られたPCRフラグメントを製造者の説明書に従ってpCR4Blunt−TOPO(Invitrogen)にクローン化して、プラスミドpLSBC1731(配列番号75)を作製した。簡単に記載すると、1μMのPCR産物、1μLのベクター、1μLの塩溶液および3μLの水を混合して、室温で5分間インキュベーションした。連結液を氷上に置き、25μLの化学的にコンピテントなTop10細胞を連結液に加え、混合物を氷上で10分間インキュベーションした。形質転換反応液を、42℃で30秒間インキュベーションすることによって熱ショック処理して、直ちに氷上に置き、250μLのSOCを加えた。形質転換は、20分間の200rpmでの振とうを行いながら37℃でインキュベーションすることによって回復させられた。形質転換液を、アンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、100μg/mLのアンピシリンを含有する1.0mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、QIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製した。簡単に記載すると、細胞をプレート遠心分離機において3Krpmで15分間の遠心分離によってペレット化した。上清を細胞ペレットから捨て、細胞をボルテックス処理によって250μLのP1緩衝液に再懸濁した。250μLのP2を細胞に加え、倒置することによって混合し、5分間インキュベーションして細胞を溶解した。350μLのN3を細胞溶解物に加え、倒置することによって混合し、Turbo Filterプレートに移した。真空をTurbo Filterに加え、これにより、サンプルがQIAprepプレートの中にろ過された。その後、サンプルをプレートから抜きながら、真空をQIAprepプレートに加え、プラスミドをプレートのメンブランに結合させた。QIAprepプレートを、真空力を使用して0.9mLのPBで洗浄し、その後、0.9mLのPEで2回洗浄し、真空乾燥した。100μLのEB緩衝液を精製プラスミドに加え、1分間インキュベーションし、続いて6Krpmで3分間遠心分離して、精製プラスミドを溶出させた。精製されたpLSBC1731(配列番号75)プラスミドは、KP6プロペプチド配列を確認するために、標準的な方法を使用する核酸配列決定に供された。
(実施例2)
(ヒトFabプレプロタンパク質ライブラリーのクローニングおよび発現分析)
長いポリA領域を含有する配列について濃縮されたメッセンジャーRNA(mRNA)を、Dynabeads Oligo(dT)25(Dynal、Oslo、ノルウエー)を使用してヒト脾臓の総RNA(Clontech、Palo Alto、CA)から単離した。RNAを4℃で15分間の15Krpmでの遠心分離によってペレット化し、上清を除き、1mLの70%エタノールを加えた。サンプルを、4℃で15分間、15Krpmで遠心分離して、上清を除き、ペレットを150μLのヌクレアーゼ非含有水(Ambion、Austin、TX)に再懸濁した。上記の調製された総RNAの5μgを65℃で2分インキュベーションし、直ちに氷上に3分間置き、その後、結合緩衝液(20mM Tris−HCl(pH7.5)、1.0M LiCl、2mM EDTA)中の20μLの磁石ビーズに加えた(この場合、ビーズは、50μLの結合緩衝液で洗浄することによって準備された)。RNAおよびビーズの混合物を、絶えず回転させながら5分間インキュベーションした。非結合物を含有する上清を除き、ビーズを100μLの洗浄緩衝液(10mM Tris−HCl(pH7.5)、0.15M LiCl、1mM EDTA)で洗浄し、その後、40μLのヌクレアーゼ非含有水を加えた。相補的DNA(cDNA)を60μLの反応液において合成した。反応液は、50mMのTris−HCl(pH8.3)、75mMのKCl、3mMのMgCl、10mMのDTT、2ユニットのRNasin(Promega、Madison、WI)、20ユニットのSuperscriptII(Invitrogen、Carlsbad、CA)、0.5mMのdATP、0.5mMのdCTP、0.5mMのdGTP、0.5mMのdTTP、および上記から得られたオリゴdT結合RNAを含有した。このcDNA反応液は、絶えず回転させながら42℃で60分間インキュベーションされた。別のPCR反応が、γVH3重鎖Fd(V−C1)領域、または、合成されたcDNAに由来するκリーダーを含むκ1軽鎖(V−C)を増幅するために下記のように設定された。100μLのPCR反応液は、MgClを伴う1XのTaq反応緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、10ユニットのTaqポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、CA)、1μMの上流側プライマー、1μMの下流側プライマー、および1μLの調製されたcDNAを含有した。κ1リーダーおよび軽鎖のcDNAを増幅するために、反応液は5230(配列番号29)上流側プライマーおよび5235下流側プライマーを含有した。5230上流側プライマーは、リーダー配列を含む16個の異なるκ1V遺伝子セグメントのうちのおよそ13個を増幅するために設計された。5230プライマーは、その後のクローニングのために、翻訳開始部位の上流側にPacI部位を含んだ。5235下流側プライマーはκCのORFの3’末端にアニーリングし、これにより終結コドンを除き、また、KP6プロペプチドコード配列の5’末端に融合されたジグリシンスペーサーに対するコード配列を含む。VH3重鎖γC1のcDNAを増幅するために、反応液は5236(配列番号32)上流側プライマーおよび5233(配列番号30)下流側プライマーを含有した。5236上流側プライマーは、リーダー配列を伴わない18個の異なるVH3V遺伝子セグメントのうちのおよそ14個を増幅するために設計された。5236プライマーは、KP6プロペプチドコード配列の3’末端に融合されたジグリシンスペーサーに対するコード配列を含む。5233下流側プライマーはγC1のORFの3’末端にアニーリングし、終結コドンと、その後のクローニングのための、ターミネーターの下流側におけるNotI部位とを含む。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間からなる25サイクル、そして72℃で7分、増幅された。所望される約700bpのκ軽鎖および約700bpのγFd領域の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。
pLSBC1731のKP6配列を、FabのクローニングのためにPCR増幅した。100μLのPCR反応液は、1μMの5228、1μMの5229、1Xクローン化Pfu緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、5ユニットのクローン化Pfuポリメラーゼ、および1μLのpLSBC1731プラスミドを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間からなる25サイクル、そして72℃で7分、増幅された。所望される約120bpのKP6プロペプチドコード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。Fabプレプロタンパク質を組み立てるために、KP6のPCRフラグメントを配列重複伸張(SOE)によって重鎖Fdフラグメントに融合した。70μLのPCR反応液は、上記から得られたpLSBC1731 PCR産物の0.01μL、上記から得られたPCR増幅されたヒトVH3重鎖Fd(V−C1)領域の1μL、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.29mMのdATP、0.29mMのdCTP、0.29mMのdGTP、0.29mMのdTTP、2.6ユニットのExpand High Fidelity酵素を含有した。PCR反応液は、97℃で30秒間、その後、94℃で30秒間、50℃で1分間、72℃で1分間からなる4サイクルで増幅された。4サイクルの後、10μLの10μMの5228上流側プライマー、10μLの10μMの5609(配列番号38)下流側プライマー、3μLの10XのExpand緩衝液、および7μLの水がPCR反応液を加えて、PCR反応液を、94℃で30秒間、72℃で1分間からなる25サイクルでサイクル処理し、その後、72℃で5分、処理した。所望される約0.8KbのKP6コード配列およびFdコード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。0.8KbのPCR増幅フラグメントを、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1.5%アガロースゲルで電気泳動した。フラグメントをゲルから切り出し、QIAquickゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロース片から精製した。簡単に記載すると、900μLのQG緩衝液をゲルフラグメントに加え、混合物を、時々撹拌しながら65℃で10分間インキュベーションした。溶解させたゲル片をQIAquickカラムに加え、14Krpmで1分間遠心分離した。カラムを750μLのPEで洗浄し、精製フラグメントを50μLのEBにおいて溶出させた。Fabを組み立てるために、上記から得られたKP6−重鎖FdのPCRフラグメントを、上記から得られた5230−5235(配列番号31)プライマー増幅のκリーダー−軽鎖にSOEによって融合した。80μLのPCR反応液は、0.1μLのKP6−重鎖FdのPCRフラグメント、1μLのPCR増幅されたκリーダー−軽鎖、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.25mMのdATP、0.25mMのdCTP、0.25mMのdGTP、0.25mMのdTTP、2.6ユニットのExpand High Fidelity酵素を含有した。PCR反応液は、94℃で2分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間からなる10サイクル、そして最後に72℃で5分間、増幅された。10サイクルの後、8μLの10μMの5230上流側プライマー、8μLの10μMの5609下流側プライマー、および2μLの10XのExpand緩衝液をPCR反応液に加えて、PCR反応液を、94℃で5分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1.5分間からなる25サイクルでサイクル処理し、その後、72℃で7分、処理した。所望される約1.5KbのFabプレプロタンパク質コード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。PCR産物を、QIAquick PCR精製キットを製造者の説明書に従って使用して、その後のクローニングのために精製した。簡単に記載すると、PCR反応液をQIAquickスピンカラムに加え、14Krpmで1分間遠心分離し、500μLのPBで洗浄し、750μLのPEで2回洗浄して、スピン乾燥した。精製されたPCR産物を、50μLのEBを用いて溶出した。精製された1.5KbのPCR産物を、PacIおよびNotIを用いた制限エンドヌクレアーゼ消化に供して、クローニングのための付着性末端を生じさせた。200μLの制限消化液は、50μLの上記の精製されたPCR産物、100ユニットのPacI、100ユニットのNotI、100μg/mLのBSA、50mMのNaCl、10mMのTris−HCl(pH7.9)、10mMのMgCl、1mMのDTTを含有した。反応液は37℃で2時間インキュベーションされ、続いて、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1.5%アガロースゲルで電気泳動された。PacIおよびNotIによる1.5Kbの消化フラグメントをゲルから切り出し、QIAquickゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロース片から精製した。簡単に記載すると、600μLのQG緩衝液をゲルフラグメントに加え、混合物を、時々撹拌しながら65℃で10分間インキュベーションした。溶解させたゲル片をQIAquickカラムに加え、14Krpmで1分間遠心分離した。カラムを750μLのPEで2回洗浄し、乾燥して、精製フラグメントを50μLのEBにおいて溶出させた。約1.5Kbの精製されたフラグメントの存在がゲル電気泳動によって確認された。
p5PNCAPプラスミドを、PacIおよびNotIを用いた制限エンドヌクレアーゼ消化に供して、クローニングのための付着性末端を生じさせた。200μLの制限消化液は、2.5μgのp5PNCAPプラスミドDNA、50ユニットのPacI、50ユニットのNotI、100μg/mLのBSA、50mMのNaCl、10mMのTris−HCl(pH7.9)、10mMのMgCl、1mMのDTTを含有した。消化液を37℃で3.5時間インキュベーションし、その後、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて0.8%アガロースゲルで電気泳動して、約9.7Kbのフラグメントを0.6Kbのフラグメントから分離した。PacIおよびNotIによる9.7Kbの消化フラグメントを、外科用メスの刃を使用してゲルにおいて単離した。このフラグメントを、QIAquickゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロースから精製した。簡単に記載すると、1.32mLのQG緩衝液をゲルフラグメントに加え、混合物を、時々撹拌しながら65℃で10分間インキュベーションした。10μLの3M酢酸Naおよび220μLのイソプロパノールを溶解させたゲル片の半分に加え、その後、QIAquickカラムに加え、14Krpmで1分間遠心分離した。カラムを500μLのQBおよび750μLのPEで洗浄し、精製フラグメントを50μLのEBにおいて溶出させた。溶解させたゲル片の残り半分を上記と同じ様式で処理し、溶出物を一緒にした。約9.7Kbの精製されたフラグメントの存在がゲル電気泳動によって確認された。
上記の調製された1.5Kbの、PacIおよびNotIで消化されたFabプレプロタンパク質フラグメントを、植物における発現のための調製されたベクターp5PNCAにクローン化して、クローンHuFab(配列番号87)を作製した。30μLの連結反応液は、PacIおよびNotIで調製されたp5PNCAの1μL、PacIおよびNotIで調製されたFabプレプロタンパク質フラグメントの5μL、800ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有した。反応液を16℃で一晩インキュベーションした。細菌の形質転換を、Gene Pulserエレクトロポレーター(BioRad、Hercules、CA)を製造者の推奨法に従って用いて行った。簡単に記載すると、40μLのエレクトロコンピテントなJM109細胞を2μLの連結液と混合して、冷却された0.2cmキュベットに移した。混合物に、2.5KV、200オーム、25μFDでパルスを与えた。パルス処理後、150μLのSOCを加え、細胞を、37℃で20分間、回復させた。細胞を、100μg/mLのアンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを選び、これを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、500μg/mLのアンピシリンを含有する1mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、QIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製した。簡単に記載すると、細胞をプレート遠心分離機において3Krpmで15分間の遠心分離によってペレット化した。上清を細胞ペレットから捨て、細胞をボルテックス処理によって250μLのP1緩衝液に再懸濁した。250μLのP2を細胞に加え、倒置することによって混合し、5分間インキュベーションして細胞を溶解した。350μLのN3を細胞溶解物に加え、倒置することによって混合し、Turbo Filterプレートに移した。真空をTurbo Filterに加え、これにより、サンプルがQIAprepプレートの中にろ過された。その後、サンプルをプレートから抜きながら、真空をQIAプレートに加え、プラスミドをプレートのメンブランに結合させた。QIAprepプレートを、真空力を使用して0.9mLのPBで洗浄し、その後、0.9mLのPEで2回洗浄し、真空乾燥した。100μLのEB緩衝液を精製プラスミドに加え、1分間インキュベーションし、続いて6Krpmで3分間遠心分離して、精製プラスミドを溶出した。クローンは、1.5Kbのインサートフラグメントおよび9.7Kbのベクターフラグメントを含有することが、PacIおよびNotIを用いた制限酵素マッピング、その後のアガロースゲル電気泳動によって確認された。ヒトFabプレプロタンパク質は、適正な組立てを確認し、かつ、可変領域および定常領域の配列を同定するために、標準的な方法を使用して配列決定された。
感染性の転写物を、mMessage mMachine T7キット(Ambion、Austin、TX)を製造者の説明書に従って使用してそれぞれのクローンからインビトロで合成した。簡単に記載すると、1μLの10X反応緩衝液、2.5μLの2X NTP/CAPミックス、1μLの酵素ミックス、および3.5μLのプラスミドを含有する5.5μLの反応液を37℃で2時間インキュベーションした。合成された転写物を、0.1MのNaHPO−NaHPO(pH7.0)、0.5mg/mLの精製U1コートタンパク質(LSBC、Vacaville、CA)を含有する40μLの反応液においてカプシド化した。反応液は室温で一晩インキュベーションされた。40μLのFES(0.1Mのグリシン、60mMのKHPO、22mMのNa、10g/Lのベントナイト、10g/Lのセライト545)をそれぞれのカプシド化された転写物に加えた。それぞれの個々のクローンから得られたカプシド化転写物を使用して、植え付け後20日目のニコチアナ・ベンタミアナ植物に接種した(Dawson,WO他(1986)、Proc.Natl.Acad Sci.USA、83:1832〜1836)。高レベルのサブゲノムRNA種がウイルス感染植物細胞において合成された(Kumagai,MH.他(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:427〜430)。これは、Fabタンパク質の翻訳および続く蓄積のためのテンプレートとして使用される。
接種後12日目に、個々の植物に由来する全身感染した上部の葉を集めた。分泌タンパク質の画分、すなわち、間質液(IF)を抽出し、組換えタンパク質の存在について分析した。葉組織をGF/Bの0.8mL Unifilter(Whatman、Clifton、NJ)に入れ、20mMのTris−HCl(pH7.0)で覆い、760mmHgの真空に30秒間にわたって供した。真空を解き、そして、組織に緩衝液を完全に浸潤させるために3回、真空を再び加えた。残留する緩衝液を捨て、組織をプレート遠心分離機における400rpmで10秒間の遠心分離によって乾燥させた。IF画分が、プレート遠心分離機における3Krpmで10分間の遠心分離によって96ウエルマイクロプレートに回収される。30μLの各IFサンプルを、還元性ゲルについては10%の2−メルカプトエタノールを含有し、非還元性ゲルについては2−メルカプトエタノールを含有しない5μLの5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製して、混合物を2分間、煮沸した。サンプルは15%Criterionゲル(Bio−Rad)で分離され、タンパク質をクーマシーR−250ブリリアントブルー染色によって検出した。約25KDaにおける還元性ゲルでのタンパク質結合は、所望される25KDa重鎖Fdおよび25KDa軽鎖の存在を示している。HuFab A9、HuFab D5およびHuFab H2(配列番号88)のサンプルにおいて見られるように、非還元条件のもとでの約50KDaにおける対応するタンパク質は、重鎖Fdおよびκ軽鎖からなる組み立てられたジスルフィド連結のFabヘテロダイマーの証拠である。サンプルは、重鎖Fdポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの存在を確認するためにウエスタンブロット分析に供された。IFサンプルを、10%の2−メルカプトエタノールを含有する1Xトリス−グリシンサンプル色素で1:10希釈した。10μLの各サンプルを2つの別個のNovex10−20%トリスグリシンゲルに負荷し、続いて、Xcell II Blot(Invitrogen、Carlsbad、CA)を製造者の説明書に従って使用してニトロセルロースメンブランに転写した。メンブランを、2.5%粉末スキムミルクおよび2.5%BSAを含有するTBSTにおいて一晩ブロッキング処理した。一方のメンブランを1:4000希釈のヤギ抗ヒトκ−HRP標識血清で室温において1時間プローブし、2枚目のメンブランを1:4000希釈のヤギ抗ヒトIgG−HRP標識血清(Southern Biotechnology、Birmingham、AL)で室温において1時間プローブした。ブロットをTBSTにおいて3回洗浄し、標識されたタンパク質を、ECL+plusウエスタンブロッティング検出システム(Amersham Biosciences、Buckinghamshire、英国)を用いて検出した。抗κ血清では、約25KDaのタンパク質が、HuFab A9、HuFab D5およびHuFab H2のサンプルにおいて検出され、対応する約25KDaのタンパク質が抗γ血清により検出された。このことは、重鎖Fdおよびκ軽鎖の両方が発現し、分泌されたことを示している。
(実施例3)
(9E10の重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子のクローニング)
マウスのハイブリドーマ株Myc1−9E10.2は、アミノ酸配列:EQKLISEEDL(G.I Evansら,Molec.Cell.Biol.5:3610−3616,1985)のヒトc−mycエピトープを認識するマウスモノクローナル抗体(IgG1)を発現する(G.I Evans他、Molec.Cell.Biol.、5:3610〜3616、1985)。細胞はATCC(CRL−1729)から得られ、標準的条件のもとで培養された。2x10個の培養細胞を遠心分離し、洗浄して、過剰な培養培地を除き、1%の2−メルカプトエタノールを含有する600μLのRLT緩衝液(Qiagen、Valencia、CA)を用いて溶解した。総RNAを、QIAshredderカラムおよびRNEASYカラムを製造者の説明書に従って使用して精製した。簡単に記載すると、細胞溶解物をQIAshredderカラムに加え、14Krpmで2分間、遠心分離機で遠心分離した。流出液を集め、等容量の70%エタノールで希釈した。混合物をRNeasyカラムに移し、すべてのサンプルがカラムを通過するまで、10Krpmで15秒間、遠心分離した。カラムに結合したRNAを700μLのRW1で洗浄し、その後、500μLのRPEで洗浄し、続いて乾燥した。精製されたRNAを、10Krpmで1分間の遠心分離によって50μLのRNASE非含有水において溶出させた。第1鎖cDNAを、5μLにおいて、SMART3’RACEキット(BD Biosciences Clontech、Palo Alto、CA)を1μLの3’CDSプライマーとともに使用して、0.8μgの総RNAから合成した。RNAとプライマーとの混合物を70℃に2分間加熱して、氷上にさらに2分間置いた。RNAとプライマーとの混合物を、1X第1鎖緩衝液、2mMのDTT、1mMのdATP、1mMのdCTP、1mMのdGTP、1mMのdTTP、および1μLのPowerscript逆転写酵素を含有する10μLにした。反応液を42℃で90分間インキュベーションし、その後、100μLのトリシン−EDTA緩衝液(10mMトリシン−KOH(pH8.5)、1mM EDTA)を加え、反応液を72℃に7分間加熱した。9E10のκ軽鎖を50Lの反応液においてPCR増幅した。反応液は、1XのAdvantage2PCR緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1XのAdvantage2ポリメラーゼミックス、2.5μLの調製されたcDNA、1XのUPM、および0.2μMの9E10kl5’(配列番号50)を含有した。9E10kl5’プライマーは、生殖系列配列のV−21C9.5KB’CLに由来するマウスκ軽鎖リーダー配列にアニーリングするように設計された。反応液は、94℃で5秒間、72℃で3分間で5回、その後、94℃で5秒間、70℃で10秒間、72℃で3分間の5回、そして、94℃で5秒間、67℃で10秒間、72℃で3分間の25サイクルでサイクル処理された。所望される約900bpフラグメントの増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。9E10の重鎖を50Lの反応液においてPCR増幅した。反応液は、1XのAdvantage2PCR緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1XのAdvantage2ポリメラーゼミックス、2.5μLの調製されたcDNA、1XのUPM、および0.4μMの9E10gfw5’(配列番号51)を含有した。9E10gfw5’プライマーは、生殖系列配列のh7183(Vh69.1)から同定されたマウス重鎖可変FR1配列にアニーリングするように設計された。反応液は、94℃で5秒間、70℃で3分間で5回、その後、94℃で5秒間、68℃で10秒間、72℃で3分間の5回、そして、94℃で5秒間、64℃で10秒間、72℃で3分間の25サイクルでサイクル処理された。所望される約1.6Kbフラグメントの増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。
上記から得られた調製されたPCRフラグメントを、製造者の説明書に従ってpCR4−TOPO(Invitrogen)にクローン化して、p9E10Hy−TOPO(配列番号77)およびp9E10Lt−TOPO(配列番号79)のプラスミドを作製した。簡単に記載すると、2μLのPCR産物、1μLのベクター、1μLの塩溶液、および1μLの水を混合して、室温で5分間インキュベーションした。連結液を氷上に置き、25μLの化学的にコンピテントなTop10細胞をそれぞれの連結液に加え、混合物を氷上で10分間インキュベーションした。形質転換反応液を、42℃で30秒間インキュベーションすることによって熱ショック処理して、直ちに氷上に置き、250μLのSOCを加えた。形質転換は、20分間の200rpmでの振とうを行いながら37℃でインキュベーションすることによって回復させられた。形質転換液を、アンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、100μg/mLのアンピシリンを含有する1.0mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、QIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製した。簡単に記載すると、細胞をプレート遠心分離機において3Krpmで15分間の遠心分離によってペレット化した。上清を細胞ペレットから捨て、細胞をボルテックス処理によって250μLのP1緩衝液に再懸濁した。250μLのP2を細胞に加え、倒置することによって混合し、5分間インキュベーションして細胞を溶解した。350μLのN3を細胞溶解物に加え、倒置することによって混合し、Turbo Filterプレートに移した。真空をTurbo Filterに加え、これにより、サンプルがQIAprepプレートの中にろ過された。その後、サンプルをプレートから抜きながら、真空をQIAprepプレートに加え、プラスミドをプレートのメンブランに結合させた。QIAprepプレートを、真空力を使用して0.9mLのPBで洗浄し、その後、0.9mLのPEで2回洗浄し、真空乾燥した。100μLのEB緩衝液を精製プラスミドに加え、1分間インキュベーションし、続いて6Krpmで3分間遠心分離して、精製プラスミドを溶出させた。p9E10Hy−TOPO(配列番号77)についての約1.2Kbのインサートの存在、およびp9E10Lt−TOPO(配列番号79)についての約700bpのインサートの存在が、EcoRI制限消化およびアガロースゲル電気泳動により確認された。精製されたp9E10Hy−TOPOプラスミドおよびp9E10Lt−TOPOプラスミドは、9E10の重鎖配列およびκ鎖配列を確認するために、標準的な方法を使用する核酸配列決定に供された。
(実施例4)
(9E10Fabプロタンパク質のクローニングおよび発現分析)
pLSBC1731のKP6配列を、FabのクローニングのためにPCR増幅した。100μLのPCR反応液は、1μMの5228、1μMの5229、1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelity、および1μLのpLSBC1731プラスミドを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間からなる25サイクル、そして72℃で7分、増幅された。所望される約120bpのKP6プロペプチドコード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。Fabプロタンパク質クローニングのために、9E10のκ軽鎖を、プライマー6056(配列番号41)およびプライマー2228を用いてp9E10Lt−TOPOから増幅し、9E10の重鎖Fd(V1)を、2225(配列番号39)および6055(配列番号40)を用いてp9E10Hy−TOPOから増幅した。それぞれのプライマーセットには、pLSBC1731のKP6プロペプチドコード配列の末端を5’末端または3’末端のいずれかにおいてコードするさらなる領域、ならびに、適切な発現ベクターへのクローニングのための制限部位(重鎖フラグメントの5’末端におけるSphIまたは軽鎖フラグメントの3’末端におけるAvrIIのいずれか)が含まれた。100μLのPCR反応液は、1μMの上流側、1μMの下流側、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelity、および1μLのプラスミドを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間からなる25サイクル、そして72℃で7分、増幅された。所望される約700bpのκ鎖コード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。軽鎖フラグメントを配列重複伸張(SOE)によってKP6のPCRフラグメントに融合した。80μLのPCR反応液は、上記から得られたpLSBC1731のPCR産物の0.5μL、上記から得られたPCR増幅された9E10κ軽鎖(V)領域の0.5μL、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelity酵素を含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間からなる25サイクル、そして72℃で5分、増幅された。25サイクルの後、10μMの5228上流側プライマーの9μL、10μMの2228下流側プライマーの9μLをPCR反応液に加えて、PCR反応液を、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間からなる25サイクルでサイクル処理し、その後、72℃で5分、処理した。所望される約0.8KbのKP6コード配列および軽鎖コード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。9E10Fabプロタンパク質を組み立てるために、上記から得られたKP6−軽鎖のPCRフラグメントを、上記から得られた増幅された9E10重鎖FdにSOEによって融合した。80μLのPCR反応液は、0.5μLのKP6−軽鎖のPCRフラグメント、0.5μLのPCR増幅された重鎖Fd、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelity酵素を含有した。PCR反応液は、97℃で2分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間からなる10サイクル、そして最後に72℃で5分間、処理された。10サイクルの後、10μMの2225上流側プライマーの9μL、10μMの2228下流側プライマーの9μLをPCR反応液に加えて、PCR反応液を、97℃で2分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1.5分間からなる10サイクル、その後、72℃で5分、サイクル処理した。所望される約1.5Kbの9E10Fabプロタンパク質コード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。PCR産物を、QIAquick PCR精製キットを製造者の説明書に従って使用して、その後のクローニングのために精製した。簡単に記載すると、PCR反応液をQIAquickスピンカラムに加え、14Krpmで1分間遠心分離し、500μLのPBで洗浄し、750μLのPEで2回洗浄して、スピン乾燥した。精製されたPCR産物を、50μLのEBを用いて溶出した。精製された1.5KbのPCR産物を、SphIおよびAvrIIを用いた制限エンドヌクレアーゼ消化に供して、クローニングのための付着性末端を生じさせた。50μLの制限消化液は、25μLの上記の精製されたPCR産物、8ユニットのSphI、8ユニットのAvrII、100μg/mLのBSA、50mMのNaCl、10mMのTris−HCl(pH7.9)、10mMのMgCl、1mMのDTTを含有した。反応液は37℃で2時間インキュベーションされ、続いて、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1%アガロースゲルで電気泳動された。SphIおよびAvrIIによる1.5Kbの消化フラグメントをゲルから切り出し、QIAquickゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロース片から精製した。簡単に記載すると、600μLのQG緩衝液をゲルフラグメントに加え、混合物を、時々撹拌しながら65℃で10分間インキュベーションした。溶解させたゲル片をQIAquickカラムに加え、14Krpmで1分間遠心分離した。カラムを750μLのPEで2回洗浄し、乾燥して、精製フラグメントを50μLのEBにおいて溶出させた。約1.5Kbの精製されたフラグメントの存在がゲル電気泳動によって確認された。
SphIおよびAvrIIによる1.5Kbの9E10Fabプロタンパク質を、SphIおよびAvrIIにより調製されたp1324−MBPプラスミドにクローン化して、pLSBC1736(配列番号85)を作製した。10μLの調製された9E10Fabプロタンパク質、0.4μgのp1324−MBP、1200ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する50μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。連結物を、3容量のエタノールおよび0.3容量の10M酢酸NHを用いて沈殿させ、遠心分離して、70%エタノールで洗浄した。ペレットを20μLの10mM Tris−HCL(pH8.0)に再懸濁した。細菌の形質転換を、Gene Pulserエレクトロポレーター(BioRad、Hercules、CA)を製造者の推奨法に従って用いて行った。簡単に記載すると、40μLのエレクトロコンピテントなJM109細胞を4μLの連結物と混合して、冷却された0.2cmキュベットに移した。混合物に、2.5KV、200オーム、25μFDでパルスを与えた。パルス処理後、120μLのSOCを加え、細胞を37℃で20分間回復させた。細胞を、100μg/mLのアンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを選び、これを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、400μg/mLのアンピシリンを含有する1mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたように、QIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製し、100μLのEB緩衝液において溶出させた。pLSBC1736(配列番号85)クローンは、1.5Kbのインサートフラグメントおよび9.7Kbのベクターフラグメントを含有することが、SphIおよびAvrIIを用いた制限酵素マッピング、その後のアガロースゲル電気泳動によって確認された。9E10Fabプロタンパク質は、配列を確認するために、標準的な方法を使用して配列決定された。
感染性の転写物を、mMessage mMachine T7キット(Ambion、Austin、TX)を製造者の説明書に従って使用してpLSBC1736クローンからインビトロで合成した。簡単に記載すると、1μLの10X反応緩衝液、2.5μLの2X NTP/CAPミックス、1μLの酵素ミックス、および3.5μLのプラスミドを含有する5.5μLの反応液を37℃で2時間インキュベーションした。合成された転写物を、0.1MのNaHPO−NaHPO(pH7.0)、0.5mg/mLの精製U1コートタンパク質(LSBC、Vacaville、CA)を含有する40μLの反応液においてカプシド化した。反応液は室温で一晩インキュベーションされた。20μLのFES(0.1Mのグリシン、60mMのKHPO、22mMのNa、10g/Lのベントナイト、10g/Lのセライト545)をそれぞれのカプシド化された転写物に加えた。それぞれの個々のクローンから得られたカプシド化転写物を使用して、植え付け後19日目のニコチアナ・ベンタミアナ植物に接種した(Dawson,WO他(1986)、Proc.Natl.Acad Sci.USA、83:1832〜1836)。高レベルのサブゲノムRNA種がウイルス感染植物細胞において合成された(Kumagai,MH.他(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:427〜430)。これは、Fabタンパク質の翻訳および続く蓄積のためのテンプレートとして使用される。
各植物の感染葉に由来する間質液を接種後8日目に集め、ELISAによってスクリーニングした。個々の植物に由来する全身感染した上部の葉を集めた。分泌タンパク質の画分、すなわち、間質液(IF)を抽出し、組換えタンパク質の存在について分析した。葉組織をGF/Bの0.8mL Unifilter(Whatman、Clifton、NJ)に入れ、20mMのTris−HCl(pH7.0)で覆い、760mmHgの真空に30秒間にわたって供した。真空を解き、そして、組織に緩衝液を完全に浸潤させるために3回、真空を再び加えた。残留する緩衝液を捨て、組織をプレート遠心分離機における400rpmで30秒間の遠心分離によって乾燥させた。IF画分が、プレート遠心分離機における3Krpmで10分間の遠心分離によって96ウエルマイクロプレートに回収される。
20μLの各IFサンプルを、還元性ゲルについては10%の2−メルカプトエタノールを含有し、非還元性ゲルについては2−メルカプトエタノールを含有しない5μLの5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製して、混合物を2分間、煮沸した。サンプルは10〜20%のグラジエントCriterionゲル(Bio−Rad)で分離され、タンパク質をクーマシーR−250ブリリアントブルー染色によって検出した。約25KDaにおける還元性ゲルでのタンパク質結合は、所望される25KDa重鎖Fdおよび25KDa軽鎖の存在を示している。非還元条件のもとでの約50KDaにおける対応するタンパク質は、重鎖Fdおよびκ軽鎖からなる組み立てられたジスルフィド連結のFabヘテロダイマーの証拠として認められた。
ウエスタン分析を行うために、20μLの還元サンプルおよび非還元サンプルが10〜20%のCriterionトリスグリシンゲルに負荷され、ニトロセルロースメンブランに転写された。メンブランを、2.5%粉末スキムミルクおよび2.5%BSAを含有するTBSTにおいて一晩ブロッキング処理した。一方のメンブランを1:3000希釈のヤギ抗マウスκ−HRP標識血清で室温において1時間プローブし、2枚目のメンブランを1:3000希釈のヤギ抗マウスIgG−HRP標識血清(Southern Biotechnology、Birmingham、AL)で室温において1時間プローブした。ブロットをTBSTにおいて3回洗浄し、標識されたタンパク質を、ECL+plusウエスタンブロッティング検出システム(Amersham Biosciences、Buckinghamshire、英国)を用いて検出した。抗κ血清では、約25KDaのタンパク質が還元サンプルについて検出され、約50KDaのバンドが非還元サンプルについて検出された。このことは、鎖間ジスルフィド架橋および組み立てられた9E10Fabの存在を示している。抗γ血清では、約25KDaのタンパク質が還元サンプルについて検出され、約50KDaのバンドが非還元サンプルについて検出された。このことは、鎖間ジスルフィド架橋および組み立てられた9E10Fabの存在を示している。
pLSBC1736由来の組換え抗体9E10Fabタンパク質が抗原c−mycを認識する能力がウエスタン分析によって確認された。ウエスタン分析では、myc標識のGFP(Invitrogen、Carlsbad、CA)がニトロセルロース紙に移され、pLSBC1736を感染させた植物から精製された粗製IF物でプローブされた。250ngのmyc標識GFPまたは30ngのGFPを1XのSDS/PAGE緩衝液に含有するサンプルを煮沸し、10〜20%のCriterionトリスグリシンゲルで泳動して、ニトロセルロースメンブランに転写した。メンブランを、2.5%粉末スキムミルクおよび2.5%BSAを含有するTBSTにおいて一晩ブロッキング処理した。メンブランを1:3000希釈のヤギ抗マウスκ−HRP標識血清(Southern Biotechnology、Birmingham、AL)で室温において1時間プローブした。ブロットをTBSTにおいて3回洗浄し、標識されたタンパク質を、ECL+plusウエスタンブロッティング検出システム(Amersham Biosciences、Buckinghamshire、英国)を用いて検出した。バンドが、53KDaの予想サイズに対応するmyc標識GFPを含有するレーンにおいて可視化された。非標識のGFPコントロールのレーンではタンパク質が検出されなかった。健康な植物から得られたIFでプローブされたレーンではバンドが可視化されなかった。9E10Fabを含有するpLSBC1736感染ニコチアナ・バンタミアナ植物から得られたIFを用いたmyc標識GFPタンパク質の特異的な認識は、ジスルフィド連結されたヘテロ多量体タンパク質の然るべき活性を明らかにしている。
(実施例5)
(9E10MABのクローニングおよび発現)
9E10モノクローナル抗体の人工プロタンパク質を、9E10のκ軽鎖をpLSBC1731のKP6プロペプチド領域(これは9E10のγ重鎖に融合されている)に融合することによって組み立てた。融合により、第1のドメイン(軽鎖)、第2のドメイン(プロペプチド)、および第3のドメイン(完全な重鎖配列)がもたらされる。9E10のκ軽鎖を、プラスミドp9E10Lt−TOPOから、上流側プライマー2230(配列番号4)および下流側プライマー6057を用いてPCR増幅した。9E10のγ重鎖を、プラスミドp9E10Hy−TOPOから、上流側プライマー6058(配列番号14)および下流側プライマー2227を用いてPCR増幅した。1μMの上流側、1μMの下流側、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelity、および1μLのプラスミドテンプレートを含有する別々の100μLのPCR反応液を、94℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間からなる30サイクル、そして72℃で7分の最後の工程で増幅した。
所望される約120bpのKP6プロペプチドコード配列、700bpの9E10κ軽鎖コード配列、および1.3Kbの9E10γ重鎖コード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。9E10MAbプロタンパク質を組み立てるために、増幅された9E10κ軽鎖、pLSBC1731のKP6のPCRフラグメント、および増幅された9E10γ重鎖を配列重複伸張(SOE)によって融合した。
0.1μLのpLSBC1731のPCRフラグメント、0.1μLのPCR増幅された9E10γ重鎖、0.1μLのPCR増幅された9E10κ軽鎖、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelity酵素を含有する25μLのPCR反応液を、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で2分間、72℃で90秒間からなる15サイクル、そして72℃で5分の最後の工程で増幅した。PCR反応液を、MinElute PCR精製キット(Qiagen)を製造者の説明書に従って使用して精製した。簡単に記載すると、5容量のPB緩衝液を反応液に加え、混合して、カラムに加え、14Krpmで1分間遠心分離した。カラムを750μLの緩衝液PEで洗浄して、精製フラグメントを10μLのEBにおいて溶出させた。5μLの精製されたPCR産物、50mMの酢酸カリウム、20mMのTris−酢酸(pH7.9)、1mMのDTT、10mMの酢酸マグネシウム、20ユニットのSphI、および8ユニットのAvrIIを含有する50μLの反応液を37℃で1時間インキュベーションして、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約2.3Kbの9E10MAbプロタンパク質コード配列を分離した。2.3KbのMAbプロタンパク質コード配列を、QIAquickゲル抽出キットを製造者の推奨法に従って使用して精製し、50μLのEB緩衝液を用いて溶出した。
9E10MAbプロタンパク質コードフラグメントの2.3Kbの、SphIおよびAvrIIによる消化フラグメントを、SphIおよびAvrIIにより調製されたpLSBC1324プラスミドに連結して、pLSBC1799(配列番号115)を作製した。SphIおよびAvrIIによる9E10MAbの調製されたPCRフラグメントの調製物の23μL、SphIおよびAvrIIによるpLSBC1324フラグメントの0.4μg、1200ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する30μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。連結反応液をエタノール沈殿し、ペレットを10μLの水に再懸濁し、2μLを使用して、エレクトロコンピテントなJM109を以前に記載されたように形質転換した。細胞を、50μg/mLのアンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを選び、これを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、500μg/mLのアンピシリンを含有する1mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたように、QIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製して、プラスミドを、100μLのEB緩衝液を用いて溶出した。クローンは、2.3Kbのインサートフラグメントおよび9.7Kbのベクターフラグメントを含有することが、SphIおよびAvrIIを用いた制限酵素マッピング、その後のアガロースゲル電気泳動によって確認された。9E10MAbプロタンパク質は、配列を確認するために、標準的な方法を使用して配列決定された。
(実施例6)
(S1C5の重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子のクローニング)
マウスのモノクローナル抗体S1C5は、マウスB細胞腫瘍38C13の表面免疫グロブリンのイディオトープを認識する(Maloney他、Hybridoma、4:191〜209、1985)。細胞は標準的条件のもとで培養された。重鎖遺伝子およびκ軽鎖遺伝子を、ハイブリドーマのmRNAから作製されたcDNAのPCR増幅によって単離した。簡単に記載すると、1x10個の培養細胞を遠心分離し、洗浄して、過剰な培養培地を除き、1%の2−メルカプトエタノールを含有する600μLのRLT緩衝液(Qiagen、Valencia、CA)を用いて溶解した。総RNAを、QIAshredderカラムおよびRNEASYカラムを製造者の説明書に従って使用して精製した。簡単に記載すると、細胞溶解物をQIAshredderカラムに加え、15Krpmで2分間、遠心分離機で遠心分離した。流出液を集め、等容量の70%エタノールで希釈した。混合物をRNeasyカラムに移し、すべてのサンプルがカラムを通過するまで、10Krpmで15秒間、遠心分離した。カラムに結合したRNAを700μLのRW1で洗浄し、その後、500μLのRPEで洗浄し、続いて乾燥した。精製されたRNAを、10Krpmで1分間の遠心分離によって50μLのRNASE非含有水において溶出させた。5μgの上記の調製された総RNAを70℃で2分間インキュベーションし、その後、結合緩衝液(20mM Tris−HCl(pH7.5)、1.0M LiCl、2mM EDTA)中の20μLの磁石ビーズに加えた(この場合、ビーズは、50μLの結合緩衝液で洗浄することによって準備された)。RNAおよびビーズの混合物を、絶えず回転させながら5分間インキュベーションした。非結合物を含有する上清を除き、ビーズを100μLの洗浄緩衝液(10mM Tris−HCl(pH7.5)、0.15M LiCl、1mM EDTA)で洗浄し、その後、40μLのヌクレアーゼ非含有水を加えた。相補的DNA(cDNA)を、60mMのTris−HCl(pH8.3)、90mMのKCl、4mMのMgCl、12mMのDTT、240ユニットのRNasin(Promega、Madison、WI)、2400ユニットのSuperscriptII(Invitrogen、Carlsbad、CA)、0.6mMのdATP、0.6mMのdCTP、0.6mMのdGTP、0.6mMのdTTP、および上記から得られたオリゴdT結合RNAを含有する100μLの反応液において合成した。反応液は、絶えず回転させながら42℃で90分間インキュベーションされた。上清を磁石ビーズから除いた。その後、ビーズを50ulの50mM酢酸カリウム/20mMトリス−酢酸(pH7.9)/1mM DTT/10mM酢酸マグネシウムで洗浄し、50mM酢酸カリウム、20mMトリス−酢酸(pH7.9)、1mMのDTT、10mM酢酸マグネシウム、2.5mMのCoCl、0.2mMのdGTP、および44ユニットのターミナルトランスフェラーゼ(New Englamd Biolabs)を含む220μLに再懸濁した。反応混合物を37℃で40分間インキュベーションした。
S1C5のκ軽鎖を、上流側プライマーC−アンカー(配列番号1)(これは、ポリGリーダーにアニーリングする)および下流側プライマー2228(配列番号5)(これはκ軽鎖定常部の3’末端にアニーリングし、その後のクローニングのためにAvrII部位を終結コドンの下流側に含む)を用いてPCR増幅した。100μLのPCR反応液は、1μMの上流側、1μMの下流側、1XのTaqポリメラーゼ緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、25ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(Stratagene)、および5μLの調製されたcDNAを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、50℃で1分間、72℃で1分間からなる30サイクル、そして72℃での最後の7分のインキュベーションで増幅された。PCR増幅産物は、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1%アガロースゲルで電気泳動された。0.7Kbのバンドを切り出し、以前に記載されたようにQIAquickゲル抽出キットを使用して精製し、50μLの溶出緩衝液を用いて溶出した。増幅されたS1C5κ軽鎖フラグメントを製造者の説明書に従ってpCR4−TOPO(Invitrogen)にクローン化して、プラスミドpLSBC1757を作製した。簡単に記載すると、1μLのPCR産物、1μLのベクター、1μLの塩溶液、および3μLの水を混合して、室温で5分間インキュベーションした。連結液を氷上に置き、25μLの化学的にコンピテントなTop10細胞を連結液に加え、混合物を氷上で10分間インキュベーションした。形質転換反応液を、42℃で30秒間インキュベーションすることによって熱ショック処理して、直ちに氷上に置き、250μLのSOCを加えた。形質転換は、20分間の200rpmでの振とうを行いながら37℃でインキュベーションすることによって回復させられた。形質転換液を、アンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、500μg/mLのアンピシリンを含有する1.0mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたようにQIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN)を使用して混濁培養物から精製した。クローンをEcoRIで消化し、0.7Kbのインサートバンドの存在についてスクリーニングした。精製されたpLSBC1757プラスミドは、標準的な方法を使用する核酸配列決定に供された。
S1C5の重鎖を、Wang他(J.of Imm.Methods、233:167〜177(2000))によって記載される縮重した上流側プライマーの5’MH1および5’MH2と、下流側プライマーの2227(配列番号3)(これはγ定常鎖の3’末端にアニーリングし、その後のクローニングのためにAvrII部位を終結コドンの下流側に含む)とを用いてPCR増幅した。100μLのPCR反応液は、0.5μMの5’MH1、0.5μMの5’MH2、1μMの2227、1XのTaq DNAポリメラーゼ緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、25ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(Stratagene)、および5μLの調製されたcDNAを含有した。PCR反応液は、97℃で3分間、その後、94℃で1分間、45℃で1分間、72℃で2分間からなる30サイクル、そして72℃での最後の10分のインキュベーションで増幅された。PCR増幅産物は、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1%アガロースゲルで電気泳動された。1.3Kbのバンドを切り出し、以前に記載されたようにQIAquickゲル抽出キットを使用して精製し、50μLの溶出緩衝液を用いて溶出した。増幅されたS1C5重鎖フラグメントを製造者の説明書に従ってpCR2.1−TOPO(Invitrogen)にクローン化して、プラスミドpLSBC2523(配列番号117)を作製した。簡単に記載すると、1μLのPCR産物、1μLのベクター、1μLの塩溶液、および3μLの水を混合して、室温で5分間インキュベーションした。連結液を氷上に置き、25μLの化学的にコンピテントなTop10細胞を連結液に加え、混合物を氷上で10分間インキュベーションした。形質転換反応液を、42℃で30秒間インキュベーションすることによって熱ショック処理して、直ちに氷上に置き、250μLのSOCを加えた。形質転換は、20分間の200rpmでの振とうを行いながら37℃でインキュベーションすることによって回復させられた。形質転換液を、アンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、500μg/mLのアンピシリンを含有する1.0mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたようにQIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN)を使用して混濁培養物から精製した。クローンをEcoRIで消化し、1.3Kbのインサートバンドの存在についてスクリーニングした。精製されたpLSBC2523プラスミドは、標準的な方法を使用する核酸配列決定に供された。
(pLSBC1786の構築)
pLSBC1731のKP6配列を、FabのクローニングのためにPCR増幅した。100μLのPCR反応液は、1μMの5228、1μMの5229、1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelity、および1μLのpLSBC1731プラスミドを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間からなる25サイクル、そして72℃で7分、増幅された。所望される約120bpのKP6プロペプチドコード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。
S1C5のκ軽鎖をプラスミドpLSBC1757(配列番号119)から増幅した。7659(配列番号7)上流側プライマーはS1C5のVのFR1領域にアニーリングし、ベクターpLSBC1767へのクローニングのために適合し得るNgoMIV部位を含有する。6057(配列番号6)下流側プライマーはκCのORFの3’末端にアニーリングし、終結コドンを除き、κCのORFをKP6プロペプチドコード領域の5’末端に読み枠を一致させて融合させる。S1C5の重鎖Fd(V1)領域を、Fabプロタンパク質のクローニングのために、プライマーの7660(配列番号8)および7662(配列番号9)を用いてプラスミドpLSBC2523から増幅した。7660上流側プライマーはS1C5のV領域の5’末端にアニーリングし、それをKP6プロペプチドコード領域の3’末端に読み枠を一致させて融合させる。7662下流側プライマーは、翻訳終結コドンと、その後に、その後のクローニングのためのAvrII部位とを含むC1ドメインの3’末端にアニーリングする。別個の100μLのPCR反応液は、1μMの上流側プライマー、1μMの下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelity、および1μLのプラスミドを含有した。PCR反応液は、94℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間からなる30サイクル、そして72℃で7分の最後の工程で増幅された。所望される約700bpのS1C5のκ軽鎖および700bpのS1C5のFd領域の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。S1C5Fabプロタンパク質を組み立てるために、増幅されたS1C5のκ軽鎖、pLSBC1731のKP6のPCRフラグメント、および増幅されたS1C5のFdフラグメントを配列重複伸張(SOE)によって融合した。25μLのPCR反応液は、0.1μLの上記から得られたpLSBC1731のPCR産物、0.1μLのPCR増幅されたS1C5のFd(VH1)領域、0.1μLのPCR増幅されたS1C5のκ軽鎖領域、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelity酵素を含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で2分間、72℃で90秒間からなる15サイクル、そして72℃で5分の最後の工程で増幅された。PCR増幅産物は、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1%アガロースゲルで電気泳動された。1.4Kbのバンドを切り出し、以前に記載されたようにQIAquickゲル抽出キットを使用して精製し、50μLの溶出緩衝液を用いて溶出した。増幅されたS1C5Fabプロタンパク質コード配列を製造者の説明書に従ってpCR4−TOPO(Invitrogen)にクローン化して、プラスミドpLSBC1786を作製した。簡単に記載すると、4μLのPCR産物、1μLのベクター、1μLの塩溶液、および2μLの水を混合して、室温で5分間インキュベーションした。連結液を使用して、以前に記載されたように、化学的にコンピテントなTop10細胞を形質転換した。形質転換液を、アンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、500μg/mLのアンピシリンを含有する1.0mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたようにQIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN)を使用して混濁培養物から精製した。クローンをAvrIIおよびNgoMIVで消化し、1.4Kbのインサートバンドの存在についてスクリーニングした。精製されたpLSBC1786プラスミドは、標準的な方法を使用する核酸配列決定に供された。
(pLSBC1792(配列番号121)の構築)
プラスミドpLSBC1786を、NgoMIVを用いた制限エンドヌクレアーゼ消化に供した。5μLのプラスミドDNA、50mMの酢酸カリウム、20mMのトリス−酢酸(pH7.9)、1mMのDTT、10mMの酢酸マグネシウム、20ユニットのNgoMIVを含有する50μの反応液を、37℃で2.5時間インキュベーションして、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約3.6KbのS1C5Fabプロタンパク質コード配列を分離した。3.6KbのFabプロタンパク質コード配列を、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を製造者の推奨法に従って使用して精製し、50μLのEB緩衝液を用いて溶出した。精製されたフラグメントは、AvrIIを用いた制限エンドヌクレアーゼ消化に供された。50μLの精製されたフラグメント、50mMのNaCl、100mMのTris−HCl(pH7.9)、10mMのMgCl、1mMのDTT、12ユニットのAvrIIを含有する60μの反応液を、37℃で35分間インキュベーションして、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約1.5KbのS1C5Fabプロタンパク質コード配列を分離した。1.5KbのFabプロタンパク質コード配列を、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を製造者の推奨法に従って使用して精製し、50μLのEB緩衝液を用いて溶出した。pLSBC1786の約1.5Kbの、NgoMIVおよびAvrIIでの精製フラグメントの存在がゲル電気泳動によって確認された。
pLSBC1786の1.5Kbの、NgoMIVおよびAvrIIによる消化フラグメントを、NgoMIVおよびAvrIIにより調製されたpLSBC1767プラスミドに連結して、pLSBC1792(配列番号121)を作製した。10μLの調製されたNgoMIVおよびAvrIIによるpLSBC1876フラグメント、0.4μgのNgoMIVおよびAvrIIによるpLSBC1767フラグメント、1200ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する50μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。DH5αコンピテント細胞(Invitrogen)を用いた細菌形質転換を製造者の推奨法に従って行った。細胞を、100μg/mLのアンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを選び、これを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、400μg/mLのアンピシリンを含有する1mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたように、QIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製し、100μLのEB緩衝液において溶出させた。pLSBC1792クローンは、2.7Kbのフラグメントを含有することが、KpnIを用いた制限酵素マッピングによって確認された。S1C5Fabプロタンパク質は、配列を確認するために、標準的な方法を使用して配列決定された。
(pLSBC1798の構築)
S1C5モノクローナル抗体の人工プロタンパク質を、pLSBC1757のS1C5κ軽鎖をpLSBC1731のKP6プロペプチド領域(これはpLSBC2523のS1C5γ重鎖に融合されている)に融合することによって組み立てた。この融合により、第1のドメイン(軽鎖)、第2のドメイン(プロペプチド)、および第3のドメイン(完全な重鎖配列)がもたらされ、pLSBC1798が作製される。S1C5のκ軽鎖を、プラスミドpLSBC1757から、上流側プライマー7659および下流側プライマー6057(配列番号6)を用いてPCR増幅した。S1C5のγ重鎖を、プラスミドpLSBC2523から、上流側プライマー7660および下流側プライマー2227を用いてPCR増幅した。1μMの上流側、1μMの下流側、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelity、および1μLのプラスミドテンプレートを含有する別々の100μLのPCR反応液を、94℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間からなる30サイクル、そして72℃で7分の最後の工程で増幅した。
所望される約120bpのKP6プロペプチドコード配列、700bpのS1C5のκ軽鎖コード配列、および1.3KbのS1C5のγ重鎖コード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。S1C5MAbプロタンパク質を組み立てるために、増幅されたS1C5のκ軽鎖鎖、1731のKP6のPCRフラグメント、および増幅されたS1C5のγ重鎖鎖を配列重複伸張(SOE)によって融合した。
0.1μLのpLSBC1731のPCRフラグメント、0.1μLのPCR増幅されたS1C5のγ重鎖、0.1μLのPCR増幅されたS1C5のκ軽鎖、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelity酵素を含有する25μLのPCR反応液を、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で2分間、72℃で90秒間からなる15サイクル、そして72℃の5分間の最後の工程で増幅した。PCR反応液を、MinElute PCR精製キット(Qiagen)を製造者の説明書に従って使用して精製した。簡単に記載すると、5容量のPB緩衝液を反応液に加え、混合して、カラムに加え、14Krpmで1分間遠心分離した。カラムを750μLの緩衝液PEで洗浄して、精製フラグメントを10μLのEBにおいて溶出させた。5μLの精製されたPCR産物、50mMの酢酸カリウム、20mMのTris−酢酸(pH7.9)、1mMのDTT、10mMの酢酸マグネシウム、20ユニットのNgoMIV、および8ユニットのAvrIIを含有する50μLの反応液を37℃で1時間インキュベーションして、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約2.3KbのS1C5MAbプロタンパク質コード配列を分離した。2.3KbのMAbプロタンパク質コード配列を、QIAquickゲル抽出キット(QIAGEN)を製造者の推奨法に従って使用して精製し、50μLのEB緩衝液を用いて溶出した。
S1C5MAbプロタンパク質コードフラグメントの2.3Kbの、NgoMIVおよびAvrIIによる消化フラグメントを、NgoMIVおよびAvrIIにより調製されたpLSBC1767プラスミドに連結して、pLSBC1798を作製した。SNgoMVIおよびAvrIIによるS1C5MAbの調製されたPCRフラグメントの調製物の23μL、NgoMVIおよびAvrIIによるpLSBC1767フラグメントの0.4μg、1200ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する30μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。連結反応液をエタノール沈殿し、ペレットを10μLの水に再懸濁して、2μLを使用して、以前に記載されたように、エレクトロコンピテントなJM109を形質転換した。細胞を、50μg/mLのアンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを選び、これを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、500μg/mLのアンピシリンを含有する1mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたように、QIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製して、プラスミドを、100μLのEB緩衝液を用いて溶出した。pLSBC1798のクローンは、2.3Kbのインサートフラグメントおよび9.7Kbのベクターフラグメントを含有することが、NgoMIVおよびAvrIIを用いた制限酵素マッピング、その後のアガロースゲル電気泳動によって確認された。S1C5MAbプロタンパク質は、配列を確認するために、標準的な方法を使用して配列決定された。
(実施例7)
(9E10MABおよびS1C5MABの精製)
感染性の転写物を、mMessage mMachine T7キット(Ambion、Austin、TX)を製造者の説明書に従って使用してpLSBC1799(9E10)クローンおよびpLSBC1798(S1C5)クローンからインビトロで合成した。簡単に記載すると、32μLの10X反応緩衝液、162μLの2X NTP/CAPミックス、32μLの酵素ミックス、および5μLのプラスミドを含有する、各プラスミドについて324μLの反応液を37℃で2時間インキュベーションした。合成された転写物を、0.1MのNaHPO−NaHPO(pH7.0)、0.5mg/mLの精製U1コートタンパク質(LSBC、Vacaville、CA)を含有する7mLの反応液においてカプシド化した。反応液は室温で一晩インキュベーションされた。18mLのFES(0.1Mのグリシン、60mMのKHPO、22mMのNa、10g/Lのベントナイト、10g/Lのセライト545)をそれぞれのカプシド化された転写物に加えた。それぞれの個々のクローンから得られたカプシド化転写物を使用して、CaMV35Sプロモーターにより駆動され、NOSターミネーターを含有するTMV30K移動タンパク質を導入遺伝子として発現する植え付け後25日目のニコチアナ・ベンタミアナ(これは、標準的な形質転換技術によって作製された)に接種した。高レベルのサブゲノムRNA種がウイルス感染植物細胞において合成された(Kumagai,MH.他(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:427〜430)。これは、MAbタンパク質の翻訳および続く蓄積のためのテンプレートとして使用される。
各植物の感染した葉に由来する間質液を接種後8日目に集めた。感染植物のそれぞれに由来する全身感染した上部の葉を集めた。分泌タンパク質の画分、すなわち、間質液(IF)を抽出し、組換えタンパク質の存在について分析した。葉組織を50mM Tris−HCl(pH7.3)/50mM NaCl/2mM EDTAで覆い、760mmHgの真空に2分間にわたって供した。真空を解き、そして、組織に緩衝液を完全に浸潤させるために3回、真空を再び加えた。IF画分を4Krpmで20分間の遠心分離によって回収した。回収されたIFを1mMのPMSFに調節し、6Krpmで10分間の遠心分離によって透明化した。上清をpH7.5および150mMのNaClに調節し、150mM Tris−HCl(pH7.3)/50mM NaClで平衡化されたプロテインA HiTrap(Amersham Pharmacia)カラムに負荷した。結合したMAbを、100mMグリシン−HCl(pH3.0)を用いて溶出し、MAb含有画分をMicrocon−10(Amicon)濃縮器で約10倍に濃縮し、リン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)を用いて透析した。
(実施例8)
(9E10FABおよびS1C5FABの精製)
感染性の転写物を、mMessage mMachine T7キット(Ambion、Austin、TX)を製造者の説明書に従って使用してpLSBC1736(9E10)クローンおよびpLSBC1792(S1C5)クローンからインビトロで合成した。簡単に記載すると、10μLの10X反応緩衝液、50μLの2X NTP/CAPミックス、10μLの酵素ミックス、および1.4μgのプラスミドを含有する、各プラスミドについて100μLの反応液を37℃で2時間インキュベーションした。合成された転写物を、0.1MのNaHPO−NaHPO(pH7.0)、0.5mg/mLの精製U1コートタンパク質(LSBC、Vacaville、CA)を含有する2mLの反応液においてカプシド化した。反応液は室温で一晩インキュベーションされた。5mLのFES(0.1Mのグリシン、60mMのKHPO、22mMのNa、10g/Lのベントナイト、10g/Lのセライト545)をそれぞれのカプシド化された転写物に加えた。それぞれの個々のクローンから得られたカプシド化転写物を使用して、植え付け後26日目のニコチアナ・ベンタミアナに接種した。高レベルのサブゲノムRNA種がウイルス感染植物細胞において合成された(Kumagai,MH.他(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:427〜430)。これは、MAbタンパク質の翻訳および続く蓄積のためのテンプレートとして使用される。
pLSBC1736の場合、各植物の感染した葉に由来する間質液を接種後12日目に集めた。感染植物のそれぞれに由来する全身感染した上部の葉を集めた。分泌タンパク質の画分、すなわち、間質液(IF)を抽出し、組換えタンパク質の存在について分析した。葉組織を50mM Tris−HCl(pH7.3)/50mM NaCl/2mM EDTAで覆い、760mmHgの真空に2分間にわたって供した。真空を解き、そして、組織に緩衝液を完全に浸潤させるために3回、真空を再び加えた。IF画分を4Krpmで20分間の遠心分離によって回収した。回収されたIFを1mMのPMSFに調節し、6Krpmで10分間の遠心分離によって透明化した。上清をpH5.2に調節して、10kDaメンブランを使用して濃縮し、透析し、その後、25mMイミダゾール緩衝液(pH6.0)で平衡化されたSPセファロースFF(Amersham Pharmacia)カラムに負荷した。結合したFabタンパク質を、25mMイミダゾール緩衝液(pH6.0)における250mM〜500mMのNaClの直線グラジエントを使用して溶出した。溶出画分をプールし、10mのMKPO緩衝液(pH6.0)を用いて透析し、ヒドロキシアパタイト(タイプI)樹脂(BioRad)に負荷した。結合したタンパク質を、10mM〜200mMのKPO緩衝液(pH6.0)の直線グラジエントを使用して溶出し、精製Fabを含有する流出画分を一緒にプールして、濃縮し、リン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)(pH7.4)に透析した。
pLSBC1792の場合、各植物の感染した葉に由来する間質液を接種後12日目に集めた。感染植物のそれぞれに由来する全身感染した上部の葉を集めた。分泌タンパク質の画分、すなわち、間質液(IF)を抽出し、組換えタンパク質の存在について分析した。葉組織を50mM Tris−HCl(pH7.3)/50mM NaCl/2mM EDTAで覆い、760mmHgの真空に2分間にわたって供した。真空を解き、そして、組織に緩衝液を完全に浸潤させるために3回、真空を再び加えた。IF画分を4Krpmで20分間の遠心分離によって回収した。回収されたIFを1mMのPMSFに調節し、6Krpmで10分間の遠心分離によって透明化した。上清をpH5.2に調節して、10kDaメンブランを使用して濃縮し、透析し、その後、25mMイミダゾール緩衝液(pH6.0)で平衡化されたSPセファロースFF(Amersham Pharmacia)カラムに負荷した。結合したFabタンパク質を、25mMイミダゾール緩衝液(pH6.0)における250mM〜500mMのNaClの直線グラジエントを使用して溶出した。溶出画分を25%硫酸アンモニウムに調節して、フェニルセファロースHP(Amersham Pharmacia)に負荷し、Fabタンパク質を、25mMイミダゾール(pH6.0)における20%〜0%の(NHSOの直線グラジエントを使用して溶出した。溶出画分をプールし、10mMのKPO緩衝液(pH6.0)を用いて透析し、ヒドロキシアパタイト(タイプI)樹脂(BioRad)に負荷した。結合したタンパク質を、10mM〜200mMのKPO緩衝液(pH6.0)の直線グラジエントを使用して溶出し、精製Fabを含有する流出画分を一緒にプールして、濃縮し、リン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)(pH7.4)に透析した。
(実施例9)
(精製された9E10MABおよび9E10FABの分析)
pLSBC1799の精製されたMAbサンプルを、還元性ゲルのために10%の2−メルカプトエタノールを含有する5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製し、その後、2分間、煮沸した。サンプルは10〜20%のグラジエントゲル(Novex)で分離され、タンパク質をクーマシーR−250ブリリアントブルー染色によって検出した。約50KDaおよび25KDaにおける還元性ゲルでのタンパク質結合は、所望される50KDa重鎖および25KDa軽鎖の存在を示している。
精製されたMAbサンプルを、非還元性ゲルのために2−メルカプトエタノールを含まない5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製し、その後、2分間、煮沸した。サンプルは6%のグラジエントゲル(Novex)で分離され、タンパク質をクーマシーR−250ブリリアントブルー染色によって検出した。非還元条件のもとでの約150KDaバンドにおける還元性ゲルでのタンパク質結合は、鎖間ジスルフィド架橋を含有する組み立てられた9E10MAbタンパク質の存在を示している。
これらのサンプルは、組み立てられたジスルフィド連結の重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの存在を確認するためにウエスタンブロット分析に供された。精製されたMAbサンプルを、還元性ゲルのために10%の2−メルカプトエタノールを含有する5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製し、その後、2分間、煮沸した。サンプルを2つの別個のNovex6%トリス−グリシンゲルに負荷し、続いて、Xcell II Blot(Invitrogen、Carlsbad、CA)を製造者の説明書に従って使用してニトロセルロースメンブランに転写した。メンブランを、2.5%粉末スキムミルクおよび2.5%BSAを含有するTBSTにおいて一晩ブロッキング処理した。第1のメンブランを1:4000希釈のヤギ抗マウスκ−HRP標識血清で室温において1時間プローブし、第2のメンブランを1:4000希釈のヤギ抗マウスIgG−HRP標識血清(Southern Biotechnology、Birmingham、AL)で室温において1時間プローブした。ブロットをTBSTにおいて3回洗浄し、標識されたタンパク質を、ECL+plusウエスタンブロッティング検出システム(Amersham Biosciences、Buckinghamshire、英国)を用いて検出した。抗κ血清では、約150KDaのバンドが非還元条件のもとで検出された。このことは、鎖間ジスルフィド架橋を含有する組み立てられた9E10MAbタンパク質の存在を示している。抗γ血清では、約150KDaのバンドが非還元条件のもとで検出された。このことは、鎖間ジスルフィド架橋を含有する組み立てられた9E10MAbタンパク質の存在を示している。
pLSBC1799産生のMAbおよびpLSBC1736のFabがc−mycペプチドを認識する能力を確認するために、精製された、植物により産生されたMAbおよびFabを使用して、myc標識のタンパク質をELISAによって検出した。コントロールの9E10MAbをマウスハイブリドーマ細胞株のMyc1−9E10.2(ATCC(CRL−1729))から精製した。細胞は標準的条件のもとで培養され、抗体が、IgGプロテインA精製キット(Pierce)を製造者の説明書に従って使用して90mLの培地から精製された。Maxisorp ELISAプレート(Nunc)を、50mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)における5ug/mlの抗原で一晩、4℃で被覆した。抗原はpLSBC2268(配列番号95)由来の融合タンパク質であった(これは、TMV−U1コートタンパク質のアミノ末端に融合されたc−mycエピトープを含有する)。プレートを、1X TBST緩衝液における2.5%BSAで、室温において1時間ブロッキング処理した。二連のサンプルがMAb希釈物およびFab希釈物について試験された。これらをプレートに加え、室温で1時間インキュベーションした。プレートをTBSTで洗浄し、結合した抗体を、ヤギ抗マウスκHRP(Southern Biotech)を用いて検出した。サンプルは、Turbo−TMB ELISA,1−STEP(Pierce)を用いて検出され、反応が、製造者の説明書に従って1NのHSOを添加することによって停止させられた。プレートは吸光度プレート読み取り装置(Moleccular Devices)によって450nmで読み取られ、データを、SoftMaxソフトウエア(Molecular Dynamics)を用いて分析した。サンプルのデータはバックグラウンドが差し引かれている。ELISAアッセイにより、LSBC1736のFabおよびLSBC1799のMAbがc−myc抗原を認識し、これに結合することが明らかにされる。この活性は、ハイブリドーマにより産生されたコントロールMAbに匹敵し得る。
Figure 2006506056
(実施例10)
(精製されたS1C5MABおよびS1C5FABの分析)
pLSBC1798の精製されたMAbサンプルを、還元性ゲルのために10%の2−メルカプトエタノールを含有する5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製し、その後、2分間、煮沸した。サンプルは10〜20%のグラジエントゲル(Novex)で分離され、タンパク質をクーマシーR−250ブリリアントブルー染色によって検出した。約50KDaおよび25KDaにおける還元性ゲルでのタンパク質結合は、所望される50KDa重鎖および25KDa軽鎖の存在を示している。
これらのサンプルは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの存在を確認するためにウエスタンブロット分析に供された。精製されたMAbサンプルを、還元性ゲルのために10%の2−メルカプトエタノールを含有する5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製し、その後、2分間、煮沸した。サンプルを2つの別個のNovex 10〜20%トリス−グリシンゲルに負荷し、続いて、Xcell II Blot(Invitrogen、Carlsbad、CA)を製造者の説明書に従って使用してニトロセルロースメンブランに転写した。メンブランを、2.5%粉末スキムミルクおよび2.5%BSAを含有するTBSTにおいて一晩ブロッキング処理した。第1のメンブランを1:4000希釈のヤギ抗マウスκ−HRP標識血清で室温において1時間プローブし、第2のメンブランを1:4000希釈のヤギ抗マウスIgG−HRP標識血清(Southern Biotechnology、Birmingham、AL)で室温において1時間プローブした。ブロットをTBSTにおいて3回洗浄し、標識されたタンパク質を、ECL+plusウエスタンブロッティング検出システム(Amersham Biosciences、Buckinghamshire、英国)を用いて検出した。抗κ血清では、約25KDaのタンパク質が検出され、また、対応する約50KDaのタンパク質が、抗γ血清を用いて検出された。このことは、κ軽鎖およびγ重鎖の両方が発現し、プロセシングされ、分泌されたことを示している。
精製されたMAbサンプルを、非還元性ゲルのために2−メルカプトエタノールを含まない5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製し、その後、2分間、煮沸した。サンプルは6%のグラジエントゲル(Novex)で分離され、タンパク質をクーマシーR−250ブリリアントブルー染色によって検出した。非還元条件のもとでの約150KDaバンドにおける還元性ゲルでのタンパク質結合は、鎖間ジスルフィド架橋を含有する組み立てられたS1C5MAbタンパク質の存在を示している。
これらのサンプルは、組み立てられたジスルフィド連結の重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの存在を確認するためにウエスタンブロット分析に供された。精製されたMAbサンプルを、還元性ゲルのために10%の2−メルカプトエタノールを含有する5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製し、その後、2分間、煮沸した。サンプルを2つの別個のNovex 6%トリス−グリシンゲルに負荷し、続いて、Xcell II Blot(Invitrogen、Carlsbad、CA)を製造者の説明書に従って使用してニトロセルロースメンブランに転写した。メンブランを、2.5%粉末スキムミルクおよび2.5%BSAを含有するTBSTにおいて一晩ブロッキング処理した。第1のメンブランを1:4000希釈のヤギ抗マウスκ−HRP標識血清で室温において1時間プローブし、第2のメンブランを1:4000希釈のヤギ抗マウスIgG−HRP標識血清(Southern Biotechnology、Birmingham、AL)で室温において1時間プローブした。ブロットをTBSTにおいて3回洗浄し、標識されたタンパク質を、ECL+plusウエスタンブロッティング検出システム(Amersham Biosciences、Buckinghamshire、英国)を用いて検出した。抗κ血清では、約150KDaのバンドが非還元条件のもとで検出され、このことは、鎖間ジスルフィド架橋を含有する組み立てられたS1C5MAbタンパク質の存在を示している。抗γ血清では、約150KDaのバンドが非還元条件のもとで検出され、このことは、鎖間ジスルフィド架橋を含有する組み立てられたS1C5MAbタンパク質の存在を示している。
pLSBC1798産生のMAbおよびpLSBC1792の産生Fabが38C13抗原(McCormick他(1999)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、96:703〜708)を認識する能力を確認するために、精製された、植物により産生されたMAbおよびFabを使用して、38C13のscFvタンパク質をELISAによって検出した。コントロールのS1C5MAbは、標準的な技術を使用して作製されたマウス腹水に由来し、コントロールのS1C5Fabは、ImmunoPure Fabキット(Pierce)を使用してマウス腹水MAbから作製された。Maxisorp ELISAプレート(Nunc)を、50mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)における5ug/mlの38C13のscFvで、一晩、4℃で被覆した。プレートを、1X TBST緩衝液における2.5%BSAで、室温において1時間ブロッキング処理した。二連のサンプルがMAb希釈物およびFab希釈物について試験された。これらをプレートに加え、室温で1時間インキュベーションした。プレートをTBSTで洗浄し、結合した抗体を、ヤギ抗マウスκHRP(Southern Biotech)を用いて検出した。サンプルは、Turbo−TMB ELISA,1−STEP(Pierce)を用いて検出され、反応が、製造者の説明書に従って1NのHSOを添加することによって停止させられた。プレートは吸光度プレート読み取り装置(Moleccular Devices)によって450nmで読み取られ、データを、SoftMaxソフトウエア(Molecular Dynamics)を用いて分析した。サンプルのデータはバックグラウンドが差し引かれている。ELISAアッセイにより、LSBC1792のFabおよびLSBC1798のMAbが38C13抗原を認識し、これに結合することが明らかにされる。この活性は、腹水により産生されたコントロールのFabおよびMAbに匹敵し得る。
Figure 2006506056
(実施例11)
(4d5重鎖fd遺伝子および4d5軽鎖遺伝子のクローニング)
マウスモノクローナル抗体mumAb4D5は、HER−2/neu遺伝子産物p185HER2の細胞以外ドメインに向けられており、6日間の培養で乳ガン細胞株SK−BR−3(ATCC HTB30)の細胞成長を阻害する。そのような処理はこれらの細胞を化学療法剤に対して感受性にする(米国特許第5,677,171号)。実施例4のプロセスが、mumAb4D5のIg重鎖Fd領域および軽鎖を使用して繰り返される。免疫グロブリンをコードする配列の可変遺伝子配列が、Carter他、PNAS、89:4285〜4289(1992)に記載される。
ヒトHER−2受容体の細胞外ドメインを認識する、Fendly他、Cancer Res.、50:1550〜1558(1990)に記載されるマウスモノクローナル抗体(IgG1)を発現するマウスハイブリドーマ株A−HER2をATCCから得た。細胞は、細胞株と一緒に提供された説明書に従って培養された。重鎖Fd領域およびκ軽鎖の遺伝子を、ハイブリドーマから得られたmRNAのPCR増幅によって単離した。簡単に記載すると、1x10個の培養細胞を遠心分離し、洗浄して、過剰な培養培地を除き、1%の2−メルカプトエタノールを含有する600μLのRLT緩衝液(Qiagen、Valencia、CA)を用いて溶解した。総RNAを、QIAshredderカラムおよびRNEASYカラムを製造者の説明書に従って使用して精製した。簡単に記載すると、細胞溶解物をQIAshredderカラムに加え、14Krpmで2分間、遠心分離機で遠心分離した。流出液を集め、等容量の70%エタノールで希釈した。混合物をRNeasyカラムに移し、すべてのサンプルがカラムを通過するまで、10Krpmで15秒間、遠心分離した。カラムに結合したRNAを700μLのRW1で洗浄し、その後、500μLのRPEで洗浄し、続いて乾燥した。精製されたRNAを、10Krpmで1分間の遠心分離によって50μLのRNASE非含有水において溶出させた。4μgの上記の調製された総RNAを65℃で2分間インキュベーションし、直ちに氷上に3分間置き、その後、結合緩衝液(20mM Tris−HCl(pH7.5)、1.0M LiCl、2mM EDTA)中の20μLの磁石ビーズに加えた(この場合、ビーズは、50μLの結合緩衝液で洗浄することによって準備された)。RNAおよびビーズの混合物を、絶えず回転させながら5分インキュベーションした。非結合物を含有する上清を除き、ビーズを100μLの洗浄緩衝液(10mM Tris−HCl(pH7.5)、0.15M LiCl、1mM EDTA)で洗浄し、その後、40μLのヌクレアーゼ非含有水を加えた。cDNAを60μLの反応液において合成した。反応液は50mMのTris−HCl(pH8.3)、75mMのKCl、3mMのMgCl、10mMのDTT、2ユニットのRNasin(Promega、Madison、WI)、20ユニットのSuperscriptII(Invitrogen、Carlsbad、CA)、0.5mMのdATP、0.5MのdCTP、0.5mMのdGTP、0.5mMのdTTP、および上記から得られたオリゴdT結合RNAを含有した。cDNA反応液は、絶えず回転させながら42℃で60分間インキュベーションされた。
重鎖Fd遺伝子を、重鎖遺伝子のフレームワーク1領域(FR1)の5’末端にアニーリングする遺伝子特異的な上流側プライマー4D5HySph5’(配列番号42)と、C1特異的な3’下流側プライマー4D5HyAvr3’(配列番号52)とを使用してPCR増幅した。κ軽鎖遺伝子を、κ軽鎖遺伝子のフレームワーク1領域(FR1)の5’末端にアニーリングする遺伝子特異的な上流側プライマー4D5LtSph5’(配列番号43)と、C特異的な3’下流側プライマー4D5LtAvr3’(配列番号53)とを用いて別個の反応でPCR増幅した。50μLのPCR反応液は、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、0.4μMの上流側プライマー、0.4μMの下流側プライマー、および2μLの調製されたcDNAを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、48℃で30秒間、72℃で30秒間からなる30サイクル、そして72℃で5分、増幅された。所望される約700bpのκ軽鎖および約700bpのγFd領域の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。上記のPCR反応液を、3容量のエタノールおよび0.3容量の10M酢酸NHを用いて沈殿し、遠心分離して、70%エタノールで洗浄した。ペレットを20μLの10mM Tris−HCL(pH8.0)に再懸濁した。
上記からの調製されたPCRフラグメントを製造者の説明書に従ってpCR4−TOPO(Invitrogen)にクローン化して、p4D5Hy−TOPO(配列番号81)およびp4D5Lt−TOPO(配列番号83)のプラスミドを作製した。簡単に記載すると、2μLのPCR産物、1μLのベクター、1μLの塩溶液、および1μLの水を混合して、室温で5分間インキュベーションした。連結液を氷上に置き、25μLの化学的にコンピテントなTop10細胞をそれぞれの連結液に加え、混合物を氷上で10分間インキュベーションした。形質転換反応液を、42℃で30秒間インキュベーションすることによって熱ショック処理して、直ちに氷上に置き、250μLのSOCを加えた。形質転換は、20分間の200rpmでの振とうを行いながら37℃でインキュベーションすることによって回復させられた。形質転換液を、アンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、100μg/mLのアンピシリンを含有する1.0mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、QIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製した。簡単に記載すると、細胞をプレート遠心分離機において3Krpmで15分間の遠心分離によってペレット化した。上清を細胞ペレットから捨て、細胞をボルテックス処理によって250μLのP1緩衝液に再懸濁した。250μLのP2を細胞に加え、倒置することによって混合し、5分間インキュベーションして細胞を溶解した。350μLのN3を細胞溶解物に加え、倒置することによって混合し、Turbo Filterプレートに移した。真空をTurbo Filterに加え、これにより、サンプルがQIAprepプレートの中にろ過された。その後、サンプルをプレートから抜きながら、真空をQIAprepプレートに加え、プラスミドをプレートのメンブランに結合させた。QIAprepプレートを、真空力を使用して0.9mLのPBで洗浄し、その後、0.9mLのPEで2回洗浄し、真空乾燥した。100μLのEB緩衝液を精製プラスミドに加え、1分間インキュベーションし、続いて6Krpmで3分間遠心分離して、精製プラスミドを溶出させた。それぞれのプラスミドについて約700bpのインサートの存在が、SphIおよびAvrIIによる制限消化、ならびにアガロースゲル電気泳動により確認された。精製されたp4D5Hy−TOPO(配列番号81)およびp4D5Lt−TOPO(配列番号83)のプラスミドは、mum4D5のFd配列およびκ軽鎖配列を確認するために、標準的な方法を使用する、M13フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いた核酸配列決定に供された。
(実施例12)
(4D5Fab重鎖および軽鎖のプロタンパク質のクローニングおよび発現分析)
pLSBC1731のKP6配列を、FabのクローニングのためにPCR増幅した。25μLのPCR反応液は、0.8μMの5228、0.8μMの5229、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および0.03μLのpLSBC1731プラスミドを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間からなる15サイクル、そして72℃で5分、増幅された。所望される約120bpのKP6プロペプチドコード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。4D5のFd領域(V1)を、α−アミラーゼのシグナルペプチドを含有するベクターp1324−MBPへのクローニングのために適合し得るSphI部位を含有する上流側プライマー4D5HySph5’と、pLSBC1731から増幅されたKP6プロペプチド配列の5’末端に融合されたC1の3’末端をコードする配列を含有する下流側プライマー4D5HyKp63’(配列番号44)とを用いてプラスミドp4D5HyFdからPCR増幅した。p1324−MBPは、改変された30Bベクター(Shivprasad,S.他(1999)、Virology、255:312〜323)であり、イネα−アミラーゼのシグナルペプチドだけでなく、TMVおよびTMGMV−U5のハイブリッド融合体を、SphIおよびAvrIIのインサートクローン化部位とともに含有する。このベクターにおいて、TMVのコートタンパク質サブゲノムプロモーターが4D5Fabプロタンパク質配列の挿入部位の上流側に存在する。感染後、このTMVコートタンパク質サブゲノムプロモーターは、転写開始点(「tsp」)で植物細胞内における4D5Fabプロタンパク質のRNA合成の開始を行わせる。イネα−アミラーゼのシグナルペプチド(O’Neill,SD他(1990)、Mol.Gen.Genet.、221:235〜244)が4D5Fabプロタンパク質配列に読み枠を一致させて融合されており、このシグナルペプチドは、タンパク質を分泌経路に標的化し(Firek,S.他(1994)、Transgenic Res.、3:326〜331)、続いて、シグナルペプチドのC末端Gylと、発現した4D5Fabプロタンパク質のN末端Metとの間で切断される31残基のポリペプチドをコードする。4D5Fabプロタンパク質をコードする配列が、30K移動タンパク質遺伝子と、TMGMV−U5コートタンパク質(Tcp)遺伝子との間に導入される。T7ファージのRNAポリメラーゼプロモーターがウイルスcDNAの上流側に導入されており、感染性のゲノムプラス鎖RNAの転写を可能にしている。SphI部位は、シグナルペプチドをFdの4D5可変領域のFR1に連結し、ERへの人工プロタンパク質の分泌を行わせる。4D5軽鎖(V)を、下流側プライマー4D5Lavstp3’(配列番号49)(これは、Cコード配列の3’末端における翻訳終結コドン、および、その後に続く、ベクターp1324−MBPへのクローニングのために適合し得るAvrII部位を含有する)と、上流側プライマー4D5LtKp65’(配列番号45)(これは、Vコード配列のFR1領域の5’末端に融合された、pLSBC1731から増幅されたKP6プロペプチド配列の3’末端をコードする配列を含有する)とを用いてプラスミドp4D5LtからPCR増幅した。4D5のFd領域および軽鎖領域を別々の25μLのPCR反応液においてPCR増幅した。反応液は、0.8μMの上流側プライマー、0.8μMの下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1.8ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および0.03μLのプラスミドテンプレートを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間からなる15サイクル、そして72℃で5分、増幅された。所望される約700bpのFdフラグメントおよび軽鎖フラグメントの増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。4D5Fabプロタンパク質を組み立てるために、KP6のPCRフラグメントを、増幅されたFdフラグメントおよび増幅された軽鎖フラグメントに配列重複伸張(SOE)によって融合した。4D5プロタンパク質を組み立てるために、25μLのPCR反応液は、0.03μLの上記から得られたpLSBC1731のPCR産物、0.03μLの上記から得られたp4D5LtのPCR産物、0.03μLの上記から得られたp4D5HyFdのPCR産物、0.8μMの4D5HySph5’上流側プライマー、0.8μMの4D5Lavstp3’下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1.8ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で2分間、72℃で30秒間からなる15サイクル、そして72℃で5分、増幅された。所望される約1.4Kbの4D5Fabプロタンパク質の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。
一連のフェノール・クロロホルム抽出が、制限消化の前に熱安定性のポリメラーゼを除くために、PCR増幅産物に対して行われた。5μLの調製されたフラグメントが、2.5ユニットのSphI、2ユニットのAvrII、50mMのNaCl、10mMのTris−HCl(pH7.9)、10mMのMgCl、1mMのDTTを含有する25μLの反応液において、SphIおよびAvrIIにより消化された。消化液は37℃で2時間インキュベーションされ、1.0%アガロースゲルで電気泳動され、約1.4Kbのフラグメントを分離した。核酸を、GelStar(Cambrex Bio Science)を用いて染色し、約1.4Kbのフラグメントを単離した。フラグメントを、QIAquickゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロースから精製した。SphI/AvrII消化フラグメントの回収がゲル電気泳動によって確認された。SphIおよびAvrIIによる1.4Kbの4D5Fabプロタンパク質を、SphIおよびAvrIIにより調製されたpI324−MBPプラスミドにクローン化して、pLSBC1740(配列番号71)を作製した。10μLの調製された4D5Fabプロタンパク質、0.4μgのpI324−MBP、800ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する50μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。連結物を、3容量のエタノールおよび0.3容量の10M酢酸NHを用いて沈殿させ、遠心分離して、70%エタノールで洗浄した。ペレットを6μLの10mM Tris−HCL(pH8.0)に再懸濁した。細菌の形質転換を、Gene Pulserエレクトロポレーター(BioRad、Hercules、CA)を製造者の推奨法に従って用いて行った。簡単に記載すると、40μLのエレクトロコンピテントなJM109細胞を2μLの連結物と混合して、冷却された0.2cmキュベットに移した。混合物に、2.5KV、200オーム、25μFDでパルスを与えた。パルス処理後、200μLのSOCを加え、細胞を37℃で20分間回復させた。細胞を、50μg/mLのアンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを選び、これを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、500μg/mLのアンピシリンを含有する1mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたように、QIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製し、100μLのEB緩衝液を用いて溶出した。クローンは、1.4Kbのインサートフラグメントおよび9.7Kbのベクターフラグメントを含有することが、SphIおよびAvrIIを用いた制限酵素マッピング、その後のアガロースゲル電気泳動によって確認された。4D5Fabプロタンパク質は、配列を確認するために、標準的な方法を使用して配列決定された。
感染性の転写物を、mMessage mMachine T7キット(Ambion、Austin、TX)を製造者の説明書に従って使用してpLSBC1740(配列番号71)クローンからインビトロで合成した。簡単に記載すると、1μLの10X反応緩衝液、2.5μLの2X NTP/CAPミックス、1μLの酵素ミックス、および3.5μLのプラスミドを含有する5.5μLの反応液を37℃で2時間インキュベーションした。合成された転写物を、0.1MのNaHPO−NaHPO(pH7.0)、0.5mg/mLの精製U1コートタンパク質(LSBC、Vacaville、CA)を含有する40μLの反応液においてカプシド化した。反応液は室温で一晩インキュベーションされた。40μLのFES(0.1Mのグリシン、60mMのKHPO、22mMのNa、10g/Lのベントナイト、10g/Lのセライト545)をそれぞれのカプシド化された転写物に加えた。それぞれの個々のクローンから得られたカプシド化転写物を使用して、植え付け後19日目のニコチアナ・ベンタミアナ植物に接種した(Dawson,WO他(1986)、Proc.Natl.Acad Sci.USA、83:1832〜1836)。高レベルのサブゲノムRNA種がウイルス感染植物細胞において合成された(Kumagai,MH.他(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:427〜430)。これは、Fabタンパク質の翻訳および続く蓄積のためのテンプレートとして使用される。
各植物の感染した葉に由来する間質液を接種後9日目に集め、ELISAによってスクリーニングした。個々の植物に由来する全身感染した上部の葉を集めた。分泌タンパク質の画分、すなわち、間質液(IF)を抽出し、組換えタンパク質の存在について分析した。葉組織をGF/Bの0.8mL Unifilter(Whatman、Clifton、NJ)に入れ、20mMのTris−HCl(pH7.0)で覆い、760mmHgの真空に30秒間にわたって供した。真空を解き、そして、組織に緩衝液を完全に浸潤させるために3回、真空を再び加えた。残留する緩衝液を捨て、組織をプレート遠心分離機における400rpmで30秒間の遠心分離によって乾燥させた。IF画分が、プレート遠心分離機における3Krpmで10分間の遠心分離によって96ウエルマイクロプレートに回収される。各サンプルは三連でELISAによって分析された。6μLのIFを100μLにおいて50mMのNaCOに調節し、96ウエルプレート(Maxisorb、Nunc)に加え、4℃で一晩インキュベーションした。プレートを、1%BSAを含むPBSの200μLで、37℃で30分間ブロッキング処理し、その後、150mM NaCl/0.05%TritonX−100で4回洗浄した。プレートを、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンンジュゲート化されたヤギ抗マウスκ血清(Southern Biotechnology)のPBSにおける1:4000希釈物の100μLとインキュベーションし、室温で1時間インキュベーションした。プレートをPBSTで4回洗浄し、100μLのTurbo−TMB,1−STEP(Pierce)と室温で20分間インキュベーションした。反応が、50μLの1N HSOの添加によって停止させられ、吸光度プレート読み取り装置(Moleccular Devices)によって450nmで読み取られ、データを、SoftMaxソフトウエア(Molecular Dynamics)を用いて分析した。0.13よりも大きい読み取りを有するサンプルをさらに分析した。
pLSBC1740クローンをPacIおよびKpnIで消化して、2.7Kbのα−アミラーゼシグナルペプチド/4D5Fabプロタンパク質(ウイルスの3’末端を含む)を単離した。50μLの反応液は、2μLのプラスミド、10ユニットのPacI、10ユニットのKpnI、10mMのビス−トリスプロパン−HCl(pH7.0)、10mMのMgCl、1mMのDTTを含有した。消化液を37℃で2時間インキュベーションして、1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約2.7Kbのフラグメントを分離した。核酸を、GelStar(Cambrex Bio Science)を用いて染色し、約2.7Kbのフラグメントを単離した。フラグメントを、QIAquickゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロースから精製した。PacI/KpnI消化フラグメントの回収がゲル電気泳動によって確認された。pLSBC1740の2.7Kbの、PacIおよびKpnIによるフラグメントを、PacIおよびKpnIにより調製されたp1177MP5プラスミドの8.0Kbフラグメントにクローン化して、pLSBC1766(配列番号89)を作製した。pLSBC1740のPacI/KpnIフラグメントの10μL、0.4μgのp1177MP5、800ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する50μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。連結物を以前に記載されたようにエタノール沈殿した。ペレットを10mM Tris−HCL(pH8.0)に再懸濁した。細菌の形質転換を、以前に記載されたように、40μLのエレクトロコンピテントなJM109細胞を用いて、Gene Pulserエレクトロポレーター(BioRad、Hercules、CA)を製造者の推奨法に従って用いて行った。細胞を、50μg/mLのアンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを選び、これを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、500μg/mLのアンピシリンを含有する1mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたように、QIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製し、プラスミドを、100μLのEB緩衝液を用いて溶出した。1.4Kbのインサートの存在が、SphIおよびAvrIIを用いた制限マッピング、その後のアガロースゲル電気泳動によって確認された。
感染性の転写物を、mMessage mMachine T7キット(Ambion、Austin、TX)を使用して、11μLの反応液において300ngのテンプレートプラスミドからインビトロで合成した。転写物を、上記のように、製U1コートタンパク質を用いてカプシド化した。転写物を使用して、20日目ニコチアナ・ベンタミアナ植物に接種し、全身感染させた。IFタンパク質画分を、以前に記載されたように、真空浸潤および遠心分離によって接種後の8日目および11日目に単離した。20μLの各IFサンプルを、還元性ゲルについては2−メルカプトエタノールを含有し、非還元性ゲルについては2−メルカプトエタノールを含有しない5μLの5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製し、混合物を2分間、煮沸した。サンプルは10〜20%のグラジエントCriterionゲル(Bio−Rad)で分離され、タンパク質をクーマシーR−250ブリリアントブルー染色によって検出した。約25KDaにおける還元性ゲルでのタンパク質結合は、所望される25KDa重鎖Fdおよび25KDa軽鎖の存在を示している。非還元条件のもとでの約50KDaにおける対応するタンパク質は、重鎖Fdおよびκ軽鎖からなる組み立てられたジスルフィド連結のFabヘテロダイマーの証拠として認められる。
(実施例13)
(4D5Fab軽鎖および重鎖のプロタンパク質のクローニングおよび発現分析)
pLSBC1731のKP6配列を、FabのクローニングのためにPCR増幅した。25μLのPCR反応液は、0.8μMの5228、0.8μMの5229、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1.8ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および0.03μLのpLSBC1731プラスミドを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間からなる15サイクル、そして72℃で5分間、増幅された。所望される約120bpのKP6プロペプチドコード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。4D5の軽鎖(V)を、上流側プライマー4D5LtSphI5’(これは、α−アミラーゼのシグナルペプチドを含有するベクターp1324−MBPへのクローニングのために適合し得るSphI部位を含有する)と、下流側プライマー4D5LtKp63’(配列番号46)(これは、pLSBC1731から増幅されたKP6プロペプチド配列の5’末端に融合されたCの3’末端をコードする配列を含有する)とを用いてプラスミドp4D5LtからPCR増幅した。SphI部位は、シグナルペプチドを軽鎖の4D5可変領域のFR1に連結し、ERへの人工プロタンパク質の分泌を行わせる。4D5のFd重鎖(V1)を、下流側プライマー4D5Havstp3’(これは、C1コード配列の3’末端における翻訳終結コドン、および、その後に続く、ベクターp1324−MBPへのクローニングのために適合し得るAvrII部位を含有する)と、上流側プライマー4D5HyKp65’(配列番号47)(これは、Vコード配列のFR1領域の5’末端に融合された、pLSBC1731から増幅されたKP6プロペプチド配列の3’末端をコードする配列を含有する)とを用いてプラスミドp4D5HyFdからPCR増幅した。4D5のFd領域および軽鎖領域を別々の25μLのPCR反応液においてPCR増幅した。反応液は、0.8μMの上流側プライマー、0.8μMの下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1.8ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および0.03μLのプラスミドテンプレートを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間からなる15サイクル、そして72℃で5分、増幅された。所望される約700bpのFdフラグメントおよび軽鎖フラグメントの増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。4D5Fabプロタンパク質を組み立てるために、KP6のPCRフラグメントを、増幅されたFdフラグメントおよび増幅された軽鎖フラグメントに配列重複伸張(SOE)によって融合した。4D5プロタンパク質を組み立てるために、25μLのPCR反応液は、0.03μLの上記から得られたpLSBC1731のPCR産物、0.03μLの上記から得られたp4D5LtのPCR産物、0.03μLの上記から得られたp4D5HyFdのPCR産物、0.8μMの4D5LtSphI5’上流側プライマー、0.8μMの4D5Havstp3’(配列番号48)下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1.8ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で2分間、72℃で30秒間からなる15サイクル、そして72℃で5分、増幅された。所望される約1.4Kbの4D5Fabプロタンパク質の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。
一連のフェノール・クロロホルム抽出が、制限消化の前に熱安定性のポリメラーゼを除くために、PCR増幅産物に対して行われた。5μLの調製されたフラグメントが、2.5ユニットのSphI、2ユニットのAvrII、50mMのNaCl、10mMのTris−HCl(pH7.9)、10mMのMgCl、1mMのDTTを含有する25μLの反応液において、SphIおよびAvrIIにより消化された。消化液は37℃で2時間インキュベーションされ、1.0%アガロースゲルで電気泳動され、約1.4Kbのフラグメントを分離した。核酸を、GelStar(Cambrex Bio Science)用いて染色し、約1.4Kbのフラグメントを単離した。フラグメントを、QIAquickゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロースから精製した。SphI/AvrII消化フラグメントの回収がゲル電気泳動によって確認された。SphIおよびAvrIIによる1.4Kbの4D5Fabプロタンパク質を、SphIおよびAvrIIにより調製されたpI324−MBPプラスミドにクローン化して、pLSBC1741(配列番号73)を作製した。10μLの調製された4D5Fabプロタンパク質、0.4μgのpI324−MBP、800ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する50μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。連結物を以前に記載されたようにエタノール沈殿した。ペレットを6μLの10mM Tris−HCL(pH8.0)に再懸濁した。細菌の形質転換を、以前に記載されたように、40μLのエレクトロコンピテントなJM109細胞を用いて、Gene Pulserエレクトロポレーター(BioRad、Hercules、CA)を製造者の推奨法に従って用いて行った。細胞を、50μg/mLのアンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを選び、これを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、500μg/mLのアンピシリンを含有する1mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたように、QIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製し、プラスミドを、100μLのEB緩衝液を用いて溶出した。クローンは、1.4Kbのインサートフラグメントおよび9.7Kbのベクターフラグメントを含有することが、SphIおよびAvrIIを用いた制限酵素マッピング、その後のアガロースゲル電気泳動によって確認された。4D5Fabプロタンパク質は、配列を確認するために、標準的な方法を使用して配列決定された。
感染性の転写物を、mMessage mMachine T7キット(Ambion、Austin、TX)を製造者の説明書に従って使用してpLSBC1741クローンからインビトロで合成した。簡単に記載すると、1μLの10X反応緩衝液、2.5μLの2X NTP/CAPミックス、1μLの酵素ミックス、および3.5μLのプラスミドを含有する5.5μLの反応液を37℃で2時間インキュベーションした。合成された転写物を、0.1MのNaHPO−NaHPO(pH7.0)、0.5mg/mLの精製U1コートタンパク質(LSBC、Vacaville、CA)を含有する40μLの反応液においてカプシド化した。反応液は室温で一晩インキュベーションされた。40μLのFES(0.1Mのグリシン、60mMのKHPO、22mMのNa、10g/Lのベントナイト、10g/Lのセライト545)をそれぞれのカプシド化された転写物に加えた。それぞれの個々のクローンから得られたカプシド化転写物を使用して、植え付け後19日目のニコチアナ・ベンタミアナ植物に接種した(Dawson,WO他(1986)、Proc.Natl.Acad Sci.USA、83:1832〜1836)。高レベルのサブゲノムRNA種がウイルス感染植物細胞において合成された(Kumagai,MH.他(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:427〜430)。これは、Fabタンパク質の翻訳および続く蓄積のためのテンプレートとして使用される。
各植物の感染した葉に由来する間質液を接種後9日目に集め、ELISAによってスクリーニングした。個々の植物に由来する全身感染した上部の葉を集めた。分泌タンパク質の画分、すなわち、間質液(IF)を抽出し、組換えタンパク質の存在について分析した。葉組織をGF/Bの0.8mL Unifilter(Whatman、Clifton、NJ)に入れ、20mMのTris−HCl(pH7.0)で覆い、760mmHgの真空に30秒間にわたって供した。真空を解き、そして、組織に緩衝液を完全に浸潤させるために3回、真空を再び加えた。残留する緩衝液を捨て、組織をプレート遠心分離機における400rpmで30秒間の遠心分離によって乾燥させた。IF画分が、プレート遠心分離機における3Krpmで10分間の遠心分離によって96ウエルマイクロプレートに回収された。各サンプルは三連でELISAによって分析された。6μLのIFを100μLにおいて50mMのNaCO(pH9.6)に調節し、96ウエルプレート(Maxisorb、Nunc)に加え、4℃で一晩インキュベーションした。プレートを、1%BSAを含むPBSの200μLで、37℃で30分間ブロッキング処理し、その後、150mM NaCl/0.05%TritonX−100で4回洗浄した。プレートを、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンンジュゲート化されたヤギ抗マウスκ血清(Southern Biotechnology)のPBSにおける1:4000希釈物の100μLとインキュベーションし、室温で1時間インキュベーションした。プレートをPBSTで4回洗浄し、100μLのTurbo−TMB,1−STEP(Pierce)と室温で20分間インキュベーションした。反応が、50μLの1N HSOの添加によって停止させられ、吸光度プレート読み取り装置(Moleccular Devices)によって450nmで読み取られ、データを、SoftMaxソフトウエア(Molecular Dynamics)を用いて分析した。0.13よりも大きい読み取りを有するサンプルをさらに分析した。
pLSBC1741クローンをPacIおよびKpnIで消化して、2.7Kbのα−アミラーゼシグナルペプチド/4D5Fabプロタンパク質(ウイルスの3’末端を含む)を単離した。50μLの反応液は、2μLのプラスミド、10ユニットのPacI、10ユニットのKpnI、10mMのビス−トリスプロパン−HCl(pH7.0)、10mMのMgCl、1mMのDTTを含有した。消化液を37℃で2時間インキュベーションして、1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約2.7Kbのフラグメントを分離した。核酸を、GelStar(Cambrex Bio Science)を用いてで染色し、約2.7Kbのフラグメントを単離した。フラグメントを、QIAquickゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロースから精製した。PacIおよびKpnIによる消化フラグメントの回収がゲル電気泳動によって確認された。pLSBC1741の2.7Kbの、PacIおよびKpnIによるフラグメントを、PacIおよびKpnIにより調製されたp1177MP5プラスミドの8.0Kbフラグメントにクローン化して、pLSBC1767(配列番号91)を作製した。pLSBC1741の調製物の10μL、0.4μgのp1177MP5、800ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する50μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。連結物をエタノール沈殿し、これを使用して、エレクトロコンピテントなJM109を以前に記載されたように形質転換した。細胞を、50μg/mLのアンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。上記のように、アンピシリン耐性のコロニーをブロックにおいて培養し、プラスミドを、QIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して精製した。1.4Kbのインサートの存在が、SphIおよびAvrIIを用いた制限マッピング、その後のアガロースゲル電気泳動によって確認された。
感染性の転写物を、mMessage mMachine T7キット(Ambion、Austin、TX)を使用して、11μLの反応液において300ngのテンプレートプラスミドからインビトロで合成した。転写物を、上記のように精製U1コートタンパク質を用いてカプシド化した。転写物を使用して、20日目のニコチアナ・ベンタミアナ植物に接種し、全身感染させた。IFタンパク質画分を、以前に記載されたように、真空浸潤および遠心分離によって接種後の8日目および11日目に単離した。20μLの各IFサンプルを、還元性ゲルについては10%の2−メルカプトエタノールを含有し、非還元性ゲルについては2−メルカプトエタノールを含有しない5μLの5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製し、混合物を2分間、煮沸した。サンプルは10〜20%のグラジエントCriterionゲル(Bio−Rad)で分離され、タンパク質をクーマシーR−250ブリリアントブルー染色によって検出した。約25KDaにおける還元性ゲルでのタンパク質結合は、所望される25KDa重鎖Fdおよび25KDa軽鎖の存在を示している。非還元条件のもとでの約50KDaにおける対応するタンパク質は、重鎖Fdおよびκ軽鎖からなる組み立てられたジスルフィド連結のFabヘテロダイマーの証拠として認められる。
(実施例14)
(4D5モノクローナル抗体プロタンパク質のクローニングおよび発現分析)
4D5モノクローナル抗体の人工プロタンパク質を、pLSBC1767の4D5Fabプロタンパク質をマウスγ1免疫グロブリン定常ドメインのC2およびC3に融合することによって組み立てた。この融合により、第1のドメイン(軽鎖)、第2のドメイン(プロペプチド)、および第3のドメイン(完全な重鎖配列)がもたらされる。クローン化されたマウスIgG1重鎖配列は、以前に記載されたp9E10Hy−TOPOクローンに由来した。マウスIgG1定常ドメインの遺伝子は、同じイソタイプの重鎖遺伝子内では保存されており、従って、9E10のC2およびC3は、それらがともにマウスIgG1であるので、4D5抗体および9E10抗体の場合と同じであることが予想される。プライマーが、ベクター配列にアニーリングする5696s(配列番号54)上流側プライマーと、pLSBC1767のC1領域にアニーリングし、翻訳終結シグナルを除く4D5fAb3’下流側プライマー(配列番号55)とを使用してpLSBC1767フラグメントを増幅するために設計された。4D5fAb3’下流側プライマーは、pLSBC1767のC1領域の3’末端にアニーリングして、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「GG」の5’伸張(式中、「G」はグアニンである)が生じるように設計されている。p9E10Hy−TOPOクローンのC2配列およびC3配列を増幅するために、9E10Fc5’(配列番号56)上流側プライマーが設計されたが、これはC2ドメインの5’末端にアニーリングし、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「CC」の5’伸張(式中、「C」はシトシンである)が生じるようにされている。9E10Havr3’下流側プライマーは、翻訳終結コドン、および、それに続く、その後のクローニングのためのAvrII部位を含むC3ドメインの3’末端にアニーリングする。別々の25μLのPCR反応液を、4D5のFabおよび9E10のC2C3ドメインを増幅するために組み立てた。このPCR反応液は、0.8μMの5’プライマー、0.8μMの3’プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.16mMのdATP、0.16mMのdCTP、0.16mMのdGTP、0.16mMのdTTP、1.8ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および0.03μLのプラスミドテンプレートを含有した。PCR反応液は、95℃で2分間、その後、95℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間からなる15サイクル、そして72℃で7分、増幅された。所望される約1.6Kpの4D5配列および約500bpの9E10のC2C3の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。PCR増幅された1.6Kbの4D5配列および500bpの9E10のC2C3をDpnIで消化した。5ユニットのDpnIを各PCR反応液に加え、37℃で1時間インキュベーションし、その後、80℃で20分間インキュベーションした。一連のフェノール・クロロホルム抽出が、熱安定性のポリメラーゼを除くために、PCR増幅産物に対して行われ、フラグメントを以前に記載のようにエタノール沈殿して、20μLの10mM Tris−HCl(pH8)に再懸濁した。精製されたPCR増幅フラグメントを、6μLの4D5FabのPCRフラグメント、2μLの9E10のC2C3のPCRフラグメント、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、0.2mMのdTTP、0.2mMのdATP、1mMのATP、0.6ユニットのT4DNAポリメラーゼ、1.2ユニットのT4DNAリガーゼ、1.2ユニットのT4ポリヌクレオチドキナーゼを含有する30μLの連結反応液において連結した。反応液を23℃で1時間インキュベーションし、その後、75℃で15分間、熱不活性化した。反応液をフェノール・クロロホルム抽出して、酵素を除き、フラグメントを以前に記載されたようにエタノール沈殿し、そして、50mM酢酸カリウム、20mMトリス−酢酸(pH7.9)、1mMのDTT、10mM酢酸マグネシウム、10ユニットのNgoMIVおよび4ユニットのAvrIIからなる25μLに再懸濁した。この制限消化により、4D5MAbプロタンパク質をpLSBC1767にクローン化するための適合性末端がもたらされる。反応液を37℃で2時間インキュベーションし、2.1Kbのフラグメントを、QIAquickゲル抽出キットを以前に記載されたように使用してゲル単離した。NgoMIVおよびAvrIIによる消化フラグメントの回収がゲル電気泳動によって確認された。NgoMIVおよびAvrIIによる約9.7Kbの消化pLSBC1767フラグメントを上記と同じようにして調製し、9.7Kbのフラグメントをゲル電気泳動によって確認した。NgoMIVおよびAvrIIによる2.1Kbの4D5MAbプロタンパク質を、NgoMIVおよびAvrIIにより調製されたpLSBC1767プラスミドにクローン化して、pLSBC1773(配列番号93)を作製した。10μLの調製された4D5プロタンパク質、15μLのpLSBC1767ベクター、800ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する50μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。連結物をエタノール沈殿し、これを使用して、エレクトロコンピテントなJM109を以前に記載されたように形質転換した。細胞を、50μg/mLのアンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを選び、これを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、500μg/mLのアンピシリンを含有する1mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたように、QIAprep96Turbo Miniprepキット(Qiagen、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製して、プラスミドを、100μLのEB緩衝液を用いて溶出した。クローンは、2.1Kbのインサートフラグメントおよび9.7Kbのベクターフラグメントを含有することが、NgoMIVおよびAvrIIを用いた制限酵素マッピング、その後のアガロースゲル電気泳動によって確認された。4D5MAbプロタンパク質は、配列を確認するために、標準的な方法を使用して配列決定された。
感染性の転写物を、mMessage mMachine T7キット(Ambion、Austin、TX)を製造者の説明書に従って使用してpLSBC1741クローンからインビトロで合成した。簡単に記載すると、1μLの10X反応緩衝液、2.5μLの2X NTP/CAPミックス、1μLの酵素ミックス、および3.5μLのプラスミドを含有する5.5μLの反応液を37℃で2時間インキュベーションした。合成された転写物を、0.1MのNaHPO−NaHPO(pH7.0)、0.5mg/mLの精製U1コートタンパク質(LSBC、Vacaville、CA)を含有する40μLの反応液においてカプシド化した。反応液は室温で一晩インキュベーションされた。40μLのFES(0.1Mのグリシン、60mMのKHPO、22mMのNa、10g/Lのベントナイト、10g/Lのセライト545)をそれぞれのカプシド化された転写物に加えた。それぞれの個々のクローンから得られたカプシド化転写物を使用して、CaMV35Sプロモーターにより駆動され、NOSターミネーターを含有するTMV30K移動タンパク質を導入遺伝子として発現する植え付け後26日目〜27日目のニコチアナ・ベンタミアナ(これは、標準的な形質転換技術によって作製された)に接種した。高レベルのサブゲノムRNA種がウイルス感染植物細胞において合成された(Kumagai,MH.他(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:427〜430)。これは、MAbタンパク質の翻訳および続く蓄積のためのテンプレートとして使用される。
各植物の感染した葉に由来する間質液を接種後6日目に集め、ウエスタンブロット分析によってスクリーニングした。個々の植物に由来する全身感染した上部の葉を集めた。分泌タンパク質の画分、すなわち、間質液(IF)を抽出し、組換えタンパク質の存在について分析した。葉組織をGF/Bの0.8mL Unifilter(Whatman、Clifton、NJ)に入れ、20mMのTris−HCl(pH7.0)で覆い、760mmHgの真空に30秒間にわたって供した。真空を解き、そして、組織に緩衝液を完全に浸潤させるために3回、真空を再び加えた。残留する緩衝液を捨て、組織をプレート遠心分離機における400rpmで30秒間の遠心分離によって乾燥させた。IF画分が、プレート遠心分離機における3Krpmで10分間の遠心分離によって96ウエルマイクロプレートに回収される。サンプルを、4D5の重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの存在を確認するためにウエスタンブロット分析に供し、また、予想される鎖間ジスルフィド結合の存在を明らかにするために還元条件下および非還元条件下で泳動した。20μLのIFサンプルを、10%の2−メルカプトエタノールを含む1Xトリス−グリシンサンプル色素、および、2−メルカプトエタノールを含まない1Xトリス−グリシンサンプル色素に調節した。20μLの各サンプルを2つの別個のNovex 10−20%トリスグリシンゲルに負荷し、続いて、ニトロセルロースメンブランに転写した。メンブランを、2.5%粉末スキムミルクおよび2.5%BSAを含有するPBSTにおいて一晩ブロッキング処理した。一方のメンブランを1:3000希釈のヤギ抗マウスκ−HRP標識血清で室温において1時間プローブし、2枚目のメンブランを1:3000希釈のヤギ抗マウスIgG−HRP標識血清(Southern Biotechnology、Birmingham、AL)で室温において1時間プローブした。ブロットをPBSTにおいて3回洗浄し、標識されたタンパク質を、ECL+plusウエスタンブロッティング検出システム(Amersham、Biosciences、Buckinghamshire、英国)を用いて検出した。抗κ血清では、約25KDaのタンパク質が還元サンプルについて検出され、約150KDaのバンドが非還元サンプルについて検出された。このことは、鎖間ジスルフィド架橋および組み立てられた4D5モノクローナル抗体の存在を示している。抗γ血清では、約50KDaのタンパク質が還元サンプルについて検出され、約150KDaのバンドが非還元サンプルについて検出された。このことは、鎖間ジスルフィド架橋および組み立てられた4D5モノクローナル抗体の存在を示している。γ重鎖およびκ軽鎖からなるジスルフィド連結された4D5MAbヘテロダイマーの存在が明らかにされた。
(実施例15)
(キメラなマウス−ヒト9e10FABのクローニング)
長いポリA領域を含有する配列について濃縮されたメッセンジャーRNA(mRNA)を、Dynabeads Oligo(dT)25(Dynal、Oslo、ノルウエー)を使用してヒト脾臓の総RNA(Clontech、Palo Alto、CA)から単離した。RNAを4℃で15分間の15Krpmでの遠心分離によってペレット化し、上清を除き、1mLの70%エタノールを加えた。サンプルを、4℃で15分間、15Krpmで遠心分離して、上清を除き、ペレットを1μg/mLの濃度でヌクレアーゼ非含有水(Ambion、Austin、TX)に再懸濁した。上記の調製された総RNAの4μgをヌクレアーゼ非含有水で20μLに調節し、65℃で2分インキュベーションし、直ちに結合緩衝液(20mM Tris−HCl(pH7.5)、1.0M LiCl、2mM EDTA)中の20μLの磁石ビーズに加えた。RNAおよびビーズの混合物を、絶えず回転させながら5分インキュベーションした。非結合物を含有する上清を除き、ビーズを100μLの洗浄緩衝液(10mM Tris−HCl(pH7.5)、0.15M LiCl、1mM EDTA)で洗浄した。相補的DNA(cDNA)を40μLの反応液において合成した。反応液は、50mMのTris−HCl(pH8.3)、75mMのKCl、3mMのMgCl、10mMのDTT、2ユニットのRNasin(Promega、Madison、WI)、20ユニットのSuperscriptII(Invitrogen、Carlsbad、CA)、0.5mMのdATP、0.5mMのdCTP、0.5mMのdGTP、0.5mMのdTTP、および上記から得られたオリゴdT結合RNAを含有した。cDNA反応液は、絶えず回転させながら42℃で60分間インキュベーションされた。ヒト重鎖γ定常領域(C1C2C3)を、上流側プライマーhCH15’sr(配列番号19)(これはγ定常鎖の5’末端にアニーリングし、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「GC」の5’伸張(式中、「G」はグアニンであり、「C」はシトシンである)が生じるようにされている)と、下流側プライマーhCH3avr3’(配列番号20)(これはγ定常鎖の3’末端にアニーリングし、その後のクローニングのために終結コドンの下流側にAvrII部位を含む)とを用いてPCR増幅した。50μLのPCR反応液は、0.4μMのhCH15’sr、0.4μMのhCH3avr3’、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および2μLの調製されたcDNAを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、48℃で30秒間、72℃で45秒間からなる30サイクル、そして72℃で5分のインキュベーションで増幅された。所望される約1.0Kbのフラグメントの増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。増幅されたヒト重鎖定常ドメインを製造者の説明書に従ってpCR4−TOPO(Invitrogen)にクローン化して、プラスミドphCHTOPO(配列番号57)を作製した。簡単に記載すると、1μLのPCR産物、1μLのベクター、1μLの塩溶液、および2μLの水を混合して、室温で5分間インキュベーションした。連結液を氷上に置き、25μLの化学的にコンピテントなTop10細胞を連結液に加え、混合物を氷上で10分間インキュベーションした。形質転換反応液を、42℃で30秒間インキュベーションすることによって熱ショック処理して、直ちに氷上に置き、250μLのSOCを加えた。形質転換は、20分間の200rpmでの振とうを行いながら37℃でインキュベーションすることによって回復させられた。形質転換液を、アンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを使用して、14mLの培養チューブにおいて、100μg/mLのアンピシリンを含有する4.0mLのLuria Broth(LB)に接種し、37℃および300rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、QIAspin Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製した。簡単に記載すると、細胞をプレート遠心分離機において3Krpmで15分間の遠心分離によってペレット化した。上清を細胞ペレットから捨て、細胞をボルテックス処理によって250μLのP1緩衝液に再懸濁した。250μLのP2を細胞に加え、倒置することによって混合し、5分間インキュベーションして細胞を溶解した。350μLのN3を細胞溶解物に加え、倒置することによって混合し、遠心分離機で、15Krpmで10分間、遠心分離した。上清をQIAspinカラムに移し、遠心分離機で、14Krpmで1分間、遠心分離した。カラムを0.75mLのPBで洗浄し、その後、0.75mLのPEで2回洗浄し、乾燥した。100μLのEB緩衝液を精製プラスミドに加え、1分間インキュベーションし、続いて、15Krpmで1分間、遠心分離して、精製プラスミドを溶出した。精製されたphCHTOPOプラスミドは、ヒトγIgG1重鎖定常配列を確認するために、標準的な方法を使用する核酸決定に供された。
KP6プロペプチドコード配列を、上流側プライマーKP6v15’sr(これは、KP6プロペプチドコード配列の5’末端にアニーリングして、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「GCG」の5’伸張(式中、「G」はグアニンであり、「C」はシトシンである)が生じるように設計された)と、下流側プライマーKP6v13’sr(配列番号24)(これは、KP6プロペプチドコード配列の3’末端にアニーリングして、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「CC」の5’伸張(式中、「C」はシトシンである)が生じるように設計された)とを用いてプラスミドpLSBC1731からPCR増幅した。あるいは、KP6プロペプチドコード配列を、上流側プライマーKP6v15’srと、下流側プライマーKP6v23’sr(配列番号15)(これは、KP6プロペプチドコード配列の3’末端にアニーリングして、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「CC」の5’伸張(式中、「C」はシトシンである)が生じるように設計された)とを用いてプラスミドpLSBC1731からPCR増幅した。ヒトκ軽鎖定常ドメイン(C)を、上流側プライマーHuCL5’sr(配列番号21)(これは(C)ドメインの5’末端にアニーリングし、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「CG」の5’伸張(式中、「G」はグアニンであり、「C」はシトシンである)が生じるようにされている)と、下流側プライマーHuCL3’sr(配列番号22)(これは、(C)ドメインの3’末端にアニーリングして、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「CGC」の5’伸張(式中、「G」はグアニンであり、「C」はシトシンである)が生じるように設計されている)とを用いてプラスミドhuscFabm1A6(配列番号59)からPCR増幅した。あるいは、ヒトκ軽鎖定常ドメイン(C)を、上流側プライマーHuCL5’srと、下流側プライマーHuCLv23’sr(配列番号16)(これは、(C)ドメインの3’末端にアニーリングして、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「CGC」の5’伸張(式中、「G」はグアニンであり、「C」はシトシンである)が生じるように設計されている)とを用いてプラスミドhuscFabm1A6(配列番号59)からPCR増幅した。別個の50μLのPCR反応液は、0.4μMの上流側プライマー、0.4μMの下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および0.01μLのテンプレートプラスミドを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で15秒間、72℃で20秒間からなる25サイクル、そして72℃で2分、増幅された。所望される約120bpのKP6プロペプチドコード配列および300bpのヒトκC配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。
9E10の軽鎖可変ドメイン(V)を、上流側プライマー9E10Lngo5’(配列番号10)(これは、α−アミラーゼのシグナルペプチドを含有するベクターpLSBC1767へのクローニングのために適合し得るNgoMIV部位を含有する)と、下流側プライマー9E10L3’sr(配列番号11)(これは、(V)ドメインの3’末端にアニーリングして、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「GC」の5’伸張(式中、「G」はグアニンであり、「C」はシトシンである)が生じるように設計されている)とを用いてプラスミドpLSBC1736からPCR増幅した。NgoMIV部位はシグナルペプチドを軽鎖の9E10可変領域のFR1に連結して、ERへの人工プロタンパク質の分泌を行わせる。9E10の重鎖可変ドメイン(V)を、上流側プライマー9E10H5’srs(配列番号12)(これはC配列の5’末端にアニーリングし、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「GG」の5’伸張(式中、「G」はグアニンである)が生じるようにされている)と、下流側プライマー9E10H3’sr(配列番号13)(これはVコード配列の3’末端にアニーリングし、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「CG」の5’伸張(式中、「G」はグアニンであり、「C」はシトシンである)が生じるようにされている)とを用いてプラスミドpLSBC1736からPCR増幅した。
ヒト重鎖γ定常領域(C1C2C3)を、上流側プライマーhCH15’srと、下流側プライマーhCH3avr3’とを用いてプラスミドphCHTOPOからPCR増幅した。別個の50μLのPCR反応液を、9E10のV、9E10のVc、およびphCHTOPOのγ定常ドメインを増幅するために組み立てた。反応液は、0.4μMの上流側プライマー、0.4μMの下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および0.01μLのテンプレートプラスミドを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で15秒間、72℃で20秒間からなる25サイクル、そして72℃で2分、増幅された。所望される約350bpの9E10V配列、380bpの9E10V配列、および1.0Kbのヒトγ定常配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。
増幅されたKP6プロペプチドコード配列、ヒトκC配列、9E10V配列、9E10V配列およびヒトγ定常配列を、Strataprep PCR精製キット(Stratagene、La Jolla、California)を製造者の推奨法に従って使用して精製した。簡単に記載すると、等容量のDNA結合溶液をPCR産物に加え、混合して、スピンカラムに移した。カラムを、14Krpmで30秒間、遠心分離した。カラムを750μLの洗浄緩衝液で2回洗浄し、30秒間、遠心分離して、乾燥させた。50μLの溶出緩衝液をカラムに加え、PCRフラグメントを14Krpmで30秒間の遠心分離によって溶出させた。
精製されたPCR増幅フラグメントを別々の20μLの連結反応において連結した。第1の反応液は、0.3μLの9E10VのPCRフラグメント、HuCL3’srで開始されたヒトκCのPCRフラグメントの1μL、KP6v13’srで開始されたKP6プロペプチドのPCRフラグメントの1μL、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、0.2mMのdTTP、0.2mMのdATP、1mMのATP、0.6ユニットのT4DNAポリメラーゼ、1.2ユニットのT4DNAリガーゼ、および1.2ユニットのポリヌクレオチドキナーゼを含有した。第2の反応液は、0.3μLの9E10VのPCRフラグメント、HuCLv23’srで開始されたヒトκCのPCRフラグメントの1μL、KP6v23’srで開始されたKP6プロペプチドのPCRフラグメントの1μL、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、0.2mMのdTTP、0.2mMのdATP、1mMのATP、0.6ユニットのT4DNAポリメラーゼ、1.2ユニットのT4DNAリガーゼ、および1.2ユニットのポリヌクレオチドキナーゼを含有した。反応液は室温で1時間インキュベーションされた。第1の反応液は上流側プライマー9E10Lngo5’および下流側プライマーKP6v13’srを用いてPCR増幅され、第2の反応液は上流側プライマー9E10Lngo5’および下流側プライマーKP6v23’srを用いてPCR増幅された。これらは、0.4μMの上流側プライマー、0.4μMの下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および1μLのテンプレートプラスミドを含有する50μLのPCR反応液において行われた。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で15秒間、72℃で20秒間からなる25サイクル、そして72℃で2分の最後の工程で増幅された。反応液を、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1%アガロースゲルで電気泳動した。800bpのPCR増幅された9E10V−ヒトC−KP6フラグメントをゲルから切り出し、MinEluteゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロース片から精製した。簡単に記載すると、3容量のQG緩衝液をゲルフラグメントのそれぞれに加え、混合物を、時々撹拌しながら50℃で10分間インキュベーションした。ゲル片の体積に等しい体積のイソプロパノールを、溶解されたゲル片に加え、混合して、カラムに加え、14Krpmで1分間遠心分離した。カラムを500μLの緩衝液QBで洗浄し、その後、750μLのPEで洗浄し、精製フラグメントを10μLのEBにおいて溶出させた。1μLの9E10VのPCRフラグメント、1μLのヒトγ重鎖定常PCRフラグメント、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、0.2mMのdTTP、0.2mMのdATP、1mMのATP、0.6ユニットのT4DNAポリメラーゼ、1.2ユニットのT4DNAリガーゼ、および1.2ユニットのポリヌクレオチドキナーゼを含有する別個の20μLの連結反応液を室温で1時間インキュベーションした。連結液を、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1%アガロースゲルで電気泳動した。1.4Kbpの連結された9E10V−ヒトγ定常フラグメントをゲルから切り出し、以前に記載されたように、MinEluteゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロース片から精製し、精製フラグメントを10μLのEBにおいて溶出させた。
精製された9E10V−ヒトC−KP6の9E10Lngo5’−KP6v13’srによる増幅フラグメントと、9E10V−ヒトγ定常フラグメントとを、9E10V−ヒトC−KP6の9E10Lngo5’−KP6v13’srによる増幅フラグメントの7μL、6μLの9E10V−ヒトγ定常フラグメント、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、0.2mMのdTTP、0.2mMのdATP、1mMのATP、0.6ユニットのT4DNAポリメラーゼ、1.2ユニットのT4DNAリガーゼ、および1.2ユニットのポリヌクレオチドキナーゼを含有する20μLの連結反応液において連結した。別個の反応において、精製された9E10V−ヒトC−KP6の9E10Lngo5’−KP6v23’srによる増幅フラグメントと、9E10V−ヒトγ定常フラグメントとを、9E10V−ヒトC−KP6の9E10Lngo5’およびKP6v23’srによる増幅フラグメントの7μL、6μLの9E10V−ヒトγ定常フラグメント、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、0.2mMのdTTP、0.2mMのdATP、1mMのATP、0.6ユニットのT4DNAポリメラーゼ、1.2ユニットのT4DNAリガーゼ、および1.2ユニットのポリヌクレオチドキナーゼを含有する20μLの連結反応液において連結した。反応液は室温で1時間インキュベーションされた。反応液は、上流側プライマー9E10Lngo5’および下流側プライマーhCH3avr3’を用いて別個の50μLの反応液においてPCR増幅され、0.4μMの上流側プライマー、0.4μMの下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および1μLのテンプレートプラスミドを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で15秒間、72℃で60秒間からなる15サイクル、そして72℃で2分の最後の工程で増幅された。所望される約2.1Kbの連結生成物の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。PCR増幅産物を、以前に記載されたように、Strataprep PCR精製キット(Stratagene)を製造者の推奨法に従って使用して精製し、30μLの水において溶出させた。9E10V−ヒトC−KP6の9E10Lngo5’−KP6v13’srによる増幅フラグメントと、9E10V−ヒトγ定常フラグメントとの連結から得られたPCR増幅産物を、製造者の説明書に従ってpCR4−TOPO(Invitrogen)にクローン化して、プラスミドp9E10chimericv1−1(配列番号61)を作製した。別個の反応において、9E10V−ヒトC−KP6の9E10Lngo5’−KP6v23’srによる増幅フラグメントと、9E10V−ヒトγ定常フラグメントとの連結から得られたPCR増幅産物を、製造者の説明書に従ってpCR4−TOPO(Invitrogen)にクローン化して、プラスミドp9E10chimericv2−1(配列番号63)を作製した。簡単に記載すると、0.5μLのPCR産物、1μLのベクター、1μLの塩溶液、および2.5μLの水を混合して、室温で5分間インキュベーションした。連結液を氷上に置き、25μLの化学的にコンピテントなTop10細胞を連結液に加え、混合物を氷上で10分間インキュベーションした。形質転換反応液を、42℃で30秒間インキュベーションすることによって熱ショック処理して、直ちに氷上に置き、250μLのSOCを加えた。形質転換は、20分間の200rpmでの振とうを行いながら37℃でインキュベーションすることによって回復させられた。形質転換液を、アンピシリンを含有するLB平板に置床して、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを使用して、14mLの培養チューブにおいて、100μg/mLのアンピシリンを含有する4.0mLのLuria Broth(LB)に接種し、37℃および300rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたように、QIAspin Miniprepキット(QIAGEN)を使用して混濁培養物から精製し、50μLのEBにおいて溶出させた。精製されたp9E10chimericv1−1プラスミドおよびp9E10chimericv2−1プラスミドは、標準的な方法を使用する核酸決定に供された。
キメラな9E10V−ヒトC−KP6−9E10Vをコードする配列を、プラスミドp9E10chimericv1−1およびプラスミドp9E10chimericv2−1から、上流側プライマー9E10Lngo5’および下流側プライマー9E10H3’srを用いた別々の反応液においてPCR増幅した。ヒト重鎖γ定常領域(C1C2C3)を、上流側プライマーhCH15’srおよび下流側プライマーhCH3avr3’を用いてプラスミドphCHTOPOからPCR増幅した。別々の50μLのPCR反応液は、0.4μMの上流側プライマー、0.4μMの下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および0.5μLのテンプレートプラスミドを含有した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で15秒間、72℃で40秒間からなる15サイクル、そして72℃で2分間の最後の工程で増幅された。所望される約1.1Kbの9E10V−ヒトC−KP6−9E10Vコード配列および1.0Kbのヒトγ定常配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。PCR増幅産物を、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1%アガロースゲルで電気泳動した。1.1Kbの9E10V−ヒトC−KP6−9E10Vコード配列および1.0Kbのヒトγ定常配列をゲルから切り出し、以前に記載されたように、MinEluteゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロース片から精製し、精製フラグメントを10μLのEBにおいて溶出させた。プラスミドp9E10chimericv1−1から増幅され、精製された1.1Kbの9E10V−ヒトC−KP6−9E10Vコード配列と、精製された1.0Kbのヒトγ定常配列フラグメントとを、1.5μLの各フラグメント、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、0.2mMのdTTP、0.2mMのdATP、1mMのATP、0.6ユニットのT4DNAポリメラーゼ、1.2ユニットのT4DNAリガーゼ、および1.2ユニットのポリヌクレオチドキナーゼを含有する20μLの連結反応液において連結した。反応液は室温で2時間インキュベーションされた。別個の反応において、プラスミドp9E10chimericv2−1から増幅され、精製された1.1Kbの9E10V−ヒトC−KP6−9E10Vコード配列と、精製された1.0Kbのヒトγ定常配列フラグメントとを、1.5μLの各フラグメント、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、0.2mMのdTTP、0.2mMのdATP、1mMのATP、0.6ユニットのT4DNAポリメラーゼ、1.2ユニットのT4DNAリガーゼ、および1.2ユニットのポリヌクレオチドキナーゼを含有する20μLの連結反応液において連結した。反応液は室温で2時間インキュベーションされた。反応液を75℃で15分間インキュベーションして、酵素を不活性化した。20μLの連結反応液を、50mM酢酸ナトリウム、20mMトリス−酢酸(pH7.9)、1mMのDTT、10mM酢酸マグネシウムに調節し、続いて、10ユニットのNgoMIV、4ユニットのAvrIIおよび10ユニットのDpnIを用いて37℃で2時間、消化した。この制限消化により、9E10キメラMAbプロタンパク質をpLSBC1767にクローン化するための適合性末端が作製される。反応物を、以前に記載されたように、MinEluteゲル抽出キットを使用してゲル単離した。NgoMIVおよびAvrIIによる消化フラグメントの回収がゲル電気泳動によって確認された。pLSBC1767から得られる約2.1Kbの、NgoMIVおよびAvrIIによる消化フラグメントを上記と同様にして調製し、2.1Kbのフラグメントをアガロースゲル電気泳動によって確認した。
p9E10chimericv1−1に由来する2.1Kbの、NgoMIVおよびAvrIIによる9E10キメラMAbプロタンパク質を、NgoMIVおよびAvrIIにより調製されたpLSBC1767プラスミドにクローン化して、pLSBC2500を作製した。p9E10chimericv2−1に由来する2.1Kbの、NgoMIVおよびAvrIIによる9E10キメラMAbプロタンパク質を、NgoMIVおよびAvrIIにより調製されたpLSBC1767プラスミドにクローン化して、pLSBC2502を作製した。6μLの調製されたインサート、2μLのpLSBC1767ベクター、800ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する別々の30μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。エレクトロコンピテントなJM109細胞への細菌形質転換を、以前に記載されたようにGene Pulserエレクトロポレーター(BioRad)を用いて行った。プラスミドを、以前に記載されたように、QIAprep Spin Miniprepキット(QIAGEN)を使用して混濁培養物から精製し、50μLの緩衝液EBを用いて溶出した。クローンは、2.1Kbのインサートフラグメントおよび9.7Kbのベクターフラグメントを含有することが、NgoMIVおよびAvrIIを用いた制限酵素マッピング、その後のアガロースゲル電気泳動によって確認された。pSLBC2500およびpSLBC2502における9E10キメラMAbプロタンパク質は、配列を確認するために、標準的な方法を使用して配列決定された。
(pSLBC2505の構築)
9E10キメラFabプロタンパク質をコードする配列を、上流側プライマー9E10Lngo5’および下流側プライマーhCHC2avr3’(配列番号25)(これはC1コード配列の3’末端にアニーリングし、終結コドン、および、その後に、ベクターpLSBC1767へのクローニングのために適合し得るAvrII部位を含む)を用いてプラスミドp9E10chimericv2−1からPCR増幅した。p9E10chimericv2−1に由来する9E10キメラFabプロタンパク質コード配列を50μLの反応液においてPCR増幅した。反応液は、0.8μMの上流側プライマー、0.8μMの下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および0.05μLのテンプレートプラスミドを含有する。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で15秒間、72℃で30秒間からなる25サイクル、そして72℃で2分の最後の工程で増幅された。所望される約1.4Kbの9E10キメラFabプロタンパク質コード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。PCR増幅産物を、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1%アガロースゲルで電気泳動し、増幅された1.4Kbの9E10キメラFabプロタンパク質コード配列を、以前に記載されたように、Strataprep PCR精製キット(Stratagene)を製造者の推奨法に従って使用して精製した。調製されたPCR増幅産物はそれぞれがNgoMIVおよびAvrIIで消化された。3μLの調製されたPCRフラグメント、10ユニットのNgoMIV、4ユニットのAvrII、50mM酢酸カリウム、20mMトリス−酢酸、10mM酢酸マグネシウム、1mMのDTTを含有する20uLの反応液を37℃で2時間インキュベーションした。消化生成物を、TAEおよび0.5μg/mLの臭化エチジウムを用いて1%アガロースゲルで電気泳動した。1.4Kbの9E10キメラFabプロタンパク質コード配列をゲルから切り出し、以前に記載されたようにMinEluteゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロース片から精製し、精製フラグメントを10μLのEBにおいて溶出させた。
p9E10chimericv2−1に由来する、9E10Lngo5’プライマーおよびhCHC2avr3’プライマーにより増幅された1.4Kbの、NgoMIVおよびAvrIIのPCR増幅9E10キメラFabプロタンパク質を、NgoMIVおよびAvrIIにより調製されたpLSBC1767プラスミドにクローン化して、pLSBC2505を作製した。4μLの調製されたインサート、2μLのpLSBC1767ベクター、800ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する30μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。エレクトロコンピテントなJM109細胞への細菌形質転換を、以前に記載されたようにGene Pulserエレクトロポレーター(BioRad)を用いて行った。プラスミドを、以前に記載されたように、QIAprep Spin Miniprepキット(QIAGEN)を使用して混濁培養物から精製し、50μLの緩衝液EBを用いて溶出した。クローンは、1.4Kbのインサートフラグメントおよび9.7Kbのベクターフラグメントを含有することが、NgoMIVおよびAvrIIを用いた制限酵素マッピング、その後のアガロースゲル電気泳動によって確認された。pSLBC2505における9E10キメラMAbプロタンパク質は、配列を確認するために、標準的な方法を使用して配列決定された。
(実施例16)
(プロペプチド配列変化体を含有するFABのクローニングおよび発現分析)
(pLSBC2511(配列番号65)およびpLSBC2512(配列番号67)の構築)
9E10キメラFabプロタンパク質をコードする配列を、上流側プライマー9E10Lngo5’および下流側プライマーch1Ctavr3’(配列番号18)(これはC1コード配列の3’末端にアニーリングし、終結コドン、および、その後に、ベクターpLSBC1766(配列番号89)へのクローニングのためのAvrII部位を含む)を用いてプラスミドpLSBC2500からPCR増幅した。あるいは、9E10キメラFabプロタンパク質をコードする配列を、上流側プライマー9E10Lngo5’および下流側プライマーch1Ctavr3’を用いてプラスミドpLSBC2505からPCR増幅した。pLSBC2500およびpLSBC2505から得られる9E10キメラFabプロタンパク質コード配列を、0.8μMの上流側プライマー、0.8μMの下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1.8ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および0.03μLのテンプレートプラスミドを含有する別個の反応液においてPCR増幅した。PCR反応液は、97℃で1分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間からなる15サイクル、そして72℃で5分の最後の工程で増幅された。pLSBC2500およびpLSBC2505の所望される約1.4Kbの9E10キメラFabプロタンパク質コード配列の増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。一連のフェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿が、以前に記載されたように、PCR増幅産物に対して行われた。pLSBC2500およびpLSBC2505の調製されたPCR増幅産物はそれぞれがNgoMIVおよびAvrIIで消化された。10μLの調製されたPCRフラグメント、10ユニットのNgoMIV、4ユニットのAvrII、50mM酢酸カリウム、20mMトリス−酢酸、10mM酢酸マグネシウム、1mMのDTTを含有する別個の25uLの反応液を37℃で2時間インキュベーションして、1.0%アガロースゲルで電気泳動した。ゲルを、GelStar(Cambrex Bio Science)を製造者の説明書に従って用いて染色した。約1.4Kbのフラグメントを、QIAquickゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロースから単離した。NgoMIV/AvrIIによる消化フラグメントの回収がゲル電気泳動によって確認された。
pLSBC2500に由来する1.4Kbの、NgoMIV/AvrIIにより調製された9E10キメラFabプロタンパク質を、NgoMIV/AvrIIにより調製されたpLSBC1766プラスミドにクローン化して、pLSBC2511(配列番号65)を作製した。pLSBC2505に由来する1.4Kbの、NgoMIV/AvrIIにより調製された9E10キメラFabプロタンパク質を、NgoMIV/AvrIIにより調製されたpLSBC1766プラスミドにクローン化して、pLSBC2512(配列番号67)を作製した。NgoMIV/AvrIIにより調製された9E10キメラFabプロタンパク質インサートの10μL、NgoMIV/AvrIIにより調製されたpLSBC1766の0.4μg、800ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する別個の50μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。連結反応液を、4容量のエタノールおよび0.67容量の5M酢酸NHを用いてエタノール沈殿し、遠心分離によってペレット化し、70%エタノールで洗浄した。洗浄されたペレットを6μLの10mM Tris−HCL(pH8.0)に再懸濁した。
(pLSBC2514(配列番号69)の構築)
KP6プロペプチドコード配列を、上流側プライマーKP6v15’sr(配列番号23)と、下流側プライマーnatKp6Ct3’(配列番号28)(これは、KP6プロペプチドコード配列の3’末端にアニーリングして、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「GCC」の5’伸張(式中、「G」はグアニンであり、「C」はシトシンである)が生じるように設計された)とを用いてプラスミドpLSBC2500からPCR増幅した。9E10キメラ軽鎖を、上流側プライマー9E10Lngo5’と、下流側プライマーNatKp6Nt3’(配列番号26)(これは、KP6プロペプチドコード配列の5’末端にアニーリングして、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「CGC」の5’伸張(式中、「G」はグアニンであり、「C」はシトシンである)が生じるように設計された)とを用いてプラスミドpLSBC2500からPCR増幅した。NgoMIV部位はシグナルペプチドを9E10可変軽鎖領域のFR1に連結し、ERへの人工プロタンパク質の分泌を行わせる。9E10キメラFd重鎖(V1)を、下流側プライマーch1Ctavr3’と、上流側プライマーNatKp6Ct5’(配列番号27)(これは、KP6プロペプチドコード配列の5’末端にアニーリングして、その結果、T4DNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性による処理により、「CGG」の5’伸張(式中、「G」はグアニンであり、「C」はシトシンである)が生じるように設計された)とを用いてプラスミドpLSBC2500からPCR増幅した。KP6プロペプチドコード配列、9E10キメラFd重鎖配列、および9E10キメラκ軽鎖配列を、0.8μMの上流側プライマー、0.8μMの下流側プライマー、MgClを伴う1XのExpand High Fidelity緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、1.8ユニットのExpand High Fidelityポリメラーゼ、および0.03μLのテンプレートプラスミドを含有する別個の25μLのPCR反応液において増幅した。PCR反応液は、97℃で2分間、その後、95℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間からなる15サイクル、そして72℃で2分の最後の工程で増幅された。所望される約100bpのKP6プロペプチドフラグメント、700bpの9E10キメラFdフラグメント、および700bpの9E10キメラ軽鎖フラグメントの増幅がアガロースゲル電気泳動によって確認された。
PCR増幅されたKP6プロペプチドコードフラグメント、9E10キメラ重鎖Fdフラグメント、および9E10キメラκ軽鎖フラグメントをDpnIで消化した。5ユニットのDpnIを各PCR反応液に加え、37℃で1時間インキュベーションし、その後、80℃で20分間インキュベーションした。DpnI消化されたPCRフラグメントをフェノール・クロロホルム抽出し、その後、エタノール沈殿した。ペレットを20μLの10mM Tris−HCL(pH8.0)に再懸濁した。
精製されたPCR増幅フラグメントを20μLの連結反応液において連結した。反応液は、18ngのKP6プロペプチドフラグメント、126ngの9E10キメラFdフラグメント、126ngの9E10キメラ軽鎖フラグメント、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、0.2mMのdTTP、0.2mMのdATP、1mMのATP、0.6ユニットのT4DNAポリメラーゼ、1.2ユニットのT4DNAリガーゼ、および1.2ユニットのT4ポリヌクレオチドキナーゼを含有した。反応液を23℃で1.5時間インキュベーションし、その後、75℃で15分間、熱不活性化した。所望される約1.4Kbの9E10キメラFabプロタンパク質フラグメントの連結がアガロースゲル電気泳動によって確認された。一連のフェノール・クロロホルム抽出を、連結生成物に対して行い、その後、エタノール沈殿した。ペレットを、10ユニットのNgoMIV、4ユニットのAvrII、50mM酢酸カリウム、20mMトリス−酢酸、10mM酢酸マグネシウム、1mMのDTTを含有する25μLの反応液において消化した。消化液を37℃で2時間インキュベーションして、1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約1.4Kbのフラグメントを分離した。ゲルはGelStar(Cambrex Bio Science)で染色され、約1.4Kbのフラグメントを単離した。フラグメントを、QIAquickゲル抽出キットを製造者の説明書に従って使用してアガロースから精製した。NgoMIV/AvrIIによる消化フラグメントの回収がゲル電気泳動によって確認された。pLSBC2500から得られる調製された1.4kbの、NgoMIV/AvrIIにより調製された9E10キメラFabプロタンパク質を、NgoMIV/AvrIIにより調製されたpLSBC1766プラスミドにクローン化して、pLSBC2514(配列番号69)を作製した。NgoMIV/AvrIIにより調製された9E10−HumキメラFabフラグメントの15μL、NgoMIV/AvrIIにより調製されたpLSBC1766の0.4μg、800ユニットのT4DNAリガーゼ、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl、25μg/mLのBSA、10mMのDTT、1mMのATPを含有する50μLの連結反応液を14℃で一晩インキュベーションした。連結反応液をエタノール沈殿し、ペレットを6μLの10mM Tris−HCL(pH8.0)に再懸濁した。
(pLSBC2511、pLSBC2512およびpLSBC2514)
pLSBC2511、pLSBC2512およびpLSBC2514の各連結物を別々の反応液において使用して、エレクトロコンピテントなJM109細胞を形質転換した。形質転換は、以前に記載されたように、Gene Pulserエレクトロポレーター(BioRad)を用いて行われた。個々のコロニーを選び、これを使用して、14mLチューブにおいて、200μg/mLのカルベニシリンを含有する4mLのLBに接種し、37℃および300rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたように、QIAprep Spin Miniprepキット(QIAGEN)を使用して混濁培養物から精製して、50μLの緩衝液EBを用いて溶出した。クローンは、1.4Kbのインサートフラグメントおよび9.7Kbのベクターフラグメントを含有することが、NgoMIVおよびAvrIIを用いた制限酵素マッピング、その後のアガロースゲル電気泳動によって確認された。9E10キメラFabプロタンパク質は、配列を確認するために、標準的な方法を使用して配列決定された。
感染性の転写物を、mMessage mMachine T7キット(Ambion、Austin、TX)を製造者の説明書に従って使用して、pLSBC2511クローン、pLSBC2512クローンおよびpLSBC2514クローンからインビトロで合成した。簡単に記載すると、2μLの10X反応緩衝液、10μLの2X NTP/CAPミックス、2μLの酵素ミックス、および4μLのプラスミドを含有する20μLの反応液を37℃で1時間インキュベーションした。合成された転写物を、0.1MのNaHPO−NaHPO(pH7.0)、0.5mg/mLの精製U1コートタンパク質(LSBC、Vacaville、CA)を含有する200μLの反応液においてカプシド化した。反応液は室温で一晩インキュベーションされた。200μLのFES(0.1Mのグリシン、60mMのKHPO、22mMのNa、10g/Lのベントナイト、10g/Lのセライト545)をそれぞれのカプシド化された転写物に加えた。それぞれの個々のクローンから得られたカプシド化転写物を使用して、CaMV35Sプロモーターにより駆動され、NOSターミネーターを含有するTMV30K移動タンパク質を導入遺伝子として発現する植え付け後22日目の4つのニコチアナ・ベンタミアナ(これは、標準的な形質転換技術によって作製された)に接種した。高レベルのサブゲノムRNA種がウイルス感染植物細胞において合成された(Kumagai,MH.他(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:427〜430)。これは、Fabタンパク質の翻訳および続く蓄積のためのテンプレートとして使用される。
各植物の感染した葉に由来する間質液を接種後7日目に集め、クーマシー染色されたタンパク質ゲルによってスクリーニングした。4つの個々の植物のそれぞれに由来する全身感染した上部の葉を集めた。分泌タンパク質の画分、すなわち、間質液(IF)を抽出し、組換えタンパク質の存在について分析した。葉組織をGF/Bの0.8mL Unifilter(Whatman、Clifton、NJ)に入れ、20mMのTris−HCl(pH7.0)で覆い、760mmHgの真空に30秒間にわたって供した。真空を解き、そして、組織に緩衝液を完全に浸潤させるために3回、真空を再び加えた。残留する緩衝液を捨て、組織をプレート遠心分離機における400rpmで1分間の遠心分離によって乾燥させた。IF画分が、プレート遠心分離機における3Krpmで10分間の遠心分離によって96ウエルマイクロプレートに回収された。20μLの各IFサンプルを、還元性ゲルについては10%の2−メルカプトエタノールを含有する5μLの5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製し、その後、2分間、煮沸した。サンプルは10〜20%のグラジエントCriterionゲル(Bio−Rad)で分離され、タンパク質をクーマシーR−250ブリリアントブルー染色によって検出した。約25KDaおよび27KDaにおける還元性ゲルのタンパク質結合は、所望される25KDa重鎖Fdおよび27KDa軽鎖の存在を示している。
(実施例17)
(アグロインフィルトレーション(agroinfiltration)による植物細胞における9E10FAbのプレプロタンパク質発現)
pLSBC1736から得られる9E10のFAb構築物が、PacIおよびAvrIIの制限酵素を使用して、pBI121由来のT−DNAベクター(Jefferson,R.A.他、EMBO J、6(1987)、3901〜3907)に導入される。この場合、発現が35Sプロモーターによって駆動されるように、GUS遺伝子がFAb配列によって置換される。T−DNA構築物は、pCH32(Hamilton,C.M.他、Proc Natl Acad Sci USA、93(1996)、9975〜9)を保有するアグロバクテリウム(Agrobacterium)C58C1株にエレクトロポレーションによって形質転換される。アグロバクテリウムは培養で成長させられ、ニコチアナ・ベンタミアナの葉をアグロインフィルトレーションするために使用される(Scofield,S.R.他、Science、274(1996)、2063〜5;Tang,X.他、Science、274(1996)、2060〜3;Bendalmane,A.他、Plant Cell、11(1999)、781〜791)。2日後、タンパク質が葉から抽出され、得られた抽出物は、所望される遺伝子産物の発現を分析するために、例えば、SDS−PAGEおよびウエスタンブロットによって、あるいは逆相HPLC分析によって分析される。
(実施例18)
(遺伝子組換え植物における植物細胞での9E10FAbのプレプロタンパク質発現)
実施例17から得られるT−DNA構築物を保有するアグロバクテリウム株を使用して、ニコチアナ・ベンタミアナの葉ディスクが形質転換され、遺伝子組換え植物が再生させられる(Horsch,R.B.他、Science、227(1985)、1229〜1231)。遺伝子組換え植物から得られる葉は、FAbを得るために抽出される。得られた抽出物は、所望される遺伝子産物の発現を分析するために、例えば、SDS−PAGEおよびウエスタンブロットによって、あるいは逆相HPLC分析によって分析される。
(実施例19)
(アグロインフィルトレーションによる植物細胞における4D5モノクローナル抗体のプレプロタンパク質発現)
pLSBC1773から得られる4D5のMAb構築物が、PacIおよびAvrIIの制限酵素を使用して、pBI121由来のT−DNAベクター(Jefferson,R.A.他、EMBO J、6(1987)、3901〜3907)に導入される。この場合、発現が35Sプロモーターによって駆動されるように、GUS遺伝子がFAb配列によって置換される。T−DNA構築物は、pCH32(Hamilton,C.M.他、Proc Natl Acad Sci USA、93(1996)、9975〜9)を保有するアグロバクテリウムC58C1株にエレクトロポレーションによって形質転換される。アグロバクテリウムは培養で成長させられ、ニコチアナ・ベンタミアナの葉をアグロインフィルトレーションするために使用される(Scofield,S.R.他、Science、274(1996)、2063〜5;Tang,X.他、Science、274(1996)、2060〜3;Bendalmane,A.他、Plant Cell、11(1999)、781〜791)。2日後、タンパク質が葉から抽出され、得られた抽出物は、所望される遺伝子産物の発現を分析するために、例えば、SDS−PAGEおよびウエスタンブロットによって、あるいは逆相HPLC分析によって分析される。
(実施例20)
(遺伝子組換え植物における植物細胞での4D5モノクローナル抗体のプレプロタンパク質発現)
実施例19から得られるT−DNA構築物を保有するアグロバクテリウム株を使用して、ニコチアナ・ベンタミアナの葉ディスクが形質転換され、遺伝子組換え植物が再生させられる(Horsch,R.B.他、Science、227(1985)、1229〜1231)。遺伝子組換え植物から得られる葉は、FAbを得るために抽出される。得られた抽出物は、所望される遺伝子産物の発現を分析するために、例えば、SDS−PAGEおよびウエスタンブロットによって、あるいは逆相HPLC分析によって分析される。
(実施例21)
(4D5MAbで形質転換されたCHO細胞のプレプロタンパク質発現)
ベクターpC4が、4D5MAbプレプロタンパク質を発現させるために使用される。プラスミドpC4はプラスミドpSV2−dhfr(ATCCアクセション番号37146)の誘導体である。このプラスミドはマウスのDHFR遺伝子をSV40初期プロモーターの制御下に含有する。これらのプラスミドでトランスフェクションされている、ジヒドロ葉酸活性を有しないチャイニーズハムスター卵巣細胞または他の細胞を、化学療法剤メトトレキサートが補充された選択培地(α−MEM、Life Technologies)で細胞を成長させることによって選択することができる。メトトレキサート(MTX)に対して耐性の細胞におけるDHFR遺伝子の増幅が広く報告されている(例えば、Alt,F.W.、Kellems,R.M.、Bertino,J.R.およびSchimke,R.T.、J Biol.Chem.、253:1357〜1370(1978);Hamlin,J.L.およびMa,C.、Biochem.et Biophys.Acta、1097:107〜143(1990);Page,M.J.およびSydenham,M.A.、Biotechnology、9:64〜68)(1991)を参照のこと)。MTXの濃度を増大させた際に成長する細胞は、DHFR遺伝子の増幅の結果として標的酵素(DHFR)を過剰産生することによって薬物に対する耐性を発達させる。第2の遺伝子がDHFR遺伝子に関連づけられている場合、第2の遺伝子は、通常、同時に増幅され、かつ過剰発現する。この方法を使用して、1,000コピーを超える増幅された遺伝子を保有する細胞株を開発され得ることがこの分野では知られている。その後、メトトレキサートが取り去られたとき、宿主細胞の1つまたは複数の染色体に組み込まれている増幅された遺伝子を含有する細胞株が得られる。
プラスミドpC4は、目的とする遺伝子を発現させるために、ラウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)の強いプロモーター(Cullen他、Molec.Cell.Biol.、5:438〜447(1985))、および、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)の即時初期遺伝子のエンハンサーから単離されたフラグメント(Boshart他、Cell、41:521〜530(1985))を含有する。プロモーターの下流側には、遺伝子の組み込みを可能にする、BamHI、XbaIおよびAsp718の制限酵素切断部位が存在する。これらのクローニング部位の後には、プラスミドは、ラットインスリン遺伝子の3’イントロンおよびポリアデニル化部位を含有する。他の高効率プロモーターもまた、発現のために使用することができる:例えば、ヒトβ−アクチンプロモーター、SV40の初期プロモーターもしくは後期プロモーター、または他のレトロウイルス(例えば、HIVおよびHTL VI)から得られる長末端反復。Clontech社のTet−OffおよびTet−Onの遺伝子発現システム、ならびに類似するシステムを、哺乳動物細胞において、調節された様式で4D5MAbプレプロタンパク質を発現させるために使用することができる(Gossen,M.&Bujard,H.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:5547〜5551(1992))。mRNAのポリアデニル化のために、例えば、ヒトの成長ホルモン遺伝子またはグロビン遺伝子に由来する他のシグナルも同様に使用することができる。染色体に組み込まれた目的とする遺伝子を保有する安定な細胞株もまた、gpt、G418またはヒグロマイシンなどの選択マーカーを用いた同時トランスフェクションのときに選択することができる。開始時に2つ以上の選択マーカー(例えば、G418+メトトレキサート)を使用することは好都合である。
プラスミドpC4は制限酵素のBamHIおよびAsp718Iで消化され、次いで、この分野で知られている手法によって子ウシ小腸ホスファターゼを使用して脱リン酸化される。その後、ベクターが1%アガロースゲルから単離される。
そのリーダー配列を含む完全な4D5MAbプレプロタンパク質遺伝子をコードするDNA配列が、遺伝子の5’配列および3’配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅される。5’プライマーは、BamHI制限酵素部位、および、その後に、Kozak,M.(J.Mol.Biol.、196:947〜950(1987))によって記載されるような、真核生物における翻訳開始のための効率的なシグナル、および、4D5MAbプレプロタンパク質の配列の17塩基を含有する配列を有する。3’プライマーは、Asp718I制限部位、および、その後に、4D5MAbプレプロタンパク質遺伝子の3’末端に対して相補的なヌクレオチドを含有する配列を有する。
増幅されたフラグメントは制限酵素のBamHIおよびAsp718Iで消化され、1%アガロースゲルで精製される。その後、単離されたフラグメントおよび脱リン酸化されたベクターが、T4DNAリガーゼを用いて連結される。その後、大腸菌のHB101細胞またはXL−1Blue細胞が形質転換され、プラスミドpC4に挿入されたフラグメントを含有する細菌が、例えば、制限酵素分析を使用して同定される。
活性なDHFR遺伝子を有しないチャイニーズハムスター卵巣細胞がトランスフェクションのために使用される。5.mu.gの発現プラスミドpC4が、リポフェクションを使用して0.5.mu.gのプラスミドpSV2−neoと同時トランスフェクションされる(Felgner他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84:7413〜7417(1987))。プラスミドpSV2neoは優勢な選択マーカー(G418を含む一群の抗生物質に対する耐性を付与する酵素をコードするTn5由来のneo遺伝子)を含有する。細胞は、1mg/mlのG418が補充されたα−MEMに播種される。2日後、細胞はトリプシン処理され、10ng/ml、25ng/mlまたは50ng/mlのメトトレキサート+1mg/mlのG418が補充されたα−MEMにおいてハイブリドーマクローニングプレート(Greiner、ドイツ)に播種される。約10日後〜14日後、単一コロニーがトリプシン処理され、その後、異なる濃度のメトトレキサート(50nM、100nM、200nM、400nM、800nM)を使用する6ウエルのペトリディッシュまたは10mlのフラスコに播種される。最大濃度のメトトレキサートで成長するクローンが、その後、さらにより高い濃度のメトトレキサート(1.mu.M、2.mu.M、5.mu.M、10.mu.M、20.mu.M)を含有する新しい6ウエルプレートに移される。同じ手順が、100.mu.M〜200.mu.Mの濃度で成長するクローンが得られるまで繰り返される。所望される遺伝子産物の発現が、例えば、SDS−PAGEおよびウエスタンブロットによって、または逆相HPLC分析によって分析される。
Figure 2006506056
Figure 2006506056
(実施例22)
(植物における抗体の最適化、スクリーニングおよび産生)
抗体または抗体フラグメント(Fab)の親和性または活性が、Carter他(1992)、Proc.Natl.Acad.Sci.、第89巻(4285〜4289)において明らかにされるように、所望される特性(例えば、親和性など)を改善するために改変される。抗体(天然型、キメラ型、または、CDR交換によるヒト化型であっても)が得られると、可変重鎖および可変軽鎖の遺伝子における様々な位置が、予測された構造および既知の結晶構造の分子モデル化比較によって、抗体の構造および機能または結合に影響を及ぼすとして同定される。
同定または推定される影響誘因位置が、最適な構造的構成のための好ましいアミノ酸、そして同様に、好ましい非免疫原ヒト配列を含有するためにランダム化される。DNAシャフリング法を使用して、変化させたアミノ酸残基を任意の1つの位置に含有する多数の影響誘因位置が、これらの影響誘因部位におけるアミノ酸のすべての組合せまたは多くの組合せを含有する配列の集団を作製するために再分類される。
DNAシャフリングによって作製された抗体配列の集団が、制限非依存的付着性末端クローニングを使用してGENEWARE発現ベクターにクローン化されるプレプロタンパク質配列の集団を作製するために、実施例2に記載されるようにクローン化される。
一連のコンピューター制御ロボット、データに基づく追跡、および情報管理システムが、ハイスループット(HTP)プロセスにおいて、コロニーを選び、プラスミドクローンを調製し、配列決定し、転写し、かつ感染性の転写物をキャプシド化するために使用される。キャプシド化された転写物は、植物に感染させるために使用され、植物は続いて収穫され、葉穿孔、それに続くHTPでのIF抽出または組織ホモジネート化などのHTP様式で抽出される。
抽出物は、ELISAまたは他の好適なアッセイによって測定されるような抗原結合などの好ましい活性についてHTP様式でアッセイされる。また、活性アッセイが定量的側面を有する場合が好ましい。サンプルは、存在する抗体の量を明らかにするためにさらに評価される。これは、完全な抗体を検出するためのELISAを用いて、または他の好適なアッセイを用いて行うことができる。
同定された標的は、より多量の植物に接種して、さらなる特徴付け、前臨床評価およびプロセス開発のための精製抗体を得るために直ちに使用することができる。
同時に、発現システムは、製造のための十分に大きい規模での量を産生させるためにスケールアップされる。これには、好ましいプロタンパク質または抗体をコードする遺伝子で安定的に形質転換された植物系統を作り出すことが伴い得る。プラスミド、ウイルスおよび種子が、製造プロセスの要求を受け入れるために大規模で作製される。
(実施例23)
(濾胞刺激ホルモンプロタンパク質のクローニングおよび発現分析)
ヒト濾胞刺激ホルモンは、糖タンパク質ホルモンαサブユニットおよび濾胞刺激ホルモンβサブユニットを含有するジスルフィド連結のヘテロダイマータンパク質である。濾胞刺激ホルモンβサブユニットが、50μLのPCR反応液において、重複する合成オリゴヌクレオチドから組み立てられた。このPCR反応液は、0.1μMのKP509(配列番号98)、0.1μMのKP510(配列番号99)、0.1μMのKP511(配列番号100)、0.1μMのKP512(配列番号101)、0.1μMのKP513(配列番号102)、0.1μMのKP514(配列番号103)、0.1μMのKP517(配列番号106)、0.1μMのKP518(配列番号107)、0.1μMのKP519(配列番号108)、0.1μMのKP520(配列番号109)、0.1μMのKP521(配列番号110)、1XのThermalAce緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのThermalAce DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を含有し、98℃で3分間、その後、95℃で30秒間、50℃で30秒間、74℃で30秒間からなる20サイクル、そして74℃で5分間の最後の工程で増幅された。上記のPCR産物は、0.5μMのKP515(配列番号104)、0.5μMのKP522(配列番号111)、1μLのPCR産物、1XのPfu緩衝液、1mMのdATP、1mMのdCTP、1mMのdGTP、1mMのdTTP、3.5ユニットのPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)を含有する50μLのPCR反応液において再び増幅された。PCR反応液は、98℃で3分間、その後、95℃で30秒間、50℃で30秒間、74℃で30秒間からなる20サイクル、そして74℃で7分間の最後の工程で増幅された。PCR産物を、MinElute PCR精製キット(Qiagen)を製造者の説明書に従って使用して精製した。上記の反応から得られたPCRフラグメントを製造者の説明書に従ってpCRIIBlunt−TOPO(Invitrogen)にクローン化して、プラスミドpLSB2622を作製した。糖タンパク質ホルモンαサブユニットを、ヒトmRNAに由来するヒトcDNAクローンからPCR増幅した。0.5μMのKP516(配列番号105)、0.5μMのKP523(配列番号112)、0.3μLのプラスミドテンプレート、1XのPfu緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのPfu Ultra DNAポリメラーゼ(Stratagene)を含有する50μLのPCR反応液が、94℃で2分間、その後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間からなる25サイクル、そして72℃で7分間の最後の工程で増幅された。PCR反応液を、MinElute PCR精製キット(Qiagen)を製造者の説明書に従って使用して精製した。上記の反応から得られたPCRフラグメントを製造者の説明書に従ってpCRIIBlunt−TOPO(Invitrogen)にクローン化して、プラスミドpLSB2620を作製した。pLSB2622およびpLSB2620の各連結物を使用して、化学的にコンピテントなTop10細胞を製造者の説明書に従って形質転換した。形質転換液を、抗生物質を含有するLB平板に置床し、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、抗生物質を含有する1.0mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたようにQIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN)を使用して混濁培養物から精製した。精製されたpLSB2622プラスミドおよびpLSB2620プラスミドは、標準的な方法を使用する核酸配列決定に供された。
濾胞刺激ホルモンプロタンパク質をコードする配列を組み立てるために、pLSB2622に由来するβサブユニットを、上流側プライマーKP515(これはβサブユニット成熟型タンパク質の5’末端にアニーリングし、ベクター(pLSBC1767)へのクローニングのために適合し得るNgoMIV部位を含有する)と、KP552下流側プライマー(これはβサブユニットの3’末端にアニーリングし、終結コドンを除き、βサブユニットをKP6プロペプチドコード配列の5’末端に読み枠を一致させて融合させる)とを用いて増幅した。0.5μMのKP515、0.5μMのKP552、0.2μLのプラスミドテンプレート、1XのPfu緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのPfu Ultra DNAポリメラーゼ(Stratagene)を含有する50μLのPCR反応液が、98℃で3分間、その後、95℃で30秒間、55℃で30秒間、74℃で30秒間からなる20サイクル、そして74℃で7分間の最後の工程で増幅された。PCR反応液を、MinElute PCR精製キット(Qiagen)を製造者の説明書に従って使用して精製した。糖タンパク質ホルモンαサブユニットをプラスミドpLSB2620から増幅し、これは、上流側プライマーKP551(これはαサブユニットの5’末端にアニーリングし、αサブユニットをKP6プロペプチドコード配列の3’末端に読み枠を一致させて融合させる)と、KP523下流側プライマー(これは、翻訳終結コドン、および、その後に、その後のクローニングのためのAvrII部位を含むαサブユニットの3’末端にアニーリングする)とを用いて増幅された。0.5μMのKP551、0.5μMのKP523、0.3μLのプラスミドテンプレート、1XのThermalAce緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのThermalAce DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を含有する50μLのPCR反応液が、94℃で2分間、その後、94で30秒間、55℃で30秒間、72で30秒間からなる25サイクル、そして72℃で7分間の最後の工程で増幅された。PCR反応液を、MinElute PCR精製キット(Qiagen)を製造者の説明書に従って使用して精製した。pLSB2620およびpLSB2622から得られる上記の増幅フラグメントを配列重複伸張(SOE)によって融合した。0.5μMのKP515、0.5μMのKP523、0.1μLのpLSB2620のPCR産物、0.1μLのpLSB2622のPCR産物、1XのThermalAce緩衝液、0.2mMのdATP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdTTP、3.5ユニットのThermalAce DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を含有する50μLのPCR反応液が、94℃で2分間、その後、94で30秒間、60℃で30秒間、72で30秒間からなる25サイクル、そして72℃で7分間の最後の工程で増幅された。PCR反応液を、MinElute PCR精製キット(Qiagen)を製造者の説明書に従って使用して精製した。10μLの精製されたPCR産物、50mM酢酸カリウム、20mMトリス−酢酸(pH7.9)、1mMのDTT、10mM酢酸マグネシウム、10ユニットのNgoMIV、および4ユニットのAvrIIを含有する50μLの反応液を37℃で3時間インキュベーションし、反応液を、MinElute PCR精製キット(Qiagen)を製造者の説明書に従って使用して精製した。NgoMIVおよびAvrIIにより消化された0.7Kbの濾胞刺激ホルモンプロタンパク質コード配列をpLSBC1767に連結して、pLSB2634(配列番号96)を作製した。NgoMIVおよびAvrIIにより調製されたpLSBC1767の50ng、NgoMIVおよびAvrIIによる消化PCRフラグメントの精製物の0.2μL、1XのQuick連結緩衝液(New England Biolabs)、および1μLのQuick T4DNAリガーゼを含有する21μLの連結反応液を25℃で5分間インキュベーションした。DH5αコンピテント細胞(Invitrogen)を用いた細菌形質転換を製造者の推奨法に従って行った。細胞を、100μg/mLのアンピシリンを含有するLB平板に置床し、37℃で一晩、成長させた。個々のコロニーを使用して、96ウエルの2.0mL平底ブロックにおいて、800μg/mLのアンピシリンを含有する1mLのSuper Broth(SB)に接種し、37℃および400rpmで一晩、成長させた。プラスミドを、以前に記載されたようにQIAprep96Turbo Miniprepキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して混濁培養物から精製し、100μLのEB緩衝液において溶出させた。pLSB2634(配列番号96)クローンは、0.7Kbのフラグメントを含有することが、標準的な方法を使用して配列決定することによって確認された。
感染性の転写物を、mMessage mMachine T7キット(Ambion、Austin、TX)を製造者の説明書に従って使用して、pLSB2634からインビトロで合成した。簡単に記載すると、1μLの10X反応緩衝液、5μLの2X NTP/CAPミックス、1μLの酵素ミックス、および0.5μgのプラスミドを含有する、それぞれのプラスミドについて10μLの反応液を37℃で2時間インキュベーションした。合成された転写物を、0.1MのNaHPO−NaHPO(pH7.0)、0.5mg/mLの精製U1コートタンパク質(LSBC、Vacaville、CA)を含有する50μLの反応液においてカプシド化した。反応液は室温で一晩インキュベーションされた。0.1mLのFES(0.1Mのグリシン、60mMのKHPO、22mMのNa、10g/Lのベントナイト、10g/Lのセライト545)をそれぞれのカプシド化された転写物に加えた。それぞれの個々のクローンから得られたカプシド化転写物を使用して、植え付け後23日目のニコチアナ・ベンタミアナに接種した。高レベルのサブゲノムRNA種がウイルス感染植物細胞において合成された(Kumagai,MH.他(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:427〜430)。これは、濾胞刺激ホルモンタンパク質の翻訳および続く蓄積のためのテンプレートとして使用される。
各植物の感染した葉に由来する間質液を接種後8日目に集めた。感染植物のそれぞれに由来する全身感染した上部の葉を集めた。分泌タンパク質の画分、すなわち、間質液(IF)を抽出し、組換えタンパク質の存在について分析した。葉組織を、50mM酢酸塩(pH5.0)/400mM NaCl/0.04%メタ重亜硫酸ナトリウムで覆い、760mmHgの真空に2分間にわたって供した。真空を解き、そして、組織に緩衝液を完全に浸潤させるために3回、真空を再び加えた。IF画分が、4Krpmで20分間の遠心分離によって回収された。
10μLの各IFサンプルを、10%の2−メルカプトエタノールを含有する5μLの5Xトリス−グリシンサンプル色素の添加によってSDS−PAGE分析のために調製し、混合物を2分間、煮沸した。サンプルは10〜20%のグラジエントCriterionゲル(Bio−Rad)で分離され、タンパク質をウエスタンブロットのためにニトロセルロースメンブランに転写した。メンブランを、2.5%粉末スキムミルクおよび2.5%BSAを含有するTBSTにおいて一晩ブロッキング処理した。メンブランを1:2000希釈のウサギ抗ヒト濾胞刺激ホルモンポリクローナル血清(US Biologicals)で室温において1時間プローブした。ブロットをTBSTにおいて3回洗浄し、1:2000希釈のヤギ抗ウサギ−HRP標識ポリクローナル血清で室温において1時間プローブした。ブロットをTBSTにおいて3回洗浄し、標識されたタンパク質を、ECL+plusウエスタンブロッティング検出システム(Amersham Biosciences、Buckinghamshire、英国)を用いて検出した。抗濾胞刺激ホルモン血清により、約17KDaのβタンパク質および15KDaのαタンパク質が検出された。このことは、αサブユニットおよびβサブユニットの両方が発現し、プロセシングされ、分泌されたことを示している。
(実施例24)
(IL−12プロタンパク質のクローニングおよび発現分析)
IL−12は、35KDaのサブユニット(p35)および40KDaのサブユニット(p40)から構成されるジスルフィド連結のヘテロダイマータンパク質であり、NK細胞の細胞傷害性を増強し、また、PBLを誘導して、インターフェロン−γを産生させ、また、PBLの増殖を刺激する(Wolf他、J.of Immunol.(1991)、146(9):3074〜81)。IL−12プロタンパク質発現アセンブリーの構築が、本質的には実施例4に記載されるように行われる。IL−12のp35サブユニットが、pLSBC1767のαアミラーゼシグナルペプチドとの読み枠を一致させたクローニングのために好適な成熟型タンパク質コード配列との読み枠が一致するNgoMIV部位を含有する上流側プライマーと、下流側プライマー(これは、p35の翻訳終結コドンを除き、かつ、p35配列の3’末端を、pLSBC1731から増幅されるKP6プロペプチド配列の5’末端に融合させる)とを用いてcDNAクローンからPCR増幅される。IL−12のp40サブユニットが、上流側プライマー(これは、KP6プロペプチド配列の3’末端を、成熟型p40コード配列の5’末端との読み枠を一致させて融合する)と、下流側プライマー(これは、p40コード配列の3’末端にアニーリングし、かつ、pLSBC1767へのクローニングのために好適なAvrII部位を翻訳終結コドンの後に導入する)とを用いてcDNAクローンからPCR増幅される。PCR増幅されたp35サブユニット、pLSBC1731のKP6プロペプチドコード配列、およびp40サブユニットが、配列重複伸張(SOE)によってIL−12プロタンパク質コード配列を作製するために組み立てられる。得られたフラグメントを制限酵素で消化し、調製されたpLSBC1767ベクターにクローン化する。連結物を使用して、コンピテントな大腸菌細胞を形質転換し、形質転換体を成長させ、プラスミドDNAを、標準的な技術を使用して精製する。ウイルスベクターにおける得られたIL−12プロタンパク質アセンブリーが、mMessage mMachine T7キット(Ambion、Austin、TX)を製造者の説明書に従って使用して感染性の転写物をインビトロで合成するために使用される。合成された転写物を、精製U1コートタンパク質(LSBC、Vacaville、CA)を用いてカプシド化し、FESと混合する。それぞれの個々のクローンから得られるキャプシド化された転写物を使用して、ニコチアナ・ベンタミアナに接種した。高レベルのサブゲノムRNA種がウイルス感染植物細胞において合成された(Kumagai,MH.他(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:427〜430)。これは、IL−12タンパク質の翻訳および続く蓄積のためのテンプレートとして使用される。
感染植物の組織が集められ、タンパク質が抽出され、得られた抽出物は、IL−12遺伝子産物の発現を分析するために、例えば、SDS−PAGEおよびウエスタンブロットによって、または逆相HPLCによって分析される。
(実施例25)
(患者特異的な免疫治療におけるモノクローナル抗体およびFab)
ガンおよび感染性疾患の処置におけるモノクローナル抗体(MAb)およびポリクローナル抗体の使用は広く確立されている。これらの製造物は、悪性細胞または病原体細胞の表面における特定の標的に結合して、免疫認識および破壊のためにこれらの病原性細胞に印を付けることによってそれらの有益な作用を発揮する。標的に結合することに加えて、抗体の定常領域はまた、免疫応答のタイプ、大きさおよび持続期間を調節することを助けるエフェクター機能を果たし得る。
抗体はまた、望ましくない細胞に対する治療作用を増大させることを目的に、遺伝子レベルまたは翻訳後でのいずれかで、毒素または放射性同位体などのさらなる分子に融合することができる。従って、そのような二機能性の免疫治療剤は、抗体によってもたらされる標的化成分と、望ましくない標的細胞を破壊することにおいて大きな役割を果たし得る、毒素、酵素または放射性同位体によってもたらされる毒性負荷物とからなる。
いくつかの適用においては、完全な抗体分子を使用しないことが望ましい。標的を発見し、これと結合するその途中で微細な毛細血管床および組織を通過する免疫タンパク質の浸透は、抗体が天然に産生された天然型タンパク質のフラグメントまたはサブユニットであるならば、最も良く達成され得る。このカテゴリーにおける抗体フラグメントには、Fab、scFv、ジアボディー、テトラボディーなどが含まれ、これらはそれぞれが異なる立体配座および結合機能性を有する。
生物医学的治療において使用されるほぼすべての抗体および抗体フラグメントは、病原体細胞または標的細胞における共通する標的に結合するように設計されている。投与されたとき、抗体は、細胞集団における共通する細胞マーカーに向かって進む。これらの適用における疾患に対する特異性、すなわち、治療指数は、従って、大部分が、抗体が結合するために選択された標的細胞におけるタンパク質または構造によって決定される。例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))などの製造物は、細胞マーカーCD20をその表面に発現するすべての細胞を標的化する:例えば、この場合には免疫系のB細胞を標的化する。この製造物は、そのような共通するマーカーを標的化することによってすべてのB細胞を除去し得る。この製造物は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)を治療するために使用され、リツキシマブは、悪性B細胞ならびに非悪性B細胞を患者から除去することによって十分な効果をもたらす。B細胞NHLはクローン性疾患であるので、患者の悪性B細胞クローンが一時的に抑制される一方で、患者の免疫系の健全なB細胞部門もまた、その結果として破壊され、これにより、患者は、患者の骨髄が新しいB細胞を生じさせることができるまで一時的に免疫低下状態にされる。
免疫タンパク質はまた、標的細胞における一部の部分集団だけの表面における個々の標的タンパク質または構造を標的化するために使用することができる。例えば、抗体が悪性細胞における腫瘍特異的なマーカーに対して作製され得る場合、その細胞集団が標的化され、同じ系譜の健康な細胞は見逃される。これは、汎反応性の細胞タイプ抗原が標的化されるリツキシマブについての例と比較される高選択性の免疫治療の一例である。腫瘍または病原体に特異的な抗体は、全長サイズのMAbもしくはポリクローナル抗体、または抗体フラグメント(例えば、scFv、Fabなど)、および、この分野で記載される他の組成物であり得る。
標的化された免疫治療の具体的な一例が、使用される薬物が一人の患者にだけ作用するように選択的である患者特異的な免疫治療である。NHLの例を使用すると、抗体または抗体フラグメントが、NHLなどのクローン性腫瘍におけるマーカーを標的化するために選択され得る。すべてのB細胞は、IgMなどの免疫グロブリン分子をその表面に突き出している。それぞれのB細胞系統またはクローンは特有の抗体を産生するので、その抗体配列を、NHLにおける悪性B細胞クローンの腫瘍特異的なマーカーとして使用することができる。抗体または抗体フラグメントが、悪性B細胞腫瘍の表面における特有の免疫グロブリン配列に結合するために標的化された場合、そのような抗体または抗体フラグメントは、B細胞の悪性クローンのみに結合し、これを破壊し、その一方で、他のB細胞クローンのすべてを無視し、従って、患者の免疫系の健康なB細胞部門を見逃すことを助けることが期待され得る。そのような選択性は、体液性の免疫抑制が全くまたは最小限でしか予想されないので、リツキシマブの場合に観測されるような免疫系のB細胞部門の全面的な除去を上回る明らかな利点を有する。そのような腫瘍特異的マーカーはその患者の特定のB細胞に対して個別的であるので、投与される治療抗体は、その患者においてだけ効力を示すことが予想され、従って、この治療は患者特異的な免疫治療であると考えられる。
患者のB細胞NHL生検試料が得られ、露出したIgM(または任意の他の腫瘍特異的な抗原)が、その抗原に対して特異的に結合する全長サイズの抗体またはそのような抗体のフラグメントのいずれかを作製するために使用される。高親和性の抗体または抗体フラグメントの作製は、当業者に知られている方法によって達成することができ、そのような方法には、動物の免疫化、ファージディスプレーライブラリーのパンニングなどが含まれる。ヒト治療の場合、製造物の長期間にわたる使用に伴う免疫原性に関する潜在的な問題を防止するために、完全なヒト抗体もしくは抗体フラグメント、またはヒト化された動物由来の抗体もしくは抗体フラグメントのいずれかを使用することが好ましい。
抗体または抗体フラグメントをコードする人工的なオープンリーディングフレームを構築することができ、また、抗体または抗体フラグメントを、前記の実施例において示された方法によって作製および単離することができる。そのような患者特異的免疫治療において使用される抗体または抗体フラグメントは、そのまま使用することができ、または、より効果的な毒性負荷物を付与するために、毒素、酵素または放射性同位体のいずれかに連結された抗体媒介の標的化末端からなる二機能性薬剤の構成成分として使用することができる。毒素コンジュゲート化抗体からなる二機能性の免疫治療剤を構築するために、遺伝子レベルで、抗体または抗体フラグメントをコードする遺伝子配列を、毒素または酵素をコードする遺伝子に融合することができる。翻訳されたタンパク質は、標的に結合するIg重鎖可変領域およびIg軽鎖可変領域と、毒素または酵素に連結された抗体定常領域とからなる。抗体媒介の反応による結合成分の非常に特異的な標的化が確立されると、毒素または酵素は、その特性および作用様式に依存して、標的細胞の表面で作用するか、または、内部から細胞を破壊するために内在化される。このような治療様式で使用され得る毒素には、コレラ、ジフテリア、リシンなどが含まれる。あるいは、Ig合成後、放射性同位体または毒素または酵素をIgに化学的にコンジュゲート化して、本質的に同じ二機能性薬剤を製造することができる。このような治療において使用され得る放射性同位体には、ヨウ素、イットリウムなどが含まれる。医学的有用性を有し、かつ、規制当局により使用について承認されている毒素および放射性同位体はともに、当業者には知られている。いずれの場合でも、そのままのIgまたは二機能性のIgまたはIgフラグメントが、病気が明らかにされた患者に、おそらくは静脈内注入によって投与され、その結果、薬物は、病原体または悪性細胞の集団のみを非常に特異的に標的化し、これを破壊することができ、その一方で、非標的または健康な細胞および組織を見逃することができる。
より小さい抗体フラグメントは、浸透および透過性において、完全なIgタンパク質を上回る利点を有するが、それらの短所の1つが、抗体フラグメントは循環からより迅速に除去されるということである。標的を見出し、その標的に結合する抗体の能力は、用量、循環における時間、およびその標的に対するIgの結合親和性の関数であるので、より長い滞留時間が、より少ない用量(より少ないコスト、より低い潜在的毒性)およびより大きい効力を達成するためには望ましい。様々な配合、変化および改変が、Igの循環半減期を増大させるために使用され得る。例えば、ポリエチレングリコールが、治療タンパク質の半減期を延ばすために使用されている:例えば、インターフェロン(インターフェロン−α2a、例えば、PEG−イントロン[Schering−Plough]、Pegasys[Roche])、酵素(L−アスパラギナーゼ、例えば、ONCASPAR;アデノシンデアミナーゼ、例えば、ADAGEN[Enzon Pharmaceuticals])、ならびに合成薬物など。PEGは不活性な外皮として作用して、薬物(特にタンパク質)を免疫媒介の除去機構および他の天然の除去機構から保護する。患者特異的な抗体フラグメントのFab形態およびscFv形態を同様にPEG化して、より長い循環半減期をもたらすことができ、これにより、おそらくは必要量を少なくし(潜在的には、治療コストを下げ)、かつ、投与をより少ない頻度にすることができ、その一方では、完全なIgと比較してフラグメントのより低いMWおよびより小さいサイズによって可能になるIg薬物の毛細血管浸透および組織浸透の利点を維持することができる。PEG化は、様々なMWのPEG鎖(これは線状または分枝状、永続的または放出可能である)を、Ig、Igフラグメント、またはIgフラグメントの二機能性コンジュゲートに化学的につなぐことによって達成される。PEG化を行うための化学反応が記載されており、これもまた当業者には広く知られている。
(結論)
下記には、本発明により表される構成および方法が示される。
1.下記の4つのペプチド配列:
(a)シグナルペプチド配列、
(b)シグナルペプチド配列のc末端に結合した目的とする第1のペプチド配列、
(c)第1のペプチド配列のc末端に結合したプロペプチド配列、および
(d)プロペプチド配列のc末端に結合した目的とする第2のペプチド配列
を含み、プロペプチド配列が、目的とする第1のペプチド配列または第2のペプチド配列のいずれとも天然の状態では結合していない人工プレプロタンパク質。
2.抗体軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含み、第1のペプチドが抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドが抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかであり、しかし、第1のペプチドは第2のペプチドとは異なる、結論1の人工プレプロタンパク質。
3.抗体軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含み、第1のペプチドが抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドが抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかである、結論1の人工プレプロタンパク質。
4.第1のペプチドおよび第2のペプチドがともに重鎖ペプチドである、結論3の人工プレプロタンパク質。
5.第1のペプチドが抗体の軽鎖である、結論3の人工プレプロタンパク質。
6.Fabフラグメント軽鎖ペプチドおよびFabフラグメント重鎖ペプチドを含み、第1のペプチドがFabフラグメントの重鎖またはFabフラグメントの軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドがFabフラグメントの重鎖またはFabフラグメントの軽鎖のいずれかであり、しかし、第1のペプチドは第2のペプチドとは異なる、結論1の人工プレプロタンパク質。
7.Fabフラグメント軽鎖ペプチドおよびFabフラグメント重鎖ペプチドを含み、第1のペプチドがFabフラグメントの重鎖またはFabフラグメントの軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドがFabフラグメントの重鎖またはFabフラグメントの軽鎖のいずれかである、結論1の人工プレプロタンパク質。
8.第1のペプチドおよび第2のペプチドがともに重鎖ペプチドである、結論7の人工プレプロタンパク質。
9.第1のペプチドおよび第2のペプチドがともに軽鎖ペプチドである、結論7の人工プレプロタンパク質。
10.Fabフラグメント誘導体または抗体誘導体の軽鎖ペプチドおよび重鎖ペプチドを含み、第1のペプチドがFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖またはFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドがFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖またはFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかであり、しかし、第1のペプチドは第2のペプチドとは異なる、結論1の人工プレプロタンパク質。
11.Fabフラグメント誘導体または抗体誘導体の軽鎖ペプチドおよび重鎖ペプチドを含み、第1のペプチドがFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖またはFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドがFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖またはFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかである、結論1の人工プレプロタンパク質。
12.第1のペプチドおよび第2のペプチドがともに重鎖ペプチドである、結論11の人工プレプロタンパク質。
13.第1のペプチドおよび第2のペプチドがともに軽鎖ペプチドである、結論11の人工プレプロタンパク質。
14.下記の4つのヌクレオチド配列:
シグナルペプチド配列をコードする第1のヌクレオチド配列、
目的とする第1のペプチド配列をコードし、第1のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第2のヌクレオチド配列、
プロペプチド配列をコードし、第2のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第3のヌクレオチド配列、および
目的とする第2のペプチド配列をコードし、第3のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第4のヌクレオチド配列
を含む人工ポリヌクレオチド。
15.抗体軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、第1のペプチドが抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドが抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかであり、しかし、第1のペプチドは第2のペプチドとは異なる、結論14の人工ポリヌクレオチド。
16.抗体軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、第1のペプチドが抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドが抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかである、結論14の人工ポリヌクレオチド。
17.第1のペプチドおよび第2のペプチドがともに重鎖ペプチドである、結論16の人工ポリヌクレオチド。
18.第1のペプチドが抗体の軽鎖である、結論16の人工ポリヌクレオチド。
19.Fabフラグメント軽鎖ペプチドおよびFabフラグメント重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、第1のペプチドがFabフラグメントの重鎖またはFabフラグメントの軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドがFabフラグメントの重鎖またはFabフラグメントの軽鎖のいずれかであり、しかし、第1のペプチドは第2のペプチドとは異なる、結論14の人工ポリヌクレオチド。
20.Fabフラグメント軽鎖ペプチドおよびFabフラグメント重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、第1のペプチドがFabフラグメントの重鎖またはFabフラグメントの軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドがFabフラグメントの重鎖またはFabフラグメントの軽鎖のいずれかである、結論14の人工ポリヌクレオチド。
21.第1のペプチドおよび第2のペプチドがともに重鎖ペプチドである、結論20の人工ポリヌクレオチド。
22.第1のペプチドおよび第2のペプチドがともに軽鎖ペプチドである、結論20の人工ポリヌクレオチド。
23.Fabフラグメント誘導体または抗体誘導体の軽鎖ペプチドおよび重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、第1のペプチドがFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖またはFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドがFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖またはFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかであり、しかし、第1のペプチドは第2のペプチドとは異なる、結論14の人工ポリヌクレオチド。
24.Fabフラグメント誘導体または抗体誘導体の軽鎖ペプチドおよび重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、第1のペプチドがFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖またはFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかである、結論14の人工ポリヌクレオチド。
25.第1のペプチドおよび第2のペプチドがともに重鎖ペプチドである、結論24の人工ポリヌクレオチド。
26.第1のペプチドおよび第2のペプチドがともに軽鎖ペプチドである、結論24の人工ポリヌクレオチド。
27.結論14の人工ポリヌクレオチドを作製する方法であって、
シグナルペプチド配列、目的とする第1のペプチド、プロペプチド、および目的とする第2のペプチドをそれぞれコードする第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列、第3のヌクレオチド配列、および第4のヌクレオチド配列を提供すること、
第1のヌクレオチド配列の3’末端を第2のヌクレオチド配列の5’末端に結合すること、
第2のヌクレオチド配列の3’末端を第3のヌクレオチド配列の5’末端に結合すること、および
第3のヌクレオチド配列の3’末端を第4のヌクレオチド配列の5’末端に結合すること
を含み、目的とする第1のペプチドをコードするヌクレオチド配列が、目的とする第2のペプチドをコードするヌクレオチド配列と同じまたは異なり得る、方法。
28.人工ポリヌクレオチドが、抗体軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、第2のヌクレオチド配列が抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかをコードし、かつ、第4のヌクレオチド配列が抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかをコードし、しかし、第2のヌクレオチド配列は第4のヌクレオチド配列とは異なる、結論27の方法。
29.人工ポリヌクレオチドが、抗体軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、第2のヌクレオチド配列が抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかをコードし、かつ、第4のヌクレオチド配列が抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかをコードする、結論27の方法。
30.第2のヌクレオチド配列および第4のヌクレオチド配列がともに重鎖ポリペプチドをコードする、結論29の方法。
31.第2のヌクレオチド配列および第4のヌクレオチド配列がともに軽鎖ポリペプチドをコードする、結論29の方法。
32.人工ポリヌクレオチドが、Fab軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、第2のヌクレオチド配列がFabフラグメントの重鎖またはFabフラグメントの軽鎖のいずれかをコードし、かつ、第4のヌクレオチド配列がFabフラグメントの重鎖またはFabフラグメントの軽鎖のいずれかをコードし、しかし、第2のヌクレオチド配列は第4のヌクレオチド配列とは異なる、結論27の方法。
33.人工ポリヌクレオチドが、Fab軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、第2のヌクレオチド配列がFabフラグメントの重鎖またはFabフラグメントの軽鎖のいずれかをコードし、かつ、第4のヌクレオチド配列がFabフラグメントの重鎖またはFabフラグメントの軽鎖のいずれかをコードする、結論27の方法。
34.第2のヌクレオチド配列および第4のヌクレオチド配列がともに重鎖ポリペプチドをコードする、結論33の方法。
35.第2のヌクレオチド配列および第4のヌクレオチド配列がともに軽鎖ポリペプチドをコードする、結論33の方法。
36.人工ポリヌクレオチドが、Fabフラグメント誘導体または抗体誘導体の軽鎖ペプチドおよび重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、第2のヌクレオチド配列がFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖またはFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかをコードし、かつ、第4のヌクレオチド配列がFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖またはFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかをコードし、しかし、第2のヌクレオチド配列は第4のヌクレオチド配列とは異なる、結論27の方法。
37.人工ポリヌクレオチドが、Fabフラグメント誘導体または抗体誘導体の軽鎖ペプチドおよび重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、第2のヌクレオチド配列がFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖またはFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかをコードし、かつ、第4のヌクレオチド配列がFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖またはFabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかをコードする、結論27の方法。
38.第2のヌクレオチド配列および第4のヌクレオチド配列がともに、重鎖ペプチドをコードするヌクレオチド配列に由来する、結論37の方法。
39.第2のヌクレオチド配列および第4のヌクレオチド配列がともに、軽鎖ペプチドをコードするヌクレオチド配列に由来する、結論37の方法。
40.人工プレプロタンパク質を作製する方法であって、
プレプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチドを作製すること、および
人工ポリヌクレオチドを宿主生物において発現させ、それにより、人工プレプロタンパク質が作製されること
を含む方法。
41.多量体タンパク質を作製する方法であって、
シグナルペプチド配列、目的とする第1のペプチド、プロペプチド、および目的とする第2のペプチドをそれぞれコードする第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列、第3のヌクレオチド配列、および第4のヌクレオチド配列を提供すること、
第1のヌクレオチド配列の3’末端を第2のヌクレオチド配列の5’末端に結合すること、
第2のヌクレオチド配列の3’末端を第3のヌクレオチド配列の5’末端に結合すること、および
第3のヌクレオチド配列の3’末端を第4のヌクレオチド配列の5’末端に結合すること
その結果、人工ポリヌクレオチドが生じ、かつ、これら4つのヌクレオチド配列から構成される(この場合、目的とする第1のペプチドをコードするヌクレオチド配列は、目的とする第2のペプチドをコードするヌクレオチド配列と同じまたは異なり得る);
得られた人工ポリヌクレオチドをトランスフェクションまたは安定的な形質転換によって宿主生物に導入すること、
人工ポリヌクレオチドを宿主生物において発現させ、それにより、人工プレプロタンパク質が作製されること、
プレプロタンパク質を成熟型ポリペプチドにプロセシングさせること
を含む方法。
42.2コピーの成熟型ポリペプチドを結合させて、成熟型多量体タンパク質を形成させることをさらに含む、結論41の方法。
43.多量体タンパク質が、抗体、またはFabフラグメント、または、抗体もしくはFabフラグメントのいずれかの誘導体である、結論41の方法。
44.人工プレプロタンパク質をコードするベクターであって、
ベクターヌクレオチドの複製およびタンパク質のために必要なヌクレオチド配列、および
ベクターに挿入された結論14の人工ポリヌクレオチド
を含むベクター。
45.プラスミドまたはウイルスベクターである結論44のベクター。
46.微生物において増殖することができる結論44のベクター。
47.ベクターヌクレオチドの複製およびタンパク質の発現のために必要なヌクレオチド配列、
ベクターに挿入された請求項14に記載の人工プレプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチド、
人工プレプロタンパク質の発現を行わせることができるプロモーター、および
人工ポリヌクレオチドによりコードされる人工プレプロタンパク質
を含む人工プレプロタンパク質をコードするベクター
を含む一過性に形質転換された細胞。
48.人工プレプロタンパク質が抗体軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含み、第1のペプチドが抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドが抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかであり、しかし、第1のペプチドは第2のペプチドとは異なる、結論47の細胞。
49.2コピーの人工プレプロタンパク質から構成される成熟型の多量体タンパク質をさらに含む、結論47の細胞。
50.結論47による複数の細胞を含む生物。
51.植物、動物、菌類または藻類である結論49または50による植物生物、動物生物、菌類生物または藻類生物。
52.結論47による植物細胞、動物細胞、菌類細胞、藻類細胞または単細胞型生物。
53.多量体タンパク質が生物の間質空間または間質液に分泌される、結論47による少なくとも1つの細胞を含む生物。
54.多量体タンパク質が生物の循環系または排出系に分泌される、結論49による生物。
55.(a)染色体に安定的に取り込まれている結論14の人工ポリヌクレオチド、
(b)場合により、人工プレプロタンパク質の発現を行わせることができるプロモーター、および
(c)人工ポリヌクレオチドによりコードされる人工プレプロタンパク質
を含む遺伝子組換え細胞。
56.人工プレプロタンパク質が抗体軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含み、第1のペプチドが抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかであり、かつ、第2のペプチドが抗体の重鎖または抗体の軽鎖のいずれかであり、しかし、第1のペプチドは第2のペプチドとは異なる、結論55の細胞。
57.2コピーの人工プレプロタンパク質から構成される成熟型の多量体タンパク質をさらに含む、結論55の細胞を含む生物。
58.結論57による複数の細胞を含む生物。
59.植物、動物、菌類または藻類である結論57または58による植物生物、動物生物、菌類生物または藻類生物。
60.結論55による植物細胞、動物細胞、菌類細胞、藻類細胞または単細胞型生物。
61.多量体タンパク質が生物の間質空間または体液に分泌される、結論55による少なくとも1つの細胞を含む生物。
62.多量体タンパク質が生物の循環系または排出系に分泌される、結論49による生物。
63.結論1の人工プレプロタンパク質を含有または組み込む遺伝子組換えまたは一過性形質転換された生物。
64.(a)人工プレプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチド配列を含有する植物細胞(この場合、人工プレプロタンパク質は、a)シグナルペプチド配列、b)免疫グロブリンの重鎖ペプチドまたは軽鎖ペプチド、c)プロペプチド、およびd)免疫グロブリンの重鎖ペプチドまたは軽鎖ペプチドを含み、重鎖がプレプロタンパク質上の位置bまたは位置dのいずれかにおいて存在することができ、軽鎖がもう一方の位置に存在し、また、人工プレプロタンパク質は、分泌シグナルを形成するシグナルペプチド配列シグナルペプチド配列を含有する)
を含み、かつ
(b)前記人工ポリヌクレオチド配列によりコードされる免疫グロブリン分子を含有し、
前記シグナルペプチド配列シグナルペプチド配列はタンパク質分解プロセシングによって前記人工プレプロタンパク質から切断され、かつ、前記プロペプチドは、残ったポリペプチドの適正な折り畳みの後、重鎖および軽鎖から切断される、遺伝子組換えまたは一過性形質転換された植物。
65.シグナルペプチド配列が異種のシグナルペプチド配列である、結論64の植物。
66.ポリヌクレオチド配列が哺乳動物の免疫グロブリンをコードする、結論64の植物。
67.免疫グロブリンが免疫グロブリンスーパーファミリーの分子である、結論64の植物。
68.双子葉植物である結論64の植物。
69.単子葉植物(トウモロコシなど)である結論64の植物。
70.ニコチアナ(Nicotiana)属の植物である結論64の植物。
71.プレプロタンパク質をコードする前記ポリヌクレオチド配列が単一のベクターに存在する、結論64の植物。
72.免疫グロブリン分子を産生することができる遺伝子組換え植物を作製するための方法であって、
(a)(i)シグナルペプチド配列、(ii)免疫グロブリンの重鎖ペプチドまたは軽鎖ペプチド、(iii)プロペプチド、および(iv)免疫グロブリンの重鎖ペプチドまたは軽鎖ペプチドを含み、重鎖がプレプロタンパク質上の位置bまたは位置dのいずれかにおいて存在することができ、軽鎖がもう一方の位置に存在するプレプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチド配列を植物種のメンバーのゲノムに導入すること、および
(b)形質転換体を得るために、安定的な形質転換を生じさせること
を含む方法。
73.シグナルペプチド配列が異種のシグナルペプチド配列である、結論72の方法。
74.第1および第2のヌクレオチド配列が同じベクターにより導入される、結論72の方法。
75.前記免疫グロブリン分子の少なくとも一部が前記植物細胞の細胞壁の内部に存在する、結論64の植物。
76.前記免疫グロブリン分子は前記植物細胞のゴルジを介して輸送される、結論64の植物。
77.前記免疫グロブリン分子は、IgA、IgD、IgE、IgGまたはIgMのイソタイプからなる群から選択される、結論64の植物。
78.前記免疫グロブリン分子はIgGイソタイプを含む、結論64の植物。
79.前記免疫グロブリン分子はIgAイソタイプを含む、結論64の植物。
80.人工プレプロタンパク質は、前記人工ポリヌクレオチドの発現を行わせるプロモーターをさらに含む、結論64の遺伝子組換え植物。
81.重鎖ペプチドおよび軽鎖ペプチドの実質的にすべてが、前記植物細胞の内部で免疫グロブリン分子を形成するために組み立てられる、結論64の植物。
82.プロモーターが構成的プロモーターである、結論80の遺伝子組換え植物。
83.下記の3つのペプチド配列:
(a)目的とする第1のペプチド配列、
(b)第1のペプチド配列のc末端に結合したプロペプチド配列、および
(c)プロペプチド配列のc末端に結合した目的とする第2のペプチド配列
を含むプレプロタンパク質。
84.目的とする第1のペプチド配列のN末端に結合したシグナルペプチド配列をさらに含む、結論83の人工プロタンパク質。
85.免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変領域を少なくとも含む免疫グロブリン分子または免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを単一の宿主細胞において製造するための方法であって、
(a)少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインと、プロペプチドと、少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインとをコードする単一DNA配列で前記宿主細胞を形質転換する工程、および
(b)前記単一DNA配列を発現させ、その結果、前記の免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖が、前記の形質転換された単一宿主細胞において単一のプロペプチド分子として産生される、方法。
86.前記単一DNA配列が異なるベクターに存在する、結論85による方法。
87.前記単一DNA配列が単一のベクターに存在する、結論85による方法。
88.ベクターがプラスミドである、結論87による方法。
89.プラスミドがpBR322またはその誘導体である、結論88による方法。
90.宿主細胞が細菌または酵母である、結論85による方法。
91.宿主細胞が大腸菌またはS,cerevisiaeである、結論90による方法。
92.免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖が宿主細胞において発現し、かつ、免疫学的に機能的な免疫グロブリン分子または免疫グロブリンフラグメントとして宿主細胞から分泌される、結論85による方法。
93.免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖が不溶性形態で産生され、可溶化され、かつ、免疫学的に機能的な免疫グロブリン分子または免疫グロブリンフラグメントを形成させるために溶液中で折り畳むことが可能である、結論85による方法。
94.DNA配列が完全な免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖をコードする、結論85による方法。
95.前記単一DNA配列は、定常ドメインが結合する可変ドメインと同じ供給源に由来する少なくとも1つの定常ドメインをさらにコードする、結論85による方法。
96.前記単一DNA配列は、定常ドメインが結合する可変ドメインが由来する種またはクラスとは異なる種またはクラスに由来する少なくとも1つの定常ドメインをさらにコードする、結論85による方法。
97.前記単一DNA配列は2つ以上のモノクローナル抗体産生ハイブリドーマに由来する、結論85による方法。
98.少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインおよび少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインをコードする単一DNA配列を含むベクターであって、前記単一DNA配列が1カ所の挿入部位において該ベクターに存在する、ベクター。
99.プラスミドである結論98によるベクター。
100.結論98によるベクターで形質転換された宿主細胞。
101.少なくとも2つのベクターを含む形質転換された宿主細胞であって、前記ベクターの少なくとも1つが、少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインおよび少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインをコードする単一DNA配列を含む、形質転換された宿主細胞。
102.宿主細胞が哺乳動物細胞である、結論85による方法。
103.宿主細胞が哺乳動物細胞である、結論101による形質転換された宿主細胞。
104.(a)免疫グロブリンの重鎖および軽鎖またはFab領域からなり、特定の既知の抗原に対する特異性を有する免疫グロブリンをコードするDNAから本質的にはなるDNA配列で、少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインと、切断可能なプロペプチドと、少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインとからなるプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチドを含むDNA配列を調製すること、
(b)工程a)のDNA配列を、好適なプロモーターに機能的に連結されている複製可能な発現ベクターに挿入すること、
(c)原核生物系または真核生物系の微生物宿主の細胞培養物を工程(b)のベクターで形質転換すること、
(d)宿主細胞を培養すること、および
(e)既知の抗原に結合することができる免疫グロブリンを宿主細胞培養物から回収すること
を含む方法。
105.重鎖および軽鎖が抗CEA抗体の重鎖および軽鎖である、結論104の方法。
106.重鎖がγファミリーである、結論104の方法。
107.重鎖がκファミリーである、結論104の方法。
108.ベクターが、重鎖および軽鎖の両方をコードするDNAを含有する、結論104の方法。
109.宿主細胞が大腸菌または酵母である、結論104の方法。
110.重鎖および軽鎖またはFab領域が不溶性粒子として細胞内に堆積する、結論109の方法。
111.プロタンパク質が不溶性粒子として細胞内に堆積する、結論109の方法。
112.プロタンパク質が、細胞溶解、それに続く、変性剤における可溶化によって粒子から回収される、結論110の方法。
113.プロタンパク質が培地に分泌される、結論104の方法。
114.宿主細胞がグラム陰性細菌であり、プロタンパク質が宿主細胞細菌のペリプラスム空間に分泌される、結論104の方法。
115.重鎖および軽鎖の両方を回収し、軽鎖および重鎖を再構成して、特定の既知の抗原に対する特異的な親和性を有する免疫グロブリンを形成させることをさらに含む、結論104の方法。
116.結論110の方法によって産生される、重鎖および軽鎖またはFab領域の不溶性粒子。
117.免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変ドメインを少なくとも含む免疫グロブリン分子または免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを単一宿主細胞において製造するための方法であって、
(a)少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインと、少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインとをコードする単一DNA配列を発現させ、その結果、前記の免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖が、前記単一DNA配列で形質転換された前記単一宿主細胞において単一のプロタンパク質分子として産生される、方法。
118.免疫グロブリン分子または免疫グロブリンフラグメントを標識または薬物に結合する工程をさらに含む、結論92の方法。
119.免疫グロブリン分子または免疫グロブリンフラグメントを標識または薬物に結合する工程をさらに含む、結論93の方法。
120.免疫グロブリン分子または免疫グロブリンフラグメントを標識または薬物に結合する工程をさらに含む、結論117の方法。
121.ヘモグロビン(αβ)、IL−12、TCR、MHCクラスIIヘテロダイマー(αβ)、CD8ヘテロダイマー(αβ)、CD3(εδ)、CD3(εγ)、CD22(αβ)、CD41(GPIIba CD61)Janusキナーゼ(JAK)、JAKおよびSTAT(転写のシグナル変換因子および活性化因子)のヘテロダイマー、I鎖を伴うIgM重鎖、または、VpreBおよびλ5(I鎖)、IgβおよびIgα、インテグリン類、T細胞インテグリンLFA−1(αβ)、CD152(CTLA−4)、IL−2受容体(ヘテロトリマー)IL−2R(αβγc)、IL−15(αβγ)、レマトポイエチン受容体ファミリー(IL−3R、GM−CSFRは少数である)、TNF−β(LT−αおよびLT−β)、IL12R(β1β2)、遺伝子組換えJ鎖を伴うIgM(H)、遺伝子組換えJ鎖を伴うIgA(H)、MHCクラスI(αおよびβ−ミクログロブリン)、HLA−DM(αβ)、H−2M(αβ)、大腸菌DNAポリメラーゼIII、インスリン受容体(IR)(αβ)、IGF−1受容体(αβ)、Gタンパク質ヘテロトリマー(αβγ)、アドレナリン作動性受容体、レチノイン酸受容体(RAR)(αβ)、エストロゲン受容体(αβ)、筋細胞エンハンサー因子2(MEF2)ファミリー、c−fosおよびJunD、酵母RNAPII Rpb3/Rpb11ヘテロダイマー、カルパイン、インポルチンα2/βヘテロダイマー、DNA依存プロテインキナーゼ(DNA−PKc類、ならびにKu70およびKu80)、Ku70およびKu80のヘテロダイマー、ヘパトポイエチン(HPO)およびHPO23のヘテロダイマー、白血球機能関連抗原−1分子(LFA−1)CD11a(αL)およびCD18(β2)インテグリンサブユニットのヘテロダイマー、肝臓X受容体(LXR)/レチノイドX受容体(RXR)ヘテロダイマー、真核生物の染色体構造維持(SMC)タンパク質、ヒトのミスマッチ修復(MMR)ヘテロダイマー、rBAT−b(0,+)ATヘテロダイマー、レチノイドXα(RXRα)およびペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)のヘテロダイマー、甲状腺ホルモン受容体(TR)/RXRヘテロダイマー、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体/RXR、Nurr1オーファン核受容体/RXRヘテロダイマー、カルシニューリン、コラプシン応答媒介因子タンパク質−2およびチューブリンのヘテロダイマー、CD94/NKG2Aヘテロダイマー、IkappaBキナーゼ複合体、ヒト免疫不全症ウイルスの逆転写酵素(RT)ヘテロダイマー、CD98複合体、膜結合免疫グロブリン分子(mIg)を伴うB細胞抗原受容体およびIg−α/Ig−βヘテロダイマー、クラスIAホスホイノシチド3−キナーゼ、低酸素症誘導因子1からなる群から選択される、結論14による人工ポリヌクレオチドによりコードされる多量体タンパク質。
122.プロモーターが誘導性プロモーターである、結論80の遺伝子組換え植物。
123.第1および第2のペプチドを含み、第1のペプチドがカルボキシ末端のP1位およびP2位において非天然アミノ酸対を含む多量体タンパク質。
124.P2位が、Lys、ProまたはArgによって占められる、結論1による多量体タンパク質。
125.P1位が、Lys、ProまたはArgによって占められる、結論1による多量体タンパク質。
126.第1および第2のペプチドを含み、第1のペプチドがカルボキシ末端のP1位およびP2位において非天然アミノ酸対を含む、多量体タンパク質に由来する多量体タンパク質。
(寄託情報)
cDNAは、その後、下記に示されるように、American Type Culture Collection(10801 University Blvd.、Manassas、Va.20110−2209、米国)(ATCC)にブダペスト条約の条項に従って寄託された。
プラスミドDNA:p5PNCAPは特許受託PTA−4742(2002年10月3日受託)である。
プラスミドDNA:p1177MP5は特許受託PTA−4743(2002年10月3日受託)である。
プラスミドDNA:p1324−MBPは特許受託PTA−4744(2002年10月3日受託)である。
プラスミドDNA:pLSBC1798は特許受託_______(2003年10月2日受託)である。
プラスミドDNA:pLSBC2634は特許受託_______(2003年10月2日受託)である。
プラスミドDNA:Hu Fab A9は特許受託_______(2003年10月2日受託)である。
プラスミドDNA:Hu Fab D5は特許受託_______(2003年10月2日受託)である。
これらの寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約およびそれに基づく規則(ブダペスト条約)の規定に従ってなされた。これにより、受託日から30年間または最後の要求の後の5年間(いずれか遅い方)について寄託物の生存可能な培養物の維持が保証される。本出願の譲受人は、寄託されている寄託物の培養物が生存可能でないこと、または失われていること、または死滅していることが見出されたならば、通知により寄託物を当該寄託物の別の培養物と遅滞なく取り替えることに同意している。寄託物が入手可能であることは、いずれかの政府の当局によってその特許法令に従って付与された権利に違反して本発明を実施するための許諾として、または、寄託物を研究のために使用するための許諾として解釈してはならない。
従って、本発明は、本発明の好ましい実施形態に関してある程度の詳細度で記載されている。だが、本発明は、先行技術分野に照らして解釈される下記の請求項によって定義され、その結果、様々な改変または変化が、本明細書中に含まれる発明概念から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対してなされ得ることを理解しなければならない。
図1は、抗体を植物において発現させるための先行技術の方法を示すブロック図である。この方法では、2つの遺伝子が2つの別個の植物において最初に用いられ、続いて、これら2つの植物が、所望のタンパク質を小胞体において産生し得る子孫を得るために他家受粉させられる。 図2は、本発明に従って、プロモーター配列、シグナルペプチド、軽鎖配列、プロペプチドおよび重鎖配列をこの順に含む構築物を作製するための基本的な工程を一般的に示す流れ図である。 図3は、本発明に従って、プロモーター配列、シグナルペプチド、重鎖配列、プロペプチドおよび軽鎖配列をこの順に含む構築物を作製するための基本的な工程を一般的に示す流れ図である。 図4は、プレプロタンパク質をコードするための、図3に示される構築物と類似する構築物が細胞に導入される本発明の1つの実施形態を表すブロック図である。この実施形態において、構築物は、シグナルペプチド(Sp)とプロペプチドとの間に挿入された短い重鎖を含む。発現後、シグナルペプチド(Sp)が小胞体内で除かれて、プレプロタンパク質がもたらされる。細胞のゴルジにおけるその後の成熟化により、プロペプチドが除かれ、それにより、折り畳まれた所望の抗体フラグメントまたはFabがもたらされる。 図5は、プレプロタンパク質をコードする構築物が細胞に導入される本発明の別の実施形態を表すブロック図である。この実施形態において、構築物は、図2に示される構築物と類似しており、シグナルペプチド(Sp)とプロペプチドとの間に挿入された軽鎖を含む。発現後、シグナルペプチド(Sp)が小胞体内で除かれて、プレプロタンパク質がもたらされる。細胞のゴルジにおけるその後の成熟化により、プロペプチドが除かれ、それにより、折り畳まれた所望の抗体フラグメントまたはFabがもたらされる。 図6は、プレプロタンパク質をコードする単一構築物が細胞に導入される本発明のさらに別の実施形態を表すブロック図である。この実施形態において、より長い重鎖をコードするための配列がシグナルペプチド(Sp)とプロペプチドとの間に挿入される。発現後、シグナルペプチド(Sp)が小胞体内で除かれて、プレプロタンパク質がもたらされる。細胞のゴルジにおけるその後の成熟化により、プロペプチドが除かれ、それにより、折り畳まれた所望のFab’がもたらされる。 図7は、プレプロタンパク質をコードする単一構築物が細胞に導入される本発明のさらなる実施形態を表すブロック図である。この場合、構築物は、シグナルペプチド(Sp)とプロペプチドとの間に挿入された軽鎖を含み、より長い重鎖がプロペプチドの反対側の端部に結合している。発現後、シグナルペプチド(Sp)が小胞体内で除かれて、プレプロタンパク質がもたらされる。細胞のゴルジにおけるその後の成熟化により、プロペプチドが除かれ、それにより、折り畳まれた所望のFab’がもたらされる。 図8は、プレプロタンパク質をコードする単一構築物が細胞に導入される本発明のさらに別の実施形態を表すブロック図である。この場合、構築物は、シグナルペプチド(Sp)とプロペプチドとの間に挿入された完全な重鎖を含む。発現後、シグナルペプチド(Sp)が小胞体内で除かれて、プレプロタンパク質がもたらされる。細胞のゴルジにおけるその後の成熟化により、プロペプチドが除かれ、それにより、折り畳まれた所望の抗体がもたらされる。 図9は、プレプロタンパク質をコードする単一構築物が細胞に導入される本発明のなおさらに別の実施形態を表すブロック図である。この実施形態において、構築物は、シグナルペプチド(Sp)とプロペプチドとの間に挿入された軽鎖を含み、完全な重鎖がプロペプチドの反対側の端部に結合している。発現後、シグナルペプチド(Sp)が小胞体内で除かれて、プレプロタンパク質がもたらされる。細胞のゴルジにおけるその後の成熟化により、プロペプチドが除かれ、それにより、折り畳まれた所望の抗体がもたらされる。 図10は、本発明によるプレプロタンパク質構築物をコードする単一構築物を使用してポリペプチドを製造するために利用され得る様々な基盤を示すブロック図である。この場合、プレプロタンパク質は、シグナルペプチド(Sp)、シグナルペプチドに結合した軽鎖、軽鎖に結合したプロタンパク質、および、プロタンパク質に結合した重鎖を含む。 図11は、本発明によるプレプロタンパク質構築物をコードする単一遺伝子を使用してポリペプチドを製造するために利用され得る様々な基盤を示す、図10と類似するブロック図である。この場合、プレプロタンパク質は、シグナルペプチド(Sp)、シグナルペプチドに結合した重鎖、重鎖に結合したプロタンパク質、および、プロタンパク質に結合した軽鎖を含む。
【配列表】
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Claims (26)

  1. 人工プロタンパク質であって、以下の3つのペプチド配列:
    (a)目的とする第1のペプチド配列、
    (b)該目的とする第1のペプチド配列のC末端に結合したプロペプチド配列、および
    (c)該プロペプチド配列のC末端に結合した目的とする第2のペプチド配列
    を含む人工プロタンパク質。
  2. 前記目的とする第1のペプチド配列のN末端に結合したシグナルペプチド配列をさらに含む、請求項1に記載の人工プロタンパク質。
  3. 抗体軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含み、前記第1のペプチドが該抗体の重鎖または該抗体の軽鎖のいずれかであり、かつ、前記第2のペプチドが該抗体の重鎖または該抗体の軽鎖のいずれかである、請求項1に記載の人工プロタンパク質。
  4. 抗体軽鎖ペプチドおよびFd重鎖ペプチドを含み、前記第1のペプチドが重鎖または抗体軽鎖のいずれかであり、かつ、前記第2のペプチドがFdまたは抗体軽鎖のいずれかである、請求項1に記載の人工プロタンパク質。
  5. Fabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖ペプチドおよび重鎖ペプチドを含み、前記第1のペプチドが該Fabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖または該Fabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかであり、かつ、前記第2のペプチドが該Fabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖または該Fabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかである、請求項1に記載の人工プロタンパク質。
  6. 人工ポリヌクレオチドであって、以下の4つのヌクレオチド配列:
    (a)シグナルペプチド配列をコードする第1のヌクレオチド配列、
    (b)目的とする第1のペプチドをコードし、該第1のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第2のヌクレオチド配列、
    (c)プロペプチドをコードし、該第2のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第3のヌクレオチド配列、および
    (d)目的とする第2のペプチドをコードし、該第3のヌクレオチド配列の3’末端に結合している第4のヌクレオチド配列
    を含む人工ポリヌクレオチド。
  7. 抗体軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、前記第1のペプチドが該抗体の重鎖または該抗体の軽鎖のいずれかであり、かつ、前記第2のペプチドが該抗体の重鎖または該抗体の軽鎖のいずれかである、請求項6に記載の人工ポリヌクレオチド。
  8. Fabフラグメント軽鎖ペプチドおよびFabフラグメント重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、前記第1のペプチドが該Fabフラグメントの重鎖または該Fabフラグメントの軽鎖のいずれかであり、かつ、前記第2のペプチドが該Fabフラグメントの重鎖または該Fabフラグメントの軽鎖のいずれかである、請求項6に記載の人工ポリヌクレオチド。
  9. Fabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖ペプチドおよび重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、前記第1のペプチドが該Fabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖または該Fabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかである、請求項6に記載の人工ポリヌクレオチド。
  10. 請求項6に記載の人工ポリヌクレオチドを作製する方法であって、該方法は、以下:
    (a)シグナルペプチド配列、目的とする第1のペプチド、プロペプチド、および目的とする第2のペプチドをそれぞれコードする第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列、第3のヌクレオチド配列、および第4のヌクレオチド配列を提供する工程、
    (b)該第1のヌクレオチド配列の3’末端を該第2のヌクレオチド配列の5’末端に結合する工程、
    (c)該第2のヌクレオチド配列の3’末端を該第3のヌクレオチド配列の5’末端に結合する工程、および
    (d)該第3のヌクレオチド配列の3’末端を該第4のヌクレオチド配列の5’末端に結合する工程
    を包含し、該目的とする第1のペプチドをコードするヌクレオチド配列が、該目的とする第2のペプチドをコードするヌクレオチド配列と同じであっても異なってもよい、方法。
  11. 前記人工ポリヌクレオチドが、抗体軽鎖ペプチドおよび抗体重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、前記第2のヌクレオチド配列が該抗体の重鎖または該抗体の軽鎖のいずれかをコードし、かつ、前記第4のヌクレオチド配列が該抗体の重鎖または該抗体の軽鎖のいずれかをコードする、請求項10に記載の方法。
  12. 前記人工ポリヌクレオチドが、Fab軽鎖ペプチドおよびFab重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、前記第2のヌクレオチド配列が該Fabフラグメントの重鎖または該Fabフラグメントの軽鎖のいずれかをコードし、かつ、前記第4のヌクレオチド配列が該Fabフラグメントの重鎖または該Fabフラグメントの軽鎖のいずれかをコードする、請求項10に記載の方法。
  13. 前記人工ポリヌクレオチドが、Fabフラグメント誘導体または抗体誘導体の軽鎖ペプチドおよび重鎖ペプチドを含むポリペプチドをコードし、前記第2のヌクレオチド配列が該Fabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖または該Fabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかをコードし、かつ、前記第4のヌクレオチド配列が該Fabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の重鎖または該Fabフラグメント誘導体もしくは抗体誘導体の軽鎖のいずれかをコードする、請求項10に記載の方法。
  14. 人工プレプロタンパク質を作製する方法であって、該方法は、以下:
    (a)該プレプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチドを作製する工程、および
    (b)該人工ポリヌクレオチドを宿主生物において発現させ、それにより、該プレプロタンパク質が作製される、工程
    を包含する方法。
  15. 多量体タンパク質を作製する方法であって、該方法は、以下:
    (a)シグナルペプチド配列、目的とする第1のペプチド、プロペプチド、および目的とする第2のペプチドをそれぞれコードする第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列、第3のヌクレオチド配列、および第4のヌクレオチド配列を提供する工程、
    (b)該第1のヌクレオチド配列の3’末端を該第2のヌクレオチド配列の5’末端に結合する工程、
    (c)該第2のヌクレオチド配列の3’末端を該第3のヌクレオチド配列の5’末端に結合する工程、および
    (d)該第3のヌクレオチド配列の3’末端を該第4のヌクレオチド配列の5’末端に結合し、その結果、人工ポリヌクレオチドが生じ、そして、該人工ポリヌクレオチドは4つの該ヌクレオチド配列から構成され、ここで、該目的とする第1のペプチドをコードするヌクレオチド配列は、該目的とする第2のペプチドをコードするヌクレオチド配列と同じであっても異なってもよい工程、
    (i)該生じた人工ポリヌクレオチドをトランスフェクションまたは安定的な形質転換によって宿主生物に導入する工程、
    (ii)該人工ポリヌクレオチドを該宿主生物において発現させ、それにより、プレプロタンパク質が作製される工程、
    (iii)該プレプロタンパク質を成熟型ポリペプチドにプロセシングさせる工程
    を包含する、方法。
  16. 2コピーの該成熟型ポリペプチドを結合させて、成熟型多量体タンパク質を形成させる工程をさらに包含する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記多量体タンパク質が、抗体もしくはFabフラグメント、または、該抗体もしくは該Fabフラグメントのいずれかの誘導体である、請求項15に記載の方法。
  18. 人工プレプロタンパク質をコードするベクターであって、以下:
    (a)該ベクターのヌクレオチドおよびタンパク質の複製のために必要なヌクレオチド配列、および
    (b)該ベクターに挿入された請求項6に記載の人工ポリヌクレオチド
    を含む、ベクター。
  19. 免疫グロブリン分子を産生可能なトランスジェニック植物を作製するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)プレプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチド配列を植物種のメンバーのゲノムに導入する工程であって、該プレプロタンパク質は、a)シグナルペプチド配列、b)免疫グロブリンの重鎖ペプチドまたは軽鎖ペプチド、c)プロペプチド、およびd)免疫グロブリンの重鎖ペプチドまたは軽鎖ペプチドを含み、該重鎖が該プレプロタンパク質上の位置bまたは位置dのいずれかにおいて存在し得、該軽鎖がもう一方の位置に存在する、工程、および
    (b)形質転換体を産生させるために、安定的な形質転換を生じさせる工程
    を包含する方法。
  20. 単一DNA配列を含むベクターであって、該単一DNA配列は、少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインと、少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインとをコードし、ここで該単一DNA配列は、1カ所の挿入部位において該ベクター内に存在する、ベクター。
  21. (a)免疫グロブリンの重鎖および軽鎖またはFab領域からなる免疫グロブリンをコードするDNAから本質的になるDNA配列を調製する工程であって、該免疫グロブリンは、特定の既知の抗原に対する特異性を有し、ここで、該DNA配列は、少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインと、切断可能なプロペプチドと、少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインとからなるプロタンパク質をコードする人工ポリヌクレオチドを組み込む、工程、
    (b)工程a)のDNA配列を、好適なプロモーターに作動可能に連結されている複製可能な発現ベクター内に挿入する工程、
    (c)原核生物微生物宿主または真核生物微生物宿主の細胞培養物を工程b)のベクターで形質転換する工程、
    (d)該宿主細胞を培養する工程、および
    (e)該免疫グロブリンを該宿主細胞培養物から回収する工程であって、該免疫グロブリンは、既知の抗原に結合可能である工程、
    を包含する方法。
  22. 免疫グロブリン分子、または該免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変ドメインを少なくとも含む免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを、単一宿主細胞において製造するためのプロセスであって、該プロセスは、以下:
    少なくとも該免疫グロブリン重鎖の可変ドメインと、少なくとも該免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインとをコードする単一DNA配列を発現させ、その結果、該免疫グロブリン重鎖および該免疫グロブリン軽鎖が、該単一DNA配列で形質転換された該単一宿主細胞において単一のプロタンパク質分子として産生される工程を包含する、プロセス。
  23. 第1および第2のペプチドを含む多量体タンパク質であって、該第1のペプチドがカルボキシ末端のP1位およびP2位において非天然アミノ酸対を含む、多量体タンパク質。
  24. 前記P2位が、Lys、ProまたはArgによって占められる、請求項23に記載の多量体タンパク質。
  25. 前記P1位が、Lys、ProまたはArgによって占められる、請求項23に記載の多量体タンパク質。
  26. 請求項23に記載の多量体タンパク質に由来する多量体タンパク質であって、第1および第2のペプチドを含み、該第1のペプチドがカルボキシ末端のP1位およびP2位において非天然アミノ酸対を含む、多量体タンパク質。
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