JP2006505242A - スプライセオソームにより媒介されるrnaトランス−スプライシングにおいて使用するための方法および組成物 - Google Patents

スプライセオソームにより媒介されるrnaトランス−スプライシングにおいて使用するための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は合成プレ-トランス-スプライシング分子(合成PTM)を標的細胞へ送達するための方法および組成物を提供する。本発明の組成物は化学分解および酵素分解に対して高い安定性を示す合成プレ-トランス-スプライシング分子(PTM)を含む。これらの合成PTMは、天然の標的前駆体メッセンジャーRNA分子(標的プレmRNA)と相互作用して、トランス-スプライシング反応を媒介し、その結果、新規なキメラRNA分子(キメラRNA)を生成するように設計されている。

Description

本発明は助成金第SBIR R43DK56526-01号および同第SBIR5R44DK56526-03号のもと、政府の支援によって行われたものである。政府は本発明において一定の権利を有する。
1. 緒論
本発明は、合成プレ-トランス-スプライシング分子(合成PTM)を標的細胞へ送達するための方法および組成物を提供する。本発明の組成物は、化学分解および酵素分解に対して高い安定性を示す合成プレ-トランス-スプライシング分子(PTM)を含む。合成PTMは、天然の標的前駆体メッセンジャーRNA分子(標的プレmRNA)と相互作用して、新規なキメラRNA分子(キメラRNA)の生成をもたらすトランス-スプライシング反応を媒介するように設計される。本発明のPTMは合成により製造され、そして、RNAの翻訳を阻害するなどそれ自体が機能を果たし得るか、または細胞内で欠陥タンパク質もしくは不活性タンパク質を相補するタンパク質をコードするか、または特定の細胞を死滅させる毒素をコードするか、または画像化目的用のマーカー遺伝子をコードする新規なキメラRNAの産生をもたらすように、細胞に導入される。一般に、標的プレmRNAは、特定の細胞種内で発現し、ひいては、新規なキメラRNAの発現を選択された細胞種へターゲティングするための手段を提供することから、標的として選択される。本発明の方法は、好ましくは化学分解および酵素分解に対して高い安定性を有するような方法でのPTMの合成的製造を包含する。本発明の方法は、本発明の合成PTMを、合成PTMが細胞に取り込まれ、合成PTMの一部が標的プレmRNAの一部へとトランス-スプライシングされて新規なキメラRNA分子を形成する条件下で、標的プレmRNAを発現する細胞と接触させることをさらに含む。本発明の方法および組成物は、癌などの増殖性疾患の治療、あるいは遺伝疾患、自己免疫疾患または感染性疾患の治療のための細胞内遺伝子調節、遺伝子修復および自殺遺伝子療法に使用できる。本発明はin vitro合成された合成PTMの標的宿主細胞への直接送達が、新規なキメラRNAを生成するための標的プレmRNAの正確なトランス-スプライシングを媒介し得るという知見に基づくものである。本発明はPTMをコードするDNA分子の、標的細胞への効率的送達、その後のトランス-スプライシング反応を媒介し得るPTMを形成するためのDNA分子の発現の必要性を回避するものである。
2. 発明の背景
2.1 RNAスプライシング
染色体中のDNA配列は、コード領域(エキソン)を含み、かつ、一般に介在非コード領域(イントロン)も含むプレmRNAへと翻訳される。イントロンは、スプライシングと呼ばれる正確なプロセスでプレmRNAから除かれる(Chowら, 1977, Cell 12:1-8;およびBerget, S.M.ら, 1977, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:3171-3175)。スプライシングは、いくつかの核内小リボヌクレオタンパク質粒子(snRNP)と多くのタンパク質因子とが集合体となってスプライセオソームとして知られる酵素複合体を形成して、それらの協調した相互作用として遂行される(Mooreら, 1993, in The RNA World, R.F. Gestland and J.F. Atkins編 (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.); Kramer, 1996, Annu. Rev. Biochem., 65:367-404; StaleyおよびGuthrie, 1998, Cell 92:315-326)。
プレmRNAスプライシングは二段階のメカニズムで進行する。第一段階では、5'スプライス部位が切断され、「遊離」5'エキソンと投縄型の中間体が生じる(Moore, M.J.およびP.A. Sharp, 1993, Nature 365:364-368)。第二段階では、5'エキソンが3'エキソンと連結され、投縄型産物としてイントロンが放出される。これらの段階は、スプライセオソームと呼ばれる核内小リボヌクレオタンパク質とタンパク質との複合体において触媒される。スプライシング反応部位は5'および3'スプライス部位前後のコンセンサス配列によって規定される。この5'スプライス部位のコンセンサス配列はAG/GURAGU(ここで、A=アデノシン、U=ウラシル、G=グアニン、C=シトシン、R=プリン、そして / =スプライス部位)である。3'スプライス領域は3つの別個の配列エレメント:分岐点(branch point)または分岐部位、ポリピリミジン領域(polypyrimidine tract)および3'スプライスコンセンサス配列(YAG)からなる。これらのエレメントは3'スプライス領域をゆるやかに規定し、3'スプライス部位の上流にある100ヌクレオチドのイントロンを含み得る。哺乳類では分岐点コンセンサス配列はYNYURAC(ここで、N=任意のヌクレオチド、Y=ピリミジン)である。下線のAは分岐形成部位である(BPA=分岐点アデノシン)。3'スプライスコンセンサス配列はYAG/Gである。分岐点とスプライス部位の間には通常、ポリピリミジン領域が見られ、これは哺乳類のシステムにおいて効率的な分岐点利用と3'スプライス部位の認識に重要なものである(Roscigno, R., F.ら, 1993, J. Biol. Chem. 268:11222-11229)。分岐点およびポリピリミジン領域から下流にある最初のYAGトリヌクレオチドが最もよく用いられる3'スプライス部位である(Smith, C.W.ら, 1989, Nature 342:243-247)。
ほとんどの場合、スプライシング反応は同じプレmRNA分子内で起こり、これはシス-スプライシングと呼ばれている。2つの独立して転写されるプレmRNA間のスプライシングはトランス-スプライシングと呼ばれる。トランス-スプライシングはトリパノソーマ属で最初に発見され(SuttonおよびBoothroyd, 1986, Cell 47:527; Murphyら, 1986, Cell 47:517)、次に線形動物(KrauseおよびHirsh, 1987, Cell 49:753)、扁形動物(Rajkovicら, 1990, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA, 87:8879; Davisら, 1995, J. Biol. Chem. 270:21813)および植物のミトコンドリア(Malekら, 1997, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 94:553)で発見された。寄生虫Trypanosoma bruceiでは、全てのmRNAがトランス-スプライシングによりそれらの5'末端にスプライスリーダー(SL)RNAを獲得する。5'リーダー配列は線虫(Caenorhabditis elegans)のいくつかの遺伝子へもトランス-スプライスされる。この機構は単一の共通配列を多くの異なる転写物へ付加するのに適している。
トランス-スプライシングの機構は、従来のシス-スプライシングの場合とほぼ同じで、2つのリン酸基転移反応を介して進行する。まず、2'-5'ホスホジエステル結合の形成が起こり、それによりシス-スプライシングにおける投縄型中間体に相当する「Y」型に分岐した中間体が生じる。第2の反応であるエキソンの連結は従来のシス-スプライシングの場合と同様に進行する。さらに、3'スプライス部位の配列と、トランス-スプライシング反応を触媒するsnRNPのいくつかはシス-スプライシングに関与するそれらの対応物に極めてよく似ている。
トランス-スプライシングはまた、あるプレmRNAの一部が第2のプレmRNAの一部と相互作用して、2つの従来のプレmRNAの間のスプライス部位の組換えを促進するという別のプロセスも指す。この種のトランス-スプライシングは、トランスジェニックマウスにおいて内因性の定常領域に連結したヒト免疫グロブリン可変領域配列をコードする転写物を説明することを前提としたものである(Shimizuら, 1989, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 86:8020)。さらに、c-mybプレ-RNAのトランス-スプライシングが実証されており(Vellard, M.ら, Proc. Nat'l. Acad. Sci., 1992 89:2511-2515)、より最近では、互いにトランス-スプライスされるクローン化SV40からのRNA転写物が培養細胞および核抽出物において検出された(Eulら, 1995, EMBO. J. 14:3226)。しかし、哺乳類プレmRNAの天然のトランス-スプライシングは極めてまれな事象であると考えられる。
前駆体mRNAへの複数のタンパク質の結合(これは次にRNAを正確に切断して連結する働きをする)を伴うスプライシング機構の他、第3の機構は、触媒性RNA分子またはリボザイムと呼ばれるものによる、イントロン自体によるRNAの切断および連結を伴う。リボザイムの切断活性は、別個の「ハイブリダイゼーション」領域をリボザイム中へと遺伝子工学的に導入することにより、特定のRNA分子へターゲティングされる。標的RNAへハイブリダイゼーションすると、このリボザイムの触媒領域が標的を切断する。このようなリボザイム活性は、無関係の異常なRNAの産生によって特徴づけられるヒト疾病の治療用などの、in vivoにおける標的RNAの不活性化または切断に有用であることが示唆されている。特定のRNAへのターゲティングおよび破壊のためのもう1つの機構として、アンチセンスRNAの使用も提案されている。このような場合、標的RNAへハイブリダイズして標的RNAへの結合により標的RNAの翻訳を阻害するように、あるいはヌクレアーゼの活性化を通じてRNAの破壊を起こすように、小RNA分子をデザインする。
最近まで、特定の標的遺伝子を改変するためのターゲティング・トランス-スプライシングの実際の適用は、グループIリボザイムに基づく機構に限られていた。テトラヒメナ(Tetrahymena)のグループIリボザイムを用いて、ターゲティング・トランス-スプライシングが大腸菌(E. coli)(Sullenger B.A. and Cech. T.R., 1994, Nature 341:619-622)、マウス繊維芽細胞(Jones, J.T.ら, 1996, Nature Medicine 2:643-648)、ヒト繊維芽細胞(Phylacton, L.A.ら Nature Genetics 18:378-381)およびヒト赤血球前駆細胞(Lanら, 1998, Science 280:1593-1596)で実証された。改変型グループIリボザイムによって駆動されるターゲティング・RNAトランス-スプライシングの応用もいくつか検討されている。しかし、天然の哺乳類スプライシング装置、すなわちスプライセオソームにより媒介されるターゲティング・トランス-スプライシングは最近になってはじめて報告されたものである。
米国特許第6,083,702号、同第6,013,487号および同第6,280,978号は、PTMを用い、標的前駆体mRNAと接触させることによりトランス-スプライシング反応を媒介して新規なキメラRNAを生成することを記載している。結果として生じるRNAは、細胞もしくは宿主生物に対し治療的有用性があるタンパク質、特定の細胞の死滅を引き起こすジフテリアなどの毒素、または細胞には通常存在しない新規なタンパク質を含む任意の遺伝子産物をコードし得る。このようなPTMはまた、エキソンタグ付加法を用いてプレmRNA分子のエキソン/イントロン境界を同定するため、また、特定の細胞種で発現されるタンパク質を精製および同定するために使用できるペプチドアフィニティー精製タグを有するキメラタンパク質の生成のために遺伝子工学的に操作することもできる。
2.2 細胞への核酸の導入
そのような核局在シグナルには、細胞核への転移のためのシグナルとして働く小ポリペプチド配列が含まれる(DingwallおよびLaskey, 1986, Ann. Rev. Cell Biol. 2:367-390; DingwallおよびLaskey 1991, Trends Biochem. Sci. 16:478-481)。
核酸分子を宿主細胞へ送達するためには種々の異なる方法が利用できる。このような方法としては、裸の核酸分子の直接注入、核酸の微粒子衝撃法(例えば、遺伝子銃;Bio-Rad, Dupont)、脂質または細胞表面受容体またはトランスフェクション剤での核酸のコーティング、およびリポソーム、微粒子またはマイクロカプセル中への核酸の封入が挙げられる。その他の遺伝子送達技術としては、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、陽イオンポリマー媒介トランスフェクション、リポフェクションまたはエレクトロポレーションが挙げられる。細胞質への取り込みおよびDNAの核(ここで転写が起こる)への輸送の機構に関する不確定要素がこれらの方法を複雑にし、低いトランスフェクション効率の一因となっている。さらに、導入されたDNAの転写が不十分であると、遺伝子発現のレベルが低くなることがある。
アデノウイルス(KozarskyおよびWilson, 1993, Current Opinion in Genetics and Development 3:499-503)、レトロウイルス(米国特許第4980286号)、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)などの弱毒化ウイルスベクターの使用により、より高いトランスフェクション効率が達成されるが、ウイルスベクターが有毒であって、宿主の免疫反応を惹起する可能性がある。レトロウイルス感染は発癌性であり、またウイルスタンパク質に対する免疫応答を刺激して、それが局所的炎症を引き起こし、反復投与を妨げることになる場合がある。またウイルスベクターは、AAVやレンチウイルスを除いて、複製中の細胞にしか感染できないことから限定される。さらにまた、これらのベクターは細胞特異的、偏在性または誘導型プロモーターシステムを持つようにデザインしなければならない。よって、細胞内で所望の遺伝子産物を発現させる試みにおいて、遺伝子発現の調節が、考えなければならないさらなる要因となる。
その後発現させなければならないDNAの細胞への導入に伴う欠点は、発現させるRNAまたはキメラ(RNA/DNA/PNAなど)分子の標的宿主細胞への直接送達によって克服できる。本発明は、PTMをコードし得る核酸分子を標的細胞へ導入した後に該分子の効率的な転写によってPTMを生成させる必要性を、回避する。本発明は合成PTMを標的細胞へ首尾よく送達すること、また、このような合成分子が標的mRNAとのトランス-スプライシング反応を媒介して新規なキメラRNAを生成し得るという実証に、基づくものである。
3. 発明の概要
本発明はスプライセオソームにより媒介されるターゲティング・トランス-スプライシングにより新規な核酸分子を生成する組成物および方法に関する。特に本発明は合成PTMを標的細胞へ送達するための方法および組成物を提供する。
本発明の組成物は天然の標的プレmRNA分子(以降、「プレmRNA」と呼ぶ)と相互作用するようにデザインされた合成プレ-トランス-スプライシング分子(以降、「合成PTM」と呼ぶ)を含み、これはスプライセオソームによるトランス-スプライシング反応を媒介して新規なキメラRNA分子(以降、「キメラRNA」と呼ぶ)を生成する。これらの合成PTMは、例えば細胞内取り込みの増加、促進、細胞核へのターゲティングの増強、および/または標的細胞または標的プレmRNAへの結合の促進などの望ましい特性のために天然のヌクレオチドよりも好ましい修飾型または置換型ヌクレオチドを含んでもよい。さらに、担体または賦形剤はin vitroでの形成においてRNA分子を安定化させる能力、in vivoにおけるRNAの安定性を増強する能力、および/またはin vivoにおけるRNA導入効率を増強する能力に基づいて選択され、これによりさらに効率的なRNA送達系が提供される。
本発明の方法は、本発明の合成PTMと、天然の標的プレmRNAを発現する標的細胞とを、合成PTMが細胞により取り込まれ、合成PTMの一部が天然プレmRNAへとスプライスされて新規なキメラRNAを形成する条件下で、接触させることを含む。本発明の合成PTMは、トランス-スプライシング反応から生じる新規なキメラRNAがそれ自体でRNAの翻訳を阻害するなどの機能を遂行し得るように、あるいはまた、キメラRNAが細胞内で欠陥型もしくは不活性型タンパク質を相補するタンパク質をコードするか、または特定の細胞を死滅させる毒素をコードし得るように、遺伝子操作されている。一般に、標的プレmRNAは、それが特定の細胞種内で発現され、それにより新規なキメラRNAの発現を選択された細胞種にターゲティングするための手段を提供することに基づいて、選択される。標的細胞としては、限定されるものではないが、ウイルスその他の感染性因子に感染した細胞、良性または悪性腫瘍、あるいは自己免疫疾患または組織拒絶に関与する免疫系の成分が挙げられる。本発明のPTMはまた、遺伝的疾患と関連することが分かっている遺伝子突然変異を修正するためにも用い得る。特に二重トランス-スプライシング反応を用いて内部エキソンを置換することができる。本発明の方法および組成物は遺伝子調節、遺伝子修復および標的化細胞死において使用できる。このような方法および組成物は、限定されるものではないが、遺伝的疾患、感染性疾患または自己免疫疾患、および癌などの増殖性疾患をはじめとする種々の疾病の治療のために、また、植物における遺伝子発現の調節のために使用できる。
4. 図面の簡単な説明
(図面の簡単な説明については後述)
5. 発明の詳細な説明
本発明は合成PTMを標的細胞へ送達するための方法および組成物を提供する。本発明は合成プレ-トランス-スプライシング分子と好適な担体または賦形剤を含んでなる組成物、および標的細胞内で新規な核酸分子を生成するためのこのような組成物の使用に関する。これらの合成PTMとしては、酵素分解および/または化学分解に対して高い耐性を有するものが産生されることが好ましい。さらに、担体または賦形剤はin vitroで形成させる際にPTMを安定化させる、in vivoにおいてPTMの安定性を高める、かつ/またはin vivoにおいてPTM導入の効率を高めるようにデザインされ、それにより、より効率的なPTM送達系を提供する。
本発明の合成PTMは、プレmRNAと特異的に結合するようにデザインされた1以上の標的結合ドメイン;分岐点、ピリミジン領域および3'スプライスアクセプター部位を含む3'スプライス領域、および/または5' スプライスドナー部位;ならびに標的結合ドメインとRNAスプライス部位を隔てる1以上のスペーサー領域を含んでなる。さらに、本発明の合成PTMは翻訳可能なタンパク質産物をコードするものなどの任意の付加的なヌクレオチド配列を含むよう遺伝子工学的に操作することができる。
本発明の方法は本発明の合成PTMを、天然プレmRNAを発現する標的細胞と、その合成PTMの一部が天然プレmRNAの一部へとトランス-スプライスされて新規なキメラRNAを生成する条件下で接触させることを含む。標的プレmRNAは特定の細胞種内で発現し、従って、新規なRNAの発現を選択された細胞種に限定する仕組みを提供することから標的として選択される。結果として生じるキメラRNAは所望の機能を提供するものであるか、または特定の細胞種内で遺伝子産物を産生するものであり得る。特定の細胞としては、限定されるものではないが、ウイルスその他の感染性因子に感染した細胞、良性または悪性腫瘍、あるいは自己免疫疾患または組織拒絶に関与する免疫系の成分が挙げられる。特異性はPTMの結合ドメインを標的内因性プレmRNAへ結合するように改変することにより達成される。キメラRNAによってコードされる遺伝子産物は例えば治療遺伝子、マーカー遺伝子および毒素をコードする遺伝子など、臨床用途を有する遺伝子を含むいずれの遺伝子であってもよい。
5.1 プレ-トランス-スプライシング分子の構造
本発明はターゲティング・トランス-スプライシングにより新規なキメラ核酸分子を生成する上で使用する組成物を提供する。本発明の合成PTMは、(i)プレmRNAへの合成PTMの結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン、(ii)分岐点、ピリミジン領域および3'スプライスアクセプター部位を含む3'スプライス領域、および/または5' スプライスドナー部位、ならびに(iii)標的結合ドメインとRNAスプライス部位を隔てる1以上のスペーサー領域を含んでなる。さらに、これらの合成PTMは翻訳可能なペプチドまたはタンパク質産物をコードする任意のヌクレオチド配列を含むよう操作することができる。本発明のさらにもう1つの実施形態では、PTMはキメラRNA分子の翻訳を阻害するヌクレオチド配列を含むように合成することができる。例えば、これらのヌクレオチド配列は二次構造を形成し、それにより翻訳を阻害する翻訳停止コドンまたはヌクレオチド配列を含み得る。あるいは、このキメラRNAはアンチセンス分子として機能し、それによりそれが結合するRNAのスプライシング、核輸送または翻訳を阻害し得る。
RNAの翻訳を阻害するなどの機能を遂行し得るか、あるいは細胞内で欠陥型もしくは不活性型タンパク質を相補するタンパク質をコードするか、または特定の細胞を死滅させる毒素をコードする新規なキメラRNAの産生に用いるための種々の異なるPTM分子が合成され得る。このようなPTMとしては、嚢胞性繊維症または凝固因子VIII遺伝子における欠陥を修復するようデザインされたPTM、あるいはパピローマウイルス遺伝子産物などのウイルス遺伝子産物を阻害するようデザインされたものが挙げられる。このようなPTMのデザイン、構築および遺伝子操作、ならびに細胞内での成功裡のトランス-スプライシング反応を媒介する能力の実証は米国特許第6,083,702号、同第6,013,487号および同第6,280,978号、ならびに特許出願番号09/941,492(これらは各々参照によりその全開示内を本明細書に組み入れる)に詳細に記載されている。
合成PTMの標的結合ドメインは合成PTMに結合親和性を付与する。本明細書において標的結合ドメインは、核のスプライセオソームプロセシング装置が合成PTMの一部をプレ-mRANの一部へとトランス-スプライスすることが可能となるように合成PTMに結合特異性を付与し、合成PTMに空間上近接してプレmRNAを固定する任意の分子、すなわち、ヌクレオチド、タンパク質、化学化合物などとして定義される。合成PTMの標的結合ドメインは、選択されたプレmRNAの標的化領域に相補的であり、かつ、それに対してアンチセンス配向にある複数の結合ドメインを含み得る。これらの標的結合ドメインは最大数千個のヌクレオチドを含み得る。本発明の好ましい実施形態では、これらの結合ドメインは少なくとも10〜30個、最大数百個またはそれより多いヌクレオチドを含み得る。合成PTMの特異性は標的結合ドメインの長さを増すことにより著しく高めることができる。例えば、標的結合ドメインは数百個またはそれより多いヌクレオチドを含み得る。さらに、この標的結合ドメインは「直鎖状」であってもよいが、このRNAは複合体を安定化させ、それによりスプライシングの効率を高め得る二次構造を形成するよう折りたたまれうるものと理解される。第2の標的結合領域は分子の3'末端にあってもよく、本発明のPTMに組み込むこともできる。絶対的な相補性は好ましいが、必ずしも必要ではない。本明細書に言及されるRNAの一部に対する配列「相補性」とは、標的プレ-RNAとハイブリダイズして安定な複合体を形成し得るに十分な相補性を有する配列を意味する。ハイブリダイズ能は相補性の程度と核酸の長さの双方に依存する(例えば、Sambrookら, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York参照)。一般に、ハイブリダイズする核酸が長いほど、それが含み得るRNAとの塩基の誤対合が多くなるが、なお、安定した二重らせんを形成する。当業者ならば、ハイブリダイズした複合体の安定性を求める標準的な手法を用いて二重らせんの誤対合の許容度または長さを確認することができる。
PTMをイントロン-エキソンタグ付加、またはペプチドアフィニティータグ付加において使用するためにデザインする場合、合成PTMのライブラリーを標的結合ドメイン中のランダムなヌクレオチド配列を含むように遺伝子操作する。あるいは、イントロン-エキソンタグ付加では、合成PTMを、標的結合ドメインを欠くように遺伝子操作してもよい。このような合成PTM分子のライブラリーを作製する上での目標は、ライブラリーが、細胞内で発現される各RNA分子と結合し得る合成PTM分子の集団を含むことである。組換え発現ベクターを、ランダムDNA断片をPTM中へ挿入してランダム標的結合ドメインを形成するのに使用できる制限エンドヌクレアーゼ部位を含む、PTMのコード領域を含むように遺伝子操作することができる。標的結合ドメインとしてPTMに含まれるランダムヌクレオチド配列は、限定されるものではないが、DNAのランダム断片を作製するための制限酵素によるDNAの部分消化またはDNAの機械的剪断をはじめとする、当業者に周知の種々の異なる方法を用いて作製することができる。ランダム結合ドメイン領域はまた、縮重オリゴヌクレオチド合成によっても作製し得る。縮重オリゴヌクレオチドは、縮重結合ドメインを有するPTM分子のライブラリーを作製するためのPTM分子中へのクローニングが容易となるよう、各末端に制限エンドヌクレアーゼ認識部位を有するように操作することができる。
結合はまた、例えば三重らせんの形成、アプタマー相互作用、抗体相互作用、またはタンパク質/核酸相互作用(PTMが特定のRNA結合タンパク質、すなわち、特定の標的プレmRNAと結合しているタンパク質を認識するように操作されたものなど)による他の機構によって達成してもよい。あるいは、本発明のPTMは、例えばRNA分子内のヌクレオチド間の分子内塩基対合から生じるヘアピン構造などの二次構造を認識するようにデザインしてもよい。
PTM分子はまた、分岐点、ピリミジン領域および3'スプライスアクセプターAG部位を含む3'スプライス領域、および/または5'スプライスドナー部位も含む。RNAスプライシングに用いる5' スプライスドナー部位と3'スプライス領域のコンセンサス配列は当技術分野で周知である(Mooreら, 1993, The RNA World, Cold Spring Harbor Laboratory Press, p. 303-358参照)。さらに、5'ドナースプライス部位および3'スプライス領域として機能する能力を維持する改変型コンセンサス配列を本発明の実施に用いてもよい。要するに、5'スプライス部位コンセンサス配列はAG/GURAGU(ここで、A=アデノシン、U=ウラシル、G=グアニン、C=シトシン、R=プリン、そして / =スプライス部位)である。3'スプライス部位は、分岐点または分岐部位、ポリピリミジン領域および3'スプライス部位アクセプターコンセンサス配列(YAG)の別個の3つの配列エレメントからなる。哺乳類における分岐点コンセンサス配列はYNYURAC(Y=ピリミジン;N=任意のヌクレオチド)である。下線のAは分岐形成部位である。ポリピリミジン領域は分岐点とスプライス部位アクセプターの間にあり、効率的な分岐点の利用および3'スプライス部位の認識に重要である。
さらに、3'アクセプター部位(AG)を含んでなるPTMは遺伝子操作してもよい。このようなPTMはさらにピリミジン領域および/または分岐点配列を含んでもよい。
最近、ジヌクレオチドAUではじまり、ジヌクレオチドACで終わるプレmRNAイントロンが同定され、U12イントロンと呼ばれている。U12イントロン配列、ならびにスプライスアクセプター/ドナー配列として機能する任意の配列もPTMにおいて使用し得る。
PTMにはRNAスプライス部位を標的結合ドメインから隔てるためのスペーサー領域も含んでよい。このスペーサー領域は、スプライスされないPTMの翻訳を遮断する停止コドン、および/または標的プレmRNAへのトランス-スプライシングを促進する配列などの特徴を有するものであり得る。
本発明の好ましい実施形態では、非特異的トランス-スプライシングを防ぐための「安全装置」もスペーサー、結合ドメインまたはその他のどこかに組み込まれる。これはPTMの3'および/または5'スプライス部位の要素を比較的弱い相補性によりカバーして非特異的トランス-スプライシングを防ぐPTMの一領域である。このPTMは、PTMの結合/ターゲティング部分がハイブリダイズした際に3'および/または5'スプライス部位のカバーが除かれ、完全に活性型となるようにデザインされる。
この「安全装置」は、PTM分岐点、ピリミジン領域、3'スプライス部位および/または5'スプライス部位(スプライシングエレメント)の片側または両側に弱く結合するか、またはそれ自体スプライシングエレメントの一部と結合し得るシス-配列の、1以上の相補的ストレッチからなるかあるいは第2の別個の核酸鎖であり得る。この「安全装置」の結合は、スプライシングエレメントが活性型とならないようにする(すなわち、U2 snRNPまたはその他のスプライシング因子がPTMスプライス部位認識エレメントに付着しないようにする)。この「安全装置」の結合はPTMの標的結合領域が標的プレmRNAへ結合することで妨害され、それによりPTMスプライシングエレメントが露出して活性化する(その結果、標的プレmRNA中へトランス-スプライスすることが利用可能となる)。
細胞死などの作用をもたらすことができる翻訳可能なタンパク質、または喪失した機能を回復させるかもしくはマーカーとして働くタンパク質をコードするヌクレオチド配列が、本発明のPTMに含まれる。例えば、ヌクレオチド配列は既知の遺伝的疾患において喪失している、または変更されている遺伝子産物をコードする配列を含み得る。あるいは、これらのヌクレオチド配列は細胞を同定または画像化するために用い得るマーカータンパク質またはペプチドをコードしてもよい。本発明のさらにもう1つの実施形態では、HISタグ(6個の連続するヒスチジン残基)(Janknechtら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8972-8976)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)のC末端(SmithおよびJohnson, 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8703-8707)(Pharmacia)またはFLAG(Asp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys)(Eastman Kodak/IBI, Rochester, NY)などのアフィニティータグをコードするヌクレオチド配列をアフィニティー精製に用いられるPTM分子に含めることができる。このようなヌクレオチド配列を含有するPTMを使用すると、ペプチドアフィニティータグと結合された、細胞内で通常発現されるペプチド配列を含む融合タンパク質をコードするキメラRNAが産生する。このアフィニティータグは細胞内で発現されたペプチド配列の迅速な精製および同定のための方法を提供する。ある好ましい実施形態では、これらのヌクレオチド配列は、毒素、あるいは放射線療法または化学療法などのその後の処置に対する細胞の感受性を増強する何らかの機能を提供するその他のタンパク質をコードしてもよい。
本発明の極めて好ましい実施形態では、PTM分子はジフテリア毒サブユニットAと融合されている(Greenfield, L.ら, 1983, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 80:6853-6857)。ジフテリア毒サブユニットAは酵素的毒素活性を含み、ヒト細胞へ送達されれば細胞死をもたらすように機能する。さらにまた、本発明において、限定されるものではないが、リシン、シュードモナス毒、志賀毒および外毒素Aをはじめとする他の種々の既知のペプチド毒素を用いてもよい。
このPTM分子には、ポリアデニル化シグナル、またはスプライシングを促進するためのエンハンサー配列、付加的結合領域、「安全装置」すなわち自己相補性領域、付加的スプライス部位、または分子の安定性を調節し、分解を防ぐための保護基などの、付加的な特徴を付加することができる。本発明のある実施形態では、その合成PTM構造中にエキソンスプライシングエンハンサーと呼ばれる配列を含んでもよい。トランス作用スプライシング因子、すなわちセリン/アルギニン-リッチ(SR)タンパク質は、このようなエキソンスプライシングエンハンサーと相互作用し、スプライシングを調節することが示されている(See, Tackeら, 1999, Curr. Opin. Cell Biol. 11:358-362; Tianら, 2001, J. Biological Chemistry 276:33833-33839; Fu, 1995, RNA 1:663-680)。このPTM分子中には核局在シグナルもまた含んでよい(DingwellおよびLaskey, 1986, Ann .Rev. Cell Biol. 2:367-390; Dingwell and Laskey, 1991, Trends in Biochem. Sci. 16:478-481)。このような核局在シグナルは合成PTMの核(ここでトランス-スプライシングが起こる)への輸送を促進するために用いることができる。さらに、このPTM分子に、細胞核におけるPTMの保持を促進するシグナルを含めてもよい。
本発明のPTMへ組み込み得る付加的な特徴としては、スプライスされていないプレmRNAの発現を防ぐために結合ドメインとスプライス部位の間の領域における停止コドン、またはその他のエレメントが含まれる。本発明のもう1つの実施形態では、3'標的イントロンまたはエキソンへの結合を促進し、一定の確実なシス-5'スプライス部位(U5および/またはU1結合部位)を遮断するように、第2のアンチセンス結合ドメインを有するPTMも生成し得る。
キメラトランス-スプライス産物の生成のために二重トランス-スプライシング反応を必要とするPTMも生成し得る。このようなPTMはRNA修復に使用できる内部エキソンを置換するのに使用できる。2つのトランス-スプライシング反応を促進するようにデザインされたPTMは上記のように遺伝子操作されるが、それらは5'ドナー部位と3'スプライスアクセプター部位の双方を含む。さらに、これらのPTMは2以上の結合ドメインとスペーサー領域を含んでもよい。これらのスペーサー領域は複数の結合ドメインとスプライス部位の間、あるいは複数の結合ドメインの間に配置すればよい。
PTMに3'ヘアピン構造、環状化RNA、リボヌクレオチド塩基修飾、または合成類似体などのさらなるエレメントを組み込んで、核局在およびスプライセオソームの組み込み、および細胞内の安定性を促進または容易にすることができる。
さらに、植物細胞で用いるためのPTMを操作する場合には、保存された分岐点配列またはポリピリミジン領域は、これらの配列が植物でのイントロンプロセシングには必ずしも不可欠なものではないので、含まなくてもよい。しかし、例えば脊椎動物および酵母におけるスプライシングに必要なものである、3'スプライスアクセプター部位および/または5'スプライスドナー部位は含まれる。さらに、植物におけるスプライシングの効率はUAリッチイントロン配列も含めることにより増強され得る。当業者ならば、植物におけるトランス-スプライシング反応を媒介し得る任意の配列を使用できることが分かるであろう。
本発明のPTMは、例えば分子の安定性、標的mRNAとのハイブリダイゼーション、細胞への輸送などを向上させるために、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格において修飾することができる。例えば、全体的な変化を低減させるPTMの修飾は、細胞の分子取り込みを促進し得る。さらに、ヌクレアーゼまたは化学分解に対する感受性を低下させるために修飾することもできる。核酸分子は、ペプチドなどの別の分子(例えば、in vivoにおいて宿主細胞受容体をターゲティングするため)と、あるいは細胞膜(例えば、Letsingerら, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6553-6556; Lemaitreら, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. 84:648-652; 1988年12月15日に公開されたPCT公開番号W088/09810参照)または血液脳関門(例えば、1988年4月25日に公開されたPCT公開番号W089/10134参照)をを横切る輸送を促進する薬剤、ハイブリダイゼーション誘発切断剤(例えば、Krolら, 1988, BioTechniques 6:958-976参照)、またはインターカレート剤(例えば、Zon, 1988, Pharm. Res. 5:539-549参照)と結合するように合成してもよい。この目的でこれらの核酸分子を、例えばペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、輸送薬剤、ハイブリダイゼーション誘発切断剤などの別の分子と結合させてもよい。
核酸分子に対する他の種々の周知の修飾を細胞内安定性を高め、半減期を長くする手段として導入することができる。可能性のある修飾としては、限定されるものではないが、分子の5'および/または3'末端へのリボヌクレオチドのフランキング配列の付加が挙げられる。高い安定性が望まれるいくつかの場合では、2'-0-メチル化などの修飾されたヌクレオシド内部結合を有する核酸が好ましいものであり得る。修飾されたヌクレオシド内部結合を含む核酸は当技術分野で周知の試薬および方法を用いて合成され得る(Uhlmannら, 1990, Chem. Rev. 90:543-584; Schneiderら, 1990, Tetrahedron Lett. 31:335およびそこに挙げられている参照文献)。
本発明のPTMは好ましくは細胞内でのそれらの安定性が高まるように修飾される。RNA分子は細胞性リボヌクレアーゼによる切断に対して感受性があることから、RNA結合配列の作用を模倣するが、ヌクレアーゼ切断に対する感受性の低い化学修飾オリゴヌクレオチド(またはオリゴヌクレオチドの組合せ)を競合阻害剤としても用いるのが好ましい場合がある。さらに、合成PTMは安定性が増強したヌクレアーゼ耐性環状分子として産生させることもできる(Puttarajuら, 1995, Nucleic Acids Symposium Series No. 33:49-51; Puttarajuら, 1993, Nucleic Acid Research 21:4253-4258)。例えば、結合を増強するため、細胞内取り込みを増強するため、薬理特性もしくは薬物動態を向上させるため、またはその他の医薬上望ましい特性を向上させるために、他の修飾もまた必要とされる場合がある。
合成PTMの構造に対してなし得る修飾としては、限定されるものではないが、(i)ホスホロチオエート(XまたはYまたはWまたはZ=S、または残りのものがOである2以上の任意の組合せ)、例えば、Y=S(Stein, C. A.ら, 1988, Nucleic Acids Res., 16:3209-3221)、X=S(Cosstick, R.ら, 1989, Tetrahedron Letters, 30, 4693-4696)、YおよびZ=S(Brill, W. K.-D.ら, 1989, J. Amer. Chem. Soc., 111:2321-2322);(ii)メチルホスホネート(例えば、Z=メチル(Miller, P. S.ら, 1980, J. Biol. Chem., 255:9659-9665);(iii)ホスホルアミダート(Z=N-(アルキル)2、例えばアルキルメチル、エチル、ブチル)(Z=モルホリンまたはピペラジン)(Agrawal, S.ら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:7079-7083)(XまたはW=NH)(Mag, M.ら, 1988, Nucleic Acids Res., 16:3525-3543);(iv)ホスホトリエステル(Z=O-アルキル、例えば、メチル、エチルなど)(Miller, P. S.ら, 1982, Biochemistry, 21:5468-5474);および(v)リンを含まない結合(例えば、カルバメート、アセトアミデート、アセテート)(Gait, M. J.ら, 1974, J. Chem. Soc. Perkin I, 1684-1686; Gait, M. J.ら, 1979, J. Chem. Soc. Perkin I, 1389-1394)の使用などの骨格修飾が挙げられる。また、Sazaniら, 2001, Nucleic Acids Research 29:3965-3974も参照。
さらに、本発明のPTM中に糖修飾を組み込んでもよい。このような修飾としては、限定されるものではないが、(i)2'-リボヌクレオシド(R=H);(ii)2'-O-メチル化ヌクレオシド(R=OMe)(Sproat, B. S.ら, 1989, Nucleic Acids Res., 17:3373-3386);および(iii)2'-フルオロ-2'-リボヌクレオシド(R=F)(Krug, A.ら, 1989, Nucleosides and Nucleotides, 8:1473-1483)の使用が挙げられる。
さらに、PTMに対してなし得る塩基修飾としては、限定されるものではないが、(i)5位で置換(例えば、メチル、ブロモ、フルオロなど)されたか、またはカルボニル基がアミノ基に置換しているピリミジン誘導体(Piccirilli, J. A.ら, 1990, Nature, 343:33-37);(ii)特定の窒素原子を欠いたプリン誘導体(例えば、7-デアザアデニン、ヒポキサンチン)または8位で官能基化されたプリン誘導体(例えば、8-アジドアデニン、8-ブロモアデニン)(総説としては、Jones, A. S., 1979, Int. J. Biolog. Macromolecules,1:194-207参照)が挙げられる。
さらにまた、PTMは、(i)プソラレン類(Miller, P. S.ら, 1988, Nucleic Acids Res., Special Pub. No. 20, 113-114)、フェナントロリン類(Sun, J-S.ら, 1988, Biochemistry, 27:6039-6045)、マスタード類(Vlassov, V. V.ら, 1988, Gene, 72:313-322)(補助試薬を必要とする、または必要としない不可逆的架橋剤);(ii)アクリジン(インターカレート剤)(Helene, C.ら, 1985, Biochimie, 67:777-783);(iii)チオール誘導体(タンパク質との可逆的ジスルフィド形成)(Connolly, B. A.およびNewman, P. C., 1989, Nucleic Acids Res., 17:4957-4974);(iv)アルデヒド類(シッフの塩基形成);(v)アジド、ブロモ基(UV架橋);または(vi)エリプチシン類(光分解架橋)(Perrouault, L.ら, 1990, Nature, 344:358-360)などの反応性官能基と共有結合させてもよい。
本発明の1つの実施形態では、糖とヌクレオシド間結合、すなわち、ヌクレオチドユニットの骨格が、新規の基で置換されたオリゴヌクレオチドミメティクスが使用できる。例えば、天然オリゴヌクレオチドに対するよりもDNAおよびRNAに対して高い親和性で結合することが示されているこのようなある種のオリゴヌクレオチドミメティクスはペプチド核酸(PNA)と呼ばれる(総説としては、Uhlmann, E. 1998, Biol. Chem. 379:1045-52参照)。このように、PNAは、それらの安定性および/または標的プレmRNAに対する結合親和性を高めるために合成PTMへ組み込んでよい。
本発明のもう1つの実施形態では、合成PTMは親油基または細胞による取り込みを向上し得るその他の試薬と共有結合させてもよい。例えば、PTM分子は、PTMが細胞へ送達される効率を高めるため、(i)コレステロール(Letsinger, R. L.ら, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:6553-6556);(ii)ポリアミン類(Lemaitre, M.ら, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci, USA, 84:648-652);その他の可溶性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)と共有結合させてもよい。さらにまた、安定性および標的細胞へのPTMの送達を増強するために上記で示した修飾の組合せを用いてもよい。
本発明のPTMは標的細胞内で新規なキメラRNAを産生するよう設計された方法で用いることができる。本発明のこの方法は、PTM RNA分子を標的細胞へ送達することを含んでなり、該PTMはプレmRNAへ結合し、プレmRNAの一部へとスプライスされたPTM分子の一部を含んでなるキメラRNAの形成をもたらすトランス-スプライシング反応を媒介する。
5.2 トランス-スプライシング分子の合成
本発明の合成PTMは、典型的には、一本鎖または二本鎖の、核酸分子またはその誘導体もしくは修飾型である。本発明の合成PTMは好ましくはホスホジエステル結合または修飾型結合を持つリボヌクレオシドからなるRNA分子である。核酸とはまた、特に5つの生物学的に生じる塩基(アデニン、グアニン、チミン、シトシンおよびウラシル)以外の塩基からなる核酸も含む。さらにまた、本発明の合成PTMは、PTMの安定性を高めるようデザインされたDNA/RNA、RNA/タンパク質またはDNA/RNA/タンパク質のキメラ分子を含み得る。
本発明の合成PTMは、核酸分子の合成に関して当技術分野で公知の任意の方法により調製することができる。例えば、核酸は商業的に入手可能な試薬および当技術分野で周知の方法による合成装置を用いて化学的に合成してもよい(例えば、Gait, 1985, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press, Oxford, England参照)。
あるいは、合成PTMは目的のPTMをコードするDNA配列のin vitro転写によって作製することもできる。このようなDNA配列はT7、SP6またはT3ポリメラーゼプロモーターなどの好適なRNAポリメラーゼプロモーターから下流の広範なベクターへと組み込むことができる。コンセンサスRNAポリメラーゼプロモーター配列は以下のものを含む:
Figure 2006505242
太字の塩基は転写の際にRNAへ組み込まれる最初の塩基である。下線は効率的な転写に必要な最小配列を示している。
RNAは、SPS65およびBluescript(Promega Corporation, Madison, WI)などのプラスミドを用いてin vitro転写により高収量で得られる。さらにまた、目的のPTMの産生にはQ-β増幅などのRNA増幅法を用いることができる。
さらに、PTMは細胞内でのin vivo転写によっても生成することができる。目的のPTMをコードするDNAは、大規模なDNA複製も提供し、PTMの高レベル転写を指令するのに必須のエレメントを含む種々の宿主ベクター系中へ組換え作製してもよい。例えば、ベクターは、細胞により取り込まれ、PTM分子の転写を命令するようにin vivoに導入することができる。このようなベクターは、転写されて所望のRNAを多量に産生することができる限り、エピソームに留まっていてもよいし、あるいは染色体に組み込まれてもよい。このようなベクターは当技術分野において標準的な組換えDNA技術によって構築することができる。
目的のPTMをコードするベクターとしては、哺乳類細胞での複製および発現に用いられるプラスミド、ウイルスまたは当技術分野で公知のその他のものであり得る。PTMをコードする配列の発現は、哺乳類、好ましくはヒト細胞において機能することが当技術分野で知られている任意のプロモーターにより調節することができる。このようなプロモーターは誘導性のものでも構成性のものでもよい。このようなプロモーターとしては、限定されるものではないが、SV40初期プロモーター領域(Benoist, C.およびChambon, P. 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3'長末端反復配列に含まれるプロモーター(Yamamotoら, 1980, Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら, 1982, Nature 296:39-42)、ウイルスCMVプロモーター、ヒト絨毛性ゴナドトロピン-βプロモーター(Hollenbergら, 1994, Mol. Cell. Endocrinology 106:111-119)などが挙げられる。任意のタイプのプラスミド、コスミド、YACまたはウイルスベクターは組織部位へ直接導入することができる組換えDNA構築物を製造するために使用できる。あるいは、所望の標的細胞に選択的に感染するウイルスベクターを使用することができる。さらにまた、目的のPTMをコードするベクターを、アフィニティークロマトグラフィーを用いて細胞からPTMを効率的に精製するために用い得るヌクレオチドタグを有するPTMをコードするようデザインすることもできる。
選択可能な哺乳類発現ベクター系も利用することができる。限定されるものではないが、tk-、hgprt-またはaprt-欠損細胞のそれぞれにおける単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼおよびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼタンパク質の発現に関する選択をはじめとする、多くの選択系が使用できる。また、メトトレキサート耐性を付与するジヒドロ葉酸トランスフェラーゼ(dhfr)、ミコフェノール酸耐性を付与するキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、アミノグリコシドG-418耐性を付与するネオマイシン(neo)、およびハイグロマイシン耐性を付与するハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hygro)に対する選択の基礎として抗代謝産物耐性を用いることもできる。本発明の1つの好ましい実施形態では、単体のベクターだけが存在するように細胞に対するベクターの比率を低くして、または、任意の1つの細胞に存在するベクターの数を制限して、細胞培養物を形質転換する。本発明の実施に用いられるベクターとしては、限定されるものではないが、レトロウイルスまたはアデノ随伴ウイルス種に由来するものなど、ウイルス発現ベクターを含む任意の真核発現ベクターが挙げられる。
PTMは当技術分野で周知の任意の好適な手段によって精製してもよい。例えば、PTMはゲル濾過、アフィニティーまたは抗体相互作用、逆相クロマトグラフィー、あるいはゲル電気泳動により精製することができる。もちろん、当技術分野ならば、精製方法は1つには精製する核酸の大きさ、電荷および形状によって決まることが分かるであろう。
本発明のPTMはin vitroで化学合成されるものであれin vivoで化学合成されるものであれ、PTMの安定性、取り込み、または標的プレmRNAへの結合を高めるために、修飾されたかまたは置換されたヌクレオチドの存在下で合成することができる。さらにまた、PTMの合成後、例えばPTM分子の物理特性を向上させるために、そのPTMをペプチド、化学薬剤、抗体または核酸分子で修飾してもよい。このような修飾は当業者に周知である。
5.3 トランス-スプライシング分子の使用および投与
本発明の組成物および方法は、遺伝子調節、遺伝子修復、標的化細胞死、およびリアルタイムイメージングをはじめとする種々の様々な用途を持つ。例えば、有毒な特性を有するタンパク質を細胞中に導入するためにトランス-スプライシングを使用することができる。さらにまた、ウイルスmRNAと結合してウイルスmRNAの機能を破壊するように、あるいはまた、ウイルスmRNAを発現する任意の細胞を破壊するように合成PTMを遺伝子操作することができる。本発明のさらにもう1つの実施形態では、有害なmRNA転写物に停止コドンを配置して、それによりその転写物の発現を低下させるように合成PTMを操作することができる。
二重トランス-スプライシング反応、3'エキソン置換および/または5'エキソン置換をはじめとするターゲティング・トランス-スプライシングは、末端切断されているか、または突然変異を含む転写物を修復または修正するために使用できる。本発明の合成PTMは、特定の突然変異の上流または下流の、あるいは成熟前の3'終結の上流の標的転写物をトランス-スプライスして、突然変異を含む転写物を機能的配列または治療用配列で置き換えるトランス-スプライシング反応により突然変異転写物を修正するようデザインされる。
さらにまた、腫瘍細胞における毒素の選択的発現のために二重トランス-スプライシング反応を用いてもよい。例えば、ヒトβ-絨毛性ゴナドトロピン-6(βhCG6)遺伝子転写物の2番目のエキソンを置き換えて、ジフテリア毒のサブユニットA(DT-A)をコードするエキソンを送達するよう、合成PTMをデザインすることができる。サブユニットBの不在下でDT-Aが発現すると、その遺伝子を発現する細胞にだけ毒性がもたらされるはずである。βhCG6はトランス-スプライシングによる遺伝子改変の原型となる標的である。βhCG6遺伝子の配列および構造は完全に知られており、スプライシングのパターンも同定されている。βhCG6遺伝子は、多くの非生殖系列腫瘍をはじめ多くのタイプの固形癌で発現が高いが、このβhCG6遺伝子は正常な成体の大多数の細胞ではサイレントである。ゆえに、βhCG6プレmRNAは腫瘍特異的毒性をもたらすようデザインされたトランス-スプライシング反応の望ましい標的と言える。
βhCG6プレmRNAの最初のエキソンはイニシエーターAUGを含む5つのアミノ酸のみをコードするのが理想的であり、これはトランス-スプライスされたmRNAの効率的な翻訳に必要なシグナルを提供すると同時にDT-A毒素の適切な折りたたみの妨害を最小限にしなければならない。キメラタンパク質の形成を防ぐために停止コドンを含むようデザインされたDT-AエキソンはβhCG6遺伝子の最後のエキソンへとトランス-スプライスされるよう操作される。βhCG6遺伝子の最後のエキソンmRNAのポリアデニル化のために適当なシグナルを有する構築物を提供し、翻訳を確実なものとする。
嚢胞性繊維症(CF)はヒトにおいて最も多い致死的遺伝的疾患の1つである。遺伝子解析および分子的解析の双方に基づき、嚢胞性繊維症と関連のある遺伝子が単離され、そのタンパク質産物が推定されている(Kerem, B.S.ら, 1989, Science 245:1073-1080; Riordanら, 1989, Science 245:1066-1073;Rommansら, 1989, Science 245:1059-1065)。CF関連遺伝子のタンパク質産物は嚢胞性繊維症膜貫通伝導調節因子(CFTR)と呼ばれている。本発明のある特定の実施形態では、トランス-スプライシング反応を用いてこの嚢胞性繊維症膜貫通調節因子(CFTR)をコードするDNA配列の遺伝子欠陥を修正し、それにより嚢胞性繊維症膜貫通調節因子タンパク質をコードするDNA配列が発現され、患者の気道上皮細胞で機能的塩素イオンチャネルが生成される。
集団研究では、最も多い嚢胞性繊維症突然変異はCFTRアミノ酸配列の508番の位置にフェニルアラニンをコードするエキソン10における3つのヌクレオチドの欠失であることが示されている。米国特許第6,280,978号に記載されているように、トランス-スプライシング反応はCFTRアミノ酸配列の508番の位置における欠失を修正することができた。遺伝子欠陥の修正に用いるPTMはイントロン9配列に相補的なCFTR結合ドメイン、スペーサー配列、分岐点、ポリピリミジン領域、3'スプライス部位および野生型CFTR BDエキソン10配列を含んでいた。トランス-スプライシング反応を用い、CFTRをコードする突然変異DNAを首尾よく修正できることは、遺伝子欠陥の修正を目的としたPTMの一般的な用途を支持するものである。
本発明の方法および組成物はまた、植物における遺伝子発現を調節するためにも用い得る。例えば、トランス-スプライシングは、操作された任意の遺伝子の発現を選択された標的植物遺伝子の天然の調節下に置き、それにより操作した遺伝子の発現を調節するために用い得る。また、トランス-スプライシングは、非宿主植物において操作された遺伝子の発現を妨げたり、あるいは、内在遺伝子産物をより望ましい産物へ変換したりするためにも用い得る。
種々の送達系が知られており、陽イオン脂質(Lu,D.ら, 1994, Cancer Gene Ther., 1:245-252)またはポリカチオン、DEAE-デキストラン(Malone, R.W.ら, 1989, Proc. Natl Acad. Sci. USA, 86:6077-6081)、ポリ(L-リジン)(Fisher,K.J. and Wilson, J.M., 1997, Biochem. J., 321:49-58)またはデンドリマー(Strobel, I.ら, 2000, Gene Ther., 7:2028-2035)とPTMのコンジュゲーションが挙げられるが、それらは、本発明の組成物を細胞へ導入するために使用できる。
本発明のある特定の実施形態では、合成PTMがマトリックスと結合して、またはマトリックスに浸透して、「マトリックス-PTM組成物」を形成している組成物を調製し、次に、このマトリックス-PTM組成物を、標的mRNAを発現する細胞または組織と接触するように置いてもよい。このマトリックスは合成PTMを含有する溶液中にマトリックスを、単に、約5分程から約1時間以内の任意の短時間浸漬することにより、合成PTMが浸透するようになる。マトリックス-PTM組成物は全て、マトリックスに合成PTMが吸着されているか、吸収されているか、あるいはそうでなければマトリックスと接触した状態を維持しているものである。
本発明の組成物および方法で用い得るマトリックスのタイプは、それが「生体適合性マトリックス」である限り、実質的に無制限である。これは、マトリックスが動物に投与した際に有害反応、アレルギー反応、またはその他の不都合な反応を引き起こさない形態であるという点、および細胞または組織と接触した状態に置くのに好適でもあるという点で「生体適合性」であることと一般に関連する全ての特徴を有することを意味する。
合成PTMの直接in vivo導入は、リポソーム(Ledleyら, 1987)、またはウイルスエンベロープ受容体タンパク質を含むプロテオリポソーム(Nicolauら, 1983)中に捕捉された合成PTM製剤により達成できる。本発明は新規な陽イオン性の両親媒性脂質の合成、およびin vitroおよびin vivoにおける合成PTM導入ビヒクルとしてのそれらの用途に関する。種々の異なる脂質(ジグリセリド類、ステロイド類)は合成可能であり、様々な陽イオン分子(アミノ酸、生体アミン)で修飾可能である。この種の化合物は、ポリヌクレオチド(DNA、RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムなど)と複合体を形成するそれらの能力にもよるが、PTMのベクター(トランスフェクション)として好適である(米国特許第6,268,516号; Felgner P.L.ら, 1987, Lipofection: a highly efficient, lipid-mediated DNA transfection procedure, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-7417参照)。
in vitroおよびin vivoの双方で極めて効率的な遺伝子導入を達成するためには、リポソームの生成に用いる陽イオン脂質は無毒で、十分な生物分解性がなければならず、免疫反応を引き起こしてはならない。さらにまた、リポソームは合成PTMと高い効率で複合体を形成し、合成PTMを分解から保護し、高いトランスフェクション効率を提供しけなればならない。本発明のある好ましい実施形態では、リポソームは受容体特異的な様式で操作することができる。陽イオン脂質の合成方法は当業者に周知のものである。
in vitroおよびin vivo双方において合成PTMを標的細胞へ導入するために、受容体により媒介される遺伝子導入もまた使用してよい。このような導入には、目的の細胞の表面上の特定の受容体をターゲティングするよう選択された、共有結合したリガンドを含むポリカチオンタンパク質(通常、ポリ-L-リジン)と、合成PTMとを連結することを含む。この核酸が細胞によって取り込まれ、発現される。ポリ核酸結合剤(ポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ヒストン、アビジン、またはプロタミンなど)と組織受容体特異的タンパク質リガンドとのコンジュゲートを用いた合成PTMの細胞特異的送達はまた、Wuらの方法(米国特許第5,166,320号)を用いて達成してもよい。
本発明のさらにもう1つの実施形態では、「裸の」合成PTMを宿主へ直接注入し得る(Dubenskiら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:7529-33 (1984))。合成PTMはリン酸カルシウムを用いて沈殿させてもよく、好適な担体とともに注入してもよい。
これらの組成物および方法は癌およびその他の重篤なウイルス感染、自己免疫疾患、および、特定の細胞種の変更または排除が有益なその他の病的状態を治療するために使用できる。さらに、これらの組成物および方法はまた、欠失しているかまたは突然変異した遺伝子産物の発現が正常な表現型をもたらす遺伝性の遺伝的疾患を有する患者の細胞に、機能的な生物活性分子をコードする遺伝子を提供するためにも用い得る。
本発明はまた、有効量の合成PTMと医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物も提供する。ある特定の実施形態では、「医薬上許容される」とは、連邦政府もしくは州政府の規制当局が認可したか、または米国薬局方に列挙されているか、または動物および特にヒトにおける使用に関して一般に認められている薬局方に列挙されていることを意味する。「担体」とは、合成物と一緒に投与する希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルをさす。好適な医薬担体の例は、E.W. Martinによる"Remington's Pharmaceutical sciences"に記載されている。
特定の実施形態では、医薬組成物は(1)例えばタンパク質が欠損している宿主、一般には欠陥があるか、生物学的に不活性であるか、または活性が不十分であるか、または発現が不十分である宿主において、内在タンパク質または機能の不在またはレベルの低下(正常または望ましいレベルに比べて)を伴う疾患または疾病に、あるいは(2)in vitroまたはin vivoにおけるアッセイが特定のタンパク質の機能を阻害する合成PTMの有用性を示す疾病または疾患に、投与される。合成PTMにより媒介されるトランス-スプライシング反応から生じるキメラmRNAにコードされるタンパク質の活性は、例えば宿主の組織サンプルを得て(例えば、生検組織から)、それをin vitroにおいてmRNAまたはタンパク質レベル、構造および/または発現したキメラmRNAの活性についてアッセイすることにより、容易に検出することができる。従って、限定されるものではないが、キメラmRNAにコードされるタンパク質を検出および/または可視化するための免疫アッセイ(例えば、ウエスタンブロット、免疫沈降、その後のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫組織化学など)、および/またはキメラmRNAの存在を検出および/または可視化することによりキメラmRNA発現の形成を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、in situハイブリダイゼーション、および逆転写PCRなど)などをはじめとする当技術分野で標準的な多くの方法を用いることができる。あるいは、合成PTMによりコードされるか、またはPTMと結合しているリポーター遺伝子の直接的視覚化を行ってもよい。
本発明はまた有効量の合成PTMまたは合成PTMをコードする核酸と医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物も提供する。ある特異的実施形態では、「医薬上許容される」とは、連邦政府もしくは州政府の規制当局が認可した、または米国薬局方に列挙されているか、または動物および特にヒトにおける使用に関して一般に認められている薬局方に列挙されていることを意味する。「担体」とは、治療薬を一緒に投与する希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルをさす。好適な医薬担体の例は、E.W. Martinによる"Remington's Pharmaceutical sciences"に記載されている。ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は処置の必要な領域に局所投与するのが望ましい。これは例えば、限定された方法ではないが、手術中の局所注入、局所適用(例えば、手術後の創傷の包帯と組み合わせるか、注射によるか、カテーテルの手段によるか、坐剤の手段によるか、またはインプラントの手段によるものであり、このインプラントはシラスティック膜のような膜または繊維をはじめとする、多孔質、非多孔質またはゼラチン質の素材である)により達成できる。ナノ粒子、徐放性ポリマーのようなマトリックス、ヒドロゲルなどのその他の徐放性薬物送達系がある。
合成PTMは標的細胞において所望の作用をもたらすのに有効な量で投与される。合成PTMの有効用量は、生体半減期、バイオアベラビリティーおよび毒性などのパラメーターを取り扱う業者に周知の手順により決定することができる。本発明の組成物の有効量は治療する疾病または疾患の性質によって異なり、標準的な臨床技術によって決定することができる。さらにまた、所望により、最適な用量範囲を判定する助けとするためにin vitroアッセイを用いてもよい。
本発明はまた、本発明の医薬組成物の1以上の成分を充填した1以上の容器(場合により、このような容器と関連付けてもよい)を含んでなる医薬パックまたはキットを提供し、このような容器は医薬または生物製品の製造、使用または販売を規制する政府当局により指示された形態で表示を付すことができ、この表示はヒトへの投与に関する製造、使用または販売の当局による認可を示すものである。
6. 実施例:トランス-スプライシング分子の産生
以下の実施例は細胞へのPTMの成功裡の導入、および機能的活性を有する全長タンパク質の産生をもたらす、標的プレmRNAと3'および5'双方のスプライス部位を含むPTM RNAとの間の二重トランス-スプライシングによる内部エキソンの正確な置換を実証するものである。
6.1. 材料および方法
6.1.1. RNAのin vitro転写および精製
鋳型DNAの調製:プラスミドpc3.1DSPTM7およびpc3.1DSPTM19(T7プロモーターを含む)は特許出願第09/941,492号に記載されている。これらのプラスミドを37℃にてStu I制限酵素で完全消化した(2〜3時間)。生成物を緩衝化フェノールで1回およびクロロホルムで1回抽出するか、またはQiaquick PCR精製キット(Qiagen)を用いて精製した。エタノール沈殿によりDNAを回収し、70%エタノールで2回洗浄し、5分間風乾し、無菌水に再懸濁させて、それをin vitro転写に用いた。
転写は、キャップRNA用のmMESSAGE mMACHINE高収量キャップRNA転写キットまたは非キャップRNAを作製するためのT7-MEGAscriptキットのいずれかを製造業者のプロトコール(Ambion)に従ってin vitro転写で使用し、1μgの直鎖化プラスミドDNA鋳型を用いて20μl反応物として行った。これらの反応物を37℃で2〜3時間インキュベートし、DNA鋳型を、1μlのDNアーゼI(2U/ml)を加え、37℃でさらに15分間インキュベーションを続けることにより破壊した。ホルムアミドゲルローディングバッファーを加えた後に95℃で3分間加熱することにより反応を終わらせた。
in vitroで転写されたRNAを5〜6%変性ポリアクリルアミドゲルで精製した。RNAバンドはUV付影処理により可視化した。RNAをゲルから0.1% SDS、10mM EDTA中へ溶出させ、エタノール沈殿により回収し、70%エタノールで2回洗浄し、風乾し、無菌水に再懸濁させ、それをトランスフェクションに用いた。
6.1.2. 合成PTMのトランスフェクション
トランスフェクションの前日、1×106 293T細胞、すなわち組み込まれた欠陥型lacZ標的プレmRNAを発現する二重スプライシングに安定な細胞を、10%FBSを添加した5mlのDMEM増殖培地を含んだ60mm組織培養プレートに入れた。これらの細胞をCO2インキュベーター中、37℃で12〜16時間、または細胞が約60〜70%コンフルエントとなるまでインキュベートした。トランスフェクション前、細胞を2mlのOpti-MEM I血清減少培地で洗浄した。合成PTM-脂質複合体は、15ml試験管に1.7mlのOpti-MEM I、次いで8μlのDMRIE-Cトランスフェクション試薬(Life Technologies, Bethesda, MD)を加え、軽く混合することにより調製した。上記の混合物に、in vitroで転写され、ゲル精製したRNA 2.5μgおよび5.0μgを加え、軽くボルテックスにかけ、即座に洗浄した細胞に加えた。これらの細胞を37℃で4時間インキュベートした後、トランスフェクション培地を完全増殖培地(10% FBSを含むDMEM)に置き換えた。さらに16〜24時間インキュベートした後、プレートをPBSですすぎ、細胞を採取し、MasterPure RNA/DNA精製キット(Epicenter Technologies, Madison, WI)を用いて全RNAを単離した。RNA調製物中の混入DNAは37℃で30〜45分間DNアーゼIで処理することにより除去した。
6.1.3. 逆転写およびポリメラーゼ連鎖反応
トランスフェクションからの全細胞RNA(2.5μg)を、25μlの反応液中、製造業者のプロトコールに従い、50単位のRNアーゼ阻害剤(Life Technologies)および200ngのLac-6R遺伝子特異的プライマー:
(5’-CTAGGCGGCCGCCTGCTGGTGTTTTGCTTCC)
を添加し、MMLV逆転写酵素(Promega)を用いて、cDNAへ変換した。cDNA合成反応物を42℃で60分間インキュベートした後、95℃で5分間インキュベートした。このcDNA鋳型をPCR反応に用いた。PCR増幅は50μlのPCR反応液につき、100ngのプライマーおよび1μlの鋳型(RT反応)を用いて行った。典型的な反応液には、約25ngのcDNA鋳型、100ngのプライマー(シスおよびトランス-スプライス産物に共通)(KI-1F, 5’-GTTTCGCTAAATACTGGCAGGおよびLac-6R, 5’-CTAGGCGGCCGCCTGCTGGTGTTTTGCTTCC)、1X REDTaq PCRバッファー(10mM Tris-HCl, pH8.3, 50mM KCl, 1.1mM MgCl2および0.1%ゼラチン)、200μM dNTPおよび1.5単位のREDTaq DNAポリメラーゼ(Sigma, Saint Louis, Missouri)を含めた。PCR反応は、最初94℃で2分30秒間の予熱、次いで94℃で30秒間(変性)、60℃で36秒間(アニーリング)および72℃で1分間(伸長)を20サイクル、その後72℃で7分間の最終の伸長で行った。次にこのPCR産物を、シス-スプライス産物を特異的に切断するSph IおよびDde I制限エンドヌクレアーゼで消化した。トランス-スプライス反応物を、ハイブリダイゼーションプローブとしてLac-21(5’末端にビオチンを有する)を用いて単離した。精製したトランス-スプライス産物について、プライマーKI-2F(5’-CTGGCAGGCGTTTCGTCAG)およびLac-6Rを用いて2ラウンドのネスティッドPCRを行った。さらにこのトランス-スプライス産物の確実性を、トランス-スプライス産物を特異的に切断するPvu I制限酵素での診断的消化により確認した。
6.1.4. β-ガラクトシダーゼアッセイ
全細胞タンパク質を、凍結解凍法により単離し、β-galアッセイキット(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いてβ-ガラクトシダーゼ活性に関してアッセイした。タンパク質濃度は、Bio-Radタンパク質アッセイ試薬(BIO-RAD, Hercules, CA)を用いて色素結合アッセイにより測定した。
6.1.2. 結果
in vitroで合成されたPTM RNAを遺伝子材料として用いたところ、本明細書に記載の結果により、同時トランスフェクションアッセイ(293T細胞)、ならびに組み込まれたゲノム座位から二重スプライシングlacZプレmRNA標的を発現する細胞の双方で、二重スプライシングの正確なトランス-スプライシングが、PTM RNA(DSPTM7, CFTRの標的;DSPTM19, βHCGの標的)をプレmRNA標的中に、外生的に合成することを実証した(図2)。この目的で、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼを用いてin vitroでDSPTM6、DSPTM7、DSPTM18およびDSPTM19(キャップ化および非キャップ化)(図3)RNAを外生的に合成し、ゲル精製し、トランスフェクションに用いた。トランスフェクション48時間後、全細胞RNAを単離し、RT-PCRにより分析した(上記の通り)。図6に示されているように、DSPTM6およびDSPTM7は両者とも293T細胞において、期待される220bpのトランス-スプライスRT-PCR産物を産生した(上のパネル)。この産物の確実性を、シス-スプライス産物を特異的に切断するSph I(下のパネルのレーン1および2)、およびトランス-スプライス産物を特異的に切断するPvu I(下のパネルのレーン4および5)を用いた診断的消化により確認した。DSPTM7とDSCFT1.6プレmRNAとの間のトランス-スプライシングが正確であることを確認するため、RT-PCR増幅した産物を切り出し、KI-2FおよびLac6Rプライマーを用いて再増幅し、KI-2FまたはLac-6Rプライマーを用いて直接配列決定した。図6Cに示されているように、トランス-スプライシングは推定されるスプライス部位で正確に起こり、二重トランス-スプライシング事象による正確な内部エキソン置換が確認された。
トランス-スプライシング効率、ならびにDSPTM18、DSPTM19およびDSPTM7の特異性は二重スプライシングHCG標的プレmRNAを内在的に発現する安定した細胞において試験した。DSPTM18およびDSPTM19でトランスフェクトされた全RNAのRT-PCR解析では、期待される220bpのトランス-スプライス産物が得られた(図6Bのレーン3および4)。模擬(モック;mock)トランスフェクト細胞、またはCFTR標的プレmRNAへとターゲティングされるDSPTM7でトランスフェクトされた細胞ではトランス-スプライス産物は検出されなかった(レーン1および2)。
二重トランス-スプライシングにより媒介されるタンパク質機能の回復の効率および特異性をさらに、β-gal活性をアッセイすることによりタンパク質レベルで確認した。結果を図7にまとめた。キャップ化または非キャップ化のいずれかのin vitro転写されたPTM RNAによって特異的標的を同時トランスフェクションした結果、CFTR(バックグラウンドの15倍)およびβHCG(7倍高い)の両モデルにおいてβ-gal機能の修復および回復がもたらされた。キャップ化PTM RNAのトランス-スプライシング効率は非キャップ化PTM RNAよりもほぼ2倍高く、キャップ化RNAがより安定である可能性があることを示唆している。二重トランス-スプライシングの特異性は、合成DSPTM19(キャップ化および非キャップ化)PTM RNAを非特異的標的(DSCFT1.6)とともに同時トランスフェクトすることにより評価した。非特異的標的でトランスフェクトされた細胞におけるβ-gal活性のレベルは模擬(モック;mock)トランスフェクションの場合とほぼ同じであり、二重トランス-スプライシング反応の高レベルの特異性が示唆される。
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に範囲を限定されるものではない。実際に、以上の説明および添付の図面から当業者には本明細書に記載したものの他に本発明の種々の変形が明らかである。このような変形も付属の特許請求の範囲に含まれるものとする。本明細書には種々の参照文献が挙げられているが、これらの開示は参照により本明細書にそのまま組み入れられる。
プレ-トランス-スプライシングRNAのモデル。 モデルPTM構築物およびターゲティング・トランス-スプライシング戦略。直鎖状PTM(PTM+SpおよびPTM-Sp)の概略図。BD, 結合ドメイン;NBD, 非結合ドメイン;BP, 分岐点;PPT, ピリミジン領域;ss, スプライス部位;DT-A, ジフテリア毒サブユニットA。PTM内の単独の制限部位が一文字で示されている:E; EcoRI; X, Xhol; K, Kpnl; P, Pstl; A, Accl; B, BamHIおよびH; HindIII。 従来のワトソン・クリック塩基対合による、PTM+SpのβHCG6標的プレmRNAへの結合、および提案されているシス-およびトランス-スプライシング機構を示す概略図である。 構築されたプレmRNA標的(二重トランス-スプライシング)の概略図。 二重トランス-スプライシングPTMの概略図。 二重トランス-スプライシングPTM7の図解および重要な構造エレメント。二重スプライシングPTM7は3'および5'機能的スプライス部位の両方ならびに結合ドメインを有する。 二重トランス-スプライシングβ-gal修復モデル。標的プレmRNAと合成PTM RNAの間の正確な二重トランス-スプライシングが修復されたlacZ mRNA RNAの産生をもたらす。 トランスフェクト293T細胞における合成PTM RNAの成功した二重トランス-スプライシング。 トランスフェクト293T細胞における合成PTM RNAの成功した二重トランス-スプライシング。 293T細胞における合成PTM RNAの二重トランス-スプライシングの正確性がRT-PCRによる、産生されたスプライスRNAの配列決定によって確認された。 293T細胞におけるRNAトランスフェクションによるβ-gal機能の回復。

Claims (71)

  1. 下記a)〜c)を含んでなる修飾された合成核酸分子であって、該修飾がその核酸分子の安定性を高め、かつ該核酸分子が細胞内の核スプライシング成分により認識される、前記核酸分子:
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする、1以上の標的結合ドメイン;
    b)分岐点、ピリミジン領域(pyrimidine tract)および3'スプライスアクセプター部位を含む、3'スプライス領域;ならびに
    c)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列。
  2. 下記a)〜c)を含んでなる修飾された合成核酸分子であって、該修飾がその核酸分子の安定性を高め、かつ該核酸分子が細胞内の核スプライシング成分により認識される、前記核酸分子:
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする、1以上の標的結合ドメイン;
    b)3'スプライスアクセプター部位;および
    c)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列。
  3. 下記a)〜c)を含んでなる修飾された合成核酸分子であって、該修飾がその核酸分子の安定性を高め、かつ該核酸分子が細胞内の核スプライシング成分により認識される、前記核酸分子:
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン;
    b)5'スプライス部位;および
    c)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列。
  4. 5'ドナー部位をさらに含んでなる、請求項1に記載の修飾された合成核酸分子。
  5. 標的結合ドメインと3’スプライス領域を隔てるスペーサー領域をさらに含んでなる、請求項1、2、3または4に記載の修飾された合成核酸分子。
  6. 3'スプライス部位の片側または両側に結合する1以上の相補配列を含む安全装置配列をさらに含んでなる、請求項1、2、3または4に記載の修飾された合成核酸分子。
  7. 標的プレmRNAへの核酸分子の結合が相補的、三重らせんの形成、またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項1、2、3または4に記載の修飾された合成核酸分子。
  8. 標的プレmRNAへの核酸分子の結合が相補的、三重らせんの形成、またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項5に記載の修飾された合成核酸分子。
  9. 標的プレmRNAへの核酸分子の結合が相補的、三重らせんの形成、またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項6に記載の修飾された合成核酸分子。
  10. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチドが翻訳可能なポリペプチドをコードする、請求項1、2、3または4に記載の修飾された合成核酸分子。
  11. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチドが翻訳可能なポリペプチドをコードする、請求項5に記載の修飾された合成核酸分子。
  12. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチドが翻訳可能なポリペプチドをコードする、請求項6に記載の修飾された合成核酸分子。
  13. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列がナンセンス突然変異を含む、請求項1、2、3または4に記載の修飾された合成核酸分子。
  14. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列がナンセンス突然変異を含む、請求項5に記載の修飾された合成核酸分子。
  15. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列がナンセンス突然変異を含む、請求項6に記載の修飾された合成核酸分子。
  16. 下記a)〜c)を含んでなる修飾された合成核酸分子であって、該修飾がその核酸分子の安定性を高め、かつ該核酸分子が細胞内の核スプライシング成分により認識される、前記核酸分子:
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン;
    b)分岐点、ピリミジン領域および3'スプライスアクセプター部位を含む3'スプライス領域;および
    c)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列。
  17. 下記a)〜c)を含んでなる修飾された合成核酸分子であって、該修飾がその核酸分子の安定性を高め、かつ該核酸分子が細胞内の核スプライシング成分により認識される、前記核酸分子:
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン;
    b)3'スプライスアクセプター部位;および
    c)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列。
  18. 下記a)〜c)を含んでなる修飾された合成核酸分子であって、該修飾がその核酸分子の安定性を高め、かつ該核酸分子が細胞内の核スプライシング成分により認識される、前記核酸分子:
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン;
    b)5'スプライス部位;および
    c)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列。
  19. 5'ドナー部位をさらに含んでなる、請求項16に記載の修飾された合成核酸分子。
  20. 標的結合ドメインと3’スプライス領域を隔てるスペーサー領域をさらに含んでなる、請求項16、17、18または19に記載の修飾された合成核酸分子。
  21. 3'スプライス部位の片側または両側に結合する1以上の相補配列を含む安全装置配列をさらに含んでなる、請求項16、17、18または19に記載の修飾された合成核酸分子。
  22. 標的プレmRNAへの核酸分子の結合が相補的、三重らせんの形成、またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項16、17、18または19に記載の修飾された合成核酸分子。
  23. 標的プレmRNAへの核酸分子の結合が相補的、三重らせんの形成、またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項20に記載の修飾された合成核酸分子。
  24. 標的プレmRNAへの核酸分子の結合が相補的、三重らせんの形成、またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項21に記載の修飾された合成核酸分子。
  25. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチドが翻訳可能なポリペプチドをコードする、請求項16、17、18または19に記載の修飾された合成核酸分子。
  26. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチドが翻訳可能なポリペプチドをコードする、請求項20に記載の修飾された合成核酸分子。
  27. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチドが翻訳可能なポリペプチドをコードする、請求項21に記載の核酸分子。
  28. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列がナンセンス突然変異を含む、請求項16、17、18または19に記載の修飾された合成核酸分子。
  29. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列がナンセンス突然変異を含む、請求項20に記載の修飾された合成核酸分子。
  30. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列がナンセンス突然変異を含む、請求項21に記載の修飾された合成核酸分子。
  31. 核局在シグナルをさらに含んでなる、請求項1、2、3、4、5、6、16、17、18、19、20または21に記載の核酸分子。
  32. 環状分子である、請求項1、2、3、4、5、6、16、17、18、19、20または21に記載の核酸分子。
  33. エンハンサー配列をさらに含んでなる、請求項1、2、3、4、5、6、16、17、18、19、20または21に記載の核酸分子。
  34. 生理学的に許容される担体および請求項1、2、3、4、5、6、16、17、18、19、20または21に記載の核酸分子を含んでなる、組成物。
  35. 生理学的に許容される担体および請求項1、2、3、4、5、6、16、17、18、19、20または21に記載の核酸分子を含んでなる、組成物。
  36. RNAポリメラーゼプロモーターと、下記a)〜c):
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン;
    b)分岐点、ピリミジン領域および3'スプライスアクセプター部位を含む3'スプライス領域;および
    c)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列
    を含み、細胞内の核スプライシング成分により認識される核酸分子と、
    を含んでなる発現ベクター。
  37. RNAポリメラーゼプロモーターと、下記a)〜c):
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン;
    b)3'スプライスアクセプター部位;および
    c)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列
    を含み、細胞内の核スプライシング成分により認識される核酸分子と、
    を含んでなる発現ベクター。
  38. RNAポリメラーゼプロモーターと、下記a)〜c):
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン;
    b)5'スプライス部位;および
    c)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列
    を含み、細胞内の核スプライシング成分により認識される核酸分子と、
    を含んでなる発現ベクター。
  39. 核酸分子が5'ドナー部位をさらに含んでなる、請求項36に記載の発現ベクター。
  40. 標的結合ドメインと3’スプライス領域を隔てるスペーサー領域をさらに含んでなる、請求項36、37、38または39に記載の発現ベクター。
  41. 3'スプライス部位の片側または両側に結合する1以上の相補配列を含む安全装置配列をさらに含んでなる、請求項36、37、38または39に記載の発現ベクター。
  42. 標的プレmRNAへの核酸分子の結合が相補的、三重らせんの形成、またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項36、37、38または39に記載の発現ベクター。
  43. 標的プレmRNAへの核酸分子の結合が相補的、三重らせんの形成、またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項40に記載の発現ベクター。
  44. 標的プレmRNAへの核酸分子の結合が相補的、三重らせんの形成、またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項41に記載の発現ベクター。
  45. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチドが翻訳可能なポリペプチドをコードする、請求項36、37、38または39に記載の発現ベクター。
  46. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチドが翻訳可能なポリペプチドをコードする、請求項40に記載の発現ベクター。
  47. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチドが翻訳可能なポリペプチドをコードする、請求項41に記載の発現ベクター。
  48. 請求項1、2、3、4、5または6に記載の核酸分子を合成する方法であって、該核酸分子が化学合成される方法。
  49. 請求項1、2、3、4または5に記載の核酸分子を合成する方法であって、該核酸分子がin vitro合成される方法。
  50. 下記a)〜d)を含んでなる修飾された合成核酸分子であって、該修飾がその核酸分子の安定性を高め、かつ該核酸分子が細胞内の核スプライシング成分により認識される、前記核酸分子:
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン;
    b)5'ドナー部位;
    c)3'スプライスアクセプター部位;および
    d)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列。
  51. 標的結合ドメインと3’スプライス領域を隔てるスペーサー領域をさらに含んでなる、請求項50に記載の修飾された合成核酸分子。
  52. 3'スプライス部位の片側または両側に結合する1以上の相補配列を含む安全装置配列をさらに含んでなる、請求項50に記載の修飾された合成核酸分子。
  53. リポソームと会合した請求項1、2、3、4、5,6、16、17、18、19、20または21に記載の核酸分子。
  54. 細胞内でキメラRNA分子を産生する方法であって、細胞を、核スプライシング成分により認識される核酸分子と接触させることを含み、かつ該核酸分子が、下記a)〜c):
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン;
    b)分岐点、ピリミジン領域および3'スプライスアクセプター部位を含む3'スプライス領域;および
    c)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列
    を含んでなり、該核酸分子が細胞内の核スプライシング成分により認識される、前記方法。
  55. 細胞内でキメラRNA分子を産生する方法であって、細胞を、核スプライシング成分により認識される核酸分子と接触させることを含み、かつ該核酸分子が、下記a)〜c):
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン;
    b)3'スプライスアクセプター部位;および
    c)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列
    を含んでなり、該核酸分子が細胞内の核スプライシング成分により認識される、前記方法。
  56. 細胞内でキメラRNA分子を産生する方法であって、細胞を、核スプライシング成分により認識される核酸分子と接触させることを含み、かつ該核酸分子が、下記a)〜c):
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン;
    b)5'スプライス部位;および
    c)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列
    を含んでなり、該核酸分子が細胞内の核スプライシング成分により認識される、前記方法。
  57. 核酸分子が5'ドナー部位をさらに含んでなる、請求項54に記載の方法。
  58. 前記核酸分子が、標的結合ドメインと3’スプライス領域を隔てるスペーサー領域をさらに含んでなる、請求項54、55、56または57に記載の方法。
  59. 前記核酸分子が、3'スプライス部位の片側または両側に結合する1以上の相補配列を含む安全装置配列をさらに含んでなる、請求項54、55、56または57に記載の方法。
  60. 標的プレmRNAへの核酸分子の結合が相補的、三重らせんの形成、またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項54、55、56または57に記載の方法。
  61. 標的プレmRNAへの核酸分子の結合が相補的、三重らせんの形成、またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項58に記載の方法。
  62. 標的プレmRNAへの核酸分子の結合が相補的、三重らせんの形成、またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項59に記載の方法。
  63. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチドが翻訳可能なポリペプチドをコードする、請求項54、55、56または57に記載の方法。
  64. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチドが翻訳可能なポリペプチドをコードする、請求項58に記載の方法。
  65. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチドが翻訳可能なポリペプチドをコードする、請求項59に記載の方法。
  66. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列がナンセンス突然変異を含む、請求項54、55、56または57に記載の方法。
  67. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列がナンセンス突然変異を含む、請求項58に記載の方法。
  68. 標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列がナンセンス突然変異を含む、請求項59に記載の方法。
  69. 細胞内でキメラRNA分子を産生する方法であって、細胞を、核スプライシング成分により認識される核酸分子と接触させることを含み、かつ該核酸分子が、下記a)〜d):
    a)細胞内で発現したプレmRNAへの核酸分子の結合をターゲティングする1以上の標的結合ドメイン;
    b)5'ドナー部位;
    c)3'スプライスアクセプター部位;および
    d)標的プレmRNAへとトランス-スプライスされるヌクレオチド配列
    を含んでなり、該核酸分子が細胞内の核スプライシング成分により認識される、前記方法。
  70. 前記核酸分子が、標的結合ドメインと3’スプライス領域を隔てるスペーサー領域をさらに含んでなる、請求項69に記載の方法。
  71. 3'スプライス部位の片側または両側に結合する1以上の相補配列を含む安全装置配列をさらに含んでなる、請求項69に記載の方法。
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