JP2006504724A - 胃腸運動性の異常な上昇を治療するための(r)−ベラパミルの使用 - Google Patents

胃腸運動性の異常な上昇を治療するための(r)−ベラパミルの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、胃腸運動性の異常な上昇及びそれを引き起こす腸状態の治療、予防及び/又は管理方法に関する。このような状態は、非限定的に、過敏性腸症候群(IBS)、小腸と大腸の感染症、及び上記のいずれもの症状を包含する。特に、本発明は、富化(R)−ベラパミル、並びにそれを含有する組成物及び製剤を用いる方法を開示する。

Description

本出願は、米国特許出願第10/256,261号(2002年9月27日出願)(これの全開示は本明細書に援用される)の一部継続出願である。
本発明は、一般に、胃腸運動性の異常な上昇を治療する、予防する及び/又は管理する方法に関する。このような異常な上昇は、非限定的に過敏性腸症候群(IBS)、小腸及び大腸の感染症、並びに上記のいずれもの症状を含む、1つ以上の腸の状態によって誘導される可能性がある。特に、本発明は、非限定的に(R)−ベラパミルを含む、立体特異形のカルシウム・チャンネル遮断薬によって胃腸運動性の異常な上昇を治療する、予防する及び/又は管理する方法に関する。
過敏性腸症候群(IBS)は約3500万回/年の医師訪問を生じており、胃腸病学者によってなされる最も一般的な診断であり、診断される全患者の約25%の原因である(Camilleri and Choi,Aliment Pharmacol.Ther.,11(1):3-15,1997)。IBSに罹患した個人は、腸症候群を有さない個人に比べて、より頻繁に医師を訪問し、より低いクオリティオブライフに甘んじ、より頻繁に仕事を失敗する(Drossman et al.,Dig.Dis.Sci.,38:1569-1580,1993)。この結果、IBSに罹患した個人は、この状態を有さない個人に比べて、かなり高いヘルスケア費用を負うことになる(Talley et al.,Gastroenterology,109:1736-1741,1995)。
IBSは、腹痛と腸機能の変化を特徴とする(Mayer et al.,Gastroenterology,107:271-93,1994; Camilleri and Choi,1997;Drossman et al.,Am.J.Gastroent.,91:2270-81,1996)。この状態は、激しい腹痛、ガス発生、鼓腸及び用便習慣の変化をもたらす。IBSを有する人々の一部は、便秘(困難な若しくは稀な排便)を有し;他の人々は下痢(頻繁な軟便、しばしば、排便の差し迫った必要がある)を有し;一部の人々は両方を経験する。時には、IBSを有する人は排便をしたいという激しい衝動を有するが、そうすることができない。例えば、NIH Publication No.97-693, National Digestive Diseases Information Clearinghouse,National Institute of Health参照のこと(“www.niddk.nih.gov/health/digest/pubs/irrbowel/irrbowel.htm”(1998年2月掲示、2000年11月最終更新)において、オン−ラインでも入手可能)。
この数年間を通して、IBSは多くの名前−大腸炎、粘液性大腸炎、痙攣性結腸、痙攣性腸及び機能性腸疾患によって呼ばれている。これらの用語の大部分は不正確である。即ち、例えば、大腸炎は大腸(結腸)の炎症を意味する。しかし、IBSは炎症を引き起こさないので、例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病のような、炎症性腸疾患と混同すべきではない。
即ち、IBSは、充分に認識された臨床的実体であるが、原因となる病因物質又は構造的若しくは生化学的欠陥は明確には同定されていない。多くの患者において、管腔内容物は、小腸及び結腸の長さを通して異常に迅速な通過を示す。罹患した患者は一般に、腹部不快感を訴え、音をたてる腸ノイズ、さしこみと腹痛、排便の緊急性、及びしばしば粘液で覆われた軟便の通過を報告する。
IBSに関連した構造的又は生化学的異常性が容易に同定されないために、医学界は、IBSの診断を容易にするために、合意した定義(consensus definition)及びManning or Rome Criteriaとして知られる基準セットを開発している(Manning et al.,Br.Med.J.,2:653-4,1978;Thompson et al.,Gastroent.Int.,2:92-5,1989)。Rome基準によると、IBSは、排便によって解除される及び/又は大便の回数若しくは硬さ(consistency)の変化に関連する、腹痛若しくは不快感と、これに加えて、下記:排便回数の変化、大便形状の変化、大便通過の変化、粘液の通過、及び鼓腸若しくは腹部膨張感の2つ以上によって同定される(Dalton and Drossman, Am.Fam.Physician,55(3):875-880,1997)。
診断が増加するにも拘わらず、例えばIBSのような腸状態のための効果的な治療法は同定されていない。したがって、当該技術分野には、例えばIBSのような腸状態を治療、予防及び/又は管理するための新規な又はより効果的な方法の強い必要性が存在する。
ベラパミル(ベンゼンアセトニトリルα−[3−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]メチルアミノ]プロピル]−3,4−ジメトキシ−α−(1−メチルエチル)塩酸塩)は、心血管状態の治療に用いる場合には、カルシウムイオン・チャンネルを遮断して、カルシウムイオン流入阻害剤として作用する、商業的に入手可能な薬物である。この薬物は、例えば高血圧、心房細動、狭心症、及び発作性上室性頻拍症のような心血管系状態の治療法として、典型的に処方される。この薬物は通常、ほぼ等量の(R)−ベラパミルと(S)−ベラパミルを含有するラセミ混合物として処方される。
(R)−立体異性体と(S)−立体異性体との薬力学及び薬物動態は異なる。例えば、(S)−異性体は、心血管系状態の治療において、(R)−異性体よりも典型的に10倍強力である。さらに、該ラセメートの経口投与後に、立体選択性の初回通過肝臓代謝が生じて、(R)−異性体の高い全身濃度(即ち、生体利用効率)をもたらす。さらに、カルシウム・チャンネル上の部位及びα−1−アドレナリン作用性受容体に対するこれらの異性体の阻害効力は異なる(Piascik,Can.J.Physiol.Pharmacol.,68(3):439-446,1990)。
ベラパミルは、幾つかの不快な用量限定性副作用(dose-limiting side effects)を有する。これらの副作用は、特に、心筋活性の低下(Satoh et al.,J.Cardio.Pharm.,2:309-318,1980)及び便秘(Hedner,et al.,Acta Pharmacol.Toxicol., 58(Suppl.2):119-30,1986;Krevsky,et al.,Dig.Dis.Sci.,37(6):919-924,1992; Thulin,et al.,Scand.J.Prim.Health Care Suppl.,1:81-84,1990)を包含する。研究者は、ベラパミルの個々の立体異性体を用いることによって、これらの好ましくない副作用を克服しようと試みている。Harding等(米国特許第5,889.060号)は、単一の立体異性体、(R)−ベラパミルの、狭心症の治療法としての使用を述べている。他の研究者は、(S)−ベラパミルは狭心症及び心房細動を治療するためにより有効であるが、(R)−ベラパミルは癌化学療法における多剤耐性を逆転させるために有用であると示唆している(例えば、McCague et al.,米国特許第5,8910,601号;Harding et al.,米国特許第5,932,246号)。
Longstreth等(米国特許第5,955,500号)は、(R)−ベラパミルと(S)−ベラパミルとの比率を操作して、例えば心伝導の緩慢化(slowing)、心拍数の変化及び便秘のような、不利な効果を最小にしながら、望ましい心血管系効果を得ることができると報告している。このような方策は、心血管系状態の治療のためにベラパミルの立体異性体を異なる速度で放出する投与形の開発をもたらしている(Gilbert et al.,米国特許第6,267,980号)。
Harding et al.(米国特許第5,932,246号)は、(R)−ベラパミル又は(S)−ベラパミルのいずれかの分離投与が、ラセミ・ベラパミルによって引き起こされた重大な便秘効果を軽減することを報告している。該特許権者は、この治療アプローチがベラパミルの望ましい心血管系効果を達成することができ、しかも治療を受ける患者が経験する便秘を軽減することを示唆している。
これとは対照的に、他の研究者は、腸状態を治療するための手段として、ラセミ・ベラパミルの便秘効果を利用しようと試みている(例えば、McCleod, Med.J.Aust.,2(3):119(letter),1983)。Byme(J.Clin.Psy.,48:9,1987)は、過敏性腸症候群と診断された3患者の治療を述べており、80mgのラセミ・ベラパミルが患者に便秘効果を及ぼしたことを報告している。同様に、Ahlman等(Br.J.Cancer,54:251-256,1986)は、中腸カルチノイド症候群(重度な下痢発作を経験する)に罹患した患者の治療を述べている。Ahlmanによると、少量のラセミ・ベラパミルが該下痢を緩和した。
一部の腸状態の治療におけるラセミ・ベラパミルの報告された臨床的有用性にも拘わらず、この方法で該薬物を用いることは、ラセミ・ベラパミルが心血管系に対するその主要な効果をまだ及ぼすので、危険である。したがって、腸状態のためにラセミ・ベラパミルで治療される患者は、該薬物の使用から重度な、好ましくない心血管系効果を経験すると思われる。さらに、上記報告及びその他は、幾つかの腸状態の治療におけるラセミ・ベラパミルの使用を述べているが、これらのいずれも、腸状態を治療するためにベラパミルの単一立体異性体を同定、特徴付け又は使用しようと求めていない。上述した重大な治療上の欠点を考慮すると、腸状態を治療するためのラセミ・ベラパミルの使用は非常に限定される。
Mak(米国特許第6,190,691号)は、細胞におけるTNF産生を阻害するためのバラパミルの異性体の使用を述べている。聞くところによれば、TNFの減少は炎症を軽減する。したがって、Makは、TNFレベルの低下が、ある一定のTNF仲介炎症状態の治療にバラパミル異性体を用いることを可能にするであろうと結論している。Makは、これらのTNF仲介炎症状態が、炎症性腸疾患、リウマチ様関節炎、悪液質、喘息、クローン病、内毒素性ショック、成人呼吸窮迫症候群、虚血性/再潅流障害、移植片対宿主反応、骨再吸収、移植及び狼瘡から選択される。しかし、Makは、例えば腸の非炎症性状態のような、非TNF仲介状態を治療するためのベラパミル立体異性体の使用を述べていない。
したがって、当該技術分野には、例えばIBSのような腸状態の治療、予防及び/又は管理するためのさらなる方法の強い必要性が依然として存在する。
本発明は、ベラパミルの富化立体異性体形(enriched stereo-isomeric form)を用いて、胃腸運動性の異常な上昇を治療、予防及び/又は管理するための新規な方法に関する。該方法は、ベラパミルの(R)−異性体が心血管系組織に対するよりも胃腸組織に対してより大きい効果を示すという予想外の発見に基づく。換言すれば、所定の濃度において、(R)−ベラパミルは腸組織中で、心血管系組織中よりも大きな程度に収縮を抑制する。したがって、(R)−ベラパミルは相対的な腸選択性を示す。これとは対照的に、より大きく生物活性な(S)−異性体は、腸組織と心血管系組織との両方においてほぼ等しく活性である。したがって、(R)−異性体は、胃腸運動性の異常な上昇を治療、予防及び/又は管理するために用いることができ、しかも(S)−ベラパミル又はベラパミルのラセミ混合物の投与に付随する好ましくない心血管系効果を軽減するか又は殆ど示さない。したがって、本発明は、先行技術における欠陥及び問題を克服して、胃腸運動性の異常な上昇及びそれを引き起こす腸状態の新規で、効果的な治療法を提供する。
本発明の方法は、治療有効量の(R)−ベラパミル又はその製薬的に受容される塩を富化された形で、(R)−ベラパミルによる治療、予防及び/又は管理を必要とする対象に投与することを含む。1実施態様では、胃腸運動性の異常な上昇は、腸収縮の頻度及び/又は強度の増加による。本発明を用いて、このような腸収縮の頻度及び/又は強度を減じて、それによって腸運動を緩慢化することができる。胃腸運動性の異常な上昇は、1種類以上の腸状態によって引き起こされうる。したがって、本発明を利用して、このような腸状態(単数又は複数種類)を治療、予防及び/又は管理することができる。本発明によって治療、予防及び/又は管理することができる腸状態の例は、非限定的に、過敏性腸症候群(IBS)、小腸及び大腸の感染症、並びに上記のいずれもの症状を包含する。例えばIBSのような、非炎症性状態は、特に、本発明の方法の効果を受け易い。しかし、当業者は、やはり本発明から利益を得ることができる、胃腸運動性の異常な上昇をもたらす機能性腸状態の他の種類に精通している。
本明細書で用いる限り、“調節放出(modified release)”製剤又は投与形なるフレーズは、製剤からの薬物の望ましい放出を生じることができる薬剤学的製剤(pharmaceutical preparation)を包含する。例えば、調節放出製剤は、患者における治療有効量の活性化合物の影響又は効果を延長することができる。このような製剤は、本明細書では、“延長放出製剤(extended-release formulation)”と呼ぶ。活性化合物の治療レベルを維持することの他に、調節放出製剤を、活性化合物の放出を指定期間にわたって遅延させるように設計することもできる。このような化合物を、本明細書では“遅延開始(delayed onset)”製剤又は投与形と呼ぶ。さらになお、調節放出製剤は、遅延放出製剤と延長放出製剤との両方の性質を示すことができるので、調節放出製剤を“遅延開始、延長放出”製剤と呼ぶことができる。
本明細書で用いる限り、“製薬的に受容される賦形剤”なる用語は、薬剤学的製剤中の他の成分と適合し、治療有効量で投与した場合に対象にとって有害でない化合物を包含する。
本明細書で用いる限り、“製薬的に受容される塩”なる用語は、対象によって生理的に許容される塩を包含する。このような塩は、典型的に、無機酸及び/又は有機酸から製造される。適当な無機酸の例は、非限定的に、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、及びリン酸を包含する。有機酸は、脂肪族、芳香族カルボン酸及び/又はスルホン酸でありうる。適当な有機酸は、非限定的に、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、粘液酸、酒石酸、パラトルエンスルホン酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フロ酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、パモ酸(pamoic acid)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸等を包含する。
“ラセミ(racemic)”なる用語は、本明細書で用いる限り、ベラパミルの(R)−と(S)−エナンチオマー又は立体異性体の混合物を意味し、該混合物ではどちらのエナンチオマー又は立体異性体も他方から実質的には純粋ではない。
“富化(enriched)”なる用語は、(R)−ベラパミルを説明するために本明細書で用いる限り、(S)−ベラパミルよりも多量の(R)−ベラパミルを有する組成物を意味する。例えば、該組成物は、ベラパミルの総重量を基準にして、50重量%を超える、55重量%又は少なくとも約60重量%の(R)−ベラパミルを含有することができる。1実施態様では、富化ベラパミルの量は、ベラパミルの総重量を基準にして、多量の、例えば、少なくとも約65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%若しくは100重量%、又はこれらの任意の1部分(即ち、90.1重量%、90.2重量%、等)の(R)−ベラパミルであることができる。特定の実施態様では、富化(R)−ベラパミルの量は、ベラパミルの総重量を基準にして、99重量%を超える、99.1重量%、99.2重量%、99.3重量%、99.4重量%、99.5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、99.9重量%であることができる、又は100重量%であることができる。これらの用語はさらに、(R)−ベラパミルの任意の製薬的に受容される塩の量をも定義する。
“(R)−ベラパミルの治療有効量”なるフレーズは、本明細書で用いる限り、単独で又は他の薬物との組み合わせで、胃腸運動性の異常な上昇の予防、治療及び/又は管理に何らかの治療利益を与える富化(R)−ベラパミル(又はその製薬的に受容される塩)の量を意味する。このような異常な上昇は、例えば過敏性腸症候群(IBS)と、小腸及び大腸の感染症のような、腸状態の1つ以上によって引き起こされうる。したがって、富化(R)−ベラパミルは、このような状態の予防、治療及び/又は管理に治療利益を与えることができる。1実施態様では、該治療量は、(S)−ベラパミル又はラセミ・ベラパミルの投与に典型的に付随する、少なくとも1種類の好ましくない効果(例えば、許容され難く高レベルの心血管系活性)を軽減しながら及び/又は回避しながら、治療利益を達成するために充分である。他の実施態様では、該治療量は腸収縮の頻度及び/又は強度を軽減し、それによって腸運動を緩慢化するために充分である。
本発明は、胃腸運動性の異常な上昇を予防、治療及び/又は管理するための、富化(R)−ベラパミル又はその製薬的に受容される塩の使用に関する。このような上昇は、非限定的に、過敏性腸症候群(IBS)、小腸及び大腸の感染症、及びこれらの症状を含めた腸状態の1つ以上の結果であると考えられる。このような状態は、通常下痢の症状を含めた、あまりにも頻繁な排便の訴えを特徴とすることができる。異常に迅速な胃腸運動性、異常な排便回数及び下痢を含めた、他の状態も、本発明が開示した方法を用いて治療、予防及び/又は管理することができる。
富化(R)−ベラパミルは、例えば、米国特許第5,892,093号及び第5,910,601号に記載されているように、ベラパミルのラセミ混合物から得ることができる、上記特許の各々の関連した開示はこのために本明細書に援用される。富化(R)−ベラパミルはさらに、ラセミ混合物からHPLC分離によって又は、例えば酸の光学活性分割のような、任意の利用可能な手段を用いたエナンチオマーの分割から得ることもできる。さらに、(R)−ベラパミルは、任意の適当な方法を用いた、立体特異的な合成法によって合成することができ、該適当な方法の例は、当業者に周知である。立体特異的合成は、エナンチオマー純度の高い生成物をもたらすことができる。生成物のエナンチオマー純度が充分に高くない、一部の場合には、合成方法に付加的な分離手法を組み合わせて、得られた(R)−ベラパミルのエナンチオマー純度をさらに高めることができる。ラセミ・ベラパミルを分割して、富化(R)−ベラパミルを得る方法の例は、当業者に周知である。
本発明はさらに、胃腸運動性の異常な上昇及びそれを引き起こす腸状態の予防、治療及び/又は管理に用いるための薬剤組成物であって、治療有効量の富化(R)−ベラパミル又はその製薬的に受容される塩を含む薬剤組成物をも包含する。
1実施態様では、胃腸運動性の異常な上昇及びそれを引き起こす腸状態の予防、治療及び/又は管理に用いるための薬剤組成物として、富化(R)−ベラパミル又はその製薬的に受容される塩を提供する。このような組成物は任意に、1種類以上の製薬的に受容される賦形剤を含む。適当な賦形剤は当業者に知られており、例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients(Kibbe(ed.),3rd Edition(2000),American Pharmaceutical Association,Washington,D.C.)及びRemington's Pharmaceutical Sciences(Gennaro(ed.),20th edition(2000),Mack Publishing,Inc.,Easton,PA)に記載されており、これらの文献は、賦形剤及び投与形に関するそれらの開示に関して、本明細書に援用される。例えば、適当な賦形剤は、非限定的に、澱粉、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味剤、フレーバー剤、芳香剤、保存剤、可塑剤、ゲル化剤、増粘剤、硬膜剤、硬化剤、懸濁化剤、界面活性剤、フメクタント、キャリヤー、安定剤、酸化防止剤、又はこれらの組み合わせを包含する。
本発明の薬剤組成物は、典型的に、所望の経路で対象に投与するために適した投与形で提供される。多くの適当な投与形を以下に述べるが、これは、全ての可能な選択を包含することを意味する訳ではない。当業者は、上記で援用されているRemington's Pharmaceutical Sciencesに記載されているように、本発明に用いるために適した、種々な投与形に精通している。任意の特定の場合に最も適した経路は、予防される、治療される及び/又は管理される胃腸運動性及び/又は腸状態の性質及び重症度に依存する。例えば、該薬剤組成物は、経口、鼻腔内、直腸、膣内、非経口、嚢内及び局所(頬側及び舌下を含む)投与するために製剤化することができる。
経口投与に適した製剤は、非限定的に、カプセル剤、カシェ剤、ピル、錠剤、トローチ剤(フレーバー入り基剤(flavored basis)、通常、スクロース及びアラビアゴム若しくはトラガカントを用いる)、粉末、顆粒、溶液、水性若しくは非水性液体中の懸濁液、水中油滴若しくは油中水滴液体エマルジョン、エリキシル剤、シロップ、芳香製剤(pastille)(例えば、ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアラビアゴムのような不活性基剤を用いる)、マウスウォッシュ、ペースト等を包含し;これらの各々は、1回以上の投与で治療量の薬物を与えるように予め定められた量の(R)−ベラパミルを含有する。
経口投与のための固体投与形(カプセル剤、錠剤、ピル、粉末、顆粒等)では、(R)−ベラパミルを典型的に1種類以上の製薬的に受容される賦形剤と混合する、該賦形剤は、例えば、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウムのようなキャリヤー;例えば澱粉、噴霧乾燥若しくは無水ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、デキストロース、ソルビトール、セルロース(例えば、微結晶セルロース;AVICELTM)、二水和若しくは無水二塩基性リン酸カルシウム及び/又はケイ酸のような充填剤又は増量剤;例えば、アラビアゴム、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース(ナトリウム)、セルロース(微結晶)、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース(液体)、グアールガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、メチルセルロース2910)、ポリエチレンオキシド、ポビドン、澱粉(プレゼラチン化)又はシロップのような結合剤;例えば、グリセロールのようなフメクタント;例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある一定のシリケート、プレゼラチン化澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム(EXPLOTABTM)、架橋プロビドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、粘土、微結晶セルロース(例えば、AVICELTM)、アルギネート、ガム、及び/又は炭酸ナトリウムのような崩壊剤;例えば、パラフィンのような溶解遅延剤;例えば、第4級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;例えば、セチルアルコール若しくはグリセロール・モノステアレートのような湿潤剤;例えば、カオリン及びベントナイト粘土のような吸収剤;例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ステアリン酸、ステアリル・フマル酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、水素化植物油、及び/又はラウリル硫酸ナトリウムのような滑剤;例えば、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状無水シリカ、及び/又はタルクのようなグライダント(glidant);例えば、合成フレーバー油及びフレーバリング芳香族物質(flavoring aromatics);天然油、植物の葉、花及び果実からの抽出物;桂皮油、冬緑油、ハッカ油、月桂樹油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、バニラ、シトラス油(例えば、レモン、オレンジ、ブドウ、ライム及びグレープフルーツ)、フルーツ・エッセンス(例えば、リンゴ、バナナ、ペア、モモ、イチゴ、ラズベリー、チエリー、プラム、パイナップル、アプリコット等)のようなフレーバー剤;例えば、二酸化チタン及び/又は食品及び医薬品への使用が認可されている染料のような、着色剤及び/又は顔料;緩衝剤;分散剤;保存剤;及び/又は希釈剤を包含する。上記賦形剤は、単なる例として挙げたに過ぎず、全ての可能な選択を包含する意味ではない。
これらの固体投与形のいずれも、任意に、浅い刻み目を付けるか、又は例えば腸溶性被膜及び放出速度を調節するための被膜のような、被膜及びシェル付きで製造することができ、これらの被膜及びシェルの例は製薬技術分野(pharmaceutical-formulating art)で周知である。例えば、このような被膜はナトリウム・カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ゼラチン、製薬用グラーズ(pharmaceutical glaze)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート・フタレート、セラック、スクロース、二酸化チタン、ワックス又はゼインを含むことができる。1実施態様では、コーティング材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。コーティング材料はさらに、例えばタルクのような癒着防止剤;例えば、ひまし油、ジアセチル化モノグリセリド、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチルのような可塑剤(コーティング材料の種類の選択に依存する);例えば二酸化チタンのような不透明剤;及び/又は着色剤及び/又は顔料を含む。被覆方法は、何らかの適当な手段によって、例えばGLATTTM、ACCELACOTATM及び/又はHICOATERTM装置のような、有孔パン系(perforated pan system)を用いることによって、行なうことができる。
錠剤は、当業者に知られている、何らかの適当な手段によって形成することができる。例えば、錠剤成形の前に、成分を乾式粒状化又は湿式粒状化することができる。錠剤に成形すべき成分の顆粒は、適当な吹き付け/流動化(spray/fluidization)又は押出/球状化(extrusion/spheronsation)方法を用いて、製造することもできる。
迅速放出錠剤によると、賦形剤の選択によって一般に迅速溶解が可能になる。錠剤は、通常の投与方法(即ち、嚥下を容易にするために充分な量の水と共に)で全体が摂取されるように設計された、慣用的な瞬間放出錠剤であることができる。或いは、口腔内で迅速に溶解する及び/又は迅速に溶融する錠剤として作用するように、錠剤を適当な賦形剤によって製剤化することができる。さらに、錠剤は、チュワブル投与形又は起沸性投与形の形態であることができる。起沸性投与形では、錠剤を崩壊、溶解及び/又は分散させる、適当な液体に、錠剤を通常加える。
錠剤は、高速度で錠剤を製造するための装置を用いて、工業的規模での製造を容易にするために適当な硬度及び破砕性を有するように設計する。さらに、錠剤は通常、あらゆる種類の容器にパックされるか又は充填される。錠剤が不充分な硬度を有するか又は破砕性である場合には、患者が摂取する錠剤を破壊するか又は破砕して粉末にすることができる。この不充分な硬度又は破砕性のために、対象は、投与量が正確であることをもはや確信することができない。数ある性質のなかでも特に、錠剤の硬度が、錠剤の形態によって影響されることは注目すべきである。本発明によると、錠剤の種々な形態を用いることができる。錠剤は円形、扁球、長楕円形、又は当該技術分野に知られた、任意の他の形状であることができる。錠剤の形態は崩壊速度にも影響を与えることができる。
固体組成物のいずれも、任意の上記賦形剤を用いて、軟質及び硬質ゼラチンカプセルに封入することができる。例えば、封入される投与形は、例えばラクトース及び微結晶のような充填剤;例えばコロイド状二酸化ケイ素及びタルクのようなグライダント;例えばステアリン酸マグネシウムのような滑剤;並びに例えば澱粉(例えば、トウモロコシ澱粉)のような崩壊剤を含むことができる。カプセル充填装置を用いると、封入すべき成分を一緒に粉砕して、ふるいにかけ、混合し、一緒にパックしてから、カプセルにデリバリーする(delivered)。滑剤は約0.5重量%〜約2.0重量%の量で存在することができる。1実施態様では、滑剤はカプセル内容物の約1.25重量%である。
(R)−ベラパミルは、経口投与のための液体投与形に製剤化することができる。適当な製剤はエマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を包含する。これらの製剤は任意に、例えば水若しくは他の溶媒のような、当該技術分野で通常用いられる希釈剤、可溶化剤及び乳化剤を含み、これらは非限定的にエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、及びこれらの混合物を包含する。さらに、該液体製剤は任意に、例えば、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、フレーバー剤、着色剤、芳香剤及び保存剤のようなを含む。適当な懸濁化剤は、非限定的に、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールとソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天とトラガカント、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース・ナトリウムと、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム/微結晶セルロース混合物、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム/微結晶セルロース混合物、及び/又はこれらの混合物を包含する。1実施態様では、懸濁化剤は、キサンタンガム、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム/微結晶セルロース混合物、及び/又はこれらの混合物を含む。他の実施態様では、懸濁化剤は、AVICELTMRC591,AVICELTMRC581及び/又はAVICELTMCL611(AvicelはFMC Corporationの商標である);及び/又はRC591、RC581及びCL611(微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロース・ナトリウムとの混合物)である。
存在する懸濁化剤の量は、用いる特定の懸濁化剤及び、懸濁化剤として作用する又は組成物の粘度に有意に寄与することができる他の成分の有無によって変化する。懸濁液はさらに、該懸濁液の味(taste)を改良する成分、例えば、甘味料;例えば塩化ナトリウムのような、苦味遮蔽剤(bitter-taste maskers);例えば、コントラマルム(contramarum)のような味遮蔽フレーバー(taste-masking flavours);例えば、グルタミン酸一ナトリウムのようなフレーバー強化剤;及びフレーバー剤をも含有することができる。甘味料の例は、バルク甘味料(bulk sweeteners)、例えば、スクロース、水素化グルコース・シロップ、糖アルコール ソルビトール及びキシリトール;並びに例えばシクラミン酸ナトリウム、サッカリン・ナトリウム、アスパルテーム及びグリシルリジン酸アンモニウムのような甘味剤を包含する。液体製剤はさらに、望ましいpHを維持するために必要に応じて、1種類以上の緩衝剤を含むことができる。
本発明の液体製剤は、軟質ゼラチンカプセルに充填することができる。例えば、該液体は、溶液、懸濁液、エマルジョン、ミクロエマルジョン、沈殿、又は(R)−ベラパミルを保持する、任意の他の望ましい液体媒質を含むことができる。該液体は、放出時の(R)−ベラパミルの溶解性を改良するように設計することができる、又は放出時に薬物含有エマルジョン若しくは分散相を形成するように設計することができる。このような方法の例は、当該技術分野で周知である。軟質ゼラチンカプセルは、必要に応じて、以下で説明するように、機能性被膜で被覆して、薬物の放出を遅延させることができる。
直腸又は膣投与のために、組成物を座薬として提供することができる。座薬は任意に、1種類以上の非刺激性賦形剤、例えば、ポリエチレングリコール、座薬用ワックス又はサリチレートを含む。このような賦形剤は、望ましい物理的性質に基づいて選択することができる。例えば、室温では固体であるが体温では液体であるコンパウンドが直腸又は膣腔内で溶融して、活性化合物を放出する。或いは、直腸デリバリーのための浣腸剤として、製剤を提供することができる。膣投与に適した製剤はさらに、その例が当該技術分野で知られているようなキャリヤーを包含する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー製剤を包含する。
局所投与又は経皮投与に適した製剤は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤(inhalant)を包含する。このような製剤は任意に、例えば、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛又はこれらの混合物のような賦形剤を含有する。粉末及びスプレーはさらに、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末のような賦形剤を含有することもできる。さらに、スプレーは、例えばクロロフルオロ炭化水素のような噴射剤、及び例えばブタン及びプロパンのような揮発性非置換炭化水素を含有することができる。
経皮パッチは、本発明の混合物を身体に制御デリバリーするという付加的利益を有する。例えばエラストマー・マトリックス物質のような、適当な媒質中に(R)−ベラパミルを含有する薬剤組成物を溶解させる、又は分散させる、又は他の方法で組み入れることによって、このような投与形を製造することができる。さらに、吸収強化剤を用いて、皮膚を横切る混合物の流れを高めることができる。このような流れの速度は、律速膜を与える又はポリマーマトリックス若しくはゲル中に化合物を分散させることによって、制御することができる。
例えば注射による投与(非限定的に、皮下、ボラス注射、筋肉内、腹腔内及び静脈内を包含する)のような、非経口投与のためには、該薬剤組成物を、油性又は水性ビヒクル中の等張性の懸濁液、溶液若しくはエマルジョンとして製剤化することができ、該薬剤組成物は、例えば懸濁化剤、安定剤又は分散剤のような処方剤(formulatory agent)を含有することができる。或いは、該組成物を、使用前に滅菌の、発熱性物質を含まない水又は等張性生理食塩水によって再構成するための、例えば粉末、結晶質又は噴霧乾燥した固体のような乾燥形で提供することができる。これらは、例えば、滅菌したアンプル又はバイアルに入れて提示することができる。
適当な水性及び非水性賦形剤の例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、油、注射可能な有機エステル、及びこれらの混合物を包含する。例えば、コーティング材料及び界面活性剤の使用によって、適当な流動性を維持することができる。
これらの組成物はさらに、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤のようなアジュバントを含有することもできる。種々な抗菌剤及び/又は抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等を含めることによって、微生物の作用を予防することもできる。例えば糖、塩化ナトリウム等のような等張剤(isotonic agent)を組成物中に含めることも、望ましいと考えられる。さらに、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような、吸収を遅延させる作用剤を含めることによって、注射可能な薬剤形の持続性吸収(prolonged absorption)をもたらすことができる。
薬物の治療効果を持続させるために、皮下注射又は筋肉内注射からの薬物の吸収を緩慢にすることが、しばしば望ましい。これは、低い溶解性を有する結晶質又は非晶質物質の液体懸濁液の使用によって達成することができる。この場合、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、次に該溶解速度は結晶サイズ及び結晶形に依存すると考えられる。或いは、非経口投与形の遅延吸収は、薬物を油ビヒクル(oil vehicle)中に溶解又は懸濁させることによって、達成することができる。
上記一般的投与形の他に、本発明の組成物は、(R)−ベラパミルの放出を調節する投与形に製剤化することができる。本発明に従って用いることができる、適当な調節放出製剤の例は、非限定的に、マトリックス系、浸透圧ポンプ、及び膜制御投与形(membrane controlled dosage form)を包含する。これらの製剤は典型的に、(R)−ベラパミル及び/又はその1種類以上の製薬的に受容される塩を含む。適当な製薬的に受容される塩は上記で考察している。
調節投与形の種々なタイプを以下で簡単に説明する。このような投与形のより詳細な考察はさらに、例えば、The handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology, D.L.Wise(ed), Marcel Dekker,Inc.,New York(2000)に;及びさらに、Treatise on Controlled Drug Delivery: Fundamentals, Optimization,and Applications, A.Kydonieus(ed),Marcel Dekker,Inc.,New York(1992)に見出すことができ、これらの文献の各々の関連する内容は、この目的のために、本明細書に援用される。調節放出投与形の例はさらに、例えば、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第4,008,719号;第5,674,533号;第5,059,595号;第5,591,767号;第5,120,548号;第5,073,543号;第5,639,476号;第5,354,556号;及び第5,733,566号にも記載されており、これらの特許の開示は、薬剤学的製剤についてのそれらの考察のために、本明細書に援用される。
調節放出製剤の利点は、薬物の活性延長(extended activity)、投与回数の減少、患者コンプライアンスの向上、及び腸管の特定の部位に薬物をデリバリーする能力を包含しうる。調節放出製剤及び同製剤の製造方法に用いるための適当な成分(例えば、ポリマー、賦形剤等)はさらに、例えば米国特許第4,863,742号にも記載されており、この特許は、これらの目的のために、本明細書に援用される。
マトリックスに基づく投与形
幾つかの実施態様では、本発明の調節放出製剤をマトリックスに基づく投与形(matrix-based dosage form)として提供する。本発明によるマトリックス製剤は、親水性、例えば水溶性ポリマー、及び/又は疎水性、例えば水不溶性ポリマーを含むことができる。本発明のマトリックス製剤は任意に、腸溶性であり、例えばpH依存溶解性を示す、又は非腸溶性であり、例えばpH独立溶解性を示す機能性被膜付きで製造することができる。
本発明のマトリックス製剤は、例えば、直接圧縮成形又は湿式造粒を用いて製造することができる。次に、上述した機能性被膜を本発明によって付加することができる。さらに、機能性被膜を付加する前に、マトリックス錠剤コア上にバリヤー塗膜又はシーラント塗膜を塗布することができる。バリヤー塗膜又はシーラント塗膜は、有効成分を、該有効成分と相互作用する可能性がある機能性被膜から分離するという目的を果たすことができる、又は該塗膜は、水分が有効成分に接触するのを防ぐことができる。バリヤー及びシーラントの詳細は、以下に述べる。
本発明によるマトリックスに基づく投与形では、典型的に1種類以上の水溶性ポリマー及び/又は1種類以上の水不溶性ポリマーを含むポリマーマトリックス中に、(R)−ベラパミル及び任意の、製薬的に受容される賦形剤(単数又は複数種類)を分散させる。薬物は、この投与形から拡散及び/又は侵食によって放出されることができる。このようなマトリックス系は、WiseとKydonieusの上記文献に詳述されている。
適当な水溶性ポリマーは、非限定的に、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はポリエチレングリコール及び/又はこれらの混合物を包含する。
適当な水不溶性ポリマーは、非限定的に、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)及びポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、低密度ポリ(エチレン)、高密度ポリ(エチレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)又はポリウレタン、並びにこれらの混合物を包含する。
適当な、製薬的に受容される賦形剤は、非限定的に、例えばクエン酸ナトリウム及びリン酸二カルシウムのようなキャリヤー;例えばステアレート、シリカ、石膏、澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、タルク及びケイ酸のような充填剤又は増量剤;例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及びアラビアゴムのような結合剤;例えば、グリセロールのようなフメクタント;例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ及びタピオカ澱粉、アルギン酸、ある一定のシリケート、EXPLOTABTM、クロスポビドン及び炭酸ナトリウムのような崩壊剤;例えば、パラフィンのような溶解遅延剤(solution retarding agent);例えば、第4級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;例えば、セチルアルコール若しくはグリセロール・モノステアレートのような湿潤剤;例えば、カオリン及びベントナイト粘土のような吸収剤;例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール及びラウリル硫酸ナトリウムのような滑剤;例えばフマル酸のような安定剤;着色剤;緩衝剤;分散剤;保存剤;有機酸;及び有機塩基を包含する。上記賦形剤は、例として挙げたに過ぎず、全ての可能な選択を包含する意味ではない。さらに、多くの賦形剤は2つ以上の役割若しくは機能を有することができる、即ち、2つ以上のグループに分類される可能性があり;該分類は単なる記述であるに過ぎず、特定の賦形剤の如何なる使用をも限定しようとは意図しない。
1実施態様では、マトリックスに基づく投与形は、(R)−ベラパミル;例えば澱粉、ラクトース又は微結晶セルロース(AVICELTM)のような充填剤;例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース又はポリビニルピロリドンのような結合剤;例えばEXPLOTABTM、クロスポビドン又は澱粉のような崩壊剤;例えばステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸のような滑剤;例えばラウリル硫酸ナトリウム又はポリソルベートのような
界面活性剤;及び例えばコロイド状二酸化ケイ素(AEROSILTM)又はタルクのようなグライダントを含む。
本発明の製剤中のポリマーの量及び種類と、水溶性ポリマーの、水不溶性ポリマーに対する比率とは、一般に、(R)−ベラパミルの所望の放出プロフィルを達成するように選択される。例えば、水溶性ポリマーの量に相対的に水不溶性ポリマーの量を高めることによって、薬物の放出を遅延させる又は緩慢化することができる。これは、一部は、ポリマーマトリックスの不浸透性の増強と、場合によっては、GI管を通っての通過中の侵食速度の低下による。
浸透圧ポンプ投与形
他の実施態様では、本発明の調節放出製剤を浸透圧ポンプ投与形として提供する。浸透圧ポンプ投与形においては、(R)−ベラパミルと任意に1種類以上の浸透性賦形剤を含有するコアが典型的には、少なくとも1つの孔又はオリフィスを有する選択的浸透膜によって覆われる。該選択的浸透膜は一般に水には浸透性であるが、薬物には不浸透性である。この系が体液に暴露されるときには、水は選択的浸透膜を通って薬物及び任意の浸透性賦形剤を含有するコア中に浸透する。浸透圧は投与形内で上昇する。その結果、薬物は、選択的浸透膜を横切る浸透圧を等しくしようとして、孔又はオリフィスを通って放出される。
より複雑なポンプでは、投与形はコア内に2つの内部区画を含有することができる。第1区画は薬物を含有し、第2区画はポリマーを含有する、該ポリマーは水性流体と接触すると膨潤する。摂取後に、このポリマーは膨潤して、薬物含有区画に入って、薬物が占める容積を縮小して、それによって薬物を長時間にわたって制御された速度でデバイスからデリバリーする。このような投与形は、ゼロ次放出プロフィルが望ましい場合に、しばしば用いられる。
浸透圧ポンプは当該技術分野で周知である。例えば、米国特許第4,088,864号、第4,200,098号及び第5,573,776号(これらの各々は、このために本明細書に援用される)は浸透圧ポンプ及びそれらの製造方法を記載している。本発明によって有用な浸透圧ポンプは、浸透活性剤(osmotically active agent)と組み合わせた、浸透的に活性な薬物(osmotically active drug)又は浸透的に不活性な薬物(osmotically inactive drug)の錠剤を圧縮成形し、次に、該錠剤を選択的浸透膜で被覆する、該膜は外部水性流体には浸透性であるが、薬物及び浸透剤に対しては不浸透性である。
選択的浸透膜壁に、1つ以上のデリバリー・オリフィスを穿孔することができる。或いは、該壁に浸出性孔形成物質を組み込むことによって、該壁に1つ以上のオリフィスを形成することができる。操作において、外部水性流体は該選択的浸透膜を通って吸収されて、薬物と接触して、該薬物の溶液又は懸濁液を形成する。次に、新鮮な流体が選択的浸透膜を通って吸収されると、この薬物溶液又は懸濁液はオリフィスから排出される。
選択的浸透膜のための典型的な物質は、浸透性膜及び逆浸透性膜に有用であると当技術分野において知られた選択的浸透ポリマー、例えばセルロース・アシレート(cellulose acylate)、セルロース・ジアシレート(cellulose diacylate)、セルロース・トリアシレート(cellulose triacylate)、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸寒天(agar acetate)、三酢酸アミロース、酢酸βグルカン、アセトアルデヒド・ジメチルアセテート(acetaldehyde dimethyl acetate)、酢酸セルロース・エチルカルバメート(cellulose acetate ethyl carbamate)、ポリアミド、ポリウレタン、スルホン化ポリスチレン、酢酸フタル酸セルロース、酢酸セルロース・メチルカルバメート、酢酸コハク酸セルロース、酢酸セルロース・ジメチルアミノアセテート、酢酸セルロース・エチルカルバメート(cellulose acetate ethyl carbamate)、酢酸セルロース・クロルアセテート、ジパルミチン酸セルロース、ジオクタン酸セルロース、ジカプリル酸セルロース、セルロース・ジペンタンレート(cellulose dipentanlate)、酢酸吉草酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、プロピオン酸コハク酸セルロース、メチルセルロース、酢酸p−トルエンスルホン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、軽度に架橋したポリスチレン誘導体、架橋ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド)、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース及び/又はこれらの混合物を包含する。
ポンプに用いることができる浸透剤は、投与後にデバイスに侵入する流体中に典型的に溶解して、外部流体に対して選択的浸透膜を横切る浸透圧勾配を生じる。適当な浸透剤は、非限定的に、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、d−マンニトール、尿素、ソルビトール、イノシトール、ラフィノース、スクロース、グルコース、例えばセルロースポリマーのような親水性ポリマー及び/又は混合物を包含する。
上述したように、浸透圧ポンプ投与形は、膨潤性ポリマーを含有する第2区画を含有することができる。適当な膨潤性ポリマーは、典型的に、水及び/又は水性生体流体と相互作用し、該水及び/又は該流体はこれらのポリマーを平衡状態になるまで膨潤又は膨張させる。受容されるポリマーは水及び/又は水性生体流体中で膨潤して、このような吸収された流体のかなりの部分をそれらのポリマー構造中に保持して、投与形内の静水圧を高める能力を示す。該ポリマーは非常に高度に膨潤又は膨張して、通常、2〜50倍の体積増加を示す。ポリマーは架橋されていなくても、架橋されていてもよい。1実施態様では、該膨潤性ポリマーは親水性ポリマーである。適当なポリマーは、非限定的に、30,000〜5,000,000の分子量を有するポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート);κ−カラゲナン;10,000〜360,000の分子量を有するポリビニルピロリドン;非イオン性及びカチオン性ヒドロゲル;高分子電解質錯体;低量のアセテートを有し、グリオキサール、ホルムアルデヒド若しくはグルタルアルデヒドによって架橋され、200〜30,000の重合度を有するポリ(ビニルアルコール);メチルセルロース、架橋寒天及びカルボキシメチルセルロースを含む混合物;スチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン若しくはイソブチレンによって微粉状無水マレイン酸の分散系を形成することによって製造される水不溶性、水膨潤性コポリマー;N−ビニルラクタムの水膨潤性ポリマー;及び/又は上記いずれかの混合物を包含する。
本明細書で用いる“オリフィス”なる用語は、投与形から薬物を放出するために適した手段及び方法を含む。この表現は、機械的手段によって選択的浸透膜に穿孔されている、1つ以上の開口又はオリフィスを包含する。或いは、該選択的浸透膜に例えばゼラチンプラグのような侵食性要素を組み込むことによっても、オリフィスを形成することができる。このような場合には、該選択的浸透膜の孔は、薬物の通過のための“通路”を形成する。このような“通路”製剤は、例えば、米国特許第3,845,770号及び第3,916,899号に記載されており、これらの特許の関連する開示はこのために本明細書に援用される。
本発明による有用な浸透圧ポンプは、当該技術分野で知られた手法によって製造することができる。例えば、薬物とその他の成分を一緒に粉砕して、所望の寸法(例えば、第1区画に対応する)を有する固体にプレスする。次に、膨潤性ポリマーを形成して、薬物と接触させて配置し、両方を選択的浸透剤で囲む。必要に応じて、薬物成分とポリマー成分とを一緒にプレスしてから、選択的浸透膜を適用する。該選択的浸透膜は任意の適当な方法によって、例えば、成形、吹き付け又は浸漬によって適用することができる。
膜制御投与形
本発明の調節放出製剤はさらに、膜制御製剤として提供することもできる。本発明の膜制御製剤は、モノリシス(例えば、錠剤)型又はマルチユニット(multi-unit)(例えば、ペレット)型であることができる迅速放出コア(rapid release core)を用意して、該コアを膜で被覆することによって製造することができる。次に、膜制御コアを機能性被膜でさらに被覆することができる。膜制御コアと機能性被膜との間に、バリヤー又はシーラントを適用することができる。膜制御投与形の詳細は以下に記載する。
1実施態様では、(R)−ベラパミルを多粒子膜制御製剤として提供することができる。(R)−ベラパミルを約0.4〜約1.1mm又は約0.85〜約1.00mmの範囲内の平均直径を有するノンパレイル・シード(nonpareil seed)に塗布することによって、該薬物を活性コアに形成することができる。(R)−ベラパミルを、付加的な賦形剤の有無に拘わらず、不活性コア上に塗布することができ、溶液又は懸濁液から流動床コーター(例えば、Wurster coating)又はパン・コーティング系を用いて吹き付けることができる。或いは、(R)−ベラパミルをコア上に結合させるために結合剤を用いて、(R)−ベラパミルを粉末として、不活性コア上に塗布することができる。コアを適当な可塑剤(以下で説明)及び必要に応じて、任意の他の加工助剤と共に押出成形することによって、活性コアを形成することもできる。
本発明の調節放出製剤は、薬物含有コアに膜コーティング(membrane coating)として塗布される、少なくとも1種類のポリマー物質を含む。適当な水溶性ポリマーは、非限定的に、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はポリエチレングリコール及び/又はこれらの混合物を包含する。
適当な水不溶性ポリマーは、非限定的に、エチルセルロース、酢酸セルロース・プロピオン酸セルロース(cellulose acetate cellulose propionate)、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)及びポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、低密度ポリ(エチレン)、高密度ポリ(エチレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)又はポリウレタン、及び/又はこれらの混合物を包含する。
EUDRAGITTMポリマー(Rohm Pharmaから入手可能)は、アクリレート及びメタクリレートに基づくポリマー・ラッカー物質である。有効成分及び水に対して自由に浸透性である適当なポリマーは、EUDRAGITTMRLである。有効成分及び水に対して弱浸透性である適当なポリマーは、EUDRAGITTMRSである。有効成分及び水に対して弱浸透性であり、pH依存性の浸透性を示す、他の適当なポリマーは、非限定的に、EUDRAGITTML、EUDRAGITTMS及びEUDRAGITTMEである。
EUDRAGITTMRL及びRSは、低含量の第4級アンモニウム基を有する、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのコポリマーを含むアクリル樹脂である。該アンモニウム基は塩として存在して、該ラッカー・フィルムの浸透性をもたらす。EUDRAGITTMRL及びRSは、それぞれ、pHに依存して、自由浸透性(RL)及び弱浸透性(RS)である。該ポリマー類は、水中及び消化液中で、pH非依存的に膨潤する。膨潤した状態で、これらのポリマーは水及び溶解した活性化合物に対して浸透性である。
EUDRAGITTMLは、メタクリル酸とメタクリル酸メチルエステルとから合成されるアニオンポリマーである。これは、酸及び純粋な水中に不溶性である。これは、中性〜弱アルカリ性条件では、溶解性になる。EUDRAGITTMLの浸透性は、pH依存性である。pH5.0を超えると、該ポリマーはますます浸透性になる。
膜制御投与形を含む1実施態様では、ポリマー物質は、メタクリル酸コポリマー、アンモニオメタクリレートコポリマー又はこれらの混合物を含む。例えばEUDRAGITTMS及びEUDRAGITTML(Rohm Pharma)のようなメタクリル酸コポリマーは、本発明の膜制御放出製剤への使用に特に適している。これらのポリマーは胃耐性(gastroresistant)で、腸溶性のポリマーである。それらのポリマーフィルムは純粋な水及び希薄な酸に不溶性である。これらのポリマーは、それらのカルボン酸含量に依存して、高いpHで溶解する。EUDRAGITTMS及びEUDRAGITTMLはポリマー・コーティング中の単独ポリマーとして又は任意の比率で組み合わせて用いることができる。これらのポリマーの組み合わせを用いることによって、該ポリマー物質は、EUDRAGITTML及びEUDRAGITTMSが別々に溶解性であるpHの間のpHにおいて溶解性を示すことができる。
膜コーティングは、主要な割合(即ち、総ポリマー含量の50%超過)の1種類以上の製薬的に受容される水溶性ポリマーと、任意に、より小さい割合(即ち、総ポリマー含量の50%未満)の1種類以上の製薬的に受容される水不溶性ポリマーを含むポリマー物質を含むことができる。或いは、膜コーティングは、主要な割合(即ち、総ポリマー含量の50%超過)の1種類以上の製薬的に受容される水不溶性ポリマーと、任意に、より小さい割合(即ち、総ポリマー含量の50%未満)の1種類以上の製薬的に受容される水溶性ポリマーを含むポリマー物質を含むことができる。
例えばEudragit RS及びEudragit RL(Rohm Pharma)のような、アンモニオメタクリレート・コポリマーは、本発明の制御放出製剤への使用に適している。これらのポリマーは、純粋な水、希薄な酸、緩衝溶液又は全生理的pH範囲にわたる消化液中に不溶性である。該ポリマーは、水中及び消化液中にpH非依存的に膨潤する。次に、膨潤した状態で、これらのポリマーは水及び溶解活性物質に対して浸透性である。ポリマーの浸透性は、ポリマー中のエチルアクリレート(EA)基、メチルメタクリレート(MMA)基及びトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド(TAMCl)基の比率に依存する。1:2:0.2のEA:MMA:TAMCl比率を有するポリマー(Eudragit RL)は、1:2:0.1の比率を有するポリマー(Eudragit RS)よりも大きく浸透性である。Eudragit RLのポリマーは、高浸透性の不溶性ポリマーである。Eudragit RSのポリマーは、低浸透性の不溶性フィルムである。
アンモニオメタクリレート・コポリマーは、任意の所望の比率で組み合わせることができる。例えば、Eudragit RS:Eudragit RLの比率(90:10)を用いることができる。さらに、薬物の放出を遅延させるように、これらの比率を調節することができる。例えば、Eudragit RS:Eudragit RLの比率は、約100:0〜約80:20、約100:0〜約90:10又はこれらの間の任意の比率であることができる。このような製剤では、低浸透性Eudragit RSが一般にポリマー物質の大部分を占めることになる。
薬物の放出を所望のように遅延させるために、ポリマー物質中でアンモニオメタクリレート・コポリマーに、メタクリル酸コポリマーを組み合わせることができる。約99:1から約20:80までの範囲内のアンモニオメタクリレート・コポリマー(例えば、Eudragit RS)の、メタクリル酸コポリマーに対する比率を用いることができる。該2種類のポリマーを一緒にして、同じポリマー物質にすることができる、又はコアに塗布する別々のコート(coat)として提供することができる。
上記Eudragitポリマーの他に、多くの他の、このようなコポリマーを用いて、薬物放出を制御することができる。これらには、メタクリレート・エステル・コポリマー(例えば、Eudragit NE30D)が包含される。Eudragitポリマーに関するさらなる情報は、“Chemistry and Application Properties of Polymethacrylate Coating Systems,”in Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms,ed.James McGinity,Marcel Dekker Inc.,New York,pg 109-114)に見い出すことができる。
該塗膜はさらに、該ポリマー物質の浸透性を高めるために、1種類以上の溶解性賦形剤を含むことができる。溶解性賦形剤は、溶解性ポリマー、界面活性剤、アルカリ金属塩、有機酸、糖、及び糖アルコールの中から適当に選択される。このような溶解性賦形剤は、非限定的に、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベートのような界面活性剤、例えば酢酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、コハク酸及び酒石酸のような有機酸、例えばデキストロース、フルクトース、グルコース、ラクトース及びスクロースのような糖、例えばラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール及びキシリトールのような糖アルコール、キサンタンガム、デキストリン、並びにマルトデキストリンを包含する。幾つかの実施態様では、ポリビニルピロリドン、マンニトール及び/又はポリエチレングリコールを溶解性賦形剤として用いることができる。溶解性賦形剤(単数又は複数種類)は、ポリマーの総乾燥重量に基づいて、約1重量%〜約10重量%の量で用いることができる。
他の実施態様では、ポリマー物質は、胃腸液にも不溶性である、1種類以上の水不溶性ポリマーと、1種類以上の水溶性孔形成化合物を含む。例えば、水不溶性ポリマーは、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及び/又はポリビニルアルコールのターポリマーを含むことができる。適当な水溶性孔形成化合物は、非限定的に、サッカロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ポリビニルピロリドン及び/又はポリエチレングリコールを包含する。孔形成化合物は、水不溶性ポリマー全体にわたって均一に又はランダムに分布することができる。典型的には、孔形成化合物は、それぞれ水不溶性ポリマーの約1〜約10部ずつで、約1部〜約35部を占める。
このような投与形が溶解媒質(例えば、消化液)に接触すると、ポリマー物質中の孔形成化合物は溶解して、多孔質構造を生じて、これを通して薬物が拡散する。このような製剤は、米国特許第4,557,925号にさらに詳述されており、この特許の関連する部分はこのために本明細書に援用される。該多孔質膜は、胃での放出を防止するために、本明細書に記載するように、腸溶性被膜でさらに被覆することもできる。
1実施態様では、このような孔形成制御放出投与形は(R)−ベラパミル;例えば澱粉、ラクトース又は微結晶セルロース(AVICELTM)のような充填剤;例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース又はポリビニルピロリドンのような結合剤/制御放出ポリマー;例えばEXPLOTABTM、クロスポビドン又は澱粉のような崩壊剤;例えばステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸のような滑剤;例えばラウリル硫酸ナトリウム又はポリソルベートのような界面活性剤;及び例えばコロイド状二酸化ケイ素(AEROSILTM)又はタルクのようなグライダントを含む。
ポリマー物質はさらに、例えば充填剤、可塑剤及び/又は消泡剤のような、1種類以上の補助剤を含むことができる。代表的な充填剤は、タルク、ヒュームドシリカ(fumed silica)、グリセリルモノステアレート、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、カオリン、コロイド状シリカ、石膏、微粉状シリカ、及び三ケイ酸マグネシウムを包含する。充填剤の使用量は、ポリマーの総乾燥重量に基づいて、典型的に約2〜約300重量%の範囲であり、約20〜約100重量%の範囲であることができる。1実施態様では、タルクが充填剤である。
塗膜、及び機能性被膜も同様に、ポリマーの加工を改良する物質を包含することもできる。このような物質は、一般に、可塑剤と呼ばれ、例えば、アジペート、アゼテート、ベンゾエート、シトレート、イソエブケート(isoebucate)、フタレート、セバケート、ステアレート及びグリコールを包含する。代表的な可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジブチルタルトレート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチンシトレート、トリアセチン、トリプロピノイン(tripropinoin)、ジアセチン、ジブチルフタレート、アセチルモノグリセリド、ポリエチレングリコール、ひまし油、トリエチルシトレート、多価アルコール、酢酸エステル、グリセロールトリアセテート、アセチルトリエチルシトレート、ジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジオクチルアゼレート、エポキシド化タレート(epoxidised tallate)、トリイソオクチルトリメリテート、ジエチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−i−オクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジ−n−ウンデシルフタレート、ジ−n−トリデシルフタレート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート(di-2-ethylhexylazelate)、ジブチルセバケート、グリセリルモノカプリレート、及びグリセリルモノカプレートを包含する。1実施態様では、可塑剤はジブチルセバケートである。ポリマー物質中の可塑剤の使用量は、乾燥ポリマーの重量に基づいて、典型的に約10〜約50%の範囲であり、例えば、約10、20、30、40又は50%である。
消泡剤も含めることができる。1実施態様では、消泡剤はシメチコンである。消泡剤の使用量は、典型的に、最終製剤の約0%〜約0.5%を占める。
膜制御製剤中のポリマーの使用量は典型的に、薬物のデリバリー量、薬物デリバリーの速度及び位置、薬物放出の遅延時間並びに製剤中の多粒子のサイズを含めた、望ましい薬物デリバリー特性が得られるように調節する。ポリマーの塗布量(the amount of polymer applied)は典型的に、コアに約10〜約100%の増量を生じる。1実施態様では、ポリマー物質による増量は約25〜約70%の範囲である。
コポリマー、充填剤、可塑剤と、任意の賦形剤及び加工助剤を含めた、ポリマー物質の全ての固体成分の組み合わせは、典型的に、コアに約10〜約450%の増量を与える。1実施態様では、この増量は約30〜約160%である。
ポリマー物質は、任意の既知方法によって、例えば、流動床コーター(例えば、Wurster coating)又はパン・コーティング系を用いる吹き付けによって塗布することができる。ポリマー物質の塗布後に、塗布されたコアを通常、乾燥又は硬化させる。硬化は、安定な放出速度を与えるために充分な時間、多粒子が制御された温度に保持されることを意味する。硬化は、例えばオーブン内で又は流動床乾燥器内で行なうことができる。硬化は、室温を超える任意の温度で行なうことができる。
シーラント又はバリヤーをポリマー被膜に塗布することもできる。ポリマー物質を塗布する前のコアに、シーラント又はバリヤー層を付加することもできる。シーラント又はバリヤー層は、(R)−ベラパミルの放出を調節するようには意図されない。適当なシーラント又はバリヤーは、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、及びキサンタンガムのような、浸透性又は溶解性の作用剤である。
該シーラント又はバリヤー層の加工性を改良するために、他の作用剤を加えることができる。このような作用剤は、タルク、コロイド状シリカ、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、微粉状シリカ、ヒュームドシリカ、グリセロールモノステアレート、三ケイ酸マグネシウム及びステアリン酸マグネシウム、又はこれらの混合物を包含する。該シーラント又はバリヤー層は、溶液(例えば、水性)又は懸濁液から、例えば流動床コーター(例えば、Wurster coating)又はパン・コーティング系のような、任意の既知手段を用いて付加することができる。適当なシーラント又はバリヤーは、例えば、OPADRY WHITE Y−1−7000及びOPADRY OY/B/28920WHITEを包含し、これらの各々は、Colorcon Limited,Englandから入手可能である。
本発明はまた、上記で定義したような多粒子(R)−ベラパミル製剤をキャプレット、カプセル剤、投与前の懸濁液用粒子、サシェ又は錠剤の形態で含有する経口投与形を提供する。投与形が錠剤の形態である場合には、錠剤は、崩壊する錠剤、迅速に溶解する錠剤、起沸性錠剤、迅速に溶融する錠剤及び/又はミニ錠剤であることができる。投与形は、例えば球状、キューブ形状、楕円形(oval)又は長円形(ellipsoidal)のような、薬物の経口投与に適した、任意の形状であることができる。投与形は、多粒子から当該技術分野で知られた方法で製造することができ、必要に応じて、付加的な製薬的に受容される賦形剤を含むことができる。
非限定的に、マトリックスに基づく形、浸透圧ポンプに基づく形、軟質ゼラチンカプセル及び/又は膜制御形を含めた、さらにモノリシス及び/又はマルチユニット投与形の形態をとりうる、上述した特定の投与形の全ては、機能性被膜を有することができる。このような被膜は一般的に、薬物の放出を所定の期間遅延させるという目的を果たす。例えば、このような被膜は、投与形を胃酸又は消化液にさらさないで、胃を通過させることができる。したがって、このような被膜は、例えば上部腸のような、胃腸管中の望ましい点に達したときに溶解する又は侵食されることができる。
このような機能性被膜は、pH依存性又はpH非依存性のいずれの溶解プロフィルも示すことができる。pH非依存性プロフィルを有する被膜は、一般に、所定の期間後に侵食されるか又は溶解し、該期間は一般に該被膜の厚さに直接比例する。他方では、pH依存性被膜を有する被膜は、胃の酸性pH中に在る間はそれらの完全性を維持することができるが、より塩基性の上部腸に入ると迅速に侵食されるか又は溶解する。
したがって、マトリックスに基づく製剤、浸透圧ポンプに基づく製剤又は膜制御製剤を、薬物の放出を遅延させる機能性被膜でさらに被覆することができる。例えば、膜制御製剤を、上部腸に達するまで該膜制御製剤の暴露を遅延させる腸溶性被膜で被覆することができる。酸性の胃を出て、より塩基性の腸に入ると、腸溶性被膜は溶解する。その結果、膜制御製剤は胃腸液に暴露され、次には、本発明によって、(R)−ベラパミルを長時間にわたって放出する。例えばこれらのような、機能性被膜の例は当業者に周知である。
本明細書に記載する経口投与形のいずれも、キャプレット、カプセル、ビーズ、顆粒、投与前の懸濁液用粒子、サシェ又は錠剤の形態で提供することができる。投与形が錠剤の形態である場合には、錠剤は、崩壊する錠剤、迅速に溶解する錠剤、起沸性錠剤、迅速に溶融する錠剤及び/又はミニ錠剤であることができる。投与形は、例えば球状、キューブ形状、楕円形又は長円形のような、薬物の経口投与に適した、任意の形状であることができる。
製剤におけるポリマーの厚さ、ポリマーの量と種類、及び調節放出製剤における水溶性ポリマーの、水不溶性ポリマーに対する比率は、一般に、(R)−ベラパミルの所望の放出プロフィルを達成するように選択される。例えば、水溶性ポリマーに対して水不溶性ポリマーの量を高めることによって、薬物の放出を遅延させる又は緩慢にすることができる。
投与量並びに投与回数は、用いる特定の投与形及び投与経路に依存して変化する。投与量及び投与回数はまた、個々の対象の年齢、体重及び反応によっても変化する。典型的な投与計画は、過度な実験なしに、有能な医師によって容易に決めることができる。臨床医又は治療する医師が、個々の対象の反応に関連して、治療を中断する、調節する又は停止する方法及び時期を知るであろうことも、認められる。
一般に、本発明による製剤のいずれかによって胃腸運動性の異常な上昇及び/又は、同上昇をもたらす腸状態を治療、予防及び/又は管理する総1日量は、富化(R)−ベラパミル又はその製薬的に受容される塩約1mg〜約1000mg、又は約1、5、10、15、20、25、30、35,40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、150、160、180、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950又は1000mg、又はこれらの間の任意の数値である。例えば、経口投与される投与形では、総1日量は、約30mg〜約600mg、又は約60mg〜約480mg、又は約120mg〜約480mg、又は約120mg〜約240mgの範囲であることができる。したがって、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、150、160、180、200、220、240、250、260、280、300、320、340、350、360、380、400、420、440、450、460、480、500、520、540、550、560、580又は600mg、又はこれらの間の任意の数値の富化(R)−ベラパミルを含有するように、経口単回量を製剤化することができる。富化(R)−ベラパミルを含有する薬剤組成物は、1日単回量で又は分割量で、1日1、2、3、4若しくはそれ以上の回数で投与することができる。或いは、投与量を2日、3日、4日、5日毎に又はそれ以上の日数毎に1回供給することができる。1実施態様では、該薬剤組成物を1日1回投与する。
本明細書に記載する薬剤組成物及び投与形のいずれも、富化(R)−ベラパミル以外の1種類以上の活性化合物をさらに含むことができる。このような化合物は、(R)−ベラパミルによって治療される、予防される及び/又は管理される同じ状態又は異なる状態を治療、予防及び/又は管理するために、含めることができる。当業者は、富化(R)−ベラパミルを含む組成物に付加的な有効成分を組み入れるための方法の例に精通している。或いは、このような付加的な薬剤学的化合物を、別の製剤として又は本発明による富化(R)−ベラパミル組成物と一緒に、対象に同時投与することができる。このような別の製剤は、本発明の(R)−ベラパミル組成物の投与の前、後又は該投与と同時に投与することができる。
下記実施例を参照することによって、本発明をさらに説明する。本発明の目的及び範囲から逸脱せずに、物質及び方法の両方に対して多くの改変を行なうことができることは、当業者に明らかであろう。
実施例1:結腸における(R)−ベラパミルと(S)−ベラパミルの活性
(S)−ベラパミル及び(R)−ベラパミルは、Aonima Materie Sintetiche E Affini S.P.A.(Milan,Italy)から入手した。当業者が熟知している標準方法によって、ラット結腸組織を用意し、組織浴中に取り付けた。生理的媒質は、結腸組織を収縮させる、80mMの濃度でKClを含有した。次に、結腸組織を、上昇する濃度の(R)−ベラパミル、(S)−ベラパミル又は不活性な対照で処理して、生じた組織収縮の低下を測定した。ジヒドロピリジン・カルシウム・アンタゴニスト・ニフェジピンも比較のために研究した。KCl濃度を50%にする濃度(IC50)又はIC50の負対数(pIC50)として、効力を表現した。
不活性対照は、収縮を時間依存的に約20%だけ低下させたに過ぎなかった(図1)。これとは対照的に、(R)−ベラパミルと(S)−ベラパミルは、より顕著な、濃度依存性弛緩を生じた。(S)−ベラパミル(2.95x10-7のIC50)は、試験した濃度(1〜100μM)において、(R)−ベラパミル(8.51x10-7のIC50)よりも約3倍大きい効力を有した。(S)−ベラパミルは6.53+/−0.13のpIC50(−logM)を生じたが、(R)−ベラパミルのpIC50は6.07+/−0.16であった(それぞれ、n=7、P<0.05)。したがって、(R)−ベラパミルと(S)−ベラパミルの両方は結腸において活性であり、(S)−ベラパミルがやや高い効力を示した。
実施例2:大動脈における(R)−ベラパミルと(S)−ベラパミルの活性
当業者が熟知している標準方法によって、ラット大動脈組織を用意し、組織浴中に取り付けた。生理的媒質は、大動脈組織を収縮させる、80mMの濃度でKClを含有した。次に、該組織を、上昇する濃度の(R)−ベラパミル、(S)−ベラパミル又は不活性な対照で処理して、生じた組織収縮の低下を測定した。ジヒドロピリジン・カルシウム・アンタゴニスト・ニフェジピンも比較のために研究した。
図2に示すように、(S)−ベラパミル(4.78x10-7のIC50)は、KCl誘導収縮の弛緩において(R)−ベラパミル(4.47x10-6のIC50)よりも約10倍大きい効力を有した。(S)−ベラパミルは6.32+/−0.03のpIC50(−logM)を生じたが、(R)−ベラパミルのpIC50は僅かに5.35+/−0.24であった(それぞれ、n=5、p<0.05)。したがって、(S)−ベラパミルは、大動脈において、(R)−ベラパミルよりもやや高い効力を有した。
表1
Figure 2006504724
実施例3:(R)−ベラパミル、(S)−ベラパミル及びニフェジピンの相対的効力の比較
(R)−ベラパミル、(S)−ベラパミル及びニフェジピンは全て、ラット結腸及び大動脈においてKCl収縮を阻害した。如何なる特定の理論によっても縛られるのを望む訳ではないが、これらの化合物が、それらのカルシウムチャンネル・ブロッキング活性によってKCl収縮を少なくとも部分的に弛緩させることが考えられる。
表1は、大動脈及び結腸における(R)−ベラパミル、(S)−ベラパミル及びニフェジピンの相対的効力を示す。各化合物に関して、大動脈で観察されるIC50を結腸で観察されるIC50で割ることによって、腸選択率(intestinal selectivity index)を算出した。
1.0より大きい腸選択率は、化合物が大動脈よりも結腸に対して大きく選択性であることを意味する。該率の数値が大きければ大きいほど、腸選択性は大きくなる。1.0未満の腸選択率は、化合物が結腸よりも大動脈に対して大きく選択性であることを意味する。
ニフェジピンは結腸における(2.45x10-8MのIC50;6.97+/−0.25のpIC50、n=5)よりも大動脈において(1.07x10-7MのIC50;7.61+/−0.11のpIC50、n=7)有意に大きい効力を有した。ニフェジピンの腸選択率は0.23(1.07x10-7/2.45x10-8)であった。したがって、ニフェジピンは結腸に対するよりも大動脈に対して有意に大きく選択性であった。
(S)−ベラパミルは、大動脈と結腸においてほぼ等効力であった。結腸における(S)−ベラパミルのIC50は2.95x10-7Mであり;大動脈においては、IC50は4.78x10-7Mであった。したがって、(S)−ベラパミルは1.62(4.78x10-7/2.95x10-7)の腸選択率を生じた。結腸及び大動脈における(S)−ベラパミルのpIC50値は、それぞれ6.32+/−0.03(n=5)及び6.53+/−0.13(n=7)であった。
しかし、(R)−ベラパミルは、大動脈におけるよりも結腸において有意に大きい効力を有した。結腸における(R)−ベラパミルのIC50は8.51x10-7Mであり;大動脈においては、IC50は4.78x10-6Mであった。したがって、(R)−ベラパミルは5.63(8.51x10-7/4.78x10-7)の比較的高い腸選択率を生じた。結腸及び大動脈における(R)−ベラパミルのpIC50値は、それぞれ6.07+/−0.16(n=7)及び5.35+/−0.24(n=5)であった。したがって、高い腸選択率を考えると、(R)−ベラパミルは、大動脈よりも腸に対して有意に大きく選択性である。
これらの結果は、(S)−ベラパミルが大動脈又は結腸のいずれに対しても選択性でない(即ち、(S)−ベラパミルは両方の組織においてほぼ等しく活性である)ことを示すが、ニフェジピンは顕著な大動脈選択性を示す。これとは対照的に、(R)−ベラパミル(4.47x10-6のIC50)は、大動脈において(S)−ベラパミル(4.78x10-7のIC50)よりも10倍低い効力を有したが、腸においては3倍低いのみの効力を有した((R)−ベラパミルでは8.51x10-7のIC50;(S)−ベラパミルでは2.95x10-7のIC50)。このことは、(R)−ベラパミルの活性が腸選択性であることを示唆する。
選択性における、この相違の結果は、(R)−ベラパミルの投与が、(S)−ベラパミル及びベラパミルのラセミ混合物の投与に通常付随する、不利な心血管系効果を回避又は軽減しながら、かなりの胃腸効果を達成することができるということである。S異性体も、同様なレベルで投与した場合に、恐らく同様な胃腸効果を生じると思われるが、大きな心血管系効果をも生じると思われる。S異性体の重大な心血管系効果は、異常な胃腸運動性及びそれを引き起こす腸状態の治療、予防及び/又は管理におけるS異性体の有用性を限定する。(R)−ベラパミルは、その相対的な腸選択性のために、これらの限定を克服する。その結果、(R)−ベラパミルは、その大きい腸選択性のために、好ましくない心血管系効果を最小にしながら、胃腸運動性の異常な上昇及びそれを引き起こす腸状態の治療、予防及び/又は管理に用いることができる。
実施例4:直接圧縮成形を用いる(R)−ベラパミルの即時放出錠剤製剤の製造
Figure 2006504724
上記成分の各々を秤量する。ラクトース、(R)−ベラパミル、澱粉グリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、及びAvicelTMをブレンダー内で、均質になるまで、15分間、一緒に混合する。ステアリン酸マグネシウムを加えて、この組成物をさらに5分間混合する。得られた混合物を適当な製錠装置において目標重量400mgで楕円形錠剤に圧縮成形する。
実施例5:湿式造粒を用いる(R)−ベラパミルの即時放出錠剤製剤の製造
Figure 2006504724
上記成分の各々を秤量する。PVPをIPA中に溶解して、PVP溶液を形成する。(R)−ベラパミルにAvicelTMの50%及びラクトースの50%を、適当なミキサー(例えば、Planetary(Hobart)、High Shear(Diosna/Fielder))中で15分間混合して、均質な混合物を製造する。混合を続けながら、造粒用液体(granulating fluid)(PVP Solution)を加える。この組成物又は混合物を、所望の造粒終点に達するまで、混合する(適当な顆粒を製造するために必要に応じてさらにIPAを加える)。許容されるレベルの水分(例えば、<1.0%)及びIPA(例えば、<0.5%)に達するまで、顆粒を適当な乾燥装置(例えば、オーブン又は流動化装置)で乾燥させる。
乾燥顆粒を次に、適当なサイズのスクリーン(suitable sized screen)(100〜500ミクロン)を備えた、適当な粉砕装置(例えば、Co-Mill,Fitzpatrick mill)に通す。粒状物にコロイド状二酸化ケイ素、澱粉グリコール酸ナトリウム及び、ラクトースとAvicelTMの残量をブレンダーにおいて15分間混合する。ステアリン酸マグネシウムを加えて、さらに5分間混合する。得られた混合物を適当な製錠装置において目標重量400mgで楕円形錠剤に圧縮成形する。
実施例6:湿式造粒を用いる、Methocel TM の量と等級を変化させた(R)−ベラパミルの調節放出錠剤製剤の製造
Figure 2006504724
上記成分の各々を秤量する。PVPをIPA中に溶解して、PVP溶液を形成する。(R)−ベラパミルにMethocelTM、AvicelTMの50%及びラクトースの50%を、適当なミキサー(例えば、Planetary(Hobart)、High Shear(Diosna/Fielder))中で15分間混合して、均質な混合物を製造する。MethocelTMの代わりに、製造者(Dow Chemicals)が述べているように、例えばK及び/又はE Seriesのような、種々な等級を用いることができる。混合を続けながら、造粒用液体(PVP Solution)を加える。この組み合わせを、所望の造粒終点に達するまで、混合する(適当な顆粒を製造するために必要に応じてさらにIPAを加える)。許容されるレベルの水分(例えば、<1.0%)及びIPA(例えば、<0.5%)に達するまで、顆粒を適当な乾燥装置(例えば、オーブン又は流動化装置)で乾燥させる。
乾燥顆粒を次に、適当なサイズのスクリーン(100〜500ミクロン)を備えた、適当な粉砕装置(例えば、Co-Mill,Fitzpatrick mill)に通す。粒状物にコロイド状二酸化ケイ素、澱粉グリコール酸ナトリウム及び、ラクトースとAvicelTMの残量をブレンダーにおいて15分間混合する。ステアリン酸マグネシウムを加えて、混合物をさらに5分間混合する。得られた混合物を適当な製錠装置において目標重量400mgで楕円形錠剤に圧縮成形する。
実施例7:(R)−ベラパミルの即時放出薬物負荷多粒子製剤の製造
Figure 2006504724
(R)−ベラパミル、結合剤、グライダント及び粘着防止剤(antiadherent)を水中に溶解及び/又は懸濁させる。この溶液懸濁液を次に、適当な流動化塗布装置(例えば、Glatt装置)を用いて、ノンパレイル・シード上に吹き付ける。該溶液懸濁液を該ノンパレイル・シード上に塗布した後に、薬物負荷即時放出多粒子を流動化塗布装置において乾燥させる。
次に、薬物負荷即時放出多粒子を、例えばゼラチンカプセルのような、適当な投与形に製剤化する及び/又は以下で説明するように、さらに加工して、調節放出製剤にすることができる。さらに、該薬物負荷即時放出多粒子は単独でも、又は望ましい放出プロフィルに依存して、実施例8に記載する調節放出多粒子と組み合わせても用いることができる。
実施例8:(R)−ベラパミルの調節放出多粒子製剤の製造
(R)−ベラパミルの即時放出薬物負荷多粒子を、上述したように、製造する。次に、多粒子に下記のようなポリマー溶液A又はBを塗布して、調節放出多粒子製剤を製造する。
ポリマー溶液A
Figure 2006504724
ポリマー溶液B
Figure 2006504724
各表中の上記成分を混合して、それぞれ、ポリマー溶液AとBを製造する。
Figure 2006504724
薬物負荷即時放出多粒子を、適当な流動化塗布装置(例えば、Glatt装置)に入れる。次に、ポリマー溶液(ポリマー溶液A又はB)を上記に示した量で薬物負荷即時放出多粒子に吹き付ける。必要な量のポリマー溶液が塗布された後に、ポリマー塗布した多粒子を流動化塗布装置内で乾燥させる。得られた調節放出多粒子を硬質ゼラチンカプセル中に、各カプセル中に(R)−ベラパミルの30、60、120、240又は480mg投与量を生じるために充分な量で、自動化カプセル封入装置を用いて封入する。
或いは、カプセル封入前に、薬物負荷調節放出多粒子に実施例7に記載した薬物負荷即時放出多粒子を混合して、患者へ投与した後の(R)−ベラパミルの放出速度を変えることができる。
実施例9:輸精管中の(R)−ベラパミル及び(S)−ベラパミルの活性
ラット輸精管には、神経刺激のための2つの要素、精巣上体部中に優勢な、α−非アドレナリン作動性要素と、前立腺部に優勢な、非アドレナリン作動性(プリン作動性)要素が存在する。後者はニフェジピンによって阻害される。アドレナリン作動性遮断と、ニフェジピンとの組み合わせは、全ての要素を廃絶する(abolish)(Brown et al.,Br J Pharmacol.,79:379-393,1983)。図3は、ニフェジピン(0.1〜10μM)とは対照的に、(R)−ベラパミル又は(S)−ベラパミルのいずれも、前立腺組織(vas prostatic tissue)において電気刺激に対する収縮を廃絶しないことを示す。精巣上体部では、α−アドレナリン作動性遮断と、ニフェジピンとの組み合わせが、全ての要素を実際に廃絶する。図3は、(R)−ベラパミル及び(S)−ベラパミルの両方の高濃度がこの精巣上体収縮を軽減した(ニフェジピンの存在下)ことを示す。(R)−ベラパミルと(S)−ベラパミルとはほぼ等効力であった。例えば、神経伝達のα−1−アドレノセプター拮抗作用又は接合部前抑制のような、ベラパミルのさらなる非立体特異的性質がこの作用を説明することができる(例えば、Motulsky et al., Circ.Res.,52(2):226-31,1983を参照のこと)。
実施例10:結腸における他の化合物の活性
他の化合物を、それらがKCl収縮を弛緩させる又はベラパミルの弛緩作用を阻害することができるか否かに関して試験した。ミノキシジル(カリウム・チャンネル・オープナー)は、KCl収縮を弛緩させなかった。グリベンクラミン(カリウム・チャンネル・ブロッカー)は、KCl収縮のベラパミル誘導弛緩を阻害しなかった。プラゾシン(α1−アドレノレセプター拮抗薬)は、KCl収縮を有意に弛緩させなかった。キシラジン(α2−アドレノレセプター作動薬)は、該収縮を軽度に弛緩させたが、試験した最高濃度(10-4M)においてのみであった。ニフェジピン(ジヒドロピリジン・カルシウム拮抗薬)は、KCl収縮した結腸組織を6.97+/−0.25(n=5)のpIC50(−logM)で弛緩させた。
図1は、ラット結腸組織におけるKCl誘導収縮に対する(R)−ベラパミル及び(S)−ベラパミルによって達成された弛緩を説明する。 図2は、ラット大動脈組織におけるKCl誘導収縮に対する(R)−ベラパミル及び(S)−ベラパミルによって達成された弛緩を説明する。 図3は、ラット前立腺組織及びラット精巣上体組織におけるKCl誘導収縮に対する(R)−ベラパミル及び(S)−ベラパミルの効果を説明する。

Claims (29)

  1. 胃腸運動性の異常な上昇の治療方法であって、このような治療を必要とする対象に治療有効量の富化(R)−ベラパミル又はその製薬的に受容される塩を投与することを含む方法。
  2. 該対象が、過敏性腸症候群(IBS)、小腸若しくは大腸の感染症、又は上記のいずれかの症状に罹患している、請求項1記載の方法。
  3. 該対象が過敏性腸症候群に罹患している、請求項2記載の方法。
  4. 富化(R)−ベラパミルを薬剤学的製剤として与える、請求項1記載の方法。
  5. 富化(R)−ベラパミル製剤が固体投与形である、請求項4記載の方法。
  6. 富化(R)−ベラパミル製剤を経口、鼻腔、直腸、膣内、非経口、頬側、舌下又は局所投与する、請求項4記載の方法。
  7. 富化(R)−ベラパミル製剤を直腸又は経口投与する、請求項6記載の方法。
  8. 富化(R)−ベラパミル製剤を錠剤、カプセル剤又は座薬として投与する、請求項4記載の方法。
  9. 富化(R)−ベラパミル製剤が1種類以上の製薬的に受容される賦形剤を含む、請求項4記載の方法。
  10. 該賦形剤が澱粉、糖、セルロース、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味剤、フレーバー剤、芳香剤、保存剤、酸化防止剤、可塑剤、ゲル化剤、増粘剤、硬膜剤、硬化剤、懸濁化剤、界面活性剤、フメクタント、キャリヤー、安定剤、又はこれらの組み合わせである、請求項9記載の方法。
  11. 富化(R)−ベラパミルを1〜5回/日、投与する、請求項1記載の方法。
  12. 富化(R)−ベラパミルを1回/日、投与する、請求項11記載の方法。
  13. 該対象がヒトである、請求項1記載の方法。
  14. 富化(R)−ベラパミルを経口投与する、請求項7記載の方法であって、該富化(R)−ベラパミルの量が約30mg〜約600mg/日の範囲である方法。
  15. 富化(R)−ベラパミルの投与量が約60mg〜約480mg/日の範囲である、請求項14記載の方法。
  16. 該製剤が1種類以上の付加的な薬剤学的活性化合物をさらに含む、請求項4記載の方法。
  17. 富化(R)−ベラパミルを1種類以上の付加的な薬剤学的活性化合物と組み合わせて投与する、請求項1記載の方法。
  18. 富化(R)−ベラパミルを調節放出製剤として供給する、請求項1記載の方法。
  19. 調節放出製剤が1種類以上の水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー又はこれらの組み合わせを含む、請求項18記載の方法。
  20. 水溶性ポリマーをポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物から選択する、請求項19記載の方法。
  21. 水不溶性ポリマーをエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)及びポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、低密度ポリ(エチレン)、高密度ポリ(エチレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)又はポリウレタン、並びにこれらの混合物から選択する、請求項19記載の方法。
  22. 調節放出製剤が浸透圧ポンプ投与形である、請求項18記載の方法。
  23. 調節放出製剤がマトリックス系投与形である、請求項18記載の方法。
  24. 調節放出製剤が膜調節投与形である、請求項18記載の方法。
  25. 調節放出製剤が機能性被膜を含む、請求項18記載の方法。
  26. 調節放出製剤を、キャプレット、カプセル、ビーズ、顆粒、投与前の懸濁液用粒子、サシェ、又は錠剤の形態で供給する、請求項18記載の方法。
  27. 胃腸運動性の異常な上昇の予防方法であって、富化(R)−ベラパミルの投与を必要とする対象に治療有効量の富化(R)−ベラパミル又はその製薬的に受容される塩を投与することを含む方法。
  28. 胃腸運動性の異常な上昇の管理方法であって、富化(R)−ベラパミルの投与を必要とする対象に治療有効量の富化(R)−ベラパミル又はその製薬的に受容される塩を投与することを含む方法。
  29. 胃腸運動性の異常な上昇の軽減方法であって、富化(R)−ベラパミルの投与を必要とする対象に治療有効量の富化(R)−ベラパミル又はその製薬的に受容される塩を投与することを含む方法。
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