JP2006503570A - アルツハイマー病で使用するためのSrcキナーゼの阻害剤 - Google Patents

アルツハイマー病で使用するためのSrcキナーゼの阻害剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、Srcキナーゼ阻害剤の同定、このような同定に有用な分析および方法、ならびに、アルツハイマー病を治療するための医薬を製造するためのSrc阻害剤の使用に関する。

Description

本発明は、Srcキナーゼの阻害剤の同定、このような同定に有用な分析および方法、ならびに、アルツハイマー病を治療するための医薬を製造するためのSrc阻害剤の使用に関する。
アルツハイマー病は、細胞レベルで、大脳辺縁系および大脳皮質でニューロンが大量に損失することに伴う脳の神経変性疾患である。罹患した脳領域において、タンパク質の沈着、いわゆる斑(plaques)を分子レベルで検出することができ、これは、アルツハイマー病の本質的な特徴である。これら斑に最も多く存在するタンパク質は、Aβ−ペプチドという40〜42個のアミノ酸からなるペプチドである。このペプチドは、695〜770個のアミノ酸からなるより大きいタンパク質、いわゆるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の分解産物である。
APPは、まず脂質二重層を貫通する内在性膜貫通タンパク質である。このタンパク質の圧倒的に大きな部分は細胞外に存在し、一方で、より短いC末端ドメインは細胞質ゾルに向かっている(図1)。APPは3つの異なるプロテアーゼ、すなわちα−セクレターゼ、β−セクレターゼおよびγ−セクレターゼの基質である。APP内で、Aβ−ペプチドの約3分の2は細胞外ドメイン由来であり、約3分の1は膜貫通ドメイン由来である。
膜結合APP以外に、APPの大きい外側のドメインからなるAPPの分泌型を検出することが可能であり、これは、APPsec(「分泌型APP」)という。APPsecは、α−セクレターゼの作用によるタンパク質分解によってAPPから形成される(図2)。このタンパク質分解は、Aβ−ペプチドのアミノ酸配列中で起こる(Aβ−ペプチドのアミノ酸残基16の後で)。従って、α−セクレターゼによるAPPのタンパク質分解は、Aβ−ペプチドを形成させない。
従って、Aβ−ペプチドは、APPから代替のプロセシング経路でのみ形成可能である。2種のプロテアーゼがこのプロセシングに関与し、すなわち、一方のプロテアーゼ(β−セクレターゼという)がAPPのAβ−ペプチドのN末端で切断を行い、第二のプロテアーゼ(γ−セクレターゼという)がAβ−ペプチドのC末端を切り離すと仮定されている(Kang,J.等(1987年)Nature,325,733(図2))。
Aβ−ペプチドがアルツハイマー病の発症に重要な因子であるという多くの指摘がある。特に、細胞培養におけるAβ−原線維(Aβ−fibrils)の神経毒性が提唱されている(Yankner,B.A.等(1990年)Proc Natl Acad Sci USA,87,9020)。追加の遺伝子コピー中でAPPが生じているダウン症候群の患者においては、アルツハイマー病の神経病理学的な特徴もまた30歳でも生じる。ここで、APPが過剰発現された後に、高いAβ−ペプチドへの転換が起こると推測される(Rumble,B.等(1989年),N.Engl.J.Med.,320,1446)。
その上、アルツハイマー病におけるAβ−ペプチドの中心的な役割の最も強い指摘は、家族性の形態の病気であることである。ここで、APP遺伝子のセクレターゼ切断部位領域周辺に、または、2つの他のAD関連遺伝子(プレセニリン)に突然変異が見出されており、これら変異は、細胞培養において、Aβ生産の顕著な増加をもたらす(Scheuner.D.等(1996年),Nature Medicine,2,864)。
まず、APPはβ−セクレターゼで切断され、その後、γ−セクレターゼの基質として供されるという多数の指摘がある(Maruyama,K.Y.等(1994年)Biochem.Biophys Res Commun,202,1517;Estus,S.等(1992年),Science.255,726)。従って、γ−セクレターゼは、Aβ−ペプチドの形成において重要な役割を有する。習慣的に用いられているγ−セクレターゼ活性の証明は、Aβ−ペプチドを検出することであるが、しかしながら、しばしば困難であることがわかっている。
その重要な理由は、ほんのわずかなAPPしかAβ−ペプチドに変換されないことである(Simons M,等,Neurosci(1996年)1;16(3):899〜908)。その上、Aβ−ペプチドは、約4kDaの小さい切断フラグメントであり、さらに、その疎水性の特徴により自己凝集する傾向が高く、そのため生理学的条件下で簡単に沈殿してしまう(Hilbich.C.等(1991年)J.Mol.Biol.,218,149)。
短い47個のアミノ酸からなるAPPのC末端テールは、サイトゾルに晒されており、PTBドメインを含む分子アダプター(Fe65、X11、m−dabおよびJip1という)との相互作用部位である。これらタンパク質の結合は、APP上のYENPTY配列に依存するため、それらの相互作用は同時ではないと考えられている(T.Russo等(1998年)FEBS Lett.434,1〜7;N.Zambrano等(1997年)J.Biol.Chem.272,6399〜6405)。実際に、培養された細胞において、Fe65およびX11タンパク質は、APPのタンパク質分解プロセシングに逆の作用を有することが示されている(Sabo S.等(1999年)J.Biol.Chem.274,7952〜7957;Borg J.P.等(1998年)J.Biol.Chem.273,14761〜14766)。これらの発見への可能な解釈は、異なる組み合わせのタンパク質と、2つのアダプターの他のタンパク質−タンパク質相互作用ドメインとの相互作用に依存する、異なる高分子複合体で、Fe65またはX11のいずれかによるAPPのリクルートメントにあるといえる。
APP細胞質ドメインは、様々なセリンおよびスレオニン残基を含み、これらは、インビトロで異なるキナーゼ活性によってリン酸化される。Thr668は、インビボにおいてリン酸化の主要な部位であり、ニューロンにおけるニューロン性のサイクリン依存性キナーゼ、Cdk5(Iijima,K.等(2000年)J.Neurochem.75,1085〜1091)、分裂する細胞におけるcdc2キナーゼ(Suzuki,T.等(1994年)EMBO J.13,1114〜1122;Oishi,M.等(1997年)Mol.Med.3,111〜123)、ならびに、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3b(GSK3b)、および、インビトロでのストレス活性化タンパク質キナーゼ1b(SAPキナーゼ1b)(Aplin,E.E.等(1996年)J.Neurochem.67,699〜707;Standen,C.L.等(2001年)J.Neurochem.76,316〜320)によってリン酸化される。APPのリン酸化は、分化するPC−12細胞で(Ando,K.等(1999年)J.Neurosci.19,4421〜4427)、神経突起の伸長を調節することが示されており、同時に分子レベルで、APPのリン酸化は、PTBドメインを含むアダプターへの結合、および、そのプロセシングを調節する可能性もある(Ando K.等(2001年)J Biol.Chem.,276,40353〜40361)。
これまでに、APPは、Abl非受容体型チロシンキナーゼの活性型を発現する細胞において、チロシン682でリン酸化されることが実証されていた(Zambrano N.等(2001年)J Biol.Chem.276,19787〜92);活性Ablは、APP近隣でFe65によってリクルートされ、これら2種のタンパク質にそのWWドメイン(Abl)、および、PTB2ドメイン(APP)を介して同時に結合する。APPのTyr−682のリン酸化により、AblのSH2ドメインのためのドッキング部位が生成し、実際に、APPとAblとの安定な複合体が形成される。
チロシンのリン酸化が、pp60c−srcの生物学的活性を調節するという仮説を試験するために、KmiecikおよびShalloway(1987年)Cell 49,65〜73では、Tyr527とTyr416が別々に、または、同時に、フェニルアラニンに改変されたpp60c−src突然変異体の構築と研究が記載されていた。Tyr−Phe527突然変異は、pp60c−srcの形質転換とキナーゼ活性を強く活性化するが、それに対して、Tyr−Phe416突然変異を追加で導入すると、これらの活性は抑制された。正常なpp60c−srcのTyr−Phe416突然変異は、その部分的な形質転換活性を除去したが、これは、インビボで安定なリン酸化は観察されなかったとしても、pp60c−srcの機能には、一時的な、または、その他の制限されたTyr416のリン酸化が重要であることを示す。通常、pp60c−srcは、インビボで、pp60v−src(その形質転換相同体)では存在しない残基であるチロシン527でリン酸化され、インビトロでの自己リン酸化部位であるチロシン416ではリン酸化されない。
Williamson等(2002年)J.Neurochem.22,10〜20)は、Tauや焦点接着キナーゼ(focal adhesion kinase)などのニューロン性タンパク質の、アミロイド−βペプチドへの接触に応じた速いリン酸化、および、Srcファミリータンパク質キナーゼの関与を記載した。
Slack,B.E.およびBerse;B.(1998年)は、ニューロサイエンス学会アブストラクト(Society for Neuroscience Abstracts),24巻,1〜2号,208頁(Conference/Meeting Information:第28回ニューロサイエンス会議(28th Annual Meeting of the Society for Neuroscience),第1部,ロサンゼルス,カリフォルニア州,米国,1998年11月7〜12日,ニューロサイエンス学会(Society for Neuroscience),ISSN:0190〜5295)で、ムスカリン様m3アセチルコリン受容体の作用によるAPP放出の促進におけるチロシンキナーゼの役割を記載した。彼等は、ムスカリン様受容体によるAPPsec放出の調節におけるSrcチロシンキナーゼの役割を記載した。彼等は、Src活性型の増加により、secAPPが減少することを実証した。
本発明は、アルツハイマー病を治療するための治療剤を同定する方法を提供する。
本発明の一実施形態は、Src活性阻害剤を同定する方法を提供し、本方法は、
a)Srcタンパク質(すなわち、発現要素の制御下で、SrcをコードするDNA)を用意する工程、および、
b)化合物が、Srcの活性を阻害するかどうかを測定する工程、
を含む。
Srcタンパク質は、あらゆる哺乳動物のSrcタンパク質が可能であり、好ましくはヒトSrc(配列番号1(アイソフォーム1)、および、配列番号2(アイソフォーム2))、または、げっ歯動物のSrc(配列番号3)である。タンパク質は、ヒトSrcまたはげっ歯動物SrcのcDNAを発現させることによって、例えば配列番号4または配列番号5の配列を用いることによって、得ることができる。加えて、Genbank受入番号M17031またはBC011566で寄託された配列の1つを用いてもよい。
本方法に関して、好ましくは、Srcが自然にまたは、細胞/細胞系が遺伝子操作されているために発現されている哺乳動物細胞または細胞系が用いられる。特定の実施形態において、ニューロンの初代培養が用いられる。
本発明の他の実施形態は、Src発現を阻害する化合物を同定する方法に関する。本方法は、
a)Src発現を調節する配列を用意する工程(すなわち、Srcプロモーター配列)、および、
b)化合物が、Srcタンパク質の発現を阻害するかどうかを測定する工程、
を含む。
Src発現を調節する配列は、好ましくは、レポーター遺伝子またはレポーター遺伝子コンストラクトに連結している。このようなレポーター遺伝子は、化合物がSrcの発現を阻害するかどうかを測定するのに容易に用いることができる。その他に可能性があるのは、Src遺伝子の使用である。Src遺伝子を含む第20染色体の領域は、Genbank受入番号AL133293で寄託されている。
Src発現を調節する配列として用いることができるハウスキーピングプロモーター、および、肝臓の核因子−1aで調節される選択的(alternative)プロモーターが記載されている(Bonham等(2000年)J.Biol.Chem.275,37604)(Genbank受入番号AF272982)。
活性化合物、これは、Src発現を阻害する、または、Srcタンパク質活性を阻害する化合物を意味しており、医薬として用いることができる。このような化合物は、アルツハイマー病を治療または予防するための医薬を製造するために用いることができる。
本発明の他の実施形態は、上述の方法のいずれか1つによって同定されたアルツハイマー病を治療するための医薬を製造するための化合物の使用に関する。
本発明はさらに、アルツハイマー病を治療するための医薬の製造方法に関し、
a)上述の方法のいずれか1つを用いることによって治療化合物を同定する工程;
b)同定された化合物を最適化する工程;および、
c)最適化された化合物を製剤化する工程、
を含む。
本発明の他の実施形態は、アルツハイマー病を治療または予防するための医薬を製造するための当業界既知のSrc阻害剤の使用に関する。本発明は、医薬としてのPP2(4−アミノ−5−(4−クロロフェニル)−7−(t−ブチル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン)の使用に関する。本発明はさらに、アルツハイマー病を治療するための医薬を製造するためのPP2の使用に関する。
本発明の他の実施形態は、アルツハイマー病を治療するための医薬を製造するためのPP2の使用に関する。
新たな結果により、APPは、Ablのみによってリン酸化されるのではないことが示される。実際には、Srcキナーゼもまた、APPのチロシンのリン酸化に関与する。A
PPのチロシンのリン酸化は、その細胞質ドメインの結合特性を変化させ、続いて、結果としてAPPのプロセシングが改変され得ることが予測される。そうであれば、これは、現在利用可能なチロシンキナーゼ阻害剤の使用が有用であることを証明しており、アルツハイマー病の細胞モデルおよび動物モデルにおいてAPPプロセシング産物の放出を薬理学的に調節するための新規の阻害剤を設計することができる。
総合すれば、以下の実施例の結果は、外因性のSrc活性が、経路の活性化に関与し、高いAβ分泌をもたらすことができることを示す。これはまた、PP2は、AD状態に類似した細胞および動物系においてAβ分泌を減少させることができる薬物として用いることができることを示す。
従って、安定してAPP751型を過剰発現するCHO細胞系(Aβを別のレベルで分泌する)が用いられた。分泌が内因性のSrc活性に関連するのなら、PP2は、この細胞系においてもAβ産生を阻害することができるはずである。これは、図6で示すように、試験された3時点で(1、3および12時間)、PP2は用量依存性の様式でAβの量を減少させるが、PP3は最高濃度で用いても効果がないことから、実際にいえることである。
これら実験は、Aβ分泌におけるSrc活性化の関連性を明確に説明するものであり、ADの治療におけるチロシンキナーゼ阻害剤の薬理学的用途を試すための基礎を構成する。このような阻害剤のスクリーニングおよびそれらの最適化は、可能性のある革新的なアルツハイマー病を治療するための治療剤の開発を可能にすると考えられる。
実施例1
細胞培養、トランスフェクションおよび処理
ヒト胎児腎臓細胞株(HEK293)を、10%ウシ胎仔血清を添加したダルベッコ改変最小培地で、37℃で、5%CO2雰囲気中で培養した。トランスフェクションのために、細胞を抗生物質非含有培地で16時間成長させ、リポフェクトアミン2000(インビトロジェン(Invitrogen))で製造元の説明に従ってトランスフェクトした。DNA総量を空のベクターDNAを添加することによって一定に維持した。トランスフェクションの48時間後、培地を回収し、同時に、細胞を氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で回収し、溶解用緩衝液(50mMトリス/HCl,pH7.5,150mM NaCl,0.5%トリトンX−100,10%グリセロール,50mM NaF,1mMバナジウム酸Na)で、プロテアーゼ阻害剤カクテル(コンプリート,EDTAフリー,ロシュ(Roche))の存在下で、穏かに溶解した。抽出物を16,000×g、4℃での遠心分離で透明化し、タンパク質濃度をバイオラッド(Bio−Rad)タンパク質分析で製造元の指示書に従って測定した。代謝性標識するために、トランスフェクションの36時間後、細胞をメチオニンおよびシステイン非含有培地で30分間インキュベートし、次に、培地を、80μCi/mlの35S−メチオニン/システイン混合物(プロミックス(Promix),1000Ci/mmol,アマシャム・ファルマシア・バイオテク)を含む新鮮培地と交換した。30分間パルスし、続いて、放射活性培地を完全培地で90分間かけて交換した。野生型APP751を発現するCHO細胞は、N.Zambrano等(1997年)J.Biol.Chem.272,6399〜6405に記載されている。
免疫沈降反応は、1μg/サンプルの6E10 モノクローナル抗体(シグネット(Signet))を用いて、培地または細胞溶解産物のいずれかにおいて行った。放射活性サンプルを10%SDS−PAGEに溶解し、ストーム(Storm)840ホスホイメージャー(アマシャム・ファルマシア・バイオテク)を用いて定量した。
PP2およびPP3(Hanke,J.H.等(1996年)J.Biol.Chem.271,695〜701)を、カルバイオケム(Calbiochem)から購入し、DMSOに溶解した;媒体単独、または、1、5および20μMのPP2またはPP3を用いて、トランスフェクトされた細胞を48時間処理した。DMSOの濃度は全サンプルで同じである。CHO/APP751細胞での処理は、DMSO、または、PP2(5および20μM)、または、PP3(20μM)を用いてなされた。
実施例2
HEK293細胞を、APP695発現ベクターでトランスフェクトした。この細胞系は、細胞が高効率にトランスフェクトされ、APPの成熟に必要な一連の全プロセシング活性を示すために用いられた。実際に、ヒトAPP695発現ベクターのトランスフェクションの際に、α−セクレターゼ産物(APPsec)と、β−、γ−セクレターゼ産物(Aβ)はいずれも培地に蓄積された。空のベクター、または、活性型Abl(Abl−PP)、または、活性型Src(SrcYF)キナーゼのいずれかおよびAPPによりHEK293細胞をコトランスフェクトし、APPsecとAβの分泌を測定した。トランスフェクトされた細胞は、35S−Met/Cys混合物を用いて30分間パルス標識されており、非標識アミノ酸で90分間チェイスした。培地とタンパク質抽出物はいずれも、放射標識したAPPsecおよび完全長APP(holo−APP)それぞれを定量するための免疫沈降実験で用いられた。完全長APPの安定性は、Abl−PPまたはSrcYF活性型キナーゼいずれかによるコトランスフェクションによる影響は受けないが(図3A)、いずれの場合においても、APPsecの相対量(パルス期間中に合成された対応する完全長APPを基準とした)の減少を観察した(図3B)。これは、活性キナーゼとAPPとのコトランスフェクションの際の、α−セクレターゼ経路の活性の減少と解釈することができる。
実施例3
次に、上述の通りにトランスフェクトされた細胞からのAβの蓄積を調べた。トランスフェクションの48時間後に、培地上でサンドイッチELISA分析によって定量を行った(図4)。この分析により、Src発現細胞において、分泌されたAβの量は、コントロールベクターまたはAbl−PPの存在における場合よりも増加していることが明確に示された。
活性Srcがこのような劇的なAβ分泌の増加を誘発するメカニズムは明らかではない。しかしながら、Abl−PPによるAPPのチロシンのリン酸化が、Aβレベルの増加を引き起こさないことから、APPとは異なるその他の数種のタンパク質のリン酸化に依存しているようである。従って、チロシンがグリシンまたはフェニルアラニンのいずれかに置換された様々なAPP突然変異を用いて類似の挙動が得られた(データは示さず)。
いずれにしても、Aβの蓄積は、Srcファミリーに特異的な阻害剤PP2での処理に感受性を示すことから、Aβレベルの上昇は、Srcのチロシンキナーゼ活性に依存する。実際に、図5で示すように、トランスフェクトされた細胞を増加する濃度のPP2に48時間接触させることにより、分泌されたAβの用量依存性の減少が起った。PP2の不活性型の類似体であるPP3、または、媒体単独のいずれかでは、SrcYFトランスフェクションによるAβの上昇に影響を与えない。
総合すれば、これらの観察により、外因性Src活性は、Aβ分泌の増加を起こすこれまで同定されていない経路の活性化に関与することが示される。
参考文献
1) T. Russo et al. (1998) FEBS Lett. 434, 1-7.
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Figure 2006503570
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膜貫通型APPの構造および各セクレターゼによる切断位置を示す。 各セクレターゼによるAPPの分解経路およびその産物を示す。 細胞系へのAPPおよび活性キナーゼのコトランスフェクションによる完全長APPの相対量(%)の経時変化を示す。 細胞系へのAPPおよび活性キナーゼのコトランスフェクションによる分泌型APPの相対量(%)の経時変化を示す。 APPおよび活性キナーゼでコトランスフェクトされた細胞でのAβの蓄積を示す。 活性型Srcでトランスフェクトした細胞のAβ産生に対するPP2の阻害実験を示す。 CHO/APP751細胞のAβ産生に対するPP2による阻害実験を示す。

Claims (10)

  1. a)Srcタンパク質を用意する工程、および、
    b)Src活性に対する化合物の阻害作用を測定する工程を含む、
    アルツハイマー病を治療するための治療化合物を同定する方法。
  2. a)Src発現を調節する配列を用意する工程、および、
    b)化合物が、Srcタンパク質の発現を阻害するかどうかを測定する工程を含む、
    アルツハイマー病を治療するための治療化合物を同定する方法。
  3. Srcは、ヒトSrcまたはマウスSrcである、請求項1または2に記載の方法。
  4. Srcは、配列番号1、配列番号2または配列番号3の配列を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. Srcは、哺乳動物細胞で発現される、請求項1に記載の方法。
  6. 調節配列は、Srcプロモーターである、請求項2に記載の方法。
  7. a)請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法を用いることによって治療化合物を同定する工程;
    b)同定された化合物を最適化する工程;および、
    c)最適化された化合物を製剤化する工程、
    を含む、アルツハイマー病を治療するための医薬の製造方法。
  8. アルツハイマー病を治療するための医薬を製造するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法によって同定された化合物の使用。
  9. 医薬として使用するためのPP2。
  10. アルツハイマー病を治療するための医薬を製造するためのPP2の使用。
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