JP2006503015A - グリコペプチド抗生物質誘導体 - Google Patents

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Abstract

新しいグリコペプチド抗生物質誘導体、その調製方法、医薬としてのその使用、ウイルス感染を治療または予防するためのその使用、および、ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造のためのその使用が提供される。本発明はウイルス感染を治療または予防するためのグリコペプチドおよびその半合成誘導体の使用、および、対象におけるウイルス感染、特に、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、フラビウイルスおよびコロナウイルスに属するウイルス、例えばHIV(ヒト免疫不全ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、BVDV(ウシウイルス性下痢ウイルス)、SARS(重症急性呼吸器症候群)誘発ウイルス、FCV(ネココロナウイルス)、HSV(単純疱疹ウイルス)、VZV(水痘−帯状疱疹ウイルス)およびCMV(サイトメガロウイルス)による感染を治療または予防するための医薬の製造のためのその使用に関する。

Description

本発明の分野は、新しいグリコペプチド抗生物質誘導体、その調製方法、医薬としてのその使用、ウイルス感染を治療または予防するためのその使用、および、ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造のためのその使用に関する。本発明はウイルス感染を治療または予防するためのグリコペプチドおよびその半合成誘導体の使用、および、対象におけるウイルス感染、特に、レトロウイルス科(例えばレンチウイルス亜科)、ヘルペスウイルス科、フラビウイルス科およびコロナウイルス科に属するウイルス、例えばHIV(ヒト免疫不全ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、BVDV(ウシウイルス性下痢ウイルス)、SARS(重症急性呼吸器症候群)誘発ウイルス、FCV(ネココロナウイルス)、HSV(単純疱疹ウイルス)、VZV(水痘−帯状疱疹ウイルス)およびCMV(サイトメガロウイルス)による感染を治療または予防するための医薬の製造のためのその使用に関する。
ウイルス感染は治療、予防またはワクチン接種の手法が存在しないため、および、耐性の急速な発生のために、世界中で主要な医療上の問題となっている。ウイルスはその遺伝子組成に従って2種の大きな群、即ちRNAウイルスおよびDNAウイルスに分類でき、これも更に細分化される。ヒトの病原体はアデノウィルス、サイトメガロウイルス、デングウイルス、エボラウイルス、エンテロウイルス、エプスタインバーウイルス、ハンタウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純疱疹ウイルス、ヒトヘルペスウイルス8、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザウイルス、ラクロッセウイルス、マルブルクウイルス、ニパーウイルス、パルボウイルスB19、ポリオーマBKウイルス、ポリオーマJCウイルス、呼吸シンシチウムウイルス、天然痘ウイルス、コクサッキーウイルス等を包含する。
HIV−I(ヒト免疫不全ウイルス−1)は世界中で4000万人が感染していると推定されるこれらの重要なウイルス感染症の1つである。HIVには数種のウイルス株が存在する。2種の主要なものはHIV−1およびHIV−2であり、後者は前者よりも重症度の低下した疾患をもたらす。HIVおよびAIDS(後天性免疫不全症候群)の症例数は急増している。1999年においては、5.6百万の新規感染が報告され、そして2.6百万人がAIDSにより死亡している。HIVの治療のために現在使用されている薬剤はヌクレオシド逆転写酵素(RT)阻害剤(即ち、ジドブジン、ジダノシン、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビンおよびアバカビル)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(即ちネビラピン、デラビルジンおよびエファビレンズ)、ペプチドミメティックプロテアーゼ阻害剤(即ちサキナビル、インジナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アムプレナビルおよびロピナビル)および侵入阻害剤エンフビルチドを包含する。最近注目されている比較的新しい標的はHIVのインテグラーゼ酵素であるが、酵素またはコファクターとして作用する多くの他の蛋白も検討中である。現在使用されている薬剤の各々は単独で使用した場合にはウイルスの複製を一時的に制限できるのみである。しかしながら、組み合わせて使用した場合、これらの薬剤はウイルス血症および疾患の進行に対して重大な作用を有する。実際に、AIDS患者の死亡率の顕著な低下は、複合療法の適用の拡大の結果として近年報告されている。しかしながら、これらの印象的な結果にも関わらず、患者の30〜50%が最終的には複合薬剤療法に成功していない。不十分な薬剤の力価、非コンプライアンス、制限された組織浸透性、および、特定の細胞型の内部における薬剤特異的な限界(例えば一部のヌクレオシド類縁体は休止期の細胞内で効率的にホスホリル化できない)が感受性ウイルスの不完全な抑制の理由と考えられる。更にまた、HIV−1の高い
複製速度および急速なターンオーバーと突然変異の頻繁な取り込みが組み合わせられて、次善至適(sub-optimal)未満の薬剤濃度の存在下では薬剤耐性変異体の出現および治療の失敗がもたらされる。
重大な障害を誘発する多くの他のウイルスおよびウイルスファミリーを発見することができる。例えばフラビウイルス科のファミリーは3つの属、即ちペスチウイルス、フラビウイルス(即ちデングウイルス)およびヘパシウイルス(まだ属とはみなされていないG型肝炎ウイルス(HGV/GBV−C)も含む)よりなり、これらは重度の疾患の原因となりえる。ペスチウイルス、例えば古典的ブタコレラウイルス(CSFV)、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)およびボーダー病ウイルス(BDV)は家畜(それぞれブタ、ウシおよびヒツジ)の感染症をもたらし、そして世界中で重大な経済的損失をもたらしている。BVDV、即ちペスチウイルスのプロトタイプ的な代表は遍在しており、一定の範囲の臨床像、例えば流産、奇形、呼吸器障害、慢性消耗性疾患、免疫系の機能不全および二次的なウイルスおよび細菌の感染の易罹患性を誘発し、そして急性の致命的疾患も誘発する場合がある。ウシの胎児は継続的にBVDVに感染しており、これらの動物は生涯を通じてウイルス血症であり続け、そして、群れ内に蔓延するウイルスの継続的発生源となる。一部の国ではワクチンが使用されているがペスチウイルス疾患の抑制の成功の程度は様々である(Leyssen P,et al.,Clin Microbiol Rev.2000 Jan;13(1):67−82)。
世界保健機構は世界中で170百万人(世界人口の3%)がHCVに慢性的に感染していると推定している(Leyssen P,et al.,Clin Microbiol Rev.2000 Jan;13(1):67−82)。これらの慢性キャリアは肝硬変および/または肝癌を発症する危険性を有している。10〜20年のフォローアップによる試験において、患者の20〜30%で肝硬変が発症し、そのうち1〜5%がその後10年間に肝癌を発症する(Dutta et al.,Hum. Pathol. 1998 Nov.29(11):1279−84)。現時点で可能な唯一の治療方法はインターフェロンα−2(またはそのPEG結合型)の単独またはリバビリンと組み合わせた使用である。しかしながら、持続した応答は患者の約40%で観察されるのみであり、治療には重篤な副作用が伴う(Leyssen et al.,2000において検討されている)。即ち、HCVの感染を治療するためにはHCVの複製の強力で選択的な抑制剤が緊急に必要とされている。更にまた、HCV複製の特異的抑制剤の研究は、これが細胞培養中でHCVを(効率的に)増殖することができないという事実により阻まれている。HCVおよびペスチウイルスは同じウイルスファミリーに属し、多くの相同性(ゲノムの組織、類似の遺伝子産物および複製サイクル)を共有しているため、ペスチウイルスはHCVのモデルおよび代理物として採用されている。例えば、BVDVはC型肝炎ウイルス(HCV)に緊密に関連しており、HCV感染に関わる薬剤の開発において代理ウイルスとして使用されている(Zitzmann N. et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,96,11878−11882,Bukhtiyarova,−M et al.,Antiviral Chem. Chemother. 2001 Nov;12(6):367−73)。ある化合物VP32947即ち(3−[((2−ジプロピルアミノ)エチル)チオ]−5H−1,2,4−トリアジノ[5,6−b]インドールはBVDVおよび他のペスチウイルスの複製を選択的に抑制すると報告されている(Baginski SG et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2000 Jul 5;97(14):7981−6)。現在、ペスチウイルスにより誘発された感染症を抑制するための可能な治療方法は存在しない。
フラビウイルスの属は病原体デングウイルス、黄熱病ウイルスおよび西ナイルウイルスを含み、これらは世界中(アジア、アフリカ、アメリカ)で大きな健康問題を誘発してお
り、それに対する治療方法は現時点で存在しない。
ヘルペスウイルス科のファミリーには重要なヒト病原体、例えば単純疱疹ウイルス(HSV)1型および2型、帯状疱疹ウイルス(VZV)、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタインバーウイルス(EBV)およびヒトヘルペスウイルス6型および8型(即ちHHV−6および−8)が包含される。これらのウイルスは口唇ヘルペス、陰部ヘルペス、ヘルペス脳炎、カポジ肉腫、水痘、帯状ヘルペス、リンパ腫等の疾患を誘発する。現在の治療はビダラビン、アシクロビル、ガンシクロビル、ブリブジン、シドホビルおよび他の医薬品よりなる。
コロナウイルス科は現在約15種を含み、これらは人間のみならずウシ、ブタ、げっ歯類、ネコ、イヌおよびトリにも感染する(一部は、特にニワトリおよびネコにおいて重大な家畜病原体である)。コロナウイルス感染は極めて一般的であり、世界中で発生している。感染の発生率は極めて季節依存性であり、冬季の小児において最も高い発生率となる。ヒトにおいては、これらは呼吸器感染症(重症急性呼吸器症候群(SARS))、腸感染症およびまれに神経学的症候群を誘発する。SARSは感染が下部呼吸管に渡るウイルス性肺炎の1形態である。実際の原因はある特殊な性質を有する新しいコロナウイルスであると考えられる。SARSウイルスはVero細胞中で生育でき、これはヒトコロナウイルスの新しい特性であり、その大部分は培養できない。これらの細胞においては、ウイルス感染は細胞病原性作用をもたらし、そして感染細胞内の小胞体からコロナウイルス様の粒子を出芽させる(Zhang et al.,Acta Bioch. Bioph. Sinica 2003,35,587−591)。現時点ではSARSやいずれのコロナウイルス感染に対しても一貫して良好に治療できる抗ウイルス剤は存在せず、SARSに対するワクチンも存在しない。
結論として、多くの病原性ウイルス感染に対して、現時点では効果的な治療が行えず、更にまた、使用可能な抗ウイルス療法および予防的手段は、耐性の発生および望ましくない薬物動態または安全性の特徴のような多くの理由からそれぞれのウイルス感染を治癒、予防または軽減することができるために十分なものではない。
従って、HIV、HCV、SARS誘発ウイルス、CMV、ヘルペスウイルス等のようなウイルスの強力な抑制剤が当該分野でなお強く求められている。従って、本発明の目的は哺乳類およびヒトにおけるウイルス感染の治療のための効率的で非有害な薬学的に活性な成分および成分の組み合わせを発見することにより緊急の要求を満足させることである。例えばHIVの場合は、得られるカクテルが進歩した薬剤耐性抑制性を有するように既存の薬剤を補完する化合物、または、ウイルスの大部分または全ての活動性の突然変異を含むウイルスに対してそれ自体が有効である化合物がなお必要とされている。
グリコペプチドまたはバンコマイシンのクラスの抗生物質は比較的高分子量の化合物よりなる。構造的には、これらはフェノール性のアミノ酸および1つ以上の末梢炭水化物部分を有するポリペプチドコアアグリコン構造を含む(Williams et al.,Topics in Antibiotic Chemistry,Volume 5,p.119−158)。このクラスの既知物質には、バンコマイシン(McCormick et al.,米国特許3,067,099号)、リストセチン(Philip et al.,米国特許2,990,329号)、A35512(Michel et al.,米国特許4,083,964号)、アボバルシン(Kunstmann et al.,米国特許3,338,786号)、テイコプラニン(Bardone et al.,J.Antibiot.,Volume 31,p.170,1978)、アクタプ
ラニン(Raun,米国特許3,816,618号)、AAD−216(Bowie et al.,欧州特許132118号)、A447(Raun et al.,米国特許3,928,571号)、OA7633(Nishida et al.,米国特許4,378,348号)、AM374(Kunstmann et al.,米国特許3,803,306号)、K288(J.Antibiotics,Series A,Volume 14,p.141(1961)、アクチノイジンとしても知られている)、リストマイシン等が包含される。
一部のグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンおよびテイコプラニンはグラム陽性細菌の感染の治療のために世界中で使用されている重要な治療薬である。この種の他の抗生物質(エレモマイシン、クロロエレモマイシン、リストゼチン、テイコプラニン、アグリコン等)もまたメチシリン耐性スタフィロコッカスを含むグラム陽性微生物に対して高い活性を有している(Nagarajan,R.,Glycopeptide Antibiotics,New york: Marcel Dekker,1994)。更にまた、多くのものが動物の飼料利用効率を高め、このため、動物の成育の促進、反芻動物における乳汁生産の改善、および、反芻動物におけるケトーシスの治療および予防のために有用であることがわかっている。グリコペプチド抗生物質は強力な抗細菌剤としてよく知られているが、現在まで、このような化合物の抗ウイルス、抗レトロウイルスまたは抗HIV活性に関する入手可能なデータは存在していない。
近年重大な公衆健康の脅威となったバンコマイシンへの細菌の耐性の発生はグリコペプチド抗生物質の種々の誘導体の合成および検討のための刺激となっている(Malabarba,A et al.,Med.Res.Rev.17:69−137,1997およびPavlov A.Y. & M.N.Preobrazhenskaya,Russian Journal of Bioorganic Chemistry,24:570−587,1998)。例えば欧州特許00265071号および国際公開公報00/69893号は抗細菌活性を有するバンコマイシンに関わる新しいグリコペプチド抗生物質を記載している。しかしながら、これらの化合物またはその誘導体のいずれも、抗ウイルス特性を有する、或は、ウイルス感染の抑制または予防に適しているということは明らかにされていない。
HIV−1に対して活性を有するコンプレスタチンおよびクロロペプチン(K.Matsuzara H. et al.,J.Antibiotics 1994,V.47,N.10,p.1173−1174)およびインフルエンザウイルスに対して活性を有するキスタマイシン(N.Naruse O.,et al.,J.Antibiotics 1993,V.46,N12,p.1812−1818)のような数種の天然のペプチド抗生物質が記載されている。しかしながら、これらのヘキサまたはヘプタペプチドの抗生物質の構造およびグリコペプチド抗生物質およびグリコペプチド抗生物質のアグリコンの構造はアミノ酸配列および立体化学の両方の点で大きく異なっている。キスタマイシン、コンプレスタチンおよびクロロペプチンは全て中央のアミノ酸4に結合したトリプトファン部分を含むのに対し、バンコマイシン、エレモマイシン、クロロエレモマイシン、テイコプラニン、DA−40926および他の抗細菌グリコペプチドでは置換フェニルアラニン部分により提示される。
グリコペプチド抗生物質誘導体の合成方法もまたMiroshnikova,O.V.
et al.,「Modification of the N−Terminal Amino Acid in the Eremomycin Aglycone(エレノマイシンアグリコンにおけるN末端アミノ酸の修飾)」,J.Antibiot.1996,49,1157−1161およびMalabarba,A. et al.,「Structual modifications of the active sit
e in teicoplanin and related glycopeptides or Deglucoteicoplanin−derived tetrapeptide(テイコプラニンおよび関連グリコペプチドまたはデグルコテイコプラニン誘導テトラペプチドの活性部位の構造的修飾)」. J.Org.Chem.1996,61,2151−2157およびMalabarba,A. et al.,「Structual Modifications of Glycopeptide Antibiotics(グリコペプチド抗生物質の構造的修飾)」. Med.Res.Rev.1997,17,69−137およびPavlov,A.Y.;Preobrazhenskaya,M.N. 「Chemical Modification of Glycopeptide Antibiotics(グリコペプチド抗生物質の化学修飾)」. Russian Journal of Bioorganic Chemistry 1998,24,570−587に記載されている。
本発明において、種々のファミリーに属するウイルスの広範な種類に対して活性な新しい抗ウイルス化合物が得られた。
本発明においては、新しい選択的な抗ウイルス化合物が提供される。化合物は天然原料に由来するグリコペプチド抗生物質およびその半合成類縁体および誘導体であり、それらが広範な抗ウイルス活性を有することがわかった。レトロウイルス科(即ちレンチウイルス亜科)、フラビウイルス科、ヘルペスウイルス科およびコロナウイルス科のファミリーのメンバーを抑制できる。本発明は化合物がBVDV、HIV、HSV、CMV、VZV、FCVおよびSARSウイルスの複製を抑制することを明らかにする。さらに、化合物の抗HIV活性は、HIV感染の初期段階における活性に基づき、抑制剤を取り込む能力を有する。従って、これらのグリコペプチド抗生物質およびその半合成誘導体は、動物、哺乳類およびヒトにおけるウイルス感染の治療および予防において、より特異的にはBVDV、HCV、HIV、CMV、FCV、SARSウイルス、HSVおよびVZV感染の治療および予防のために使用できる抗生物質ウイルス化合物の新しい強力なクラスを構成する。
本発明は天然原料に由来する、または半合成的に調製されたグリコペプチド抗生物質に関する。本発明はまた半合成グリコペプチド抗生物質誘導体に関する。本発明は更に抗ウイルス活性を有する化合物、特に、ウイルスの複製を抑制するグリコペプチド抗生物質および誘導体に関する。より詳細には、本発明は、レトロウイルス科(即ちレンチウイルス亜科)、フラビウイルス科、ヘルペスウイルス科およびコロナウイルス科のファミリーのウイルスの複製を抑制するグリコペプチド抗生物質および誘導体に関し、特に、BVDV(ウシウイルス性下痢ウイルス)、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、ヘルペスウイルス感染症、例えばHSV(単純疱疹ウイルス)、水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)の感染症、CMV(サイトメガロウイルス)、ネココロナウイルス(FCV)およびウイルス誘発重症急性呼吸器症候群(SARS)の複製を抑制する化合物に関する。本発明は更に、医薬としての化合物の使用、特に抗ウイルス剤としての化合物の使用に関する。本発明はまた全てのこのような化合物およびそれらを含有する医薬組成物の調製方法に関する。本発明はまた抗ウイルス活性を増大させるために該化合物を構造的に修飾させる方法および抗ウイルス活性を維持しながら抗細菌活性を低減または除去するために該化合物を構造的に修飾させる方法に関する。本発明はまた、ウイルス感染、特にBVDV、HCV、HIV、FCV、HSV、CMV、VZV感染およびSARSを誘発するウイルスの感染の治療のため、並びに他のレトロウイルス、レンチウイルスおよびウイルスの感染症の治療のために有用である医薬の製造における化合物の使用に関する。本発明はまた、化合物を使用することによるウイルス感染の治療方法に関する。
即ち本発明は、バンコマイシン、エレモマイシン、クロロエレモマイシン、テイコプラニン、デアセチル−40926、デマンノシル−DA40926、リストセチン、A35512、アボパルシン、アクタプラニン、AAD−216、A477、OA7633、AM374、アクチノイジン、リストマイシン等、そのアグリコンおよびそのペプチドコアおよび糖部分において破壊または修飾されたペプチドコアを有するその部分分解産物のような、天然のグリコペプチド抗生物質の種々の半合成誘導体を含む、グリコペプチド抗生物質およびその誘導体に関する。本発明の誘導体は抗ウイルス化合物として有用である。
第1の特徴によれば、本発明は、抗ウイルス化合物として、特にBVDV、HCV、HIV、FCV、HSV、CMV、VZV感染およびSARSを誘発するウイルスの感染に対して活性のある化合物としての、グリコペプチド抗生物質およびその誘導体の使用に関する。本発明はまたウイルス感染の治療または予防のために有用な医薬の製造のためのグリコペプチド抗生物質およびその誘導体の使用に関する。
第2の特徴によれば、本発明はグリコペプチド抗生物質誘導体、または、一般的には、本発明の一般的実施形態によれば下記式Z:
Figure 2006503015
式中、
− R21およびR22は一緒になって式CHNH(CO)(CH2nCHR1NH(CO)RCHの基、または、下記式A:
Figure 2006503015
の基となるか、または、R21とR22が一緒にならない場合は、R21はRを示し、そしてR22は−Rc−R5cを示し;
− 各b1およびb2は独立して非存在であるかまたは付加結合を示すが、b1およびb2は同時に付加結合ではなく、R0はb2が付加結合を示す場合は非存在であり、そしてb2が非存在である場合は水素を示し、R6はb1が付加結合を示す場合は非存在を示し、そしてb1が非存在を示す場合は水素を示し、b1およびb2が各々非存在を示す場合はR6はR6aを示しそしてR0は水素を示し;
− b3は非存在または付加結合を示し、Ra−−−R5aはb3が付加結合を示す場合は式CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2zN(R11a)COの基を示し、そしてb3が非存在である場合はRaはRでありそしてR5aはR5であり、ここでzは0、1、2、3または4であり;
− b4は非存在または付加結合を示し、Rb−−−R5bはb4が付加結合を示す場合は式CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2pN(R11a)COの基を示し、そしてb4が非存在である場合はRbはRでありそしてR5bはR5であり、ここでpは0、1、2、3または4であり;
− 各b5、b6およびb7は独立して非存在または付加結合を示し;Yは酸素を示し、R0aは水素を示し、そしてRdはb5およびb7が非存在を示しb6が付加結合を示す場合はRまたは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、b6が非存在を示し、そしてb5が付加結合を示す場合はR0aは非存在を示し、Rd−−−Yは式CHN=C(NR11)OまたはCHNHCON(R11)の基を示し、b5、b6およびb7がそれぞれ非存在を示す場合はYおよびR0aは各々水素を示し、そしてRdは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、ここでqは0、1、2または3であり、そしてnは0、1、2または3であり;
− 各X1、X2、X3、X4、X5、X7およびX9は独立して水素、ハロゲンおよびX6から選択され;
− X6は水素、ハロゲン、SO3H、OH、NO、NO2、NHNH2、NHN=CHR11、N=NR11、CHR1113、CH2N(R3)R11、R5、R11およびR13よりなる群から選択され、ここでR3は7番目のアミノ酸のフェノール性ヒドロキシル基に結合したCH2であり;
− X8は水素およびアルキルから選択され;
− RcはRを示しそしてR5cはR5を示し;
− RはCHR13およびR14から選択され;
− R1は水素、R11、(CH2tCOOH、(CH2tCONR1112、(CH2tCOR13、(CH2tCOOR11、COR15、(CH2tOH、(CH2tCN、(CH2t13、(CH2tSCH3、(CH2tSOCH3、(CH2tS(O)2CH3、(C
2tフェニル(m−OH、p−CI)、(CH2tフェニル(o−X7、m−OR10、p−X8)−[O−フェニル(o−OR9、m−X9、m−R16)]−mから選択され、ここでtは0、1、2、3または4であり;
− 各R2およびR4は独立して水素、R12およびR17から選択され;
− R3は水素、R12、R17およびSugから選択され;
− R5はCOOH、COOR11、COR13、COR15、CH2OH、CH2ハロゲン、CH213、CHO、CH=NOR11、CH=NNR1112およびC=NNHCONR1112から選択され;
− R6aはOR12、OR17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
− R7は水素、R12、R17、Sugおよびアルキル−Sug、アルケニル−Sug、アルキニル−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
− R8は水素、R12、R17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
− R9は水素、R12、R17またはSugから選択され;
− R10は水素、R12、R17またはSugから選択され、ここでSugはいずれかの環状または非環状の炭水化物であり;
− 各R11、R11aおよびR11bは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、複素環、アルキルホスホネート(例えばアルキレンPO2OH)および未置換であるかアルキル、アルケニルまたはアルキニルでアミドにおいて置換されたアルキルホスホンアミド(例えばアルキレンPO2NH2)から選択され、ここで各アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
− R12およびR12aは独立して水素、アシル、アミノ保護基、カルバモイル、チオカルバモイル、SO211、S(O)R11、COR13−R18、COCHR18N(NO)R11、COCHR18NR1112およびCOCHR18+1111a11b、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環よりなる群から選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
− R13は水素、NHR12a、NR1112、NR11Sug、N+1111a11b、R15、NR11C(R11a11b)COR15および式N−A−N+−Aの基よりなる群から選択され、ここでAは−CH2−B−CH2−であり、そしてBは−(CH2m−D−(CH2r−であり、ここでmおよびrは1〜4であり、そしてDはO、S、NR12、N+1111aであり;
− R14はCH2、C=O、CHOH、C=NOR11、CHNHOR11、C=NNR1112、C=NNHCONR1112およびCHNHNR1112であり;
− R15はN(R11)NR11a12、N(R11)OR11a、NR11C(R11a11b)COR13から選択され;
− R16は式R−R5の基またはCH(NH2)CH2OHから選択され;
− R17はSO3H、SiR1111a11b、SiOR11OR11aOR11b、PR1111a、P(O)R1111a、P+1111a11bから選択され;
− R18は水素、R1、アルキル、アリール、フェニル−ラムノース−p、フェニル−(ラムノース−ガラクトース)−p、フェニル−(ガラクトース−ガラクトース)−p、フェニル−O−メチルラムノース−pから選択され、ここで各アルキルおよびアリールは1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
− R19は水素、ハロゲン、SH、SR20、OH、OR20、COOH、COR20、COOR20、NO2、NH2、N(R202NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、N=NR20、N=NR12、SOR20、SO220、PO2OR20、PO2N(R202、B(OH)2、B(OR202、CO、CHO、O−Sug、NR20−Sug、R20、R12、R17およびR18から選択され、そして各R19は1個以上のR20で置換されていることができ;
− R20は水素、ハロゲン、SH、OH、COOH、NO2、NH2、NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環から選択される]の化合物に相当する化合物、医薬上許容しうるその塩、溶媒和物、互変異体または異性体、および抗ウイルス化合物としての、そして、ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造のための、その使用に関する。
第2の特徴の特定の実施形態によれば、本発明はグリコペプチド抗生物質誘導体、または、一般的には、本発明の一般的実施形態によれば下記式I、IIおよびIII:
Figure 2006503015
式中、
− 各b1およびb2は独立して非存在であるかまたは付加結合を示すが、b1およびb2は同時に付加結合ではなく、R0はb2が付加結合を示す場合は非存在であり、そしてb2が非存在である場合は水素を示し、R6はb1が付加結合を示す場合は非存在を示し、そしてb1が非存在を示す場合は水素を示し、b1およびb2が各々非存在を示す場合はR6はR6aを示しそしてR0は水素を示し;
− b3は非存在または付加結合を示し、Ra−−−R5aはb3が付加結合を示す場合は式
CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2zN(R11a)COの基を示し、そしてb3が非存在である場合はRaはRでありそしてR5aはR5であり、ここでzは0、1、2、3または4であり;
− b4は非存在または付加結合を示し、Rb−−−R5bはb4が付加結合を示す場合は式CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2pN(R11a)COの基を示し、そしてb4が非存在である場合はRbはRでありそしてR5bはR5であり、ここでpは0、1、2、3または4であり;
− 各b5、b6およびb7は独立して非存在または付加結合を示し;Yは酸素を示し、R0aは水素を示し、そしてRdはb5およびb7が非存在を示しb6が付加結合を示す場合はRまたは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、b6が非存在を示し、そしてb5が付加結合を示す場合はR0aは非存在を示し、Rd−−−Yは式CHN=C(NR11)OまたはCHNHCON(R11)の基を示し、b5、b6およびb7がそれぞれ非存在を示す場合はYおよびR0aは各々水素を示し、そしてRdは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、ここでqは0、1、2または3であり、そしてnは0、1、2または3であり;
− 各X1、X2、X3、X4、X5、X7およびX9は独立して水素、ハロゲンおよびX6から選択され;
− X6は水素、ハロゲン、SO3H、OH、NO、NO2、NHNH2、NHN=CHR11、N=NR11、CHR1113、CH2N(R3)R11、R5、R11およびR13よりなる群から選択され、ここでR3は7番目のアミノ酸のフェノール性ヒドロキシル基に結合したCH2であり;
− X8は水素およびアルキルから選択され;
− RcはRを示しそしてR5cはR5を示し;
− RはCHR13およびR14から選択され;
− R1は水素、R11、(CH2tCOOH、(CH2tCONR1112、(CH2tCOR13、(CH2tCOOR11、COR15、(CH2tOH、(CH2tCN、(CH2t13、(CH2tSCH3、(CH2tSOCH3、(CH2tS(O)2CH3、(CH2tフェニル(m−OH、p−CI)、(CH2tフェニル(o−X7、m−OR10、p−X8)−[O−フェニル(o−OR9、m−X9、m−R16)]−mから選択され、ここでtは0、1、2、3または4であり;
− 各R2およびR4は独立して水素、R12およびR17から選択され;
− R3は水素、R12、R17およびSugから選択され;
− R5はCOOH、COOR11、COR13、COR15、CH2OH、CH2ハロゲン、CH213、CHO、CH=NOR11、CH=NNR1112およびC=NNHCONR1112から選択され;
− R6aはOR12、OR17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
− R7は水素、R12、R17、Sugおよびアルキル−Sug、アルケニル−Sug、アルキニル−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
− R8は水素、R12、R17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
− R9は水素、R12、R17またはSugから選択され;
− R10は水素、R12、R17またはSugから選択され、ここでSugはいずれかの環状または非環状の炭水化物であり;
− 各R11、R11aおよびR11bは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、複素環、アルキルホスホネート(例えばアルキレンPO2OH)および未置換であるかアルキル、アルケニルまたはアルキニルでアミドにおいて置換されたアルキルホスホンアミド(例えばアルキレンPO2NH2)から選択され、ここで各アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
− R12およびR12aは独立して水素、アシル、アミノ保護基、カルバモイル、チオカルバモイル、SO211、S(O)R11、COR13−R18、COCHR18N(NO)R11、COCHR18NR1112およびCOCHR18+1111a11b、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環よりなる群から選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
− R13は水素、NHR12a、NR1112、NR11Sug、N+1111a11b、R15、NR11C(R11a11b)COR15および式N−A−N+−Aの基よりなる群から選択され、ここでAは−CH2−B−CH2−であり、そしてBは−(CH2m−D−(CH2r−であり、ここでmおよびrは1〜4であり、そしてDはO、S、NR12、N+1111aであり;
− R14はCH2、C=O、CHOH、C=NOR11、CHNHOR11、C=NNR1112、C=NNHCONR1112およびCHNHNR1112であり;
− R15はN(R11)NR11a12、N(R11)OR11a、NR11C(R11a11b)COR13から選択され;
− R16は式R−R5の基またはCH(NH2)CH2OHから選択され;
− R17はSO3H、SiR1111a11b、SiOR11OR11aOR11b、PR1111a、P(O)R1111a、P+1111a11bから選択され;
− R18は水素、R1、アルキル、アリール、フェニル−ラムノース−p、フェニル−(ラムノース−ガラクトース)−p、フェニル−(ガラクトース−ガラクトース)−p、フェニル−O−メチルラムノース−pから選択され、ここで各アルキルおよびアリールは1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
− R19は水素、ハロゲン、SH、SR20、OH、OR20、COOH、COR20、COOR20、NO2、NH2、N(R202NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、N=NR20、N=NR12、SOR20、SO220、PO2OR20、PO2N(R202、B(OH)2、B(OR202、CO、CHO、O−Sug、NR20−Sug、R20、R12、R17およびR18から選択され、そして各R19は1個以上のR20で置換されていることができ;
− R20は水素、ハロゲン、SH、OH、COOH、NO2、NH2、NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環から選択される]の化合物に相当する化合物、医薬上許容しうるその塩、溶媒和物、互変異体または異性体および抗ウイルス化合物としての、そして、ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造のための、その使用に関する。
特定の実施形態によれば、本発明は下記式IV、VおよびVI:
Figure 2006503015
式中、
− 各b1およびb2は非存在であり、R6はR6aを示し、そしてR0は水素を示し;
− b3は付加結合を示し、Ra−−−R5aはCHNHCOを示し付加結合

− b4は非存在または付加結合を示し、Rb−−−R5bはb4が付加結合を示す場合は式CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2pN(R11a)COの基を示し、そしてb4が非存在である場合はRbはRでありそしてR5bはR5であり、ここでpは0、1、2、3または4であり;
− 各b5、b6およびb7は独立して非存在または付加結合を示し;Yは酸素を示し、R0aは水素を示し、そしてRdはb5およびb7が非存在を示しb6が付加結合を示す場合はRまたは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、b6が非存在を示し、そしてb5が付加結合を示す場合はR0aは非存在を示し、Rd−−−Yは式CHN=C(NR11)OまたはCHNHCON(R11)の基を示し、b5、b6およびb7がそれぞれ非存在を示す場合はYおよびR0aは各々水素を示し、そしてRdは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、ここでqは0、1、2または3であり、そしてnは0、1、2または3であり;
− 各X1、X2、X3、X4、X5、X7およびX9は独立して水素およびハロゲンから選択され;
− X6はCH213であり;
− X8は水素およびメチルから選択され;
− RcはRを示しそしてR5cはR5を示し;
− RはCHR13であり;
− R1は水素、R11、(CH2tCOOH、(CH2tCONR1112、(CH2tCOR13、(CH2tCOOR11、COR15、(CH2tOH、(CH2tCN、(CH2t13、(CH2tSCH3、(CH2tSOCH3、(CH2tS(O)2CH3、(CH2tフェニル(m−OH、p−CI)、(CH2tフェニル(o−X7、m−OR10、p−X8)−[O−フェニル(o−OR9、m−X9、m−R16)]−mよりなる群から選択され、ここでtは0、1、2、3または4であり;
− 各R2およびR4は独立して水素、R12およびR17から選択され;
− R3は水素、R12、R17、マンノシルおよびO−アセチルマンノシルから選択され;
− R5はCOOH、COOR11、COR13、COR15、CH2OH、CH2ハロゲン、CH213、CHO、CH=NOR11、CH=NNR1112およびC=NNHCONR1112から選択され;
− R6aはOR12、OR17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており、そして、Sugはグルコシル、リストサミニル、N−アセチルグルコサミニル、4−エピ−バンコサミニル、3−エピ−バンコサミニル、バンコサミニル、アクチノサミニル、グルクロニル、4−オキソバンコサミニル、ウレイド−4−オキソバンコサミニルおよびその誘導体から選択され;
− R7は水素、R12、R17、Sugおよびアルキル−Sug、アルケニル−Sug、アルキニル−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており、そして、Sugはグルコシル、マンノシル、リストサミニル、N−アシルグルコサミニル、N−アシルグルクロニル、グルコサミニル、グルクロニル、4−エピ−バンコサミニル、3−エピ−バンコサミニル、バンコサミニル、アクチノサミニル、アコサミニル、グルコシル−バンコサミニル、グルコシル−4−エピ−バンコサミニル、グルコシル−3−エピ−バンコサミニル、グルコシル−アコサミニル、グルコシル−リストサミニル、グルコシル−アクチノサミニル、グルコシル−ラムノシル、グルコシル−オリボシル、グルコシル−マンノシル、グルコシル−4−オキソバンコサミニル、グルコシル−ウレイド−4−オキソバンコサミニル、グルコシル(ラムノシル)−マンノシル−アラビノシル、グルコシル−2−O−Leuおよびその誘導体から選択され;
− R8は水素、R12、R17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており、そして、Sugはマンノシル、ガラクトシルおよびガラクトシル−ガラクトシルから選択され;
− R9は水素、R12、R17、ガラクトシルおよびガラクトシル−ガラクトシルから選択され;
− R10は水素、R12、R17、マンノシルまたはフコシルから選択され;
− 各R11、R11aおよびR11bは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環から選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
− R12は水素、アシル、アミノ保護基、カルバモイル、チオカルバモイル、SO211、S(O)R11、COR13−R18、COCHR18N(NO)R11、COCHR18NR1112およびCOCHR18+1111a11b、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環よりなる群から選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
− R12aは水素、COCHR18NR1112、COCHR18N(NO)R11、COCHR18+1111a11bおよびCOCHR1813よりなる群から選択され;
− R13は水素、NHR12a、NR1112、NR11Sug、N+1111a11b、R15、NR11C(R11a11b)COR15および式N−A−N+−Aの基よりなる群から選択され、ここでAは−CH2−B−CH2−であり、そしてBは−(CH2m−D−(CH2r−であり、ここでmおよびrは1〜4であり、そしてDはO、S、NR12、N+1111aであり;
− R14はCH2、C=O、CHOH、C=NOR11、CHNHOR11、C=NNR1112、C=NNHCONR1112およびCHNHNR1112であり;
− R15はN(R11)NR11a12、N(R11)OR11a、NR11C(R11a11b)COR13から選択され;
− R16は式R−R5の基またはCH(NH2)CH2OHから選択され;
− R17はSO3H、SiR1111a11b、SiOR11OR11aOR11b、PR1111a、P(O)R1111a、P+1111a11bから選択され;
− R18は水素、R1、CH3、CH2CH(CH32、フェニル(p−OH、m−CI)、フェニル−ラムノース−p、フェニル−(ラムノース−ガラクトース)−p、フェニル−(ガラクトース−ガラクトース)−p、フェニル−O−メチルラムノース−pから選択され;
− R19は水素、ハロゲン、SH、SR20、OH、OR20、COOH、COR20、COOR20、NO2、NH2、N(R202NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、N=NR20、N=NR12、SOR20、SO220、PO2OR20、PO2N(R202、B(OH)2、B(OR202、CO、CHO、O−Sug、NR20−Sug、R20、R12、R17およびR18から選択され、そして各R19は1個以上のR20で置換されていることができ;
− R20は水素、ハロゲン、SH、OH、COOH、NO2、NH2、NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環から選択される]の化合物、および、ウイルス感染の治療における、そして、ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造のための、その使用に関する。
別の特定の実施形態においては、本発明は、バンコマイシン、エレモマイシン、テイコプラニン、リストマイシン、クロロエレモマイシン、デクロロエレモマイシン、デス−(
N−メチル−D−ロイシル)−エレモマイシンアグリコン、DA−40926、デマンノシル−DA40926または他の構造的に関連するグリコペプチド抗生物質の誘導体、例えばそのアグリコン誘導体、その分解誘導体および/または化学修飾誘導体の、ウイルス感染の治療または予防のための使用、または、ウイルス感染の治療または予防のための医薬の製造のための使用に関する。
より詳しくは、本発明は上記のとおり定義された式Zおよび/またはI、II、IIIおよび/またはIV、VおよびVIの化合物またはグリコペプチド抗生物質またはその誘導体に関するが、ただし、
− 化合物はバンコマイシン、エレモマイシン、テイコマイシン等の天然のグリコペプチド抗生物質ではなく、
− 化合物は本出願明細書の実施例1に示すコード1〜55で示される化合物ではなく、− 化合物は本出願明細書の実施例1に示すコード1〜172で示される化合物ではなく、
− 化合物は本出願明細書の実施例1において例示する化合物から選択された化合物ではない。
特定の実施形態においては、本発明は、実施例1において例示した化合物のいずれかから選択される化合物の選択を排除した、上記のとおり定義された式Zおよび/またはI、II、IIIおよび/またはIV、VおよびVIのグリコペプチド抗生物質またはその誘導体に関する。
更に別の特定の実施形態においては、本発明は、ウイルス感染の治療または予防のための医薬の調製のための、本出願明細書の実施例1のコード40、88、98、115、132、145または146で示される化合物よりなる群から選択されるグリコペプチド抗生物質およびその誘導体の使用に関し、ここで該ウイルス感染は単純疱疹ウイルスの感染である。別の特定の実施形態においては、本発明は、ウイルス感染の治療または予防のための医薬の調製のための、本出願明細書の実施例1のコード6、7、8、16、17、18、20、21、24、25、27、28、31、32、33、35、36、37、39、40、41、46、59、68、76、77、81、89、90、98、113、115、117、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、132、136、137、140、141、142、143、145、146および169で示される化合物よりなる群から選択されるグリコペプチド抗生物質およびその誘導体の使用に関し、ここで該ウイルス感染は水痘−帯状疱疹ウイルスの感染である。更に別の特定の実施形態においては、本発明は、ウイルス感染の治療または予防のための医薬の調製のための、本出願明細書の実施例1のコード18、21、25、26、27、31、37、39、59、68、89、112、122、124、125、127で示される化合物よりなる群から選択されるグリコペプチド抗生物質およびその誘導体の使用に関し、ここで該ウイルス感染はサイトメガロウイルスの感染である。本発明の別の特定の実施形態は、ウイルス感染の治療または予防のための医薬の調製のための、本出願明細書の実施例1のコード86、87および126で示される化合物よりなる群から選択されるグリコペプチド抗生物質およびその誘導体の使用に関し、ここで該ウイルス感染はC型肝炎ウイルスまたはBVDVの感染である。更に別の特定の実施形態においては、本発明は、ウイルス感染の治療または予防のための医薬の調製のための、本出願明細書の実施例1のコード1、5、7、9、13、19、28、30、31、41、47、51、52、53、54、55、63、64、99、100、101、102、106、107、108、109、124、125、159、160、161、162、163、165、166、167、170および53で示される化合物よりなる群から選択されるグリコペプチド抗生物質およびその誘導体の使用に関し、ここで該ウイルス感染はFCVまたはSARS誘発ウイルスの感染である。
本発明は、更に、グリコペプチド抗生物質およびその誘導体、特に式Zまたは式I、II、III、場合により式IV、VおよびVIの化合物の、医薬として、ウイルス感染の治療におけるこのような化合物の使用のため、または、対象におけるウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造のための使用に関する。本発明はまた、グリコペプチド抗生物質およびその誘導体、特に式Zまたは式I、II、III、場合により式IV、VおよびVIの化合物の、医薬的活性成分として、特にウイルス複製の抑制剤として、更に好ましくはフラビウイルス科、レトロウイルス科(即ちレンチウイルス亜科)、ヘルペスウイルスおよびコロナウイルス科のファミリーのウイルスの複製の抑制剤として、より更に好ましくは、BVDV、HCV、HIV、HSV、CMV、VZV、FCVおよびSARSを誘発するウイルスの複製の抑制剤としての使用に関する。従って、本発明はグリコペプチド抗生物質およびその誘導体、特に式Zまたは式I、II、III、場合により式IV、VおよびVIの化合物の、ヒトおよび哺乳類におけるウイルス感染の予防および/または治療のための抗ウイルス活性を有する医薬または医薬組成物の製造のための使用に関する。本発明は更に、ヒトを含む哺乳類におけるウイルス感染の治療の方法に関し、これには、そのような治療を要する哺乳類に対し、場合により少なくとも1種の医薬上許容しうる担体との混合物として、活性成分としてのグリコペプチド抗生物質およびその誘導体、特に式Zまたは式I、II、III、特に式IV、VおよびVIの化合物の治療有効量を投与することが含まれる。
更に別の実施形態においては、本発明は場合により天然のグリコペプチド抗生物質を排除した、ウイルス感染の治療または予防のための医薬の調製のためのグリコペプチド抗生物質誘導体の使用に関する。
特定の実施形態によれば、本発明は本出願明細書の実施例1の化合物56〜172の群から選択される化合物、医薬上許容しうるその塩、互変異体および異性体に関する。別の特定の実施形態においては、本発明は、ウイルス感染の治療のため、または、ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造のための、本出願明細書の実施例1の化合物1〜172の群から選択される化合物、医薬上許容しうるその塩、互変異体および異性体の使用に関する。
本発明はまた、グリコペプチド抗生物質誘導体、特に、式ZまたはI、II、III、特に式IV、VおよびVIの化合物の調製方法、特に本明細書に特に開示した化合物の調製方法、活性成分が場合により約0.1〜100重量%の範囲にある少なくとも1種の医薬上許容しうる担体との混合物としてこれを含む医薬組成物、および、これらの誘導体のいわゆる抗ウイルス剤としての、特に、HIV、HCV、BVDV、HSV、VZV、CMV、FCV感染またはウイルス誘発性SARSに罹患した対象の治療のために有用な薬剤としての使用に関する。
本発明はまた抗ウイルス活性を増大させるために該化合物を構造的に修飾させる方法および抗ウイルス活性を維持しながら抗細菌活性を低減または除去するために該化合物を構造的に修飾させる方法に関する。本発明は更に、新しいグリコペプチド誘導体を合成し、抗細菌活性について無作為の順序でスクリーニングし、そして、知られた方法により誘導体の細胞毒性を試験し、その後、抗細菌性および毒性が低いか全くなく、そして高い抗ウイルス活性を有する誘導体を選択するという工程に従うことにより、至適な抗ウイルスグリコペプチド誘導体を選択することに関する。
以下の定義においては、炭素原子の数は置換基またはリンカー内に一般的には至適に存在する炭素原子の最大数を示し、本明細書に別途記載する場合は、炭素原子の数はその特
定の置換基またはリンカーに対する炭素原子の至適最大数を示すものとする。
本明細書において、そして、特段の記載が無い限り、「ハロゲン」という用語はフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)よりなる群から選択されるいずれかの原子である。
「アルキル」という用語は直鎖または分枝鎖(ノーマル、第2、第3)C1−C24炭化水素鎖であって炭化水素鎖内にヘテロ原子1個以上を有していても有していなくてもよい。ヘテロ原子の数および位置は可変である。ヘテロ原子の各々は独立してO、N、S、SO、SO2、PまたはBから選択できる。例はメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−メチル−1−プロピル(i−Bu)、2−ブチル(s−Bu)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu)、1−ペンチル(n−ペンチル)、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−1−ブチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチルである。
ここで使用する「アルキレン」という用語は、炭素原子1〜24個の飽和、分枝鎖または直鎖の炭化水素基を指し、そして親アルカンの同じかまたは2つの異なる炭素原子から水素原子2個を除去することにより誘導される1価の基中心2個を有し、炭素原子鎖内にヘテロ原子1個以上を有していても有していなくてもよい。典型的なアルキレン基は、例えばメチレン(−CH2−)、1,2−エチル(−CH2CH2−)、1,3−プロピル(−CH2CH2CH2−)、1,4−ブチル(−CH2CH2CH2CH2−)等である。
本明細書において、そして、特段の記載が無い限り、「シクロアルキル」という用語は炭素原子3〜24個を有するC3−C24の単環または多環の飽和炭化水素鎖の1価の基を意味し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロドデシル、ビシクロペンチル、ビシクロヘキシル、ビシクロヘプチル、ボルニル、ノルボルニル、フェンチル、トリメチルトリシクロヘプチルまたはアダマンチル等である。
本明細書において「アルケニル」という用語は、不飽和、即ち炭素−炭素sp2二重結合が少なくとも1部位ある、そして炭化水素鎖内にヘテロ原子1個以上を有していてもいなくてもよいC2−C24のノーマル、第2または第3炭化水素基である。各ヘテロ原子は独立してO、N、S、SO、SO2、PまたはBから選択できる。本明細書において「シクロアルケニル」という用語は、不飽和、即ち炭素−炭素sp2二重結合が少なくとも1部位あるC3−C24の単環、または多環の炭化水素鎖である。例はエチレンまたはビニル(−CH=CH2)、アリル(−CH2CH=CH2)、シクロペンテニル(−C57)、シクロヘキシル(−C69)、2−メチル−シクロヘキセニルおよび5−ヘキセニル(−CH2CH2CH2CH2CH=CH2)である。二重結合はシスまたはトランス配置であってよい。
本明細書において「アルキニル」という用語は、不飽和、即ち炭素−炭素sp三重結合が少なくとも1部位ある、そして炭化水素鎖内にヘテロ原子1個以上を有していてもいなくてもよいC2−C24のノーマル、第2または第3炭化水素鎖を指す。各ヘテロ原子は独立してO、N、S、SO、SO2、PまたはBから選択できる。本明細書において「シクロアルキニル」という用語は、不飽和、即ち炭素−炭素sp三重結合が少なくとも1部位あるC3−C24の単環、または多環の炭化水素鎖である。例は、アセチレニル(−CoCH)およびプロパルギル(−CH2CoCH)(注記:oは三重結合である)を含むが、これ
に限定されるものではない。
本明細書において「複素環」という用語は、S、O、NまたはBから選択されるヘテロ原子1個以上を有する飽和または不飽和の、単環、2環、3環および他の多環のC3−C24炭化水素鎖を指す。複素環の例はピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、キヌクリジニル、ボラビシクロノニル、クラウンエーテル、アザクラウン、チアクラウン等である。
本明細書において「アリール」という用語は、親芳香族環系の炭素原子から水素を除去することにより誘導される炭素原子6〜20個の芳香族炭化水素基を指す。典型的なアリール基は、限定されないが、例えばベンゼン、ナフタレン、スピロ、アントラセン、ビフェニル等から誘導された、1環、または相互に縮合し2環または3環の基を包含する。したがって、用語には芳香族のC3員の有機の単環、芳香族のC9−C10員の有機の縮合2環、芳香族のC12−C14員の有機の縮合3環および芳香族のC14−C16員お有機の縮合4環が包含される。例は、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、ナフチル、フルオレニル、フェナントレニル等である。
本明細書において「アリールアルキル」という用語は炭素原子、典型的には末端またはsp3炭素原子に結合した水素原子の1つがアリール基で置き換えられたアルキル基を指す。典型的なアリールアルキル基は、例えば、限定はされないが、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イル等である。アリールアルキル基は炭素原子6〜20個を含み、例えばアリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル基を含むアルキル部分は炭素原子1〜6個であり、そしてアリール部分は炭素原子5〜14個である。
「ヘテロアリール」とは芳香族炭化水素環系中にヘテロ原子1個以上を有するアリールを指す。ヘテロ原子はO、NおよびSから選択できる。これらの環の窒素およびイオウ原子は場合により、酸化されていてよく、そして窒素ヘテロ原子は場合により4級化されていてよい。例は、ピリジル、ジヒドロピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、s−トリアジニル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チオフラニル、チエニルおよびピロリル、インドリル、キノリル、ピペロニル、オキサフルオレニル、ベンゾチエニル等である。
例えば、炭素結合複素環はピリジンの2、3、4、5または6位、ピリダジンの3、4、5または6位、ピリミジンの2、4、5または6位、ピリダジンの2、3、5または6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールまたはテトラヒドロピロールの2、3、4または5位、オキサゾール、イミダゾールまたはチアゾールの2、4または5位、イソキサゾール、ピラゾールまたはイソチアゾールの3、4または5位、アジリジンの2または3位、アゼチジンの2、3または4位、キノリンの2、3、4、5、6、7または8位、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7または8位で結合する。より典型的には、炭素結合複素環には、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリルまたは5−チアゾリルが包含される。
例えば、窒素結合複素環はアジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピアゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラ
ジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドールまたはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、および、カルバゾールまたはβ−カルボリンの9位において結合する。より典型的には、窒素結合複素環には1−アジリジル、1−アゼチジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリルおよび1−ピペリジニルが包含される。
前述したとおり、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよびアリールアルキル基および複素環は本発明においては置換されていることができる。典型的には、これらは1個以上のR19置換される。
本明細書において「アシル」という用語はR11が前述の通りである式−COR11、−COOR11または−CSR11の基を指す。
本明細書において「カルバモイル」という用語はR11、R11aおよびR12が前述の通りである式−CONR1111aまたは−CONHR12の基を指す。
「チオカルバモイル」という用語はR11およびR12が前述の通りである式−CSNHR12または−C+(SR11)NHR12の基を指す。
「アミノ保護基」という用語はアシル化反応の間にアミノ基を保護するために適する当該分野で知られた基を指す。このような基は十分認知されており、この目的のための適当な基の選択は自明である。t−ブトキシカルボニル(Boc)、アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)およびカルボベンゾキシカルボニル(Cbz)基は適当なアミノ保護基の例である。
「炭水化物」または「糖」(「Sug」)という用語は、相互に結合したいずれかの環状または非環状の炭水化物または多炭水化物を指す。炭水化物の例はグルコシル、マンノシル、リストサミニル、N−アシルグルコサミニル、N−アシルグルクロニル、グルコサミニル、グルクロニル、4−エピ−バンコサミニル、3−エピ−バンコサミニル、バンコサミニル、アクチノサミニル、アコサミニル、グルコシル−バンコサミニル、グルコシル−4−エピ−バンコサミニル、グルコシル−3−エピ−バンコサミニル、グルコシル−アコサミニル、グルコシル−リストサミニル、グルコシル−アクチノサミニル、グルコシル−ラムノシル、グルコシル−オリボシル、グルコシル−マンノシル、グルコシル−4−オキソバンコサミニル、グルコシル−ウレイド−4−オキソバンコサミニル、グルコシル(ラムノシル)−マンノシル−アラビノシル、グルコシル−2−O−Leuである。炭水化物はまた誘導されることができ、これらの用語もまた炭水化物の誘導体と称する。炭水化物の誘導体はヘテロ原子(O、N、S)を含む化学基、例えばアミノ、カルボキシ、ヒドロキシおよびオキソ基で置換された炭水化物を含む。典型的な炭水化物誘導体はNR1112、N+1111a11b、COOR11、COR13、COR15、O−R12、O−R17、C=NOR11、CHNHOR11、C=NNR1112またはC=NNHCONR1112で置換された炭水化物を包含する。
本発明の化合物の1部位より多くに存在するいずれかの置換基の名称は独立して選択される。
「グリコペプチド抗生物質」という用語は、天然のグリコペプチド抗生物質(抗細菌活性を有する放線菌類のような微生物により生産されるグリコペプチド分子)を指す。これらは大部分は比較的高分子量の化合物であり、そして、構造的にはこれらはフェノール性のアミノ酸および1個以上の末端炭水化物部分を有するポリペプチドコアアグリコン構造
を含む。例は、バンコマイシン、エレモマイシン、クロロエレモマイシン、テイコプラニン、DA−40926、デマンノシル−DA40926、リストセチン、A35512、アボパルシン、アクタプラニン、AAD−216、A477、OA7633、AM374、アクチノイジン、リストマイシン等である。
「グリコペプチド抗生物質誘導体」は、ペプチドまたは糖部分で化学的または酵素的な操作により部分的に分解(アグリコン誘導体)または修飾された天然、半合成または合成の誘導体、グリコペプチド抗生物質アグリコン、および、ペプチドコアおよび糖部分において破壊または修飾されたペプチドコアを有するその部分分解産物を含む。
本発明の化合物の1部位以上に存在するいずれかの置換基の名称は独立して選択される。
本明細書において、そして特段の記載が無い限り、「アミノ酸」という用語は化学式H2N−CHR22−COOHを有する分子から誘導される基であり、ここでR22はアミノ酸の型を特徴付ける原子の側鎖基であり、該分子は20の天然アミノ酸またはいずれかの非天然のアミノ酸のうちの1つであってよい。この定義に含まれるアミノ酸のエステルはC1−6アルキルにより1個以上のカルボキシル基において置換される。これは、一部のアミノ酸が1個より多くのカルボキシル基を含むためにカルボキシルを介してアミノ酸が結合するような場合であってもよく、そしてこの場合、未結合のカルボキシルは場合によりエステル化される。
22はC1−C6アルキルまたはアミノ、カルボキシル、アミド、カルボキシル(並びに上記のとおりエステル)、ヒドロキシル、C6−C7アリール、グアニジニル、イミダゾリル、インドリル、スルフィドリル、スルホキシドおよび/またはアルキルホスフェートで置換されたC1−C6アルキルである。R22はまたアミノ酸のα窒素と一緒になって、ピロリン残基(R22は−(CH23−である)となる。しかしながら、R22は一般的には、天然のアミノ酸の側鎖基であり、例えばH、−CH3、−CH(CH32、−CH2−CH(CH32、−CHCH3−CH2−CH3、−CH2−C65、−CH2CH2−S−CH3、−CH2OH、−CH(OH)−CH3、−CH2−SH、−CH2−C64OH、−CH2−CO−NH2、−CH2−CH2−CO−NH2、−CH2−COOH、−CH2−CH2−COOH、−(CH24−NH2および−(CH23−NH−C(NH2)−NH2である。R22はまた1−グアニジノプロパ−3−イル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、イミダゾール−4−イル、インドール−3−イル、メトキシフェニルおよびエトキシフェニルを包含する。
場合により、アミノ酸残基は疎水性の残基、例えばモノまたはジアルキル、またはアリールアミノ酸、シクロアルキルアミノ酸等である。場合により、残基はスルフィドリルまたはグアニジノ置換基を含まない。場合によりアミノ酸はフェノール性アミノ酸である。
天然のアミノ酸残基は植物、動物または微生物、特にその蛋白中に天然に存在する残基である。ポリペプチドは最も典型的には、このような天然のアミノ酸残基より実質的になる。これらのアミノ酸はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リシン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、アスパラギン、グルタミンおよびヒドロキシプロリンである。更に、非天然のアミノ酸、例えばバラニン、フェニルグリシンおよびホモアルギニンも包含される。
置換基は場合により結合を示すか示すことなく記載する。結合の記載に関わらず、置換基が多価(該当する構造におけるその位置に基づく)である場合は、置換基の可能な方向
のいずれかおよび全てが意図される。
式Z、A、I、II、III、IV、VおよびVIは任意の単結合または二重結合を指す。結合はそれが電子的に可能であるように存在する。これらの式は全ての可能な互変異体を包含するものとする。
本発明の化合物は場合により不溶性マトリックスに共有結合させ、化合物の基の性質に応じてアフィニティークロマトグラフィー(分離)に用いられ、例えば多くの遊離のヒドロキシル官能基を有する化合物は親水性のアフィニティー分離において有用である。
本発明は、例示された抗ウイルス活性、例えば抗レトロウイルス活性、抗フラビウイルス、抗ヘルペスおよび抗コロナウイルス活性を有する、天然のグリコペプチド抗生物質およびその誘導体のクラス、および、該天然のグリコペプチド抗生物質と構造的同様性を有する化合物のクラスを包含する。このような化合物は例えばK.C.Nicolaou,C.N.C.et al.,Chem.Int.Ed.,1999,V.38,p.2096−2152およびB.Cavalleri & E.Parenti,Encyclopedia of Chemical Technology,1992,V.2,p.995−1018に開示されている構造を有する天然のグリコペプチド抗生物質であることができる。本発明はまた、抗ウイルス活性をなお維持しながら抗細菌活性が低減されるか完全または部分的に除去されるように構造的に操作または修飾されているグリコペプチド抗生物質の誘導体も包含する。本発明の数種の化合物をその抗細菌活性について検討したところ、親化合物よりも抗細菌性は低いことがわかった。この目的のために使用できる抗細菌試験は当該分野でよく知られている。本発明はまた式ZまたはI、II、IIIまたはIV、VおよびVIの天然のグリコペプチド抗生物質の合成、半合成または生合成の誘導体も提供する。上記した化合物は治療有効な抗ウイルス用量において抗細菌的には低活性または不活性であるように操作されてよく、そして、それらは治療有効な抗ウイルス用量において哺乳類細胞毒性を有さないように操作することができることも本発明により明らかにされている。化合物は抗ウイルス活性および低哺乳類細胞毒性となるように選択され、そして最終的には、本発明の抗HIV試験のような抗ウイルス活性試験、当該分野の細胞増殖抑制活性試験または本発明の哺乳類細胞系統(L1210、Molt4/C8またはCEM)における細胞増殖抑制活性試験および当該分野の別の抗細菌試験において抗細菌的には不活性であることを別の特徴として選択してよい。
本発明の化合物はウイルス感染、特にフラビウイルス、ヘルペスまたはコロナウイルスの感染、とりわけ、HCV、BVDV、HIV、HSV、CMV、YFV、FCV、VZVおよびSARSウイルスの感染の治療または予防に用いられる、グリコペプチド抗生物質またはその誘導体、特に本明細書に定義する式ZまたはI、IIおよびIIIの誘導体の1種以上を使用する場合、
− 化合物の活性成分は当該分野で知られたいずれかの方法、即ち、経口、鼻内、皮下、筋肉内、皮内、静脈内、動脈内、非経腸または挿管により治療すべき哺乳類(ヒトを含む)に投与してよい。
− 特にヒトおよび他の哺乳類におけるウイルス感染の治療のための、化合物の製剤の治療有効量は、好ましくは、フラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスまたはコロナウイルスの酵素阻害量である。より好ましくは、これはフラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスまたはコロナウイルスの複製抑制量であるか、または、本明細書に定義した式ZまたはI、IIおよびIIIのまたはフラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスまたはコロナウイルス酵素抑制量は1μg/ml〜100mg/ml、場合により10mg/mlの血漿中濃度を確保する量に相当する。これはヒトのkg体重当たり一日当たり0.001mg〜20mg、好ましくは0.01mg〜5mg、好ましくは0.1mg〜1mgの範囲の投薬量の投与により達成できる。治療すべき病理学的状態および患者の状態に応じ
て、上記した有効量は一日当たり数回の細分量に分割してよく、或は、1日より長い時間間隔で投与してもよい。
本発明は更に、本発明のグリコペプチド抗生物質およびその誘導体の治療有効量をウイルス感染の予防または治療の必要な患者に投与することによる対象または患者の該予防または治療のための方法に関する。特にヒトおよび他の哺乳類におけるウイルス感染の治療のための化合物の製剤の治療有効量は、フラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスまたはコロナウイルスの酵素阻害量である。より好ましくは、これは、グリコペプチド抗生物質およびその誘導体、特に上記定義した式ZまたはI、IIおよびIIIの誘導体の、フラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスまたはコロナウイルスの複製抑制量、または、フラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスまたはコロナウイルスの酵素阻害量である。適当な用量は通常はヒトのkg体重当たり一日当たり0.001mg〜20mg、好ましくは0.01mg〜5mg、好ましくは0.1mg〜1mgの範囲である。治療すべき病理学的状態および患者の状態に応じて、上記した有効量は一日当たり数回の細分量に分割してよく、或は、1日より長い時間間隔で投与してもよい。
当該分野で従来行われている通り、薬剤複合物の相乗作用の評価は、Chou et al.,Adv.Enzyme Reg.(1984)22:27により記載されているメジアン作用原理を用いた個々の薬剤の間の相互作用の定量性を分析することにより行ってよい。慨すれば、この原理は、2剤の間の相互作用(相乗作用、相加作用、拮抗作用)は以下の等式により定義される組み合わせ指数(以後、CIと称する)を用いて定量できる。
Figure 2006503015
式中、EDは第1および第2の薬剤が単独(1a,2a)またはそれぞれ第2または第1の薬剤と組み合わせて(1c,2c)と使用した場合の、所定の作用を得るために必要とされる用量である。該第1および第2の薬剤はCI<1、CI=1またはCI>1に応じて、それぞれ相乗作用、相加作用または拮抗作用を有する。
ウイルス感染に対する本発明の医薬組成物または複合製剤の相乗活性はまた、部分阻害濃度(以降FICと称する)を計算するためのEC50を用いながら、Elion et al.,J.Biol.Chem.(1954)208:477−488およびBaba
et al.,Antimicrob.Agents Chemother.(1984)25:515−517により以前に報告されているイソボログラム法のような試験法の1種以上を用いて容易に測定される。複合化合物のFIC(例えばFIC+FIC)に相当する最小FIC指数が1.0に等しい場合、組み合わせは相加的ということができ;これが1.0〜0.5の場合は組み合わせは準相乗的と定義され、そして0.5未満であれば組み合わせは相乗的と定義される。最小FIC指数が1.0〜2.0であれば、組み合わせは準拮抗性といえ、そして2.0より高値であれば、組み合わせは拮抗性と定義される。
この原理は本発明の種々の抗ウイルス剤の組み合わせ、または、本発明の抗ウイルス剤と、抗レトロウイルス、抗フラビウイルス、抗ヘルペスウイルス、または抗コロナウイルス活性を示す別の薬剤との組み合わせに適用される。
即ち本発明はウイルス感染に対して相乗作用を有し、そして、下記成分:
A)
(a)グリコペプチド抗生物質、その誘導体、または特に、本発明の式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物の2種以上の組み合わせ、および、
(b)場合によりウイルス感染の治療または予防における同時、個別または逐次的使用のための医薬的賦形剤または医薬上許容しうる担体の1種以上、
または、
B)
(c)抗ウイルス剤1種以上、および、
(d)グリコペプチド抗生物質、その誘導体、または特に、本発明の式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物の少なくとも1種、および、
(e)場合によりウイルス感染の治療または予防における同時、個別または逐次的使用のための医薬的賦形剤または医薬上許容しうる担体の1種以上、
のいずれかを含有する医薬組成物または複合製剤に関する。
本発明の相乗作用抗ウイルス組成物または複合製剤に含有させるのに適する抗ウイルス剤は、例えば、インターフェロンα(またはそのPEG結合型)、ヌクレオシド逆転写酵素(RT)抑制剤(即ち、ジドブジン、ジダノシン、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビンおよびアバカビル)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(即ちネビラピン、デラビルジンおよびエファビレンズ)、プロテアーゼ阻害剤(即ちサキナビル、インジナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アムプレナビルおよびロピナビル)、融合抑制剤エンフビルチド、リバビリン、ビダラビン、アシクロビル、ガンシクロビル、アマンタジン、リマンタジンおよび他のBVDV、HCV、HIV、HSV、VZV、CMV、FCVおよびSARSウイルスの複製の選択的抑制剤を包含する。
本発明のウイルス感染に対する相乗作用を有する医薬組成物または複合製剤はグリコペプチド抗生物質、その誘導体、または特に本発明の式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物を、製剤の意図される使用および推測される作用に応じた広範な含量において含有してよい。一般的には複合製剤のグリコペプチド抗生物質、その誘導体、または特に本発明の式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物の含量は0.1〜99.9重量%、好ましくは1〜99重量%、より好ましくは5〜95重量%の範囲である。
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の化合物は、フラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルスまたはコロナウイルスの感染の治療または予防のための他の治療薬、例えばSARSの場合のコルチコステロイド等と組み合わせて使用してよい。したがって本発明は下記成分:
(a)グリコペプチド抗生物質、その誘導体、または特に本発明の式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物1種以上、および、
(b)HCV、BVDV、HIV、HSV、VZV、YFV、FCV、CMVおよびSARSウイルスのようなウイルスの感染の治療において同時、個別または逐次的に使用するための例えば複合製剤の形態の哺乳類におけるウイルス感染、特にフラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルスまたはコロナウイルスの感染に対して相乗作用を与えるように個々の比率における、生物学的活性物質としてのフラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルスまたはコロナウイルスの酵素阻害剤1種以上、
を含む組成物の使用に関する。組み合わせて使用するためのこのような別の治療薬の例は、インターフェロンα、リバビリンおよび上記した他のものを含むこれらの感染の治療または予防に効果的である薬剤を包含する。その他の例は、ウイルス感染、特にフラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルスまたはコロナウイルスの感染の抑制剤と共に取り扱う特許または特許出願の範囲に属する化合物である。例えば、欧州特許1162196号、国際公開公報03/010141号、国際公開公報03/007945号および国
際公開公報03010140号の開示の範囲に属する化合物、国際公開公報00/204425号およびその特許ファミリー内の他の特許または特許出願または全てのその前の出願の範囲に属する化合物、および、フラビウイルスプロテアーゼの阻害剤、および/または、別のフラビウイルスのポリメラーゼの阻害剤の1種以上を使用できる。
(a)および(b)の複合製剤を使用する場合は、
− 活性成分(a)および(b)は当該分野で知られたいずれかの方法、即ち、経口、鼻内、皮下、筋肉内、皮内、静脈内、動脈内、非経腸または挿管により治療すべき哺乳類(ヒトを含む)に投与してよい。
− ヒトおよび他の哺乳類における特にウイルス感染の治療のための活性成分(a)および(b)の複合製剤の治療有効量は、特に、フラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルスまたはコロナウイルスの酵素阻害量である。特に、これは誘導体(a)のフラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルスまたはコロナウイルスの複製抑制量、および、阻害剤(b)のフラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルスまたはコロナウイルスの酵素阻害量である。更にとりわけ、該フラビウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルスまたはコロナウイルスの酵素阻害剤(b)がポリメラーゼ阻害剤である場合は、その有効量はポリメラーゼ阻害量である。該フラビウイルスまたはピコルナウイルスの酵素阻害剤(b)がプロテアーゼ阻害剤である場合は、有効量はプロテアーゼ阻害量である。
− 成分(a)および(b)は同時に投与してよいが、治療すべき身体におけるその機能的な拡散を達成するためには、例えば比較的短い時間以内に個別または逐次的に投与することも有利である。
本発明はまたBVDV、HCV、HIV、YFV、HSV、CMV、VZV、FCVまたはSARSウイルス以外のウイルスの複製の抑制のため、特に、フラビウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルスまたはコロナウイルスまたはピコルナウイルス、特にデングウイルス、B型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス、古典的ブタコレラウイルスまたはボーダー病ウイルス、エプスタインバーウイルスおよび別のウイルスファミリー、例えばピコルナウイルス(即ちエンテロウイルス、リノウイルス、コクサッキーウイルス)、オルトミキソウイルス(即ちインフルエンザ)、パラミキソウイルス(即ちパラインフルエンザ、ヒトメタニューマウイルス、呼吸シンシチウムウイルス、(RSV))、ラブドウイルス(即ち狂犬病)、ブンヤウイルス(即ちハンタウイルス)、フィロウイルス(即ちマルブルグ、エボラ)、ポックスウィルス(即ち天然痘)、アデノウイルス、パポバウイルス(即ちヒトパピローマウイルス)等の抑制のために用いられる本発明のグリコペプチド抗生物質およびその誘導体、特に式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物に関する。
本発明は更に、例えばBVDVまたはFCVの治療における、上記した活性成分の少なくとも1種を獣医学用担体と共に含有する獣医学用組成物を提供する。獣医学用担体は組成物の投与の目的のために有用な物質であり、そして、獣医分野においては不活性であるか、許容されるものであり、そして活性成分と適合する固体、液体または気体の物質であってよい。これらの獣医学用の組成物は経口、非経腸、またはいずれかの他の所望の経路により投与してよい。
より一般的には、本発明は生物活性(特に抗ウイルス活性)を有する薬剤として、または、診断薬として有用な、本発明のグリコペプチド抗生物質およびその誘導体、特に式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物に関する。本発明に関して記載した用途のいずれも、非医療用途、非治療用途、非診断用途またはインビトロ限定の用途、または、動物から隔離された細胞に関する用途に限定してもよい。
当該分野の技術者はとりわけ環境のpHに依存して多くの異なるプロトン化状態において本発明の化合物が存在しえることを認識できる。本明細書に記載した構造式は、数種の
可能なプロトン化状態のうちの1種のみにおける化合物を説明しているが、これらの構造は説明を目的とするのみであり、本発明は如何なる特定のプロトン化状態にも限定されず、そして化合物の全てのプロトン化形態が本発明の範囲内に含まれるものとする。
本明細書において「医薬上許容しうる塩」という用語はグリコペプチド抗生物質およびその誘導体、特に式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物が形成することが可能な治療活性を有する非毒性の塩の形態を意味する。したがって、本発明の化合物は場合により、本明細書に記載した化合物の塩、特に例えばNa+、Li+、K+、Ca2+およびMg2+を含有する医薬上許容しうる非毒性の塩を含む。このような塩はアルカリおよびアルカリ土類金属のイオンおよびアンモニウムおよび第4アミノイオンのような適切なカチオンと酸アニオン部分、典型的にはカルボン酸との組み合わせにより誘導してよい。本発明の化合物は、複数の正電荷または負電荷を担持してよい。本発明の化合物の実質的な電荷は正であっても負であってもよい。いずれかの会合対イオンは典型的には化合物を得るための合成および/または単離の方法により決定される。典型的な対イオンは例えば、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、ハロゲン化物、アセテート、トリフルオロアセテート等およびこれらの混合物である。いずれかの会合対イオンの名称は本発明の厳密な特徴ではなく、本発明は如何なる種類の対イオンと会合した化合物も包含するものとする。更にまた、化合物は種々の異なる形態で存在できるため、本発明は対イオンと会合した化合物の形態(例えば乾燥塩)のみならず、対イオンと会合していない形態(例えば水性または有機性の溶液)も包含するものとする。金属塩は典型的には本発明の化合物に金属水酸化物を反応させることにより調製される。このようにして調製される金属塩の例は、Li+、Na+およびK+を有する塩である。より低溶解性の金属塩は、適当な金属化合物を添加することによりより高溶解性の溶液から析出させることができる。更にまた、塩は、塩基中心、典型的にはアミンまたは酸性の基への特定の有機および無機の酸の酸付加から形成してもよい。このような適切な酸の例は、例えば、無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等;または有機酸、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(即ちエタンジ酸)、マロン酸、コハク酸(即ちブタンジ酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸(即ち2−ヒドロキシ安息香酸)、p−アミノサリチル酸等を包含する。更にまた、この用語は本発明のグリコペプチド抗生物質およびその誘導体、特に式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物ならびにその塩が形成することができる溶媒和物、例えば水和物、アルコレート等も包含する。最後に、本明細書に記載した組成物は、本発明の化合物を、その非イオン化状態、並びに、両性イオンの形態、および水和物の場合のように化学量論的な水との複合物として含有するものとする。
やはり本発明の範囲に含まれるものは、アミノ酸1種以上、特に蛋白成分として存在する天然のアミノ酸との親化合物の塩である。アミノ酸は典型的には、塩基性または酸性の基、例えば、リジン、アルギニンまたはグルタミン酸、または中性の基、例えばグリシン、セリン、スレオニン、アラニン、イソロイシンまたはロイシンを有する側鎖を担持したものである。
本発明の化合物はまた、その生理学的に許容される塩を包含する。本発明の化合物の生理学的に許容される塩は適切な塩基、例えばアルカリ金属(例えばナトリウム)、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)、アンモニウムおよびNX4+(式中XはC1−C4アルキルである)から誘導された塩を包含する。水素原子またはアミノ基の生理学的に許容される塩は、有機のカルボン酸、例えば酢酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸およびコハク酸;有機のスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−ト
ルエンスルホン酸;および、無機の酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸およびスルファミン酸の塩を包含する。ヒドロキシ基を含む化合物の生理学的に許容される塩は、Na+およびNX4+(ここでXは典型的にはHまたはC1−C4アルキル基から独立して選択される)のような適当なカチオンと組み合わせた該化合物のアニオンを含む。しかしながら、生理学的に許容されない酸または塩基の塩もまた、例えば生理学的に許容される化合物の調製または精製において使用できる。全ての塩は生理学的に許容される酸または塩基から誘導したか否かに関わらず、本発明の範囲に包含される。
本明細書において、そして特段の記載が無い限り、「エナンチオマー」という用語は少なくとも80%(即ち1つのエナンチオマーが少なくとも90%であり、もう一方のエナンチオマーが最大10%)、好ましくは少なくとも90%、そしてより好ましくは少なくとも98%の光学純度またはエナンチオマー過剰(当該分野で標準的な方法を用いて測定)を有する本発明の化合物の各々個々の光学活性型を意味する。
本発明の各化合物はそのキラル中心の各々において結合した純粋な立体異性体であってよく、または、そのキラル中心の1つ以上において反転していてよい。単一の立体異性体または2種以上の立体異性体の混合物であってよい。混合物である場合は、比率は等モルであってもなくてもよい。特定の実施形態においては、化合物は単一の立体異性体であり、より好ましい実施形態においては、アミノ酸6個(2〜7)を含む本発明の化合物のペプチドコアの立体化学は、2(R)、3(S)、4(R)、5(R)、6(S)および7(S)である。
本明細書において「異性体」という用語は、位置異性体は含まない、本発明のグリコペプチド抗生物質およびその誘導体、特に式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物が有していてよい互変異体および立体化学的形態を含む、全ての可能な異性体形態を意味する。典型的には、本明細書において示した構造は、化合物の1種のみの互変異体または共鳴型を例示するが、相当する互換の配置も同様に意図されるものとする。特段の記載が無い限り、化合物の化学的名称は全ての可能な異性体の形態の混合物を指すものであり、該混合物は、基本的な分子構造の全てのジアステレオマーおよびエナンチオマー(本発明のグリコペプチド抗生物質およびその誘導体、特に式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物は少なくとも1つのキラル中心を有する場合があるため)並びに立体化学的に純粋な、または、いずれかが多量である化合物を含む。特に、立体原性の中心はRまたはS配置のいずれかを有し、そして複数の結合はシスまたはトランスの配置を有してよい。
該化合物の純粋な異性体形態は、同じ基本的分子構造の他のエナンチオマーまたはジアステレオマーの形態を実質的に含有しない異性体として定義される。特に、「立体異性体的に純粋」または「キラル的に純粋」という用語は、少なくとも80%(即ち1つの異性体が少なくとも90%であり、他の可能な異性体が最大10%)、好ましくは少なくとも90%、そしてより好ましくは少なくとも94%、そして最も好ましくは少なくとも97%の立体異性体過剰を有する化合物に関する。「エナンチオマー的に純粋」および「ジアステレオマー的に純粋」という用語はそれぞれ、対象となる混合物のエナンチオマー過剰およびジアステレオマー過剰に関して同様に理解されるものとする。
立体異性体の分離は当該分野で知られている標準的な方法により行う。本発明の化合物の1つのエナンチオマーはその対向するエナンチオマーが実質的に非含有である程度にまで、光学活性分割剤を使用したジアステレオマーの形成のような方法により、分離することができる(Stereochemistry of Carbon Compounds,(1962),E.L.Eliel,McGraw Hill,Lochmuller,C.H.,(1975)J.Chromatogr.,113:(3):283−302)。混合物中の異性体の分離は、いずれかの適当な方法、例えば(1)キラル化合物
とのイオン性のジアステレオマー塩の形成、および分別結晶または他の方法による分離、(2)キラル誘導体形成試薬を用いたジアステレオマー化合物の形成、ジアステレオマーの分離、および、純粋なエナンチオマーへの変換、または(3)キラル条件下のエナンチオマーの直接の分離により行うことができる。方法(1)の場合は、ジアステレオマー塩はエナンチオマー的に純粋なキラル塩基、例えばブルシン、キニン、エフェドリン、ストリキニン、a−メチル−b−フェニルエチルアミン(アンフェタミン)等と酸性官能基を担持した不斉化合物、例えばカルボン酸またはスルホン酸との反応により形成できる。ジアステレオマー塩は分別結晶またはイオンクロマトグラフィーにより分離を誘発してよい。アミノ化合物の光学異性体の分離のためには、キラルなカルボン酸またはスルホン酸、例えばカンファースルホン酸、酒石酸、マンデル酸または乳酸の添加によりジアステレオマー塩の形成が起こりえる。或は、方法(2)により、分割すべき基質をキラル化合物の一方のエナンチオマーと反応させてジアステレオマー対を形成してよい(Eliel,E. and Wilen,S.(1994),Stereochemistry of Organic Compounds,John Wiley & Sons,Inc.,p.322)。ジアステレオマー化合物は不斉炭素をエナンチオマー的に純粋なキラル誘導体形成試薬、例えばメチル誘導体と反応させ、その後、ジアステレオマーの分離および加水分解を行って遊離のエナンチオマー的に多量化された化合物を得ることにより形成できる。光学純度を測定するための方法は、ラセミ混合物のキラルエステル、例えばメチルエステルまたはMosherエステル、a−メトキシ−a−(トリフルオロメチル)フェニルアセテート(Jacob III,(1982),J.Org.Chem.47:4165)を形成すること、および、2種のアトロプ異性体ジアステレオマーの存在下にNMRスペクトルを分析することを包含する。適当なジアステレオマーはアトロプ異性体のナフチルイソキノリンの分離のための方法に従って正相または逆相クロマトグラフィーにより分離および単離することができる(Hoye,T.,国際公開公報96/15111)。方法(3)の場合は、2種の非対称エナンチオマーのラセミ混合物をキラル固定相を用いたクロマトグラフィーにより分離する。適当なキラル固定相は例えば多糖類、特にセルロースまたはアミロースの誘導体である。市販されている多糖類系のキラル固定相はChiraCel(登録商標)CA、OA、OB5、OC5、OD、OF、OG、OJおよびOK、および、ChiralpakTM AD、AS、OP(+)およびOT(+)である。該多糖類キラル固定相と組み合わせて使用するための適切な溶離剤または移動層は、エタノール、イソプロパノール等のようなアルコールで変性されたヘキサン等である(「Chiral Liquid Chromatography(キラル液体クロマトグラフィー)」,(1989),W.J.Lough,Ed. Chapman and
Hall,New York; Okamoto,(1990),「Optical resolution of dihydropyridine enantiomers by High−performance liquid chromatography using phenylcarbamates of polysaccharides as a chiral stationary phase(キラル固定相として多糖類のフェニルカーバメートを用いた高速液体クロマトグラフィーによるジヒドロピリジンエナンチオマーの光学分割)」,J. of Chromatogr.513:375−378)。
本明細書においてシスおよびトランスという用語はケミカルアブストラクトの命名法に従っており、そして、環部分上の置換基の位置の参照も含む。式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物の絶対的な立体化学的配置は例えばX線回折のようなよく知られた方法を用いて当業者が容易に測定できるものである。
本発明の化合物は、通常の慣行に従って選択された従来の担体および賦形剤と共に製剤してよい。錠剤は賦形剤、滑剤、充填剤、結合剤等を含有する。水性の製剤は滅菌形態で調製し、そして経口投与以外のデリバリーを意図する場合は、通常は等張性とする。製剤
は場合により「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(1986)に記載されているもののような賦形剤を含有し、そして、アスコルビン酸および他の抗酸化剤、キレート剤、例えばEDTA、炭水化物、例えばデキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸等を含有する。
本明細書において「医薬上許容しうる担体」という用語は、例えば外組成物を溶解、分散または拡散することにより投与箇所への適用または播種を容易にするか、および/または、その有効性を損なうことなく、保存、輸送または取り扱いを容易にするために活性成分と共に製剤される材料または物質を意味する。医薬上許容しうる担体は固体、または液体、または圧縮して液体にされた気体であってよく、即ち、本発明の組成物は適宜、濃縮物、乳液、溶液、顆粒、粉剤、スプレー、エアロゾル、懸濁液、軟膏、クリーム、錠剤、ペレットまたは粉末として使用できる。
該医薬組成物およびその製剤において使用する際に適する医薬的担体は当該分野でよく知られており、本発明ではその選択に特に制限はない。それらはまた添加剤、例えば水和剤、分散剤、粘着剤、接着剤、乳化剤、溶媒、コーティング、抗細菌剤および抗カビ剤(例えばフェノール、ソルビン酸、クロロブタノール)、等張化剤(例えば糖類または塩化ナトリウム)等も含んでよいが、ただし、これらは医薬的慣行と不適合がないもの、即ち哺乳類に恒久的な損傷をもたらさない担体および添加剤でなければならない。本発明の医薬組成物はいずれかの知られた方法、例えば選択された担体物質、および、適宜、界面活性剤のような他の添加剤と共に1段階または多段階の操作法において活性成分を均質に混合、コーティングおよび/または粉砕することにより調製してよく、また、例えば活性成分の制御放出性または徐放性を目的としたマイクロカプセルの製造のためには約1〜10gmの直径を通常は有する微小球の形態で製剤を得るという観点からミクロ化により調製してもよい。
本発明の医薬組成物において使用されるエマルジェントまたは乳化剤としても知られている適当な界面活性剤は良好な乳化、分散および/または水和特性を有する非イオン系、カチオン系および/またはアニオン系の物質である。適当なアニオン性界面活性剤は水溶性の石鹸および水溶性の合成界面活性剤の両方を包含する。適当な石鹸はアルカリおよびアルカリ土類金属の塩、高級脂肪酸(C10−C22)の未置換または置換されたアンモニウム塩、例えばオレイン酸またはステアリン酸またはココナッツ油または牛脂から得られる天然脂肪酸の混合物のナトリウムまたはカリウム塩である。合成の界面活性剤はポリアクリル酸のナトリウムまたはカルシウム塩;脂肪酸スルホネートおよびスルフェート;スルホン化ベンズイミダゾール誘導体およびアルキルアリールスルホネートを包含する。脂肪スルホネートおよびスルフェートは通常はアルカリまたはアルカリ土類金属の塩、未置換のアンモニウム塩または炭素原子8〜22個を有するアルキルまたはアシル基で置換されたアンモニウム塩、例えばリグノスルホン酸またはドデシルスルホン酸のナトリウムまたはカルシウム塩、または、天然の脂肪酸から得られる脂肪アルコールスルフェートの混合物、硫酸またはスルホン酸エステルのアルカリまたはアルカリ土類金属塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム)および脂肪アルコールのスルホン酸/エチレンオキシドの付加物の形態である。アルキルアリールスルホネートの例はドデシルベンゼンスルホン酸またはジブチルナフタレンスルホン酸のナトリウム、カルシウムまたはアルカノールアミン塩、または、ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合生成物である。同様に適当なものは相当するホスフェート、例えばリン酸エステルの塩およびエチレンおよび/またはプロピレンオキシドとのp−ノニルフェノールの付加物またはリン脂質である。この目的のための適当なリン脂質はセファリンまたはレシチン型の天然(動物または植物の細胞に由来)または合成のリン脂質、例えばホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセリン、リソレシチン、カルジオリピン、ジオクタニルホスファチジ
ルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびこれらの混合物である。
適当な非イオン系界面活性剤は分子中に炭素原子少なくとも12個を含むアルキルフェノール、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪族アミンまたはアミドのポリエトキシル化およびポリプロポキシル化誘導体、アルキルアレンスルホネートおよびジアルキルスルホスクシネート、例えば脂肪族および脂環族アルコール、飽和または不飽和の脂肪酸およびアルキルフェノールのポリグリコールエーテル誘導体を包含し、該誘導体は好ましくはグリコールエーテル基3〜10個および(脂肪族)炭化水素部分に炭素原子8〜20個およびアルキルフェノールのアルキル部分に炭素原子6〜18個を含む。更に好ましい非イオン系界面活性剤はアルキル部分に炭素原子1〜10個を含むポリプロピレングリコール、エチレンジアミンポリプロピレングリコールとのポリエチレンオキシドの水溶性付加物であり、この付加物はエチレングリコールエーテル基20〜250個および/またはプロピレングリコールエーテル基10〜100個を含む。このような化合物は通常はプロピレングリコール単位当たりエチレングリコール単位1〜5個を含む。非イオン系界面活性剤の代表例は、ノニルフェノール−ポリエトキシエタノール、ひまし油ポリグリコールエーテル、ポリプロピレン/ポリエチレンオキシド付加物、トリブチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコールおよびオクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。ポリエチレンソルビタン(例えばポリオキシエチレンソルビタントリオレエート)、グリセロール、ソルビタン、スクロースおよびペンタエリスリトールの脂肪酸エステルもまた適当な非イオン系界面活性剤である。
適当なカチオン系界面活性剤は、ハロ、フェニル、置換フェニルまたはヒドロキシで場合により置換された炭素原子基4個を有する第4アンモニウム塩、特にハロゲン化物;例えばN置換基としてC−C22アルキル基(例えばセチル、ラウリル、パルミチル、ミリスチル、オレイル等)少なくとも1個、および別の置換基として未置換またはハロゲン化された低級アルキル、ベンジルおよび/またはヒドロキシ低級アルキル基を含む第4アンモニウム塩を包含する。
この目的のために適する界面活性剤に関するより詳細な説明は例えば「McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual」
(MC Publishing Crop.,Ridgewood,New Jergey,1981),「Tensid−Taschenbucw」,2d ed.(Hanser Verlag,Vienna,1981)および「Encyclopaedia
of Surfactants」 (Chemical Publishing Co.,New York,1981)に記載されている。
本発明の化合物およびその生理学的に許容される塩(以後、まとめて活性成分と称する)は治療すべき状態に対して適切ないずれかの経路により投与してよく、適当な経路は、経口、直腸、経鼻、局所(例えば眼内、口内および舌下)、膣内および非経腸(例えば皮下、筋肉内、静脈内、皮内、包膜内および硬膜外)を包含する。好ましい投与経路は例えばレシピエントの状態に応じて変化する。
活性成分は単独で投与することも可能であるが、医薬品製剤として提供することが好ましい。本発明の獣医科用および人間用の製剤は上記した活性成分少なくとも1種を、それに適する医薬上許容しうる担体1種以上および場合により他の治療成分と共に含む。担体は製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントに対して有害ではないという意味において「許容できる」ことが最適である。製剤は経口、直腸、経鼻、局所(例えば口内および舌下)、膣内または非経腸(例えば皮下、筋肉内、静脈内、皮内、包膜内および硬膜外)の投与に適するものを包含する。製剤は好都合には単位剤型で提供してよく、そして、製薬分野でよく知られた方法のいずれかにより調製してよい。このような方法は付随的な成分
1種以上を構成する担体と活性成分を混合する工程を含む。一般的に、製剤は液体担体または微粉砕固体担体または両方と活性成分を均一緻密に混合し、そして、次に、必要に応じて製品の形状とすることにより調製する。
経口投与に適する本発明の製剤は各々が所定の量の活性成分を含むカプセル、カシェ剤または錠剤のような個々の単位として;粉末または顆粒として;水性の液体または非水性の液体中の溶液または懸濁液として;または水中油の液体乳液または油中水の液体乳液として提供してよい。活性成分はまた塊状物、シロップまたはペーストとして提供してよい。
錠剤は場合により付随的な成分1種以上と共に圧縮または成型することにより製造してよい。圧縮錠剤は場合により結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、界面活性剤または分散剤と混合した粉末または顆粒のような自由流動形態の活性成分を適当な機械中で圧縮することにより調製してよい。成型錠剤は不活性の液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を適当な機械中で成型することにより製造してよい。錠剤は場合によりコーティングまたは刻印してよく、そして、内部に存在する活性成分の遅延または制御された放出が行われるように製剤してよい。眼または他の外部組織、例えば口または皮膚の感染の場合は、製剤は例えば0.075〜20重量%(0.6重量%、0.7重量%のように0.1重量%ずつ増量しながら0.1〜20%の間の範囲の活性成分を含む)、好ましくは0.2〜15重量%、最も好ましくは0.5〜10重量%の量で活性成分を含有する局所用の軟膏またはクリームとして適用してよい。軟膏に製剤する場合は、活性成分をパラフィン系または水混和性の軟膏基剤と共に使用する。或は、活性成分は水中油型のクリーム基剤と共にクリームに製剤してよい。所望により、クリーム基剤の水相は、例えば少なくとも30重量%の多価アルコール、即ちヒドロキシル基2個以上を有するアルコール、例えばプロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(例えばPEG400)およびこれらの混合物を含んでよい。局所用製剤は望ましくは皮膚または他の罹患領域を通過する活性成分の吸収または浸透を増強する化合物を含む。このような皮膚浸透増強剤の例はジメチルスルホキシドおよびその類縁体である。
本発明の乳濁液の油相は知られた方法で既知成分から構成してよい。相は乳化剤(或はエマルゲント)のみを含有してもよいが、望ましくは脂肪または油脂または脂肪または油脂の両方との少なくとも1種の乳化剤の混合物を含む。場合により親水性の乳化剤を安定化剤として作用する親油性の乳化剤と共に含有させる。油脂および脂肪の両方を含有することも好ましい。全体として、安定化剤を含有するかしない乳化剤はいわゆる乳化ワックスを形成し、ワックスは油脂および脂肪と共にいわゆる乳化軟膏基剤を形成し、これはクリーム製剤の油性分散相を形成する。
製剤のための適当な油脂または脂肪の選択は、医薬品の乳液処方において使用されると考えられる大部分の油脂中の活性化合物の溶解度は極めて低いため、所望の化粧品特性を達成することに基づく。即ち、クリームは場合によりチューブまたは他の容器からの漏出を防止できる適当なコンシステンシーを有する非グリース性で非染色性の洗浄可能な製品でなければならない。ジイソアジペート、イソセチルステアレート、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、イソプロピルミリステート、デシルオレエート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、2−エチルヘキシルパルミテートのような直鎖または分枝鎖の1塩基性または2塩基性のアルキルエステル、または、CrodamolCAPとして知られている分枝鎖エステルのブレンド物を使用してよく、後者3種が好ましいエステルである。これらは所望の性質に応じて、単独または組み合わせて使用してよい。或は、白色軟質パラフィンおよび/または流動パラフィンまたは他の鉱油等の高融点の脂質を使用できる。
眼への局所投与に適する製剤はまた適当な担体、特に活性成分用の水性溶媒に活性成分を溶解または懸濁させた点眼液も包含する。活性成分は場合により0.5〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、特に約1.5重量%の濃度でそのような製剤中に存在する。口内の局所投与に適する製剤はフレーバー基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性成分を含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアのような不活性基剤中に活性成分を含むトローチ剤;および、適当な液体担体中に活性成分を含む洗口剤を包含する。
直腸投与のための製剤は例えばカカオ脂またはサリシレートを含む適当な基剤と共に坐剤として提供してよい。担体が固体である鼻内投与に適する製剤は例えば20〜500ミクロンの粒径(30ミクロン、35ミクロンのような5ミクロンの漸増量の20〜500ミクロンの範囲の粒径を含む)を有する粗な粉末を包含し、これは鼻でかぐことにより、即ち鼻に近づけて保持した粉末の容器から鼻腔に急速に吸引することにより投与される。鼻スプレーまたは点鼻液として投与するための担体が液体である適当な製剤は、活性成分の水性または油性の溶液を包含する。エアロゾル投与に適する製剤は、従来の方法に従って調製してよく、そして、他の治療薬と共にデリバリーしてよい。
膣内投与に適する製剤は当該分野で適切なものとして知られている担体を活性成分の他に含有するペッサリー製剤、タンポン製剤、クリーム製剤、ゲル製剤、ペースト製剤、フォーム製剤またはスプレー製剤として提供してよい。
非経腸投与に適する製剤は抗酸化剤、緩衝剤、殺菌剤および製剤をレシピエントの血液と等張にするための溶質を含有してよい水性および非水性の滅菌注射溶液;および、懸濁剤および増粘剤を含んでよい水性および非水性の滅菌懸濁液を包含する。製剤は単位用量または多用量の容器、例えば、密封アンプルまたはバイアル中に提供してよく、そして、滅菌液体、例えば注射用の水を使用直前に添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存してよい。要時調製用の注射溶液および懸濁液は前述した種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製してよい。
グリコペプチド抗生物質の特定の製剤は国際公開公報01/82971に記載されているシクロデキストリンと組み合わせる。
好ましい単位用量製剤は活性成分の上記した一日当たり用量または一日当たりの単位分割用量またはその適切な細分量を含むものである。
上記した成分に加えて、本発明の製剤は目的の製剤の種類に応じて当該分野で従来使用されている他の物質を含有してよく、例えば、経口投与に適するものはフレーバー剤を含有してよい。
本発明の化合物は活性成分の放出が制御され、調節されることにより、より少ない頻度で投薬されるか、または、所定の本発明の化合物の薬物動態または毒性の特徴が改善されるような、本発明の化合物1種以上を活性成分として含有する制御放出医薬品製剤(「制御放出製剤」)を提供するために使用できる。本発明の化合物1種以上を個別の単位が含有する経口投与に適合させた制御放出製剤を従来法に従って調製することができる。
組成物中の活性成分の作用持続時間を制御するために別の成分を含有させてよい。即ち、制御放出組成物は例えばポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プロタミン等のような適切な重合体担体を選択することにより達成してよい。薬剤放出の速度お
よび作用持続時間はまた、活性成分をヒドロゲル、ポリ乳酸、ヒドロキシメチルセルロース、ポリメチルメタクリレートおよび他の上記した重合体のような重合体物質の粒子、例えば微粒子に取り込ませることにより制御してもよい。このような方法はリポソーム、微細球、ミクロ乳液、ナノ粒子、ナノカプセル等のようなコロイド薬剤デリバリーシステムを包含する。投与経路に応じて、医薬組成物は保護コーティングを要する場合がある。注射用途に適する医薬品形態は滅菌水溶液または懸濁液および要時調製用の滅菌粉末を包含する。従ってこの目的のための典型的な担体は生体適合性のある水性緩衝液、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等およびこれらの混合物である。
数種類の活性成分が組み合わせて使用されるという事実をかんがみれば、それらは治療対象の哺乳類において同時に直接その複合的治療効果をもたらす必要はなく、相当する組成物は2種の成分を別々ではあるが隣接する収納部またはコンパートメントに含む医薬品キットまたはパッケージの形態であってもよい。従ってこの後者の場合においては、各活性成分は他成分の投与経路とは異なる経路に適する方法で製剤してよく、例えば、それらの1つを経口または非経腸製剤の形態とし、他のものは静脈注射用のアンプルまたはエアロゾルの形態としてよい。
以下の実施例は本発明を説明するためのものであり限定するものではない。実施例は化合物、方法および化合物の調製のための物質に関して記載しており、また、薬理学的実施例も記載する。
実施例および表において、規則的に使用される略記法および用語は以下の通りである。・ EC50:50%有効濃度、または、ウイルス誘発細胞障害性を50%抑制するために必要な化合物の濃度。
・ MMC:最小細胞毒性濃度、または細胞培養の顕微鏡的に観察可能な形態学的変化を誘発するために必要な化合物の濃度。
・ CC50:50%細胞増殖抑制/細胞毒性濃度、またはHEL細胞増殖を50%抑制するため、またはMDBK、ベロまたはFCK細胞の生存性を50%低減するために必要な化合物濃度。
・ MTC:最小毒性濃度、またはMTS法による未感染細胞の代謝活性を20%以上低減するために必要な化合物の濃度。
・ 使用した略記法:HSV−1、単純疱疹ウイルス1型;HSV−2、単純疱疹ウイルス2型;VZV、水痘−帯状疱疹ウイルス、CMV、ヒトサイトメガロウイルス;BVDV、ウシウイルス性下痢ウイルス;YFV、黄熱病ウイルス;FCV、ネココロナウイルス;SARS、ヒトコロナ(SARS、フランクフルト−1株)ウイルス;HEL、ヒト胚性肺腺維芽細胞;MDBK、Madin−Darbyウシ腎細胞、ベロ、サル腎細胞;FCK、ネコCrandel腎細胞。
・ 抗ウイルス活性を示す表の中の空欄は化合物を試験しなかったことを意味する。
表1〜8は実施例の調製化合物の構造およびその該当するコードを示す。
本出願明細書において、本発明の数種の化合物を以下に記載するとおりコードで指し示す。
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化合物の調製のための一般的な方法および物質
本発明のグリコペプチド抗生物質およびその誘導体、特に式Zまたは式I、IIおよびIIIの化合物は、該化合物の調製のための方法を全体として構成し、後に例示される当該分野でよく知られた一連の化学反応を用いて調製することができる。以下に記載する方法は単なる例に過ぎず、本発明の範囲を限定する意図は全くない。本発明の化合物は以下に記載する方法(の1つ)に従うことにより好都合に調製できる。表1〜8に記載する化合物の全てはこれらの調製方法に従うことにより調製した。
全ての試薬および溶媒はAldrich(Milwaukee)、Fluka(Deisenhofen,Germany)、Sigma Corporation (St.Louis, MO)およびMerck(Darmstadt,Germany)から購入した。新しい化合物は他のグリコペプチド誘導体の合成に関して既に記載されている方法(例えばアミド化、マンニヒ反応、Nアシル化)を適用することにより得られた。
方法A:アミノメチル化誘導体(即ち、1、6、24、51、52、53、54,55、61−64、67、75、78、80、84、85、93、94、95、98、105、115、117、119、121、122、154、155、156、157、158)
アセトニトリル−水の1:1混合物10ml中の抗生物質またはその分解産物0.5ミリモルおよび適切なアミン4ミリモルの攪拌溶液に、37%水性ホルムアルデヒド3ミリモルを添加した。アミンの塩を使用する場合は、1N NaOHを添加してpH10とした。反応混合物を室温で18時間攪拌し、次に水100mlを添加した。HClで反応混合物をpH3に合わせた後、得られた溶液(または懸濁液)をn−BuOH(〜25ml
×2)で抽出し;有機層を水(〜15ml×2)で洗浄し、次に少量(〜3ml)となるまで真空下45℃で濃縮した。エーテル(〜100ml)を添加することにより沈殿した固体を収集し、4時間室温で真空下に乾燥した。次にこれを最小量のMeOHに溶解し、MeOHで予備平衡化したセファデックスLH−20(2×100cm)を用いたクロマトグラフィーカラムに適用した。カラムを10ml/hの流速でMeOHで展開し、その間5ml画分を収集した。適当な画分をあわせ、少量(〜3ml)となるまで濃縮した。エーテル(〜100ml)を添加した後、形成した沈殿を収集し、エーテルで洗浄し、室温で真空下に乾燥した。53の原料化合物−N2−Cbz−N4−Boc−TDTP−Me−は前述の通り得た。化合物54は化合物53より、N2−Cbz−N4−Boc−TDTP−Meに関して前記したとおり、TFA中のBoc基の除去により得た(Malabarba,A.;Ciabatti,R.;Maggini,M.;Ferrari,P.;Vekey,K.;Colombo,L.;Denaro,M.「Structural modification of the active site in teicoplanin and related glycopeptides.2.Deglucoteicoplanin−derived tetraphosphate(テイコプラニンおよび関連グリコペプチドの活性部位の構造的修飾2、デグルコテイコプラニン誘導テトラペプチド)」, J.Org.Chem.1996,61,2151−2157)。
55の原料化合物−テイコプラニンアグリコンのN末端フェニルチオヒダントイン誘導体−はテイコプラニンアグリコンのエドマン分解により得た。
方法B:カルボキシアミド(即ち2、10、11、12、23、25、26、27、29、40、41、43、46、50、56、57、60、65、66、71、73、74、76、77、81、82、83、89、90、99、100、101、102、103、106−108、113、116、120、124−127、137−138、145、150、160、161、162、165、166、167)
DMSO5mlに溶解した抗生物質またはその分解産物(0.5ミリモル)およびアミン塩酸塩5ミリモルの混合物に、少しづつ、Et3Nを添加してpH8.5〜9にあわせ、その後1時間、PyBOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリス−(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート)またはHBPyU試薬(O−(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート)を添加した。反応混合物を3時間室温で攪拌した。
反応混合物にエーテル(〜100ml)を添加することにより油状の残存物が得られ、これを順次エーテル(15ml×2)およびアセトン(〜15ml)と共に振とうした。アセトン100mlを添加した後、粗製のアミドの沈殿を収集し、水50mlに溶解し、そして1NNaOHをpH9となるまで添加した。得られた溶液(または懸濁液)をn−BuOH(〜25ml×3)で抽出し、有機層を水(〜15ml×3)で洗浄し、次に少量(〜3ml)となるまで真空下45℃で濃縮した。エーテル(〜100ml)を添加することにより沈殿した固体を収集し、4時間真空下に乾燥し、そしてアセトン100mlを添加して形成させた沈殿を収集して純粋なカルボキシアミドを得た。
方法C:アミノメチル化誘導体のカルボキシアミド(即ち3、4、5、8、9、14、15、16、17、18、19、20、21、22、28、30、31、34、35、36、37、38、39、42、45、48、51、52)
これらの化合物は方法Aにより得られるアミノメチル化誘導体を原料として方法Bにより得た。
方法D:N−カルバモイル化誘導体(即ち49、98、7、147、149、170)
1N NaOHでpH10に合わせたTHF−水の1:1混合物15ml中の抗生物質またはその分解産物0.5ミリモルの攪拌溶液にアダマンチルオキシカルボニルクロリド0.55ミリモルを添加した。反応混合物を4時間室温で攪拌し、次にこれを水100mlで希釈した。反応混合物を1N HClでpH3に合わせた後、得られた溶液(または懸濁液)をn−BuOH(〜25ml×2)で抽出し;有機層を水(〜15ml×2)で洗浄し、次に少量(〜3ml)となるまで真空下に45℃で濃縮した。エーテル(〜100ml)を添加することにより沈殿した固体を収集し、4時間室温で真空下に乾燥した。
方法E:N−(D−Trp)−(de−N−Me−D−Leu)エレモマイシンアグリコン(即ち109)
化合物109は以前に報告されたとおり得た(Miroshnikova,O.V.;Berdnikova,T.F;Olsufyeva,E.N.;Pavlov,A.Y.;Reznikova,M.I.;Preobrazhenskaya,M.N.;Ciabatti,R.;Malabarba,A.;Colombo,L. 「A Modification of the N−Terminal Amino Acid in the Eremomycin Aglycone(エレモマイシンアグリコンのN末端アミノ酸の修飾)」,J.Antibiot.1996,49,1157−1161)。
方法F:カルボキシアミドのカルバモイル化誘導体(即ち44)
本化合物は方法Bにより得られるカルボキシアミドを原料としてBoc2O試薬を用いて方法Dにより得た。
方法G:アミノメチル化誘導体のカルボキシアミドのN−カルバモイル化誘導体(即ち7、24、47)
これらの化合物は方法Cにより得られるアミノメチル化誘導体のカルボキシアミドを原料としてBoc2O試薬を用いて方法Dにより得た。
方法H:N−またはN,N’−アルキル化誘導体(即ち11、12、13、32)
原料化合物[DMDA40926のエチルアミノピペラジンアミド、化合物12に関する方法Bにより得られる;化合物13に関するDMDA40のジエチルアミノプロピルアミドの7d−メチル−N(p−フェニルベンジル)ピペラジン;化合物32に関する方法Cにより得られるテイコプラニンアグリコンのジジメチルアミノプロイピルアミドの7d−メチルアミノブチル−N(ノニルジメチル)−アミン]0.5ミリモルの攪拌溶液に、相当するアルデヒド15mlを添加し、反応混合物を3時間40℃で攪拌した。次に反応混合物を20℃に冷却し、NaCNBH31ミリモルを添加した。1時間20℃で攪拌した後、エーテル150mlを反応混合物に添加して得られた油状の残存物を順次エーテル(15ml×2)およびアセトン(〜15ml)とともに振とうした。アセトン100mlを添加した後、粗製のアミンの沈殿を収集し、水50mlに溶解し、1N NaOHを添加してpH9とした。得られた溶液(または懸濁液)をn−BuOH(〜25ml×3)で抽出し;有機層を水(〜15ml×3)で洗浄し、次に少量(〜3ml)となるまで真空下に45℃で濃縮した。エーテル(〜100ml)を添加することにより沈殿した固体を収集し、4時間室温で真空下に乾燥し、アセトン100mlを添加して形成した沈殿を収集して純粋な生成物を得た。
抗細菌グリコペプチド抗生物質のアミド部分、レゾルシノールフラグメントおよびN末端においてグリコペプチド抗生物質誘導体の糖部分の化学修飾を導入するための方法は以前に検討されており、半合成グリコペプチドの種々のものを調製するために使用されている(Malabarba, A.;Nicas,T.I.and Thompson,R
.S. 「Structural Modifications of Glycopeptide Antibiotics(グリコペプチド抗生物質の構造的修飾)」,Med.Res.Rev.1997,17,69−137; Pavlov,A.Y.;Preobrazhenskaya,M.N. 「Chemical Modification of Glycopeptide Anibiotics(グリコペプチド抗生物質の化学修飾)」、Russian Journal of Bioorganic Chemistry 1998,24,570−587)。バンコマイシンのようなグリコペプチド抗生物質の糖残基の性質の変更はNicas, T.I. et al.,(Antimicrobial agents and Chemotherapy, 1996,40,2194−2199)に記載の通り実施することができる。
分解産物、アグリコン抗生物質は後に記載する実施例に示すとおり化学分解を通じて得ることができる。
エレモマイシンアグリコンはBerdnikova,T.F.et al(Berdnikova,T.F.;Lomakina,N,N;Olsufyeva,E.N.;Alexandrova,L.G.;Potapova,N.P.;Rozinov,B.V.;Malkova,I.V.;Orlova,G.I.「Structure and Antimicrobial Activity of Products of Partial Degradation of Antibiotic Eremomycin(抗生物質エレモマイシンの部分分解産物の構造および抗微生物活性)」、 Antibiotics and Chemotherapy (Rus)1991,36,28−31)に記載の通り得た。硫酸エレモマイシン1000mg(0.6ミリモル)をHCl(濃塩酸)20mlに溶解し、5時間室温で維持した。次に、水60mlを添加してエレモマイシンアグリコンを沈殿させた。混合物を5℃に冷却し、3時間冷蔵庫に保持した。固体を濾過し、冷水10ml、次にアセトンで洗浄し、真空下に乾燥した。固体をDMSO6mlに溶解し、アセトン60mlに添加した。沈殿を濾過し、アセトンで洗浄し、乾燥して粗製のエレモマイシンアグリコン530mgを得た。濾液をDowex50×2樹脂(H+型)のカラム(2×10cm)に通し、これを水で洗浄し、0.25N NH4OH50mlで溶離した。濾液をn−BuOHと共に真空下に濃縮して最小量とし、アセトン50mlで沈殿させた。沈殿を収集し、アセトンで洗浄し、真空下に乾燥し、粗製のエレモマイシンアグリコンを得た。試料をUVコントロール下に溶媒系EtOAc−PrOH−25%NH4OHを2:2:3でMerck Silica Gel 60F254プレート上のTLCで分析した。
固体を合わせ、0.05M AcONH4−EtOHの9:1混合物10ml中に溶解し、その際2NHClでpH3まで酸性化し、そして、0.05MAcONH4−EtOH9:1混合物(pH6.7)で予備平衡化しておいたCM32カルボキシメチルセルロース(Whatman,英国)(45cm×2cm)を用いたクロマトグラフィーカラムに適用した。カラムクロマトグラフィーは流量30ml/hで0.05M AcONH4−EtOH9:1混合物(pH6.7)(300ml)、0.1M AcONH4−EtOH9:1混合物(pH6.7)(700ml)、次いで0.15M AcONH4−EtOH9:1混合物(pH6.7)(700ml)を用いて行った。エレモマイシンアグリコンを含有する画分を合わせ、6N HClでpH3まで酸性化し、Dowex50×2樹脂(H+型)のカラム(2×10cm)に通し、これを水で洗浄し、0.25N NH4OH50mlで溶離した。濾液をn−BuOHと共に真空下に濃縮して最小量とし、0.05N HClでpH5まで酸性化し、アセトン50mlで沈殿させた。沈殿を収集し、アセトンで洗浄し、真空下に乾燥し、エレモマイシンアグリコン(46.7%)310mg(0.28ミリモル)を得た。
デス−(N−メチル−D−ロイシル)エレモマイシンアグリコンはMiroshinikova,O.V.et al.(Miroshinikova,O.V.;Berdnikova,T.F;Olsufyeva,E.N.;Pavlov,A.Y.;Reznikova,M.I.;Preobrazhenskaya,M.N.;Ciabatti,R.;Malabarba,A.;Colombo,L. [A Modification of the N−Terminal Amino Acod in the Eremomycin Aglycine(エレモマイシンアグリコンのN末端アミノ酸の修飾)],J.Antibiot.1996,49,1157−1161に記載の通りエレモマイシンアグリコンから得た。
テイコプラニンアグリコンはMalabarba,A.et alの記載の通り得た(Malabarba,A.;Ferrari,P,;Gallo,G.G.;Ketternring,J:Cavalleri,B.Teicoplanin, Antibotics from Actinoplanes teichomyceticus nov.sp.VII. Preparation and NMR Characteristics of the Aglycone of Teicoplanin. J.Antibiotics 1986,39,1430−1442)。テイコプラニンアグリコンの原料化合物N末端フェニルチオヒダントイン誘導体はテイコプラニンアグリコンのエドマン分解により得た。Py/H2Oの混合物(6:1,4ml)中のテイコプラニンアグリコン(100mg、〜0.08ミリモル)の溶液に、トリエチルアミン(0.26ml、2ミリモル)およびPhNCS(0.02ml、〜0.16ミリモル)をアルゴン下に室温で添加した。反応混合物を16時間攪拌し、次にH2O8mlを添加し、反応混合物をn−BuOHと共に蒸発乾固させた。沈殿を0〜5℃のTFA−CH2Cl2の1:1混合物(3ml)に溶解し、次にこの温度で1時間攪拌した。次に水(3ml)を添加し、混合物を25%NH4OHで中和し、EtOAc(3ml×3)で洗浄し、水性の画分をn−BuOHを添加しながら真空下に濃縮し、予め0.01M酢酸で平衡化しておいたシラン化シリカゲル(2×100cm)のカラムに適用した。流量30ml/hでカラムを酢酸で溶離することによりテイコプラニンアグリコンのN末端フェニルチオヒダントイン誘導体である化合物を溶出させた。画分をあわせ、真空下にn−BuOHを添加しながら濃縮し、アセトン(50ml)を添加して得られた沈殿を濾過し、アセトンで洗浄し、乾燥して68mg(54%)を得た。
得られた化合物の均質性、純度および同定はHPLCおよびESI質量スペクトルにより評価した。分析用の逆相HPLCをLC10シリーズのShimadzuHPLC機材において、Diasorb C16カラム(粒径7μm)上で行い、注入量10μL、波長280nmで分析した。試料の濃度は0.05〜0.2mg/mlとした。2つの溶媒系を用いて最終化合物をコントロールした。即ち、溶媒系AはpH3.75の0.1M NH42PO4およびアセトニトリルよりなり、アセトニトリルの比率を15分間で15から40%まで直線的に増加させ、その後アセトニトリルの比率を25分間一定に保持し、流量は1.0ml/分とした。溶媒系Bは0.2%HCOONH4および45%アセトニトリルよりなり、流量は0.07ml/分とした。質量スペクトルは電子スプレーイオン化(ESI)により、Finnigan SSQ7000単四重極質量分析計上で測定した。供した全化合物について、ESI質量スペクトルのデータは計算値に相当した。
当業者の知るとおり、類似の化合物は原料、中間体、溶媒、条件を変えながら上記した方法において例示したものと同様にして合成される。
抗ウイルス(HIV、BVDV、HCV,HSV、VZV、CMV、FCV、SARS)および細胞増殖抑制活性の測定方法
抗HIV活性試験
CEMまたはC8166またはMolt4/C8細胞におけるHIV−1(III、HE、HN)およびHIV−2(ROD、EHO、RF)誘導細胞障害性の抑制をml当たり100CCID50のHIVで感染させた〜3×105CEM細胞/mlを有し被験化合物の適切な希釈度を有する96穴マイクロプレート中で測定した。CO2制御湿潤雰囲気下に37℃で4〜5日間インキュベートした後、CEM、C8166またはMolt4/C8の巨細胞(シンシチウム)の形成を顕微鏡で調べた。EC50(50%有効濃度)はHIV誘発巨細胞形成を50%抑制するために必要な化合物の濃度として定義した。
細胞増殖抑制活性試験
全試験とも96穴のマイクロプレートにおいて行った。各ウェルに5〜7.5x104個の細胞および所定量の被験化合物を添加した。細胞を湿潤化されたCO2制御雰囲気下、37℃で48時間(ネズミ白血病L1210)または72時間(ヒトリンパ球CEMおよびMolt4/クローン8)増殖させた。インキュベーション期間の終了時に、細胞をコールターカウンターで計数した。IC50(50%抑制濃度)は細胞数を50%低減させた化合物の濃度として定義した。
抗BVDV試験
細胞およびウイルス:Madin−Darbyウシ腎(MDBK)細胞を湿潤化5%CO2雰囲気下37℃でBVDV非含有5%ウシ胎児血清(DMEM−FCS)を添加したダルベッコの変性イーグル培地(DMEM)中に維持した。BVDV−1(PE515株)を用いてMDBK細胞における抗ウイルス活性を測定した。ベロ細胞(ATCCCCL81)を10%不活性化ウシ血清、1%L−グルタミンおよび0.3%重炭酸塩を添加したMEM培地中に維持した。
抗BVDV試験:96穴の細胞培養プレートにDMEM−FCS中MDBK細胞を24時間後にコンフルエントとなるように播種した。次に培地を除去し、被験化合物の連続5倍希釈物を総量100μlとなるように添加し、その後ウイルス接種液(100ul)を各ウェルに添加した。使用したウイルス接種液は37℃で5日間インキュベートした後に細胞単層の90%超の破壊をもたらした。未感染細胞および化合物非存在下でウイルスを与えた細胞を各試験プレートに含めた。5日後、培地を除去し、DMEM−FCS90μlおよびMTS/PMS溶液(Promega)10ulを各ウェルに添加した。37℃で2時間インキュベートした後、ウェルの光学密度をマイクロプレートリーダー中498nmで読み取った。50%有効濃度(EC50)値はウイルス誘発細胞障害作用から細胞単層の50%を保護する化合物の濃度として定義した。
抗HCV試験/レプリコン試験
Huh−5−2細胞[持続性HCVレプリコンI389luc−ubi−neo/NS3−3’/5.1を有する細胞株;ホタルルシフェラーゼ−ユビキチン−ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ融合蛋白およびEMCV−IRES駆動NS3−5BHCVポリ蛋白を有するレプリコン]を10%ウシ胎児結成、2mM L−グルタミン(Life Technologies)、1×非必須アミノ酸(Life Technologies);100IU/mlペニシリンおよび100ug/mlストレプトマイシンおよび250ug/mlG418(ゲネチシン、Life Technologies)を添加したRPMI培地(Gibco)中で培養する。細胞は種々の密度、特にG418を除き、上記した同様の成分を含む培地中、96穴ViewPlate(登録商標)(Packard)中でウェル当たり7000個の密度で播種する。次に細胞を付着させ、24時間増殖させる。この時点で、培地を除き、被験化合物の連続希釈物をG418を除いた培地中に添加する。インターフェロンα2a(500IU)を陽性対照として使用する。プレートを更に37℃5%CO2条件下に72時間インキュベートする。Huh−5細胞中のH
CVレプリコンの複製により細胞にルシフェラーゼ活性が生じる。ルシフェラーゼ活性は15分間1×Glo−lysis緩衝液(Promega)50μl、次いでSteady−Gloルシフェラーゼ試験試薬(Promega)50μlを添加することにより測定する。ルシフェラーゼ活性はルミノメーターを用いて測定し、個々のウェルのシグナルを未投与培養物の比率として表示する。伝統的な96穴の細胞培養プレート(Becton−Dickinso)のウェル当たり7000個の細胞密度となるように播種したHuh−5−2細胞の並行培養物をGlo−lysis緩衝液またはSteady−Gloルシフェラーゼ試薬を添加しない以外は同様の操作により投与する。ここでは培養物の密度はMTS法(Promega)を用いて測定する。
抗コクサッキーウイルス試験
96穴の細胞培養蛋白に10ウシ胎児血清(FCS)を含有するDMEM倍地中のベロ細胞を24〜48時間後にコンフルエントとなるように播種する。次に培地を除去し、被験化合物の連続5倍希釈物を総量100ulとなるように添加し、その後ウイルス接種液(100μl)を各ウェルに添加した。使用したウイルス接種液は37℃で5日間インキュベートした後に通常は細胞単層の90〜100%の破壊をもたらす。未感染細胞および化合物非存在下でウイルスを与えた細胞を各試験プレートに含めた。5日後、培地を除去し、DMEM−FCS90μlおよびMTS/PMS溶液(Promega)10ulを各ウェルに添加した。37℃で2時間インキュベートした後、ウェルの光学密度をマイクロプレートリーダー中498nmで読み取った。50%有効濃度(EC50)値はウイルス誘発細胞障害作用から細胞単層の50%を保護する化合物の濃度として定義した。
抗単純疱疹ウイルス、水痘−帯状疱疹ウイルスおよびサイトメガロウイルス試験
HSV−1、HSV−2、VZV、CMVの抗ウイルス試験はHEL細胞培養物におけるウイルス誘発細胞障害性の抑制に基づくものとした。96穴マイクロプレート中のコンフルエントの細胞培養物に100CCID50のウイルスを播種した。ここで1CCID50は細胞培養物の50%を感染させるために必要なウイルス用量である。1〜2時間のウイルス吸着期間の後、残存するウイルスを除去し、細胞培養物を被験化合物の種々の濃度の存在下にインキュベートした。ウイルスの細胞障害性は、それが被験化合物を投与しない対照のウイルス感染細胞培養物において終了した直後に記録した。
ネココロナウイルス試験
ネコCrandel腎細胞を24000細胞/ウェルの密度で96穴のマイクロプレート中に播種した。次に、24時間後、FCVの適切な接種物を被験化合物の5倍希釈物と共に添加する。4日後、MTS/PMS溶液を各ウェルに添加した。37℃で90分のインキュベート期間の後、ウェルの光学密度をマイクロプレートリーダー中で498nmで読み取った。
SARSウイルス試験
ベロ細胞を96穴のマイクロプレートに播種し、コンフルエントとなるまで生育させた。次に72時間以内に細胞培養物を殺傷することが可能な(細胞障害性の)SARSウイルスの適切な接種物を被験化合物の5倍希釈物と共に添加する。3日後、MTS/PMS溶液を各ウェルに添加した。37℃で3時間のインキュベート期間の後、ウェルの光学密度をマイクロプレートリーダー中で498nmで読み取った。
本発明の化合物の抗HIV活性の評価
バンコマイシン、エレモマイシンおよびテイコプラニンおよびそのアグリコン誘導体の種々のグリコペプチド抗生物質誘導体のHIV−1(III)およびHIV−2(ROD)に対する抑制活性をCEM細胞培養物中で評価した。
例えばバンコマイシン誘導体1および2はそれぞれ5.5および12μMのEC50でHIV−1に対して抑制性を示した。エレモマイシン誘導体5は100倍高値の濃度(IC50:40μM)でCEM細胞に対して細胞毒性であるHIV−1複製に対して極めて抑制的であった(EC50:0.43μM)。
別の例として、エレモマイシンアグリコン誘導体6〜8は全て3.5〜12μMの範囲のEC50値でHIV−1およびHIV−2の両方を一貫して抑制した。これはエレモマイシンアグリコンに関して必要とされる濃度より少なくとも15〜20倍低値である化合物濃度である。これらは非毒性であった(CEM細胞に対してIC50>100μM)。デス−(N−メチル−D−ロイシル)−エレモマイシンアグリコン9はHIV(13〜20μM)に対しても活性であり、250μMで非毒性であった(スキーム1、表1)。
別の例は3.5〜12μMの抗HIV−1活性を示した環6においてN’−アシル置換基およびマンノース部分を含まない抗生物質A40926誘導体10〜14である。他の例はHIV−2よりもHIV−1に対してより僅かにより高活性である傾向を示した顕著な抗HIV−1および抗HIV−2活性を示したテイコプラニンアグリコン誘導体である。最も高活性の同族体は1.3〜4.5μMの範囲でHIV−1に対して抑制性を示した(化合物15、19、21、22、25、27、31、23、35〜40、42および52)。その多く、即ち52、31、19、15は100〜500μMで細胞毒性ではなかった。このことは、最も選択的な化合物19および31は200以上の選択性指数(IC50/EC50の比)を有することを意味する。テイコプラニンアグリコンもまた抗HIV活性を示したが、誘導体が未置換のテイコプラニンアグリコンよりも進歩した活性を示した(EC50:17〜20μM;IC50>500μM)。
別の例は環系1および3を有さず、2個のみのマクロ環構造を有する化合物53および54を含み、17〜37μMのEC50でHIV−1およびHIV−2に対する活性を示した。更にまた、化合物55はHIV−1およびHIV−2に対してそれぞれ13および17μMの抗ウイルス活性を示した。
一般的に、バンコマイシン、エレモマイシンおよびテイコプラニンのアグリコン誘導体では、そのグリコシル化親化合物と比較して抗HIV活性が増大している。更にまた、アグリコン誘導体の親油性を増大させるバンコマイシン、エレモマイシンおよびテイコプラニンのアグリコン上の置換基は化合物の抗HIV活性を顕著に増大させている。一部の場合においては、単純なアグリコンが既に測定可能な抗HIV活性を示しているが、原則として疎水性の誘導体はHIVに対して更に顕著な抑制性(10〜100倍)を示している。テイコプラニン誘導体のうち、低い疎水性および高い疎水性の化合物が共に明確な抗HIV活性を示している。
7種の化合物(6、19、30、31、35、46および51)につき種々の細胞株において種々のHIV株に対して評価したところ、細胞株またはウイルス株の性質に関わらず、全てが同様の抗ウイルス力価を維持していることがわかった。
添加時期に関する実験は高選択性化合物30について実施した。化合物30はウイルス吸着抑制剤デキストランスルフェートと同様、抗ウイルス活性の顕著な損失を伴うことなく感染後1時間より後に添加することはできない。一方、逆転写酵素阻害剤(AZT、ジドブジン)の投与はその抗ウイルス活性を失うことなく少なくとも3時間遅延できる。HIVの複製(感染)サイクルにおける極めて早期の事象はこれらのグリコペプチド抗生物質および新規な抗生物質誘導体の抗ウイルス標的である。これらの観察結果と合致して、化合物は、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)に対する耐性をもたらす逆転
写酵素における突然変異を含むHIV−1株に対する抗ウイルス効力を保持していた点が重要である。
物質15、19および35に対する耐性ウイルス科部を選択するための広範な試み(9週間以上)はヌクレオシドRT阻害剤(NRTI)−(即ちラミブジン)またはNNRTI−(即ちネビラピン)に耐性のウイルス科部の出現を容易にもたらした実験条件下では良好に行えなかった。
結論として、細胞培養物中のHIVに対して活性であり、選択性を有する修飾された抗生物質の新しいクラスが発見されている。これらの抗生物質誘導体の最も高作用のメンバーは1〜3μMのEC50を有し、そして、細胞培養物に対して非毒性であった(IC50≧200〜500μM)。その作用の抗ウイルス機序はHIVの感染サイクルの早期の事象(最も高い可能性として吸着および/または融合)に位置しており、そして抗細菌活性の分子機序とは明確に異なっている。化合物は効率的に薬剤耐性のHIV−1株を抑制し、そして、細胞培養物中に発生する耐性は生じにくい。従って、(親油性)のアグリコン抗生物質誘導体はHIV感染の治療のための重要な新しい抗レトロウイルス化合物である。更にまた、HIVの感染サイクルにおけるその早期の介入もまたこれらの化合物をHIV蔓延の予防のため[即ち、局所投与(即ち膣内投与)された場合の殺菌剤として]の潜在的候補薬剤としている。
一部のグリコペプチド抗生物質および誘導体の細胞増殖抑制および抗HIV活性
Figure 2006503015
Figure 2006503015
Figure 2006503015
種々の有効濃度、即ちHIV誘発細胞障害性を50%抑制するために必要な化合物の濃度
Figure 2006503015
CEM細胞培養物中の突然変異HIV−1に対する数種の化合物の抗HIV−1活性
Figure 2006503015
化合物の多くの他のウイルス(BVDV、HSV、FCV、CMV、VZV、SARSウイルス等)に対するその抗ウイルス活性に関する評価
数種のウイルスは糖部分をなお含んでいる抗生物質により抑制される。例えばバンコマイシン誘導体59は、その細胞増殖抑制濃度よりも50倍超の低濃度において、そしてその細胞毒性濃度よりも5〜20倍低濃度において、顕著な抗VZV活性(EC50:0.87〜0.89μM)を有していた(5〜7日間の試験)。化合物1はネコおよびヒトコロナウイルス(FCV)およびSARSウイルスに対してある程度の抗ウイルス活性を示した(EC50:30〜43μM)。一例として、エレモマイシン誘導体(3〜5および60
〜87)、68、76、77および81はVZVに対して活性(EC50:0.7〜7μM)を示した。化合物5、63および64はネコCrandel腎細胞(FCK)においてFCVに対して活性であり、5〜10および86および87の選択性はBVDVに対して明確に活性であることがわかった。テイコプラニン誘導体89および90は例えばVZVに対して活性であった(EC50:それぞれ1.1および50μM)。
バンコマイシン、エレモマイシン、リストマイシン、DA40およびテイコプラニンの種々の親油性アグリコン誘導体もまた製造して試験した。バンコマイシン型のアグリコンはVZVおよびFCVに対して顕著な活性を示した(即ち化合物6、7、8、98(VZV)および化合物5、7、9、13、99、100、101および109(FCV)。化合物98も例えば、抗ヘルペスウイルス活性を有する(EC50HSV−1およびHSV−2:2〜24μM)。テイコプラニンアグリコンもまたVZV(即ち113、121〜128、137、143、145、146)、HSV(即ち132および146、HSV−1およびHSV−2の両方に対する)、BVDV(即ち126)およびFCV(即ち125、157〜163、165〜167)に対する活性を有する。全ての抗生物質ウイルス活性はそれぞれの細胞培養物中で毒性未満の濃度において観察された。アミノ酸1および2の間の中断された結合またはアミノ酸6および7の間の中断された結合を有するアミノ酸1および3が除去されたテイコプラニンアグリコン誘導体もまたFCVに対する活性を示した。2種の野生型VZV株に対して活性であった全ての化合物は2種のチミジンキナーゼ欠損(株07/1およびYS/R)VZV株に対しても等しい抑制作用を示した。抗ウイルス活性の別の例は例えば化合物21、25、26、27、31、59、124および125の抗CMV活性を含む。
結論として、検討したグリコペプチド抗生物質誘導体のうち、多くの化合物が数種のDNAウイルス(即ち単純疱疹ウイルス、サイトメガロウイルスおよび水痘−帯状疱疹ウイルス)およびRNAウイルス(即ちHIV、BVDV(C型肝炎ウイルスと同じファミリーに属するウイルス)およびFCV(ヒトSARSコロナウイルスと同じファミリーに属するネココロナウイルス)に対して抑制活性を有していた。更にまた、FCVに対して活性であることがわかった殆どの化合物がやはりSARSウイルスに対しても抑制性であった。
細胞培養物中の数種の化合物の抗HSV活性並びにその細胞障害/細胞毒性活性
Figure 2006503015
細胞培養物中の数種の化合物の抗VZV活性並びにその細胞障害/細胞毒性活性
Figure 2006503015
Figure 2006503015
細胞培養物中の数種の化合物の抗CMV活性並びにその細胞障害/細胞毒性活性
Figure 2006503015
細胞培養物中の一部の選択された化合物(86、87および126)の抗BVDVおよび細胞障害/細胞毒性活性
Figure 2006503015
細胞培養物中の数種の化合物の抗FCV、抗SARSウイルスおよび細胞障害/細胞毒性活性
Figure 2006503015

Claims (22)

  1. ウイルス感染の治療または予防のための医薬の製造のための、グリコペプチド抗生物質およびその誘導体の使用。
  2. 該ウイルス感染がレトロウイルス科、フラビウイルス科、ヘルペスウイルス科またはコロナウイルス科のファミリーに属するウイルスの感染である、請求項1記載の使用。
  3. 該ウイルス感染がヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、SARS誘発ウイルス、単純疱疹ウイルス(HSV−1または2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)、ネココロナウイルス(FCV)またはウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)の感染である、請求項1記載の使用。
  4. 該グリコペプチド抗生物質がバンコマイシン、テイコプラニン、エレモマイシン、クロロエレモマイシン、デクロロエレモマイシン、リストマイシン、DA40926およびデマンノシル−DA40926から選択される、請求項1〜3記載の使用。
  5. 該グリコペプチド抗生物質がテイコプラニンおよびエレモマイシンから選択される、請求項1〜3記載の使用。
  6. 該グリコペプチド抗生物質またはその誘導体が下記式Z:
    Figure 2006503015
    式中、
    − R21およびR22は一緒になってCHNH(CO)(CH2nCHR1NH(CO)RCHまたは下記式A:
    Figure 2006503015
    で示される構造であるか、または、R21とR22が一緒にならない場合は、R21はRを示し、そしてR22は−Rc−R5cを示し;
    − 各b1およびb2は独立して非存在であるかまたは付加結合を示すが、b1およびb2は同時に付加結合ではなく、R0はb2が付加結合を示す場合は非存在であり、そしてb2が非存在である場合は水素を示し、R6はb1が付加結合を示す場合は非存在を示し、そしてb1が非存在を示す場合は水素を示し、b1およびb2が各々非存在を示す場合はR6はR6aを示しそしてR0は水素を示し;
    − b3は非存在または付加結合を示し、Ra−−−R5aはb3が付加結合を示す場合は式CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2zN(R11a)COの基を示し、そしてb3が非存在である場合はRaはRでありそしてR5aはR5であり、ここでzは0、1、2、3または4であり;
    − b4は非存在または付加結合を示し、Rb−−−R5bはb4が付加結合を示す場合は式CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2pN(R11a)COの基を示し、そしてb4が非存在である場合はRbはRでありそしてR5bはR5であり、ここでpは0、1、2、3または4であり;
    − 各b5、b6およびb7は独立して非存在または付加結合を示し;Yは酸素を示し、R0aは水素を示し、そしてRdはb5およびb7が非存在を示しb6が付加結合を示す場合はRまたは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、b6が非存在を示し、そしてb5が付加結合を示す場合はR0aは非存在を示し、Rd−−−Yは式CHN=C(NR11)OまたはCHNHCON(R11)の基を示し、b5、b6およびb7がそれぞれ非存在を示す場合はYおよびR0aは各々水素を示し、そしてRdは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、ここでqは0、1、2または3であり、そしてnは0、1、2または3であり;
    − 各X1、X2、X3、X4、X5、X7およびX9は独立して水素、ハロゲンおよびX6から選択され;
    − X6は水素、ハロゲン、SO3H、OH、NO、NO2、NHNH2、NHN=CHR11、N=NR11、CHR1113、CH2N(R3)R11、R5、R11およびR13よりなる群から選択され、ここでR3は7番目のアミノ酸のフェノール性ヒドロキシル基に結合したCH2であり;
    − X8は水素およびアルキルから選択され;
    − RcはRを示しそしてR5cはR5を示し;
    − RはCHR13およびR14から選択され;
    − R1は水素、R11、(CH2tCOOH、(CH2tCONR1112、(CH2tCOR13、(CH2tCOOR11、COR15、(CH2tOH、(CH2tCN、(CH2t13、(CH2tSCH3、(CH2tSOCH3、(CH2tS(O)2CH3、(CH2tフェニル(m−OH、p−CI)、(CH2tフェニル(o−X7、m−OR10、p−X8)−[O−フェニル(o−OR9、m−X9、m−R16)]−mから選択され、こ
    こでtは0、1、2、3または4であり;
    − 各R2およびR4は独立して水素、R12およびR17から選択され;
    − R3は水素、R12、R17およびSugから選択され;
    − R5はCOOH、COOR11、COR13、COR15、CH2OH、CH2ハロゲン、CH213、CHO、CH=NOR11、CH=NNR1112およびC=NNHCONR1112から選択され;
    − R6aはOR12、OR17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
    − R7は水素、R12、R17、Sugおよびアルキル−Sug、アルケニル−Sug、アルキニル−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
    − R8は水素、R12、R17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
    − R9は水素、R12、R17またはSugから選択され;
    − R10は水素、R12、R17またはSugから選択され、ここでSugはいずれかの環状または非環状の炭水化物であり;
    − 各R11、R11aおよびR11bは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、複素環、アルキルホスホネートおよび未置換であるかアルキル、アルケニルまたはアルキニルでアミドにおいて置換されたアルキルホスホンアミドから選択され、ここで各アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R12およびR12aは独立して水素、アシル、アミノ保護基、カルバモイル、チオカルバモイル、SO211、S(O)R11、COR13−R18、COCHR18N(NO)R11、COCHR18NR1112およびCOCHR18+1111a11b、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環よりなる群から選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R13は水素、NHR12a、NR1112、NR11Sug、N+1111a11b、R15、NR11C(R11a11b)COR15および式N−A−N+−Aの基よりなる群から選択され、ここでAは−CH2−B−CH2−であり、そしてBは−(CH2m−D−(CH2r−であり、ここでmおよびrは1〜4であり、そしてDはO、S、NR12、N+1111aであり;
    − R14はCH2、C=O、CHOH、C=NOR11、CHNHOR11、C=NNR1112、C=NNHCONR1112およびCHNHNR1112であり;
    − R15はN(R11)NR11a12、N(R11)OR11a、NR11C(R11a11b)COR13から選択され;
    − R16は式R−R5の基またはCH(NH2)CH2OHから選択され;
    − R17はSO3H、SiR1111a11b、SiOR11OR11aOR11b、PR1111a、P(O)R1111a、P+1111a11bから選択され;
    − R18は水素、R1、アルキル、アリール、フェニル−ラムノース−p、フェニル−(ラムノース−ガラクトース)−p、フェニル−(ガラクトース−ガラクトース)−p、フェニル−O−メチルラムノース−pから選択され、ここで各アルキルおよびアリールは1
    個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R19は水素、ハロゲン、SH、SR20、OH、OR20、COOH、COR20、COOR20、NO2、NH2、N(R202NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、N=NR20、N=NR12、SOR20、SO220、PO2OR20、PO2N(R202、B(OH)2、B(OR202、CO、CHO、O−Sug、NR20−Sug、R20、R12、R17およびR18から選択され、そして各R19は1個以上のR20で置換されていることができ;
    − R20は水素、ハロゲン、SH、OH、COOH、NO2、NH2、NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環から選択される]のものである、請求項1〜3記載の使用。
  7. 請求項1〜3記載の使用であって、該グリコペプチド抗生物質またはその誘導体が、下記式I、IIまたはIII:
    Figure 2006503015
    式中、
    − 各b1およびb2は独立して非存在であるかまたは付加結合を示すが、b1およびb2は同時に付加結合ではなく、R0はb2が付加結合を示す場合は非存在であり、そしてb2が非存在である場合は水素を示し、R6はb1が付加結合を示す場合は非存在を示し、そしてb1が非存在を示す場合は水素を示し、b1およびb2が各々非存在を示す場合はR6はR6aを示しそしてR0は水素を示し;
    − b3は非存在または付加結合を示し、Ra−−−R5aはb3が付加結合を示す場合は式CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2zN(R11a)COの基を示し、そしてb3が非存在である場合はRaはRでありそしてR5aはR5であり、ここでzは0、1、2、3または4であり;
    − b4は非存在または付加結合を示し、Rb−−−R5bはb4が付加結合を示す場合は式CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2pN(R11a)COの基を示し、そしてb4が非存在である場合はRbはRでありそしてR5bはR5であり、ここでpは0、1、2、3または4であり;
    − 各b5、b6およびb7は独立して非存在または付加結合を示し;Yは酸素を示し、R0aは水素を示し、そしてRdはb5およびb7が非存在を示しb6が付加結合を示す場合はRまたは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、b6が非存在を示し、そしてb5が付加結合を示す場合はR0aは非存在を示し、Rd−−−Yは式CHN=C(NR11)OまたはCHNHCON(R11)の基を示し、b5、b6およびb7がそれぞれ非存在を示す場合はYおよびR0aは各々水素を示し、そしてRdは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、ここでqは0、1、2または3であり、そしてnは0、1、2または3であり;
    − 各X1、X2、X3、X4、X5、X7およびX9は独立して水素、ハロゲンおよびX6から選択され;
    − X6は水素、ハロゲン、SO3H、OH、NO、NO2、NHNH2、NHN=CHR11、N=NR11、CHR1113、CH2N(R3)R11、R5、R11およびR13よりなる群から選択され、ここでR3は7番目のアミノ酸のフェノール性ヒドロキシル基に結合したCH2であり;
    − X8は水素およびアルキルから選択され;
    − RcはRを示しそしてR5cはR5を示し;
    − RはCHR13およびR14から選択され;
    − R1は水素、R11、(CH2tCOOH、(CH2tCONR1112、(CH2tCOR13、(CH2tCOOR11、COR15、(CH2tOH、(CH2tCN、(CH2t13、(CH2tSCH3、(CH2tSOCH3、(CH2tS(O)2CH3、(CH2tフェニル(m−OH、p−CI)、(CH2tフェニル(o−X7、m−OR10、p−X8)−[O−フェニル(o−OR9、m−X9、m−R16)]−mから選択され、ここでtは0、1、2、3または4であり;
    − 各R2およびR4は独立して水素、R12およびR17から選択され;
    − R3は水素、R12、R17およびSugから選択され;
    − R5はCOOH、COOR11、COR13、COR15、CH2OH、CH2ハロゲン、CH213、CHO、CH=NOR11、CH=NNR1112およびC=NNHCONR1112から選択され;
    − R6aはOR12、OR17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
    − R7は水素、R12、R17、Sugおよびアルキル−Sug、アルケニル−Sug、アルキニル−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
    − R8は水素、R12、R17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
    − R9は水素、R12、R17またはSugから選択され;
    − R10は水素、R12、R17またはSugから選択され、ここでSugはいずれかの環状または非環状の炭水化物であり;
    − 各R11、R11aおよびR11bは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、複素環、アルキルホスホネート(例えばアルキレンPO2OH)および未
    置換であるかアルキル、アルケニルまたはアルキニルでアミドにおいて置換されたアルキルホスホンアミド(例えばアルキレンPO2NH2)から選択され、ここで各アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R12およびR12aは独立して水素、アシル、アミノ保護基、カルバモイル、チオカルバモイル、SO211、S(O)R11、COR13−R18、COCHR18N(NO)R11、COCHR18NR1112およびCOCHR18+1111a11b、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環よりなる群から選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R13は水素、NHR12a、NR1112、NR11Sug、N+1111a11b、R15、NR11C(R11a11b)COR15および式N−A−N+−Aの基よりなる群から選択され、ここでAは−CH2−B−CH2−であり、そしてBは−(CH2m−D−(CH2r−であり、ここでmおよびrは1〜4であり、そしてDはO、S、NR12、N+1111aであり;
    − R14はCH2、C=O、CHOH、C=NOR11、CHNHOR11、C=NNR1112、C=NNHCONR1112およびCHNHNR1112であり;
    − R15はN(R11)NR11a12、N(R11)OR11a、NR11C(R11a11b)COR13から選択され;
    − R16は式R−R5の基またはCH(NH2)CH2OHから選択され;
    − R17はSO3H、SiR1111a11b、SiOR11OR11aOR11b、PR1111a、P(O)R1111a、P+1111a11bから選択され;
    − R18は水素、R1、アルキル、アリール、フェニル−ラムノース−p、フェニル−(ラムノース−ガラクトース)−p、フェニル−(ガラクトース−ガラクトース)−p、フェニル−O−メチルラムノース−pから選択され、ここで各アルキルおよびアリールは1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R19は水素、ハロゲン、SH、SR20、OH、OR20、COOH、COR20、COOR20、NO2、NH2、N(R202NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、N=NR20、N=NR12、SOR20、SO220、PO2OR20、PO2N(R202、B(OH)2、B(OR202、CO、CHO、O−Sug、NR20−Sug、R20、R12、R17およびR18から選択され、そして各R19は1個以上のR20で置換されていることができ;
    − R20は水素、ハロゲン、SH、OH、COOH、NO2、NH2、NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環から選択される]のものである、上記使用。
  8. ウイルス感染の治療および予防のための医薬の製造のための、グリコペプチド抗生物質誘導体の使用。
  9. 請求項1〜7記載の使用であって、該グリコペプチドまたはその誘導体が本出願の記載におけるコード1〜172を有する化合物よりなる群から選択される、上記使用。
  10. 下記式I、IIまたはIII:
    Figure 2006503015
    式中、
    − 各b1およびb2は独立して非存在であるかまたは付加結合を示すが、b1およびb2は同時に付加結合ではなく、R0はb2が付加結合を示す場合は非存在であり、そしてb2が非存在である場合は水素を示し、R6はb1が付加結合を示す場合は非存在を示し、そしてb1が非存在を示す場合は水素を示し、b1およびb2が各々非存在を示す場合はR6はR6aを示しそしてR0は水素を示し;
    − b3は非存在または付加結合を示し、Ra−−−R5aはb3が付加結合を示す場合は式CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2zN(R11a)COの基を示し、そしてb3が非存在である場合はRaはRでありそしてR5aはR5であり、ここでzは0、1、2、3または4であり;
    − b4は非存在または付加結合を示し、Rb−−−R5bはb4が付加結合を示す場合は式
    CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2pN(R11a)COの基を示し、そしてb4が非存在である場合はRbはRでありそしてR5bはR5であり、ここでpは0、1、2、3または4であり;
    − 各b5、b6およびb7は独立して非存在または付加結合を示し;Yは酸素を示し、R0aは水素を示し、そしてRdはb5およびb7が非存在を示しb6が付加結合を示す場合はRまたは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、b6が非存在を示し、そしてb5が付加結合を示す場合はR0aは非存在を示し、Rd−−−Yは式CHN=C(NR11)OまたはCHNHCON(R11)の基を示し、b5、b6およびb7がそれぞれ非存在を示す場合はYおよびR0aは各々水素を示し、そしてRdは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、ここでqは0、1、2または3であり、そしてnは0、1、2または3であり;
    − 各X1、X2、X3、X4、X5、X7およびX9は独立して水素、ハロゲンおよびX6から選択され;
    − X6は水素、ハロゲン、SO3H、OH、NO、NO2、NHNH2、NHN=CHR11、N=NR11、CHR1113、CH2N(R3)R11、R5、R11およびR13よりなる群から選択され、ここでR3は7番目のアミノ酸のフェノール性ヒドロキシル基に結合したCH2であり;
    − X8は水素およびアルキルから選択され;
    − RcはRを示しそしてR5cはR5を示し;
    − RはCHR13およびR14から選択され;
    − R1は水素、R11、(CH2tCOOH、(CH2tCONR1112、(CH2tCOR13、(CH2tCOOR11、COR15、(CH2tOH、(CH2tCN、(CH2t13、(CH2tSCH3、(CH2tSOCH3、(CH2tS(O)2CH3、(CH2tフェニル(m−OH、p−CI)、(CH2tフェニル(o−X7、m−OR10、p−X8)−[O−フェニル(o−OR9、m−X9、m−R16)]−mから選択され、ここでtは0、1、2、3または4であり;
    − 各R2およびR4は独立して水素、R12およびR17から選択され;
    − R3は水素、R12、R17およびSugから選択され;
    − R5はCOOH、COOR11、COR13、COR15、CH2OH、CH2ハロゲン、CH213、CHO、CH=NOR11、CH=NNR1112およびC=NNHCONR1112から選択され;
    − R6aはOR12、OR17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
    − R7は水素、R12、R17、Sugおよびアルキル−Sug、アルケニル−Sug、アルキニル−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
    − R8は水素、R12、R17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
    − R9は水素、R12、R17またはSugから選択され;
    − R10は水素、R12、R17またはSugから選択され、ここでSugはいずれかの環状または非環状の炭水化物であり;
    − 各R11、R11aおよびR11bは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、複素環、アルキルホスホネート(例えばアルキレンPO2OH)および未置換であるかアルキル、アルケニルまたはアルキニルでアミドにおいて置換されたアルキ
    ルホスホンアミド(例えばアルキレンPO2NH2)から選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R12およびR12aは独立して水素、アシル、アミノ保護基、カルバモイル、チオカルバモイル、SO211、S(O)R11、COR13−R18、COCHR18N(NO)R11、COCHR18NR1112およびCOCHR18+1111a11b、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環よりなる群から選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R13は水素、NHR12a、NR1112、NR11Sug、N+1111a11b、R15、NR11C(R11a11b)COR15および式N−A−N+−Aの基よりなる群から選択され、ここでAは−CH2−B−CH2−であり、そしてBは−(CH2m−D−(CH2r−であり、ここでmおよびrは1〜4であり、そしてDはO、S、NR12、N+1111aであり;
    − R14はCH2、C=O、CHOH、C=NOR11、CHNHOR11、C=NNR1112、C=NNHCONR1112およびCHNHNR1112であり;
    − R15はN(R11)NR11a12、N(R11)OR11a、NR11C(R11a11b)COR13から選択され;
    − R16は式R−R5の基またはCH(NH2)CH2OHから選択され;
    − R17はSO3H、SiR1111a11b、SiOR11OR11aOR11b、PR1111a、P(O)R1111a、P+1111a11bから選択され;
    − R18は水素、R1、アルキル、アリール、フェニル−ラムノース−p、フェニル−(ラムノース−ガラクトース)−p、フェニル−(ガラクトース−ガラクトース)−p、フェニル−O−メチルラムノース−pから選択され、ここで各アルキルおよびアリールは1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R19は水素、ハロゲン、SH、SR20、OH、OR20、COOH、COR20、COOR20、NO2、NH2、N(R202NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、N=NR20、N=NR12、SOR20、SO220、PO2OR20、PO2N(R202、B(OH)2、B(OR202、CO、CHO、O−Sug、NR20−Sug、R20、R12、R17およびR18から選択され、そして各R19は1個以上のR20で置換されていることができ;
    − R20は水素、ハロゲン、SH、OH、COOH、NO2、NH2、NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環から選択される]の、グリコペプチド抗生物質誘導体。
  11. 請求項10記載の誘導体であって、ここで、
    − 各b1およびb2は非存在であり、R6はR6aを示し、そしてR0は水素を示し;
    − b3は付加結合を示し、Ra−−−R5aはCHNHCOを示し;
    − b4は非存在または付加結合を示し、Rb−−−R5bはb4が付加結合を示す場合は式CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2pN(R11a)COの基を示し、そしてb4が非存在である場合はRbはRでありそしてR5bはR5であり、ここでpは0、1、2、3または4であり;
    − 各b5、b6およびb7は独立して非存在または付加結合を示し;Yは酸素を示し、R0aは水素を示し、そしてRdはb5およびb7が非存在を示しb6が付加結合を示す場合はRまたは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2
    OH)の基を示し、b6が非存在を示し、そしてb5が付加結合を示す場合はR0aは非存在を示し、Rd−−−Yは式CHN=C(NR11)OまたはCHNHCON(R11)の基を示し、b5、b6およびb7がそれぞれ非存在を示す場合はYおよびR0aは各々水素を示し、そしてRdは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、ここでqは0、1、2または3であり、そしてnは0、1、2または3であり;
    − 各X1、X2、X3、X4、X5、X7およびX9は独立して水素およびハロゲンから選択され;
    − X6はCH213であり;
    − X8は水素およびメチルから選択され;
    − RcはRを示しそしてR5cはR5を示し;
    − RはCHR13であり;
    − R1は水素、R11、(CH2tCOOH、(CH2tCONR1112、(CH2tCOR13、(CH2tCOOR11、COR15、(CH2tOH、(CH2tCN、(CH2t13、(CH2tSCH3、(CH2tSOCH3、(CH2tS(O)2CH3、(CH2tフェニル(m−OH、p−CI)、(CH2tフェニル(o−X7、m−OR10、p−X8)−[O−フェニル(o−OR9、m−X9、m−R16)]−mよりなる群から選択され、ここでtは0、1、2、3または4であり;
    − 各R2およびR4は独立して水素、R12およびR17から選択され;
    − R3は水素、R12、R17、万の知るおよびI−アセチルマンノシルから選択され;
    − R5はCOOH、COOR11、COR13、COR15、CH2OH、CH2ハロゲン、CH213、CHO、CH=NOR11、CH=NNR1112およびC=NNHCONR1112から選択され;
    − R6aはOR12、OR17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており、そして、Sugはグルコシル、リストサミニル、N−アセチルグルコサミニル、4−エピ−バンコサミニル、3−エピ−バンコサミニル、バンコサミニル、アクチノサミニル、グルクロニル、4−オキソバンコサミニル、ウレイド−4−オキソバンコサミニルおよびその誘導体から選択され;
    − R7は水素、R12、R17、Sugおよびアルキル−Sug、アルケニル−Sug、アルキニル−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており、そして、Sugはグルコシル、マンノシル、リストサミニル、N−アシルグルコサミニル、N−アシルグルクロニル、グルコサミニル、グルクロニル、4−エピ−バンコサミニル、3−エピ−バンコサミニル、バンコサミニル、アクチノサミニル、アコサミニル、グルコシル−バンコサミニル、グルコシル−4−エピ−バンコサミニル、グルコシル−3−エピ−バンコサミニル、グルコシル−アコサミニル、グルコシル−リストサミニル、グルコシル−アクチノサミニル、グルコシル−ラムノシル、グルコシル−オリボシル、グルコシル−マンノシル、グルコシル−4−オキソバンコサミニル、グルコシル−ウレイド−4−オキソバンコサミニル、グルコシル(ラムノシル)−マンノシル−アラビノシル、グルコシル−2−O−Leuおよびその誘導体から選択され;
    − R8は水素、R12、R17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており、そして、Sugはマンノシル、ガラクトシルおよびガラクトシル−ガラクトシルから選択され;
    − R9は水素、R12、R17、ガラクトシルおよびガラクトシル−ガラクトシルから選択され;
    − R10は水素、R12、R17、マンノシルまたはフコシルから選択され;
    − 各R11、R11aおよびR11bは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環から選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R12は水素、アシル、アミノ保護基、カルバモイル、チオカルバモイル、SO211、S(O)R11、COR13−R18、COCHR18N(NO)R11、COCHR18NR1112およびCOCHR18+1111a11b、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環よりなる群から選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R12aは水素、COCHR18NR1112、COCHR18N(NO)R11、COCHR18+1111a11bおよびCOCHR1813よりなる群から選択され;
    − R13は水素、NHR12a、NR1112、NR11Sug、N+1111a11b、R15、NR11C(R11a11b)COR15および式N−A−N+−Aの基よりなる群から選択され、ここでAは−CH2−B−CH2−であり、そしてBは−(CH2m−D−(CH2r−であり、ここでmおよびrは1〜4であり、そしてDはO、S、NR12、N+1111aであり;
    − R14はCH2、C=O、CHOH、C=NOR11、CHNHOR11、C=NNR1112、C=NNHCONR1112およびCHNHNR1112であり;
    − R15はN(R11)NR11a12、N(R11)OR11a、NR11C(R11a11b)COR13から選択され;
    − R16は式R−R5の基またはCH(NH2)CH2OHから選択され;
    − R17はSO3H、SiR1111a11b、SiOR11OR11aOR11b、PR1111a、P(O)R1111a、P+1111a11bから選択され;
    − R18は水素、R1、CH3、CH2CH(CH32、フェニル(p−OH、m−CI)、フェニル−ラムノース−p、フェニル−(ラムノース−ガラクトース)−p、フェニル−(ガラクトース−ガラクトース)−p、フェニル−O−メチルラムノース−pから選択され;
    − R19は水素、ハロゲン、SH、SR20、OH、OR20、COOH、COR20、COOR20、NO2、NH2、N(R202NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、N=NR20、N=NR12、SOR20、SO220、PO2OR20、PO2N(R202、B(OH)2、B(OR202、CO、CHO、O−Sug、NR20−Sug、R20、R12、R17およびR18から選択され、そして各R19は1個以上のR20で置換されていることができ;
    − R20は水素、ハロゲン、SH、OH、COOH、NO2、NH2、NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環から選択される、上記誘導体。
  12. 請求項10および11記載の誘導体であって、誘導体が本出願の記載におけるコード1〜55で示される化合物の群の化合物ではない、上記誘導体。
  13. 本出願の記載におけるコード56〜172で示される化合物の群から選択される、請求項10および11記載の誘導体。
  14. 活性成分として請求項10記載のグリコペプチド抗生物質またはその誘導体を含む、組
    成物。
  15. 下記成分:
    a)請求項10記載の化合物1種以上、および、
    b)レトロウイルス、フラビウイルス、ヘルペスウイルスまたはコロナウイルスの酵素または侵入抑制剤を包含するウイルス感染の治療または予防において有効な化合物1種以上を該治療または予防において相乗作用が得られるような比率で含む、抗ウイルス感染の治療または予防において、個別に、複合的に、または逐次的に使用する、組成物。
  16. ウイルス感染の治療および予防のための、請求項14および15記載の組成物の使用。
  17. ウイルス感染の予防または治療のための医薬の製造のための、請求項10〜13のいずれか1項に記載の誘導体の使用。
  18. グリコペプチド抗生物質またはその誘導体1種以上の治療有効量をウイルス感染の予防または治療が必要な患者に投与することによる、対象または患者におけるウイルス感染の治療方法。
  19. 請求項18記載の方法であって、該グリコペプチド抗生物質または誘導体が式I、IIおよびIIIから選択され、該式中において、
    − 各b1およびb2は独立して非存在であるかまたは付加結合を示すが、b1およびb2は同時に付加結合ではなく、R0はb2が付加結合を示す場合は非存在であり、そしてb2が非存在である場合は水素を示し、R6はb1が付加結合を示す場合は非存在を示し、そしてb1が非存在を示す場合は水素を示し、b1およびb2が各々非存在を示す場合はR6はR6aを示しそしてR0は水素を示し;
    − b3は非存在または付加結合を示し、Ra−−−R5aはb3が付加結合を示す場合は式CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2zN(R11a)COの基を示し、そしてb3が非存在である場合はRaはRでありそしてR5aはR5であり、ここでzは0、1、2、3または4であり;
    − b4は非存在または付加結合を示し、Rb−−−R5bはb4が付加結合を示す場合は式CHN(R11)CO、CHN(R11)(CH2zN(R11a)COまたはCHN(R11)CO(CH2pN(R11a)COの基を示し、そしてb4が非存在である場合はRbはRでありそしてR5bはR5であり、ここでpは0、1、2、3または4であり;
    − 各b5、b6およびb7は独立して非存在または付加結合を示し;Yは酸素を示し、R0aは水素を示し、そしてRdはb5およびb7が非存在を示しb6が付加結合を示す場合はRまたは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、b6が非存在を示し、そしてb5が付加結合を示す場合はR0aは非存在を示し、Rd−−−Yは式CHN=C(NR11)OまたはCHNHCON(R11)の基を示し、b5、b6およびb7がそれぞれ非存在を示す場合はYおよびR0aは各々水素を示し、そしてRdは式(CH2qCON(R11)CH(CH2OH)(CH2qN(R12)CH(CH2OH)の基を示し、ここでqは0、1、2または3であり、そしてnは0、1、2または3であり;
    − 各X1、X2、X3、X4、X5、X7およびX9は独立して水素、ハロゲンおよびX6から選択され;
    − X6は水素、ハロゲン、SO3H、OH、NO、NO2、NHNH2、NHN=CHR11、N=NR11、CHR1113、CH2N(R3)R11、R5、R11およびR13よりなる群から選択され、ここでR3は7番目のアミノ酸のフェノール性ヒドロキシル基に結合したCH2であり;
    − X8は水素およびアルキルから選択され;
    − RcはRを示しそしてR5cはR5を示し;
    − RはCHR13およびR14から選択され;
    − R1は水素、R11、(CH2tCOOH、(CH2tCONR1112、(CH2tCOR13、(CH2tCOOR11、COR15、(CH2tOH、(CH2tCN、(CH2t13、(CH2tSCH3、(CH2tSOCH3、(CH2tS(O)2CH3、(CH2tフェニル(m−OH、p−CI)、(CH2tフェニル(o−X7、m−OR10、p−X8)−[O−フェニル(o−OR9、m−X9、m−R16)]−mから選択され、ここでtは0、1、2、3または4であり;
    − 各R2およびR4は独立して水素、R12およびR17から選択され;
    − R3は水素、R12、R17およびSugから選択され;
    − R5はCOOH、COOR11、COR13、COR15、CH2OH、CH2ハロゲン、CH213、CHO、CH=NOR11、CH=NNR1112およびC=NNHCONR1112から選択され;
    − R6aはOR12、OR17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
    − R7は水素、R12、R17、Sugおよびアルキル−Sug、アルケニル−Sug、アルキニル−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
    − R8は水素、R12、R17、OH、O−アルキル−Sug、O−アルケニル−Sug、O−アルキニル−SugおよびO−Sugから選択され、ここで各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは未置換であるか、または1個以上のR19またはSugで置換されており;
    − R9は水素、R12、R17またはSugから選択され;
    − R10は水素、R12、R17またはSugから選択され、ここでSugはいずれかの環状または非環状の炭水化物であり;
    − 各R11、R11aおよびR11bは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニおよび複素環から選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;− R12およびR12aは独立して水素、アシル、アミノ保護基、カルバモイル、チオカルバモイル、SO211、S(O)R11、COR13−R18、COCHR18N(NO)R11、COCHR18NR1112およびCOCHR18+1111a11b、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環よりなる群から選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環は1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R13は水素、NHR12a、NR1112、NR11Sug、N+1111a11b、R15、NR11C(R11a11b)COR15および式N−A−N+−Aの基よりなる群から選択され、ここでAは−CH2−B−CH2−であり、そしてBは−(CH2m−D−(CH2r−であり、ここでmおよびrは1〜4であり、そしてDはO、S、NR12、N+1111aであり;
    − R14はCH2、C=O、CHOH、C=NOR11、CHNHOR11、C=NNR1112、C=NNHCONR1112およびCHNHNR1112であり;
    − R15はN(R11)NR11a12、N(R11)OR11a、NR11C(R11a11b)COR13から選択され;
    − R16は式R−R5の基またはCH(NH2)CH2OHから選択され;
    − R17はSO3H、SiR1111a11b、SiOR11OR11aOR11b、PR1111a、P
    (O)R1111a、P+1111a11bから選択され;
    − R18は水素、R1、アルキル、アリール、フェニル−ラムノース−p、フェニル−(ラムノース−ガラクトース)−p、フェニル−(ガラクトース−ガラクトース)−p、フェニル−O−メチルラムノース−pから選択され、ここで各アルキルおよびアリールは1個以上のR19またはSugで置換されていることができ;
    − R19は水素、ハロゲン、SH、SR20、OH、OR20、COOH、COR20、COOR20、NO2、NH2、N(R202NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、N=NR20、N=NR12、SOR20、SO220、PO2OR20、PO2N(R202、B(OH)2、B(OR202、CO、CHO、O−Sug、NR20−Sug、R20、R12、R17およびR18から選択され、そして各R19は1個以上のR20で置換されていることができ;
    − R20は水素、ハロゲン、SH、OH、COOH、NO2、NH2、NHC(NH2)=NH、CH(NH2)=NH、NHOH、NHNH2、N3、NO、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび複素環から選択される、上記方法。
  20. 下記工程:
    a)グリコペプチド抗生物質またはその誘導体を準備すること、および、
    b)該化合物の抗ウイルス活性を測定すること、
    を含む、抗ウイルス化合物のスクリーニングの方法。
  21. 下記工程:
    a)グリコペプチド抗生物質またはその誘導体を準備すること、および
    b)該化合物の抗ウイルス活性および抗細菌活性および細胞毒性を測定すること、および、
    c)最高の抗ウイルス活性、最低の抗細菌活性および最低の細胞毒性を有する化合物を選択すること、
    を含む、抗ウイルスグリコペプチド抗体およびその誘導体を選択する方法。
  22. 医薬として使用するための、請求項10〜13の誘導体。
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