JP2006501838A - 安定化された裸dna組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、高分子凝縮剤を何ら使用せずにプラスミドDNAを二価カチオン及び凍結乾燥可能アルコールで凝縮することによるDNAの凝縮法に関する。本発明はまた、凝縮プラスミドDNAと凍結乾燥可能な水混和性アルコール及び二価カチオンのような担体とを含む水性組成物にも関する。
Description
発明の背景:
裸DNA送達システムを製薬分野に適用するには、製造工程中及び長期貯蔵時の両方でDNAの安定化を必要とする。DNAは不安定な分子で、加水分解や酸化経路による酵素分解及び化学分解だけでなく、剪断などによって誘導される機械的損傷も受けやすい。薬品製造時のDNAの加工は、DNAの安定性に影響を及ぼす多くの中剪断及び高剪断プロセスをもたらしうる。一つのそのようなプロセスは凍結乾燥時の凍結工程である。さらに、チュービング及びろ過時の乱流も、DNAが被る剪断応力を増大させる。DNA内で発生する何らかの鎖切断は薬品の品質及び性能に影響を及ぼすので、DNAの加工時に発生しうる剪断関連の損傷の可能性に対する取組みは不可欠である。
裸DNA送達システムを製薬分野に適用するには、製造工程中及び長期貯蔵時の両方でDNAの安定化を必要とする。DNAは不安定な分子で、加水分解や酸化経路による酵素分解及び化学分解だけでなく、剪断などによって誘導される機械的損傷も受けやすい。薬品製造時のDNAの加工は、DNAの安定性に影響を及ぼす多くの中剪断及び高剪断プロセスをもたらしうる。一つのそのようなプロセスは凍結乾燥時の凍結工程である。さらに、チュービング及びろ過時の乱流も、DNAが被る剪断応力を増大させる。DNA内で発生する何らかの鎖切断は薬品の品質及び性能に影響を及ぼすので、DNAの加工時に発生しうる剪断関連の損傷の可能性に対する取組みは不可欠である。
DNAを損傷から保護することは生体系における最重要課題である。自然界において、染色体のDNAの凝縮(condensation)及びパッケージングは、DNAのサイズを小さくするためだけでなく、何よりDNAを安定化させるために進化してきた。生体はそれらのDNAをパッケージングするための精巧なメカニズムを有しているが、各種の試薬を添加することによって、伸張したDNAのコンパクトな構造への同様の折畳みがインビトロでも見られる。カチオン脂質(Zhang、1997)、ペプチド(Wyman、1997)、及びカチオンポリマー(Ogris、1998)を含むこれらの多くの試薬は、非ウィルス性遺伝子療法におけるトランスフェクション剤として研究されてきた。これらの試薬は典型的には、DNAのアニオンホスフェート骨格とイオン対を形成する結果、DNAの凝縮を起こし、遺伝子送達に適したコンパクトな形態を提供する。さらに、ポリカチオン性凝縮剤は、DNAを核分解酵素及び超音波処理誘導性分解から保護することが示されている(Adami、1999)。しかしながら、それらの多くの利点にもかかわらず、高分子凝縮剤は、それらの細胞毒性(Wolfert、1996)及び補体活性化(Planck、1996)のために欠点のないものはなく、インビボで限られた成功しか収めていない。
最近、裸DNAの投与が、非ウィルス性遺伝子療法の好適なDNA送達法として一般に認められつつある。コンセプトはシンプルであるが、DNAのインビボ投与に極めて効果的である。裸DNAは典型的にはプラスミドDNAで、複合体化用の賦形剤を含まず、DNAを化学分解から保護する緩衝液中に製剤化される。ただし、一般的に室温での安定性を延長するために凍結乾燥もされる。製剤はシンプルであるが、最終薬品の製造には、製造時に直面しうる剪断応力に対して不安定な裸DNAを安定化させる必要がある。
発明の要旨:
本発明は、プラスミドDNAの二価カチオン及び凍結乾燥可能なアルコールによる凝縮を含む、高分子凝縮剤を何ら使用しないDNAの凝縮法に関する。
本発明は、プラスミドDNAの二価カチオン及び凍結乾燥可能なアルコールによる凝縮を含む、高分子凝縮剤を何ら使用しないDNAの凝縮法に関する。
本発明はまた、凝縮(condensed)プラスミドDNAと担体とを含む水性組成物(aquenous composition)にも関し、前記担体は、凍結乾燥可能な水混和性アルコール及び二価カチオンを含む。本発明の態様において、凍結乾燥可能な水混和性アルコールはtert−ブタノールである。本発明の別の態様において、tert−ブタノールの濃度は約15%〜約35体積%、更に好ましくは約17%〜約25体積%であり、特に好適な態様においてtert−ブタノールの濃度は約20体積%である。
本発明の別の態様において、二価カチオンはCa+2、Mg+2又はZn+2からなる群から選ばれ、好ましくは二価カチオンはCa+2であり、更に好ましくは二価カチオンはCa+2で、該Ca+2の濃度は約0.2〜約2millimolarである。なお更に好適な態様において、二価カチオンはCa+2で、該Ca+2の濃度は約1millimolarである。
本発明の別の態様において、二価カチオンはCa+2で、DNAの濃度は約10ug/mL〜約200ug/mLである。本発明の別の態様において、Ca+2のDNA−ホスフェートに対するモル比は約3である。本発明のさらに別の態様において、millimolar単位でのCa+2の濃度は約16*e(0.1386*t)(式中、tはtert−ブタノールの体積パーセント)であり、Ca+2の対イオンはクロリドであり、tert−ブタノールの濃度は約15%〜約35体積%である。
本発明の別の態様において、二価カチオンの対イオンはクロリドである。
本発明の別の態様において、DNAは、超音波処理によって誘導される剪断を含む剪断に対して安定である。本発明の態様において、プラスミドDNAは、50ワットのプローブ超音波処理装置を用いる60秒間の超音波処理後も無損傷のままである。本発明の別の態様において、超音波処理後のスーパーコイル(超らせん)状、開環状及び線状プラスミドDNAを合わせた合計パーセントはその初期値の90%より大きい。
本発明の別の態様において、DNAは、超音波処理によって誘導される剪断を含む剪断に対して安定である。本発明の態様において、プラスミドDNAは、50ワットのプローブ超音波処理装置を用いる60秒間の超音波処理後も無損傷のままである。本発明の別の態様において、超音波処理後のスーパーコイル(超らせん)状、開環状及び線状プラスミドDNAを合わせた合計パーセントはその初期値の90%より大きい。
本発明の態様において、凝縮体のDNAは本質的にトロイド形及びロッド形からなる。本発明の別の態様において、トロイド形は電子顕微鏡検査による測定で約10〜約500、好ましくは約50〜約100ナノメートルのメジアン粒径を示す。
本発明の態様において、凝縮体は双峰性の粒径分布を示す。本発明の別の態様において、凝縮体の粒径分布は、動的光散乱による測定で、約40〜約70ナノメートル及び約200〜約500ナノメートルの範囲にピークを示す。
本発明はまた、プラスミドDNAの凝縮法にも関し、該方法は、
(a)脱イオンプラスミドDNAの水性溶液(aquenous solution)を調製し;
(b)ステップ(a)の溶液に凍結乾燥可能な水混和性アルコールを加え;そして
(c)ステップ(b)の混合物に二価カチオンを加える
ことを含む。
(a)脱イオンプラスミドDNAの水性溶液(aquenous solution)を調製し;
(b)ステップ(a)の溶液に凍結乾燥可能な水混和性アルコールを加え;そして
(c)ステップ(b)の混合物に二価カチオンを加える
ことを含む。
本発明の方法の態様において、凍結乾燥可能な水混和性アルコールはtert−ブタノールである。本発明の方法の別の態様において、tert−ブタノールの濃度は約15%〜約35体積%、更に好ましくは約17%〜約25体積%であり、特に好適な態様においてtert−ブタノールの濃度は約20体積%である。本発明の方法の別の態様において、二価カチオンはCa+2、Mg+2又はZn+2からなる群から選ばれ、好ましくは二価カチオンはCa+2である。本発明の方法の別の態様において、Ca+2の濃度は約0.2〜約2millimolarであり、更に好ましくはCa+2の濃度は約1millimolarであり、本方法の特に好適な態様において、DNAの濃度は約10ug/mL〜約200ug/mLである。
本発明の方法の別の態様において、Ca+2のDNA−ホスフェートに対するモル比は約3である。
本発明の方法の別の態様において、millimolar単位でのCa+2の濃度は約16*e(0.1386*t)(式中、tはtert−ブタノールの体積パーセント)であり、Ca+2の対イオンはクロリドであり、tert−ブタノールの濃度は約15%〜約35体積%である。
本発明の方法の別の態様において、millimolar単位でのCa+2の濃度は約16*e(0.1386*t)(式中、tはtert−ブタノールの体積パーセント)であり、Ca+2の対イオンはクロリドであり、tert−ブタノールの濃度は約15%〜約35体積%である。
本発明の方法の別の態様において、二価カチオンの対イオンはクロリドである。本発明は、二価カチオンの対イオンも考えている。例えば、カルボネート、ホスフェート、エデート、アセテート、オキサレート、グルコネート及びラクテートなどのカルシウム塩であるが、これらに限定されない。
本発明の方法の別の態様において、該方法は、(d)組成物から水及び凍結乾燥可能な水混和性アルコールを除去することをさらに含む。その好適な態様において、水及び凍結乾燥可能な水混和性アルコールは、凍結乾燥によって除去される。本発明の方法の別の態様において、ステップ(d)は組成物のスプレー乾燥を含む。
別の態様において、本発明は、トロイド形、ロッド形及び球形を含むDNA凝縮体の製造法も意図している。該方法は、
(a)脱イオンプラスミドDNAの水性溶液を調製し;
(b)ステップ(a)の溶液に凍結乾燥可能な水混和性アルコールを加え;そして
(c)ステップ(b)の混合物に二価カチオンを加える
ことを含む。
(a)脱イオンプラスミドDNAの水性溶液を調製し;
(b)ステップ(a)の溶液に凍結乾燥可能な水混和性アルコールを加え;そして
(c)ステップ(b)の混合物に二価カチオンを加える
ことを含む。
凝縮プラスミドDNA及び二価カチオンを含む組成物において、前記組成物は、スプレー乾燥、凍結乾燥、又は蒸発による溶媒系の除去後に安定化のための賦形剤を実質的に含まない。
発明の詳細な説明:
前述のように、裸DNAの投与は、非ウィルス性遺伝子療法の好適なDNA送達法として一般に認められてきている。裸DNAは典型的にはプラスミドDNAで、複合体化用の賦形剤を含まず、DNAを化学分解から保護する緩衝液中に製剤化される。ただし、一般的に室温での安定性を延長するために凍結乾燥もされる。製剤はシンプルであるが、最終薬品の製造には、製造時に直面しうる剪断応力に対して不安定な裸DNAを安定化させる必要がある。
前述のように、裸DNAの投与は、非ウィルス性遺伝子療法の好適なDNA送達法として一般に認められてきている。裸DNAは典型的にはプラスミドDNAで、複合体化用の賦形剤を含まず、DNAを化学分解から保護する緩衝液中に製剤化される。ただし、一般的に室温での安定性を延長するために凍結乾燥もされる。製剤はシンプルであるが、最終薬品の製造には、製造時に直面しうる剪断応力に対して不安定な裸DNAを安定化させる必要がある。
出願人らは、プラスミドDNAを、20%(v/v)tert−ブタノール中塩化カルシウムで処理することによって小さい(〜50nm)トロイド並びに大きい(〜300nm)ロッド及び球、すなわちDNAの凝縮粒子を形成させて凝縮することにより、裸DNAの安定製剤に対する需要に取り組んできた。凝縮粒子は負の表面電荷を保持しており、カルシウムの準化学量論濃度を示していた。以下に示すように、出願人らのDNA組成物は、超音波処理誘導性の剪断応力に対して10倍を越える保護を提供する。
本発明の好適な態様を用いて、更なる加工に適切なDNAの安定製剤を製造する。本態様において、0.1μg/mL〜1mg/mL、更に好ましくは1μg/mL〜500μg/mL、なお更に好ましくは10μg/mL〜200μg/mL、及び最も好ましくは100μg/mLの濃度の精製脱イオンプラスミドDNAを、17%〜25%(v/v)の濃度範囲のt−ブタノールの水性溶液に溶解する。次に、0.2mM〜2mMの濃度のCa+2、Mg+2、又はZn+2からなる適当な二価カチオンをt−ブタノール共溶媒溶液に加えてDNAを凝縮させる。DNA骨格のアニオンホスフェートの二価カチオンに対する化学量論比は(アニオン/カチオン)0.1〜1.0であるのが好ましく、約0.3が最も好適な比である。次に、該溶液を約45分間平衡化させて、熱力学的平衡凝縮を達成させる。ロッド形、トロイド形、及び球形のDNA粒子は約20〜500nmのサイズ範囲に入るであろう。次に、凝縮DNA含有溶液は、0.22umフィルタを通過する滅菌ろ過(除菌)、スプレー乾燥、又は凍結乾燥などの下流プロセス単位操作に移される。
この溶液は、300ガロンのステンレススチール製配合タンクのような大規模な商業的加工装置で製造される。
次に、除菌された凝縮DNAは、凍結乾燥又はスプレー乾燥によって加工され、安定な医薬剤形となる。凍結乾燥の前に、DNAは、スクロース、マンニトール、トレハロース、ラクトース、又はその他の一般的充填剤のような充填剤と組み合わせてもよい。t−ブタノール溶液は凍結し、t−ブタノールの昇華性のために凍結乾燥しやすい単相を形成する。乾燥した凍結乾燥ケーキの中で、DNAのトロイドとロッドは無傷のままである。還元(再溶解)すると、凍結乾燥ケーキは迅速に溶解し、DNAは完全に可溶化して凝縮されていない本来のプラスミドDNAに戻り、投与の準備ができる。独自プロセスのわずかな痕跡はカチオンと添加した充填剤(あれば)である。プロセスのこの段階では実質的にt−ブタノールは除去されている。
次に、除菌された凝縮DNAは、凍結乾燥又はスプレー乾燥によって加工され、安定な医薬剤形となる。凍結乾燥の前に、DNAは、スクロース、マンニトール、トレハロース、ラクトース、又はその他の一般的充填剤のような充填剤と組み合わせてもよい。t−ブタノール溶液は凍結し、t−ブタノールの昇華性のために凍結乾燥しやすい単相を形成する。乾燥した凍結乾燥ケーキの中で、DNAのトロイドとロッドは無傷のままである。還元(再溶解)すると、凍結乾燥ケーキは迅速に溶解し、DNAは完全に可溶化して凝縮されていない本来のプラスミドDNAに戻り、投与の準備ができる。独自プロセスのわずかな痕跡はカチオンと添加した充填剤(あれば)である。プロセスのこの段階では実質的にt−ブタノールは除去されている。
DNA加工の代替法はスプレー乾燥の利用である。スプレー乾燥は三つの基本単位プロセスを含む。すなわち、液体の噴霧、ガス−液滴混合、及び液滴からの乾燥である。噴霧は通常、3種類の噴霧装置、すなわち高圧ノズル、2液ノズル、及び高速遠心ディスクの一つによって達成される。これらの噴霧装置を用いれば、希薄溶液は2μmほどの小さい液滴に分散できる。最大の液滴径はめったに500μm(35メッシュ)を超えない。大きな総乾燥面と小さい液滴径が作り出されるため、スプレー乾燥機における実際の乾燥時間は約30秒以下である。
スプレー乾燥の主な利点の一つは球形粒子の生成で、これは通常その他の乾燥法のいずれによっても得ることができない。球形粒子は、材料、供給条件、及び乾燥条件によって中実にも中空にもなりうる。液滴への高い熱伝達率のために粒子中心の液体が気化し、外殻を膨張させて中空球が形成される。
乾燥DNA粒子は、非経口投与のために水和溶液中に還元される準備の整った粉末形のDNAとして使用できる。非経口投与とは、静脈内、筋肉内、及び腹腔内投与などであるが、これらに限定されない。本発明の還元DNAは皮下及び眼内投与もできる。還元DNAは、エアゾール手段によって投与することも、エアゾール又はその他の吸入投与手段によって乾燥粒子の形態で直接粉末で送達することもできる。投与用の粉末DNAの組成物は、その構造を改変するのに使用した溶媒を実質的に含まない。
本発明は、上記方法のいずれかによって製造される組成物にも関する。本発明はまた、安定なDNA製剤の製造法に従って製造される安定なRNA製剤も考えている。従って、本願は、例えば非ウィルス性遺伝子療法(これだけに限定されない)などのRNA送達の治療的用途に適した凝縮された裸RNA製剤の製造も意図している。
本願において“担体”という用語はプラスミドDNA以外の任意の不活性成分を意味する。凍結乾燥可能なアルコール及び二価カチオンのほか、本発明の水性組成物又は好ましくは凍結乾燥組成物の更なる加工に使用するために、担体を本発明の組成物に加えてもよいと考えている。医薬組成物の製造に有用な担体は当該技術分野で周知である(Remington:The Practice of Pharmacy,Lippincott Williams及びWilkins、メリーランド州ボルチモア、第20版、2000参照)。どの担体が本発明の組成物の意図する用途に適当であるかを選択し決定するのは当業者の日常業務の範囲内である。担体のいくつかの例は、不活性希釈剤又は充填剤、結合剤及び美味性の増強に有用な成分、例えば風味剤などを含む賦形剤などである。経口投与、例えば錠剤用の組成物の製造に有用なその他の製薬学的に許容しうる担体は、デンプン、アルギン酸及びある種の複合ケイ酸塩などの崩壊剤、そしてスクロース、ゼラチン及びアカシアなどの結合剤を含む。製薬学的に許容しうる追加の担体は、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの滑沢剤で、錠剤化のために有用なことが多い。同様の種類の固体組成物も軟質及び硬質ゼラチンカプセルに使用できる。従って好適な材料は、製薬学的に許容しうる担体のラクトース、乳糖及び高分子ポリエチレングリコールなどである。
以下の実施例では下記の材料及びプラスミドDNAを使用した。ネコのエリスロポエチンをコードするプラスミドDNA(スーパーコイル状80%、開環状18%)を以下の実験で使用した。プラスミドの構築、配列及び発現は、EP1013288 A2として2000年6月28日に公開された欧州特許出願99 309201.4に記載されており、その内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。
塩化亜鉛及び塩化マグネシウム六水和物の塩はAldrichから、塩化カルシウムはFisherから入手した。使用したアルコールは、Methanol(J.T.Baker)、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブタノール、tbuOH)(Aldrich)、及びエタノール(Pharmco)であった。全ての希釈は、Alpha−Q 水精製システム(Millipore)で精製した水を用いた。DNAのストック、アルコール、塩及び水は、使用する前に調製しMillex−GP 0.22μmフィルタユニットを通してろ過した。
実施例1:凝縮裸DNA製剤の調製:
プラスミドDNA(5600BP)の脱イオン溶液は、DNAを10,000 MWCO Amicon 超透析膜上で10体積の脱イオン水を用いて洗浄することによって調製した。この脱イオンDNAをdiH2Oに溶解して1mg/mlのストック溶液とした。該DNAをアルコール水性溶液中に所望濃度に希釈した。使用したアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はtert−ブタノールであった。様々な量の亜鉛、マグネシウム、又はカルシウムのカルシウム塩形を前記アルコール/DNA溶液に加えた。該溶液を渦流撹拌によってよく混合し、1〜1.5時間室温でインキュベートした。
プラスミドDNA(5600BP)の脱イオン溶液は、DNAを10,000 MWCO Amicon 超透析膜上で10体積の脱イオン水を用いて洗浄することによって調製した。この脱イオンDNAをdiH2Oに溶解して1mg/mlのストック溶液とした。該DNAをアルコール水性溶液中に所望濃度に希釈した。使用したアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はtert−ブタノールであった。様々な量の亜鉛、マグネシウム、又はカルシウムのカルシウム塩形を前記アルコール/DNA溶液に加えた。該溶液を渦流撹拌によってよく混合し、1〜1.5時間室温でインキュベートした。
実施例2:遠心−吸光度アッセイ:
DNAの凝縮は遠心及び吸光度測定によって調べた。サンプルを15,800gで4分間遠心分離した。上清の上部から採集した80μLのアリコートを1:10に希釈し、DNAの濃度を測定し(A260nm)、遠心前に採集した対応するアリコートのそれと比較した。あるいは、サンプルDNAの濃度が≦50μg/mLの場合、アリコートを1×GelStarDNA染色液(FMC BioProducts)に希釈し、Hitachi F−2000蛍光分光光度計(励起493nm、発光527nm)で分析し、同様の結果を得た。
DNAの凝縮は遠心及び吸光度測定によって調べた。サンプルを15,800gで4分間遠心分離した。上清の上部から採集した80μLのアリコートを1:10に希釈し、DNAの濃度を測定し(A260nm)、遠心前に採集した対応するアリコートのそれと比較した。あるいは、サンプルDNAの濃度が≦50μg/mLの場合、アリコートを1×GelStarDNA染色液(FMC BioProducts)に希釈し、Hitachi F−2000蛍光分光光度計(励起493nm、発光527nm)で分析し、同様の結果を得た。
DNA凝縮をもたらす製剤の確認は遠心アッセイによって実施した。凝縮又は凝集したサンプルは遠心後吸光度が5〜10倍減少したが、非凝縮サンプルの減少は15%以下であった。様々な濃度のMgCl2、CaCl2、及びZnCl2、並びにメタノール、エタノール、又はtert−ブタノール中のDNA(100μg/mL)について調べた。凝縮の実施に選ばれた条件は20%のtert−ブタノール及び1mMのCaCl2であった。tert−ブタノールを除く全ての溶媒において、凝集(目に見える凝塊の形成)はMgCl2で最も迅速に起こった。しかしながら、マグネシウム塩はt−buOH溶液中のDNAを凝縮させるのに3種類の塩の中で最も非効果的で、凝縮の誘導に他よりも高い濃度を必要とした。80%(v/v)のt−buOHでは、DNAの溶解度を超過しており、何らかのイオンの存在下でDNAの沈殿が一晩で発生した。要因計画の実験的方法論を用いて凝縮をもたらす最適の条件を決定した(データ示さず)。活発なDNA凝縮をもたらした条件は、1mMのCaCl2を含む20%tert−ブタノール中の100μg/mLプラスミドDNAで現れた。
最初の塩−アルコール凝縮スクリーニングアッセイの結果を表1に示す。サンプルは、表示量の塩を100μg/mLのプラスミドDNA含有溶媒に添加した後観察した。数字は、目に見える凝集を初めて認めた時間(時間)を示す。ダッシュは、遠心後吸光度に減少を示さなかったサンプルを示す。凝縮したが目に見える凝集のなかったサンプル点は“凝縮”と記されている。
20%tert−ブタノール及び1mMのCaCl2中で凝集なしに凝縮をもたらす条件の最適化はこの点周辺の溶液条件を変化させることによって実施した(図1)。適合ラインの等式は、[塩]=16exp(0.1386*%t)である。式中、[塩]はmillimolarのCaCl2濃度、%tはtert−ブタノールのパーセントである。凝集なしの凝縮は、tert−ブタノールの濃度が増加するとCaCl2の必要量は減少するという条件の範囲で見られた。DNA濃度の変動効果についても調べた。その結果、DNA濃度が増加するとより多くのCaCl2を要することが分かったが、この依存性は塩−アルコール濃度のそれよりずっと劇的ではなかった。
実施例3:粒径測定:
粒径測定は、Brookhaven Instruments Corporation(ニューヨーク州ホルツビル)社製90Plus Particle Size Analyzerで実施した。各サンプルにつき各回1分間の測定を3回実施し、3回の測定の平均直径を記録した。20%tert−ブタノールの溶媒粘度は、TA Instruments AR1000 レオメーターによる測定で1.723cPで、これを動的光散乱モードでの粒径測定に使用した。
粒径測定は、Brookhaven Instruments Corporation(ニューヨーク州ホルツビル)社製90Plus Particle Size Analyzerで実施した。各サンプルにつき各回1分間の測定を3回実施し、3回の測定の平均直径を記録した。20%tert−ブタノールの溶媒粘度は、TA Instruments AR1000 レオメーターによる測定で1.723cPで、これを動的光散乱モードでの粒径測定に使用した。
20%tert−ブタノール及び1mMのCaCl2で凝縮させたDNAの粒径データは、溶液中で二つの粒子集団が自然に形成されたことを示していた。二つの粒子集団の直径は、40〜70nm及び200〜500nmであった。これらのサイズは電子顕微鏡検査で観察される二つの形態に対応している。すなわち、直径約50〜100nmのトロイド形と、幅約50nm及び長さ数百nmのロッド様形態である(図2)。この図では粒径の双峰分布が見られるが、これはCaCl2による凝縮後の小さい直径のトロイドと大きい直径のロッドの流体力学半径における相違によるものである。このサンプルでは、63%の粒子(体積)が64nmを中心とする直径を有し、37%の粒子が220nmを中心とする直径を有している。
実施例4:電子顕微鏡検査:
サンプルを調製し、室温で1.5時間インキュベートしてから電子顕微鏡検査のために染色した。Formvarで被覆した銅製グリッド(200メッシュ)をグロー放電で2分間処理した。1滴のDNAをグリッド上で60秒間流動させ、吸取り乾燥させた。次に、2%の酢酸ウラニル染色液を60秒間塗布し、吸取り乾燥させた。グリッドをHitachi電子顕微鏡で電力100kV、倍率50,000倍で観察した。二つの写真の倍率は(50,000倍)である。図3は、1mMのCaCl2を含む(パネルB)及び1mMのCaCl2を含まない(パネルA)20%tert−ブタノール中で得られたプラスミドDNAの構造を示す。パネルBは、1mMのCaCl2による凝縮後にDNAのロッド及びトロイド(直径〜100nm)の存在を示している。
サンプルを調製し、室温で1.5時間インキュベートしてから電子顕微鏡検査のために染色した。Formvarで被覆した銅製グリッド(200メッシュ)をグロー放電で2分間処理した。1滴のDNAをグリッド上で60秒間流動させ、吸取り乾燥させた。次に、2%の酢酸ウラニル染色液を60秒間塗布し、吸取り乾燥させた。グリッドをHitachi電子顕微鏡で電力100kV、倍率50,000倍で観察した。二つの写真の倍率は(50,000倍)である。図3は、1mMのCaCl2を含む(パネルB)及び1mMのCaCl2を含まない(パネルA)20%tert−ブタノール中で得られたプラスミドDNAの構造を示す。パネルBは、1mMのCaCl2による凝縮後にDNAのロッド及びトロイド(直径〜100nm)の存在を示している。
実施例5:粒子形成の動態:
粒子形成の動態は、励起及び発光波長を400nmに設定したHitachi F−2000 蛍光分光光度計で調べた。90℃のtert−ブタノール中DNA平衡溶液の全散乱光を5秒間隔で測定した。散乱光の増加を、DNA/tert−ブタノール溶液にCaCl2を添加及び徹底混合後の時間の関数として測定した。
粒子形成の動態は、励起及び発光波長を400nmに設定したHitachi F−2000 蛍光分光光度計で調べた。90℃のtert−ブタノール中DNA平衡溶液の全散乱光を5秒間隔で測定した。散乱光の増加を、DNA/tert−ブタノール溶液にCaCl2を添加及び徹底混合後の時間の関数として測定した。
バックグラウンドと比較した粒子形成に及ぼす温度の影響を粒径測定を用いて調べた(図4)。図4Aに示されているように、計数率は温度の上昇に伴って増加したが、バックグラウンドの計数率は温度の上昇に伴って減少した。記録された粒径はサンプル及び対照とも温度上昇に伴って減少したが、30℃〜70℃間の減少は、対照(55%)のほうがDNA含有サンプル(40%)より大きかった(図4B)。CaCl2添加時の凝縮をモニターしたところ、図のプラトー領域(最大光散乱強度に対応する)で示されているように完全に凝縮したDNAが得られた。400nmの粒径を凝縮のモニターに使用したが、それは塩化カルシウム添加45分後に見られた。20%t−buOHの対照サンプルは、散乱強度が凝縮粒子のそれより一桁小さいことを示している。
粒子形成の動態は、400nmにおける全光散乱強度を用いて調べた(図5)。結果は二相の粒子形成を示す。一つ目は、対照にも見られるが、CaCl2の添加後2分以内に起こる。これは、塩の添加による溶媒系の構造再編を反映していると考えられる。5分後、光散乱強度は凝縮するDNAに支配される。1時間後プラトーに到達し、そこに数時間とどまる。これらの粒子の目に見える凝集は一般的に24時間後には認められなくなったが、200〜500nmの粒径範囲の粒子画分は大きくなっていた。
実施例6:ゼータ電位の測定:
20%tbuOHと1mMのCaCl2で凝縮したDNAのゼータ電位を、Brookhaven Instruments Corporation(ニューヨーク州ホルツビル)社製90Plus Particle Size Analyzerを用いて測定した。ゼータ電位は、Smoluchowskiモデルを用い、粘度を1.723cPに設定し誘電率を66.5として計算した。各回15サイクルを6回実施して平均のゼータ測定値を記録した。
20%tbuOHと1mMのCaCl2で凝縮したDNAのゼータ電位を、Brookhaven Instruments Corporation(ニューヨーク州ホルツビル)社製90Plus Particle Size Analyzerを用いて測定した。ゼータ電位は、Smoluchowskiモデルを用い、粘度を1.723cPに設定し誘電率を66.5として計算した。各回15サイクルを6回実施して平均のゼータ測定値を記録した。
20%tbuOHと1mMのCaCl2で凝縮したDNA粒子のゼータ電位は、7.24V/cmの電界下で−17.28±1.29mVと決定された。
実施例7:剪断応力抵抗性:
サンプルは前述のように調製し、室温で24時間インキュベートした。1ミリリットル分の凝縮DNA製剤と非凝縮対照を、Cole Parmer 4710 Series 50W 超音波処理装置を用いて様々な量の時間超音波処理した。DNAに対する損傷は、1.1%のSeakemアガロースゲル(FMC BioProducts)中で60分間80Vで電気泳動させる電気泳動によって分析し、Sybr(登録商標)−Gold(Molecular Probes、オレゴン州ユージーン)を用いて染色した。EcoRV(Gibco)によるプラスミドDNAの制限消化によって線状DNAのマーカーが得られた。
実施例7:剪断応力抵抗性:
サンプルは前述のように調製し、室温で24時間インキュベートした。1ミリリットル分の凝縮DNA製剤と非凝縮対照を、Cole Parmer 4710 Series 50W 超音波処理装置を用いて様々な量の時間超音波処理した。DNAに対する損傷は、1.1%のSeakemアガロースゲル(FMC BioProducts)中で60分間80Vで電気泳動させる電気泳動によって分析し、Sybr(登録商標)−Gold(Molecular Probes、オレゴン州ユージーン)を用いて染色した。EcoRV(Gibco)によるプラスミドDNAの制限消化によって線状DNAのマーカーが得られた。
20%tbuOHと1mMのCaCl2で凝縮したDNAの剪断応力安定性を超音波処理によって調べた。20%tbuOHと1mMのCaCl2で凝縮したDNAの一次構造は、超音波処理で誘導される剪断応力から保護されていることが分かった(図6、以下の表2に定量化)。レーン上部の数字は50Wのプローブ超音波処理への暴露時間(秒)を示す。30秒間の超音波処理後、100%の非凝縮開環状、線状、及びスーパーコイル状のプラスミドDNAは完全に分解して、ゲル下部に見られる断片スミアになった。これに対し、凝縮DNAは、60秒の超音波処理後も100%のスーパーコイル状及び開環状のプラスミドDNAを保持している。
非凝縮DNAは、わずか5秒間の超音波処理後にオリゴヌクレオチド断片に分解するが、凝縮DNAの大部分は60秒間の超音波処理後もその初期のスーパーコイル状及び開環状のままであった。剪断応力からのこの保護は、単にポリマー又はその他のマクロ分子の存在なしでの凝縮によってDNAにもたらされる。
凝縮プラスミドDNAにもたらされる、キャビテーション誘導剪断応力からの保護を表2に定量化する。上のパネルは、凝縮DNAの超音波処理誘導剪断データである。スーパーコイル状、開環状、及び線状のプラスミドDNAと定義される無損傷DNAの合計パーセントは、60秒間のプローブ超音波処理(50W)後、100%であった。60秒後、スーパーコイル状DNAにわずか3%の損失があった。非凝縮対照プラスミドDNAについては下のパネルに示す。わずか5秒間の超音波処理で60超%のDNAの分解が見られ、60秒後にはわずか1.6%の無損傷プラスミドDNAしか残っていない。
Claims (15)
- 凝縮プラスミドDNAと担体とを含む水性組成物であって、前記担体は凍結乾燥可能な水混和性アルコール及び二価カチオンを含む組成物。
- 凍結乾燥可能な水混和性アルコールがtert−ブタノールである、請求項1に記載の組成物。
- 二価カチオンが、Ca+2、Mg+2又はZn+2からなる群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
- DNAの濃度が約10ug/mL〜約200ug/mLである、請求項1に記載の組成物。
- Ca+2のDNA−ホスフェートに対するモル比が約3である、請求項4に記載の組成物。
- millimolar単位でのCa+2の濃度が約16*e(0.1386*t)(式中、tはtert−ブタノールの体積パーセント)であり、Ca+2の対イオンがクロリドであり、tert−ブタノールの濃度が約15%〜約35体積%である、請求項4に記載の組成物。
- プラスミドDNAを凝縮する方法であって、
(a)脱イオンプラスミドDNAの水性溶液を調製し;
(b)ステップ(a)の溶液に凍結乾燥可能な水混和性アルコールを加え;そして
(c)ステップ(b)の混合物に二価カチオンを加える
ことを含む方法。 - 凍結乾燥可能な水混和性アルコールがtert−ブタノールであり、前記二価カチオンが、Ca+2、Mg+2又はZn+2からなる群から選ばれる、請求項7に記載の方法。
- Ca+2の濃度が約0.2〜約2millimolarであり;そしてDNAの濃度が約20ug/mL〜約200ug/mLである、請求項8に記載の方法。
- 組成物から水及び凍結乾燥可能な水混和性アルコールを除去することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
- 請求項10に従って製造される組成物。
- 剪断応力からDNAを保護する方法であって、
(a)脱イオンプラスミドDNAの水性溶液を調製し;
(b)ステップ(a)の溶液に凍結乾燥可能な水混和性アルコールを加え;そして
(c)ステップ(b)の混合物に二価カチオンを加える
ことを含む方法。 - 前記剪断応力が超音波処理によって誘導され、前記凍結乾燥可能な水混和性アルコールがtert−ブタノールであり;そして前記二価カチオンが、Ca+2、Mg+2又はZn+2からなる群から選ばれる、請求項12に記載の方法。
- DNA凝縮体の製造法であって、
(a)脱イオンプラスミドDNAの水性溶液を調製し;
(b)ステップ(a)の溶液に凍結乾燥可能な水混和性アルコールを加え;そして
(c)ステップ(b)の混合物に二価カチオンを加える
ことを含み、前記DNA凝縮体は本質的にトロイド形、ロッド形及び球形からなる方法。 - 凍結乾燥可能な水混和性アルコールがtert−ブタノールであり;前記二価カチオンが、Ca+2、Mg+2又はZn+2からなる群から選ばれ、前記方法が所望により組成物から水及び凍結乾燥可能な水混和性アルコールを除去することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
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