JP2006501819A - 細菌ロドバクタースフェロイデスから得られるチロシンアンモニアリアーゼ酵素のdnaおよびアミノ酸配列 - Google Patents

細菌ロドバクタースフェロイデスから得られるチロシンアンモニアリアーゼ酵素のdnaおよびアミノ酸配列 Download PDF

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Abstract

細菌ロドバクタースフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)において、新規のチロシンアンモニアリアーゼ酵素が同定された。この酵素は、フェニルアラニンに対してよりもチロシンに対してより高い活性を有し、チロシンから直接パラ−ヒドロキシケイ皮酸を生成するために有用である。この酵素をコードする遺伝子が、ゲノムDNAを用いる直接的増幅によってクローン化され、大腸菌中で発現された。

Description

本発明は、分子生物学および微生物学の分野に関する。より詳細には、本発明は、パラ−ヒドロキシケイ皮酸(pHCA)の生成のために使用される、細菌ロドバクタースフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)から得られる新規のチロシンアンモニアリアーゼ酵素のヌクレオチドおよびアミノ酸配列に関する。
本願は、2002年7月23日に出願された米国仮出願第60/397,820号明細書の特典を主張する。
パラ−ヒドロキシケイ皮酸(pHCA)は、液晶ポリマー(LCP)を生成するためのモノマーとして使用することができる、高価値の芳香族化合物である。LCPは、ガラス転移温度と等方性液体への転移温度との間で中間体または中間相を示す、あるいはある種の範囲の濃度および温度に対して少なくとも1つの中間相を有するポリマーである。これらの中間相における分子は、液体のようにふるまい、流動するだけでなく、結晶の異方性特性も示す。LCPは、液晶ディスプレイに、また、電子、電気通信、および航空宇宙分野のための高速コネクタおよびフレキシブル回路に使用される。滅菌照射に対するその耐性ならびに高い酸素および水蒸気バリア特性のため、LCPは、医療装置や薬品および食品の包装にも使用される。
高価値の芳香族化合物としてのその重要性のおかげで、pHCAの化学合成は、知られている。しかし、合成に必要とされる高エネルギー、および必要とされる大規模な生成物精製が原因で、この化学合成は、費用がかかる。pHCAの生物学的生成は、この問題に、低コストの簡単な解決法を提供する。
酵素フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)(EC 4.3.1.5)およびP450酵素を使用する、植物によるpHCAの生成は、よく知られている。フェニルアラニンアンモニアリアーゼは、植物に広く分布するが(非特許文献1)、菌・カビ類(非特許文献2)、酵母(非特許文献3)、およびストレプトマイセス(Streptomyces)(非特許文献4)、大腸菌(Escherichia coli)や哺乳類の細胞には見られない(非特許文献5)。PALは、フェニルプロパノイド代謝の第1の酵素であり、L−フェニルアラニンからの(pro−3S)−水素および−NH の除去を触媒してトランス−ケイ皮酸を生成する。トランス−ケイ皮酸は、P450酵素システムの存在下で、パラ−ヒドロキシケイ皮酸(pHCA)に転換されることが可能であり、これは、リグニンおよびイソフラボノイドなどの種々の第2の代謝産物の生成のための、植物における共通の中間体として働く。しかし、微生物では、pHCAではなくケイ皮酸が、第2の代謝産物生成物のための前駆体として働く。シンナマートヒドロキシラーゼ酵素は今まで、微生物起源からは特徴付けられていない。植物におけるPAL酵素は、リグニン、イソフラボノイド、および他のフェニルプロパノイドの生合成における調節酵素であると考えられている(非特許文献6)。しかし、レッドイースト(red yeast)、ロドトルラ グルチニス(Rhodotorula glutinis)(ロドスポリジウム トルロイデス(Rhodosporidium toruloides))では、このリアーゼは、異化作用としてフェニルアラニンを分解し、この酵素の作用によって生じたシンナマートは、ベンゾアートおよび他の細胞材料に転換される。
PALをコードする遺伝子は、当技術分野で知られており、いくつかは、植物と微生物起源の両方から配列決定されている(例えば、特許文献1[ロドスポリジウム トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)];特許文献2[グランディスユーカリ(Eucalyptus grandis)およびラジアータマツ(Pinus radiata)];特許文献3[ペチュニア(Petunia)];特許文献4[エンドウ(Pisum sativum)];特許文献5[ジャガイモ、イネ];ならびに例えばGenBank AJ010143およびX75967を参照のこと)。様々な起源からのPAL遺伝子は、酵母、大腸菌(Escherichia coli)、および昆虫細胞培養株において、活性なPAL酵素として過剰発現されている(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9)。
いくつかのPAL遺伝子は、フェニルアラニンをシンナマートに転換するその能力の他に、基質としてチロシンを受け入れることができる。こうした反応では、酵素活性は、チロシンアンモニアリアーゼ(TAL)と呼ばれる。TALによるチロシンの転換は、シンナマートという中間段階無しに、チロシンからpHCAを直接生じさせる。しかし、PAL活性よりもTAL触媒活性が著しく高い酵素をコードする遺伝子の、非常に最近の報告が1つだけ存在している(非特許文献10)。この遺伝子は、細菌ロドバクター カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)から単離され、PALに対しての触媒効率の約150倍のTAL触媒効率をもつ酵素をコードしている。このTALタンパク質は、酵母のPAL配列に対してよりも、植物のPALタンパク質と相同性が高い(例えばテーダマツ(Pinus taeda)のPAL配列と32%の同一性)ことが報告された。他の全ての天然のPAL/TAL酵素は、その基質としてチロシンよりもフェニルアラニンを使用することを優先する。酵母ロドスポリジウム(Rhodosporidium)由来の野生型のPAL/TAL酵素は、チロシンに比べてフェニルアラニンに対する優先度が低く、PAL触媒活性に対するTAL触媒活性の比は、わずか0.58である(非特許文献11に報告されている)。ちなみに、他の生物において研究されたPAL/TAL酵素は通常、PAL/TAL比が15以上である。サリアスラーニ(Sariaslani)ら、(特許文献6)は、酵母トリコスポロン クタネウム(Trichosporon cutaneum)から単離された誘導性のTAL酵素を記載している。この酵素は、PAL活性よりもTAL活性が高く、PAL/TAL活性比が0.73である。
特許文献7は、pHCAの生物学的生成のためのいくつかの方法を開示している。これには、酵母ロドトルラ グルチニス(Rhodotorula glutinis)由来の野生型PALの、大腸菌への組み込みおよびこの野生型PALの、チロシンをpHCAに転換する能力の利用;フェニルアラニンをケイ皮酸に、その後pHCAに転換するための、酵母ロドトルラ グルチニス(Rhodotorula glutinis)由来の野生型PAL+植物シトクロムP−450およびP−450レダクターゼの、大腸菌への組み込み;ならびにTAL活性が増強された酵素をコードする突然変異型PAL/TAL遺伝子の開発が含まれる。この突然変異遺伝子は、野生型ロドスポリジウム トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)PALの突然変異誘発によって単離され、TAL/PAL比が1.7の酵素をコードしていた。この遺伝子を使用して、チロシンの直接的転換によってPHCAを生成した。TAL活性が増強された酵素をコードするいくつかの他の突然変異型PAL/TAL遺伝子の開発は、特許文献8中でタン(Tang)によって開示されている。これらの突然変異遺伝子から、7.2までのTAL/PAL比は、報告されている。しかし、PCHAの経済的生成のために、より高いTAL活性をもつ他の酵素が必要とされている。
EP 321488 国際公開第9811205号パンフレット 国際公開第9732023号パンフレット JP 05153978 国際公開第9307279号パンフレット 米国特許出願第60/383232号明細書 米国特許第6,368,837号明細書 米国特許第6,521,748号明細書 クコール(Koukol)ら、「J.Biol.Chem.」236:2692〜2698(1961年) バンドニー(Bandoni)ら、「植物化学(Phytochemistry)」7:205〜207(1968年) オガタ(Ogata)ら、「Agric.Biol.Chem.」31:200〜206(1967年) エメス(Emes)ら、「Can.J.Microbiology」48:613〜622(1970年) ハンソン(Hanson)およびヘイバー(Havir)、「酵素(The Enzymes)」、第3版;ボイヤー(Boyer),P.編;アカデミック社(Academic):ニューヨーク(New York)、1967年;75〜167ページ ハーブルク(Hahlbrock)ら、「Annu.Rev.Plant Phys.Plant Mol.Biol.」40:347〜369(1989年) フォルクナー(Faulkner)ら、「遺伝子(Gene)」143:13〜20(1994年) ランガー(Langer)ら、「生化学(Biochemistry)」36:10867〜10871(1997年) マクケグニー(McKegney)ら、「植物化学(Phytochemistry)」41:1259〜1263(1996年) キント(Kyndt)ら、「FEBS Letters」512:240〜244(2002年) ハンソン(Hanson)およびヘイバー(Havir)、「植物の生化学(The Biochemistry of Plants)」内;アカデミック社(Academic):ニューヨーク(New York)、1981;Vol.7、577〜625ページ
したがって、解決されるべき課題は、チロシンのpHCAへの直接的転換のために使用され、より効率のよいTAL酵素を生成するために将来の酵素工学のための手段として働く、TAL活性がPAL活性よりも高い天然に存在する酵素を得ることである。本出願人等は、TAL触媒活性がPAL活性よりも高い細菌ロドバクタースフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)から酵素を単離することによって、ここに述べた課題を解決した。
本発明は、
a)配列番号3に記載のアミノ酸配列をコードする単離された核酸分子、
b)以下のハイブリダイゼーション条件下で(a)とハイブリダイズする単離された核酸分子:0.1× SSC、0.1% SDS、65℃、および2× SSC、0.1% SDS、それに続く0.1× SSC、0.1% SDSでの洗浄、あるいは
(a)または(b)に相補的な単離された核酸分子よりなる群から選択される、チロシンアンモニアリアーゼ酵素をコードする単離された核酸分子を提供する。
さらに、本発明は、本発明の核酸によってコードされるポリペプチド、ならびにこれを含有する遺伝的にキメラな宿主細胞および形質転換宿主細胞を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
a)本発明の核酸分子を含むゲノムライブラリを探索し、
b)本発明の核酸分子とハイブリダイズするDNAクローンを同定し、
c)ステップ(b)で同定されたクローンを含んでなるゲノム断片を配列決定することを含んでなり、配列決定されたゲノム断片がチロシンアンモニアリアーゼ酵素をコードする、チロシンアンモニアリアーゼ酵素をコードする核酸分子を得る方法を提供する。
同様に、本発明は、
a)配列番号2に記載の配列の一部に対応する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、
b)ステップ(a)のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、クローニングベクター内に存在するインサートを増幅することを含んでなり、
増幅されたインサートがチロシンアンモニアリアーゼ酵素をコードするアミノ酸配列の一部をコードする、チロシンアンモニアリアーゼ酵素をコードする核酸分子を得る方法を提供する。
好ましい実施形態では、本発明は、
(a)適切な制御配列に作動可能に連結された本発明の単離された核酸分子を含んでなる組換え宿主細胞を、発酵性炭素基質と接触させ、
(b)pHCAを生じるのに十分な時間、前記組換え細胞を増殖させ、
(c)前記pHCAを場合により回収することを含んでなる、pHCAの生成のための方法を提供する。
本発明は、本出願の一部を成す以下の詳細な説明、図、および添付の配列説明から、より十分に理解することができる。
以下の配列は、37 C.F.R.1.821〜1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列の開示を含む特許出願に関する要件−配列の基準(Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures−the Sequence Rules)」)に従い、また、世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization)(WIPO)標準(Standard)ST.25(1998年)ならびにEPOおよびPCTの配列表の要件(ルール(Rule)5.2および49.5(a−bis)、およびアドミニストレイティブ・インストラクション(Administrative Instructions)のセクション208および付録C)と一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データのために使用される記号およびフォーマットは、37 C.F.R.§1.822に記載された規則に従う。
配列番号1は、T.クタネウム(T.cutaneum)から得られるTALのアミノ酸配列である。
配列番号2は、ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)から得られるTAL遺伝子のヌクレオチド配列である。
配列番号3は、配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされるロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)から得られるTALの推定されるアミノ酸配列である。
配列番号4〜7は、ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)talのクローニングのために用いられるオリゴヌクレオチドプライマーである。
本発明は、細菌ロドバクタースフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)由来のアンモニアリアーゼ酵素をコードする新規のDNA配列を提供する。この酵素は、基質としてチロシンが用いられた場合に、フェニルアラニンと比較してより高い特異的活性をもつ、唯一の報告された第2の天然に存在する細菌TAL酵素である。このTAL酵素は、チロシンから直接pHCAを生成するために使用することができる。
定義
以下の略語および定義を、本明細書および特許請求の範囲の説明のために使用する。
「フェニルアラニンアンモニア−リアーゼ」は、PALと略される。
「チロシンアンモニア−リアーゼ」は、TALと略される。
「ヒスチジンアンモニアリアーゼ」は、HALと略される。
「パラ−ヒドロキシケイ皮酸」は、pHCAと略される。
「シンナマート4−ヒドロキシラーゼ」は、C4Hと略される。
本明細書では、用語「ケイ皮酸」および「シンナマート」は、交換可能に使用され、CAと略される。
用語「TAL活性」は、タンパク質がチロシンのpHCAへの直接的転換を触媒する能力を意味する。
用語「PAL活性」は、タンパク質がフェニルアラニンのケイ皮酸への転換を触媒する能力を意味する。
「pal」は、PAL活性をもつ酵素をコードする遺伝子を表す。
「tal」は、TAL活性をもつ酵素をコードする遺伝子を表す。
「RsTAL」は、ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)由来のTAL酵素を表す。
用語「P−450/P−450レダクターゼシステム」は、ケイ皮酸のpHCAへの触媒的転換を担うタンパク質システムを意味する。P−450/P−450レダクターゼシステムは、シンナマート4−ヒドロキシラーゼ機能を果たす、当技術分野で知られたいくつかの酵素または酵素システムの一つである。本明細書では、用語「シンナマート4−ヒドロキシラーゼ」は、ケイ皮酸をpHCAに転換させる一般的な酵素活性を意味ものとするのに対し、用語「P−450/P−450レダクターゼシステム」は、シンナマート4−ヒドロキシラーゼ活性をもつ特異的な二成分タンパク質システムを意味するものとする。
用語「PAL/TAL活性」または「PAL/TAL酵素」は、PAL活性とTAL活性の両方を含むタンパク質を意味する。こうしたタンパク質は、酵素の基質としてのチロシンとフェニルアラニンの両方に対して少なくとも若干の特異性を有する。
用語「TAL/PAL比」は、PAL活性に対するTAL活性の比を意味する。
用語「触媒効率」は、酵素のkcat/Kと定義されることとなる。「触媒効率」は、基質に対する酵素の特異性を定量化するために使用されることとなる。
用語「kcat」はしばしば、「ターンオーバー数」と呼ばれる。用語「kcat」は、単位時間あたりの、活性部位あたりの、生成物に転換された基質分子の最大数、または、単位時間あたりに酵素がターンオーバーする回数と定義される。kcat=Vmax/[E]であり、[E]は、酵素濃度である(ファーシュト(Ferst)「酵素の構造および機構(Enzyme Structure and Mechanism)」、第2版;W.H.フリーマン社(W.H.Freeman):ニューヨーク(New York)、1985年;98〜120ページ)。
用語「芳香族アミノ酸生合成」は、芳香族アミノ酸の生成に必要とされる、細胞の内部の生物学的プロセスおよび酵素経路を意味する。
用語「発酵性炭素基質」は、本発明の宿主生物によって代謝されることが可能な炭素源、具体的には単糖、少糖、多糖、一炭素(one−carbon)基質および/またはそれらの混合物よりなる群から選択される炭素源を意味する。
本明細書では、「単離された核酸フラグメント」は、合成の、非天然の、あるいは改変されたヌクレオチド塩基を場合により含有する、一本鎖または二本鎖であるRNAまたはDNAのポリマーである。DNAのポリマーの形の単離された核酸フラグメントは、cDNA、ゲノムDNA、または合成DNAの1つもしくはそれ以上のセグメントからなる可能性がある。
核酸分子は、一本鎖の形の核酸分子が、温度および溶液のイオン強度の適切な条件下で他の核酸分子とアニール可能な場合、cDNA、ゲノムDNA、またはRNA分子などの別の核酸分子と「ハイブリダイズ可能」である。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、よく知られており、サムブルック、J.(Sambrook,J.)、フリッチ、E,F.(Fritsch,E.F.)、およびマニアティス、T.(Maniatis,T.)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、コールドスプリングハーバー研究所出版局(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)(1989年)、具体的には第11章およびその中の表11.1(その全体を参照により本明細書に組み込む)に例示されている。温度およびイオン強度の条件は、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。ストリンジェンシー条件は、中程度に類似したフラグメント(遠い関係の生物からの相同な配列など)ないし高度に類似したフラグメント(近い関係の生物からの機能酵素を再現する(duplicate)遺伝子など)をスクリーニングするために調節することができる。ハイブリダイゼーション後の洗浄は、ストリンジェンシー条件を決定する。一連の好ましい条件は、室温で15分間の6× SSC、0.5% SDSで開始し、次いで45℃で30分間の2× SSC、0.5% SDSで繰り返し、次いで50℃で30分間の、0.2× SSC、0.5% SDSを2回繰り返すという一連の洗浄を使用する。より好ましい一連のストリンジェントな条件は、より高い温度を使用し、その場合、0.2× SSC、0.5% SDS中での最後の2回の30分の洗浄の温度が60℃に上げられること以外は、洗浄は、上の洗浄と同じである。別の好ましい一連の非常にストリンジェントな条件は、65℃での0.1× SSC、0.1% SDS中での最後の2回の洗浄を使用する。さらなる一連のストリンジェントな条件は、例えば、0.1× SSC、0.1% SDS、65℃でのハイブリダイゼーション、および2× SSC、0.1% SDS、それに続く0.1× SSC、0.1% SDSでの洗浄を含む。
ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が、相補的な配列を含有することを必要とする。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーによっては、塩基間のミスマッチが可能である。核酸をハイブリダイズするための適切なストリンジェンシーは、核酸の長さおよび相補性の程度、すなわち当技術分野でよく知られた変数に依存する。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が大きくなる程、このような配列を有する核酸のハイブリッドについてのTmの値が大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的安定性(より大きなTmに相当する)は、次の順に減少する。RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さが100ヌクレオチド超であるハイブリッドについては、Tmを算出するための方程式が導かれている(サムブルック(Sambrook)ら、前掲、9.50〜9.51参照)。より短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドを用いるハイブリダイゼーションについては、ミスマッチの位置がより重要となり、オリゴヌクレオチドの長さが、その特異性を決定する(サムブルック(Sambrook)ら、前掲、11.7〜11.8参照)。一実施形態では、ハイブリダイズ可能な核酸の長さは、少なくとも約10ヌクレオチドである。ハイブリダイズ可能な核酸の最小の長さは、少なくとも約15ヌクレオチドであることが好ましく、少なくとも約20ヌクレオチドであることがより好ましく、長さが少なくとも30ヌクレオチドであることが最も好ましい。さらに、当分野の技術者であれば、温度および洗浄液の塩濃度を、プローブの長さなどの因子に従って、必要に応じて調節できることを理解するであろう。
用語「同一性(%)」は、当技術分野で知られている通り、配列を比較することによって決定されるような、2つもしくはそれ以上のポリペプチド配列または2つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。当技術分野では、「同一性」はまた、場合により、こうした配列のストリング間のマッチによって決定されるような、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の間の配列関連性(relatedness)の程度を意味する。「同一性」および「類似性」は、それだけには限らないが、以下に記載されている既知の方法によって容易に算出することができる。「Computational Molecular Biology」(レスク、A.M.(Lesk,A.M.)編)オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、ニューヨーク(NY)(1988年);「Biocomputing:Informatics and Genome Projects」(スミス、D.W.(Smith,D.W.)編)アカデミック出版(Academic Press)、ニューヨーク州(NY)(1993年);「Computer Analysis of Sequence Data,Part I」(グリフィン、A.M.(Griffin,A.M.)およびグリフィン、H.G.(Griffin,H.G.)編)ヒュマーナ出版(Humana Press)、ニュージャージー州(NJ)(1994年);「Sequence Analysis in Molecular Biology」(フォン ハイヤネ、G.(von Heinje,G.)編)アカデミック出版(Academic Press)(1987年);および「Sequence Analysis Primer」(グリブスコフ、M.(Gribskov,M.)およびデヴェルー、J.(Devereux,J.)編)ストックトン出版(Stockton Press)、ニューヨーク州(NY)(1991年)。同一性を求めるための好ましい方法は、試験される配列間の最高のマッチを示すように設計される。同一性および類似性を求めるための方法は、一般公開されているコンピュータプログラムに体系化されている。配列アラインメントおよび同一性(%)の計算は、レーザージーンバイオインフォマティクスコンピューティングセット(LASERGENE bioinformatics computing suite)のメグアライン(Megalign)プログラム(ディーエヌエースター株式会社(DNASTAR Inc.)、マディソン(Madison)、ウィスコンシン州(WI))を用いて実施することができる。配列の(マルチプルアラインメントは、デフォルトパラメータ(ギャップペナルティ(GAP PENALTY)=10、(ギャップ伸長ペナルティ(GAP LENGTH PENALTY)=10)を用いるアラインメントのクラスタル(Clustal)方法(ヒギンズ(Higgins)およびシャープ(Sharp)(1989年)「CABIOS.」5:151〜153)を用いて実施することができる。クラスタル(Clustal)方法を用いるペアワイズ(pairwise)アラインメントのデフォルトパラメータは、KTUPLE 1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5、およびDIAGONALS SAVED=5である。
アミノ酸またはヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、当分野の技術者による配列の手作業の評価によって、あるいはBLAST(Basic Local Alignment Search Tool;アルトシュール、S.F.(Altschul,S.F.)ら、(1993年)J.Mol.Biol.215:403〜410;www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/も参照のこと)などのアルゴリズムを用いるコンピュータにより自動化された配列比較および同定によって、そのポリペプチドまたは遺伝子を推定的に同定するのに十分な、ポリペプチドのアミノ酸配列または遺伝子のヌクレオチド配列を含んでなる部分である。一般に、ポリペプチドまたは核酸配列を、相同ないし既知のタンパク質または遺伝子であると推定的に同定するために、10種もしくはそれ以上の連続したアミノ酸または30種もしくはそれ以上のヌクレオチドの配列が必要である。さらに、ヌクレオチド配列については、遺伝子同定(例えばサザンハイブリダイゼーション)および単離(例えば細菌のコロニーまたはバクテリオファージプラークのin situハイブリダイゼーション)の、配列依存的な方法において、20〜30個の連続したヌクレオチドを含んでなる遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用することができる。さらに、これらのプライマーを含んでなる特定の核酸フラグメントを得るために、12〜15塩基の短いオリゴヌクレオチドを、PCRにおける増幅プライマーとして使用することができる。したがって、ヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、この配列を含んでなる核酸フラグメントを特異的に同定および/または単離するのに十分な配列を含んでなる。本明細書は、1つもしくはそれ以上の特定の微生物のタンパク質をコードする部分的または完全なアミノ酸およびヌクレオチド配列を教示する。当分野の技術者は、本明細書で報告された通りの配列の利益を享受し、当分野の技術者であれば知ることのできる目的のために、開示された配列のすべてまたは実質的な部分を使用することができる。したがって、本発明は、添付の配列表に報告した通りの完全な配列、ならびに上で定義した通りの配列の実質的な部分を含んでなる。
所与の部位で化学的に等価なアミノ酸を生じるが、コードされたタンパク質の機能特性には影響しない、遺伝子の改変が、一般的であることは、当技術分野でよく知られているので、本発明はが包含するものは、単に特定の例示的な配列だけではない。本発明の目的のために、以下の5つのグループ内の1つで、交換される物としての代替を定義する。
1.脂肪族の、非極性またはわずかに極性の小さな残基:Ala、Ser、Thr(Pro、Gly);
2.極性の、負電荷をもつ残基およびそのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln;
3.極性の、正電荷をもつ残基:His、Arg、Lys;
4.脂肪族の非極性の大きな残基:Met、Leu、Ile、Val(Cys);および
5.芳香族の大きな残基:Phe、Tyr、Trp。
したがって、疎水性のアミノ酸であるアミノ酸アラニンのコドンは、より疎水性の弱い別の残基(グリシンなど)またはより疎水性の強い残基(バリン、ロイシン、またはイソロイシンなど)をコードするコドンによって置換することができる。同様に、機能的に等価な生成物を生じるために、負電荷をもつある残基の別の残基からの(例えばアスパラギン酸のグルタミン酸からの)、あるいは正電荷をもつある残基の別の残基からの(例えばリジンのアルギニンからの)置換をもたらす変化も考えられる。多くの場合、タンパク質分子のN末端およびC末端部分の改変をもたらすヌクレオチド変化は、タンパク質の活性を変えるとは考えられない。
用語「相補的な」は、互いにハイブリダイズ可能なヌクレオチド塩基間の関係を説明するために使用される。例えば、DNAに関しては、アデノシンは、チミンと相補的であり、シトシンは、グアニンと相補的である。したがって、本発明は、添付の配列表に報告した通りの完全な配列、および実質上類似した核酸配列と相補的な、単離された核酸フラグメントも含む。
適当な核酸フラグメント(本発明の単離されたポリヌクレオチド)は、本明細書に報告されたアミノ酸配列と少なくとも約70%同一、好ましくは少なくとも約80%同一であるポリペプチドをコードする。好ましい核酸フラグメントは、本明細書に報告されたアミノ酸配列と約85%同一であるアミノ酸配列をコードする。より好ましい核酸フラグメントは、本明細書に報告されたアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列をコードする。最も好ましいものは、本明細書に報告されたアミノ酸配列と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸フラグメントである。適当な核酸フラグメントは、上記の相同性をもつだけでなく、少なくとも50のアミノ酸、好ましくは少なくとも100のアミノ酸、より好ましくは少なくとも150のアミノ酸、さらに好ましくは少なくとも200のアミノ酸、最も好ましくは少なくとも250のアミノ酸を有するポリペプチドを通常コードする。
「コドン縮重」は、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列に影響を与えずにヌクレオチド配列の変更が可能である遺伝暗号の性質を意味する。したがって、本発明は、配列番号3に記載の本発明の微生物のポリペプチドをコードするアミノ酸配列のすべてまたは実質的な部分をコードするどんな核酸フラグメントにも関する。当分野の技術者は、所与のアミノ酸を指定するためのヌクレオチドコドンの使用における、特定の宿主細胞によって示される「コドンバイアス(codon−bias)」を十分に知っている。したがって、宿主細胞における発現の向上のための遺伝子を合成する場合、コドン使用の頻度が、宿主細胞の好ましいコドン使用の頻度に近づくように遺伝子を設計することが望ましい。
「合成遺伝子」は、当分野の技術者に知られた手順を用いて化学的に合成されたオリゴヌクレオチド単位から構築できる。これらの単位を連結およびアニールして、遺伝子セグメントを形成し、その後これを酵素によって構築して、完全な遺伝子を構築する。「化学的に合成された」は、DNAの配列に関する場合、成分ヌクレオチドが、in vitroで構築されることを意味する。十分に確立された手順を用いてDNAの手作業による化学合成を行うこともできるし、またはいくつかの一般に販売されている機械のうちの1つを用いて自動化された化学合成を実施することもできる。したがって、宿主細胞のコドンバイアスを反映するために、ヌクレオチド配列の最適化に基づいて、最適な遺伝子発現のために遺伝子を誂えることができる。コドン使用が、宿主が好むコドンに対して偏りがある場合、当分野の技術者であれば、成功裡の遺伝子発現の可能性を理解する。好ましいコドンの決定は、配列情報が入手できる宿主細胞から得られる遺伝子の見通しに基づく可能性がある。
「遺伝子」は、特定のタンパク質を発現する核酸フラグメントを意味し、コード配列の前(5’非コード配列)および後(3’非コード配列)の制御配列を含む。「ネイティブ(native)遺伝子」は、独自の制御配列をもつ、天然に見られるような遺伝子を意味する。「キメラ遺伝子」は、共に天然には見られない制御配列およびコード配列を含んでなる、天然の遺伝子ではないどんな遺伝子も意味する。したがって、キメラ遺伝子は、異なる起源から得られた制御配列およびコード配列、または同じ起源から得られるが、天然に見られるのとは異なる様式で配列された制御配列およびコード配列を含んでなる可能性がある。「内在遺伝子」は、生物のゲノム内の本来の位置にあるネイティブ遺伝子を意味する。「外来」遺伝子は、宿主生物中に通常は見られないが、遺伝子移入によって宿主生物に導入される遺伝子を意味する。外来遺伝子は、ネイティブでない生物に挿入されたネイティブ遺伝子、またはキメラ遺伝子を含んでなる可能性がある。「導入遺伝子」は、形質転換手順によってゲノムに導入された遺伝子である。
「コード配列」は、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を意味する。「適当な制御配列」は、転写、RNAのプロセシングまたは安定性、あるいは関連するコード配列の翻訳に影響を与え、コード配列の、上流(5’非コード配列)、内部、または下流(3’非コード配列)に位置するヌクレオチド配列を意味する。制御配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、およびステム−ループ構造を含む可能性がある。
「プロモーター」は、機能性RNAのコード配列の発現を制御する能力があるDNA配列を意味する。一般に、コード配列は、プロモーター配列に対して3’に位置する。プロモーターは、その全体をネイティブ遺伝子から得ることもできるし、天然に見られる異なるプロモーターから得られる異なる因子から構成されてもよいし、または、合成のDNAセグメントを含んでなってもよい。異なるプロモーターが、異なる組織または細胞種において、あるいは発生の異なる段階で、あるいは異なる環境的または生理的条件に応じて、遺伝子の発現を導く可能性があることが、当分野の技術者には理解されよう。最多数の細胞種において多くの場合に遺伝子を発現させるプロモーターは、通常「構成的プロモーター」と呼ばれる。多くの場合、制御配列の正確な境界は、完全には定められないので、異なる長さのDNAフラグメントが、同じプロモーター活性をもつ可能性があることが、さらに理解される。
「3’非コード配列」は、コード配列の下流に位置し、ポリアデニル化認識配列、およびmRNAプロセシングまたは遺伝子発現に影響を与えることが可能な調節シグナルをコードする他の配列を含むDNA配列を意味する。ポリアデニル化シグナルは通常、mRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸領域の付加に影響を与えるという特徴がある。
「RNA転写物」は、DNA配列の、RNAポリメラーゼによって触媒される転写から得られる産物を意味する。RNA転写物が、DNA配列の完全な相補的なコピーである場合、これは、一次転写物と呼ばれる、あるいは、これは、一次転写物の転写後プロセシングから得られるRNA配列であってもよく、成熟RNAと呼ばれる。「メッセンジャーRNA(mRNA)」は、イントロンが無く、細胞によってタンパク質に翻訳され得るRNAを意味する。「cDNA」は、mRNAから得られ、mRNAに対して相補的である二本鎖のDNAを意味する。「センス」RNAは、mRNAを含み、したがって、細胞によってタンパク質に翻訳され得るRNA転写物を意味する。「アンチセンスRNA」は、標的一次転写物またはmRNAのすべてまたは一部に対して相補的であり、かつ標的遺伝子の発現をブロックするRNA転写物を意味する(米国特許第5,107,065号明細書;国際公開第9928508号パンフレット)。アンチセンスRNAの相補性は、特定の遺伝子転写物のいずれの部分と、すなわち、5’非コード配列、3’非コード配列、またはコード配列であってもよい。「機能性RNA」は、アンチセンスRNA、リボザイムRNA、またはまだ翻訳されず、細胞の作用に対する影響力をもつ他のRNAを意味する。
用語「作動可能に連結された」は、あるものの作用が、別のものによって影響を受けるような、単一の核酸フラグメント上での核酸配列の関連を意味する。例えば、プロモーターは、これが、そのコード配列の発現に影響を与えることが可能である(すなわち、このコード配列が、プロモーターの転写制御下にある)場合に、コード配列と作動可能に連結される。コード配列は、センスまたはアンチセンス方向で、制御配列に作動可能に連結することができる。
用語「発現」は、本明細書では、本発明の核酸フラグメントから得られるセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定な蓄積を意味する。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳を意味する可能性もある。
「アンチセンス阻害」は、標的タンパク質の発現を抑制する能力があるアンチセンスRNA転写物の生成を意味する。
「過剰発現」は、通常または形質転換されていない生物における生成のレベルを上回る、トランスジェニック生物における遺伝子産物の生成を意味する。
「共抑制」は、同一または実質上類似した外来または内在遺伝子の発現を抑制することが可能なセンスRNA転写物の生成を意味する(米国特許第5,231,020号明細書)。
「形質転換」は、遺伝的に安定な遺伝形質をもたらす、核酸フラグメントの、宿主生物のゲノムへの移入を意味する。形質転換された核酸フラグメントを含有する宿主生物は、「トランスジェニック」または「組換え」または「形質転換された」生物と呼ばれる。
用語「プラスミド」、「ベクター」、および「カセット」は、細胞の中枢代謝(central metabolism)の一部ではなく、通常環状二本鎖DNAフラグメントの形の遺伝子を多くの場合持っている染色体の因子を意味する。こうした因子は、任意の起源から得られた、自己複製配列、ゲノム組み込み(genome integrating)配列、ファージまたはヌクレオチド配列、直鎖または環状の、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAであってもよく、適切な3’非翻訳配列と共に、選択された遺伝子産物のためのプロモーターフラグメントおよびDNA配列を細胞に導入する能力がある独特の構築物に、いくつかのヌクレオチド配列が連結または組換えされている。「形質転換カセット」は、外来遺伝子を含有し、特定の宿主細胞の形質転換を容易にする、外来遺伝子以外の因子を有する特定のベクターを意味する。「発現カセット」は、外来遺伝子を含有し、外来宿主中でこの遺伝子の増強された発現を可能にする、外来遺伝子以外の因子を有する特定のベクターを意味する。
用語「配列分析ソフトウェア」は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の分析に有用な任意のコンピュータアルゴリズムまたはソフトウェアプログラムを意味する。「配列分析ソフトウェア」は、市販のものであってもそれぞれ独自に開発したものであってもよい。通常の配列分析ソフトウェアには、それだけには限らないが、GCGプログラムパッケージ(GCG suite of programs)(ウィスコンシンパッケージバージョン9.0(Wisconsin Package Version 9.0)、ジェネティクスコンピュータグループ(Genetics Computer Group)(GCG)、マディソン(Madison)、ウィスコンシン州(WI))、BLASTP、BLASTN、BLASTX(アルトシュール(Altschul)ら、J.Mol.Biol.215:403〜410(1990年)、およびディーエヌエースター(DNASTAR)(ディーエヌエースター株式会社(DNASTAR,Inc.)、1228 サウスパークストリート(S.Park St.)マディソン(Madison)、ウィスコンシン州(WI)53715 アメリカ合衆国(USA))、およびスミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)アルゴリズム(W.R.ピアソン(W.R.Pearson)、「Comput.Methods Genome Res.」、[Proc.Int.Symp.](1994年)、開催日(Meeting Date)1992年、111〜20、編集:スハイ(Suhai)、サンドール(Sandor)、出版:プリーナム社(Plenum)、ニューヨーク(New York)、ニューヨーク(NY))を組み込んだFASTAプログラムが含まれることとなる。本出願においては、特定しない限り、配列分析ソフトウェアが分析のために使用される場合、分析の結果は、プログラム基準の「デフォルト値」に基づくことが理解されるであろう。本明細書では、「デフォルト値」は、最初に初期設定を行うときにソフトウェアに最初に書き込む一連の値またはパラメータを意味することとなる。
ここで用いられる標準の組換えDNAおよび分子クローニング技術は、当技術分野でよく知られており、サムブルック、J.(Sambrook,J.)、フリッチ、E,F.(Fritsch,E.F.)、およびマニアティス、T.(Maniatis,T.)による、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、コールドスプリングハーバー研究所出版局(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州(NY)(1989年)(以下「マニアティス(Maniatis)」);また、シルハベイ、T.J.(Silhavy,T.J.)、ベンナン、M.L.(Bennan,M.L.)、およびエンクウィスト、L.W.(Enquist,L.W.)による、「Experiments with Gene Fusions」、コールドスプリングハーバー研究所出版局(Cold Spring Harbor Laboratory Press) コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州(NY)(1984年);また、アウスベル、F.M.(Ausubel,F.M.)らによる、グリーンパブリッシングアソシエイツアンドワイリーインターサイエンス(Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience)によって出版された、「分子生物学 最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」(1987年)に記載されている。
ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)におけるpHCA生成に使用される遺伝子
本発明のTAL活性をコードする遺伝子は、細菌ロドバクタースフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)から同定および単離された。ロドバクター(Rhodobacter)は、光センサーとして働く光活動性のイエロープロテイン(yellow protein)を含有する紅色光合成細菌(purple photosynthetic bacteria)のグループに属する。pHCAは、この光活動性のイエロープロテインのための発色団である。この光活動性のイエロープロテインをコードする遺伝子は、ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)から単離されている(コルト(Kort)ら、Biochim.Biophys.Acta 1385:1〜6(1998年))。ロドバクター(Rhodobacter)種のTALは、チロシンから直接pHCAの生成を触媒すると考えられている。その後、pHCAは、光活動性のイエローアポ−タンパク質(yellow apo−protein)に結合するための特異的なリガーゼによって活性化される(キント(Kyndt)ら、「FEBS Letters」512:240〜244(2002年))。
配列同定
この発明のTAL酵素をコードするロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)において同定されたヌクレオチド配列を、配列番号2として示す。このヌクレオチドおよび推定されるアミノ酸(配列番号3)配列を、公のデータベースと比較すると、最も類似した既知の配列は、スミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)アラインメントアルゴリズム(W.R.ピアソン(W.R.Pearson)、「Comput.Methods Genome Res.」、[Proc.Int.Symp.](1994年)、開催日1992年、111〜20、編集:スハイ(Suhai)、サンドール(Sandor)、出版:プリーナム社(Plenum)、ニューヨーク(New York)、ニューヨーク州(NY))を用いると、ここで報告される526アミノ酸の長さのアミノ酸配列と約56%同一であることが示される。より好ましいアミノ酸フラグメントは、ここの配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、約80%〜90%が好ましい。最も好ましいものは、ここで報告されるアミノ酸フラグメントと少なくとも95%同一であるアミノ酸フラグメントである。同様に、当該の配列に相当する核酸配列をコードする好ましいTALは、活性なタンパク質をコードし、ここで報告される核酸配列と少なくとも80%同一であるものである。最も好ましいtal核酸フラグメントは、ここの配列と少なくとも90%同一である。最も好ましいものは、ここで報告される核酸フラグメントと少なくとも95%同一であるtal核酸フラグメントである。
相同体の単離
本発明の核酸フラグメントは、同じまたは別の微生物の種から、相同のタンパク質をコードする遺伝子を単離するために使用することができる。配列依存性のプロトコルを用いる、相同遺伝子の単離は、当技術分野でよく知られている。配列依存性のプロトコルの例には、それだけには限らないが、核酸ハイブリダイゼーションの方法、ならびに核酸増幅技術(例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、マリス(Mullis)ら、米国特許4,683,202号明細書;リガーゼ連鎖反応(LCR)、テイバー(Tabor)、S.他、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」82、1074、(1985年);または鎖置換増幅(strand displacement amplification)(SDA)、ウォーカー(Walker)ら、「Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.」、89:392、(1992年))の様々な使用によって例示されるような、DNAおよびRNA増幅の方法が含まれる。
例えば、当分野の技術者によく知られている方法論を用いて任意の所望の細菌からライブラリをスクリーニングするためのDNAハイブリダイゼーションプローブとして当該の核酸フラグメントのすべてまたは一部を用いることによって、本発明のものと類似したタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子を、直接単離できるであろう。当該の核酸配列に基づく特定のオリゴヌクレオチドプローブは、当技術分野で知られた方法(マニアティス(Maniatis)、前掲)によって、設計および合成することができる。さらに、この完全な配列を直接使用して、ランダムプライマーDNA標識、ニックトランスレーション、または末端標識技術、あるいは利用可能なin vitro転写システムを用いるRNAプローブなどの、当分野の技術者に知られた方法によってDNAプローブを合成することができる。さらに、当該の配列の一部または全長を増幅するために、特定のプライマーを設計および使用することができる。得られた増幅産物は、増幅反応の間に直接標識し、あるいは増幅反応後に標識し、適切なストリンジェンシー条件下で全長のDNAフラグメントを単離するために、プローブとして使用することができる。
通常、PCR−タイプの増幅技術では、これらのプライマーは、異なる配列を有し、互いに相補的ではない。標的核酸の効率的かつ信頼度の高い複製を提供するするために、所望の試験条件に応じて、プライマーの配列を設計するべきである。PCRプライマー設計の方法は、一般的であり、当技術分野でよく知られている(タイン(Thein)およびワレス(Wallace)、「Human Genetic Diseases:A Practical Approach」内、「The use of oligonucleotide as specific hybridization probes in the Diagnosis of Genetic Disorders」、K.E.デービス(K.E.Davis)編、(1986年)33〜50ページ IRL出版(IRL Press)、ハーンドン(Herndon)、ヴァージニア州(Virginia));リフリーク、W.(Rychlik,W.)(1993年)、ホワイト、B.A.(White,B.A.)(編)、「Methods in Molecular Biology」内、Vol.15、31〜39ページ、PCRプロトコル(PCR Protocols):Current Methods and Applications、ヒューマニア プレス社(Humania Press,Inc.)、トトワ(Totowa)、ニュージャージー州(NJ))。
一般に、DNAまたはRNA由来の相同遺伝子をコードするより長い核酸フラグメントを増幅するために、当該の配列の2つの短いセグメントを、ポリメラーゼ連鎖反応プロトコルに使用することができる。片方のプライマーの配列が、当該の核酸フラグメントから得られ、もう片方のプライマーの配列が、微生物の遺伝子をコードするmRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸領域の存在を利用するポリメラーゼ連鎖反応を、クローン化された核酸フラグメントのライブラリに対して実施することもできる。
あるいは、第2のプライマー配列は、クローニングベクターから得られた配列に基づく可能性がある。例えば、当分野の技術者であれば、RACEプロトコル(フローマン(Frohman)ら、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」85:8998(1988年))に従い、PCRを用いて、転写物のある一点と、3’または5’末端との間の領域のコピーを増幅することによってcDNAを産生することができる。3’および5’方向のプライマーは、当該の配列から設計することができる。市販品として利用できる3’RACEまたは5’RACEシステム(ライフテクノロジーズ(Life Technologies)、ロックビル(Rockville)、メリーランド州(MD))を用いて、特定の3’または5’cDNAフラグメントを単離することができる(オハラ(Ohara)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5673(1989年);ロー(Loh)ら、「サイエンス(Science)」243:217(1989年))。
あるいは、当該の配列を、相同体の同定のためのハイブリダイゼーション試薬として用いることができる。核酸ハイブリダイゼーション試験の基本構成要素には、プローブ、問題とする遺伝子または遺伝子フラグメントを含有することが疑われる試料、および特定のハイブリダイゼーション方法が含まれる。本発明のプローブは通常、検出されるべき核酸配列に対して相補的な一本鎖の核酸配列である。プローブは、検出されるべき核酸配列と「ハイブリダイズ可能」である。プローブ長は、5塩基から数万塩基まで変動する可能性があり、行われる特定の試験に依存することとなる。通常、約15塩基から約30塩基のプローブ長が適当である。プローブ分子の一部のみが、検出されるべき核酸配列に対して相補的である必要がある。さらに、プローブと標的配列との間の相補性は、完全である必要はない。ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイズされる領域内の塩基のある部分が、適切な相補的な塩基とは対にならないという結果を伴うが、不完全に相補的な分子間にも確かに起こる。
ハイブリダイゼーション方法は、十分に定義されている。通常、プローブと試料は、核酸ハイブリダイゼーションが可能となるであろう条件下で混合しなければならない。これは、無機または有機塩の存在下で、適切な濃度および温度条件下で、プローブと試料を接触させることを含む。プローブと試料核酸は、プローブと試料核酸との間の起こり得るどんなハイブリダイゼーションが起こるのにも十分な長い時間接触させる必要がある。混合物中のプローブまたは標的の濃度により、ハイブリダイゼーションが起こるのに必要な時間が決定されることとなる。プローブまたは標的の濃度が高くなる程、必要なハイブリダイゼーションのインキュベーション時間は短くなる。場合により、カオトロピック剤を加えることもできる。カオトロピック剤は、ヌクレアーゼ活性を抑制することによって、核酸を安定化する。さらに、カオトロピック剤は、室温での短いオリゴヌクレオチドプローブの反応性が高くかつストリンジェントなハイブリダイゼーションを可能にする(ファン ネス(Van Ness)およびチェン(Chen)、「Nucl.Acids Res.」19:5143〜5151(1991年))。適当なカオトロピック剤には、特に、塩化グアニジウム、グアニジンチオシアネート、チオシアン酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸ルビジウム、ヨウ化カリウム、およびトリフルオロ酢酸セシウムがある。通常、カオトロピック剤は、約3Mの最終濃度で存在することとなる。所望される場合、ハイブリダイゼーション混合物に、ホルムアミドを、通常30〜50%(v/v)加えることもできる。
様々なハイブリダイゼーション溶液を使用することができる。通常、これらは、約20から60%体積、好ましくは30%の極性の有機溶媒を含んでなる。通常のハイブリダイゼーション溶液は、約30〜50%v/v ホルムアミド、約0.15から1M 塩化ナトリウム、約0.05から0.1M バッファー(クエン酸ナトリウム、Tris−HCl、PIPES、またはHEPES(pH範囲約6〜9)など)、ドデシル硫酸ナトリウムなどの約0.05から0.2% 洗剤または0.5〜20mM EDTA、フィコール(FICOLL)(ファルマシア株式会社(Pharmacia Inc.))(約300〜500キロダルトン(kD))、ポリビニルピロリドン(約250〜500kD)、および血清アルブミンを使用する。典型的なハイブリダイゼーション溶液中には、約0.1から5mg/mLの未標識キャリア核酸、例えば仔牛胸腺またはサケ精子DNAなどの断片的な核のDNA、または酵母RNA、および場合により約0.5から2%wt./vol.のグリシンも含まれることとなる。ポリエチレングリコール、アニオン性ポリマー(ポリアクリレートまたはポリメチルアクリレートなど)、およびアニオン性の糖ポリマー(硫酸デキストランなど)などの様々な極性の水溶性または水膨潤性の薬剤を含む体積排除剤(volume exclusion agent)など、他の添加剤も含まれ得る。
核酸ハイブリダイゼーションは、様々な分析フォーマットに適合可能である。最も適当なものの一つは、サンドイッチアッセイフォーマットである。サンドイッチアッセイは、未変性条件下のハイブリダイゼーションに対して特に適合可能である。サンドイッチタイプのアッセイの第一の構成要素は、固体支持体である。固体支持体は、未標識かつ配列の一部に相補的な核酸プローブを固定化したものに吸収されている、あるいは、これに共有結合されている。
組換え発現−微生物
当該の配列の遺伝子および遺伝子産物は、異種宿主細胞中で、特に微生物宿主の細胞中で産生することができる。
微生物の発現システムおよび外来タンパク質の高レベル発現を導く制御配列を含有する発現ベクターは、当分野の技術者によく知られている。これらのうちのいずれかを使用して、当該の配列の遺伝子産物の生成のためのキメラ遺伝子を構築することができた。その後、これらのキメラ遺伝子を、形質転換を介して適切な微生物に導入し、酵素の高レベル発現を提供できた。
したがって、例えば、適切なプロモーターの制御下で当該の微生物の酵素をコードするキメラ遺伝子を導入することにより、pHCAの生成の増加が示されるであろうことが期待される。天然の宿主細胞と異種宿主内の両方で、当該の遺伝子を発現することが有用となるであろうことが予想される。本発明の遺伝子のネイティブ宿主への導入は、pHCAの現在の生成のレベルを上昇させることとなる。さらに、当該の遺伝子は、ネイティブでない宿主細菌(当該の遺伝子が直接単離される生物中には存在しない、pHCA生成を操作するための利点が存在する)に導入することもできる。
適当な宿主細胞の形質転換に有用なベクターまたはカセットは、当技術分野でよく知られている。通常、ベクターまたはカセットは、該当する遺伝子の転写および翻訳を導く配列、選択可能なマーカー、および自己複製または染色体組み込みを可能にする配列を含有する。適当なベクターは、転写開始制御の場である遺伝子の領域5’、および転写停止を制御するDNAフラグメントの領域3’を含んでなる。両方の制御領域が、形質転換される宿主細胞と相同の遺伝子から得られることが最も好ましいが、こうした制御領域が、生成宿主として選択された特定の種に対してネイティブである遺伝子から得られる必要がないことを理解するべきである。
所望の宿主細胞中で当該のTAL遺伝子の発現を導くのに有用な開始制御領域またはプロモーターは、非常に多数あり、当分野の技術者はよく知っている。実質的には、この遺伝子を導く能力があるどんなプロモーターも、本発明に適しており、それだけには限らないが、CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI(サッカロミセス(Saccharomyces)における発現に有用);AOX1(ピキア(Pichia)における発現に有用);ならびにlac、ara、tet、trp、lP、lP、T7、tac、およびtrc(大腸菌(Escherichia coli)における発現に有用)、ならびにamy、apr、nprプロモーターおよびバチルス(Bacillus)における発現に有用な種々のファージプロモーターが含まれる。
停止制御領域はまた、好ましい宿主に対してネイティブな種々の遺伝子から得ることもできる。場合により、停止部位は、不必要である可能性があるが、含まれることが最も好ましい。
当該の遺伝子および核酸フラグメントの発現のための好ましい異種宿主細胞は、菌・カビ性のまたは細菌ファミリー内に広く見つけることができ、かつ広範囲の温度、pH値、および溶媒耐性で増殖する微生物宿主である。例えば、どんな細菌、酵母、および糸状菌も、本発明の核酸フラグメントの発現に適した宿主であろうことが予想される。転写、翻訳、およびタンパク質生合成装置は、細胞の供給材料(feedstock)とは無関係であるので、機能遺伝子は、細胞のバイオマスを産生するために使用される炭素供給材料とは無関係に発現される。大規模な微生物の増殖および機能遺伝子発現は、光合成または化学合成独立栄養宿主の場合、広範囲の単純または複雑な炭水化物、有機酸、およびアルコール、および/またはメタンまたは二酸化炭素などの飽和炭化水素を利用する可能性がある。しかし、機能遺伝子は、特定の増殖条件(窒素、リン、硫黄、酸素、炭素、または小さな無機イオンを含めた任意の微量の(trace)微量元素の形および量を含む可能性がある)によって調節される、抑制される、または低下する可能性がある。さらに、機能遺伝子の調節は、培養物に加えられるが、一般には栄養分またはエネルギー源とはみなされない特定の調節分子の存在または非存在によって実現することができる。増殖速度はまた、遺伝子発現における重要な調節因子であり得る。
宿主株の例には、それだけには限らないが、腸内細菌(例えばエシェリキア(Escherichia)およびサルモネラ(Salmonella))ならびにバチルス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、メチロバクター(Methylobacter)、およびシュードモナス(Pseudomona)などの細菌;ロドバクター(Rhodobacter)およびシネコシスチス(Synechocystis)などのシアノ細菌;サッカロミセス(Saccharomyces)、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、ムコール(Mucor)、ピキア(Pichia)、およびトルロプシス(Torulopsis)などの酵母;アスペルギルス(Aspergillus)およびアルトロボトリス(Arthrobotrys)などの糸状菌;ならびにスピルリナ(Spirulina)、ヘモタコッカス(Haemotacoccus)、およびデュナリエラ(Dunalliela)などの藻類が含まれる。工業用の大量のpHCAを調製するために、本発明のTAL遺伝子を、これらの微生物および他の微生物宿主中で生じることができる。
経路工学
TAL遺伝子の配列の理解は、こうした経路をもつどんな生物におけるpHCA生合成経路を操作するのにも有用となる。さらに、チロシンを生じる外因性または遺伝子操作された能力をもつ任意の生物に、TAL遺伝子を導入することは、グルコースなどの炭素源からのPCHA生成を可能にするであろう。遺伝経路を操作する方法は、一般的であり、当技術分野でよく知られている。特に、経路における選択された遺伝子は、様々な方法によって、上方調節または下方調節することができる。さらに、生物における競合(competing)経路は、遺伝子破壊および類似の技術によって排除または昇華することができる。
主要な遺伝経路が同定および配列決定されたら、この経路の出力を上げるために、特定の遺伝子を上方調節することができる。例えば、標的にされる遺伝子のさらなるコピーを、pBR322などの多コピープラスミドの宿主細胞に導入することができる。あるいは、標的遺伝子を、ネイティブでないプロモーターの制御下であるように改変することができる。細胞周期における特定の点で、あるいは発酵実行中に経路を操作することが所望される場合、標的遺伝子のネイティブプロモーターを置き換えるために、調節または誘導性プロモーターを使用することができる。同様に、場合により、ネイティブまたは内在性のプロモーターを、遺伝子発現を増大させるために、改変することができる。例えば、内在性プロモーターは、突然変異、欠失、および/または置換によって、in vivoで改変することができる(クミーク(Kmiec)、米国特許第5,565,350号明細書;ツァーリンク(Zarling)ら、PCT/米国特許出願第93/03868号明細書参照)。
あるいは、標的経路において、あるいはエネルギーまたは炭素のための競合シンク(sink)として働く可能性がある競合経路において、ある種の遺伝子の発現を低下または排除する必要があるかもしれない。この目的のために遺伝子を下方調節する方法が、探求されている。破壊されるべき遺伝子の配列が既知である場合、遺伝子下方調節のための最も有効な方法のうちの1つは、転写を断つように外来DNAを、構造遺伝子に挿入する、標的遺伝子破壊である。これは、破壊されるべき遺伝子の1部分に対して高い程度の相同性を有する配列と隣接した、挿入されるDNA(多くの場合遺伝マーカー)を含んでなる遺伝カセットの作成によって達成することができる。宿主細胞にこのカセットを導入することにより、細胞のネイティブDNA複製機構を介して、構造遺伝子への外来DNAの挿入がもたらされる(例えばハミルトン(Hamilton)ら、「J.Bacteriol.」171:4617〜4622(1989年);バルバス(Balbas)ら、「遺伝子(Gene)」136:211〜213(1993年);グエルデンナー(Gueldener)ら、「Nucleic Acids Res.」24:2519〜2524(1996年);およびスミス(Smith)ら、「Methods Mol.Cell.Biol.」5:270〜277(1996年)を参照のこと)。
アンチセンス技術は、標的遺伝子の配列が既知である場合に遺伝子を下方調節する別の方法である。これを行うために、所望の遺伝子からの核酸セグメントをクローン化し、RNAのアンチセンス鎖が、転写されるようにプロモーターに作動可能に連結する。その後、この構築物を、宿主細胞に導入し、RNAのアンチセンス鎖を生成させる。アンチセンスRNAは、当該のタンパク質をコードするmRNAの蓄積を妨げることによって、遺伝子発現を抑制する。当分野の技術者であれば、特定の遺伝子の発現を抑えるために、アンチセンス技術の使用には、特別な配慮が関係することが分かるであろう。例えば、アンチセンス遺伝子の適切なレベルの発現は、当分野の技術者に知られた異なる調節因子を利用する異なるキメラ遺伝子の使用を必要とする可能性がある。
配列が既知である場合、標的遺伝子破壊およびアンチセンス技術が、遺伝子を下方調節する有効な手段を提供するが、配列に基づかない他の特異性がより低い方法論も、開発されている。例えば、細胞を、UV放射にかけ、その後、所望の表現型をスクリーニングすることができる。化学薬品を用いる突然変異誘発も、突然変異体の産生に有効であり、通常使用される物質には、HNOおよびNHOHなどの、複製していないDNAに影響を与える化学物質、ならびにフレームシフト突然変異を引き起こすので有名なアクリジン染料などの、複製しているDNAに影響を与える薬剤が含まれる。放射線または化学薬品を用いる、突然変異体を作成するための具体的な方法は、当技術分野で十分に実証されている。例えば、トーマス D.ブロック(Thomas D.Brock)「Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology」、第2版(1989年)シナウアーアソシエイツ株式会社(Sinauer Associates,Inc.)、サンダーランド(Sunderland)、マサチューセッツ州(MA)、またはデシュパンデ、ムクンド V.(Deshpande,Mukund V)、「Appl.Biochem.Biotechnol.」、36:227(1992年)を参照のこと。
遺伝子破壊の別の非特異的な方法は、転移因子またはトランスポゾンの使用である。トランスポゾンは、DNAにランダムに挿入しても、挿入がどこで起きているかを決定するための配列に基づいて、後で回収することができる遺伝因子である。in vivoとin vitroの両方の転位方法が知られている。どちらの方法も、トランスポザーゼ酵素と組み合わせた、転移因子の使用を含む。転移因子またはトランスポゾンを、トランスポザーゼの存在下で、核酸フラグメントと接触させる場合、転移因子は、この核酸フラグメントにランダムに挿入されることとなる。破壊された遺伝子は、転移因子の配列に基づいて同定することができるので、この技術は、ランダムな突然変異誘発に、また遺伝子単離に有用である。in vitro転位のためのキットは、市販されている(例えば、酵母Ty1因子に基づいた、パーキンエルマーアプライドバイオシステム(Perkin Elmer Applied Biosystems)、ブランチバーグ(Branchburg)、ニュージャージー州(NJ)から入手できるプライマーアイランドトランスポジションキット(Primer Island Transposition Kit);バクテリアトランスポゾン(bacterial transposon)Tn7に基づいた、ニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs)、ビバリー(Beverly)、マサチューセッツ州(MA)から入手できるゲノムプライミングシステム(Genome Priming System);およびTn5細菌転位因子(bacterial transposable element)に基づいた、エピセンターテクノロジー(Epicentre Technologies)、マディソン(Madison)、ウィスコンシン州(WI)から入手できるEZ::TNトランスポゾン挿入システム(transposon Insertion Systems)を参照のこと)。
本発明においては、上で述べた方法のいずれか1つによって、pHCA生成酵素経路の発現を調節することが有用である可能性がある。例えば、フェニルアラニンの生成など、競合経路を下方調節することによって、グルコースからのチロシンの生成を最大限にすることが好都合であろう。
工業的生成
pHCAの生成が所望される場合、様々な培養方法論を適用することができる。例えば、組換え微生物宿主から過剰発現された特定の遺伝子産物の大規模生成は、バッチまたは連続培養方法論によって生成することができる。
古典的なバッチ培養方法は、培地の組成が、培養の最初に設定され、培養プロセス中に人為的変更を施さない場合の密閉システムである。したがって、培養プロセスの最初に、培地に、所望の1種もしくはそれ以上の生物を接種し、システムに何も加えずに増殖または代謝活性を起こさせる。しかし通常、「バッチ」培養は、炭素源の添加に関してのバッチであり、pHおよび酸素濃度などの因子を制御する試みは、しばしばなされる。バッチシステムでは、このシステムの代謝産物およびバイオマス組成は、培養が、停止される時まで常に変化する。バッチ培養物内では、細胞は、増殖速度が弱まるまたは停止する場合、静的な誘導期を通って高度な増殖の対数期まで、最後に定常期まで減速する。処理を施さない場合は、定常期の細胞は、最終的には死ぬであろう。あるシステムでは、対数期の細胞がしばしば、最終産物または中間産物の大量の生成の原因である。他のシステムでは、定常期または指数期後(post−exponential phase)の生成物を得ることができる。
標準のバッチシステムの変形は、流加(Fed Batch)システムである。流加培養プロセスはまた、本発明に適しており、培養進行状況としての増分に応じて基質が加えられるということを除いて通常のバッチシステムを含んでなる。流加システムは、カタボライト抑制により細胞の代謝が抑制されやすい場合に、また培地内に限られた量の基質を含むことが望ましい場合に有用である。流加システムにおける実際の基質濃度の測定は、困難であるので、pH、溶存酸素、およびCOなどの廃ガスの分圧などの測定可能な因子の変化に基づいて推定される。バッチおよび流加培養法は、一般的であり、当技術分野でよく知られており、その例は、トーマス D.ブロック(Thomas D.Brock)「Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology」、第2版(1989年)シナウアーアソシエイツ株式会社(Sinauer Associates,Inc.)、サンダーランド(Sunderland)、マサチューセッツ州(MA)、またはデシュパンデ、ムクンド V.(Deshpande,Mukund V)、「Appl.Biochem.Biotechnol.」、36:227(1992年)(参照により本明細書に組み込む)に出ている。
pHCAの商業的生成は、連続培養を用いて実現することができる。連続培養は、合成培地が、バイオリアクターに連続的に加えられ、かつ等量の調整培地が、処理のために同時に除去される、開放システムである。連続培養は一般に、細胞が、主として対数期増殖であるところのコンスタントに高い液相密度に細胞を維持する。あるいは、炭素および栄養分が連続的に加えられ、かつ価値ある生成物、副生成物、または廃棄物が、細胞集団から連続的に除去される連続培養を、固定化された細胞を用いて行うことができる。細胞の固定化は、天然および/または合成材料からなる広範囲の固体支持体を用いて実施することができる。
連続または半連続培養では、細胞増殖または最終産物濃度に影響を与える1因子またはいくつかの因子の調節が可能である。例えば、ある方法では、炭素源または窒素レベルなどの制限栄養を固定速度に保ち、他のすべてのパラメータを加減することが可能である。他のシステムでは、培地の濁度によって測定される細胞濃度を、一定に保つ一方で、増殖に影響を与えるいくつかの因子を、連続的に変えることができる。連続システムでは、定常状態の増殖条件を維持したいので、培養物における細胞増殖速度に対して、培地を抜き取ることによる細胞の損失を釣り合わせなければならない。連続培養プロセスのための栄養および成長因子を調節する方法、ならびに生成物生成の速度を最大にするするための技術は、工業微生物学の分野でよく知られており、様々な方法は、ブロック(Brock)、前掲によって詳述されている
本発明の発酵培地は、適当な炭素基質を含有しなければならない。適当な基質には、それだけには限らないが、グルコースおよびフルクトースなどの単糖、ラクトースまたはスクロースなどの少糖、デンプンまたはセルロースまたはそれらの混合物などの多糖、ならびにチーズホエー浸透液(cheese whey permeate)、コーンスティープリカー、テンサイ糖蜜(sugar beet molasses)、およびオオムギ麦芽などの再生可能原料から得られる未精製の混合物が含まれ得る。さらに、炭素基質は、主要な生化学的中間体への代謝転換が実証されている、二酸化炭素、メタン、またはメタノールなどの一炭素基質であってもよい。メチロトローフ生物はまた、一および二炭素基質の他に、メチルアミン、グルコサミン、およびの代謝活動ための様々なアミノ酸などのいくつかの他の炭素含有化合物を利用することが知られている。例えば、メチロトローフ酵母は、メチルアミンからの炭素を利用してトレハロースまたはグリセロールを生じることが知られている(ベリオン(Bellion)ら、「Microb. Growth C1 Compd.」、[Int.Symp.]、第7版(1993年)、415〜32、編集:マーレル、J.コリン(Murrell,J.Collin);ケリー、ドン P.(Kelly,Don P.)出版:インターセプト(Intercept)、アンドーバー(Andover)、英国(UK))。同様に、様々な種のカンジダは、アラニンまたはオレイン酸を代謝することとなる(スルター(Sulter)ら、「Arch.Microbiol.」153:485〜489(1990年))。したがって、本発明に利用される炭素源は、非常に様々な炭素含有基質を包含し、生物の選択によってのみ限定されることとなることが考えられる。
組換え発現−植物
あるいは、本発明は、TAL遺伝子を含有する植物細胞におけるpHCAの生成を提供する。本発明の核酸フラグメントを用いて、pHCAを生成するために、微生物の遺伝子を発現する能力をもつトランスジェニック植物を作成することができる。好ましい植物宿主は、pHCAまたはpHCA−グルコシド複合体の高い生成レベルを補助する任意の種となる。適当な緑色植物には、それだけには限らないが、以下が含まれることとなる:ダイズ、ナタネ(Brassica napus、B.campestris)、コショウ、ヒマワリ(Helianthus annus)、ワタ(Gossypium hirsutum)、トウモロコシ、タバコ(Nicotiana tabacum)、アルファルファ(Medicago sativa)、コムギ(Triticum sp)、オオムギ(Hordeum vulgare)、オートムギ(Avena sativa,L)、モロコシ(Sorghum bicolor)、イネ(Oryza sativa)、シロイヌナズナ、アブラナ科野菜(ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、パースニップなど)、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、ラッカセイ、ブドウ、グラスシード作物(grass seed crop)、テンサイ、サトウキビ、マメ、エンドウ、ライムギ、アマ、広葉樹、針葉樹、および飼料牧草(forage grass)。成長の所望の段階での所望の組織における遺伝子の発現を導くことができるプロモーターにコード領域が作動可能に連結された本発明のキメラ遺伝子を最初に構築することによって、pHCAの過剰発現を実現することができる。便宜上、キメラ遺伝子は、同じ遺伝子から得られたプロモーター配列と翻訳リーダー配列を含んでなることが可能である。転写停止シグナルをコードする3’非コード配列も提供されなければならない。当該のキメラ遺伝子はまた、遺伝子発現を容易にするために、1つもしくはそれ以上のイントロンもを含んでなることが可能である。
キメラ遺伝子配列には、コード領域の発現を誘導する能力がある任意のプロモーターと任意のターミネーターのどんな組み合わせも、用いることができる。プロモーターおよびターミネーターの適当な例には、ノパリン合成酵素(nos)、オクトピン合成酵素(ocs)、およびカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)遺伝子から得られるものが含まれる。用いることのできる効率的な植物プロモーターの1種は、高レベル植物プロモーターである。本発明の遺伝子配列と作動可能に連結するこうしたプロモーターは、本発明の遺伝子産物の発現を促進する能力がなければならない。この発明に用いることのできる高レベル植物プロモーターには、例えば、ダイズからのリブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼの小サブユニット(ss)のプロモーター(ベリー−ロウ(Berry−Lowe)ら、「Journal of Molecular and Applied genetics」、1:483〜498 1982年))、およびクロロフィルa/b結合タンパク質のプロモーターが含まれる。これらの2つのプロモーターは、植物細胞において光誘導性であることが知られている(例えば、「Genetic Engineering of Plants, an Agricultural Perspective」A.キャッシュモーア(A.Cashmore)、プリーナム社(Plenum)、ニューヨーク(NY)(1983年)、29〜38ページ;コルッツィ、G.(Coruzzi,G.)ら、「J.Biol.Chem.」、258:1399(1983年)、およびダンスミア、P.(Dunsmuir,P.)ら、「Journal of Molecular and Applied Genetics」、2:285(1983年)を参照のこと)。
その後、当該のキメラ遺伝子を含んでなるプラスミドベクターを構築することができる。プラスミドベクターの選択は、宿主植物を形質転換するために用いられることとなる方法に応じて変わる。当分野の技術者であれば、キメラ遺伝子を含有する宿主細胞を成功裡に形質転換、選択、および増殖するためにプラスミドベクター上に存在しなければならない遺伝因子を十分に知っている。当分野の技術者はまた、異なる独立した形質転換事象が、異なるレベルおよびパターンの発現をもたらす(ジョーンズ(Jones)ら、「EMBO J.」4:2411〜2418(1985年);デ アルメイダ(De Almeida)ら、「Mol.Gen.Genetics」218:78〜86(1989年))ので、所望の発現レベルおよびパターンを示す線(line)を得るためには、複数の事象が、スクリーニングされる必要があることも理解するであろう。こうしたスクリーニングは、DNAブロットのサザン分析(サザン(Southern)、「J.Mol.Biol.」98、503、(1975年))、mRNA発現のノーザン分析(クロチェック、J.(Kroczek,J.)「Chromatogr.Biomed.Appl.」、618(1〜2)133〜145(1993年))、タンパク質発現のウェスタン分析、または表現型分析によって実現することができる。
ある種の適用例については、当該のタンパク質を異なる細胞区画に割り当てることが有用となる。したがって、既に存在する標的配列を加えられた、かつ/または既に存在する標的配列を取り除かれた、トランジット配列(キーグストラ、K.(Keegstra,K.)、「Cell」56:247〜253(1989年))、シグナル配列または小胞体局在化をコードする配列(クリスピールズ、J.J.(Chrispeels,J.J.)、「Ann.Rev.Plant Phys.Plant Mol.Biol.」42:21〜53(1991年))、または核局在化シグナル(ライケール、N.(Raikhel,N.)「Plant Phys.」100:1627〜1632(1992年))などの適切な細胞内の標的配列を用いて、酵素をコードするようにコード配列を改変することによって、上で述べたキメラ遺伝子を、さらに補うことが目論まれる。引用された参考文献は、これらのそれぞれの例を示すが、このリストは、網羅的ではなく、本発明に有用なより照準的なシグナルは、将来発見される可能性がある。
タンパク質工学
本発明のヌクレオチドを用いて、活性が増強または改変された遺伝子産物を生成することができることが予想される。それだけには限らないが、エラープローン(error prone)PCR(メルニコフ(Melnikov)ら、「Nucleic Acids Research」27(4):1056〜1062(1999年));部位特異的変異(クームス(Coombs)ら、「Proteins」(1998年)、259〜311、図版1(1 plate)、編集:アンジェレッティ(Angeletti)、ルース ホーグ(Ruth Hogue)、出版:アカデミック社(Academic)、サンディエゴ(San Diego)、カリフォルニア州(CA))、および「遺伝子シャッフリング」(米国特許第5,605,793号明細書;米国特許第5,811,238号明細書;米国特許第5,830,721号明細書;および米国特許第5,837,458号明細書(参照により本明細書に組み込む))を含めて、ネイティブ遺伝子配列を突然変異させて、活性が改変または増強された遺伝子産物を生成するための様々な方法が知られている。
遺伝子シャッフリングの方法は、その実行のし易さ、および突然変異誘発の速度の速さ、およびスクリーニングの容易さのおかげで、特に魅力的である。遺伝子シャッフリングのプロセスは、当該の遺伝子と類似の、または異なる追加の集合のDNA領域の存在下で、当該の遺伝子を、制限エンドヌクレアーゼ切断して特定のサイズのフラグメントにすることを含む。その後、フラグメントのこのプールを、変性および再アニールして、変異遺伝子を作成することとなる。次いで、この変異遺伝子を、活性の変化についてスクリーニングする。
本発明の当該の微生物配列は、この方法によって、活性を改変または増強するために突然変異およびスクリーニングすることができる。配列は、二本鎖でなければならず、50bpから10kbの範囲の様々な長さであり得る。この配列を、当技術分野でよく知られた制限エンドヌクレアーゼ(マニアティス(Maniatis)、前掲)を用いて、ランダムに消化して約10bpから1000bpの範囲のフラグメントにすることができる。当該の微生物配列に加えて、微生物の配列のすべてまたは一部分にハイブリダイズ可能なフラグメントの集合を、加えることができる。同様に、当該の配列にハイブリダイズ可能ではないフラグメントの集合も、加えることができる。通常、これらの追加のフラグメント集合は、核酸総量に対して約10から20倍増しの重量で加えられる。一般に、このプロセスに従う場合、混合物中の異なる個々の核酸フラグメントの数は、約100から約1000となる。混合されたランダムな核酸フラグメントの集合を、変性させて一本鎖の核酸フラグメントを形成し、その後、再アニールする。他の一本鎖の核酸フラグメントと相同の領域を有する一本鎖の核酸フラグメントのみ、再アニールすることとなる。ランダムな核酸フラグメントは、加熱によって変性させることができる。当分野の技術者であれば、二本鎖の核酸を完全に変性させるのに必要な条件を決定することができるであろう。温度は、80℃から100℃であることが好ましい。この核酸フラグメントは、冷却によって再アニールすることができる。その温度は、20℃から75℃であることが好ましい。再生は、ポリエチレングリコール(「PEG」)または塩を加えることによって加速することができる。適当な塩濃度は、0mMから200mMの範囲であり得る。その後、アニールされた核酸フラグメントを、核酸ポリメラーゼおよびdNTP(すなわち、dATP、dCTP、dGTP、dTTP)の存在下でインキュベートする。核酸ポリメラーゼは、クレノウフラグメント(Klenow fragment)、Taqポリメラーゼ、または当技術分野で知られた任意の他のDNAポリメラーゼであり得る。ポリメラーゼは、アニーリング前に、アニーリングと同時に、またはアニーリング後に、ランダムな核酸フラグメントに加えることができる。変性、再生、およびポリメラーゼの存在下でのインキュベートというサイクルは、適切な回数繰り返される。このサイクルは、2から50回繰り返されることが好ましく、10から40回繰り返されることがより好ましい。得られる核酸は、約50bpから約100kbの範囲の、より大きい二本鎖のポリヌクレオチドであり、標準のクローニングおよび発現プロトコル(マニアティス(Manatis)、前掲)によって、発現および活性の変化についてスクリーニングすることができる。
さらに、遺伝子シャッフリング(エキソンシャッフリング)法(ニクソン(Nixon)ら、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」94:1069〜1073(1997年))を用いる機能ドメインの融合によって、ハイブリッドタンパク質を構築することができる。当該の遺伝子の機能ドメインを、他の遺伝子の機能ドメインと合わせて、所望の触媒作用をもつ新規の酵素を作成することができる。PCRオーバーラップエクステンション(overlap extension)法を用いて、ハイブリッド酵素を構築し、当分野の技術者によく知られている技術を用いて種々の発現ベクターにクローニングすることができる。
好ましい実施形態の説明
本発明は、チロシンから直接pHCAを生成するために使用することができる酵素を提供する。この発明の当該の遺伝子は、チロシンアンモニウムリアーゼ(TAL)活性をもつタンパク質をコードする。TAL活性は、中間のステップ無しで、以下のスキームに従って、チロシンを直接pHCAに転換することとなる。
Figure 2006501819
本発明のTAL遺伝子は、進行中のロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)ゲノム配列決定プロジェクト(genome sequencing project)(http://www.hgsc.bcm.tmc.edu/microbial/microbialblast.cgi?organism=Rsphaeroides)から得られるロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)の、利用できる翻訳されたゲノム配列を求めるために、トリコスポロン クタネウム(Trichosporon cutaneum)(配列番号1)(サリアスラーニ(Sariaslani)ら、米国特許出願第60/383232号明細書)から単離された、TALのアミノ酸配列を用いることによって同定された。2つのオープンリーディングフレーム(ORF)は、T.クタネウム(T.cutaneum)TAL配列と高い相同性をもつことが判明した。これらのORFのうちの1つは、ロドバクター カプスラティス(Rhodobacter capsulatis)(キント(Kyndt)ら、「FEBS Letters」512:240〜244(2002年))から得られた最近同定されたTALとより密接に相関していると判明したので、TAL遺伝子であると結論づけられた。本発明のTALタンパク質配列(配列番号3)は、ロドバクター カプスラティス(Rhodobacter capsulatis)から得られたTALのタンパク質配列と、56%の同一性を有していた。鋳型としてのゲノムDNAのダイレクト(direct)PCR増幅を用いて、TAL遺伝子をクローン化し、大腸菌中で発現させた。大腸菌中での発現の後、パーフュージョン(perfusion)クロマトグラフィーを用いてRsTAL酵素を精製し、反応速度分析を用いて特徴付けた。RsTALは、TAL/PAL比が19であることが判明し、これは、RsTALが、フェニルアラニンを用いた場合よりも、基質としてチロシンを用いた場合に著しく高い活性を有することを示していた。
本発明を、以下の実施例でさらに定義する。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方で、例示目的でのみ示されることを理解するべきである。上の論考およびこれらの実施例から、当分野の技術者は、この発明の本質的特性を確認することができ、これを様々な使用および条件に適合させるために、その趣旨および範囲から逸脱せずに、本発明の様々な変形および改変を行うことができる。
一般的な方法
実施例で用いられる標準の組換えDNAおよび分子クローニング技術は、当技術分野でよく知られており、サムブルック、J.(Sambrook,J.)、フリッチ、E.F.(Fritsch,E.F.)、およびマニアティス、T.(Maniatis,T.)によって、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」; コールドスプリングハーバー研究所出版局(Cold Spring Harbor Laboratory Press):コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、(1989年)(マニアティス(Maniatis))、また、T.J.シルハベイ(T.J.Silhavy)、M.L.ベンナン(M.L.Bennan)、およびL.W.エンクウィスト(L.W.Enquist)によって、「Experiments with Gene Fusions」、コールドスプリングハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory)、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク(N.Y.)(1984年)、また、アウスベル、F.M.(Ausubel,F.M.)らによる、グリーンパブリッシングアソシエイツアンドワイリーインターサイエンス(Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience)によって出版された、「分子生物学 最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」(1987年)に記載されている。
細菌培養株の維持および増殖に適した材料および方法は、当技術分野でよく知られている。以下の実施例における使用に適した技術は、「Manual of Methods for General Bacteriology」(フィリップ ゲルハルト(Phillipp Gerhardt)、R.G.E.マレー(R.G.E.Murray)、ラルフ N.コスティロウ(Ralph N.Costilow)、ユージーン W.ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリス A.ウッド(Willis A.Wood)、ノエル R.クリーク(Noel R.Krieg)、およびG.ブリッグス フィリップス(G. Briggs Phillips)編)、米国微生物学会(American Society for Microbiology)、ワシントンDC(Washington,DC.)(1994年))、または、トーマス D.ブロック(Thomas D.Brock)による「Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology」、第2版、シナウアーアソシエイツ株式会社(Sinauer Associates,Inc.)、サンダーランド(Sunderland)、マサチューセッツ州(MA)(1989年)で見ることができる。細菌細胞の増殖および維持のために用いられる試薬、制限酵素、および材料はすべて、別段の指定がない限り、アルドリッチケミカル(Aldrich Chemicals)(ミルウォーキー(Milwaukee)、ウィスコンシン州(WI))、BDダイアグノスティックス システム(BD Diagnostic Systems)(スパークス(Sparks)、メリーランド州(MD))、ライフテクノロジーズ(Life Technologies)(ロックビル(Rockville)、メリーランド州(MD))、またはシグマ ケミカル カンパニー(Sigma Chemical Company)(セントルイス、ミズーリ州(St. Louis,MO))から入手した。
略語の意味は、次の通りである。「s」は、秒を意味し、「min」は、分を意味し、「h」は、時間を意味し、「psi」は、平方インチあたりのポンドを意味し、「nm」は、ナノメートルを意味し、「d」は、日を意味し、「μL」は、マイクロリットルを意味し、「mL」は、ミリリットルを意味し、「L」は、リットルを意味し、「mm」は、ミリメートルを意味し、「mM」は、ミリモル(millimolar)を意味し、「M」は、モル(molar)を意味し、「mmol」は、ミリモル(millimole)を意味し、「μmole」は、マイクロモルを意味し、「g」は、グラムを意味し、「μg」は、マイクログラムを意味し、「ng」は、ナノグラムを意味し、「U」は、ユニットを意味し、「mU」は、ミリユニットを意味し、「Umg−1」は、mgあたりのユニットを意味し、「OD」は、光学密度を意味し、「OD600」は、600nmの波長で測定される光学密度を意味し、「ppm」は、百万分率を意味し、「kD」は、キロダルトンを意味し、「rpm」は、毎分回転数を意味する。
実施例1
ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)におけるTAL遺伝子の同定
この実施例の目的は、チロシンアンモニアリアーゼ酵素をコードするロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)の遺伝子を同定することであった。
Blast分析
トリコスポロン クタネウム(Trichosporon cutaneum)から得られるTALのアミノ酸配列は、配列番号1(サリアスラーニ(Sariaslani)ら、米国特許出願第60/383232号明細書)として示され、進行中のロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)ゲノム配列決定プロジェクト(http://www.hgsc.bcm.tmc.edu/microbial/microbialblast.cgi?organism=Rsphaeroides)から得られるロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)の翻訳されたゲノム配列を求めるために用いられる。
Blastの結果は、TAL配列とのかなりの相同性をもつ2つのオープンリーディングフレーム(ORF)が目下存在することを示した。これらの配列のうちの1つは、コンティグ(Contig)204上にあり、これは、T.クタネウム(T.cutaneum)TAL配列と比較した場合、2e−46の期待値(E)を有する。期待値は、マッチの統計的有意性を推定し、このサイズのデータベースの探索において全く偶然期待されるマッチの数を、所与のスコアを伴って、明らかにする。2つ目の配列は、コンティグ230上にあり、T.クタネウム(T.cutaneum)TAL配列と比較した場合、4e−42のE値を有する。いくつかのフェニルアラニン、チロシン、およびヒスチジンアンモニアリアーゼの、これらの配列との比較により、コンティグ204上のORFが、ヒスチジンアンモニアリアーゼと最も密接に相関しているのに対し、コンティグ(Contig)230上のORFが、ロドバクター カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)(キント(Kyndt)ら、「FEBS Letters」512:240〜244(2002年))由来の最近同定されたチロシンアンモニアリアーゼとより密接に相関していることが示された。したがって、この後者のORFが、TAL遺伝子であると結論づけられた。このTAL遺伝子のDNA配列を、配列番号2として示す。この配列は、コード領域全体プラス5’フランキング領域の146塩基および3’フランキング領域の123塩基を含む。ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)TAL(RsTAL)の翻訳されたタンパク質配列は、配列番号3と呼ばれ、526アミノ酸長である。
ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)TAL(配列番号3)に関して得られたアミノ酸配列を、公に利用可能なすべてのタンパク質配列との類似性について分析した。これは、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)によって提供されるBLASTNアルゴリズムを用いて、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool;アルトシュール(Altschul)、S.F.他、(1993年)「J.Mol.Biol.」215:403〜410;www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/も参照のこと)サーチを実施することによって、BLAST「p」データベース(非冗長GenBank CDSの翻訳配列、三次元構造のBrookhavenタンパク質データバンク由来の配列、SWISS−PROTタンパク質配列データベース、EMBL、およびDDBJデータベースをすべて含んでなる)に含まれる配列との類似性について行った。T.クタネウム(T.cutaneum)からのTALアミノ酸配列も、比較のために含められた。
BLAST比較の結果を、表1に示す。これは、期待値について報告された値を用いるBLASTXpアルゴリズムに基づくデータを示す。これらの結果は、ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)からのTALが、他のTAL、PAL、およびHAL酵素に対して高度の類似性を有することを示す。ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)からのTALとロドバクター カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)からのTALは、アミノ酸レベルで56%の同一性を有する。
Figure 2006501819
実施例2
大腸菌中での、ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)由来のTAL遺伝子の発現
この実施例の目的は、ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)由来のTAL酵素をコードする遺伝子をクローン化し、また、その活性を確認し、また、それを特徴付けるために、この遺伝子を大腸菌中で発現させることであった。
ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)配列決定プロジェクトから同定されたTAL遺伝子のDNA配列に基づいて、鋳型としてゲノムDNAを用いるダイレクトPCR増幅によるPCRクローニングのために、表2に列挙するプライマーを設計した。アメリカンタイプカルチャーコレクション(The American Type Culture Collection)(マナサス(Manassas)、バージニア州(VA))からロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)ゲノムDNAを購入し、使用前に水で10倍に希釈した。TAL遺伝子のコード領域を、PCRによって増幅し、pKK223−3またはpTricHisTOPO(登録商標)ベクター(インビトロジェン(Invitrogen)、カールスバッド(Carlsbad)、カリフォルニア州(CA))にクローン化した。
Figure 2006501819
ベクターpKK223−3に対して、プライマーRS−TAL−FおよびRS−TAL−R(配列番号:4および5)を用いて、GTG開始コドンで開始し、終止コドンの後の73塩基対で終わる、ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)talのコード領域を増幅した。PCR反応混合物は、1μLのロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)ゲノムDNA(1:10希釈)、それぞれ1μLの2種のプライマー(20μM)、10μLの10X PCRバッファー(クロンテック(ClonTech)、パロアルト(Palo Alto)、カリフォルニア州(CA))、10μLの5M G−Cメルト(G−C melt)(クロンテック(ClonTech))、8μLの2.5mM dNTP、18μLのHO、および1μLのアドバンテージ(Advantage)G−Cポリメラーゼミックス(クロンテック(ClonTech))を含有していた。この反応混合物を、2.5分間94℃に加熱し、次いで以下のようなサイクルにかけた。94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で2分を30サイクル。これらのサイクルに続いて、72℃で7分インキュベーションを行った。
QIAquick PCR精製キット(キアゲン社(Qiagen,Inc.)、バレンシア(Valencia)、カリフォルニア州(CA))を用いて、メーカーのプロトコルに従って、PCR産物(全長1674塩基対)を精製した。精製されたPCR産物およびベクターpKK223−3を、SmaIで別々に消化した。この反応混合物は、50μLのPCR産物(約15μgのDNA)または50μLのpKK223−3(約10μg)、10μLのNE バッファー4(ニューイングランドバイオラボ(New England BioLabs)、ビバリー(Beverly)、マサチューセッツ州(MA))、36μLの水および4μLのSmaI(20ユニット/μL、(ニューイングランドバイオラボ(New England BioLabs)、ビバリー(Beverly)、マサチューセッツ州(MA))を含有していた。室温で4時間のインキュベートの後、消化されたDNA試料を、QIAquick PCR精製キットを用いて精製した。次いで、HindIIIを用いてこのDNA試料を消化した。この反応混合物は、50μLのSmaIで消化したDNA(PCR産物については約15μg、またはpKK223−3については10μg)、10μLのNE バッファー2(ニューイングランドバイオラボ(New England BioLabs))、4μLのHindIII(20ユニット/μL、ニューイングランドバイオラボ(New England BioLabs))、および36μLの水を含有していた。この反応混合物を37℃で4時間インキュベートした。消化されたDNA試料を、QIAquick PCR精製キットを用いて再び精製した。次いで、このPCR産物を、T4リガーゼを用いてベクターと連結した。この反応混合物は、それぞれ2μLの消化されたpKK223−3とPCR産物、2μLの10Xリガーゼバッファー(ニューイングランドバイオラボ(New England BioLabs))、13μLの水、および1μLのT4リガーゼ(ニューイングランドバイオラボ(New England BioLabs))を含有していた。室温で終夜インキュベートした後、このライゲーションミックスを用いて、トップ(Top)10 大腸菌コンピテント細胞(competent cell)(インビトロジェン(Invitrogen)、カールスバッド(Carlsbad)、カリフォルニア州(CA))を形質転換した。形質転換された細胞を、1% バクト−トリプトン、0.5% バクト−酵母エキス、0.5% NaCl、1mM NaOH、および100μg/mL アンピシリンを添加した2%バクト−寒天からなるLBプレートに蒔いた。
この形質転換プレートから得た15のコロニーを用いて、1% バクト−トリプトン、0.5% バクト−酵母エキス、0.5% NaCl、1mM NaOH、および100μg/mL アンピシリンからなるそれぞれ別の2mLのLB液体培地に接種した。これらの培養物を終夜インキュベートした。キアゲンミニプレップキット(Qiagen Miniprep kit)を用いて、メーカーのプロトコルに従って、これらの培養物から、プラスミドDNAを精製した。EcoRIを用いた制限消化では、15プラスミドのうちの6種が、talインサートを含有していることが示された。
ベクターpTricHis2−TOPO(登録商標)に対して、プライマーRS−TAL−F1およびRS−TAL−R(配列番号:6および5)を使用して、1664塩基対のDNAフラグメントを増幅した。反応混合物は、1μLのロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)ゲノムDNA(1:10希釈)、それぞれ1μLの2種のプライマー(20μM)、10μLの10X PCRバッファー、10μLの5M G−メルト、8μLの2.5mM dNTP、18μLのHO、および1μLの優位(Advantage)G−Cポリメラーゼミックス(クロンテック(ClonTech))を含有していた。この反応混合物を、2.5分間94℃に加熱し、次いで以下のようなサイクルにかけた。94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で2分を30サイクル。これらのサイクルに続いて、72℃で7分インキュベーションを行った。
このPCR産物を、QIAquick PCR精製キット(キアゲン社(Qiagen,Inc))を用いて精製し、pTricHis2−TOPO(登録商標)クローニングベクター(インビトロジェン(Invitrogen))に直接連結した。この反応混合物は、1μLの精製されたPCR産物、TOPO(登録商標)クローニングキットから得られる1μLの塩類溶液、3μLの水、および1μLのTOPO(登録商標)クローニングベクターミックスを含有していた。室温で10分インキュベートした後、このライゲーションミックスを用いて、トップ10 大腸菌コンピテント細胞を形質転換した。この形質転換ミックスを、100mg/mLアンピシリンを含有するLBプレートに蒔いた。
この形質転換プレートから得られた15のコロニーを用いて、1% バクト−トリプトン、0.5% バクト−酵母エキス、0.5% NaCl、1mM NaOH、および100μg/mL アンピシリンからなるそれぞれ別の2mLのLB液体培地に接種した。これらの培養物を、終夜インキュベートした。キアゲンミニプレップキット(Qiagen Miniprep kit)を用いて、メーカーのプロトコルに従って、これらの培養物から、プラスミドDNAを精製した。EcoRIを用いた制限消化では、15プラスミドのうちの6種が、talインサートを含有していることが示された。
12の正しいクローンを用いて、1% バクト−トリプトン、0.5% バクト−酵母エキス、0.5% NaCl、1mM NaOH、および100μg/mL アンピシリンからなるそれぞれ別の2mLのLB液体培地に接種した。これらの培養物を、37℃で終夜インキュベートし、エッペンドルフマイクロフュージ(Eppendorf Microfuge)(ブリンクマンインストゥルメント(Brinkmann Instruments)、ウェストベリー(Westbury)、ニューヨーク州(NY))を用いて14,000rpmで遠心分離した。各培養物からの上清をリン酸を用いて酸性化し、0.45ミクロンフィルターを通して濾過し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析して、増殖培地内のpHCAおよびCAの濃度を求めた。
オートサンプラーおよびダイオードアレイ紫外可視(UV/vis)検出器を備えるヒューレットパッカードモデル(Hewlett Packard Model)1090L HPLCシステムを、マックモッドアナリティカル社(MAC−MOD Analytical Inc.)(チャッズフォード(Chadds Ford)、ペンシルバニア州(PA))によって供給される逆相ゾルバックス(Zorbax)SB−C8カラム(4.6mm×250mm)と共に使用した。表3に示された溶媒グラジエントである溶媒A(メタノール)および溶媒B(水中0.2%トリフルオロ酢酸(TFA))を用い、1.0mL/分の流速を使用した。カラム温度は、40℃に維持した。UV検出器を、波長250、230、270、290、および310nmでの溶離液をモニターするように設定した。
Figure 2006501819
表4に示す通り、pTricHis2に基づくクローンのうちの3種は、かなりの濃度のpHCAを生成した。さらに、pKK223−3に基づくクローンのうちの2種はまた、少量であるが検出可能な量のpHCAを生成した。すべての場合において、生成されたCAの濃度は、無視できる量であった。これらの結果は、配列番号2によってコードされる酵素が、確かにTALであることを実証する。いくつかのクローンが、pHCAを全く生成しない理由は、PCRによって生じるされる突然変異が原因で、あるいは、この実験における非誘導条件下での発現の欠如が原因であろう。
Figure 2006501819
実施例3
ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)TAL酵素(RsTAL)の発現、精製、および反応速度研究
この実施例の目的は、RsTALの過剰発現、精製、および反応速度の特徴付けのために、培地コピー(medium copy)発現ベクターに、ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)由来の、TAL酵素をコードする遺伝子をクローニングすることであった。
大腸菌中でのRsTALの発現
RsTALタンパク質の高レベル発現のための強力なPtrcプロモーターを含有する、中コピー発現ベクターpKK233.RsTAL2を、以下の通りに調製した。TAL遺伝子を、配列番号7として示したプライマーと、配列番号5として示した(実施例2に述べた)RS−TAL−Rプライマーを用いるPCRによって、ロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)ゲノムDNAから増幅し、ベクターpKK233−2(アマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)、ピスカタウェイ(Piscataway)、ニュージャージー州(NJ))に連結し、これを、NcoIおよびHindIII制限酵素で消化し、pKK233.RsTAL2を得た。pKK233.RsTAL2で形質転換された大腸菌 BL21(DE3)RPコドンプラス(codon plus)株(ストラタジーン(Stratagene)、サンディエゴ(San Diego)、カリフォルニア州(CA))中でRsTALの発現を実施した。大腸菌 BL21(DE3)RP(pKK233.RsTAL2)と呼ばれるこの形質転換された細胞を、100μg/mLのアンピシリンを含有するLB培地に接種し、対数期中間(mid log phase)(OD600=0.4)まで増殖させ、1mM IPTG(イソプロピルβ−D−チオグルコピラノシド)によって誘導し、37℃の振盪機内で終夜(18h)インキュベートした。その培養上清を、実施例2で述べた通り、pHCA生成についてHPLCによって分析した。これらの結果を、表5に示す。
形質転換された細胞の懸濁液の超音波処理、それに続く遠心分離によって、未精製の細胞抽出液を作成した。この未精製の細胞抽出液のTAL酵素活性を、未精製の細胞抽出液40μgを、1mM チロシンを含有する10mM Tris−HCl、pH8.5バッファーに入れたものを用いる酵素アッセイによって求めた。生成されたpHCAのODは、315nmで、10,000cm−1の消衰係数とした。TAL酵素アッセイの結果を、活性ユニットについて表5に示す。ユニット(U)は、次の通りに定義される。1分あたり1μmolのチロシンをpHCAに脱アミノする活性が1ユニット。表5に示された結果は、大腸菌におけるRsTAL酵素の成功裡の発現を実証する。
Figure 2006501819
未精製の細胞抽出液の可溶性と不溶性の両分画を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分析した。約55kDの分子量に相当するバンドによって示される通り、RsTALの発現が、図1に示す通り、可溶性と不溶性の両分画において検出された。この図では、レーン1および2は、それぞれ、IPTG誘導無し(−)および有り(+)の不溶性分画に相当する。レーン3および4は、それぞれ、IPTG誘導無し(−)および有り(+)の可溶性分画に相当する。この図の左の最第一のレーンは、インビトロジェン社(Invitrogen Corp.)(カールスバッド(Carlsbad)、カリフォルニア州(CA))から入手したマーク(Mark)12(商標)分子量スタンダードである。
RsTALの精製および反応速度分析
大腸菌 BL21(DE3)RP(pKK233.RsTAL2)株の500mL培養物を、100mg/mLアンピシリンを含有するLBブロス(Broth)中で、対数期中間まで増殖させ、1mM IPTGで誘導し、37℃の振盪機中で終夜(18h)インキュベートした。これらの細胞を、遠心分離し、1錠半のEDTAフリーのプロテアーゼ阻害タブレット(ロシュアプライドサイエンス(Roche Applied Science)、インディアナポリス(Indianapolis)、インディアナ州(IN))を含有する10mLのバッファーA(50mM Tris−HCl、pH8.5のバッファー、5mM DTT(ジチオスレイトール)、および1mM チロシン)に再懸濁した。その後、これらの細胞を、フレンチプレス細胞破壊機(French Press Cell)を2回通過させ、20分間18000rpmで遠心分離した。この培養上清に、30%飽和の硫酸アンモニウムを加え、得られた沈殿を、遠心分離によって除去した。次いで、この第1の分画からの上清を、50%飽和の硫酸アンモニウムで処理した。第2の硫酸アンモニウム分画から得られたペレットを、3mLのバッファーAに再溶解し、得られた溶液を、HQ陰イオン交換パーフュージョンクロマトグラフィーカラム(アプライドバイオシステム(Applied Biosystems)、フォスターシティ(Foster city)、カリフォルニア(CA))に装入した。このカラムを、10mLのバッファーAで洗浄し、0から1M NaClのグラジエントのバッファーAを用いて溶離した。この溶離された分画を、TAL活性について分析し、TAL活性をもつする分画をプールし、50%飽和の硫酸アンモニウムを用いて再び沈殿させ、3mL脱塩カラム(バイオ−ラッドラボラトリーズ(Bio−Rad Laboratories)、ハーキュリーズ(Hercules)、カリフォルニア州(CA))を用いて脱塩した。脱塩されたタンパク質試料を、上に述べた通りのHQパーフュージョンクロマトグラフィーによってさらに精製した。フロースルー(flow−through)分画においてTAL活性を検出した。こうした分画は、図2に示したSDS−PAGEの結果によって示された通り、精製されたほぼ均質なRsTALタンパク質を含有していた。この図では、レーン1は、マーク(Mark)12(商標)分子量スタンダードであり、レーン2は、精製されたRsTALタンパク質である。
RsTAL酵素の反応速度パラメータを、上で述べたTAL酵素アッセイを用いて特徴付けた。酵素反応の初速度を、50mM Tris−HCl、pH8.5バッファー中で、0.01から10mMのチロシン濃度で測定した。ラインウィーバー−バーク(Lineweaver−Burk)分析を用いて、チロシンとフェニルアラニンの両方についてのRsTAL酵素のkcatおよびKの値を求め、その結果を表6に示した。
Figure 2006501819
表6のデータから分かるように、RsTAL酵素は、TAL/PAL比が19であり、フェニルアラニンを用いた場合よりも基質としてチロシンを用いた場合に著しく高い活性を有することが示される。
大腸菌におけるRsTAL発現の、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析のゲル画像である。 精製されたRsTAL酵素のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析のゲル画像である。
【配列表】
Figure 2006501819
Figure 2006501819
Figure 2006501819
Figure 2006501819
Figure 2006501819
Figure 2006501819
Figure 2006501819

Claims (23)

  1. a)配列番号3に記載のアミノ酸配列をコードする単離された核酸分子;
    b)以下のハイブリダイゼーション条件下で(a)とハイブリダイズする単離された核酸分子:0.1× SSC、0.1% SDS、65℃、および2× SSC、0.1% SDS、それに続く0.1× SSC、0.1% SDSでの洗浄;あるいは
    (a)または(b)に相補的な単離された核酸分子、よりなる群から選択される、チロシンアンモニアリアーゼ酵素をコードする単離された核酸分子。
  2. 配列番号2に記載の単離された核酸分子。
  3. 請求項1に記載の単離された核酸分子によってコードされるポリペプチド。
  4. 請求項2に記載の単離された核酸分子によってコードされるポリペプチド。
  5. 配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
  6. 配列番号3に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、アラインメントのスミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)法に基づいて同一性が少なくとも56%であり、かつチロシンアンモニアリアーゼ活性を有する少なくとも526アミノ酸のポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列、または第1のヌクレオチド配列の相補体を含んでなる第2のヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸分子。
  7. 適切な制御配列に作動可能に連結された、請求項1または2に記載の単離された核酸分子を含んでなるキメラ遺伝子。
  8. 請求項7に記載のキメラ遺伝子を含んでなる形質転換宿主細胞。
  9. 宿主細胞が、細菌、酵母、糸状菌、藻類、および緑色植物よりなる群から選択される、請求項8に記載の形質転換宿主細胞。
  10. 宿主細胞が、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、バチルス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、メチロバクター(Methylobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、ロドバクター(Rhodobacter)、シネコシスチス(Synechocystis)、アスペルギルス(Aspergillus)、およびアルトロボトリス(Arthrobotrys)よりなる群から選択される請求項9に記載の形質転換宿主細胞。
  11. 宿主細胞が、サッカロミセス(Saccharomyces)、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、ピキア(Pichia)、ムコール(Mucor)、およびトルロプシス(Torulopsis)よりなる群から選択される請求項8に記載の形質転換宿主細胞。
  12. 宿主細胞が、ダイズ、ナタネ、コショウ、ヒマワリ、ワタ、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、オートムギ、モロコシ、イネ、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、アブラナ科野菜(Cruciferous Vegetable)、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、ラッカセイ、ブドウ、グラスシード作物(grass seed crop)、テンサイ、サトウキビ、マメ、エンドウ、ライムギ、アマ、広葉樹、針葉樹、および飼料牧草よりなる群から選択される、請求項8の形質転換宿主細胞。
  13. a)請求項1または2のいずれか一項に記載の核酸分子を含むゲノムライブラリを探索し、
    b)請求項1または2のいずれか一項に記載の核酸分子とハイブリダイズするDNAクローンを同定し、
    c)ステップ(b)で同定されたクローンを含んでなるゲノム断片を配列決定することを含んでなり、
    配列決定されたゲノム断片がチロシンアンモニアリアーゼ酵素をコードする、チロシンアンモニアリアーゼ酵素をコードする核酸分子を得る方法。
  14. a)配列番号2に記載の配列の一部に対応する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、
    b)ステップ(a)のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、クローニングベクター内に存在するインサートを増幅することを含んでなり、
    増幅されたインサートがチロシンアンモニアリアーゼ酵素をコードするアミノ酸配列の一部をコードする、チロシンアンモニアリアーゼ酵素をコードする核酸分子を得る方法。
  15. 請求項13または14に記載の方法の生成物。
  16. (a)適切な制御配列に作動可能に連結された請求項1または2に記載の単離された核酸分子を含んでなる組換え宿主細胞を、発酵性炭素基質と接触させ、
    (b)パラ−ヒドロキシケイ皮酸を生じるのに十分な時間、前記組換え細胞を増殖させ、
    (c)前記パラ−ヒドロキシケイ皮酸を場合により回収することを含んでなる、パラ−ヒドロキシケイ皮酸生成のための方法。
  17. 前記発酵性炭素基質が、単糖、少糖、多糖、二酸化炭素、メタノール、ホルムアルデヒド、ホルメート(formate)、および炭素含有アミンよりなる群から選択される請求項16に記載の方法。
  18. 前記発酵性炭素基質がグルコースである請求項17に記載の方法。
  19. 前記組換え宿主細胞が、細菌、酵母、糸状菌、藻類、および植物細胞よりなる群から選択される請求項16に記載の方法。
  20. 前記組換え宿主細胞が、アスペルギルス(Aspergillus)、アルトロボトリス(Arthrobotrys)、サッカロミセス(Saccharomyces)、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)、ピキア(Pichia)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、ムコール(Mucor)、トルロプシス(Torulopsis)、メチロバクター(Methylobacter)、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、バチルス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ロドバクター(Rhodobacter)、シネコシスチス(Synechocystis)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、およびシュードモナス(Pseudomonas)よりなる群から選択される請求項19に記載の方法。
  21. 前記組換え宿主細胞が、ダイズ、ナタネ、ヒマワリ、ワタ、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、オートムギ、モロコシ、イネ、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、パースニップ、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、ラッカセイ、ブドウ、グラスシード作物(grass seed crop)、テンサイ、サトウキビ、マメ、エンドウ、ライムギ、アマ、広葉樹、針葉樹、および飼料牧草よりなる群から選択される請求項16に記載の方法。
  22. チロシンアンモニアリアーゼ活性をコードする前記遺伝子が、配列番号3に記載のペプチドをコードする請求項16に記載の方法。
  23. チロシンアンモニアリアーゼ活性をコードする遺伝子が、ロドバクタースフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)から得られる請求項16に記載の方法。
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