JP2005511011A - カロテノイドケトラーゼ遺伝子 - Google Patents
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Abstract
ケトラーゼ遺伝子が、カロテノイド生合成経路のカロテノイド修飾酵素をコードするロドコッカス−エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)AN12株から単離された。該遺伝子と遺伝子産物は、初めてロドコッカス株から単離された。6個の保存的アミノ酸モチーフがこのタイプのケトラーゼ酵素に特徴的なものであることが同定された。本発明の該遺伝子と遺伝子産物は、種々の生物におけるケト−カロテノイド化合物生産のために種々の方法で使用できる。
Description
本出願は、2001年8月2日に出願した米国仮特許出願第60/309,653号の利益を主張するものである。
本発明は、微生物学の分野にある。より具体的には、本発明は、環状ケトカロテノイド化合物の微生物産生に有用な酵素をコードする核酸フラグメントに関する。
カロテノイド類は、自然界に遍在し、あらゆる光合成生物により合成され、また、一部の従属栄養で成長する細菌や真菌類にも遍在する色素である。カロテノイドは、花、野菜、昆虫、魚類および鳥類に色を与える。カロテノイドの色は、黄から赤の範囲にあり、褐色や紫の変種もある。ビタミンAの前駆体としてのカロテノイド類は、我々の食物の基本的成分であり、人の健康において、重要な補助的役割を演じている。カロテノイド類の工業的利用の中で少数例を挙げると、薬、保健食品、動物飼料の添加物および化粧品の着色剤がある。
動物は、カロテノイドを新規に合成できないため、それらを食物手段で得なければならない。したがって、植物または細菌におけるカロテノイド産生と合成の操作により、カロテノイド類の新規の、または改善された供給源が与えられる。
カロテノイド類は、種々の形態と化学的構造体をとる。最も多く見られる天然物カロテノイド類は、8個のC5イソプレン単位(IPP)の連続的縮合から誘導されたC40メチル分枝鎖炭化水素骨格を含有する疎水性のテトラテルペノイド類である。他には、非光合成細菌の一部の種に、より長いまたはより短い骨格を有する希少なカロテノイド類が見られる。用語の「カロテノイド」とは、実際上、カロテン類とキサントフィル類の双方を含む。「カロテン」とは、炭化水素カロテノイド類を指す。ヒドロキシ−、メトキシ−、オキソ−、エポキシ−、カルボキシ−またはアルデヒド官能基の形態で、またはグリコシド類、グリコシドエステル類または硫酸塩の内部に1個以上の酸素原子を含有するカロテン誘導体は、集合的に「キサントフィル類」として知られている。カロテノイド類はさらに、その炭化水素骨格の末端が環化して、脂肪族の、または環状の環構造を作っているかどうかに依って、非環式、単環式、または二環式であると言われる(非特許文献1)。
カロテノイドの生合成は、イソプレノイド経路と、C5イソプレン単位である、イソペンテニルピロリン酸(IPP)の生成から開始される。IPPは、その異性体であるジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)と縮合して、C10のゲラニルピロリン酸(GPP)を形成し、C15のファルネシルピロリン酸(FPP)へと伸張化される。FPP合成は、カロテン産生細菌およびカロテン非産生細菌の双方に見られる。引き続いてカロテノイド経路における酵素類が、FPP前駆体からカロテノイド色素類を生成するが、これらの酵素類は、2つに分類できる。すなわち、カロテン骨格合成酵素類およびそれに続く修飾酵素類である。カロテン骨格合成酵素類としては、ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ、フィトエンシンターゼ、フィトエンデヒドロゲナーゼ、およびリコペンシクラーゼなどが挙げられる。修飾酵素類としては、ケトラーゼ類、ヒドロキラーゼ類、デヒドラターゼ類、グリコシラーゼ類が挙げられる。
カロテノイドケトラーゼ類は、β−カロテンなどの環式カロテノイド類のイオノン環にケト基を導入して、ケトカロテノイド類を産生する酵素の種類である。ケトカロテノイド類としては、アスタキサチン、カンタキサンチン、アドニキサンチン、アドニルビン、エキネノン、3−ヒドロキシエキネノン、3’−ヒドロキシエキネノン、4−ケト−ガンマ−カロテン、4−ケト−ルビキサンチン、4−ケト−トルレン、3−ヒドロキシ−4−ケト−トルレン、デオキシフレキシサンチン、ミクソバクトンが挙げられる。アスタキサンチンは、ヒトにおいて免疫機能を高め、動物において発癌を減少させると報告された。全ての生物に共通な上流イソプレノイド経路における遺伝子とは違って、下流のカロテノイド修飾酵素は希である。ケトラーゼの2つの種類、CrtWとCrtOが報告されている。CrtWは、β−カロテンの双方の環にケト基を付加する対称的挙動の酵素である(非特許文献2)。フェルナンデス−ゴンザレス(Fernandez−Gonzalez)らはβ−カロテン環の1個だけに不斉的にケト基を付加させるシネコシスチス(Synechocystis)種PCC6803から、他のケトラーゼ酵素を発見した(非特許文献3)。ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)のcrtO遺伝子はタバコ植物に伝達され、その植物中にアスタキサンチンを発現した(非特許文献4)。
カロテノイド生合成経路に関与する遺伝子は、一部の生物において知られているが、ロドコッカス(Rhodococcus)細菌のカロテノイド生合成に関与する遺伝子は、現存する文献には記載されていない。しかし、カロテノイド色素を産生する能力がこれらの細菌に広くゆきわたっていることを示唆する有色のロドコッカス細菌は多く存在している。ロドコッカスのカロテノイド類は、構造的に(非特許文献5)に記載されたロドコッカスに特徴付けられる。
ジー・アームストロング(G.Armstrong)、(1999)in Comprehensive Natural Products Chemistry、Elsevier Press、第2巻、321〜352頁
ハンニバル(Hannibal)ら、J.Bacteriol.(2000)182:3850〜3853頁
フェルナンデス−ゴンザレス(Fernandez−Gonzalez)ら、J.of Biol.Chem.(1997)272;9728〜9733頁
マン(Mann)ら、(2000)Nature Biotechnology、18:888〜892頁
イチヤマ(Ichiyama)ら、(Microbiol.Immunol.(1989)、33:503〜508頁
したがって、解決すべき課題は、カロテノイド産生におけるロドコッカス(Rhodococcus)の最終的利用のために、ロドコッカスにおけるカロテノイド生合成に関与する配列を単離することである。本出願者らは、このタイプのケトラーゼ酵素の特徴である6個の保存特徴的アミノ酸モチーフを含有するケトラーゼ酵素をコードする1つのオープン・リーディング・フレーム(ORF)を含有する遺伝子、crtOを、ロドコッカス−エリスロポリス(Rhodococcus−erythropolis)AN12株から単離することによって上記の課題を解決した。
本発明は、環状カロテノイド類のイオノン環に、ケト基を付加する酵素をコードするケトカロテノイド遺伝子を提供する。したがって、本発明は、
(a)配列番号:7、8、9、10、11および12に記載される6個の保存的モチーフを全て含有するアミノ酸配列をコードする単離された核酸分子;
(b)アミノ酸配列番号:2をコードする単離された核酸分子;
(c)0.1×SSC、0.1%SDS、65℃、そして2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で(a)または(b)とハイブリダイズする単離された核酸分子;または、
(a)または(b)と相補的な単離された核酸分子、からなる群から選択される、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする単離された核酸分子であって、前記の単離された核酸分子が配列番号:5または配列番号:3でない単離された核酸分子を提供する。
(a)配列番号:7、8、9、10、11および12に記載される6個の保存的モチーフを全て含有するアミノ酸配列をコードする単離された核酸分子;
(b)アミノ酸配列番号:2をコードする単離された核酸分子;
(c)0.1×SSC、0.1%SDS、65℃、そして2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で(a)または(b)とハイブリダイズする単離された核酸分子;または、
(a)または(b)と相補的な単離された核酸分子、からなる群から選択される、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする単離された核酸分子であって、前記の単離された核酸分子が配列番号:5または配列番号:3でない単離された核酸分子を提供する。
本発明はさらに、該遺伝子によってコードされるポリペプチド類、ならびに該遺伝子の遺伝子キメラおよび該遺伝子を含んでなる組換え宿主を提供する。前記ペプチドに少なくとも70%の同一性を有するカロテノイドケトラーゼをコードする遺伝子もまた本発明の範囲内である。
他の実施形態において、本発明は、
(a)本発明の核酸分子により、ゲノムライブラリを探索し;
(b)0.1×SSC、0.1%SDS、65℃、そして2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で本発明の核酸分子とハイブリダイズするDNAクローンを同定し;
(c)ステップ(b)で同定されたクローンを含んでなるゲノムフラグメントの配列を決定すること、
を含んでなり、配列決定されたゲノムフラグメントがカロテノイドケトラーゼ酵素をコードしている、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする核酸分子を得る方法を提供する。
(a)本発明の核酸分子により、ゲノムライブラリを探索し;
(b)0.1×SSC、0.1%SDS、65℃、そして2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で本発明の核酸分子とハイブリダイズするDNAクローンを同定し;
(c)ステップ(b)で同定されたクローンを含んでなるゲノムフラグメントの配列を決定すること、
を含んでなり、配列決定されたゲノムフラグメントがカロテノイドケトラーゼ酵素をコードしている、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする核酸分子を得る方法を提供する。
同様に、本発明は、
(a)配列番号:1および配列番号:3からなる群から選択される配列の部分に対応する少なくとも1種のオリゴヌクレオチドプライマーを合成し;
(b)前記ステップ(a)のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてクローニングベクター中に存在する挿入部を増幅させること、
を含んでなり、前記増幅された挿入部がカロテノイドケトラーゼ酵素をコードしている、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする核酸分子を得る方法を提供する。
(a)配列番号:1および配列番号:3からなる群から選択される配列の部分に対応する少なくとも1種のオリゴヌクレオチドプライマーを合成し;
(b)前記ステップ(a)のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてクローニングベクター中に存在する挿入部を増幅させること、
を含んでなり、前記増幅された挿入部がカロテノイドケトラーゼ酵素をコードしている、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする核酸分子を得る方法を提供する。
他の実施形態において、本発明は、
(a)単環式または二環式カロテノイド類を産生する宿主細胞を提供し;
(b)カロテノイドケトラーゼ酵素、すなわち配列番号:2および配列番号:4からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する酵素をコードする遺伝子で、(a)の宿主細胞を形質転換し;
(c)(b)の形質転換宿主細胞を環状ケトカロテノイドが産生される条件下で増殖させることを含んでなる、環状ケトカロテノイド化合物を産生する方法を提供する。
(a)単環式または二環式カロテノイド類を産生する宿主細胞を提供し;
(b)カロテノイドケトラーゼ酵素、すなわち配列番号:2および配列番号:4からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する酵素をコードする遺伝子で、(a)の宿主細胞を形質転換し;
(c)(b)の形質転換宿主細胞を環状ケトカロテノイドが産生される条件下で増殖させることを含んでなる、環状ケトカロテノイド化合物を産生する方法を提供する。
同様に、本発明は、
(a)配列番号:1および配列番号:3からなる群から選択されカロテノイドケトラーゼ遺伝子を、宿主細胞内に導入し、前記遺伝子が好適な調節配列の制御下にあること;および
(b)カロテノイドケトラーゼ遺伝子が発現し、環状ケトカロテノイドの生合成が調節される条件下で(a)の宿主細胞を増殖させることを含んでなる生物における環状ケトカロテノイドの生合成を調節する方法を提供する。
(a)配列番号:1および配列番号:3からなる群から選択されカロテノイドケトラーゼ遺伝子を、宿主細胞内に導入し、前記遺伝子が好適な調節配列の制御下にあること;および
(b)カロテノイドケトラーゼ遺伝子が発現し、環状ケトカロテノイドの生合成が調節される条件下で(a)の宿主細胞を増殖させることを含んでなる生物における環状ケトカロテノイドの生合成を調節する方法を提供する。
代替実施形態において、本発明は、
(i)制限エンドヌクレアーゼ類によりヌクレオチド配列の混合物を消化するステップであって、前記混合物は、
a)天然カロテノイドケトラーゼ遺伝子と;
b)前記の天然カロテノイドケトラーゼ遺伝子とハイブリダイズするヌクレオチドフラグメントの第1の集団と;
c)前記の天然カロテノイドケトラーゼ遺伝子とハイブリダイズしない、ヌクレオチドフラグメントの第2の集団とを含んでなり、
制限フラグメントの混合物を産生するステップと;
(ii)前記制限フラグメントの混合物を変性するステップと;
(iii)ステップ(ii)の前記変性制限フラグメント混合物をポリメラーゼとともにインキュベートするステップと;
(iv)ステップ(ii)および(iii)を反復し、変化した生物活性を有する蛋白質をコードする変異カロテノイドケトラーゼ遺伝子を産生するステップと、
を含んでなる方法によって産生する、変化した生物活性を有するカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする変異遺伝子を提供する。
(i)制限エンドヌクレアーゼ類によりヌクレオチド配列の混合物を消化するステップであって、前記混合物は、
a)天然カロテノイドケトラーゼ遺伝子と;
b)前記の天然カロテノイドケトラーゼ遺伝子とハイブリダイズするヌクレオチドフラグメントの第1の集団と;
c)前記の天然カロテノイドケトラーゼ遺伝子とハイブリダイズしない、ヌクレオチドフラグメントの第2の集団とを含んでなり、
制限フラグメントの混合物を産生するステップと;
(ii)前記制限フラグメントの混合物を変性するステップと;
(iii)ステップ(ii)の前記変性制限フラグメント混合物をポリメラーゼとともにインキュベートするステップと;
(iv)ステップ(ii)および(iii)を反復し、変化した生物活性を有する蛋白質をコードする変異カロテノイドケトラーゼ遺伝子を産生するステップと、
を含んでなる方法によって産生する、変化した生物活性を有するカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする変異遺伝子を提供する。
本発明は、以下の詳細な説明および本出願の一部を成している添付の配列記載から、より十分に理解することができる。
以下の配列は、37C.F.R.1.821−1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列の開示を含む特許出願要件−配列規定」)に従い、世界知的財産権機構(WIPO)基準ST.25(1998)ならびにEPOとPCTの配列表作成要件(規定5.2および49.5(エイ−ビス)および行政指示の208節と添付文書)に準拠している。ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列データに用いられる記号および書式は、37C.F.R.1.822項に記載の基準に準拠している。
配列番号:1は、ロドコッカス−エリスロポリスAN12株由来のcrtO遺伝子をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号:2は、配列番号:1で用いられたcrtO遺伝子の推定アミノ酸配列である。
配列番号:3は、デイノコッカス・ラジオデュランズ(Deinococcus radiodurans)R1株由来のcrtO遺伝子をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号:4は、配列番号:3で用いられたcrtO遺伝子の推定アミノ酸配列である。
配列番号:5は、種PCC6803株由来のcrtO遺伝子のヌクレオチド配列である。
配列番号:6は、配列番号:5で用いられたcrtO遺伝子の推定アミノ酸配列である。
配列番号:7〜12は、配列番号:2、4、6に記載されたCrtO酵素のうちの保存的モチーフの特徴的アミノ酸配列である。
配列番号:13〜25は、プライマーの配列である。
配列番号:26〜31は、それぞれロドコッカス−エリスロポリスAN12のcrtOモチーフ1〜6である。
配列番号:32〜37は、それぞれデイノコッカスのcrtOモチーフ1〜6である。
配列番号:38〜43は、それぞれシネコシスチスのcrtOモチーフ1〜6である。
配列番号:44〜45は、ピー・スチュワート(P.stewartii)のcrt遺伝子を増殖させるために用いられるオリゴヌクレオチドプライマーである。
配列番号:46〜47は、アール・エリスロポリス(R.erythropolis)AN12のcrtO遺伝子を増殖させるために用いられるオリゴヌクレオチドプライマーである。
発明の詳細な記述
該crtO遺伝子とその発現産物、環状カロテノイドケトラーゼは、環状カロテノイド化合物を産生する能力を有する組換え生物の創製のために有用である。上記酵素をコードする核酸フラグメントは、ロドコッカス−エリスロポリス株から単離され、当業者によく知られたBLASTおよびFASTA演算法を用いて、ヌクレオチド配列および蛋白質配列を含む公開のデータベースと比較することにより同定された。MEMEプログラムを用いた3個のCrtO酵素間のモチーフ分析により、ロドコッカス、デイノコッカスおよびシネコシスチス由来のCrtO酵素のうち、6個の保存的な特徴的モチーフが同定された。
該crtO遺伝子とその発現産物、環状カロテノイドケトラーゼは、環状カロテノイド化合物を産生する能力を有する組換え生物の創製のために有用である。上記酵素をコードする核酸フラグメントは、ロドコッカス−エリスロポリス株から単離され、当業者によく知られたBLASTおよびFASTA演算法を用いて、ヌクレオチド配列および蛋白質配列を含む公開のデータベースと比較することにより同定された。MEMEプログラムを用いた3個のCrtO酵素間のモチーフ分析により、ロドコッカス、デイノコッカスおよびシネコシスチス由来のCrtO酵素のうち、6個の保存的な特徴的モチーフが同定された。
本発明の遺伝子および遺伝子産物は、環状ケトカロテノイド化合物の産生と調節のため、種々の方法で使用できる。
微生物のイソプレノイド経路は、カロテノイド類、キノン類、スクワレンおよびビタミン類などの化合物を産生する種々の天然物産生の場である。これらの天然物は鎖長において、5炭素単位から55炭素単位超であり得る。これらの化合物は化学的に製造することが困難であることから、微生物のイソプレノイド産生は一般に実用的に有益である(ネリス(Nelis)およびリーンヒール(Leenheer)、Appl.Bacteriol.70:181〜191頁(1991))。
ロドコッカス−エリスロポリスの場合、カロテノイド類を産生する固有の能力は特に有用である。ロドコッカス細胞は多くの溶媒に抵抗性があり、かつ混合相段階の展開を受けることができるため、ロドコッカス株を産生の場として利用することは有利である。ロドコッカス株はアクリルアミドなど、他の化学物質の商業的生産のための産生宿主として好首尾で利用されてきた。
本明細書に記載した遺伝子と遺伝子配列により、健康によいカロテノイド類産生をロドコッカス−エリスロポリス由来の単一の細胞蛋白産生物の中へ、直接組み込むことが可能となる。この点から、これらの遺伝子を組み込むこの株、またはいずれかの細菌株は、飼料に望ましい着色および健康上の利益を加えることが知られているカロテノイドが存在することから、動物飼料にとって、より望ましい産生宿主となっている。サケやエビの水産養殖は、本発明の特に有用な適用となる。これらの生物の価値にとって、カロテノイド着色は決定的に重要であるからである(エフ・シャヒジ(F.Shahidi)、ジェイ・エイ・ブラウン(J.A.Brown)、「Carotenoid pigments in seafood and aquaculture」、Critical Reviews in Food Science 38(1):1〜67頁(1998))。特にケトカロテノイドのアスタキサンチンは強力な抗酸化剤であり、ヒトにおける免疫機能を高め、また、発癌を減少させることが報告されている(ジョウノウチ(Jyonouchi)ら、Nutr.Cancer(1995)23:171〜183頁;タナカ(Tanaka)ら、Cancer Res.(1995)55:4059〜4064頁)。
本開示において、多くの用語と略語が用いられており、以下の定義が与えられている。
「オープン・リーディング・フレーム」の略語はORFである。
「ポリメラーゼ連鎖反応」の略語はPCRである。
本明細書で用いられる「単離された核酸フラグメント」とは、一本鎖または二本鎖で、場合によっては、合成、非天然、または変化させたヌクレオチド塩基を含有しているRNAまたはDNAのポリマーである。DNAポリマーの形態における単離された核酸フラグメントは、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1種以上のセグメントからなり得る。
用語の「イソプレノイド」または「テルペノイド」とは、カロテノイド類やキサントフィル類などの炭素数10のテルペノイド類やその誘導体を含む、イソプレノイド経路から誘導されたいずれかの分子である化合物を指す。
用語の「ロドコッカス−エリスロポリスAN12」または「AN12」は、交換可能に用いられ、ロドコッカス−エリスロポリスAN12株を指す。
用語の「ロドコッカス−エリスロポリスATCC47072」または「ATCC47072」は、交換可能に用いられ、ロドコッカス−エリスロポリスATCC47072株を指す。
用語の「カロテノイド」とは、5個の炭素イソプレン単位から縮合されたポリエン骨格からなる化合物を指す。カロテノイド類は非環式であるか、または、末端に1個(単環式)または2個(二環式)の環状末端基を有し得る。用語の「カロテノイド」は、カロテン類とキサントフィル類の双方を含み得る。「カロテン」とは、炭化水素カロテノイド類を指す。ヒドロキシ−、メトキシ−、オキソ−、エポキシ−、カルボキシ−またはアルデヒド官能基の形体で、またはグリコシド類、グリコシドエステル類または硫酸塩の内部に1個以上の酸素原子を含有するカロテン誘導体は、集合的に「キサントフィル類」として知られている。本発明において特に好適なカロテノイド類は単環式または二環式カロテノイド類である。
用語の「カロテノイドケトラーゼ」または「ケトラーゼ」または「環状カロテノイドケトラーゼ」とは、単環式または二環式カロテノイド類のイオノン環にケト基を付加することのできる酵素群を指す。
用語の「モチーフ」とは、蛋白質配列群に見出される短い保存的アミノ酸配列を指す。モチーフ類は、認識配列を形成することが多いか、または、ドメインのうち、保存性の高い部分である。モチーフとはまた、それらのサイズにはよらず、全ての局在化した相同領域を指すことができる。モチーフの用語を多義性や鎖長の挿入を示すアミノ酸の特性や他の特性からなる複数の短い配列モチーフの記述に用いることもあり得る。
用語の「保存的な特徴的モチーフ類」、または「保存的アミノ酸モチーフ類」または「特徴的モチーフ」とは、CrtOケトラーゼ酵素間に共通であって、その存在が、環状カロテノイドケトラーゼ機能性の特徴となっているアミノ酸配列を指す。
用語の「ケト基」または「ケトン基」は交換可能に用いられ、カルボニル基が2個の炭素原子に結合している基:R2C=O(どちらのRもHではない)を指す。
本明細書に用いられる「実質的に類似した」とは、1個以上のヌクレオチド塩基の変化により1個以上のアミノ酸置換を生じるが、そのDNA配列にコードされた蛋白質の機能的性質に影響を与えない核酸ヌクレオシドを指す。「実質的に類似した」とはまた、1個以上のヌクレオチド塩基の変化がアンチセンスまたは共抑制法により遺伝子発現の変化を媒介する核酸フラグメントも指す。「実質的に類似した」とはまた、1個以上のヌクレオチド塩基の欠失または挿入などが、それによって生じる転写産物の機能的性質に実質的に影響を与えない本発明の核酸フラグメントの変更をも指す。したがって、本発明は、特定の例示的配列以外のものも包含していることが解される。
例えば、与えられた部位で化学的に等価なアミノ酸の産生をもたらすが、コードされた蛋白質の機能的性質に影響を与えない遺伝子における変更が、一般的であることは当業界によく知られている。本発明の目的のために、置換は、以下の5群中の1群における交換と規定されている。
1.小型の脂肪族で非極性またはわずかに極性の残基:
Ala、Ser、Thr(Pro、Gly);
2.極性で負に荷電した残基およびそのアミド類:Asp、Asn、Glu、Gln;
3.極性で正に荷電した残基:His、Arg、Lys;
4.大型の脂肪族で非極性の残基:Met、Leu、lle、Val(Cys);および
5.大型の芳香族残基:Phe、Tyr、Trp。
1.小型の脂肪族で非極性またはわずかに極性の残基:
Ala、Ser、Thr(Pro、Gly);
2.極性で負に荷電した残基およびそのアミド類:Asp、Asn、Glu、Gln;
3.極性で正に荷電した残基:His、Arg、Lys;
4.大型の脂肪族で非極性の残基:Met、Leu、lle、Val(Cys);および
5.大型の芳香族残基:Phe、Tyr、Trp。
したがって、疎水性のアミノ酸である、アミノ酸アラニンのコドンは、他のより疎水性の低い残基(グリシンなど)またはより疎水性の高い残基(バリン、ロイシン、またはイソロイシンなど)をコードするコドンによって置換できる。同様に負に荷電したある残基を他のものへ置換(アスパラギン酸をグルタミン酸へ、など)、または正に荷電したある残基を他のものへ置換(リシンをアルギニンへ、など)する変更によっても機能的に等価な産物を生じることが予測できる。
また多くの場合、蛋白質分子のN末端部分およびC末端部分を変更しても、その蛋白質の活性は変化しないと考えられる。
企図された修飾の各々、また、コードされた産物の生物活性保持の測定は、当業界の慣例的技術の内にある。さらに、本発明に包含された実質的に同類の配列はまた、ストリンジェント条件下(0.1×SSC、0.1%SDS、65℃、そして2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDS)、本明細書に例示された配列とハイブリダイズする能力によっても定義されることは、当業者によって認識される。本発明と実質的に同類の核酸フラグメントの好ましいものは、本明細書に報告されている核酸フラグメントのDNA配列と、少なくとも80%同一であるDNA配列を有する核酸フラグメントである。さらに好ましい核酸フラグメントは、本明細書に報告されている核酸フラグメントのDNA配列と、少なくとも90%同一であるDNA配列を有する核酸フラグメントである。本明細書に報告されている核酸フラグメントのDNA配列と、少なくとも95%同一であるDNA配列を有する核酸フラグメントが最も好ましい。
核酸分子の一本鎖形態が、温度および溶液イオン強度の適切な条件下で、他の核酸分子にアニールできる場合、核酸分子は、cDNA、遺伝子DNA、またはRNAなどの他の核酸分子と「ハイブリッド形成可能」である。ハイブリダイゼーションの条件と洗浄条件はよく知られており、サンブルック・ジェイ(Sambrook、J.)、フリッシュ・イー・エフ(Fritsch、E.F.)およびマニアチス・ティー(Maniatis、T.)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールド・スプリング・ハーバー(1989)、特にその中の11章と表11.1(全体を本明細書に援用する)に例示されている。温度およびイオン強度の条件は、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。ストリンジェンシー条件は、関連性の遠い生物の相同配列などのいくらか類似したフラグメントの選別、密接に関連した生物の機能的酵素を複製する遺伝子などの高度に類似したフラグメントの選別のために調整できる。ハイブリダイゼーション後の洗浄は、ストリンジェンシー条件を決定する。好ましい条件のセットの1つでは、以下の一連の洗浄を用いる:室温で15分間、6×SSC、0.5%SDSで開始、その後45℃で30分間、2×SSC、0.5%SDSを反復し、次いで50℃で30分間、0.2×SSC、0.5%SDSを2回反復。より好ましいストリンジェンシー条件のセットでは、より高い温度を用いるが、0.2×SSC、0.5%SDSでの最後の2回の30分間の洗浄温度を60℃に上げること以外、洗浄は上記の条件と同じである。他の好ましい高ストリンジェント条件のセットでは、65℃、0.1×SSC、0.1%SDSで2回の最終洗浄を用いる。ハイブリダイゼーションには、二つの核酸が相補的配列を含有することが必要であるが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに依って、塩基間の誤対合が起こる可能性がある。核酸のハイブリッド形成のための適切なストリンジェンシーは、核酸の長さ、および相補正の程度に依っており、変数は当業界によく知られている。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が高くなるにつれて、これらの配列を有する核酸のハイブリッドに関するTm値は大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的安定性(より高いTmに対応)は、以下の順序で減少する:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。100個のヌクレオチド長を超えるハイブリッドに関しては、Tmを算出する等式が誘導されている(サンブルックら、上記9.50〜9.51を参照)。それより短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチド類を用いるハイブリダイゼーションでは、誤対合の位置がより重要となり、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(サンブルックら、上記11.7〜11.8を参照)。1つの実施形態では、ハイブリッド形成が可能な核酸の長さは、少なくとも約10個のヌクレオチドである。ハイブリッド形成が最短の核酸の長さは、少なくとも約15個のヌクレオチドであることが好ましく、より好ましくは、少なくとも約20個のヌクレオチド、最も好ましくは、少なくとも30個のヌクレオチドの長さである。さらに、温度および洗浄溶液の塩濃度は、プローブの長さなどの要因に依って、適宜調整できることは、当業者に認識されるであろう。
アミノ酸配列またはヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、ポリペプチドのアミノ酸配列または遺伝子のヌクレオチド配列を十分に含んでなり、当業者による配列のマニュアル評価、またはBLAST(アルシュール・エス・エフ(Altschul、S.F.)ら、「Basic Local Alignment Search Tool」、(1993)J.Mol.Biol.215:403〜410頁;www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/もまた参照)などの演算法を用いて、コンピュータ自動配列比較および同定により、そのポリペプチドまたは遺伝子を推定的に同定する。一般に、10個以上の連続アミノ酸配列または30個以上のヌクレオチド配列が、ポリペプチド配列または核酸配列を推定的に同定するために知られた蛋白質または遺伝子と相同していることが必要である。さらに、ヌクレオチド配列に関しては、20〜30個の連続したヌクレオチドを含んでなる遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ類を、配列依存的な遺伝子同定法(例えば、サザンハイブリダイゼーション)および単離(例えば、細菌コロニまたはバクテリオファージプラークのインサイチュのハイブリダイゼーション)において用いることができる。さらに、12〜15塩基の短いオリゴヌクレオチドを、プライマーを含んでなる特定の核酸フラグメントを得るために、PCRにおける増幅プライマーとして使用できる。したがって、ヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、配列を含んでなる核酸フラグメントを具体的に同定し、および/または単離するのに十分な配列を含んでなる。本明細書は、部分的または完全アミノ酸配列、ならびに1種以上の特定の微生物蛋白質をコードするヌクレオチド配列を教示する。当業者は、本明細書に報告された配列の利益を得て、当業者に知られた目的のために開示された配列の全て、または実質的な部分を直ちに利用できる。したがって、本発明は、添付する配列リストに報告された完全配列ならびに上記に定義されたこれらの配列の実質的な部分を含んでなる。
用語の「相補的」は、互いにハイブリダイズできるヌクレオチド塩基間の関係を述べるために用いられる。例えば、DNAに関して、アデノシンは、チミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。したがって、本発明はまた、添付する配列リストに報告された完全配列ならびに実質的に類似の核酸配列に相補的な単離された核酸フラグメントを含む。
当業界に知られた用語の「パーセント同一性」とは、複数配列を比較することにより決定される2種以上のポリペプチド配列または2種以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当業界において、「同一性」とはまた、場合によっては、このような配列鎖間のマッチによって決定できるポリペプチド配列間、またはポリヌクレオチド配列間の配列関係の程度を意味する。「同一性」と「類似性」とは、限定はしないが、「Computational Molecular Biology」(レスク・エイ・エム(Lesk、A.M.)編集)、ニューヨーク州オックスフォード大学プレス(1988);「Biocomputing:Informatics and Genome Projects」(スミス・ディー・ダブリュー(Smith、D.W.)編集)ニューヨーク州のアカデミックプレス(Academic Press)、(1993);「Computer Analysis of Sequence Data、Part I」(グリフィン・エイ・エム(Griffin、A.M.)およびグリフィン・エイチ・ジー(Griffin、H.G.)編集)ニュージャージー州のヒューマナ・プレス(Humana Press)、(1994);「Sequence Analysis in Molecular Biology」(フォン・ヘインジ・ジー(von Heinje、G.)編集)アカデミック・プレス、(1987);および「Sequence Analysis Primer」(グリブスコフ・エム(Gribskov、M.)およびデベロイクス・ジェイ(Devereux、J.)編集、ニューヨーク州のストックトン・プレス(Stockton Press)、(1991))に記載された方法など、知られた方法によって容易に計算できる。同一性を決定する好ましい方法は、被験配列間の最良のマッチを得るためにデザインされる。同一性および類似性を決定する方法は、公的に利用できるコンピュータ・プログラムにコード化されている。配列アライメントとパーセント同一性の計算は、LASERGENEバイオインフォメーション・コンピューティング一式のメガライン・プログラム(ウィスコンシン州マジソンのDNAスター・インク(DNASTAR Inc.))を用いて実施できる。配列のマルチプルアライメントを、デフォルト・パラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)でクラスタル(Clustal)法のアライメント(ヒギンズ(Higgins)およびシャープ(Sharp)(1989)CABIOS、5:151〜153頁)を用いて実施した。前記クラスタル法を用いるペアワイズアライメントに関するデフォルト・パラメータは、KTUPLE 1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONALS SAVED=5であった。
好適な核酸フラグメント(本発明の単離されたポリヌクレオチド)は、本明細書に報告されたアミノ酸配列と少なくとも約70%の同一性をもち、好ましくは少なくとも約80%同一であるポリペプチド類をコードする。好ましい核酸フラグメントは、本明細書に報告されたアミノ酸配列と約85%同一であるアミノ酸配列をコードする。より好ましい核酸フラグメントは、本明細書に報告されたアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列をコードする。最も好ましいのは、本明細書に報告されたアミノ酸配列と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸フラグメントである。好適な核酸フラグメントは、上記の類似性を有するのみならず、少なくとも50個のアミノ酸、好ましくは、少なくとも100個のアミノ酸、より好ましくは、少なくとも150個のアミノ酸、さらにより好ましくは、少なくとも200個のアミノ酸、最も好ましくは、少なくとも250個のアミノ酸を有するポリペプチドを典型的にコードする。
「コドン縮退」とは、コードされたポリペプチドのアミノ酸配列に影響を及ぼすことなく、ヌクレオチド配列を変異させる遺伝子コードの性質を指す。したがって、本発明は、配列番号2および7〜12に記載の本微生物のポリペプチドをコードするアミノ酸配列の全てまたは実質部分をコードする任意のアミノ酸フラグメントに関する。当業者は、所与のアミノ酸を明示するために、ヌクレオチドコドンの利用において特定の宿主細胞により示される「コドンバイアス」についてよく認識している。したがって、宿主細胞において発現改善のための遺伝子を合成する場合、そのコドン利用頻度が宿主細胞の好ましいコドン利用頻度に近づくように遺伝子をデザインすることが望ましい。
「合成遺伝子」は、当業者に知られた方法を用いて化学的に合成されるオリゴヌクレオチドのビルディングブロックから組み立てることができる。これらのビルディングブロックを結合し、遺伝子セグメントを形成するようにアニールされ、次いで酵素的に組み立てられて全体の遺伝子を構築する。DNA配列に関連する場合、「化学的に合成された」とは、ヌクレオチド成分がインビトロで組み立てられたことを意味する。DNAの手動の化学的合成が、十分に確立された方法を用いて達成でき、または自動化化学合成が、多くの商業的に入手できる機械装置の1つを用いて実施できる。したがって、遺伝子は、宿主細胞のコドンバイアスを反映させるヌクレオチド配列の最適化に基づいて最適遺伝子発現のために適合化させることができる。コドンの利用が宿主により好まれるこれらコドンに対してバイアスされている場合、当業者は、遺伝子発現が好結果となる可能性を認識する。配列情報が入手できる宿主細胞から誘導された遺伝子調査に基づき好ましいコドンが決定できる。
「遺伝子」とは、コード配列の前にあるか(5’非コード配列)、またコード配列の後にある(3’非コード配列)調節配列を含む、特定の蛋白質を発現する核酸フラグメントを指す。「天然の遺伝子」とは、天然にそれ自体の調節配列と共に見出される遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」とは、天然には共に見出されない調節配列およびコード配列を含んでなる天然遺伝子ではない遺伝子を指す。したがって、キメラ遺伝子は、異なる起源由来の調節配列およびコード配列、または同一の起源由来ではあるが、天然に見出される様式とは異なる様式で配置される調節配列およびコード配列を含んでなることができる。「内因性遺伝子」とは、微生物のゲノム内の本来の位置にある天然遺伝子を指す。「外来」遺伝子とは、通常、宿主生物に見出されないが、遺伝子伝達により宿主生物に導入される遺伝子を指す。外来遺伝子は、非天然生物に挿入された天然遺伝子またはキメラ遺伝子を含んでなることができる。「導入遺伝子」は、形質転換法によりゲノムに導入された遺伝子である。
「コード配列」とは、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。「好適な調節配列」とは、コード配列の上流(5’非コード配列)、内部または下流(3’非コード配列)に位置するヌクレオチド配列を指し、転写、RNAプロセシングまたは安定性、または関連したコード配列の翻訳に影響を与える。調節配列としてはプロモータ類、翻訳リーダー配列、イントロン類、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位およびステムループ構造を挙げることができる。
「プロモータ」とは、コード配列または機能的RNAの発現を制御できるDNA配列を指す。一般に、コード配列は、プロモータ配列の3’に位置する。プロモータ類は、その全体が天然遺伝子から由来するか、または天然に見出される種々のプロモータ類に由来する種々の要素からなるか、または合成DNAセグメントを含んでいてもよい。種々のプロモータ類は、種々の組織または細胞種、または種々の発達段階、または種々の環境あるいは生理的条件における遺伝子発現を指令できることが当業者により解される。大抵の細胞種においてほとんどの時間、遺伝子を発現させるプロモータは、通常、「構成的プロモータ」と呼ばれる。多くの場合、調節配列の正確な境界は、完全には定義されていないことから、種々の長さのDNAフラグメントが、同一のプロモータ活性を有し得ることがさらに認識される。
「3’非コード配列」とは、コード配列の下流に位置したDNA配列を指し、ポリアデニル化認識配列およびmRNAプロセシングまたは遺伝子発現に作用することができる調節シグナルをコードする他の配列を含む。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆物質の3’末端へのポリアデニル酸領域の付加に作用することにより特徴付けられる。
「RNA転写産物」とは、DNA配列のRNAポリメラーゼ触媒転写から生じる産生物を指す。RNA転写産物がDNA配列の完全な相補的複製である場合、それは主要な転写産物を指し、または主要転写産物の転写プロセシング後に誘導されるRNA配列であり得、成熟RNAと呼ばれる。「メッセンジャRNA(mRNA)」とは、イントロンなしで、また、細胞により蛋白質に翻訳できるRNAを指す。「cDNA」とは、mRNAに対して相補的で、mRNAから誘導される二重鎖DNAを指す。「センス」RNAとは、mRNAを含むRNA転写産物を指し、細胞により蛋白質に翻訳できる。「アンチセンスRNA」とは、標的の主要転写産物またはmRNAの全部または一部に相補的で、標的遺伝子発現を遮断するRNA転写産物を指す(米国特許第5,107,065号;国際公開第9928508号)。アンチセンスRNAの相補性は、特定の遺伝子転写産物の一部、すなわち5’非コード配列、3’非コード配列またはコード配列のいずれかであってよい。「機能的RNA」とは、アンチセンスRNA、リボザイムRNA、または翻訳されていないが、細胞プロセスに作用する他のRNAを指す。
用語の「操作可能に結合した」とは、1個の核酸フラグメント上の核酸配列が対合して、その結果、ある機能が他の機能によって影響を受けていることを指す。例えば、プロモータが、そのコード配列に影響を及ぼすことができる場合、そのプロモータは操作可能にに結合している(すなわち、コード配列は、そのプロモータの転写制御下にある)。コード配列は、調節配列にセンス方向またはアンチセンス方向で操作可能に結合できる。
本明細書で用いられる用語の「発現」とは、本発明の核酸フラグメントに由来するセンスRNA(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写と着実な蓄積を指す。発現とは、また、mRNAのポリペプチドへの翻訳も指す。
「形質転換」とは、宿主生物のゲノム内へ、核酸フラグメントが転移し、遺伝子的に安定な遺伝が生じることを指す。形質転換した核酸フラグメントを含有している宿主生物は、「遺伝形質転換」または「組換え」または「形質転換」した生物と言われる。
用語の「炭素基質」とは、本発明の宿主生物によって代謝されることのできる炭素源、特に、単糖類、オリゴ糖、多糖類およびそれら混合物の1炭素基質からなる群から選択される炭素源を指す。
用語の「プラスミド」、「ベクター」または「カセット」とは、細胞の中心的な部分ではない遺伝子を運ぶことが多く、通常、環状の二本鎖DNAフラグメントの形態にある染色体以外の因子を指す。これらの要素は、任意の起源由来の自律複製配列、ゲノム組み込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列、線形または環状の一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAであって、その中では、多くのヌクレオチド配列が独特の構造へと結合または組換えられて、適切な3’未翻訳配列と共に、選択された遺伝子産物のためのプロモータフラグメントやDNA配列を細胞内へ導入することができる。「形質転換カセット」とは、外来遺伝子を含有し、かつ外来遺伝子の他に、ある特定の宿主細胞の形質転換を促進させる因子を有する特定のベクターを指す。「発現カセット」とは、外来遺伝子を含有し、かつ外来遺伝子の他に、異種の宿主においてその遺伝子発現を高めることのできる因子を有する特定のベクターを指す。
用語の「変化した生物活性」とは、微生物核酸配列によってコードされた蛋白質に関連したアッセイ法によって測定できる活性であって、天然の微生物配列に関連した活性より高い、または低い活性を指す。「増強した生物活性」とは、天然の配列に関連した活性よりも増強して変化した活性を指す。「減少した生物活性」とは、天然の配列に関連した活性よりも減少して変化した活性を指す。
用語の「配列分析ソフトウェア」とは、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の分析に有用な何らかのコンピュータ演算法またはソフトウェアプログラムを指す。配列分析ソフトウェアは、商品として入手できるか、または独立して開発できる。典型的な配列分析ソフトウェアとしては、限定はしないが、GCGプログラム一式(ウィスコンシン州マジソンのウィスコンシン・パッケージ・バージョン(Wisconsin Package Version)9.0、ジェネティックス・コンピュータ・グループ(Genetics Computer Group(GCG))BLASTP、BLASTN、BLASTX(アルトシュル(Altschul)ら、J.Mol.Biol.215:403〜410頁(1990))、およびDNASTAR(米国53715ウィスコンシン州マジソン、パーク通り1228SのDNAスター・インク(DNASTAR Inc.))、およびスミス・ウォーターマン(Smith−Waterman)演算を組み込んだFASTAプログラム(ダブリュー・アール・ピアソン(W.R.Pearson)、Comput.Methods Genome Res.、[Proc.Int.Symp.](1994)、1992年開催、111〜20頁。編集者:スハイ(Suhai)、サンダー(Sandor)。出版元:ニューヨーク州ニューヨークのプレナム(Plenum))が挙げられる。用語の「MEME」とは、crtO配列における特徴的な6個の保存的モチーフを同定するために用いられる、隠れマルコフモデルに基づいたソフトウェアプログラムを指す(チモシー・エル・ベイリイ(Timothy L.Bailey)およびチャールズ・エルカン(Charles Elkan)、「Fitting a mixture model by expectation maximization to discover motifs in biopolymers」、Proceedings of the Second International Conference on Intelligent Systems for Molecular Biology、28〜36頁、カリフォルニア州メンロパークのAAAIプレス(Press)、1994年)。「MAST」(チモシー・エル・ベイリイ(Timothy L.Bailey)およびマイケル・グリブスコフ(Michael Gribskov)、「Combining evidence using p−values:application to sequence homology searches」、Bioinfomatics、14巻、48〜54頁、1998年)とは、MEMEプログラムからのアウトプットを取り入れ、EMBLやスイスプロット(SwissProt)などの蛋白質データベースに当たって同定モチーフを探索するプログラムである。本出願の明細書中には、配列分析ソフトウェアが分析に用いられる場合、分析結果は、他に明記しない限り、参照したプログラムの「デフォルト値」に基づく。本明細書に用いられる「デフォルト値」とは、最初の開始時に、元来ソフトウェアにロードされていた何らかの数値またはパラメータのセットを意味する。
本明細書に用いられる標準的な組換えDNA法および分子クローニング法は、当業界によく知られており、サンブルック・ジェイ(Sambrook、J.)、フリッシュ・イー・エフ(Fritsch、E.F.)およびマニアチス・ティー・(Maniatis、T.)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバーのコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、(1989)(以後「マニアチス(Maniatis)」);シルハービイ・ティ・ジェイ(Silhavy、T.J.)、ベナン・エム・エル(Bennan、M.L.)およびエンキスト・エル・ダブリュー(Enquist、L.W.)、「Experiments with Gene Fusions」、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバーのコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、(1984);オースベル・エフ・エム(Ausubel、F.M.)ら、「Current Protocols in Molecular Biology」、グリーン・パブリッシング・アソシ・アンド・ワイリイ−インターサイエンス(Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience)により出版(1987))によって記載されている。
本発明は、ロドコッカスから単離され、環状カロテノイドケトラーゼをコードする新規に発見されたcrtO遺伝子を提供する。本発明は、以前デイノコッカス−ラジオデュランスのフェイトンデヒドロゲナーゼとして同定された遺伝子が環状カロテノイドケトラーゼの活性を有するという知見を提供する。本発明の配列は、単環式および二環式カロテノイド化合物から環状ケトカロテノイド類を生産するために組換え宿主においてインビトロおよびインビボで使用できる。
crtOヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を、スミス・ウォーターマン(Smith−Waterman)のアライメントアルゴリズム(ダブリュー・アール・ピアソン(W.R.Pearson)、Comput.Methods Genome Res.、[Proc.Int.Symp.](1994)、1992年開催、111〜20頁。編集者:スハイ(Suhai)、サンダー(Sandor)。出版元:ニューヨーク州ニューヨークのプレナム)を用いて、公的のデータベースと比較すると、最も類似している既知配列は、本明細書に報告されるアミノ酸配列に、532個のアミノ酸長にわたり、約35%一致していることが判る。したがって、好ましいアミノ酸フラグメントは、本明細書に記載の配列に少なくとも約70%〜80%一致し、より好ましいアミノ酸配列は、本明細書に報告されたアミノ酸フラグメントに少なくとも約80%〜90%一致し、最も好ましいものは、本明細書に報告されたアミノ酸フラグメントに少なくとも95%一致する核酸フラグメントである。同様に、当該配列に対応する核酸配列をコードする好ましいcrtOは、活性蛋白質をコードし、かつ本明細書に報告された核酸配列と少なくとも80%同一であるものである。より好ましいcrtO核酸フラグメントは、本明細書に記載の配列と少なくとも90%同一である。最も好ましいのは、本明細書に報告されたアミノ酸フラグメントと少なくとも95%同一であるcrtO核酸フラグメントである。
3つのcrtO遺伝子についてモチーフ分析を行った。この分析では、ロドコッカスAN12から単離されたCrtO酵素のアミノ酸配列(配列番号:2)、デイノコッカスから単離されたCrtO酵素のアミノ酸配列(配列番号:4)、およびシネコシスチスから単離されたCrtO酵素のアミノ酸配列(配列番号:6)と比較した。この分析結果は、3種全ての酵素に存在する6個の保存性の高い特徴的モチーフを同定した(図3)。これらのモチーフコンセンサス配列は、配列番号:7〜12に記載されている。単一ポリペプチドにおけるこれら全てのモチーフの存在は、CrtO、ケトラーゼ機能性に特徴的であると考えられる。したがって、本発明は、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする単離された核酸分子を提供し、前記酵素は、配列番号:7〜12に記載のCrtO特徴的モチーフを定義するアミノ酸配列の全てに対して、スミス−ウォーターマン法のアライメントに基づいて少なくとも70%一致する。同様に本発明は、カロテノイドケトラーゼ活性を有するポリペプチドを提供し、前記ポリペプチドは、配列番号:7〜12に表されているCrtOの特徴的モチーフを定義するアミノ酸配列の全てに対して、スミス−ウォーターマン法のアライメントに基づいて少なくとも70%の同一性を有する。前述したことにもかかわらず、本発明は、シネコシスチス種PCC6803crtO遺伝子、および配列番号:5および6でそれぞれ表されているフェルナンデス−ゴンザレス(Fernandez−Gonzalez)ら(J.of Biol.Chem.(1997)272;9728〜9733頁)により記載された酵素は明白に除外している。
相同体の単離
本発明の核酸フラグメントは、同一種または他の微生物種由来の相同蛋白質をコードする遺伝子を単離するために使用できる。配列依存のプロトコルを用いる相同遺伝子の単離は当業界によく知られている。配列依存のプロトコルの例としては、限定はしないが、核酸ハイブリダイゼーション法、および核酸増幅法の種々の利用によって例示されるDNAおよびRNA増幅法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、マリス(Mullis)、ら、米国特許第4,683,202号)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、エス・テイバー(Tabor、S.)ら、Proc.Acad.Sci.米国82、1074頁、(1985))またはストランド置換増幅(SDA、ウォーカー(Walker)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.米国、89、392頁(1992))が挙げられる。
本発明の核酸フラグメントは、同一種または他の微生物種由来の相同蛋白質をコードする遺伝子を単離するために使用できる。配列依存のプロトコルを用いる相同遺伝子の単離は当業界によく知られている。配列依存のプロトコルの例としては、限定はしないが、核酸ハイブリダイゼーション法、および核酸増幅法の種々の利用によって例示されるDNAおよびRNA増幅法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、マリス(Mullis)、ら、米国特許第4,683,202号)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、エス・テイバー(Tabor、S.)ら、Proc.Acad.Sci.米国82、1074頁、(1985))またはストランド置換増幅(SDA、ウォーカー(Walker)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.米国、89、392頁(1992))が挙げられる。
例えば、本発明の蛋白質またはポリペプチドと同様のものをコードする遺伝子は、当業者によく知られた方法論を用いて、任意の所望の細菌からライブラリをスクリーンするためのDNAハイブリダイゼーションプローブとして前記核酸フラグメントの全てまたは一部を用いることにより直接単離できるであろう。前記核酸配列に基づく特定のオリゴヌクレオチドプローブ類をデザインし、当業者に知られた方法(マニアチス(Maniatis))により合成できる。さらに、全体配列は、ランダムプライマーのDNA標識、ニックトランスレーション、末端標識法、または利用できるインビトロ転写システムを用いるRNAプローブなど、当業者に知られた方法により、DNAプローブ類を合成するために直接利用できる。さらに、特定のプライマー類をデザインし、本配列の一部または完全長を増幅させるために使用できる。得られた増幅産物を、増幅反応中に直接標識または増幅反応後に標識でき、適切なストリンジェンシー条件下で完全長のDNAフラグメントを単離するためのプローブとして用いることができる。
PCR増幅法において典型的には、前記プライマー類は、種々の配列を有し、互いに相補的ではない。所望の試験条件に依って、前記プライマー類の配列は、標的核酸の効率的で忠実な複製に供するようにデザインされる必要がある。PCRプライマーデザイン法は、当業界によく知られている(テイン(Thein)およびワレス(Wallace)、「The use of oligonucleotide as specific hybridization probes in the Diagnosis of Genetic Disorders in Human Genetic Diseases:A Practical Approach」、ケイ・イー・デイビス(K.E.Davis)編集、(1986)33〜50頁、バージニア州ヘルンドンのIRLプレス(Press));ダブリュー・リチリク(Rychlik、W.)、ビー・エイ・ホワイト(White、B.A.)(編集)、Methods in Molecular Biology、(1986)、15巻、31〜39頁、「PCRプロトコル:Current Methods and Applications」、ニュージャージー州トトワのヒューマニア・プレス(Humania Press))。
一般に、前記配列の2つの短いセグメントは、ポリメラーゼ連鎖反応のプロトコルにおいて、DNAまたはRNA由来の相同遺伝子をコードする、より長い核酸フラグメントを増幅するために用いることができる。前記ポリメラーゼ連鎖反応はまた、1種のプライマー配列が前記核酸フラグメントに由来し、他のプライマー配列が真核性遺伝子のmRNA前駆物質の3’末端におけるポリアデニル酸域の存在を利用する場合、クローン化核酸フラグメントのライブラリに対して実施できる。ポリアデニル化mRNAを欠く微生物遺伝子の場合、ランダムプライマー類を用いることができる。ランダムプライマー類もまた、DNAからの増幅にとって有用であると思われる。
他に、第2のプライマー配列は、クローニングベクター由来の配列に基づくことができる。例えば、当業者は、RACEプロトコル(フローマン(Frohman)ら、PNAS USA85:8998(1988))に従い、転写におけるある単一箇所と3’または5’末端間の領域の複製を増幅するためにPCRを用いてcDNAを生成することができる。本配列から、3’および5’方向に方向付けられたプライマー類をデザインできる。商品として入手できる3’RACEまたは5’RACEシステム(BRL)を用いて、特定の3’または5’cDNAフラグメントを単離できる(オーハラ(Ohara)ら、PNAS USA86:5673(1989);ロー(Loh)ら、Science243:217(1989))。
他に、本配列は、ホモログの同定のためのハイブリダイゼーション試剤として使用できる。核酸ハイブリダイゼーション試験の基本的構成要素としては、プローブ、関心対象の遺伝子または遺伝子フラグメントを含有すると考えられるサンプル、および特定のハイブリダイゼーション法が挙げられる。本発明のプローブは、典型的には、検出すべき核酸配列に相補的な一本鎖核酸配列である。プローブは、検出すべき核酸配列と「ハイブリッド形成可能」である。プローブ長は5塩基から数万塩基まで変化し、実施される特定の試験に依存する。典型的には、約15塩基から約30塩基のプローブ長が好適である。検出すべき核酸配列に相補的であることが必要なのはプローブ分子の一部だけである。また、プローブと標的配列との間の相補性は完全である必要はない。ハイブリダイゼーションは、不完全な相補的分子間でも生じ、その結果、ハイブリッドが形成された領域における塩基のある一定の小部分は、正しい相補的塩基と対合していない。
ハイブリダイゼーション法は、十分に規定されている。典型的には、プローブとサンプルを、核酸のハイブリダイゼーションを可能とする条件下で混合しなければならない。このことは、プローブとサンプルを無機塩または有機塩の存在のもとで、適当な濃度と温度条件下で接触させることを含む。プローブと核酸サンプルとの間に全ての可能なハイブリダイゼーションが生じ得るように、プローブと核酸サンプルを十分長時間接触させなければならない。混合物中のプローブ、または標的濃度により、ハイブリダイゼーションが生じるために必要な時間が決定される。プローブまたは標的濃度が高いほど、必要とされるハイブリダイゼーションインキュベート時間は短くなる。場合によっては、カオトロピック試剤を加えてもよい。カオトロピック試剤は、ヌクレアーゼ活性を阻害することによって核酸を安定化する。さらに、カオトロピック試剤は、短いオリゴヌクレオチドプローブのセンシティブかつストリンジェントなハイブリダイゼーションを室温で可能にする[ヴァンネス(Van Ness)およびチェン(Chen)(1991)Nucl.Acids Res.19:5143〜5151頁]。好適なカオトロピック試剤としては、特に塩化グアニジニウム、チオシアン酸グアニジニウム、チオシアン酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸ルビジウム、ヨウ化カリウム、およびトリフルオロ酢酸セシウムが挙げられる。典型的にカオトロピック試剤は、約3Mの最終濃度で存在する。所望の場合は、ハイブリダイゼーション混合物に、典型的には30〜50%(v/v)のホルムアミドを加えることができる。
種々のハイブリダイゼーション溶液が使用できる。典型的には、これらの溶液は、約20〜60容量%、好ましくは30容量%の極性有機溶媒を含んでなる。一般的なハイブリダイゼーション溶液には、約30〜50%v/vのホルムアミド、約0.15M〜1Mの塩化ナトリウム、約0.05M〜0.1Mのクエン酸ナトリム、Tris−HCl、PIPESまたはHEPES(pH範囲約6〜9)などの緩衝剤、約0.05%〜0.2%のドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、または0.5mM〜20mMのEDTA、FICOLL(ファルマシア・インク(Pharmacia Inc.))(約300〜500キロダルトン)、ポリビニルピロリドン(約250〜500キロダルトン)および血清アルブミンが用いられる。典型的なハイブリダイゼーション溶液にはまた、例えば子牛胸腺DNAまたはサケ精子DNA、または酵母RNAなどの約0.1〜5mg/mLの核断片DNA由来の未標識担体核酸、および場合によっては、約0.5〜2%wt/volグリシンが含まれる。ポリエチレングリコール、ポリアクリレートまたはポリメチルアクリレートなどのアニオン性ポリマー類、および硫酸デキストランなどのアニオン性サッカライドのポリマー類などの種々の極性水溶性試剤または膨潤性試剤を含む体積排除試剤などの他の添加物もまた含み得る。
核酸ハイブリダイゼーションは、種々のアッセイ方式に適合性がある。最も好適なものの1つはサンドイッチアッセイ方式である。サンドイッチアッセイは、非変性条件下でのハイブリダイゼーションに特に適合性がある。サンドイッチ型アッセイの主要な構成要素は固体支持体である。前記固体支持体は、未標識で配列の一部に相補的である核酸プローブに固定化されて、それに吸着または共有結合している。
当該ヌクレオチドおよび推測されたアミノ酸配列を利用できることから、DNA発現ライブラリの免疫学的スクリーニングが容易になる。当該アミノ酸配列の部分を表す合成ペプチドを合成できる。これらのペプチドは、動物を免疫化して、アミノ酸配列を含んでなるペプチドまたは蛋白質に対する特異性を有するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を産生するために利用できる。次にこれらの抗体を用いてDNA発現ライブラリを選抜し、関心対象の完全長DNAクローン類を単離する(アール・エイ・ラーナー(Lerner、R.A.)、Adv.Immunol.36:1頁(1984);マニアチス(Maniatis))。
組換え体発現−微生物学
当該配列の遺伝子および遺伝子産物は、異種性の宿主細胞内、特に微生物宿主の細胞内で産生できる。組換え微生物宿主における発現は、種々の経路の中間体の発現、既に宿主内に存在している経路の調節、または、これまでは宿主を使用して可能でなかった新規産物の合成のために有用であり得る。
当該配列の遺伝子および遺伝子産物は、異種性の宿主細胞内、特に微生物宿主の細胞内で産生できる。組換え微生物宿主における発現は、種々の経路の中間体の発現、既に宿主内に存在している経路の調節、または、これまでは宿主を使用して可能でなかった新規産物の合成のために有用であり得る。
当該遺伝子および核酸フラグメントの発現にとって好ましい異種性の宿主細胞は、真菌属または細菌属内に幅広く見つけることができ、また、温度、pH値および溶媒耐容性の広範囲にわたって増殖する微生物宿主である。例えば、細菌類、酵母および糸状菌が当該核酸フラグメントの発現に好適な宿主であると考えられる。転写、翻訳および蛋白質生合成の装置は細胞の供給源に係りなく同一であるため、機能的遺伝子は、細胞バイオマスを生成するために用いられる炭素供給源に係りなく発現する。光合成宿主または化学的独立栄養宿主の場合、大規模な微生物の増殖および機能的遺伝子の発現には、広範囲の単純な、または複雑な炭水化物、有機酸やアルコール、メタン、二酸化炭素などの飽和炭水化物を利用できる。しかしながら、機能的遺伝子は、窒素、リン、硫黄、酸素、炭素または無機小イオン類などの任意の微量栄養物の形態と量を含む特定の増殖条件によって調節、抑制または低下され得る。さらに、培養液に添加され、典型的には栄養物またはエネルギー源としては考えられていない特定の調節分子の存在または非存在下で機能的遺伝子の調節が達成できる。遺伝子発現においては増殖速度もまた重要な調節因子となり得る。宿主株の例としては、限定はしないが、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピヒア(Pichia)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、またはサルモネラ(Salmonella)、バチルス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ザイモモナス(Zymomonas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター・クロロビウム(Erythrobacter Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリア(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、エシェリヒア(Escherichia)、エルウィニア(Erwinia)、パントエア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコックス(Methylococcus)、メチロジーナス(Methylosinus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスチス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスチス(Synechocystis)、シネココックス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバシラス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)およびミキソコッカス(Myxococcus)などの細菌種、真菌種または酵母種が挙げられる。
外来蛋白質の高レベル発現を指令する調節配列を含有する微生物発現システムと発現ベクターは当業者によく知られている。当該ケトラーゼ類の発現にキメラ遺伝子を構築するために、これらのいずれかを使用できると考えられる。次にこれらのキメラ遺伝子を形質転換により適切な微生物内へ導入し、高レベルの酵素発現を提供することができると考えられる。
したがって、例えば、適切なプロモータの制御下で当該細菌酵素をコードするキメラ遺伝子を導入することにより環状カロテノイド産生の増加または変化が示されると予想される。当該遺伝子を天然宿主細胞並びに異種性の宿主、双方内に発現させることは有用であると考えられる。当該crtO遺伝子の天然宿主内への導入により、現存カロテノイドの産生レベルが変化するであろう。さらに、当該遺伝子は現存カロテノイド経路が操作できる非天然宿主細菌内へも導入できる。
本発明によって産生する特定のケトカロテノイドとしては、限定はしないが、カンタキサンチン、アスタキサンチン、アドニキサンチン、アドニルビン、エキネノン、3−ヒドロキシエキネノン、3’−ヒドロキシエキネノン、4−ケト−ガンマ−カロテン、4−ケト−ルビキサンチン、4−ケト−トルレン、3−ヒドロキシ−4−ケト−トルレン、デオキシフレキシキサンチン、ミクソバクトンが挙げられる。アスタキサンチン、4−ケト−ルビキサンチンの産生は、特に興味深く、その合成は図1に示してある。当該CrtO酵素のための特異的基質は単環式または二環式カロテノイドである。環状カロテノイド類は当業界によく知られており、商品として入手できる。本発明においてCrtOケトラーゼの基質として好ましいものは、環状カロテノイドであり、限定はしないが、β−カロテン、γ−カロテン、ゼアキサンチン、ルビキサンチン、エキネノンおよびトルレンが挙げられる。
好適な宿主細胞の形質転換に有用なベクター、またはカセットは当業界によく知られている。典型的にはベクターまたはカセットは、関連遺伝子の転写および翻訳を指令する配列、選択性マーカー、および自律複製または染色体組み込みを可能にする配列を含有する。好適なベクターは、転写開始制御を有している遺伝子の5’領域および転写の終結を制御するDNAフラグメントの3’領域を含んでなる。双方の制御領域が、形質転換宿主細胞の相同遺伝子から誘導される場合が最も好ましいいが、このような制御領域は、産生宿主として選択された特定種に固有の遺伝子から誘導される必要はないことを理解すべきである。
所望の宿主細胞内に当該ORF類の発現を推進するために有用な開始制御領域、すなわちプロモータ類は数多く存在し、当業者によく知られている。事実上、これらの遺伝子を推進することのできる任意のプロモータが本発明に好適であり、限定はしないが、CYC1、HIS3、GAL1、GAL10,ADH1,PGK、PHO5,GAPDH、ADC1,TRP1,URA3,LEU2,ENO、TPI(サッカロミセス属における発現に有用);AOX1(ピヒア属における発現に有用);およびlac、ara、tet、trp、IPL、IPR、T7、tac、およびtrc(大腸菌における発現に有用)、並びにamy、apr、nprプロモータ類およびバチルス属における発現に有用である種々のファージプロモータ類が挙げられる。クロラムフェニコール耐性遺伝子プロモータなどのプロモータ類は、ロドコッカス属における発現に有用であり得る。
終結制御領域はまた、好ましい宿主に固有の種々の遺伝子から誘導できる。場合によっては、終結部位は必要ないが、含まれていれば最も好ましい。
当該遺伝子の配列に対する知見は、このような経路を有する任意の生物、特にロドコッカス属におけるカロテノイド生合成経路の操作に有用となる。遺伝子経路の操作法は当業界において一般的であり、よく知られている。特定の経路における選択された遺伝子は種々の方法でアップレギュレートまたはダウンレギュレートできる。また、経路の競合で、遺伝子中断や同様の方法によって生物は、除去または純化できる。
一旦、基本的な遺伝子経路が同定されて配列決定されると、特定の遺伝子がアップレギュレートされて、その経路の産出を増加させることができる。例えば、標的遺伝子の追加複製物をpBR322などのマルチコピープラスミドによって宿主細胞内に導入することができる。他に、標的遺伝子を、非天然プロモータに制御されるように変更できる。細胞周期または発酵操作中にある特定の時点で経路が働くことが望まれる場合、調節または誘導プロモーターを、標的遺伝子の天然プロモーターに置き換えるために使用できる。同様に、幾つかの場合、天然または内因性プロモーターは、遺伝子発現を増加させるために変更できる。例えば、内因性プロモータをインビボで変異、欠失および/または置換によって、変更できる(クミーク(Kmiec)、米国特許第5,565,350号;ザーリング(Zarling)ら、PCT/US93/03868を参照)。
他に、標的経路において、またはエネルギーまたは炭素のための競合シンクとして働き得る競合経路において、一定の遺伝子の発現を減少する、または除去することが必要な場合もある。この目的のために、遺伝子をダウンレギュレートする方法が開発されている。中断すべき遺伝子配列が知られている場合、遺伝子ダウンレギュレーションの効果的な方法の1つは、転写を中断するために、外来DNAを構造遺伝子内へ挿入する標的遺伝子中断である。これは、中断すべき遺伝子部分に高い相同性を有する配列が側面に付いた挿入DNA(遺伝子マーカーであることが多い)を含んでなる遺伝子カセット類の創製によって実施できる。宿主細胞内へのカセット導入は、細胞固有のDNA複製機構による外来DNAの構造遺伝子挿入をもたらす(例えば、ハミルトン(Hamilton)ら(1989)J.Bacteriol.171:4617〜4622頁、バルバス(Balbas)ら(1993)Gene136:211〜213頁、ゲルデナー(Gueldener)ら(1996)Nucleic Acids Res.24:2519〜2524頁、スミス(Smith)ら(1996)Methods Mol.Cell.Biol.5:270〜277頁を参照)。
アンチセンス法は、標的遺伝子の配列が知られている遺伝子をダウンレギュレートするもう1つの方法である。これを達成するためには、所望の遺伝子の核酸セグメントをクローン化し、RNAのアンチセンス鎖が転写されるように、プロモータに操作可能に結合させる。次にこの構築体を宿主細胞に導入すると、RNAのアンチセンス鎖が産生される。アンチセンスRNAは、関心対象の蛋白質をコードするmRNAの蓄積を防止することによって遺伝子発現を阻害する。当業者は、特定遺伝子の発現を減少させるためのアンチセンス法には特別な配慮が伴うことを知っている。例えば、アンチセンス遺伝子の適切な発現レベルには、当業界の技術者に知られた種々の調節因子を利用した種々のキメラ遺伝子の使用が必要と思われる。
標的遺伝子中断とアンチセンス法は、配列が知られている遺伝子をダウンレギュレートする効果的な方法を提供するが、配列に基づかない特異性のより低い他の方法論が開発されている。例えば、細胞をUV照射に曝露してから、所望の表現型に関して選別できる。化学的試剤による変異誘発もまた、変異体生成のために効果的であり、一般に用いられている物質としては、HNO2やNH2OHなどの非複製DNAに影響を与える化学物質、並びにフレームシフト変異を引き起こすことで著明なアクリジン染料などの複製DNAに影響を及ぼす試剤が挙げられる。照射または化学試剤を用いた変異創製のための特定の方法は当業界で十分に文書化されている。例えば、トーマス・ディー・ブロック(Thomas D.Brock、「Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology」、第2版(1989)、マサチューセッツ州サンダーランドのSinauer Associates、Inc.、またはデシュパンデ(Deshpande)、ヴィー・ムクンド(Mukund、V.)、Appl.Biochem.Biotechnol.、36、227頁(1992))を参照されたい。
遺伝子中断の他の非特異的方法は、転移因子、すなわちトランスポゾンの使用である。トランスポゾンは、DNA中に無作為に挿入されるが、後で配列に基づいて回収され、挿入に基づいた箇所を決定できる遺伝子因子である。インビボ、インビトロ両方の転移法が知られている。両法とも、トランスポゼースと組合わせた転移因子の使用を含んでいる。転移因子、すなわちトランスポゾンを、トランスポゼース存在下、核酸フラグメントと接触させると、転移因子は核酸フラグメント内へ任意に挿入される。中断された遺伝子は、転移因子の配列に基づいて同定できるため、この方法は任意の変異および遺伝子単離にとって有用である。インビトロ転写用キットは商品として入手できる(例えば、酵母Ty1因子に基づいたザ・プライマー・アイランド・トランスポジション・キット(The Primer Island Transposition Kit)は、ニュージャージー州ブランチバーグのパーキン・エルマー・アプライド・バイオシステムス(Perkin Elmer Applied Biosystems)から入手でき;細菌のトランスポゾンTn7に基づいたザ・ゲノム・プライミング・システム(The Genome Priming System)は、マサチューセッツ州ビベルリイのニューイングランド・バイオラブス(New England Biolabs)から入手でき;細菌の転写因子Tn5に基づいたEZ::TNのトランスポゾン・インサーション・システムス(Transposon Insertion Systems)は、ウィスコンシン州マジソンのエピセンター・テクノロジーズ(Epicentre Technologies)から入手できる)。
工業的生産
当該CrtO遺伝子を用いて環状ケトカロテノイド化合物の商業的生産が望まれる場合、種々の培養方法論が適用できる。例えば、組換え微生物宿主から過剰発現した特定遺伝子産物の大規模生産はバッチ方法論と連続培養方法論の双方により生産できる。
当該CrtO遺伝子を用いて環状ケトカロテノイド化合物の商業的生産が望まれる場合、種々の培養方法論が適用できる。例えば、組換え微生物宿主から過剰発現した特定遺伝子産物の大規模生産はバッチ方法論と連続培養方法論の双方により生産できる。
伝統的なバッチ培養法は、培養液の組成が培養開始時に設定され、培養過程の間、人工的変更に供されない閉鎖系である。したがって、培養過程の開始時に培養液は、所望の単一または複数の生物と共にインキュベートされ、システムに何も添加せずに、増殖または代謝活性が許容される。しかし、典型的には「バッチ」培養は、炭素源の添加に関するバッチであり、pHや酸素濃度などの因子を制御して試みられることが多い。バッチシステムにおいては、システムの代謝産物およびバイオマス組成は、培養が終る時まで、一定して変化する。バッチ培養内の細胞は、静的な誘導期から対数高増殖期までは緩やかで、最後に増殖率が減少、または停止する定常期に至る。処理を加えなければ細胞はついに死滅する。対数期における細胞が、最終産物または一部のシステムでは、中間体の生産バルクとなることが多い。他のシステムでは、定常期生産または指数関数期後の生産を得ることができる。
標準的バッチシステムの変法に供給バッチシステムがある。供給バッチシステムもまた、本発明において好適であり、培養の進行に応じて基質の添加を増加させること以外は典型的なバッチシステムからなる。カタボライト抑制は細胞の代謝を阻害しがちであり、培養液中の基質量を制限したい場合に、供給バッチシステムは有用である。供給バッチシステムにおける実際の基質濃度の測定は困難であり、したがって、pH、溶解酸素、およびCO2などの廃ガス分圧なおどの測定可能な因子の変化に基づいて推定される。バッチ培養法および供給バッチ培養法は当業界で一般的によく知られており、それらの例は、本明細書に援用されている、トーマス・ディー・ブロック、「Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology」、第2版(1989)、マサチューセッツ州サンダーランドのSinauer Associates、Inc.、またはデシュパンデ、ヴィー・ムクンド、Appl.Biochem.Biotechnol.、36、227頁(1992))に見ることができる。
環状ケトカロテノイド類の商業的生産はまた、連続培養によって達成できる。連続培養は、規定の培地がバイオリアクターに連続的に添加され、同時に、順化培地のある等しい量を除去して処理する開放システムである。連続培養での細胞は、一定の高密度液相に維持され、細胞は主に対数増殖期にある。他に、連続培養は、固定化した細胞を用いて実施でき、そこでは炭素と栄養物が連続的に添加され、価値のある産物、副産物または廃棄産物が連続的に細胞集団から取り出される。細胞固定は、天然物質および/または合成物質からなる広範囲の固体支持体を用いて実施できる。
連続または半連続培養によって、細胞増殖または最終産物濃度に影響を与える1つの因子または幾つかの数の因子のモジュレーションができる。例えば、1方法では、炭素源または窒素レベルなどの栄養物を一定の割合に制限することが維持され、他の全てのパラメータは適度にされる。他のシステムでは、増殖に影響を与える多数の因子を連続的に変化させる一方で、培地濁度を測定して細胞濃度を一定に保つことができる。連続システムは安定状態の増殖条件を維持するために努めるもので、培地除去による細胞損失と培養中の細胞増殖率との均衡を保持しなければならない。連続培養処理のために栄養物および増殖因子をモジュレートする方法、並びに産物の形成率を最大化する技術は、工業的微生物学分野でよく知られており、種々の方法が上記ブロックにより詳述されている。
本発明の発酵培地は、好適な炭素基質を含有しなければならない。好適な基質としては、限定はしないが、グルコースやフルクトースなどの単糖類、ラクトースやスクロースなどのオリゴ糖、デンプンやセルロ−スなどの多糖類、またはそれらの混合物、およびチ−ズ乳清浸透物、コーン浸し液、サトウダイコン液、オオムギモルトなどの再生可能な飼料ストックの未精製混合物が挙げられる。また、炭素基質は、基本的な生合成中間体への代謝的変換が立証されている二酸化炭素、メタン、メタノールなどの1炭素基質であってもよい。1種および2種の炭素基質の他に、代謝活性用にメチルアミン、グルコサミンおよび種々のアミノ酸など、他の多くの炭素含有化合物を利用するための、C1資化性菌生物もまた知られている。例えば、メチルアミンの炭素を利用して、トレハロースまたはグリセロールを形成するためにC1資化性酵母が知られている(ベリオン(Bellion)ら、Microb.Growth C1 Compd.、[Int.Symp.]、第7回(1993)、415〜32頁。編集者:コリン・ジェイ・ムレル(Murrell、J.Collin);ドン・ピー・ケリイ(Kelly、Don P.)、発行元:英国アンドーバーのインターセプト(Intercept))。同様に、カンジダ属の様々な種は、アラニンまたはオレイン酸を代謝する(スルター(Sulter)ら、Arch.Microbiol.153:485〜489頁(1990))。したがって、本発明において利用される炭素源は、多種多様の炭素含有基質を包含することができ、生物の選択によってのみ制限されることになる。
組換え発現−植物
植物および藻類もまた、カロテノイド化合物を産生することが知られている。本発明の核酸フラグメントは、微生物の蛋白質を発現する能力を有する組換え植物を創製するために利用できる。好ましい植物宿主は、当該蛋白質の高生産レベルを維持する何れかの種である。好適な緑色植物としては、限定はしないが、ダイズ、ナタネ(ブラシカ・ナプス(Brassica napus)、ビー・カンペストリス(B.campestris))、コショウ、ヒマワリ(ヘリアンタス・アンヌス(Helianthus annus))、ワタ(ゴッシイピウム(Gossypium hirsutum))、トウモロコシ、タバコ(ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum))、アルファルファ(メディカゴ・サチバ(Medicago sativa))、コムギ(トリチカム種(Triticum sp))、オオムギ(ホルデューム・バルガーレ(Hordeum vulgare))、オートムギ(アベナ・サチバ(Avena sativa)、L.)、モロコシ(ソルギウム・ビコロール(Sorghum bicolor))、コメ(オリザ・サチバ(Oryza sativa))、シロイヌナズナ、アブラナ科野菜(ブロッコリ、カリフラワー、キャベツ、パースニップなど)、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、ピーナッツ、ブドウ、グラス・シード・クロップ(grass seed crop)、サトウダイコン、サトウキビ、豆類、エンドウ豆、ライ麦、アマ、硬葉樹、軟葉樹、およびまぐさが挙げられる。藻類としては、限定はしないが、スピルリナ、ヘモトコッカス、およびドナリエラなどの商業的に重要な宿主が挙げられる。カロテノイド化合物の産生はまた、所望の組織における、所望の発達段階での遺伝子発現を指令する能力のあるプロモータにコード領域が操作可能に結合している、本発明のキメラ遺伝子を先ず構築することによって達成できる。便宜性のため、前記キメラ遺伝子は、同一の遺伝子由来のプロモータ配列と翻訳リーダー配列を含んでなることができる。転写終結シグナルをコードする3’非コード配列もまた提供される必要がある。当該キメラ遺伝子は、遺伝子発現を促進するために1個以上のイントロンもまた含んでなることができる。
植物および藻類もまた、カロテノイド化合物を産生することが知られている。本発明の核酸フラグメントは、微生物の蛋白質を発現する能力を有する組換え植物を創製するために利用できる。好ましい植物宿主は、当該蛋白質の高生産レベルを維持する何れかの種である。好適な緑色植物としては、限定はしないが、ダイズ、ナタネ(ブラシカ・ナプス(Brassica napus)、ビー・カンペストリス(B.campestris))、コショウ、ヒマワリ(ヘリアンタス・アンヌス(Helianthus annus))、ワタ(ゴッシイピウム(Gossypium hirsutum))、トウモロコシ、タバコ(ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum))、アルファルファ(メディカゴ・サチバ(Medicago sativa))、コムギ(トリチカム種(Triticum sp))、オオムギ(ホルデューム・バルガーレ(Hordeum vulgare))、オートムギ(アベナ・サチバ(Avena sativa)、L.)、モロコシ(ソルギウム・ビコロール(Sorghum bicolor))、コメ(オリザ・サチバ(Oryza sativa))、シロイヌナズナ、アブラナ科野菜(ブロッコリ、カリフラワー、キャベツ、パースニップなど)、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、ピーナッツ、ブドウ、グラス・シード・クロップ(grass seed crop)、サトウダイコン、サトウキビ、豆類、エンドウ豆、ライ麦、アマ、硬葉樹、軟葉樹、およびまぐさが挙げられる。藻類としては、限定はしないが、スピルリナ、ヘモトコッカス、およびドナリエラなどの商業的に重要な宿主が挙げられる。カロテノイド化合物の産生はまた、所望の組織における、所望の発達段階での遺伝子発現を指令する能力のあるプロモータにコード領域が操作可能に結合している、本発明のキメラ遺伝子を先ず構築することによって達成できる。便宜性のため、前記キメラ遺伝子は、同一の遺伝子由来のプロモータ配列と翻訳リーダー配列を含んでなることができる。転写終結シグナルをコードする3’非コード配列もまた提供される必要がある。当該キメラ遺伝子は、遺伝子発現を促進するために1個以上のイントロンもまた含んでなることができる。
コード領域の発現を誘導することのできる何らかのプロモータと何らかのターミネータの何らかの組合わせをキメラ遺伝子配列に用いることができる。プロモータ類とターミネータ類の好適な例のいくつかとして、ノパリン合成(nos)、オクトピン合成(ocs)およびカリフラワーモザイクウィルス(CaMV)遺伝子由来のものが挙げられる。使用できる効率的な植物プロモータの1種は高レベル植物プロモータである。本発明の遺伝子配列と操作可能に結合したこのようなプロモータ類は、当該遺伝子産物の発現を促進できるはずである。本発明に使用できる高レベル植物プロモータ類としては、ダイズ由来のリブロース−1,5−ビスホスファートカルボキシラーゼの小サブユニット(ss)プロモータ(ベリイ−ロー(Berry−Lowe)ら、J.Molecular and App.Gen.、1:483〜498頁、(1982))、およびクロロフィルa/b結合蛋白質のプロモータが挙げられる。これら2種のプロモータは、植物細胞内で光誘導されることが知られている(例えば、「Genetic Engineering of Plants、an Agricultural Perspective」、エイ・キャッシュモア(A.Cashmore)、ニューヨーク州のPlenum(1983)、29〜38頁;ジー・コルジイ(Coruzzi、G.)ら、The Jounal of Biological Chemistry、258:1399頁(1983);およびピー・ダンスムア(Dunsmuir、P.)ら、Journal of Molecular and Applied Genetics、2:285頁(1983)を参照)。
次に、当該キメラ遺伝子を含んでなるプラスミドベクター類が構築できる。プラスミドベクターの選択は、宿主植物を形質転換するために用いられる方法に依存する。当業者は、前記キメラ遺伝子含有の宿主細胞を首尾よく形質転換、選択、および増殖させるためにプラスミド上に存在しなければならない遺伝子因子を十分認識している。当業者はまた、種々の独立した形質転換事象が種々のレベル、種々の発現パターンで生じ(ジョーンズ(Jones)ら、(1985)EMBOJ.4:2411〜2418頁;デ・アルメイダ(De Almeida)ら、(1989)Mol.Gen.Genetics 218:78〜86頁)、したがって、所望の発現レベルと所望のパターンを示す株を得るためには、多くの事象をスクリーニングしなければならないこともまた認識するであろう。このようなスクリーニングは、DNAブロットのサザン分析(Southern、J.Mol.Biol.98、503頁、(1975))、mRNA発現のノーザン分析(クロクゼク(Kroczek)、J.Chromatogr.Biomed.Appl.618(1〜2)(1993)133〜145頁)、蛋白質発現のウェスタン分析、または表現型分析によって達成できる。
幾つかの適用に関しては、当該蛋白質を種々の細胞区画へと方向づけることは有用である。したがって、上記のキメラ遺伝子は、トランジット配列(ケイ・キーグストラ(Keegstra、K.)、Cell56:247〜253頁(1989))、小胞体の局在化をコードするシグナル配列または配列(ジェイ・ジェイ・クリスピールス(Chrispeels、J.J.)、Ann.Rev.Plant Phys.Plant Mol.Biol.42:21〜53(1991))、および/または既に存在している標的配列を除去した核局在化シグナル(エヌ・ライケル(Raikhel、N.)Plant Phys.100:1627〜1632頁(1992))などの適切な細胞内標的配列を有する酵素をコードするためのコード配列を変化させることによって、さらに追加できる。引用文献は、これら各々の例を提供しているが、そのリストは完全ではなく、本発明において有用なさらに多くの利用標的シグナルが将来発見されると考えられる。
蛋白質工学
当該ヌクレオチド類は、増強した活性または変化した活性を有する遺伝子産物を産生するために使用できると考えられる。天然の遺伝子配列を変異させて、変化した活性または増強した活性を有する遺伝子産物を産生する種々の方法が知られており、限定はしないが、エラープローンPCR(メルニコフ(Melnikov)ら、Nucleic Acids Research、(1999年2月15日)27巻、4号、1056〜1062頁);部位特異的変異誘発(クームズ(Cooms)ら、Proteins(1998)、259〜311頁、1プレート。編集者:アンゲレッティ(Angeletti)、ルス・ホーグ(Ruth Hogue)。発行元:カリフォルニア州サンディエゴのアカデミック(Academic))および「遺伝子シャッフリング」(米国特許第5,605,793号;米国特許第5,811,238号;米国特許第5,830,721号;および米国特許第5,837、458号、本明細書に援用されている)が挙げられる。
当該ヌクレオチド類は、増強した活性または変化した活性を有する遺伝子産物を産生するために使用できると考えられる。天然の遺伝子配列を変異させて、変化した活性または増強した活性を有する遺伝子産物を産生する種々の方法が知られており、限定はしないが、エラープローンPCR(メルニコフ(Melnikov)ら、Nucleic Acids Research、(1999年2月15日)27巻、4号、1056〜1062頁);部位特異的変異誘発(クームズ(Cooms)ら、Proteins(1998)、259〜311頁、1プレート。編集者:アンゲレッティ(Angeletti)、ルス・ホーグ(Ruth Hogue)。発行元:カリフォルニア州サンディエゴのアカデミック(Academic))および「遺伝子シャッフリング」(米国特許第5,605,793号;米国特許第5,811,238号;米国特許第5,830,721号;および米国特許第5,837、458号、本明細書に援用されている)が挙げられる。
遺伝子シャッフリング法は、容易に実施でき、変異率が高く、またスクリーニングが容易であることから、特に魅力的である。遺伝子シャッフリング法は、関心対象の遺伝子と類似したDNA領域、または異なってDNA領域双方の追加集団の存在下、関心対象の遺伝子を特定サイズのフラグメントへ制限エンドヌクレアーゼで切断することを含む。このフラグメントプールを次に変性し、再アニールして変異遺伝子を創製する。次に変異遺伝子を変化した活性に関してスクリーニングする。
この方法により、本発明の当該微生物配列は変異し、変化した活性または増強した活性に関してスクリーニングできる。前記配列は、二本鎖であるはずで、50bpから10kb範囲の種々の長さであり得る。前記配列は、当業界でよく知られた制限エンドヌクレアーゼを用いて、約10bpから1000bp範囲のフラグメントへ任意に消化できる(上記マニアチス(Maniatis))。当該微生物配列の他に、この微生物配列の全てまたは一部とハイブリッド形成可能なフラグメントの集団を加えることができる。同様に、当該配列とハイブリッド形成のできないフラグメントの集団も加えることができる。典型的には、これらの追加フラグメント集団は、核酸全体に比して、約10倍から20倍過剰の重量で加えられる。一般に、この方法を用いると、混合物中の種々の特異的核酸フラグメントの数は、約100から約1000となる。任意の核酸フラグメントの混合集団を変性して、一本鎖核酸フラグメントを形成し、次に再アニールする。他の一本鎖核酸フラグメントとの相同性領域を有する一本鎖核酸フラグメントだけが再アニールすることになる。任意の核酸フラグメントは加熱により変性できる。当業者は、二本鎖核酸を完全に変性させるために必要な条件を決定できよう。この温度は、80℃から100℃までが好ましい。前記核酸フラグメントは、冷却によって再アニールできる。この温度は20℃から75℃までが好ましい。復元は、ポリエチレングリコール(「PEG」)または塩の追加によって加速される。好適な塩濃度は、0mMから200mMの範囲であり得る。アニールした核酸フラグメントを次に、核酸ポリメラーゼとdNTP類(すなわち、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)の存在下、インキュベートする。前記核酸ポリメラーゼは、クレノウフラグメント、Taqポリメラーゼまたは当業界で知られた他のいずれのDNAポリメラーゼであってよい。前記ポリメラーゼは、任意の核酸フラグメントへ、アニーリングの前にアニーリングと同時に、またはアニーリング後にに加えることができる。変性、復元およびポリメラーゼ存在下、インキュベートのサイクルは、所望の回数で反復される。このサイクルは、2回から50回反復することが好ましく、この配列は、10回から40回反復することが好ましい。生じた核酸は約50bpから約100kbの範囲のより大型の二本鎖ポリヌクレオチドであり、標準的なクローニングプロトコルおよび発現プロトコルによって発現および変化した活性に関してスクリーニングできる(上記マナティス(Manatis)。
さらに、ハイブリッド蛋白質は、遺伝子シャッフリング(エクソンシャッフリング)法を用いて、機能的ドメインの融合によって組み立てることができる(ニクソン(Nixon)ら、PNAS、94:1069〜1073頁(1997))。当該遺伝子の機能的ドメインは、他の遺伝子の機能的ドメインと組合わせて、所望の触媒機能を有する新規の酵素を創製することができる。ハイブリッド酵素は、PCR重複伸張法を用いて構築し、当業者によく知られた方法を用いて種々の発現ベクター類内へクローン化できる。
好ましい実施形態の記述
ロドコッカス・エリスロポリスAN12株を含有する、源になる環境サンプルを廃水処理施設から得た。1mlの活性スラッジを直接10mlのS12培地に接種した。炭素とエネルギーの単一源としてアニリンを用いた。培養液は、2〜3日毎に、100ppmのアニリンを追加して維持した。培養液を14日毎に希釈した(1:100希釈)。炭素とエネルギーの単一源としてアニリンを利用する細菌を、さらに単離してS12寒天上で精製した。アニリン(5μl)を各培養皿のふたの内側に入れた。
ロドコッカス・エリスロポリスAN12株を含有する、源になる環境サンプルを廃水処理施設から得た。1mlの活性スラッジを直接10mlのS12培地に接種した。炭素とエネルギーの単一源としてアニリンを用いた。培養液は、2〜3日毎に、100ppmのアニリンを追加して維持した。培養液を14日毎に希釈した(1:100希釈)。炭素とエネルギーの単一源としてアニリンを利用する細菌を、さらに単離してS12寒天上で精製した。アニリン(5μl)を各培養皿のふたの内側に入れた。
AN12の16 srRNA遺伝子を配列決定し、遺伝子バンクの配列データベースにおける他の16 srRNA配列と比較すると、AN12株由来の16s rRNA遺伝子配列は、ロドコッカス属に属する高G+Cグラム陽性菌の16s rRNA遺伝子配列と少なくとも98%の類似性を有している。
ロドコッカス・エリスロポリスAN12株のゲノムヌクレオチド配列を単離し、現存するデータベースの遺伝子と比較した。2種の異なった推定フィトエンデヒドロゲナーゼと相同であるORFは2種あった。ORF1の遺伝子をCrtOと称し、他の遺伝子をcrtlと称した。2種の遺伝子は互いにわずかな相同性しかなかった(24%の同一性)。ORF1の配列(配列番号:1)は、デイノコッカス・ラジオデュランスのフィトエンデヒドロゲナーゼと考えられる遺伝子と35%の同一性を有している。元のままのcrtOによるcrtl変異体がフィトエンデヒドロゲナーゼノックアウト表現型を示したことから、CrtOではなくCrtlがデヒドロゲナーゼであると決定された。本発明は、環状カロテノイド類のβ−イオノン環にケトン基を付加し、ケトカロテノイド類を産生するケトラーゼを、crtO(ORF1)がコードすることを示している。
2つのタイプのカロテノイドケトラーゼ類(CrtWタイプとCrtOタイプ)が報告されている(カジワラ(Kajiwara)ら、1995年、Plant Mol.Biol.29:343〜352頁;フェルナンデス−ゴンザレス(Fernandez−Gonzalez)ら、J.Biol.Chem.、1997年、272;9728〜9733頁)。CrtW酵素は全て、対称的な二環性ケトラーゼ類である。本明細書中、AN12およびデイノコッカス属から単離されたCrtOはCrtWと同様に対称的な二環性ケトラーゼ類である。
図2は、文献に報告さた全てのケトラーゼ類の2つの系統樹分析を示している。ケトラーゼ類のCrtWタイプとCrtOタイプとは、明らかに系統樹の異なった分枝に属している。CrtWタイプケトラーゼは、β−カロテンの両方のβ−イオノン環に対称的にケトン基を付加してカンタキサンチンを生成する。CrtOタイプケトラーゼ類は、1種だけ、以前文献に報告されている(フェルナンデス−ゴンザレス(Fernandez−Gonzalez)ら、J.Biol.Chem.、1997年、272;9728〜9733頁)。このCrtOは、シネコシスチス種PCC6803から単離され、β−カロテンの1つのβ−イオノン環にのみケト基を導入し、エキネノンを生成する非対称的に作用するβ−カロテンケトラーゼの新型であることが示された。興味深いことにシネコシスチスCrtO(sir0088)は、細菌のフィトエンデヒドロゲナーゼ類との相同性を有しているが、生化学的にこのような活性を示さなかった。本発明のCrtO遺伝子は、ロドコッカス・エリスロポリスAN12から単離され、アミノ酸532個の長さである。BLASTプログラム(「Basic Local Alignment Search Tool」;エス・エフ・アルトシュルら、(1993)J.Mol.Biol.215:403〜410頁)によって決定されたように、ロドコッカスcrtOに最も類似した配列は、フィトエンデヒドロゲナーゼの機能を有すると推定されるデイノコッカス属から単離されたアミノ酸511個の蛋白質DR0093であった。本出願者は、デイノコッカス属のDR0093の機能性もまたカロテノイドケトラーゼであって、以前報告されたようなフィトエンデヒドロゲナーゼではないことを証明した。
BLAST探索から得られたロドコッカスCrtOに2番目に近い配列は、542個のアミノ酸を有するシネコシスチス属の仮定上の蛋白質(slr0088)であり、これは後にCrtOケトラーゼであることが確認された(フェルナンデス−ゴンザレス(Fernandez−Gonzalez)ら、J.Biol.Chem.、1997年、272;9728〜9733頁)。ロドコッカスのCrtOは、シネコシスチスのCrtOと35%のアミノ酸同一性および64%の類似性を有している。これは、CrtWタイプの酵素とはわずかの配列相同性しか持っていない。系統発生分析によると、ロドコッカスCrtO、デイノコッカスCrtOおよびシネコシスチスCrtOは、共に別の分枝に分類され、全てのCrtW酵素と別である(図2)。ロドコッカスORFのCrtOの指定は、シネコシスチスCrtOとの配列相同性に基づいた。
ロドコッカス、デイノコッカス、シネコシスチスの3種のCrtO酵素によるモチーフ分析を、MEMEプログラム(チモシー・エル・ベイリイ(Timothy L.Bailey)およびチャールズ・エルカン(Charles Elkan)、「Fitting a mixture model by expectation maximization to discover motifs in biopolymers」、Proceedings of the Second International Conference on Intelligent Systems for Molecular Biology、28〜36頁、カリフォルニア州メンロパークのAAAIプレス、1994年)を用いて実施した(図3)。3種のCrtO酵素の各々において、6種の保存モチーフが同定された。比較されたCrtO酵素において、モチーフの位置もまた保存されている。モチーフのコンセンサス配列を用い、MASTプログラム(上記ベイリイとグリブスコフ)を使用して、EMBLデータベースとスイスプロットデータベースを探索した。公共のデータベースにおける他の蛋白質で6種のモチーフ全てを有しているものは見出されいないため、これら3種のモチーフが共に存在することがCrtOケトラーゼ機能に特徴的となる。モチーフ探索に基づいて最も密な関連性を有する蛋白質は数種のフィトエンデヒドロゲナーゼCrtl酵素類であったが、これらは2種または3種のモチーフだけを有していた。6種のモチーフの存在と位置が、カロテノイドケトラーゼ類のCrtOタイプに対する指標であると考えられる。
crtO遺伝子が変異により中断されると元のままのcrtO遺伝子を有する株におけるピンク色に比してCrtO変異体のコロニーは黄色であった。カロテノイド類を変異体コロニーから抽出し、HPLCで分析した(図4)。CrtO変異体コロニーの色素は、元のままのcrtO遺伝子を有するコロニーに存在する主要なピークを欠いていることから、CrtO酵素は、黄色形態のカロテノイドからピンク形態のカロテノイドへの変換に関与していることが示唆される。この発見はさらに、野生型株由来の主要カロテノイドのケト基が化学的に減少すると、色がピンクから黄色に変化したことが示された際に確証された。
CrtO変異体における主要なカロテノイドを精製し、さらに検討した。変異体のCrtO株における主要なカロテノイドの分子量は、MALDI−MSを用いて、536ダルトンと決定された。野生型ATCC47072における主および副カロテノイド(副ピークは、CrtO変異体の主ピークと同一)の分子量は、それぞれ550ダルトンおよび536ダルトンであり、14ダルトンの差は、本来のCrtOによる1個のケト基の付加によることが示唆される。
大腸菌のゲノムは、crt遺伝子を含有せず、したがって、大腸菌細胞抽出物は、βカロテンを基質として利用できるカロテノイドケトラーゼを含有しない。ロドコッカスAN12から単離された完全長のcrtO遺伝子が大腸菌内へクローン化された(実施例7)。大腸菌宿主が、クローン化されたピー・スチュワート(P.stewartii)crtEXYIBクラスタからインビボでβ−カロテンを合成した際、CrtOの発現によりβ−カロテンは、カンタキサンチン(92%)とエキネノン(6%)に変換された。また、インビトロでβ−カロテン化合物を、CrtOを発現した大腸菌の粗細胞抽出物に添加した(実施例8)。2時間と16時間の反応混合物のHPLC分析を実施して、CrtO酵素活性の結果生じた反応中間体ならびに反応産物を同定した。2時間の反応混合物は、ただ1本の追加ピークを含んでいた。この時点では、生成した唯一の中間体はエキネノンであって、カンタキサンチンは検出されなかった。インキュベート時間を長くするとエキネノンの濃度が増加し、次にこれがカンタキサンチンへと変換されたが、これは2個のケトン基の付加を表す最終産物である(表2)。このインビトロアッセイのデータによって、crtOは、ケトラーゼをコードし、これが中間体としてのエキネノン(1個のケトン基を含有)を経由してβ−カロテンをカンタキサンチン(2個のケトン基を含有)へと変換することが立証された。ロドコッカスAN12CrtOの対称的ケトラーゼ活性は、シネコシスチスCrtOの非対称的機能に関し報告されている活性とは異なっている。
デイノコッカス遺伝子DR0093は現在、データベースにおいて恐らくフィトエンデヒドロゲナーゼであるとして、注釈がつけられているが、これはロドコッカスcrtO遺伝子との間に密な相同性を共有している。DR0093が、カロテノイドケトラーゼまたはフィトエンデヒドロゲナーゼをコードするかどうかを決定するために、DR0093の機能を調べた。実施例7に記載されたように、DR0093遺伝子を、本質的に大腸菌において発現させた。大腸菌における異種発現およびインビトロ酵素アッセイ、双方によりデイノコッカスのCrtOは、ロドコッカスのCrtOと同様な様式、すなわち、2個のケトン基がβ−カロテンに付加され、エキネノンを経由して、カンタキサンチンを形成するという様式で作用することが確認され、したがってそのカロテノイドケトラーゼ活性が確証された。
本発明を、以下の実施例においてさらに明確にする。本発明の好ましい実施形態を示すこれらの実施例は、例証によってのみ供されることを理解する必要がある。上記考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特性を確認でき、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の使用法および条件に適合させるために種々の変更と修飾ができる。
一般法
実施例で用いられる標準的な組換えDNA法および分子クロ−ニング法は当業界によく知られており、ジェイ・サンブルック、イー・エフ・フリッシュおよびティー・マニアチス、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press):コールド・スプリング・ハーバー(1989)マニアチス(Maniatis);ティ・ジェイ・シルハービイ(Silhavy、T.J.)、エム・エル・ベナン(Bennan、M.L.)およびエル・ダブリュー・エンキスト(Enquist、L.W.)、「Experiments with Gene Fusions」、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバーのコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、(1984);およびエフ・エム・オースベル(Ausubel、F.M.)ら、「Current Protocols in Molecular Biology」、グリーン・パブリッシング・アソシ・アンド・ワイリイ・インターサイエンスにより出版(1987))によって記載されている。
実施例で用いられる標準的な組換えDNA法および分子クロ−ニング法は当業界によく知られており、ジェイ・サンブルック、イー・エフ・フリッシュおよびティー・マニアチス、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press):コールド・スプリング・ハーバー(1989)マニアチス(Maniatis);ティ・ジェイ・シルハービイ(Silhavy、T.J.)、エム・エル・ベナン(Bennan、M.L.)およびエル・ダブリュー・エンキスト(Enquist、L.W.)、「Experiments with Gene Fusions」、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバーのコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、(1984);およびエフ・エム・オースベル(Ausubel、F.M.)ら、「Current Protocols in Molecular Biology」、グリーン・パブリッシング・アソシ・アンド・ワイリイ・インターサイエンスにより出版(1987))によって記載されている。
細菌培養の維持と増殖に好適な材料と方法は、当業界によく知られている。以下の実施例に使用するために好適な方法は、「Manual of Methods for General Bacteriology」(フィリップ・ゲルハルト(Phillip Gerhardt)、アール・ジー・イー・ムレイ(R.G.E.Murray)、ラルフ・エヌ・コスチロウ(Ralph N.Costilow)、ユージン・ダブリュー・ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリアム・エイ・ウッド(William A.Wood)、ノエル・アール・クリーグ(Noel R.Krieg)、およびジー・ブリッグス・フィリップス(G.Briggs Phillips)、アメリカ微生物学会、ワシントンDC(1994))において、またはトーマス・ディー・ブロック(Thomas D.Brock)、「Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology」、第2版、マサチューセッツ州サンダーランドのSinauer Associates、Inc.(1989)により提示されているものを見ることができる。細菌細胞の増殖と維持のために用いられる全試薬、制限酵素および材料は、他に指定しない限り、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)(ウィスコンシン州ミルウォーキー)、ディフコ・ラボラトリーズ/BDダイアグノスティックス(DIFCO Laboratories/BD Diagnostics)(メリーランド州スパークス)、プロメガ(Promega)(ウィスコンシン州マジソン)、ニューイングランド・バイオラブス(New England Biolabs)(マサチューセッツ州ビベルリイ)、GIBCO/BRLライフ・テクノロジーズ(GIBCO/BRL Life Technologies)(カリフォルニア州カールスバッド)、またはミズーリ州セント・ルイスのシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Company)から入手された。
遺伝子配列の操作は、ジェネティックス・コンピュータ・グループ・インク(Genetics Computer Group Inc.)(ウィスコンシン・パッケージ・バージョン9.0、ウィスコンシン州マジソンのジェネティックス・コンピュータ・グループ(Genetics Computer Group(GCG))から入手できるプログラム一式を用いて達成した。GCGプログラムの「Pileup」では、gap・クリエーション・デフォルト値は12を用いたが、gap伸張デフォルト値は4を用いた。CGCの「Gap」または「Bestfit」プログラムではデフォルト・gap・クリエーション・ペナルティは50を用いていたが、デフォルト・gap・伸張ペナルティは3を用いた。マルチプルアライメントは、スミス・ウォーターマンのアルゴリズム(ダブリュー・アール・ピアソン、Comput.Methods Genome Res.、[Proc.Int.Symp.](1994)、1992年開催、111〜20頁。編集者:スハイ、サンダー。出版元:ニューヨーク州ニューヨークのプレナム)を組み入れたFASTAプログラムを用いて創製された。これらにおいて、または任意の他のプログラムにおいてプログラムパラメータが、プロンプトされていない何れの場合もデフォルト値を用いた。
略語の意味は以下のとおりである:「h」は、hour(s)(時間)を意味し;「min」は、minute(s)(分)を意味し;「sec」は、second(s)(秒)を意味し;「d」は、day(s)(日)を意味し;「ml」はmililliters(ミリリットル)を意味し;「L」は、liters(リットル)を意味する。
実施例1:AN12株の単離と特性評価
実施例1は、炭素とエネルギーの単一源としてのアニリンで増殖できることを基準にしてロドコッカス−エリスロポリスのAN12株の単離を記載する。16S rRNA遺伝子配列の分析により、AN12株はロドコッカス属に属する高G+Cグラム陽性菌に関連することを示した。
実施例1は、炭素とエネルギーの単一源としてのアニリンで増殖できることを基準にしてロドコッカス−エリスロポリスのAN12株の単離を記載する。16S rRNA遺伝子配列の分析により、AN12株はロドコッカス属に属する高G+Cグラム陽性菌に関連することを示した。
アニリンで増殖した細菌を増菌培養から単離した。増菌培養は、125mlのねじ口付きエレンマイヤーフラスコ中、1mlの活性スラッジを、10mlのS12培地(10mM硫酸アンモニウム、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、2mMMgCl2、0.7mMCaCl2、50μMMnCl2、1μMFeCl3,1μMZnCl3、1.72μMCuSO4、2.53μMCoCl2、2.42μMNa2MoO2、および0.0001%FeSO4)中に接種することにより設定した。前記活性スラッジは、廃水処理施設から入手した。増菌培養は、培養培地に直接100ppmのアニリンを加えることにより補足し、往復振盪しながら25℃でインキュベートした。増菌培養は2〜3日毎に100ppmのアニリンを加えて維持された。14日毎に9.9mlの培養液を同量のS12培地で置換することにより、培養液を希釈した。炭素とエネルギーの単一源としてアニリンを利用した細菌を、S12寒天上に増菌培養のサンプルを散布することにより単離した。アニリン(5μl)を各ペトリ皿のふたの内側に入れた。前記ペトリ皿をパラフィンで密封し、上下逆さにして室温(約25℃)でインキュベートした。次に、炭素とエネルギーの単一源としてアニリンを利用する能力について代表的な細菌コロニーを試験した。コロニーを、最初の単離に用いられた元のS12寒天プレートから新たなS12寒天プレートに移し、各ペトリ皿のふたの内側にアニリンを供給した。ペトリ皿をパラフィンで密封し、上下逆さにして室温(約25℃)でインキュベートした。
各単離体の16SrRNA遺伝子をPCRにより増幅し、以下のように分析した。各単離体を、R2A寒天(ディフコ・ラボラトリーズ(Difco Laboratories))上で増殖させた。培養プレートから数個のコロニーを、100μlの水に懸濁した。この混合物を凍結してから一度解凍した。16SrRNA遺伝子配列を、製造元の取扱い説明書(パーキン・エルマー(コネチカット州ノーウォークのPerkin Elmer))に従って、プライマーHK12(5’−GAGTTTGATCCTGGCTCAG−3’)(配列番号:23)およびHK13(5’−TACCTTGTTACGACTT−3’)(配列番号:24)を有する商品キットを用いてPCRにより増幅させた。PCRはパーキン・エルマー・ジーン・アンプ(Perkin Elmer GeneAmp)9600(コネチカット州ノーウォーク)において実施した。このサンプルを94℃で5分間インキュベートし、次いで94℃で30秒間、55℃で1分間、72℃で1分間のサイクルを35回行った。増幅した16SrRNA遺伝子を、製造元の取扱い説明書(キアクイック(QIAquick)PCR精製キット、カリフォルニア州バレンシアのキアゲン(Qiagen))に従ってキット商品を用いて精製し、自動化ABIシーケンサ上で配列決定した。配列決定反応は、プライマーHK12、HK13、およびHK14(5’−GTGCCAGCAGYMGCGGT−3’)(配列番号:25、式中Y=CまたはT、M=AまたはC)により開始した。各単離体の16SrRNA遺伝子配列を、同様の配列に関する遺伝子バンクのBLASTサーチ[アルトシュルら、Nucleic Acids Res.25:3389〜3402頁(1997)]に対するクエリー配列として用いた。
AN12株の16SrRNA遺伝子を配列決定し、遺伝子バンクの配列決定データベースにおける他の16SrRNA配列と比較した。AN12株由来の16SrRNA遺伝子配列は、ロドコッカス属に属する高G+Cグラム陽性菌の16SrRNA遺伝子配列と少なくとも98%類似していた。
実施例2
配列決定用ゲノムDNAの調製および配列生成ゲノムDNAの調製
ロドコッカス−エリスロポリスAN12を、25mlNBYE培地(0.8%栄養ブイヨン、0.5%酵母エキス、0.05%トゥイーン80)中、通気しながら37℃でmid−log phaseまで増殖させた。細菌細胞を4℃で30分間4,000gで遠心分離した。細胞ペレット1M KCl(pH10)を含有する20mlの50mMNa2CO3で、次に20mlの50mMNaOAc(pH5)で1回洗浄した。前記細胞ペレットを5mlの50mMトリス10mM EDTA(pH8)中に静かに再懸濁し、リゾチームを2mg/mLの最終濃度まで加えた。この懸濁液を37℃で2時間インキュベートした。次にドデシル硫酸ナトリウムを1%の最終濃度まで加え、プロティナーゼKを100μg/mlの最終濃度まで加えた。この懸濁液を55℃で5時間インキュベートした。懸濁液は透明となり、透明溶解産物を、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)の同容量で抽出した。17,000gで20分間の遠心分離後、水相を注意深く除去し、新しい管に移した。2倍容量のエタノールを加えると、DNAは封をしたガラスパスツールピペットにより緩やかに巻きついた。このDNAを70%エタノールを含む管に浸してから風乾した。風乾後、DNAをRNaseA(100μg/mL)と共に400μlのTE(10mMトリス1mM EDTA、pH8)に再懸濁し、4℃で保存した。
配列決定用ゲノムDNAの調製および配列生成ゲノムDNAの調製
ロドコッカス−エリスロポリスAN12を、25mlNBYE培地(0.8%栄養ブイヨン、0.5%酵母エキス、0.05%トゥイーン80)中、通気しながら37℃でmid−log phaseまで増殖させた。細菌細胞を4℃で30分間4,000gで遠心分離した。細胞ペレット1M KCl(pH10)を含有する20mlの50mMNa2CO3で、次に20mlの50mMNaOAc(pH5)で1回洗浄した。前記細胞ペレットを5mlの50mMトリス10mM EDTA(pH8)中に静かに再懸濁し、リゾチームを2mg/mLの最終濃度まで加えた。この懸濁液を37℃で2時間インキュベートした。次にドデシル硫酸ナトリウムを1%の最終濃度まで加え、プロティナーゼKを100μg/mlの最終濃度まで加えた。この懸濁液を55℃で5時間インキュベートした。懸濁液は透明となり、透明溶解産物を、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)の同容量で抽出した。17,000gで20分間の遠心分離後、水相を注意深く除去し、新しい管に移した。2倍容量のエタノールを加えると、DNAは封をしたガラスパスツールピペットにより緩やかに巻きついた。このDNAを70%エタノールを含む管に浸してから風乾した。風乾後、DNAをRNaseA(100μg/mL)と共に400μlのTE(10mMトリス1mM EDTA、pH8)に再懸濁し、4℃で保存した。
ライブラリ構築
200μgから500μgの染色体DNAを、300mM酢酸ナトリウム、10mMトリスHCl、1mM Na−EDTAおよび30%グリセロールの溶液に再懸濁し、エアロミスト・ダウンドラフト、ネビュライザ・チャンバ(Aeromist Downdraft Nebulizer chamber)(イリノイ州シカゴのIBIメディカル・プロダクツ(IBI Medical products))中、12psiで60秒間剪断した。DNAが沈殿し、再懸濁してBal31ヌクレアーゼ(マサチューセッツ州ビベルリイのニューイングランド・バイオラブス)で処理した。0.8%アガロースゲル電気泳動によりサイズ分画後、フラクション(2.0kbまたは5.0kb)を切除し、清浄し、2ステップ連結法を用いて99%単一挿入体を超える高力価ライブラリを生産した。
200μgから500μgの染色体DNAを、300mM酢酸ナトリウム、10mMトリスHCl、1mM Na−EDTAおよび30%グリセロールの溶液に再懸濁し、エアロミスト・ダウンドラフト、ネビュライザ・チャンバ(Aeromist Downdraft Nebulizer chamber)(イリノイ州シカゴのIBIメディカル・プロダクツ(IBI Medical products))中、12psiで60秒間剪断した。DNAが沈殿し、再懸濁してBal31ヌクレアーゼ(マサチューセッツ州ビベルリイのニューイングランド・バイオラブス)で処理した。0.8%アガロースゲル電気泳動によりサイズ分画後、フラクション(2.0kbまたは5.0kb)を切除し、清浄し、2ステップ連結法を用いて99%単一挿入体を超える高力価ライブラリを生産した。
配列決定
微生物ゲノム全体の配列決定のためにショットガン配列決定戦略法を採用した(ロバート・フライシュマン(Robert Fleischmann)ら、「Whole−Genome Random sequencing and assembly of Haemophilus influenzae Rd」、Science、269:1995年)。
微生物ゲノム全体の配列決定のためにショットガン配列決定戦略法を採用した(ロバート・フライシュマン(Robert Fleischmann)ら、「Whole−Genome Random sequencing and assembly of Haemophilus influenzae Rd」、Science、269:1995年)。
配列は、ベクターおよび挿入特異的プライマーの組合わせを用いてダイターミネータ法(米国特許第5366860号;EP272007号)を用いてABI自動シーケンサで生成した。配列編集は、DNAスター(DNA Star)(ウィスコンシン州マジソンのDNAスター・インク(DNA Star Inc.)またはウィスコンシンGCGプログラム(ウィスコンシン州マジソンのウィスコンシン・パッケージ・バージョン(Wisconsin Package Version)9.0、ジェネティックス・コンピュータ・グループGenetics Computer Group(GCG))、およびコンセド・パッケージ(CONSED package)(バージョン7.0)のいずれかで実施した。すべての配列は、双方向において少なくとも2回のカバー率を表す。
実施例3:ロドコッカスAN12CrtOの配列分析
2種の異なるフィトエンデヒドロゲナーゼに対し相同性を有する2種のORFが、ロドコッカス−エリスロポリスAN12のゲノム配列中に同定された。1種のORFはCrtlと称され、ストレプトマイセス・コエリコロール(Streptomyces coelicolor)A3(2)由来の推定フィトエンデヒドロゲナーゼに対し最も高い相同性(45%同一性、56%類似性)を有した。他のORF(元来Crtl2と称されたが、現在ではCrtOと称される)は、フィトエンデヒドロゲナーゼであると思われるデイノコッカス−ラジオデュランス由来のDR0093に対し最も高い相同性(35%同一性、50%類似性;オー・ホワイト(White、O.)ら、Science286(5444)、1571〜1577(1999))を有した。
2種の異なるフィトエンデヒドロゲナーゼに対し相同性を有する2種のORFが、ロドコッカス−エリスロポリスAN12のゲノム配列中に同定された。1種のORFはCrtlと称され、ストレプトマイセス・コエリコロール(Streptomyces coelicolor)A3(2)由来の推定フィトエンデヒドロゲナーゼに対し最も高い相同性(45%同一性、56%類似性)を有した。他のORF(元来Crtl2と称されたが、現在ではCrtOと称される)は、フィトエンデヒドロゲナーゼであると思われるデイノコッカス−ラジオデュランス由来のDR0093に対し最も高い相同性(35%同一性、50%類似性;オー・ホワイト(White、O.)ら、Science286(5444)、1571〜1577(1999))を有した。
AN12のCrtlとCrtOとは、互いにほとんど相同性を共有しなかった(FADドメインに含有する分子の257個のアミノ酸長N末端半部において24%の同一性と36%の類似性;膜貫通基質結合ドメインを含有する分子のC末端半部には相同性が無い)。無傷のCrtOによるCrtl変異体がフィトエンデヒドロゲナーゼのノックアウト表現型を示したことから、CrtOは、重複性のフィトエンデヒドロゲナーゼではなかった。
下記に示したデータは、CrtO遺伝子が、ケトン基を環状カロテノイド類のβ−イオノン環に付加するケトラーゼをコードしてケトカロテノイドを産生することを確証している。
2つのタイプのカロテノイドケトラーゼ(CrtWタイプとCrtOタイプ)が報告されている。図2は、文献に報告された全てのケトラーゼ類の系統樹分析を示す。ケトラーゼ類のCrtWタイプとCrtOタイプは、明らかに前記系統樹の2つの異なる分枝に属する。ケトラーゼ類のCrtWタイプは、β−カロテンの2つのβ−イオノン環に対称的にケトン基を付加してカンタキサンチンを生成する。これらは、細菌源由来の4種の酵素を含む1群と、藻類から単離された2種の酵素を含む1群との2つの亜群クラスターである。細菌のCrtWは、242個または258個のアミノ酸を有する。藻類のCrtWは320個または329個のアミノ酸を有する。CrtW酵素の細菌群と藻類群は、互いに相同的である。他の1種のケトラーゼのみが、文献に報告されている(フェルナンデス−ゴンザレス(Fernandez−Gonzalez)ら、J.Biol.Chem.(1997)272;9728頁)。このCrtOは、シネコシスチス種PCC6803から単離され、β−カロテンのβ−イオノン環に1つだけのケトン基を導入してエキネノンを生成する、非対称的に作用するβ−カロテンケトラーゼであることが示されている。それは、CrtW酵素よりもかなり大きく542個のアミノ酸を有しており、CrtW酵素のいずれにも相同性を有しない。シネコシスチスCrtO(slr0088)はまた、細菌のフィトエンデヒドロゲナーゼとも類似しているが、実験的にこのような活性を示さないことは興味深い。ロドコッカス−エリスロポリスAN12から同定されたCrtOは、長さが532個のアミノ酸である。BLAST演算サーチまたは公共のデータベースを用いて同定されたこの配列に最も近い相同性は、フィトエンデヒドロゲナーゼとして推定して同定された、511個のアミノ酸のデイノコッカス遺伝子(DR0093)に対してであった。デイノコッカスのDR0093の機能はまた、本出願書においてカロテノイドケトラーゼであることが証明された。
BLASTサーチの結果から2番目に高い相同性は、CrtOケトラーゼとして確証されたシネコシスチスの仮定的蛋白質に対してであった(フェルナンデス−ゴンザレス(Fernandez−Gonzalez)ら、J.Biol.Chem.(1997)272;9728頁)。ロドコッカス由来のCrtOは、シネコシスチス由来のCrtOと33%のアミノ酸同一性と64%の類似性を有する。シネコシスチスCrtOと同様に、それはまた、CrtWタイプの酵素に対して配列類似性をわずかしか共有していない。系統的分析(図2)により、ロドコッカスCrtO、デイノコッカスCrtO、およびシネコシスチスCrtOはともに全てのCrtW酵素とは別の分枝に分類された。ロドコッカスORFのCrtOの指定は、シネコシスチスCrtOと共有する配列相同性に基づいた。
モチーフ分析は、ロドコッカス、デイノコッカスまたはシネコシスチス由来の3種のCrtO酵素によるMEMEプログラムを用いてなされた(図3)。6種の保存モチーフが、各々3種のCrtO酵素の各々に同定された。このモチーフのうち4種は、蛋白質のアミノ末端半部に位置しており、2種は蛋白質のカルボキシル末端に近接していた。モチーフの位置はまた、3種のCrtO酵素において保存されている。CrtO酵素に共通の6種のモチーフは、CrtW酵素には見出すことができず、逆にCrtW酵素のアライメントにおいて以前に同定された4つの保存領域(カジワラ(Kajiwara)ら、1995年、Plant Mol.Biol.29:343〜352頁)は、CrtO酵素に存在しない。さらにモチーフ分析により、CrtO酵素とCrtW酵素は、それらの機能は類似しているかもしれないが、配列レベルにおいては相同ではないという知見が支持される。
モチーフのアライメントによって生成されたコンセンサス配列を、MASTプログラム(上記ベイリイおよびグリブスコフ)を用いてEMBLおよびスイスプロットデータベースを探索するために用いた。データベースにおける他の蛋白質で、3種のCrtO酵素のように6種全てのモチーフを有しているものはない。MASTからのもので最高に合っていたものは、2種または3種のモチーフのみを有した数種のフィトエンデヒドロゲナーゼCrtl酵素であった。6種のモチーフの存在と位置は、CrtOタイプのカロテノイドケトラーゼの指標と考えられる。
実施例4:ロドコッカスCrtOの変異体におけるカロテノイド色素の分析
ロドコッカスCrtOの中断変異体は、ATCC47072における相同的組換えによって生成した。PCRプライマーAN12_12_F(5’−CCATGGTCTGCGCACCTCATGATCCGA−3’:配列番号:13)およびAN12_12_R(5’−CCATGGAATGAAGCGGTCGAGGACGGA−3’:配列番号:14)が、AN12 crtO配列に基づいてデザインされ、N末端において275bpを切断し、C末端において173bpを切断したATCC47072由来の1151bp crtO内部フラグメントを増幅させるために用いられた。ATCC47072から増幅されたcrtOの同一性は、配列決定により確かめられ、ロドコッカスAN12 crtOに対してDNAレベルで95%の同一性を示した。crtOフラグメントを、最初にpCR2.1 TOPOベクター(カリフォルニア州カールスバッドのインビトロゲン(Invitrogen))にクローン化した。このTOPOクローンを次に、Ncol(プライマー配列における下線のNcol制限部位)により消化し、TOPOクローンの内部crtOフラグメントを、引続きpBR328のNcol部位にクローン化した。生じた構築物を、配列決定により確認し、pDCQ102と名付けた。pDCQ102のおおよそ1μgDNAを、エレクトロポレーションによりロドコッカスATCC47072に導入し、10μg/mlテトラサイクリンと共にNBYEプレート上に延ばした。pBR328ベクターは、ロドコッカスにおいて複製されない。30℃での3〜4日のインキュベート後に得られたテトラサイクリン耐性形質転換体が、染色体組込みにより生成された。ATCC47072染色体上の標的crtO遺伝子への組込みはPCRによって確認された。遺伝子特異的プライマー(pDCQ102上の挿入体の外側)12_OP5(5’−ACCTGAGGTGTTCGACGAGGACAACCGA−3’:配列番号:17)および12_OP3(5’−GTTGCACAGTGGTCATCGTGCCAGCCGT−3’:配列番号:18)と対合したベクター特異的プライマーPBR3(5’−AGCGGCATCAGCACCTTG−3’:配列番号:15)とPBR5(5’−GCCAATATGGACAACTTCTTC−3’:配列番号:16)が、テンプレートとしてテトラサイクリン耐性形質転換体から調製された染色体DNAを用いてPCR用に使用された。予想されたサイズのPCRフラグメントが、テトラサイクリン耐性形質転換体から増幅されたが、野生型ATCC 47072からはPCR産物が得られなかった。2種の遺伝子特異的プライマーを用いた場合、大型ベクターDNAの挿入のため、テトラサイクリン耐性形質転換体によるPCRフラグメントは得られなかった。ベクター特異的プライマー類および遺伝子特異的プライマー類により得られたPCRフラグメントを配列決定した。ベクターとcrtO遺伝子とを接合させる配列分析により、単一交差組換え事象が予想部位に生じ、標的のcrtO遺伝子を中断していることを確認した。
ロドコッカスCrtOの中断変異体は、ATCC47072における相同的組換えによって生成した。PCRプライマーAN12_12_F(5’−CCATGGTCTGCGCACCTCATGATCCGA−3’:配列番号:13)およびAN12_12_R(5’−CCATGGAATGAAGCGGTCGAGGACGGA−3’:配列番号:14)が、AN12 crtO配列に基づいてデザインされ、N末端において275bpを切断し、C末端において173bpを切断したATCC47072由来の1151bp crtO内部フラグメントを増幅させるために用いられた。ATCC47072から増幅されたcrtOの同一性は、配列決定により確かめられ、ロドコッカスAN12 crtOに対してDNAレベルで95%の同一性を示した。crtOフラグメントを、最初にpCR2.1 TOPOベクター(カリフォルニア州カールスバッドのインビトロゲン(Invitrogen))にクローン化した。このTOPOクローンを次に、Ncol(プライマー配列における下線のNcol制限部位)により消化し、TOPOクローンの内部crtOフラグメントを、引続きpBR328のNcol部位にクローン化した。生じた構築物を、配列決定により確認し、pDCQ102と名付けた。pDCQ102のおおよそ1μgDNAを、エレクトロポレーションによりロドコッカスATCC47072に導入し、10μg/mlテトラサイクリンと共にNBYEプレート上に延ばした。pBR328ベクターは、ロドコッカスにおいて複製されない。30℃での3〜4日のインキュベート後に得られたテトラサイクリン耐性形質転換体が、染色体組込みにより生成された。ATCC47072染色体上の標的crtO遺伝子への組込みはPCRによって確認された。遺伝子特異的プライマー(pDCQ102上の挿入体の外側)12_OP5(5’−ACCTGAGGTGTTCGACGAGGACAACCGA−3’:配列番号:17)および12_OP3(5’−GTTGCACAGTGGTCATCGTGCCAGCCGT−3’:配列番号:18)と対合したベクター特異的プライマーPBR3(5’−AGCGGCATCAGCACCTTG−3’:配列番号:15)とPBR5(5’−GCCAATATGGACAACTTCTTC−3’:配列番号:16)が、テンプレートとしてテトラサイクリン耐性形質転換体から調製された染色体DNAを用いてPCR用に使用された。予想されたサイズのPCRフラグメントが、テトラサイクリン耐性形質転換体から増幅されたが、野生型ATCC 47072からはPCR産物が得られなかった。2種の遺伝子特異的プライマーを用いた場合、大型ベクターDNAの挿入のため、テトラサイクリン耐性形質転換体によるPCRフラグメントは得られなかった。ベクター特異的プライマー類および遺伝子特異的プライマー類により得られたPCRフラグメントを配列決定した。ベクターとcrtO遺伝子とを接合させる配列分析により、単一交差組換え事象が予想部位に生じ、標的のcrtO遺伝子を中断していることを確認した。
CrtO変異体のコロニーは、その野生型株に見られるピンク色と比較して黄色であるので、種々のカロテノイド色素がCrtO変異体で産生されたことが示唆された。CrtO変異体株からカロテノイド類を抽出するために、NBYE(0.8%栄養ブイヨン+0.5%酵母エキス)中の100mlの細胞培養液を定常期まで振とうしながら26℃で一晩増殖させた。4000gで15分間、細胞を振り落とし、細胞ペレットを10mlアセトンに再懸濁した。室温で1時間一定に振とうさせてカロテノイド類をアセトンに抽出した。細胞を振り落として、上澄液を採取した。抽出をもう一度繰り返し、両抽出物の上澄液を合わせて窒素下で乾燥した。乾燥物質を0.5mlメタノールに再度溶解し、不溶物を、エッペンドルフ・ミクロ遠心機5415Cにより16,000gで2分間、遠心分離により除去した。0.2mlのサンプルをHPLC分析用に用いた。ベックマン・ゴールド・ヌーボー・ソフトウェア(Beckman Gold Nouveau Software)付属のベックマン・システム・ゴールド(Beckman System Gold(登録商標))HPLC(メリーランド州コロンビア)がこの試験に用いられた。0.1mlの粗アセトン抽出液を、対応するガードカラム付きの125×4mmRP8(5μm粒子)カラム(カリフォルニア州サンフェルナンドのヒューレット・パッカード(Hewlett−Packard))上に乗せた。この流速は1ml/分であり、溶媒プログラムは、0〜11.5分の直線勾配の40%水/60%メタノールから100%メタノール、11.5〜20分の100%メタノール、20〜30分の40%水/60%メタノールであった。スペクトルデータは、ベックマン・フォトダイオード・アレイ検出器(168モデル)を用いて採取した。
HPLC分析により、CrtO変異体は、野生型株の主カロテノイドピークを欠いていることが示された。CrtO変異体において観察された主ピークは、435nm、458nmおよび486nmの吸収極大を有し、溶出時間が15.6分であり、これは、野生型株の副ピークの特徴と一致する(図4)。これらの結果により、CrtO変異体は、野生型株と比較して異なるカロテノイド類を産生することが確証された。
実施例5
野生型ロドコッカスATCC47072由来のケトカロテノイドの立証
実施例5は、単環性および二環性カロテノイド類からのケトカロテノイド類産生に関する生化学的証拠を提供する。
野生型ロドコッカスATCC47072由来のケトカロテノイドの立証
実施例5は、単環性および二環性カロテノイド類からのケトカロテノイド類産生に関する生化学的証拠を提供する。
カロテノイド類上の特定の官能基に対する幾つかの試験は、分光光度計のキュベット中で便宜上実施でき、スペクトル中の特徴的変化をモニターできる。例えば、NaBH4による還元が、カロテノイド中のアルデヒド基またはケトン基の存在を判定するために用いることができる。共役カルボニル基の対応するアルコールへの還元は、浅色移動(短波長へ)となり、スペクトルピークの微細構造を増加させる。
野生型ロドコッカス属の主カロテノイドの丸み形吸収(465nm)により共役カルボニル官能基の存在が示された。この知見に基づき、野生型ATCC47072から産生した10μgのカロテノイド類に1mgのNaBH4の添加により化学的還元を実施した。カロテノイドの色がピンクから黄色に2分間で変化したことから、カロテノイド中にケトン基の存在がさらに示唆された。黄色還元産物を、HPLCにより分析すると、主ピークスペクトルが、丸み形465nm(%III/IIは0)から野生型株の副ピークスペクトルと同じの微細構造(435nm、458nm、486nm、%III/IIは0.42)へと浅色移動することが示された。しかし、これは、野生型株の副ピーク(15.6分)よりも早い14.4分で溶出したことから、この還元化合物は、野生型株における副ピークの化合物よりも極性であることを示唆した。このことは、野生型株の主要カロテノイド中にケトン基が存在し、これがNaBH4還元時に水酸基に還元されたことと矛盾しない。水酸基を有する還元化合物は、ケトン基または水酸基のない同様の野生型副化合物よりも極性であった。
実施例6
ロドコッカスCrtO変異体における主要カロテノイドの分子量測定
ロドコッカスCrtO変異体における主要カロテノイドを精製し、分子量を測定した。CrtO変異体を、NBYE(0.8%栄養ブイヨン+0.5%酵母エキス)中100mlを定常期まで振とうしながら26℃で一晩増殖させた。4000gで15分間、細胞を振り落とした。カロテノイド類を細胞ペレットからメタノールに抽出し、メタノール中5%KOHにより室温で、一晩けん化した。けん化後、大部分のカロテノイドをヘキサンに抽出した。抽出サンプルを、最初にシリカゲルカラムを通して中性脂質から分離した。カラム(1.5cm×20cm)に、シリカゲル60(粒径0.040〜0.063mm、ニュージャージー州ギッブスタウンのEMサイエンス(EM Science))を詰めて、ヘキサンで洗浄した。カロテノイドサンプルを充填し、95%ヘキサン+5%アセトンで洗浄し、80%ヘキサン+20%アセトンを用いて溶出した。溶出したカロテノイド類を、逆相C18薄層クロマトグラフィ(TLC)プレート(ニュージャージー州フィリップスバーグのジェイ・ティー・ベーカー(J.T.Baker))上、移動相として80%アセトニトリル+20%アセトンによりさらに分離した。主カロテノイドバンド(Rf0.5)を切除してアセトンで溶出した。ATCC47072CrtO変異体の精製カロテノイドの分子量(MW)を、MALDI−MSにより測定すると、536ダルトン(ナトリウム体では559ダルトン)であった。これは、APCI(大気圧の化学的イオン化)でのLC−MSによっても確認され、プロトン化化合物の分子量が537ダルトンであることを示した。野生型ATCC47072における主および副カロテノイドの分子量は、それぞれ550ダルトンおよび536ダルトンであることが以前に決定された(米国仮特許出願第60/285、910号、本明細書に援用されている)。スペクトル分析の微細構造により、550ダルトンの主カロテノイドは、共役ケトン基を有しており、536ダルトンの副カロテノイドは、共役ケトン基を欠いていることを示唆した。14ダルトンの差は、主カロテノイドにおける恐らく1個のケトン基の付加(CH2からCO、Oの付加と2Hの除去)によるものと思われる。CrtO変異体におけるカロテノイドは、分子量の合致、HPLC分離およびスペクトルデータ(実施例4)から示唆されるように、野生型株における副カロテノイドと同じ構造を有していると思われる。CrtOは、ケトン基を導入するカロテノイドケトラーゼをコードしてケト−カロテノイドを産生する可能性がある。ケトン基の付加は、CrtO変異体では妨害された。
ロドコッカスCrtO変異体における主要カロテノイドの分子量測定
ロドコッカスCrtO変異体における主要カロテノイドを精製し、分子量を測定した。CrtO変異体を、NBYE(0.8%栄養ブイヨン+0.5%酵母エキス)中100mlを定常期まで振とうしながら26℃で一晩増殖させた。4000gで15分間、細胞を振り落とした。カロテノイド類を細胞ペレットからメタノールに抽出し、メタノール中5%KOHにより室温で、一晩けん化した。けん化後、大部分のカロテノイドをヘキサンに抽出した。抽出サンプルを、最初にシリカゲルカラムを通して中性脂質から分離した。カラム(1.5cm×20cm)に、シリカゲル60(粒径0.040〜0.063mm、ニュージャージー州ギッブスタウンのEMサイエンス(EM Science))を詰めて、ヘキサンで洗浄した。カロテノイドサンプルを充填し、95%ヘキサン+5%アセトンで洗浄し、80%ヘキサン+20%アセトンを用いて溶出した。溶出したカロテノイド類を、逆相C18薄層クロマトグラフィ(TLC)プレート(ニュージャージー州フィリップスバーグのジェイ・ティー・ベーカー(J.T.Baker))上、移動相として80%アセトニトリル+20%アセトンによりさらに分離した。主カロテノイドバンド(Rf0.5)を切除してアセトンで溶出した。ATCC47072CrtO変異体の精製カロテノイドの分子量(MW)を、MALDI−MSにより測定すると、536ダルトン(ナトリウム体では559ダルトン)であった。これは、APCI(大気圧の化学的イオン化)でのLC−MSによっても確認され、プロトン化化合物の分子量が537ダルトンであることを示した。野生型ATCC47072における主および副カロテノイドの分子量は、それぞれ550ダルトンおよび536ダルトンであることが以前に決定された(米国仮特許出願第60/285、910号、本明細書に援用されている)。スペクトル分析の微細構造により、550ダルトンの主カロテノイドは、共役ケトン基を有しており、536ダルトンの副カロテノイドは、共役ケトン基を欠いていることを示唆した。14ダルトンの差は、主カロテノイドにおける恐らく1個のケトン基の付加(CH2からCO、Oの付加と2Hの除去)によるものと思われる。CrtO変異体におけるカロテノイドは、分子量の合致、HPLC分離およびスペクトルデータ(実施例4)から示唆されるように、野生型株における副カロテノイドと同じ構造を有していると思われる。CrtOは、ケトン基を導入するカロテノイドケトラーゼをコードしてケト−カロテノイドを産生する可能性がある。ケトン基の付加は、CrtO変異体では妨害された。
実施例7
ロドコッカスCrtOの異種性発現による大腸菌におけるケトカロテノイドの合成
β−カロテンを産生する大腸菌MG1655株を、ロドコッカスcrtO遺伝子の発現宿主として用いた。この大腸菌株は、ピー・スチュワート(P.stewartii)由来のcrtEXYIBクラスタをクローン化することにより構築された。crtEXYIBクラスタを、以下の方法によりパントエ・スチュワート(Pantoea stewartii)(ATCC8199)から増幅した。プライマーは、エルヴィニア・ウレドボラ(Erwinia uredovora)の配列を用いてデザインし、PCRによってcrt遺伝子を含有するフラグメントを増幅した。これらの配列は:
5’−ATGACGGTCTGCGCAAAAAAACACG−3’(配列番号:44)
5’−GAGAAATTATGTTGTGGATTTGGAATGC−3’(配列番号:45)を含んだ。
ロドコッカスCrtOの異種性発現による大腸菌におけるケトカロテノイドの合成
β−カロテンを産生する大腸菌MG1655株を、ロドコッカスcrtO遺伝子の発現宿主として用いた。この大腸菌株は、ピー・スチュワート(P.stewartii)由来のcrtEXYIBクラスタをクローン化することにより構築された。crtEXYIBクラスタを、以下の方法によりパントエ・スチュワート(Pantoea stewartii)(ATCC8199)から増幅した。プライマーは、エルヴィニア・ウレドボラ(Erwinia uredovora)の配列を用いてデザインし、PCRによってcrt遺伝子を含有するフラグメントを増幅した。これらの配列は:
5’−ATGACGGTCTGCGCAAAAAAACACG−3’(配列番号:44)
5’−GAGAAATTATGTTGTGGATTTGGAATGC−3’(配列番号:45)を含んだ。
染色体DNAは、パントエ・スチュワート(Pantoea.stewartii))(ATCC番号8199)から精製し、Pfuターボ(Turbo)ポリメラーゼ(カリフォルニア州ラ・ホヤのストラタジーン(Stratagene))を以下の条件(94℃、5分;94℃(1分)−60℃(1分)−72℃(10分)を25サイクル、および72℃で10分間)でPCR増幅反応に用いた。6.3kbの単一産物が、ゲル電気泳動後に観察された。Taqポリメラーゼ(パーキン・エルマー)を72℃で10分間の反応に用いて、pCR4−TOPO(カリフォルニア州カールスバッドのインビトロゲン(Invitrogen))にクローニングするTOPO用フラグメントに3’アデノシンヌクレオチドをさらに加えた。エレクトロポレーションによる大腸菌(EcoRI)DH5α(メリーランド州ロックビレのライフ・テクノロジーズ(Life Technologies))への形質転換後、カロテノイド化合物を産生していること示す鮮やかな黄色の数個のコロニーが出現した。crt遺伝子クラスタ(crtEXYIB)を含有する6.3kbの大腸菌フラグメントを、広範囲宿主ベクターpBHR1(フロリダ州マーコアイランドのモビテック(MoBiTec)、LLC)にクローン化して、pBHR−crt1を形成した。野生型crtEXYIB遺伝子クラスタを含有するpBHR−crt1を有する大腸菌株は、β−カロテンを産生した。pBHR1ベクター上のクロラムフェニコール耐性遺伝子プロモータが、crt遺伝子の機能発現を指令したと思われる。ロドコッカスcrtO遺伝子をプライマー:12−N:
ATGAGCGCATTTCTCGACGCC(配列番号:46)および12−C:
TCACGACCTGCTCGAACGAC(配列番号:47)
を用いてR.エリスロポリスAN12から増幅させた。増殖させた1.6kbのPCR産物をpTrcHis2−TOPO発現ベクターにクローン化した正しい方向の2種のクローン(pDCQ117#3および#9)を、β−カロテンを合成した大腸菌株MG1655(pBHR−crt1)に形質転換した。β−カロテンを合成した大腸菌コロニーは黄色であった。pDCQ117で形質転換された大腸菌株MG1655(pBHR−crt1)は橙色となり、宿主株におけるβ−カロテンが新規なカロテノイド(類)に変換されたことを示した。
ATGAGCGCATTTCTCGACGCC(配列番号:46)および12−C:
TCACGACCTGCTCGAACGAC(配列番号:47)
を用いてR.エリスロポリスAN12から増幅させた。増殖させた1.6kbのPCR産物をpTrcHis2−TOPO発現ベクターにクローン化した正しい方向の2種のクローン(pDCQ117#3および#9)を、β−カロテンを合成した大腸菌株MG1655(pBHR−crt1)に形質転換した。β−カロテンを合成した大腸菌コロニーは黄色であった。pDCQ117で形質転換された大腸菌株MG1655(pBHR−crt1)は橙色となり、宿主株におけるβ−カロテンが新規なカロテノイド(類)に変換されたことを示した。
両方の形質転換体からの色素を、実施例4に記載された方法を用いてHPLCにより分析すると、図5と同じプロフィルを示した。92%の色素を含んでなる主ピークは、13.8分で溶出し、λmax=475nmの丸み形スペクトルを有した。これは、シグマから購入したカンタキサンチンの標準品と一致する。6%の色素を含んでなる副ピークは、14.8分で溶出し、λmax=465nmの丸み形スペクトルを有した。これは、1個のケト基だけが付加された中間体、エキネノンに関して報告されたものと類似している。大腸菌におけるケトカロテノイド類の合成により、ロドコッカスcrtOが大腸菌において機能的であるカロテノイドケトラーゼをコードすることを立証した。
実施例8
ロドコッカスCrtOのケトラーゼ活性に関するインビトロアッセイ
さらに、crtOがケトラーゼをコードしているかどうかを確認するために、我々は、インビトロのケトラーゼ活性の存在についてpDCQ117を含有する大腸菌の抽出細胞物をアッセイした。インビトロ酵素アッセイを、crtOを発現する大腸菌TOP10(pDCQ117)の粗製細胞抽出液を用いて実施した。100μg/mlのアンピシリンを含有する100mlのLB培地に、一晩培養した新鮮なTOP10(pDCQ117)細胞1mlを接種した。細胞は、OD600が0.6に到達するまで300rpmで振とうしながら37℃で増殖させた。次に、細胞を、0.1mMのIPTGで誘導して、さらに3時間増殖を続けた。遠心分離(4000g、15分)によって50mlの培養液から収穫した細胞ペレットを凍結し、一度解凍し、0.25%のトリトンX−100を含有する2mlの氷冷50mMトリスHCl(pH7.5)に再懸濁した。50μlのアセトン中の10μgのβ−カロテン基質(スペクトラム・ラボラトリー・プロダクツ・インク(Spectrum Laboratory Products Inc.))を、前記懸濁液に加え、ピペッティングにより混合した。混合液を2本の管に分配して、250mgのジルコニア/シリカビーズ(0.1mm、オクラホマ州バートレスビレのバイオスペック・プロダクツ・インク(BioSpec Products、Inc.))を各管に加えた。2分間ビーズでたたくことにより細胞を破壊し、細胞の破片を、エッペンドルフ・ミクロ遠心機5414C中10,000rpmで2分間回転することにより除去した。合わせた上澄液(2ml)を50mlフラスコ中、3mlの50mMトリスpH7.5緩衝液で希釈し、反応混合物を、種々の時間、150rpmで振とうしながら30℃でインキュベートした。反応を5mlメタノールを添加することにより中止し、5mlジエチルエーテルで抽出した。500mgのNaClを加えて抽出のために2相を分離した。上相のジエチルエーテル相のカロテノイド類を採取し、窒素下乾燥した。カロテノイド類を0.5mlのメタノールに再度溶解し、0.1mlを、実施例4に記載されたHPLC分析用に用いた。
ロドコッカスCrtOのケトラーゼ活性に関するインビトロアッセイ
さらに、crtOがケトラーゼをコードしているかどうかを確認するために、我々は、インビトロのケトラーゼ活性の存在についてpDCQ117を含有する大腸菌の抽出細胞物をアッセイした。インビトロ酵素アッセイを、crtOを発現する大腸菌TOP10(pDCQ117)の粗製細胞抽出液を用いて実施した。100μg/mlのアンピシリンを含有する100mlのLB培地に、一晩培養した新鮮なTOP10(pDCQ117)細胞1mlを接種した。細胞は、OD600が0.6に到達するまで300rpmで振とうしながら37℃で増殖させた。次に、細胞を、0.1mMのIPTGで誘導して、さらに3時間増殖を続けた。遠心分離(4000g、15分)によって50mlの培養液から収穫した細胞ペレットを凍結し、一度解凍し、0.25%のトリトンX−100を含有する2mlの氷冷50mMトリスHCl(pH7.5)に再懸濁した。50μlのアセトン中の10μgのβ−カロテン基質(スペクトラム・ラボラトリー・プロダクツ・インク(Spectrum Laboratory Products Inc.))を、前記懸濁液に加え、ピペッティングにより混合した。混合液を2本の管に分配して、250mgのジルコニア/シリカビーズ(0.1mm、オクラホマ州バートレスビレのバイオスペック・プロダクツ・インク(BioSpec Products、Inc.))を各管に加えた。2分間ビーズでたたくことにより細胞を破壊し、細胞の破片を、エッペンドルフ・ミクロ遠心機5414C中10,000rpmで2分間回転することにより除去した。合わせた上澄液(2ml)を50mlフラスコ中、3mlの50mMトリスpH7.5緩衝液で希釈し、反応混合物を、種々の時間、150rpmで振とうしながら30℃でインキュベートした。反応を5mlメタノールを添加することにより中止し、5mlジエチルエーテルで抽出した。500mgのNaClを加えて抽出のために2相を分離した。上相のジエチルエーテル相のカロテノイド類を採取し、窒素下乾燥した。カロテノイド類を0.5mlのメタノールに再度溶解し、0.1mlを、実施例4に記載されたHPLC分析用に用いた。
2時間反応と16時間反応のHPLC分析を図6に示す。16時間反応混合物の470nmにおける3本のピークを同定した。標品と比較して、保持時間15.8分のピークは、β−カロテンであり、保持時間13.8分のピークは、カンタキサンチンであることが決定された。14.8分のピークは、1個のケトン基だけが付加された中間体のエキネノンである可能性が高い。2時間の反応混合物においては、エキネノン中間体が、唯一の反応物であり、カンタキサンチンは産生しなかった。インキュベート時間がより長いとエキネノンがより高濃度となり、カンタキサンチンに相当するピークが出現した。カンタキサンチンは、2個のケトン基の付加を表すこの段階での最終産物である(表2)。ケトラーゼ活性がcrtO遺伝子に特異的であることを確認するために、基質としてβ−カロテンを使用しないコントロール細胞の抽出物でもアッセイを実施した。コントロール反応混合物では産物のピークは検出されなかった。
要約すると、インビトロアッセイデータにより、crtOはケトラーゼをコードし、それがβカロテンを、中間体としてエキネノン(1個のケトン基)を経由してカンタキサンチン(2個のケトン基)に変換することが確証された。ロドコッカスCrtOのこの対称的なケトラーゼ活性は、シネコシスチスCrtOの非対称的機能に関して報告されたものとは異なる。我々はまた、外因性補助因子の効果を調べた。反応混合物に対して0.2〜2mMのNADPH、NADHまたはFADの添加によって、ケトラーゼ活性は刺激されず、この反応に必要な補助因子は、アッセイに用いられた粗細胞抽出液で十分供給されていたものと推定された。
実施例9
デイノコッカス遺伝子DR0093はCrtOタイプケトラーゼをコードする
デイノコッカス遺伝子DR0093は、データベースにおいて恐らくフィトエンデヒドロゲナーゼであるとして、現在注釈がつけられているが、これは、ロドコッカスcrtO遺伝子に密な相同性を有している。DR0093の機能を測定して、これがカロテノイドケトラーゼまたはフィトエンデヒドロゲナーゼをコードするかどうかを調べた。
デイノコッカス遺伝子DR0093はCrtOタイプケトラーゼをコードする
デイノコッカス遺伝子DR0093は、データベースにおいて恐らくフィトエンデヒドロゲナーゼであるとして、現在注釈がつけられているが、これは、ロドコッカスcrtO遺伝子に密な相同性を有している。DR0093の機能を測定して、これがカロテノイドケトラーゼまたはフィトエンデヒドロゲナーゼをコードするかどうかを調べた。
DR0093遺伝子を、実施例7に記載されたように本質的に大腸菌で発現させた。DR0093を、プライマーcrtl2_F(デイノ)(5’−ATGCCGGATTACGACCTGATCG−3’:配列番号:21)およびcrtl2_R(デイノ)(5’−TCATTTCCAGCGCCTCCGCGTC−3’:配列番号:22)を用いてデイノコッカス−ラジオデュランス株R1(ATCC13939)のゲノムDNAからPCR増幅した。PCR産物を、pTrcHis2−TOPO発現ベクター(カリフォルニア州カールスバッドのインビトロゲン(Invitrogen))にクローン化すると、ベクター上のtrcプロモータにそれぞれ前方方向にクローン化されたデイノコッカスcrtO遺伝子を有するプラスミドpDCQ126を生じた。β−カロテンを合成する大腸菌におけるpDCQ126の発現も、実施例7に記載されたように特徴付られたケトカロテノイド類(カンタキサンチンおよびエキネノン)を産生した。
β−カロテン基質と共にインキュベートされた大腸菌TOP10(pDCQ126)の粗製細胞抽出液を用いてインビトロ酵素アッセイを実施した。アッセイ法とその後のHPLC分析は、実施例8に記載されたものと同じであった。この結果を表3に要約する。インビトロ活性アッセイにより、デイノコッカス遺伝子DR0093は、2個のケトン基をβ−カロテンに付加でき、エキネノンを経由してカンタキサンチンを形成するロドコッカスCrtOと類似したCrtOタイプのケトラーゼをコードすることが確証された。
Claims (35)
- (a)配列番号:7、8、9、10、11および12に記載の6個の保存的モチーフを全て含有するアミノ酸配列をコードする単離された核酸分子;
(b)アミノ酸配列番号:2をコードする単離された核酸分子;
(c)0.1×SSC、0.1%SDS、65℃、そして2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で(a)または(b)とハイブリダイズする単離された核酸分子;または、
(a)または(b)と相補的な単離された核酸分子、からなる群から選択される、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする単離された核酸分子であって、前記の単離された核酸分子が配列番号:5または配列番号:3でない単離された核酸分子。 - 配列番号:1に記載の、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 請求項1に記載の単離された核酸分子によりコードされるポリペプチド。
- 配列番号:2に記載の、請求項3に記載のポリペプチド。
- 配列番号:2に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合、スミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)法のアライメントに基いて、少なくとも70%の同一性を有する少なくとも532個のアミノ酸のカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする第1のヌクレオチド配列;
または前記第1のヌクレオチド配列の相補体を含んでなる第2のヌクレオチド配列、
を含んでなる単離された核酸分子。 - 単離された核酸分子が配列番号:5または配列番号:3でないという条件で、配列番号:7〜12に記載のCrtOの特徴的なモチーフを定めるアミノ酸配列の全てに対して、スミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)法のアライメントに基づき、少なくとも70%の同一性を有するカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする単離された核酸分子。
- ポリペプチドが配列番号:6または配列番号:4でないという条件で、請求項6に記載の単離された核酸分子によりコードされたポリペプチド。
- 好適な調節配列に操作可能に結合された、請求項1、2、5または6のいずれか一項に記載の前記単離された核酸分子を含んでなるキメラ遺伝子。
- 請求項8に記載のキメラ遺伝子を含んでなる形質転換された宿主細胞。
- 前記宿主細胞が、細菌、酵母、糸状菌類、藻類、および緑色植物からなる群から選択される、請求項9に記載の形質転換された宿主細胞。
- 前記宿主細胞が、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピヒア(Pichia)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、またはサルモネラ(Salmonella)、バチルス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ザイモモナス(Zymomonas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター・クロロビウム(Erythrobacter Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリア(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、エシェリヒア(Escherichia)、エルウィニア(Erwinia)、パントエア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコックス(Methylococcus)、メチロジーナス(Methylosinus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスチス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスチス(Synechocystis)、シネココックス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバシラス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)およびミキソコッカス(Myxococcus)からなる群から選択される、請求項10に記載の形質転換された宿主細胞。
- 前記宿主細胞が、スピルリナ(Spirulina)、ヘモタコッカス(Haemotacoccus)およびドナリエラ(Dunalliela)からなる群から選択される、請求項10に記載の形質転換された宿主細胞。
- 前記宿主細胞が、ダイズ、ナタネ、ヒマワリ、ワタ、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、オートムギ、モロコシ、コメ、シロイヌナズナ、アブラナ科野菜、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、ピーナッツ、ブドウ、グラス・シード・クロップ(grass seed crop)、サトウダイコン、サトウキビ、豆類、エンドウ豆、ライ麦、アマ、硬葉樹、軟葉樹、およびまぐさからなる群から選択される、請求項10に記載の形質転換された宿主細胞。
- (a)請求項1、2、5または6のいずれか一項に記載の核酸分子により、ゲノムライブラリを探索し;
(b)0.1×SSC、0.1%SDS、65℃、そして2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で請求項1、2、5または6のいずれか一項に記載の核酸分子とハイブリダイズするDNAクローンを同定し;
(c)ステップ(b)で同定された前記クローンを含んでなるゲノムフラグメントの配列を決定すること、
を含んでなり、前記配列決定されたゲノムフラグメントがカロテノイドケトラーゼ酵素をコードしている、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする核酸分子を得る方法。 - 前記ステップ(a)の核酸分子が、配列番号:2および配列番号:4からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、請求項14に記載の方法。
- (a)配列番号:1および配列番号:3からなる群から選択される配列の部分に対応する少なくとも1種のオリゴヌクレオチドプライマーを合成し;
(b)前記ステップ(a)のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてクローニングベクター中に存在する挿入部を増幅させること、
を含んでなり、前記増幅された挿入部がカロテノイドケトラーゼ酵素をコードしている、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする核酸分子を得る方法。 - 請求項15または16に記載の方法の産物。
- (a)配列番号:7〜12からなる群から選択される特徴的なCrtOモチーフ配列をコードする核酸プローブを提供し;
(b)0.1×SSC、0.1%SDS、65℃、そして2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で(a)のプローブの全てとハイブリダイズするDNAクローンを同定し;
(c)ステップ(b)で同定された前記クローンを含んでなるゲノムフラグメントの配列を決定すること、
を含んでなり、前記配列決定されたゲノムフラグメントがカロテノイドケトラーゼ酵素をコードしている、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする核酸分子を得る方法。 - (a)単環式または二環式カロテノイド類を産生する宿主細胞を提供し;
(b)カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする請求項1、2、5または6のいずれか一項に記載の遺伝子により、(a)の宿主細胞を形質転換し;
(c)(b)の形質転換宿主細胞を、環状ケトカロテノイドが産生される条件下で増殖させることを含んでなる、環状ケトカロテノイド化合物を産生する方法。 - 前記カロテノイドケトラーゼ遺伝子が、配列番号:2および配列番号:4からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、請求項18に記載の方法。
- 前記環状ケトカロテノイド化合物が、カンタキサンチン、アスタキサンチン、アドニキサンチン、アドニルビン、エキネノン、3−ヒドロキシエキネノン、3’−ヒドロキシエキネノン、4−ケト−ガンマ−カロテン、4−ケト−ルビキサンチン、4−ケト−トルレン、3−ヒドロキシ−4−ケト−トルレン、デオキシフレキシキサンチン、ミクソバクトンからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
- 単環式または二環式カロテノイド類が、β−カロテン、γ−カロテン、ゼアキサンチン、ルビキサンチン、エキネノンおよびトルレンからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
- 前記形質転換宿主が、細菌、酵母、糸状菌類、藻類、および緑色植物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
- 前記形質転換宿主細胞が、アスペルギルス、トリコデルマ、サッカロミセス、ピヒア、カンジダ、ハンゼヌラ、またはサルモネラ、バチルス、アシネトバクター、ザイモモナス、アグロバクテリウム、エリスロバクター・クロロビウム、クロマチウム、フラボバクテリウム、サイトファーガ、ロドバクター、ロドコッカス、ストレプトマイセス、ブレビバクテリウム、コリネバクテリア、マイコバクテリウム、デイノコッカス、エシェリヒア、エルウィニア、パントエア、シュードモナス、スフィンゴモナス、メチロモナス、メチロバクター、メチロコックス、メチロジーナス、メチロミクロビウム、メチロシスチス、アルカリゲネス、シネコシスチス、シネココックス、アナベナ、チオバシラス、メタノバクテリウム、クレブシエラおよびミキソコッカスからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
- 前記形質転換宿主細胞が、スピルリナ、ヘモタコッカスおよびドナリエラからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
- 前記形質転換宿主細胞が、ダイズ、ナタネ、ヒマワリ、ワタ、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、オートムギ、モロコシ、コメ、シロイヌナズナ、アブラナ科野菜、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、ピーナッツ、ブドウ、グラス・シード・クロップ、サトウダイコン、サトウキビ、豆類、エンドウ豆、ライ麦、アマ、硬葉樹、軟葉樹、およびまぐさからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
- (a)好適な調節配列の制御下で請求項1、2、5または6のいずれか一項に記載のカロテノイドケトラーゼ遺伝子を宿主細胞に導入し;
(b)前記カロテノイドケトラーゼ遺伝子を発現し、環状ケトカロテノイドの生合成を調節する条件下で(a)の宿主細胞を増殖させることを含んでなる生物において環状ケトカロテノイド生合成を調節する方法。 - 前記カロテノイドケトラーゼ遺伝子が、配列番号:2および配列番号:4からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、請求項27に記載の方法。
- 前記カロテノイドケトラーゼ遺伝子が、アップレギュレートされる、請求項27に記載の方法。
- 前記カロテノイドケトラーゼ遺伝子が、マルチコピープラスミド上で過剰発現される、請求項29に記載の方法。
- 前記カロテノイドケトラーゼ遺伝子が、誘導または調節プロモータに操作可能に結合された、請求項29に記載の方法。
- 前記カロテノイドケトラーゼ遺伝子が、ダウンレギュレートされる、請求項27に記載の方法。
- 前記カロテノイドケトラーゼ遺伝子が、アンチセンス配向で発現される、請求項32に記載の方法。
- 前記遺伝子が、コード領域への外来DNAの挿入により中断される、請求項32に記載の方法。
- (i)制限エンドヌクレアーゼ類によりヌクレオチド配列の混合物を消化するステップであって、前記混合物は、
a)天然カロテノイドケトラーゼ遺伝子と;
b)前記天然カロテノイドケトラーゼ遺伝子とハイブリダイズするヌクレオチドフラグメントの第1の集団と;
c)前記天然カロテノイドケトラーゼ遺伝子とハイブリダイズしない、ヌクレオチドフラグメントの第2の集団とを含んでなり、
制限フラグメントの混合物を産生するステップと;
(ii)前記制限フラグメントの混合物を変性するステップと;
(iii)ステップ(ii)の前記変性制限フラグメント混合物をポリメラーゼとともにインキュベートするステップと;
(iv)ステップ(ii)および(iii)を反復し、変化した生物活性を有する蛋白質をコードする変異カロテノイドケトラーゼ遺伝子を産生するステップと、
を含んでなる方法によって産生される、変化した生物活性を有するカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする変異遺伝子。
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