上述の従来技術では、監視モニタ表示装置の表示能力が限られている場合、あるいは、その伝送に用いる通信網や通信回線を使用するための使用料金、特に、従量制の使用料金の負担が必要とされる場合に、不要な映像信号を伝送し表示することで、無駄な労力や費用が負担されなければならなかった。
本発明の目的は、上述の課題を解決するようにした監視映像配信方法及びシステムを提供することである。本発明の目的は、継続的に監視対象を監視する上で、伝送効率や監視作業に要する作業効率をより向上させるようにした監視映像配信方法及びシステムを提供することである。
そうすることで、例えば、監視対象とする保育園内の保育園児を撮像した映像を伝送し、その伝送された映像を携帯無線電話端末で表示するとした場合でも、映像データの通信費用をより低く抑え、かつ、いつでも携帯無線電話端末操作者である保護者が所望する映像、すなわち、その保護者が関わる児童が撮像された映像をその端末で表示可能とする、保育園児が存する保育園と保護者とを結んだネットワークとしての、監視映像配信システムを実現することが出来る。
本発明は、上述の課題を解決するために、本発明の一面によれば、監視装置と、通信網と、複数の端末とを備え、前記監視装置で撮像した映像を、前記通信網を介して前記端末へ配信する監視映像配信システムは、映像信号を出力する複数の撮像装置と、該複数の撮像装置からの前記映像信号のうち前記各端末に応じた監視対象を撮像した監視映像信号をそれぞれ対応する前記端末へ送信する制御装置とを有する前記監視装置と、それぞれの端末に応じた監視対象を撮像した前記監視映像信号を前記監視装置から受信するユニットと、前記受信された監視映像信号を表示する表示ユニットとを有する前記複数の端末とを備えるものである。
このような構成とすることで、上述したように、例えば、保育園内の監視対象とする保育園児が存する保育園と保護者とを結んだネットワークとしての、監視映像配信システムを実現することが出来る。即ち、保育園児を撮像した映像を伝送し、その伝送された映像を携帯無線電話等の端末で表示するとした場合でも、映像データの通信費用をより低く抑えることができる。更に、いつでも携帯無線電話等の端末の操作者である保護者が所望する映像、すなわち、その保護者が関わる児童が撮像された映像をその端末で表示可能とする。
さらに、本発明は、上述の課題を解決するために、監視装置、通信網、前記監視装置で撮像した映像を、前記通信網を介して端末へ配信する監視映像配信システムにおいて、前記監視装置は、映像信号を出力する撮像装置と、前記映像信号のうち前記端末に応じた監視対象を識別して撮像した監視映像信号をそれぞれ前記端末へ送信する制御装置とを有すると共に、前記端末は、該端末に応じた監視対象を撮像した前記監視映像信号を前記監視装置から受信する手段と、前記受信された監視映像信号を表示する表示手段とを有するものである。
さらに本発明は、上述の課題を解決するために、監視装置、通信網、および少なくとも1の端末を有し、前記監視装置で撮像した映像を、前記通信網を介して前記端末へ配信する監視映像配信システムにおいて、前記監視装置は、映像信号を出力する撮像装置と、前記映像信号のうち前記各端末に応じた監視対象を撮像した監視映像信号をそれぞれ前記各端末へ送信する制御装置とを有すると共に、前記各端末は、該端末に応じた監視対象を撮像した前記監視映像信号を前記監視装置から受信する手段と、前記受信された監視映像信号を表示する表示手段とを有する。
本発明は、前記各監視対象として、該監視対象それぞれに応じたラベルを付着してあると共に、前記監視装置はさらに、前記ラベルを検出する手段と該検出されたラベルに応じた監視対象が応じる端末を識別する手段とを有し、前記ラベルを備える前記映像信号を、前記ラベルに応じて識別された端末に応じた監視対象を撮像した監視映像信号として送信するとしてもよい。
また本発明は、前記各監視対象として、該監視対象それぞれに応じたラベルであって前記撮像装置で撮像可能なラベルを付着してあると共に、前記監視装置はさらに、前記ラベルを撮像して得た映像信号から前記ラベル映像を検出する手段と該検出されたラベル映像に応じた監視対象が応じる端末を識別する手段とを有し、前記ラベル映像を備える前記映像信号を、前記ラベル映像に応じて識別された端末に応じた監視対象を撮像した監視映像信号として送信するとしてもよい。
また本発明は、前記監視対象がさらに、通過チェック用のタグを付着してあると共に、前記監視装置はさらに、前記タグの通過を検出するためのゲート装置と前記検出されたタグが付着する監視対象を撮像するための前記撮像装置とを有するとしてもよい。
また本発明は、さらに、前記監視映像信号を基に前記監視対象と前記撮像装置との相対的な位置関係を演算する手段と、前記演算された位置関係を記録する手段と、該演算された位置関係に基づいた、前記監視対象の位置情報あるいはその位置移動情報を表示する手段とを有するとしてもよい。
また本発明は、さらに、前記監視映像信号を画像処理して前記監視対象の撮像された映像領域を検出する手段と、該検出された映像領域に応じて前記監視映像信号に所定の映像信号処理を施す映像信号処理手段とを有するとしてもよい。
また本発明は、前記端末がさらに、前記監視映像信号を受信する受信間隔を設定する手段と、該設定された受信間隔情報を前記監視装置へ送信する手段とを有すると共に、前記監視装置がさらに、前記受信間隔情報を前記端末局から受信する手段を有し、該受信された受信間隔情報に応じた送信間隔でもって、前記監視映像信号を前記端末へ送信できるようにするとしてもよい。
また本発明は、前記監視装置がさらに、前記監視映像信号のうち、前記監視対象に関する情報量をより多く有する監視映像信号を選択する手段を有し、該選択された監視映像信号を前記端末へ送信するとしてもよい。
また本発明は、前記通信網としてインターネット網と携帯無線電話網とを用い、前記端末として携帯無線電話端末を用いることとしてもよい。
また本発明は、上述の課題を解決するために、監視装置、通信網、および少なくとも1の端末を有し、前記監視装置で撮像した映像を、前記通信網を介して前記端末へ配信する監視映像配信システムにおいて、前記監視装置は、映像信号を出力する撮像装置と、前記映像信号のうち各監視対象を撮像した監視対象映像信号を該監視対象映像信号に撮像された監視対象に応じた端末へそれぞれ送信する制御装置とを有すると共に、前記各端末は、該端末が応じる監視対象を撮像した前記監視対象映像信号を前記監視装置から受信する手段と、前記受信された監視対象映像信号を表示する表示手段とを有するものである。
また本発明は、上述の課題を解決するために、監視装置、通信網、前記監視装置で撮像した映像を、前記通信網を介して端末へ配信する監視映像配信システムにおいて、前記監視装置は、映像信号を出力する撮像装置と、前記映像信号のうち前記端末に応じた監視対象を識別して撮像した監視映像信号をそれぞれ前記端末へ送信する制御装置とを有すると共に、前記端末は、該端末毎の識別内容を保持する手段と、前記保持された識別内容に応じた監視対象を撮像した前記監視映像信号を前記監視装置から受信する手段と、前記受信された監視映像信号を表示する表示手段とを有するものである。
また本発明は、前記各監視対象が、前記端末毎の識別内容それぞれに応じたラベルを付着してあると共に、前記監視装置はさらに、前記ラベルを検出する手段と該検出されたラベルに応じた監視対象が応じる端末を識別する手段とを有し、前記ラベルを備える前記映像信号を、前記ラベルに応じて識別された端末に応じた監視対象を撮像した監視映像信号として送信するとしてもよい。
また本発明は、通信網を介して、監視装置で撮像した撮像映像を複数の端末に配信する監視映像配信方法において、複数の監視場所それぞれに、上記監視場所内に存在する複数の監視対象を撮像するための撮像装置を少なくとも1つ備える監視装置であって、上記複数の端末毎にそれぞれあらかじめ特定の監視対象が割り当てられ、上記複数の監視対象それぞれに上記監視対象を識別するための識別情報を有する標識が付着され、上記標識を付着された監視対象を上記監視装置の複数の撮像装置で撮像し、上記撮像された撮像画像中の標識から上記監視対象を特定して上記あらかじめ割り当てられた端末に配信するものである。
また好ましくは、本発明の監視映像配信方法において、上記撮像映像が、メモリに記録されるものである。
また本発明は、通信網を介して、監視装置で撮像した撮像映像を複数の端末に配信する監視映像配信装置において、上記複数の監視対象それぞれに上記監視対象を識別するための識別情報を有する標識が付着され、上記監視装置は、複数の監視場所それぞれに、上記監視場所内に存在する複数の監視対象を撮像するための撮像装置を少なくとも1つ備える監視装置であって、上記複数の端末毎にそれぞれあらかじめ特定の監視対象を割り当てるデータベースを備え、上記複数の撮像装置は、上記標識を付着された監視対象を撮像し、上記データベースを参照して上記撮像された撮像画像中の標識から上記監視対象を特定して上記あらかじめ割り当てられた端末に配信するものである。
また本発明は、通信網を介して、監視装置で撮像した撮像映像を複数の端末に配信する監視映像配信システムにおいて、上記複数の監視対象それぞれに上記監視対象を識別するための識別情報を有する標識が付着され、上記監視装置は、複数の監視場所それぞれに、上記監視場所内に存在する複数の監視対象を撮像するための撮像装置を少なくとも1つ備える監視装置であって、上記複数の端末毎にそれぞれあらかじめ特定の監視対象を割り当てるデータベースを備え、上記複数の撮像装置は、上記標識を付着された監視対象を撮像し、上記データベースを参照して上記撮像された撮像画像中の標識から上記監視対象を特定して上記あらかじめ割り当てられた端末に配信するものである。
本発明によれば、例えば、監視対象である保育園内の保育園児、あるいは、種々の監視対象を撮像した映像を伝送し、その伝送された映像を携帯無線電話端末等で表示するとした場合でも、映像データの通信費用をより低く抑えることができる監視映像配信システムを実現できる。さらに、いつでも保護者などの端末等の操作者が所望する映像、例えば、その保護者が関わる児童が撮像された映像をその端末で表示可能とする、監視映像配信システムを実現することが出来、より継続的に監視対象を監視する上で、伝送効率や監視作業に要する作業効率をより向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。図1は本発明の監視映像配信システムの一実施例のブロック構成を示す図である。ここで、例えば、保育園内の保育園児の監視に本発明を適用した場合を示している。図2は本発明の監視映像配信システムに係わる保育園1における監視装置および監視対象である児童の上腕部付近に付着した識別標識、例えば、ラベルおよびタグの様子を模式的に説明するための図である。図3は、それぞれ異なる撮像装置により撮像され、映像配信するために選択されるための撮像映像の例を示す図である。図4は、本発明に係わる映像信号選択部の動作の一例を示すためのフローチャートである。図5は3台の撮像カメラの平面配置および監視対象である二人の児童の平面配置の例を示した図である。図6は、図5における各撮像装置が同時に二人の児童を撮像した場合のそれぞれの撮像映像の様子を例示した図である。図7は本発明による監視対象と撮像装置との相対的な位置関係に基づいた監視対象の平面位置情報あるいはその位置移動情報の表示例を示した図である。図8はラベルおよびタグの様子とそれを監視対象である児童に取り付けた状況を説明するための図である。図9は、所定の監視対象である児童の映像領域が外の映像領域と比べて強調された映像となっている様子を示す図である。図10は、端末である携帯無線電話装置によって監視映像信号を受信するための受信間隔を設定する場合の設定用表示の様子を示した図である。図11は各撮像対象毎のデータベース蓄積データ例を説明するための図である。図12は本発明の実施例の動作を説明するためのフローチャートである。
以下、図1を用いて本発明の監視映像配信システムの一実施例について説明する。1は保育園、2はデータセンタ、3は通信網としてのインターネット、4は通信網としての携帯電話網、5は基地局、6は携帯電話機、7は自宅である。保育園1は、撮像装置10、雲台11、制御装置12、およびゲート13を備えており、さらに、監視対象である児童14の体の所定箇所、例えば、上腕部または胸部等、ここでは上腕部に、ラベルおよびタグ15が付けられている。なお、ラベルおよびタグ15は、保育園児である児童14の体の複数箇所に、例えば、右上腕部と左上腕部の両方に同じものが付けられているとしてもよい。また、制御装置12は、例えば、CPU12a、I/O回路12b、メモリ12cを備える。データセンタ2はデータベース20と、それに接続されたウェブ・サーバ21とを備えている。保育園1内の制御装置12とデータセンタ2のデータベース20とは通信回線で接続され、その通信回線でもって映像情報や制御情報などのデータ信号が相互に送受信されている。そして、保育園1内の上述した各種設備とデータセンタ2とを組み合わせることで本発明の実施の形態における監視装置を構成している。なお、制御装置12は、インターネット3に直接接続し、そのインターネット3を介してデータセンタ2と通信を行うとしても良い。
さらに、データセンタ2のウェブ・サーバ21とインターネット3とが通信回線で接続されている。インターネット3と携帯電話網4とは相互に接続されており、本実施の形態においては、それらインターネット3と携帯電話網4とが通信網として機能している。
なお、本発明の実施例における端末としては、携帯電話網4の基地局5と無線通信を行う携帯電話機6や、インターネット3と通信回線で接続された監視者の自宅7に備えられたパーソナル・コンピュータ(PC)を有するホーム・サーバ70等がある。ホーム・サーバ70はHDレコード装置等の記録装置71を備える。これら端末6,70等は、該端末に応じた監視対象を撮像した監視映像信号を監視装置から通信網3,4を介して受信するユニットと、受信された監視映像信号を表示する表示ユニットとを有するものである。
次に、図2を用いて本発明に係わる保育園1における監視装置とその監視対象である児童の様子を説明する。図2において、保育園1の室内に複数、例えば、2名の児童14と、室外に例えば1名の児童14とが居て、それら児童の上腕部付近にはラベルおよびタグ15がそれぞれ付着されている。それら児童14を撮像するために、撮像装置10が、室内での撮像用として複数台、例えば、3台と、室外での撮像用として少なくとも1台とが設置され、それら撮像装置10からそれぞれ撮像して得られた映像信号が制御装置12へ出力される。なお、室外撮像用の撮像装置10は、雲台11に搭載されており、その雲台11は、制御装置12からの制御信号に応じて、その搭載された撮像装置10の撮像方向を可変することが出来る。なお、室外撮像用撮像装置10のみならず、室内撮像用撮像装置10が雲台11に搭載されて、制御装置12からの制御信号に応じて、その撮像方向が可変されるとしてもよい。
また、室内と室外の境である出入り口付近には、例えば、ゲート13が設置される。上述の児童14に付着された、ゲート通過チェック用の部材としてのラベルおよびタグ15において図8(b)に示すような、例えば、LC共振回路15aを内蔵しておく。それにより、ラベルおよびタグ15のLC共振回路15aがゲート13内を通過するごとくに近接すると、ゲート13に設けた発振器(図示せず)からの電波に応答してLC共振回路は発振し電波を出力する。すると、ゲート13の受信機(図示せず)が電波を受信し、検出情報としての信号をゲート13から制御装置12へ出力する。検出情報は有線または無線により制御装置12で受信される。そして、その検出情報が制御装置12で受信されると、それに応答してゲート13を通過中の、あるいは、そのゲート13に接近した児童14を撮像装置10で撮像して、例えば、制御装置12内の記録装置に撮像映像を記録するようにする。
そうすることで、例えば、ゲート13を通過して撮像装置10で撮像していない場所である手洗い所等に出て行く児童14の映像を撮像して記録しておくことが出来る。従って、撮像装置10で撮像された映像を制御装置12に接続されたモニタ表示装置16にリアルタイムで表示させたり、その記録された映像を再生してモニタ表示装置16に表示させたりして、児童14の所在をより容易に確認することが出来る。
なお、ラベルおよびタグ15毎にそのLC共振回路の共振周波数を異なるようにして、LC共振回路の共振周波数と児童14とを対応させてデータベース20又は制御装置12内のメモリに予め登録しておく。そこで、制御装置12又はデータセンタ2においては、LC共振回路からの発振周波数により児童14を識別可能とするようにしてもよい。
ここで、例えば、データベース20又は制御装置12内のメモリ12cには図11(a)に示されるようなテーブルが設けられ、監視対象を識別するためのデータと端末との対応を予め登録しておく。端末として携帯無線電話端末(携帯電話機)を用いた場合には、監視対象を撮像した監視映像信号の配信先である該携帯電話機6の電話番号及びその携帯電話機のユーザが監視を希望する監視対象である児童14を特定するための識別用コード(例えば、バーコード)、及び後述する受信間隔等を、データベース20又は制御装置12に接続された入力回路(例えば、キーボード17(図2)、バーコードリーダ等)により携帯電話機毎に該テーブルに登録する。
なお、識別コードの代わりに、または識別コードと共に監視対象である児童の名前を登録するようにしても良い。このような、監視対象を識別するためのデータとしての識別コード及び児童の名前は、端末に応じた監視対象を識別するための情報である。
本実施例では、そのようなテーブルをデータベース20に設けるものとする。なお、携帯無線電話端末よりこれらデータを入力してデータベース20に登録するようにしても良い。
ここで、図8(a)に示すように、撮像装置10で撮像されるラベルおよびタグ15のラベル表面には、そのラベルおよびタグ15を付着している児童14を識別するための名前の表示や、識別用コード等が表示されている。そのため、そのラベル表面を撮像装置10で撮像して得られた映像信号から、制御装置12でそのラベル表面の名前表示内容や識別コード表示内容を検出することで、その検出結果に応じて撮像された児童14の識別判定を行うことができる。
なお、図示していないが、上述のLC共振回路の代わりに無線ICカード等(例えば、1〜2m範囲内で送受信可能とするような感度を有する無線通信機能を備えたICカードあるいはICチップ)を用いてもよい。その場合、さらに、ゲート13にはその無線ICカード等と無線信号を送受信するためのアンテナ、受信機および送信機を備えるようにする。また、各無線ICカードはそれぞれ対応する児童14の名前やその識別コードを記録しておく。それにより、ラベルおよびタグ15の無線ICカード等から上述の児童14の名前や識別コード情報がゲート13へ送信され、それら送信された名前や識別コード情報がゲート13から制御装置12へ伝送される。制御装置12においては、その伝送された情報を基に、図11(a)に示されるテーブルを参照して、撮像された児童14の識別判定を行うことができる。
そして、上述の判定結果に応じて、複数の撮像装置10からそれぞれ出力された映像信号のうちいずれの映像信号が、児童14の保護者が有する携帯電話機6それぞれに応じた監視対象である児童14を撮像して得た映像信号であるかを制御装置12で決定することが出来る。
図4は本発明の実施例の動作を説明するためのフローチャートであり、制御装置12における処理を説明するものである。このような処理は、制御装置12内のメモリ12c内のプログラムにより実行されるものとする。
先ず、ステップ50においては、データベース20のテーブル(図11(a))に登録された各種設定情報を読み込む。次いで、ステップ52で、複数の撮像装置10で撮影された映像信号のうち、いずれの映像信号に監視対象児童が撮像されているかを識別する。識別方法としては、映像信号からラベルおよびタグ15表面の名前か識別コードを、あるいはその両方を認識して監視対象児童の映像を検出すれば良い。ステップ54では、こうして監視対象児童が撮像されている映像信号を選択し、図1l(a)のテーブルに従って、監視対象児童の映像の配信先である端末に選択された映像信号を監視映像信号としてデータセンタ2、インターネット3、携帯電話網4を介して携帯電話機に配信する。なお、監視映像信号の配信間隔は図11(a)のテーブルの受信間隔に従って行う。ステップ52,54の処理は、各監視対象児童毎に行う。
ところで、複数の撮像装置10それぞれから出力された映像信号のうち複数の映像信号で同一の児童14が撮像されたと識別判定された場合に、いずれの映像信号がより映像配信されるのに適切な映像信号で有るかを判断する必要がある。そのため、制御装置12では、さらに画像信号処理を行って適切な映像を選択する。例えば、複数の撮像装置10から出力された映像信号のそれぞれについて、対象となる児童14の撮像映像範囲を検出し、その検出された映像範囲のうち児童14の顔面部の撮像面積を検知する。その検知された面積を複数映像信号どうしで比較して、もっとも面積の広い映像信号を選択する。または、各映像範囲について、児童14の顔面部に存する目・鼻・口部の撮像個数や面積を検知して、その撮像個数や面積がより多いかより広い映像信号を選択する。そして、その選択された映像信号を映像配信するように設定するものである。
ここで、上述の映像信号を選択するための手段としては、複数の撮像映像の各々において、図3(a),図3(b)に示すような、監視対象児童の顔面部の特徴的な色調である肌色のような色調を占めている面積をそれぞれ算出し、複数の撮像映像の間で、算出された面積どうしを比較し、最も面積の広い、あるいは、最も面積割合の大きい映像信号を選択して配信する。このような算出、比較処理を制御装置12により実行する。
この算出、比較処理としては、例えば、図12に示すようなフローチャートに従って実行するものである。このような処理は、制御装置12内のメモリ12c内に記録されたプログラムにより実行されるものとする。
すなわち、図12のフローチャートにおいて、先ず、それぞれの撮像装置10からの映像信号について、監視対象である児童14等の移動体が撮像されていない場合の撮像画像を背景画像として登録しておく(ステップ100)。次に、各撮像装置10からの映像信号について以下の処理を行う。先ず、登録された背景画像と撮像装置10からの映像信号とを比較し、映像信号に移動体があるか否かを判定する(ステップ102)。移動体有りと判定した場合は、移動体の撮像範囲を判定し、その判定された範囲を範囲Aとする(ステップ104)。一方、移動体が検出されないとした場合には、ステップ102を再度実行する。
そしてステップ104の次に、その範囲Aについて、さらに、その範囲Aの頂上部付近に関して、色合いや色調、およびそれらの単調性の度合等に応じて頭髪部か否かを判定する(ステップ106)。その範囲Aの頂上部付近が頭髪部であると判定した場合は、その映像範囲内の頭髪部の下部に関して、色合いや色調、およびそれらの単調性の度合等に応じて肌色部か否かを判定する(ステップ108)。頭髪部の下部が肌色部であると判定した場合は、その肌色部を顔面部とし、その顔面部の映像範囲の面積と顔面部以外の面積との割合等を求めた上、制御装置12内のメモリに記録する(ステップ110)。
一方、ステップ106で判定結果が、頭髪部が検出されないとした場合には、ステップ106を再度実行する。また、ステップ108で判定結果が、顔面部が検出されないとした場合には、ステップ108を再度実行する。なお、これらの場合に、それぞれステップ106やステップ108を再度実行するとしたのは、一実施例に過ぎず、種々の状況等に応じて、これらステップの種々の組み合わせが考えられる。例えば、ステップ100を再度実行するとしても良いし、ステップ106を再実行するとした動作とステップ108を再実行するとした動作とを選択的に切り換えられるようにしてもよい。
次いで、ステップ112では、以上のようにそれぞれの映像信号毎に記録された顔面部の映像範囲の面積、あるいは、その面積割合について、制御装置12が各映像信号間でそれらを比較して、最も面積の広い、あるいは、最も面積割合の大きい映像信号を選択して配信するようにする。従って、この図3の例では、図3(a)の映像と図3(b)の映像の内、顔面部の面積がより広いとされる図3(a)の映像が選択されるものである。
ここで、その配信映像選択時の撮像装置と児童および撮像映像の様子について、図5と図6とを用いて説明する。図5において、保育園1の室内に監視対象である児童14aと児童14bとが、各撮像装置10a、10bおよび10cによって撮像される場合の平面配置を示している。そして、図6には、その場合の撮像装置10a、10bおよび10cで撮像された映像信号による表示の様子を表している。なお、これら3つの映像信号は皆、児童14aおよび14bについてそれぞれ識別判定された映像信号であり、これら3つの映像信号からそれぞれ配信すべき映像信号を選択すべきものとしている。
この場合、図6(a)では児童14aの横顔と児童14bのほぼ正面からの顔部(顔面部)とが撮像されている。また、図6(b)では、児童14aのほぼ正面からの顔部と児童14bの後頭部とが撮像され、児童14bの顔部は撮像されていない。また、図6(c)では、児童14bの横顔部と児童14aの後頭部とが撮像され、児童14aの顔部は撮像されていない。
そのため制御装置12では、それら3つの映像信号のうち、児童14aについては、児童14aの顔部がほぼ正面から撮像され、その顔部の撮像面積が最大である撮像装置10bで撮像された映像信号を選択する。同様に、児童14bについては、児童14bの顔部がほぼ正面から撮像され、その顔部の撮像面積が最大である撮像装置10aで撮像された映像信号を選択するものである。
そうすることで制御装置12からは、児童14aの保護者の有する携帯電話機6へは、児童14aの顔部がほぼ正面から撮像された映像信号である、児童14aに関する情報量をより多く有する映像信号(撮像装置10bで撮像された映像信号)が配信される。同様にして、児童14bの保護者の有する携帯電話機6へは、児童14bの顔部がほぼ正面から撮像された映像信号である、児童14bに関する情報量をより多く有する映像信号(撮像装置10aで撮像された映像信号)が配信されることになる。
なお、制御装置12は、例えば、特開2001−216515号公報に記載の入力画像を小領域に分割し、各小領域の輝度特徴から目の候補領域と目の間の候補領域とを検出し、目の候補領域と目の間の候補領域の位置関係から目の間の領域を決定し、目の間の領域を含むように目や顔の領域を決定するとしたような、顔認識機能を有し、その機能を用いて、検知された顔部の映像から、その顔部の映像がいずれの児童14を撮像して得られたものであるかの識別を行うとしてもよい。
また、制御装置12は、撮像された映像信号を解析することで、その映像を撮像した撮像装置と撮像され識別された児童14との相対的な位置情報を生成し、その情報を制御装置12内のメモリに記録するとしてもよい。この場合、図7に示すように、その記録された位置情報に従い、×印のように各時刻に監視対象となる児童14が存する位置を、監視領域内の相対位置としてモニタ表示装置16の画面に表示し、かつ、その児童14の位置の軌跡を時間経過毎に線で結ぶようにして、その児童14の移動状態を表示するとしてもよい。そうすることで、たまたま児童14に付着したラベルおよびタグ15が撮像できない期間があったとしても、後に記録された位置情報に基づき、図7の軌跡を表示させて確認することで、児童14の大まかな位置を確認することが出来る。なお、位置情報は、監視対象児童の自宅7の記録装置71に配信して記録し、自宅のパソコン等で再生表示させるようにしてもよい。
次に、端末である携帯電話機6における監視映像信号表示の様子と設定動作とについて説明する。図9は、携帯電話機6において、監視対象である児童14cを表示している場合を示している。この図において、制御装置12によって児童14cの映像範囲が検出されており、その検出範囲内の映像についてはコントラストがより高くされ、その検出範囲外の映像、すなわち、図中の斜線が施された部分については、コントラストがより低くされて表示されている様子を表している。このようにすることで、この携帯電話機6の表示を視認するところの児童14cの保護者に対して、監視対象である児童14cの映像をより際立たせることで、監視をより容易にすることが出来る。なお、その部分についてはコントラストだけではなく、平均輝度レベルがより低くされて表示されるようにしても良い。
また、この図の表示画面右上に表示されている「INT:5min」という表示については、この監視映像配信システムが映像配信間隔(受信間隔)を設定可能となっていることから、その設定された配信間隔の値を表示可能なようにしているものである。その配信間隔を設定するための携帯電話機6における設定画面の表示の一例を図10に示す。図10の表示画面において、「動画」は配信画像として動画を選択可能であることを示す。「動画」を選択していないときは、静止画が選択されるものとする。また、表示画面中に表示された「30秒」「30分」「1時間」というような表示は、それぞれ設定可能な静止画の配信間隔の一を表すものであり、この図では「5分」の設定が太枠で示した設定枠に囲まれていて、その値を携帯電話機6でもって設定してあることを示している。なお、「定刻」表示については、その表示を選択するとさらに配信時刻として所定の時刻を設定することができるものであるが、ここではその詳細な説明は省略する。なお、上述のように配信間隔はデータセンタ2または制御装置12においても設定可能として良い。
本発明の実施の形態では、保育園1の制御装置12でそれぞれ選択された映像信号が、その制御装置12からデータセンタ2のデータベース20へ送られて記録される。そして、その記録された映像信号に関連して制御装置12で生成されたデータ情報についても、データ信号として制御装置12からデータベース20へ送られて記録される。また、上述したような携帯電話機6で設定された設定情報についても、携帯電話機6から通信網を介してデータセンタ2へ送られ、データベース20に記録するものである。
以上のように、データベース20に記録された各情報について、監視対象毎の時系列に蓄積されたデータの例を、図11(b)〜図11(e)に示す。図11(b)は、所定時刻ごと(例えば、5分毎)の監視対象児童の位置情報(即ち、移動情報)、及び監視対象児童の顔の方向を記録したテーブルであり、このようなテーブルは各監視対象児童毎に設けられる。図11(c)は、監視対象児童を、いつ、どの撮像カメラで撮像して映像を配信したか、そしてその時のカメラの絞り値、焦点距離、撮影された部屋の位置等を示すカレント画像選択配信情報テーブルである。このようなテーブルも各監視対象児童毎に設けられる。図11(d)は、監視対象児童の監視映像信号の端末への配信時刻及び時間間隔を記録したテーブルであり、このようなテーブルも各監視対象児童毎に設けられる。なお、配信時間は、上述の図11(a)のテーブルで設定登録されたデータに基づいて実行される。図11(e)は、監視対象児童の監視映像信号の配信先を記録した配信先情報テーブルであり、このようなテーブルも各監視対象児童毎に設けられる。
本実施例では、このようなテーブルをデータベース20に設けるものとする。
次に、本発明の第2実施例について図13を参照して説明する。
本実施例においては、監視対象である保育園児が、所定の施設である保育園内だけでなく保育園の外へ行った場合にも、該監視対象である保育園児を監視可能とするものである。即ち、例えば、近くのコンビニエンスストア内やビデオレンタルショップ内や交差点等でも、保育園と同様に監視が行えるようにしたものである。
図13は、本発明の監視映像配信システムの第2実施例の構成等を示すブロック図である。なお、この図において、保育園1とコンビニエンスストア80とビデオレンタルショップ81と交差点82は、地理上の相対的な位置関係を模式的に表すように、それぞれ道路に接して配置されて描かれている。また、図13において、図1と同様の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
保育園1の建物18の内部に備えられた制御装置12は、インターネット3を介してデータセンタ2と接続される。なお、図1と同様に、制御装置12はデータセンタ2を介してインターネット3に接続されるようにしても良い。また、コンビニエンスストア80とビデオレンタルショップ81の各々には、図示していないが、それぞれ図1の保育園1内と同様に、ストアやショップ内を撮像する少なくとも1つの撮像装置10と、制御装置12′とが備えられている。また、交差点82では、その交差点82内や交差点82付近の様子を撮像する少なくとも1つの撮像装置10n(図13の例では4つの撮像装置10n)が備えられていて、それら撮像装置10nが制御装置12′に接続されている。制御装置12′は制御装置12と同様の機能を有する。コンビニエンスストア80、ビデオレンタルショップ81及び交差点82の制御装置12′はそれぞれインターネット3を介してデータセンタ2と接続される。
データセンタ2は、図1の実施例の時と同様に動作するが、異なるのは、保育園1で撮像された監視映像だけでなく、コンビニエンスストア80やビデオレンタルショップ81や交差点82で撮像された監視映像についても、監視対象を識別された映像について配信することである。
その場合、例えば、保育園1で監視対象としている児童が保育園1の出入り口19から外に出たことを、例えば、出入り口19に設けたゲート13により検出すると、その児童の識別を行うためのソフトウェア資源を、保育園1の制御装置12から、近傍のコンビニエンスストア80及びビデオレンタルショップ81と交差点82に設置された制御装置12′へ、インターネット3を介して送付するようにしてよい。その送付されたソフトウェア資源を受け取った各制御装置12′は、そのソフトウェア資源を用いて監視対象の識別を行う。そして、各制御装置12′は監視対象の識別された映像をデータセンタ2へ送信する。
上述のようにして、保育園1の中でだけ監視対象を確認し、その確認された監視対象の移動経路(図13で太い実線で示す軌跡P1)を確認するだけでなく、コンビニエンスストア80の中で監視対象を確認し、その確認された監視対象の移動経路(図13で太い実線で示す軌跡P2)を確認したり、ビデオレンタルショップ81の中で監視対象を確認し、その確認された監視対象の移動経路(軌跡)を確認したり、交差点82の中やその周辺で監視対象を確認し、その確認された監視対象の移動経路(図13で太い実線で示す軌跡P3)を確認する事が可能となる。そうすることで、監視対象児童が迷子になったときの様子や他者と監視対象児童とが係わりを有していたのか否かの確認等が容易に行え、児童の発見と保育園関係者や保護者による児童の身柄の確保等がより容易になる。
次に、本発明の第3実施例について図14を参照して説明する。本実施例においては、監視対象が、店舗、例えばスーパーマーケット内で異常が発生した場合に、その異常に関連した人物を監視できるようにしたものである。図14は、本発明の監視映像配信システムの第3実施例を説明するためのスーパーマーケットストア83の平面図を表した図である。
この図において、スーパーマーケットストア83内には、入口と出口とレジとが設けられてある。さらに、スーパーマーケットストア83内には、野菜や肉等の、販売物品を並べた多数の陳列棚が配置されていて、それら棚の間には買い物客等が通行する通路がある。ここで、図には示していないが、これら棚や通路をほぼくまなく撮像するための複数の撮像装置10及び制御装置12″が据え付けられている。さらに、制御装置12″内には、例えば、客を装った人物が、棚から物品を抜き取って、それを隠すような異常行為を認識するユニットが設けられているものとする。
ここで、その異常行為認識ユニットによって、その異常行為を認識した場合は、その異常に関わった人物の顔認識を行うユニットを制御装置12″内に更に設け、その顔認識ユニットにより、その人物を各撮像装置で撮像された映像の中から識別できるようにする。制御装置12″内のこれらユニットはハードウエア又はソフトウェアで構成されて良い。そうして、その識別された人物が写った撮像映像を、例えば、ストア83の警備担当者が所持する携帯端末に配信し、その警備担当者がその撮像映像を携帯端末の表示画面で確認できるようにする。また、同じく、その異常発生後のその人物の移動経路を確認する。そうすることで、警備担当者が、ストア83内でその人物を常にマークすることができ、例えば、ある人物がレジで清算を行わずにストア83から出ようとした場合に、マークしていた人物を呼び止めて異常に関わる行為があったか否かを確認することができる。なお、図中、P4は異常(例えば、ある人物が万引きを行った場合)が検出された地点であり、P5はその人物の異常検出前の移動経路、P6はその人物の異常検出後の移動経路である。
なお、配信先としては、上述の説明では、監視対象を撮像した監視映像信号を携帯電話機6へ配信する場合について説明したが、更に、自宅7のホーム・サーバ70へ配信するとしてもよい。この場合、ホーム・サーバ70の記録装置71に監視対象児童の動画像を配信すると共に、携帯電話機6へは受信間隔を例えば1時間おきに配信するように、それぞれ別個の受信間隔で配信されるようにしてもよい。また、勿論、ユーザの希望により、監視映像信号を携帯電話機6又は自宅7のホーム・サーバ70の一方に配信するようにしてもよい。なお、自宅7のホーム・サーバ70へ配信するようにする場合には、データベース20又は制御装置12内のメモリ12cに図11(a)と同様のテーブルを設け、該テーブルに、配信先としてユーザの自宅7のホーム・サーバ70のメールアドレス、監視対象である児童14の識別用コード、配信間隔を設定可能とすれば良い。
また、監視対象、モニタ対象としては、上述の保育園内の保育園児のみならず、施設内を巡回監視する監視員の安全確保のために、また、病院あるいは老人ホーム等の様々な場所での入院者や入所者の危険回避等のために、あるいは、その他の様々の場所での人員、ロボット、動物等の監視のために、それら人物を含むすべての移動体を対象としてもよい。
また、上述の実施例においては、施設内に複数の撮像装置を設けるようにしたが、1台の撮像装置を雲台に搭載して、制御装置からの制御信号に応じて、その撮像方向が可変可能として施設内に設け、施設内の監視対象を撮像した映像信号を端末に送るようにしてもよい。
1:保育園、 2:データセンタ、 3:インターネット、 4:携帯電話網、 5:基地局、 6:携帯電話機、 7:自宅、 10,10a,10b,10c,10n:撮像装置、 11:雲台、 12,12′,12″:制御装置、 12a:CPU、 12b:I/O回路、 12c:メモリ、 13:ゲート、 14,14a,14b,14c:児童、 15ラベルおよびタグ、 15a:LC共振回路、 16:モニタ表示装置、 17:キーボード、 18:建物、 19:出入り口、 20:データベース、 21:ウェブ・サーバ、 70:ホーム・サーバ(パーソナル・コンピュータ)、 71:記録装置、 80:コンビニエンスストア、 81:ビデオレンタルショップ、 82:交差点、83:スーパーマーケットストア。