JP2006349650A - 人体ダストの検出法 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体・電器電子産業などクリーン環境を必要とする生産現場で問題とされるミクロンレベルの人体ダストの測定・検知技術を提供する。
【解決手段】簡単に実施でき、しかも確実に短時間でミクロンレベルの人体ダストの判別ができる検出手法として、目視などで判別でき且つ色素を使用した人体ダスト染色検知法で、ブロモクロロフェノールブルー色素のプロトン付加体によって与えられる鮮明な黄色の発色を利用し、顕微鏡検出で、簡単に微細な人体ダストを、金属・樹脂・シリコン等の粉末ダストなどと容易に弁別できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体・電器電子産業・製薬工業などクリーン環境を必要とする生産現場で問題とされるミクロンレベルの人体ダストの測定・検知方法及び試薬に関する。特に、本発明は、クリーンルームといった高度にクリーンな環境中での人体ダストを含有している可能性のある試料を、色素試薬を使用することで、顕微鏡下で観察可能な鮮明な黄色に人体ダストを染色して識別、検知する技術に関する。
近年、精密工業分野でクリーン環境を必要とする生産現場が急速に増加している。電子デバイス、半導体・液晶製造工業などでは集積回路などの高集積化などにより、配線幅、配線間隔、デバイス間距離などがますます縮小化している。そうした縮小化された部品や製品を扱う製造産業では、その製造環境中に存在するほんの僅かな微小ダストさえも、配線間ショート、断線、デバイス破壊などの原因となり、製品の不良率を高めることとなるので、歩止まりを向上して、生産効率、コスト低減のため、さらには製品の品質向上などのためにはダスト管理は最重要事項の一つとなっている。また、製薬工業、食品製造業などでは、生物微粒子などにより健康などに悪影響を及ぼすような汚染の防止も重要視されている。各工場ではクリーンルームの設置によって微小ダストの除去・抑制に努めているが、発塵によって歩止まりが大きく影響を受け、精密製品の品質管理において重要な課題となっている。特に、人体に由来するダストは主要因とみなされ、現場に適用可能な検出法が求められている。
ところで、従来技術としては、臨床検査および生化学分野で用いられている一般的なタンパク質検出法である下記(1)や(2)の方法:
(1)クマシーブリリアントブルー等のタンパク質と結合して青色に呈色する色素を使用する方法
(2)蛍光性色素をタンパク質に結合させて、暗所で紫外光を照射して励起し、生じる発光を検出する方法
が有るが、上記したような工業生産現場に適用可能な技術は存在しない。これは、ミクロンレベルの人体ダストを顕微鏡下で検出するための工業用途に着眼した研究がこれまで行われていなかったことが、主な理由である。
このようにミクロンレベルの人体ダストを検出する技術は未だ開発されてはいないが、生体試料検出のための公知技術としては、上記(1)に示す通り、クマシーブリリアントブルー等のタンパク質と結合して青色に呈色する色素を使用する方法が主として用いられている。この技術は、臨床試料溶液中のタンパク質測定や食品分野の拭き取り検査における目視検出法として用いられる。こうした青色に呈色する色素を使用する理由としては、生体試料自体が黄色〜赤色系統の場合が多いことから、これまで青色が選択されていると考えられる。しかし、青色は顕微鏡サイズの微小試料への適用においては色調が不明瞭となるため、本目的には適用できない。
また、上記(2)の蛍光性色素による染色も細胞内物質や生体試料の検出に一般的に用いられる方法であるが、暗所で紫外部励起する蛍光法は多種類のダストの中で人体由来のダストを特定するための実用法としては全く適さない。
本発明者は、これまでに、水溶液中に溶存する微量タンパク質の測定を目的としてブロモクロロフェノールブルーとメンブランフィルター捕集を用いる目視比色法を開発している(特許文献1=特開平11-304803号公報)。しかし、該試料中のタンパク質の分析法及びそのキットでは、メンブランフィルターへの濃縮と解離型色素の青色を積極的に利用して肉眼に鋭敏なタンパク質検出を実現しているが、人体ダスト検出の目的には適用できない。
特開平11-304803号公報
半導体・電器電子産業・製薬工業などクリーン環境を必要とする生産現場において、人体に由来する微小ダストの検出が重要な課題となっている。クリーンルームの設置によって生産環境の改善が図られるが、部品の補充や装置点検のため稼働中に人間の出入りは不可欠である。そうした人間の存在自体により、クリーン環境であるはずのクリーンルームにおいて人体に由来する微小ダストが発生することとなり、それが汚染の問題を引き起こす。従って、人体由来のダストの検出は各種の工場に共通の問題となっている。精密工業分野でのクリーン環境における不可避的なダストの発生原因を突き止め、例えば、人由来のダストであればそれを簡単な手法で且つ確実に検出し、対策を速やかに施すことを可能にし、精密製品の不良率を低減せしめ、歩止まりを向上させ、生産効率、コスト低減のため、さらには製品の品質向上のために人体ダスト検出をなすことが、強く求められている。
よって、本発明は、半導体・電器電子産業・製薬工業などクリーン環境を必要とする生産現場で問題とされるミクロンレベルの人体ダストの測定・検知技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者は、簡単に実施でき、しかも確実に短時間でミクロンレベルの人体ダストの判別ができる検出手法として、目視などで判別でき且つ色素を使用した人体ダストを染色しての検知法を開発すべく鋭意研究を進めた結果、微量タンパク質測定で使用されるブロモクロロフェノールブルーによる青色の発色を利用するのでなく、逆に色素のプロトン付加体によって与えられる鮮明な黄色の発色を利用すると、顕微鏡検出に有利な色での染色を実現できて、簡単に微細な人体ダストを、検出でき、金属等の粉末ダスト(樹脂、シリコンなどのダストも含まれる)などと容易に弁別できることを見出して、本発明を完成した。
本発明では、以上の通り公知の技術を適用することが不可能な課題に対して、タンパク質と結合して鮮明な黄色に発色する色素染色法を開発し、ミクロンサイズの人体ダストを顕微鏡下で簡便かつ高感度に現場分析する手法を開発したものである。
本発明は、次なる態様を提供している。
〔1〕人体由来ダストの測定及び/又は検知法であって、ミクロンサイズの人体ダストを含有している試料を、タンパク質と結合して鮮明な黄色に発色する色素試薬と接触せしめ、得られた黄色染色物を顕微鏡下に観察することを特徴とする人体由来ダストの測定及び/又は検知法。
〔2〕人体ダストを含有している試料がクリーンルームより捕集されたもので、色素試薬がブロモクロロフェノールブルーを含む酸性水溶液であることを特徴とする上記〔1〕に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知法。
〔3〕色素試薬がブロモクロロフェノールブルーと塩酸を含む水溶液であることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知法。
〔4〕色素試薬が1×10-4〜1×10-3mol dm-3のブロモクロロフェノールブルーと0.05〜0.08 N 塩酸を含む水溶液であることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知法。
〔5〕色素試薬が5×10-4mol dm-3のブロモクロロフェノールブルーと0.06 N 塩酸を含む水溶液であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知法。
〔6〕人体由来ダストの測定及び/又は検知のための試薬であり、且つ、ミクロンサイズの人体ダストを含有している試料を該試薬で染色処理した後、得られた黄色染色物を顕微鏡下に観察するためのものであり、タンパク質と結合して鮮明な黄色に発色する色素を含有していることを特徴とする人体由来ダストの測定及び/又は検知用試薬。
〔7〕人体ダストを含有している試料がクリーンルームより捕集されたもので、ブロモクロロフェノールブルーを含む酸性水溶液であることを特徴とする上記〔6〕に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知用試薬。
〔8〕ブロモクロロフェノールブルーと塩酸を含む水溶液であることを特徴とする上記〔6〕又は〔7〕に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知用試薬。
〔9〕1×10-4〜1×10-3mol dm-3のブロモクロロフェノールブルーと0.05〜0.08 N 塩酸を含む水溶液であることを特徴とする上記〔6〕〜〔8〕のいずれか一に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知用試薬。
〔10〕5×10-4mol dm-3のブロモクロロフェノールブルーと0.06 N 塩酸を含む水溶液であることを特徴とする上記〔6〕〜〔9〕のいずれか一に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知用試薬。
〔11〕ブロモクロロフェノールブルーを含む酸性水溶液及び一定の濡れ性及び疎水性を有するメンブランフィルタを含んでいる、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一に記載の方法に使用される人体由来ダストの測定及び/又は検知キット。
〔12〕人体ダストを含有している試料がクリーンルームより捕集されたもので、ブロモクロロフェノールブルーと塩酸を含む水溶液及び混合セルロースエステルのメンブランフィルタを含んでいる、上記〔11〕に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知キット。
〔13〕1×10-4〜1×10-3mol dm-3のブロモクロロフェノールブルーと0.05〜0.08 N 塩酸を含む水溶液及び混合セルロースエステル(ポアサイズ0.1〜0.45μm)のメンブランフィルタを含んでいる、上記〔11〕又は〔12〕に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知キット。
〔14〕5×10-4mol dm-3のブロモクロロフェノールブルーと0.06 N 塩酸を含む水溶液及び混合セルロースエステル(ポアサイズ0.2μm)のメンブランフィルタを含んでいる、上記〔11〕〜〔13〕のいずれか一に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知キット。
〔15〕ブロモクロロフェノールブルーを含む酸性水溶液を収容した容器と一定の濡れ性及び疎水性を有するメンブランフィルタを含んでいることを特徴とする人体由来ダストの測定及び/又は検知キット。
〔16〕ブロモクロロフェノールブルーと塩酸を含む水溶液を1〜5mL収容した蓋付プラスチック製又はガラス製試験管と混合セルロースエステルのメンブランフィルタを含んでいる、上記〔15〕に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知キット。
本発明によって、生産現場における人体由来の発塵に関して、場所やダスト量を特定して迅速に対策を施すことが可能となるため、精密工業製品の歩止まりを大幅に改善できる。多種類のダストが共存する中で、タンパク質だけが鮮明な黄色に発色することから、特殊な装置や熟練した技術を必要とすることなく、顕微鏡下で、迅速簡便に明瞭な識別が達成できる。本発明では、タンパク質と結合して鮮明な黄色に発色する色素染色法によって、ミクロンサイズの人体ダストを顕微鏡下で簡便かつ高感度に現場分析する手法が与えられ、クリーン環境を必要とする生産現場において、多くは黒色系統の異種ダストが共存する中で、タンパク質だけを識別し人体に由来するダストの起源を特定できる。さらに、町工場など、様々な環境の室内などにおいて生物由来のダストの検知にも利用できて、クリーンな環境を評価することが可能である。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明は、人体由来ダストの測定及び/又は検知法及びそのための人体由来ダスト測定及び/又は検知試薬並びに試薬セットを提供している。本発明の人体由来ダスト測定及び/又は検知技術は、染色法を利用した顕微鏡下の観察に基づくもので、ミクロンサイズの人体ダストを含有している試料を、タンパク質と結合して鮮明な黄色に発色する色素試薬と接触せしめ、得られた黄色染色物(鮮濃黄色に着色されたもの)を顕微鏡下に観察することを特徴とする。
タンパク質に結合して鮮明な黄色を与える色素としては、当該分野で知られた色素から選択することができるが、好適には、ブロモクロロフェノールブルー(Bromochlorophenol Blue; BCPB, 3',3"-dibromo-5',5"-dichlorophenolsulfonephthalein; C19H10Br2Cl2O5S, Formula Weight 581.06, CAS RN: 2553-71-1)が用いられて優れた結果を与える。この色素は、次なる化学式:
を有しており、pH4.2に酸解離定数を持つ二塩基酸色素であり解離型は青色を呈する。特開平11-304803号公報において、本発明者は、ブロモクロロフェノールブルーを使用して水溶液中に溶存する微量タンパク質の測定を目的とした目視比色法を開発しているが、そこでは図1に示すブロモクロロフェノールブルー液の吸収スペクトル特性を考慮して、青色成分を検出用に使用している。すなわち、図1は、pH3.0におけるブロモクロロフェノールブルー(3.5×10-5mol dm-3)含有水溶液の吸収スペクトルであるが、(a)ヒト血清アルブミン(HSA)が存在しない場合のもの、(b)100mg/LのHSAを含有している場合のもの、そして(c)300mg/LのHSAを含有している場合のもので、(a)より435nmと590nmを中心とする領域に二つのスペクトル成分(435nm:青色及び590nm:黄色)が存在することがわかるが、当該ブロモクロロフェノールブルーは、タンパク質(すなわち、HSA)が共存すると、そのタンパク質濃度が増加すればするほど、黄色のバンドは低くなり、一方青色のスペクトル成分は強くなるので、青色を微量タンパク質の測定に使用している。
しかし、人体ダストを含んでいる試料中には、様々なダストが含まれており、ミクロンレベルといったサイズの微小なダストを含む試料の中で、人体ダストを検出するのにそれを使用することはできない。特に、顕微鏡下での目による観察では、人体由来ダストとそれ以外のダストとの区別が青色を使用したのでは全く不可能であり、よって、原因解明ができないため(ダストが何に由来するのかを判断できないため)微小ダストの除去・抑制対策ができない。
上記図1のブロモクロロフェノールブルー液の吸収スペクトル特性より、タンパク質の共存下ではスペクトルが弱まるバンド域である黄色成分を、人体ダストを含んでいる試料における人体ダストのタンパク質の染色で利用すると、予想外にも、プロトン付加体の鮮明な黄色でタンパク質を染色できて、人体由来ダスト以外のダストとの弁別することが可能であることを見出した。
本発明では、ブロモクロロフェノールブルーのプロトン付加体の鮮明な黄色でタンパク質を染色するため、酸性条件下、例えば、塩酸酸性下に検知のための反応を行う。人体ダストの染色は、ブロモクロロフェノールブルーの酸性水溶液で染色処理することにより実施できる。染色処理は、試料に該ブロモクロロフェノールブルーの酸性水溶液を1滴又は2滴程度といった少量を滴下することで達成できる。染色処理は、好適には、メンブランフィルタ上で行うと優れた結果を得ることができる。典型的な場合には、人体ダストと、色素であるブロモクロロフェノールブルーのプロトン付加体との間での反応の時間を確保すると共に、一方で、当該反応に際して液体がある面積に拡散して被染色物と接触することとなって染色された物の弁別が可能になる(あるいは容易になる)ことが必要であることから、一定の特性を有するメンブランフィルタ上で行われる。当該反応時間としては、例えば、2分間程度でメンブランフィルタ上に滴下された色素試薬がフィルタに吸収されるといったものであることが挙げられる。当該メンブランフィルタは、上記機能を有するものが好ましいが、当該機能は、適当な濡れ性と同時に、適当な疎水性を有することで達成できる。該メンブランフィルタは、当該分野で当業者に知られたもの、あるいは当該分野の製造業者又は販売業者により市場に流通せしめられているもののなかから適切なものを選んでそれを使用することができるが、好ましいものとしては、混合セルロースエステルからなるメンブランフィルタが挙げられる。例えば、メンブランフィルタは、混合セルロースエステルメンブランフィルタ(ADVANTEC社)などが含まれてよく、孔径が約0.1〜3.0μm程度のもの、好ましくは約0.15〜1.5μm程度のもの、ある場合には約0.15〜1.0μm程度のものを使用でき、より好ましくは約0.18〜0.65μm程度のもので、典型的には、例えば、約0.2μmや約0.45μmのものである。メンブランフィルタは、Millipore社からも同様な性状を持つものを入手可能である。
ブロモクロロフェノールブルー水溶液は、例えば、ブロモクロロフェノールブルー(0.04 g)を水に溶解して100 mLにすることなどで調製できる。ブロモクロロフェノールブルー水溶液を酸性とするには、酸を加えることにより行われる。得られたブロモクロロフェノールブルー水溶液を塩酸で酸性にしてブロモクロロフェノールブルー酸性水溶液を調製できる。ブロモクロロフェノールブルー水溶液は、ブロモクロロフェノールブルーを酸性水に溶解せしめて調製することもできる。酸としては、塩酸を好適に使用できる。
水溶液中のブロモクロロフェノールブルーの濃度は、所定の結果が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、5×10-5〜2×10-3mol dm-3、好適には1×10-4〜1×10-3mol dm-3、典型的な場合には(2〜7)×10-4mol dm-3であり、例えば、約5×10-4mol dm-3である。水溶液中の塩酸の濃度は、所定の結果が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、0.04〜0.1 N、好適には0.05〜0.08 N、典型的な場合には0.055〜0.075 N、例えば、約0.06 Nである。
染色されたダストの観察に使用する顕微鏡は、通常の光学顕微鏡を使用することができる。顕微鏡の倍率は、特に限定されず、対象ダストのサイズに合わせて適宜適当な倍率とすることができる。検出対象ダストのサイズとしては、100μm程度のもの、さらには40μm程度あるいはそれ以下のもの、ある場合には10〜20μm程度のものである。検出対象ダストのサイズとしては、さらに微小なものも、顕微鏡の倍率を上げることなどで、検出対象とできるが、そうすると視野が狭いこととなるので観察に時間がかかることとなる。
本発明で測定対象となる試料は、人体に由来するダストが存在する可能性のあるものがすべてその対象となるが、特には、半導体・液晶などを含めた電器電子産業などクリーン環境を必要とする生産現場、代表的にはクリーンルームにおけるものである。クリーンルームとは、室内の汚染物質の量(個数)が所定以下に制御され維持されている空間を意味しており、通常、肉眼では見ることのできない微粒子・細菌を除去するのはもちろん、温度、湿度、圧力、気流などのコントロールを行い、無塵・無菌の清浄空間を実現しようとするもので、工業分野、医療・薬品分野、食品分野などで使用されている。
対象である人体由来ダストは、通常、肉眼では見ることのできないレベルのものであり、例えば、ミクロンレベルのサイズの人体ダストを包含するものである。
人体ダスト含有試料は、降下法または吸引法によって捕集したダストを意味してよい。降下法での捕集の場合、自然落下によってもよいし、遠心処理によってもよい。吸引法での捕集では、適宜、吸引流量、集塵時間などを選択して行うことができる。一般的には、吸引法では、フィルタを使用してダストを該フィルタ上に収集する。好ましくは、該集塵用フィルタは、色素試薬との接触を行う場合用のメンブランフィルタを使用することができる。クリーンルームに設置されている排塵ダクトを利用して、測定用試料を収集することもできる。
本発明では、人体由来ダストの測定及び/又は検知に使用することが便利なように構成されたキットを提供でき、該キットは、例えば、色素試薬、すなわち、ブロモクロロフェノールブルーを含む酸性水溶液を収容した容器と、一定の特性を備えたメンブランフィルタを含んでいることを特徴とする。一回の測定では、被検試料当たり、0.1〜0.2mLの色素試薬、例えば、5×10-4mol dm-3のブロモクロロフェノールブルーと0.06 N 塩酸を含む水溶液でもって染色処理することができる。測定に必要なメンブランフィルタの面積も、5×5mm2〜2×2cm2程度で十分であるが、とくにそれに限定されない。容器の容量は、特に限定されないが、2〜5 mL程度の色素試薬を含むようにすることができる。容器は、プラスチック製でも、ガラス製であってもよく、蓋の付いたものが液を密封できることから好ましい。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
降下法または吸引法によって捕集したダスト上に、5×10-4mol dm-3のブロモクロロフェノールブルーと0.06 N 塩酸を含む水溶液を滴下し、ダストを染色する。吸引捕集の場合には、混合セルロースエステル(ポアサイズ0.2μm)等のメンブランフィルタを使用し、フィルター上に上記の染色液を直接滴下して染色を行う。この試料を顕微鏡観察へ供する。降下法による捕集の場合には、捕集容器に染色液を滴下して染色を行い、メンブランフィルター上に溶液のすべてを流し入れる。ろ取したダストを顕微鏡観察に供する。
混合セルロースエステルメンブランフィルタ(ポアサイズ0.2μm: ADVANTEC社)上で人体ダストである爪ダストに一滴の色素試薬(5×10-4mol dm-3のブロモクロロフェノールブルーと0.06 N 塩酸を含む水溶液)を滴下し、液がフィルタに完全に拡散し吸収された後(吸収されるのに2分間ほどかかった)、黄色に染色された人体ダストを顕微鏡で観察した。結果を図2〜4に示す。図2及び3には、200.000μmのスケールが図中に示されている。人体ダストは、薄い明るい黄色の背景の中濃い黄土色に染色されている。図4には、20.000μmのスケールが図中に示されている。人体ダストは、薄い青緑黄色の背景の中濃い黄土色に染色されている。図5には、クリーンルームより捕集されたダスト含有試料を同様に染色し、顕微鏡で観察した結果を示し、そこには100.000μmのスケールが図中に示されている。人体ダストは、薄い青緑黄色の背景の中濃い黄土色に染色されているが、人体ダスト以外のダストは全く染色されずに黒色のまま存在し、互いが弁別できることがわかる。
本発明では、多種類のダストが共存する中でタンパク質だけを鮮明な黄色に染色することによって、特殊な装置や熟練した技術を必要とせず、顕微鏡下で迅速簡便に識別できる。特に、クリーン環境を必要とする生産現場などでは、多くは黒色系統の異種ダストが共存するので、それらの中からタンパク質だけを識別し、人に由来するダストを検知して、そのダストの起源を特定できるので、発生予防などの対策も迅速に且つ的確にできるようになる。本発明によって人体に由来する発塵の場所や原因を特定し迅速に対策を施すことが可能となるため、精密工業製品の歩止まりの大幅な改善に寄与できる。さらに、製薬工業、食品製造業などで問題とされる生物(由来)微粒子などの検出にも使用できて、汚染防止などの観点からも有用である。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
pH3.0におけるブロモクロロフェノールブルー(3.5×10-5mol dm-3)含有水溶液の吸収スペクトル特性を示す。(a)ヒト血清アルブミン(HSA)が存在しない場合、(b)100mg/LのHSAを含有している場合、そして(c)300mg/LのHSAを含有している場合で、(a)より435nmと590nmを中心とする領域に二つのスペクトル成分(435nm:青色及び590nm:黄色)が存在する。 人体ダストである爪ダストを本発明の色素染色法で黄色に染めた試料を顕微鏡で観察した顕微鏡写真である。 人体ダストである爪ダストを本発明の色素染色法で黄色に染めた試料を顕微鏡で観察した顕微鏡写真である。 人体ダストである爪ダストを本発明の色素染色法で黄色に染めた試料を顕微鏡で観察した顕微鏡写真である。 クリーンルームより捕集されたダスト含有試料を本発明の色素染色法で黄色に染めた試料を顕微鏡で観察した顕微鏡写真である。

Claims (7)

  1. 人体由来ダストの測定及び/又は検知法であって、ミクロンサイズの人体ダストを含有している試料を、タンパク質と結合して鮮明な黄色に発色する色素試薬と接触せしめ、得られた黄色染色物を顕微鏡下に観察することを特徴とする人体由来ダストの測定及び/又は検知法。
  2. 人体ダストを含有している試料がクリーンルームより捕集されたもので、色素試薬がブロモクロロフェノールブルーと塩酸を含む水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知法。
  3. 色素試薬が1×10-4〜1×10-3mol dm-3のブロモクロロフェノールブルーと0.05〜0.08 N 塩酸を含む水溶液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知法。
  4. 人体由来ダストの測定及び/又は検知のための試薬であり、且つ、ミクロンサイズの人体ダストを含有している試料を該試薬で染色処理した後、得られた黄色染色物を顕微鏡下に観察するためのものであり、タンパク質と結合して鮮明な黄色に発色する色素を含有していることを特徴とする人体由来ダストの測定及び/又は検知用試薬。
  5. 人体ダストを含有している試料がクリーンルームより捕集されたもので、ブロモクロロフェノールブルーと塩酸を含む水溶液であることを特徴とする請求項4に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知用試薬。
  6. 1×10-4〜1×10-3mol dm-3のブロモクロロフェノールブルーと0.05〜0.08 N 塩酸を含む水溶液であることを特徴とする請求項4又は5に記載の人体由来ダストの測定及び/又は検知用試薬。
  7. ブロモクロロフェノールブルーと塩酸を含む水溶液及び混合セルロースエステルのメンブランフィルタを含んでいる、請求項1〜3のいずれか一に記載の方法に使用される人体由来ダストの測定及び/又は検知キット。
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