JP2006346020A - 皮膚性状の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾力性、柔軟性、弛み度の他に、つっぱり度、つっぱり方向、潤い感、べとつき感、つや、滑らかさ、はり等の種々の皮膚性状を数値的に評価することを可能とする新たな評価手法を提供する。
【解決手段】外力による皮膚表面上の短時間の変化を高速度カメラで撮影し、その画像に現れる皮膚の表面状態の変化を画像処理により解析して皮膚性状を評価する。外力の付加方法としては、皮膚表面の評価部位への圧縮ガスの噴射等を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、高速度カメラを用いた皮膚性状の評価方法に関する。
皮膚の応力に対する表面特性を評価するために、皮膚表面の被測定部に圧縮ガスを噴射し、その表面変位を光学的に測定し、噴射からの時間と表面変位との関係を調べる方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
この方法によれば、皮膚に直接的に機械的応力を与えてその変位を計測する従前の皮膚の弾力性の評価方法に比して、皮膚に非接触で、被験者に不快感を与えることなく、皮膚の弾力性、柔軟性、弛み度等を評価することができる。
特開昭61−238224号公報 特開2004−108794号公報
しかしながら、上述の方法では、評価項目が、弾力性、柔軟性、弛み度といった応力に関する表面特性に限られる。
そこで本発明は、弾力性、柔軟性、弛み度の他に、つっぱり度、つっぱり方向、潤い感、べとつき感、つや、滑らかさ、はり等の種々の皮膚性状を解析することを可能とする新たな評価手法を提供することを目的とする。
本発明者らは、圧縮ガスの噴射等により皮膚表面に外力を加えた場合の皮膚表面の形状、色、つや等についての短時間の変化を高速度カメラで捉え、その変化を画像処理で解析することにより種々の皮膚性状を評価できることを見出した。
即ち、本発明は、外力による皮膚表面上の短時間の変化を高速度カメラで撮影し、その画像に現れる皮膚の表面状態の変化を画像処理により解析する皮膚性状の評価方法を提供する。
また、本発明は、押圧又は吸引により皮膚の評価部位に外力を加える外力付加手段、
外力の付加の前後にわたり皮膚の評価部位の画像を撮影する高速度カメラ、及び
高速度カメラで撮影した画像を画像処理し、外力の付加により画像に現れた評価部位の短時間の変化を画像処理により解析する演算手段を備えた皮膚性状の評価システムを提供する。
本発明の評価方法によれば、皮膚表面に外力を加えたときに個々の皮膚性状に応じて現れる皮膚表面の一時的な変化を高速度カメラで捉え、画像処理により解析するので、処理結果を数値解析することも可能となり、皮膚のつっぱり度、つっぱり方向、潤い感、べとつき感、つや、滑らかさ、はり、弾力性、柔軟性、弛み度等の種々の表面性状を客観的に解析することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
図1は、本発明の評価方法を実施する評価システムの一例の概略構成図である。この評価システム100は、皮膚表面の評価部位Sに外力を加える外力付加手段の一つとして噴射ノズル1を備えている。また、評価部位Sを撮影する高速度カメラ10、高速度カメラ10で撮影した画像を画像処理する演算手段20、評価部位Sを照明する照明手段30、及び顔面内に評価部位Sを設定する場合の評価部位Sの固定手段40を備えており、演算手段20には、高速度カメラ10で撮影した画像や、演算処理結果等を表示するディスプレイ21が接続されている。
ここで、照明手段30としては、皮膚温の上昇を避けるために、熱が皮膚に伝わり難いものを使用することが好ましく、この評価システム100ではメタルハライドを光源とするファイバー照明が設けられている。この他、照明手段30としては、赤外照明等を使用することができる。また、照明手段30は、高速度カメラ10による早いシャッタースピードに対応して、通常のカメラで撮影する場合よりも相対的に高い照度のものが好ましく、照明方向は、評価部位Sの法線方向とすることが好ましい。
固定手段40は顎載せ台と額当てからなる。
なお、この評価システムにおいて、評価部位Sは、皮膚表面であれば特に制限はなく、評価目的に応じて、素肌でも化粧肌でもよい。
噴射ノズル1は、評価部位Sとする皮膚表面が一時的に凹む程度に空気、窒素、二酸化炭素等の体に害を与えない圧縮ガスを噴射するもので、噴射ノズル1には、圧縮ガスを蓄える貯気室2、貯気室2内の気圧を所定の圧力に調整するリミッタ3、貯気室2と噴射ノズル1の間に設けられた電磁弁4、電磁弁4を動作可能状態におくか否かをON−OFFする操作スイッチ5が設けられており、電磁弁4の動作で圧縮ガスが噴射ノズル1から噴出される。また、貯気室2にはシリンダー部6が接続され、圧縮ガスの圧力を調整している。
貯気室2における圧縮ガスの圧力や噴射ノズル1の開口面積は、評価部位Sによって適宜変えることが好ましい。例えば、人の顔の頬を評価部位Sとする場合、貯気室2のガス圧は0.01〜0.5MPaとし、噴射ノズル1の開口径は0.5〜10mmとすることが好ましい。また、腕、肩、胸部、背部、腹部、大腿部、ふくらはぎ部等の体躯を評価部位とする場合には、ガス圧と噴射ノズル1の開口径をより大きくすることが好ましい。
噴射ノズル1は、評価部位Sに圧縮ガスをできる限り拡散させることなく噴射させるため、先端が絞り構造となっている。噴射ノズル1の設置角は、評価部位Sに対して圧縮ガスが法線方向から噴射されるようにすることが好ましい。
噴射ノズル1と評価部位Sとの距離は、評価部位や噴射圧にもよるが、通常、0.5〜100mmが好ましい。
なお、本発明の評価システムにおいて、皮膚の評価部位Sに外力を加える外力付加手段としては、圧縮ガスを噴射する噴射ノズルに代えて、水を噴射する噴射ノズルや、皮膚表面を吸引する吸引ノズル等を設けてもよい。
高速度カメラ10は、噴射ノズル1が評価部位Sに圧縮ガスを噴射する直前から、噴射している間、及び噴射後に至るまでの画像を高速で連続的に撮り、評価部位Sに圧縮ガスを吹き付けることにより現れ、吹き付けをやめると、直ちにあるいは漸次消失する皮膚表面上の形状、光沢あるいは色の短時間の変化を捉えるものである。ここで、皮膚表面上の短時間の変化とは、皮膚表面に加える外力の種類、強さ、個々の皮膚性状等によって異なり、個人差もあるが、通常、外力の印加をやめてから1.2秒以内、特に、0.2秒以内に消失する変化をいう。
このような短時間の形状の変化としては、例えば、圧縮ガスの噴射により、個々の皮膚性状に応じて画像上に現れる小皺、皮膚の凹み、毛穴等がある。図2は、小皺が現れることなく凹んだ皮膚表面の画像であり、図3(a)は、凹みと共に、凹みの縁部分に小皺が出現した画像であり、図4(b)は、圧縮ガスの噴射前には同図(a)に示すように観察されなかった毛穴が、圧縮ガスの噴射により、観察されるようになった毛穴の画像である。なお、このような小皺や凹みや毛穴は、圧縮ガスの噴射の停止により直ちに消失する。
皺の出現態様としては、図5(a)に示すように、圧縮ガスの噴射前には評価部位Sに小皺はなかったが、圧縮ガスの噴射時には同図(b)に示すように、噴射圧による凹みPに至る小皺Q1が既存の皺Q0と連続するようにできたり、凹みPを起点として新たに長い皺Q2ができたりする場合がある。なお、皮膚性状によっては、圧縮ガスの噴射前から評価部位Sの近傍に皺がある場合に、圧縮ガスの噴射により凹みPは生じても、新たな皺はできない場合もある。
短時間の光沢の変化としては、圧縮ガスの噴射による皮膚の凹みの中に生じる不定形の光沢や凹みの縁に生じるリング状の光沢がある。図6(a)は、凹みの中に僅かな光沢があるがリング状の光沢は現れなかった画像であり、図7(a)は、凹み中の光沢とリング状の光沢が比較的強く現れた画像である。このような光沢は、圧縮ガスの噴射前及び噴射後には生じず、圧縮ガスの噴射時にのみ観察される。
リング状の光沢の出現態様としては、図8(a)に示すように、凹みPの周りに略円形のリング状の光沢Rが観察される場合、同図(b)に示すように、変形したリング状の光沢Rが観察される場合、同図(c)に示すように、弧状に光沢Rが観察される場合、同図(d)に示すように観察されない場合がある。
また、リング状光沢Rの出現態様としては、図9に示すように、圧縮ガスの噴射による凹みPの大きさが噴射の開始直後(噴射開始後0.01〜0.02秒)と終了時(噴射開始後0.05〜0.06秒)とであまり変化しないために、凹みPの縁にある光沢Rも噴射の間の移動量Lが少ない場合(同図a)と、噴射の間の凹みPの大きさが噴射の開始直後と終了時とで大きく変わるために凹みPの縁にある光沢Rの移動量Lも大きい場合(同図b)とがある。
短時間の皮膚色の変化としては、圧縮ガスの噴射により皮膚表面から一時的に血液が排除されたときの白っぽい肌の色、もしくは噴射停止後に色が元に回復する過程の皮膚色等がある。また、噴射ノズル1に代えて吸引ノズルを設けた場合には、評価部位Sを短時間(例えば3〜5秒)吸引することにより赤みを帯びた皮膚色が元に回復する過程の変化がある。図10は、吸引により赤みを帯びた評価部位の吸引終了後0.2秒(同図a)と1.2秒(同図b)の画像である。
高速度カメラ10としては、上述のような皮膚の一時的な形状、光沢、あるいは色の変化を捉えられるように、解像度が100〜150pixel/inch、シャッタースピード60フレーム/秒以上のデジタルカメラが好ましく、静止画と動画の双方を撮れるものが好ましい。また、高速度カメラ10のシャッターの始動タイミングを噴射ノズル1からの圧縮ガスの噴射に連動させることが好ましい。
高速度カメラ10の撮影方向は、評価部位Sの法線方向とすることが好ましく、さらに、この撮影方向に加えて、前述の噴射ノズル1の噴射方向及び照明手段30の照明方向の全てを評価部位Sの法線方向とすることが好ましく、これらを一体化させることがより好ましい。
高速度カメラ10は、必要に応じて複数台設け、圧縮ガスの噴射による凹みの形状等について、3次元情報を得られるようにしてもよい。
演算手段20は高速度カメラ10で撮影した画像を画像処理し、数値化するもので、パーソナルコンピュータに公知の画像解析ソフトを搭載したものを使用することができる。より具体的には、高速度カメラ10で撮影した画像に現れた、皮膚の皺、光沢等の成長、移動、復元、消失等の経時変化に着目し、皮膚のはり、弾力性、柔軟性を評価する。かかる計測のため、必要に応じて評価部位Sに複数の基準点を付しておき、基準点間の距離の変化を計測してもよい。
また、画像をグレイスケールに変換し、所定の閾値で二値化し、必要に応じてノイズを除去した後の画像に現れる皺の本数、長さ、面積、皺の出現方向等を計測する。
例えば、図3(a)の圧縮ガスの噴射により凹んだ皮膚の画像は、同図(b)のように二値化され、同図(c)のようにノイズが除去される。そこで、このノイズ除去画像に現れた皺の本数、長さ又は面積を計測し、皮膚のつっぱり度を数値評価する。この数値評価においては、皺の本数、皺の長さ、皺の面積が大きいほどつっぱりが大きく、保湿性が欠如している。さらに、矢印Aで示した皺の出現方向及び長さから、皮膚のつっぱり方向を評価することができる。
また、図6(a)のようにリング状光沢のない画像と図7(a)のようにリング状光沢のある画像は、所定の閾値で二値化すると、それぞれ図6(b)、図7(b)の画像となり、ノイズを除去すると図6(c)、図7(c)の画像となる。そこで、こうして得られる画像に現れる光沢領域の形状、面積、噴射している間の光沢領域の移動量等を計測する。これにより、潤い感、べとつき感、つや、滑らかさ、はり、弾力性、柔軟性等を数値評価することができ、例えば、光沢領域の面積が大きいほど潤い感、べとつき感、つやがあり、圧縮ガスを噴射している間の光沢領域の移動量が大きいほど柔軟性に欠け、光沢の変動速度が速いほど、皮膚にはりや弾力性がある。
本発明により得られる皮膚性状の種々の評価数値は、美容目的で個々の被験者の肌状態の変化を見る場合、化粧料、美容方法、加齢、季節等が皮膚性状に及ぼす影響を調べる場合、化粧品やスキンケア手法の開発等において有用となる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
実施例1(圧縮ガスの噴射による小皺)
60歳の女性の頬の皮膚であって、洗顔直後でつっぱり感のある状態と、保湿化粧料を用いてスキンケアをした後のつっぱり感のない状態のそれぞれを評価対象とし、図1に示したシステムにより圧縮ガスを噴射し、その圧縮ガスの吹き付け部位の画像を高速度カメラ(NAC MEMRECAMfxRX-5,512x484pixel,500fps)で撮影した。この場合、噴射ノズルの直径は1.5mm、貯気室における圧縮ガスの圧力は1.2気圧(0.12MPa)、圧縮ガスの噴射方向は皮膚に対して45度とし、皮膚の評価部位と噴射ノズルとの距離は50mmとした。
その結果、図11(a)に示すように、スキンケア前のつっぱり感のある皮膚の画像には、噴射による皮膚の凹みの周りに多くの皺が観察されたが、同図(b)に示すように、スキンケア後の皮膚の画像では皺が低減していた。
実施例2(圧縮ガスの噴射によるリング状の光沢)
31歳の女性の頬の皮膚であって、洗顔直後でつっぱり感のある状態と、保湿化粧料を用いたスキンケア後のつっぱり感のない状態のそれぞれを評価対象とし、実施例1と同様にして圧縮ガスを噴射した皮膚の画像を撮影し、皮膚の凹みの最大時におけるリング状の光沢の直径を計測した。
その結果、図12(a)に示すように、スキンケア前のつっぱり感のある皮膚の画像では、リング状の光沢が不鮮明であったのに対し、同図(b)に示すように、スキンケア後の皮膚の画像ではリング状の光沢が明瞭に観察された。
実施例3(圧縮ガスの噴射によるリング状の光沢)
20歳代から60歳代までの女性で、各年代4〜8名、合計32名の被験者の頬を評価対象とし、実施例1と同様にして圧縮ガスを噴射した皮膚の画像を撮影し、各皮膚の凹みの最大時におけるリング状の光沢の直径を計測した。
この集計結果を図13に示す。同図から、年代により、リング状の光沢の直径に差異のあることがわかる。
本発明の皮膚性状の評価方法及びシステムによれば、皮膚性状あるいはその変化を数値評価することが可能となるので、化粧品やスキンケア方法の開発、販売促進等において有用である。
皮膚表面性状の評価システムの概略構成図である。 圧縮ガスにより凹んだ皮膚表面の画像(小皺なし)である。 圧縮ガスにより凹んだ皮膚表面の画像(小皺あり)(a)とその二値化画像(b)及びノイズ除去画像(c)である。 圧縮ガスの噴射により観察されるようになった毛穴の画像である。 圧縮ガスの噴射により皮膚表面に生じる凹みと皺の説明図である。 圧縮ガスの噴射により僅かに光沢が生じた皮膚表面の画像(a)とその二値化画像(b)及びノイズ除去画像(c)である。 圧縮ガスの噴射によりリング状光沢が生じた皮膚表面の画像(a)とその二値化画像(b)及びノイズ除去画像(c)である。 圧縮ガスの噴射により生じるリング状光沢の説明図である。 圧縮ガスの噴射により生じるリング状光沢の、皮膚の断面方向からの説明図である。 吸引により赤みを帯びた皮膚の画像である。 圧縮ガスの噴射により生じる皺のスキンケア前後の画像である。 圧縮ガスの噴射により生じるリング状の光沢のスキンケア前後の画像である。 圧縮ガスの噴射により生じるリング状光沢の直径と年齢との関係図である。
符号の説明
1 噴射ノズル
2 貯気室
3 リミッタ
4 電磁弁
5 操作スイッチ
6 シリンダー部
10 高速度カメラ
20 演算手段
21 ディスプレイ
30 照明手段
40 固定手段
100 評価システム
L 移動量
P 凹み
Q0 既存の皺
Q1、Q2 圧縮ガスの吹き付けにより生じた皺
R 光沢
S 評価部位

Claims (6)

  1. 外力による皮膚表面上の短時間の変化を高速度カメラで撮影し、その画像に現れる皮膚の表面状態の変化を画像処理により解析する皮膚性状の評価方法。
  2. 圧縮ガスを皮膚表面の評価部位に噴射し、評価部位の画像に現れる小皺に基づいて皮膚性状を評価する請求項1記載の評価方法。
  3. 圧縮ガスを皮膚表面の評価部位に噴射し、評価部位の画像に現れる光沢リングに基づいて皮膚性状を評価する請求項1記載の評価方法。
  4. 圧縮ガスを皮膚表面の評価部位に噴射し、評価部位の画像に現れる皮膚色の変化に基づいて皮膚性状を評価する請求項1記載の評価方法。
  5. 皮膚の評価部位を短時間吸引し、評価部位の画像に現れる皮膚色の変化に基づいて皮膚性状を評価する請求項1記載の評価方法。
  6. 押圧又は吸引により皮膚の評価部位に外力を加える外力付加手段、
    外力の付加の前後にわたり皮膚の評価部位の画像を撮影する高速度カメラ、及び
    高速度カメラで撮影した画像を画像処理し、外力の付加により画像に現れた評価部位の短時間の変化を画像処理により解析する演算手段を備えた皮膚性状の評価システム。

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