JP2006343786A - 波長変換装置 - Google Patents

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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

【課題】 波長200nm付近の紫外光等の所望波長の光を簡易な構成により高い出力で発生させ、かつ、その光を高い繰返し周波数で出力し、あるいは、連続出力する波長変換技術を提供する。
【解決手段】 レーザー発振器1で波長450nm以上540nm以下のレーザー光(第1波長光L1)を発生させ、その第1波長光L1を非線形光学結晶2で波長225nm以上270nm以下の光(第2波長光L2)に変換して結合ミラー5へ送る。また、レーザー発振器3で波長1000nm以上1100nm以下のレーザー光(第3波長光L3)を発生させ、反射部材4を介して結合ミラー5へ送る。結合ミラー5を介した第2波長光L2と第3波長光L3をCLBO結晶等の非線形光学結晶6で和周波混合し、波長190nm以上217nm以下の紫外光(第4波長光L4)を発生させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザー光の波長を特定の波長に変換する波長変換装置に係り、例えば、特定波長の紫外コヒーレント光を発生させる光源装置等に利用可能な波長変換装置に関する。
各種半導体装置の製造に用いられる露光装置では、波長193nmで発振する高出力のパルスレーザーであるArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザーが用いられようとしている。このような半導体産業分野の趨勢に対し、露光技術を支える各種検査用ないし校正用等の光源としては、200nm未満の深紫外域で発振し、かつ、数10kHz以上の高い周波数での繰返し出力ないし連続出力が可能なコヒーレント光源が不可欠になってくる。また、近年のレーザー冷却応用分野の進展等に伴い、半導体産業以外の分野でも深紫外域で発振する同様の光源が強く求められている。そして、これらの半導体産業やレーザー冷却応用等の分野で用いる深紫外光源としては、いずれも数10mW〜数100mW程度の出力が必要と考えられている。しかし、深紫外の波長域で一般的に用いられているArFエキシマレーザーは、最大繰返し周波数が精々5kHzで高ピークパワー出力のパルスレーザーであるため、かかる半導体産業やレーザー冷却応用等の分野における種々の要請には適さない。さらに、そのパルスレーザー発振器は、大型でかつ取扱いが困難であるという難点があるため、この点でも前記要請には適さない。このようなことから、非線形光学結晶を用いた波長変換による紫外コヒーレント光源が広く検討されている。
波長変換によって200nm近傍の紫外光を発生させる技術としては、例えば、波長1064nmのNd:YAGレーザー光の第5高調波(波長213nm)発生や波長1047nmのNd:YLFレーザー光の第5高調波(波長209nm)発生等が比較的よく用いられる技術として知られており、これらの高調波は連続出力させることも可能である。連続出力の他の紫外光発生例としては、Optics Letter誌, Vol.25, No.19, p.1457, 2000(以下「非特許文献1」という。)において、チタンサファイアレーザー光の第2高調波(波長373nm)と半導体レーザーからの近赤外光(波長780nm)をBBO結晶により和周波混合して波長252nmの連続出力紫外光を得たことが報告されている。文献BerkLand et al, Applied Optics, Vol.36, P4159, 1997(以下「非特許文献2」という。)には、連続出力の波長194nmの紫外光を発生させる技術が開示されている。この非特許文献2の技術では、アルゴンイオンレーザー(発振波長515nm)の第2高調波(波長257nm)と半導体レーザー光(波長792nm)をBBO結晶により和周波混合させることとしている。また、特開平11−258645号公報(以下「特許文献1」という。)では、Nd:YAGレーザーの第4高調波(波長266nm)にチタンサファイアレーザー光(波長約700nm)の光をBBO結晶により和周波混合して波長190nm付近の光を得る技術が提案されている。さらに、文献Applied Optics, Vol.39, No.30, p.5505, 2000(以下「非特許文献3」という。)には、Nd:YLFレーザーの第3高調波(波長349nm)とチタンサファイアレーザー光(波長780nm)を和周波混合して波長242nmの紫外光を得、この紫外光とNd:YLFレーザー光(波長1047nm)をCLBO結晶により和周波混合して波長196nmの光を得たことが報告されている。
Optics Letter誌, Vol.25, No.19, p.1457, 2000 BerkLand et al, Applied Optics, Vol.36, P4159, 1997 Applied Optics, Vol.39, No.30, p.5505, 2000 特開平11−258645号公報 特開2000−162655号公報
このように、波長変換による様々な紫外光源が従来より検討されているが、従来の紫外光源では、装置構成が複雑ないし大型であるなどの解決すべき課題が少なくなく、上述した半導体産業分野等における要請を満たすにも至っていない。すなわち、従来より比較的よく用いられている上記Nd:YAGレーザーないしNd:YLFレーザーの第5高調波発生は、3段階の波長変換が必要なために装置構成が複雑で大型なものとなってしまう上に、その発生波長が213nmないし209nm近傍に限られるので波長同調が実質不可能であるという問題がある。さらに、それらの発生波長は、ArFエキシマレーザー露光の検査用光源としても、露光波長である193nmから10%以上離れている。ArFエキシマレーザー露光の検査用光源の波長としては、理想的には193.4nmが望ましく、波長の誤差が最大でも±5%程度以内であることが実用上求められると考えられるので、かかる193nmから10%以上も離れているような発生波長の光源では、十分な検査精度は期待できないという問題もある。
また、上記非特許文献1の技術では、発生波長が250nm近傍であり、その更なる短波長化、高出力化は困難という課題がある。上記非特許文献2の技術では、半導体レーザー光を和周波混合するため、和周波光の出力としては2mW程度の低出力しか得られないという問題がある。上記特許文献1の技術では、3段階の波長変換を行う上に、第2高調波からの実質的な波長変換をするチタンサファイアレーザーを用いるため、装置構成が比較的複雑で大型なものになることが予想される。そして、非特許文献1、非特許文献2及び特許文献1のいずれの技術においても、和周波混合用結晶としてBBO結晶を用いることとしているが、BBO結晶は、短波長側の吸収端が190nm近傍にあり、かつ、位相許容幅が狭いので、たとえ混合する光の出力を増大させても発生する紫外光の出力をあまり増加させることはできないという問題がある。一方、上記非特許文献3の技術では、高出力が可能なNd:YLFレーザー光を用い、和周波混合用結晶としてCLBO結晶を採用した構成とすることにより、低出力という課題の解決が図られており、平均出力1.5Wの紫外光を得ている。しかし、4段階の波長変換を行う等、装置構成が複雑なものとなっている上に、周波数5kHz程度のパルス発振による出力しか得られないので、これも上述した半導体産業分野等の要請に応えるものにはなっていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、上述した様々な問題を解決し、波長200nm付近の紫外光等の所望波長の光を簡易な構成により高い出力で発生させることができ、かつ、その所望波長の光を高い繰返し周波数で出力し、あるいは、連続出力することもできる波長変換技術を提供することを目的としている。
かかる目的を達成するため、本発明に係る波長変換装置は、第1の波長(例えば450nm〜540nm)のレーザー光を発生する第1のレーザー発振器と、そのレーザー光を波長変換して第2の波長(例えば225nm〜270nm)の光を発生させる第1の非線形光学結晶と、第3の波長(例えば1000nm〜1100nm)で発振する第2のレーザー発振器と、前記第1の非線形光学結晶で発生させた前記第2の波長の光と前記第2のレーザー発振器からのレーザー光を和周波混合する第2の非線形光学結晶とを有する。これにより、比較的簡素な構成で高出力な波長200nm付近の紫外コヒーレント光を発生させる。
<第1実施形態>
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による波長変換装置の構成を示す図である。この波長変換装置は、波長200nm付近の紫外コヒーレント光を発生させる基本的な形態によるものであり、図示のようにレーザー発振器1、非線形光学結晶2、レーザー発振器3、反射部材4、結合ミラー5及び非線形光学結晶6を具備している。
レーザー発振器1は、波長450nm以上540nm以下のレーザー光(以下、この発明の実施の形態において「第1波長光」といい、符号「L1」で表す。)を発生する第1のレーザー発振器である。このレーザー発振器1としては、例えば、波長450nm以上540nm以下で発振する数W出力の装置が一般に市販されているアルゴンイオンレーザー等を用いることができる。非線形光学結晶2は、レーザー発振器1からの第1波長光L1を第2高調波に波長変換して波長225nm以上270nm以下の光(以下、この発明の実施の形態において「第2波長光」といい、符号「L2」で表す。)を発生させる第1の非線形光学結晶である。この非線形光学結晶2としては、例えば、BBO(β−BaB2O4(ベータ硼酸バリウム))結晶やCLBO(CsLiB6O10)結晶等を用いることができる。
レーザー発振器3は、波長1000nm以上1100nm以下のレーザー光(以下、この発明の実施の形態において「第3波長光」といい、符号「L3」で表す。)を発生する第2のレーザー発振器である。このレーザー発振器3としては、例えば、ネオジウムイオン又はイッテルビウムイオンをドープした固体のレーザー媒質を有するものを用いることができる。具体的には、波長変換に適した小さい広がり角で10W以上の高出力も容易に得られる発振波長1064nmのNd:YAGレーザー発振器や、発振波長が1030nm以上1100nm以下のYb:YAGレーザー発振器、発振波長が1030nm以上1100nm以下のYb:glassレーザー発振器、発振波長が1047nm以上1053nm以下のNd:YLFレーザー発振器、発振波長が1064nmのNd:YVO4レーザー発振器等を用いることができる。反射部材4は、レーザー発振器3からの第3波長光L3を反射して結合ミラー5へ導くものであり、レーザー発振器3の設置位置等に応じて適宜設ける。
結合ミラー5は、図示のように第2波長光L2を透過して第3波長光L3を反射すると共に、その透過と反射の際に第2波長光L2と第3波長光L3とを同軸化する結合ミラーである。非線形光学結晶6は、結合ミラー5を介した第2波長光L2と第3波長光L3を和周波混合する第2の非線形光学結晶である。この非線形光学結晶6としては、例えば、CLBO結晶等を用いることができる。また、非線形光学結晶6の幾何学的形態としては、入出射する各光の光軸と結晶法線の為す角が35度以上70度未満であり、かつ、位相整合するように切断されているもの等を採用することができ、矩形型や平行四辺形型等の非線形光学結晶6を用いることもできる。
以上のような構成において、レーザー発振器1からの第1波長光L1は、非線形光学結晶2に入射して第2波長光L2を発生させ、その第2波長光L2が結合ミラー5へ送られる。一方、レーザー発振器3からの第3波長光L3は、反射部材4によって結合ミラー5へと導かれ、結合ミラー5によって第2波長光L2と同軸化される。これにより、第2波長光L2と第3波長光L3は、結合ミラー5から非線形光学結晶6へ入射され、非線形光学結晶6によって和周波混合される。この結果、非線形光学結晶6からは、波長190nm以上217nm以下の紫外光(以下、この発明の実施の形態において「第4波長光」といい、符号「L4」で表す。)が和周波光として発生し、出力される。
例えば、アルゴンイオンレーザーをレーザー発振器1として用いて非線形光学結晶2に波長238nmないし244nmの第2波長光L2を発生させ、発振波長が1030nm以上1100nm以下のYb:YAGレーザー発振器ないしYb:glassレーザー発振器をレーザー発振器3として用いた場合には、非線形光学結晶6で発生する和周波光(第4波長光L4)の波長は193.3nm以上199.7nm以下になる。また、アルゴンイオンレーザーをレーザー発振器1として用いて非線形光学結晶2に波長238nmないし244nmの第2波長光L2を発生させ、発振波長が1047nmないし1053nmのNd:YLFレーザー発振器をレーザー発振器3として用いた場合には、発生する和周波光の波長は193.9nm以上198.1nm以下になる。さらに、アルゴンイオンレーザーをレーザー発振器1として用いて非線形光学結晶2に波長238nmないし244nmの第2波長光L2を発生させ、発振波長が1064nmのNd:YAGレーザー発振器ないしNd:YVO4レーザー発振器をレーザー発振器3として用いた場合には、発生する和周波光の波長は194.6nmないし198.5nmになる。
なお、上記レーザー発振器1とレーザー発振器3については、いずれか一方ないし両方が単一周波数で発振するもの(単一周波数レーザー、インジェクションロック機構、フィルタ等、単一周波数で発振する手段を有するもの)であってもよく、両方共に連続発振出力をするものであってもよい。また、上記非線形光学結晶2と非線形光学結晶6については、一方ないし両方にCLBO結晶を用いることとしてもよい(少なくとも非線形光学結晶6の方にCLBO結晶を用いることとすると、高出力の第4波長光L4が得られることになる。)。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。上記レーザー発振器1が連続発振出力をするものである場合には、そのレーザー共振器内に上記非線形光学結晶2を設置することによって第2波長光L2の発生効率を高められる。すなわち、レーザー発振器1に少なくとも2枚の反射部材からなる光共振器を設け、その光共振器の内部に非線形光学結晶2を設置すれば、第2波長光L2の発生効率が高まる。あるいは、レーザー共振器内に設置された光分散素子等により単一周波数発振を行えば、第1波長光L1用の外部共振器(以下「第1の外部共振器」という。)内に非線形光学結晶2を設置し、その共振器間隔をレーザー光波長の整数倍に制御することにより、光強度を高めて第2波長光L2の発生効率が高められる。この場合の第1の外部共振器としては、例えば、第1波長光L1に対して80%以上の反射率を有する少なくとも3枚の反射部材を具備し、入射する第1波長光L1を共振させる調整手段を備えたものを用いる。そして、その第1の外部共振器の内部(反射部材間)に非線形光学結晶2を設置する。
図2は、かかる第1の外部共振器を用い、その内部に非線形光学結晶2を設置した第2実施形態による波長変換装置の構成を示す図である(図2中、上記第1実施形態と共通する構成要素には図1と同一の符号が付してある。)。第1の外部共振器は、3枚の反射部材10a、10b及び10cと、調整手段に当たる光検出器11、制御器12及びアクチュエータ13とによって構成されており、レーザー発振器1からの第1波長光入射側にある反射部材10aと結合ミラー5への第2波長光出射側にある反射部材10bとの間に非線形光学結晶2が位置している。
反射部材10a、10b、10cは、それぞれ第1波長光L1に対して80%以上の反射率を有しており、図示のように第1波長光L1が反射部材10aから入射し、第1の外部共振器内で第1波長光L1が反射部材10a、10b、10cの順に反射周回するように設置されている(非線形光学結晶2では、通常一部の入射第1波長光L1が波長変換されずに通過する。波長変換された第2波長光L2については、反射部材10bが透過させて結合ミラー5側へ送る。)。反射部材10b、10cを周回して戻った第1波長光L1は、その一部が反射部材10aを透過して光検出器11へ供給される。光検出器11は、反射部材10aを介して受けた第1波長光L1の強度を検出し、検出強度を制御器12へ供給する。制御器12は、光検出器11からの検出強度に応じてアクチュエータ13の動作を制御する。アクチュエータ13は、ピエゾ素子等によって構成され、その可動部位に反射部材10bが取り付けられており、制御器12による制御の下で反射部材10bの位置調整をする。
このような構成において、レーザー発振器1からの第1波長光L1は、反射部材10aから第1の外部共振器に入射し、第1の外部共振器内(反射部材間)を一周して反射部材10aに戻る。そして、反射部材10aから出射する第1波長光L1を光検出器11によりとらえ、そのとらえられる第1波長光L1が増すように制御器12がアクチュエータ13に取り付けられた反射部材10bの位置を調整する。これにより、第1の外部共振器の光学長が制御されて非線形光学結晶2に入射するレーザー光強度が高められ、第2波長光L2の発生効率が高まる。
なお、以上の第2実施形態では、レーザー発振器1として例えばアルゴンイオンレーザーを用いた場合、非線形光学結晶2としては、BBO結晶の他、CLBO結晶を用いることができる。また、共振器でのレーザー光の共振は、レーザー光の波長を適宜変化させることによって実現することとしてもよい。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。レーザー発振器1が単一周波数で発振するものである場合、その第2高調波である第2波長光L2も単一周波数となるので、必要に応じて和周波混合用の非線形光学結晶6を第2波長光L2の強度を高めるための外部共振器(以下「第2の外部共振器」という。)内に設置することが可能である。この場合の第2の外部共振器としては、例えば、第2波長光L2に対して80%以上の反射率を有する少なくとも3枚の反射部材を具備し、入射する第2波長光L2を共振させる調整手段を備えたものを用いる。そして、その第2の外部共振器の内部(反射部材間)に非線形光学結晶6を設置する。
図3は、かかる第2の外部共振器を用い、その内部に非線形光学結晶6を設置した第3実施形態による波長変換装置の構成を示す図である(図3中、上記第1実施形態と共通する構成要素には図1と同一の符号が付してある。)。第2の外部共振器は、3枚の反射部材14a、14b及び14cと、調整手段に当たる光検出器15、制御器16及びアクチュエータ17とによって構成されており、結合ミラー5からの第2波長光入射側にある反射部材14aと第4波長光L4の出力側にある反射部材14bとの間に非線形光学結晶6が位置している。なお、本実施形態は、レーザー発振器1が単一周波数で発振する場合の形態なので、上述した第1の外部共振器を併用して図示のように上記反射部材10a、10b及び10c、光検出器11、制御器12並びにアクチュエータ13をも備えた構成にすることができる。
反射部材14a、14b、14cは、それぞれ第2波長光L2に対して80%以上の反射率を有しており、図示のように第2波長光L2が反射部材14aから入射し、第2の外部共振器内で第2波長光L2が反射部材14a、14b、14cの順に反射周回するように設置されている(共に入射する第3波長光L3は、反射部材14aを透過して非線形光学結晶6へ向かう。和周波混合後の第4波長光L4については、反射部材14bが透過させて出力光とする。)。反射部材14b、14cを周回して戻った第2波長光L2は、その一部が反射部材14aを透過して光検出器15へ供給される。光検出器15は、反射部材14aを介して受けた第2波長光L2の強度を検出し、検出強度を制御器16へ供給する。制御器16は、光検出器15からの検出強度に応じてアクチュエータ17の動作を制御する。アクチュエータ17は、ピエゾ素子等によって構成され、その可動部位に反射部材14bが取り付けられており、制御器16による制御の下で反射部材14bの位置調整をする。
このような構成において、結合ミラー5側からの第2波長光L2は、反射部材14aから第2の外部共振器に入射し、第2の外部共振器内(反射部材間)を一周して反射部材14aに戻る。そして、反射部材14aを透過した第2波長光L2を光検出器15によりとらえ、そのとらえられる第2波長光L2が増すように制御器16がアクチュエータ17を制御して反射部材14bの位置を調整する。これにより、第2の外部共振器の光学長が制御されて非線形光学結晶6に入射するレーザー光強度が高められ、和周波紫外光として出力される第4波長光L4の発生効率が高まる。なお、レーザー発振器3としては、Nd:YAGレーザーのような高出力のレーザー発振器を利用できるので、このような簡素な構成で紫外光を発生させることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。レーザー発振器3に対しては、非線形光学結晶6に入射する第3波長光L3の強度を高めるための外部共振器(以下「第3の外部共振器」という。)を設けることとしてもよい。この場合の第3の外部共振器は、例えば、第3波長光L3に対して80%以上の反射率を有する少なくとも3枚の反射部材と、レーザー発振器3の発振周波数を制御して単一の周波数で発振させる発振周波数制御手段とによって構成し、その第3の外部共振器の内部(反射部材間)に非線形光学結晶6を設置する。
図4は、かかる第3の外部共振器を用いた第4実施形態による波長変換装置の構成を示す図である。第3の外部共振器は、3枚の反射部材18a、18b及び18cと、発振周波数制御手段に当たる光検出器19及び制御器20とによって構成されており、非線形光学結晶6として所定の角度でカットされた平行四辺形型のものを用いている。なお、図4中、上記第1実施形態と共通する構成要素には図1と同一の符号が付してあるが、本実施形態では、結合ミラー5は不要となる(後述する反射部材の配置と非線形光学結晶6の屈折率によって代用される。)。また、本実施形態では、上述した第1の外部共振器と第2の外部共振器を併用し、図示のように反射部材10a、10b及び10cと反射部材14a、14b及び14cとを設けることができる(光検出器11、制御器12及びアクチュエータ13並びに光検出器15、制御器16及びアクチュエータ17も有するが、煩雑になるので図示は省略してある。)。
第2波長光L2の波長は紫外であり、第3波長光L3の波長は赤外であるので、本実施形態では、非線形光学結晶6の波長分散による屈折角の違いを利用して第2、第3の外部共振器をそれぞれ独立に設けている。図5は、この非線形光学結晶6の波長分散による屈折角の違いの例を示している。第3波長光L3、第2波長光L2、第4波長光L4の波長がそれぞれ1064nm、244nm、198.5nmである場合に非線形光学結晶6としてCLBO結晶を用いると、タイプ1型位相整合が得られ、その場合の各波長に対する屈折率は、それぞれ1.56、1.485、1.546であることが見出される。図5の非線形光学結晶6は、一つの頂角が32.7°でカットされた平行四辺形型のCLBO結晶であり、このCLBO結晶を用いた場合、結晶内で3つの光はほぼ同軸であるが、波長1064nmの第3波長光L3(実線)、波長244nmの第2波長光L2(点線)、波長198.5nmの第4波長光L4(破線)の入出射角は、それぞれ53.3°、56.5°、57.3°となり、図示のようにそれぞれの入出射角が異なるものとなる。このようなことから、本実施形態では、反射部材14a、14b及び14cと反射部材18a、18b及び18cの配置を図4に示したようにずらして第2の外部共振器と第3の外部共振器を独立に設け、第2の外部共振器と第3の外部共振器の双方の内部に当たる位置に非線形光学結晶6を設置している。
反射部材18a、18b、18cは、それぞれ第3波長光L3に対して80%以上の反射率を有しており、図示のように第3波長光L3が反射部材18cから入射し、第3の外部共振器内で第3波長光L3が反射部材18c、18a、18bの順に反射周回するように設置されている。反射部材18a、18bを周回して戻った第3波長光L3は、その一部が反射部材18cを透過して光検出器19へ供給される。光検出器19は、反射部材18cを介して受けた第3波長光L3の強度を検出し、検出強度を制御器20へ供給する。制御器20は、光検出器19からの検出強度に応じてレーザー発振器3の発振周波数(単一の発振周波数)を制御する。
このような構成において、第3波長光L3は、反射部材18cから第3の外部共振器に入射し、第3の外部共振器内(反射部材間)を一周して反射部材18cに戻る。そして、反射部材18cを透過した第3波長光L3を光検出器19によりとらえ、そのとらえられる第3波長光L3が増すように制御器20がレーザー発振器3の発振周波数を制御する。これにより、第3波長光L3の整数倍が反射部材の間隔(反射部材18c、18a及び18bを一周する光路長)と等しくなるようにレーザー発振器3の単一発振周波数が制御され、非線形光学結晶6に入射するレーザー光強度が高められて和周波紫外光として出力される第4波長光L4の発生効率が高まる。
レーザー発振器3に対しては外部共振器を用いなくとも良いが、上述したように単一周波数発振の手段と少なくとも3枚の反射部材からなる第3の外部共振器を設けて、その発振波長の整数倍が和周波混合用光共振器の間隔と等しくなるよう制御することにより強度を高めてもよい。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。上記第4実施形態のように平行四辺形型の非線形光学結晶6を用いずに矩形型(長方形型ないし正方形型)の非線形光学結晶6を用いることにすれば、波長の違いによる屈折角の違いは生じないので、第2の外部共振器と第3の外部共振器の反射部材を共用することができる。この場合の外部共振器としては、例えば、第2波長光L2と第3波長光L3の双方に対して80%以上の反射率を有する少なくとも3枚の反射部材と、第2波長光L2と第3波長光L3の双方を共振させる調整手段とによって構成し、その外部共振器の内部(反射部材間)に非線形光学結晶6を設置する。
図6は、かかる外部共振器を用いた第5実施形態による波長変換装置の構成を示す図である。本実施形態での外部共振器は、上述した第2の外部共振器における反射部材14a、14b及び14cを第2波長光L2と第3波長光L3の双方に対して80%以上の反射率を有する反射部材14a′、14b′及び14c′に置き換え、第2波長光L2用の調整手段として上記第2の外部共振器同様の光検出器15、制御器16及びアクチュエータ17を有し、第3波長光L3用の調整手段として上記第3の外部共振器同様の光検出器19及び制御器20を有するものとなっている。なお、図6中、上記第1実施形態と共通する構成要素には図1と同一の符号が付してあるが、本実施形態でも結合ミラー5は不要となる(レーザー発振器3からの第3波長光L3を反射部材14c′へ入射させるように反射部材4が設置され、この反射部材4と反射部材14a′、14b′及び14c′の配置によって結合ミラー5の機能が代用される。)。また、本実施形態では、上記第1の外部共振器を併用し、図示のように反射部材10a、10b及び10cを設けることができる(光検出器11、制御器12及びアクチュエータ13も有するが、煩雑になるので図示は省略してある。)。
反射部材14a′、14b′及び14c′においては、第2波長光L2が反射部材14a′から入射し、反射部材14a′、14b′、14c′の順に反射周回して戻った第2波長光L2の一部を反射部材14a′が透過させて光検出器15へ供給する。また、第3波長光L3が反射部材14c′から入射し、反射部材14c′、14a′、14b′の順に反射周回して戻った第3波長光L3の一部を反射部材14c′が透過させて光検出器19へ供給する。和周波混合後の第4波長光L4については、反射部材14b′が透過させて出力光とする。
このような構成において、第2波長光L2と第3波長光L3が外部共振器に入射し、それぞれ反射部材間を一周して反射部材14a′、14c′に戻る。そして、反射部材14a′を透過した第2波長光L2を光検出器15によりとらえ、そのとらえられる第2波長光L2が増すように制御器16がアクチュエータ17を制御して反射部材14b′の位置を調整する。さらに、反射部材14c′を透過した第3波長光L3を光検出器19によりとらえ、そのとらえられる第3波長光L3が増すように制御器20がレーザー発振器3の発振周波数を制御する。これにより、第2波長光L2については、反射部材の位置変化によって光路長が調整されて非線形光学結晶6に入射するレーザー光強度が高められ、第3波長光L3については、その波長変化によって第3波長光L3の波長の整数倍が反射部材の間隔(反射部材14c′、14a′及び14b′を一周する光路長)と等しくなるようにレーザー発振器3の単一発振周波数が制御されて非線形光学結晶6に入射するレーザー光強度が高められ、和周波紫外光として出力される第4波長光L4の発生効率が高まる。
非線形光学結晶6に矩形型の結晶を用いれば波長の違いによる屈折角の違いは生じないので、第2、第3の外部共振器を共通化できる。この場合には、上述したように第2波長光L2を参照して共振器長を制御しつつ、第3波長光L3の波長を変化させて両方の光が共振するように制御すればよい。なお、この制御形態を従来の波長変換技術に適用した例は、例えば、非特許文献1に述べられている。
<他の具体例、変形例、応用例等>
(1)上記レーザー発振器1として発振波長488nmのアルゴンイオンレーザー発振器を用いた場合、10本程度ある発振線の中でもレーザー利得が2番目に高く、1W以上の高出力も容易に得られる。また、その第2高調波である波長244nmの光としても数100mWが得られる。そして、波長244nmの光は、CLBO結晶により、波長1047nmないし1053nmのNd:YLFレーザー光、または波長1064nmのNd:YAGレーザー光と和周波混合することができ、198nm近傍において100mW程度以上の高出力紫外光が発生可能である。したがって、上記レーザー発振器1として発振波長488nmのアルゴンイオンレーザー発振器を用いると共に、上記レーザー発振器3として発振波長1047nmないし1053nmのNd:YLFレーザー発振器又は発振波長1064nmのNd:YAGレーザー発振器を用い、上記非線形光学結晶6としてCLBO結晶を用いることとすれば、波長198nm近傍の高出力(100mW程度以上の)紫外光を発生させることができる。
(2)レーザー研究誌第27巻529頁に述べられているように、CLBO結晶はその屈折率に温度依存性があり、波長240nm付近の光と波長1064nmのNd:YAGレーザー光を和周波混合する場合、その温度を制御することにより位相整合する角度が90度の臨界位相整合とすることができる。この場合、位相整合許容幅が増大し、より高効率な波長変換が可能となる。したがって、例えば、上記非線形光学結晶6にCLBO結晶を用い、そのCLBO結晶を位相整合許容幅が増大するように温度制御して波長変換効率の向上を図ることとしてもよい。
(3)特許文献2には、CLBO結晶を冷却し、特に−180℃以下に冷却することにより、波長193nm付近の光を発生させる技術が開示されている。これに対し、発明者らは、上述の実施形態で波長244nmの光を和周波混合に用いる構成により、発生波長は198nm近傍となるものの、結晶は逆に100℃以上の高温に保つことで臨界位相整合に近い条件が得られることを発見した。この構成では、結露等を防止する手段が必要な結晶の冷却に比して扱いが格段に容易となる上、吸湿性が高いCLBO結晶が安定に動作できるという利点がある。したがって、上記実施形態においては、例えば、非線形光学結晶6にCLBO結晶を用いると共に、そのCLBO結晶の温度を100℃以上200℃未満に維持するオーブンや高温チャンバ等の温度維持手段を設けることとしてもよい。そのようにすれば、所望波長の紫外光を非線形光学結晶6の安定した和周波混合動作によって発生させることができ、波長変換装置の取扱も容易になる。
(4)以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明の実施形態は上述した形態に限定されるものではない。例えば、Nd:YAGレーザーやNd:YLFレーザーの代わりに同様の近赤外波長帯で発振するYb:YAGレーザーやYb:glassレーザー等を用いてもよい。また、和周波混合用の結晶は、CLBO結晶だけではなく、BBO結晶やLB4結晶等も必要とする出力等に応じて利用することができる。
(発明の効果)
以上説明したように本発明によれば、次の顕著な効果を得ることができる。
(1)第1のレーザー発振器として、波長450nm〜540nmで発振するレーザー発振器、例えば、数W出力の装置が一般に市販されているアルゴンイオンレーザー発振器等を用いることができる。その基本波を非線形光学結晶で第2高調波に変換することにより、第2の波長(例えば225nm〜270nm)で最大1W程度の紫外光を発生させることができる。したがって、波長266nmの紫外光を発するNd:YAGレーザーの第4高調波やチタンサファイアレーザー光の高調波発生等に比して、より簡素な構成でかつ安定して和周波混合に必要な光を発生させることができる。
(2)第3の波長(例えば1000nm〜1100nm)のレーザー光を発生させる第2のレーザーとしては、例えば、波長変換に適した低広がり角で10W以上の高出力も容易に得られるNd:YAGレーザー発振器等を使用することができる。よって、第2の非線形光学結晶による第2の波長の紫外光との和周波混合においては、第2のレーザー発振器として半導体レーザーやチタンサファイアレーザーを用いる場合に比してより高出力の紫外光を発生させることができる。
(3)和周波混合用結晶である第2の非線形光学結晶としては、BBO結晶の他にCLBO結晶を用いることができる。CLBO結晶は、BBO結晶より短波長の吸収端が短いので、第2の非線形光学結晶としてCLBO結晶を用いることにより、より高出力な200nm近傍の紫外光を発生させることができる。
(4)従来の和周波混合による200nm近傍の紫外光発生装置に比して簡素な装置構成であるため、メンテナンスが容易である。また、比較的高出力のレーザー光源で構成するため、連続発振出力も可能である。
本発明の第1の実施形態による波長変換装置の構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態による波長変換装置の構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態による波長変換装置の構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態による波長変換装置の構成を示す図である。 非線形光学結晶での波長分散による屈折角の違いの例を示す図である。 本発明の第5の実施形態による波長変換装置の構成を示す図である。
符号の説明
1 レーザー発振器
2 非線形光学結晶
3 レーザー発振器
6 非線形光学結晶
10a、10b、10c 反射部材
11 光検出器
12 制御器
13 アクチュエータ
14a、14b、14c 反射部材
14a′、14b′、14c′ 反射部材
15 光検出器
16 制御器
17 アクチュエータ
18a、18b、18c 反射部材
19 光検出器
20 制御器
L1 第1波長光
L2 第2波長光
L3 第3波長光
L4 第4波長光

Claims (1)

  1. 連続発振出力の波長が488nmの第1波長のレーザー光を発生するアルゴンイオン
    レーザー発振器と、
    第1波長のレーザー光を波長変換して連続発振出力の波長が244nmの第2波長の
    光を発生する第1の非線形光学結晶と、
    連続発振出力の波長が1030nm以上1100nm以下の第3波長のレーザー光を
    発生するYbファイバーレーザーないしファイバー増幅器と、
    第2波長の光と第3波長のレーザー光とを和周波混合して連続発振出力の波長が197.3nm以上199.7nm以下の第4波長の光を発生する第2の非線形光学結晶と、
    を有し、
    第2の非線形光学結晶にCLBO結晶を用いたことを特徴とする波長変換装置。
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