JP2006341285A - ウォーム製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本ウォーム製造方法では、荒転造ダイス5と仕上げ転造ダイス6とを一体のユニットに形成した一対の転造ダイス1を用いる。本製造方法では、荒転造ダイス5を用いて素材3から予備形状を得る予備形状形成工程と、仕上げ転造ダイス6を用いて上記の予備形状から最終形状を得る最終形状形成工程とからなる。仕上げ転造ダイス6の成形面6aは、予備形状の歯面成形用面15から最終形状の歯面18を成形する歯面成形部12と、歯面成形部12によって歯面18が成形されるときに予備形状の歯底成形用面16および歯先成形用面17からの肉の膨らみ量をそれぞれ所定量M3,M4に規制する第1および第2の規制面13,14とを含む。上述の所定量M3,M4は、0.15〜0.25mmとされる。高精度な歯面18を転造加工のみで実現できる。
【選択図】 図9
Description
従来の第1の方法としては、旋削による荒加工工程と、研削による仕上げ工程との2段階で加工する方法がある。また、従来の第2の方法としては、転造による荒加工工程と、研削による仕上げ工程との2段階で加工する方法がある。
また、転造方法として、単一部材からなり互いに異なる複数の形状を加工するための組合わせダイスを用いた転造方法がある(例えば、特許文献3参照。)。
また、特許文献1,2では、仕上げ加工が転造加工のみであったので、高精度な歯形を得ることができなかった。また、特許文献3,4の方法を適用しても同様であった。
そこで、この発明の目的は、高精度なウォームを安価に得ることができるウォーム製造方法を提供することである。
また、本発明において、上記素材は、ウォームを形成するための大径部と、大径部を軸方向に挟んだ両側に設けられた一対の小径部と、大径部と各小径部との間にそれぞれ設けられた一対のテーパ状の肩部とを含み、上記複数の転造工程は、予備形状形成工程の前に窪み転造用ダイスを用いて素材の各肩部に窪みを形成する窪み形成工程を含む場合がある。この場合、予備形状形成工程において、素材の肉を逃がし易くできるので、予備形状をより一層高精度に形成することができる。その結果、最終形状の歯面をより一層高精度に形成することができる。しかも、肩部の窪みを、転造加工により形成するので、切削加工により形成する場合に比べて、安価に形成でき、ウォームの製造コストを安価にすることができる。
図1は、本発明のウォーム製造方法に用いる一対の転造ダイスとワークとを模式的に示す斜視図である。図1を参照して、本ウォーム製造方法では、円柱形状をなす一対のユニットとしての一対の転造ダイス1を用い、炭素鋼等の金属により形成されたワークとしてのウォーム2を転造する。ワークは、円柱形状をなす加工前の状態としての素材3(図3参照)から、予備形状に形成された半製品としての状態である中間体4(図6C参照)を経て、最終形状に形成された製品としての状態であるウォーム2に成形される。
図2Aは、転造ダイス1の正面図である。図2Bは、図2Aに示す転造ダイス1の2B−2B断面の断面図である。図2Aおよび図2Bを参照する。
転造ダイス1は、荒転造ダイス5と、仕上げ転造ダイス6と、荒転造ダイス5および仕上げ転造ダイス6を一体的に保持するダイスホルダ21とを有している。荒転造ダイス5と仕上げ転造ダイス6とダイスホルダ21とは、一体のユニットとしてのローラダイスを構成している。
仕上げ転造ダイス6は、断面扇形の部分円筒形状をなしている。この部分円筒形状の断面扇形の中心角度は、180度よりも若干小さい値である。仕上げ転造ダイス6は、部分円筒形状の外周に相当する部分に形成された成形面6aと、部分円筒形状の内周に相当する部分に形成された保持部6bとを有している。
図1に戻って、本実施の形態では、一対の転造ダイス1とワークとを転造加工機(図示せず)により保持し、一対の転造ダイス1によりワークを挟持しながら、ワークに転造加工を施す。
具体的には、一方の転造ダイス1の中心軸線7は移動しないようにされ、他方の転造ダイス1の中心軸線7が、一方の転造ダイス1に向けて近づいたり遠ざかるように移動する。また、他方の転造ダイス1が移動するのに伴って、ワークは、他方の転造ダイス1の移動方向に沿って、他方の転造ダイス1の移動量の半分の移動量で、一方の転造ダイス1に対して移動する。
転造加工の準備として、予め、一対の転造ダイス1の間に、ワークが配置される。すなわち、一方の転造ダイス1の中心軸線7とワークの中心軸線8とは、所定間隔を開けて互いに平行に配置され、一方の転造ダイス1の荒転造ダイス5の成形面5aと素材3の第2の大径部3eの外周面3aとが、互いに対向して配置される。他方の転造ダイス1も、一方の転造ダイス1と同様にして、ワークに対して配置される。
本実施形態のウォーム2を転造により製造する方法は、複数の工程、すなわち、図6Aおよび図6Bに示す予備形状形成工程と、その後で行われる図6Cおよび図6Dに示す最終形状形成工程とを含んでいる。
予備形状形成工程では、荒転造ダイス5を用いて、図3に示した所定の形状の素材3から予備形状を得る。すなわち、図6Aおよび図6Bに示すように、予備形状形成工程により、素材3から半製品としての中間体4が得られる。中間体4に予備形状が形成される。予備形状は、概ね歯形形状をなしているが、仕上げの加工代が残されている。予備形状は、歯面成形用面15と、歯底成形用面16と、歯先成形用面17と、歯底R成形用面と、歯先R成形用面とを有する。
予備形状形成工程では、一対の転造ダイス1の一対の荒転造ダイス5が、その間に素材3を挟持する。一対の転造ダイス1を、180度未満の所定角度範囲で所定回数で往復回動させ、これと同期させてワークも往復回動させる。一方の転造ダイス1が所定角度範囲を回動する間に、ワークは1周以上で回動しながら一方の転造ダイス1に対して軸方向に移動する。そして、一方の転造ダイス1が所定回数を往復回動する間に、一方の転造ダイス1とワークとが互いに近づき、荒転造ダイス5の成形面5aがワークの外周に接触してさらに食い込む。そして、一方の転造ダイス1が予備形状形成工程での最終位置に到達するまで、成形面5aがワークの外周に食い込む。最終位置では、一方の転造ダイス1の中心軸線7とワークの中心軸線8との間の距離が予備形状形成工程での最小値に相当する第1距離L1になる。
これにより、図6Bに示すように、一方の荒転造ダイス5の成形面5aは、ワークの外周に軸方向について連続して当接して、予備形状の歯形の全体を形成する。一方の荒転造ダイス5の第1の成形部9は、素材3の第2の大径部3eの外周面3aから予備形状の歯面成形用面15を成形する。第1の成形部9によって歯面成形用面15が成形されるときに、第2の成形部10は、素材3の第2の大径部3eの外周面3aからの肉の移動を許容して、予備形状の歯底成形用面16を成形する。第1の成形部9によって歯面成形用面15が成形されるときに、第3の成形部11は、素材3の余肉を受け入れて、予備形状の歯先成形用面17を成形する。また、これとともに、荒転造ダイス5の凸湾曲したR成形部は、予備形状の歯底R成形用面を成形し、荒転造ダイス5の凹湾曲したR成形部は、予備形状の歯先R成形用面を成形する。
図8と図6Cを参照して、予備形状形成工程の完了後、一方の転造ダイス1とワークとは互いに離され、他方の転造ダイス1とワークとは互いに離される。一対の転造ダイス1はそれぞれ回動し、一対の仕上げ転造ダイス6の成形面6aが中間体4の外周にそれぞれ対向し、成形面6aの転造用の歯が予備形状の歯溝に対向するように、仕上げ転造ダイス6とワークとが軸方向に位置合わせされて配置される。
最終形状形成工程では、一対の転造ダイス1の一対の仕上げ転造ダイス6の成形面6a同士の間にワークを挟持する。一対の転造ダイス1を、180度未満の所定角度範囲で所定回数で往復回動させ、これと同期させてワークも往復回動させる。
最終形状形成工程では、一方の転造ダイス1が所定角度範囲を回動する間に、ワークは1周以上で回動しながら一方の転造ダイス1に対して軸方向に移動する。そして、一方の転造ダイス1が所定回数を往復回動する間に、一方の転造ダイス1とワークとが互いに近づき、仕上げ転造ダイス6の歯面成形部12がワークの歯面成形用面15に接触して食い込む。そして、一方の転造ダイス1が最終形状形成工程での最終位置に到達するまで、歯面成形部12が歯面成形用面15に食い込む。
図9は、最終形状形成工程の最終位置にあるときの一方の仕上げ転造ダイス6と、最終形状形成工程開始前の予備形状とを重ねた模式的断面図である。図10は、最終形状形成工程の最終位置にあるときの一方の仕上げ転造ダイス6の要部の断面図であり、予備形状形成工程の最終位置にあるときの一方の荒転造ダイス5の断面の輪郭も一点鎖線で重ねて図示されている。図9および図10を参照する。
一方の仕上げ転造ダイス6の第2の規制面14は、歯面成形部12によって歯面18が成形されるときに、予備形状の歯先成形用面17からの肉の膨らみ量を所定量M4に規制する。この所定量M4は、上述の所定値L4に相当し、具体的には、0.15〜0.25mmの範囲内の値である0.2mmとされる。
最終形状形成工程の完了後、一対の転造ダイス1はワークから離されて、もとの位置に戻る。
このように本実施形態では、ウォーム2を、従来の転造加工のみでは実現できなかった高精度で実現でき、且つ研削加工により得られる精度と同程度の高精度で実現できている。しかも、このような高精度なウォーム2を、転造加工のみで仕上げることにより、仕上げのための研削加工等の高価な工程が不要で、製造コストを低減できる。
また、各転造ダイス1が、荒転造ダイス5および仕上げ転造ダイス6の一体のユニットであるので、予備形状形成工程および最終形状形成工程を連続して行う場合に、ユニットとしての転造ダイス1を交換せずに済み、製造コストを安価にすることができる。
図11は、本発明の第2の実施形態における一対の転造ダイスと素材との配置を示す一部断面平面図である。図11を参照して、第2の実施形態では、一対のユニットとしての一対の転造ダイス24が用いられている。一方の転造ダイス24と、他方の転造ダイス24とは、互いに等しい形状に形成されている。以下、一方の転造ダイス24を中心に説明する。
窪み転造用ダイス25は、断面扇形の部分円筒形状をなしている。この部分円筒形状の扇形の中心角度は、所定角度、例えば60度に設定されている。窪み転造用ダイス25は、部分円筒形状の外周に相当する部分に形成された成形面25aと、部分円筒形状の内周に相当する部分に形成された保持部(図示せず)とを有している。窪み転造用ダイス25は、第1実施形態の荒転造ダイス5と同様にダイスホルダに固定されている。
窪み転造用ダイス25の成形面25aは、凸部としての2つの凸条25cと、凹部としての湾曲面25dとを有する。2つの凸条25cは、窪み3iを形成するための部分であり、成形面25aにおける軸方向の両端部に形成され、互いに所定距離離れている。2つの凸条25cの間に湾曲面25dが形成されている。2つの凸条25cは、湾曲面25dから径方向外方へ突出し、転造ダイス24の周方向に延びている。
窪み形成工程は、予備形状形成工程よりも先に行われる。窪み形成工程では、窪み転造用ダイス25を用いて素材3の第1および第2の肩部3d,3fに窪み3iをそれぞれ形成する。窪み形成工程により、窪み3i付きの素材3が得られる。
窪み3i付きの素材3は、予備形状形成工程において、素材3の肉を逃がし易くできるので、中間体4の予備形状をより一層高精度に形成することができる。その結果、最終形状形成工程において、最終形状の歯面18をより一層高精度に形成することができる。
しかも、第1および第2の肩部3d,3fの窪み3iを、転造加工により形成するので、切削加工により形成する場合に比べて、安価に形成できる。窪み形成工程が追加されていても、製造コストの上昇を抑制でき、ウォーム2の製造コストを安価にすることができる。
また、上記各実施形態について、以下のような変形例を考えることができる。
例えば、第1の実施形態において、転造ダイス1の成形面1aの周方向長さに対する荒転造ダイス5の成形面5aの周方向長さの割合と、転造ダイス1の成形面1aの周方向長さに対する仕上げ転造ダイス6の成形面6aの周方向長さの割合とは、転造ダイス1が全体として筒形状または筒形状に近似した形状をなすようにして、適宜設定することができる。また、上記割合は、ウォーム2の諸元に応じて異ならせることができる。具体的には、図14の模式図に示すように荒転造ダイス5の割合が仕上げ転造ダイス6の割合よりも大きく設定されることや、これとは逆のことも考えられる。
また、第2の実施形態において、転造ダイス24の成形面24aの周方向長さに対する荒転造ダイス5の成形面5aの周方向長さの割合、転造ダイス24の成形面24aの周方向長さに対する仕上げ転造ダイス6の成形面6aの周方向長さの割合、および転造ダイス24の成形面24aの周方向長さに対する窪み転造用ダイス25の成形面25aの周方向長さの割合は、転造ダイス24が全体として筒形状または筒形状に近似した形状をなすようにして、それぞれ適宜設定することができる。また、荒転造ダイス5と、仕上げ転造ダイス6と、窪み転造用ダイス25と、ダイスホルダとの4つのうちの少なくとも2つが一体に形成されていてもよい。
また、第1および第2の実施形態において、転造ダイス1,24が、荒転造ダイス5および仕上げ転造ダイス6の少なくとも一方を、各ダイス5,6に対応する工程を段階的に進めることができるように、複数有していてもよい。荒転造ダイス5が2つ以上で設けられた場合には、各荒転造ダイス5は、ウォーム2のモジュール、寸法等に応じて、それぞれ異なる予備形状を形成するようにされるのが好ましい。転造ダイス1,24は、少なくとも一つの荒転造ダイス5と、少なくとも一つの仕上げ転造ダイス6とを有していればよい。その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
<実施例としての製造方法、およびこの製造方法により製造したウォーム> 実施例の製造方法としては、上述の本発明の第1の実施の形態の製造方法において、最終形状形成工程における上記所定値L3,L4を0.2mmとした。この製造方法により製造したウォームとして、ピッチ円直径が14mmのウォームを3個製造した。
<比較例としての製造方法、およびこの製造方法により製造したウォーム> 比較例としての製造方法は、上記実施例としての製造方法と、上述の最終形状形成工程における所定値L3,L4を0mmとした点で異なるが、他の点については同様である。この比較例としての製造方法によるウォームとして、8個のウォームを製造した。なお、比較例によるウォームは、実施例によるウォームと、製造方法のみ異なり、形状、寸法等の諸元は等しくされている。
<精度の測定方法> 上述の実施例による各ウォームについて、予備形状形成工程の完了後の製造用中間体の状態で、歯形の誤差と、歯筋の誤差とをそれぞれ測定し、最終形状形成工程の完了後の製品の状態で、歯形の誤差と、歯筋の誤差とをそれぞれ測定する。
<実施例によるウォームについての測定結果> ウォームの最終形状形成工程後の歯形の誤差: 4.1μm。
<比較例によるウォームについての測定結果> ウォームの最終形状形成工程後の歯形の誤差: 9.1μm。
<評価> 上述の測定結果に示すように、実施例によるウォームでは、最終形状形成工程後の歯形の誤差および歯筋の誤差はともに、予備形状形成工程後の製造用中間体の対応する値よりも格段に小さく、高精度になっている。逆に、比較例によるウォームでは、最終形状形成工程後の歯形の誤差および歯筋の誤差はともに、予備形状形成工程後の製造用中間体の対応する値よりも大きく、低精度になっていて、従来の転造による製造方法では、高精度に仕上げることができないことが判る。
また、実施例によるウォームの最終形状形成工程後の歯筋の誤差(17.3μm)は、比較例によるウォームの最終形状形成工程後の歯筋の誤差(49.8μm)に比べて半分以下と格段に小さくなり、高精度になっている。
Claims (4)
- ウォームを複数の転造工程により製造する方法であって、
上記複数の転造工程は、荒転造ダイスを用いて素材から予備形状を得る予備形状形成工程と、荒転造ダイスと一体のユニットに形成された仕上げ転造ダイスを用いて上記の予備形状から最終形状を得る最終形状形成工程とを含み、
仕上げ転造ダイスの成形面は、予備形状の歯面成形用面から最終形状の歯面を成形する歯面成形部と、歯面成形部によって歯面が成形されるときに予備形状の歯底成形用面および歯先成形用面からの肉の膨らみ量をそれぞれ所定量に規制する規制面とを含むことを特徴とするウォーム製造方法。 - 請求項1に記載のウォーム製造方法において、
上記所定量は、0.15〜0.25mmの範囲内の値であることを特徴とするウォーム製造方法。 - 請求項1または2に記載のウォーム製造方法において、
上記素材は、ウォームを形成するための大径部と、大径部を軸方向に挟んだ両側に設けられた一対の小径部と、大径部と各小径部との間にそれぞれ設けられた一対のテーパ状の肩部とを含み、
上記複数の転造工程は、予備形状形成工程の前に窪み転造用ダイスを用いて素材の各肩部に窪みを形成する窪み形成工程を含むことを特徴とするウォーム製造方法。 - 請求項3に記載のウォーム製造方法において、
上記窪み転造用ダイスは、荒転造ダイスおよび仕上げ転造ダイスと一体のユニットに形成されていることを特徴とするウォーム製造方法。
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