JP2006341285A - ウォーム製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精度なウォームを安価に得る。
【解決手段】本ウォーム製造方法では、荒転造ダイス5と仕上げ転造ダイス6とを一体のユニットに形成した一対の転造ダイス1を用いる。本製造方法では、荒転造ダイス5を用いて素材3から予備形状を得る予備形状形成工程と、仕上げ転造ダイス6を用いて上記の予備形状から最終形状を得る最終形状形成工程とからなる。仕上げ転造ダイス6の成形面6aは、予備形状の歯面成形用面15から最終形状の歯面18を成形する歯面成形部12と、歯面成形部12によって歯面18が成形されるときに予備形状の歯底成形用面16および歯先成形用面17からの肉の膨らみ量をそれぞれ所定量M3,M4に規制する第1および第2の規制面13,14とを含む。上述の所定量M3,M4は、0.15〜0.25mmとされる。高精度な歯面18を転造加工のみで実現できる。
【選択図】 図9

Description

この発明は、歯車のウォームを製造するためのウォーム製造方法に関する。
ウォームは、例えば自動車のステアリング装置等に用いられている。このような用途のウォームのための製造方法としては、高精度な歯形を得るために、通例、以下の2つの方法の何れかが採用されている。
従来の第1の方法としては、旋削による荒加工工程と、研削による仕上げ工程との2段階で加工する方法がある。また、従来の第2の方法としては、転造による荒加工工程と、研削による仕上げ工程との2段階で加工する方法がある。
また、従来から歯車の製造方法として、転造による製造方法がある(例えば、特許文献1,2参照。)。特許文献1,2では、荒加工用ダイスを用いて転造する荒加工工程と、仕上げ加工用ダイスを用いて転造する仕上げ工程とにより、2段階で加工している。仕上げ工程では、歯先から肉が膨らまないようにして、ギヤ歯の全体形状を仕上げている。
また、転造方法として、単一部材からなり互いに異なる複数の形状を加工するための組合わせダイスを用いた転造方法がある(例えば、特許文献3参照。)。
また、ウォームを転造する方法として、軸状の素材の両端部に切欠部を切削により形成し、その後ウォームを転造により形成する方法がある(例えば、特許文献4参照。)。
特開2000−42673号公報 特開平9−57385号公報 特開平8−117910号公報 特開2003−340542号公報
しかし、従来の第1および第2の方法では、仕上げ加工に高価な研削加工が行われ、製造コストが高価であった。
また、特許文献1,2では、仕上げ加工が転造加工のみであったので、高精度な歯形を得ることができなかった。また、特許文献3,4の方法を適用しても同様であった。
そこで、この発明の目的は、高精度なウォームを安価に得ることができるウォーム製造方法を提供することである。
本発明は、ウォームを複数の転造工程により製造する方法であって、上記複数の転造工程は、荒転造ダイスを用いて素材から予備形状を得る予備形状形成工程と、荒転造ダイスと一体のユニットに形成された仕上げ転造ダイスを用いて上記の予備形状から最終形状を得る最終形状形成工程とを含み、仕上げ転造ダイスの成形面は、予備形状の歯面成形用面から最終形状の歯面を成形する歯面成形部と、歯面成形部によって歯面が成形されるときに予備形状の歯底成形用面および歯先成形用面からの肉の膨らみ量をそれぞれ所定量に規制する規制面とを含むことを特徴とする。本発明によれば、最終形状形成工程において、予備形状の歯底成形用面および歯先成形用面からの肉の膨らみ量(肉の逃げ量に相当。)を所定量で確保できるので、仕上げ転造ダイスの歯面成形部が最終形状の歯面を高精度に成形できる。また、予備形状形成工程および最終形状形成工程で歯面の精度を徐々に高めることができ、さらに、荒転造ダイスと仕上げ転造ダイスとが一体であるので、仕上げ転造ダイスを予備形状形成工程完了後の予備形状の歯面成形用面に対して高精度に位置決めできて、歯面の精度の向上に寄与する。しかも、高精度な歯面を転造加工のみで実現できるので、ウォームの製造コストを安価にすることができる。
また、本発明において、上記所定量は、0.15〜0.25mmの範囲内の値である場合がある。この場合、肉の膨らみ量が適量であり、高精度な歯形を確実に得ることができる。
また、本発明において、上記素材は、ウォームを形成するための大径部と、大径部を軸方向に挟んだ両側に設けられた一対の小径部と、大径部と各小径部との間にそれぞれ設けられた一対のテーパ状の肩部とを含み、上記複数の転造工程は、予備形状形成工程の前に窪み転造用ダイスを用いて素材の各肩部に窪みを形成する窪み形成工程を含む場合がある。この場合、予備形状形成工程において、素材の肉を逃がし易くできるので、予備形状をより一層高精度に形成することができる。その結果、最終形状の歯面をより一層高精度に形成することができる。しかも、肩部の窪みを、転造加工により形成するので、切削加工により形成する場合に比べて、安価に形成でき、ウォームの製造コストを安価にすることができる。
また、本発明において、上記窪み転造用ダイスは、荒転造ダイスおよび仕上げ転造ダイスと一体のユニットに形成されているのが好ましい。これにより、窪み形成工程、予備形状形成工程および最終形状形成工程を連続して行う場合に、ユニットを交換せずに済み、製造コストを安価にすることができる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態のウォーム製造方法では、ローラダイスを用いてウォームを転造する場合に則して説明するが、本発明はこれに限らず、例えば、平ダイスを用いることも考えられる。
図1は、本発明のウォーム製造方法に用いる一対の転造ダイスとワークとを模式的に示す斜視図である。図1を参照して、本ウォーム製造方法では、円柱形状をなす一対のユニットとしての一対の転造ダイス1を用い、炭素鋼等の金属により形成されたワークとしてのウォーム2を転造する。ワークは、円柱形状をなす加工前の状態としての素材3(図3参照)から、予備形状に形成された半製品としての状態である中間体4(図6C参照)を経て、最終形状に形成された製品としての状態であるウォーム2に成形される。
一対の転造ダイス1は、互いに同様に構成されている。以下では、一方の転造ダイス1を中心に説明する。
図2Aは、転造ダイス1の正面図である。図2Bは、図2Aに示す転造ダイス1の2B−2B断面の断面図である。図2Aおよび図2Bを参照する。
転造ダイス1は、荒転造ダイス5と、仕上げ転造ダイス6と、荒転造ダイス5および仕上げ転造ダイス6を一体的に保持するダイスホルダ21とを有している。荒転造ダイス5と仕上げ転造ダイス6とダイスホルダ21とは、一体のユニットとしてのローラダイスを構成している。
荒転造ダイス5は、断面扇形の部分円筒形状をなしている。断面扇形の中心角度は、180度よりも若干小さい値である。荒転造ダイス5は、部分円筒形状の外周に相当する部分に形成された成形面5aと、部分円筒形状の内周に相当する部分に形成された保持部5bとを有している。
仕上げ転造ダイス6は、断面扇形の部分円筒形状をなしている。この部分円筒形状の断面扇形の中心角度は、180度よりも若干小さい値である。仕上げ転造ダイス6は、部分円筒形状の外周に相当する部分に形成された成形面6aと、部分円筒形状の内周に相当する部分に形成された保持部6bとを有している。
ダイスホルダ21は、円筒部21aと、円筒部21aの端部から径方向外方に延びるフランジ21bとを有している。荒転造ダイス5の保持部5bがダイスホルダ21の円筒部21aの外周に沿わされた状態で、荒転造ダイス5がダイスホルダ21のフランジ21bに一つのキー22および複数のボルト23により固定されている。仕上げ転造ダイス6は、荒転造ダイス5と同様にダイスホルダ21に固定されている。
図1および図2を参照して、転造ダイス1の外周は、成形面1aを有する。周方向についての成形面1aにおける略半分の領域R1が、荒転造ダイス5の成形面5aにより形成されている。また、周方向についての成形面1aにおける残りの略半分の領域R2が、仕上げ転造ダイス6の成形面6aにより形成されている。成形面1aの領域R1,R2は、転造用の歯形を有し、この歯形の歯筋が周方向に延びている。なお、図1には、領域R1,R2として、これらに対応する中心角度範囲をそれぞれ図示している。
転造ダイス1は、ウォーム2よりも大径であり、例えば直径で10倍程度の大きさとされている。当該転造ダイス1を構成する荒転造ダイス5、仕上げ転造ダイス6等のサブユニットのそれぞれの成形面5a,6aの周方向長さが、ワークの一周の周方向長さよりも長く、より好ましくは、2周の周方向長さよりも長くされている。
図1に戻って、本実施の形態では、一対の転造ダイス1とワークとを転造加工機(図示せず)により保持し、一対の転造ダイス1によりワークを挟持しながら、ワークに転造加工を施す。
転造加工機は、図示しないが、一方の転造ダイス1を保持しその中心軸線7の回りに転造ダイス1を回転させる第1の工具軸と、他方の転造ダイス1を保持しその中心軸線7の回りに転造ダイス1を回転させる第2の工具軸と、ワークを保持しその中心軸線8の回りにワークを回転させるワーク軸と、第1の工具軸、第2の工具軸およびワーク軸を互いに位置決めする位置決め機構とを有している。
転造加工機は、一方の転造ダイス1およびワークの周方向についての位置同士を互いに位置決めでき、一方の転造ダイス1およびワークの軸方向についての位置同士を互いに位置決めでき、中心軸線7,8の間の距離を自在に変化させることができ、一方の転造ダイス1の外周面の周方向の速度と、ワークの外周面の周方向の速度とが互いに等しくなるように、一方の転造ダイス1とワークとを同期させて互いに回転させることができる。
また、転造加工機は、一方の転造ダイス1と同様にして、他方の転造ダイス1およびワークを、周方向および軸方向について位置決めでき、互いに同期させて回転させることができる。
具体的には、一方の転造ダイス1の中心軸線7は移動しないようにされ、他方の転造ダイス1の中心軸線7が、一方の転造ダイス1に向けて近づいたり遠ざかるように移動する。また、他方の転造ダイス1が移動するのに伴って、ワークは、他方の転造ダイス1の移動方向に沿って、他方の転造ダイス1の移動量の半分の移動量で、一方の転造ダイス1に対して移動する。
図3は、一対の転造ダイス1と素材3との配置を示す一部断面平面図である。図3を参照して、素材3は、中心軸線8の回りの回転体形状をなしている。素材3は、第1の大径部3bと、第1の小径部3cと、テーパ状の第1の肩部3dと、ウォーム2を形成するための第2の大径部3eと、テーパ状の第2の肩部3fと、第2の小径部3gと、第3の大径部3hとを有し、これら各部3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hが順に軸方向に沿って並んで配置されている。
第1および第3の大径部3b,3hの外周は、円筒面にそれぞれ形成されている。第1および第2の小径部3c,3gの外周は、円筒面にそれぞれ形成され、互いに等しい外径とされている。第1の大径部3bと第1の小径部3cとの外周同士は、軸方向に対して垂直またはほぼ垂直な環状面により接続されている。第3の大径部3hと第2の小径部3gとの外周同士は、軸方向に対して垂直またはほぼ垂直な環状面により接続されている。第2の大径部3eの外周面3aは円筒面からなり、この円筒面は第1の小径部3cよりも大径であり、第2の小径部3gよりも大径である。第1および第2の小径部3c,3gは、第2の大径部3eを軸方向に挟んだ両側に設けられている。
第1および第2の肩部3d,3fの外周は、円錐面にそれぞれ形成され、中心軸線8に対する角度は、10度〜60度の範囲内の値とされている。第1および第2の肩部3d,3fの外周は、互いに等しい角度で中心軸線8に対して傾斜し、中心軸線8に対する傾きが互いに逆向きとされている。第1の肩部3dは、第2の大径部3eと第1の小径部3cとの間に設けられ、両部3e,3cと連続的につながっている。第2の肩部3fは、第2の大径部3eと第2の小径部3gとの間に設けられ、両部3e,3gと連続的につながっている。
第1の肩部3dと、第2の大径部3eと、第2の肩部3fとが、転造加工が施される被転造部とされる。これらの被転造部に転造加工を施せるように、荒転造ダイス5および仕上げ転造ダイス6は、軸方向に所定長さで形成されている。
転造加工の準備として、予め、一対の転造ダイス1の間に、ワークが配置される。すなわち、一方の転造ダイス1の中心軸線7とワークの中心軸線8とは、所定間隔を開けて互いに平行に配置され、一方の転造ダイス1の荒転造ダイス5の成形面5aと素材3の第2の大径部3eの外周面3aとが、互いに対向して配置される。他方の転造ダイス1も、一方の転造ダイス1と同様にして、ワークに対して配置される。
転造加工では、2つの転造ダイス1とワークとが互いに同期回転しながら、2つの転造ダイス1の成形面1aをワークの外周へ、互いに反対側から互いに逆向きに同時に押し付ける。これにより、ワークの外周面が塑性変形し、複数の工程を経てウォーム2が得られる。各工程の説明の前に、各工程でそれぞれ用いられる荒転造ダイス5および仕上げ転造ダイス6を説明する。また、以下では、一方の転造ダイス1とワークとの関係を中心に説明するが、他方の転造ダイス1とワークとの関係は、一方の転造ダイス1とワークとの関係と同様である。
図4は、荒転造ダイス5の要部の断面図である。図4を参照して、荒転造ダイス5の成形面5aは、転造用の歯形の歯面に相当する第1の成形部9と、転造用の歯形の歯先に相当する第2の成形部10と、転造用の歯形の歯底に相当する第3の成形部11とを含んでいる。また、第1の成形部9と第2の成形部10との間には、断面が凸湾曲したR成形部が設けられている。また、第1の成形部9と第3の成形部11との間には、断面が凹湾曲したR成形部が設けられている。
図5は、仕上げ転造ダイス6の要部の断面図である。図5を参照して、仕上げ転造ダイス6の成形面6aは、転造用の歯形の歯面に相当する歯面成形部12と、転造用の歯形の歯先に相当する第1の規制面13と、転造用の歯形の歯底に相当する第2の規制面14とを含んでいる。また、歯面成形部12と第1の規制面13との間には、断面が凸湾曲したR部が設けられている。また、歯面成形部12と第2の規制面14との間には、断面が凹湾曲したR部が設けられている。
図6A〜図6Dは、図1のウォームの製造方法の工程ごとに一方の転造ダイス1とワークとを模式的に示す断面図である。転造加工は、図6A,図6B,図6C,図6Dの順に進行する。
本実施形態のウォーム2を転造により製造する方法は、複数の工程、すなわち、図6Aおよび図6Bに示す予備形状形成工程と、その後で行われる図6Cおよび図6Dに示す最終形状形成工程とを含んでいる。
また、本実施形態のウォーム2の製造方法は、予備形状形成工程と、最終形状形成工程との2工程のみで構成されていて、この2工程により、素材3の第2の大径部3eの円筒面からウォーム2の最終形状を形成する。本実施形態の製造方法では、例えば歯形の概略形状を切削により形成する工程や、歯形を研削により仕上げる工程は廃止されている。
予備形状形成工程では、荒転造ダイス5を用いて、図3に示した所定の形状の素材3から予備形状を得る。すなわち、図6Aおよび図6Bに示すように、予備形状形成工程により、素材3から半製品としての中間体4が得られる。中間体4に予備形状が形成される。予備形状は、概ね歯形形状をなしているが、仕上げの加工代が残されている。予備形状は、歯面成形用面15と、歯底成形用面16と、歯先成形用面17と、歯底R成形用面と、歯先R成形用面とを有する。
図7は、予備形状形成工程での、一対の転造ダイス1と、ワークとを示す模式図である。図7と図6Bを参照する。
予備形状形成工程では、一対の転造ダイス1の一対の荒転造ダイス5が、その間に素材3を挟持する。一対の転造ダイス1を、180度未満の所定角度範囲で所定回数で往復回動させ、これと同期させてワークも往復回動させる。一方の転造ダイス1が所定角度範囲を回動する間に、ワークは1周以上で回動しながら一方の転造ダイス1に対して軸方向に移動する。そして、一方の転造ダイス1が所定回数を往復回動する間に、一方の転造ダイス1とワークとが互いに近づき、荒転造ダイス5の成形面5aがワークの外周に接触してさらに食い込む。そして、一方の転造ダイス1が予備形状形成工程での最終位置に到達するまで、成形面5aがワークの外周に食い込む。最終位置では、一方の転造ダイス1の中心軸線7とワークの中心軸線8との間の距離が予備形状形成工程での最小値に相当する第1距離L1になる。
なお、上述の予備形状形成工程での最終位置は、ワークの中心軸線8を基準としたときのワークの径方向についての、一方の転造ダイス1の相対位置であり、中心軸線7,8の間の距離により決められる。また、後述する最終形状形成工程での最終位置も同様である。
これにより、図6Bに示すように、一方の荒転造ダイス5の成形面5aは、ワークの外周に軸方向について連続して当接して、予備形状の歯形の全体を形成する。一方の荒転造ダイス5の第1の成形部9は、素材3の第2の大径部3eの外周面3aから予備形状の歯面成形用面15を成形する。第1の成形部9によって歯面成形用面15が成形されるときに、第2の成形部10は、素材3の第2の大径部3eの外周面3aからの肉の移動を許容して、予備形状の歯底成形用面16を成形する。第1の成形部9によって歯面成形用面15が成形されるときに、第3の成形部11は、素材3の余肉を受け入れて、予備形状の歯先成形用面17を成形する。また、これとともに、荒転造ダイス5の凸湾曲したR成形部は、予備形状の歯底R成形用面を成形し、荒転造ダイス5の凹湾曲したR成形部は、予備形状の歯先R成形用面を成形する。
図8は、最終形状形成工程での一対の転造ダイス1とワークとを示す模式図である。
図8と図6Cを参照して、予備形状形成工程の完了後、一方の転造ダイス1とワークとは互いに離され、他方の転造ダイス1とワークとは互いに離される。一対の転造ダイス1はそれぞれ回動し、一対の仕上げ転造ダイス6の成形面6aが中間体4の外周にそれぞれ対向し、成形面6aの転造用の歯が予備形状の歯溝に対向するように、仕上げ転造ダイス6とワークとが軸方向に位置合わせされて配置される。
なお、予備形状形成工程と最終形状形成工程との間で、一方の転造ダイス1は第1の工具軸にそのままの状態で保持されていて、他方の転造ダイス1は第2の工具軸にそのままの状態で保持されていて、またワークはワーク軸にそのままの状態で保持されていて、工程間で一対の転造ダイス1およびワークの間の位置ずれが生じることはない。
最終形状形成工程では、一対の転造ダイス1の一対の仕上げ転造ダイス6の成形面6a同士の間にワークを挟持する。一対の転造ダイス1を、180度未満の所定角度範囲で所定回数で往復回動させ、これと同期させてワークも往復回動させる。
図6C,図6Dに示すように、最終形状形成工程では、予備形状形成工程で得た予備形状から、一対の仕上げ転造ダイス6を用いて最終形状を得る。この最終形状は、製品としてのウォーム2の歯形形状に形成される。最終形状は、歯面18と、歯底面19と、歯先面20と、歯底R面と、歯先R面とを有する。
最終形状形成工程では、一方の転造ダイス1が所定角度範囲を回動する間に、ワークは1周以上で回動しながら一方の転造ダイス1に対して軸方向に移動する。そして、一方の転造ダイス1が所定回数を往復回動する間に、一方の転造ダイス1とワークとが互いに近づき、仕上げ転造ダイス6の歯面成形部12がワークの歯面成形用面15に接触して食い込む。そして、一方の転造ダイス1が最終形状形成工程での最終位置に到達するまで、歯面成形部12が歯面成形用面15に食い込む。
最終形状形成工程での最終位置では、一方の転造ダイス1の中心軸線7とワークの中心軸線8との間の距離が、最終形状形成工程での最小値に相当する第2距離L2になる。この第2距離L2は、以下のように設定される。
図9は、最終形状形成工程の最終位置にあるときの一方の仕上げ転造ダイス6と、最終形状形成工程開始前の予備形状とを重ねた模式的断面図である。図10は、最終形状形成工程の最終位置にあるときの一方の仕上げ転造ダイス6の要部の断面図であり、予備形状形成工程の最終位置にあるときの一方の荒転造ダイス5の断面の輪郭も一点鎖線で重ねて図示されている。図9および図10を参照する。
最終形状形成工程の最終位置にあるときの一方の仕上げ転造ダイス6の第1の規制面13は、予備形状形成工程の最終位置にあるときの一方の荒転造ダイス5の第2の成形部10の位置よりも、中心軸線8から見て遠い側にあり、最終形状形成工程での第1の規制面13と予備形状形成工程での上述の第2の成形部10との間のワーク径方向の距離が所定値L3にされる。ここで、予備形状形成工程での上述の第2の成形部10の位置は、最終形状形成工程の開始前における予備形状の歯底成形用面16の径方向の位置に相当している。
また、最終形状形成工程の最終位置にあるときの一方の仕上げ転造ダイス6の第2の規制面14は、予備形状形成工程の最終位置にあるときの一方の荒転造ダイス5の第3の成形部11の位置よりも、中心軸線8から見て遠い側にあり、最終形状形成工程での第2の規制面14と予備形状形成工程での上述の第3の成形部11との間のワーク径方向の距離が所定値L4にされる。ここで、予備形状形成工程での上述の第3の成形部11の位置は、最終形状形成工程の開始前における予備形状の歯先成形用面17の径方向の位置に相当する。
図6Cおよび図6Dを参照して、最終形状形成工程では、一方の仕上げ転造ダイス6の歯面成形部12は、予備形状の歯面成形用面15から最終形状の歯面18を成形する。このとき、歯面18を形成するための加工代(図9において、一方の仕上げ転造ダイス6と中間体4とが重なり合う部分であって網かけを施して図示された部分の軸方向寸法として図示されている。)は、歯溝を挟んだ両側の歯面成形用面15について互いに等しく、例えば0.1mmとされている。加工代に相当する肉は、余肉となり、予備形状の歯底成形用面16および歯先成形用面17を膨らませる。また、歯底R面および歯先R面は、予備形状を維持して、湾曲形状に形成されるようにされている。
図9と図6Dとを参照して、一方の仕上げ転造ダイス6の第1の規制面13は、歯面成形部12によって歯面18が成形されるときに、予備形状の歯底成形用面16からの肉の膨らみ量を所定量M3に規制する。この所定量M3は、上述の所定値L3に相当し、具体的には、0.15〜0.25mmの範囲内の値である0.2mmとされる。
一方の仕上げ転造ダイス6の第2の規制面14は、歯面成形部12によって歯面18が成形されるときに、予備形状の歯先成形用面17からの肉の膨らみ量を所定量M4に規制する。この所定量M4は、上述の所定値L4に相当し、具体的には、0.15〜0.25mmの範囲内の値である0.2mmとされる。
また、最終形状形成工程での歯面18を形成するための加工代は、径方向について一定としてもよいし、異ならせてもよい。例えば、ワークの歯底面19寄りの歯面18の部分よりも、歯先面20寄りの歯面18の部分であるほどに、加工代が大きくされていてもよい。
最終形状形成工程の完了後、一対の転造ダイス1はワークから離されて、もとの位置に戻る。
このように本発明の本実施形態によれば、一方の仕上げ転造ダイス6の第1の規制面13および第2の規制面14により、最終形状形成工程において、予備形状の歯底成形用面16および歯先成形用面17からの肉の膨らみ量(肉の逃げ量に相当。)を所定量M3,M4で確保できるので、一方の仕上げ転造ダイス6の歯面成形部12が最終形状の歯面18を高精度に成形できる。この理由としては、例えば、成形圧が高くなりすぎると、一方の転造ダイス1の成形面1aが過度に変形して成形面1aの精度が低下し、逆に、成形圧が低くなりすぎると、塑性変形量が少なくなり、成形後のウォーム2の精度が低下するからと考えられる。
また、予備形状形成工程および最終形状形成工程で歯面18の精度を徐々に高めることができる。さらに、一方の転造ダイス1において、荒転造ダイス5と仕上げ転造ダイス6とが一体であるので、仕上げ転造ダイス6を予備形状形成工程完了後の予備形状の歯面成形用面15に対して高精度に位置決めできて、歯面18の精度の向上に寄与する。しかも、高精度な歯面18を転造加工のみで実現できるので、ウォーム2の製造コストを安価にすることができる。
また、上記所定量M3が0.15〜0.25mmの範囲内の値である場合であり、且つ上記所定量M4が0.15〜0.25mmの範囲内の値である場合には、最終形状形成工程での肉の膨らみ量が適量であり、高精度な歯形を確実に得ることができ、また、歯底R面および歯先R面を予備形状で維持することができる。なお、所定量M3,M4の少なくとも一方を、0.15mm未満の小さい値にする場合や、0.25mmを越えて大きい値にする場合も考えられるが、このような場合には、肉の膨らみ量が適量でないので、高精度な歯面18を得られない場合や、歯底R面や歯先R面の形状が崩れる場合がある。
さらに、一対の転造ダイス1の間にワークを挟持することにより、高精度なウォーム2を実現するのに寄与する。
このように本実施形態では、ウォーム2を、従来の転造加工のみでは実現できなかった高精度で実現でき、且つ研削加工により得られる精度と同程度の高精度で実現できている。しかも、このような高精度なウォーム2を、転造加工のみで仕上げることにより、仕上げのための研削加工等の高価な工程が不要で、製造コストを低減できる。
また、転造により仕上げ加工することにより、研削加工した場合に比べて、歯面18の面粗度が良好であるので、歯面の耐摩耗性を高めることができる。
また、各転造ダイス1が、荒転造ダイス5および仕上げ転造ダイス6の一体のユニットであるので、予備形状形成工程および最終形状形成工程を連続して行う場合に、ユニットとしての転造ダイス1を交換せずに済み、製造コストを安価にすることができる。
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、第2実施形態および後述する変形例の説明では、それまでに説明した実施形態と異なる点を中心に説明し、同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図11は、本発明の第2の実施形態における一対の転造ダイスと素材との配置を示す一部断面平面図である。図11を参照して、第2の実施形態では、一対のユニットとしての一対の転造ダイス24が用いられている。一方の転造ダイス24と、他方の転造ダイス24とは、互いに等しい形状に形成されている。以下、一方の転造ダイス24を中心に説明する。
一方の転造ダイス24は、上述の荒転造ダイス5と、上述の仕上げ転造ダイス6と、窪み転造用ダイス25と、ダイスホルダ(図示せず)とを有している。本実施形態のダイスホルダは、上述のダイスホルダ21(図2A参照)と概ね同形状とされ、荒転造ダイス5、仕上げ転造ダイス6および窪み転造用ダイス25を一体的に保持する。荒転造ダイス5と仕上げ転造ダイス6と窪み転造用ダイス25とダイスホルダとは、一体のユニットとしてのローラダイスを構成している。
また、本実施形態の仕上げ転造ダイス6では、部分円筒形状の扇形の中心角度は、所定角度例えば120度に設定されている。
窪み転造用ダイス25は、断面扇形の部分円筒形状をなしている。この部分円筒形状の扇形の中心角度は、所定角度、例えば60度に設定されている。窪み転造用ダイス25は、部分円筒形状の外周に相当する部分に形成された成形面25aと、部分円筒形状の内周に相当する部分に形成された保持部(図示せず)とを有している。窪み転造用ダイス25は、第1実施形態の荒転造ダイス5と同様にダイスホルダに固定されている。
転造ダイス24の外周は、成形面24aを有する。周方向についての成形面24aにおける略半分の領域R1が、荒転造ダイス5の成形面5aにより形成されている。また、周方向についての成形面24aにおける残りのうちの一部の領域R2が、仕上げ転造ダイス6の成形面6aにより形成され、周方向についての成形面24aにおける領域R1,R2以外の領域R3が、窪み転造用ダイス25の成形面25aにより形成されている。成形面24aの領域R1,R2は、転造用の歯形を有し、この歯形の歯筋が周方向に延びている。なお、図11には、領域R1,R2,R3として、これらに対応する中心角度範囲をそれぞれ図示している。
図12は、図11に示す一対の転造ダイス24と素材3との一部断面図である。図13は、図11に示す一対の転造ダイス24とワークとの転造加工途中の状態を示す一部断面図である。図12と図13を参照する。
窪み転造用ダイス25の成形面25aは、凸部としての2つの凸条25cと、凹部としての湾曲面25dとを有する。2つの凸条25cは、窪み3iを形成するための部分であり、成形面25aにおける軸方向の両端部に形成され、互いに所定距離離れている。2つの凸条25cの間に湾曲面25dが形成されている。2つの凸条25cは、湾曲面25dから径方向外方へ突出し、転造ダイス24の周方向に延びている。
第2の実施形態のウォーム2の製造方法は、複数の工程、すなわち、図13に示す窪み形成工程と、これの後で行われる上述の予備形状形成工程と、これの次に行われる上述の最終形状形成工程とを含んでいる。
窪み形成工程は、予備形状形成工程よりも先に行われる。窪み形成工程では、窪み転造用ダイス25を用いて素材3の第1および第2の肩部3d,3fに窪み3iをそれぞれ形成する。窪み形成工程により、窪み3i付きの素材3が得られる。
具体的には、一対の転造ダイス24の一対の窪み転造用ダイス25の成形面25aの間に素材3が挟持される。一対の転造ダイス24を、60度未満の所定角度範囲で所定回数で往復回動させ、これと同期させてワークも往復回動させる。一対の転造ダイス24が所定角度範囲を回動する間に、ワークは1周以上で回動しながら各転造ダイス24に対して軸方向に微小量で移動する。そして、一対の転造ダイス24が所定回数を往復回動する間に、各転造ダイス24とワークとが互いに近づき、各窪み転造用ダイス25の2つの凸条25cが、対向する素材3の第1および第2の肩部3d,3fにそれぞれ接触してさらに食い込む。これにより、第1および第2の肩部3d,3fには、窪み3iがそれぞれ形成される。
各窪み3iは、周方向に延びる凹条に形成される。各転造ダイス24とワークとは、窪み形成工程の間に、軸方向に相対移動するが、軸方向の移動量はわずかであるので、凹条は無端状に形成される。また、転造ダイス24の中心軸線7とワークの中心軸線8とが最も接近した状態で、湾曲面25dは、素材3の第2の大径部3eの外周面から逃がされている。
その後、一対の転造ダイス24はワークからそれぞれ離される。一対の転造ダイス24は回動し、一対の荒転造ダイス5の成形面5aが、窪み3i付きの素材3に対向して配置される。その後、予備形状形成工程と、最終形状形成工程との2工程が第1の実施形態と同様に行われる。本実施形態の最終形状形成工程では、転造ダイス24の回転角度は、仕上げ転造ダイス6の扇形の中心角度に見合う角度である120度以下の角度とされる。
本実施形態では、ウォーム2を転造により製造する工程は3工程であるが、第1実施形態と同様に、予備形状形成工程と、最終形状形成工程との2工程のみにより、素材3の第2の大径部3eの円筒面からウォーム2の最終形状を形成するようにされている。従って、本実施形態の製造方法においても、例えば歯形を切削により形成する工程や、歯形を研削により仕上げる工程を含んでいない。
このように本発明の第2の実施形態においては、上述の第1の実施の形態において得られる上述の作用効果に加えて、窪み3iによる以下の作用効果を得ることができる。
窪み3i付きの素材3は、予備形状形成工程において、素材3の肉を逃がし易くできるので、中間体4の予備形状をより一層高精度に形成することができる。その結果、最終形状形成工程において、最終形状の歯面18をより一層高精度に形成することができる。
例えば、第1の実施形態のように窪み3iがない素材3に形成したウォームの歯筋の誤差は、17.3μm(後述する実施例を参照)であるのに対して、第2実施形態のように窪み3i付きの素材3に形成したウォーム2の歯筋の誤差は、13μm以下である。
しかも、第1および第2の肩部3d,3fの窪み3iを、転造加工により形成するので、切削加工により形成する場合に比べて、安価に形成できる。窪み形成工程が追加されていても、製造コストの上昇を抑制でき、ウォーム2の製造コストを安価にすることができる。
また、各転造ダイス24が、窪み転造用ダイス25、荒転造ダイス5および仕上げ転造ダイス6の一体のユニットであるので、窪み形成工程、予備形状形成工程および最終形状形成工程を連続して行う場合に、ユニットとしての転造ダイス24を交換せずに済み、製造コストを安価にすることができる。また、一体のユニットであれば、転造ダイス24のコストを低減することができる。また、ダイスやワークの着脱回数を少なくでき、窪みなしの素材3から窪み3iを形成して最終形状のウォーム2を得るまでの加工時間を、短縮することができる。また、窪み転造用ダイス25を含む転造ダイス24を用いることにより、荒転造ダイス5を窪み3iに対して高精度に位置決めでき、その結果、予備形状の精度の向上に寄与する。
また、一対の窪み3iが、軸方向について素材3の第2の大径部3eの両側に同形状に形成された無端状の凹条からなるので、軸方向の両側に均等に且つ周方向の位置にかかわらず、肉を逃がし易くでき、予備形状の精度向上により一層好ましい。
また、上記各実施形態について、以下のような変形例を考えることができる。
例えば、第1の実施形態において、転造ダイス1の成形面1aの周方向長さに対する荒転造ダイス5の成形面5aの周方向長さの割合と、転造ダイス1の成形面1aの周方向長さに対する仕上げ転造ダイス6の成形面6aの周方向長さの割合とは、転造ダイス1が全体として筒形状または筒形状に近似した形状をなすようにして、適宜設定することができる。また、上記割合は、ウォーム2の諸元に応じて異ならせることができる。具体的には、図14の模式図に示すように荒転造ダイス5の割合が仕上げ転造ダイス6の割合よりも大きく設定されることや、これとは逆のことも考えられる。
また、第1の実施形態の荒転造ダイス5と、仕上げ転造ダイス6と、ダイスホルダ21との3つのうちの少なくとも2つが一体に形成されていてもよい。
また、第2の実施形態において、転造ダイス24の成形面24aの周方向長さに対する荒転造ダイス5の成形面5aの周方向長さの割合、転造ダイス24の成形面24aの周方向長さに対する仕上げ転造ダイス6の成形面6aの周方向長さの割合、および転造ダイス24の成形面24aの周方向長さに対する窪み転造用ダイス25の成形面25aの周方向長さの割合は、転造ダイス24が全体として筒形状または筒形状に近似した形状をなすようにして、それぞれ適宜設定することができる。また、荒転造ダイス5と、仕上げ転造ダイス6と、窪み転造用ダイス25と、ダイスホルダとの4つのうちの少なくとも2つが一体に形成されていてもよい。
また、第2の実施形態の窪み3iとしては、周方向に延びて周方向に一対の端部を有する周溝であってもよいし、周方向の1箇所または複数カ所に設けられた穴であってもよい。また、第1の肩部3dの窪み3iと、第2の肩部3fの窪み3iとが、互いに異なる形状であってもよい。また、窪み3iが、周方向に有端の周溝、または穴である場合には、第1の肩部3dの窪み3iと、第2の肩部3fの窪み3iとが、互いに異なる周方向位置に形成されていてもよい。また、窪み3iを第1および第2の肩部3d,3fのうちの何れか一方のみに形成することも考えられる。
また、ウォーム2の製造方法としては、窪み3iを専用の転造ダイス(図示せず)を用いて形成する工程と、この後に上述の予備形状形成工程および最終形状形成工程とを含んでもよい。上記専用の転造ダイスは、荒転造ダイス5と仕上げ転造ダイス6とが含まれるユニットとは別体の窪み転造用ダイスである。
また、第1および第2の実施形態において、転造ダイス1,24が、荒転造ダイス5および仕上げ転造ダイス6の少なくとも一方を、各ダイス5,6に対応する工程を段階的に進めることができるように、複数有していてもよい。荒転造ダイス5が2つ以上で設けられた場合には、各荒転造ダイス5は、ウォーム2のモジュール、寸法等に応じて、それぞれ異なる予備形状を形成するようにされるのが好ましい。転造ダイス1,24は、少なくとも一つの荒転造ダイス5と、少なくとも一つの仕上げ転造ダイス6とを有していればよい。その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
以下に、本発明の実施例としての製造方法により製造したウォーム(以下、実施例によるウォームともいう。)と、比較例としての製造方法により製造したウォーム(以下、比較例によるウォームともいう。)とに基づいて、実施例の効果として、実施例によるウォームの歯形の精度および歯筋の精度が良好なことを説明する。
<実施例としての製造方法、およびこの製造方法により製造したウォーム> 実施例の製造方法としては、上述の本発明の第1の実施の形態の製造方法において、最終形状形成工程における上記所定値L3,L4を0.2mmとした。この製造方法により製造したウォームとして、ピッチ円直径が14mmのウォームを3個製造した。
<比較例としての製造方法、およびこの製造方法により製造したウォーム> 比較例としての製造方法は、上記実施例としての製造方法と、上述の最終形状形成工程における所定値L3,L4を0mmとした点で異なるが、他の点については同様である。この比較例としての製造方法によるウォームとして、8個のウォームを製造した。なお、比較例によるウォームは、実施例によるウォームと、製造方法のみ異なり、形状、寸法等の諸元は等しくされている。
<精度の測定方法> 上述の実施例による各ウォームについて、予備形状形成工程の完了後の製造用中間体の状態で、歯形の誤差と、歯筋の誤差とをそれぞれ測定し、最終形状形成工程の完了後の製品の状態で、歯形の誤差と、歯筋の誤差とをそれぞれ測定する。
歯形の誤差は、予備形状形成工程完了後においては、ワークの径方向に沿って中間体の歯面成形用面15の粗さ曲線を求める。最終形状形成工程完了後においては、ワークの径方向に沿って歯面18の粗さ曲線を求める。粗さ曲線は、ワークの左右両側の一対の歯面のそれぞれについて、歯面成形用面15または歯面18の相異なる3つの位置において、合計6つの位置で測定する。測定された6つの粗さ曲線について、理想的な歯形に対する振れ幅をそれぞれ求める。求められた粗さ曲線の振れ幅の測定値を、実施例による3つのウォームのそれぞれについて得て、これらすべての測定値の平均値を求めて、歯形の誤差とする。
歯筋の誤差は、予備形状形成工程完了後においては、ピッチ円近傍においてワークの周方向に沿って中間体の歯面成形用面15の粗さ曲線を求める。最終形状形成工程完了後においては、ピッチ円近傍においてワークの周方向に沿って歯面18の粗さ曲線を求める。歯筋についての粗さ曲線は、ワークの左右両側の一対の歯面のそれぞれについて、歯面成形用面15または歯面18の相異なる3つの位置において、合計6つの位置で測定する。測定された6つの粗さ曲線について、振れ幅をそれぞれ求める。求められた粗さ曲線の振れ幅の測定値を、実施例による3つのウォームのそれぞれについて得て、これらすべての測定値の平均値を求めて、歯筋の誤差とする。
上述の実施例による各ウォームと同様にして、比較例による各ウォームについて、予備形状形成工程の完了後の製造用中間体の状態で、歯形の誤差と、歯筋の誤差とをそれぞれ測定し、最終形状形成工程の完了後の製品の状態で、歯形の誤差と、歯筋の誤差とをそれぞれ測定する。歯形の誤差および歯筋の誤差はそれぞれ、比較例による8つのウォームから得られた測定値の平均値である。
<実施例によるウォームについての測定結果> ウォームの最終形状形成工程後の歯形の誤差: 4.1μm。
中間体の予備形状形成工程後の歯形の誤差 : 9.1μm。 ウォームの最終形状形成工程後の歯筋の誤差: 17.3μm。 中間体の予備形状形成工程後の歯筋の誤差 : 25.1μm。
<比較例によるウォームについての測定結果> ウォームの最終形状形成工程後の歯形の誤差: 9.1μm。
中間体の予備形状形成工程後の歯形の誤差 : 7.5μm。 ウォームの最終形状形成工程後の歯筋の誤差: 49.8μm。 中間体の予備形状形成工程後の歯筋の誤差 : 29.1μm。
<評価> 上述の測定結果に示すように、実施例によるウォームでは、最終形状形成工程後の歯形の誤差および歯筋の誤差はともに、予備形状形成工程後の製造用中間体の対応する値よりも格段に小さく、高精度になっている。逆に、比較例によるウォームでは、最終形状形成工程後の歯形の誤差および歯筋の誤差はともに、予備形状形成工程後の製造用中間体の対応する値よりも大きく、低精度になっていて、従来の転造による製造方法では、高精度に仕上げることができないことが判る。
また、実施例によるウォームの最終形状形成工程後の歯形の誤差(4.1μm)は、比較例によるウォームの最終形状形成工程後の歯形の誤差(9.1μm)に比べて半分以下と格段に小さくなり、高精度になっている。
また、実施例によるウォームの最終形状形成工程後の歯筋の誤差(17.3μm)は、比較例によるウォームの最終形状形成工程後の歯筋の誤差(49.8μm)に比べて半分以下と格段に小さくなり、高精度になっている。
従って、本実施形態の製造方法により、高精度なウォームを得ることができることが確認された。また、歯形の誤差および歯筋の誤差を格段に低減できることが確認された。
本発明の一実施形態のウォーム製造方法に用いる転造ダイスと、ワークとを模式的に示す斜視図である。 図1の転造ダイスを示し、図2Aに正面図を、図2Bに2B−2B断面の断面図を示す。 図1の一対の転造ダイスと素材との配置を示す一部断面平面図である。 図1に示す荒転造ダイスの要部の断面図である。 図1に示す仕上げ転造ダイスの要部の断面図である。 図1に示す転造ダイスとワークとを加工の進行の順に模式的に示す断面図である。 予備形状形成工程での一対の転造ダイスとワークとの模式図である。 最終形状形成工程での一対の転造ダイスとワークとの模式図である。 図1の仕上げ転造ダイスが最終形状形成工程の最終位置にあるときの断面と、最終形状形成工程開始前の予備形状とを重ねた模式的断面図である。 図1の仕上げ転造ダイスが最終形状形成工程の最終位置にあるときの要部の断面図であり、予備形状形成工程の最終位置にあるときの荒転造ダイスの断面の輪郭も一点鎖線で重ねて示されている。 本発明の第2の実施形態における一対の転造ダイスとワークとの模式図である。 図11に示す一対の転造ダイスと素材との配置を示す一部断面平面図である。 図11に示す一対の転造ダイスとワークとの転造加工途中での一部断面図である。 本発明の第1の実施形態の変形例としての転造ダイスの模式図。
符号の説明
1,24…転造ダイス(ユニット)、2…ウォーム、3…素材、3e…(素材の)第2の大径部(大径部)、3c…(素材の)第1の小径部(小径部)、3g…(素材の)第2の小径部(小径部)、3d…(素材の)第1の肩部(肩部)、3f…(素材の)第2の肩部(肩部)、5…荒転造ダイス、6…仕上げ転造ダイス、6a…(仕上げ転造ダイスの)成形面、12…歯面成形部、13…第1の規制面(規制面)、14…第2の規制面(規制面)、15…歯面成形用面、16…歯底成形用面、17…歯先成形用面、18…歯面、25…窪み転造用ダイス、M3,M4…所定量(肉の膨らみ量)

Claims (4)

  1. ウォームを複数の転造工程により製造する方法であって、
    上記複数の転造工程は、荒転造ダイスを用いて素材から予備形状を得る予備形状形成工程と、荒転造ダイスと一体のユニットに形成された仕上げ転造ダイスを用いて上記の予備形状から最終形状を得る最終形状形成工程とを含み、
    仕上げ転造ダイスの成形面は、予備形状の歯面成形用面から最終形状の歯面を成形する歯面成形部と、歯面成形部によって歯面が成形されるときに予備形状の歯底成形用面および歯先成形用面からの肉の膨らみ量をそれぞれ所定量に規制する規制面とを含むことを特徴とするウォーム製造方法。
  2. 請求項1に記載のウォーム製造方法において、
    上記所定量は、0.15〜0.25mmの範囲内の値であることを特徴とするウォーム製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のウォーム製造方法において、
    上記素材は、ウォームを形成するための大径部と、大径部を軸方向に挟んだ両側に設けられた一対の小径部と、大径部と各小径部との間にそれぞれ設けられた一対のテーパ状の肩部とを含み、
    上記複数の転造工程は、予備形状形成工程の前に窪み転造用ダイスを用いて素材の各肩部に窪みを形成する窪み形成工程を含むことを特徴とするウォーム製造方法。
  4. 請求項3に記載のウォーム製造方法において、
    上記窪み転造用ダイスは、荒転造ダイスおよび仕上げ転造ダイスと一体のユニットに形成されていることを特徴とするウォーム製造方法。
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