以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、燃料電池システムとして、車両用のものを例に説明するが、本発明は車両用に限られるものではない。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用燃料電池システムの構成図である。車両用燃料電池システム1は、図1に示すように車両の駆動動力源として用いられるものであって、燃料電池スタック10と、燃料ガス供給系20と、燃料ガス排出系30と、ガス循環系40と、酸化剤ガス供給系50と、酸化剤ガス排出系60とを備えている。
燃料電池スタック10は、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させることにより発電を行うものであって、燃料ガスである水素が供給される燃料極と酸化剤ガスである空気が供給される酸化剤極とが電解質を挟んで重ね合わされて発電セルが構成されると共に、複数の発電セルが多段積層されたスタック構造を有しており、水素と空気中の酸素とを基にした電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギに変換するものである。
この燃料電池スタック10の各発電セルでは、燃料極に供給された水素が水素イオンと電子とに分離される反応が起き、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、酸化剤極にそれぞれ移動する。酸化剤極では、供給された空気中の酸素と電解質を通って移動した水素イオン及び電子が反応して水が生成され、外部に排出される。
燃料電池スタック10の電解質としては、高エネルギ密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質膜が用いられる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
次に、燃料ガス供給系20、燃料ガス排出系30、及びガス循環系40について説明する。
燃料ガス供給系20は、水素タンク21と、水素ガス導入配管22と、第1圧力調整弁23とからなっている。水素タンク21は、燃料電池スタック10の燃料極に供給する水素ガスを蓄えておくものである。水素ガス導入配管22は水素タンク21と燃料電池スタック10の燃料極とを接続し、水素タンク21からの水素ガスを燃料電池スタック10の燃料極まで導くものである。第1圧力調整弁23は、水素ガス導入配管22に設けられ、水素タンク21から燃料電池スタック10の燃料極に供給される水素の供給量を制御できるようになっている。
燃料ガス排出系30は、水素ガス排出配管31と、パージ弁32とを備えている。水素ガス排出配管31は、燃料電池スタック10の燃料極と外部とを接続し、燃料極から排出されたオフガスを外部に導くものである。パージ弁32は、水素ガス排出配管31に設けられ、開閉動作することにより流路を遮断したり開放したりしてオフガスの排出を制御するものである。
ガス循環系40は、発電に寄与することなく排出された水素ガスを再利用するためのものであって、循環配管41と水素循環ポンプ42とを備えている。循環配管41は、一端が燃料電池スタック10とパージ弁32との間の水素ガス排出配管31に接続され、他端が第1圧力調整弁23と燃料電池スタック10の燃料極との間の水素ガス導入配管22に接続されており、燃料極から排出されたオフガスを燃料極の下流から上流に循環させるための流路となるものである。水素循環ポンプ42は、循環配管41上に設けられており、燃料電池スタック10の燃料極から排出されたオフガスを循環させて再度燃料極に送り込むための循環動力源となるものである。
このように構成されるため、第1圧力調整弁23が開放されると、水素タンク21内の水素は、水素ガス導入配管22を通って燃料電池スタック10の燃料極に至り、燃料電池スタック10内で発電に利用される。ここで、水素ガスはすべて発電に利用されるわけでなく、一部が燃料極からのオフガスとして排出されてしまう。そこで、これを利用すべく車両用燃料電池システム1は、パージ弁32を閉じておき水素循環ポンプ42を駆動することで、オフガスを燃料極の下流から上流に循環させる。
また、水素を循環させて使用する場合、水素の循環に伴って系内に窒素等の不純物質が蓄積されてしまう。そして、不純物質が過度に蓄積されると水素分圧が低下して燃料電池スタック10の効率が低下すると共に、循環ガスの平均質量が増加することとなり、水素循環ポンプ42での水素循環流量が低下することとなる。そこで、車両用燃料電池システム1は、パージ弁32を開放して系内のガスをパージすることで、水素と共に不純物質を外部に排出する。
次に、酸化剤ガス供給系50及び酸化剤ガス排出系60について説明する。
酸化剤ガス供給系50は、コンプレッサ51と、空気供給配管52と、フィルタ53と、加湿器54とからなっている。コンプレッサ51は、空気を圧縮して燃料電池スタック10に送り込むものである。空気供給配管52は、コンプレッサ51と燃料電池スタック10の酸化剤極とを接続するものであり、コンプレッサ51により圧送される空気を燃料電池スタック10の酸化剤極に導くものである。フィルタ53は、コンプレッサ51と燃料電池スタック10の酸化剤極との間の空気供給配管52に設けられ、コンプレッサ51から圧送される空気に混ざるマイクロダスト、硫黄分、及びコンプレッサ51のオイル等を取り除くものである。加湿器54は、フィルタ53と燃料電池スタック10の酸化剤極との間の空気供給配管52に設けられ、燃料電池スタック10の電解質膜を湿潤に保つべく、燃料電池スタック10に供給する空気を加湿するものである。
酸化剤ガス排出系60は、空気排出配管61と、第2圧力調整弁62と、凝縮器63とを備えている。空気排出配管61は、燃料電池スタック10の酸化剤極と外部とを接続し、酸化剤極からのオフガスを外部に導くものである。第2圧力調整弁62は、空気排出配管61に設けられ、酸化剤極の圧力を制御するものである。また、凝縮器63は、酸化剤極からのオフガスに含まれる水分を凝縮して回収するものであり、凝縮して取り出した水分を不図示のタンク及びポンプ等を介して加湿器54に送るようになっている。
このように構成されるため、コンプレッサ51が運転を開始すると、フィルタ53を通して不純物が取り除かれた外気(空気)が加湿器54に流入し、加湿器54において加湿されて、燃料電池スタック10の酸化剤極に至る。そして、空気に含まれる酸素が燃料電池スタック10内で発電に利用され、オフガスが凝縮器63に至り、水分が取り除かれた後に、外部に排出されることとなる。
また、車両用燃料電池システム1は、上記構成に加えて、セル電圧センサ71、温度センサ72、燃料極側圧力センサ73、酸化剤極側圧力センサ74、水素濃度センサ75、外気温センサ76、コントロールユニット(制御手段)80及びランプ81を備えている。
セル電圧センサ71は燃料電池スタック10の各発電セルの電圧を検出するものであり、温度センサ72は燃料電池スタック10の温度を検出するものである。また、燃料極側圧力センサ73は、燃料電池スタック10近傍の水素ガス導入配管22内に設けられ、燃料電池スタック10の燃料極のガス圧力を検出するようになっている。酸化剤極側圧力センサ74は、燃料電池スタック10近傍の空気供給配管52内に設けられ、燃料電池スタック10の空気極のガス圧力を検出するようになっている。水素濃度センサ75は第2圧力調整弁62の下流側の空気排出配管61に設けられ、酸化剤極のオフガスに含まれる水素の濃度を検出するようになっている。外気温センサ76は、外気の温度を検出するものである。また、これらセンサ71〜76により検出された信号はコントロールユニット80に供給されるようになっている。
コントロールユニット80は、例えばCPU、RAM、ROM及び周辺インターフェイスなどを有するマイクロコンピュータとして構成されている。また、コントロールユニット80は、車両の負荷側(例えば車両の駆動源となる駆動モータ)によって要求される目標電流量に応じて、燃料電池スタック10に供給する水素ガス及び空気の供給量を決定するようになっている。さらに、コントロールユニット80は、決定したガス供給量のガスを燃料電池スタック10に供給できるように、第1圧力調整弁23の開度、パージ弁32の開閉、水素循環ポンプ42の回転数、コンプレッサ51の回転数、第2圧力調整弁62の開度などを制御するようになっている。また、ランプ81は、車両用燃料電池システム1の異常状態などを、車両乗員に対して警告するものである。
なお、車両用燃料電池システム1は、上記構成の他に、燃料電池スタック10の温度が上昇し過ぎないようにする冷却機構を有しており、コントロールユニット80が冷却機構を制御することで、燃料電池スタック10の温度を所定範囲に保つようになっている。
次に、第1実施形態に係る車両用燃料電池システム1の運転時の動作について説明する。まず、車両用燃料電池システム1は、運転者のアクセル操作に応じた出力を得られるように、出力に応じた水素ガスと空気とを燃料電池スタック10に供給する。このとき、コントロールユニット80は、第1圧力調整弁23を制御して適切な量の水素を供給すると共に、コンプレッサ51の回転数を制御して適切な量の空気を供給する。そして、空気は、加湿器54によって加湿された状態で燃料電池スタック10の酸化剤極へと導かれる。
また、コントロールユニット80は、図2に示す相関関係に基づいて、燃料電池スタック10の運転圧力を調整する。図2は、運転負荷と運転圧力との相関関係を示す説明図である。同図に示すように、コントロールユニット80は、運転負荷の大きさに比例させて運転圧力を大きくしていく。ここで、コントロールユニット80は、第1圧力調整弁23とパージ弁32とを制御することで燃料極側の運転圧力を調整し、コンプレッサ51の回転数と第2圧力調整弁62を制御することで酸化剤極側の運転圧力を調整する。
また、燃料極側では時間経過に伴って酸化剤極側の窒素等が固体高分子電解質膜を通して蓄積していき窒素等の不純物の濃度が次第に増加する。また、運転に伴って生じる生成水量が過剰となると、電極の濡れなどによりセル電圧低下を引き起こす。このため、コントロールユニット80は、セル電圧センサ71からの信号によってセル電圧を監視し、あるセルの電圧が、セル電圧の平均値に対して所定値(例えば0.2V)以上電圧が低下した場合、又は平均セル電圧が所定幅(例えば0.1V)以上低下した場合に、パージ弁32を開弁させる。これにより、窒素等の不純物及び生成水などが外部に排出され、セル電圧が回復する。
ここで、コントロールユニット80による平均セル電圧の低下の検出方法と説明する。図3は、運転負荷と平均セル電圧との相関関係を示す説明図である。なお、図3にあっては、燃料電池スタック10との温度との関係についても示してある。
図3に示すように、運転負荷が高い場合(すなわち要求電流値が高い場合)、平均セル電圧は低下する傾向にある。また、平均セル電圧は燃料電池スタック10の温度によっても変動を生じる。コントロールユニット80は、図3に示す相関関係に基づいて、本来的に得られると予測される平均セル電圧を求め、これと計測した平均セル電圧とを比較することで、平均セル電圧の低下を検出する。
なお、平均セル電圧は、燃料電池スタック10の長期使用による経時劣化によっても変動を生じるため、ある程度の使用する毎に平均セル電圧を学習して図3に示す相関関係を補正するようにしてもよい。
以上が、第1実施形態に係る車両用燃料電池システム1の基本動作である。次に、車両減速時など、負荷側によって要求される目標電流量が減少したときの動作について説明する。
第1実施形態に係る車両用燃料電池システム1において、アクセルが緩められた場合などには、負荷側によって要求される目標電流量が減少する。このとき、一般的な燃料電池システムであれば、目標電流量の減少に合致するように水素ガス及び空気の供給量を減少させる。すなわち、一般的な燃料電池システムであれば、目標電流量が急減した場合、同様にガス供給量も急減することとなる。ところが、第1実施形態に係る車両用燃料電池システム1では、目標電流量が減少したからと言って目標電流量の減少に合致するように水素ガス及び空気の供給量を減少させない。
具体的にコントロールユニット80は、負荷側によって要求される目標電流量が減少したときには目標電流量が増加するときよりもガス供給量の変化率を緩やかに制御する。このため、ガスの供給量が緩やかに減少して、発電に必要なガス供給量よりも多くのガスが燃料電池スタック10に供給されることとなる。このため、第1実施形態に係る車両用燃料電池システム1では、必要以上のガスを供給することにより燃料電池スタック10にて生成される生成水を排除して濡れ状態を防止することができるようになっている。
さらに、第1実施形態に係る車両用燃料電池システム1ではガス供給量の変化率を緩やかに制御するだけでなく、その変化率を運転状況に応じて異ならせるようにしている。具体的にコントロールユニット80は、図4に示す相関関係に基づいて、ガス供給量の変化率を異ならせる。
図4は、目標電流量の減少直前の運転負荷とガス供給量の変化率との相関関係を示す説明図である。同図に示すように、コントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の運転負荷が大きくなるに従って、ガス供給量の変化率を小さくする。詳細にコントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の運転負荷が最大の場合、目標電流量が増加するときの変化率よりも、ガス供給量の変化率を10分の1とする。
ここで、運転負荷が大きい場合、燃料電池スタック10にて生成される生成水の量が多くなる。また、ガス供給量の変化率を小さくすることで、できるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなる。すなわち、コントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の運転負荷が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることで、生成水の量が多くなるときに多量の水分を排除するようにガスを供給することとなり、適切な水の排除を行うようにしている。
また、上記の如く、生成水を適切に排除するため、次回の負荷上昇時などにおいてフラッディングによる不具合がなく、充分なガスが供給されているにも関わらず、出力が不充分となってしまう事態を防止することができる。故に、車両用燃料電池システム1は、満足な出力を得ることができるようになっている。
なお、コントロールユニット80は、水素ガス及び空気の双方についてガス供給量の変化率を制御してもよいし、いずれか一方についてガス供給量の変化率を制御してもよい。
次に、第1実施形態に係る車両用燃料電池システム1の詳細動作を説明する。図5は、第1実施形態に係る車両用燃料電池システム1の詳細動作を示すフローチャートである。同図に示すように、まず、コントロールユニット80は、各種センサからの信号を読み込む(ST1)。次に、コントロールユニット80は、読み込んだセンサ信号に基づいて自車両が減速状態にあるか、すなわち目標電流量が減少状態にあるか否かを判断する(ST2)。例えば、コントロールユニット80は、アクセル開度のセンサ(不図示)からの信号を読み込んで目標電流量が減少状態にあるか否かを判断する。
そして、目標電流量が減少状態にないと判断した場合(ST2:NO)、処理はステップST1に戻る。一方、目標電流量が減少状態にあると判断した場合(ST2:YES)、コントロールユニット80は、目標電流量の減少直前の運転負荷に応じて、図4に示す相関関係から、ガス供給量の変化率を決定し、その変化率でガス供給量を減少させていく(ST3)。
その後、図5に示す処理は終了する。なお、図5に示す処理は例えば車両が停止してイグニッションスイッチがオフされるまで繰り返されることとなる。
図6は、第1実施形態に係る車両用燃料電池システム1の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は目標電流量(運転負荷)の推移を示し、(b)は図5に示したST2の判断結果を示し、(c)はガス供給量の推移を示している。
まず、直前の運転負荷が高い場合を例に説明する。図6(a)の破線に示すように、車両が加速などして運転負荷が高くなり、その後車両減速により運転負荷が減少したとする(時刻t1)。このとき、車両の減速に伴って目標電流量は減少していく(時刻t1〜t3)。この時刻t1〜t3の期間では、図5に示したST2において「YES」と判断され(図6(b))、処理は図5のステップST3に移行することとなる。そして、コントロールユニット80は、図4の相関関係に基づいてガス供給量の変化率を小さくし、その変化率でガス供給量を減少させていく(図6(c))。
次に、直前の運転負荷がそれほど高くないを説明する。図6(a)の実線に示すように、運転負荷がそれほど高くない状態から運転負荷が減少し(時刻t1)、目標電流量は減少していく(時刻t1〜t2)。この時刻t1〜t2の期間では、図5に示したST2において「YES」と判断され(図6(b))、処理は図5のステップST3に移行することとなる。そして、直前の運転負荷がそれほど高くないことから、コントロールユニット80は、図4の相関関係に基づいてガス供給量の変化率はやや大きくし、その変化率でガス供給量を減少させていく(図6(c))。
このようにして、第1実施形態に係る車両用燃料電池システム1によれば、目標電流量が減少したときには目標電流量が増加するときよりもガス供給量の変化率を緩やかにするので、目標電流量の減少段階ではガスの供給量が必要量よりも多い状態となる。すなわち、必要以上のガスを供給することにより燃料電池スタック10にて生成される生成水を排除して濡れ状態を防止することができる。特に、運転状況によって生成水の量は変動するが、運転状況によってガス供給量の変化率を異ならせるため、生成水の量に応じた適切な排除が可能となる。
また、上記の如く、生成水を適切に排除するため、次回の負荷上昇時などにおいてフラッディングによる不具合がなく、充分なガスが供給されているにも関わらず、出力が不充分となってしまう事態を防止することができる。
従って、負荷急増時において満足な出力を得ることができ、且つ、濡れ状態を適切に解消することができる。
また、目標電流量が減少する直前の運転負荷が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることとしているので、燃料電池スタック10にて生成される生成水の量が多くなるに従って、できるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなる。従って、適切に水分の排除を行うことができる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る車両用燃料電池システムは、第1実施形態のものと同様であるが、処理内容が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点を説明する。
まず、第1実施形態においてコントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の運転負荷の変化量が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることしていた。これに対し、第2実施形態のコントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前と目標電流量が減少した直後との運転負荷の差(変化量)が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることとしている。
図7は、運転負荷の変化量とガス供給量の変化率との相関関係を示す説明図である。同図に示すように、コントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の運転負荷と目標電流量が減少した直後との運転負荷の変化量が大きくなるに従って、ガス供給量の変化率を小さくする。
ここで、一般の燃料電池システムでは、運転負荷の変化量が大きい場合、生成水を一層排除し難くなる。すなわち、運転負荷が高い期間では燃料電池スタック10にて多くの生成水が生成されるが、その後目標電流量が急激に低下すると、ガスの供給量も急激に低下することとなり、生成水が多く存在するにも関わらずガス供給量が小さいという事態が生じてしまう。このため、一般の燃料電池システムでは、運転負荷の変化量が大きい場合、生成水が燃料電池スタック10に残存しやすくなってしまう。
ところが、第2実施形態に係る車両用燃料電池システム2では、運転負荷の変化量が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくするため、生成水が燃料電池スタック10に残存し易くなる状況下において、できるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなる。よって、車両用燃料電池システム2は、適切に水分の排除を行うことができるようになっている。
次に、第2実施形態に係る車両用燃料電池システム2の詳細動作を説明する。図8は、第2実施形態に係る車両用燃料電池システム2の詳細動作を示すフローチャートである。同図に示すように、まず、コントロールユニット80は、第1実施形態と同様に、各種センサからの信号を読み込み(ST11)、読み込んだセンサ信号に基づいて自車両が減速状態にあるか否かを判断する(ST12)。そして、コントロールユニット80は、自車両が減速状態にないと判断した場合(ST12:NO)、処理をステップST11に戻す。一方、自車両が減速状態にあると判断した場合(ST12:YES)、コントロールユニット80は、運転負荷の変化量に応じて、図7に示す相関関係から、ガス供給量の変化率を決定し、その変化率でガス供給量を減少させていく(ST13)。
その後、図8に示す処理は終了する。なお、図8に示す処理は例えば車両が停止してイグニッションスイッチがオフされるまで繰り返されることとなる。
図9は、第2実施形態に係る車両用燃料電池システム2の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は目標電流量(運転負荷)の推移を示し、(b)は図8に示したST2の判断結果を示し、(c)はガス供給量の推移を示している。
まず、運転負荷の変化量が大きい場合を例に説明する。図9(a)の破線に示すように、運転負荷が高い場合に車両減速等が行われて運転負荷が小さくなったときには(時刻t11〜t13)、運転負荷の変化量は大きくなる。この変化の過程、すなわち時刻t11〜t13の期間では、図8に示したST12において「YES」と判断され(図8(b))、処理は図8のステップST13に移行することとなる。そして、コントロールユニット80は、運転負荷の変化量が大きいことから、図7の相関関係に基づいてガス供給量の変化率を小さくし、その変化率でガス供給量を減少させていく(図9(c))。
次に、運転負荷の変化量がそれほど大きくないを説明する。図9(a)の実線に示すように、運転負荷がそれほど高くない状態から減少していったときには(時刻t11〜t12)、運転負荷の変化量がそれほど大きくないと言える。この変化の過程、すなわち時刻t11〜t12の期間では、図8に示したST12において「YES」と判断され(図9(b))、処理は図8のステップST13に移行することとなる。
そして、運転負荷の変化量がそれほど大きくないことから、コントロールユニット80は、運転負荷の変化量がそれほど大きくないことから、図7の相関関係に基づいてガス供給量の変化率を(時刻t12以降)やや大きくし、その変化率でガス供給量を減少させていく(図9(c))。
なお、図9に示すように、厳密にコントロールユニット80は、運転負荷の変化量が求まるまでの間(時刻t11〜t12)、運転負荷の変化量が最大であると仮定してガス供給量を変化させ、運転負荷の変化量が求まった後にガス供給量の変化率をやや大きくさせている。
このようにして、第2実施形態に係る車両用燃料電池システム2によれば、第1実施形態と同様に、急加速時において満足な出力を得ることができ、且つ、濡れ状態を適切に解消することができる。
さらに、第2実施形態によれば、目標電流量が減少する直前と目標電流量が減少した直後との運転負荷の変化量が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることとしているので、多く生成された生成水を排除し難くなるという状況下において、できるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなる。従って、適切に水分の排除を行うことができる。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係る車両用燃料電池システムは、第1実施形態のものと同様であるが、処理内容が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点を説明する。
まず、第1実施形態においてコントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の運転負荷の変化量が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることしていた。これに対し、第3実施形態のコントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度が高くなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることとしている。なお、燃料電池スタック10の温度は、燃料電池スタック10に直接設けられた温度センサ72によって検出されるが、これに限らず、例えば、燃料電池スタック10の近傍(例えば燃料電池スタック10に接続される配管内)に設けられた温度センサによって検出されてもよいし、他の温度センサの検出温度から推測されてもよい。
図10は、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度とガス供給量の変化率との相関関係を示す説明図である。同図に示すように、ガス供給量の変化率は燃料電池スタック10の温度が上昇するに従い小さくなっている。コントロールユニット80は、この相関関係をもとに、目標電流量が減少したときに、燃料電池スタック10の温度が高くなるに従ってガス供給量の変化率を小さくする。
ここで、燃料電池スタック10の温度が高い場合、ガス内に水分が多く含まれることとなるため、温度低下によって水分が多く発生することとなる。このため、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度が高くなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることで、多くの液水が生じる状況において、できるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなり、適切に水分の排除を行うことができることとなる。
なお、フローチャート及びタイミングチャートは第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
このようにして、第3実施形態に係る車両用燃料電池システム3によれば、目標電流量が減少したときには目標電流量が増加するときよりもガス供給量の変化率を緩やかにするので、目標電流量の減少段階ではガスの供給量が必要量よりも多い状態となる。すなわち、必要以上のガスを供給することにより燃料電池スタック10にて生成される生成水を排除して濡れ状態を防止することができる。特に、温度状況によって生成水の量は変動するが、温度状況によってガス供給量の変化率を異ならせるため、生成水の量に応じた適切な排除が可能となる。
また、上記の如く、生成水を適切に排除するため、次回の負荷上昇時などにおいてフラッディングによる不具合がなく、充分なガスが供給されているにも関わらず、出力が不充分となってしまう事態を防止することができる。
従って、負荷急増時において満足な出力を得ることができ、且つ、濡れ状態を適切に解消することができる。
さらに、第3実施形態によれば、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度が高くなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることとしているので、凝縮による液水の量が多くなるに従って、できるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなる。従って、適切に水分の排除を行うことができる。
次に、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態に係る車両用燃料電池システムは、第3実施形態のものと同様であるが、処理内容が一部異なっている。以下、第3実施形態との相違点を説明する。
まず、第3実施形態においてコントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度が高くなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることしていた。これに対し、第4実施形態のコントロールユニット80は、外気温度が低くなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることとしている。なお、外気の温度は、外気温センサ76によって検出されるが、これに限らず、例えば地域の気温情報などを情報センタから受信するようにしてもよいし、他の温度センサの検出温度から推測されてもよい。
図11は、目標電流量が減少する直前の外気温度とガス供給量の変化率との相関関係を示す説明図である。同図に示すように、ガス供給量の変化率は外気温度に比例して大きくなっており、コントロールユニット80は、この相関関係をもとに、目標電流量が減少したときに、外気温度が低くなるに従ってガス供給量の変化率を小さくする。
ここで、外気温度が低い場合、燃料電池スタック10にて暖められて且つ水分を含んだガスは、温度低下し易くなり、凝縮による液水が多く生じることとなる。このため、目標電流量が減少する直前の外気温度が低くなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることで、多くの液水が生じる状況においてできるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなり、適切に水分の排除を行うことができる。
なお、フローチャート及びタイミングチャートは第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
このようにして、第4実施形態に係る車両用燃料電池システム4によれば、第3実施形態と同様に、急加速時において満足な出力を得ることができ、且つ、濡れ状態を適切に解消することができる。
さらに、第4実施形態によれば、目標電流量が減少する直前の外気温度が低くなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることとしているので、凝縮による液水の量が多くなるに従って、できるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなる。従って、適切に水分の排除を行うことができる。
次に、本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態に係る車両用燃料電池システムは、第3実施形態のものと同様であるが、処理内容が一部異なっている。以下、第3実施形態との相違点を説明する。
まず、第3実施形態においてコントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度が高くなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることしていた。これに対し、第5実施形態のコントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度が外気温度よりも高い場合、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度と外気温度との差が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることとしている。
図12は、燃料電池スタック10の温度及び外気温度の差と、ガス供給量の変化率との相関関係を示す説明図である。同図に示すように、ガス供給量の変化率は両温度の差が大きい程小さくなっており、コントロールユニット80は、この相関関係をもとに、目標電流量が減少したときに、両温度の差が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくする。
ここで、燃料電池スタック10の温度が外気温度よりも高い場合、燃料電池スタック10において暖められたガスは外気によって冷やされて、凝縮による液水が多く生じることとなる。このため、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度が外気温度よりも高い場合に、両温度の差が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることで、多くの液水が生じる状況においてできるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなり、適切に水分の排除を行うことができる。
なお、フローチャート及びタイミングチャートは第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
このようにして、第5実施形態に係る車両用燃料電池システム5によれば、第3実施形態と同様に、急加速時において満足な出力を得ることができ、且つ、濡れ状態を適切に解消することができる。
さらに、第5実施形態によれば、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度が外気温度よりも高い場合、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度と外気温度との差が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくする。このため、凝縮による液水の量が多くなるに従って、できるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなる。従って、適切に水分の排除を行うことができる。
次に、本発明の第6実施形態を説明する。第6実施形態に係る車両用燃料電池システムは、第1実施形態のものと同様であるが、処理内容が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点を説明する。
まず、第1実施形態においてコントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の運転負荷が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることしていた。これに対し、第6実施形態のコントロールユニット80は、負荷の減少度合いが大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることとしている。
図13は、負荷の減少速度とガス供給量の変化率との相関関係を示す説明図である。同図に示すように、ガス供給量の変化率は負荷の減少速度が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくなっており、負荷の減少速度が最大のガス供給量の変化率は加速時のガス供給量の変化率の20分の1になっている。コントロールユニット80は、この相関関係に基づいて、負荷の減少速度が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくする。
ここで、一般的な燃料電池システムでは、負荷の減少度合いが大きい場合、ガス供給量が大きく低下するため、水分の排除を行い難くなる。このため、負荷の減少度合いが大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることで、水分の排除を行い難くなる状況下においてできるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなり、適切に水分の排除を行うことができる。
図14は、第6実施形態に係る車両用燃料電池システム6の詳細動作を示すフローチャートである。同図に示すように、まず、コントロールユニット80は、第1実施形態と同様に、各種センサからの信号を読み込み(ST21)、読み込んだセンサ信号に基づいて減速度を計算する(ST22)。そして、コントロールユニット80は、減速度に応じて図13に示す相関関係から、ガス供給量の変化率を決定し、その変化率でガス供給量を減少させていく(ST23)。
その後、図14に示す処理は終了する。なお、図14に示す処理は例えば車両が停止してイグニッションスイッチがオフされるまで繰り返されることとなる。
このようにして、第6実施形態に係る車両用燃料電池システム6によれば、第1実施形態と同様に、急加速時において満足な出力を得ることができ、且つ、濡れ状態を適切に解消することができる。
さらに、第6実施形態によれば、負荷の減少度合いが大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくするので、水分の排除を行い難くなる状況下においてできるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなる。従って、適切に水分の排除を行うことができる。
次に、本発明の第7実施形態を説明する。第7実施形態に係る車両用燃料電池システムは、第1実施形態のものと同様であるが、処理内容が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点を説明する。
まず、第1実施形態においてコントロールユニット80は、負荷側によって要求される目標電流量が減少したときには目標電流量が増加するときよりもガス供給量の変化率を緩やかにすると共に、運転状況及び温度状況の少なくとも一方に応じてガス供給量の変化率を異ならせていた。
これに対し、第7実施形態のコントロールユニット80は、負荷側によって要求される目標電流量が減少したときには、所定時間だけガス供給量を変化させず、所定時間経過後にガス供給量を変化させると共に、運転状況及び温度状況の少なくとも一方に応じて所定時間を異ならせることとしている。なお、この所定時間を以下保持時間と称する。
さらに、第1実施形態においてコントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の運転負荷の変化量が大きくなるに従ってガス供給量の変化率を小さくすることしていた。これに対し、第7実施形態のコントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の運転負荷が大きくなるに従って保持時間を長くすることとしている。
図15は、目標電流量の減少直前の運転負荷と保持時間との相関関係を示す説明図である。同図に示すように、保持時間は目標電流量が減少する直前の運転負荷に比例して長くなっている。コントロールユニット80は、この相関関係をもとに、目標電流量が減少したときに、目標電流量が減少する直前の運転負荷が大きくなるに従って、保持時間を長くする。
ここで、運転負荷が大きい場合、燃料電池スタック10にて生成される生成水の量が多くなる。このため、コントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の運転負荷が大きくなるに従って保持時間を長くすることで、生成水の量が多くなるときに多量の水分を排除するようにガスを供給することとなり、適切な水分の排除を行うようにしている。
なお、第7実施実施形態に係る車両用燃料電池システム7のフローチャートは、図5に示したものと同様であるため、説明を省略する。
図16は、第7実施形態に係る車両用燃料電池システム7の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は目標電流量(運転負荷)の推移を示し、(b)は減少状態か否かの判断結果を示し、(c)はガス供給量の推移を示している。
まず、直前の運転負荷が高い場合を例に説明する。図16(a)の破線に示すように、運転負荷が高い状態から車両減速により運転負荷が減少したとする(時刻t21)。このとき、車両の減速に伴って目標電流量は減少していく(時刻t21〜t24)。この時刻t21〜t24の期間では、目標電流量の減少状態であると判断され(図16(b))、図15の相関関係に応じた保持時間が設定される。このとき、コントロールユニット80は、直前の運転負荷が高いことから、図15の相関関係に基づいて保持時間を長くし(時刻t21〜t25)、保持時間の経過後にガス供給量を減少させていく(図16(c))。
次に、直前の運転負荷がそれほど高くない場合を説明する。図16(a)の実線に示すように、運転負荷がそれほど高くない状態から運転負荷が減少して、目標電流量は減少していく(時刻t21〜t23)。この時刻t21〜t23の期間では、目標電流量の減少状態であると判断され(図16(b))、図15の相関関係に応じた保持時間が設定される。このとき、コントロールユニット80は、直前の運転負荷がそれほど高くないことから、図15の相関関係に基づいて保持時間を短くし(時刻t21〜t22)、保持時間の経過後にガス供給量を減少させていく(図16(c))。
このようにして、第7実施形態に係る車両用燃料電池システム7によれば、保持時間だけガス供給量を変化させず保持時間経過後にガス供給量を変化させるので、保持時間中ではガスの供給量が必要量よりも多い状態となる。すなわち、必要以上のガスを供給することにより燃料電池スタック10にて生成される生成水を排除して濡れ状態を防止することができる。特に、運転状況によって生成水の量は変動するが、運転状況によってガス供給量の変化率を異ならせるため、生成水の量に応じた適切な水分の排除が可能となる。
また、上記の如く、生成水を適切に排除するため、次回の負荷上昇時などにおいてフラッディングによる不具合がなく、充分なガスが供給されているにも関わらず、出力が不充分となってしまう事態を防止することができる。
従って、負荷急増時において満足な出力を得ることができ、且つ、濡れ状態を適切に解消することができる。
また、目標電流量が減少する直前の運転負荷が大きくなるに従って保持時間を長くすることとしているので、燃料電池スタック10にて生成される生成水の量が多くなるに従って、できるだけ長い期間に亘り生成水を排除すべくガスを供給することとなる。従って、適切に水分の排除を行うことができる。
なお、第7実施形態では目標電流量が減少する直前の運転負荷が大きくなるに従って保持時間を長くすることとしているが、これに限らず、以下のようにしてもよい。例えば、コントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前と目標電流量が減少した直後との運転負荷の変化量が大きくなるに従って保持時間を長くするようにしてもよい。また、コントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタックの温度が高くなるに従って保持時間を長くするようにしてもよいし、目標電流量が減少する直前の外気温度が低くなるに従って保持時間を長くするようにしてもよい。
さらに、コントロールユニット80は、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度が外気温度よりも高い場合、目標電流量が減少する直前の燃料電池スタック10の温度と外気温度との差が大きくなるに従って保持時間を長くするようにしてもよい。さらには、コントロールユニット80は、運転負荷の減少度合いが大きくなるに従って保持時間を長くするようにしてもよい。
これらによっても、第2〜第6実施形態において説明したのと同様の理由で、適切に水分の排除を行うことができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよし、各実施形態を組み合わせてもよい。