JP2006338396A - リスクマネジメントシステム、シミュレーション方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、クリニカルパスにおける各日または各業務時間帯について、予定業務の実施によって発生する損失リスクが最小となるように各看護師に対して予定業務の割り当てを行うシミュレーション方法であって、クリニカルパスと、勤務表と、看護師情報テーブルと、所定労働時間テーブルと、業務量テーブルと、インシデント・アクシデント発生確率テーブルと、インシデント・アクシデントレベル損失対応テーブルと、を用い、前記日または前記業務時間帯において発生する損失リスクに関する目的関数を、各看護師の労働時間が各看護師の前記日または業務時間帯における所定労働時間を越えないことを表す制約条件の下で最適化して、各看護師に対する予定業務の割り当てパターンを求める。
【選択図】 図1
Description
Tkj:第k業務時間帯に出勤する看護師jの所定労働時間(図4参照)
γkj:第k業務時間帯に出勤する看護師jの残業可能時間
tij:第k業務時間帯に実施予定の業務iを看護師jが行った場合の所要時間
tijは過去の実績から下記の線形回帰モデルなどにより求めることができる。θti
は業務iの業務内容についての業務量係数で、図3の業務量テーブルに保持される。
θti = (1, αli, βadli,...)
st ij = (t0i, lj, adli,...)
αli:業務iの看護師スキルレベル係数
βadli:業務iのADL(Activities of Daily Living)レベル係数
t0i:業務iの標準所要時間
lj:看護師jのレベル
adli:業務iの患者のADL(Activities of Daily Living)レベル
他、勤務時間帯(日勤、準夜勤、深夜勤)
pij:業務iを看護師jが行った場合のインシデント・アクシデント発生確率
pijは過去の実績から下記のロジスティックモデルなどにより求めることができる。
係数θpiは図5のインシデント・アクシデント発生確率テーブルに保持される。
δadli:業務iのADL(Activities of Daily Living)レベル係数
p0i:業務iの平均インシデント・アクシデント発生確率
lj:看護師jのレベル
adli:業務iの患者のADL(Activities of Daily Living)レベル
他、勤務時間帯(日勤、準夜勤、深夜勤)、最近休日からの日数・深夜勤務数
ここで、p0iは、図5に基づき、業務iにおける各インシデント・アクシデント
レベルの発生確率の和を取ったものである。つまりp0iはいずれかのレベルの
インシデント・アクシデントが発生する確率を示す。
業務iを看護師jが行った場合にインシデント・アクシデントが発生するならば1、
そうでなければ0
pij の確率で1となり、1−pij の確率で0となる。
インシデント・アクシデント発生パターン;y = (y00, y01,..., yij,...)
p(y): yの生起確率
業務iを看護師jに割り当てるならば1、そうでなければ0。
業務割り当ての制約:業務iは所要人数分の看護師に割り当てられる。
mi:業務iの所要人数
第k業務時間帯に出勤する看護師jの業務時間:
インシデント・アクシデントのレベル(患者への影響度):l( = 1, 2,...)とする。業務iと同種の業務について、過去におけるインシデント・アクシデントを求める。図6のインシデント・アクシデントレベル損失対応テーブルにより、各インシデント・アクシデントの損失を求め、損失の平均値を計算し、この平均値を業務iの平均インシデント・アクシデント発生時損失とする。この他、業務iの平均インシデント・アクシデント発生時損失は以下のようにして計算してもよい。
各患者のクリニカルパスにおいて実施が予定されている業務を、勤務表において勤務予定の看護師に割り当てる場合に、
第k期のある割り当てパターンxkのもとでのインシデント・アクシデント損失の総計fkはxkとyの関数として次式で計算される。
最適割り当てを各業務時間帯kについて行い
・他のリスクの低い時間帯の看護師の勤務予定を変更し当該時間帯に配置変更する。
・当該業務の実施予定を他の時間帯に繰り越すあるいは繰り上げる。
といった対策を検討することが可能になる。対策内容に応じて勤務表を仮に変更したり、ある患者のクリニカルパス上の業務予定を変更し、再度、最適割り当てを行ったりすることで、対策をとった場合のリスク評価を行うことができ、対策の効果や良し悪しを検討できる。損失の期待値についても同様に評価を行うことができる。
式(14)、式(15)に示すように、ある業務割り当て計画のもとでの損失リスクあるいは損失の期待値は、業務別(i)の損失リスク・期待値の和となっている。業務内容が同一の業務の損失リスク・期待値についての和をとり、業務内容ごとの損失リスク・期待値を求め、これらを大きさ順に整列することで、病院全体あるいは病棟全体の損失リスク・期待値の低減に効果的な業務内容を洗い出すことができる。
式(14)、式(15)において、損失リスク・期待値の看護師についての和(j)と業務についての和(i)は交換可能である。したがって各看護師に割り当てられた業務についての損失リスク・期待値の和を求めることができ、看護師別の損失リスク・期待値を求めることができる。これにより、各看護師は将来のどの業務時間帯に損失リスク・期待値の大きい業務が割り当てられているかを把握することができる。
看護師の休暇や病欠、移動、退職などに伴い、看護師の勤務表に変更があった場合には、変更後の勤務表に基づいて、上記の損失リスク最小化割り当てを再度行い、変更前の勤務表におけるリスクに対し、変更後の損失リスク・期待値が増加している業務時間帯や業務を求めることができる。
ある患者に対する全てあるいは一部の業務が、特定の看護師に割り当てるように固定されている場合、以下のようにして、この条件を考慮した上で、リスクを最小にする業務割り当てを行うことができる。
12:業務量テーブル保持部
13:所定労働時間テーブル保持部
14:インシデント・アクシデント発生確率テーブル保持部
15:インシデント・アクシデントレベル損失対応テーブル保持部
16:勤務表保持部
17:看護師情報テーブル保持部
18、31:業務割り当て計画保持部
20、33:シミュレーション部
21:乱数発生部
34:損失リスク・期待値保持部
Claims (13)
- 患者に対して実施予定の予定業務を日別または日別かつ業務時間帯別に保持したクリニカルパスと、
各看護師の勤務予定を日別または日別かつ業務時間帯別に保持した勤務表と、
各看護師のスキルレベルを保持した看護師情報テーブルと、
業務内容と、業務の実施に要する標準所要時間とを保持した業務量テーブルと、
前記業務内容と、インシデント・アクシデントレベルと、前記インシデント・アクシデントの発生確率とを保持したインシデント・アクシデント発生確率テーブルと、
前記インシデント・アクシデントレベルと、前記インシデント・アクシデントレベルのインシデント・アクシデントが生じた場合の損失とを保持したインシデント・アクシデントレベル損失対応テーブルと、
乱数発生部と、
前記クリニカルパスにおける前記日または前記業務時間帯について、予定業務の実施によって発生する損失リスクが最小となるように各看護師に対して予定業務の割り当てを行うシミュレーション部であって、
前記インシデント・アクシデント発生確率テーブルと前記インシデント・アクシデントレベル損失対応テーブルとを用いて、前記インシデント・アクシデントが生じた場合に発生する損失の期待値を予定業務ごとに計算する手段と、
前記看護師情報テーブルと前記インシデント・アクシデント発生確率テーブルとを用いて、各看護師が各予定業務を実施したとした場合における看護師別かつ予定業務別のインシデント・アクシデントの発生確率を看護師別業務別発生確率として計算する手段と、
前記日または前記業務時間帯において各看護師が各予定業務を実施したとした場合におけるインシデント・アクシデントの発生パターンを、前記看護師別業務別発生確率に従って前記乱数発生部に複数発生させる手段と、
前記業務量テーブルと前記看護師情報テーブルとに基づいて、各看護師が各予定業務を実施したとした場合に要する看護師別かつ予定業務別の実施所要時間を計算する手段と、
計算された予定業務ごとの損失の期待値と、発生させられた複数のインシデント・アクシデントの発生パターンと、各看護師に対する予定業務の割り当てパターンを示す割当パターン変数とを用いる目的関数を、計算された看護師別かつ予定業務別の実施所要時間と前記割当パターン変数とを用いて各看護師の労働時間が各看護師の所定労働時間を越えないことを規定する制約条件の下で最適化することにより前記割当パターン変数を求める手段と、
を有するシミュレーション部と、
を備えたリスクマネジメントシステム。 - 前記クリニカルパスは患者の状態レベルをさらに保持し、
前記看護師別業務別発生確率を計算する手段は、さらに前記患者の状態レベルを用いて、前記看護師別業務別発生確率を計算することを特徴とする請求項1に記載のリスクマネジメントシステム。 - 前記クリニカルパスは患者の状態レベルをさらに保持し、
前記実施所要時間を計算する手段は、さらに前記患者の状態レベルを用いて、前記実施所要時間を計算することを特徴とする請求項1または2に記載のリスクマネジメントシステム。 - 前記シミュレーション部は、各看護師の各日または各業務時間帯における残業可能時間を表す情報をあらかじめ与えられ、
前記制約条件は、前記各看護師の労働時間が前記各看護師の所定労働時間と残業可能時間との合計を越えないことを規定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のリスクマネジメントシステム。 - 前記シミュレーション部は、前記業務量テーブルにおける各業務の実施に必要な人数をあらかじめ与えられ、前記制約条件は、各予定業務について各々必要な人数を確保するための制約を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のリスクマネジメントシステム。
- 前記インシデント・アクシデント損失対応テーブルが保持する損失は、時間的損失、経済的損失、または、これらの両方を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のリスクマネジメントシステム。
- 前記割当パターン変数を求める手段は、特定の予定業務が特定の看護師によって実施されることがあらかじめ決定されている場合は、前記特定の予定業務の前記特定の看護師に対する割り当て変数の値を定めた式を前記制約条件にさらに含めることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のリスクマネジメントシステム。
- 前記割当パターン変数を求める手段は、特定の予定業務が特定の看護師によって実施されることがあらかじめ決定されている場合は、前記特定の予定業務の前記特定の看護師に対する割り当て変数を前記割当パターン変数から除去したものを割当パターン変数として用い、また、前記制約条件において、前記特定の予定業務を前記特定の看護師が実施した場合の実施所要時間を前記所定労働時間から減じたものを前記特定の看護師の所定労働時間として用いることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のリスクマネジメントシステム。
- 日別または日別かつ業務時間別に、患者に対して実施予定の予定業務に看護師を割り当てた業務割り当て計画テーブルと、
各看護師のスキルレベルを保持した看護師情報テーブルと、
業務内容と、インシデント・アクシデントレベルと、前記インシデント・アクシデントの発生確率とを保持したインシデント・アクシデント発生確率テーブルと、
前記インシデント・アクシデントレベルと、前記インシデント・アクシデントレベルのインシデント・アクシデントが生じた場合の損失とを保持したインシデント・アクシデントレベル損失対応テーブルと、
乱数発生部と、
前記業務割り当て計画テーブルの下、前記日または前記業務時間帯における予定業務の実施に伴う損失リスクを算出するシミュレーション部であって、
前記インシデント・アクシデント発生確率テーブルと前記インシデント・アクシデントレベル損失対応テーブルとを用いて、前記インシデント・アクシデントが生じた場合に発生する損失の期待値を予定業務ごとに計算する手段と、
前記看護師情報テーブルと前記インシデント・アクシデント発生確率テーブルとを用いて、各看護師が各予定業務を実施したとした場合における看護師別かつ予定業務別のインシデント・アクシデントの発生確率を看護師別業務別発生確率として計算する手段と、
前記業務時間帯において各看護師が各予定業務を実施したとした場合におけるインシデント・アクシデントの発生パターンを前記看護師別業務別発生確率に従って前記乱数発生部に複数発生させる手段と、
前記業務割り当て計画テーブルから得られる前記日または前記業務時間帯における各看護師に対する予定業務の割り当てパターンと、計算された予定業務ごとの損失の期待値と、発生させられた複数のインシデント・アクシデントの発生パターンとを用いて、前記日または前記業務時間帯に発生する損失リスクを算出する手段と、
を有するシミュレーション部と、
を備えたリスクマネジメントシステム。 - 前記シミュレーション部は、前記各看護師に対する予定業務の割り当てパターンと、前記計算された予定業務ごとの損失の期待値と、計算された看護師別業務別発生確率とを用いて、前記日または前記業務時間帯に発生する損失の期待値を算出する手段をさらに有することを特徴とする請求項9に記載のリスクマネジメントシステム。
- 患者の状態レベルを含むテーブルをさらに備え、
前記看護師別業務別発生確率を計算する手段は、前記患者の状態レベルをさらに用いて前記看護師別業務別発生確率を計算することを特徴とする請求項9または10に記載のリスクマネジメントシステム。 - 患者に対して実施予定の予定業務を日別または日別かつ業務時間帯別に保持したクリニカルパスにおいて、前記日または前記業務時間帯における予定業務の実施によって発生する損失リスクが最小となるように前記日または前記業務時間帯に出勤予定の各看護師に対して予定業務の割り当てを行うシミュレーション方法であって、
前記クリニカルパスと、各看護師の勤務予定を日別または日別かつ業務時間帯別に保持した勤務表と、各看護師のスキルレベルを保持した看護師情報テーブルと、業務内容と業務の実施に要する標準所要時間とを保持した業務量テーブルと、前記業務内容とインシデント・アクシデントレベルと前記インシデント・アクシデントの発生確率とを保持したインシデント・アクシデント発生確率テーブルと、前記インシデント・アクシデントレベルと前記インシデント・アクシデントレベルのインシデント・アクシデントが生じた場合の損失とを保持したインシデント・アクシデントレベル損失対応テーブルと、を用意し、
前記インシデント・アクシデント発生確率テーブルと前記インシデント・アクシデントレベル損失対応テーブルとを用いて、前記インシデント・アクシデントが生じた場合に発生する損失の期待値を予定業務ごとに計算し、
前記看護師情報テーブルと前記インシデント・アクシデント発生確率テーブルとを用いて、各看護師が各予定業務を実施したとした場合における看護師別かつ予定業務別のインシデント・アクシデントの発生確率を看護師別業務別発生確率として計算し、
前記日または前記業務時間帯において各看護師が各予定業務を実施したとした場合におけるインシデント・アクシデントの発生パターンを前記看護師別業務別発生確率に従って乱数として複数発生させ、
前記業務量テーブルと前記看護師情報テーブルとに基づいて、各看護師が各予定業務を実施したとした場合に要する看護師別かつ予定業務別の実施所要時間を計算し、
計算された予定業務ごとの損失の期待値と、発生させられた複数のインシデント・アクシデントの発生パターンと、各看護師に対する予定業務の割り当てパターンを示す割当パターン変数とを用いる目的関数を、計算された看護師別かつ予定業務別の実施所要時間と前記割当パターン変数とを用いて各看護師の労働時間が各看護師の所定労働時間を越えないことを規定する制約条件の下で最適化することにより各看護師に対する前記割当パターン変数を求める、
ことを特徴とするシミュレーション方法。 - 患者に対して実施予定の予定業務を日別または日別かつ業務時間帯別に保持したクリニカルパスにおいて、前記日または前記業務時間帯における予定業務の実施によって発生する損失リスクが最小となるように、前記日または前記業務時間帯に出勤予定の各看護師に対して予定業務の割り当てを行うシミュレーションをコンピュータに実行させるプログラムであって、
業務内容とインシデント・アクシデントレベルとインシデント・アクシデントの発生確率とを保持したインシデント・アクシデント発生確率テーブルと、前記インシデント・アクシデントレベルと前記インシデント・アクシデントレベルのインシデント・アクシデントが生じた場合の損失とを保持したインシデント・アクシデントレベル損失対応テーブルとを用いて、前記インシデント・アクシデントが生じた場合に発生する損失の期待値を予定業務ごとに計算するステップと、
各看護師のスキルレベルを保持した看護師情報テーブルと前記インシデント・アクシデント発生確率テーブルとを用いて、各看護師が各予定業務を実施したとした場合における看護師別かつ予定業務別のインシデント・アクシデントの発生確率を看護師別業務別発生確率として計算するステップと、
前記日または前記業務時間帯において各看護師が各予定業務を実施したとした場合におけるインシデント・アクシデントの発生パターンを前記看護師別業務別発生確率に従って乱数として複数発生させるステップと、
業務内容と業務の実施に要する標準所要時間とを保持した業務量テーブルと前記看護師情報テーブルとに基づいて、各看護師が各予定業務を実施したとした場合に要する看護師別かつ予定業務別の実施所要時間を計算するステップと、
計算された予定業務ごとの損失の期待値と、発生させられた複数のインシデント・アクシデントの発生パターンと、各看護師に対する予定業務の割り当てパターンを示す割当パターン変数とを用いる目的関数を、計算された看護師別かつ予定業務別の実施所要時間と前記割当パターン変数とを用いて各看護師の労働時間が各看護師の所定労働時間を越えないことを規定する制約条件の下で最適化することにより各看護師に対する前記割当パターン変数を求めるステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
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