JP2006337845A - 明所コントラスト向上部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】画素との間で高度な位置合わせを必要とせずに、外部からディスプレイ内に入射する外光を吸収して黒表示を改善するとともに、表示のための光をディスプレイ内で吸収させずにディスプレイ表面から出射させることができる明所コントラスト向上部材を提供すること。
【解決手段】本発明の明所コントラスト向上部材10は、一対の主面を有する光透過性基材11と、光透過性基材11の一方の主面上に配置されたマイクロレンズアレイと、光透過性基材11の他方の主面上に形成され、マイクロレンズアレイの個々のマイクロレンズにより集光した光を通過させる開口部13aを有する反射層13と、反射層13上に設けられた遮光層14と、を具備することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイや有機EL(エレクトロルミネッセンス)などに使用される光学部材である明所コントラスト向上部材に関する。
近年、薄型で大画面のディスプレイが急速に市場を広げている。薄型、大画面のディスプレイとしては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、リアプロジェクションテレビなどがある。また、現在研究段階であるが、将来は有機ELディスプレイ又はFED(Field Emission Display:電界放出ディスプレイ)が本命になるのではないかとの予測もされている。いずれのディスプレイも技術の進展はめざましく、それぞれの方式の欠点は年を追うごとに解消されているが、明るい室内でのコントラスト(明所コントラスト)が低いという欠点はプラズマディスプレイ、有機ELなどにおいて改善の余地が大きい。
コントラストは白表示と黒表示の明るさの比で表される。外光が存在しない場合のコントラスト(暗所コントラスト)は自発光型であるプラズマディスプレイ、有機ELなどのディスプレイが高い。これは発光を停止することにより完全な黒表示が可能なためである。
一方、明所コントラストは液晶ディスプレイの方が高い。ディスプレイ内部にカラーフィルター及び偏光板などの光を吸収する光学部材を備えており、ディスプレイ内部に入射した外光が再度ディスプレイ表面から出射されることはほとんどないためである。プラズマディスプレイや有機ELでは、一般にディスプレイ内部にカラーフィルターや偏光板はなく、入射した外光がディスプレイ内部に入り込み、内部の電極などで反射されて再度ディスプレイ表面から出射されることにより、完全な黒表示ができないため明所コントラストが低くなる。
従来、外光による明所コントラスト低下を抑制するため、プラズマディスプレイにおいては表示面側基板にカラーフィルターを形成する方法(特許文献1参照)や有機ELディスプレイにおいては透明電極側に円偏光板を設ける方法(特許文献2,3参照)などが提案されている。これらの方法はディスプレイ内に入射する外光及びディスプレイ内で反射した外光を吸収することによって明所コントラストを改善しようとするものである。
また、ベースフィルム上に遮光層とシリンドリカルレンズとを形成したマイクロレンズアレイシートをプラズマディスプレイの前面板として設置することにより明所コントラストを改善しようとすること(特許文献4参照)も報告されている。これは、プラズマディスプレイから出射される画像を表示するための光(表示光)がシリンドリカルレンズで集光されて遮光層に形成された穴を通して外部に出ることが可能なのに対して、太陽光や蛍光灯からの光などの外光はその大半が遮光層により吸収されることによる。
特開平10−69859号公報 特開平8−321381号公報 特開平9−127885号公報 特開2001−154597号公報
しかしながら、従来のカラーフィルターや円偏光板を用いて明所コントラストを改善する方法では、外光を吸収し黒表示を改善すると同時に、表示のための出射光も吸収されてしまうため輝度が低下する。また、カラーフィルターを用いる場合には、高い精度で画素との位置合わせを行う必要がある。
シリンドリカルレンズと遮光層を組み合わせたマイクロレンズアレイシートをプラズマディスプレイ用前面板として使用する場合、マイクロレンズアレイシートの法線とほぼ平行に入射する光は遮光層に設けられた穴を通過して出射されるが、平行からずれた光は遮光層に入射して吸収されてしまい表示に利用することはできなかった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、画素との間で高度な位置合わせを必要とせずに、外部からディスプレイ内に入射する外光を吸収して黒表示を改善するとともに、表示のための光をディスプレイ内で吸収させずにディスプレイ表面から出射させることができる明所コントラスト向上部材を提供することを目的とする。
本発明の明所コントラスト向上部材は、一対の主面を有する光透過性基材と、前記光透過性基材の一方の主面上に配置されたレンズアレイと、前記光透過性基材の他方の主面上に形成され、前記レンズアレイの個々のレンズにより集光した光を通過させる開口部を有する反射層と、前記反射層上に設けられた遮光層と、を具備することを特徴とする。
本発明の明所コントラスト向上部材においては、前記反射層は、70%以上の可視光反射率を有することが好ましい。
本発明の明所コントラスト向上部材においては、前記レンズアレイの個々のレンズは、前記光透過性基材の主面よりも外側に突出する凸レンズであることが好ましい。
本発明の明所コントラスト向上部材においては、前記レンズアレイの個々のレンズは、前記光透過性基材の主面よりも内側に突出する凸レンズであることが好ましい。
本発明の明所コントラスト向上部材においては、前記レンズアレイの個々のレンズは、前記光透過性基材の主面よりも外側及び内側に突出する凸レンズであることが好ましい。
本発明の明所コントラスト向上部材においては、前記レンズアレイの個々のレンズと前記光透過性基材との間に、前記レンズを構成する材料の屈折率よりも低い屈折率を有する材料で構成された低屈折率層を有することが好ましい。
本発明の明所コントラスト向上部材においては、前記レンズアレイは、前記レンズを構成する材料の屈折率よりも低い屈折率を有する材料で被覆されていることが好ましい。
本発明の明所コントラスト向上部材は、一対の主面を有する光透過性基材と、前記光透過性基材の一方の主面上に配置されたレンズアレイと、前記光透過性基材の他方の主面上に形成され、前記レンズアレイの個々のレンズにより集光した光を通過させる開口部を有する反射層と、前記反射層上に設けられた遮光層と、を具備するので、画素との間で高度な位置合わせを必要とせずに、外部からディスプレイ内に入射する外光を吸収して黒表示を改善するとともに、表示のための光をディスプレイ内で吸収せずにディスプレイ表面から出射させることができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材の概略を示す断面図である。図1に示す明所コントラスト向上部材10は、互いに対向する一対の主面を有する光透過性基材11を含む。この光透過性基材11の一方の主面(ここでは装置本体側)上には、複数のマイクロレンズ12で構成されたマイクロレンズアレイが配置されている。個々のマイクロレンズ12は、それぞれが独立に光を集光する形状を有する。光透過性基材11の他方の主面(ここでは観察者側)上には、反射層13が形成されている。この反射層13は、マイクロレンズアレイの個々のマイクロレンズ12により集光した光を通過させる開口部13aを有する。それぞれの開口部13aは、マイクロレンズ12の光軸が略中心に位置するように形成される。反射層13上には、遮光層14が形成されている。したがって、反射層13及び遮光層14により、マイクロレンズアレイの個々のマイクロレンズ12により集光した光を通過させる開口を構成している。
なお、図1においては、反射層13上に直接遮光層14が形成された場合について説明しているが、反射層13と遮光層14とは必ずしも接している必要はなく、反射層13と遮光層14との間に他の層が介在していても良い。
光透過性基材11に使用される材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、トリアセチルセルロースなどの、一般的に光学フィルムとして使用される樹脂を用いることができる。また、光透過性基材11よりも外側に突出する凸レンズであるマイクロレンズ12を配置する場合には、マイクロレンズ12と光透過性基材11の材質は同じであっても良い。
マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズ12は、表示装置の画素サイズと同等以下のサイズであることが望ましく、さらに表示装置の画素サイズの1/5以下であることが望ましい。例えば、フルHD(1920×1080画素)、対角50インチ、16:9の表示装置の1画素の大きさはおよそ一辺600μmの正方形となる。カラー表示ではRGB3色で1画素を形成するので、各色の領域の幅はおよそ200μm以下となる。この場合、単位レンズは200μm以下のサイズで形成することが好ましく、40μm以下のサイズで形成することがより好ましい。
反射層13は、可視光反射率が70%以上であることが好ましい。このような反射層13としては、Al,Agなどの金属を適当な厚み以上に層形成したり、2種類以上の屈折率の異なる極薄樹脂フィルムを交互に多層積層した構成のものが適用できる。反射層13に開口部13aを形成する方法としては、通常のフォトリソグラフィー法によるパターニング方法などを用いることができる。
遮光層14は、開口部13aにおいて可視光反射率が10%以下であり、開口部13aにおいて可視光透過率が30%以下である材料で構成されていることが好ましい。このような遮光層14としては、カラーフィルターなどに使用されるブラックストライプを形成する材料やカーボンなどで構成された層を用いることができる。遮光層14を形成する方法としては、通常の薄膜形成法及びフォトリソグラフィー法によるパターニング方法などを用いることができる。
なお、遮光層14上に反射防止層を設けても良い。反射防止層を設けることにより、遮光層14表面での反射を抑制することができ、明所コントラストをより効果的に向上させることができる。遮光層14上に形成される反射防止層は、スパッタリングなどの気相法やマイクログラビアなどの塗布法により形成することができる。また、反射防止層としては、比較的に低屈折率を有する材料で構成された単層構造や、相対的に低屈折率を有する材料と相対的に高屈折率を有する材料とを組み合わせた積層構造にすることができる。
開口部13aは、マイクロレンズアレイの個々のマイクロレンズ12に可視光波長の平行光が入射したときに、入射光の60%以上が透過可能である大きさを有することが好ましい。なお、開口部13aの大きさは、光透過性基材11上に配置されるマイクロレンズの形状や相対的な屈折率の大きさなどにより変わる。また、開口部13aの形状には特に制限はないが、マイクロレンズ12の構成に応じて線状、円形状、楕円形状、正方形状、長方形状などの形状にすることができる。
図2は、本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズ部分を示す断面図である。図2に示すマイクロレンズ12は、光透過性基材11の主面よりも外側に突出する凸レンズである。空気中を通過してきた出射光は、空気より屈折率の大きなマイクロレンズ12に入射する際に屈折して集光される。すなわち、装置側から出射された光がマイクロレンズ12で屈折して光透過性基材11で集光する。なお、光透過性基材11の材料とマイクロレンズ12の材料とは同じでも良く、異なっていても良い。
図3は、本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズ部分の他の例を示す断面図である。図3に示すマイクロレンズ12は、光透過性基材11の主面よりも内側に突出する凸レンズである。この場合、マイクロレンズ12を構成する材料の屈折率をnlとし、光透過性基材の屈折率をnsとすると、nl>nsを満たすことが好ましい。空気中を通過してきた出射光は、マイクロレンズ12から光透過性基材11へ出射するときに屈折して集光される。すなわち、装置側から出射された光がマイクロレンズ12と光透過性基材11との間の界面で屈折して光透過性基材11で集光する。
図4は、本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズ部分の他の例を示す断面図である。図4に示すマイクロレンズ12は、光透過性基材11の主面よりも内側に突出する凸レンズである。図4に示す構成においては、マイクロレンズ12と光透過性基材11との間に、マイクロレンズ12を構成する材料の屈折率よりも低い屈折率を有する材料で構成された低屈折率層15を有する。この場合も上記と同様に、空気中を通過してきた出射光は、マイクロレンズ12から光透過性基材11へ出射するときに屈折して集光される。すなわち、装置側から出射された光がマイクロレンズ12と光透過性基材11との間の界面で屈折して光透過性基材11で集光する。
図5は、本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズ部分の他の例を示す断面図である。図5に示すマイクロレンズ12は、光透過性基材11の主面よりも内側及び外側に突出する凸レンズである。この場合、マイクロレンズ12を構成する材料の屈折率をnlとし、光透過性基材の屈折率をnsとすると、nl>nsを満たすことが好ましい。空気中を通過してきた出射光は、マイクロレンズ12に入射するとき、及びマイクロレンズ12から光透過性基材11へ出射するときに屈折して集光される。すなわち、装置側から出射された光がマイクロレンズ12と、マイクロレンズ12と光透過性基材11との間の界面とで屈折して光透過性基材11で集光する。
図6は、本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズ部分の他の例を示す断面図である。図6に示すマイクロレンズ12は、光透過性基材11の主面よりも内側及び外側に突出する凸レンズである。図6に示す構成においては、マイクロレンズ12と光透過性基材11との間に、マイクロレンズ12を構成する材料の屈折率よりも低い屈折率を有する材料で構成された低屈折率層15を有する。この場合も上記と同様に、空気中を通過してきた出射光は、マイクロレンズ12に入射するとき、及びマイクロレンズ12から光透過性基材11へ出射するときに屈折して集光される。すなわち、装置側から出射された光がマイクロレンズ12と、マイクロレンズ12と光透過性基材11との間の界面とで屈折して光透過性基材11で集光する。
図7(a),(b)は、本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズ部分の他の例を示す断面図である。図7(a)は、マイクロレンズ12が光透過性基材11の主面よりも外側に突出する凸レンズである場合の図であり、図7(b)は、マイクロレンズ12が光透過性基材11の主面よりも内側及び外側に突出する凸レンズである場合の図である。図7に示す構成においては、マイクロレンズ12で構成されたマイクロレンズアレイ上に、マイクロレンズ12を構成する材料の屈折率よりも低い屈折率を有する材料で構成された低屈折率層15を有する。すなわち、マイクロレンズの屈折率よりも低屈折率な材料で構成された低屈折率層15がマイクロレンズアレイを覆っている。この場合も上記と同様に、図7(a)に示す構成においては、空気中を通過してきた出射光が、低屈折率層16透過してマイクロレンズ12に入射するときに屈折して集光される。すなわち、装置側から出射された光がマイクロレンズ12で屈折して光透過性基材11で集光する。また、図7(b)に示す構成においては、空気中を通過してきた出射光が、低屈折率層16透過してマイクロレンズ12に入射するとき及びマイクロレンズ12から光透過性基材11へ出射するときに屈折して集光される。すなわち、装置側から出射された光がマイクロレンズ12と、マイクロレンズ12と光透過性基材11との間の界面とで屈折して光透過性基材11で集光する。
このようにマイクロレンズアレイ上に低屈折率層16を設けることにより、マイクロレンズ12の表面における光の反射を防止することができ、結果として光の利用効率を向上させることができる。また、低屈折率層16として、マイクロレンズ12の屈折率よりも低い屈折率を有し、しかも粘着性を有する材料や、光や熱によって硬化する材料を使用することにより、光を出射する装置側部材に明所コントラスト向上部材を貼り合わせることも可能である。
図6及び図7に示す低屈折率層15,16に使用される材料としては、マイクロレンズ12を構成する材料よりも低い屈折率を有する材料であれば良い。例えば、フッ素を含有する樹脂や均一に微細な空孔を有する材料などを使用することができる。
図8は、本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズアレイを示す平面図である。図8(a)は外形が円形であるマイクロレンズが配置された場合を示しており、図8(b)は外形が矩形のマイクロレンズが配置された場合を示しており、図8(c)は外形が略六角形のマイクロレンズが配置された場合を示す図である。また、図8(a)〜(c)に示すような2次元的な配置以外に、シリンドリカルレンズを略平行に並べたような1次元的な配置でも構わない。
マイクロレンズアレイの作製方法としては、金型を用いた射出成形などの一般的な方法が適用可能である。あるいは、熱可塑性樹脂シートに、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上に温度を保った金型を押し当ててレンズ形状を転写する方法や、紫外線や電子線により硬化する樹脂を金型に押し当てて金型にしっかりと充填した後に樹脂を硬化させる方法などでも作製することができる。また、あらかじめ光透過性基材を準備し、その上にマイクロレンズアレイを作製しても良いし、反対に、マイクロレンズアレイをあらかじめ作製しておき、その上を、光透過性基材を構成する樹脂で被覆しても良い。
上記構成を有する明所コントラスト向上部材10を遮光層14が形成された側を観察者に向けて設置した場合、図1に示すように、表示装置側から出射した光の大部分はマイクロレンズ12により集光され(光A)、反射層13及び遮光層14が形成されていない開口部13aを透過して観察者に到達する。一方、マイクロレンズ12の端を通過した光(光B)や、斜めから入射して集光されなかった光は、反射層13により表示装置側に反射され、表示装置内部などでさらに反射されて再利用される。観察者側から入射する外光は大部分が遮光層14で吸収される。その結果、輝度低下を伴わずに明所コントラストを向上させることができる。
ここで、開口度40%であって、反射層を有しない場合の透過率が75%のマイクロレンズアレイに反射層を設けた場合の反射層の反射率と透過率との関係を図9に示す。なお、ここでは、表示装置側での反射率を50%と仮定し、透過率としては一度反射層で反射され、表示装置側で反射してきた光(1次透過光)と二度反射層で反射され、表示装置側で反射してきた光(2次透過光)までの透過率を求めた。図9から分かるように、反射層の存在により透過率が向上している。図9に示す結果より、反射層を設けることにより、透過率をおよそ1割向上させるためには、反射層の反射率が約70%以上必要であることが分かる。また、開口度20%であって、反射層を有しない場合の透過率が50%のマイクロレンズアレイに反射層を設けた場合の反射層の反射率と透過率との関係を図10に示す。なお、ここでも、表示装置側での反射率を50%と仮定し、透過率としては一度反射層で反射され、表示装置側で反射してきた光(1次透過光)と二度反射層で反射され、表示装置側で反射してきた光(2次透過光)までの透過率を求めた。図10から分かるように、反射層の存在により透過率が向上している。図10に示す結果より、反射層を設けることにより、透過率をおよそ1割向上させるためには、反射層の反射率が約40%以上必要であり、透過率をおよそ2割向上させるためには、反射層の反射率が約70%以上必要であることが分かる。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例1)
光透過性基材として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その上にアクリル系の紫外線硬化樹脂を塗布した後、対角100μmの六角形を組み合わせたハニカム型の凹型の金型を押し当てて金型に十分に紫外線硬化樹脂を充填させた。次いで、光透過性基材側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、金型を取り外して光透過性基材上にマイクロレンズアレイを形成した。次いで、マイクロレンズアレイと反対側の光透過性基材上にポジ型のレジストを塗布し、マイクロレンズの光軸上近傍に開口を有するマスクを用いて、マイクロレンズアレイ側から光を照射してマイクロレンズの光軸上近傍のレジストのみを感光させた。このマイクロレンズアレイシートを現像したところマイクロレンズの光学軸を中心とした直径20μmの円形状にレジストが残った。円形状にレジストが残った上からAlをスパッタリングにより100nm成膜し、さらにその上から黒色インクを50nm塗布した後、レジストを除去することにより反射層と遮光層にマイクロレンズの光軸を中心とした直径20μmの開口部を設けた明所コントラスト向上部材であるマイクロレンズアレイシートを作製した。
作製したマイクロレンズアレイシートについて、島津製作所社製の分光光度計を用いて、波長550nmにおける透過率及び硫酸バリウム白色板をレファレンスとした拡散反射率の測定を行った。遮光層側から光を入射した場合の透過率は4%であり、反射率は4%であったのに対して、マイクロレンズアレイ側から入射した場合の透過率は72%であり、反射率は16%であった。このように本実施例のマイクロレンズアレイシートは、遮光層側から入射する外光はほとんど反射も透過もせず遮光層により吸収され、マイクロレンズアレイ側から入射する表示光は72%と高い透過率で透過すると同時に反射率も高かったので、このマイクロレンズアレイシートを明所コントラスト向上部材として使用する場合、装置側での吸収が非常に小さく、光を有効に利用することができる。
(比較例1)
光透過性基材として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その上にアクリル系の紫外線硬化樹脂を塗布した後、対角100μmの六角形を組み合わせたハニカム型の凹型の金型を押し当てて金型に十分に紫外線硬化樹脂を充填させた。次いで、光透過性基材側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、金型を取り外して光透過性基材上にマイクロレンズアレイを形成した。次いで、マイクロレンズアレイと反対側の光透過性基材上にポジ型のレジストを塗布し、マイクロレンズの光軸上近傍に開口を有するマスクを用いて、マイクロレンズアレイ側から光を照射してマイクロレンズの光軸上近傍のレジストのみ感光させた。このマイクロレンズアレイシートを現像したところマイクロレンズの光学軸を中心とした直径20μmの円形状にレジストが残った。円形状にレジストが残った上から黒色インクを50nm塗布した後、レジストを除去することにより遮光層にマイクロレンズの光軸を中心とした直径20μmの穴を開けたマイクロレンズアレイシートを作製した。
作製したマイクロレンズアレイシートを、島津製作所社製の分光光度計を用いて、波長550nmにおける透過率及び硫酸バリウム白色板をレファレンスとした拡散反射率の測定を行った。遮光層側から光を入射した場合の透過率は4%、反射率は4%であったのに対して、マイクロレンズアレイ側から入射した場合の透過率は72%、反射率は6%であった。すなわち、反射層をマイクロレンズアレイと遮光層の間に設けた構成に比較して、マイクロレンズアレイ側から入射する表示光の透過率は反射層がある場合と変わらないが、遮光層により吸収される光が増加するため10%も反射率が低下した。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における材料、数値などは例示であり、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
本発明の明所コントラスト向上部材は、プラズマディスプレイや有機ELなどの表示部材に使用することができる。
本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材の概略を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズ部分を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズ部分の他の例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズ部分の他の例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズ部分の他の例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズ部分の他の例を示す断面図である。 (a),(b)は、本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズ部分の他の例を示す断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材のマイクロレンズアレイを示す平面図である。 本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材の効果を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係る明所コントラスト向上部材の効果を説明するための図である。
符号の説明
10 明所コントラスト向上部材
11 光透過性基材
12 マイクロレンズ
13 反射層
13a 開口部
14 遮光層
15,16 低屈折率層

Claims (7)

  1. 一対の主面を有する光透過性基材と、前記光透過性基材の一方の主面上に配置されたレンズアレイと、前記光透過性基材の他方の主面上に形成され、前記レンズアレイの個々のレンズにより集光した光を通過させる開口部を有する反射層と、前記反射層上に設けられた遮光層と、を具備することを特徴とする明所コントラスト向上部材。
  2. 前記反射層は、70%以上の可視光反射率を有することを特徴とする請求項1記載の明所コントラスト向上部材。
  3. 前記レンズアレイの個々のレンズは、前記光透過性基材の主面よりも外側に突出する凸レンズであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の明所コントラスト向上部材。
  4. 前記レンズアレイの個々のレンズは、前記光透過性基材の主面よりも内側に突出する凸レンズであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の明所コントラスト向上部材。
  5. 前記レンズアレイの個々のレンズは、前記光透過性基材の主面よりも外側及び内側に突出する凸レンズであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の明所コントラスト向上部材。
  6. 前記レンズアレイの個々のレンズと前記光透過性基材との間に、前記レンズを構成する材料の屈折率よりも低い屈折率を有する材料で構成された低屈折率層を有することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の明所コントラスト向上部材。
  7. 前記レンズアレイは、前記レンズを構成する材料の屈折率よりも低い屈折率を有する材料で被覆されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の明所コントラスト向上部材。
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