JP2006337377A - 故障解析方法、及び故障解析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】IC素子を加工することなく遅延故障や断線故障などの内部の故障箇所を効率的に推定する。
【解決手段】2つ以上のテストパターンの系列をICに入力し、その時のICの過渡電源電流を測定し、過渡電源電流が異常を示すか否かを決定し異常を示したテストパターン系列について、これをICに入力した場合の論理シミュレーションを行ってIC内の信号線に生じる論理値列を計算し、その論理値列をもちいて、上記テストパターン系列により過渡電源電流で検出可能な箇所を故障箇所リストとして生成し、異常があった複数のテストパターン系列に対する故障箇所のリストの共通な箇所を故障箇所と推定する。
【選択図】図31

Description

この発明はとくに、遅延故障を生じる断線故障をもつ半導体集積回路の故障箇所(故障位置)を推定する故障解析方法とその解析装置に関する。
従来、半導体集積回路の故障解析は、半導体集積回路内の故障が発生した箇所を推定するために、電子ビームテスタやエミッション顕微鏡液晶などを用いて行われていた。電子ビームテスタを用いる集積回路の故障解析手法は、被試験半導体集積回路に入力試験パターンを与え、電子ビームテスタで被試験半導体集積回路の配線の電位コントラスト像を観測して正常回路と故障回路の電位差を得ることによって、論理故障などの故障箇所を推定する方法であり、例えば、特許文献1に記載されている。
エミッション顕微鏡をもちいる集積回路の故障解析手法は、光子レベルの非常に微弱な光を捕らえることができる光検出器(エミッション顕微鏡)を用いて電流リーク箇所で発生する微細な光を検出し、発光像を被試験半導体集積回路の配線パターン像と重ね合わせることにより電流リーク箇所を推定する方法であり、例えば、日本国特許公開4128/98号公報に記載されている。液晶を用いる半導体集積回路の故障解析手法は、被試験半導体集積回路に入力試験パターンをあたえ、被試験半導体集積回路のチップ表面に塗布した液晶の光学的変化を調べることによって、微弱な発熱を伴う電流リークなどの故障箇所を推定する方法であり、例えば、特許文献2に記載されている。
一方、非破壊で半導体集積回路の故障箇所を推定する故障解析手法として、故障シミュレーションによる故障解析手法がある。故障シミュレーションとは、集積回路内部に故障を仮定した時に、所定の入力試験パターンに対する出力端子からの出力値をシミュレーションするものであり、そのシミュレーションの結果は、通常故障辞書(fault dictionary)と呼ばれる各仮定故障と入出力論理値の対応表としてまとめられる。この故障シミュレーションによる故障解析手法は、被試験半導体集積回路の入力端子に所定の入力試験パターンを与え、出力端子から出力する信号が期待値と異なっていたとき、その被試験半導体集積回路の入出力論理値から故障辞書を用いて対応する故障箇所を得ることにより行われる。
論理不良を生じない故障、例えば短絡故障や電流リーク故障などに対応するために、IDDQ(静止電源電流、quiescent power supply current)試験法と故障シミュレーションを併用し、半導体集積回路のIDDQ異常情報と入力試験パターンに基づいて故障箇所を推定することを可能とする故障解析手法が提案されている。このIDDQ試験法を併用した故障解析法については、例えば、特許文献3に記載されている。
特開1993−45423号公報 特開1993−74911号公報 特開1996−201486号公報
しかし、電子ビームテスタやエミッション顕微鏡、液晶などをもちいる故障解析法はいずれも半導体集積回路を開封しチップ表面を露出する必要があり、故障解析にコストがかかる。また、集積回路の高集積化や多層配線化により、故障箇所を推定することが困難になってきている。
また、入出力信号応答と故障シミュレーションをもちいる故障解析手法は、故障シミュレーションで扱われる故障モデルが1つの信号線がある状態(0又は1)は固定される故障、いわゆる単一の縮退故障(Stuck-At-0またはStuck-At-1)のみであり、複数の信号線が0又は1に固定される多重縮退故障や遅延故障、信号線間の短絡故障等を感度よくシミュレーションすることができない。また、この故障解析手法は、集積回路の出力値と期待値との不一致が検出されてはじめて故障箇所の推定が可能となるため、論理故障(縮退故障)以外の故障、例えば内部に故障が発生していても論理不良にはならない短絡故障に対しては故障箇所を推定できなかった。さらに、故障シミュレーションに遅延故障モデルを組み込むことで遅延故障や遅延故障の原因となる断線故障の位置を推定できるが、遅延故障の影響を集積回路の出力端子で観測するためのテストパターン生成が困難であり、遅延故障の故障箇所を効率よく推定することが困難であるという問題がある。
さらに、IDDQ試験法と故障シミュレーションを併用した故障解析法は、IDDQ試験法が半導体集積回路の安定状態における電源電流を測定する試験法であり、半導体集積回路の過渡情報をもたないため、回路の遅延時間を変化させる故障の故障箇所を推定することができない。また、IDDQ試験法は、主に回路内の短絡故障を対象としており、遅延故障を生じる断線故障や局所的なプロセスパラメータ(シート抵抗、酸化膜厚など)の異常(パラメトリック故障)などを検出することができないため、遅延故障や断線故障、パラメトリック故障の故障箇所を解析できないという問題があった。
このため、集積回路の遅延故障や断線故障を効率的に検出し、その故障箇所を効率よく推定できる故障解析法が必要となる。この発明の目的は、半導体集積回路内の遅延故障や断線故障を可観測性の高い電源電流の過渡波形(過渡電源電流、IDDT、transient power supply current)と故障シミュレーションをもちいて評価することによって、集積回路デバイスを加工することなく遅延故障や断線故障の故障箇所を効率的に推定できる故障解析方法及びその装置を提供することにある。
この発明の方法は、半導体集積回路における故障箇所を推定する方法において、被試験半導体集積回路の入力端子に2つ以上のテストパターンからなるテストパターン系列を入力するステップと、上記テストパターン系列を入力したときに発生する上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流を測定し、上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定するステップと、上記過渡電源電流が異常を示したテストパターン系列に対して故障検出可能な箇所のリスト(故障箇所リスト)を求めるステップと、上記故障箇所リストから上記被試験半導体集積回路内部の故障箇所を推定するステップと、を有する。
この方法によって、デバイスを加工することなく半導体集積回路における遅延故障や断線故障の故障箇所を効率よく推定することができる。また、上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定するステップにおいて、上記過渡電源電流のパルス幅が所定の値を越えたとき上記過渡電源電流に異常が生じたと判断することが望ましい。また、上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定するステップにおいて、上記過渡電源電流の瞬時値が所定の時間において所定の値を越えたとき上記過渡電源電流に異常が生じたと判断することが望ましい。
また、上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定するステップにおいて、上記過渡電源電流の時間積分値が所定の値を越えたとき上記過渡電源電流に異常が生じたと判断することが望ましい。また、故障箇所を推定するステップにおいて、上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流が異常を示すテストパターン系列が複数組発生しているとき、上記過渡電源電流が異常を示すテストパターン系列に対する故障箇所のリストからすべての上記テストパターン系列に検出された半導体集積回路の故障箇所を推定することが望ましい。
また、故障箇所を推定するステップにおいて、上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流が異常を示すテストパターン系列が複数組発生しているとき、上記過渡電源電流が最初に異常を示したテストパターン系列に対する故障箇所リストをもとに、以後の過渡電源電流が異常を示すテストパターン系列に対する故障箇所リスト以外の非故障箇所を順次削除していくことにより上記被試験半導体集積回路の故障箇所を推定することが望ましい。
また、上記過渡電源電流が異常を示さなかったテストパターン系列に対しても故障リストを求め、故障箇所を推定するステップにおいて、上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流が異常を示すテストパターン系列に対する故障箇所リストをもとに、上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流が正常であるテストパターン系列に対する故障リストの正常箇所を順次削除し、上記被試験半導体集積回路の故障箇所を推定することが望ましい。
上記故障箇所リストを求めるステップはテストパターン系列に対する故障シミュレーションを行って求める、あるいは予め故障シミュレーションにより求めた各テストパターン系列対応の故障箇所リストのテーブルを参照して求める。また、故障箇所を推定するステップにおいて、基本論理回路単位で故障箇所を推定することが望ましい。また、上記故障箇所を推定するステップにおいて、信号線単位で故障箇所を推定することが望ましい。
また、上記故障箇所を推定するステップにおいて、信号伝搬パス単位で故障箇所を推定することが望ましい。また、この発明の半導体集積回路における故障箇所を推定する故障解析装置は、被試験半導体集積回路の入力端子に2つ以上のテストパターンからなるテストパターン系列を入力するテストパターン系列入力手段と、上記テストパターン系列を入力したときに発生する上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流を測定し、上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定する過渡電源電流試験手段と、上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流が異常を示す複数のテストパターン系列を格納しておく異常パターン系列記憶手段と、上記異常パターン系列記憶手段に格納された各テストパターン系列に対し故障検出が可能な箇所のリスト(故障箇所リスト)を求める故障箇所リスト生成手段と、上記故障箇所リスト生成手段から得られた1以上の故障箇所リストをもとに上記被試験半導体集積回路内部の故障箇所を推定する故障箇所推定手段と、を具備する。
この構成によって、デバイスを加工することなく半導体集積回路における遅延故障や断線故障の故障箇所を効率よく推定することができる。また、上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定する過渡電源電流試験手段は、上記過渡電源電流のパルス幅を測定する電流パルス幅測定手段と、上記電流パルス幅測定手段によって測定された過渡電源電流のパルス幅が所定の値を越えたとき上記過渡電源電流に異常が生じたと判断する故障検出手段と、によって構成することが望ましい。
また、上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定する過渡電源電流試験手段は、上記過渡電源電流の瞬時値を測定する電流瞬時値測定手段と、上記電流瞬時値測定手段によって所定の時間に測定された過渡電源電流の瞬時値が所定の値を越えたとき上記過渡電源電流に異常が生じたと判断する故障検出手段と、によって構成することが望ましい。また、上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定する過渡電源電流試験手段は、上記過渡電源電流の時間積分値を測定する電流積分値測定手段と、上記電流積分値測定手段によって測定された過渡電源電流の積分値が所定の値を越えたとき上記過渡電源電流に異常が生じたと判断する故障検出手段と、によって構成することが望ましい。
また、上記故障箇所を推定する故障箇所推定手段は、上記異常パターン系列記憶手段に格納された複数のテストパターン系列に対して生成された複数の故障箇所リストを格納する故障箇所リスト記憶手段と、上記故障箇所リスト記憶手段に格納されたすべての故障箇所リストに含まれる故障箇所を求めることにより被試験半導体集積回路の故障箇所を推定する共通故障箇所推定手段と、によって構成することが望ましい。また、上記故障箇所を推定する故障箇所推定手段は、上記異常パターン系列記憶手段に格納された最初に異常を示すテストパターン系列に対して生成された基準故障箇所リストを格納する基準故障箇所リスト記憶手段と、以後の過渡電源電流が異常を示すテストパターン系列に対して生成され故障箇所リストに含まれない非故障箇所を上記基準故障箇所リストから順次削除していく非故障箇所削除手段と、によって構成することが望ましい。
また、過渡電源電流が異常を示さないテストパターンを格納する正常パターン系列記憶手段とを備え、上記故障箇所を推定する故障箇所推定手段は、上記異常パターン系列記憶手段に格納された複数のテストパターン系列に対する故障箇所リストを格納する故障箇所リスト記憶手段と、上記正常パターン系列記憶手段に格納されたテストパターン系列に対する正常箇所リストを格納する正常箇所リスト記憶手段と、上記故障箇所リスト記憶手段に格納されたすべての故障箇所リストに含まれる故障箇所を求めることにより故障箇所候補を推定する共通故障箇所推定手段と、上記共通故障箇所推定手段によって生成された故障箇所候補リストを格納する故障箇所候補リスト記憶手段と、上記正常箇所リスト記憶手段に格納された複数の正常箇所リストに対し、正常箇所リストに含まれる正常箇所を上記故障箇所候補リストから順次削除していく正常箇所削除手段と、によって構成することが望ましい。
また、上記故障箇所推定手段は、基本論理回路単位で故障箇所を推定する手段であることが望ましい。また、上記故障箇所推定手段は、信号線単位で故障箇所を推定する手段であることが望ましい。
以下では、もっとも一般的な半導体集積回路であるCMOS集積回路を例に説明する。CMOS集積回路の電源電流は、CMOS集積回路に流れ込む電源電流であり、集積回路内の各論理ゲートを流れる電流の和であらわされる。
過渡電源電流
図1に、CMOSインバータの過渡応答(transient response)を示す。この過渡応答は、回路シミュレータで求めた。図1aは、過渡状態における入力電圧VINに対する出力電圧VOUTの応答と、電源からCMOSインバータに流れ込む電流IDDの応答である。この電流を過渡電流(transient current)と呼ぶ。インバータの入力が"1"から"0"に遷移するとき(図1b)、入力電圧がn−MOSのしきい電圧より高くp−MOSのしきい電圧より低いあいだ、n−MOSとp−MOSが一瞬だけ同時にオンとなり、電源からグランドへ貫通電流(short circuit current)Iが流れる。このとき、インバータの出力信号線は"0"から"1"に遷移するため、貫通電流と同時にインバータの出力信号線に接続された寄生容量(parasitic capacitance)Cloadへの充電(capacitance charging)にともなう電流Iが電源端子TVDから流れる。したがって、インバータの入力に立ち下がり遷移が生じるとき(添字"f"で記述する)、インバータに流れ込む過渡電流IGfは、貫通電流ISfと充電電流(capacitance charging current)Iの和であたえられる。
Gf=ISf+I (1)
一方、入力が"0"から"1"に遷移するとき(出力が"1"から"0"に遷移するとき(添字"r"で記述する)(図1c))、出力信号線に接続された寄生容量Cloadからの放電(capacitance discharging)がおこり、放電電流(capacitance discharging current)Iが生じるが、電源端子TVDからインバータへ流れ込む電流IGrは貫通電流ISrだけである。このため、この電流ピークは、立ち下がり遷移時の過渡電流IGfピークよりわずかに小さくなる。
Gr=ISr (2)
CMOSインバータの伝達特性は、図2aに示すように入力電圧VINの変化に対し三角パルス状の電流Iを示す。このため、CMOSインバータの入力が立ち上がり遷移をもつとき、CMOSインバータを流れる貫通電流波形ISrは、入力電圧VINがランプ状に遷移すると仮定すると、図2bにおいて"I"で示した三角パルスで近似できる。また、図2bに示した入力信号の立ち上がり遷移に対するCMOSインバータの貫通電流波形ISrは、つぎのような近似式であたえられる。
Figure 2006337377
ここで、ISmaxはCMOSインバータに流れ込む過渡電流(貫通電流)の最大値、VDDは電源電圧、VTHNはn−MOSトランジスタのしきい電圧、VTHPはp−MOSトランジスタのしきい電圧、tは入力信号の立ち上がり遷移時間である。ただし、VTHPは絶対値で示した。また、近似式を簡略化するため、入力電圧VINの遷移開始時刻は0とし、遷移終了時刻tで入力電圧はVDDになるとした。入力信号の立ち下がり遷移に対するCMOSインバータの貫通電流波形ISfについても同様に、
Figure 2006337377
と求めることができる。ここで、tは入力信号の立ち下がり遷移時間である。念のためにこの場合の電源電流の立ち上がり開始時刻、最大値ISmaxの時刻、立ち下り終了時刻を図2bに、括弧を付けて示した。さらに、CMOSインバータの出力信号線の寄生容量Cloadへの充電電流Iは、出力信号線の電圧変化をvout(t)とすると次式であたえられる。
Figure 2006337377
これらの式は、インバータ以外の論理ゲートに対しても同様に求めることができる。論理ゲートに流れ込む過渡電流Iは、そのほとんどが貫通電流であると仮定すると、図2bにIで示すような三角パルスで近似できる。実際、CMOSインバータの過渡電流波形Iは、図1aに示すような三角パルスを示す。したがって、論理ゲートの過渡電流Iは、図2bに示すように、最大値ISmaxになるまでは単調に増加し、最大値ISmax以降は単調に減少する。また、Iが最大値ISmaxとなるのは、入力電圧VINが論理ゲートのスイッチング電圧VSPになったときである。すなわち、図2bに示すように、Iがピークとなる時刻と論理ゲートの入力遷移の時刻が一致する。論理ゲートは遅延時間をもつため、論理ゲートの出力遷移の時刻は入力遷移の時刻よりわずかに遅れる。すなわち、Iがピークとなる時刻は論理ゲートの出力遷移の時刻よりわずかに先行する。この場合、過渡電流波形Iの立ち下がりエッジ(立ち下り部分)が、出力遷移の時刻に一致すると考えることができる。さらに、論理ゲートの過渡電流波形Iのパルス幅は、入力電圧の遷移時間(例えば立ち上がり遷移時間t)に比例する。
これまでは、論理ゲートに流れ込む過渡電流Iの大部分が貫通電流Iであると仮定して議論してきた。しかし、CMOS製造プロセスの微細化によって、ゲート遅延より配線遅延が支配的となる。これは、入力電圧の遷移時間が一定であると仮定すると、CMOS論理ゲートに流れ込む過渡電流Iにおいて、貫通電流Iの割合より出力信号線への充電電流Iの割合が大きくなることを意味する。このため、論理ゲートの過渡電流波形がピークとなる時刻は、充電電流Iと貫通電流Iの比に依存する。IがIより小さいとき、過渡電流波形IのピークはIのピークと一致する。Iのピークは入力電圧の遷移時刻と一致するため、Iのピークは論理ゲートの出力の遷移時刻より先行する。逆に、IがIより大きいとき、過渡電流波形のピークはIのピークと一致する。充電電流Iは出力信号線の電圧遷移に関係するため、Iのピークは論理ゲートの出力の遷移時刻とほぼ一致する。
図3aに示すCMOS集積回路は、図1に示したインバータを直列に4つ(G1,G2,G3,G4)組み合わせたものであり、各インバータG1,G2,G3,G4をそれぞれ流れる過渡電流IG1,IG2,IG3,IG4は通常一つの電源端子TVDから供給される。このため、集積回路の過渡電源電流(transient power supply current)応答は、図3bに示すように各論理ゲートを流れる過渡電流の和としてあらわされ、次式で与えられる。
Figure 2006337377
ここで、Nは入力されたテストパターン系列によりスイッチングする論理ゲートの数であり、図3の例ではN=4である。論理ゲートの過渡電流波形のピーク(または、立ち下がりエッジ)がその論理ゲートの出力の遷移時刻に対応することから、CMOS集積回路の過渡電源電流波形の最終ピーク(最終の立ち下がりエッジ)がCMOS集積回路において最後にスイッチングする論理ゲートの出力遷移時刻に一致する。したがって、CMOS集積回路の過渡電源電流波形の最終ピーク(最終の立ち下がりエッジ)を検出し入力遷移の時刻と比較することにより、回路のパス遅延時間を求めることができる。ここで、過渡電源電流の最終の立ち下がりエッジの時刻は、例えば、過渡電源電流がある既定の電流値となる時刻の最大値として求めることができる。この電流値は、被試験パス上の最後の論理ゲートの出力が電源電圧の半分の値となるときの電源電流の値であり、被試験回路に対する回路シミュレーションや実デバイスをもちいた統計データなどから求めることができる。
また、もとめた遅延時間を既定の時間(例えば、システムクロックの周期TCL)と比較することにより、被試験パスにおける遅延故障を検出することができる。
遅延故障
最初に、遅延故障について定義する。CMOS論理回路において、2つのテストパターンv,vをもつテストパターン系列T=<v,v>(電圧信号Vの次に電圧信号Vが続くことをあらわす)をもちいてパスP={g,g,g,…,g}を活性化するときを考える。ここで、gはパスPの入力信号線であり、g,g,…,gはパスP上の論理ゲートG,G,…,Gの出力信号線である。同時に、g,g,…,gm−1はパスP上の論理ゲートG,G,…,Gの入力信号線でもある。各信号線g,g,…,gの信号遷移の時刻(電圧信号がVDD/2をよこぎる時刻)をそれぞれτ,τ,…,τとすると、パスP上の各論理ゲートG,G,…,Gのゲート遅延時間tgdi,1mは、それぞれ
gdi=τ−τi−1 (7)
であたえられる。したがって、パスPのパス遅延時間tpdは、ゲート遅延時間tgdiの和として、
Figure 2006337377
で求めることができる。しかし、実際のゲート遅延時間tgdiは、故障の影響により変動する。
gdi=tgdi,typ+δ,1m (9)
ここで、tgdi,typは論理ゲートGのゲート遅延時間の典型値であり、δはゲート遅延時間の変動成分である。例えば、断線故障は、故障をもつ論理ゲートのゲート遅延時間のみを増加させ、ほかの論理ゲートの遅延時間を増加させない。また、パラメトリック故障は、すべての論理ゲートの遅延時間を増加させる。ゲート遅延時間の変動にともなって、パス遅延時間tpdも同様に変動する。
Figure 2006337377
ここで、tpd,typはパスPのパス遅延時間の典型値であり、Δはパス遅延時間の変動成分である。図4に遅延故障試験方法の基本原理を模式的に示す。図4aの被試験回路(CUT)が正常に動作するためには、入力ラッチに生成された信号遷移がパスPをとおって出力ラッチまで既定の時間内に伝搬しなければならない。したがって、図4bに示す入力VIN及び出力VOUTの関係と、システムクロックCLKとの関係からパスPのパス遅延時間tpdは以下の条件を満たさなければならない。
pd+TSU<TCLK−TSKW (11)
ここで、TSUは信号のセットアップ時間、TCLKはシステムクロックの周期、TSkwはシステムクロックのクロックスキュー(ジッタでありエッジが±に変動する)である。変形すると、
pd<TCLK−TSKW−TSU≡T′ (12)
となる。すなわち、パスPのパス遅延時刻tpdは、クロック周期からセットアップ時間やクロックスキューなどのマージンをひいた時間(これをT′とする)より小さくなければならない。もし、tpdがT′より大きければ、パスPに沿った信号伝搬がシステムクロックに間に合わず、回路は正しい動作をしない。この状態を遅延故障と定義する。すなわち、tpdがある既定の時間T′より大きいとき、パスPは遅延故障をもつと定義する。ここで、T′は、許容できる遅延時間の上限値である。
断線故障(遅延故障を伴う)
つぎに、遅延故障を生じる断線故障について定義する。断線故障は、故意でない電気的不連続であり、ある信号線を二つ以上の異なる信号線に分割する。断線故障には、金属の欠損や酸化膜による断線コンタクト、パターニング不良やエッチング不良などによる金属配線断線、マスク不良などによる拡散層あるいはポリシリコンにおける断線などが含まれる。また、断線故障は、図5aに示すように"論理故障"を生じる断線故障と、図5bに示すように"遅延故障"を生じる断線故障の二つのタイプに分類できる。論理故障を生じる断線故障は、断線の規模が大きく故障の両端の信号線に電圧をあたえても電流が流れないため、信号遷移に伴う寄生容量の充放電がおこなわれず論理がある一定の値に固定される論理故障を生じる。これに対し、遅延故障を生じる断線故障では、故障の両端の信号線に電圧をあたえると微小な電流が流れるが、その電流量は正常時より小さいため、信号遷移に伴う寄生容量の充放電が遅くなり、回路の遅延時間が増加する。遅延故障を生じる断線故障には、コンタクトなどの不良により信号線間の抵抗値が正常値より大きくなってしまったり、信号線に生じた不良などにより信号線の抵抗値が正常値より大きくなってしまう抵抗性断線故障と、トンネル効果により断線故障を通してごく微量なリーク電流が流れる非常に小さな(<100nm)微小断線故障がある。微小断線故障を流れるトンネル電流については、例えば、C.L.Henderson,J.M.Soden,and C.F.Hawkins,"The Behavior and Testing Implications of CMOS IC Logic Gate Open Circuits,"Proceedings of IEEE International Test Conference,pp.302-310,1991.に記載されている。この明細書では、遅延故障を生じる断線故障を対象とし、これを単に断線故障と呼ぶ。
遅延故障検出方法(過渡電源電流パルス幅利用)
つぎに、上で述べた過渡電源電流のパルス幅を利用して遅延故障を検出する方法について述べる。上記方法は、被試験回路の電源電流波形のパルス幅を測定し、既定の時間と比較する方法である。上記方法の基本原理を図6に示す。
CMOS論理回路において、2つのテストパターンv,vを持つテストパターン系列T=<V,V>により複数のパスP,P,…,Pが活性化されるとする。パスP上の入力から数えてj番目の論理ゲートがスイッチングする時刻をτijとすると、各パスP,…,Pにより論理ゲートの数は異なり、パスP,P,…,Pにおいてもっとも遅くスイッチングする論理ゲートGfinalの出力遷移の時刻τmaxは、
Figure 2006337377
であたえられる。したがって、パスP,P,…,Pにおけるパス遅延時間の最大値tpd,maxは、τmaxと入力遷移の時刻τのあいだの時間間隔としてつぎのように求めることができる。
pd,max=τmax−τ (14)
一方、CMOS論理回路の過渡電源電流波形のパルス幅tPWを、回路入力の信号遷移の時刻τと過渡電源電流波形の最終ピーク(立ち下がりエッジ)の時刻τIDDのあいだの時間間隔と定義する。
PW≡τIDD−τ (15)
前に述べたように、過渡電源電流波形の最終ピークの時刻τIDDは、最後にスイッチングする論理ゲートGfinalの出力遷移時刻τmaxに一致するかτmaxより先行することから、過渡電源電流波形のパルス幅tPWは、テストパターンTにより活性化されるパスPの遅延時間tpd,maxに対応する。
PW=τIDD−τ<τmax−τ=tpd,max (16)
もし、tPWが許容できる遅延時間の上限値T′より大きいならば、
T′<tPW<tpd,max (17)
となる。もっとも大きな遅延時間tpd,maxをもつパスにおいて、信号の伝搬がシステムロックに間に合わない。すなわち、回路には遅延故障が存在する。したがって、T′より大きいtPWは活性化されたパスのいずれかに遅延故障があることを示し、T′より小さいtPWは活性化されたパスのいずれにも遅延故障が存在しないことを示す。
遅延故障なし,tPW<T′
遅延故障あり,tPW>T′ (18)
以上のように、過渡電源電流波形のパルス幅tPWを既定の時間T′と比較することにより、回路の遅延故障をテストすることができる。また、図1に示すように、論理ゲートの過渡電源電流はピーク値以降単調に減少することから、図3に示すCMOS集積回路の電源電流は、同集積回路において最後にスイッチングする論理ゲートの出力遷移時刻以降単調に減少する。つまり、故障のないCMOS集積回路において、最後にスイッチングする論理ゲートの出力遷移時刻をτmaxとし、時刻τmaxにおける過渡電源電流の瞬時値をI′とすると、τmax以後CMOS集積回路の過渡電源電流がI′より大きくなることはない。
この原理をもちい、ある既定時刻におけるCMOS集積回路の過渡電源電流の瞬時値を測定することにより、被試験回路における遅延故障を検出することができる。ここで、故障検出の判断基準となる電流値I′は、被試験パス上の最後の論理ゲートの出力が電源電圧の半分の値となるときの電源電流の値であり、被試験回路に対する回路シミュレーションや実デバイスをもちいた統計データなどから求めることができる。
遅延故障検出方法(過渡電源電流瞬時値利用)
つぎに、上で述べた過渡電源電流の瞬時値を利用して遅延故障を検出する方法について述べる。上記方法は、規定の時刻における被試験回路の過渡電源電流の瞬時値を測定し、遅延故障のないゴールデン回路の過渡電源電流値と比較する方法である。上記方法の基本原理を図7に示す。
CMOS論理回路において、テストパターン系列T=<V,V2>により複数のパスP1,P2,…,Pが活性化されるとする。パスP上の入力から数えてj番目の論理ゲートがスイッチングする時刻をτijとすると、パスP,P,…,Pにおいてもっとも遅くスイッチングする論理ゲートGfinalの出力遷移の時刻τmaxは、
Figure 2006337377
であたえられる。したがって、パスP,P,…,Pにおけるパス遅延時間の最大値tpd,maxは、τmaxと入力遷移の時刻τの間の時間間隔としてつぎのように求めることができる。
pd,max=τmax−τ (20)
前にも述べたように、論理ゲートの出力遷移の時刻が論理ゲートの過渡電源電流のピークまたは立ち下がりの時刻に一致するので、τmaxは回路の過渡電源電流波形IDDTの最終ピークまたは立ち下がりエッジの時刻τIDDに対応する。論理ゲートの電源電流IGは三角波で近似でき、Gfinalは最後にスイッチングするゲートであるから、τmax以降に電源電流のピークをもつ論理回路は存在しない。
したがって、t>τmaxなる時刻tにおいて電源電流波形関数iDDT(t)は、単調減少関数である。すなわち、電源電流波形の時間関数をiDDT(t)とし、時刻τmaxにおける電源電流の瞬時値を
I′≡iDDTmax) (21)
とすると、t>τmaxなるtにおいて、
DDT(t)<iDDT(τmax)=I′,t>τmax (22)
が成立する。回路が正常に動作するためには、tpd,maxが遅延時間の上限値T′(=TCLK−TSKEW−TSU)より小さくなければならない。
pd,max=τmax−τ<T′ (23)
したがって、回路に故障がないとき、t=T′+τ>τmaxなる時刻tにおいて、式(22)より
DDT(T′+τ)<I′ (24)
が成立する。もし、T′+τにおけるIDDTの瞬時値がI′より大きいならば,つまり、
DDT(T′+τ)>I′=iDDT(τmax) (25)
ならば、式(22)よりT′+τがτmaxより大きいことはありえないので、
τmax>T′+τ (26)
∴tpd,max=τmax−τ>T′ (27)
となる。もっとも大きな遅延時間tpd,maxをもつパスにおいて、信号の伝搬がシステムクロックに間に合わない。すなわち、回路には遅延故障が存在する。したがって、時刻T′+τにおける電源電流値iDDT(T′+τ)がI′より大きいということは、活性化されたパスのいずれかに遅延故障があることを示す。逆に、iDDT(T′+τ)がI′より小さいということは、活性化されたパスのいずれにも遅延故障が存在しないことを示す。
遅延故障なし,iDDT(T′+τ)<I′
遅延故障あり,iDDT(T′+τ)>I′ (28)
以上のように、ある既定の時刻におけるIDDTの瞬時値を故障のない回路のIDDTレベルと比較することにより、回路の遅延故障を検出することができる。
過渡電源電流積分値
さらに、式(3)および式(4)より、貫通電流ISrおよびISfの時間積分値QSrおよびQSfは、それぞれ、
Figure 2006337377
であたえられる。したがって、スイッチングのとき論理ゲートを流れる貫通電流の積分値Qは、
Figure 2006337377
であたえられる。ここで、tは入力信号の遷移時間である。すなわち、論理ゲートに流れ込む貫通電流I(ISrまたはISf)の積分値Qは、論理ゲートの入力遷移時間tに比例する。また、Qは、入力信号の遷移方向が立ち上がり遷移であるか、立ち下がり遷移であるかに関係ないことがわかる。CMOSインバータの出力負荷容量Cloadへの充電電流Iの積分値Qは式(5)より
Figure 2006337377
であたえられ、CMOSインバータの入力遷移時間tには依存しない。したがって、論理ゲートを流れる過渡電流IGfおよびIGrの積分値QGfおよびQGrは、式(1),(2),(31),(32)より、
Figure 2006337377
ともとめられる。すなわち、論理ゲートの過渡電流の積分値は論理ゲートの入力遷移時間に比例する。図8に、インバータの入力遷移時間を変化させたときのインバータの過渡電流の積分値の変化に関する回路シミュレーションの結果を示している。これらからも、式(33),(34)の考察が正しいことがわかる。図3aに示すCMOS集積回路は、図1に示したインバータを直列に4つ(G,G,G,G)組み合わせたものであり、各インバータを流れる電流(IG1,IG2,IG3,IG4)は通常一つの電源から供給される。このため、集積回路の過渡電源電流応答IDDTは、図3bのように各論理ゲートを流れる電流の和としてあらわされる(式(6))。したがって、過渡電源電流IDDTの積分値QDDTも、各論理ゲートを流れる電流の積分値QGn(1<n<N)の和としてあらわされる。Nは入力されたテストパターン系列によりスイッチングする論理ゲートの数であり、図3aの場合はN=4である。
Figure 2006337377
図3の例では、過渡電源電流IDDTの積分値QDDTは、各インバータを流れる電流の積分値(QG1,QG2,QG3,QG4)の和としてあらわされる。各論理ゲートを流れる電流の積分値QGn(1<n<N)は、式(33)または式(34)に示すように、各論理ゲートの入力遷移時間tTn(1<n<N)にそれぞれ比例することから、QDDTはtTn(1<n<N)の線形多項式であたえられる。例えば、図3の例では、QDDTは各インバータの入力遷移時間(tT1,tT2,tT3,tT4)の線形多項式であたえられる。
Figure 2006337377
式(36)において、aは論理ゲートGの貫通電流の積分値QSnと論理ゲートGの入力遷移時間tTnの間の比例係数であり、bは各論理ゲートに流れ込む充電電流QCnの和であらわされる定数項である。
断線故障
この原理をもちいることにより、被試験パスにおける断線故障と断線故障による遅延故障を検出することができる。
断線故障は、故障をとおして小さな電流が流れるため、大きな抵抗ROPENでモデル化できる。図9aに、入力に断線故障をもつCMOSインバータの例を示す。入力信号線Aに図9bに示す信号遷移が生じるとき、断線故障により、断線個所に後続する信号線A′の信号遷移が図9cに示すように遅くなる。このとき、信号線A′の信号遷移時間tは、断線故障の抵抗をROPEN、インバータの入力における寄生容量をCinとすると、
Figure 2006337377
であたえられる。ここで、tT,typは故障がない場合の入力信号の遷移時間の典型値であり、遷移時間tTは電圧値が0.1VDDから0.9VDDまで立ち上がる(または、電圧値が0.9VDDから0.1VDDまで立ち下がる)のに要する時間としてもとめた。2.2ROPENinはCinが0.1VDDから0.9VDDになるまでの時でありloge(0.9VDD/0.1VDD)×ROPENinにより求めた値である。すなわち、インバータの入力信号の遷移時間の増分は、断線故障の抵抗値ROPENに比例する。したがって、被試験パス上のk番目のインバータの入力に断線故障があるとき、CMOS集積回路の電源電流の積分値QDDTは、式(36),(37)より、式(38)が求まり、断線故障の抵抗値ROPENに応じて線形に変化し、その増分は断線故障の抵抗値ROEPNに比例する。
Figure 2006337377
ここで、QDDT,typは故障がない場合の電源電流の積分値の典型値とする。式(38)の右辺第2項の2.2ainOPENはk番目のインバータの入力断線故障にもとづく加算量である。この式(38)は、図10に示すROPENに対するQDDの変化のシミュレーション結果とも一致する。図10は、図3に示した回路において、インバータIN2の入力信号線に断線故障があるときの、断線故障の抵抗値ROPENに対するQDDTの変化をプロットしたものである。
したがって、過渡電源電流の積分値QDDTを測定し、故障のない回路の過渡電源電流の積分値QDDT,typと比較することにより、被試験パス上の論理ゲートの入力段に存在する断線故障を検出することができる。実際のCMOS製造プロセスでは、プロセスパラメータのばらつきによって、過渡電源電流の積分値は図11に示すようにQDDT,typ±ΔQの範囲で変動する。ここで、ΔQは過渡電源電流の積分値の変動分である。このため、QDDTが故障のない回路において生じうる過渡電源電流の積分値の上限値QDDT,typ+ΔQより大きいとき、被試験パス上に断線故障があると判断することができる。すなわち、QDDT,typ+ΔQより小さいQDDTはCMOS集積回路に断線故障がないことを示し、QDDT,typ+ΔQより大きいQDDTはCMOS集積回路に断線故障が存在することを示す。
断線故障なし,QDDT<QDDT,typ+ΔQ
断線故障あり,QDDT>QDDT,typ+ΔQ (39)
ここで、QDDT,typおよびΔQはプロセス変動に関するシミュレーションなどにより導出できる。
入力段故障による遅延故障検出方法(過渡電源電流積分値利用)
つぎに、上で述べた過渡電源電流の時間積分値を利用して遅延故障を検出する方法について述べる。上記方法は、被試験回路の過渡電源電流の積分値を測定し、所定の値と比較することによって遅延故障を評価する方法である。
論理ゲートのゲート遅延時間tgdは、入力信号の遷移時間tTに比例する。(Neil H.E.Weele著者"Principles of CMOS VLSI Design-A Systems Perspective"Second Edition.Addison-Weely Publishing Company.1999年発行の216〜217頁の式4.52,式4.53による)
Figure 2006337377
ここで、tgd,stepは遷移時間0のステップ入力に対する故障のないインバータの遅延時間である。また、VTHはp−MOSまたはn−MOSのしきい値電圧であり、入力の立ち上がり遷移に対してはVTH=VTHN、入力の立ち下がり遷移に対してはVTH=VTHPであたえられる。したがって、入力信号線上に抵抗ROPENでモデル化できる断線故障をもつ論理ゲートのゲート遅延時間tgdは、論理ゲートの入力遷移時間が式(37)であたえられることから、式(40)に式(37)を代入して、
Figure 2006337377
と求めることができる。ここで、tgd,typは故障のない論理ゲートのゲート遅延時間の典型値である。すなわち、断線故障をもつ論理ゲートのゲート遅延時間tgdは故障の抵抗値ROPENによって変化し、ゲート遅延時間の増分δは故障の抵抗値ROPENに比例する。ゆえに、被試験パス上のいずれかの論理ゲートの入力に断線故障があるとき、被試験パスのパス遅延時間tpdもROPENに比例する。このことを式で示すと、式(10)に式(41)を代入して式(42)が得られることから理解される。
Figure 2006337377
これは、図12に示すROPENに対するtpdの変化のシミュレーション結果とも一致する。図12は、図3に示した回路において、インバータIN2の入力信号線に断線故障があるときの、断線故障の抵抗値ROPENに対するtpdの変化をプロットしたものである。パスP上のある論理ゲートGの入力に断線故障が存在するとき、Gの貫通電流の積分値QSkは、式(31)および式(37)より、
Figure 2006337377
ともとめられる。したがって、集積回路の過渡電源電流の積分値QDDTは、式(36)より、
Figure 2006337377
となり、回路の過渡電源電流の積分値QDDTも、断線故障の抵抗値ROPENに比例する。したがって、式(42)および式(43)より、断線故障をもつパスPの遅延時間tpdは、CMOS集積回路の過渡電源電流の積分値QDDTに対して線形に変化する。これは、図13に示すQDDTに対するtpdの変化のシミュレーション結果とも一致する。図13は、図3に示した回路において、インバータIN2の入力信号線に断線故障があるときの、過渡電源電流の積分値QDDTに対するtpdの変化をプロットしたものである。式(43)より求めたROPENを式(42)に代入すると式(44)が得られる。
Figure 2006337377
パス遅延時間tpdが許容できる遅延時間の上限値T′となるときの過渡電源電流の積分値をQmaxとすると、式(44)においてtpd=T′,QDDT=QmaxとおいてQmaxを求めると式(45)となる。
Figure 2006337377
このQmaxは、遅延故障のないCMOS集積回路の過渡電源電流の積分値QDDTの上限値である。すなわち、QDDTがQmaxより小さいときCMOS集積回路には遅延故障が存在せず、QDDTがQmaxより大きいときCMOS集積回路に断線故障による遅延故障が存在すると判断することができる。
遅延故障なし,QDDT<Qmax
遅延故障あり,QDDT>Qmax (46)
以上のように、過渡電源電流の積分値QDDTを既定値Qmaxと比較することにより、回路の遅延故障をテストすることができる。ここで、既定値Qmaxは、回路シミュレーションや統計データから式(45)をもちいて求めることができる。
過渡電源電流は、集積回路の電源ピンを流れる過渡電流であり、電圧信号より高い可観測性が保証されている。このため、過渡電源電流をもちいた遅延故障試験方法は、電圧信号をもちいた遅延故障試験方法より、高い遅延故障の可観測性を保証することでできる。例えば、電圧信号をもちいた遅延故障試験方法は、電圧信号が集積回路の出力信号線まで伝搬しなければ遅延故障を検出できないのに対し、過渡電源電流信号をもちいた遅延故障試験方法は、たとえ電圧信号が集積回路の出力信号線まで伝搬しなくても、電圧信号が伝搬したパスの遅延時間に対応するパルス幅をもつ過渡電源電流信号が観測可能であるので、遅延故障を検出することができる。また、これに伴って、過渡電源電流信号をもちいた遅延故障試験方法は、電圧信号を集積回路の出力信号線まで伝搬させる必要がないので、電圧信号を集積回路の出力信号線まで伝搬させる必要がある電圧信号をもちいた従来の遅延故障試験方法に比べ、テストパターン生成の制約が少ない。このため、テストパターン生成を容易にすることができる。極端な例では、たとえテストパターン系列をランダムに選択した場合でも、過渡電源電流信号をもちいた遅延故障試験方法は、選択されたテストパターン系列により活性化されるパスの遅延故障を検出することができる。
故障リスト生成方法(論理ゲート)
つぎに、故障リスト生成方法について説明する。図14に被試験CMOS集積回路の一例を示す。この被試験集積回路は、3つの入力端子I1,I2,I3,2つの出力端子O1,O2,3つの内部信号ノードN1,N2,N3,5つの論理ゲートG1,G2,G3,G4,G5をもち、入力端子I1はインバータ論理ゲートG1の入力側に接続され、その出力側はノードN1を通じてNAND論理ゲートG3の一方の入力側に接続され、入力端子I2,I3はNAND論理ゲートG2の入力側に接続され、その出力側はノードN2を通じて論理ゲートG3の他方の入力側に接続され、その出力側はノードN3を通じてインバータ論理ゲートG4の入力側とNOR論理ゲートG5の一方の入力側に接続され、論理ゲートG5の他方の入力側に入力端子I3が接続され、論理ゲートG4,G5の各出力側に出力端子O2,O3が接続されている。また、図に示していないが論理ゲートG1,G2,G3,G4,G5は共通の電源端子に接続されている。
上記被試験CMOS集積回路に対しておこなった故障シミュレーション結果の一例を図15に示す。図15において、第1列はテストパターン系列の識別子を示す。図15の第2列は被試験CMOS集積回路の入力端子I1,I2,I3にあたえる入力信号(テストパターン系列)を示し、第3列は各テストパターン系列をあたえたとき、故障がない被試験CMOS集積回路の内部信号ノードN1,N2,N3に生じる信号を示し、第4列は各テストパターン系列をあたえたとき、故障がない被試験CMOS集積回路の出力端子O1,O2に生じる信号を示す。ここで、図15の第2、第3、第4列における信号"0","1","R","F"は、それぞれ、常時ローレベルの信号<"0","0">(<>内の第1要素は初期信号値を示し、第2要素は最終信号値を示す)、常時ハイレベルの信号(<"1","1">)、ローレベルからハイレベルへの立ち上がり信号(<"0","1">)、ハイレベルからローレベルへの立ち下がり信号(<"1","0">)を示す。このため、各テストパターン系列は2つのテストパターンからなり、例えば、テストパターン系列T1="00R"はI1,I2,I3=<"000","001">を意味する。つまり"000"及び"001"はそれぞれテストパターンであり、"000","001"の列はテストパターン系列である。図15の第5列は、各テストパターン系列をあたえたとき過渡電源電流をもちいた試験で検出可能な故障論理ゲートの集合(故障個所リスト)を示す。
論理ゲートが遅延故障や断線故障をもつとき、論理ゲートのスイッチング動作が遅くなり、これに伴って論理ゲートの過渡電源電流波形が変化するため、被試験集積回路の過渡電源電流は異常を示す。このため、あるテストパターン系列をあたえ過渡電源電流に異常が生じるか否かを観測することによって、上記入力テストパターン系列によりスイッチング動作を生じる論理ゲートに対し、これらの論理ゲートが故障しているか否かを判別することができる。例えば、図14に示す被試験CMOS集積回路にテストパターン系列T2をあたえると、図中に信号状態を示すように被試験CMOS集積回路内の論理ゲートG2,G3,G4,G5にスイッチング動作を生じ、内部信号ノード(信号線)N2,N3および出力端子O1,O2に遷移信号が生じる。したがって、論理ゲートG2,G3,G4,G5のいずれかに故障が存在するとき、テストパターン系列T2をもちいた過渡電源電流試験において過渡電源電流に異常が観測される。すなわち、テストパターン系列T2をもちいた過渡電源電流試験により、論理ゲートG2,G3,G4,G5の故障を検出できる。したがって、テストパターン系列T2に対する故障個所リスト(故障検出可能ゲートのリスト)は、以上の故障シミュレーションによりGT2={G2,G3 ,G4,G5}と求めることができる。
故障箇所推定方法(論理ゲート)
つぎに、この発明の故障解析方法の故障箇所推定方法について述べる。例えば、図14に示す被試験CMOS集積回路にテストパターン系列T2,T4,T6をあたえたとき、すべてのテストパターン系列に対して過渡電源電流が異常を示した場合を考える。図15に示す故障シミュレーション結果より、テストパターン系列T2,T4,T6によって検出可能な故障論理ゲートの集合、すなわち、故障箇所リストは、それぞれ、GT2={G2,G3,G4,G5},GT4={G2},GT6={G2,G3,G4}であるので、推定される故障論理ゲートは、故障箇所リストGT2,GT4,GT6の共通要素、すなわち、集合GT2,GT4,GT6の積集合であらわされる。したがって、
GT2∩GT4∩GT6={G2} (47)
となり、故障論理ゲートはG2であると推定できる。
また、この故障論理ゲートG2は、テストパターン系列T2の故障箇所リストGT2={G2,G3,G4,G5}を基準(基準故障箇所リスト)とし、故障箇所リストGT6およびGT4に含まれない故障箇所(非故障箇所)を基準故障箇所リストから順次削除することによっても推定することができる。はじめに過渡電源電流異常が検出されたテストパターン系列に対する(基準)故障箇所リストGT2を仮定する。
{G2,G3,G4,G5}
つぎに、基準故障箇所リストGT2からつぎに生成された故障箇所リストGT6に含まれない非故障箇所{G1,G5}を削除する。ここで、非故障箇所のリストは故障箇所集合GT6の補集合(〜GT6と示す)であらわされる。したがって、基準故障箇所リストは、G5を削除することによって、
{G2,G3,G4}
となる。つまりGT2中のGT6と一致している要素を残したことになる。同様に、基準故障箇所リストから故障箇所リストGT4に含まれない非故障箇所〜GT4={G1,G3,G4,G5}を削除する。基準故障箇所リストは、
{G2}
となり、故障箇所をG2と推定することができる。
また、図14に示す被試験CMOS集積回路にテストパターン系列T10をあたえたとき過渡電源電流が異常を示し、テストパターン系列T6をあたえたとき過渡電源電流が異常を示さなかったと仮定する。ここでは、T10を異常テストパターン系列、T6を正常テストパターン系列と呼ぶ。故障シミュレーションの結果より、テストパターン系列T10,T6によって検出可能な故障論理ゲートの集合、すなわち、故障箇所リストは、それぞれ、GT10={G1,G3,G4},GT6={G2,G3,G4}である。ここで、故障箇所リストGT6に含まれる故障箇所を正常箇所と呼ぶ。すなわち、故障論理ゲートは、故障箇所リストGT10内の論理ゲートのいずれかであり、故障箇所リストGT6内の論理ゲートのいずれでもない。したがって、推定される故障論理ゲートは、集合GT10と集合GT6の補集合の積集合であらわされ、
GT10∩〜GT6={G1,G3,G4}∩{G1,G5}={G1} (48)
より、故障論理ゲートはG1であると推定できる。上記作業は、故障箇所リストGT10から故障箇所リストGT6に含まれる正常箇所を削除する作業と等価である。
以上により、故障箇所を論理ゲート単位で推定することができる。さらに、この発明の故障解決方法は、論理ゲート単位での故障箇所推定に限定されるものではなく、集積回路内部の信号線に故障を仮定し故障シミュレーションを行なうことにより信号線を単位として故障箇所を推定することもできる。
故障リスト生成方法(内部信号線)
図16に被試験CMOS集積回路を示す。被試験集積回路は、3つの入力端子I1,I2,I3、2つの出力端子O1,O2、5つの論理ゲートG1,G2,G3,G4,G5をもち、12の信号線L1,L2,…,L12をもつ。ここで、信号線には入出力信号線も含むものとし、分岐した信号線はそれぞれ別々の信号線とした。また、出力信号線L11,L12は出力バッファG6,G7に接続されているものとする。つまり入力端子I1は信号線L1を通じてインバータ論理ゲートG1の入力側に接続され、入力端子I2,I3はそれぞれ信号線L2,L3,L4を通じてNAND論理ゲートG2の入力側に接続され、論理ゲートG1,G2の各出力側は信号線L6,L7を通じてNAND論理ゲートG3の入力側に接続され、論理ゲートG3の出力側は信号線L8,L9を通じてインバータ論理ゲートG4の入力側と、信号線L8,L10を通じてNOR論理ゲートG5の一方の入力側とに接続され、論理ゲートG5の他方の入力側に入力端子I3が信号線L3,L5を通じて入力側に接続され、論理ゲートG4の出力側は信号線L11、バッファG6を通じて出力端子O1に接続され、論理ゲートG5の出力側は信号線L12、バッファG7を通じて出力端子O2に接続される。図に示していないが論理ゲートG1〜G5および出力バッファG6,G7の各電源端子は共通の電源に接続されている。
上記被試験CMOS集積回路に対しておこなった故障シミュレーション結果の一例を図17に示す。図17において、第1列はテストパターン系列の識別子を示す。図17の第2列は被試験CMOS集積回路の入力端子I1,I2,I3にあたえる入力信号を示し、第3列は各テストパターン系列をあたえたとき被試験CMOS集積回路の信号線L1,L2,…,L12に生じる信号を示し、第4列は各テストパターン系列をあたえたとき被試験CMOS集積回路の出力端子O1,O2に生じる信号を示す。ここで、図17の第2、第3、第4列における信号"0","1","R","F"は、それぞれ、常時ローレベルの信号<"0","0">(<>内の第1要素は初期信号値を示し、第2要素は最終信号値を示す)、常時ハイレベルの信号(<"1","1">)、ローレベルからハイレベルへの立ち上がり信号(<"0","1">)、ハイレベルからローレベルへの立ち下がり信号(<"1","0">)を示す。このため、各テストパターン系列は2つのテストパターンからなり、例えば、テストパターン系列T1="00R"はI1I2I3=<"000","001">を意味する。図17の第5列は、各テストパターン系列をあたえたとき過渡電源電流をもちいた試験で検出可能な故障信号線の集合、すなわち、故障個所リストを示す。集積回路内部の信号線が断線故障をもつとき、その故障信号線を入力とする論理ゲートのスイッチング動作が遅くなり、これに伴って論理回路の過渡電源電流波形が変化するため、被試験集積回路の過渡電源電流は異常を示す。このため、あるテストパターン系列をあたえ過渡電源電流に異常が生じるか否かを観測することによって、上記入力テストパターン系列によりスイッチング動作を生じる信号線に対し、これらの信号線を入力とする論理ゲートがスイッチング動作を生じるとき、これらの論理回路が故障しているか否かを判別することができる。
例えば、図16に示した被試験CMOS集積回路にテストパターン系列T6をあたえると図中に各部における信号の0,1を表示しているように、被試験CMOS集積回路内の信号線L2,L7,L8,L9,L10,L11にスイッチングが生じ、さらに被試験CMOS集積回路内の論理ゲートG2,G3,G4および出力バッファG6にスイッチングが生じる。信号線L10はスイッチングが生じるが信号線L10を入力とする論理ゲートG5はスイッチングが生じない。したがって、信号線L2,L7,L8,L9,L11のいずれかに故障が存在するとき、テストパターン系列T6をもちいた過渡電源電流試験において過渡電源電流に異常が観測される。すなわち、テストパターン系列T6をもちいた過渡電源電流試験により、信号線L2,L7,L8,L9,L11の故障を検出できる。したがって、テストパターン系列T6に対する故障個所リストは、以上の故障シミュレーションによりLT6={L2,L7,L8,L9,L11}と求めることができる。
故障箇所推定方法(信号線)
つぎに、この発明の故障解析方法の故障箇所推定方法について述べる。例えば、図16に示す被試験CMOS集積回路にテストパターン系列T1,T2,T4をあたえたとき、すべてのテストパターン系列に対して過渡電源電流が異常を示した場合を考える。故障シミュレーションの結果(図17)より、テストパターン系列T2,T4,T6によって検出可能な故障信号線の集合、すなわち、故障箇所リスト(故障検出可能内部信号線)は、それぞれ、LT1={L3,L5,L12},LT2={L3,L4,L5,L7,L8,L9,L10,L11,L12},LT4={L3,L4}であるので、推定される故障信号線は、集合LT1,LT2,LT4の積集合であらわされる。すなわち、
LT1∩LT2∩LT4={L3} (49)
となり、故障信号線はL3であると推定できる。
また、この故障信号線L3は、テストパターン系列T2の故障箇所リストLT2={L3,L4,L5,L7,L8,L9,L10,L11,L12}を基準(基準故障箇所リスト)とし、故障箇所リストLT1およびLT4に含まれない故障箇所(非故障箇所)を基準故障箇所リストから順次削除することによって推定することができる。はじめに、基準故障箇所リストLT2を仮定する。
{L3,L4,L5,L7,L8,L9,L10,L11,L12}
つぎに、基準故障箇所リストから故障箇所リストLT1に含まれない非故障箇所{L1,L2,L4,L6,L7,L8,L9,L10,L11}を削除する。ここで、非故障箇所のリストは故障箇所集合LT1の補集合(〜LT1と示す)であらわされる。したがって、基準故障箇所リストは、L4,L7,L8,L9,L10,L11を削除することによって、
{L3,L5,L12}
となる。同様に、基準故障箇所リストから故障箇所リストLT4に含まれない非故障箇所〜LT4={L1,L2,L5,L6,L7,L8,L9,L10,L11,L12}を削除する。基準故障箇所リストは、
{L3}
となり、故障箇所をL3と推定することができる。
また、図16に示す被試験CMOS集積回路にテストパターン系列T10をあたえたとき過渡電源電流が異常を示し、テストパターン系列T6およびT12をあたえたときいずれも過渡電源電流が異常を示さなかったと仮定する。ここで、T10を異常テストパターン系列、T6およびT12を正常テストパターン系列と呼ぶ。故障シミュレーションの結果より、テストパターン系列T10,T6,T12によって検出可能な故障信号線の集合、すなわち、故障箇所リストは、それぞれ、LT10={L1,L6,L8,L9,L11},LT6={L2,L7,L8,L9,L11},LT12={L1}である。ここで、故障箇所リストLT6およびLT12に含まれる故障箇所を正常箇所と呼ぶ。すなわち、故障信号線は、集合LT10内の信号線のいずれかであり、集合LT6内の信号線または集合LT12内の信号線のいずれでもない。したがって、推定される故障信号線は、集合LT10とLT6の補集合(〜LT6={L1,L3,L4,L5,L6,L10,L12}),LT12の補集合(〜LT12={L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,L11,L12})の積集合であらわされ、
LT10∩〜LT6∩〜LT12={L6} (50)
より、故障信号線はL6であると推定できる。上記作業は、故障箇所リストLT10から故障箇所リストLT6およびLT12に含まれる正常箇所を削除する作業と等価である。
以上により、故障箇所を信号線単位で推定することができる。さらに、この発明の故障解析方法は、論理ゲートを接続する信号線単位での故障箇所推定に限定されるものではなく、論理ゲート内部の信号線に故障を仮定し故障シミュレーションを行なうことにより論理ゲート内部の信号線に対しても故障箇所を推定することもできる。
さらに信号伝搬パスを単位として故障箇所を推定することもできる。その場合の故障リストの生成を以下に述べる。論理シミュレーションの結果が記憶されている記憶装置の記憶内容から、各テストパターン系列ごとに、各信号伝搬パス上の各部がすべてスイッチングしているか否かを調べ、すべてスイッチングしていれば、そのテストパターン系列と、その信号伝搬パスとを故障リストに登録する。つまり例えば論理ゲート単位の論理シミュレーションでは、図14に示した半導体集積回路の場合には、各テストパターン系列に対し、図15に示したように各入力端子、各内部ノード、各出力端子が変化する。よって例えば信号伝搬パスが<I1,N1,N3,O1>の場合、論理シミュレーションの結果の記憶装置から、テストパターン系列T9に対し、I1がR、N1がF、N3がR、O1がFであり、このパス上のすべての各部がスイッチングする。またテストパターン系列T10,T11に対してもI1がR、N1がF、N3がR、O1がFであり、同様にこのパス上の全ての各部がスイッチングする。よって故障リストに信号伝搬パス<I1,N1,N3,O1>に対し、テストパターン系列T9,T10,T11を登録し、又はテストパターン系列T9,T10,T11のそれぞれに対し、パス<I1,N1,N3,O1>を登録する。同様にして例えば内部信号線単位の論理シミュレーションでは、図16に示した半導体集積回路の場合には、各テストパターン系列に対し、図17に示したように、各入力端子、各内部信号線、各出力端子が変化する。よって例えば信号伝搬パスが<I3,L3,L5,L12,O2>の場合、論理シミュレーションの結果の記憶装置から、テストパターン系列T1に対し、I3がR、L3がR、L5がR、L12がF、O2がFであり、このパス上の全ての各部がスイッチングする。またテストパターン系列T2に対してもI3がR、L3がR、L5がR、L12がF、O2がFであり、同様にこのパス上の全ての各部がスイッチングする。よって故障リストに信号伝搬パス<I3,L3,L5,L12,O2>に対し、テストパターン系列T1,T2を登録し、又はテストパターン系列T1,T2に対してパス<I3,L3,L5,L12,O2>をそれぞれ登録する。ここで、故障リストに登録される信号伝搬パスは、被試験回路の入力端子から出力端子まで到達するパスに限定されるものではなく、例えば図16に示した半導体集積回路の<I1,N1>、または図16に示した半導体集積回路の<I1,L1,L6>のように出力端子まで到達しない信号伝搬パスを対象とすることもできる。
このようにして、故障が起こり得る信号伝搬パスの全てについて、故障リストを作る。図14に示した半導体集積回路について論理ゲートがスイッチングするかの論理シミュレーションを行なった場合の故障リストは図39に示すようになり、図16に示した半導体集積回路について内部信号線がスイッチングするかの論理シミュレーションを行なった場合の故障リストは図40に示すようになる。
この信号伝搬パス単位で故障箇所を推定する方法としては、先に論理ゲート単位、信号線単位での故障箇所の推定と同様の手法をもちいることができる。図14に示す被試験CMOS集積回路にテストパターン系列T9、T10をあたえたとき、両テストパターン系列に対して過渡電源電流が異常を示した場合はテストパターン系列T9の故障箇所リストは<I1,N1,N3,O1>,<I1,N1,N3,O2>であり、テストパターン系列T10の故障箇所リストは<I1,N1,N3,O1>である。これら両故障箇所リスト中の共通要素<I1,N1,N3,O1>が故障信号伝搬パスと推定される。
あるいは、テストパターン系列T9の故障箇所リスト(基準故障箇所リスト)<I1,N1,N3,O1>,<I1,N1,N3,O2>から、テストパターン系列T10の故障箇所リスト<I1,N1,N3,O1>に含まれない故障箇所(非故障箇所)<I3,O2>,<I3,N2,N3,O1>,<I3,N2,N3,O2>,<I2,N2,N3,O1>,<I1,N1,N3,O2>を除去し、残った<I1,N1,N3,O1>を故障信号伝搬パスと推定する。
またテストパターン系列T9に対しては過渡電源電流が異常を示したが、テストパターン系列T10に対しては過渡電源電流が異常を示さなかったと仮定する。この場合、異常が生じたテストパターン系列T9の故障箇所リスト<I1,N1,N3,O1>,<I1,N1,N3,O2>から、正常であったテストパターン系列T10の故障箇所リスト<I1,N1,N3,O1>を削除して<I1,N1,N3,O2>を故障信号パスと推定する。
さらに、この発明の故障解析方法はCMOS集積回路に限定されるものではなく、他のタイプの半導体集積回路にも適用することができる。
以下、この発明の実施例について説明する。
図18はこの発明の実施例で使用される故障解析装置の構成の一例を示している。この故障解析装置100は、被試験半導体集積回路DUTの入力端子に2つ以上のテストパターンからなるテストパターン系列を入力するテストパターン系列入力手段101と、上記テストパターン系列を入力したときに発生する上記被試験半導体集積回路DUTの過渡電源電流を測定し、上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定する過渡電源電流試験手段102と、上記被試験半導体集積回路DUTの過渡電源電流が異常を示す複数のテストパターン系列を格納しておく異常パターン系列記憶手段103と、上記被試験半導体集積回路DUTの過渡電源電流が異常を示さない複数のテストパターン系列を格納しておく正常パターン系列記憶手段104と、上記異常パターン系列記憶手段103および上記正常パターン系列記憶手段104に格納された各テストパターン系列に対し故障シミュレーションを行ない、上記テストパターン系列とそのテストパターン系列にて検出される故障推定箇所のリストを作成する故障箇所リスト生成手段105と、上記故障箇所リスト生成手段105から得られた1以上の故障推定箇所リストをもとに上記被試験半導体集積回路DUT内部の故障箇所を推定する故障箇所推定手段106と、によって構成されている。テストパターン系列入力手段101は、汎用のデジタル・データ発生器、例えば、ソニー・テクトロニクス株式会社製のデータ・タイム・ジェネレータHFS9009(メインフレーム)、HFS9DG2(データ・タイム・ジェネレータ・モジュール)でもよいし、集積回路自動試験装置(ATE)、例えば、株式会社アドバンテスト製のロジック・テスタT6671Eのパターンジェネレータ、あるいはランダムパターン発生器でもよい。
過渡電源電流試験(パルス幅)
図19は、この発明の実施例で使用される過渡電源電流試験手段102の構成の一例を示している。この過渡電源電流試験手段102aは、被試験半導体集積回路DUTに電流を供給する電源201と、テストパターン系列入力手段101が出力したテストパターン系列により生じる過渡電源電流波形IDDTを測定する過渡電源電流波形測定器202と、過渡電源電流波形測定器202によって測定された電源電流波形IDDTのパルス幅を測定し、被試験パスの信号伝搬遅延時間を求める遅延時間評価器203と、遅延時間評価器203から得られた遅延時間を既定の値と比較し、故障の有無を決定する故障検出器204と、によって構成されている。電源201は、汎用の安定化電源、例えば、株式会社アドバンテスト製の電圧/電流発生器R6144でもよいし、集積回路自動試験装置(ATE)、例えば、株式会社アドバンテスト製のロジック・テスタT6671Eのプログラム可能なデバイス電源(programable power supply,PPS)でもよいし、容量の大きなコンデンサでもよい。ただし、電源201には電流応答が高速なものが望まれ、電源201はデバイスの直近に配置するのが好ましい。過渡電源電流波形測定器202は以下に述べるように図20に示すように構成することもできるし、図21に示すように構成することもできる。
つまり図20はこの発明の実施例で使用される過渡電源電流波形測定器202の構成の一例を示している。この過渡電源電流波形測定器202aは、被試験回路DUTの電源端子の間に流れる電流波形を検出して電圧波形に変換する電流センサ301と、電流センサ301により変換された電圧波形を測定する波形測定器302と、によって構成されている。電流センサ301は、電源201とDUT間に接続された電源ラインのまわりの磁界の変化を利用して過渡電源電流波形を電圧波形に変換する。誘導型電流センサでもよいし、電源ラインに、抵抗値の小さな抵抗素子を直列に挿入し、抵抗素子に流れる過渡電源電流波形をオームの法則に従って抵抗素子の両端の電圧変化に変換する、抵抗型電流センサでもよい。ただし、過渡電源電流波形に電源ラインのインダクタンス成分によるリンギングが生じないように、電流センサ301は小型のものが望ましい。波形測定器302は、オシロスコープ、例えば、ソニー・テクトロニクス株式会社製のデジタル・オシロスコープTDS784Aでもよいし、集積回路自動試験装置(ATE)、例えば、株式会社アドバンテスト製のロジック・テスタT6671Eのデジタイザでもよい。
図21はこの発明の実施例で使用される過渡電源電流波形測定器202の構成の別の一例を示している。この過渡電源電流波形測定器202bは、電源ラインに直列に挿入された切断するスイッチ401と、スイッチ401と被試験回路DUTの接続点及び接地間に接続され、被試験回路DUTに電流を供給するコンデンサ402と、コンデンサ402の被試験回路DUT側の端子の電圧変化v(t)を測定する波形測定器403と、波形測定器403によって測定された電圧波形v(t)を時間微分する波形微分器404と、によって構成されている。被試験回路DUTが過渡状態のときコンデンサ402から被試験回路DUTに流れ込む電流、すなわち過渡電源電流IDDTは、コンデンサ402の容量をCとし、コンデンサ402の被試験回路DUT側の端子の電圧をv(t)とすると、
Figure 2006337377
とあらわされる。したがって、コンデンサ402の電圧波形v(t)を時間微分することにより、被試験回路DUTを流れる過渡電源電流波形を求めることができる。ここで、スイッチ401は、電源ラインの容量成分やインダクタンス成分を切り離し、被試験回路DUTに流れ込むすべての電流をコンデンサ402から供給するためにもちいられる。波形測定器403は、オシロスコープ、例えば、ソニー・テクトロニクス株式会社製のデジタル・オシロスコープTDS784Aでもよいし、集積回路自動試験装置(ATE)、例えば、株式会社アドバンテスト製のロジック・テスタT6671Eのデジタイザでもよい。波形微分器404は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成することもできる。
遅延時間評価器203及び故障検出器204はハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。
つぎに、この過渡電源電流試験手段102aを使用して半導体集積回路の試験を行なう場合の動作を説明する。図22はこの発明の過渡電源電流試験方法の処理手順を示している。テストパターン系列入力手段101は、ステップ501において、被試験回路DUTを活性化するテストパターン系列を入力する。ステップ502において、過渡電源電流波形測定器202が、電源から被試験回路DUTの電源ピンに流れ込む電源電流の過渡応答波形IDDTを測定する。つぎに、ステップ503において、遅延時間評価器203が、被試験パスの遅延時間を求めるために、過渡電源電流波形測定器202によって測定された過渡電源電流波形IDDTのパルス幅を測定する。最後に、ステップ504において、故障検出器204が、遅延時間評価器203によって求められた過渡電源電流波形IDDTのパルス幅を既定の値と比較し、比較の結果が故障の検出条件を満たした場合、ステップ505において"故障あり"と判断し、比較の結果が故障の検出条件を満たさない場合、ステップ506において"故障なし"と判断して、処理を終了する。ここで、電源201は、半導体集積回路試験の処理中、すなわち、ステップ501,502,503,504,505,506のすべてにわたり、被試験回路DUTに指定された電圧、例えば、3.3Vを常に供給している。また、テストパターン系列を入力するステップ501と、過渡電源電流波形を測定するステップ502は、ほぼ同時に行なわれる。さらに、過渡電源電流波形を測定するステップ502において、単一測定によって測定することもできるし、測定を複数回繰り返すこともできる。単一測定の場合は、テストパターン系列は一度だけ入力され、繰り返し測定の場合は、テストパターン系列は複数回繰り返して入力される。その際、テストパターン系列を入力するごとに初期状態とし、つまり、コンデンサ402をもちいる場合は、その都度コンデンサ402に充電を行う。
過渡電源電流試験(瞬時値)
図23は、この発明の実施例で使用される過渡電源電流試験手段102の構成の別の一例を示している。この過渡電源電流試験手段102bは、被試験半導体集積回路DUTに電流を供給する電源201と、テストパターン系列入力手段101が出力したテストパターン系列により生じる過渡電源電流のある既定の時刻τにおける瞬時値iDDT(τ)を測定する過渡電源電流瞬時値測定器602と、過渡電源電流瞬時値測定器602によって測定された過渡電源電流値iDDT(τ)を既定の電流値I′と比較し、遅延故障の有無を決定する故障検出器603と、によって構成されている。電源201は、図19でもちいた場合と同様のものをもちいる。過渡電源電流瞬時値測定器602は、図24に示すように構成することもできるし、図25に示すように、構成することもできる。故障検出器603は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成することもできる。
図24はこの発明の実施例で使用される過渡電源電流瞬時値測定器602の構成の一例を示している。この過渡電源電流瞬時値測定器602aは、図20に示した過渡電源電流波形測定器202中の波形測定器302の代りに電流センサ301により変換された電圧値を測定する測定器702がもちいられて構成されている。測定器702は、デジタル・マルチメータ、例えば、株式会社アドバンテスト製のデジタル・マルチメータR6581でもよいし、オシロスコープ、例えば、ソニー・テクトロニクス株式会社製のデジタル・オシロスコープTDS784Aでもよいし、集積回路自動試験装置(ATE)、例えば、株式会社アドバンテスト製のロジック・テスタT6671Eのデジタイザでもよい。
図25はこの発明の実施例で使用される過渡電源電流瞬時値測定器602の構成の別の一例を示している。この過渡電源電流瞬時値測定器602bは、図21に示した過渡電源電流波形測定器202b中の波形測定器403と波形微分器404の代りに、コンデンサ402の被試験回路DUT側の端子の電圧波形v(t)の瞬時微分値を測定する微分測定器803をもちいて構成されている。被試験回路DUTが過渡状態のときコンデンサ402から被試験回路DUTに流れ込む電流、即ち過渡電源電流IDDTは、式(51)と同様に
Figure 2006337377
とあらわされる。したがって、コンデンサ402の電圧波形v(t)のある時刻τにおける時間微分値を測定することにより、被試験回路DUTを流れる過渡電源電流の瞬時値iDDT(τ)を求めることができる。ここで、電圧波形v(t)の時刻τにおける瞬時微分値を求めるには、次式に示すように、時刻τの近傍で極短い時間間隔Δtでv(t)の瞬時値を測定し、測定値の差を時間間隔Δtで割ることにより求めることができる。より正確な瞬時微分値を得るためには、Δtは可能な限り小さい方が望ましい。
Figure 2006337377
また、スイッチ401は、電源ラインの容量成分やインダクタンス成分を切り離し、被試験回路DUTに流れ込むすべての電流をコンデンサ402から供給するためにもちいられる。微分測定器803は、デジタル・マルチメータ、例えば、株式会社アドバンテスト製のデジタル・マルチメータR6581でも実現できるし、オシロスコープ、例えば、ソニー・テクトロニクス株式会社製のデジタル・オシロスコープTDS784Aでも実現できるし、集積回路自動試験装置(ATE)、例えば、株式会社アドバンテスト製のロジック・テスタT6671Eのデジタイザでも実現できる。
つぎに、この過渡電源電流試験手段102bを使用して半導体集積回路の試験を行なう場合の動作を説明する。図26はこの発明の過渡電源電流試験方法の処理手順を示している。テストパターン系列入力手段101は、ステップ901において、被試験パスを活性化するテストパターン系列を入力する。つぎに、ステップ902において、過渡電源電流瞬時値測定器602が、電源から被試験回路の電源ピンに流れ込む過渡電源電流のある既定の時刻τにおける瞬時値iDDT(τ)を測定する。ここでτは、先に述べたように例えば、入力遷移の時刻τと許容される遅延時間の最大値T′からτ=T′+τと求めることができる。最後に、ステップ903において、故障検出器603が、過渡電源電流瞬時値測定器602によって求められた過渡電源電流の瞬時値iDDT(τ)を既定の値、例えば、故障のない回路において最後にスイッチングする論理ゲートGfinalの出力遷移時刻τmaxにおける電源電流の典型値I′(=iDDT(τmax))と比較し、比較の結果が故障の検出条件を満たした場合、ステップ904において"故障あり"と判断し、比較の結果が故障の検出条件を満たさない場合、ステップ905において"故障なし"と判断して、処理を終了する。ここで、電源201は、遅延故障試験の処理中、即ち、ステップ901,902,903,904,905のすべてにわたり、被試験回路DUTに指定された電圧、例えば、3.3Vを常に供給している。また、テストパターン系列を入力するステップ901と、過渡電源電流の瞬時値を測定するステップ902は、ほぼ同時に行なわれる。さらに、過渡電源電流の瞬時値を測定するステップ902において、単一測定によって測定することもできるし、測定精度を向上させるために、測定を複数回繰り返し、平均値を測定することもできる。単一測定の場合は、テストパターン系列は一度だけ入力され、繰り返し測定の場合は、テストパターン系列は複数回繰り返して入力される。
過渡電源電流試験(積分値)
図27はこの発明の実施例で使用される過渡電源電流試験手段102の構成の別の一例を示している。この過渡電源電流試験手段102cは、被試験回路DUTに電流を供給する電源201と、テストパターン系列入力手段101が出力したテストパターン系列により生じる過渡電源電流のある既定の時間間隔における積分値QDDTを測定する過渡電源電流積分値測定器1002と、過渡電源電流積分値測定器1002によって測定された過渡電源電流値QDDTを既定値と比較し、故障の有無を決定する故障検出器1003と、によって構成されている。電源201は、図1の例で使用したものと同様のものである。過渡電源電流積分値測定器1002は、図28に示すように、電流センサ301と、波形測定器302と、電流積分器1103と、で構成することもできるし、図29に示すように、スイッチ401と、コンデンサ402と、測定器1203と、で構成することもできる。故障検出器1003は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成することもできる。
図28はこの発明の実施例で使用される過渡電源電流積分値測定器1002の構成の一例を示している。この過渡電源電流積分値測定器1002aは、図20に示した場合と同様に電流センサ301により変換された電圧波形が波形測定器302により測定され、この例では波形測定器1102によって測定された電流波形のある規定の時間における積分値が電流積分器1103によって算出される。電流積分器1103は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。
図29はこの発明の実施例で使用される過渡電源電流積分値測定器1002の構成の別の一例を示している。この過渡電源電流積分値測定器1002bは、図21に示した場合と同様に被試験回路DUTが過渡状態のときコンデンサ402から被試験回路DUTに流れ込む電流、即ち過渡電源電流IDDTは、
Figure 2006337377
とあらわされる。従って、過渡電源電流の積分値QDDTは、
Figure 2006337377
となる。ここで、v(−∞)およびv(∞)は、それぞれコンデンサ402の電圧の初期値と最終値を示す。即ち、ある規定の時間におけるコンデンサ402の電圧の初期値と最終値を測定し、その差を算出することにより、被試験回路DUTを流れる過渡電源電流の積分値QDDTを求めることができる。ここで、コンデンサ402の電圧の初期値v(−∞)は被試験パスの入力信号線に信号遷移が生じる直前に測定し、コンデンサ402の電圧の最終値v(∞)は被試験パス上のすべての論理ゲートがスイッチングし、電源電流が静止電源電流(IDDQ)値となった直後に測定することが望ましい。ただし、電源電流がIDDQ値となる時刻を特定することは困難であるため、コンデンサ402の電圧の最終値v(∞)はテストパターン系列を入力してから十分な時間が経過した時刻に測定してもよい。これら電圧v(−∞),v(∞)を測定する測定器1203は、デジタル・マルチメータ、例えば、株式会社アドバンテスト製のデジタル・マルチメータR6581でも実現できるし、オシロスコープ、例えば、ソニー・テクトロニクス株式会社製のデジタル・オシロスコープTDS784Aでも実現できるし、集積回路自動試験装置(ATE)、例えば、株式会社アドバンテスト製のロジック・テスタT6671Eのデジタイザでも実現できる。
つぎに、この過渡電源電流試験手段102cを使用して半導体集積回路の試験を行なう場合の動作を説明する。図30はこの発明の過渡電源電流試験方法の処理手順を示している。テストパターン系列入力手段101は、ステップ1301において、被試験パスを活性化するテストパターン系列を入力する。つぎに、ステップ1302において、過渡電源電流積分値測定器1002が、電源から被試験回路DUTの電源ピンに流れ込む過渡電源電流のある既定の時間Tにおける積分値QDDTを測定する。ここでTは、例えば、入力遷移の直前の時刻τ(−∞)から被試験回路が十分安定する時刻τ(∞)までとする。最後に、ステップ1303において、故障検出器1003が、過渡電源電流積分値測定器1002によって求められた過渡電源電流の積分値QDDTを既定の値と比較し、比較の結果が故障の検出条件を満たした場合、ステップ1304において"故障あり"と判断し、比較の結果が故障の検出条件を満たさない場合、ステップ1305において"故障なし"と判断して、処理を終了する。ここで、電源201は、半導体集積回路試験の処理中、即ち、ステップ1301,1302,1303,1304,1305のすべてにわたり、被試験回路に指定された電圧、例えば、3.3Vを常に供給している。また、テストパターン系列を入力するステップ1301と、過渡電源電流の積分値を測定するステップ1302は、ほぼ同時に行なわれる。さらに、過渡電源電流の積分値を測定するステップ1302において、単一測定によって測定することもできるし、測定精度を向上させるために、測定を複数回繰り返し、平均値を測定することもできる。単一測定の場合は、テストパターン系列は一度だけ入力され、繰り返し測定の場合は、テストパターン系列は複数回繰り返して入力される。
故障解析
つぎに、上記故障解析装置100を使用して半導体集積回路の故障解析を行なう場合の動作を説明する。図31はこの発明の故障解析方法を処理手順を示している。テストパターン系列入力手段101は、ステップ1401において、あらかじめ用意されたテストパターン系列群からテストパターン系列を1つ取得し、被試験回路DUTに入力する。被試験回路DUTに入力されたテストパターン系列は、同時に過渡電源電流試験手段102にも転送される。つぎに、ステップ1402において、過渡電源電流試験手段102が、電源から被試験回路の電源ピンに流れ込む過渡電源電流を測定し、被試験回路DUTを試験する。つぎに、過渡電源電流試験手段102は、ステップ1403において、過渡電源電流試験の結果を解析し、過渡電源電流に異常が観測されたならば、ステップ1404において、試験にもちいたテストパターン系列を異常パターン系列記憶手段103に格納し、過渡電源電流に異常が観測されなかったならば、ステップ1405において、試験にもちいたテストパターン系列を正常パターン系列記憶手段104に格納する。つぎに、故障解析装置100は、ステップ1406において、上記テストパターン系列群に処理されていないテストパターン系列が存在するか否かを確認し、処理されていないテストパターン系列が存在するならば、上記ステップ1401,1402,1403,1404,1405を繰り返し、処理されていないテストパターン系列が存在しないならば、ステップ1407に移行する。つぎに、ステップ1407において、故障箇所リスト生成手段105が、異常パターン系列記憶手段103および正常パターン系列記憶手段104に格納されたテストパターン系列に対し故障シミュレーションを行って故障検出可能箇所のリスト(故障箇所リスト)を生成する。そのテストパターン系列を異常のない被試験回路に入力した時に、その被試験回路の内部で信号の論理値が変化する箇所がどこかを論理シミュレーションを行い、その論理値が変化する箇所から故障検出可能箇所を求める。つぎに、故障箇所推定手段106が、ステップ1408において、故障箇所リスト生成手段105により生成された故障箇所リストをもとに、先に図14乃至図17を参照して述べた手法により故障箇所の推定を行なう。つぎに、ステップ1409において、故障箇所の推定結果が十分であるか否かを確認する。被試験回路DUTが複雑な場合は故障箇所を単一の箇所まで絞り込むことが困難である場合がある。その場合、推定故障箇所の数が例えば10箇であれば、これらを例えば電子ビームテスタで比較的簡単(短時間)に検査できるため、故障箇所の推定結果が十分であるといえる。つまり、ステップ1409においては、推定故障箇所の数をある所定の数まで絞り込んだか否かを確認し、故障箇所推定結果が十分でなければ、ステップ1410に移行し、故障箇所推定結果が十分であれば、処理を終了する。故障箇所推定結果が十分でないとき、故障解析装置100は、ステップ1410において、上記異常パターン系列記憶手段103および上記正常パターン系列記憶手段104に処理されていないテストパターン系列が存在するか否かを確認し、処理されていないテストパターン系列が存在するならば、ステップ1407,1408を繰り返し、処理されていないテストパターン系列が存在しないならば、処理を終了する。ここで、ステップ1402の過渡電源電流試験に、図22、図26、図30のいずれか1つの方法をもちいることができる。
図32はこの発明の故障解析方法の別の処理手順を示している。テストパターン系列入力手段101は、ステップ1501において、あらかじめ用意されたテストパターン系列群からテストパターン系列を1つ取得し、被試験回路DUTに入力する。被試験回路DUTに入力されたテストパターン系列は、同時に過渡電源電流試験手段102にも転送される。つぎに、ステップ1502において、過渡電源電流試験手段102が、電源から被試験回路DUTの電源ピンに流れ込む過渡電源電流を測定し、被試験回路DUTを試験する。つぎに、過渡電源電流試験手段102は、ステップ1503において、過渡電源電流試験の結果を解析し、過渡電源電流に異常が観測されたならば、ステップ1504において、試験にもちいたテストパターン系列を異常パターン系列記憶手段103に格納し、過渡電源電流に異常が観測されなかったならば、ステップ1505において、試験にもちいたテストパターン系列を正常パターン系列記憶手段104に格納する。つぎに、ステップ1506において、故障箇所リスト生成手段105が、上記過渡電源電流試験でもちいられた異常パターン系列記憶手段103または正常パターン系列記憶手段104に格納されたテストパターン系列に対し故障箇所リストを生成する。つぎに、故障箇所推定手段106が、ステップ1507において、故障箇所リスト生成手段により生成された故障箇所リストをもとに故障箇所の推定を行なう。つぎに、ステップ1508において、故障箇所の推定結果が十分であるか否かを確認し、故障箇所推定結果が十分でなければ、ステップ1509に移行し、故障箇所推定結果が十分であれば、処理を終了する。故障箇所推定結果が十分でないとき、故障解析装置100は、ステップ1509において、上記テストパターン系列群に処理されていないテストパターン系列が存在するか否かを確認し、処理されていないテストパターン系列が存在するならば、上記ステップ1501,1502,1503,1504,1505,1506,1507,1508を繰り返し、処理されていないテストパターン系列が存在しないならば、処理を終了する。ここで、ステップ1502の過渡電源電流試験に、図22、図26、図30のいずれか1つの方法をもちいることができる。この図32示した故障解析方法におけるステップ1507での故障箇所の推定は、先に述べた最初の異常に基づく基準故障箇所リストから、その後に生じた異常に基づく故障リストにない要素を除去してゆく方法が適する。
故障箇所推定
図33はこの発明の実施例で使用される故障箇所推定手段106の構成の一例を示している。この故障箇所推定手段106aは、異常パターン系列記憶手段103に格納された過渡電源電流が異常を示す複数の異常テストパターン系列に対して、故障箇所リスト生成手段105で生成された複数の故障箇所リストを格納する故障箇所リスト記憶手段1601と、故障箇所リスト記憶手段1601に格納された複数の故障箇所リストに共通に含まれる故障箇所を推定する共通故障箇所推定手段1602と、によって構成されている。故障箇所リスト記憶手段1601は、ハードディスクやメモリのような物理的記憶媒体でもよいし、メモリ上に構築された仮想的記憶手段でもよい。共通故障箇所推定手段1602は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成することもできる。この図33の例では正常パターン系列記憶手段104を省略できる。
つぎに、上記故障箇所推定手段106aを使用して故障箇所の推定を行なう場合の動作を説明する。図34はこの発明の故障箇所推定方法の処理手順を示している。はじめに、ステップ1701において、故障箇所リスト生成手段105が、異常パターン系列記憶手段103に格納された異常テストパターン系列を1つ取得する。つぎに、ステップ1702において、故障箇所リスト生成手段105が、ステップ1701で取得した異常テストパターン系列に対し故障シミュレーションを行ない、故障箇所リストを生成する。つぎに、ステップ1703において、故障箇所リスト生成手段105によって生成された故障箇所リストを故障箇所リスト記憶手段1601に転送し、格納する。つぎに、ステップ1704において、上記異常パターン系列記憶手段103に処理されていない異常テストパターン系列が存在するか否かを確認し、処理されていない異常テストパターン系列が存在するならば、ステップ1701,1702,1703を繰り返し、処理されていない異常テストパターン系列が存在しないならば、ステップ1705に移行する。最後に、ステップ1705において、共通故障箇所推定手段1602が、上記故障箇所リスト記憶手段1601に格納されたすべての故障リストに共通の故障箇所を推定し、処理を終了する。ここで、この故障箇所推定方法によって、図31のステップ1407,1408および図32のステップ1506,1507を置き換えてもよい。
図35はこの発明の実施例で使用される故障箇所推定手段106の構成の別の一例を示している。この故障箇所推定手段106bは、異常パターン系列記憶手段103に格納された最初に過渡電源電流が異常を示した異常テストパターン系列に対して、故障箇所リスト生成手段105で生成された基準故障箇所リストを格納する基準故障箇所リスト記憶手段1801と、上記異常パターン系列記憶手段103に格納された基準故障箇所リスト生成にもちいられたテストパターン系列以外の複数の異常テストパターン系列に対して、故障箇所リスト生成手段105で生成された故障箇所リストをもちいて、基準故障箇所リスト記憶手段1801に格納された基準故障箇所リストから上記故障箇所リストに含まれる故障箇所以外の故障箇所(非故障箇所)を削除する非故障箇所削除手段1802と、によって構成されている。基準故障箇所リスト記憶手段1801は、ハードディスクやメモリのような物理的記憶媒体でもよいし、メモリ上に構築された仮想的記憶手段でもよい。非故障箇所削除手段1802は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成することもできる。この図35の例では正常パターン系列記憶手段104を省略できる。
つぎに、上記故障箇所推定手段106bを使用して故障箇所の推定を行なう場合の動作を説明する。図36はこの発明の故障箇所推定方法の処理手順を示している。はじめに、ステップ1901において、故障箇所リスト生成手段105が、異常パターン系列記憶手段103に格納された最初に過渡電源電流が異常を示した異常テストパターン系列を取得する。つぎに、ステップ1902において、故障箇所リスト生成手段105が、ステップ1901で取得した異常テストパターン系列に対し故障シミュレーションを行ない、基準故障箇所リストを生成する。つぎに、ステップ1903において、故障箇所リスト生成手段105によって生成された故障箇所リストを基準故障箇所リスト記憶手段1801に転送し、格納する。つぎに、ステップ1904において、異常パターン系列記憶手段103から上記基準故障箇所リストの生成にもちいられた異常テストパターン系列以外の異常テストパターン系列を1つ取得する。つぎに、ステップ1905において、故障箇所リスト生成手段105が、ステップ1904で取得した異常テストパターン系列に対して故障シミュレーションを行ない、故障箇所リストを生成する。つぎに、ステップ1906において、非故障箇所削除手段1802が、故障箇所リスト生成手段105によって生成された故障箇所リストをもとに、基準故障箇所リストから上記故障箇所リストに含まれる故障箇所以外の故障箇所(非故障箇所)を削除する。最後に、ステップ1907において、上記異常パターン系列記憶手段103に処理されていない異常テストパターン系列が存在するか否かを確認し、処理されていない異常テストパターン系列が存在するならば、ステップ1904,1905,1906を繰り返し、処理されていない異常テストパターン系列が存在しないならば、処理を終了する。ここで、この故障箇所推定方法によって、図31のステップ1407,1408および図32のステップ1506,1507を置き換えてもよい。ただし、ステップ1904において取得すべき異常テストパターン系列が存在しないとき、この故障箇所推定方法は直ちに処理を終了する。
図37はこの発明の実施例で使用される故障箇所推定手段106の構成の別の一例を示している。この故障箇所推定手段106cは、異常パターン系列記憶手段103に格納された過渡電源電流が異常を示す複数のテストパターン系列に対して、故障箇所リスト生成手段105で生成された複数の故障箇所リストを格納する異常故障箇所リスト記憶手段2001と、正常パターン系列記憶手段104に格納された過渡電源電流が異常を示さない複数のテストパターン系列に対して、故障箇所リスト生成手段105で生成された複数の故障箇所リストを格納する正常故障箇所リスト記憶手段2002と、上記異常故障箇所リスト記憶手段2001に格納されたすべての故障箇所リストに共通に含まれる故障箇所を求めることにより故障箇所候補を推定する共通故障箇所推定手段2003と、共通故障箇所推定手段2003によって生成された故障箇所候補リストを格納する故障箇所候補リスト記憶手段2004と、正常故障箇所リスト記憶手段2002に格納された複数の故障箇所リストに対し、故障箇所リストに含まれる故障箇所(正常箇所)を上記故障箇所候補リストから順次削除していく正常箇所削除手段2005と、によって構成されている。異常故障箇所リスト記憶手段2001および正常故障箇所リスト記憶手段2002および故障箇所候補リスト記憶手段2004は、ハードディスクやメモリのような物理的記憶媒体でもよいし、メモリ上に構築された仮想的記憶手段でもよい。共通故障箇所推定手段2003および正常箇所削除手段2005は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成することもできる。
つぎに、上記故障箇所推定手段106cを使用して故障箇所の推定を行なう場合の動作を説明する。図38はこの発明の故障箇所推定方法の処理手順を示している。はじめに、ステップ2101において、故障箇所リスト生成手段105が、異常パターン系列記憶手段103に格納された異常テストパターン系列を1つ取得する。つぎに、ステップ2102において、故障箇所リスト生成手段105が、ステップ2101で取得した異常テストパターン系列に対し故障シミュレーションを行ない、故障箇所リストを生成する。つぎに、ステップ2103において、故障箇所リスト生成手段105によって生成された故障箇所リストを異常故障箇所リスト記憶手段2001に転送し、格納する。つぎに、ステップ2104において、上記異常パターン系列記憶手段103に処理されていない異常テストパターン系列が存在するか否かを確認し、処理されていない異常テストパターン系列が存在するならば、ステップ2101,2102,2103を繰り返し、処理されていない異常テストパターン系列が存在しないならば、ステップ2105に移行する。つぎに、ステップ2105において、共通故障箇所推定手段2003が、上記異常故障箇所リスト記憶手段2001に格納されたすべての故障リストに共通の故障箇所を推定し、故障箇所候補リストを作成する。つぎに、共通故障箇所推定手段2003は、ステップ2106において、故障箇所候補リストを故障箇所候補リスト記憶手段に転送し、格納する。つぎに、ステップ2107において、故障箇所リスト生成手段105が、正常パターン系列記憶手段104から正常テストパターン系列を1つ取得する。つぎに、ステップ2108において、故障箇所リスト生成手段105が、ステップ2107で取得した正常テストパターン系列に対して故障シミュレーションを行ない、故障箇所リストを生成する。つぎに、ステップ2109において、正常箇所削除手段2005が、ステップ2108において故障箇所リスト生成手段105によって生成された故障箇所リストに含まれる故障箇所(正常箇所)を故障箇所候補リストから削除する。最後に、ステップ2110において、上記正常パターン系列記憶手段104に処理されていない正常テストパターン系列が存在するか否かを確認し、処理されていない正常テストパターン系列が存在するならば、ステップ2107,2108.2109を繰り返し、処理されていない正常テストパターン系列が存在しないならば、処理を終了する。ここで、この故障箇所推定方法によって、図31のステップ1407,1408および図32のステップ1506,1507を置き換えてもよい。ただし、ステップ2107において取得すべき正常テストパターン系列が存在しないとき、この故障箇所推定方法は直ちに処理を終了する。
上述では故障箇所リストを故障シミュレーションによりその都度求めたが、予め各種のテストパターン系列に対して故障シミュレーションを行い、そのテストパターン系列と故障箇所リストの対応テーブルを作っておき、そのテーブルを参照して故障箇所リストを求めてもよい。
この発明の故障解析方法および故障解析装置は、故障ミシュレーションにおいて故障箇所を論理ゲート単位で指定することにより、論理ゲート単位で故障箇所を推定することができる。また、故障シミュレーションにおいて故障箇所を信号線単位で指定することにより、信号線単位で故障箇所を推定することもできる。さらに、この発明の故障解析方法および故障解析装置は、遅延故障や断線故障に限定されるものではなく、過渡電源電流の故障検出条件や故障シミュレーションの故障モデルを適宜変更することにより、論理故障(縮退故障)や短絡故障、および、MOSトランジスタのパラメータ不良などの故障箇所も推定することができる。
この発明によれば、可観測性が高く論理ゲートのスイッチング情報をもつ過渡電源電流試験法をもちいることにより、従来不可能であった遅延故障あるいは遅延故障を生じる断線故障の故障箇所の推定ができるため、故障解析の信頼性を大幅に改善できる。
(a)はCMOSインバターの入力電圧VIN、出力電圧VOUTの経時変化とその電源電流IDDの過渡応答の一例を示す図、(b)はそのCMOSインバータ回路と出力の立ち上がり遷移時に流れる電源電流を示す図、(c)はそのCMOSインバータ回路と出力立ち下り遷移時に流れる電源電流を示す図である。 CMOS論理ゲートの過渡応答の典型例を示し、(a)は入力電圧VIN、出力電圧VOUT、電源電流ISの伝達特性図、(b)は過渡電流の近似波形を示す図である。 (a)はCMOS集積回路の例を示す回路図、(b)はその集積回路に対する入力電圧、出力電圧の変化と判定する過渡電源電流応答IDDTの様子を示す図である。 (a)は入、出力ラッチを備えた半導体集積回路に対する遅延故障試験方法の基本原理を模式的に示す図、(b)はその入力電圧VINに対する出力電圧VOUTの遅延と動作クロックとの関係を示す図である。 (a)は論理故障を生じる信号線の断線状態と、入力電圧及び出力電圧を示す図、(b)は遅延故障を生じる信号線の断線状態と入力電圧及び出力電圧を示す図である。 (a)は遅延故障がない場合とある場合の入力電圧と出力電圧の時間経過を示す図、(b)はこれと過渡電源電流試験方法の原理図を示すための図で対応する過渡電源電流を示す図である。 別の過渡電源電流試験方法の原理図を示すための図で、(a)は遅延故障がない場合とある場合の入力電圧と出力電圧の時間経過を示す図、(b)はこれと対応する過渡電源電流と測定時点を示す図である。 CMOSインバータの入力遷移時間に対する過渡電源電流の積分値の変化を示す図。 (a)はCMOSインバータの入力信号線に存在する微小オープン欠陥のモデルを示す図、(b)は微小オープン欠陥がない場合の信号遷移時間を模式的に示す図、(c)は微小オープン欠陥がある後の信号遷移時間を模式的に示す図である。 CMOS集積回路内に存在する微小オープン欠陥の抵抗値ROPENに対するCMOS集積回路の過渡電源電流の積分値QDDTの変化を示す図。 CMOS製造プロセスのばらつきに対するCMOS集積回路の過渡電源電流の積分値の分布を示すヒストグラム図。 CMOS集積回路の被試験パス上に存在する微小オープン欠陥の抵抗値ROPENに対する被試験パスのパス遅延時間tpdの変化を示す図。 CMOS集積回路の被試験パス上に微小オープン欠陥が存在すると仮定したときの、CMOS集積回路の過渡電源電流の積分値QDDTと被試験パスのパス遅延時間tpdの間の線形性を示す図。 この被試験CMOS集積回路の一例を示す回路図。 図14に示した被試験CMOS集積回路に対する故障シミュレーション結果の一例を示す図。 被試験CMOS集積回路の別の一例を示す回路図。 図16に示した被試験CMOS集積回路に対する別の故障シミュレーション結果の一例を示す図。 この発明の故障解析装置の構成を示すブロック図。 図18中の過渡電源電流試験手段102の構成の一例を示すブロック図。 図19中の過渡電源電流波形測定器202の構成の一例を示すブロック図。 図19中の過渡電源電流波形測定器202の構成の別の一例を示すブロック図。 この発明の故障解析方法でもちいられる過渡電源電流試験方法の処理手順の一例を示すフローチャート。 図18中の過渡電源電流試験手段102の構成の別の一例を示すブロック図。 図23中の過渡電源電流瞬時値測定器602の構成の一例を示すブロック図。 図23中の過渡電源電流瞬時値測定器602の構成の別の一例を示すブロック図。 この発明の故障解析方法でもちいられる過渡電源電流試験方法の処理手順の別の一例を示すフローチャート。 図18中の過渡電源電流試験手段102の構成のさらに別の一例を示すブロック図。 図27中の過渡電源電流積分値測定器1002の構成の一例を示すブロック図。 図27中の過渡電源電流積分値測定器1002の構成の別の一例を示すブロック図。 この発明の故障解析方法でもちいられる過渡電源電流試験方法の処理手順のさらに別の一例を示すフローチャート。 この発明の故障解析方法の処理手順を示すフローチャート。 この発明の故障解析方法の別の処理手順を示すフローチャート。 図18中の故障箇所推定手段106の構成の一例を示すブロック図。 この発明の故障解析方法でもちいられる故障箇所推定方法の処理手順の一例を示すフローチャート。 図18中の故障箇所推定手段106の構成の別の一例を示すブロック図。 この発明の故障解析方法でもちいられる故障箇所推定方法の処理手順の別の一例を示すフローチャート。 図18中の故障箇所推定手段106の構成のさらに別の一例を示すブロック図。 この発明の故障解析方法でもちいられる故障箇所推定方法の処理手順のさらに別の一例を示すフローチャート。 図14に示した回路に対する信号伝搬パス単位の故障リストの例を示す図。 図16に示した回路に対する信号伝搬パス単位の故障リストの例を示す図。
符号の説明
100・・・故障解析装置、101・・・テストパターン系列入力手段、102・・・過渡電源電流試験手段、103・・・異常パターン系列記憶手段、104・・・正常パターン系列記憶手段、105・・・故障箇所リスト生成手段、106・・・故障箇所推定手段、201・・・電源、202・・・過渡電源電流波形測定器、203・・・遅延時間評価器、204・・・故障検出器、301・・・電流センサ、401・・・スイッチ、402・・・コンデンサ、403・・・波形測定器、404・・・波形微分器、602・・・過渡電源電流瞬時値測定器、603・・・故障検出器、702・・・測定器、803・・・微分測定器、1002・・・過渡電源電流積分測定器、1003・・・故障検出器、1102・・・波形測定器、1103・・・電流積分器、1601・・・故障箇所リスト記憶手段、1602・・・共通故障箇所推定手段、1801・・・基準故障箇所リスト記憶手段、1802・・・非故障箇所削除手段、2001・・・異常故障箇所リスト記憶手段、2002・・・正常故障箇所リスト記憶手段、2003・・・共通故障箇所推定手段、2004・・・故障箇所候補リスト記憶手段、2005・・・正常箇所削除手段

Claims (21)

  1. 半導体集積回路における故障箇所を推定する方法において、
    被試験半導体集積回路の入力端子に2つ以上のテストパターンからなるテストパターン系列を入力するステップと、
    上記テストパターン系列を入力したときに発生する上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流を測定し、上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定するステップと、
    上記過渡電源電流が異常を示したテストパターン系列に対して故障検出可能な箇所のリスト(故障箇所リストと記す)を求めるステップと、
    上記故障箇所リストから上記被試験半導体集積回路内部の故障箇所を推定するステップと
    を有することを特徴とする故障解析方法。
  2. 上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定するステップは、上記過渡電源電流のパルス幅が所定の値を越えたとき上記過渡電源電流に異常が生じたと判断することを特徴とする請求項1記載の故障解析方法。
  3. 上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定するステップは、上記過渡電源電流の瞬時値が所定の時間において所定の値を越えたとき上記過渡電源電流に異常が生じたと判断することを特徴とする請求項1記載の故障解析方法。
  4. 上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定するステップは、上記過渡電源電流の時間積分値が所定の値を越えたとき上記過渡電源電流に異常が生じたと判断することを特徴とする請求項1記載の故障解析方法。
  5. 上記故障箇所を推定するステップは、上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流が異常を示すテストパターン系列が複数組発生しているとき、これら過渡電源電流が異常を示す各テストパターン系列に対する各故障箇所リストのすべてに共通に含まれる被試験半導体集積回路の故障箇所を推定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の故障解析方法。
  6. 上記故障箇所を推定するステップは、上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流が異常を示すテストパターン系列が複数組発生しているとき、これらのうち過渡電源電流が最初に異常を示したテストパターン系列に対する故障箇所リスト(基準故障リストと記す)をもとに、以後に過渡電源電流が異常を示した1以上のテストパターン系列に対する故障箇所リスト以外の故障箇所(非故障箇所)を上記基準故障箇所リストから順次削除していくことにより、上記被試験半導体集積回路の故障箇所と推定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の故障解析方法。
  7. 上記故障解析方法は、上記過渡電源電流が異常を示さなかったテストパターン系列に対する故障箇所リストを求めるステップを有し、
    上記故障箇所を推定するステップは、上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流が異常を示すテストパターン系列に対する故障箇所リスト(故障箇所候補リストと記す)をもとに、上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流が正常であるテストパターン系列に対する故障箇所リスト(正常箇所リストと記す)を上記故障箇所候補リストから順次削除していくことにより、上記被試験半導体集積回路の故障箇所を推定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の故障解析方法。
  8. 上記故障箇所リストを求めるステップは、テストパターン系列に対して故障シミュレーションを行なって故障箇所リストを求めることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の故障解析方法。
  9. 上記故障箇所リストは、基本論理回路単位での故障箇所のリストであることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の故障解析方法。
  10. 上記故障箇所リストは信号線単位での故障箇所のリストであることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の故障解析方法。
  11. 上記故障箇所リストは信号伝搬パス単位での故障箇所のリストであることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の故障解析方法。
  12. 半導体集積回路における故障箇所を推定する装置であって、
    被試験半導体集積回路の入力端子に2つ以上のテストパターンからなるテストパターン系列を入力するテストパターン系列入力手段と、
    上記テストパターン系列を入力したときに発生する上記被試験半導体回路の過渡電源電流が異常を示した場合に、当該異常に基づいて故障検出可能な箇所のリスト(故障箇所リストと記す)を上記テストパターン系列毎に予め求める故障箇所リスト生成手段と、
    上記テストパターン系列毎の上記故障箇所リストを予め格納する故障箇所リスト記憶手段と、 上記過渡電源電流を上記テストパターン系列毎に測定し、上記過渡電源電流が異常を示すか否かを上記テストパターン系列毎に決定する過渡電源電流試験手段と、
    上記過渡電源電流が異常を示した上記テストパターン系列に対応する上記故障箇所リストから、上記被試験半導体集積回路内部の故障箇所を推定する故障箇所推定手段と、
    を具備することを特徴とする故障解析装置。
  13. 上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定する過渡電源電流試験手段は、
    上記過渡電源電流のパルス幅を測定する電流パルス幅測定手段と、
    上記電流パルス幅測定手段によって測定された過渡電源電流のパルス幅が所定の値を越えたとき上記過渡電源電流に異常が生じたと判断する故障検出手段と、
    によって構成されることを特徴とする請求項12記載の故障解析装置。
  14. 上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定する過渡電源電流試験手段は、
    上記過渡電源電流の瞬時値を測定する電流瞬時値測定手段と、
    上記電流瞬時値測定手段によって所定の時間に測定された過渡電源電流の瞬時値が所定の値を越えたとき上記過渡電源電流に異常が生じたと判断する故障検出手段と、
    によって構成されることを特徴とする請求項12記載の故障箇所装置。
  15. 上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定する上記過渡電源電流試験手段は、
    上記過渡電源電流の時間積分値を測定する電流積分値測定手段と、
    上記電流積分値測定手段によって測定された過渡電源電流の積分値が所定の値を越えたとき上記過渡電源電流に異常が生じたと判断する故障検出手段と、
    によって構成されることを特徴とする請求項12記載の故障解析装置。
  16. 上記故障箇所を推定する故障箇所推定手段は、上記過渡電源電流が異常を示した上記テストパターン系列に対応する上記故障箇所リストに共通に含まれる故障箇所を推定することにより被試験半導体集積回路の故障箇所を推定することを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載の故障解析装置。
  17. 上記故障箇所を推定する故障箇所推定手段は、
    最初に異常を示したテストパターン系列に対して求めた基準故障箇所リストを格納する基準故障箇所リスト記憶手段と、
    以後の過渡電源電流が異常を示す1以上のテストパターン系列に対する故障箇所リスト以外の故障箇所(非故障箇所)を上記基準故障箇所リストから順次削除していく非故障箇所削除手段と、
    によって構成されることを特徴とする請求項12乃至15の何れかに記載の故障箇所解析装置。
  18. 上記故障解析装置は、上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流が異常を示さないテストパターン系列を格納しておく正常パターン系列記憶手段を有し、
    上記故障箇所を推定する故障箇所推定手段は、
    上記被試験半導体集積回路の過渡電源電流が異常を示す複数のテストパターン系列に対する上記故障箇所リストを格納する異常故障箇所リスト記憶手段と、
    上記正常パターン系列記憶手段に格納されたテストパターン系列に対する上記故障箇所リストを格納する正常故障箇所リスト記憶手段と、
    上記異常故障箇所リスト記憶手段に格納されたすべての故障箇所リストに共通に含まれる故障箇所を推定することにより故障箇所候補を推定する共通故障箇所推定手段と、
    上記共通故障箇所推定手段によって生成された故障箇所候補リストを格納する故障箇所候補リスト記憶手段と、
    上記正常故障箇所リスト記憶手段に格納された複数の故障箇所リストそれぞれに含まれる故障箇所(正常箇所)を上記故障箇所候補リストから順次削除していく正常箇所削除手段と、
    によって構成されることを特徴とする請求項12乃至15の何れかに記載の故障解析装置。
  19. 上記故障箇所リスト生成手段は入力されるべきテストパターン系列に対して故障シミュレーションを行って故障箇所リストを生成する手段であることを特徴とする請求項12乃至18の何れかに記載の故障解析装置。
  20. 上記故障箇所推定手段は、基本論理回路単位で故障箇所を推定する手段であることを特徴とする請求項12乃至19のいずれかに記載の故障解析装置。
  21. 上記故障箇所推定手段は、信号線単位で故障箇所を推定する手段であることを特徴とする請求項12乃至19の何れかに記載の故障解析装置。
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