JP2006336744A - ピストンリング - Google Patents

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Abstract

【課題】 エンジンの高速回転域においてブローバイガスを効果的に低減する。
【解決手段】 外周摺動面の上下端に曲面状の面取部と、上面内側端に切り落とされた内側欠損部を有し、上記内側欠損部によるねじれ作用から、燃焼ガスの漏洩を防止するピストンリングにおいて、外周摺動面は、ピストンリングの燃焼室側の面である上面に向けてピストンリングの径方向内方に曲面状に傾斜する第1摺動面と、ピストンリングのクランク室側の面である下面に向けてピストンリングの径方向内方に曲面状に傾斜する第2摺動面とを有し、バレル頂点は、上記外周摺動面の摺動方向における幅に対して、上記ピストンリングの上面側から5/100〜33/100の範囲内に設けられ、上記第1摺動面の、ピストンリング径方向における幅は、1〜20μmの範囲内であり、上記ピストンリングのねじれ角は、0°10’〜10°の範囲内であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関用ピストンリングであって、ブローバイガスを低減させることが可能なピストンリングに関するものである。
近年、エンジン性能の向上に伴い、ピストンリングに対しては、燃費の向上を目的とし、ブローバイガス防止および潤滑油消費量の低減等が要求されている。
このような要求に対応してピストンリングのシール性を向上させるために、使用時にねじれを生じるピストンリングが開発されている。このピストンリングは、ピストンリングの上側面の内側が切り落とされた内側欠損部を有し、この内側欠損部におけるねじれ作用から使用時にねじれを生じるため、リング姿勢は、シリンダ壁に対し、傾斜当たりとなる。このようなピストンリングは、エンジンの爆発行程時では、図4に示すように、爆発圧力が垂直圧力xおよび水平圧力yとしてピストンリング41の上側面44および内周面46に作用する。これにより、ピストンリング41は、ピストンリング溝31の下面33に押し下げられ、ねじれが解消された状態となり、水平圧力yおよび自己拡張力によりシリンダ壁20に圧接される。
このように使用時にねじれを生じるピストンリングにおいて、非特許文献1には、シリンダ壁と接触する部分である外周摺動面の形状を、図5説明図に示すようにバレルフェースとしたピストンリングが開示されている。このようなバレルフェース型のピストンリングとすることで、シリンダ壁に対して面当たりとなることがなく、摺動抵抗が減りフリクションの低減に効果を有する。また、追従性の向上にも効果を有する。
しかしながら、外周摺動面の形状がバレルフェース型に形成された使用時にねじれを生じるピストンリングにおいては、図5説明図に示すように、爆発行程時に生じる爆発圧力が、垂直圧力xおよび水平圧力yとしてピストンリングの上側面54および内周面56に作用する際、ピストンリング51の径方向内方側へ向う水平圧力αが同時にバレルフェース型に形成された外周摺動面に作用するため、その分シリンダ壁への圧接力γが打ち消され低下してしまうといった問題があった。これによりシール性が低下し、高速回転域にてブローバイガスが増加するおそれがあった。
また、特許文献1に記載の、図3及び図8に示すピストンリングの上面より見た際に楕円形状(略小判形状)からなるピストンリングにおいて直線部と曲線部との応力緩和の為にピストンリング断面から見た上面側に接点を有するバレル形状のリングが開示されている。この先行技術では接点上面側の角度が45°±20°及び下面側の角度が3°〜5°であり、楕円ピストンリングならではの燃焼圧によるピストンリング内周側下面の上面へのねじれ防止を対象としている。
特許文献2には、シリンダ内に挿入された状態で上下角が5〜50´のねじれを生じる断面形状を有し、かつ、外周面がリング軸方向幅中心から上側に0.05〜0.35mmだけ偏心した位置を頂点とした非対称バレル曲面から形成されるピストンリングの開示がある。
この先行技術では、バレル頂点の偏心量をリング軸方向幅中心から上側に0.05〜0.35mmとすることにより、シリンダボアとの間に油膜が形成されやすくなり、フリクションが低減すること、また、リング外周上側のバレル落差a1が大きいため、オイルの掻き上げが低減され、オイル消費量を低減できるとの開示があるが、ブローバイ及びリング外周上側のバレル落差a1量に関する記載は一切ない。
ピストンリング、編者:ピストンリング編集委員会、発行社:日刊工業新聞社、発行日:昭和45年7月10日、97〜99頁、(6)バレルフェース形 特開昭56−146037公報 特開2005−9433公報
本発明は、上記目的に鑑みてなされたものであり、エンジンの高速回転域においてブローバイガスを効果的に低減することが可能なピストンリングを提供することを主目的とするものである。
本発明は、上記目的を達成するために、内周面、上下面および外周摺動面からなり、外周摺動面の上下端にピストンリング上下面と外周摺動面とをつなぐ曲面状の面取部と、合口を閉じた際に略円形状となるピストンリングの上面内側端に切り落とされた内側欠損部を有し、上記内側欠損部によるねじれ作用から、シリンダ壁に対し傾斜当たりとなる状態でピストンの上記ピストンリング溝に嵌装され、燃焼室からクランク室への燃焼ガスの漏洩を防止するピストンリングにおいて、
上記ピストンリングのシリンダ壁と摺動する部分である外周摺動面は、ピストンリングの燃焼室側の面である上面に向けてピストンリングの径方向内方に曲面状に傾斜する第1摺動面と、ピストンリングのクランク室側の面である下面に向けてピストンリングの径方向内方に曲面状に傾斜する第2摺動面とを有し、
上記第1摺動面および第2摺動面が接合するバレル頂点は、上記外周摺動面の摺動方向における幅に対して、上記ピストンリングの上面側から5/100〜33/100の範囲内に設けられ、
上記第1摺動面の、ピストンリング径方向における幅は、1〜20μmの範囲内であり、
上記ピストンリングのねじれ角は、0°10’〜10°の範囲内であることを特徴とするピストンリングを提供する。
本発明のピストンリングは、外周摺動面に上述した第1摺動面および第2摺動面を形成し、上記第1摺動面および第2摺動面が接合する部分であるバレル頂点を外周摺動面の摺動方向における幅に対して、ピストンリングの上面側から5/100〜33/100の範囲内に設置することにより、爆発行程時に生じる爆発圧力が、垂直圧力および水平圧力としてピストンリングの上面および内周面に作用する際、ピストンリングの径方向内方側へ向う水平圧力が作用する領域である第1摺動面の面積を狭めることができ、これにより上記水平圧力を減らすことができる。したがって、シリンダ壁への圧接力を高く維持でき、ブローバイガスを抑制することができる。また、上記第1摺動面のピストンリング径方向における幅、すなわち第1摺動面とシリンダ壁面との間隙の最大値を上記範囲とすることにより、上記ピストンリングの径方向内方側へ向う水平圧力を生じるガスの上記間隙への侵入を阻害することが可能となり、結果としてブローバイガスを抑制することができる。またオイル消費量の低減も図ることができる。
上記発明においては、上記ピストンリングのねじれ角は、特に0°20’〜5°の範囲内であることが好ましい。
本発明のピストンリングは、ブローバイガスの抑制し、かつオイル消費も低減することができるといった効果を奏するものである。
以下、本発明のピストンリングについて、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明のピストンリングの一例を示した概略断面図であり、図1(a)は、エンジンの爆発行程時以外における本発明のピストンリングのピストンリング溝内での状態を示し、図1(b)は、爆発行程時における本発明のピストンリングのピストンリング溝内での状態を模式的に示した説明図である。
まず、図1(a)に示すように、本発明のピストンリング1は、ピストン30のピストンリング溝31に嵌装され、ピストン30の上部に位置する燃焼室(図示せず)から、ピストン30の下部に位置するクランク室(図示せず)への燃焼ガスの漏洩を防止するものである。なお、以降の説明において、燃焼室側を上側、クランク室側を下側とする。
本発明のピストンリング1においては、ピストンリング1の外周摺動面2の上下端に、ピストンリング上面4およびピストンリング下面5と、外周摺動面2とをつなぐ曲面状の面取部8を有している。これにより、外周摺動面がコーナーあたりしてリングを折損させたり、スティック現象により、リング機能を低下させたりすることを防ぐことができる。面取部8の大きさRは、0.01〜0.3の範囲内とする。
また、本発明のピストンリング1においては、ピストンリング1の上面4の内側が切り落とされた内側欠損部7を有している。これにより、ピストンリング1における全体的な応力のバランスが非対称となるためねじれ作用が生じ、ピストンリング溝31内におけるピストンリング1の姿勢は、シリンダ壁20に対し傾斜当たりとなる。
さらに、シリンダ壁20と摺動する部分である外周摺動面2には、ピストンリング1の上面4に向けて径方向内方に曲面状に傾斜する第1摺動面2aと、ピストンリング1の下面5に向けて径方向内方に曲面状に傾斜する第2摺動面2bとが形成されている。さらに、第1摺動面2aと第2摺動面2bとが接合する部分であるバレル頂点3の位置を、外周摺動面2の摺動方向における幅に対して、ピストンリング上面4側から5/100〜33/100の範囲内に設置している。このように第1摺動面2aおよび第2摺動面2bの形状を非対称とし、バレル頂点3の位置を上記範囲内に形成することにより、爆発行程以外の行程では、ピストンリング1は自己の拡張力によって第2摺動面2bでシリンダ壁20と接触し、シリンダ孔内を上下に摺動する。また、第2摺動面2bの形状は曲面であることから、摺動摩擦を軽減することができる。
さらに、図1(b)に示すように、エンジンの爆発行程時においては、爆発圧力が垂直圧力xおよび水平圧力yとしてピストンリング1の上面4および内周面6に作用する。これにより、ピストンリング1は、ピストンリング溝31の下面33に押し下げられ、ねじれが解消された状態となり、バレル頂点3でシリンダ壁20に圧接する。この際、爆発圧力は、第1摺動面2aに対して、ピストンリング1の径方向内方側ヘ向かう力αとして作用する。このような力が大きくなると、ピストンリング1におけるシリンダ壁20への圧接力γが大きく打ち消されるため、シール性の低下を招く。しかしながら、本発明においては、バレル頂点3を上記範囲内に設置することにより、爆発圧力がピストンリング1の径方向内方へ向かう力αとして作用する領域である第1摺動面2aの面積が従来よりも小さくなっているため、そのような力αを減らすことができる。したがって、爆発行程時に水平圧力yと共に自己拡張力によりシリンダ壁20への圧接力として作用する力γが、打ち消される量が少なくなるため、シリンダ壁20への圧接力が高くなり、シール性が向上し、ブローバイガスを抑制することができる。
また、上記第1摺動面2aのピストンリング径方向における幅、すなわち第1摺動面2aとシリンダ壁20との間隙の最大値を所定の範囲内とすることにより、上記ピストンリングの径方向内方へ向う力αを生じるガスの上記間隙への侵入を阻害することが可能となり、結果としてブローバイガスを抑制することができる。また、上記間隙を所定の範囲とすることによりオイル消費量の低減も図ることができる。
次に、このような利点を有する本発明のピストンリングの形状について詳細に説明する。
なお、以下に説明するピストンリングの形状は、全てピストンリングの下面、すなわちピストンリング溝に嵌装された場合のクランク室側面が平滑な面に密着するようにしてピストンリングを固定し、この状態で測定した値である。
本発明のピストンリングは、内周面、上下面および外周摺動面からなり、外周摺動面の上下端にピストンリング上下面と外周摺動面とをつなぐ曲面状の面取部と、合口を閉じた際に略円形状となるピストンリングの上面内側端、具体的には、ピストンのピストンリング溝に嵌装された際、燃焼室側に配置される表面の内側端が切り落とされた内側欠損部を有している。この内側欠損部により、図1に示すように、ピストンリング1における全体的な応力のバランスが非対称となるためねじれ作用が生じ、ピストンリング溝31内におけるピストンリングの姿勢は、シリンダ壁20に対し傾斜当たりとなる。
このような内側欠損部の形状としては、ピストンリングの内側の形状が非対称となるように形成されており、ピストンリングにねじれ作用を生じさせることが可能な形状であれば特に限定はされない。具体的には、図1に示すようなインサイドベベル型、図2(a)に示すインサイドカット型、図2(b)に示す片面キーストン型、図2(c)に示すインターナルステップ型等を挙げることができる。
さらに、本発明のピストンリングにおいてシリンダ壁と摺動する部分である外周摺動面は、ピストンリングの上面に向けて径方向内方に曲面状に傾斜する第1摺動面と、ピストンリングの下面に向けて径方向内方に曲面状に傾斜する第2摺動面とを有している。本発明においては、この第1摺動面と第2摺動面とが接合する部分であるバレル頂点の位置を、外周摺動面の摺動方向における幅に対して、ピストンリングの上面側から5/100〜33/100の範囲内に設定しており、さらには、1/10〜33/100の範囲内に設定することが好ましい。33/100を超えると、ブローバイガス量が増加するため好ましくない。33/100以下にすることで、ブローバイガス量を抑制するとともに、オイルの掻き上げの防止に効果を有する。
本発明においては、従来よりもバレル頂点がピストンリングの上面側に位置するように、上記範囲内に設定しているので、バレル頂点よりもピストンリング上面側に形成された第1摺動面の面積を小さくすることができる。したがって、エンジンの高速回転域において、爆発圧力がピストンリングの径方向内方側に向かう力として作用する領域が狭められることから、必然的に、そのような力が減り、シリンダ壁への圧接力を打ち消す力が弱められ、シール性を高めることができる。したがって、ブローバイガスの抑制に効果を有する。
さらに、本発明においては、上記バレル頂点は曲面状に形成されていることが好ましい。バレル頂点が曲面状に形成されていると、シリンダ壁に圧接する際、過度の圧力が集中することを防止することができ、摺動摩擦を低下させることができる。さらに、追従性の向上にも効果を有する。
また、本発明のピストンリングの外周摺動面における摺動方向の幅は、0.3mm〜4.0mmの範囲内であることが好ましく、特に、0.3mm〜3.0mmの範囲内であることが好ましい。摺動方向の幅が0.3mm未満であると、シール性が不十分で、ブローバイガス量が増大し、吹きぬけの恐れがあるので、好ましくない。なお、本発明でいう摺動面とはピストンリング外周面のシリンダ壁に接する面において上面及び下面の面取り部を除いた面を表す。
また、第1摺動面の形状は、ピストンリングの上面に向けて径方向内方に傾斜する形状であって、傾斜面が曲面状でありかつ凸状である形状であれば特に限定はされない。
この径方向内方への傾斜の程度としては、第1摺動面のピストンリング径方向における幅、すなわち、バレル頂点と第1摺動面の上側端部とのピストンリング径方向における距離が、1〜20μmの範囲内であり、さらには、1〜10μmの範囲内であることが好ましい。1μm未満であると、オイルの掻き上げが発生する恐れがあり、また20μmを超えると、ブローバイガス量が増大し、吹きぬけの恐れがあるので好ましくない。1〜20μmの範囲内、特に1〜10μmの範囲内にすることで、オイル消費量の低減、ブローバイガス量の増加の抑制を両立させることができる。
さらに、第1摺動面のピストンリング軸方向における幅が、0.001〜1.35mmの範囲内であり、さらには、0.03〜0.4mmの範囲内であることが好ましい。0.001mm未満であると、オイルの掻き上げが発生する恐れがあり、また、1.35mmを超えると、ブローバイガス量が増大し、吹きぬけの恐れがあるので好ましくない。0.001〜1.35mmの範囲内、特に0.03〜0.4mmの範囲内にすることでオイル消費量の低減、ブローバイガス量の増加の抑制を両立させることができる。
なお、ここでいう第1摺動面におけるピストンリング径方向における幅とは、上述したように第1摺動面の最上側(最も燃焼室側)に位置する部分と、バレル頂点とのピストンリング径方向における距離を意味する。具体的には、図3に示すように、第1摺動面2aのうち、摺動方向の最上側に位置する部分pを通り、ピストンリング軸方向に平行に引いた直線Aと、バレル頂点3を通り、同様にピストンリング軸方向に平行に引いた直線Bとの間隔Cを意味する。
また、ここでいう第1摺動面におけるピストンリング軸方向における幅とは、第1摺動面において、ピストンリングの最上側(最も燃焼室側)に位置する部分と、バレル頂点との、ピストンリング軸方向における距離を意味する。具体的には、図3に示すように、第1摺動面2aのうち、摺動方向の最上側に位置する部分pを通り、ピストンリング径方向に平行に引いた直線Dと、バレル頂点3を通り、同様にピストンリング径方向に平行に引いた直線Eとの間隔Fを意味する。
本発明においては、第1摺動面におけるピストンリング軸方向における幅を上述した範囲とすることにより、爆発行程の際、爆発圧力が垂直圧力としてピストンの上面に作用する際、この爆発圧力がピストンリング径方向内方へ向かう力として作用する領域の面積を小さくすることができるため、ピストンリングのシリンダ壁への圧接力を打ち消す力を減じることができる。したがって、シール性の向上およびブローバイガスの抑制に効果を有する。また、上記第1摺動面におけるピストンリング径方向における幅における幅を上述した範囲とすることにより、爆発行程の際、ガスが第1摺動面とシリンダ壁との間隙に侵入することを抑制することが可能となり、結果的にピストンリングのシリンダ壁への圧接力を打ち消す力を減じることができる。よって、同様にシール性の向上およびブローバイガスの抑制に効果を有する。
次に、本発明のピストンリングにおける第2摺動面について説明する。この第2摺動面の形状は、ピストンリングの下面に向けて径方向内方に傾斜する形状であって、傾斜面が曲面状でありかつ凸状である形状であれば特に限定はされない。
このような第2摺動面においては、ピストンリングの径方向の幅が、第1摺動面のピストンリング径方向における幅よりも広くなくてはならない。その理由としては、第1摺動面のピストンリング径方向における幅よりも第2摺動面のピストンリング径方向における幅がせまくなると、ブローバイガスの吹き下げが多くなるためである。この第2摺動面におけるピストンリングの径方向の幅は0.001mm〜0.1mmの範囲内であることが好ましく、中でも、0.001mm〜0.05mmの範囲内であることが好ましい。さらに、第2摺動面のピストンリング軸方向の幅が、0.3mm〜3.6mmの範囲内であることが好ましく、中でも、0.37mm〜2.6mmの範囲内であることが好ましい。
なお、ここでいう第2摺動面におけるピストンリング径方向における幅とは、第2摺動面において、ピストンリングの摺動方向の最も下側に位置する部分と、バレル頂点とのピストンリング径方向における距離を意味する。具体的には、図3に示すように、第2摺動面2bのうち、摺動方向の最も下側に位置する部分qを通り、ピストンリング軸方向に平行に引いた直線Gと、バレル頂点3を通り、同様にピストンリング軸方向に平行に引いた直線Bとの間隔Hを意味する。
さらに、ここでいう第2摺動面におけるピストンリング軸方向における幅とは、第2摺動面において、ピストンリングの摺動方向の最も下側に位置する部分と、バレル頂点との、ピストンリング軸方向における距離を意味する。具体的には、図3に示すように、第2摺動面2bのうち、摺動方向の最も外側に位置する部分qを通り、ピストンリング径方向に平行に引いた直線Iと、バレル頂点3を通り、同様にピストンリング径方向に平行に引いた直線Eとの間隔Jを意味する。
また、第2摺動面は曲面状に形成されていることから、常にシリンダ壁に対して曲面で接触するため、シリンダ壁に対する追従性に優れ、かつ摺動摩擦の低減に効果を有する。
さらに、本発明におけるピストンリングのねじれ角40は、0°10’〜10°の範囲内であり、特に、0°20’〜5°の範囲内、中でも、0°20’〜4°の範囲内であることが好ましい。上記範囲よりもねじれ角を大きくすると、内周カットの量が大きくなり、内周面を形成できなくなるため好ましくない。一方、上記範囲よりもねじれ角を小さくすると、ピストンリング内周側下面コーナーでのシール性が低下してしまうため好ましくない。
なお、上記ねじれ角は、ピストンリング溝に嵌装された際、ピストンリング溝の上面または下面で拘束されない状態でのねじれ角をいうものであり、次式によって求めた数値に基づき規定した。
Figure 2006336744
本発明のピストンリングはピストンリングの合口を閉じた状態で円形状となるピストンリングにおいて使用される。本発明において、ピストンリングを形成する材料としては、適度な靭性を有し、また、2ピースピストンリングとする場合には、エキスパンダからの張力により変形するおそれのない材料、具体的には、従来からのピストンリングに用いられている鋼材であれば特に限定はされない。その中でも、マルテンサイトステンレス鋼(SUS440、SUS410材)、10Cr鋼、8Cr鋼、合金工具鋼(SKD材)、SKD61、SWOSC−V、SWRH相当材等を好適に用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
次に、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
このような本発明のピストンリング(図1(b)に示す)を用いて、エンジン回転数の増加に伴うブローバイガス量を調べた結果を図6及び表1〜6に示す。
Figure 2006336744
Figure 2006336744
Figure 2006336744
Figure 2006336744
Figure 2006336744
Figure 2006336744
表1〜6に示す実施例1〜36及び比較例1〜59のピストンリングは、各ねじれ角度のバレル頂点位置、バレル量を表1〜6に示す数値になるように調整を行ない、エンジン回転数を一定にして試験を行なった。ここで、バレル量とは、ピストンリングの第1摺動面の、ピストンリング径方向における幅(図3におけるC)に相当する値である。
なお、従来例1〜6のピストンリングは、従来技術として図4に示すように、バレル頂点位置を中央とし、バレル量(図4に示すバレル高さz)を15μmとして各ねじれ角度を0°5´、0°10´、1°、3°、6°、12°にふったものとした。ねじれ角度を変えた従来例1〜6のブローバイ量をそれぞれ100とし、実施例1〜36及び比較例1〜59の各供試材のブローバイ量を同一ねじれ角度の従来例の結果に対しての相対比として比較し、ブローバイ量比とした。ブローバイ量比が100より小さいほど、ブローバイ量の抑制に効果がある。
表1〜6より明らかなように、本発明のピストンリングは、ブローバイ量比で従来例の100よりもはるかに小さく、ブローバイ量の抑制に効果を奏する。
また、図6は、実施例23と従来例4を用いて、エンジン回転数の増加に伴うブローバイガス量を調べた結果を示す。上記表1〜6と同様に、従来例4のブローバイ量を100とし、実施例23のブローバイ量を従来例4に対しての相対比として比較し、ブローバイ量比とした。図6から明らかなように、本発明のピストンリングにおいては、特に、エンジンの高回転域において、ブローバイガスの抑制に効果を有することが明らかである。
本発明のピストンリングの一例を示した概略断面図であり、摺動状態の圧力状態を示した概略説明図である。 本発明における内側欠損部を有するピストンリングの例を示した概略断面図である。 本発明のピストンリングの外周摺動面における形状を説明した説明図である。 従来のバレルフェース形ピストンリングがリング溝下面に接した一例を示した概略断面図である。 従来のバレルフェース形のピストンリングの摺動状態の圧力状態を示した概略説明図である。 本発明のピストンリングと図5に示すピストンリングとで、エンジンの回転数の増加に伴うブローバイガス量比を調べた結果を示したグラフである。
符号の説明
1 … ピストンリング
2 … 外周摺動面
2a … 第1摺動面
2b … 第2摺動面
3 … バレル頂点
4 … ピストンリング上面
5 … ピストンリング下面
6 … 内周面
7 … 内側欠損部
8 … 面取部
20 … シリンダ壁
30 … ピストン
31 … ピストンリング溝
32 … ピストンリング溝側面
33 … ピストンリング溝下面
40 … ねじれ角

Claims (2)

  1. 内周面、上下面および外周摺動面からなり、外周摺動面の上下端にピストンリング上下面と外周摺動面とをつなぐ曲面状の面取部と、合口を閉じた際に略円形状となるピストンリングの上面内側端に切り落とされた内側欠損部を有し、前記内側欠損部によるねじれ作用から、シリンダ壁に対し傾斜当たりとなる状態で前記ピストンリング溝に嵌装され、燃焼室からクランク室への燃焼ガスの漏洩を防止するピストンリングにおいて、
    前記ピストンリングのシリンダ壁と摺動する部分である外周摺動面は、ピストンリングの燃焼室側の面である上面に向けてピストンリングの径方向内方に曲面状に傾斜する第1摺動面と、ピストンリングのクランク室側の面である下面に向けてピストンリングの径方向内方に曲面状に傾斜する第2摺動面とを有し、
    前記第1摺動面および第2摺動面が接合するバレル頂点は、前記外周摺動面の摺動方向における幅に対して、前記ピストンリングの上面側から5/100〜33/100の範囲内に設けられ、
    前記第1摺動面の、ピストンリング径方向における幅は、1〜20μmの範囲内であり、
    前記ピストンリングのねじれ角は、0°10’〜10°の範囲内であることを特徴とするピストンリング。
  2. 前記ピストンリングのねじれ角は、0°20’〜5°の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のピストンリング。
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