JP2006335991A - 水系インクジェットインクの製造方法 - Google Patents

水系インクジェットインクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 銅フタロシアニン染料を含有する、優れた分光特性値を有する、シアン色の水系インクジェットインクを製造する。
【解決手段】 銅フタロシアニン染料水とグリコールを混合後、水と混合することにより、分光特性に優れた水系インクジェットインクを製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水系インクジェットインクの製造方法に関し、詳細には、銅フタロシアニン染料を含有する、優れた分光特性値を有する、シアン色の水系インクジェットインクの製造方法に関する。
インクジェットプリンタによる記録方法として水系インクの各種吐出方式が開発されているが、いずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着又は染着させ記録を行うものである。インクジェットプリンタによる記録方法は、記録ヘッドと被記録材料とが接触しない為、音の発生がなく静かであり、凹凸面、柔軟物質、壊れやすい製品等、場所を選ばず印字ができるという特長がある。またプリンタの小型化、高速化、カラー化が容易という特長の為、近年急速に普及し、今後も大きな伸長が期待されている。
コンピュータのカラーディスプレイ上の画像又は文字情報をインクジェットプリンタにより、カラーで記録するには、一般にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の三原色にブラック(K)を加えた4色のインクによる減法混色で表現される。CRTディスプレイ等のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色画像をできるだけ忠実に再現するには、使用する色素、中でもYMCのインクに使用される色素にはできるだけYMCそれぞれの標準に近い色相を有し、且つ鮮明であることが望まれる。
シアン色のインクジェットインクとしては、銅フタロシアニン染料を含有するものが開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2000−303009号公報 特開2004−339282号公報
しかしながら、銅フタロシアニン染料を含有する水系インクジェットインクは、その作製時におけるインク構成溶剤との混合時の溶解環境変化によって、分光特性値が低下する傾向があった。
従って、本発明の目的は、上記問題点を解決することであり、優れた分光特性値を有する水系インクジェットインクの製造方法を提供することである。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、以下の構成を採用することによって、上記目的が達成され、本発明を成すに至った。
すなわち、銅フタロシアニン染料を含有する水系インクジェットインクの製造方法において、銅フタロシアニン染料水とグリコールとを混合してから水と混合することにより、優れた分光特性値を有する水系インクジェットインクが製造可能となった。
本発明の製造方法の作用機構としては、明確ではないが、初めに銅フタロシアニン染料水とグリコールを混合することにより、十分な熱量で混合熱が発生し、この発生した混合熱によって、銅フタロシアニン染料の分光特性値が優れた値に維持されるものと推測される。
初めに銅フタロシアニン染料(水)と水とを混合した後にグリコールと混合した場合や、グリコールと水とを混合した後に銅フタロシアニン染料(水)と混合した場合には、混合熱の発生は十分ではなく、得られるインクジェットインクの分光特性値が低いものとなってしまう。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法においては、まず銅フタロシアニン染料水とグリコールとを混合する。
本発明で用いた銅フタロシアニン染料水とは、粉末状の銅フタロシアニン染料を水に溶かしたものである。粉末状の銅フタロシアニン染料を直接グリコールと混合しようとしても、銅フタロシアニン染料はグリコールに溶解せず、ダマ状になる。よって、本発明の製造方法においては、あらかじめ粉末状の銅フタロシアニン染料を水に溶かした銅フタロシアニン染料水とし、この染料水とグリコールとを混合する。
この染料水の濃度としては、使用する染料の溶解度にもよるため、特に限定することはできないが、製造しようとする最終インク製品の染料濃度よりも高いものである。
本発明の製造方法においては銅フタロシアニン染料としては公知公用のものを限定なく使用することができる。
本発明の製造方法において、グリコールはインクジェットインクとしての飛翔性の付与、インクジェットノズル面での乾燥の抑制、インクの紙への浸透性の向上等の目的で使用される。
本発明の製造方法に使用するグリコールは、特に限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリストール、ペンタエリストールおよびブチルトリグリコールなどがある。
本発明の製造方法では、得られる水系インクジェットインクの表面張力を適正な範囲に保持するために界面活性剤を添加することが望ましい。
その界面活性剤がアセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上であることがさらに好ましい。これらの界面活性剤を用いることで普通紙上のにじみが特に低減され、専用紙上での線幅を適当な値に調整することが可能となる。
また、その水性インクに表面張力を適正の範囲にするため、1,2−アルキレングリコールを添加してなることが好ましい。
前述の1,2−アルキレングリコールが1,2−ヘキサンジオールおよび/または1,2−ペンタンジオールであることが好ましい。これらの添加により印字の乾燥性が向上し、連続して印刷しても前の印字部分が次の媒体の裏面に転写されることがなくなるため、特にインクジェット記録にあっては高速印字が可能となる。
前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の物質の添加量が0.1%以上5%以下であることが好ましい。
本発明において好ましく用いられるアセチレングリコール系化合物としては、オルフィンE1010、STG、Y(いずれも商品名、日信化学工業(株)製)、サーフィノール82、104、440、465、485(いずれも商品名、Air Products and Chemicals Inc.製)などを用いることができる。
本発明の製造方法において、上記の界面活性剤の添加時期は特に限定されず、銅フタロシアニン染料水の調製時、銅フタロシアニン染料水とグリコールとの混合時、銅フタロシアニン染料水とグリコールとの混合後の水との混合時のいずれでも構わないが、銅フタロシアニン染料水とグリコールとの混合後に混合する水にあらかじめ添加しておくことが好ましい。
本発明の製造方法において、得られるインクの放置安定性の確保、インクジェットヘッドからの安定吐出のため、目詰まり改善のためあるいはインクの劣化防止のためなどの目的で保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート等種々の添加剤を添加することもできる。
以下、それらを例示する。
また、本発明の製造方法においては、得られるインクのノズル前面でインクが乾燥して詰まることを抑制するために、多くの種類の糖類を用いることもできる。単糖類および多糖類があり、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の他にアルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類を用いることができる。そしてその添加量は0.05%以上で30%以下が好ましい。0.05%未満ではインクがヘッドの先端で乾燥して詰まる目詰まり現象を回復させる効果は少なく、30%を超えるとインクの粘度が上昇して適切な印字ができなくなることがある。一般的な糖類である単糖類および多糖類のグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等のより好ましい添加量は3〜20%である。アルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類はインクにしたときの粘度が高くなり過ぎない程度の添加量にする必要がある。
本発明の製造方法においては、得られるインクの紙や特殊紙等の媒体への浸透性をさらに制御するため、他の界面活性剤を添加することも可能である。添加する界面活性剤は本実施例に示すインク系との相溶性のよい界面活性剤が好ましく、界面活性剤のなかでも浸透性が高く安定なものがよい。その例としては、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などがあげられる。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル)などのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などがある。
また、pH調整剤、溶解助剤あるいは酸化防止剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、4級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸(水素)カリウム、炭酸(水素)ナトリウム、炭酸(水素)リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩などがある。また、市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤なども用いることができる。その例としてはチバガイギーのTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物などがある。
さらに、粘度調整剤としては、ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチなどがある。
防腐剤はアルキルイソチアゾロン、クロルアルキルイソチアゾロン、ベンズイソチアゾロン、ブロモニトロアルコール、オキサゾリジン系化合物および/またはクロルキシレノールなどが挙げられ、キレート剤はエチレンジアミン酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩等が挙げられ、防錆剤はジシクロヘキシルアンモニウムニトラート、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
防腐剤として、アルキルイソチアゾロンの中でオクチルイソチアゾロンを有効成分とするものが(例えばNS−800H、NS800G、NS−800P:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。クロルアルキルイソチアゾロンとしてはクロルイソメチルチアゾロンを有効成分とするものが(例えばNS−500W、NS−80D、NS−CG、NS−TM、NS−RS:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。ベンズイソチアゾロンを有効成分とするものが(例えばプロキセルBDN、プロキセルBD20、プロキセルGXL、プロキセルLV、プロキセルTN:以上ゼネカ(英国)、デニサイドBIT、デニサイドNIPA:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。ブロモニトロアルコールを有効成分とするものが(例えばブロノポール、ミアサイドBT、ミアサイドAS:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。クロルキシレノールを有効成分とするものが(例えばPCMX:ナガセ化成工業株式会社)市販されている。また、オキサゾリジン系化合物やこれらの成分の混合物あるいは変性物を有効成分とするものが用途に応じて(例えばNS−BP、デニサイドBIT−20N、デニサイドSPB、サニセットHP、マイクロスタットS520、サニセットSK2、デニサイドNS−100、デニサイドBF−1、デニサイドC3H、サニセット161、デニサイドCSA、デニサイドCST、デニサイドC3、デニサイドOMP、デニサイドXR−6、デニサイドNM、モルデナイズN760、デニサットP4、デニサットP−8、デニサットCHR:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。この中でも水性インクにおいてはオキサゾリジン系化合物を有効成分とするもの、クロルイソメチルチアゾロンを有効成分とするものおよびベンズイソチアゾロンを有効成分とするものが効果が高い。また、これら防腐剤は単独成分ではなく、構造があまり似通っていない2種以上用いた複合成分の方が耐性菌の抑制ができるので好ましい。
エチレンジアミン酢酸塩としてはエチレンジアミン二酢酸遊離酸、エチレンジアミン四酢酸遊離酸、2ナトリウム塩、3ナトリウム塩、4ナトリウム塩があるが、2ナトリウム塩、3ナトリウム塩および4ナトリウム塩が好ましい。ニトリロ三酢酸塩としてはニトリロ三酢酸遊離酸、1ナトリウム塩、2ナトリウム塩、3ナトリウム塩があるが、1ナトリウム塩、2ナトリウム塩および3ナトリウム塩が好ましい。水性インクにおいてはリチウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩なども有効である。このエチレンジアミン酢酸塩やニトリロ三酢酸塩等はインクのカートリッジやヘッド中のインク経路に金属イオンが存在し、それによって分子発色体の分散体や高分子微粒子が凝集や変質しないようにする効果がある。
防錆剤としてはジシクロヘキシルアンモニウムニトラート、ベンゾトリアゾールが有効である。この防錆剤は、ヘッド材料が金属で形成されているときの防錆剤であり、特にノズルの前面が錆びるとインクの飛びが悪くなるのでメッキ面など錆び易い場合に有効である。
なお、本発明の製造方法において、水とは、精製水等の純水に限定されず、製造される水性インクジェットインクの特性を損なわない限り、その他の成分を含んでいても良い水性溶媒を全て含むものである。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例]
銅フタロシアニン(C.I. Direct Blue 199)を10重量%の濃度になるよう、水に溶かし、銅フタロシアニン染料水を作製した。ウォーターバスで23℃になるように保温した上記銅フタロシアニン染料水、グリセリン、ブチルトリグリコールおよびトリエチレングリコールを混合した。混合液の液温は、30.4℃に上昇した。その後、オルフィンE1010(界面活性剤、日信化学工業(株)製)を含有する水に前記混合液を加えて混合し、下記の組成の混合溶液200kgを得た。
銅フタロシアニン 4 wt%
グリセリン 10 wt%
ブチルトリグリコール 10 wt%
トリエチレングリコール 10 wt%
水(染料水由来を含む) 65.2 wt%
オルフィンE1010 0.8 wt%
[比較例1]
前記実施例と同様に、銅フタロシアニン染料水を作製し、ウォーターバスで23℃になるように保温した上記銅フタロシアニン染料水、グリセリン、ブチルトリグリコール、トリエチレングリコールおよびオルフィンE1010を含有する水を混合し、実施例と同じ組成の混合溶液200kgを得た。混合液の液温は27.8℃であった。
[比較例2]
前記実施例と同様に、銅フタロシアニン染料水を作製した。ウォーターバスで23℃になるように保温したグリセリン、ブチルトリグリコール、トリエチレングリコールおよびオルフィンE1010を含有する水を混合した。混合液の液温は26.1℃であった。その後、前記銅フタロシアニン染料水に前記混合液を加えて混合し、実施例と同じ組成の混合溶液200kgを得た。
上記実施例および比較例で得られた混合液を比抵抗10mΩ/cmの純水で1,000ppmに希釈して分光光度計(日立製作所製、U3300)を用いて、分光特性値を測定したところ、下記のような結果が得られた。
実施例 0.757
比較例1 0.742
比較例2 0.743
以上より、銅フタロシアニン染料を含有する水系インクジェットインクの製造方法において、各インク成分を実施例に記載の順序で投入することにより、優れた分光特性値を持つ水系インクジェットインクを得ることができた。

Claims (1)

  1. 銅フタロシアニン染料を含有する水系インクジェットインクの製造方法において、銅フタロシアニン染料水とグリコールとを混合してから水と混合することを特徴とする水系インクジェットインクの製造方法。

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