本発明は、日本古来の伝統食品である醤油,味噌,日本酒等の醸造発酵食品に含まれる機能性成分を利用した皮膚塗布液に関するものである。
近年、食品素材の一次機能(栄養素)、二次機能(美味しさ)からすすんで、三次機能(機能性成分による生体作用効果)に着目した機能性食品の商品開発が盛んに行われている。
一方、日本古来の伝統食品である醤油,味噌,日本酒等の醸造発酵食品の多くは、家内的零細企業により製造されているため、厳しい経済競争に巻き込まれ倒産や廃業を余儀なくされており、日本古来の醸造発酵食品の新規用途開発を行うことによって付加価値の高い製品づくりが望まれている。
ところで、日本古来の醸造発酵食品は、これまで、微生物発酵により生体作用効果に極めて秀れた機能性成分が醸し出されていると考えられている。
しかしながら、これまでの醸造発酵食品に含まれる機能性成分の有効活用は、あくまで食品としての付加価値を高める補助的なものでしかなく、従って、醸造発酵食品の機能性成分を食事により摂取(胃腸からの摂取)することしか念頭に置かれておらず、例えば皮膚の健常作用を高めるために用いることを主眼とした有効活用は成されていないのが現状である。
本発明者らは、上述した課題に着目して鋭意研究を重ねた結果、日本古来の醸造発酵食品のなかから皮膚の健常作用を高める機能性成分を分離・抽出することにより、付加価値の高い皮膚塗布液に係る本発明を完成させたものである。
本発明の要旨を説明する。
納豆の粘り成分から分離したグルタミン酸ポリペプチドを含有することを特徴とする皮膚塗布液に係るものである。
また、味噌から分離したリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を含有することを特徴とする皮膚塗布液に係るものである。
また、梅干から抽出したクエン酸等の有機酸を含有することを特徴とする皮膚塗布液に係るものである。
また、請求項3記載の皮膚塗布液において、前記クエン酸等の有機酸は、梅干を日本酒に浸漬することにより抽出することを特徴とする皮膚塗布液に係るものである。
また、柑橘類の内皮から抽出したペクチンを含有することを特徴とする皮膚塗布液に係るものである。
また、納豆の粘り成分から分離したグルタミン酸ポリペプチド、味噌から分離したリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸及び梅干から抽出したクエン酸等の有機酸を含有することを特徴とする皮膚塗布液に係るものである。
また、請求項6記載の皮膚塗布液において、柑橘類の内皮から抽出したペクチンを含有することを特徴とする皮膚塗布液に係るものである。
また、請求項6,7いずれか1項に記載の皮膚塗布液において、前記クエン酸等の有機酸は、梅干を日本酒に浸漬することにより抽出することを特徴とする皮膚塗布液に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、日本古来の醸造発酵食品に含有される機能性成分の秀れた効能、即ち、皮膚の健常作用が発揮される付加価値の高い皮膚塗布液を得ることができる。
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明のグルタミン酸ポリペプチドを含有した皮膚塗布液について説明する。
本発明のグルタミン酸ポリペプチドは、納豆の粘り成分から分離したものを用いる。
グルタミン酸ポリペプチドは、皮膚細胞の保護や修復の促進効果を有することが分かっており、グルタミン酸ポリペプチドを含有した皮膚塗布液を肌に塗布することにより、肌を滑らかにしたり、肌にツヤを与えることができる。
納豆は、攪拌して納豆の粘り成分を生じさせた上、この粘り成分を納豆の重量の3倍〜10倍の溶媒に溶解して粘り溶液とする。
即ち、溶媒の量が3倍より少ないと溶解操作が困難となり、10倍より多いと溶媒に溶解した粘り成分を凝固させるために大量のアルコールが必要となり経済的ではないことを確認している。
続いて、溶媒に溶解した粘り成分中のグルタミン酸ポリペプチドは、アルコールを加えることにより凝固させ第一凝固成分とする。
続いて、第一凝固成分から納豆臭を除去するため、この第一凝固成分を更に溶媒へ溶解する操作と、アルコールにより凝固する操作とを2回〜5回繰り返し、最終凝固成分とする。
即ち、第一凝固成分を溶媒へ溶解する操作と、アルコールにより凝固する操作は、2回よりも少ないと最終凝固成分に納豆臭がして好ましくなく、また、6回以上の操作はエタノール消費量や作業時間の増大でコスト高となり好ましくないことを確認している。
続いて、最終凝固成分を5倍〜15倍の溶媒に希釈してグルタミン酸ポリペプチドを含有した皮膚塗布液とする。
即ち、溶媒が4倍以下の場合、最終凝固成分の濃度が高過ぎて場合によっては吹き出物などの原因になったり、例えばスプレー式の容器に入れた場合に粘性が高すぎてスプレーが出来なかったり、コスト高となるため好ましくなく、また、希釈倍率が16倍以上の場合、凝固成分の濃度が低すぎて効果が得られなくなることから好ましくないことを確認している。
以上、本発明により得られるグルタミン酸ポリペプチドを含有した皮膚塗布液は、肌を滑らかにしたり、肌にツヤを与える効果が高く、また、納豆を原料としていることから安全性が高く、しかも納豆臭がなく、更に、製法が簡単にして低コストで製造できる。
本発明のリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を含有した皮膚塗布液について説明する。
本発明のリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸は、味噌から分離したものを用いる。
本発明において、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸は、皮膚細胞に浸透して皮膚細胞中のメラニンの生成抑制効果を有することが分かっており、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を含有した皮膚塗布液を肌に塗布することにより、肌の美白とともに、肌のキメや湿潤性を良好にすることができる。
本発明においては、熟成の進んだ味噌から脂肪を分離することが好ましい。
即ち、熟成の進んだ味噌は、脂肪が分解されて低分子化し、脂肪中の成分の多くが遊離状態のグリセリンや脂肪酸(リノール酸若しくはリノレン酸)の形態となり、しかもこの遊離状態のリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸は、皮膚細胞への浸透性が極めて良好であるため好ましい。
続いて、分離した脂肪酸を溶媒に対して0.3%(重量)〜3.0%(重量)となるように希釈し、脂肪酸と水との分離を防止するために、3500rpmで15分〜30分間のホモジナイズを行い、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を含有した皮膚塗布液とする。
即ち、ホモジナイズが15分より短いと冷蔵庫中7日間の保存で溶媒と脂肪酸との分離が生じて好ましくなく、30分より多いとホモジナイズによる乳化作用の効果に差がみられなくなることを確認している。また、脂肪酸が0.3%(重量)より少ない場合、脂肪酸の濃度が低すぎて効果が得られなくなることから好ましくなく、また、3.0%(重量)より多い場合、脂肪酸の濃度が高すぎてコスト高となったり、使用感が不快となったり、場合によっては吹き出物などの原因になったりするため好ましくないことを確認している。
以上、本発明により得られる脂肪酸(リノール酸若しくはリノレン酸)を含有した皮膚塗布液は、肌の美白とともに、肌のキメや湿潤性を良好にする効果が高く、脂肪酸の分離がなく、また、味噌を原料としていることから安全性が高く、更に、製法が簡単にして低コストで製造できる。
本発明のクエン酸等の有機酸を含有した皮膚塗布液について説明する。
本発明のクエン酸等の有機酸は、梅干から分離したものを用いる。
本発明において、クエン酸等の有機酸を含有した皮膚塗布液を肌に塗布することにより、肌を外的刺激から守り、肌のシミを防止し、肌の弾力性や収斂性を良好にすることができる。
梅干は、熟成の進んだものを用いることが好ましい。即ち、熟成の進んだ梅干は、熟成の浅い梅干と比して塩分の溶出が低く(熟成するほど塩分は溶出しなくなる)、クエン酸等の有機酸の醸成が多いため好ましい。しかも、塩分の溶出が少ないとpH調整に用いる際の添加量を最低限にすることができる。
また、梅干は、この梅干が潜る最小量の日本酒に3日〜10日浸漬し、クエン酸等の有機酸の抽出液とする。
即ち、クエン酸等の有機酸は、日本酒中のアルコールにより選択的に抽出できるが、日本酒の量が多くなる程、得られるクエン酸抽出液のアルコール濃度が高くなり、梅干中の有機酸濃度が薄くなるため、日本酒は最小量の使用とする。また、浸漬日数が3日より少ないとクエン酸等の有機酸の抽出量が少なく、10日より多くとも抽出成分に差異のないことを確認している。
以上、本発明により得られるクエン酸などの有機酸を含有した皮膚塗布液は、肌を外的刺激から守り、肌のシミを防止し、肌の弾力性や収斂性を良好にする効果が高く、また、日本酒のアルコールやエステル類がクエン酸などの有機酸の浸透性を向上させることができ、梅干及び日本酒を原料としていることから安全性が高く、更に、製法が簡単にして低コストで製造できる。
本発明のペクチンを含有した皮膚塗布液について説明する。
本発明のペクチンは、柑橘類の内皮から分離したものを用いる。
本発明において、ペクチンを含有した皮膚塗布液を肌に塗布することにより、肌のキメや柔軟性を良好にすることができる。
柑橘類は、内皮を2時間程度温水に浸し、温水にペクチンを溶出させた上で、内皮とペクチン溶出液とを分離する。
即ち、内皮の浸漬時間が2時間よりも短いとペクチンの抽出量が低く、2時間より多くてもペクチンの抽出量はそれ程増大しないことを確認している。
続いて、ペクチン溶出液中のアルコール濃度を50%(重量)として2時間静置することによりペクチン凝固液とする。
即ち、ペクチン溶出液中のアルコール濃度が50%(重量)より少なかったり、放置時間が2時間よりも短いとペクチン凝固液が良好に得られないことを確認している。
続いて、ペクチン凝固液を3000rpmで6〜20分間遠心分離にかけることで、ペクチン凝固液中のペクチンを沈殿させて回収する。
遠心分離は3000rpmで6分よりも短い時間だとペクチンが完全に沈殿しないことを確認している。
続いて、ペクチンを溶媒に希釈してペクチンを含有した皮膚塗布液とする。ペクチンに対する溶媒の量は、スプレー式の容器に入れた場合に良好にスプレーが出来る程度の量とする。
以上、本発明により得られるペクチンを含有した皮膚塗布液は、肌のキメや柔軟性を良好にする効果が高く、また、柑橘類を原料としていることから安全性が高く、更に、製法が簡単にして低コストで製造できる。
本発明の皮膚塗布液は、上述した方法により得られるグルタミン酸ポリペプチド、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸及びクエン酸等の有機酸を混合した皮膚塗布液としても良く、更に、この混合液にペクチンを混合した皮膚塗布液としても良い。
また、本発明の皮膚塗布液は、pHを3.0〜9.0に調整する。pHは適宜調整できるが、皮膚の収斂には酸性とすることが好ましく、皮膚の柔軟にはアルカリ性とするのが好ましい。好ましくはpH4.0〜5.0に調整すると良い。
また、本発明のリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を含む皮膚塗布液は、ホモジナイザーによる攪拌を行うことが好ましい。
ホモジナイザーによる攪拌により、脂肪(脂肪酸)は極めて細かい微粒子となって溶媒中に均一に分散し、溶媒と脂肪(脂肪酸)とが乳化した状態とすることができる。
ホモジナイザーによる攪拌は、3500rpmで15分〜30分間行う。即ち、攪拌時間が15分より短いと溶媒と脂肪(脂肪酸)との分離が生じて好ましくなく、30分より多いと攪拌による乳化作用の効果に差がみられなくなることを確認している。
本発明の具体的な実施例1について説明する。
本実施例は、納豆の粘り成分から分離したグルタミン酸ポリペプチドを含有した皮膚塗布液の製造方法である。
本実施例は、先ず、納豆を攪拌し、粘り納豆とした。
続いて、粘り納豆を水に浸漬し、攪拌した後納豆を除去し、納豆の粘り成分を溶解した粘り水溶液を得た。
本実施例は、具体的には粘り納豆の重量の3倍量の水に納豆の粘り成分を溶解した粘り水溶液を得た。
表1は、納豆の粘り成分を溶解する際に使用する水の量を検討した結果を示すものである。
上記表1から、納豆の粘り成分を溶解する際に使用する水の量は、3倍量より少ないと粘り納豆の粘り成分を良好に溶解させることが困難で、10倍量より多いと粘り水溶液の量が多すぎて、後述の粘り成分の凝固操作におけるアルコール使用量が増大するため経済的ではないと言える。尚、本実施例の納豆の重量は、納豆の粘り成分を溶解する水の量を3倍量〜10倍量とすればどのようにも変更できる。
従って、本実施例によれば、粘り納豆の粘り成分を良好に溶解させて容易に粘り水溶液を得ることができ、しかも後述の操作におけるアルコール使用量も少ないため経済的である。
続いて、この粘り水溶液に無水(95%以上)エタノールを少量づつ、最終的にはこの粘り水溶液と等量濃度以上となるように加えながら攪拌し、粘り水溶液中の粘り成分を凝固させ、第一凝固成分を得た。
続いて、第一凝固成分をこの第一凝固成分の重量の3倍量〜10倍量の水に溶解して凝固成分溶解液とする操作と、この凝固成分溶解液中に再度無水エタノールを少量づつ、最終的にはこの凝固成分溶解液と等量濃度以上となるように加えながら攪拌して凝固させる操作とを繰り返し、最終凝固成分を得た。
本実施例は、具体的には凝固成分溶解液とする操作と、この凝固成分溶解液を再度凝固させる操作とを2回繰り返している。
表2は、凝固成分溶解液とする操作と、この凝固成分溶解液を再度凝固させる操作との繰り返し回数を検討した結果を示すものである。
上記表2から、操作を1回しか行わないと、最終凝固成分(グルタミン酸ポリペプチド)に納豆臭がして好ましくない。一方、両操作を2回行えばほぼ完全に納豆臭を除去できることを確認できた。また、両操作を5回行った場合、グルタミン酸ポリペプチドの純粋度が極めて高くなるが、6回以上の操作はエタノール消費量や作業時間の増大でコスト高となり好ましくないと言える。従って、本実施例によれば、エタノール消費量や作業時間を増大させることなく低コストに納豆臭のない最終凝固成分が得られる。
続いて、最終凝固成分を滅菌水により希釈した。
本実施例は、具体的には最終凝固成分を滅菌水により5倍に希釈し、pHを4.0〜5.0に調整し、グルタミン酸ポリペプチドを含有した溶液状の皮膚塗布液を得た。
表3は、最終凝固成分の水に対する希釈率を検討した結果を示すものである。
上記表3から、最終凝固成分の希釈倍率が4倍以下の場合、最終凝固成分の濃度が高過ぎてコスト高となったり、場合によっては吹き出物などの原因になったり、例えばスプレー式の容器に入れた場合に粘性が高すぎてスプレーが出来なかったりするため好ましくなく、また、希釈倍率が16倍以上の場合、最終凝固成分の濃度が低すぎて効果が得られなくなることから好ましくないと言える。
従って、本実施例によれば、粘性が程よくスプレーが容易で所望の効果が得られるグルタミン酸ポリペプチドを含有した皮膚塗布液となる。
尚、本実施例のグルタミン酸ポリペプチドを含有した皮膚塗布液は、必要に応じて適宜、通常の皮膚塗布液に含まれる界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防殺菌剤、紫外線吸収剤、色素、香料等を配合し、粘液状、乳液状としても良い。
本実施例で得た皮膚塗布液と、市販の化粧水について、肌を滑らかにしたり、肌にツヤを与える効果を比較したところ、10名中7名が本実施例で得た皮膚塗布液の方が、肌が滑らかになり、ツヤを出す効果が高いと評価した。更に、本実施例で得た皮膚塗布液は、納豆から得られる機能性成分であるため、市販の化粧水に比し安全性が高いと言える。
以上、本実施例によれば、肌に塗布することにより、肌を滑らかにしたり、肌にツヤを与えることができ、安全性が高く、しかも納豆臭がなく、更に、製法が簡単にして低コストで製造できる皮膚塗布液となる。
本発明の具体的な実施例2について説明する。
本実施例は味噌から分離したリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を含有した皮膚塗布液の製造方法である。
本実施例は、具体的には熟成の進んだ豆味噌を用いて、ソックスレー抽出により豆味噌中の脂肪を分離した。
ソックスレー抽出により得られた脂肪を分析したところ、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸であった。
本実施例の熟成の進んだ豆味噌以外にも、熟成の浅い豆味噌を適宜使用できるが、熟成の進んだ豆味噌には、皮膚細胞への浸透性が極めて良好な遊離状態のグリセリンや脂肪酸(リノール酸若しくはリノレン酸)が多く含まれるため好ましい。
また、本実施例の豆味噌以外にも、米麹味噌などを適宜使用できるが、豆味噌の方が米麹味噌に比し、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を多く含有するため好ましい。
尚、本実施例のリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸は、味噌以外にも、大豆から分離したものを採用することができる。リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を大豆から分離した場合コスト性に秀れる。
続いて、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を滅菌水に希釈し、ホモジナイズを行い、pHを4.0〜5.0に調整し、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を含有した皮膚塗布液とする。
本実施例は、具体的には分離した脂肪酸を溶媒に対して3%(重量)となるように希釈し、3500rpmで15分ホモジナイズを行った。
表4は、ホモジナイズ条件を検討した結果を示すものである。
上記表4から、ホモジナイズが15分より短いと冷蔵庫中7日間の保存で溶媒と脂肪酸との分離が生じて好ましくなく、30分より多いとホモジナイズによる乳化作用の効果に差がみられなくなると言える。
また、表5は、脂肪酸の水に対する希釈率を検討した結果を示すものである。
上記表5から、脂肪酸の濃度が0.3%(重量)より少ない場合、脂肪酸の濃度が低すぎて効果が得られなくなることから好ましくなく、また、3.0%(重量)より多い場合、コスト高となったり、使用感に不快を感じたり、場合によっては吹き出物などの原因になるため好ましくないと言える。
従って、本実施例によれば、使用感が良く、所望の効果が得られ、脂肪酸の分離がなく低コストなリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を含有した溶液状の皮膚塗布液となる。
尚、本実施例の皮膚塗布液は、必要に応じて適宜、通常の皮膚塗布液に含まれる界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防殺菌剤、紫外線吸収剤、色素、香料等を配合し、粘液状、乳液状としても良い。
本実施例で得た皮膚塗布液と、市販の化粧水について、肌の美白とともに、肌のキメや湿潤性を良好にする効果を比較したところ、10名中7名が本実施例で得た皮膚塗布液の方が、肌が白くなり、キメや潤いを出す効果が高いと評価した。更に、本実施例で得た皮膚塗布液は、味噌から得られる機能性成分であるため、市販の化粧水に比し安全性が高いと言える。
以上、本実施例によれば、肌に塗布することにより、肌の美白とともに、肌のキメや湿潤性を良好にすることができ、安全性が高く、更に、製法が簡単にして低コストで製造できる皮膚塗布液となる。
本発明の具体的な実施例3について説明する。
本実施例は梅干から抽出したクエン酸等の有機酸を含有した皮膚塗布液の製造方法である。
本実施例は、先ず、熟成の進んだ梅干3個程度を、この梅干が潜る程度の日本酒30cc〜50cc程度に浸漬し、10日間静置した。
10日間静置後の日本酒を分析したところ、クエン酸等の有機酸が含有されていた。
クエン酸等の有機酸が含有された日本酒のpHを4.0〜5.0に調整し、クエン酸等の有機酸を含有した溶液状の皮膚塗布液を得た。
尚、本実施例の皮膚塗布液は、必要に応じて適宜、通常の皮膚塗布液に含まれる界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防殺菌剤、紫外線吸収剤、色素、香料等を配合し、粘液状、乳液状としても良い。
本実施例で得た皮膚塗布液と、市販の化粧水について、肌を外的刺激から守り、肌のシミを防止し、肌の弾力性や収斂性を良好にする効果を比較したところ、10名中7名が本実施例で得た皮膚塗布液の方が、外的刺激や肌のシミを防止しながら肌の弾力性や収斂性を保つ効果が高いと評価した。更に、本実施例で得た皮膚塗布液は、梅干及び日本酒から得られる機能性成分であるため、市販の化粧水に比し安全性が高いと言える。
以上、本実施例によれば、肌に塗布することにより、肌を外的刺激から守り、肌のシミを防止し、肌の弾力性や収斂性を良好にすることができると共に、日本酒に含まれるアルコールやエステル類のはたらきにより、クエン酸等の成分を良好に皮膚細胞へ浸透させることができ、安全性が高く、更に、製法が簡単にして低コストで製造できる皮膚塗布液となる。
本発明の具体的な実施例4について説明する。
本実施例は柑橘類の内皮から抽出したペクチンを含有した皮膚塗布液の製造方法である。
本発明は先ず、レモンの皮から内皮を分離し、この内皮を5倍量の50℃の温水に2時間浸漬し、ペクチンを溶出させる。
続いて、笊等で漉し、内皮とペクチン溶出液とを分離する。
続いて、ペクチン溶出液に対し50%(重量)のエタノールを加えて2時間静置し、ペクチンを凝固沈殿させる。
表6は、ペクチンの凝固沈殿におけるエタノール濃度と静置時間を検討した結果を示すものである。
上記表6から、ペクチン溶出液中のアルコール濃度が50%(重量)より少なかったり、放置時間が2時間よりも短いとペクチン凝固液が良好に得られないと言える。
従って、本実施例はペクチン凝固液を良好に得ることができる。
続いて、余分のエタノールを除去した後、遠心分離(3000rpm、20分間)を行い、ペクチンを完全に沈殿させる。
続いて、エタノールを除去後、風乾させる。
続いて、ペクチンは、スプレー容器に入れた際に良好にスプレーができる程度の濃度となるように滅菌水に混入し、pHを4.0〜5.0に調整し、ペクチンを含有した溶液状の皮膚塗布液を得た。
尚、本実施例の皮膚塗布液は、必要に応じて適宜、通常の皮膚塗布液に含まれる界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防殺菌剤、紫外線吸収剤、色素、香料等を配合し、粘液状、乳液状としても良い。
本実施例で得た皮膚塗布液と、市販の化粧水について、肌のキメや柔軟性を良好にする効果を比較したところ、10名中7名が本実施例で得た皮膚塗布液の方が、肌のキメを整えたり、柔軟性を出す効果が高いと評価した。更に、本実施例で得た皮膚塗布液は、柑橘類から得られる機能性成分であるため、市販の化粧水に比し安全性が高いと言える。
以上、本実施例によれば、肌に塗布することにより、肌のキメや柔軟性を良好にすることができ、安全性が高く、更に、製法が簡単にして低コストで製造できる皮膚塗布液となる。
本発明の具体的な実施例5について説明する。
本実施例は納豆の粘り成分から分離したグルタミン酸ポリペプチド、味噌から分離したリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸及び梅干から抽出したクエン酸等を含有した皮膚塗布液の製造方法である。
本実施例は先ず、グルタミン酸ポリペプチド含有液を作成した。
本実施例のグルタミン酸ポリペプチド含有液は、納豆を攪拌して粘り納豆とし、続いて、粘り納豆を10倍量の水に浸漬して攪拌した後、納豆を除去して粘り水溶液とし、続いて、この粘り水溶液に無水(95%以上)エタノールを少量づつ、最終的にはこの粘り水溶液と等量濃度以上となるように加えながら攪拌し、粘り水溶液中の粘り成分を凝固させ、第一凝固成分を得、続いて第一凝固成分を水に溶解して凝固成分溶解液とする操作と、この凝固成分溶解液に再度無水(95%以上)エタノールを少量づつ、最終的にはこの凝固成分溶解液と等量濃度以上となるように加えながら攪拌して凝固させる操作とを5回繰り返して最終凝固成分を得、続いて、最終凝固成分を滅菌水により10倍希釈することにより得た。
次に、前記グルタミン酸ポリペプチド含有溶液に、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を1%となるように添加し、第一混合液とした。
本実施例のリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸は、熟成の進んだ豆味噌からソックスレー抽出により抽出して得た。
次に、前記第一混合液にクエン酸等の有機酸を含有した日本酒を添加し、第二混合液とした。
本実施例のクエン酸等の有機酸を含有した日本酒は、熟成の進んだ梅干3個程度を、この梅干が潜る程度の日本酒30cc〜50cc程度に3日間浸漬し、この日本酒から梅干を取り出すことにより得た。
次に、本実施例は、前記第二混合液を、3500rpmで15分間のホモジナイズを行い、混合液中のリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸と水との分離を防止した。
続いて、第二混合液のpHを4.0〜5.0に調整し、グルタミン酸ポリペプチド、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸及びクエン酸等の有機酸を含有した皮膚塗布液を得た。
本実施例においては、クエン酸等の有機酸を含有した日本酒の添加によりpHを4.0〜5.0に調整している。クエン酸等の有機酸を含有した日本酒の添加量が多すぎると、pHが下がりすぎる上、日本酒中のアルコールによりグルタミン酸ポリペプチド、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸及びペクチンに変性が生じてしまい皮膚塗布液として好ましくない。また、クエン酸等の有機酸を含有した日本酒の添加量が少なすぎると、pHが上がりすぎる上、クエン酸等の有機酸の効果を得られないため皮膚塗布液として好ましくない。
尚、本実施例の皮膚塗布液は、必要に応じて適宜、通常の皮膚塗布液に含まれる界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防殺菌剤、紫外線吸収剤、色素、香料等を配合し、粘液状、乳液状としても良い。
本実施例で得た皮膚塗布液と、実施例1〜4の皮膚塗布液について、皮膚の健常作用を高める効果を比較したところ、10名中9名が本実施例で得た皮膚塗布液の方が、肌が潤って肌の滑らかさやキメやツヤ、弾力性が良好になり、また、肌のシミが出来難くなって美白効果が得られ、肌を外的刺激から守る効果が高いと評価した。
以上、本実施例によれば、肌に塗布することにより、グルタミン酸ポリペプチドにより肌を滑らかにしたり肌にツヤを与える効果と、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸をにより肌の美白とともに肌のキメや湿潤性を良好にする効果と、クエン酸等の有機酸により肌を外的刺激から守り肌のシミを防止し肌の弾力性や収斂性を良好にする効果と共に、日本酒に含まれるアルコールやエステル類により、これらの成分が皮膚細胞に良好に浸透して一層確実に皮膚の健常作用を発揮でき、安全性が高く、しかも納豆臭がなく、更に、製法が簡単にして低コストで製造できる極めて付加価値の高い皮膚塗布液となる。
本発明の具体的な実施例6について図1に基づき説明する。
本実施例は納豆の粘り成分から分離したグルタミン酸ポリペプチド、味噌から分離したリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸、梅干から抽出したクエン酸等の有機酸及び柑橘類の内皮から抽出したペクチンを含有した皮膚塗布液の製造方法である。
本実施例は先ず、グルタミン酸ポリペプチド含有液を作成した。
本実施例のグルタミン酸ポリペプチド含有液は、納豆を攪拌して粘り納豆とし、続いて、粘り納豆を3倍量の水に浸漬して攪拌した後、納豆を除去して粘り水溶液とし、この粘り水溶液に無水(95%以上)エタノールを少量づつ、最終的にはこの粘り水溶液と等量濃度以上となるように加えながら攪拌し、粘り水溶液中の粘り成分を凝固させ、第一凝固成分を得、続いて第一凝固成分を水に溶解して凝固成分溶解液とする操作と、この凝固成分溶解液に再度無水(95%以上)エタノールを少量づつ、最終的にはこの凝固成分溶解液と等量濃度以上となるように加えながら攪拌して凝固させる操作とを5回繰り返して最終凝固成分を得、続いて、最終凝固成分を滅菌水により10倍希釈することにより得た。
次に、前記グルタミン酸ポリペプチド含有溶液に、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸を1%(重量)混合し、また、ペクチンを混合して第一混合液とした。尚、ペクチンは、前記第一混合液をスプレー容器に入れた際にスプレーが可能な程度の量を混合した。
本実施例のリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸は、熟成の進んだ豆味噌からソックスレー抽出により抽出して得た。
また、本実施例のペクチンは、レモンの皮から内皮を分離し、この内皮を5倍量の50℃の温水に2時間浸漬してペクチンを溶出させ、続いて、笊等で漉し、内皮とペクチン溶出液とを分離し、続いて、ペクチン溶出液に対し50%(重量)のエタノールを加えて2時間静置し、ペクチンを凝固沈殿させ、続いて、余分のエタノールを除去した後、遠心分離(3000rpm、20分間)を行いペクチンを完全に沈殿させ、続いてエタノールを除去後、風乾させて得た。
次に、前記第一混合液にクエン酸等の有機酸を含有した日本酒を添加し、第二混合液とした。
本実施例のクエン酸等の有機酸を含有した日本酒は、熟成の進んだ梅干3個程度を、この梅干が潜る程度の日本酒30〜50cc程度に3日間浸漬し、この日本酒から梅干を取り出すことにより得た。
次に、本実施例は、前記第二混合液を、3500rpmで15分間のホモジナイズを行い、混合液中のリノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸と水との分離を防止した。
続いて、第二混合液のpHを4.0〜5.0に調整し、グルタミン酸ポリペプチド、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸、クエン酸等の有機酸及びペクチンを含有した皮膚塗布液を得た。
本実施例においては、クエン酸等の有機酸を含有した日本酒の添加によりpHを4.0〜5.0に調整している。クエン酸等の有機酸を含有した日本酒の添加量が多すぎると、pHが下がりすぎる上、日本酒中のアルコールによりグルタミン酸ポリペプチド、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸及びペクチンに変性が生じてしまい皮膚塗布液として好ましくない。また、クエン酸等の有機酸を含有した日本酒の添加量が少なすぎると、pHが上がりすぎる上、クエン酸等の有機酸の効果を得られないため皮膚塗布液として好ましくない。
尚、本実施例の皮膚塗布液は、必要に応じて適宜、通常の皮膚塗布液に含まれる界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防殺菌剤、紫外線吸収剤、色素、香料等を配合し、粘液状、乳液状としても良い。
本実施例で得た皮膚塗布液と、実施例1〜4の皮膚塗布液について、皮膚の健常作用を高める効果を比較したところ、10名全員が本実施例で得た皮膚塗布液の方が、肌が潤って柔軟性が高まり、肌の滑らかさやキメやツヤ、弾力性が良好になり、また、肌のシミが出来難くなって美白効果が得られ、肌を外的刺激から守る効果が高いと評価した。
以上、本実施例によれば、肌に塗布することにより、グルタミン酸ポリペプチドにより肌を滑らかにしたり肌にツヤを与える効果と、リノール酸若しくはリノレン酸等の脂肪酸をにより肌の美白とともに肌のキメや湿潤性を良好にする効果と、クエン酸等の有機酸により肌を外的刺激から守り肌のシミを防止し肌の弾力性や収斂性を良好にする効果と、ペクチンにより肌のキメや柔軟性を良好にする効果が得られると共に、日本酒に含まれるアルコールやエステル類により、これらの成分が皮膚細胞に良好に浸透して一層確実に皮膚の健常作用を発揮でき、安全性が高く、しかも納豆臭がなく、更に、製法が簡単にして低コストで製造できる極めて付加価値の高い皮膚塗布液となる。
実施例6の製造工程の一例を示すフローチャートである。