JP2006334983A - 印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法 - Google Patents

印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】搬送ローラの偏心による補正への影響を抑える。
【解決手段】補正用パターンの、搬送方向における最も下流側のドット列を形成する際に媒体に接触する搬送ローラの部位と、画像の、搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際に、媒体に接触する搬送ローラの部位と、が一致するように制御する。
【選択図】 図25

Description

本発明は、画像の濃度ムラを抑制する印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法に関する。
媒体としての用紙にインクを吐出して画像を形成する印刷装置として、インクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)が知られている。このプリンタは、キャリッジの移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して用紙にドットを形成するドット形成動作と、搬送ローラを有する搬送部により前記用紙を前記移動方向と交差する交差方向(以下、搬送方向ともいう)に搬送する搬送動作とを交互に繰り返す。これにより、移動方向に沿う複数のドットから構成された複数のラスタラインが交差方向に複数形成され、画像が印刷される(たとえば、特許文献1を参照)。このような、プリンタでは濃度ムラの発生を抑制するために、所定濃度の画像を印刷するための画像データに基づいて印刷させた画像の濃度を、ラスタラインが形成された列領域毎に読み取り、読み取った情報に基づいて印刷すべき画像の画像データを列領域毎に補正する場合がある。
特開平6−166247号公報
しかしながら、上記のようなプリンタでは、本来用紙搬送方向に等間隔にて形成される複数のラスタラインが、搬送ローラの偏心により等間隔で形成されない場合がある。このような、プリンタにて所定濃度の画像を印刷するための画像データに基づいて印刷しても正しい濃度の画像が印刷されない畏れがある。また、誤った濃度の画像を読み取った情報に基づいて、画像データを列領域毎に補正すると、適正な補正がなされず、濃度ムラが補正されない畏れがある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、搬送ローラの偏心による補正への影響を抑えることが可能な印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法を実現することにある。
主たる発明は、(a)画像を印刷するための媒体を搬送方向に搬送するための搬送ローラを備えた搬送部と、(b)前記画像を印刷するための印刷データに基づいて、前記搬送方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して、前記搬送部により搬送された前記媒体に、ドット列を形成するためのノズルと、(c)補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に前記ドット列を形成する際に前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、前記画像を印刷するための印刷データに基づいて印刷された画像を構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際に、前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、が一致するように前記搬送部を制御するためのコントローラと、(d)を有することを特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
(a)画像を印刷するための媒体を搬送方向に搬送するための搬送ローラを備えた搬送部と、(b)前記画像を印刷するための印刷データに基づいて、前記搬送方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して、前記搬送部により搬送された前記媒体に、ドット列を形成するためのノズルと、(c)補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に前記ドット列を形成する際に前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、前記画像を印刷するための印刷データに基づいて印刷された画像を構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際に、前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、が一致するように前記搬送部を制御するためのコントローラと、(d)を有することを特徴とする印刷装置。
このような印刷装置によれば、画像を印刷するための印刷データに基づいて画像が形成される、搬送方向における最も下流側の列領域に、補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際には、補正用パターンを構成する、搬送方向における最も下流側の列領域にドット列を形成する際に媒体に接触する搬送ローラの部位とほぼ一致する部位にて媒体が搬送される。このため、画像を印刷する際の媒体の搬送動作と、補正用パターンを印刷する際の媒体の搬送動作とにおいて、搬送方向における最も下流側の列領域に形成されるドット列は、搬送ローラの同じ部位にて媒体が搬送された後に形成されることになる。すなわち、たとえ搬送ローラが偏心していたとしても、搬送方向における最も下流側の列領域に形成されるドット列を形成するために搬送された媒体の搬送量には、搬送ローラの偏心による誤差が、画像を印刷する際にも、補正用パターンを印刷する際にも同様に含まれていることになる。このため、補正用パターンに基づいて画像データを補正することにより、より精度良く補正することが可能であり、良好な画像を印刷することが可能である。
ここで、用紙等の媒体上に仮想的に定められた矩形状の領域を、印刷解像度に応じて大きさや形が定められる「単位領域」としたときに、「列領域」とは、移動方向に並ぶ複数の単位領域によって構成される領域のことをいう。例えば、「単位領域」は、印刷解像度が720dpi(移動方向)×720dpi(搬送方向)の場合、約35.28μm×35.28μm(≒1/720インチ×1/720インチ)の大きさの正方形状の領域になる。また、印刷解像度が360dpi×720dpiの場合、「単位領域」は、約70.56μm×35.28μm(≒1/360インチ×1/720インチ)の大きさの長方形状の領域になる。そして、理想的にインク滴が吐出された場合には、この単位領域の中心位置にインク滴が着弾し、その後インク滴が媒体上で広がって単位領域にドットが形成される。そして、「列領域」は、例えば印刷解像度が720dpi×720dpiの場合、搬送方向に約35.28μm(≒1/720インチ)の幅の帯状の領域となり、移動方向に移動するノズルから理想的にインク滴が断続的に吐出されると、この列領域にドット列が形成される。
かかる印刷装置において、前記搬送ローラの周面上における所定の基準位置を検出するための検出部を有し、前記コントローラは、前記検出部にて検出された前記基準位置に基づいて、前記搬送部を制御することが望ましい。
このような印刷装置によれば、コントローラは、検出部により検出された搬送ローラの周面上の基準位置に基づいて搬送部を制御するので、搬送ローラの周面上の基準位置を正確に所定の位置に位置決めすることが可能である。このため、搬送すべき媒体と搬送ローラの周面上の所定の位置とを正確に接触させることが可能である。
かかる印刷装置において、前記媒体を前記搬送部に供給するための媒体供給部を有し、前記コントローラは、前記搬送ローラの前記基準位置を所定の回転開始位置に位置決めし、前記補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に前記ドット列を形成する際と、前記画像を構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際と、において、前記媒体供給部により前記媒体を供給させ始めるタイミングに対する、前記搬送ローラを前記回転開始位置から回転させ始めるタイミングを一致させることにより、前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位を一致させることが望ましい。
このような印刷装置によれば、所定の回転開始位置に位置決めされた搬送ローラに対し媒体供給部により媒体を供給させ始めるタイミングに対する、搬送ローラを回転開始位置から回転させ始めるタイミングを一致させることにより、媒体供給部から供給される媒体を、搬送ローラの周面上のほぼ一定の位置に接触させることが可能である。このため、補正用パターンの、搬送方向における最も下流側の列領域にドット列を形成する際と、画像の、搬送方向における最も下流側の列領域に、補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際と、において、媒体に接触する搬送ローラの周面上の部位を簡単な制御により一致させることが可能である。
かかる印刷装置において、媒体を排出した際には、前記搬送ローラを前記回転開始位置にて停止させることが望ましい。
このような印刷装置によれば、1つの媒体を排出した後、次の媒体に印刷する際に、改めて搬送ローラを回転開始位置に位置決めする必要がない。このため、スループットを向上させることが可能である。
かかる印刷装置において、前記検出部は、前記搬送ローラの回転を検出するためのロータリー式エンコーダであることが望ましい。
このような印刷装置によれば、容易に且つより正確に搬送ローラの回転及び周面上の位置を検出することが可能である。
かかる印刷装置において、前記コントローラは、前記移動方向に沿う前記ドット列が形成された列領域間の濃度ムラを抑制すべく、前記補正用パターンを読み取った結果に基づいて、画像データを補正することが望ましい。
印刷された補正用パターンを読み取った結果に基づいてする補正は、移動方向に沿うドット列が形成された列領域間の濃度ムラを抑制するための補正なので、特に補正用パターンを構成する各ドット列が形成されている列領域の搬送方向における位置と、画像を構成するドット列が形成される列領域の搬送方向における位置とが一致することが重要である。上記印刷装置によれば、補正用パターンを構成する各ドット列が形成されている列領域の搬送方向における位置と、画像を構成するドット列が形成される列領域の搬送方向における位置とをより正確に一致させることが可能である。このため、補正用パターンに基づいてより適切に画像データを補正し、良好な画像を印刷することが可能である。
かかる印刷装置において、前記画像データは、前記媒体に形成される単位領域毎の階調値を示しており、所定階調値を示す前記画像データに基づいて印刷された前記補正用パターンを読み取った結果に基づいて補正情報を取得し、前記画像データは、前記補正情報に基づいて補正されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、所定階調値を示す画像データに基づいて印刷された補正用パターンを読み取った結果に基づいて補正情報が取得されるので、印刷された補正用パターンを読み取った結果と、画像データの所定の階調値とが対応付けられる。そして、補正用パターンを読み取った結果に基づいて画像データの階調値が補正されるので、より適切に画像データを補正することが可能である。
かかる印刷装置において、前記補正用パターンは、前記画像を印刷する際の印刷条件毎に印刷され、前記回転開始位置は、前記印刷条件に基づいて設定されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、回転開始位置が印刷条件毎に設定されるので、印刷条件毎に印刷される補正用パターンも印刷条件に応じた回転開始位置から搬送ローラが回転し始めて搬送された媒体に印刷される。このため、印刷条件毎に各々印刷条件に応じた補正用パターンが印刷されるので、いずれの印刷条件にて画像を印刷する際にも画像データを適切に補正し、良好な画像を印刷することが可能である。
かかる印刷装置において、前記補正用パターンは、所定の濃度を示す階調値に基づいて、前記移動方向に移動される前記ノズルから吐出されるインクにて形成される複数のドット列が、前記搬送方向に沿って並べて印刷されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、複数のドット列が搬送方向に沿って並べて印刷されているので、補正用パターンを読み取ることによりドット列が形成された列領域間の濃度ムラを読み取りことが可能であり、この補正用パターンを読み取った結果に基づいて画像データを補正するので、印刷する画像における列領域間の濃度ムラを適切に抑制することが可能である。
また、(a)画像を印刷するための媒体を搬送方向に搬送するための搬送ローラを備えた搬送部と、(b)前記画像を印刷するための印刷データに基づいて、前記搬送方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して、前記搬送部により搬送された前記媒体に、ドット列を形成するためのノズルと、(c)補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に前記ドット列を形成する際に前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、前記画像を印刷するための印刷データに基づいて印刷された画像を構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際に、前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、が一致するように前記搬送部を制御するためのコントローラと、を有し、(d)前記搬送ローラの周面上における所定の基準位置を検出するための検出部を有し、前記コントローラは、前記検出部にて検出された前記基準位置に基づいて、前記搬送部を制御し、(e)前記媒体を前記搬送部に供給するための媒体供給部を有し、前記コントローラは、前記搬送ローラの前記基準位置を所定の回転開始位置に位置決めし、前記補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に前記ドット列を形成する際と、前記画像を構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際と、において、前記媒体供給部により前記媒体を供給させ始めるタイミングに対する、前記搬送ローラを前記回転開始位置から回転させ始めるタイミングを一致させることにより、前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位を一致させ、(f)媒体を排出した際には、前記搬送ローラを前記回転開始位置にて停止させ、(g)前記検出部は、前記搬送ローラの回転を検出するためのロータリー式エンコーダであり、(h)前記コントローラは、前記移動方向に沿う前記ドット列が形成された列領域間の濃度ムラを抑制すべく、前記補正用パターンを読み取った結果に基づいて、画像データを補正し、(i)前記画像データは、前記媒体に形成される単位領域毎の階調値を示しており、所定階調値を示す前記画像データに基づいて印刷された前記補正用パターンを読み取った結果に基づいて補正情報を取得し、前記画像データは、前記補正情報に基づいて補正され、(j)前記補正用パターンは、前記画像を印刷する際の印刷条件毎に印刷され、前記回転開始位置は、前記印刷条件に基づいて設定され、(k)前記補正用パターンは、所定の濃度を示す階調値に基づいて、前記移動方向に移動される前記ノズルから吐出されるインクにて形成される複数のドット列が、前記搬送方向に沿って並べて印刷されることを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、既述のほぼ全ての効果を奏するため、本発明の目的がより有効に達成される。
また、画像を印刷するための媒体を搬送方向に搬送するための搬送ローラを備えた搬送部と、前記画像を印刷するための印刷データに基づいて、前記搬送方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して、前記搬送部により搬送された前記媒体に、ドット列を形成するためのノズルと、を有する印刷装置に、補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に前記ドット列を形成する際に前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、前記画像を印刷するための印刷データに基づいて印刷された画像を構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際に、前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、が一致するように前記搬送部を制御させる機能を実現するためのコンピュータプログラムも実現可能である。
また、(A)コンピュータ、及び、(B)このコンピュータと接続され、以下の(a)(b)(c)を有する印刷装置、(a)画像を印刷するための媒体を搬送方向に搬送するための搬送ローラを備えた搬送部、(b)前記画像を印刷するための印刷データに基づいて、前記搬送方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して、前記搬送部により搬送された前記媒体に、ドット列を形成するためのノズル、(c)補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に前記ドット列を形成する際に前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、前記画像を印刷するための印刷データに基づいて印刷された画像を構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際に、前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、が一致するように前記搬送部を制御するためのコントローラ、(C)を有することを特徴とする印刷システムも実現可能である。
また、補正用パターンを印刷するための印刷データに基づいて、媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動されるノズルからインクを吐出させて、前記搬送方向における最も下流側の列領域にドット列を形成する際に、前記媒体を搬送するための搬送部が有する搬送ローラの所定の部位を、前記媒体に接触させて搬送するステップと、画像を印刷するための印刷データに基づいて、前記ノズルからインクを吐出させて、前記搬送方向における最も下流側の列領域にドット列を形成する際に、前期搬送ローラの前記所定の部位が前記媒体に接触するように、前記媒体を搬送するステップと、を有することを特徴とする印刷方法も実現可能である。
===印刷システムの構成===
<印刷システム>
図1は、印刷システム100の構成を説明する図である。印刷システムとは、印刷装置と、この印刷装置の動作を制御する印刷制御装置とを少なくとも含むシステムのことである。本実施形態の印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140と、スキャナ150とを有している。
プリンタ1は、紙、布、フィルム、OHP用紙等の媒体に画像を印刷する。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。そして、プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムがインストールされている。また、コンピュータ110には、スキャナ150を制御し、スキャナ150により読み取られた原稿の画像データを受け取るためのスキャナドライバがインストールされている。
<プリンタ>
図2は、印刷装置としてのプリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図3Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図3Bは、プリンタ1の全体構成の縦断面図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
プリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、紙等の媒体を所定方向(以下、搬送方向という)に搬送するものである。この搬送ユニット20は、媒体供給部としての給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ内に給紙するためのローラである。給紙ローラ21はD形の断面形状をしており、円周部分の長さは、搬送ローラ23までの搬送距離よりも長く設定されている。このため、円周部分が用紙表面から離れた状態から給紙ローラを1回転させることにより、用紙Sを円周部分の長さだけ搬送させて用紙Sの先端を搬送ローラ23まで到達させることが可能である。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するためのローラである。
図4は、搬送ユニット20の駆動部の構成を説明するためのモデル図である。給紙ローラ21と搬送ローラ23とは、各々ギアを介して接続された単一の搬送モータ22によって駆動される。このため、給紙ローラ21と搬送モータ22との間にはクラッチ27が介在されており、クラッチ27を切ることにより搬送ローラ23を単独で回転させることが可能である。すなわち、搬送モータ22の動力は、3枚のギアG1,G2,G3を介して搬送ローラ23の軸23aの一端に設けられたギアG4に伝達され、搬送ローラ23を回転させる。また、搬送ローラ23に伝達された動力は、搬送ローラ23の軸23aの他端にクラッチ27を介して設けられたギアG5から3枚のギアG6,G7,G8を介して給紙ローラ21の軸21aに設けられたギアG9に伝達され、給紙ローラ21を回転させる。ここで、クラッチ27のON/OFFのタイミングは、給紙ローラ21が用紙に接触しない状態にてONされ、1回転した後にOFFされる。すなわち、給紙ローラ21は、一定の位置から回転し始め、1回転して元の位置にて停止する。
プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、紙Sをプリンタ1の外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の移動方向に移動させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータともいう)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能である。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を移動方向に移動させるためのモータである。
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。ヘッド41は、複数のノズルを有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。このヘッド41は、キャリッジ31に設けられている。そのため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中に滴状のインク(以下、インク滴という)を断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドット列(ラスタライン)が媒体の一例としての紙に形成される。
図5は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル群Kと、シアンインクノズル群Cと、マゼンタインクノズル群Mと、イエローインクノズル群Yが形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個備えている。各ノズル群の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=4である。各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯180)。各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)とピエゾ素子(不図示)が設けられており、ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張されて、ノズルからインク滴が吐出される。
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものであり、このロータリー式エンコーダ52の符号盤52aは搬送ローラ23の軸に設けられている。このため、ロータリー式エンコーダ52にて検出される1回転は、搬送ローラ23の1回転と一致する。また、ロータリー式エンコーダ52の符号盤52aには、円周方向に等間隔にて全周に亘って形成されたスリットと、円周方向の全周のうちの1点に形成された小孔とを有している。また、符号盤52aの盤面を挟むように配置される発光部と受光部とで構成される検出器52bは、前記スリットと前記小孔とをそれぞれ検出するために、符号盤52aの直径方向に並べて2つ配置されている。すなわち、一方の検出器52bではスリットを通過する光を検出して搬送ローラ23の回転量を検出し、他方の検出器52bでは、小孔を通過する光を検出して搬送ローラ23の周面上における所定の位置、例えば基準位置や、搬送ローラ23が1回転したことを検出する。すなわち、ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の周面上における基準位置を検出するための検出部でもある。また、ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23とギアを介して接続された給紙ローラ21の回転量も検出している。
紙検出センサ53は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている。光学センサ54は、発光部から紙に照射された光の反射光を受光部が検出することにより、紙の有無を検出する。
コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御部である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
<スキャナ>
図6Aは、スキャナ150の縦断面図である。図6Bは、上蓋151を外した状態のスキャナ150の上面図である。
スキャナ150は、上蓋151と、原稿5が置かれる原稿台ガラス152と、この原稿台ガラス152を介して原稿5と対面しつつ副走査方向に移動する読取キャリッジ153と、読取キャリッジ153を副走査方向に案内する案内部材154と、読取キャリッジ153を移動させるための移動機構155と、スキャナ150内の各部を制御するスキャナコントローラ(不図示)とを備えている。読取キャリッジ153には、原稿5に光を照射する露光ランプ157と、主走査方向(図6Aにおいて紙面に垂直な方向)のラインの像を検出するラインセンサ158と、原稿5からの反射光をラインセンサ158へ導くための光学系159とが設けられている。図中の読取キャリッジ153の内部の破線は、光の軌跡を示している。
原稿5の画像を読み取るとき、操作者は、上蓋151を開いて原稿5を原稿台ガラス152に置き、上蓋151を閉じる。そして、スキャナコントローラが、露光ランプ157を発光させた状態で読取キャリッジ153を副走査方向に沿って移動させ、ラインセンサ158により原稿5の表面の画像を読み取る。スキャナコントローラは、読み取った画像データをコンピュータ110のスキャナドライバへ送信し、これにより、コンピュータ110は、原稿5の画像データを取得する。
===印刷方法===
<印刷動作について>
図7は、印刷時の処理のフロー図である。以下に説明される各処理は、コントローラ60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各処理を実行するためのコードを有する。
印刷命令受信(S001):まず、コントローラ60は、コンピュータ110からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する。この印刷命令は、コンピュータ110から送信される印刷データのヘッダに印刷条件等の情報と共に含まれている。そして、コントローラ60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙処理・搬送処理・ドット形成処理等を行う。
給紙処理(S002):給紙処理とは、印刷すべき紙をプリンタ内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする処理である。コントローラ60は、給紙ローラ21や搬送ローラ23を回転させ、紙を印刷開始位置に位置決めする。
ドット形成処理(S003):ドット形成処理とは、移動方向に沿って移動するヘッド41からインクを断続的に吐出させ、紙上にドットを形成する処理である。コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31を移動方向に移動させ、キャリッジ31の移動中に、印刷データに含まれる単位領域毎のデータ(以下、単位領域データという)に基づいてヘッド41からインクを吐出させる。ヘッド41から吐出されたインク滴が紙上に着弾すれば、紙上にドットが形成される。移動するヘッド41からインクが断続的に吐出されるので、紙上には移動方向に沿った複数のドットからなるドット列(ラスタライン)が形成される。
搬送処理(S004):搬送処理とは、紙をヘッド41に対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。コントローラ60は、搬送ローラ23を回転させて紙を搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、次のドット形成処理時にドットを形成することが可能になる。給紙処理及び搬送処理の詳細については、後述する。
排紙判断(S005):コントローラ60は、印刷中の紙の排出(排紙)の判断を行う。印刷中の紙に印刷すべきデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、コントローラ60は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットにて構成される画像を徐々に紙に印刷する。
排紙処理(S006):印刷中の紙に印刷すべきデータがなくなれば、コントローラ60は、排紙ローラを回転させることにより、その紙を排紙する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
印刷終了判断(S007):次に、コントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う。次の紙に印刷を行うのであれば、印刷を続行し、次の紙の給紙処理を開始する。次の紙に印刷を行わないのであれば、印刷動作を終了する。
<ラスタラインの形成について>
まず、通常印刷について説明する。本実施形態の通常印刷は、インターレース方式と呼ばれる印刷方法(以下、インターレース印刷という)により行われる。ここで、『インターレース印刷』とは、1回のパスで記録されるラスタライン間に、ラスタラインが記録されない列領域が挟まれるような印刷を意味する。また、『パス』とはキャリッジ31が1回移動する間に実行されるドット形成処理を指し、『パスn』とはn回目のドット形成処理を意味する。『ラスタライン』とは、移動方向に並ぶドットの列であり、『列領域』はラスタラインが形成されうる領域である。
図8A及び図8Bは、通常印刷の説明図である。図8Aは、パスn〜パスn+3におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示し、図8Bは、パスn〜パスn+4におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示している。
説明の便宜上、複数あるノズル群のうちの一つのノズル群のみを示し、ノズル群のノズル数も少なくしている。また、ヘッド41(又はノズル群)が紙に対して移動しているように描かれているが、同図はヘッド41と紙との相対的な位置を示すものであって、実際には紙が搬送方向に移動される。また、説明の都合上、各ノズルは数ドット(図中の丸印)しか形成していないように示されているが、実際には、移動方向に移動するノズルから間欠的にインク滴が吐出されるので、移動方向に多数のドットが並ぶことになる(このドットの列がラスタラインである)。もちろん、単位領域データに応じて、ドットが非形成のこともある。
同図において、黒丸で示されたノズルはインクを吐出可能なノズルであり、白丸で示されたノズルはインクを吐出不可なノズルである。また、同図において、黒丸で示されたドットは、最後のパスで形成されるドットであり、白丸で示されたドットは、それ以前のパスで形成されたドットである。
このインターレース印刷では、紙が搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、その直前のパスで記録されたラスタラインのすぐ上、すなわち搬送方向の下流側のラスタラインを記録する。このように搬送量を一定にして記録を行うためには、(1)インクを吐出可能なノズル数N(整数)はkと互いに素の関係にあること、(2)搬送量FはN・Dに設定されること、が条件となる。ここでは、N=7、k=4、F=7・Dである(D=1/720インチ)。
===濃度ムラの補正(概略)===
<濃度ムラ(バンディング)について>
ここでは、説明の簡略化のため、単色印刷された画像中に生じる濃度ムラの発生原因について説明する。なお、多色印刷の場合、以下に説明する濃度ムラの発生原因が色毎に生じている。
図9Aは、理想的にドットが形成されたときの様子の説明図である。同図では、理想的にドットが形成されているので、各ドットは単位領域に正確に形成され、ラスタラインは列領域に正確に形成される。図中、列領域は、点線に挟まれる領域として示されており、ここでは搬送方向に1/720インチ幅の領域である。各列領域には、その領域の着色に応じた濃度の画像片が形成されている。ここでは、説明の簡略化のため、ドット生成率が50%となるような一定濃度の画像を印刷するものとする。
図9Bは、ノズルの加工精度のばらつきの影響の説明図である。ここでは、ノズルから吐出されたインク滴の飛行方向のばらつきにより、2番目の列領域に形成されたラスタラインが、3番目の列領域側(搬送方向上流側)に寄って形成されている。また、5番目の列領域に向かって吐出されたインク滴のインク量が少なく、5番目の列領域に形成されるドットが小さくなっている。
本来であれば同じ濃度の画像片が各列領域に形成されるべきであるにもかかわらず、加工精度のばらつき等により、ラスタラインが形成された位置に応じて画像片に濃度差が発生する。例えば、2番目の列領域の画像片は比較的淡くなり、3番目の列領域の画像片は比較的濃くなる。また、5番目の列領域の画像片は、比較的淡くなる。
そして、このようなラスタラインからなる印刷画像を巨視的に見ると、キャリッジの移動方向に沿う縞状の濃度ムラが視認される。この濃度ムラは、印刷画像の画質を低下させる原因となる。
図9Cは、本実施形態の印刷方法によりドットが形成されたときの様子の説明図である。本実施形態では、濃く視認されやすい列領域に対しては、淡く画像片が形成されるように、その列領域に対応する単位領域の単位領域データ(CMYK単位領域データ)の階調値を補正する。また、淡く視認されやすい列領域に対しては、濃く画像片が形成されるように、その列領域に対応する単位領域の単位領域データの階調値を補正する。例えば、図中の2番目の列領域のドットの生成率が高くなり、3番目の列領域のドットの生成率が低くなり、5番目の列領域のドットの生成率が高くなるように、各列領域に対応する単位領域の単位領域データの階調値が補正される。これにより、各列領域のラスタラインのドット生成率が変更され、列領域の画像片の濃度が補正されて、印刷画像全体の濃度ムラが抑制される。
ところで、図9Bにおいて、第3列領域に形成される画像片の濃度が濃くなる理由は、第3列領域にラスタラインを形成するノズルの影響によるものではなく、隣接する2番目の列領域にラスタラインを形成するノズルの影響によるものである。このため、第3列領域にラスタラインを形成するノズルが別の列領域にラスタラインを形成する場合、その列領域に形成される画像片が濃くなるとは限らない。つまり、同じノズルにより形成された画像片であっても、隣接する画像片を形成するノズルが異なれば、濃度が異なる場合がある。このような場合、単にノズルに対応付けた補正値では、濃度ムラを抑制することができない。そこで、本実施形態では、列領域毎に設定される補正値に基づいて、単位領域データの階調値を補正している。
このために、本実施形態では、プリンタ製造工場の検査工程において、プリンタに補正用パターンを印刷させ、補正用パターンをスキャナで読み取り、補正用パターンにおける各列領域の濃度に基づいて、各列領域に対応する補正値をプリンタのメモリに記憶する。プリンタに記憶される補正値は、個々のプリンタにおける濃度ムラの特性を反映させたものになる。
そして、プリンタを購入したユーザーの下において、プリンタドライバが、プリンタから補正値を読み取り、単位領域データの階調値を補正値に基づいて補正し、補正された階調値に基づいて印刷データを生成し、プリンタが印刷データに基づいて印刷を行う。
<プリンタ製造工場での処理について>
図10は、プリンタの製造後の検査工程で行われる補正値取得処理のフロー図である。まず、検査者は、検査対象となるプリンタ1を工場内のコンピュータ110に接続する(S101)。工場内のコンピュータ110には、スキャナ150にも接続されており、予め、テストパターンをプリンタ1に印刷させるためのプリンタドライバと、スキャナ150を制御するためのスキャナドライバと、スキャナから読み取った補正用パターンの画像データに対して画像処理や解析等を行うための補正値取得プログラムがインストールされている。
次に、コンピュータ110のプリンタドライバは、プリンタ1にテストパターンを印刷させる(S102)。
図11は、テストパターンの説明図である。図12は、補正用パターンの説明図である。テストパターンには、色別に4つの補正用パターンが形成される。各補正用パターンは、5種類の濃度の帯状パターンと、上罫線と、下罫線と、左罫線と、右罫線とにより構成されている。帯状パターンは、それぞれ一定の階調値の画像データから生成されたものであり、左の帯状パターンから順に階調値76(濃度30%)、102(濃度40%)、128(濃度50%)、153(濃度60%)及び179(濃度70%)となり、順に濃い濃度のパターンになっている。なお、これらの5種類の階調値(濃度)を「指令階調値(指令濃度)」と呼び、記号でSa(=76)、Sb(=102)、Sc(=128)、Sd(=153)、Se(=179)と表す。通常の印刷では印刷領域に数千個のラスタラインが形成可能であるが、補正用パターンの印刷では、各帯状パターンは、印刷領域に少なくとも搬送ローラ23の周長分の長さに相当するラスタラインが搬送方向に並べて形成される。上罫線は、帯状パターンを構成する1番目のラスタライン(搬送方向最下流側のラスタライン)により形成される。下罫線は、帯状パターンを構成する最終ラスタライン(搬送方向最上流側のラスタライン)により形成される。
次に、検査者は、プリンタ1によって印刷されたテストパターンを、スキャナ150の原稿台ガラス152に置き、上蓋151を閉めて、テストパターンをスキャナ150にセットする。そして、コンピュータ110のスキャナドライバは、スキャナ150に補正用パターンを読み取らせる(S103)。以下、シアンの補正用パターンの読み取りについて、説明する(なお、他の色の補正用パターンの読み取りも同様に行なわれる)。
図13は、シアンの補正用パターンの読み取り範囲の説明図である。シアンの補正用パターンを囲む一点鎖線の範囲が、シアンの補正用パターンを読み取る際の読み取り範囲である。この範囲を特定するためのパラメータSX1、SY1、SW1及びSH1は、補正値取得プログラムによって予めスキャナドライバに設定されている。この範囲をスキャナ150に読み取らせれば、テストパターンが多少ずれてスキャナ150にセットされても、シアンの補正用パターンの全体を読み取ることができる。この処理により、図中の読み取り範囲の画像が、2880×2880dpiの解像度の正方形にて区画される最小読取領域毎の単位読取画像データを有する読取画像データとして、コンピュータ110に読み取られる。
次に、コンピュータ110の補正値取得プログラムは、読取画像データに含まれる補正用パターンの傾きθを検出し(S104)、読取画像データに対して傾きθに応じた回転処理を行う(S105)。
図14Aは、傾き検出の際の読取画像データの説明図である。図14Bは、上罫線の位置の検出の説明図である。図14Cは、回転処理後の読取画像データの説明図である。
補正値取得プログラムは、読み取られた読取画像データの中から、左からKX1の最小読取領域であって上からKH個の最小読取領域の単位読取画像データと、左からKX2の最小読取領域であって上からKH個の最小読取領域の単位読取画像データと、を取り出す。このとき取り出される最小読取領域の中に上罫線が含まれ右罫線及び左罫線が含まれないように、パラメータKX1、KX2、KHが予め定められている。そして、補正値取得プログラムは、上罫線の位置を検出するため、取り出されたKH個のデータの階調値の重心位置KY1、KY2、すなわち濃度分布における重心位置をそれぞれ求める。そして、補正値取得プログラムは、パラメータKX1、KX2と、濃度分布における重心位置KY1、KY2とに基づいて、次式により補正用パターンの傾きθを算出し、算出された傾きθに基づいて、読取画像データの回転処理を行う。
θ = tan−1{(KY2−KY1)/(KX2−KX1)}
次に、コンピュータ110の補正値取得プログラムは、読取画像データをトリミングし、読取画像データの中から必要な単位読取画像データを抽出する(S106)。
図15Aは、トリミングの際の読取画像データの説明図である。図15Bは、上罫線でのトリミング位置の説明図である。
ステップS104での処理と同様に、補正値取得プログラムは、回転処理された読取画像データのうち、左からKX1の最小読取領域であって上からKH個の最小読取領域の単位読取画像データと、左からKX2の最小読取領域であって上からKH個の最小読取領域の単位読取画像データと、を取り出す。そして、補正値取得プログラムは、上罫線の位置を検出するため、取り出されたKH個の単位読取画像データの階調値の重心位置KY1、KY2をそれぞれ求め、2つの重心位置の平均値を算出する。そして、重心位置から列領域の幅の1/2だけ上側の位置において最も近い最小読取領域の境界をトリミング位置に決定する。なお、本実施形態では、読取画像データの解像度が2880dpiであり、列領域の幅は720dpiであるので、列領域の幅の1/2は最小読取領域2つ分の幅に相当する。そして、補正値取得プログラムは、決定されたトリミング位置よりも上側の最小読取領域を切り取り、トリミングを行なう。
図15Cは、下罫線でのトリミング位置の説明図である。
上罫線側とほぼ同様に、補正値取得プログラムは、回転処理された読取画像データの中から、左からKX1の最小読取領域であって下からKH個の最小読取領域の単位読取画像データと、左からKX2の最小読取領域であって下からKH個の最小読取領域の単位読取画像データと、を取り出し、下罫線の重心位置を算出する。そして、重心位置から列領域の幅の1/2だけ下側の位置において最も近い最小読取領域の境界をトリミング位置に決定する。そして、補正値取得プログラムは、トリミング位置よりも下側の最小読取領域を切り取り、トリミングを行なう。 次に、コンピュータ110の補正値取得プログラムは、Y方向の最小読取領域の数が、補正用パターンを構成するラスタラインの数と同数になるように、トリミングされた後の読取画像データを解像度変換する(S107)。
図16は、解像度変換の説明図である。
仮に、プリンタ1が720dpiのn個のラスタラインからなる補正用パターンを理想的に形成し、スキャナ150が補正用パターンを2880dpi(補正用パターンの4倍の解像度)で理想的に読み取れば、トリミング後の読取画像データのY方向の最小読取領域の数は、4n個になるはずである。しかし、実際には印刷時や読み取り時のズレの影響があって、読取画像データのY方向の最初読取領域の数が4n個にならないことがあり、ここでは、トリミング後の読取画像データのY方向の最小読取領域の数は4n+α個である。コンピュータ110の補正値取得プログラムは、この読取画像データに対して、n/(4n+α)〔=[補正用パターンを構成するラスタラインの数]/[トリミング後の読取画像データのY方向の最初読取領域の数]〕の倍率で解像度変換(縮小処理)を行なう。ここでは解像度変換にバイキュービック法が用いられる。これにより、解像度変換後の読取画像データのY方向のデータ数がn個になる。このように変換された後の個々のデータが示す領域は、1つのドットが形成され得る領域である単位領域に相当し、それら個々のデータを単位領域データとする。言い換えると、2880dpiの単位読取画像データにて構成された補正用パターンの読取画像データが、720dpiの単位領域データにて構成された補正用パターンの読取画像データに変換される。この結果、Y方向に並ぶ単位領域の数と列領域の数とが同数になり、X方向の単位領域列と列領域とが、一対一で対応することになる。例えば、一番上に位置するX方向の単位領域列は1番目の列領域に対応し、その下に位置する単位領域列は2番目の列領域に対応する。なお、この解像度変換ではY方向の単位領域列数をn個にするのが目的なので、X方向の解像度変換(縮小処理)は行われなくても良い。
次に、コンピュータ110の補正値取得プログラムは、各列領域における5種類の帯状パターンのそれぞれの濃度を測定する(S108)。以下、1番目の列領域における階調値76(濃度30%)で形成された左側の帯状パターンの濃度の測定について説明する(なお、他の列領域における測定も同様に行なわれる。また、他の帯状パターンの濃度の測定も同様に行なわれる)。
図17Aは、左罫線の検出の際の画像データの説明図である。図17Bは、左罫線の位置の検出の説明図である。図17Cは、1番目の列領域の濃度30%の帯状パターンの濃度の測定範囲の説明図である。
補正値取得プログラムは、解像度変換された読取画像データの中から、上からH2の単位領域であって、左からKX個の単位領域の単位領域データを取り出す。このとき取り出される単位領域データの中に左罫線が含まれるように、パラメータKXが予め定められている。そして、補正値取得プログラムは、左罫線の位置を検出するため、取り出されたKX個の単位領域の単位領域データの階調値の重心位置を求める。この重心位置(左罫線の位置)からX2だけ右側に、幅W3の濃度30%の帯状パターンが存在していることは、補正用パターンの形状から既知になっている。そこで、補正値取得プログラムは、重心位置を基準にして、帯状パターンの左右W4の範囲を除いた点線の範囲の単位領域データを抽出し、この範囲の単位領域データの階調値の平均値を、1番目の列領域の濃度30%の測定値とする。なお、1番目の列領域の濃度30%の帯状パターンの濃度を測定する場合、図中の点線の範囲の1単位領域下の範囲の単位領域データを抽出する。このようにして、補正値取得プログラムは、5種類の帯状パターンの濃度を列領域毎にそれぞれ測定する。
図18は、シアンの5種類の帯状パターンの濃度の測定結果をまとめた測定値テーブルである。このように、コンピュータ110の補正値取得プログラムは、列領域毎に、5種類の帯状パターンの濃度の測定値を対応付けて、測定値テーブルを作成する。他の色についても、測定値テーブルが作成される。なお、以下の説明では、ある列領域について、階調値Sa〜Seの帯状パターンの測定値をそれぞれCa〜Ceとしている。
図19は、シアンの濃度30%、濃度40%及び濃度50%の帯状パターンの測定値のグラフである。各帯状パターンは、それぞれの指令値で一様に形成されたにもかかわらず、列領域毎に濃淡が生じている。この列領域毎の濃淡差が、印刷画像の濃度ムラの原因である。
濃度ムラをなくすためには、各帯状パターンの測定値が一定になることが望ましい。そこで、階調値Sb(濃度40%)の帯状パターンの測定値を一定にするための処理について検討する。ここでは、階調値Sbの帯状パターンの全列領域の測定値の平均値Cbtを、濃度40%の目標値と定める。この目標値Cbtよりも測定値が淡い列領域iでは、濃度の測定値が目標値Cbtに近づくためには、階調値を濃くする方へ補正すればよいと考えられる。一方、目標値Cbtよりも測定値が濃い列領域jでは、濃度の測定値が目標Cbtに近づくためには、階調値を淡くする方へ補正すればよいと考えられる。
そこで、コンピュータ110の補正値取得プログラムは、列領域に対応する補正値を算出する(S109)。ここでは、ある列領域における指令階調値Sbに対する補正値の算出について説明する。以下に説明するように、図20の列領域iの指令階調値Sb(濃度40%)に対する補正値は、階調値Sb及び階調値Sc(濃度50%)の測定値に基づいて算出される。一方、列領域jの指令階調値Sb(濃度40%)に対する補正値は、階調値Sb及び階調値Sa(濃度30%)の測定値に基づいて算出される。
図20Aは、列領域iにおける指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図である。この列領域では、指令階調値Sbで形成された帯状パターンの濃度の測定値Cbは、目標値Cbtよりも小さい階調値を示す(この列領域では、濃度30%の帯状パターンの平均濃度よりも淡い)。仮に、プリンタドライバが、この列領域に目標値Cbtの濃度のパターンをプリンタに形成させるならば、次式(直線BCに基づく直線補間)により算出される目標指令階調値Sbtに基づいて指令すればよい。
Sbt=Sb+(Sc−Sb)×{(Cbt−Cb)/(Cc−Cb)}
図20Bは、列領域jにおける指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図である。この列領域では、指令階調値Sbで形成された帯状パターンの濃度の測定値Cbは、目標値Cbtよりも大きい階調値を示す(この列領域では、濃度30%の帯状パターンの平均濃度よりも淡い)。仮に、プリンタドライバが、この列領域に目標値Cbtの濃度のパターンをプリンタに形成させるならば、次式(直線ABに基づく直線補間)により算出される目標指令階調値Sbtに基づいて指令すればよい。
Sbt=Sb−(Sb−Sa)×{(Cbt−Cb)/(Ca−Cb)}
このようにして目標指令階調値Sbtを算出した後、補正値取得プログラムは、次式により、この列領域における指令階調値Sbに対する補正値Hbを算出する。
Hb = (Sbt−Sb)/Sb
コンピュータ110の補正値取得プログラムは、列領域毎に、階調値Sb(濃度40%)に対する補正値Hbを算出する。また、同様に、補正値取得プログラムは、階調値Sc(濃度50%)に対する補正値Hcを、各列領域の測定値Ccと、測定値Cb又はCdとに基づいて、列領域毎に算出する。また、同様に、補正値取得プログラムは、階調値Sd(濃度60%)に対する補正値Hdを、各列領域の測定値Cdと、測定値Cc又はCeとに基づいて、列領域毎に算出する。また、他の色についても、列領域毎に、3つの補正値(Hb、Hc、Hd)を算出する。
次に、コンピュータ110の補正値取得プログラムは、補正値をプリンタ1のメモリ63に記憶する(S110)。
図21は、シアンの補正値テーブルの説明図である。補正値テーブルには、3つの補正値(Hb、Hc、Hd)が、列領域毎に対応付けられている。例えば、各列領域のn番目のラスタラインには、3つの補正値(Hb_n、Hc_n、Hd_n)が対応付けられている。3つの補正値(Hb_n、Hc_n、Hd_n)は、それぞれ、指令階調値Sb(=102)、Sc(=128)及びSd(=153)に対応する。なお、他の色の補正値テーブルも同様である。
プリンタ1のメモリ63に補正値を記憶させた後、補正値取得処理は終了する。その後、プリンタ1とコンピュータ110との接続が外され、プリンタ1に対する他の検査を終えて、プリンタ1が工場から出荷される。プリンタ1には、プリンタドライバを記憶したCD−ROMも同梱される。
<ユーザー下での処理について>
図22は、ユーザー下で行なわれる処理のフロー図である。
プリンタ1を購入したユーザーは、所有するコンピュータ110(もちろん、プリンタ製造工場のコンピュータとは別のコンピュータ)に、プリンタ1を接続する(S201、S301)。なお、ユーザーのコンピュータ110には、スキャナ150は接続されていなくても良い。
次に、ユーザーは、同梱されているCD−ROMを記録再生装置140にセットし、プリンタドライバをインストールする(S202)。コンピュータにインストールされたプリンタドライバは、コンピュータ110に、プリンタ1に対して補正値の送信を要求する(S203)。プリンタ1は、要求に応じて、メモリ63に記憶されている補正値テーブルをコンピュータ110へ送信する(S302)。プリンタドライバは、プリンタ1から送られてくる補正値をメモリに記憶する(S204)。これにより、コンピュータ側に補正値テーブルが作成される。ここまでの処理を終えた後、プリンタドライバは、ユーザーからの印刷命令があるまで、待機状態になる(S205でNO)。
プリンタドライバは、ユーザーからの印刷命令を受けると(S205でYES)、補正値に基づいて印刷データを生成し(S206)、印刷データをプリンタ1に送信する。プリンタ1は、印刷データに従って、印刷処理を行う(S303)。
図23は、印刷データ生成処理のフロー図である。これらの処理は、プリンタドライバによって行われる。
まず、プリンタドライバは、解像度変換処理を行う(S211)。解像度変換処理は、アプリケーションプログラムから出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙に印刷する際の解像度に変換する処理である。例えば、紙に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される256階調のデータ(RGBデータ)である。
次に、プリンタドライバは、色変換処理を行う(S212)。色変換処理は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する処理である。この色変換処理は、RGBデータの階調値とCMYKデータの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバが参照することによって行われる。この色変換処理により、各単位領域についてのRGBデータが、インク色に対応するCMYKデータに変換される。なお、色変換処理後のデータは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。
次に、プリンタドライバは、濃度補正処理を行う(S213)。濃度補正処理は、各単位領域データの階調値を、その単位領域データの属する列領域の対応する補正値に基づいて補正する処理である。
図24は、シアンのn番目の列領域の濃度補正処理の説明図である。同図は、シアンのn番目の列領域に属する単位領域の単位領域データの階調値S_inを補正する様子を示している。なお、補正後の階調値はS_outである。
仮に補正前の単位領域データの階調値S_inが指令階調値Sbと同じであれば、プリンタドライバは、階調値S_inを目標指令階調値Sbtに補正すれば、その単位領域データの対応する単位領域に目標濃度Cbtの画像を形成することができる。つまり、補正前の単位領域データの階調値S_inが指令階調値Sbと同じであれば、指令階調値Sbに対応する補正値Hbを用いて、階調値S_in(=Sb)をSb×(1+Hb)に補正するのが良い。同様に、補正前の単位領域データの階調値Sが指令階調値Scと同じであれば、階調値S_in(=Sc)をSc×(1+Hc)に補正するのが良い。
これに対し、補正前の階調値S_inが指令階調値とは異なる場合、図に示すような直線補間によって、出力すべき階調値S_outが算出される。図中の直線補間では、各指令階調値(Sb、Sc、Sd)に対応する補正後の各階調値S_out(Sbt、Sct、Sdt)の間を直線補間している。但し、これに限られるものではない。例えば、各指令階調値に対応する各補正値(Hb、Hc、Hd)の間を直線補間して階調値S_inに対応する補正値Hを算出し、算出された補正値Hに基づいて補正後の階調値をS_in×(1+H)として算出しても良い。
以上の濃度補正処理により、濃く視認されやすい列領域に対しては、その列領域に対応する単位領域の単位領域データ(CMYKデータ)の階調値が低くなるように補正される。逆に、淡く視認されやすい列領域に対しては、その列領域に対応する単位領域の単位領域データの階調値が高くなるように補正される。なお、他の色の他の列領域に対しても、プリンタドライバは、同様に補正処理を行う。
次に、プリンタドライバは、ハーフトーン処理を行う(S214)。ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンタが形成可能な階調数のデータに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などを利用して、プリンタがドットを分散して形成できるように単位領域データを作成する。プリンタドライバは、ハーフトーン処理を行うとき、ディザ法を行う場合にはディザテーブルを参照し、γ補正を行う場合にはガンマテーブルを参照し、誤差拡散法を行う場合は拡散された誤差を記憶するための誤差メモリを参照する。ハーフトーン処理されたデータは、前述のRGBデータと同等の解像度(例えば720×720dpi)を有している。
本実施形態では、プリンタドライバは、濃度補正処理によって補正された階調値の単位領域データに対して、ハーフトーン処理が行われることになる。この結果、濃く視認されやすい列領域では、その列領域の単位領域データの階調値が低くなるように補正されているので、その列領域のラスタラインを構成するドットのドット生成率が低くなる。逆に、淡く視認されやすい列領域では、ドット生成率が高くなる。
次に、プリンタドライバは、ラスタライズ処理を行う(S215)。ラスタライズ処理は、マトリクス状の画像データを、プリンタに転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたデータは、印刷データに含まれる単位領域データとして、プリンタに出力される。
このようにして生成された印刷データに基づいてプリンタが印刷処理を行えば、図9Cに示すように、各列領域のラスタラインのドット生成率が変更され、列領域の画像片の濃度が補正されて、印刷画像全体の濃度ムラが抑制される。
以上の説明では、説明の簡略化のためノズル数や列領域の数(ラスタラインの数)を少なくしている。但し、補正値取得プログラムやプリンタドライバ等が行なう処理は、ほぼ同様である。
===補正用パターンのラスタラインと画像のラスタラインとの対応===
上述したように、本実施形態のプリンタ1は、予め印刷された補正用パターンを読み取った結果に基づいて、各列領域に対応する補正値を各々求め、画像を印刷する際には、画像を構成する各ラスタラインに対応する、補正用パターンのラスタラインが形成された列領域の補正値に基づいて画像データを補正している。ここで、対応するラスタラインとは、画像及び補正用パターンを印刷するための画像データにおいて、搬送方向にて最も下流側に形成可能なラスタラインを1番目として最も上流側に形成可能なラスタラインまで順番を付けた際に、画像を印刷する際と、補正用パターンを印刷する際とにて同じ順番を付されるラスタライン同士をいう。このとき、ラスタラインは、画像データにおいて形成可能であれば、必ずしも用紙上に実際に形成されなくてもよい。
本実施形態における補正は、キャリッジ31の移動方向に沿うラスタラインが形成された列領域間の濃度ムラを抑制すべく画像データを補正するものである。列領域間の濃度ムラは、前述したように、本来搬送方向に等間隔にて形成されるべきラスタラインのいずれかが、搬送方向のずれた位置に形成されることにより生じることもある。すなわち、列領域間の濃度ムラは、ノズルのインクの吐出特性のみならず、用紙の搬送特性によっても発生する。特に用紙を搬送する搬送ローラが偏心している場合には、用紙が搬送された際に、用紙と接触した搬送ローラ23の周面の部位が異なることにより、搬送されるたび毎、また、用紙毎に搬送量が相違して列領域間の濃度ムラが発生してしまう場合がある。
そして、本実施形態のように、印刷された補正用パターンを読み取った結果に基づいて、印刷する画像の各ラスタラインを形成するための画像データを補正する場合には、補正用パターンを印刷する際と、補正して画像を印刷する際とで、搬送される用紙と接触する搬送ローラ23の周面における部位が相違すると、適切な補正がなされず、良好な画像を印刷できない畏れがある。このため、本発明は補正用パターンを印刷する際と、補正して画像を印刷する際とで、搬送される用紙と接触する搬送ローラの周面における部位が一致するように搬送部を制御することとし、以下にその処理について説明する。
印刷方法としてラスタラインの形成の仕方については前述しているので、ここでは、補正用パターンを印刷する際と、当該補正パターンに基づく補正をして画像を印刷する際とで、搬送される用紙と接触する搬送ローラ23の周面上における部位を一致させるための用紙の搬送処理について主に説明する。
図25は、画像を印刷する際と、補正用パターンを印刷する際との、ラスタラインの位置を合わせる処理を説明するための図である。
プリンタ1の電源が投入された後、印刷等の動作をしていない待機状態にあっては、搬送ローラ23の軸23aに設けられたクラッチ27は切り離されている。ところで、D形の断面形状をなす給紙ローラ21は、クラッチ27のON/OFFにより給紙動作の際のみに、前述したように常に1回転して一定の位置にて停止し、同じ位置から回転し始める。このため、待機状態においても、給紙ローラ21は所定の位置にて停止している。
待機状態のプリンタ1が、接続されているコンピュータ110から、印刷データ及び印刷条件等を示すコマンドと共に印刷指令信号を受信すると(S401)、コントローラ60は搬送モータ22を駆動して、搬送ローラ23を回転させる。このとき、コントローラ60はロータリー式エンコーダ52の出力を監視しており、符号盤52aに設けられた小孔が検出された際にロータリー式エンコーダ52から出力される信号を検出する(S402)。検出した位置は符号盤52aの周方向における1点であり、搬送ローラ23の周面上の1点と一致している。コントローラ60は、この周面上の1点を基準位置として認識し、搬送ローラ23の基準位置が、例えば、搬送ローラ23の軸23aの鉛直上に位置するように搬送ローラ23の周面を位置合わせする(S404)。すなわち、本実施形態では、搬送ローラ23の基準位置が、搬送ローラ23の軸23aの鉛直上に位置する位置が回転開始位置である。
搬送ローラ23の基準位置を搬送ローラ23の軸23aの鉛直上に位置決めする間に、コントローラ60は、印刷指令信号と共に受信した、印刷データ及び印刷条件等を示すコマンドを解析し、印刷すべき印刷用紙の先端と、印刷すべき印刷データにおいて最も下流側にラスタラインが形成されうる列領域との相対位置を算出する(S403)。このとき、印刷データは、風景画や文字情報等の画像を印刷するための画像データであっても良いし、補正用パターンを含む各種調整用のテストパターンを印刷するための印刷データであっても良い。また、印刷条件等のコマンドを解析した結果、印刷モードとして「縁無し印刷」を実行させるためのコマンドであった場合には、印刷データにおいて最も下流側にラスタラインが形成されうる列領域は用紙上には位置しないため、用紙の先端位置に対する、印刷用紙の外側の領域における最も下流側のラスタラインが形成可能と想定される列領域の位置が算出される。このとき、印刷データに基づいて吐出されたインクにて搬送方向の最も下流側に形成されうるラスタラインの位置が、ロータリー式エンコーダ52の出力において、用紙の先端から何パルス分上流側に位置するか、また、用紙の先端より何パルス分下流側に形成されうるかが算出される。
次にコントローラ60は、クラッチ27をONし、搬送ローラ23の軸23aとギアG5とを接続する(S405)。そして搬送モータ22を駆動することにより、所定の位置に位置決めされた給紙ローラ21と、基準位置を搬送ローラ23の軸23aの鉛直上に位置決めされた搬送ローラ23を同時に回転し始める(S406)。すなわち、一定の位置から1回転する給紙ローラ21により搬送された用紙Sと、給紙ローラ21と同じタイミングにて基準位置から回転し始めた搬送ローラ23とは、搬送ローラ23の周面において常にほぼ同じ位置にて接触する。すなわち、所定の回転開始位置に位置決めされた搬送ローラ23に対し、給紙ローラ21により用紙を供給させ始めるタイミングに対する、搬送ローラ23を回転開始位置から回転させ始めるタイミングを一致させることにより、給紙ローラ21により供給される用紙を、搬送ローラ23の周面上のほぼ一定の位置に接触させることが可能である。
そして、コントローラ60は、ロータリー式エンコーダ52の出力に基づいて、給紙ローラ21が1回転したタイミングにてクラッチ27をOFFし、給紙ローラ21を停止させる(S407)。その後、算出された、用紙の先端に対する搬送方向における最下流側のラスタラインの位置と、用紙の先端に対する最下流側の列領域にラスタラインを形成するためにインクを吐出するノズルの位置と、が等しくなるように、搬送ローラ23を回転し続けた後に停止させる(S408)。このとき、用紙が接触し始める搬送ローラの周面上の部位は常にほぼ一定であり、また、用紙と搬送ローラとが接触してから搬送ローラ23が停止するまでに用紙が搬送される距離は、印刷方式、印刷モードなどの印刷条件により等しい。このため、同じ印刷条件にて印刷される画像の印刷データにおいて、搬送方向の先頭から同じ順に並べられるラスタラインは、搬送ローラ23の周面上における同じ部位により搬送されることになる。
搬送ローラ23を停止させると、キャリッジ31を移動させつつインク滴を吐出させて用紙上にドットを形成する。その後、用紙を所定量搬送させる搬送処理と、キャリッジ31を移動させつつ所定のノズルからインクを吐出させるドット形成処理とを繰り返して画像を印刷する(S003)。以降の処理は、図7にて説明したとおりである。このとき、排紙処理(S006)を実行した後には、コントローラ60は搬送ローラ23を回転開始位置、すなわち、搬送ローラ23の基準位置が軸23aの鉛直上に位置する位置まで搬送ローラ23を回転させて停止させ、次の給紙処理(S002)に備える。このように、排紙処理(S006)が終了した後に、搬送ローラ23を回転開始位置まで回転させて停止させることにより、次の用紙への印刷の際に搬送ローラ23の位置決めを行うことなく、そのまま給紙処理(S002)を実行することが可能であり、スループットを向上させることが可能である。
そして、上述したようなキャリッジ31の移動方向に沿うドット列が形成された列領域間の濃度ムラを抑制すべく画像データを補正する際に用いる補正用パターンを印刷する際と、この補正用パターンに基づいて補正して画像を印刷する際には、補正用パターンも画像も同じ印刷条件にて印刷される。このため、補正用パターンの搬送方向における最下流側のラスタラインを印刷する際に用紙を搬送するために用紙と接触する搬送ローラ23の部位と、補正した画像の搬送方向における最下流側のラスタラインを印刷する際に用紙を搬送するために用紙と接触する搬送ローラ23の部位とは、ほぼ一致することになる。そして、当然のことながら、その他のラスタラインを印刷する際に用紙を搬送するために用紙と接触する搬送ローラ23の部位も、補正用パターンを印刷する際と、補正した画像を印刷する際とではほぼ同じになる。このため、搬送ローラ23が偏心している場合であってもその偏心による影響は、補正用パターンを印刷する際と、補正した画像を印刷する際とにおいて、用紙の先端側から同じ順番に配置されたラスタライン同士に、同様に及ぶことになる。したがって、搬送ローラ23の所定の部位にて搬送された用紙に印刷された補正用パターンに基づいて、搬送ローラ23の同じ所定の部位にて搬送された用紙に画像を印刷することにより、より適切な補正を施すことが可能であり、搬送方向における濃度ムラを抑えた良好な画像を印刷することが可能である。このとき、コントローラ60は、ロータリー式エンコーダ52により検出された搬送ローラ23の周面上の基準位置に基づいて搬送ユニット20を制御するので、搬送ローラ23の周面上の基準位置を正確に所定の位置、例えば回転開始位置に位置決めすることが可能である。このため、搬送すべき用紙と搬送ローラ23の周面上の所定の部位とを正確に接触させることが可能である。
また、所定の回転開始位置に位置決めされた搬送ローラ23に対し給紙ローラ21により用紙を供給させ始めるタイミングに対する、搬送ローラ23を回転開始位置から回転させ始めるタイミングを一致させることにより、給紙ローラ21により供給される用紙を、搬送ローラ23の周面上のほぼ一定の位置に接触させることが可能である。特に、本実施形態においては、給紙ローラ21及び搬送ローラ23をいずれも所定の回転開始位置に位置決めした後に、単一の搬送モータ22の動力により同時に回転させ始めることとしたので、補正用パターンの、搬送方向における最も下流側の列領域にラスタラインを形成する際と、画像の、搬送方向における最も下流側の列領域に、補正用パターンに基づいた補正をしつつラスタラインを形成する際と、において、用紙に接触する搬送ローラ23の周面上の部位を、簡単な制御により一致させることが可能である。
また、搬送ローラ23の回転を検出するための検出部として、搬送ローラ23の軸23aに符号盤52aを備えたロータリー式エンコーダとしたので、容易に且つより正確に搬送ローラ23の回転及び周面上の位置を検出することが可能である。さらに、給紙ローラ21は、搬送ローラ23の軸23aとギアG5〜G9を介して接続されているので、給紙ローラ21の回転量もロータリー式エンコーダにより、容易に且つ正確に検出することが可能である。
また、所定階調値を示す画像データに基づいて印刷された補正用パターンを読み取った結果に基づいて補正値が取得されるので、印刷された補正用パターンを読み取った結果と画像データの所定の階調値とが対応付けられる。そして、補正用パターンを読み取った結果に基づいて画像データの階調値が補正されるので、より適切に画像データを補正することが可能である。
また、搬送ローラ23の回転開始位置は印刷条件毎に設定されるので、印刷条件毎に印刷される補正用パターンも印刷条件に応じた回転開始位置から搬送ローラ23が回転し始めて搬送された用紙に印刷される。このため、印刷条件毎に各々印刷条件に応じた補正用パターンが印刷されるので、いずれの印刷条件にて画像を印刷する際にも画像データを適切に補正し、良好な画像を印刷することが可能である。
本実施形態のプリンタ1によれば、複数のラスタラインが搬送方向に沿って並べて印刷されているので、補正用パターンを読み取ることによりラスタラインが形成された列領域間の濃度ムラを読み取りことが可能であり、この補正用パターンを読み取った結果に基づいて画像を印刷するための画像データを補正するので、印刷する画像における列領域間の濃度ムラを適切に抑制することが可能である。
本実施形態においては、搬送ローラ23の基準位置を検出するための検出部をロータリー式エンコーダ52にて構成する例について説明したが、検出部は例えば、搬送ローラ23の軸23aに設けられたギアG4と同じ歯数を有する新たなギアを設けてギアG4と噛み合わせ、新たなギアとギアG4とに各々電極を設けて搬送ローラ23の基準位置を検出しても良い。具体的には、ギアG4の1つの歯先に電極を設け、新たなギアには全周に亘って電極を設け、2つのギアが噛み合いつつ回転した際に、ギアG4の電極と新たなギアの電極とが接した際に流れる電流が検出されるように設定しておくと、ギアG4の電極と新たなギアの電極とが接した位置を基準位置として検出することが可能である。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主として印刷システムについて記載されているが、その中には、プリンタ1、印刷装置、印刷方法等の開示が含まれていることは言うまでもない。
また、一実施形態としての印刷システム等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
また、本実施形態においては、用紙搬送方向に発生する濃度ムラを補正する印刷システム及び印刷方法について説明したが、上記補正により、例えばヘッドが搭載されたキャリッジの移動に伴う振動などプリンタ1を構成する機構に起因して、搬送方向に沿う方向に発生する縦縞状の濃度ムラにも適用可能である。
<プリンタについて>
前述の実施形態では、印刷部としてプリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタ1のノズルから染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出するインクは、このようなインクに限られるものではない。
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、インクを吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に気泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
<インクを吐出するキャリッジ移動方向について>
前述の実施形態では、キャリッジ31の往方向の移動時にのみインクを吐出する単方向印刷を例に説明したが、これに限るものではなく、キャリッジ31の往復たる双方向移動時にインクを吐出する所謂双方向印刷を行っても良い。
<印刷に用いるインク色について>
前述の実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色のインクを用紙S上に吐出してドットを形成する多色印刷を例に説明したが、インク色はこれに限るものではない。例えばこれらインク色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)及びライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)等のインクを用いても良い。
また、逆に、上記4つのインク色のいずれか一つだけを用いて単色印刷を行っても良い。
印刷システムの構成を説明するための図である。 プリンタの全体構成のブロック図である。 図3Aは、プリンタの全体構成の概略図である。図3Bは、プリンタの全体構成の縦断面図である。 搬送ユニットの駆動部の構成を説明するためのモデル図である。 ヘッドの下面におけるノズルの配列を示す説明図である。 図6Aは、スキャナの縦断面図である。図6Bは、上蓋を外した状態のスキャナの上面図である。 印刷時の処理のフロー図である。 図8Aは、パスn〜パスn+3におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示し、図8Bは、パスn〜パスn+4におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示している。 図9Aは、理想的にドットが形成されたときの様子の説明図である。図9Bは、ノズルの加工精度のばらつきの影響の説明図である。図9Cは、本実施形態の印刷方法によりドットが形成されたときの様子の説明図である。 プリンタの製造後の検査工程で行われる補正値取得処理のフロー図である。 テストパターンの説明図である。 補正用パターンの説明図である。 シアンの補正用パターンの読み取り範囲の説明図である。 図14Aは、傾き検出の際の読取画像データの説明図である。図14Bは、上罫線の位置の検出の説明図である。図14Cは、回転処理後の読取画像データの説明図である。 図15Aは、トリミングの際の読取画像データの説明図である。図15Bは、上罫線でのトリミング位置の説明図である。図15Cは、下罫線でのトリミング位置の説明図である。 解像度変換の説明図である。 図17Aは、左罫線の検出の際の画像データの説明図である。図17Bは、左罫線の位置の検出の説明図である。図17Cは、1番目の列領域の濃度30%の帯状パターンの濃度の測定範囲の説明図である。 シアンの5種類の帯状パターンの濃度の測定結果をまとめた測定値テーブルである。 シアンの濃度30%、濃度40%及び濃度50%の帯状パターンの測定値のグラフである。 図20Aは、列領域iにおける指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図である。図20Bは、列領域jにおける指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図である。 シアンの補正値テーブルの説明図である。 ユーザー下で行なわれる処理のフロー図である。 印刷データ生成処理のフロー図である。 シアンのn番目の列領域の濃度補正処理の説明図である。 画像を印刷する際と、補正用パターンを印刷する際との、ラスタラインの位置を合わせる処理を説明するための図である。
符号の説明
1 プリンタ(インクジェットプリンタ)、5 原稿、20 搬送ユニット、
21 給紙ローラ、22 搬送モータ、23 搬送ローラ、24 プラテン、
25 排紙ローラ、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモータ、40 ヘッドユニット、41 ヘッド、50 検出器群、
51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、52a 符号盤、
52b検出器、53 紙検出センサ、54 光学センサ、60 コントローラ、
61 インターフェース部、62 CPU、 63 メモリ、
64 ユニット制御回路、100 印刷システム、110 コンピュータ、
120 表示装置、130 入力装置、140 記録再生装置、
150 スキャナ、151 上蓋、152 原稿台ガラス、
153 読取キャリッジ、154 案内部材、155 移動機構、157 ランプ、
158 ラインセンサ、159 光学系

Claims (13)

  1. (a)画像を印刷するための媒体を搬送方向に搬送するための搬送ローラを備えた搬送部と、
    (b)前記画像を印刷するための印刷データに基づいて、前記搬送方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して、前記搬送部により搬送された前記媒体に、ドット列を形成するためのノズルと、
    (c)補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に前記ドット列を形成する際に前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、
    前記画像を印刷するための印刷データに基づいて印刷された画像を構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際に、前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、が一致するように前記搬送部を制御するためのコントローラと、
    (d)を有することを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置において、
    前記搬送ローラの周面上における所定の基準位置を検出するための検出部を有し、
    前記コントローラは、前記検出部にて検出された前記基準位置に基づいて、前記搬送部を制御することを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項2に記載の印刷装置において、
    前記媒体を前記搬送部に供給するための媒体供給部を有し、
    前記コントローラは、前記搬送ローラの前記基準位置を所定の回転開始位置に位置決めし、
    前記補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に前記ドット列を形成する際と、
    前記画像を構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際と、において、
    前記媒体供給部により前記媒体を供給させ始めるタイミングに対する、前記搬送ローラを前記回転開始位置から回転させ始めるタイミングを一致させることにより、前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位を一致させることを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項3に記載の印刷装置において、
    媒体を排出した際には、前記搬送ローラを前記回転開始位置にて停止させることを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の印刷装置において、
    前記検出部は、前記搬送ローラの回転を検出するためのロータリー式エンコーダであることを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の印刷装置において、
    前記コントローラは、前記移動方向に沿う前記ドット列が形成された列領域間の濃度ムラを抑制すべく、前記補正用パターンを読み取った結果に基づいて、画像データを補正することを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の印刷装置において、
    前記画像データは、前記媒体に形成される単位領域毎の階調値を示しており、
    所定階調値を示す前記画像データに基づいて印刷された前記補正用パターンを読み取った結果に基づいて補正情報を取得し、
    前記画像データは、前記補正情報に基づいて補正されることを特徴とする印刷装置。
  8. 請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の印刷装置において、
    前記補正用パターンは、前記画像を印刷する際の印刷条件毎に印刷され、
    前記回転開始位置は、前記印刷条件に基づいて設定されることを特徴とする印刷装置。
  9. 請求項7または請求項8に記載の印刷装置において、
    前記補正用パターンは、所定の濃度を示す階調値に基づいて、
    前記移動方向に移動される前記ノズルから吐出されるインクにて形成される複数のドット列が、前記搬送方向に沿って並べて印刷されることを特徴とする印刷装置。
  10. (a)画像を印刷するための媒体を搬送方向に搬送するための搬送ローラを備えた搬送部と、
    (b)前記画像を印刷するための印刷データに基づいて、前記搬送方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して、前記搬送部により搬送された前記媒体に、ドット列を形成するためのノズルと、
    (c)補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に前記ドット列を形成する際に前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、
    前記画像を印刷するための印刷データに基づいて印刷された画像を構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際に、前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、が一致するように前記搬送部を制御するためのコントローラと、を有し、
    (d)前記搬送ローラの周面上における所定の基準位置を検出するための検出部を有し、
    前記コントローラは、前記検出部にて検出された前記基準位置に基づいて、前記搬送部を制御し、
    (e)前記媒体を前記搬送部に供給するための媒体供給部を有し、
    前記コントローラは、前記搬送ローラの前記基準位置を所定の回転開始位置に位置決めし、
    前記補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に前記ドット列を形成する際と、
    前記画像を構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際と、において、
    前記媒体供給部により前記媒体を供給させ始めるタイミングに対する、前記搬送ローラを前記回転開始位置から回転させ始めるタイミングを一致させることにより、前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位を一致させ、
    (f)媒体を排出した際には、前記搬送ローラを前記回転開始位置にて停止させ、
    (g)前記検出部は、前記搬送ローラの回転を検出するためのロータリー式エンコーダであり、
    (h)前記コントローラは、前記移動方向に沿う前記ドット列が形成された列領域間の濃度ムラを抑制すべく、前記補正用パターンを読み取った結果に基づいて、前記画像データを補正し、
    (i)前記画像データは、前記媒体に形成される単位領域毎の階調値を示しており、
    所定階調値を示す前記画像データに基づいて印刷された前記補正用パターンを読み取った結果に基づいて補正情報を取得し、
    前記画像データは、前記補正情報に基づいて補正され、
    (j)前記補正用パターンは、前記画像を印刷する際の印刷条件毎に印刷され、
    前記回転開始位置は、前記印刷条件に基づいて設定され、
    (k)前記補正用パターンは、所定の濃度を示す階調値に基づいて、
    前記移動方向に移動される前記ノズルから吐出されるインクにて形成される複数のドット列が、前記搬送方向に沿って並べて印刷されることを特徴とする印刷装置。
  11. 画像を印刷するための媒体を搬送方向に搬送するための搬送ローラを備えた搬送部と、
    前記画像を印刷するための印刷データに基づいて、前記搬送方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して、前記搬送部により搬送された前記媒体に、ドット列を形成するためのノズルと、を有する印刷装置に、
    補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に前記ドット列を形成する際に前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、
    前記画像を印刷するための印刷データに基づいて印刷された画像を構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基づいた補正をしつつドット列を形成する際に、前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、が一致するように前記搬送部を制御させる機能を実現するためのコンピュータプログラム。
  12. (A)コンピュータ、及び、
    (B)このコンピュータと接続され、以下の(a)(b)(c)を有する印刷装置、
    (a)画像を印刷するための媒体を搬送方向に搬送するための搬送ローラを備え た搬送部、
    (b)前記画像を印刷するための印刷データに基づいて、前記搬送方向と交差す る移動方向に移動されつつインクを吐出して、前記搬送部により搬送された 前記媒体に、ドット列を形成するためのノズル、
    (c)補正用パターンを構成する、前記搬送方向における最も下流側の列領域に 前記ドット列を形成する際に前記媒体に接触する前記搬送ローラの部位と、 前記画像を印刷するための印刷データに基づいて印刷された画像を構成す る、前記搬送方向における最も下流側の列領域に、前記補正用パターンに基 づいた補正をしつつドット列を形成する際に、前記媒体に接触する前記搬送 ローラの部位と、が一致するように前記搬送部を制御するためのコントロー ラ、
    (C)を有することを特徴とする印刷システム。
  13. 補正用パターンを印刷するための印刷データに基づいて、媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動されるノズルからインクを吐出させて、前記搬送方向における最も下流側の列領域にドット列を形成する際に、前記媒体を搬送するための搬送部が有する搬送ローラの所定の部位を、前記媒体に接触させて搬送するステップと、
    画像を印刷するための印刷データに基づいて、前記ノズルからインクを吐出させて、前記搬送方向における最も下流側の列領域にドット列を形成する際に、前期搬送ローラの前記所定の部位が前記媒体に接触するように、前記媒体を搬送するステップと、
    を有することを特徴とする印刷方法。

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