JP2006334709A - 基準孔形成装置、及びその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フィルムの回動(角度θ)を精密に検出し、これを確実に矯正できる基準孔形成装置、及びその方法を提供する。
【解決手段】 基準孔形成装置1は、2つの開口部2を有するテーブル本体3の表面でフィルム4を受け止める可動テーブル5と、フィルム4に基準孔6を打抜くパンチ7及びダイ8を組合せた打抜手段9と、フィルム4に光線を照射する照射手段10と、直立した筒体から成る視野画定手段11と、フィルム4を透過し更に視野画定手段11を通り抜けた光線を画像信号としてコンピュータへ入力できる画像入力手段13とを備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、フィルムの適所にその位置決めに利用できる孔を形成する基準孔形成装置、及びその方法に関する。
従来より、被加工物であるフィルム等に予め付した遮光スポットの位置に基づき、フィルム等に孔を形成する技術がある。このような孔には、フィルム等を所定箇所に位置決めするためのピン等が挿通される。例えば、下記の特許文献1には、一片のプリント配線板を可動テーブルに対して位置決めすることが開示されている。また、特許文献2には、フィルムに記録された画像の位置に基づき孔を形成することが開示されている。
特開2001−310208号公報 特開平09−216194号公報
図9(a)は、同一のパターン14が縦横に等ピッチPを隔てて繰り返し印刷されたフィルム4を表している。ピッチPは各パターン14の中心を基準とする。例えば、フィルム4がポリエチレン等の合成樹脂製であると、熱収縮又は膨張が起こり易く、ピッチPの寸法が微妙に変化する。このような寸法変化は、合成樹脂の種類やフィルム4の製造方法により多様であるが、フィルム4が延伸された製品である場合、その延伸方向の寸法に比較的大きな変化が認められる例が多い。以下では説明の便宜により、図中の3次元座標のX軸に沿う方向を延伸方向とし、フィルム4がX−Y平面に直交するZ軸周りに回転することを単に「回動」と称する。
ある製造工程でフィルム4を2枚準備し、これらを互いのパターン14同士を合致させて貼合わせる場合、或いは、図9(b)に示すように、フィルム4のパターン14をそれぞれ貼合わせる複数の被着部14’が定められたパネル4’に、フィルム4を積層する場合がある。これは、1つのパターン14を1つの被着部14’に貼合わせて成る単一部品を得る工程で、フィルム4と一体である複数のパターン14を、フィルム4と共に複数の被着部14’に同時に貼合わせた後でフィルム4と一緒にパネル4’を仮想線のところで裁断する方が、初めから断片化したフィルム4とパネル4’を個別に取扱うよりも作業が捗るからである。
また、上記の寸法変化により、ピッチPがP±δになるとすれば、長手方向に並ぶn個のパターン14のうち最も離れたパターン14同士の距離は、δがn回累積するためnP±nδに達する。そこで、パターン14の並び数nが不用に大きくならないように、上記の製造工程に先行して、長尺なフィルム4を適切な長さに分断する。例えば、許容できる誤差nδが0.30mm以内であるとした場合に、ピッチPの変化δが平均0.07mmとなる見込みならば、n≦4でなければならない。図9(b)はn=4とした例を表している。
しかしながら、並び数nを調整するために分断されて長尺な本体から切り離されたフィルム4は、僅かながら回動してしまう可能性がある。このため、フィルム4の回動を看過して不適切な位置に孔が開けられるのを防ぐには、特許文献1,2に記したようなフィルム等に付されたガイドマーク、又はパターン(画像)の位置を基準に、フィルム等に形成する孔のX,Y座標を算定するだけでは足らない。
本発明は、上記の実情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、フィルムの回動を精密に検出し、これを確実に矯正できる基準孔形成装置、及びその方法を提供することにある。
本発明に係る基準孔形成装置は、整列して並ぶ複数のパターンを有し該複数のパターンの並び方向に隔たる一対の遮光スポットが付されたフィルムを、本体の表面で受け止め、該本体の前記一対の遮光スポットの周辺に対応する位置に開口部が形成された可動テーブルと、前記フィルムの前記並び方向に隔たる位置を貫通する一対のパンチ、及び該一対のパンチに出没自在に噛み合う一対のダイを、前記可動テーブルの開口部で対向させた打抜手段と、前記可動テーブルを、前記打抜手段に対して前記本体の表面に沿う方向に移動、又は前記表面に直交する軸周りに回転するよう動作させるテーブル駆動装置と、前記テーブル駆動装置を制御するコンピュータと、前記打抜手段に対して位置決めされ、前記フィルムの一対の遮光スポットの周辺を透過した光線の明るさを画素の明暗に置き換えて前記コンピュータへ入力させる一対の画像入力手段と、前記コンピュータに、前記一対の画像入力手段に前記光線が各々入射する範囲に相当する2つの画素領域を認識させる機能と、前記2つの画素領域のそれぞれの中心と、前記一対の遮光スポットのそれぞれの中心との偏差を演算させる機能と、前記偏差に基づいて、前記可動テーブルに位置決めされたフィルムの並び方向を、前記一対の画素領域のそれぞれの中心を横切る方向に一致させ、且つ、前記一対の遮光スポットの間の中点を、前記画素領域のそれぞれの中心間の中点に合致するように、前記テーブル駆動装置を制御する機能とを、実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体と、を備えることを特徴とする。
更に、本発明に係る基準孔形成装置は、前記フィルムを透過できる光線を照射する照射手段を備え、前記画像入力手段と前記照射手段とが、前記フィルムの一対の遮光スポットの周辺に対応する位置を隔て対向することを特徴とする。
更に、本発明に係る基準孔形成装置は、前記可動テーブルに前記フィルムを負圧により吸着する吸着手段を設けたことを特徴とする。
更に、本発明に係る基準孔形成装置は、前記パンチが前記ダイに噛み合う行程で、前記パンチに先行して前記フィルムを前記ダイに押付ける当接部材を、前記パンチに弾性体を介して取付けたことを特徴とする。
また、本発明は、整列して並ぶ複数のパターンを有するフィルムに、前記複数のパターンの並び方向に隔たる2つの基準孔を形成する方法に係るものであって、前記フィルムに、前記並び方向に隔たる一対の遮光スポットを付する工程と、前記可動テーブルを、前記フィルムの並び方向を含む平面に沿って移動、又は該平面に直交する軸の周りに回転するよう動作できる可動テーブルに、前記フィルムを位置決めする工程と、前記可動テーブルから離れて設置された画像入力手段が、前記フィルムの一対の遮光スポットの周辺を透過した光線の明るさを、画素の明暗に置き換えた画像情報としてコンピュータへ入力する工程と、前記フィルムの一対の遮光スポットの周辺にそれぞれ相当する2つの画素領域を、前記コンピュータに認識させる工程と、前記2つの画素領域のそれぞれの中心と、前記一対の遮光スポットのそれぞれの中心との偏差を、前記コンピュータに演算させる工程と、前記偏差に基づいて、前記フィルムの並び方向を、前記一対の画素領域のそれぞれの中心を横切る方向に一致させ、且つ、前記一対の遮光スポットの間の中点を、前記画素領域のそれぞれの中心間の中点に合致するように、前記可動テーブルを動作させる工程と、前記フィルムの前記2つの画素領域のそれぞれの中心を基準とする位置に、前記2つの基準孔を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、整列して並ぶ複数のパターンを有するフィルムに、複数のパターンの並び方向に隔たる一対の遮光スポットを付すことにより、一対の遮光スポットのそれぞれの中心を基準にして、可動テーブルに位置決めされたフィルムと、同フィルムを貫通する一対のパンチとの相対位置を確認できる。即ち、フィルムの一対の遮光スポットの周辺を透過した光線の明るさを画素の明暗に置き換えた画像情報を、コンピュータへ入力し、このコンピュータに、一対の画像入力手段に光線が各々入射する範囲に相当する2つの画素領域を認識させ、2つの画素領域のそれぞれの中心と、一対の遮光スポットのそれぞれの中心との偏差を演算させることができる。
更に、上記の偏差に基づいてコンピュータがテーブル駆動装置を制御することにより、可動テーブルに位置決めされたフィルムの並び方向を、一対の画素領域のそれぞれの中心を横切る方向に一致させ、且つ、一対の遮光スポットの間の中点を、画素領域のそれぞれの中心間の中点に合致するように、可動テーブルを動作させることができる。
従って、本発明によれば、パターンの並び数を調整するために分断したフィルムが不用意に回動することがあれば、これを精密に検出し矯正することができる。しかも、このようなフィルムの姿勢を矯正することに加え、フィルムと一対のパンチとの相対位置の調整もできるので、フィルムの適切な位置に孔を確実に形成することができる。
更に、画像入力手段と照射手段とを、フィルムの一対の遮光スポットの周辺に対応する位置を隔て対向するので、フィルムを透過する光線の光源を自然光又は建物に既設された電灯等に依存する場合に比較して、一対の画像入力手段に明るさの安定した光線を入射できるという利点が得られる。
更に、可動テーブルにフィルムを負圧により吸着する吸着手段を備えた場合、フィルムの材質又は質量に関わり無く、フィルムが可動テーブルに対して滑る等の不具合を防止することができる。
更に、一対のパンチに弾性体を介して取付けた当接部材が、一対のパンチが一対のダイに噛み合う行程で、一対のパンチに先行してフィルムを一対のダイに押付けるので、一対のパンチがフィルムを貫通するときのせん断力に起因して、フィルムに皺ができる等の不具合を回避することができる。
以下に、本発明の実施形態に係る基準孔形成装置の概要を説明した上で、実施例として基準孔形成装置の構成を詳述する。また、電気回路、駆動源、案内手段、又は空気圧縮機には、それぞれ周知の技術を適用できるので、その図示又は説明は省略する。例えば、駆動源としてサーボモータ、サーボシリンダ、又はエアシリンダを適用できる。案内手段としては、スライドレールに滑子を滑動自在に係合させて成る滑り対遇を適用できる。
先ず、基準孔形成装置1の概略を述べる。基準孔形成装置1は、図1,図2に示すように、2つの開口部2を有するテーブル本体3の表面でフィルム4を受け止める可動テーブル5と、フィルム4に基準孔6を打抜くパンチ7及びダイ8を組合せた打抜手段9と、フィルム4を透過できる光線を照射する照射手段10と、図中で直立した筒体から成る視野画定手段11と、フィルム4を透過し更に視野画定手段11を通り抜けた光線を画像信号としてコンピュータ12へ入力できる画像入力手段13とを備える。この他の構成は後の実施例で述べる。
フィルム4は、図3(a)に示すように、整列した複数のパターン14を有し、複数のパターン14の整列する並び方向に隔たる位置に、一対の遮光スポット15が付されている。パターン14とは、フィルム4に予め定められた区画に、例えば印刷、コーティング、その他の機械的又は化学的処理を施すことにより形成される導電層、絶縁膜、模様、又は図柄等を広く意味する。遮光スポット15は、それぞれ視野画定手段11の内径より小さな円形である。図示の通り、一対の遮光スポット15のそれぞれの中心が互いに並び方向に距離Xdを隔たることは必須であるが、一対の遮光スポット15をフィルム4に配置する位置、又は距離Xdの具体的数値については、何ら限定されることはない。
また、一対の遮光スポット15をフィルム4に付すには、フィルム4にパターン14を印刷する工程で同時に遮光性のインク等をフィルム4の適所に印刷しても良く、又は遮光性の粘着テープ等をフィルム4の適所に貼付けても良い。遮光性とは、フィルム4の素地に比較して光を透し難い性質であり、フィルム4の素地が必ずしも無色又は透明である必要はない。
基準孔形成装置1について、図1から図6を参照しながら詳述する。可動テーブル5は、テーブル駆動装置16に支持されている。テーブル駆動装置16は、コンピュータ12の指令に従ってフィルム4を3次元座標で表したX−Y平面に沿って移動、又はZ軸周りに回転するよう動作させる。この動作は、周知のX−Yテーブル等の位置や移動量を制御する位置サーボによって実現できる。即ち、図4,図5の符号17,18は、それぞれX軸方向、Y軸方向へ可動テーブル5を移動させ、又は位置決めするサーボシリンダを指している。更に、符号19はサーボシリンダ17,18と共に可動テーブル5をZ軸周りに回転させる減速機付きのサーボモータを指している。これらのサーボシリンダ17,18及びサーボモータ19は、コンピュータ12がサーボドライバを介して制御できる。
可動テーブル5のテーブル本体3は、その表面がフィルム4を安定して受け止められる程度に平坦であれば良いが、テーブル本体3の表面からのフィルム4の浮き上がり、又はテーブル本体3の表面でフィルム4が滑ることのないように、テーブル本体3の表面にフィルム4を吸着するための吸着手段20を備えることが好ましい。例えば、テーブル本体3を、真空ポンプ等の負圧発生手段21によって発生される負圧の導入ができる2層構造とし、この負圧によってフィルム4を吸引するための小孔22をテーブル本体3の表面に多数開放しても良い。
打抜手段9は、図1,図6に示すように、基準孔形成装置1の主フレーム23の上部に固定されたエアシリンダ24の作動ロッド25に、案内手段251によりZ軸に沿う方向に滑動自在に案内されるパンチホルダ26を取付け、パンチホルダ26に丸棒状のパンチ7を取付けている。主フレーム23は、パンチ7に対して円筒状のダイ8を位置決めするダイセットの役割を果たす。符号27はパンチ7に弾性体28を介して取付けた当接部材である。弾性体28は、パンチ7の根元付近に固定したばね座281に一端を接合し他端に当接部材27を取付けたコイルばねである。当接部材27は、パンチ7が挿通できる挿通孔271を有し、弾性体28を伸縮させながらパンチ7に沿って滑動できる。
エアシリンダ24は、図に表れていない方向切換弁を介して空気圧縮機に接続されている。コンピュータ12の出力信号に従うソレノイドによって上記の方向切換弁を操作すれば、空気圧縮機からエアシリンダ24へ供給される圧縮空気の方向を切換えられる。これにより、エアシリンダ24の作動ロッド25は伸縮する。作動ロッド25が伸長すると、パンチ7がダイ8に嵌入することにより両者が噛み合され、作動ロッド25が短縮すると、パンチ7がダイ8から後退し図示の位置に復帰する。また、作動ロッド25が伸長する行程で、パンチ7がフィルム4を貫くことによりフィルム4に基準孔6を形成できる。更にこの工程で、当接部材27がパンチ7に先行してフィルム4をダイ8に押付けるので、パンチ7がフィルム4を貫通するときのせん断力に起因して、フィルム4に皺ができる等の不具合を回避できる。
図2に表した1体のパンチ7と1体のダイ8は、可動テーブル5の2つの開口部2のうちの一方の開口部2で図中の上下に対向するが、打抜手段9は、図4に示すように、パンチ7とダイ8とをそれぞれ対にして備え、他方の開口部2でも、パンチ7とダイ8が図中の上下に対向する。図4に表れた一対のパンチ7は、それぞれの幾何学的中心線が互いに並び方向に間隔Xdを隔てるように配置されている。
画像入力手段13は、主フレーム23の下部に固定されたCCDカメラを主体とし、その光学レンズ29を経て入射する光線の明るさを画素の明暗に置き換えてコンピュータ12へ入力できる。光学レンズ29はフィルム4に焦点が合されている。視野画定手段11は、遮光スポット15よりも広い内径を有し、その幾何学的中心線が画像入力手段13の光学レンズ29の光軸に一致するように、主フレーム23に固定されている。このように固定された視野画定手段11が、個々の開口部2の口縁に当らないように、個々の開口部2の開口寸法は、可動テーブル5が動作する範囲よりも広く設定されている。照射手段10は、パンチホルダ26に取付けられた電球、蛍光灯、又はLED等の光源である。
基準孔形成装置1は、照射手段10、視野画定手段11、及び画像入力手段13についても、それぞれを対にして備える。一対の画像入力手段13は、それぞれの光学レンズ29の光軸が互いに並び方向に間隔Xdを隔てるように配置され、一対の視野画定手段11は、それぞれの幾何学的中心線が互いに並び方向に間隔Xdを隔てるように配置されている。また、図2,図5に示すように、個々のパンチ7の幾何学的中心線と、個々の画像入力手段13の光軸とは、互いに並び方向に直交する方向に間隔Ydを隔てるように配置されている。
次に、基準孔形成装置1を使用した基準孔6の形成方法を図1,図7,図8を参照しながら説明する。以下で、特に断らない限り、コンピュータ12の機能は、コンピュータ12がアクセスできるROM等の記録媒体30に書き込まれたプログラムに基づいて実現されるものとする。また、文頭に付した英文字は工程を区分する指標である。
A:フィルム4をテーブル本体3の上面に受け止めさせ、一対の遮光スポット15の周辺が一対の視野画定手段11に概ね重なるように、フィルム4の位置を調整する。この工程は、オペレータの手作業で行っても良いが、トランスファ等を利用してフィルム4をテーブル本体3の上面に搬入しても良い。
B:負圧発生手段21を起動させる。負圧発生手段21の発生する負圧によってテーブル本体3の表面にフィルム4を吸引する。これにより、フィルム4を可動テーブル5に位置決めできることに加え、テーブル本体3とフィルム4とを密着することができる。
C:照射手段10を点灯させる。照射手段10から照射される光線は、フィルム4の一対の遮光スポット15の周辺を透過する。更に、視野画定手段11の内側を通り抜けた光線だけが、画像入力手段13まで到達し、視野画定手段11の外側に拡散しようとする光線は、視野画定手段11によって遮られる。これにより、一対の画像入力手段13のうちの一方の画像入力手段13に光線が入射する一の視野と、他方の画像入力手段13に光線が入射する他の視野とが、それぞれ次のように画定される。
即ち、図7(a)は、画像入力手段13によって画素の明暗に置き換えた画像を、CRT等のディスプレーの画面に出力したモニター映像を示している。同図に符号31,32でそれぞれ指した2つの画素領域(円の内部)は、上記一の視野、及び他の視野にそれぞれ相当する。
D:2つの画素領域31,32毎に、並び方向に割付けられるX座標と、並び方向に直交する方向に割付けられるY座標とを、コンピュータ12が、それぞれ座標値として認識する。
E:一の視野に相当する画素領域31の中で、一方の遮光スポット15にて光線が遮られた遮光領域33の中心の座標値と、他の視野に相当する画素領域32の中で、他方の遮光スポット15にて光線が遮られた遮光領域34の中心の座標値とを、コンピュータ12が比較する。これにより、コンピュータ12は、仮想線αで表したフィルム4の並び方向が、一の視野に相当する画素領域31と他の視野に相当する画素領域32とのそれぞれの中心を横切る方向に対して傾斜する角度θを認識できる。
G:角度θに基づきコンピュータ12がテーブル駆動装置16を制御する。テーブル駆動装置16は、可動テーブル5に位置決めされたフィルム4が角度θを打ち消す方向に回転するように、可動テーブル5を動作させる。これにより、図7(b)に示すように、フィルム4の並び方向を、一対の画素領域のそれぞれの中心を横切る方向に一致させる。言い換えると、θ=0となるようにフィルム4の姿勢が矯正される。この工程は、上記Eの工程で初めからθ=0ならば省略される。
H:画素領域31の中心の座標値と、遮光領域33の中心の座標値との差を、一の偏差(ΔXL,ΔYL)としてコンピュータ12が認識する。同時に、画素領域32の中心の座標値と、遮光領域34の中心の座標値との差を、他の偏差(ΔXR,ΔYR)としてコンピュータ12が認識する。
I:θ=0になれば、一の偏差のY成分の値(ΔYL)と、他の偏差のY成分の値(ΔYR)とは、互いに等しくなる。図8(a)ではΔYL=ΔYR=ΔYと改めている。この状態で、コンピュータ12がΔYの値に基づきテーブル駆動装置16を制御する。テーブル駆動装置16は、図8(b)に示すようにΔYが減少してΔY→0となる方向へ可動テーブル5を動作させる。
一方、一の偏差のX成分の値(ΔXL)と、他の偏差のX成分の値(ΔXR)とに注目する。上記Gの工程を終えた時点で、一対の遮光スポット15の間を2等分する位置(中点)と、画素領域31,32のそれぞれの中心間を2等分する位置(中点)とが合致しない場合、図8(a)に示すように、ΔXL及びΔXRのそれぞれの値は異なる。
J:コンピュータ12がΔXL及びΔXRに基づきテーブル駆動装置16を制御する。テーブル駆動装置16は、図8(b)に示すように、ΔXL=ΔXRとなる方向に可動テーブル5を動作させる。
上記Jの工程を終えた時点で、ΔXL,ΔXRが尚も0にならないで残るのは、フィルム4の熱収縮又は膨張に起因して、一対の遮光スポット15のそれぞれの中心が互いに隔たる距離Xdが、Xd±nδに変化したことによるが、一対の遮光スポット15の間の中点と、画素領域31,32のそれぞれの中心間の中点とは確実に一致する。この時点で、ΔXL=ΔXR=±nδ/2となる。また、個々のパターン14と、一対の遮光スポット15のうちの片方の遮光スポット15との間の寸法の狂いは±nδ/2に半減したことになる。
K:打抜手段9がコンピュータ12の指令に従い起動し、一対のパンチ7が一対のダイ8に噛み合わされる。これにより、図3(b)に示すように、一対の遮光スポット15に対して、それぞれ並び方向に直交する方向に距離Ydを隔てる位置に、2つの基準孔6が同時に形成される。
上記G,I,Jの工程で、可動テーブル5の動作は、コンピュータ12がサーボドライバを介してテーブル駆動装置16のサーボシリンダ17,18又はサーボモータ19を制御することを踏まえて説明したが、次のようにしても良い。即ち、オペレータがCRT等のディスプレーで上記のモニター映像を目視できるならば、サーボシリンダ17,18又はサーボモータ19を起動又は停止させるスイッチを、オペレータが遮光領域33,34の中心位置を確認しながら操作し、このようなオペレータのスイッチ操作に従わせて可動テーブル5を動作させても良い。
以上に述べたように、基準孔形成装置1によれば、パターン14の並び数を調整するために分断したフィルム4が不用意に回動することがあっても、これを精密に検出し矯正することができる。しかも、このようなフィルム4の姿勢を矯正することに加え、フィルム4と一対のパンチ7との相対位置の調整もできるので、フィルム4の適切な位置に基準孔6を確実に形成することができる。
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様で実施できる。例えば、フィルム4を透過する光線の光源を自然光又は建物に既設された電灯等に依存できる場合は、照射手段10を省略しても良い。また、視野画定手段11を省略し、光学レンズ29の画角を狭める等して画像入力手段13の視野を所望に制限しても良い。
また、距離Ydのの具体的数値については何ら限定されることはない。図6に示すように、ダイ8は視野画定手段11と同様に筒状であるため、図中でダイ8の真下に、画像入力手段13を配置すれば、ダイ8を画像入力手段として代用できる。この場合、パンチ7は、概ね遮光スポット15を的にしてフィルム4を貫通することになる。
本発明は、フィルムの用途を問わず、フィルムに基準孔を形成する技術であり、フィルムを構成部材の一つとするあらゆる製品を製造するのに有益である。
本発明の実施例1に係る基準孔形成装置の構成を示すブロック図。 本発明の実施例1に係る基準孔形成装置の要部を示す斜視図。 (a)は所望の寸法に裁断されたフィルムの斜視図、(b)は2つの基準孔が形成されたフィルムの斜視図。 本発明の実施例1に係る基準孔形成装置を一部破断した正面図。 本発明の実施例1に係る基準孔形成装置を一部破断した側面図。 本発明の実施例1に係る基準孔形成装置に適用した打抜手段の要部を示す断面図。 (a)から(b)の順で、本発明の実施例1に係る基準孔形成装置に適用したコンピュータによる情報処理の一例を示す概念図。 (a)から(b)の順で、本発明の実施例1に係る基準孔形成装置に適用したコンピュータによる情報処理の他例を示す概念図。 (a)は長尺なフィルムの斜視図、(b)は所望の寸法に裁断されたフィルムをパネルに積層する工程を例示する斜視図。
符号の説明
1:基準孔形成装置
2:開口部
3:テーブル本体
4:フィルム
5:可動テーブル
6:基準孔
7:パンチ
8:ダイ
9:打抜手段
10:照射手段
11:視野画定手段
12:コンピュータ
13:画像入力手段
14:パターン
15:遮光スポット
16:テーブル駆動装置
20:吸着手段
27:当接部材
28:弾性体
30:記録媒体
31,32:画素領域
33,34:遮光領域

Claims (5)

  1. 整列して並ぶ複数のパターンを有し該複数のパターンの並び方向に隔たる一対の遮光スポットが付されたフィルムを、本体の表面で受け止め、該本体の前記一対の遮光スポットの周辺に対応する位置に開口部が形成された可動テーブルと、
    前記フィルムの前記並び方向に隔たる位置を貫通する一対のパンチ、及び該一対のパンチに出没自在に噛み合う一対のダイを、前記可動テーブルの開口部で対向させた打抜手段と、
    前記可動テーブルを、前記打抜手段に対して前記本体の表面に沿う方向に移動、又は前記表面に直交する軸周りに回転するよう動作させるテーブル駆動装置と、
    前記テーブル駆動装置を制御するコンピュータと、
    前記打抜手段に対して位置決めされ、前記フィルムの一対の遮光スポットの周辺を透過した光線の明るさを画素の明暗に置き換えて前記コンピュータへ入力させる一対の画像入力手段と、
    前記コンピュータに、前記一対の画像入力手段に前記光線が各々入射する範囲に相当する2つの画素領域を認識させる機能と、前記2つの画素領域のそれぞれの中心と、前記一対の遮光スポットのそれぞれの中心との偏差を演算させる機能と、前記偏差に基づいて、前記可動テーブルに位置決めされたフィルムの並び方向を、前記一対の画素領域のそれぞれの中心を横切る方向に一致させ、且つ、前記一対の遮光スポットの間の中点を、前記画素領域のそれぞれの中心間の中点に合致するように、前記テーブル駆動装置を制御する機能と、を実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体と、
    を備えることを特徴とする基準孔形成装置。
  2. 前記フィルムを透過できる光線を照射する照射手段を備え、前記画像入力手段と前記照射手段とが、前記フィルムの一対の遮光スポットの周辺に対応する位置を隔て対向することを特徴とする請求項1に記載の基準孔形成装置。
  3. 前記可動テーブルに前記フィルムを負圧により吸着する吸着手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の基準孔形成装置。
  4. 前記パンチが前記ダイに噛み合う行程で、前記パンチに先行して前記フィルムを前記ダイに押付ける当接部材を、前記パンチに弾性体を介して取付けたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の基準孔形成装置。
  5. 整列して並ぶ複数のパターンを有するフィルムに、前記複数のパターンの並び方向に隔たる2つの基準孔を形成する方法であって、
    前記フィルムに、前記並び方向に隔たる一対の遮光スポットを付する工程と、
    前記可動テーブルを、前記フィルムの並び方向を含む平面に沿って移動、又は該平面に直交する軸の周りに回転するよう動作できる可動テーブルに、前記フィルムを位置決めする工程と、
    前記可動テーブルから離れて設置された画像入力手段が、前記フィルムの一対の遮光スポットの周辺を透過した光線の明るさを、画素の明暗に置き換えた画像情報としてコンピュータへ入力する工程と、
    前記フィルムの一対の遮光スポットの周辺にそれぞれ相当する2つの画素領域を、前記コンピュータに認識させる工程と、
    前記2つの画素領域のそれぞれの中心と、前記一対の遮光スポットのそれぞれの中心との偏差を、前記コンピュータに演算させる工程と、
    前記偏差に基づいて、前記フィルムの並び方向を、前記一対の画素領域のそれぞれの中心を横切る方向に一致させ、且つ、前記一対の遮光スポットの間の中点を、前記画素領域のそれぞれの中心間の中点に合致するように、前記可動テーブルを動作させる工程と、
    前記フィルムの前記2つの画素領域のそれぞれの中心を基準とする位置に、前記2つの基準孔を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする基準孔形成方法。
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