JP2006334548A - 排水処理方法および排水処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排水の脱窒素処理の安定化と処理効率を向上させるとともに、装置の小型化、運転コストを抑制する。
【解決手段】嫌気槽12内に位置させた仕切筒14の内側に硝酸ないし硝酸塩を含む排水の循環流の下降部15を形成し、前記仕切筒14の外側に排水の循環流の上昇部23を形成して循環させ、前記循環流の下降部15の排水13にメタノールを供給して混合し、前記循環流の上昇部23に嫌気性微生物を担持した中空状の濾過部材24を位置させるとともに、前記濾過部材24に沿って上昇する排水を濾過部材24の外側から内側に吸引して脱窒素処理する。
【選択図】図1
【解決手段】嫌気槽12内に位置させた仕切筒14の内側に硝酸ないし硝酸塩を含む排水の循環流の下降部15を形成し、前記仕切筒14の外側に排水の循環流の上昇部23を形成して循環させ、前記循環流の下降部15の排水13にメタノールを供給して混合し、前記循環流の上昇部23に嫌気性微生物を担持した中空状の濾過部材24を位置させるとともに、前記濾過部材24に沿って上昇する排水を濾過部材24の外側から内側に吸引して脱窒素処理する。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体製造工場等から排出される硝酸ないし硝酸塩を含む排水を脱窒素反応により分解する処理方法およびその処理装置に関するものである。
排水の微生物処理による脱窒素反応を行うには、嫌気性環境を形成した排水を貯留する槽を設け、この槽内に脱窒素反応を行う嫌気性微生物(通性嫌気性微生物、脱窒菌)を存在させ、さらに水素供与体としてメタノールを連続的に添加する方法が広く用いられている。
従来、この種の排水処理方法または装置として、被処理液を貯留する反応槽と、その反応槽の底部より少し上方に位置する攪拌翼と、その攪拌翼を回転させるモータと、前記反応槽を仕切るように張設された多孔板と、その多孔板の中央に放射状に固設された固定翼と、その固定翼の上側に設置されためくら板と、嫌気性微生物を担持し前記多孔板より下側の被処理水中に投入される担体とを具備する脱窒素処理を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、脱窒素処理水槽に目開きが20〜100mmの網目状の脱窒菌付着担体を充填固定し、かつ脱窒素処理水槽の中央に強制流動手段として、下向き又は上向きに流れを起こす水中ミキサーとこの水中ミキサーを囲むドラフトチューブを設置し、脱窒素処理水槽に排水及び水素供与体としてメタノールを供給する。供給された排水は、脱窒処理装置で上記の如く対流する間に脱窒処理され、処理された排水は脱窒素処理水槽の水面の上に設けられたトラフ(溢れ水を流す部分)を介して、次の処理へと排出される。さらに脱窒素処理水槽の担体に付着した固形物(脱窒菌)を剥離させるために、先ずエアーバブリングを行い、次いでエアーバブリングしながら水洗を行う脱窒素処理装置が示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−254682号公報
特開2000−288582号公報
しかしながら、前記した特許文献1に記載された従来の脱窒素処理装置においては、嫌気性微生物付着担体と排水(未処理水)をともに循環させながら接触させて脱窒素を行うが、この両者の接触量が十分とはいえず脱窒素反応に時間がかかる。また上部の一側面からメタノールを供給し、下部より排水を供給する構成のため、排水とメタノールの均一な混合が得られにくく反応槽内でメタノール濃度の濃淡を生じ易い。
また、新たに反応槽に供給する排水の供給量に応じて、処理水が反応槽の液面部から溢れ水として処理水出口から流出する。このため嫌気性微生物付着担体との接触、脱窒素反応が不十分のままの排水が反応槽の液面部から溢れ水(処理水)として流出してしまうことになる。さらに反応槽に供給するメタノールも供給部から処理水出口への短絡的な流れを形成し前記溢れ水に含有して流出しやすい。
これらによって、脱窒素処理が不完全になりやすく、さらに実質的に脱窒素反応に寄与するメタノール量が減少して、メタノール供給量の増加および流出メタノールの処理設備の大型化を招くという課題を有していた。
また、特許文献2に記載された従来の脱窒素処理装置においては、脱窒素処理水槽に脱窒菌付着担体を充填固定しているが、ここを流れる排水の流路抵抗が大きくかつ部分的な流路抵抗の差によって、全周にわたって排水の均一な流動が得られにくい。これによって脱窒菌付着担体と排水の接触量にアンバランスを生じ効率的な処理ができない。
脱窒素処理水槽の底部に配置した散気管からエアーバブリングして水槽内部を攪拌し、担体に付着した脱窒菌の集合体を剥離させるようにしているが、空気供給手段、散気管等を必要として構成が複雑となり、また脱窒素処理水槽内を嫌気性に維持する必要性からも好ましくない。
また新たに脱窒素処理水槽に供給する排水の供給量に応じて、処理水が脱窒素処理水槽の液面部から溢れ水としてトラフ部(処理水出口)から流出する。このため脱窒菌付着担体との接触、反応が不十分のままの排水が脱窒素処理水槽の液面部から溢れ水(処理水)として流出してしまうことになる。さらに脱窒素処理水槽に供給するメタノールも供給部からトラフ部への短絡的な流れを形成し前記溢れ水に含有して流出しやすい。
これらによって脱窒素処理が不完全になりやすく、さらに実質的に脱窒素反応に寄与するメタノール量が減少して、メタノール供給量の増加および流出メタノールの処理設備の大型化を招くという課題を有していた。
さらに、特許文献1および特許文献2に記載された従来の脱窒素処理装置においては、嫌気性微生物付着担体、脱窒菌付着担体に付着した固形物の一部が剥離した場合に溢れ水とともに流出しやすい。このため流出配管のつまりを生じやすく、また別途処理設備を必要とするという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、硝酸ないし硝酸塩を含む排水の脱窒素処理の安定化と処理効率を向上させるとともに、装置の小型化、運転コストを抑制した排水処理方法および処理装置を提供することを目的とするものである。
上記従来の課題を解決するために、嫌気槽内に位置させた仕切筒の内側又は外側で硝酸ないし硝酸塩を含む排水の循環流を形成し、前記循環流の下降部の排水にメタノールを供給して混合し、前記仕切筒の外側に嫌気性微生物を担持した中空状の濾過部材を位置させるとともに、前記濾過部材に沿って上昇または下降する排水を濾過部材の外側から内側に吸引して脱窒素処理することを特徴とする排水処理方法および処理装置としたものである。
本発明によれば、硝酸ないし硝酸塩を含む排水の脱窒素処理の安定化と処理効率を向上させるとともに、装置の小型化、運転コストを抑制した排水処理方法および処理装置を提供することができる。
第1の発明は、嫌気槽内に位置させた仕切筒の内側又は外側で硝酸ないし硝酸塩を含む排水の循環流を形成し、前記循環流の下降部の排水にメタノールを供給して混合し、前記仕切筒の外側に嫌気性微生物を担持した中空状の濾過部材を位置させるとともに、前記濾過部材に沿って上昇または下降する排水を濾過部材の外側から内側に吸引して脱窒素処理することを特徴とする排水処理方法としたものである。
これによって、嫌気槽内で排水とメタノールとの均一な混合を行い、さらにメタノールを含有した排水を、嫌気性微生物を担持した複数の中空状の濾過部材を通過させて脱窒素処理水として排出する。したがって硝酸ないし硝酸塩を含む排水の脱窒素処理の安定化および処理効率を向上させるとともに、装置の小型化、運転コストを抑制した排水処理方法を提供することができる。
第2の発明は、第1の発明の排水処理方法において、硝酸ないし硝酸塩を含む排水を嫌気槽内の循環流の下降部に供給することを特徴とするものである。
これによって、新たに供給された排水は循環流の下降部をすでに循環しているメタノールを含有する排水に均一に混合させることができる。したがって嫌気槽内の排水13の全体にわたってメタノール濃度の均一化が図られ濾過部材での安定した脱窒素処理を行うことができる。
第3の発明は、第1または第2の発明の排水処理方法において、循環流の下降部に備えた混合促進手段により排水とメタノールとの混合を促進させることを特徴とするものである。
これによって、排水とメタノールをより均一に混合させることができる。したがって循環流の上昇部、下降部の全体にわたってメタノール濃度の均一化が図られ濾過部材での安定した脱窒素処理を行うことができる。
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明の排水の処理方法において、濾過部材で脱窒素処理した処理水の一部又は全部を嫌気槽内に戻した後、前記濾過部材から処理水を吸引して脱窒素処理するものである。
これによって、嫌気槽内に一定量貯留した排水を1回又は複数回にわたって濾過部材を通過させて脱窒素処理し、嫌気槽内の排水の硝酸ないし硝酸塩の濃度を一定以下まで低下させた後、この排水を濾過部材から吸引して処理水を排出する。したがって排水をより完全に脱窒素処理して排出することができる。
第5の発明は、第1〜4のいずれかの発明の排水処理方法において、濾過部材で脱窒素処理した処理水を一定量貯留し、前記処理水を前記濾過部材の内側から外側に供給することを特徴とするものである。
これによって、濾過部材中および濾過部材の外側表面に付着した固形物を処理水で洗浄する。したがって濾過部材の詰まりを防止することができる。さらにエアーを供給して洗浄する方法に比べ、嫌気槽内の排水の溶存酸素の増加を防止してメタノールの添加量の増加を抑制するとともに濾過部材の内部も洗浄することができる。
第6の発明は、嫌気槽内に位置させた仕切筒の内側又は外側で硝酸ないし硝酸塩を含む排水の循環流を形成する循環手段と、前記循環流の下降部の排水にメタノールを供給するメタノール供給手段と、前記仕切筒の外側に位置させた嫌気性微生物を担持した中空状の濾過部材と前記濾過部材に沿って上昇または下降する排水を濾過部材の外側から内側に吸引する吸引手段を備えたことを特徴とする排水処理装置としたものである。
これによって、嫌気槽内で排水とメタノールとの均一な混合を行い、さらにメタノールを含有した排水を、嫌気性微生物を担持した複数の中空状の濾過部材を通過させて脱窒素処理水として排出する。したがって硝酸ないし硝酸塩を含む排水の脱窒素処理の安定化および処理効率を向上させるとともに、装置の小型化、運転コストを抑制した排水処理装置を提供することができる。
第7の発明は、第7の発明の排水処理装置において、硝酸ないし硝酸塩を含む排水を嫌気槽内の循環流の下降部に供給する供給管を備えたことを特徴とするものである。
これによって、新たに供給された排水は循環流の下降部をすでに循環しているメタノールを含有する排水に均一に混合させることができる。したがって嫌気槽内の排水13の全体にわたってメタノール濃度の均一化が図られ濾過部材での安定した脱窒素処理を行うことができる。
第8の発明は、第6または第7の発明の排水処理装置において、排水とメタノールとの混合を促進させる混合促進手段を循環流の下降部に備えたことを特徴とする請求項6または7に記載の排水処理装置としたものである。
これによって、排水とメタノールをより均一に混合させることができる。したがって循環流の上昇部、循環流の下降部の全体にわたってメタノール濃度の均一化が図られ濾過部材での安定した脱窒素処理を行うことができる。
第9の発明は、第6〜8のいずれかの発明の排水処理装置において、濾過部材で脱窒素処理した処理水を嫌気槽内に戻す戻管を備え、処理水の一部又は全部を嫌気槽内に戻した後、前記濾過部材から処理水を吸引して脱窒素処理することを特徴とするものである。
これによって、嫌気槽内に一定量貯留した排水を1回又は複数回にわたって濾過部材を通過させて脱窒素処理し、嫌気槽内の排水の硝酸ないし硝酸塩の濃度を一定以下まで低下させた後、この排水を濾過部材から吸引して処理水を排出する。したがって排水をより完全に脱窒素処理して排出することができる。
第10の発明は、第6〜9のいずれかの発明の排水処理装置において、濾過部材で脱窒素処理した処理水を一定量貯留する容器を備え、前記容器内の処理水を前記濾過部材の内側から外側に供給することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の排水処理装置としたものである。
これによって、濾過部材中および濾過部材の外側表面に付着した固形物を容器内の処理水で洗浄する。したがって濾過部材の詰まりを防止することができる。さらにエアーを供給して洗浄する方法に比べ、嫌気槽内の排水の溶存酸素の増加を防止してメタノールの添加量の増加を抑制するとともに濾過部材の内部も洗浄することができる。
本発明の一実施例の排水処理方法および処理装置を図1、図2を参照しながら説明する。図1は硝酸廃液の処理装置の構成図、図2は図1中のA−A線における嫌気槽の断面図である。図中の矢印は排水の流れを示す。
図1、図2において、流量調整槽1に供給管2、開閉弁3を介して硝酸ないし硝酸塩を含む排水4を一定量貯留する。流量調整槽1の下部に散気管5を位置させ、散気管5に空気ポンプ6、供給管7を介して空気を供給する。排水4へ空気を供給することによって、流量調整槽1に貯留する排水4を流動化させて腐敗を防止する。また、流量調整槽1の底部に連通して排出管8、弁9を設け、メンテナンス時等に流量調整槽1に貯留する排水4を排出する。
なお流量調整槽1内にはアンモニア性窒素の硝化処理までを行った処理水(NO2−N,NO3−N等の酸化態窒素を含む硝化液)を一定量貯留する構成としているが、前記流量調整槽1内で硝化処理を行うようにしてもよい。
流量調整槽1に貯留する排水4はポンプ10(供給手段)で吸引し、導入管11を介して嫌気槽12に供給する。嫌気槽12に排水13を一定量貯留する。嫌気槽12の略中央部に仕切筒14を位置させ、この仕切筒14の内部に回転羽根16を設けている。回転羽根16は軸17を介してモータ18の駆動により回転し、仕切筒14の内部に排水13の下降流を形成させるものである。なお下降流を形成する手段として、ポンプを用いても良く、回転羽根16に限定されるものではない。
さらに、排水13が仕切筒14の下端部と嫌気槽12の底部との一定距離の隙間を介して仕切筒14内の循環流の下降部15から仕切筒14の外側に流れ、仕切筒14の外側に排水13の循環流の上昇部23を形成させる。さらに循環流の上昇部23から仕切筒14の上端を経て再び循環流の下降部15に流動させる排水13の循環流を形成させているものである。
また、仕切筒14内に混合促進手段である旋回羽根19を装着し、循環流の下降部15を下降する排水13に旋回流を与えるものである。なお混合促進手段としてはモータ18の軸17に回転羽根(図示なし)を装着させた構成でもよい。また、図示しないが旋回羽根19の代わりに乱流を起こす突起部を仕切筒14の内側及び外側に設けても良い。
なお、流量調整槽1からの排水4は、ポンプ10で吸引し、導入管11を介して前記嫌気槽12内の循環流の下降部15に供給する構成としている。
また、メタノールを容器20に貯留し、この容器20内のメタノールを供給手段であるポンプ21、供給管22を介して循環流の下降部15に供給する構成としている。
また、排水13の循環流の上昇部23に嫌気性微生物を担持した複数の中空状の濾過部材24を位置させているもので、各濾過部材24には下部蓋25、上部蓋26を有し濾過モジュール27を構成している。
また濾過モジュール27の下端部には、濾過モジュール27自体を微振動させる加振手段28を設けている。前記加振手段28は超音波振動手段、機械的駆動手段(図示なし)等を用いることができる。なお、濾過部材24としては、中空糸膜、精密ろ過膜(MF膜)、超微細なメッシュ(網)を使用するダイナミック膜を用いることができる。
複数の濾過モジュール27の上端から濾過部材24を通過した処理水を吸引管29、開閉弁30を介してポンプ31(吸引手段)により吸引し、さらに開閉弁32、排出管33を介して処理水を排出するものである。前記各濾過部材24を循環流の上昇部23に位置させ、排水13の上昇流に対して濾過部材24の外側から内側に通過するよう処理水を吸引するクロスフロー構成としたものである。
また、ポンプ31と開閉弁32間との排出管33から分岐して開閉弁35を有する戻管34を設け、戻管34の他端は前記循環流の下降部15の排水13に開口させ、各濾過部材24を通過した処理水を嫌気槽12内に戻す構成としている。
また、各濾過部材24を通過した処理水を一定量貯留する容器36を設けている。ポンプ31と開閉弁32間との排出管33から分岐した開閉弁38を有する供給管37を介して容器36に処理水を貯留する。さらに容器36内の処理水を供給管39、ポンプ40、開閉弁41、吸引管29を介して濾過部材24の内側から外側に供給する。これによって濾過部材24を洗浄するものである。また、モータ18の制御手段は図示しないが、インバータによる回転数制御又は、回転羽根16の回転方向を制御することにより、濾過部材24の付着物を剥離して洗浄することも可能である。
また嫌気槽12内の排水13の状態検出手段として、酸化還元電位検出手段42、溶存酸素量検出手段43を設けている。嫌気槽12の底部に連通して排出管44、開閉弁45を設け、メンテナンス時等に嫌気槽12に貯留する排水13および固形物を排出するものである。
次に本実施例の基本的な動作、作用を説明する。
流量調整槽1に貯留する排水4をポンプ10で吸引し、導入管11を介して嫌気槽12に一定量貯留する。次に回転羽根16(循環手段)をモータ18により回転駆動させて仕切筒14の内部に排水13の循環流の下降部15を形成させる。仕切筒14内の排水13が循環流の下降部15から仕切筒14の外側に流れ、仕切筒14の外側に排水13の循環流の上昇部23を形成させる。さらに排水13を循環流の上昇部23から仕切筒14の上端を経て再び循環流の下降部15に流動化させる循環流を形成させる。
次に、嫌気槽12内の排水13に供給するメタノールを容器20から供給手段であるポンプ21、供給管22を介して循環流の下降部15に供給する。供給したメタノールは旋回羽根19(混合促進手段)撹拌作用によって排水13との混合が促進し、さらに仕切筒14の内部に位置する回転羽根16によってもさらに混合が促進される。これによって嫌気槽12内の排水13中にメタノールを常に均一に拡散させることができる。
嫌気性微生物(通性嫌気性微生物、脱窒菌)を担持させた複数の濾過部材24に沿って上昇する循環流の上昇部23の排水13を濾過部材24の外側から内側に吸引して、前記嫌気性微生物の存在下において脱窒素処理する。
この脱窒素処理は、排水中の窒素成分を窒素ガスにまで還元分解して大気中に放散させる。例えば嫌気性微生物(通性嫌気性微生物、脱窒菌)の存在下において硝酸イオンや亜硝酸イオンを窒素ガスに還元する生物学的処理であり、その脱窒素反応は、メタノールを水素供与体として利用する場合には以下の式で表される。
6NO3 -+5CH3OH → 3N2+5CO2+7H2O+6OH-
6NO2 -+CH3OH → 3N2+CO2+5H2O+6OH-
なおメタノールの供給は嫌気槽12内の排水13に含有する硝酸の2〜2.5倍の量(容積濃度)を供給する。また嫌気槽12内の排水13の窒素濃度およびメタノール濃度の検出手段(図示なし)を備えて、嫌気槽12内の排水13へ供給するメタノールの量を最適に制御するようにしてもよい。
6NO3 -+5CH3OH → 3N2+5CO2+7H2O+6OH-
6NO2 -+CH3OH → 3N2+CO2+5H2O+6OH-
なおメタノールの供給は嫌気槽12内の排水13に含有する硝酸の2〜2.5倍の量(容積濃度)を供給する。また嫌気槽12内の排水13の窒素濃度およびメタノール濃度の検出手段(図示なし)を備えて、嫌気槽12内の排水13へ供給するメタノールの量を最適に制御するようにしてもよい。
排水13を濾過部材24の外側から内側に吸引して、前記嫌気性微生物の存在下において脱窒素処理し、この処理水は吸引管29、開閉弁30、開閉弁32、排出管33を介して排出する。この排出した処理水に相当する量に対応して流量調整槽1内の排水4を導入管11から嫌気槽12内の循環流の下降部15に供給する。
排水4を導入管11から嫌気槽12内の循環流の下降部15に供給することによって、新たに供給された排水4は循環流の下降部15をすでに循環しているメタノールを含有する排水13に均一に混合させることができる。したがって嫌気槽12内の排水13の全体にわたってメタノール濃度の均一化が図られ濾過部材24での安定した脱窒素処理を行うことができる。
また、濾過モジュール27の下端部には、濾過モジュール27自体を微振動させる加振手段28を設けている。これによって、濾過部材24の表面への固形成分などの堆積を抑制し、目詰まりを防止することができる。
以上のように、嫌気槽12内の循環流の下降部15内において排水13とメタノールとの均一な混合を行い、しかも従来のように供給するメタノールが供給部から処理水出口への短絡的な流れを形成し前記溢れ水に含有して流出し、実質的に脱窒素反応に寄与するメタノール量が減少することがない。したがってメタノール供給量を必要最小限に維持し、運転コストを抑制することができる。さらに流出した場合のメタノールによる処理設備を簡略化することができる。
また従来技術においては、新たに反応槽に供給する排水の供給量に応じて、処理水が反応槽の液面部から溢れ水として処理水出口から流出する。このため嫌気性微生物付着担体との接触、脱窒素反応が不十分のままの排水が反応槽の液面部から溢れ水(処理水)として流出してしまうことになる。これによって、脱窒素処理が不完全なまま処理水として流出しやすい課題を有しているが、本発明の実施例においてはメタノールを含有した排水を、必ず嫌気性微生物を担持した複数の中空状の濾過部材を通過させて脱窒素処理水として排出するので、排水の脱窒素処理の安定化および処理効率を向上させるとともに、装置の小型化、運転コストを抑制した排水処理方法を提供することができる。
また、排水13を濾過部材24の外側から内側に吸引して、前記嫌気性微生物の存在下において脱窒素処理を行うが、この脱窒素処理の進行とともに濾過部材24に固形物が付着した場合にポンプ31による排水13の吸引量が減少し、処理効率が低下する。このため容器36内に貯留した処理水を供給管39、ポンプ40、開閉弁41、吸引管29を介して濾過部材24の内側から外側に一定時間供給する。この洗浄運転によって濾過部材24の内部および外側表面部の固形物を剥離させて洗浄する。
洗浄運転の必要なタイミングは、例えばポンプ31による吸引圧力の上昇の検出によって行うことできる。また洗浄運転中は回転羽根16の回転を停止して嫌気槽12内の排水13を静止させ、濾過部材24から剥離させた固形物を嫌気槽12の底部に沈降させて排出管46、開閉弁47を介して排出する。
これによって、濾過部材24の内部および外側表面に付着した固形物を容器36内の処理水で洗浄し、濾過部材24の詰まりを防止することができる。さらにエアーを供給して担体の表面のみを洗浄する方法に比べ、嫌気槽12内の排水13の溶存酸素の増加を防止してメタノールの添加量の増加を抑制するとともに濾過部材24の内部も洗浄することができる。なお濾過部材24を加振手段28によって微振動させながら洗浄運転することによって、固形物の剥離を促進させてより洗浄効果を発揮させることができる。
また、嫌気槽12内の排水13の酸化還元電位検出手段42を備え、前記検出値により、ポンプ10による流量調整槽1内から嫌気槽12内への排水4の供給量またはポンプ31による濾過部材24を通過する処理水の吸引量を調節する。これは酸化還元電位検出手段42の検出値が規定値よりも高いときは、ポンプ10による流量調整槽1内から嫌気槽12内への排水4の供給量を減少、停止させる。またはポンプ31による濾過部材24を通過する処理水の吸引量を減少、停止させるように調節するものである。
これによって、PH値を中性に維持して処理水を放流することができるとともに、濾過部材24に担持させた嫌気性微生物を活性化させ、脱窒素反応を促進させることができる。なお流量調整槽1内または嫌気槽12内へ中和剤を必要に応じて供給しPH値を中性に維持してもよい。
また、嫌気槽12内の排水13の溶存酸素濃度の検出手段43を備え、この検出値により溶存酸素濃度が規定値よりも高くなれば、流量調整槽1内から嫌気槽12内への排水4の供給量を減少または停止するように調節する。これによって、嫌気槽12内の排水13を嫌気条件に維持し、排水13の脱窒素反応および濾過部材24に担持させた嫌気性微生物を活性化させ、脱窒素反応を促進させることができる。
また、ポンプ31と開閉弁32間との排出管33から分岐して開閉弁35を有する戻管34を設け、戻管34の他端は前記循環流の下降部15の排水13に開口させて各濾過部材24を通過した処理水を開閉弁35、戻管34を介して嫌気槽12内に戻す構成とする。濾過部材24で脱窒素処理した処理水を嫌気槽12内に一定時間戻した後、開閉弁35を閉、開閉弁33を開として前記濾過部材24から処理水を吸引して排出する。
この脱窒素処理の運転は、流量調整槽1内から嫌気槽12内への排水4の連続的な供給量を停止させて行うもので、嫌気槽12内に一定量貯留した排水13を複数回にわたって濾過部材24を通過させて脱窒素処理し、嫌気槽12内の排水13の硝酸ないし硝酸塩の濃度を一定以下まで低下させた後、この排水を濾過部材24から吸引して処理水を排出する。少なくとも濾過部材24の上部蓋26より上部の処理水を排出した後再び流量調整槽1内の排水4を嫌気槽12内へ供給して前記した運転を繰り返すものである。
これによって嫌気槽12内の排水13を硝酸ないし硝酸塩を低濃度してから濾過部材24を通過させるので、より完全に脱窒素処理して排出することができる。
以上のように、本発明によれば、嫌気槽内で排水とメタノールとの均一な混合を行い、さらにメタノールを含有した排水を、嫌気性微生物を担持した複数の中空状の濾過部材を通過させて脱窒素処理水として排出する。したがって硝酸ないし硝酸塩を含む排水の脱窒素処理の安定化および処理効率を向上させるとともに、装置の小型化、運転コストを抑制した排水処理方法を提供することができる。
脱窒素反応を必要とする廃液処理の用途に適用できる。
12 嫌気槽
13 排水
14 仕切筒
15 下降部
19 旋回羽根(混合促進手段)
24 濾過部材
36 容器
13 排水
14 仕切筒
15 下降部
19 旋回羽根(混合促進手段)
24 濾過部材
36 容器
Claims (10)
- 嫌気槽内に位置させた仕切筒の内側又は外側で硝酸ないし硝酸塩を含む排水の循環流を形成し、前記循環流の下降部の排水にメタノールを供給して混合し、前記仕切筒の外側に嫌気性微生物を担持した中空状の濾過部材を位置させるとともに、前記濾過部材に沿って上昇または下降する排水を前記濾過部材の外側から内側に吸引して脱窒素処理することを特徴とする排水処理方法。
- 硝酸ないし硝酸塩を含む排水を嫌気槽内の循環流の下降部に供給することを特徴とする請求項1に記載の排水処理方法。
- 循環流の下降部に排水とメタノールとの混合を促進させる混合促進手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の排水処理方法。
- 濾過部材で脱窒素処理した処理水の一部又は全部を嫌気槽内に戻した後、前記濾過部材から処理水を吸引して脱窒素処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排水処理方法。
- 濾過部材で脱窒素処理した処理水を一定量貯留し、前記処理水を前記濾過部材の内側から外側に供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排水処理方法。
- 嫌気槽内に位置させた仕切筒の内側又は外側で硝酸ないし硝酸塩を含む排水の循環流を形成する循環手段と、前記循環流の下降部の排水にメタノールを供給するメタノール供給手段と、前記仕切筒の外側に位置させた嫌気性微生物を担持した中空状の濾過部材と前記濾過部材に沿って上昇または下降する排水を前記濾過部材の外側から内側に吸引する吸引手段を備えたことを特徴とする排水処理装置。
- 硝酸ないし硝酸塩を含む排水を嫌気槽内の循環流の下降部に供給する排水供給手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の排水処理装置。
- 排水とメタノールとの混合を促進させる混合促進手段を循環流の下降部に備えたことを特徴とする請求項6または7に記載の排水処理装置。
- 濾過部材で脱窒素処理した処理水を前記嫌気槽内に戻す戻管を備え、前記処理水の一部又は全部を嫌気槽内に戻した後、前記濾過部材から処理水を吸引して脱窒素処理することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の排水処理装置。
- 濾過部材で脱窒素処理した処理水を一定量貯留する容器を備え、前記容器内の処理水を前記濾過部材の内側から外側に供給することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の排水処理装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005165130A JP2006334548A (ja) | 2005-06-06 | 2005-06-06 | 排水処理方法および排水処理装置 |
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Cited By (1)
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CN115780357A (zh) * | 2022-11-21 | 2023-03-14 | 安徽鑫发铝业有限公司 | 一种龙骨铝型材表面处理方法 |
-
2005
- 2005-06-06 JP JP2005165130A patent/JP2006334548A/ja active Pending
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