JP2006331140A - 電子機器の設計方法、電子機器設計装置、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 電子機器に使用するペルチェ素子の選定を容易に行えるようにする。
【解決手段】 冷却のためにペルチェ素子を備える電子機器を設定するときに、当該ペルチェ素子の低温面及び高温面の各々の表面温度の設定を境界条件として取得し(S102)、当該電子機器についての熱解析モデルに対する数値解析によって当該境界条件の下での当該低温面における吸熱量と当該高温面における放熱量とを算出し(S107)、当該熱解析により算出された吸熱量及び放熱量と、当該設定に係る当該低温面及び当該高温面の各々の表面温度の温度差とに基づいて、当該電子機器に使用するペルチェ素子の選定を行う(S110)。
【選択図】 図2
【解決手段】 冷却のためにペルチェ素子を備える電子機器を設定するときに、当該ペルチェ素子の低温面及び高温面の各々の表面温度の設定を境界条件として取得し(S102)、当該電子機器についての熱解析モデルに対する数値解析によって当該境界条件の下での当該低温面における吸熱量と当該高温面における放熱量とを算出し(S107)、当該熱解析により算出された吸熱量及び放熱量と、当該設定に係る当該低温面及び当該高温面の各々の表面温度の温度差とに基づいて、当該電子機器に使用するペルチェ素子の選定を行う(S110)。
【選択図】 図2
Description
本発明は、電子機器の設計の技術に関し、特に、ペルチェ素子を用いる放熱設計の技術に関する。
ペルチェ素子は電子機器の冷却手段として一般に用いられている。ペルチェ素子は対向する面で吸熱と放熱とを行う素子であり、低温面での吸熱量と高温面での放熱量とのバランスにより低温面と高温面との温度が決まる。
ペルチェ素子を用いて放熱を行う電子機器を設計する場合、吸熱量と放熱量とを見積もってペルチェ素子の動作を推定するが、この見積もりにおいては、熱伝導、熱伝達、熱輻射の各要素を考慮する必要があるため、単純な計算式を用いて行うことは困難である。そこで、ペルチェ素子を用いた電子機器の放熱設計に、コンピュータを用いた数値解析による熱解析が従来から利用されてきた。
数値解析を利用してペルチェ素子を用いた電子機器の放熱設計を行うとき、部品としてのペルチェ素子のモデルとしては、簡易的には図6Aのようなモデル、すなわち部品全体として高温面101と低温面102とを1つずつ有するモデルが用いられ、より詳細には図6Bのようなモデル、すなわち、高温面と低温面とを個々に有する半導体素子110からなるペルチェ素子の基本構造が所定数並べられてなるモデルが用いられることが一般的である。
ペルチェ素子による放熱作用を数値解析する場合、ペルチェ素子の熱収支の基礎式として、下記の式がよく用いられる。
素子の低温面での吸熱量Qc=αTcI−(1/2)rI2 −KΔT
素子の高温面での放熱量Qh=αThI+(1/2)rI2 −KΔT
なお、上式において、αは素子のゼーベック係数、rは素子の電気抵抗、Iは動作電流、Kは熱伝導率であり、Tcは素子の低温面の表面温度、Thは素子の高温面の表面温度、ΔT=Th−Tcである。このように、上式を使用するためには、少なくともα、r、
Kの値が必要である。
素子の低温面での吸熱量Qc=αTcI−(1/2)rI2 −KΔT
素子の高温面での放熱量Qh=αThI+(1/2)rI2 −KΔT
なお、上式において、αは素子のゼーベック係数、rは素子の電気抵抗、Iは動作電流、Kは熱伝導率であり、Tcは素子の低温面の表面温度、Thは素子の高温面の表面温度、ΔT=Th−Tcである。このように、上式を使用するためには、少なくともα、r、
Kの値が必要である。
ペルチェ素子毎に異なる上述したこれらの物性値を求める技術に関し、例えば特許文献1には、実測と有限要素法による熱解析との比較により、それらの値を求める技術が開示されている。
特開2003−303747号公報
しかしながら、この特許文献1に開示されている技術には、以下のような問題点がある。
(1)上述したようなペルチェ素子の物性値は、温度依存性が強いため測定や算出に工数を要する。
(2)これらの強い温度依存性のため、熱解析における計算コストも高い。
(3)設計の初期段階において、ペルチェ素子の吸熱量や放熱量の見積もりが困難であるため、使用するペルチェ素子の選定や動作電流の決定において試行錯誤が必要になる。
以上の理由から、従来した技術は実用的であるとはいえず、試作の繰返しにより放熱設計が行われているのが現状である。
(1)上述したようなペルチェ素子の物性値は、温度依存性が強いため測定や算出に工数を要する。
(2)これらの強い温度依存性のため、熱解析における計算コストも高い。
(3)設計の初期段階において、ペルチェ素子の吸熱量や放熱量の見積もりが困難であるため、使用するペルチェ素子の選定や動作電流の決定において試行錯誤が必要になる。
以上の理由から、従来した技術は実用的であるとはいえず、試作の繰返しにより放熱設計が行われているのが現状である。
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、電子機器に使用するペルチェ素子の選定を容易に行えるようにすることである。
本発明の態様のひとつである電子機器の設計方法は、冷却のためにペルチェ素子を備える電子機器の設計方法であって、当該ペルチェ素子の低温面及び高温面の各々の表面温度を境界条件として設定し、当該電子機器についての熱解析モデルに対する数値解析によって当該境界条件の下での当該低温面における吸熱量と当該高温面における放熱量とを算出し、当該熱解析により算出された当該吸熱量及び当該放熱量と、当該設定に係る当該低温面及び当該高温面の各々の表面温度の温度差とに基づいて、当該電子機器に使用するペルチェ素子の選定を行う、ことを特徴とするものであり、この特徴によって前述した課題を解決する。
なお、上述した本発明に係る電子機器の設計方法において、当該選定において、選定候補である複数のペルチェ素子には当該電子機器に使用可能なものが存在しなかった場合には、当該電子機器についての熱解析モデルを変更した上で当該熱解析を再度実施し、当該熱解析による解析結果に基づいて当該選定を再度行うようにしてもよい。
また、前述した本発明に係る電子機器の設計方法において、当該数値解析は有限要素法による熱解析であってもよい。
また、上述した本発明に係る電子機器の設計方法において、当該ペルチェ素子の選定は、動作電流−吸熱量特性及び動作電流−電圧特性が既知である複数のペルチェ素子からの選択によって行われるようにしてもよい。
また、上述した本発明に係る電子機器の設計方法において、当該ペルチェ素子の選定は、動作電流−吸熱量特性及び動作電流−電圧特性が既知である複数のペルチェ素子からの選択によって行われるようにしてもよい。
また、本発明の態様のひとつである電子機器設計装置は、冷却のためにペルチェ素子を備える電子機器の設計を行う装置であって、当該ペルチェ素子の低温面及び高温面の各々の表面温度の設定を境界条件として取得する設定取得手段と、当該電子機器についての熱解析モデルに対する数値解析によって当該境界条件の下での当該低温面における吸熱量と当該高温面における放熱量とを算出する算出手段と、当該熱解析により算出された当該吸熱量及び当該放熱量と、当該設定に係る当該低温面及び当該高温面の各々の表面温度の温度差とに基づいて、当該電子機器に使用するペルチェ素子の選定を行う選定手段と、を有することを特徴とするものであり、この特徴によって前述した課題を解決する。
なお、冷却のためにペルチェ素子を備える電子機器の設計をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、当該ペルチェ素子の低温面及び高温面の各々の表面温度の設定を境界条件として取得する処理と、当該電子機器についての熱解析モデルに対する数値解析によって当該境界条件の下での当該低温面における吸熱量と当該高温面における放熱量とを算出する処理と、当該熱解析により算出された当該吸熱量及び当該放熱量と、当該設定に係る当該低温面及び当該高温面の各々の表面温度の温度差とに基づいて、当該電子機器に使用するペルチェ素子の選定を行う処理と、をコンピュータに行わせるためのプログラムも本発明に係るものであり、当該コンピュータが当該プログラムを実行することによって上述した本発明に係る電子機器設計装置と同様の作用・効果を奏する結果、前述した課題が解決される。
本発明によれば、以上のようにすることにより、電子機器に使用するペルチェ素子の選定が容易に行えるようになるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、ここでは、図1に示すデジタルカメラ用のカメラユニットの放熱設計において本発明を実施する例を説明する。
図1に示すカメラユニットは、レンズ15が結像させる被写体像についての鮮明な画像を撮影可能とするために、レンズ15と間隔を設けて対向配置したCCD(電荷撮像素子)である撮像素子12をペルチェ素子11に接した状態で冷却して熱ノイズによる暗電流を抑えるようにしている。
図1に示すカメラユニットは、レンズ15が結像させる被写体像についての鮮明な画像を撮影可能とするために、レンズ15と間隔を設けて対向配置したCCD(電荷撮像素子)である撮像素子12をペルチェ素子11に接した状態で冷却して熱ノイズによる暗電流を抑えるようにしている。
筐体14内の空間に配置されたペルチェ素子11は、低温面11aは撮像素子12に、高温面11bは筐体14に、それぞれ接しており、低温面11aから吸熱し、高温面11bから放熱する。ペルチェ素子11が放熱した熱の殆どは筐体14を伝わって筐体表面14aから周囲へ放出されるが、その熱の一部はペルチェ素子11の低温面11aに再度取り込まれてしまう。つまり、ペルチェ素子11は、撮像素子12の発熱量と、自身が放熱した熱の一部と、撮像素子12の周辺に配置されており撮像素子12の動作を制御する制御回路が組み込まれている制御基板13上に配置されているICチップ16の発熱量と、を吸熱する。
次に図2について説明する。同図は放熱設計処理の処理内容をフローチャートで示したものである。
この処理は、ごく標準的な構成を有するコンピュータ、すなわち、図3に示すように、制御プログラムを実行することで各構成要素を制御するCPU21と、ROMやRAM及び磁気記憶装置などからなり、CPU21に各構成要素を制御させる制御プログラムの記憶やCPU21が制御プログラムを実行する際のワークエリアあるいは各種データの記憶領域として使用される記憶部22と、ユーザによる操作に対応する各種のデータが取得される入力部23と、ディスプレイなどに各種のデータを提示してユーザに通知する出力部24と、他の機器とのデータ授受のためのインタフェース機能を提供するI/F部25とを備えているコンピュータに行わせるようにする。なお、このような処理をコンピュータに行わせるには、例えば、図2に示した手順の処理をコンピュータに行わせる制御プログラムを作成してコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録させておき、その制御プログラムを記録媒体からコンピュータに読み出させて実行させればよく、この結果、当該コンピュータは電子機器設計装置として機能する。
この処理は、ごく標準的な構成を有するコンピュータ、すなわち、図3に示すように、制御プログラムを実行することで各構成要素を制御するCPU21と、ROMやRAM及び磁気記憶装置などからなり、CPU21に各構成要素を制御させる制御プログラムの記憶やCPU21が制御プログラムを実行する際のワークエリアあるいは各種データの記憶領域として使用される記憶部22と、ユーザによる操作に対応する各種のデータが取得される入力部23と、ディスプレイなどに各種のデータを提示してユーザに通知する出力部24と、他の機器とのデータ授受のためのインタフェース機能を提供するI/F部25とを備えているコンピュータに行わせるようにする。なお、このような処理をコンピュータに行わせるには、例えば、図2に示した手順の処理をコンピュータに行わせる制御プログラムを作成してコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録させておき、その制御プログラムを記録媒体からコンピュータに読み出させて実行させればよく、この結果、当該コンピュータは電子機器設計装置として機能する。
なお、記録させた制御プログラムをコンピュータで読み取ることの可能な記録媒体としては、例えば、コンピュータに内蔵若しくは外付けの付属装置として備えられるRAM若しくはROM又はハードディスク装置などのメモリ、あるいはFD(フレキシブルディスク)、MO(光磁気ディスク)、CD−ROM、DVD−ROMなどといった可搬型記録媒体等が利用できる。
また、記録媒体は回線を介してコンピュータと接続される、プログラムサーバとして機能するコンピュータが備えている記憶装置であってもよい。この場合には、制御プログラムを表現するデータ信号で搬送波を変調して得られる伝送信号を、プログラムサーバから伝送媒体である回線を通じて伝送するようにし、コンピュータでは受信した伝送信号を復調して制御プログラムを再生することで当該制御プログラムを実行できるようになる。
以下、図2のフローに従い、上述したカメラユニットの放熱設計を行うときの手順を、具体的な数値例を交えながら説明する。
まず、始めに、カメラユニットの設計要求温度の設定を行う。ここでは、設計要求温度として、筐体14を取り巻く空気の温度(周囲温度)Taが30℃のときに撮像素子12の温度が15℃以下、筐体表面14aの温度が50℃以下、各ICチップ16が40℃以下とすることを設定するものとする。コンピュータは、S101において、この設計要求温度の設定内容を取得する処理を実行する。
まず、始めに、カメラユニットの設計要求温度の設定を行う。ここでは、設計要求温度として、筐体14を取り巻く空気の温度(周囲温度)Taが30℃のときに撮像素子12の温度が15℃以下、筐体表面14aの温度が50℃以下、各ICチップ16が40℃以下とすることを設定するものとする。コンピュータは、S101において、この設計要求温度の設定内容を取得する処理を実行する。
次に、カメラユニットの動作時におけるペルチェ素子11の低温面と高温面との各々の温度の設定を行う。ここでは、前述した設計要求温度を考慮し、低温面を15℃、高温面を50℃と設定するものとする。コンピュータは、S102において設定取得手段として機能し、このペルチェ素子11の低温面及び高温面の各々の表面温度の設定内容を境界条件として取得する処理を実行する。
次に、解析モデルの作成と各部材の物性値の入力とを行う。すなわち、カメラユニット各部の形状やカメラユニットを構成する各部材の配置位置、更には、各部材の物性値として、各部材の熱伝導率をコンピュータへ入力する。なお、ここで、本実施例においては、ペルチェ素子11を、図4で示すような、2枚のシェル要素31a(高温面側)及び31b(低温面側)と、その間に挟まれるソリッド要素32とでモデル化して入力する。但し、ソリッド要素32は断熱体とする。コンピュータは、S103において、これらの解析モデルの入力を取得する処理を実行し、続くS104において、これらの物性値の入力を取得する処理を実行する。
次に、カメラユニットに対する熱荷重、及び、熱解析における他の境界条件をコンピュータへ入力する。ここでは、熱荷重として撮像素子12とICチップ16とに発熱量を設定する。また、熱解析における境界条件として、周囲温度Taの他に、筺体表面14aに対して熱伝導、熱伝達、熱輻射による放熱特性を設定し、ペルチェ素子11の両面のシェル要素31a及び31bに温度条件を設定する。コンピュータは、S105において、これらの熱荷重の入力及び境界条件の入力を取得する処理を実行する。
なお、この物性値及び境界条件の具体的な数値例としては、筐体表面14aの放熱特性としてはq=h(Ts−Ta)を設定し、ペルチェ素子11の低温面11aには15℃を設定し、高温面11bには50℃を設定するものとする。なお、ここで、qは熱流束[W/m2 ]、hは熱伝達係数[W/m2 K](q例えば10[W/m2 K])、Tsは筐体表面14aの温度[K]、Taは周囲温度[K]である。
以上までの各種数値の入力が完了した後、コンピュータに対して有限要素法におけるメッシュ作成の指示、及び有限要素法による熱解析の実行指示を行う。コンピュータは、この指示を取得すると算出手段として機能し、S106において解析モデルに対するメッシュの作成処理を実行し、続くS107において、メッシュを作成した解析モデルに対する有限要素法による熱解析処理を、上述した処理によって取得した境界条件の下で実行する。なお、本実施形態においては、このメッシュ作成の処理や有限要素法による熱解析処理は、市販の解析ソフトウエア(例えば、アバカス(ABAQUS)社製の汎用の有限要素法による数値解析プログラムであるABAQUS)を使用して行うものとする。
この熱解析により、各部材の表面温度、及び、ペルチェ素子11の低温面11aでの吸熱量Qc[W]、高温面11bからの放熱量Qh[W]が算出される。ここで、コンピュータは、S108において、熱解析によって得られた撮像素子12及びICチップ16の表面温度が、S101の処理によって取得していた設計要求温度の条件を満たしているか否かを判定する処理を実行する。この判定処理において、設計要求温度の条件を満たせていないと判定されたとき(判定結果がNoのとき)には、S109において、その旨を設計者へ通知するための表示を行う。この表示に応じ、設計者は解析モデルの変更に着手する。
例えば、制御基板13の全体が40℃を超えてしまうことが熱解析の結果として提示されている場合には、ペルチェ素子11の低温面11aの温度設定を低く変更してみる。また、例えばICチップ16のうち一部のもののみが40℃を超えてしまうことが熱解析の結果として提示されている場合には、ICチップ16の制御基板13上での配置を変更してみる。
コンピュータは、前述したS102からS105の処理を再度実行してこのような変更指示の取得を行い、続くS106及びS107の処理を実行して熱解析を再度試みる。そして、S108の判定処理において、設計要求温度の条件を満たせていると判定されるまで(判定結果がYesとなるまで)、この解析モデルの変更及び熱解析を繰り返す。
設計要求温度の条件を満たせていると判定されたときには、コンピュータは、S110の処理を実行して選定手段として機能し、このときの熱解析において設定されていた温度条件に合致するペルチェ素子11の選定を行う。
例えば、制御基板13の全体が40℃を超えてしまうことが熱解析の結果として提示されている場合に、ペルチェ素子11の低温面11aの温度を10℃に変更することにより、ICチップ16の表面温度の熱解析結果が全て40℃以下となり、S108の判定結果がYesになったものとする(なお、このとき、高温面11bと低温面11aの温度差ΔTは、50−10=40[℃]である)。
そして、このときのペルチェ素子11の低温面11aの吸熱量Qc[W]と、高温面11bの放熱量Qh[W]とを算出したところ、それぞれ2Wと10Wとであったとする。
ここで、図5A及び図5Bについて説明する。同図は、他の設計条件によって選定候補として絞られている各ペルチェ素子の動作特性をグラフで示した図であり、図5Aは動作電流−吸熱量特性を、図5Bは動作電流−電圧特性を、それぞれ示している。コンピュータは、このグラフで示されている動作特性を数値データの形式で予め記憶部22に保有しているものとする。
ここで、図5A及び図5Bについて説明する。同図は、他の設計条件によって選定候補として絞られている各ペルチェ素子の動作特性をグラフで示した図であり、図5Aは動作電流−吸熱量特性を、図5Bは動作電流−電圧特性を、それぞれ示している。コンピュータは、このグラフで示されている動作特性を数値データの形式で予め記憶部22に保有しているものとする。
図5A及び図5Bに特性が示されているペルチェ素子A、B、及びCに関し、コンピュータは、吸熱量Qc=2W、及び、高温面と低温面との温度差ΔT=40℃、並びに図5A及び図5Bの特性より、実際の放熱量Qh’を下式より算出する処理を実行する。
Qh’=Qc+I×V
上式よりペルチェ素子A、B、及びCのQh’を求めると、それぞれおよそ9W、10W、及び11Wが得られる。
上式よりペルチェ素子A、B、及びCのQh’を求めると、それぞれおよそ9W、10W、及び11Wが得られる。
前述した熱解析により得られた放熱量Qhは10Wであったことから、ペルチェ素子Bを図1のカメラユニットに使用することにより、ペルチェ素子11の高温面11bの表面温度は50℃となるので設計要求を満たすことができる。一方、ペルチェ素子Cを使用すると、高温面11bの表面温度は50℃を超えてしまうため、設計要求を満たせない。
但し、ペルチェ素子Aを図1のカメラユニットに使用すると、設計要求を満たしたままで高温面の表面温度を50℃よりも更に低くすることができることが分かる。つまり、より低い動作電力で同じパフォーマンス(冷却効果)が得られるので、この場合においては、図1のカメラユニットとしてペルチェ素子Aを選定することが最適であると判断できる。そこで、コンピュータは、この選定結果を設計者へ通知するための表示を行い、その後はこの図2の処理を終了する。
なお、このS110のペルチェ素子の選定において、条件を満たすペルチェ素子が存在しない場合には、コンピュータは改めてS109の処理を実行し、その旨を設計者へ通知するための表示を行う。この表示に応じ、設計者は解析モデルの変更に着手する。すなわち、ペルチェ素子11の低温面11aあるいは高温面11bの温度設定、カメラユニットの構成部材の寸法、配置、材質、発熱量や境界条件のうち1つ以上を変更する。コンピュータは、前述したS102からS105の処理を再度実行してこのような変更指示の取得を行い、続くS106及びS107の処理を実行して熱解析を再度試みる。そして、カメラユニットに使用するペルチェ素子11が選定されるまで同様の処理を繰り返す。
以上のようにして、カメラユニットの放熱設計が完了する。
なお、上述した熱解析において、解析対象領域に筐体の周りの流体を含めるようにし、その流体の物性や風速、重力などをコンピュータへ入力し、自然空冷や強制空冷をより厳密に考慮した熱流体解析をコンピュータに行わせるようにすることも可能である。
なお、上述した熱解析において、解析対象領域に筐体の周りの流体を含めるようにし、その流体の物性や風速、重力などをコンピュータへ入力し、自然空冷や強制空冷をより厳密に考慮した熱流体解析をコンピュータに行わせるようにすることも可能である。
また、上述した熱解析において、ペルチェ素子11のシミュレーションモデル(図4)のソリッド要素32を断熱体とせずに、実測などで得た熱伝導率やジュール発熱量をコンピュータへ入力して解析させるようにすることもできる。
また、熱解析のための数値解析の手法として、有限要素法を利用する代わりに、有限体積法や有限差分法を利用してもよい。
また、上述した熱解析において、ペルチェ素子11の吸熱量QcとΔTから選定候補の各ペルチェ素子の放熱量Qh’を求め、このQh’と解析結果の放熱量Qhとの対比によってペルチェ素子の選定を行うようにしていたが、ペルチェ素子の放熱量QhとΔTから実際のペルチェ素子の吸熱量Qc’を求め、このQc’と解析結果の吸熱量Qcとの対比によってペルチェ素子の選定を行うようにすることも可能である。
また、上述した熱解析において、ペルチェ素子11の吸熱量QcとΔTから選定候補の各ペルチェ素子の放熱量Qh’を求め、このQh’と解析結果の放熱量Qhとの対比によってペルチェ素子の選定を行うようにしていたが、ペルチェ素子の放熱量QhとΔTから実際のペルチェ素子の吸熱量Qc’を求め、このQc’と解析結果の吸熱量Qcとの対比によってペルチェ素子の選定を行うようにすることも可能である。
また、上述したQh’やQc’を求めるために利用するペルチェ素子の動作特性として、動作電流−吸熱量特性と動作電流−電圧特性との組み合わせの代わりに、例えば、吸熱量−低温面温度特性と電圧−低温面温度特性との組み合わせを利用することもできる。
以上のように、本実施形態によれば、ゼーベック係数・電気抵抗率・熱伝導率などの物性値を算出することなしにペルチェ素子11を用いたカメラユニットの放熱設計を行うことができるので、低い計算コストで熱解析のための数値演算を行うことが可能となる。その結果、カメラユニットに使用するペルチェ素子11の選定が短時間で且つ容易に行えるので、試作実験の削減や生産化リードタイムが短縮可能となり、ユーザニーズに素早く対応した商品提供が可能となる。
また、試作実験が不要となることにより、または低減されることにより、コスト削減や、環境負荷の低減にも寄与する。
更に、ペルチェ素子11の選定を行う前に各部品の熱的な検討を行うので、早い段階でカメラユニット全体における熱的に危険な箇所を発見することが可能となる。
更に、ペルチェ素子11の選定を行う前に各部品の熱的な検討を行うので、早い段階でカメラユニット全体における熱的に危険な箇所を発見することが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
11 ペルチェ素子
11a、102 低温面
11b、101 高温面
12 撮像素子
13 制御基板
14 筐体
14a 筐体表面
15 レンズ
16 ICチップ
21 CPU
22 記憶部
23 入力部
24 出力部
25 I/F部
31a、31b シェル要素
32 ソリッド要素
110 半導体素子
11a、102 低温面
11b、101 高温面
12 撮像素子
13 制御基板
14 筐体
14a 筐体表面
15 レンズ
16 ICチップ
21 CPU
22 記憶部
23 入力部
24 出力部
25 I/F部
31a、31b シェル要素
32 ソリッド要素
110 半導体素子
Claims (6)
- 冷却のためにペルチェ素子を備える電子機器の設計方法であって、
前記ペルチェ素子の低温面及び高温面の各々の表面温度を境界条件として設定し、
前記電子機器についての熱解析モデルに対する数値解析によって前記境界条件の下での前記低温面における吸熱量と前記高温面における放熱量とを算出し、
前記熱解析により算出された前記吸熱量及び前記放熱量と、前記設定に係る前記低温面及び前記高温面の各々の表面温度の温度差とに基づいて、前記電子機器に使用するペルチェ素子の選定を行う、
ことを特徴とする電子機器の設計方法。 - 前記選定において、選定候補である複数のペルチェ素子には前記電子機器に使用可能なものが存在しなかった場合には、前記電子機器についての熱解析モデルを変更した上で前記熱解析を再度実施し、当該熱解析による解析結果に基づいて当該選定を再度行うことを特徴とする請求項1に記載の電子機器の設計方法。
- 前記数値解析は有限要素法による熱解析であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器の設計方法。
- 前記ペルチェ素子の選定は、動作電流−吸熱量特性及び動作電流−電圧特性が既知である複数のペルチェ素子からの選択によって行われることを特徴とする請求項1から3までのうちのいずれか一項に記載の電子機器の設計方法。
- 冷却のためにペルチェ素子を備える電子機器の設計を行う装置であって、
前記ペルチェ素子の低温面及び高温面の各々の表面温度の設定を境界条件として取得する設定取得手段と、
前記電子機器についての熱解析モデルに対する数値解析によって前記境界条件の下での前記低温面における吸熱量と前記高温面における放熱量とを算出する算出手段と、
前記熱解析により算出された前記吸熱量及び前記放熱量と、前記設定に係る前記低温面及び前記高温面の各々の表面温度の温度差とに基づいて、前記電子機器に使用するペルチェ素子の選定を行う選定手段と、
を有することを特徴とする電子機器設計装置。 - 冷却のためにペルチェ素子を備える電子機器の設計をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
前記ペルチェ素子の低温面及び高温面の各々の表面温度の設定を境界条件として取得する処理と、
前記電子機器についての熱解析モデルに対する数値解析によって前記境界条件の下での前記低温面における吸熱量と前記高温面における放熱量とを算出する処理と、
前記熱解析により算出された前記吸熱量及び前記放熱量と、前記設定に係る前記低温面及び前記高温面の各々の表面温度の温度差とに基づいて、前記電子機器に使用するペルチェ素子の選定を行う処理と、
をコンピュータに行わせるためのプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005154853A JP2006331140A (ja) | 2005-05-27 | 2005-05-27 | 電子機器の設計方法、電子機器設計装置、及びプログラム |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010175835A (ja) * | 2009-01-29 | 2010-08-12 | Hitachi Kokusai Electric Inc | カメラ装置 |
CN112133681A (zh) * | 2020-08-18 | 2020-12-25 | 山东汉旗科技有限公司 | 带有散热结构的集成电路芯片封装方法及系统 |
-
2005
- 2005-05-27 JP JP2005154853A patent/JP2006331140A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010175835A (ja) * | 2009-01-29 | 2010-08-12 | Hitachi Kokusai Electric Inc | カメラ装置 |
CN112133681A (zh) * | 2020-08-18 | 2020-12-25 | 山东汉旗科技有限公司 | 带有散热结构的集成电路芯片封装方法及系统 |
CN112133681B (zh) * | 2020-08-18 | 2022-11-08 | 山东汉旗科技有限公司 | 带有散热结构的集成电路芯片封装方法及系统 |
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