JP2006329787A - 車載電装品試験システム及び試験方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両全体を正確に模擬したシミュレーションを行って、各種車載電装品の動作を正確に試験することができると共に、各コントローラでの制御が正常に行われているかどうかを容易に確認することが可能な車載電装品試験システム及び試験方法を提供する。
【解決手段】複数の評価対象モデルM1,M2,M3・・・Mnと車両モデル3と計測用マシン4とを2系統の通信線1,2を用いて接続すると共に、複数の評価対象モデルM1,M2,M3・・・Mnが送受信するデータを共有データエリア5に一時的に格納し、当該共有データエリア5に一時的に格納されたデータをデータ収集装置6が収集して、そのデータの内容を記録するというシミュレーション環境を構築する。
【選択図】図1
【解決手段】複数の評価対象モデルM1,M2,M3・・・Mnと車両モデル3と計測用マシン4とを2系統の通信線1,2を用いて接続すると共に、複数の評価対象モデルM1,M2,M3・・・Mnが送受信するデータを共有データエリア5に一時的に格納し、当該共有データエリア5に一時的に格納されたデータをデータ収集装置6が収集して、そのデータの内容を記録するというシミュレーション環境を構築する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両に搭載された車載電装品、特に車内LANのノードとしてLANバスに接続される複数の制御装置により動作制御される各種車載電装品の動作を、コンピュータを用いたシミュレーションによって試験する車載電装品試験システム及び試験方法に関する。
車両に搭載される各種車載電装品は、各種センサによって検出される車両の状態に応じて、ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれるコントローラによって電気的に動作制御されるものが多くなってきている。また、近年では、複数のコントローラをバスで接続して車内LANを構築し、これら複数のコントローラ間で車内LANを利用したデータ通信を行うことで、複数の車載電装品を連携させて動作させることも行われている。
ところで、このような車載電装品を市場に提供するにあたっては、各車載電装品が実際に車両に搭載された状態で確実に動作するか否かを試験する必要がある。この場合、各車載電装品それぞれの動作を個別に確認することは勿論、複数の車載電装品間での連携動作についても、正常に動作するか否かを確認することが重要である。
このような車載電装品の試験は、従来、実際にコントローラを用いて車載電装品を動作させ、その状態をモニタするといった手法で実施されていたが、近年のコンピュータ関連技術の向上によって、コンピュータを用いたシミュレーションにより、電子化されたコントローラのモデルの評価を行うといった手法で実施できるようになってきている。
複数の車載電装品間での連携動作を、以上のようなコンピュータを用いたシミュレーションにより試験する方法としては、電子化されたコントローラのモデル複数個を1系統のLANバスに接続し、このLANバスを介した複数のモデル間のデータ通信をシミュレートすることで、各モデルの評価を行うという方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
非特許文献1には、「スイッチを入れるとエンジン速度の表示が変わる」という車載電装システムを例に挙げ、この車載電装システムを構成する3つのコントローラのモデルをLANバスで接続して、これら3つのモデル間のLANバスを介したデータ通信をシミュレートする試験システムが記載されている。
「CANoe CAN.LIN.MOST マニュアルバージョン4.0」,ベクタージャパン株式会社,2002年10月16日,p.3
「CANoe CAN.LIN.MOST マニュアルバージョン4.0」,ベクタージャパン株式会社,2002年10月16日,p.3
しかしながら、上述した非特許文献1に記載の試験システムをはじめ、コンピュータを用いたシミュレーションにより複数の車載電装品間での連携動作を試験する従来の試験システムでは、複数のコントローラのモデルを1系統のLANバスで接続した構成となっているため、車内LAN以外によるデータ通信、例えばワイヤハーネスを介した信号の送受信については正当な評価が行えず、車両全体を正確に模擬したシミュレーションを行えないという問題がある。
すなわち、車内LANが構築された実際の車両においては、複数のコントローラ間のデータ通信はLANバスを介して行われるものの、各種センサから各コントローラへの検出信号の入力や、各コントローラからアクチュエータへの制御信号の出力にはワイヤハーネスが用いられるものが多く、1系統の通信線によるデータ通信のシミュレーションでは、このような車両全体を正確に模擬したものとはならない。また、LANバスを介したデータ通信とワイヤーハーネスを介した信号の送受信とを、1系統のLANバスで同時に行うことも技術的に可能ではあるが、実際には2系統の通信線で行われる処理をこのような1系統の通信線でシミュレートしたのでは正当な評価は行えず、必ずしも満足のいく試験を実施できない。
また、コンピュータを用いたシミュレーションにより複数の車載電装品間での連携動作を試験する場合、特に各コントローラでの制御が正常に行われているかどうかを確認するためには、各コントローラのモデルがどのようなデータを受信し、それに応じてどのようなデータを送信したかを解析することも重要である。このため、従来の一般的な試験システムでは、各コントローラのモデルの内部に当該コントローラのモデルが送受信したデータの内容を記録する機能を作り込むようにしていたが、このような手法では、各コントローラのモデルの作成及びシミュレーション環境の構築に膨大な工数がかかってしまうという問題が生じる。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、車両全体を正確に模擬したシミュレーションを行って、各種車載電装品の動作を正確に試験することができると共に、各コントローラでの制御が正常に行われているかどうかを容易に確認することが可能な車載電装品試験システム及び試験方法を提供することを目的としている。
本発明は、車内LANのノードとしてLANバスに接続される複数の制御装置により動作制御される各種車載電装品の動作を試験するにあたり、複数の評価対象モデルと車両モデルとユーザインターフェースとを2系統の通信線を用いて接続すると共に、複数の評価対象モデルが送受信するデータを共有データエリアに一時的に格納し、当該共有データエリアに一時的に格納されたデータをデータ収集装置が収集して、そのデータの内容を記録するというシミュレーション環境を構築することによって、上述した課題を解決する。
複数の評価対象モデルは、各種車載電装品の動作制御を行う複数の制御装置を模したモデルである。車両モデルは、車両運動のシミュレーションを行って、車両の状態を表す信号を各評価対象モデルに送信するものであり、車両に搭載された各種センサに相当するものである。また、ユーザインターフェースは、動作試験のための操作入力及び各評価対象モデルによる制御内容の確認を行うためのものであり、車両に設けられた各種操作スイッチ類や、各種車載電装品を動作させるためのアクチュエータに相当するものである。
2系統の通信線のうちの第1の通信線はLANバスを模した通信線であり、第2の通信線はワイヤーハーネスを模した通信線である。複数の評価対象モデルはこれらLANバスを模した第1の通信線及びワイヤーハーネスを模した第2の通信線によって相互に接続される。また、車両モデル及びユーザインターフェースと複数の評価対象モデルとは、ワイヤーハーネスを模した第2の通信線により接続される。
共有データエリア及びデータ収集装置は、シミュレーション環境内に設けられる。共有データエリアには、複数の評価対象モデルが送受信するデータが一時的に格納され、データ収集装置が、この共有データエリアに一時的に格納されたデータを収集して、そのデータの内容を記録する。
本発明によれば、実際の車両でLANバス経由で行われるデータ通信と、ワイヤハーネスを用いて行われる信号の送受信とを、2系統の通信線を用いて、実際の車両における通信環境を忠実に再現した通信環境でシミュレートできるので、車両に搭載される各種車載電装品の正確な動作試験を実施することが可能となる。また、各評価対象モデル内にデータを記録する機能を設けることなく、各評価対象モデルが送受信するデータを収集してその内容を記録することができ、各種車載電装品の動作の際に各制御装置での制御が正常に行われているかどうかを容易に確認することが可能となる。
以下、本発明に係る車載電装品試験システムの具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した車載電装品試験システムの一構成例を図1に示す。この図1に示す車載電装品試験システムは、車両に搭載される複数の車載電装品間での連携動作をコンピュータを用いたシミュレーションによって試験するものであり、車内LANのノードとしてLANバスに接続されて各種車載電装品の動作制御を行う複数のコントローラを模した複数の評価対象モデルM1,M2,M3・・・Mnを備える。
これら複数の評価対象モデルM1,M2,M3・・・Mnは、各種車載電装品の動作制御を行う複数のコントローラの機能をコンピュータ上で模擬するものであり、シミュレーション環境を構築するための複数のハードウェア(例えばパーソナルコンピュータ)を用いて実現される。そして、これら複数の評価対象モデルM1,M2,M3・・・Mn(以下、特にこれらを区別しないときは、評価対象モデルMと総称する。)は、車内LANのLANバスに相当する第1の通信線1によって相互に接続され、この第1の通信線1を介して各評価対象モデルM間でのデータ通信が行えるようになっている。この第1の通信線1を介した各評価対象モデルM間でのデータ通信は、実際の車両において、車内LAN経由で実施される各コントローラ間のデータ通信に相当するものである。
また、これら複数の評価対象モデルM1,M2,M3・・・Mnは、LANバスを模した第1の通信線1の他、車両用ワイヤハーネスに相当する第2の通信線2によっても相互に接続され、この第2の通信線2を介した各評価対象モデルM間でのデータ通信も行えるようになっている。すなわち、実際の車両においては、複数のコントローラ間でのデータ通信が部分的にワイヤハーネス経由で行われることも想定されるので、本発明を適用した車載電装品試験システムでは、これに対応するために、ワイヤハーネスを模した第2の通信線2経由での各評価対象モデルM間のデータ通信も可能としている。
各評価対象モデルMは、それぞれ、対応するコントローラによる制御内容と同様の処理を実行する制御モデル部11と、通信モデル部12とを有している。この通信モデル部12は、当該評価対象モデルMが車内LANのLANバスを模した第1の通信線1を介したデータ通信を実施するための制御を行うものである。すなわち、通信モデル部12は、制御モデル部11からデータが送られてくると、このデータを車内LANのプロトコルに合致する形式に変換して、第1の通信線1経由で他の評価対象モデルMへと送信する。また、通信モデル部12は、第1の通信線1経由で他の評価対象モデルMからデータが送られてくると、このデータを制御モデル部11が扱えるデータ形式に変換して、制御モデル部11へと送信する。
また、本発明を適用した車載電装品試験システムは、これら各評価対象モデルMの他に、車両モデル3と、計測用マシン(ユーザインターフェース)4とを備える。そして、これら車両モデル3と計測用マシン4は、それぞれ、ワイヤハーネスを模した第2の通信線2を介して各評価対象モデルMに接続されている。
車両モデル3は、車両運動のシミュレーションを行って、車両の状態を表す各種信号を各評価対象モデルMに送信するものであり、車両に設置された各種センサに相当するものである。したがって、この車両モデル3から第2の通信線2を介して各評価対象モデルMに送信される信号は、実際の車両において、各種のセンサからワイヤハーネス経由で各コントローラに送られるセンサ信号に相当する。
また、計測用マシン4は、ユーザが動作試験のための操作入力を行ったり、各評価対象モデルMによる制御内容の確認を行ったりするためのユーザインターフェースであり、車両に設けられた各種操作スイッチ類や、各種車載電装品を動作させるためのアクチュエータに相当するものである。したがって、この計測用マシン4から第2の通信線2を介して各評価対象モデルMに送信される信号は、実際の車両において、各種操作スイッチ類からワイヤハーネス経由で各コントローラに送られる制御指令に相当する。また、各評価対象モデルMから第2の通信線2を介して計測用マシン4に送信される信号は、実際の車両において、各コントローラからワイヤハーネス経由で各種アクチュエータに送られる動作制御信号に相当する。
また、本発明を適用した車載電装品試験システムにおいては、シミュレーション環境内に、各評価対象モデルMが送受信するデータを一時的に格納する共有データエリア5と、この共有データエリア5に一時的に格納された各種データを収集して、そのデータの内容を記録するデータ収集装置6とが設けられている。
共有データエリア5は、シミュレーション環境を構築するパーソナルコンピュータ等におけるメモリ空間で実現され、シミュレーション環境内の任意の点からアクセス可能とされている。そして、各評価対象モデルMが第1の通信線1経由で受信する他の評価対象モデルMからのデータや、各評価対象モデルMが第2の通信線2経由で受信する車両モデル3、計測用マシン4、他の評価対象モデルMからのデータが、この共有データエリア5に一時的に格納される。また、各評価対象モデルMが第1の通信線1経由で他の評価対象モデルMに送信するデータや、各評価対象モデルMが第2の通信線2経由で車両モデル3、計測用マシン4、他の評価対象モデルMに送信するデータが、この共有データエリア5に一時的に格納される。このように、本発明を適用した車載電装品試験システムにおいては、第1の通信線1や第2の通信線2を介して各評価モデルMが送受信するデータ全てが、共有データエリア5に一時的に格納されるようになっている。
また、データ収集装置6は、パーソナルコンピュータ等を用いたシミュレーションモデルとして実現され、第2の通信線2を介して共有データエリア5にアクセス可能とされている。そして、このデータ収集装置6は、例えば、計測用マシン4を利用したユーザからの指示入力にしたがって共有データエリア5にアクセスし、図2に示すように、この共有データエリア5に一時的に格納された各種データ、すなわち各評価対象モデルMが送受信するデータを収集して、そのデータの内容を記録する。具体的には、このデータ収集装置6は、共有データエリア5に一時的に格納された評価対象モデルMの送受信データについて、例えば以下の(1)〜(6)の各項目を記録する。
(1)データ名
(2)データの送信モデル
(3)データの受信モデル
(4)データの値(数値)
(5)データの型(int,double,char等)
(6)データサイズ
また、このデータ収集装置6はロギング機能を有しており、各評価対象モデルMの動作周期に同期して、その動作周期毎に共有データエリア5に送られてくる評価対象モデルMの送受信データに関する前記(1)〜(6)の各項目を、時系列で記録することが可能となっている。このデータ収集装置6のロギング機能により、ユーザは、各評価モデルMが時間経過とともにどのように動作しているのかを詳細に確認することが可能となる。
(2)データの送信モデル
(3)データの受信モデル
(4)データの値(数値)
(5)データの型(int,double,char等)
(6)データサイズ
また、このデータ収集装置6はロギング機能を有しており、各評価対象モデルMの動作周期に同期して、その動作周期毎に共有データエリア5に送られてくる評価対象モデルMの送受信データに関する前記(1)〜(6)の各項目を、時系列で記録することが可能となっている。このデータ収集装置6のロギング機能により、ユーザは、各評価モデルMが時間経過とともにどのように動作しているのかを詳細に確認することが可能となる。
また、このデータ収集装置6は、複数の評価対象モデルMの接続/非接続の切り替えを制御するモデル切替機能を有している。すなわち、本発明を適用した車載電装品試験システムにおいては、例えばMT(Manual Transmission)コントローラとAT(Automatic Transmission)コントローラといったように、実際の車両では同時に搭載されることのないコントローラの双方について、1つのシミュレーション環境上でそれぞれ評価対象モデルMを作成している。そして、シミュレーションを実施する際には、これらのうちの一方の評価対象モデルMのみを接続状態とし、他方の評価対象モデルMは非接続状態とすることで、実際の車両に対応させたシミュレーション環境としている。そして、このような評価対象モデルMの接続/非接続の切り替えを、データ収集装置6が制御するようにしている。
具体的には、データ収集装置6は、例えば、詳細を後述する接続ファイルを利用して、評価対象モデルMの接続/非接続の切り替えを制御する。この接続ファイルには、各評価対象モデルM間での通信を実施するための各種情報が記載されているので、この接続ファイルに、例えば上述したMTコントローラを模した評価対象モデルMが他の評価対象モデルMとの間でデータ通信を行うための接続セットと、ATコントローラを模した評価対象モデルMが他の評価対象モデルMとの間でデータ通信を行うための接続セットとを準備しておき、データ収集装置6からのコマンドにより何れか一方の接続セットを認識させるようにする。これにより、一方の評価対象モデルMのみを接続状態とし、他方の評価対象モデルMを非接続状態とすることが可能となる。
本発明を適用した車載電装品試験システムでは、このようにデータ収集装置6にモデル切替機能を持たせることで、図3に示すように、シミュレーション時に同時に存在し得ない評価対象モデルMのそれぞれが送受信するデータを、データ収集装置6からのコマンドに応じて共有データエリア5に一時的に格納させて、そのデータの内容をデータ収集装置6が記録できることとなり、効率的なシステム運用が可能となる。
また、本発明を適用した車載電装品試験システムにおいては、シミュレーション環境内にクロックサーバ7が設けられている。クロックサーバ7は、複数の評価対象モデルM1,M2,M3・・・Mn間での同期処理を行うものであり、第2の通信線2を介して各評価対象モデルMにそれぞれ接続されている。そして、このクロックサーバ7は、第2の通信線2経由で各評価対象モデルMに対して同期クロックを送信し、この同期クロックを基準として各評価対象モデルMでの処理が行われるようにすることで、各評価対象モデルM間での同期を実現する。
すなわち、本発明を適用した車載電装品試験システムでは、シミュレーション開始時に、各評価対象モデルMを実現するパーソナルコンピュータ等が起動されて通信環境が整うと、図4のタイムチャートで示すように、先ず、クロックサーバ7から各評価対象モデルMに対して、同期クロックが送信される。各評価対象モデルMは、クロックサーバ7からの同期クロックを受信すると、これを基準としてクロック間隔分の処理をそれぞれ実行する。そして、各評価対象モデルMは、クロック間隔分の処理が終了した段階で、クロックサーバ7に対して完了通知を送信する。
クロックサーバ7は、全ての評価対象モデルMからの完了通知を受信すると、次のサイクルへと移行して、次の同期クロックを発生する。そして、次の同期クロックが各評価対象モデルMで受信され、次のクロック間隔分の処理が各評価対象モデルMで実行される。本発明を適用した車載電装品試験システムでは、以上の処理が繰り返されることで、各評価対象モデルM間で同期のとれたシミュレーションが実現されることになる。
また、本発明を適用した車載電装品試験システムにおいては、シミュレーション環境内に中継サーバ8が設けられている。中継サーバ8は、共有データエリア5を用いて、複数の評価対象モデルM1,M2,M3・・・Mn間での第2の通信線2を介したデータ通信を中継するものであり、第2の通信線2を介して各評価対象モデルMにそれぞれ接続されている。本発明を適用した車載電装品試験システムにおいては、上述したように、複数の評価対象モデルM1,M2,M3・・・Mnを第2の通信線2で相互に接続し、この第2の通信線2を介した各評価対象モデルM間でのデータ通信も行えるようにしているが、ワイヤハーネスを模した第2の通信線2を介して評価対象モデルM間でデータ通信を行う場合、評価対象モデルM間で送受信されるデータ形式の差異などにより第2の通信線2経由でのデータ通信が困難になるという問題が懸念されるので、各評価対象モデルM間の第2の通信線2経由でのデータ通信を中継サーバ8で中継することによって、このような問題を解消するようにしている。
本発明を適用した車載電装品試験システムにおいて、例えば、評価対象モデルM1で処理したデータを第2の通信線2を介して評価対象モデルM2に送信する場合、図5に示すように、評価対象モデルM1で処理されたデータは、中継サーバ8によって読み取られ、一旦、共有データエリア5に書き込まれる(図5中の矢印1)。そして、この共有データエリア5に一時的に格納されたデータが、中継サーバ8によって読み出されて送信先の評価対象モデルM2へと送られる(図5中の矢印2)。
また、逆に評価対象モデルM2で処理したデータを第2の通信線2を介して評価対象モデルM1に送信する場合、評価対象モデルM2で処理されたデータは、中継サーバ8によって読み取られ、一旦、共有データエリア5に書き込まれる(図5中の矢印3)。そして、この共有データエリア5に一時的に格納されたデータが、中継サーバ8によって読み出されて送信先の評価対象モデルM1へと送られる(図5中の矢印4)。
以上のような中継サーバ8による中継処理は、各評価対象モデルM間での通信を実施するための各種情報が記載された接続ファイルに基づいて行われる。この接続ファイルには、例えば図6にその概要を示すように、共有データエリア5のデータが格納される各領域毎に、当該領域に格納されるデータの送信側の評価対象モデルのモデル名と、データ受信側の評価対象モデルのモデル名と、当該領域に書き込まれるデータ名と、当該領域から読み出されるデータ名と、送受信されるデータのタイプとが、当該領域のアドレスと対応付けられて記載されている。
以上のような接続ファイルを参照することにより、中継サーバ8は、第2の通信線2経由でデータ通信を行う各評価対象モデルMの対応関係や、送受信されるデータのデータタイプ、使用する共有データエリア5の領域等を一意に特定することができ、各評価対象モデルM間での第2の通信線2を介したデータ通信を、極めて簡便に且つ適切に中継することが可能となる。また、以上のような接続ファイルに基づいて各評価対象モデルM間でのデータ通信を中継するようにすれば、システム内に新たにモデルを追加する場合においても、接続ファイルに情報を書き加えるのみでモデル追加に対応できる。
ここで、以上のように構成される本発明を適用した車載電装品試験システムの動作について、ヘッドランプ点灯機能の試験を行う場合を例に挙げて、図7を参照しながら具体的に説明する。本例では、評価対象モデルM1が、ヘッドランプスイッチONの信号を読み取るコントローラを模したモデルであり、評価対象モデルM2が、ヘッドランプを実際に点灯させるアクチュエータを駆動するためのコントローラを模したモデルである。また、これら評価対象モデルM1,M2間のデータ通信は、LANバスを模した第1の通信線1を介して行われる。
先ず、ユーザが、計測用マシン4を用いてヘッドランプスイッチONに相当する操作入力を行うと、計測用マシン4がヘッドランプスイッチON信号を出力する(図7中の矢印1)。この計測用マシン4が出力するヘッドランプスイッチON信号は、図示を省略するが、シミュレーション環境内に設けられている共有データエリア5に一旦格納された後、第2の通信線2経由で評価対象モデルM1へと送られる。このとき、評価対象モデルM1の制御モデル部11は、車両用ワイヤハーネスを模した第2の通信線2経由での制御指令待ちの状態にあり、第2の通信線2経由でヘッドランプスイッチON信号が送られてくると、これを受信する(図7中の矢印2)。
また、車載電装品試験システムによる試験を行っている間、車両モデル3は、必要に応じて車両運動のシミュレーションを行い、車両の状態を表す信号を、車両用ワイヤハーネスを模した第2の通信線2経由で各評価対象モデルMに随時送信する。この車両モデル3からの信号も、共有データエリア5に一旦格納された後に、第2の通信線2経由で各評価対象モデルMへと送られる。
評価対象モデルM1の制御モデル部11は、計測用マシン4からのヘッドランプスイッチON信号を受信すると、ヘッドランプの点灯指示があったことを判定し、ヘッドランプリクエスト信号を生成する。そして、生成したヘッドランプリクエスト信号を、通信モデル部12に伝送する(図7中の矢印3)。このとき、評価対象モデルM1の制御モデル部11が生成したヘッドランプリクエスト信号は、共有データエリア5に一旦格納された後に、評価対象モデルM1の通信モデル部12へと伝送されることになる。
評価対象モデルM1の通信モデル部12は、制御モデル部11からのヘッドランプリクエスト信号を受信すると、このヘッドランプリクエスト信号を車内LANのプロトコルに合致するデータ形式に変換する。そして、変換したデータを、車内LANのLANバスを模した第1の通信線1経由で送信する。このとき、評価対象モデルM2の通信モデル12は、第1の通信線1経由でのデータ待ちの状態にあり、評価対象モデルM1から第1の通信線1経由でデータが送られてくると、これを受信する(図7中の矢印4)。
評価対象モデルM2の通信モデル部12は、第1の通信線1経由で評価対象モデルM1から送信されたデータを受信すると、受信したデータを制御モデル部11で扱えるデータ形式に変換する。そして変換したデータを制御モデル部11へと伝送する(図7中の矢印5)。このとき、評価対象モデルM2の通信モデル部12が変換したデータは、共有データエリア5に一旦格納された後に、評価対象モデルM2の制御モデル部11へと伝送されることになる。
評価対象モデルM2の制御モデル部11は、通信モデル部12からのデータを受信すると、ヘッドランプの点灯指示があったことを判定し、ヘッドランプを点灯させるアクチュエータへの駆動制御信号を生成する。そして、生成したアクチュエータ駆動制御信号を、第2の通信線2を介して計測用マシン4に送信する(図7中の矢印6)。この評価対象モデルM2の制御モデル部11が送信するアクチュエータ駆動制御信号も、共有データエリア5に一旦格納された後に、第2の通信線2経由で計測用マシン4へと送られる。
計測用マシン4は、評価対象モデルM2の制御モデル部11からのアクチュエータ駆動制御信号を受信すると、例えばヘッドランプが点灯している様子をグラフィカルに表示することにより、評価対象モデルM1、M2間のデータ通信や、これら評価対象モデルM1、M2と計測用マシン4、車両モデル5との間でのデータ通信が正常に行われていることをユーザに報知する。これにより、ユーザは、実際の車両において、ヘッドランプ点灯機能が正常に作動することを確認することができる。
また、以上の一連のシミュレーション動作の中で、共有データエリア5に一時的に格納されたデータ、すなわち評価対象モデルM1や評価対象モデルM2が送受信したデータは、データ収集装置6により収集される。そして、そのデータに関する上述した(1)〜(6)の各項目が、データ収集装置6により時系列で記録されることになる。
以上説明したように、本発明を適用した車載電装品試験システムでは、車内LANを構築する複数のコントローラを模した複数の評価対象モデルM1,M2,M3・・・Mn同士をLANバスを模した第1の通信線1及び車両用ワイヤーハーネスを模した第2の通信線2で接続して、これら各評価対象モデルM間でのデータ通信を第1の通信線1或いは第2の通信線2経由で行うと共に、車両に設置される各種センサに相当する車両モデル3や、車両に設けられた各種操作スイッチ類及びアクチュエータに相当する計測用マシン(ユーザインターフェース)4と各評価対象モデルMとを第2の通信線2で接続して、これら車両モデル3と各評価対象モデルM、計測用マシン4と各評価対象モデルMとの間でのデータ通信を第2の通信線2経由で行うようにしているので、実際の車両における通信環境を忠実に再現した通信環境でこれらのデータ通信を精度良くシミュレートすることができ、車両に搭載される各種車載電装品の正確な動作試験を実施することが可能となる。また、システム内で送受信される信号を通信系統毎に分割することにより、シミュレーションの運用の効率化を図ることができると共に、各通信線における通信負荷の軽減を実現することができる。
また、本発明を適用した車載電装品試験システムでは、シミュレーション環境内に、各評価対象モデルMが送受信するデータを一時的に格納する共有データエリア5と、この共有データエリア5に一時的に格納された各種データを収集して、そのデータの内容を記録するデータ収集装置6とが設けられているので、各評価対象モデルM内にデータを記録する機能を設けることなく、各評価対象モデルMが送受信するデータを収集してその内容を記録することができ、各種車載電装品の動作の際に各制御装置での制御が正常に行われているかどうかを容易に確認することが可能となる。
また、本発明を適用した車載電装品試験システムでは、データ収集装置6がロギング機能を有しているので、ユーザは、各評価モデルMが時間経過とともにどのように動作しているのかを詳細に確認することが可能となる。さらにまた、本発明を適用した車載電装品試験システムでは、データ収集装置6がモデル切替機能を有しているので、シミュレーション時に同時に存在し得ない評価対象モデルMのそれぞれが送受信するデータを、データ収集装置6からのコマンドに応じて共有データエリア5に一時的に格納させて、そのデータの内容をデータ収集装置6が記録できることとなり、効率的なシステム運用が可能となる。
また、本発明を適用した車載電装品試験システムでは、シミュレーション環境内にクロックサーバ7を設けて、各評価対象モデルMが各々独立に動作するのではなく、各評価対象モデルM間で同期がとれたシミュレーションを行うようにしているので、より実車両に即した詳細なシミュレーションを適切に行うことが可能となる。
さらにまた、本発明を適用した車載電装品試験システムでは、シミュレーション環境内に中継サーバ8を設け、この中継サーバ8が、共有データエリア5を用いて各評価対象モデルM間の第2の通信線2経由でのデータ通信を中継するようにしているので、送受信データの形式の差異などにより各評価対象モデルM間で第2の通信線2を介したデータの送受信が困難となるという問題が解消される。また、これら各評価対象モデルM間の第2の通信線2を介したデータ送受信は、接続ファイルによって一元管理できるので、各評価対象モデルMに対して個別に接続のための加工を施す必要がなくなり、接続管理を容易に行うことができる。
M1,M2,M3・・・Mn 評価対象モデル
1 第1の通信線
2 第2の通信線
3 車両モデル
4 計測用マシン(ユーザインターフェース)
5 共有データエリア
6 データ収集装置
7 クロックサーバ
8 中継サーバ
11 制御モデル部
12 通信モデル部
1 第1の通信線
2 第2の通信線
3 車両モデル
4 計測用マシン(ユーザインターフェース)
5 共有データエリア
6 データ収集装置
7 クロックサーバ
8 中継サーバ
11 制御モデル部
12 通信モデル部
Claims (7)
- 車内LAN(Local Area Network)のノードとしてLANバスに接続される複数の制御装置により動作制御される各種車載電装品の動作を、コンピュータを用いたシミュレーションによって試験する車載電装品試験システムであって、
前記複数の制御装置を模した複数の評価対象モデルと、
車両運動のシミュレーションを行って、車両の状態を表す信号を前記評価対象モデルに送信する車両モデルと、
動作試験のための操作入力及び前記評価対象モデルによる制御内容の確認を行うためのユーザインターフェースと、
前記複数の評価対象モデルが送受信するデータを一時的に格納する共有データエリアと、
前記共有データエリアに一時的に格納されたデータを収集して、そのデータの内容を記録するデータ収集装置とを備え、
前記複数の評価対象モデルが、前記LANバスを模した第1の通信線及びワイヤーハーネスを模した第2の通信線で相互に接続されていると共に、前記車両モデル及び前記ユーザインターフェースと前記複数の評価対象モデルとが前記第2の通信線で接続されていることを特徴とする車載電装品試験システム。 - 前記データ収集装置は、前記共有データエリアに一時的に格納されたデータの内容を時系列で記録するロギング機能を有することを特徴とする請求項1に記載の車載電装品試験システム。
- 前記複数の評価対象モデルの接続/非接続の切り替えを制御するモデル切替機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車載電装品試験システム。
- 前記共有データエリアを用いて、前記複数の評価対象モデル間での前記第2の通信線を介したデータ通信を中継する中継サーバを更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車載電装品試験システム。
- 前記中継サーバは、前記第2の通信線を介したデータ通信を行う評価対象モデル間の対応関係を示す情報、及び使用する共有データエリアに関する情報が記載された接続ファイルに基づいて、前記複数の評価対象モデル間での前記第2の通信線を介したデータ通信を中継することを特徴とする請求項4に記載の車載電装品試験システム。
- 前記各評価対象モデル間での同期処理を行うクロックサーバを更に備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の車載電装品試験システム。
- 車内LAN(Local Area Network)のノードとしてLANバスに接続される複数の制御装置により動作制御される各種車載電装品の動作を、コンピュータを用いたシミュレーションによって試験する試験方法であって、
前記複数の制御装置を模した複数の評価対象モデルを、前記LANバスを模した第1の通信線及びワイヤーハーネスを模した第2の通信線で相互に接続して、これら第1の通信線又は第2の通信線を介して前記各評価対象モデル間でのデータ通信を行うと共に、
車両運動のシミュレーションを行って車両の状態を表す信号を前記各評価対象モデルに送信する車両モデルと、動作試験のための操作入力及び前記各評価対象モデルによる制御内容の確認を行うためのユーザインターフェースと、前記複数の評価対象モデルとを、前記第2の通信線で接続して、当該第2の通信線を介して前記車両モデル及び前記ユーザインターフェースと前記各評価対象モデルとの間でのデータ通信を行い、
前記複数の評価対象モデルが送受信するデータを、シミュレーション環境内に設けた共有データエリアに一時的に格納して、当該共有データエリアに一時的に格納されたデータを、シミュレーション環境内に設けたデータ収集装置が収集して、そのデータの内容を記録することを特徴とする車載電装品の試験方法。
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---|---|---|---|
JP2005152936A JP2006329787A (ja) | 2005-05-25 | 2005-05-25 | 車載電装品試験システム及び試験方法 |
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---|---|---|---|---|
CN114490199A (zh) * | 2021-12-15 | 2022-05-13 | 北京罗克维尔斯科技有限公司 | 一种测试同步方法、装置、设备及存储介质 |
CN114594751A (zh) * | 2022-02-28 | 2022-06-07 | 北京梧桐车联科技有限责任公司 | 车辆功能的测试方法、装置、设备及计算机可读存储介质 |
CN114756007A (zh) * | 2022-04-20 | 2022-07-15 | 中国第一汽车股份有限公司 | 一种测评方法、装置、设备以及存储介质 |
-
2005
- 2005-05-25 JP JP2005152936A patent/JP2006329787A/ja not_active Withdrawn
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