JP2006327953A - 新規な含硫黄環状化合物及びその製造方法 - Google Patents

新規な含硫黄環状化合物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性が良好であり、高透明性、高屈折率の光学用樹脂の原材料として有用な新規な含硫黄環状化合物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記の一般式で表される含硫黄環状化合物。特定の構造を有する1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性、高屈折率、高透明性の要求される光学材料分野に使用可能な樹脂原材料として有用な新規な含硫黄環状化合物及びその製造方法に関するものである。
光学材料に用いられる透明耐熱樹脂として、近年、環状オレフィン樹脂が注目されており(例えば非特許文献1参照。)、例えばテトラシクロデセン系化合物、ノルボルネン系化合物をメタセシス重合し水素添加した環状オレフィン樹脂(例えば特許文献1〜4参照。)、エチレンとノルボルネン系化合物、またはエチレンとシクロデセン系化合物の付加重合体(例えば特許文献5参照。)、ノルボルネン系化合物の付加重合体(例えば特許文献6〜9参照。)等が提案されている。
そして、該ノルボルネン化合物の重合体は、透明性、耐熱性、成形性に優れ、高アッベ数を有するという光学用途用透明材料として優れた特徴を有している。
一方、近年、携帯機器の軽量化、小型化という流れによって高屈折率を有する材料が求められている。しかしながら、該ノルボルネン化合物の重合体は、屈折率が低いという課題がある。
そして、透明耐熱樹脂の高屈折率化を達成する方法として、分子構造中に芳香環や硫黄原子を導入する方法が知られており、芳香環を導入した材料としては、フルオレン骨格を導入した材料が提案され(例えば特許文献10又は非特許文献2参照。)、また、硫黄原子の導入したチオウレタン系の樹脂が提案されている(例えば特許文献11参照。)。
特許第3050196号公報 特開昭60−026024号公報 特開平01−132625号公報 特許第3087421号公報 特開昭61−292601号公報 特開平04−063807号公報 特許第3534127号公報 特開平09−508649号公報 特開平11−505880号公報 特開平11−060706号公報 特公平06−005323号公報 ポリファイル,9月号,p.36〜43(2004) NIKKEI ELECTRONICS p.79〜85(2004.9.13)
しかし、特許文献10又は非特許文献2に提案されているフルオレン骨格を導入した材料においては、屈折率が1.6以上と高い反面、アッベ数が低いという課題を有する。また、特許文献11に提案された硫黄原子を導入したチオウレタン系の樹脂は、屈折率は1.6以上、アッベ数も40以上と高いものであるが、耐熱性が100℃程度と低いという課題を有するものであった。
そこで、本発明は、上述したような課題を解決し、耐熱性が良好であり、高透明性、高屈折率の光学用樹脂の原材料として有用な新規な含硫黄環状化合物及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の構造を有する含硫黄環状化合物が、耐熱性が良好であり、高透明性、高屈折率の光学用樹脂の原材料となりうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記の一般式(1)で表わされることを特徴する含硫黄環状化合物及びその製造方法に関するものである。
Figure 2006327953
(1)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数1〜20の芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、複素環化合物であり、nは1または2である。)
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(1)で表される含硫黄環状化合物は、硫黄を含む環構造を有することを構造上の特徴とする新規化合物である。
ここで、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数1〜20の芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、複素環化合物であり、nは1または2である。そして、RおよびRとしては、例えば水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;チエニル基、ピリジル基等の複素環化合物基;シアノ基を挙げることができる。
本発明の新規な含硫黄環状化合物の具体的な例示としては、例えば1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−メチル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−エチル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−プロピル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−イソプロピル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−ブチル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−オクチル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−ドデシル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−フェニル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−ベンジル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−(2−チエニル)−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−(2−ピリジル)−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−(4−ピリジル)−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−シアノ−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−メトキシ−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−エトキシ−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2,2−ジメチル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2,2−ジエチル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2,2−ジプロピル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2,2−ジブチル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2,2−ジフェニル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−メチル−2−エチル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−メチル−2−プロピル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−メチル−2−ブチル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−メチル−2−フェニル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−エチル−2−プロピル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−エチル−2−ブチル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−エチル−2−フェニル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン、2−プロピル−2−フェニル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン等を挙げることができる。
本発明の新規な含硫黄環状化合物の製造方法としては、該化合物を製造することが可能であれば如何なる方法を用いることも可能であり、例えば、ア)下記の一般式(2)で表される化合物とケトン類、アルデヒド類及びアセタール類からなる群より選ばれる化合物とを酸触媒の存在下、反応することにより製造する方法、イ)下記の一般式(3)で表される化合物とジハロゲン化物とを反応することにより製造する方法、ウ)下記の一般式(4)で表される化合物とシクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンとのディールズアルダー反応により製造する方法を挙げることができる。
Figure 2006327953
(2)
(式中、nは1または2である。)
Figure 2006327953
(3)
(式中、YはNa、K、Rb、Csであり、nは1または2である。)
Figure 2006327953
(4)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数1〜20の芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、複素環化合物である。)
以下に、本発明の新規な含硫黄環状化合物の好ましい製造方法の一態様を具体的に示す。
ア)上記の一般式(2)で表される化合物と酸触媒下にケトン類、アルデヒド類、アセタール類からなる群より選ばれる化合物を反応することにより新規な含硫黄環状化合物を製造する方法。
一般式(2)で表される化合物の製造方法としては如何なる製造方法を用いてもよく、例えばJ.Am.Chem.Soc.,109,6825−6836(1987)に記載の方法が挙げられる。
上述の方法は、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5−ノルボルネンとトルエンスルホニルクロライドとを反応させジトシレートとする。次に、このジトシレートにチオシアン酸カリウムを反応させトシル基をチオシアノ基に変換した後、リチウムアルミニウムハイドライドで還元して一般式(2)で表される化合物としている。
用いる2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5−ノルボルネンとトルエンスルホニルクロライドの比率は、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5−ノルボルネンを1モルに対してトルエンスルホニルクロライドは2モル以上必要であるが、好ましくは2モル〜3モルである。トシル化反応は溶媒中で行うが、用いる溶媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリンが例示できる。また、これら溶媒は、2種類以上を併用しても差し支えないし、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒を併用しても良い。反応温度は、一般的に−78℃〜150℃で良く、特に−20℃〜100℃が好ましい。反応時間は数分〜96時間で良く、特に1時間〜72時間が好ましい。
得られたジトシレートはチオシアン酸カリウムで、トシル基をチオシアノ基に変換する。
ジトシレートとチオシアン酸カリウムの比率は、ジトシレートを1モルに対してチオシアン酸カリウムを2モル以上必要であるが、好ましくは2〜4モルである。この反応は、溶媒中で行うが、用いる溶媒は、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチルピロリドンを例示できる。また、これら溶媒は、2種類以上を併用しても差し支えないし、メタノールやエタノールのアルコール類や水を併用しても良い。反応温度は、一般的に−78℃〜200℃で良く、特に−20℃〜150℃が好ましい。反応時間は数分〜72時間で良く、特に1時間〜48時間が好ましい。
得られたジチオシアノ体は、リチウムアルミニウムハイドライドで還元するとジチオールになる。ジチオシアノ体とリチウムアルミニウムハイドライドの比率は、ジチオシアノ体を1モルに対してリチウムアルミニウムハイドライドを1モル〜10モル使用するが、特に2〜4モルが好ましい。反応は溶媒中で行うが、使用する溶媒としては、ジメトキシエタン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンが例示できる。また、これら溶媒は、2種類以上を併用しても差し支えない。反応温度は、一般的に−78℃〜200℃で良く、特に−78℃〜100℃が好ましい。反応時間は数分〜72時間で良く、特に1時間〜48時間が好ましい。
本発明の新規な含硫黄環状化合物は、得られた一般式(2)で表される化合物とアルデヒド類、ケトン類及びアセタール化合物からなる群より選ばれる化合物とを酸触媒の存在下、溶媒中で環化反応させることで得ることができる。ここで、該アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、α−ホルミルトルエン、2−チオフェンカルボアルデヒド、3−チオフェンカルボアルデヒド、2−ピリジンカルボアルデヒド、4−ピリジンカルボアルデヒド等が挙げられ、該ケトン類としては、例えばアセトン、エチルメチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、フルオレノン、2−アセチルチオフェン、2−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン等が挙げられ、該アセタール類としては、例えばジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、2,2−ジメトキシプロパン、α−ジメトキシエチルベンゼン、9,9−ジメトキシフルオレン等が挙げられる。
該環化反応の際に用いる溶媒としては、例えばヘキサンやシクロヘキサン等の炭化水素類;ベンゼンやトルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテルやジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;水;ジクロロメタンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素などが挙げられ、該溶媒は単独あるいは2種類以上を併用しても差し支えない。酸触媒としては、例えば塩化水素、臭化水素、硫酸等のプロトン酸;三フッ化ホウ素や塩化アルミニウム等のルイス酸;該ルイス酸のエーテル、アルコール、カルボン酸等の錯体等を挙げることができる。また、反応温度としては、−78℃〜200℃の範囲が好ましく、特に−20℃〜150℃の範囲であることが好ましい。反応時間としては、数分〜100時間が好ましく、特に1〜48時間であることが好ましい。
イ)上記の一般式(3)で表される化合物とジハロゲン化物とを反応することにより新規な含硫黄環状化合物を製造する方法。
一般式(3)で表される化合物は、例えば一般式(2)で示される化合物をアルカリ金属化合物で中和することで得られる。
アルカリ金属化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが挙げられる。
中和反応は、反応に関与しない溶媒中で行われ、溶媒としては、例えばn−ヘキサン、ベンゼンまたはトルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール類が例示できる。反応温度としては、−78℃〜150℃が好ましく、特に反応初期は50℃以下とすることが好ましい。反応時間としては、10分〜10時間の範囲であることが好ましい。
本発明の新規な含硫黄環状化合物は、一般式(3)で表される化合物とジハロゲン化物とを環化反応させることで得ることができる。該ジハロゲン化合物としては、例えば、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,1−ジクロロプロパン、2,2−ジクロロプロパン、α、α−ジクロロトルエン、ジクロロアセトニトリル、1,1−ジクロロ−3,3−ジメチルブタン、α、α−ジクロロエチルベンゼン、2−ジクロロメチルチオフェン、2−ジクロロメチルピリジン、4−ジクロロメチルピリジン、ジブロモメタン、1,1−ジブロモエタン、1,1−ジブロモプロパン、2,2−ジブロモプロパン、α、α−ジブロモトルエン、ジブロモアセトニトリル、1,1−ジブロモ−3,3−ジメチルブタン、α、α−ジブロモエチルベンゼン、9,9−ジブロモフルオレン、2−ジブロモメチルチオフェン、2−ジブロモメチルピリジン、4−ジブロモメチルピリジン等を挙げることができる。
該環化反応は、溶媒中で行うことが可能であり、該溶媒としては、例えばヘキサンやシクロヘキサン等の炭化水素類;ベンゼンやトルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテルやジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;水等が挙げられる。反応温度としては、−78℃〜200℃の範囲が好ましく、特に−20℃〜150℃の範囲であることが好ましい。反応時間としては、数分〜100時間が好ましく、特に1〜20時間である事が好ましい。
ウ)上記の一般式(4)で表される化合物と、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンとのディールズアルダー反応により新規な含硫黄環状化合物を製造する方法。
上記の一般式(4)で表される化合物は、如何なる製造方法により得られたものであってもよく、例えば、Organic Preparations and Procedures International,10,133−136(1978)に記載の方法が挙げられる。
この反応は、cis−1,4−ジクロロ−2−ブテンとチオ尿素から、ジイソチウロニウム塩を合成し、この塩を水酸化カリウム水溶液で分解してジチオールのアルカリ金属塩を発生させた後、ジハロゲン化物を反応させ一般式(4)で表される化合物としている。
cis−1,4−ジクロロ−2−ブテンとチオ尿素の反応は有機溶媒中で行われる。この際、cis−1,4−ジクロロ−2−ブテン/チオ尿素(モル比)=1/1〜4が好ましく、特に1/1.9〜2.1であることが好ましい。また、反応の際の有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒等を例示することができ、特にメタノール、エタノールが好ましく、該有機溶媒の使用量としては、cis−1,4−ジクロロ−2−ブテンとチオ尿素の合計量に対して、50〜500重量%が好ましく、特に100〜300重量%であることが好ましい。反応温度は、0℃〜150℃であることが好ましく、特に50℃〜130℃である事が好ましい。反応時間としては、10分〜24時間が好ましく、特に30分〜12時間で行うことが好ましい。また、cis−1,4−ジクロロ−2−ブテンとチオ尿素の反応は、無触媒下/酸触媒存在下で行うことが可能であり、酸触媒としては、例えば硫酸、塩化水素酸、臭化水素酸、酢酸等のプロトン酸であることが好ましい。
そして、得られた反応液を−78℃〜80℃、好ましくは−20℃〜50℃に冷却することによりジイソチウロニウム塩を回収することができる。
該ジイソチウロニウム塩は、アルカリ性水溶液又はアミンで分解して、1,4−ジメルカプト−2−ブテンジチオールや該ジチオールの金属塩が合成できる。アルカリ性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、アミンとしては、例えばアンモニア、メチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ジアザビシクロ−[2,2,2]−オクタン等が挙げられ、その中でも特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いアルカリ性水溶液による分解が好ましい。
また、該ジイソチウロニウム塩/アルカリ性化合物又はアミン(モル比)=1/2〜15が好ましく、特に1/4〜10であることが好ましい。この際の反応温度としては、0℃〜150℃が好ましく、特に50℃〜130℃であることが好ましい。
そして、該1,4−メルカプト−2−ブテンのアルカリ金属塩と、ジハロゲン化物とを反応させることで一般式(4)に示される化合物を得ることができる。該ジハロゲン化物としては、例えばジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,1−ジクロロプロパン、2,2−ジクロロプロパン、α、α−ジクロロトルエン、ジクロロアセトニトリル、1,1−ジクロロ−3,3−ジメチルブタン、α、α−ジクロロエチルベンゼン、2−ジクロロメチルチオフェン、2−ジクロロメチルピリジン、4−ジクロロメチルピリジン、ジブロモメタン、1,1−ジブロモエタン、1,1−ジブロモプロパン、2,2−ジブロモプロパン、α、α−ジブロモトルエン、ジブロモアセトニトリル、1,1−ジブロモ−3,3−ジメチルブタン、α、α−ジブロモエチルベンゼン、9,9−ジブロモフルオレン、2−ジブロモメチルチオフェン、2−ジブロモメチルピリジン、4−ジブロモメチルピリジン等が挙げられ、該有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
その際の1,4−メルカプト−2−ブテンのアルカリ金属塩/ジハロゲン化物(モル比)=1/0.1〜2であることが好ましく、特に1/0.9〜1.1であることが好ましい。また、有機溶媒の使用量は、1,4−メルカプト−2−ブテンのアルカリ金属塩とジハロゲン化物の合計量に対して、100重量%〜2000重量%であることが好ましく、特に200重量%〜1000重量%であることが好ましい。反応温度としては、−78℃〜150℃であることが好ましく、特に−20℃〜130℃である事が好ましい。
また、ジイソチウロニウム塩をアミンで分解したり、1,4−メルカプト−2−ブテンのアルカリ金属塩を酸で中和すると1,4−メルカプト−2−ブテンが得られる。該1,4−メルカプト−2−ブテンとアルデヒド類、ケトン類、アセタール類からなる群より選ばれる化合物を有機溶媒中で、酸触媒を用いて反応することにより、上記の一般式(4)に示す化合物を合成することが可能である。
該アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、α−ホルミルトルエン、2−チオフェンカルボアルデヒド、3−チオフェンカルボアルデヒド、2−ピリジンカルボアルデヒド、4−ピリジンカルボアルデヒド等が挙げられ、該ケトン類としては、例えばアセトン、エチルメチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、フルオレノン、2−アセチルチオフェン、2−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン等が挙げられ、該アセタール類としては、例えばジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、2,2−ジメトキシプロパン、α−ジメトキシエチルベンゼン、9,9−ジメトキシフルオレン等が挙げられる。
該環化反応の際に用いる溶媒としては、例えばヘキサンやシクロヘキサン等の炭化水素類;ベンゼンやトルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテルやジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;水;ジクロロメタンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素などが挙げられ、該溶媒は単独あるいは2種類以上を併用しても差し支えない。酸触媒としては、例えば塩化水素、臭化水素、硫酸等のプロトン酸;三フッ化ホウ素や塩化アルミニウム等のルイス酸;該ルイス酸のエーテル、アルコール、カルボン酸等の錯体等を挙げることができる。また、反応温度としては、−78℃〜200℃の範囲が好ましく、特に−20℃〜150℃の範囲であることが好ましい。反応時間としては、数分〜100時間が好ましく、特に1〜48時間であることが好ましい。
本発明の新規な含硫黄環状化合物は、上記一般式(4)で表される化合物と、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンとのディールズアルダー反応により製造することが可能である。該ディールズアルダー反応は、溶媒中または無溶媒で一般式(4)で表される化合物と、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンとを混合し過熱することで実施することが可能である。溶媒としては、例えばn−ヘキサン、ベンゼンまたはトルエン等の炭化水素系溶媒等を挙げることができる。また、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンは溶媒として作用するため、経済性を考えると無溶媒で反応することが好ましい。
ここで、一般式(4)で表される化合物/シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエン(モル比)=1/0.01〜5であることが好ましく、特に1/0.1〜2.0であることが好ましい。また、該ディールズアルダー反応を実施する際には、無触媒下または反応を促進するため触媒を用いても良く、触媒を用いる際には、一般式(4)で表される化合物/触媒(モル比)=1/0.001〜1が好ましい。該触媒としては、例えば塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化亜鉛、フッ化ホウ素などのルイス酸が好ましい。また、反応温度としては、−10〜300℃の範囲が好ましく、特に20〜230℃であることが好ましい。反応時間としては、数分〜100時間が好ましく、特に30分〜50時間が好ましく、更に1〜20時間であることが好ましい。
本発明の新規な含硫黄環状化合物は、それ自体が高屈折率を有するものであり、各種プラスチックレンズやプリズムシート等に使用される樹脂の原料として有用である。
以下、実施例により本発明を説明するが、本実施例は何ら本発明を制限するものではない。
〜赤外吸収スペクトル(IR)の測定〜
赤外吸収測定装置(日立製作所製、商品名Infrared Spectrophotometer270−30)を用い、KBr法でIRスペクトルを測定した。
〜NMRスペクトルの測定〜
核磁気共鳴スペクトル測定装置(日本電子製、商品名GSX270WB)を用い、重溶媒に重クロロホルムを用い測定した。
〜GC−MSの測定〜
ガスクロマトグラフィー−質量分析計(ヒューレットパッカード製、商品名:質量分析計5971シリーズ)を用い、カラムに外径0.25mm、長さ30mのキャピラリーカラム(GLサイエンス製,商品名:DB−1)を用いて測定を行った。
実施例1
<ビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸の合成>
2リットルのチタン製オートクレーブに、ジシクロペンタジエン212g(1.6mol)、マレイン酸を371.2g(3.2mol)、トルエン500gを仕込み、窒素で系内を十分に置換した後、170℃で5時間反応した。得られた反応液を、エバポレーターでトルエンを除去して白色結晶を得た。この白色結晶を少量のヘキサンで洗浄してビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸540gを得た。
H−NMRスペクトルより、ビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸である事を確認した。
<ビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビスヒドロキシメチルの合成>
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を取り付けたガラス製の1リットル四つ口フラスコ中に、リチウムアルミニウムハイドライド18g(0.474mol)をテトラヒドロフラン450mlに溶かした溶液を加えた。この溶液に、先に合成したビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸18.2g(0.10mol)をテトラヒドロフラン110mlに溶かした溶液を滴下し、滴下終了後、還流条件で5時間反応させた。反応終了後、反応液を0℃まで冷却し、1モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液78gを加え、2時間撹拌した。溶液をろ過後、テトラヒドロフラン相を分液してエバポレーターで濃縮すると、14.6gの液体が得られた。
H−NMRスペクトルより、ビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビスヒドロキシメチルである事を確認した。
<ビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビスヒドロキシメチルのトシル化>
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を取り付けたガラス製の300m1四つ口フラスコ中にビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビスヒドロキシメチル14.6g(0.095mol)と乾燥ピリジン70mlを加え、0℃に冷却した。ここに、トルエンスルホニルクロライド45.5g(0.24mol)をゆっくり入れ、このままの温度で3日間反応した。反応液は、1モル/リットルの塩酸300mlに注ぎ込んだ。析出した沈殿物をろ別し、数回、純水で洗浄した。エーテル200mlで3回抽出を行い、溶媒を濃縮して41gの白色固体を得た。
H−NMRスペクトルより、ビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビストシルメチルである事を確認した。
<ビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−メルカプトメチルの合成>
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を取り付けたガラス製の300m1四つ口フラスコ中に、カリウムチオシアネート11.3g(0.14mol)をジメチルスルホキシド100mlに溶かした溶液を加えた。この溶液に、ビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビストシルメチル22g(0.047mol)をジメチルスルホキシド100mlに溶かした溶液を滴下し、70℃で48時間反応した。反応液は冷水600mlに注ぎ込み、ジクロロメタン100mlで3回抽出した。
ジクロロメタン相は、エバポレーターで濃縮した。得られた粗生成物はテトラヒドロフラン100mlで希釈し、リチウムアルミニウムハイドライド9g(0.237mol)をテトラヒドロフラン230mlに溶かした溶液へ滴下した。還流下に2時間反応させた後、0℃まで冷却して、1モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液39gを加え、2時間撹拌した。溶液をろ過後、テトラヒドロフラン相を分液してエバポレーターで濃縮した、得られた組成生物を、1torrの圧力で減圧蒸留し、57〜61℃の無色透明の液体留分を5.4g回収した。
H−NMRスペクトルより、ビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビスメルカプトメチルである事を確認した。収率62%。
<環化反応>
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を取り付けたガラス製300mlの四つ口フラスコ中に、得られたビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビスメルカプトメチル5g(0.027mol)、98%硫酸0.026g(0.27ミリモル)およびジオキサン20gを秤取し、該混合溶液に対して、30%ホルムアルデヒド水溶液2.7g(0.027mol)を、25℃で、30分を要して滴下した。さらに70℃で5時間反応した後、反応物を水50gに排出し、塩化メチレンで抽出した。有機層(塩化メチレン溶液)を水層が中性になるまで水洗、分液を繰り返した後、有機層を取り出した。塩化メチレンをロータリーエバポレーターで減圧下に除去すると、黄色の液体が得られた。
得られた液体を、0.4kPaの減圧下に蒸留し、120℃〜123℃の無色透明の留分を3.2g得た。
GC−MS、H-NMRスペクトルから、得られた液体は、1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン(一般式(1)においてR、Rが水素である化合物)であることを確認した。また、この液体の25℃における屈折率(n)は1.61であった。
270MHz H−NMR δ(CDCl)による測定結果:1.2(2H)、2.5〜3.0(8H)、4.0(2H)、5.8〜6.2(2H)
EI−MS:198(M)
実施例2
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を取り付けたガラス製500mlの四つ口フラスコ中に、メタノール200mlと85%水酸化カリウムを22g入れ溶液を調製した。この溶液を0℃に冷却し、実施例1と同様の方法で合成したビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビスメルカプトメチル9.3g(0.05mol)をゆっくり滴下し、1時間撹拌を続けた。次にα、α−ジブロモトルエン12.5g(0.05mol)をメタノール50mlに希釈した溶液を約30分かけて加えた。反応液を室温に戻し一晩反応させた。
沈殿をろ別し、溶液をエバポレーターで濃縮した後、エーテルと水を加え、得られた液体を数回洗浄した。エーテル層はエバポレーターで濃縮し、得られた液体を0.1kPaの減圧下に蒸留し、115℃〜120℃の無色透明の留分を11g得た。
GC−MS、H-NMRスペクトルから、得られた液体は、2−フェニル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン(一般式(1)においてRがフェニル基、Rが水素である化合物)であることを確認した。また、この液体の25℃における屈折率(n)は1.65であった。
270MHz H−NMR δ(CDCl)による測定結果:1.2(2H)、2.5〜3.0(8H)、4.0(1H)、6.0〜6.4(2H)、7.0〜7.1(5H)
EI−MS:274(M)
実施例3
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管、滴下ロートを取り付けたガラス製500mlの四つ口フラスコ中に、三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体18ml、氷酢酸36ml、クロロホルム60mlを入れた。撹拌しながら加熱し緩やかに還流が始まったところで、この溶液へ、実施例1と同様の方法により合成したビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビスメルカプトメチル27.9g(0.15mol)と2,2−ジメトキシプロパン17.2g(0.165mol)をクロロホルム230mlで希釈した溶液を4時間かけて滴下した。このまま1時間反応した後、室温まで冷却し、50mlの水4回、150mlの10%水酸化ナトリウム水溶液2回、さらに50mlの水2回で反応液を洗浄した。
クロロホルムをエバポレーターで除去し、得られた液体を、0.1kPaの減圧下に蒸留し、103℃〜110℃の無色透明の留分を23g得た。
GC−MS、H-NMRスペクトルから、得られた液体は2,2−ジメチル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン(一般式(1)においてR、Rがメチル基である化合物)であることを確認した。また、この液体の25℃における屈折率(n)は1.60であった。
270MHz H−NMR δ(CDCl)による測定結果:1.2(2H)、1.8(6H)、2.5〜3.0(8H)、6.0〜6.4(2H)、
EI−MS:226(M)
実施例4
攪拌装置、窒素導入管を取り付けた冷却管、温度計、滴下ロートを備えたガラス製の500ml四つ口フラスコ中にチオ尿素33.5g(0.44mol)と95%エタノール100mlを入れ、系内を充分に窒素置換した後に撹拌しながらエタノールの還流温度まで昇温した。エタノール還流下に滴下ロートからcis−1,4−ジクロロ−2−ブテン24.8g(0.2mol)を約30分かけて滴下し、そのままの温度で8時間反応した。
反応後、反応液を室温まで冷却した。析出した白色固体をろ過し、50mlのエーテルで3回洗浄した後、真空乾燥した。収量は53.9g(収率97%)であった。
H-NMRスペクトルからジイソチウロニウム塩であることを確認した。
次に、攪拌装置、窒素導入管を取り付けた冷却管、温度計を備えたガラス製の1000ml四つ口フラスコ中に、得られたジイソチウロニウム塩51.7g(0.19mol)とメタノール600mlを入れ、0℃に冷却した。この溶液に85%水酸化カリウムを66g(1mol)約30分かけて加えた。反応液は室温に戻し、そのまま一晩反応させた。次に1,1−ジクロロプロパン26g(0.23mol)をメタノール180mlに希釈した溶液を約30分かけて加えた。反応液を室温に戻し一晩反応させた。
沈殿をろ別し、溶液をエバポレーターで濃縮した後、エーテルと水を加え、得られた液体を数回洗浄した。エーテル層はエバポレーターで濃縮し、淡黄色の液体22gを得た。
この液体は、GC−MS、H-NMRスペクトルから、1−エチル−4,7−ジヒドロ−1,3−ジチエピン(一般式(4)のRがエチル基、Rが水素の化合物)であることを確認した。
200mlのSUS製オートクレーブに、得られた1−エチル−4,7−ジヒドロ−1,3−ジチエピン22gとシクロペンタジエン9gおよびトルエン50mlを入れ、撹拌しながら170℃で5時間反応した。
得られた黒色の液体を、0.1kPaの減圧下に蒸留し、103℃〜110℃の無色透明の留分を10.8g得た。
GC−MS、H-NMRスペクトルから、得られた液体は1−エチル−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン(一般式(1)においてRがエチル基、Rが水素である化合物)であることを確認した。また、この液体の25℃における屈折率(n)は1.60であった。
270MHz H−NMR δ(CDCl)による測定結果:1.2(2H)、1.8(3H)、2.5〜3.0(10H)、6.0〜6.4(2H)、
EI−MS:226(M)
実施例5
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を取り付けたガラス製500mlの四つ口フラスコ中に、メタノール200mlと85%水酸化カリウムを22g入れ溶液を調製した。この溶液を0℃に冷却し、実施例1と同様の方法で合成したビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビスメルカプトメチル9.3g(0.05mol)をゆっくり滴下し、1時間撹拌を続けた。次にジクロロメチルメチルエーテル5.8g(0.05mol)をメタノール50mlに希釈した溶液を約30分かけて加えた。反応液を室温に戻し一晩反応させた。
沈殿をろ別し、溶液をエバポレーターで濃縮した後、エーテルと水を加え、得られた液体を数回洗浄した。エーテル層はエバポレーターで濃縮し、得られた液体を0.1kPaの減圧下に蒸留し、105℃〜110℃の無色透明の留分を9g得た。
GC−MS、H-NMRスペクトルから、得られた液体は、2−メトキシ−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン(一般式(1)においてRがメトキシ基、Rが水素である化合物)であることを確認した。また、この液体の25℃における屈折率(n)は1.61であった。
270MHz H−NMR δ(CDCl)による測定結果:1.2〜1.5(5H)、2.5〜3.0(8H)、4.0(1H)、6.0〜6.4(2H)
EI−MS:228(M)
実施例6
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を取り付けたガラス製300mlの四つ口フラスコ中に、実施例1と同様の方法により合成したビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビスメルカプトメチル5g(0.027mol)、98%硫酸0.026g(0.27ミリモル)およびジオキサン20gを秤取し、該混合溶液に2−チオフェンカルボアルデヒド3g(0.027mol)をジオキサン10gに希釈板溶液を、25℃で、30分を要して滴下した。さらに70℃で5時間反応した後、反応物を水50gに排出し、塩化メチレンで抽出した。有機層(塩化メチレン溶液)を水層が中性になるまで水洗、分液を繰り返した後、有機層を取り出した。塩化メチレンをロータリーエバポレーターで減圧下に除去すると、黄色の液体が得られた。
得られた液体を、0.1kPaの減圧下に蒸留し、120℃〜123℃の無色透明の留分を4.5g得た。
GC−MS、H-NMRスペクトルから、得られた液体は、2−(2−チエニル)−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン(一般式(1)においてRがチエニル基、Rが水素である化合物)であることを確認した。また、この液体の25℃における屈折率(n)は1.65であった。
270MHz H−NMR δ(CDCl)による測定結果:1.2(2H)、2.5〜3.0(8H)、4.0(1H)、5.8〜6.2(5H)
EI−MS:280(M)
実施例7
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を取り付けたガラス製300mlの四つ口フラスコ中に、実施例1と同様に方法により合成したビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ビスメルカプトメチル5g(0.027mol)、98%硫酸0.026g(0.27ミリモル)およびジオキサン20gを秤取し、該混合溶液に2−ピリジンカルボアルデヒド2.9g(0.027mol)をジオキサン10gに希釈板溶液を、25℃で、30分を要して滴下した。さらに70℃で5時間反応した後、反応物を水50gに排出し、塩化メチレンで抽出した。有機層(塩化メチレン溶液)を水層が中性になるまで水洗、分液を繰り返した後、有機層を取り出した。塩化メチレンをロータリーエバポレーターで減圧下に除去すると、黄色の液体が得られた。
得られた液体を、0.1kPaの減圧下に蒸留し、122℃〜125℃の無色透明の留分を4.4g得た。
GC−MS、H-NMRスペクトルから、得られた液体は、2−(2−チエニル)−1,3−ジチオトリシクロ−[5,4,0,16,9]−7−ドデセン(一般式(1)においてRがチエニル基、Rが水素である化合物)であることを確認した。また、この液体の25℃における屈折率(n)は1.65であった。
270MHz H−NMR δ(CDCl)による測定結果:1.2(2H)、2.5〜3.0(8H)、4.0(1H)、5.8〜6.2(6H)
EI−MS:275(M)

Claims (5)

  1. 下記の一般式(1)で表されることを特徴とする含硫黄環状化合物。
    Figure 2006327953
    (1)
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基,炭素数1〜20の芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、複素環化合物であり、nは1または2である。)
  2. 下記の一般式(2)で表される化合物とケトン類、アルデヒド類及びアセタール類からなる群より選ばれる化合物とを酸触媒の存在下、反応することを特徴とする請求項1に記載の含硫黄環状化合物の製造方法。
    Figure 2006327953
    (2)
    (式中、nは1または2である。)
  3. 下記の一般式(3)で表される化合物とジハロゲン化合物とを反応することを特徴とする請求項1に記載の含硫黄環状化合物の製造方法。
    Figure 2006327953
    (3)
    (式中、YはNa、K、Rb、Csであり、nは1または2である。)
  4. 上記の一般式(2)で表される化合物とアルカリ金属化合物を反応し上記の一般式(3)で表される化合物とし、さらにジハロゲン化合物と反応することを特徴とする請求項3に記載の含硫黄環状化合物の製造方法。
  5. 下記の一般式(4)で表される化合物と、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンとをディールズアルダー反応することを特徴とする請求項1に記載の含硫黄環状化合物の製造方法。
    Figure 2006327953
    (4)
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数1〜20の芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、複素環化合物である)。
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