JP2006326120A - 人工歯構造物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 歯磨き行為による磨耗が低減され、且つ色調を損なうことがない人工歯構造物を提供する。
【解決手段】 人工歯構造物10は、金属材質や樹脂材質などのフレーム102の表面に硬質レジン103を盛り付けて歯の形状が形成され、この歯の前面側に当たる硬質レジン103の表面にアルミナ膜104がエアロゾルデポジション法によって形成されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、歯科治療に用いる前装冠、人工歯、ジャケット冠、インプラント上部構造、コンポジットレジンインレー、アタッチメントなどに適用される人工歯構造物とその製造方法に関する。
人工歯構造物は歯科治療に用いる義歯であり、金属製や樹脂製、あるいはセラミック製などの支持構造物を母体とし、これに硬質レジン構造物を形成させた前装冠、人工歯、ジャケット冠、インプラント上部構造、コンポジットレジンインレー、アタッチメントが該当する。
従来、歯の審美修復にはポーセレンがよく用いられていたが、これ自体が歯より硬いために、対合歯のエナメル質を磨耗させるなどの問題があり、最近ではアクリル系樹脂にセラミックのフィラーを混合させて、硬さや圧縮強度、引張り強度を向上させた硬質レジンを用いる場合が増えてきた。これは例えば金属製の歯を模した構造体の表面に、セラミックフィラーを混合した光硬化型アクリル系樹脂を塗布し、光を照射して重合反応を起こさせ、構造体表面で硬化させて固定させて人工歯を形成させるものである。
前記フィラーの材質や添加量、粒径を変更させることで硬質レジンの色調を微妙に調整でき、また重ね塗りが可能であるため、天然歯が持つ特有の色調を再現することが可能であり、審美性に優れる。さらにこの硬質レジンの表面に、成形した陶材片を貼り付けることで耐磨耗性向上を狙った方法が特許文献1に提案されている。
また、人工歯などの生体内で使用される金属基材表面に、ショットピーニング装置を用いて生体適合性粉末(燐酸カルシウム)を噴射して、該成分を付着させる内容が特許文献2に開示されている。
特開2002−153492号公報
特許第3314070号公報
硬質レジンを用いて義歯を作製する場合には、硬度はエナメル質より劣るため、歯磨き行為の繰り返しにより磨耗が進むことが避けられず、徐々に表面状態が変化し、比較的短期間で審美性が損なわれるなどの問題がある。
一方、特許文献1に記載の方法では、長期に亘って磨耗を低減させることが可能となるものの、0.5mm厚程度の陶材片は不透明であるため、天然歯のエナメル質独特の透明感を演出することが困難であり、さらに薄片にする場合は、陶材片が破折しやすく、また個々の歯の形状に合わせた作製や硬質レジンに接合する際のハンドリングの難しさがある。
上記課題を解決すべく本発明に係る人工歯構造物は、支持構造物の表面に、光硬化型アクリル系樹脂中に酸化物のフィラーを70〜95重量パーセントで混合させた硬質レジンの層が形成され、この硬質レジンの層の表面に、多結晶で且つ結晶同士の界面にガラス層からなる粒界層が実質的に存在しない透明なセラミック膜が、直接形成された構成とした。
ここで支持構造物とは、人工歯構造物の母体を形成するもので、金属材質や樹脂材質などのフレーム、天然歯歯冠、天然歯歯根、支台歯、築造された支台装置、インプラントアバットメント、インプラント上部構造母体、可撤性義歯などが相当する。
ここで透明とは、可視光における光透過率に優れることであり、具体的には同じセラミック膜を薄い石英ガラスなどに構造物を形成させて、分光硬度計で光透過率を測定し、波長600nmを代表させて、このとき50%以上の光透過率を有していればよい。この程度の透明なセラミック膜は外観を損ねる程度が低いと考えられ、硬質レジン層に形成させた場合は、硬質レジンの色調を損ねる程度が低いと考えられる。
人工歯構造物におけるセラミック膜の被覆領域は硬質レジン表面全面でもよいし、一部でもよい。特に前歯に該当するものにおける唇面側へのセラミック膜形成が最も効果的である。この部分は視認頻度が最も高いために審美性が強く要求されるとともに、他の歯と対合しないために、硬度の高いセラミック膜を形成しても、他の歯を傷つけることがない。
フィラーに用いられる酸化物には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化バリウム、酸化ランタン、酸化マグネシウムなどが用いられ、これらの材質を適当に選択することで、硬質レジンの色調を調整することができる。
また、多結晶で且つ結晶同士の界面にはガラス層からなる粒界層が実質的に存在しない透明なセラミック膜は、後述するエアロゾルデポジション法により形成が可能である。
前記酸化物のフィラーがフェレー径で0.01〜5μmの範囲にある微粒子を主体とすることが望ましい。ここで主体とするとは、硬質レジン切断面のSEM観察による、粒子を挟むある一定方向の平行線間隔で定義されるフェレー径にて、任意に50ヶ以上の微粒子を測定し、これらの測定値のうち80%以上が規定の範囲に入っている場合をいう。このような粒径のフィラーをレジン内に高濃度で分散させることで、後述するエアロゾルデポジション法で硬質レジン上にセラミック膜を形成させることが容易となる。
また前記硬質レジンの硬度としては、ビッカース硬度で40〜180Hvが好ましい。このような硬さを実現することで、後述するエアロゾルデポジション法によりセラミック膜を形成する際に、基材のエッチング(削り取られ)を低減でき、好適である。
更に前記セラミック膜としては酸化アルミニウムが挙げられる。後述するエアロゾルデポジション法で形成された酸化アルミニウム膜は透明度が高いものが形成され、その硬度はビッカース硬度で800Hv程度以上と高い。従って歯磨き行為による人工歯構造物の磨耗低減に好適である。
また、前記人工歯構造物の製造方法としては、脆性材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを硬質レジンの表面に噴射して衝突させ、前記セラミック膜が前記硬質レジンの表面に形成させる方法が考えられる。
上記方法はエアロゾルデポジション法として認知された方法であり、その詳細は、特許第3348154号公報、特開2002−309383号公報、特開2003−034003号公報、特開2004−091614号公報及び特開2003−183848号公報などに開示されている。
具体的には、セラミック微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから基材に向けて噴射し、金属やガラス、セラミックスやプラスチックなどの基材に微粒子を衝突させ、この衝突の衝撃により微粒子を変形や破砕を起させてこれらを接合させ、基材上に微粒子の構成材料からなる膜構造物をダイレクトで形成することを特徴としており、特に加熱手段を必要としない常温で構造物が形成可能であり、焼成体同等の機械的強度を保有する構造物を得ることができる。
この方法に用いられる装置は、基本的にエアロゾルを発生させるエアロゾル発生器と、エアロゾルを基材に向けて噴射するノズルとからなり、ノズルの開口よりも大きな面積で構造物を作製する場合には、基材とノズルを相対的に移動・揺動させる位置制御手段を有し、減圧下で作製を行う場合には構造物を形成させるチャンバーと真空ポンプを有し、またエアロゾルを発生させるためのガス発生源を有することが一般的である。
エアロゾルデポジション法のプロセス温度は常温であり、微粒子材料の融点より十分に低い温度、すなわち数百℃以下で構造物形成が行われるところにひとつの特徴がある。
また使用される微粒子はセラミックスなどの脆性材料を主体とし、同一材質の微粒子を単独であるいは混合して用いることができるほか、異種の微粒子を混合したり、複合して用いることが可能である。また一部金属材料や有機物材料などをセラミック微粒子に混合したり、セラミック微粒子表面にコーティングして用いることも可能である。これらの場合でも構造物形成の主となるものはセラミックスである。
この手法によって形成される膜構造物において、結晶性の微粒子を原料として用いる場合、膜構造物は、その結晶子サイズが原料微粒子のそれに比べて小さい多結晶体であり、その結晶は実質的に結晶配向性がない場合が多く、セラミック結晶同士の界面にはガラス層からなる粒界層が実質的に存在しないと言え、さらに膜構造物の一部は基材表面に食い込むアンカー層を形成することが多いという特徴がある。
この方法により形成される膜構造物は、微粒子同士が圧力によりパッキングされ、物理的な付着で形態を保っている状態のいわゆる圧粉体とは明らかに異なり、十分な強度を保有している。
この膜構造物形成において、微粒子が破砕・変形を起していることは、原料として用いる微粒子および形成された膜構造物の結晶子サイズをX線回折法で測定することにより判断できる。
エアロゾルデポジション法に関係する語句を以下に説明する。
(多結晶)
本件では結晶子が接合・集積してなる構造体を指す。結晶子は実質的にそれひとつで結晶を構成しその径は通常5nm以上である。ただし、微粒子が破砕されずに構造物中に取り込まれるなどの場合がまれに生じるが、実質的には多結晶である。
(微粒子)
一次粒子が緻密質粒子である場合は、粒度分布測定や走査型電子顕微鏡で同定される平均粒径が10μm以下であるものを言う。また一次粒子が衝撃によって破砕しやすい多孔質粒子である場合は、平均粒径が50μm以下であるものを言う。
(エアロゾル)
ヘリウム、窒素、アルゴン、酸素、乾燥空気、これらの混合ガスなどのガス中に前述の微粒子を分散させたものであり、一次粒子が分散している状態が望ましいが、通常はこの一次粒子が凝集した凝集粒を含む。エアロゾルのガス圧力と温度は任意であるが、ガス中の微粒子の濃度は、ガス圧を1気圧、温度を20℃と換算した場合に、ノズルから噴射される時点において0.0003mL/L〜0.06mL/Lの範囲内であることが構造物の形成にとって望ましい。
(多結晶)
本件では結晶子が接合・集積してなる構造体を指す。結晶子は実質的にそれひとつで結晶を構成しその径は通常5nm以上である。ただし、微粒子が破砕されずに構造物中に取り込まれるなどの場合がまれに生じるが、実質的には多結晶である。
(微粒子)
一次粒子が緻密質粒子である場合は、粒度分布測定や走査型電子顕微鏡で同定される平均粒径が10μm以下であるものを言う。また一次粒子が衝撃によって破砕しやすい多孔質粒子である場合は、平均粒径が50μm以下であるものを言う。
(エアロゾル)
ヘリウム、窒素、アルゴン、酸素、乾燥空気、これらの混合ガスなどのガス中に前述の微粒子を分散させたものであり、一次粒子が分散している状態が望ましいが、通常はこの一次粒子が凝集した凝集粒を含む。エアロゾルのガス圧力と温度は任意であるが、ガス中の微粒子の濃度は、ガス圧を1気圧、温度を20℃と換算した場合に、ノズルから噴射される時点において0.0003mL/L〜0.06mL/Lの範囲内であることが構造物の形成にとって望ましい。
このようなエアロゾルデポジション法を適用することで、加熱が不可能な硬質レジン表面に室温環境でセラミック膜を直接形成させることができる。
従来エアロゾルデポジション法ではアクリルのような軟らかい材料を基材とする場合、微粒子の衝突により基材のエッチング(削り取られ)が進行し、セラミック膜が形成されない不具合があった。一方酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの酸化物バルク材料表面には比較的容易にセラミック膜を形成させることが可能であった。そこでアクリル材料中に酸化物の微粒を高濃度で含有させて、材料表面における酸化物の存在割合を高くすることで、エアロゾルデポジション法によって製膜できる領域を確保し、アクリル材料領域を横断してセラミック膜を架橋させて一体の膜状構造物として成長させることで、上述のような構造体を形成させることを可能とした。
母体として光硬化型アクリル系レジンを用いることで、成形に際する形状自由度を大きく確保して、構造体の基本的形状を容易に製作し、これを光照射で硬化させて固定化し、このレジン中に混在する酸化物粒子をシードとして表面にセラミック膜を形成させるこの方法は、歯のような複雑でかつ個々に形状の異なる形態の構造体を形成させるには好適である。
本発明によれば、天然歯に模した形状と色調を得るために硬質レジン層が形成され、この表面の耐磨耗要求を満たすためのセラミック膜を有する。このような人工歯構造物は、歯磨き行為による磨耗を低減させることが可能であり、かつセラミック膜は透明であるため、硬質レジンの重ね塗りなどで微妙に調整された色調を損なうことが無く好適である。
図1は、本発明に係る人工歯構造物の断面模式図であり、前歯の縦断面を示している。人工歯構造物10は、支台装置101に被せた金属材質や樹脂材質などのフレーム102の表面に硬質レジン103を盛り付けて固定して歯の形状を作り、唇面側に当たる硬質レジン103の表面にアルミナ膜104を形成する。アルミナ膜の膜厚は5〜10μm程度で十分であるが、これ以上の膜厚でもよい。
この複合構造物のうち、脆性材料からなる構造物を形成させる手法であるエアロゾルデポジション法について、以下に説明する。エアロゾルデポジション法は脆性材料などの微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから基材に向けて噴射し、金属やガラス、セラミックスやプラスチックなどの基材に微粒子を衝突させ、この衝突の衝撃により脆性材料微粒子を変形や破砕を起させしめてこれらを接合させ、基材上に微粒子の構成材料からなる構造物をダイレクトで形成させることを特徴としており、特に加熱手段を必要としない常温で構造物が形成可能であり、焼成体同等の機械的強度を保有する構造物を得ることができる。
この方法に用いられる装置は、基本的にエアロゾルを発生させるエアロゾル発生器と、エアロゾルを基材に向けて噴射するノズルとからなり、ノズルの開口よりも大きな面積で構造物を作製する場合には、基材とノズルを相対的に移動・揺動させる位置制御手段を有し、減圧下で作製を行う場合には構造物を形成させるチャンバーと真空ポンプを有し、またエアロゾルを発生させるためのガス発生源を有することが一般的である。
エアロゾルデポジション法のプロセス温度は常温であり、微粒子材料の融点より十分に低い温度、すなわち数百℃以下で構造物形成が行われるところにひとつの特徴がある。従って選択できる基材は多種に亘り、低融点金属や樹脂材料であっても適用に問題がない。
また使用される微粒子はセラミックスや半導体などの脆性材料を主体とし、同一材質の微粒子を単独であるいは混合させて用いることができるほか、異種の脆性材料微粒子を混合したり、複合して用いることが可能である。また一部金属材料や有機物材料などを脆性材料微粒子に混合したり、脆性材料微粒子表面にコーティングして用いることも可能である。これらの場合でも構造物形成の主となるものは脆性材料である。
この手法によって形成される構造物において、結晶性の脆性材料微粒子を原料として用いる場合、構造物の脆性材料部分は、その結晶子サイズが原料微粒子のそれに比べて小さい多結晶体であり、その結晶は実質的に結晶配向性がない場合が多く、脆性材料結晶同士の界面にはガラス層からなる粒界層が実質的に存在しないと言え、さらに構造物の一部は基材表面に食い込むアンカー層を形成することが多いという特徴がある。
この方法により形成される構造物は、微粒子同士が圧力によりパッキングされ、物理的な付着で形態を保っている状態のいわゆる圧粉体とは明らかに異なり、十分な強度を保有している。
この構造物形成において、脆性材料微粒子が破砕・変形を起していることは、原料として用いる脆性材料微粒子および形成された脆性材料構造物の結晶子サイズをX線回折法で測定することにより判断できる。すなわちエアロゾルデポジション法で形成される構造物の結晶子サイズは、原料微粒子の結晶子サイズよりも小さい値を示す。微粒子が破砕や変形をすることで形成されるずれ面や破面には、もともと内部に存在し別の原子と結合していた原子が剥き出しの状態となった新生面が形成される。この表面エネルギーが高い活性な新生面が、隣接した脆性材料表面や同じく隣接した脆性材料の新生面あるいは基板表面と接合することにより構造物が形成されるものと考えられる。また微粒子の表面に水酸基が程よく存在する場合では、微粒子の衝突時に微粒子同士や微粒子と構造物との間に生じる局部のずり応力により、メカノケミカルな酸塩基脱水反応が起き、これら同士が接合するということも考えられる。外部からの連続した機械的衝撃力の付加は、これらの現象を継続的に発生させ、微粒子の変形、破砕などの繰り返しにより接合の進展、緻密化が行われ、脆性材料構造物が成長するものと考えられる。
図2は本発明の人工歯構造物のうちセラミック膜を形成させるエアロゾルデポジション装置20を示したものであり、窒素ガスボンベ201の先にガス搬送管202を介してエアロゾル発生器203が設置され、その下流側にエアロゾル搬送管204を介してセラミック膜形成室205内に配置された例えば直径2mmの導入開口と10mm×0.4mmの導出開口をもつノズル206に接続されている。
エアロゾル発生器203内には例えば酸化アルミニウム微粒子粉体が充填されている。ノズル206の開口の先には、例えばXYZθ(4軸)ステージ207に保持された支持構造物を母体として表面に硬質レジンが被覆された被製膜物208が配置されている。セラミック膜形成室205は真空ポンプ209と接続されている。
以下にセラミック膜を形成させるエアロゾルデポジション装置20の作用を述べる。窒素ガスボンベ201を開栓し、ガス搬送管202を通じてガスをエアロゾル発生器203内に送り込み、同時にエアロゾル発生器203を運転させて酸化アルミニウム微粒子と窒素ガスが適当比で混合されたエアロゾルを発生させる。また真空ポンプ209を稼動させ、エアロゾル発生器203と構造物形成室205の間に差圧を生じさせる。エアロゾルはこの差圧に乗って下流側のエアロゾル搬送管204に導入されて加速し、ノズル206より基材208に向けて噴射する。基材208はXYZθステージ207により自在に揺動され、エアロゾル衝突位置を変化させつつ、微粒子の衝突により被製膜物208の所望位置上に膜状のアルミナ膜が形成されていく。
ここでは真空ポンプ209にてセラミック膜形成室205を減圧環境下としているが、必ずしも減圧環境にする必要はなく、大気中圧下にて製膜することも可能である。またガスも窒素に限らず、ヘリウム、圧縮空気などの使用は自在である。
(実施例)
光硬化型アクリル系樹脂材料中に酸化物のフィラーを92wt%で含有させた硬質レジン硬化体を表面に持つ直径10mm、厚さ2mmの円盤状の被製膜物を、図2に準じる装置にて、平均粒径0.6μmのアルミナ微粒子を用いて、窒素ガス7L/minの流量でエアロゾルを発生させ、ノズルより被製膜物の平面部に噴射させて、アルミナ膜を形成させ、膜厚5〜12μmを得た。
この製膜物のうち、膜厚6μmのサンプルを市販の歯ブラシと市販の歯磨き粉を使用した歯ブラシ磨耗試験機に設置し、歯ブラシを約110gの荷重のもとで10万回往復させて製膜物の表面をブラッシングする磨耗試験を行った結果、試験後も表面にアルミナ膜が存在し、鏡面状態を維持していた。
光硬化型アクリル系樹脂材料中に酸化物のフィラーを92wt%で含有させた硬質レジン硬化体を表面に持つ直径10mm、厚さ2mmの円盤状の被製膜物を、図2に準じる装置にて、平均粒径0.6μmのアルミナ微粒子を用いて、窒素ガス7L/minの流量でエアロゾルを発生させ、ノズルより被製膜物の平面部に噴射させて、アルミナ膜を形成させ、膜厚5〜12μmを得た。
この製膜物のうち、膜厚6μmのサンプルを市販の歯ブラシと市販の歯磨き粉を使用した歯ブラシ磨耗試験機に設置し、歯ブラシを約110gの荷重のもとで10万回往復させて製膜物の表面をブラッシングする磨耗試験を行った結果、試験後も表面にアルミナ膜が存在し、鏡面状態を維持していた。
(比較例)
光硬化型アクリル系樹脂材料中に酸化物のフィラーを92wt%で含有させた硬質レジン硬化体を製膜することなく実施例と同じ方法で磨耗試験を行った結果、硬質レジンの表面には幾筋もの傷痕が見られ、磨耗が進んでいることが確認された。
光硬化型アクリル系樹脂材料中に酸化物のフィラーを92wt%で含有させた硬質レジン硬化体を製膜することなく実施例と同じ方法で磨耗試験を行った結果、硬質レジンの表面には幾筋もの傷痕が見られ、磨耗が進んでいることが確認された。
10…人工歯構造物、101…支台装置、102…フレーム、103…硬質レジン、104…アルミナ膜、20…エアロゾルデポジション装置、201…窒素ガスボンベ、202…ガス搬送管、203…エアロゾル発生器、204…エアロゾル搬送管、205…セラミック膜形成室、206…ノズル、207…ステージ、208…被製膜物、209…真空ポンプ209。
Claims (5)
- 支持構造物の表面に、光硬化型アクリル系樹脂中に酸化物のフィラーを70〜95重量パーセントで混合させた硬質レジンの層が形成され、この硬質レジンの層の表面に、多結晶で且つ結晶同士の界面にガラス層からなる粒界層が実質的に存在しない透明なセラミック膜が、直接形成されていることを特徴とする人工歯構造物。
- 前記人工歯構造物において、前記酸化物のフィラーがフェレー径で0.01〜5μmの範囲にある微粒子を主体とすることを特徴とする請求項1に記載の人工歯構造物。
- 前記人工歯構造物において、前記酸化物の硬質レジンの硬度がビッカース硬度で40〜180Hvであることを特徴とする請求項1に記載の人工歯構造物。
- 前記人工歯構造物において、前記セラミック膜が酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の人工歯構造物。
- 請求項1乃至請求項4に記載の人工歯構造物を製造する方法であって、脆性材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを前記硬質レジンの表面に噴射して衝突させ、前記脆性材料の膜を前記硬質レジンの表面に形成させることで、前記支持構造物と前記硬質レジンと前記セラミック膜とからなる前記人工歯構造物を形成させる人工歯構造物の製造方法。
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Cited By (1)
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KR102075938B1 (ko) * | 2019-04-11 | 2020-02-12 | 우태직 | 치과보철물 도금방법 |
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2005
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